説明

エッジリンス方法及びエッジリンス機構

【課題】本発明は、エッジリンス液の飛散の影響が小さく、種々の基板の載置状態に対して、基板のエッジ位置から一定の距離を有する位置に的確にエッジリンス液を供給し、基板の外周部から一定の幅でレジストを除去することができるエッジリンス方法及びエッジリンス機構を提供することを目的とする。
【解決手段】回転するステージ40上に載置された基板の外周部上に、所定位置に設けられたノズル10からエッジリンス液を供給して塗布されたレジストを除去するエッジリンス方法であって、
前記ステージ40上で回転する前記基板のエッジ位置を検出するエッジ位置検出工程と、
該エッジ位置検出工程で検出された前記エッジ位置に基づいて、前記ノズル10から供給される前記エッジリンス液が、前記エッジ位置から一定の距離を有する位置に供給されるように前記ステージ40をスキャン移動させるエッジリンス液供給工程と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エッジリンス方法及びエッジリンス装置に関し、特に、回転するステージ上に載置された基板の外周部上に、所定位置に設けられたノズルからエッジリンス液を供給し、基板上に塗布されたレジストを除去するエッジリンス方法及びエッジリンス機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、回転するウエハの外周部にエッジリンスノズルからエッジリンス液を注いでウエハ外周部のレジストを除去するレジスト塗布装置のエッジリンス機構において、ウエハのエッジ位置を検出する手段と、エッジリンスノズルをウエハの半径方向に移動させる手段を備え、検出したウエハのエッジ位置データに従いエッジリンスノズルを移動させ、エッジリンスノズルをウエハの外周位置に追随させ、ウエハエッジから一定の幅でレジストを除去するようにしたレジスト塗布装置のエッジリンス機構が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−179211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の構成では、エッジリンスノズルは、ウエハの上方に設けられているため、エッジリンス液の飛散を受けやすく、エッジリンスノズルの移動機構の劣化が生じやすいという問題があった。また、エッジリンスノズルを移動させると、移動時の慣性の影響を受け、エッジリンス液の滴下位置が微妙に狂ってしまい、ウエハエッジ位置から一定の幅でレジストを除去することが困難であるという問題があった。更に、ウエハの位置ずれが大きい場合には、エッジノズルの移動量が大きくなり、外周位置に的確に追随するのが困難な場合があるという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、エッジリンス液の飛散の影響が小さく、種々の基板の載置状態に対して、基板のエッジ位置から一定の距離を有する位置に的確にエッジリンス液を供給し、基板の外周部から一定の幅でレジストを除去することができるエッジリンス方法及びエッジリンス機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、第1の発明に係るエッジリンス方法は、回転するステージ(40)上に載置された基板の外周部上に、所定位置に設けられたノズル(10)からエッジリンス液を供給して塗布されたレジストを除去するエッジリンス方法であって、
前記ステージ(40)上で回転する前記基板のエッジ位置を検出するエッジ位置検出工程と、
該エッジ位置検出工程で検出された前記エッジ位置に基づいて、前記ノズル(10)から供給される前記エッジリンス液が、前記エッジ位置から一定の距離を有する位置に供給されるように前記ステージ(40)をスキャン移動させるエッジリンス液供給工程と、を有することを特徴とする。
【0006】
これにより、エッジリンス液の飛散の影響の小さいステージ側でエッジリンス液の基板上への供給位置を制御できるとともに、移動による慣性の影響による供給位置ずれを防止し、的確なエッジリンス液の基板上への供給を行うことができる。
【0007】
第2の発明は、第1の発明に係るエッジリンス方法において、
前記エッジ位置検出工程は、前記基板のエッジ部分を上方から撮像し、前記ステージ(40)の外周と前記基板の前記エッジ位置との間隔を検出することにより行われることを特徴とする。
【0008】
これにより、ステージの外周と基板のエッジとの間隔を画像処理により正確かつ容易に測定してエッジ位置を検出することができ、検出したエッジ位置に基づいてステージの移動制御を的確に行うことができる。
【0009】
第3の発明は、第1又は第2の発明に係るエッジリンス方法において、
前記ステージ(40)の前記スキャン移動は、前記基板の径方向の直線水平移動であることを特徴とする。
【0010】
これにより、簡素な動作により、エッジ位置の変化に追従させてステージを移動させる制御を行うことができる。
【0011】
第4の発明は、第1〜3のいずれかの発明に係るエッジリンス方法において、
前記エッジ位置検出工程の前に、前記基板の外周の総ての外周について、予備的にエッジ位置を検出する予備的エッジ位置検出工程と、
該予備的エッジ位置検出工程により検出された前記エッジ位置の変化に基づいて、前記基板の偏心が小さくなるように、前記ステージ(40)を二次元的に移動させる偏心低減工程と、を更に有することを特徴とする。
【0012】
これにより、基板のステージ上の位置ずれが低減するようにステージを移動させてから、リアルタイムでステージをスキャン移動させる高速移動制御を行うことができるので、スキャン移動時の移動距離を低減させ、エッジ位置に追従する制御をより迅速かつ的確に行うことができる。また、最初の基板の位置ずれが大きい場合であっても、位置ずれを是正してからスキャン制御を行うので、適切にエッジ位置から一定距離の位置にエッジリンス液を供給することができる。
【0013】
第5の発明に係るエッジリンス機構は、基板が載置され、該基板を回転させるステージ(40)と、
該ステージ(40)上に載置された前記基板のエッジ位置を検出するエッジ位置検出手段(20、21、30、31)と、
前記基板の外周部上に、エッジリンス液を供給する所定位置に設けられたノズル(10)と、
前記エッジ位置検出手段により検出された前記基板の前記エッジ位置に基づいて、前記エッジ位置から一定の距離を有する位置に前記エッジリンス液が供給されるように、前記ステージ(40)を前記基板の径方向にスキャン移動させるステージ制御手段(60、61)と、を有することを特徴とする。
【0014】
これにより、エッジリンス液の飛散の影響が少なく、エッジリンス液の供給を的確に基板のエッジ位置から一定距離の位置に行うことができ、均一に一定幅でレジスト除去を行うことができる。
【0015】
第6の発明は、第5の発明に係るエッジリンス機構において、
前記エッジ位置検出手段(20、21、30、31)は、前記基板のエッジ位置を上方から撮像する撮像手段(20、21)を含むことを特徴とする。
【0016】
これにより、CCDカメラやCMOSカメラ等を利用して、容易かつ正確にエッジ位置を検出することができる。
【0017】
第7の発明は、第5又は第6の発明に係るエッジリンス機構において、
前記ノズル(10)から前記エッジリンス液が供給される前に、前記エッジ位置検出手段は、前記基板の外周の総てについて予備的にエッジ位置を検出し、
前記ステージ制御手段(60、61)は、前記エッジ位置検出手段(20、21、30、31)により予備的に検出された前記エッジ位置に基づいて前記基板の偏心を算出し、該偏心を低減するように前記ステージ(40)を二次元的に移動させることを特徴とする。
【0018】
これにより、基板の位置ずれによる偏心を低減してからステージをリアルタイムで移動させるスキャン制御を行うことができ、スキャン制御の移動距離を小さくすることができるとともに、位置ずれが大きい場合であっても、的確にエッジ位置から一定距離の位置にエッジリンス液を供給することができる。
【0019】
なお、上記括弧内の参照符号は、理解を容易にするために付したものであり、一例に過ぎず、図示の態様に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、基板のエッジ位置から一定距離の位置にエッジリンス液を供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明を適用した実施例1に係るエッジリンス方法を実行するためのエッジリンス機構100を含む塗布装置の全体構成を示した図である。図1において、本実施例に係るエッジリンス機構100は、エッジリンスノズル10と、撮像手段20と、画像処理部30と、ステージ40と、モータ50と、ステージ制御手段60と、を備える。また、本実施例に係るエッジリンス機構100の関連構成要素として、塗布装置は、塗布処理カップ70と、ウエハ塗布処理室75と、演算部80と、パネル表示部90と、警告灯91とを備えていてよい。塗布装置は、半導体ウエハW等の基板上にレジストを塗布する装置であり、エッジリンス機構100は、塗布装置の一部の機構として備えられていてよい。なお、ステージ40上には、半導体ウエハWが載置されている。本実施例に係るエッジリンス方法及びエッジリンス機構は、レジストが塗布される基板には総て適用できるが、本実施例においては、基板に半導体ウエハWが適用された例を挙げて説明する。
【0023】
エッジリンスノズル10は、ウエハW等の基板の外周部上(エッジ部分)に、エッジリンス液を供給し、基板上のエッジ部分からレジストを除去する処理を行うためのノズルである。エッジリンス液は、ウエハW上のホトレジスト等を除去できるリンス液であれば、種々のリンス液を適用してよいが、例えば、シンナーを適用してもよい。
【0024】
エッジリンスノズル10は、ウエハWの外周部上にエッジリンス液を滴下できる所定の位置に固定設置されてよい。本実施例に係るエッジリンス方法及びエッジリンス機構100においては、エッジリンスノズル10は固定した状態でエッジリンス処理を行うので、スキャン動作等を行う必要は無く、所定の位置に固定設置されてよい。但し、エッジリンス処理を行わない場合には、エッジリンスノズル10は不要であり、レジスト塗布を行う場合には、邪魔となる場合があるので、そのような場合に、不要なエッジノズル10をレジスト塗布の障害とならない場所に移動させる移動機能は備えていてもよい。
【0025】
撮像手段20は、ウエハW等の基板の外周部付近を撮像し、ウエハWのエッジ位置を検出するための手段である。撮像手段20は、ウエハWの上方に設けられ、ウエハWの外周部を、ステージ40とともに撮像する。ウエハWの外周端部及びステージ40の外周端部を撮像することにより、ウエハWのエッジ位置が、ステージ40に対してどの位置にあるのかを検出することができる。
【0026】
撮像手段20は、CCD(Charge Coupled Device)カメラ、CMOS(Complimentary Metal Oxide Semiconductor)カメラ又はアナログカメラ等、種々のカメラ等が適用されてよい。
【0027】
画像処理部30は、撮像手段20で撮像したウエハWの外周部及びステージ40の外周部の撮像画像を画像処理し、ウエハW等の基板のエッジ位置を算出する手段である。具体的には、ステージ40の外周部と、ウエハWの外周部を特徴部分として抽出し、両者の距離を求めることにより、ウエハWのステージ40に対するエッジ位置を検出することができる。
【0028】
なお、撮像手段20及び画像処理部30は、両者でエッジ位置検出手段を構成する。
【0029】
ステージ40は、ウエハW等の基板を載置し、これを移動させるための手段である。本実施例に係るステージ40は、ウエハWを回転移動させることができるとともに、ウエハWの径方向にスキャン移動(直線的往復移動)できる機能を有する。ウエハWの回転移動は、所定の回転速度で回転できればよく、必要に応じて、複数段の回転速度に設定できる構成としてもよい。ステージ40のスキャン移動は、回転するウエハWのエッジ位置の変化に応じて行われることから、ステージ40の回転速度に追従できる移動速度を有することが好ましい。
【0030】
ステージ40は、必要に応じて、所定の径方向へのスキャン移動の他、所望のX−Y位置に2次元的に水平移動できる機能を備えてよい。本実施例に係るエッジリンス方法及びエッジリンス機構においては、エッジリンス液を供給している間に行うスキャン移動の他、エッジリンス液の供給前に、基板のエッジ位置を検出し、ステージ40からの回転中心からの偏心を算出し、これを低減するような制御を行うことも可能である。そのような、偏心低減制御を行う場合には、ステージ40は、X−Yの水平方向に移動できる機能を有してよい。
【0031】
なお、ステージ40は、その表面にチャック機能を備え、ウエハWをステージ40上に吸着固定する機能を有していてよい。
【0032】
モータ50は、ステージ40を移動させるための駆動源である。本実施例に係るエッジリンス方法及びエッジリンス機構のステージ40は、上述のように、回転運動と、径方向へのスキャン運動を行うので、モータ50は、回転駆動用モータ51と、例えば、スキャン移動をX方向に行う場合には、X駆動用モータ52を備える。また、必要に応じて、Y方向にもステージ40を移動させることができるY駆動用モータ53を備えてもよい。
【0033】
モータ50は、回転駆動用モータ51には、回転式モータが用いられることが好ましいが、X駆動用モータ52及びY駆動用モータ53には、ステージ40の種類や用途に応じて、回転式モータの他、リニアモータ等が適用されてもよい。
【0034】
ステージ制御手段60は、ステージ40の移動及び駆動を制御する手段であり、上述のモータ50を適切に駆動させる制御を行う。ステージ制御手段60は、演算制御処理を行うため、所定の電子回路の他、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶手段を備え、プログラムを読み込むことにより処理を実行するマイクロコンピュータ等が適用されてもよい。
【0035】
なお、ステージ制御手段60が実行する具体的な制御内容は、後述する。
【0036】
塗布処理カップ70は、レジスト塗布処理を行う際、レジストが周囲に飛散しないようにするための容器である。レジスト塗布処理後に行われる本実施例に係るエッジリンス方法においても、エッジリンス液を周囲に飛散させないための容器としての役割を果たす。
【0037】
ウエハ塗布処理室75は、ウエハWへのホトレジスト塗布処理を行うチャンバであって、外部にレジストが飛散しないように周囲を囲っている。本実施例に係るエッジリンス方法においても、エッジリンス液が周囲に飛散するのを防止する役割を果たしている。
【0038】
演算部80は、塗布装置全体を管理する演算処理手段である。レジスト塗布やエッジリンス等の処理の他、異常の発生等を検出する役割も果たす。演算部80は、所定の電子回路で構成されてもよいが、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶手段を備え、プログラムを読み込むことにより処理を実行するマイクロコンピュータが適用されることが好ましい。
【0039】
パネル表示部90は、塗布装置全体で何らかの異常が発生したときに、異常の発生をアラームとして表示して操作者に了知させるための手段である。
【0040】
警告灯91は、パネル表示部90と同様に、塗布装置全体で何らかの異常が発生したときに、異常の発生を、警告灯91を点灯させて操作者に知らせるための手段である。
【0041】
図2は、実施例1に係るエッジリンス機構100を含む塗布装置のシステム構成を示したブロック図である。図2においては、信号の流れも含めてブロック構成が示されている。
【0042】
図2において、ウエハエッジ部は、CCDカメラ21により撮像される。撮像手段20は、他の種類のカメラ等を用いてもよいが、図2においては、CCDカメラ21を用いている。
【0043】
CCDカメラ21で撮像されたウエハエッジ部の画像は、図1の画像処理部30に対応する画像処理制御基板31に送られ、ウエハエッジ部を検出するために必要な画像処理が行われる。図1において説明したように、例えば、ウエハWのエッジ部とステージ40のエッジ分が特徴部分として抽出され、その間隔が算出されることにより、ウエハWのエッジ位置が検出されてよい。CCDカメラ21及び画像処理制御基板31は、エッジ位置検出手段としての機能を果たす。
【0044】
画像処理制御基板31でエッジ位置が算出された後、エッジ位置の情報は、演算処理部80に送られる。演算処理部80では、個別の処理は行わないが、検出されたエッジ位置から動作異常を認識した場合には、パネル表示部90にアラーム表示を行わせ、異常発生を操作者に知らせる。一方、正常な動作範囲内にある場合には、エッジ位置の情報をステージ制御手段60である塗布制御基板61に送る。
【0045】
塗布部制御基板61は、エッジ位置の変化に基づいて、ステージ40を追従駆動制御させるための制御手段である。つまり、ステージ40の回転速度は予め分かっているので、エッジ位置検出手段21、31で検出したウエハWのエッジ位置が、何秒後にエッジリンスノズル10の真下に到達するかは容易に算出できる。よって、塗布部制御基板61は、検出したエッジ位置がエッジリンスノズル10の真下に来るタイミングに合わせてステージ40をスキャン移動させ、エッジ位置から所定の一定距離にある位置がエッジリンス液供給位置となるように、制御を行う。具体的な制御は、ウエハステージ40を移動させるモータ50を駆動するモータドライバー65を制御することにより行う。
【0046】
モータドライバー65は、モータ50を駆動させる駆動回路である。モータドライバー65は、塗布部制御基板61の指令信号に従い、モータ50を駆動する。
【0047】
モータ50は、塗布部制御基板61の制御通りに移動し、エッジリンスがエッジ位置から一定幅を有して行われるように、エッジリンス液が供給される。
【0048】
図3は、実施例1に係るエッジリンス方法及びエッジリンス機構100に関連する構成要素を抜き出した拡大構成図である。図3において、エッジリンス機構100は、エッジリンスノズル10と、CCDカメラ21と、画像処理部30と、ステージ40と、モータ50と、モータ制御部60とを含む。そして、ステージ40は、塗布処理カップ70に収容され、画像処理部30からのエッジ位置信号は、演算部80を経由して制御部60に送られている。
【0049】
機能的には、図1及び図2で説明した内容と同様であるが、図3において、CCDカメラ21とエッジリンスノズル10は、略反対側に設けられているため、CCDカメラ21で撮像したエッジ位置は、ステージ40が回転してエッジリングノズル10のエッジリンス液供給位置に到達したときに、制御的に反映される構成となっている。エッジリンスノズル10は所定位置に固定されているため、そのような駆動制御を実現するために、ステージ制御部60は、回転駆動用モータ51を所定速度で回転駆動させるとともに、径方向のうちのいずれか一軸に沿ってスキャン移動を行わせる。図3においては、X方向(紙面に平行な方向)にステージ40を駆動するX駆動用モータ52が設けられ、X駆動用モータ52がX方向にステージ40をスキャン駆動させてエッジ位置に追従する制御を行わせる構成となっている。
【0050】
また、スキャン駆動以外の移動を行うため、Y方向(紙面に垂直な方向)にステージ40を移動させるY駆動用モータ53も必要に応じて備えられてよく、図3においても、Y駆動用モータ53が設けられている。
【0051】
このように、本実施例に係るエッジリンス機構100においては、エッジリンスノズル10は、エッジリンス処理中は移動しないので、安定してエッジリンス液をウエハW上に供給できる。また、制御のための移動機構は、ステージ40の駆動手段として内部に設けられているので、制御機構がエッジリンス液の影響を受けず、メインテナンス等が容易な構成となっている。更に、ステージ40を、スキャン方向のみでなく、それと垂直な方向にも移動可能に構成することにより、ステージ40を移動させて偏心を是正する制御も可能となる。
【0052】
次に、図4乃至図6を用いて、実施例1に係るエッジリンス方法の具体的な内容の一例について説明する。図4は、ステージ40上に、ウエハWが位置ズレを有して配置された状態を示した図である。図4において、左側のA点と右側のB点を比較すると、A点ではステージ40の外周部とウエハWの外周部の距離が離間してt1となっており、B点では、ステージ40の外周部とウエハWの外周部の距離がt1よりも接近したt2となっており、B点側に偏ってウエハWがステージ40上に載置された状態となっている。
【0053】
図5は、図4で示したウエハWのステージ40への載置状態において、実施例1に係るエッジリンス機構100を用いて、実施例1に係るエッジリンス方法を適用する例を説明するための図である。
【0054】
図5において、B点で、撮像手段20を用いてウエハWのエッジ位置とステージ40の外周部との間隔t2を撮像し、図示しない画像処理装置30によりエッジ位置を画像認識して検出する。ステージ40は回転(図5中、矢印R)し、半回転後にノズル10の位置に到達する。このとき、図示しないステージ制御手段は、B点におけるエッジ位置、つまり間隔t2に応じて、ステージ40を右側(図5中、矢印Lの右側移動)に移動させる。このときの右側への移動距離は、ウエハWの中心が正確にステージ40の中心と一致して載置された場合の間隔tsを予め把握していれば、(ts−t2)で容易に算出することができる。
【0055】
この間、撮像手段20は、同様に連続的にウエハWのエッジ位置の撮像及び検出を行い、それに対応したエッジ位置情報がステージ制御手段60に送られ、ステージ制御手段60では、撮像したエッジ位置がノズル10からエッジリンス液が供給される位置に到達したときに、順次ステージ40を移動させる制御を行う。つまり、ウエハWのエッジ位置のステージ40に対するエッジ位置の変化に追従するように、エッジリンス液の供給がエッジ位置から一定距離となるようにステージ40をスキャン移動させる制御が連続的に行われる。例えば、図5の場合であれば、B点がノズル10の直下に到達したときにはステージ40は最も右側に移動し、A点がノズル10の直下に到達したときには、ステージ40は最も左側に移動することになる。
【0056】
図6は、実施例1に係るエッジリンス機構100を用いたエッジリンス方法を実行することにより、エッジリンス処理が行われたウエハWの一例を示した図である。図6に示すうように、エッジリンス幅は、ウエハWの全周に亘ってdで均一となっていることが分かる。
【0057】
図7は、オリエンテーションフラットORを有するウエハW1に実施例1に係るエッジリンス方法を実行した例を示した図である。図7に示すように、オリエンテーションフラットORを有するウエハW1に対しても、均一なエッジリンス幅dでレジストの除去が行われることが分かる。同様に、ノッチを有する半導体ウエハに対しても同様に本実施例に係るエッジリンス方法及びエッジリンス機構100を適用することができる。このように、本実施例に係るエッジリンス方法及びエッジリンス機構100によれば、半導体ウエハW、W1の種類によらず、エッジリンス幅を一定としてレジスト除去を行うことができる。
【実施例2】
【0058】
図8は、本発明を適用した実施例2に係るエッジリンス方法の内容を説明するための図である。実施例2に係るエッジリンス方法においては、実施例1に係るエッジリンス方法を実行する前に、ウエハWの偏心を低減させる制御を加えて実行する。なお、実施例2に係るエッジリンス方法を実行するためには、エッジリンス機構100は、X駆動用モータ52及びY駆動用モータ53の双方を備え、二次元的に移動できることが必要である。つまり、実施例2に係るエッジリンス方法に適用されるエッジリンス機構100は、モータ50がX駆動用モータ52及びY駆動用モータ53の双方を有するとともに、ステージ制御手段60がステージ40のX−Yの二次元方向の移動を制御できる機能を有すればよく、実施例1において説明した内容と、基本的には同様の構成でよい。
【0059】
図8において、ウエハWがステージ40上に載置されているが、ウエハWの中心CWとステージ40の中心CSとがやや大きく離間しており、ウエハWの偏心が大きい状態が示されている。なお、図8においては、理解の容易のため、偏心の程度は実際よりも大きくして記載されている。
【0060】
図8において、ウエハWのエッジD点とステージ40の外周部C点の距離は最も小さく、ウエハWのエッジE点とステージ40の外周部F点の距離は最も大きい配置となっている。このような場合、そのまま実施例1に係るエッジリンス方法を適用し、撮像手段20でウエハWのエッジ位置を検出し、ノズル10の下で適切な位置となるようにステージ40をスキャン移動させる制御をそのまま行うことも可能であるが、実施例2においては、そのような追従スキャン制御を行う前に、ウエハWの偏心を減少させる制御を行う。つまり、追従スキャン制御を行う前に、ウエハWを1回以上回転させて、エッジ位置検出手段20、30により予備的にエッジ位置を検出する。この、予備的エッジ位置検出工程において、エッジ位置の変化量を把握する。そして、エッジ位置の変化量が大きく、偏心を減少させてからリアルタイムの追従スキャン制御を行う方が、制御負担が小さい場合には、ウエハWの偏心を減少させるようにステージ40をまず移動させる。このときの移動は、例えば、ウエハWの中心CWと、ステージ40の中心CSを結んだ中間点CMに、ウエハWの中心CWが来るように、ステージ40を移動させればよい。ステージ40が移動すると、当然にステージ40の中心も同じ方向に移動するので、相対的な位置関係については、当然変化は無い。しかし、ステージ40を回転させたときに物理的に偏心量が減少するので、ステージ40をスキャン移動させるリアルタイムの制御時のステージ移動量を減少させることができる。なお、この場合には、ステージ40の二次元的移動の移動量と方向は記憶しておき、それをリアルタイムのスキャン移動制御時にも反映させ、中心のズレ分を補正しつつ追従制御を行うようにする。
【0061】
なお、実施例2に係る制御を追加するか否かは、偏心の量に基づいて定めるようにしてもよく、例えば、ウエハWの回転中心CWとステージ40の回転中心CS間の距離が所定値以上のときに、実施例2に係る偏心低減制御を行うようにしてもよい。
【0062】
次に、図9を用いて、実施例2に係るエッジリンス方法の処理フローについて説明する。図9は、実施例2に係るエッジリンス方法の処理フロー図である。
【0063】
ステップ100では、ステージ40上のウエハWの予備的位置検出工程が実行される。ノズル10からエッジリンス液を供給する前に、ステージ40を1回以上回転させ、撮像手段20及び画像処理部30を含むエッジ位置検出手段によりエッジ位置を検出する。
【0064】
ステップ110では、ウエハWの中心CWの、ステージ40の中心CSに対する偏心量が算出される。ステージ40の中心CSの位置は既知であるので、例えば、図8において示したように、ステージ40の外周部とウエハWのエッジの間隔が最も大きい箇所と、最も小さい箇所から、偏心量が算出されてよい。
【0065】
ステップ120では、ステップ110で算出した偏心量が所定値以上であるか否かが判定される。偏心量が所定値以上であったときには、ステップ130に進む。一方、偏心量が所定値未満であったときには、ステップ140に進む。
【0066】
ステップ130では、偏心量を低減させるステージ40の移動が行われる。これにより、物理的なウエハWの偏心量を減少させることができる。
【0067】
ステップ140では、実施例1において説明した制御が行われ、まず、ウエハWのエッジ位置が検出される。エッジ位置の検出は、撮像手段20及び画像処理部30により行われてよい。
【0068】
ステップ150では、エッジ位置の変化に追従するステージ40のスキャン移動制御がリアルタイムで行われる。このとき、ステップ130において、偏心低減制御が行われた場合には、ステージ40の移動分を考慮して制御が行われ、ステップ130が実行去れていない場合には、実施例1で説明したような追従制御をそのまま実行する。
【0069】
ステップ160では、エッジリンス処理が所定時間又は所定回転数に到達したか否かが判定される。まだ、規定の処理時間又は処理回転数に到達していないときは、ステップ140に戻り、エッジリンス処理を繰り返す。一方、規定の処理時間又は処理回転数に到達し、エッジリンス処理が終了した場合には、処理フローを終了する。
【0070】
なお、図9の処理フローにおいて、実施例1に係るエッジリンス方法を実行する場合には、ステップ100〜ステップ130を行わず、ステップ140から開始すれば、実施例1に係るエッジリンス方法を行うことができる。
【0071】
図10は、フォトリソグラフィの工程フローを示した図である。図10に示すように、フォトリソグラフィ工程は、ステップ200でレジストをウエハWに塗布し、その後、ステップ210でサイドリンス工程が行われ、ステップ220の感光工程を経て、ステップ230の現像処理が行われる。本実施例に係るエッジリンス方法及びエッジリンス機構100は、このような、フォトリソグラフィ工程にも適用することが可能である。また、対象とする基板も、ウエハWに限るものではなく、ステップ200のレジスト塗布工程とステップ210のサイドリンス工程に類似する工程を有する総ての製造プロセスに適用することができる。
【0072】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】実施例1に係るエッジリンス方法を実行するためのエッジリンス機構100を含む塗布装置の全体構成図である。
【図2】実施例1に係るエッジリンス機構100を含む塗布装置のブロック図である。
【図3】実施例1に係るエッジリンス機構100の拡大構成図である。
【図4】ステージ40上にウエハWが位置ズレを有して配置された状態を示した図である。
【図5】実施例1に係るエッジリンス方法を説明するための図である。
【図6】実施例1に係るエッジリンス方法により処理が行われたウエハWの一例を示した図である。
【図7】オリエンテーションフラットORを有するウエハW1に実施例1に係るエッジリンス方法を実行した例を示した図である。
【図8】実施例2に係るエッジリンス方法の内容を説明するための図である。
【図9】実施例2に係るエッジリンス方法の処理フロー図である。
【図10】フォトリソグラフィの工程フローを示した図である。
【符号の説明】
【0074】
10 エッジリンスノズル
20 撮像手段
21 CCDカメラ
30 画像処理部
31 画像処理制御基板
40 ステージ
50 モータ
51 回転駆動用モータ
52 X駆動用モータ
53 Y駆動用モータ
60 ステージ制御手段
61 塗布部制御基板
65 モータドライバー
70 塗布処理カップ
80 演算部
90 パネル表示部
91 警告灯
100 エッジリンス機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転するステージ上に載置された基板の外周部上に、所定位置に設けられたノズルからエッジリンス液を供給して塗布されたレジストを除去するエッジリンス方法であって、
前記ステージ上で回転する前記基板のエッジ位置を検出するエッジ位置検出工程と、
該エッジ位置検出工程で検出された前記エッジ位置に基づいて、前記ノズルから供給される前記エッジリンス液が、前記エッジ位置から一定の距離を有する位置に供給されるように前記ステージをスキャン移動させるエッジリンス液供給工程と、を有することを特徴とするエッジリンス方法。
【請求項2】
前記エッジ位置検出工程は、前記基板のエッジ部分を上方から撮像し、前記ステージの外周と前記基板の前記エッジ位置との間隔を検出することにより行われることを特徴とする請求項1に記載のエッジリンス方法。
【請求項3】
前記ステージの前記スキャン移動は、前記基板の径方向の直線水平移動であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエッジリンス方法。
【請求項4】
前記エッジ位置検出工程の前に、前記基板の外周の総ての外周について、予備的にエッジ位置を検出する予備的エッジ位置検出工程と、
該予備的エッジ位置検出工程により検出された前記エッジ位置の変化に基づいて、前記基板の偏心が小さくなるように、前記ステージを二次元的に移動させる偏心低減工程と、を更に有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエッジリンス方法。
【請求項5】
基板が載置され、該基板を回転させるステージと、
該ステージ上に載置された前記基板のエッジ位置を検出するエッジ位置検出手段と、
前記基板の外周部上に、エッジリンス液を供給する所定位置に設けられたノズルと、
前記エッジ位置検出手段により検出された前記基板の前記エッジ位置に基づいて、前記エッジ位置から一定の距離を有する位置に前記エッジリンス液が供給されるように、前記ステージを前記基板の径方向にスキャン移動させるステージ制御手段と、を有することを特徴とするエッジリンス機構。
【請求項6】
前記エッジ位置検出手段は、前記基板のエッジ位置を上方から撮像する撮像手段を含むことを特徴とする請求項5に記載のエッジリンス機構。
【請求項7】
前記ノズルから前記エッジリンス液が供給される前に、前記エッジ位置検出手段は、前記基板の外周の総てについて予備的にエッジ位置を検出し、
前記ステージ制御手段は、前記エッジ位置検出手段により予備的に検出された前記エッジ位置に基づいて前記基板の偏心を算出し、該偏心を低減するように前記ステージを二次元的に移動させることを特徴とする請求項5又は6に記載のエッジリンス機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−118393(P2010−118393A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−288849(P2008−288849)
【出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】