エネルギー吸収性混合物
弾性があり、変形速度につれて増大する変形下で抵抗性の負荷を見せ、未発泡であるか発泡されており、細分されているか細分されていない、i)第一のポリマー基の弾性がある材料および ii) i)とは異なる第二のポリマー基材料とからなり、 ii)が固体母材i)内に閉じ込められるi)の不存在時にはダイラタンシーを示す、未発泡で、発泡させられる時には発泡に先立って、ii)とi)が混ぜられて製造される混合物材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、速度感受性が動作に好都合な要因をもたらす応用法、たとえば、人間、動物または諸対象物の衝撃による損傷を防ぐためのエネルギー吸収衝撃システム(以下、衝撃防護システムと呼ぶ)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衝撃防護システムは、エネルギー 吸収材料として、発泡エラストマーまたは類似の軟らかく弾力性で圧縮可能な材料を使用してきた。しかしながら、それでは単に限られた防護にすぎない。若干のシステムでは、このエネルギー吸収材料が硬直部材と組み合わせて使用され、その目的は、衝撃力をより広い面積に拡げて、影響を少なくすることに在る。しかし、このようなシステムが人体に接触すると、曲げられず心地よくない傾向がある。防護を必要とする最も傷つき易い体の部位、たとえば肘や膝は、外形に重要な変化を受けるから、堅くて曲がらない負荷を拡げる形状に合わせる試みは、通常失敗するであろう。一つの解決策は、硬直な固有の領分に関節を導入することであるが、性能に欠陥を生じさせ、費用もかさむ。
【0003】
より最近に提言されたのは、衝撃防護システム内のまたはエネルギー吸収材料としての、変形速度に敏感な、せん断増粘性のシリコーン・パテ材料(シリコーン・ダイラタントとしても知られている)の使用であった。我々は、変形速度に敏感な、せん断増粘性の材料またはダイラタントを指して、低速のひずみ変形では粘性流になるが、高められたひずみ変形速度では変形の変化速度につれ粘度の十分の上昇をこうむる、材料と言う。突然の衝撃によって引き起こされるような著しく高い変形速度では、その材料が堅くまたは硬直になる。たとえば、US−A−5599290は、ダイラタントまたはせん断増粘性の材料として、粘性流体中の固体粒子の分散液を用いた骨折予防衣服を記述している。GB−A−2349798は、パテ様のダイラタントを含むエネルギー吸収当て物を記述している。しかし双方の場合に、ダイラタントはその自己形状保持性(non self supporting)がないので、外包中に収めなければならない。そのため、製品が限定された屈曲性を持つ傾向があり、破裂の損害をこうむりがちで、また、比較的複雑で費用のかかる製造プロセスが必要になる。これらの製品は、ダイラタントが比較的に高密度(1000kg/m3を超えることがある)のために重くなる傾向もあり、また、ダイラタントはごく低水準の負荷でさえ粘性流を見せるので、外包内のダイラタントの移動が免れない。
【0004】
シリコーン・ダイラタントを利用する別の研究方法は、この材料を発泡ポリウレタンのような弾力性担体と組み合わせることであった。
【0005】
我々が、共係属中の国際特許公開:WO03/055339で記述し、特許請求をしていたのは:
i)固体の発泡合成ポリマー母材;
ii)ポリマーベースのダイラタント、i)と異なり、i)製造間に母材全体に分布され、その中に組み込まれている;および
iii) 母材全体に分布されている流体(母材、ダイラタントおよび流体の組み合わせが、複合物を弾性圧縮可能にする)からなる自己形状保持性エネルギー吸収複合物;
並びに、
i)固体の独立気泡母材;
ii)ポリマーベースのダイラタント、i)と異なり、母材全体に分布されている;
および
iii) 母材全体に分布されている流体(母材、ダイラタントおよび流体の組み合わせが、複合物を弾性圧縮可能にする)
からなる自己形状保持性エネルギー吸収複合物である。
[発明の開示]
【0006】
本発明は、衝撃吸収材料としてまたはその中に使用するのに適している、エネルギー吸収材料を提供する。それは自己形状保持性であり、その密度は適用仕様に合わせることができる。例えば、混合条件では約1150kg/cm3 から、中間密度から下がって発泡形態の100kg/cm3である。
【0007】
本発明により、弾性があり、変形速度につれて増大する変形下で抵抗性の負荷を示し、細分されているか細分されていない、i)第一のポリマーベースの弾性がある材料および ii) i)とは異なる第二のポリマーベース材料とからなり、ii)が固体母材 i)内に閉じ込められる i) の不存在時にはダイラタンシーを示し、未発泡で、発泡させられる時には発泡に先立って、ii)とi) が混ぜられて製造される混合物材料が提供される。
【0008】
たとえば圧縮、張力またはせん断あるいはそれらの任意の組み合わせの、あらゆるタイプの負荷の下で、複合物材料が永久ひずみに耐性のあることが、好ましい。 ここでの固体母材が意味するのは、容器の必要がなしで、自己の境界を保持する母材の材料である。
【0009】
本発明の複合物材料は、そのまま、または、続いて発泡させられるべき複合物材料の先駆物質として未発泡でもよい(つまり、ii)がi)の固体母材中に閉じ込められた後に発泡させられる)。
【0010】
好ましくは,第一の材料i)および第二の材料ii)が完全な混和材料になっている;これは、たとえば i)とii) を一緒に混ぜ合わせることによって達成できる。ここにいう混合は、ポリマーベース成分i)とダイラタントii)とが一緒に、半ば融けたまたは融けた状態で混ぜ合わされて、第一の材料i)と第二の材料ii)とが完全な混和材料になっている複合物材料を形成することを意味する。
【0011】
自己形状保持性に加えて、本発明の複合物材料は、現行の硬直システムのそれより卓越できる程度の衝撃防護性を提供し、更に好ましい態様では、あらゆるタイプの負荷の下でたわみやすく、また弾力性の両方があり、それには、外形の比較的に大きな変化の間中、緊密な接触を維持することによって保護されるように設計されている外形に、調和する能力がある。これは、防護成分の設計にとって重要である。なぜならば、引き起こされる損害が、この力が分配される領域に分割される衝撃から生じる最大の力の関数であるからである。本発明の複合物材料は、力の減少とその上にその力が作用するか反応させられる領域の増大との、両方をできるようにするので、衝撃発生が原因で伝達された結果の圧または応力を、いちじるしく引き下げる。それは、衝撃を与えるものにある調和を見せて特別の力の吸収、同時に剥離抵抗の表現で言える都合によい外形を生じさせる能力をも提供する。本発明によって、それだけで用いられた時と等量のダイラタント使用に比べて、改善された性能を達成することも可能である。
【0012】
第一の材料i)は、第一の材料i)を構成するポリマーがEVAまたはオレフィンポリマー、たとえばポリプロピレンまたは高圧法ポリエチレン(LDPE)、LLDPEまたはHDPEのようなエチレンポリマーを、含むものでよい。
【0013】
好ましくは、第一の材料i)を構成するポリマーは、エラストマーを含む。天然エラストマー、たとえばラテックスゴムも用いてよいが、我々が好むのは、合成エラストマー類(ネオプレンなど), より好ましくは、熱可塑性ポリエステルなどの合成熱可塑性エラストマーである。このようなエラストマーの好ましい部類は、エラストマー性ポリウレタンおよびエラストマー性EVA類(エチレン/酢酸ビニルコポリマー)を含み;他には、シリコーンゴムやEPゴム類たとえばEPDMゴムも、差し支えない。
【0014】
他の固体プラスチック材料も、適切な水準の弾性を示しさえすれば、第一の材料 i)のポリマー成分用としての使用にしてよい。ダイラタンシーを示し、第一の材料i)の選ばれた弾性のある成分に組み込むことができる、i)とは異なるポリマーベース材料は、第二の材料 ii)として使用してよい。ダイラタンシーを示すポリマーベース材料が指して言っているのは、一以上のポリマーだけで、または一以上のポリマーと共に、一以上の他の成分、たとえば細かく分割した粒状材料、粘性流体、可塑剤、エキステンダーまたはそれらの混合物との組み合わせで、ダイラタンシーが用意され、その中ではポリマーが主成分の材料である。一つの好ましい態様では、第二の材料 ii)を構成するポリマーが、ダイラタント性質を示すシリコーンポリマーから択ばれる。そのシリコーン基ポリマーは、好ましくは硼酸化シロキサンポリマーから選ばれる。例えば、そのダイラタントは、充填または非充填のポリボロジメチルシロキサン類(PBDMSs)またはPBDMSが成分であるいくらでもの数のポリマーから、選ばれる。ダイラタンシーは、粒状充填剤のような他の成分の包含によって高められてよい。
【0015】
ダイラタントは、ダイラタンシーを与える成分に加えて、他の成分、たとえば充填剤、可塑剤、着色剤、滑剤および希釈剤と組み合わせてよい。充填剤は、粒状(ミクロスフェアまたはミクロバルーンを含めて)または繊維状、または粒状と繊維状との混合物でよい。特別に好まれる、硼酸化シリコーン基材料を含むPBDMSをベースとするダイラタントの一種は、シリコーンのはずむパテ(silicone bouncing Putties)の一般名で市場に出され、いろんな製造業者によって製造されている。これらを含んでいるのは、Dow Corningによる製品カタログno.3179;Wacker GmbHによる製品ナンバーM48及びM29;The Polish Chemical Instituteによる製品名Polastosil AMB−12である。Rhodia、GE Plastics、 ICIなどの他の会社も、これらの材料および同様のダイラタンシー特性(たとえば、低速ひずみでの同様なモジュラスおよび加えられるひずみの速度に関しての同様のモジュラス図上表示)を持っている他のポリマーベースダイラタント材料を、製造している。
【0016】
変形速度につれて増大し、変形の下での抵抗性の負荷を見せることができる、複合物材料内の硼酸化橋かけのつなぎの存在があると信じられる。このタイプの橋かけのつなぎは、一時のものとみなされているが、理由は、可逆的にまたポリマーの高速度変形間にだけもしくは主に形成すると信じられるからである。PBDMS ポリマーでは、この効果は、即座に粘性流を抑制するひずみの高速度間に、シロキサン鎖のすべりを抑制する。この条件では、ポリマーはそれ故に、よりエラストマーらしくふるまうであろう。本発明の複合物材料も、前述のふるまいを可能にする硼酸化橋かけのつなぎを持っている。PBDMSのように一時の橋かけのつなぎを見せる他のポリマーも使用できる。
【0017】
本発明の複合物材料は、たとえば輸送の際または成形の目的のために、取り扱いが容易になるように、好ましくは細分される。
【0018】
本発明のもう一つの面に従って、前述の本発明に従った複合物材料を調製する方法が提供される。その方法を構成するのは:
a)第一の材料i)の構成を意図されたポリマーを融かすこと;および
b)それと共に、第二の材料ii)の構成を意図されたポリマーのダイラタントを混ぜること
である。
【0019】
第一の材料i)を構成することが意図されたポリマーは、上文に規定されたとおり、および/または、第二の 材料ii)を構成することが意図されたポリマーのダイラタントは、上文に規定されたとおりである。
【0020】
好ましくは, ポリマーのダイラタントは、段階(b)より先におよび/またはその間に融かされる。適当に混合および冷却の後に、そうして形成された複合物材料が、c)細分される。
【0021】
一つの好ましい混合物形成方法は、先ず、合体を防止するためのエラストマーのようなポリマーで被覆されている第二の材料ii)のミクロスフェアを形成することである。次に、これらの被覆されているミクロスフェアが、細分されているか融けている第一の材料i)中に導入される。
【0022】
本発明は、更に、前述の本発明の方法で調製された複合物材料を提供する。
【0023】
本発明の重要な面に従って、前述の本発明方法で調製され、続いて発泡された複合物材料が提供される;適切に、こうして製造された泡は、閉塞セルの泡である。適切には, 少なくとも一部のポリマーのダイラタントii)が、泡のセル壁内に入れられている。
【0024】
セルは、ニューマトゲン(pneumatogen)として、ガス、蒸気、超臨界液体またはそれらの先駆物質;たとえば、窒素または二酸化炭素を入れているのが好ましい。通常、ガスまたは蒸気は、実質上一様に母材中いたるところに分散されるであろうが、ある一定の場合には、不均一分散でも差し支えない。ガスまたは蒸気の弾力のある圧縮性への寄与は、母材内のガスまたは蒸気の再配分、並びにガスまたは蒸気の圧縮で(または、むしろこれら両方の効果) のためである。ガスまたは蒸気の複合物材料内の存在は、複合物の綜合密度をいちじるしく減少させるだけでなく、システム内での気性効果と関連しているポンピング損失のためで、ある量の減衰をも提供できる。その圧縮弾性も、泡中の閉塞セル対開放セルの比につれて、気性効果によって増進されるであろう。衝撃間のエネルギー吸収を考慮すると、ある量の減衰は望ましく、また複合物の反応性を更に高めるであろう。
【0025】
泡の重要な性質は、変形、特に圧縮を受けさせた後の回復する速度である。好ましくは, 回復は数秒内、たとえば5秒以下、より好ましくは2秒以下で、完全または実質上完全である。しかし、ある一定の応用法では、より遅い回復速度が望まれるかもしれない。
【0026】
本発明の発泡複合物材料は、変形速度につれて増大する変形の下で抵抗性の負荷量を見せる弾力のある圧縮性材料を製造するために、ダイラタントおよびガスまたは蒸気が、全般、実質上一様に、母材中いたるところに分配されるように、第一の 材料i)を構成する意図のポリマー;第二の材料ii)を構成する意図のポリマーのダイラタント;およびガス、蒸気、超臨界液体、またはこれらの先駆物質が混合して、調製されてよい。どんな方法でも用いられるとはいえ、ダイラタントが泡の構造中に組み込まれてよいものの、それがガスまたは蒸気を孔から完全に追い払うことはないことが重要である。
【0027】
このような一方法は、前述の本発明に従った非発泡の複合物材料またはi)とii)との混合物の、射出成形機のその中にはニューマトゲンを供給する手段を含む胴内への組み込み;このように規定した材料を、それが溶融形態であるような高められた温度と高められた圧にもってくること;ニューマトゲンの胴への供給;および加熱された複合物材料の圧の引き下げによる複合物材料の発泡からなる。
【0028】
圧は、複合物材料を型中に射出または押し出し成形するによるこの方法では、適当に環境圧にまで減少されてよい。このような方法は、連続体制で操作して差し支えない。
【0029】
好ましくは、ii)対i)の重量比は4ないし0.25、最も好ましくは2.3ないし1である。好ましくは高められた温度は150℃ないし240℃、最も好ましくは170℃ないし210℃である。好ましくは高められた圧は、ここでニューマトゲンが注入され、1600psiないし2000psi、最も好ましくは1700psiないし1900psiである。
【0030】
これと他の方法は、前述の本発明に従った未発泡の複合物材料またはi)とii) との混合物の、ニューマトゲンを供給する手段を含む密閉容器内への組み込み;複合物材料を高められた温度と高められた圧にもってくること;および密閉容器内へのニューマトゲンの注入からなる。適当には、容器の内部が型になっている。
【0031】
好ましくは、ii)対 i)の重量比は4ないし0.25、最も好ましくは2.3ないし1である。
【0032】
好ましくは、高められた温度は150℃ないし240℃、最も好ましくは170℃ないし200℃である。好ましくは、高められた圧は8000psiないし1200psi、最も好ましくは9000psiないし11000psiである。
【0033】
このような方法では、第一の材料i)を構成する意図のポリマーおよび第二の材料ii)を構成する意図のポリマーベースダイラタントが、組み合わせられて完全な混和材料を形成し、得られた混合物は次に発泡させられて複合物を形成する。用いられる方法は、いろいろな化学的または物理的な発泡形成方法のような、多数の容認される工業用方法から選ばれることができる。非常に高圧の窒素環境を用いる特別の調製方法も可能である。この方法は、(化学的または照射により)橋かけされ、それから、窒素で満たされたオートクレーブの中で、一連の温度と圧とにさらされる混合物の固体の押し出し切片を用いる。温度は材料を軟化させ、きわめて高い圧(10,000psi)のガスの溶解能のたすけになろう。この方法は、用いられる材料と厚さ次第で、数時間かかるかもしれない。この第一次のオートクレーブ工程の後には、得られた材料には、ごく高い圧の窒素の豆気泡が封じ込められている。第二次のより低い圧/温度のサイクルは、封じ込められている窒素が周囲の材料を広げて発泡を形成するのを可能にする。この第二次工程の正確な圧と温度のサイクルが、製造された泡の最終密度を決定することになろう。この方法は、Zotefoams、Croydon、UKで用いられている。
【0034】
もう一つのこのような工程は、ガスまたは蒸気を密閉して封じ込めるプラスチックの殻を構成する、上文に規定されたミクロスフェアとしての未発泡の複合物材料と、または、i)とii)との混合物の一または両方の成分との組み込み;そのように規定されている材料を高められた温度と圧にさらすこと;および、それによってミクロスフェアの拡大と複合物材料の発泡とをもたらす、加熱された複合物材料の圧の引き下げからなる。この方法では、複合物材料を型に射出すること、または複合物材料を押し出し成形することによって、圧は、適当に環境 圧までに下げてよい。このような方法は、連続を基礎として操作されてよい。
【0035】
本発明に従うこのような方法で、本発明の発泡複合物材料は、密閉してガスを封じ込めるポリマーの殻を構成するミクロスフェアをニューマトゲンとして用いて調製されてよい。(Akzo NobelによるEXPANCEL)ミクロスフェアは、第一の材料i)と混合されてよく、またはi)とii)との混合の前に、第二の材料ii)(または、むしろ両方)で被覆されてよい。製造された混合物を加熱すると、ミクロスフェア中のガスが膨張(この膨張は約40xでよい)して、閉塞セルを創造する。
【0036】
好ましくは,ii)対 i)の重量比は4ないし0.25、最も好ましくは2.3ないし1である。好ましくは、高められた温度は、160℃ないし230℃、最も好ましくは190℃ないし210℃である。高められた圧は、好ましくは5000psiないし8000psi、最も好ましくは6000psiないし7000psiで、射出成形機または押し出し成形機中で発生させられる自生圧である。
【0037】
本発明の複合物材料は、第一の材料i)を構成する意図のポリマー、第二の材料 ii)を構成する意図のポリマーベースダイラタントおよびガスまたは蒸気とは別の成分;たとえば、繊維状および/または粒状の充填剤、可塑剤、滑剤、増量剤、顔料および染料を含んでよい。望むならば、本発明の複合物は、硬直またはたわみやすいでもよい外包の中に組み込まれてよいが、そのような閉じ込めが不可欠ではないことが、本発明の貴重な特徴である。
【0038】
同様に、それは硬直または半硬直の成分と関連してもよいが、これが複合物の使用には不可欠ではなく、それの特定の用途のための性質の若干を傷つけさえしかねない。
【0039】
その上に、布地が剥離動作を高める能力を持ち、またなんらかの場合の鋭利な物体の侵入に対する抵抗、および/または、他のシステム製品への複合物材料の取り付けに助力する場合には、それは布地層または類似物とも関連してよい。伸縮性の布地裏当ても材料の伸張を限定し、耐久性を与える。この布地は、ある織物等級のケブラーのような、防弾または防刺傷織物としても役に立つ。
【0040】
本発明の更なる側面に従って、弾力、ひずみ速度感受性、抗張力、硬度、弾性率、およびクリープ率のような, 前述の複合物材料の最終性質は、融和剤または橋かけ(または、むしろ両方)の使用によって、慎重に調整できよう。橋かけは、化学的橋かけまたは(照射によってまたは絡み合い重合によってのような) 物理的橋かけでよく、第一の材料i)または第二の材料 ii)(あるいは、むしろ両方)に、着手してよい。第一の材料i)は、第二の材料ii)に橋かけられてよい。
【0041】
一般に、本発明の複合物材料は、クリープおよび圧縮ひずみに対して抵抗を見せるであろう。複合物の低クリープ率は、圧縮ひずみに対する抵抗力を分け与えるのには有益であろうが、不可欠ではない。ある種の用法、たとえば遮音目的用では、材料に高クリープ特性を持たせるのが好ましいかもしれない。
【0042】
本発明の複合物材料の実際の構成は、意図される用途に影響されるであろう。応用法は広い範囲の用途にわたり、諸対象物、動物および人間の衝撃防護を含んでいる。可能性のある応用法は絶えず変化する状況に拡大し、そこでは、たとえば、傷つきやすい装具用の梱包または車席にある人体でのように、対象物が既に表面に接触しているかもしれないし、対象物と表面との組み合わせが過酷な加速度および/または減速度を受けるかもしれない。このように複合物材料の特性と、複合物材料中のダイラタントの選択とその混合比、また、発泡の場合には、たとえば複合物材料の要求されている密度で指示されているような、複合物材料中のガスまたは蒸気の量が、複合物材料が使用されるべき防護システムの要求によって、決定される。一般に、ダイラタントは、容量で複合物の5ないし80%、好ましくは10ないし50%、より好ましくは15ないし40%を構成する。また、発泡の場合には、ガスまたは蒸気(好ましい場合では、それはガスである)の量は、複合物のガスまたは蒸気の含量が、容量で好ましくは20ないし90%、より好ましくは30ないし80%、なお一層より好ましくは40ないし70%であるような状態である。これらの割合は、なんらかの充填剤または他の特別な成分の使用を無視していることを留意すべきである。
【0043】
なお更に本発明に従って、たとえば、フィルム、シート、フィラメントおよびファイバーのような、本発明の複合物材料からなる押し出し成形物品が提供される。複合物の織られたシートのような成形物品には、圧縮変形が織物を構成する要素を都合よく変形させるであろう、複合物の反作用的の本質を最大限に活用するような外画的形態を、形成する織物があってよい。特にこの利益を受けるのは、閉塞セルの泡の場合である。望むならば、成形物品は、複合物材料中のダイラタントの比率が、他の範囲または層のそれと異なっている範囲または層を含めるような仕方で製造されてよい。この仕方で、ダイラタント/母材界面でのダイラタントに富んだ範囲の極大のせん断変形せん断を助長するように、成形物品たとえばファイバーまたはフィラメントのゆがみが、形成されてよい。
【0044】
ファイバーまたはフィラメントは、空気を最終製品中に組み込むように、織られ編まれ、または別のやり方で形成されてよい。そのような材料が衝撃を受けさせる 時、空気の空間によって、各ファイバーのゆがみが助長されて、衝撃吸収での複合物材料の有効な利用に望ましい大きな数の局部的な曲げたわみを、提供する。
【0045】
第一の材料i)の選択と濃度は、 好ましくは、複合物材料を、たとえばファイバーまたはフィラメントのような形にすることができる。低ひずみ速度の動きでは、混和材料複合混合物から形成されたファイバーまたはフィラメントからなる布地のたわみ性はファイバー織りまたは編みの選択によって提供できる。望むならば、他のファイバーまたはフィラメント、たとえば弾性のあるファイバーおよび/または摩損耐性のあるファイバーが、布地に含まれてもよい。
【0046】
たとえば、押し出しまたは紡糸によって形成されてよいファイバーは、第一の材料i)の中の第二の材料ii)中のむらのない分布を持ってもよく、または、そこでは第二の材料ii)がより高濃度の範囲または層を作るようにして製造されてもよい。
【0047】
なお更に本発明に従って、第一の材料i)のさやの中に第二の材料ii)の芯を含むファイバーが提供されるが、第一の材料i)および第二の材料ii)は、ここに規定されているとおりである。芯は空洞、好ましくは同軸空洞であってよい。このようなファイバーは、共押出法で作ってよい。このようなファイバーが、付属図面の図 1 に描かれていて、その中の1は第二の材料ii)の芯であり、2は第一の材料i)のさやであり、そして3はガス(空気)を入れている空洞である。
【0048】
本発明のエネルギー吸収性複合物材料は、たとえば、人間や動物の防護用当て物または衣類、人間または動物がそれに手荒い接触をするかもしれない乗り物および他の諸対象物のエネルギー吸収帯の中またはそのものとして、また傷つきやすい諸対象物や機械用の包装の中またはそのものとして、広汎の適用態様に使用してよい。用途の特別な例は、頭の被り物およびヘルメット;防護衣類または肘、膝、臀部およびむこうずね用の当て物;たとえば物が飛んできたり落ちてくる危険がある環境用の一般的な身体防護;乗り物のダッシュボード、室内装飾材料および座席の設備などである。他の可能性のある用途は、スポーツまたは遊びで物によく当たる身体部位を保護する衣服または当て物;たとえば、ランニングシューズ足底、フットボールブーツのような履物、ボクシンググローブおよびファイブズ球技に使うグローブにある。本発明のエネルギー吸収複合物材料は、たとえば自動車乗、振動隔離および遮音用などのエネルギー吸収・減衰材料のような、衝撃のない状況でも使ってよい。この列挙は限定する積もりではなく、他の可能性のある用途は、読者に思い浮かぶであろう。
【0049】
付属図面中の図2から4までに、例が描かれている。
付属図面の図5は、履物での使用例を説明している。
図6ないし9は、例2でより詳細に論じられている顕微鏡写真に相当する。
図10および11は、例3でより詳細に論じられている顕微鏡写真に相当する。
図12は、例4で用いられる衝撃装置を、図式で表現している;また
図13は、例4の結果を描いている。
【0050】
好都合な圧特性、および、何か活動的なリクリエーション間に足の裏から伝達される衝撃負荷の下でのより高い水準の支持を提供するために、履物の足底、たとえば、中底、中物または表底の構造に、複合物材料が利用される。その例は、そこで中底と中物(3)との、また、表底と中物との両方の間の界面が都合よく輪郭を付けられまたは織られて、本発明の発泡複合物材料内に多量のせん断変形を誘発する、中底(1)と表底(2)との間の材料の用法を明らかにする。このタイプの構成は、中底と表底との間の空洞に発泡複合物材料を組み込んで、結果の中物が固化して中底と表底との両方に結合するように形成されてよい。類似の構造は、それによって材料が型内で発泡し、中底と表底とが型表面で"スキン"製造によって形成される一部品成形(one−part−moulding)で達成できよう。
【0051】
望むならば、複合物に被覆を施してもよい。
下記の諸例は、本発明を例証する。
【0052】
例 1
先駆の混合方法評価のために選ばれ弾性のあるポリマーの成分材料は、線状低密度ポリエチレン(Flexirene MR50、Europa polymerによる)。三種のダイラタント材料が、比率を変えた混合テスト用に選ばれた。その三種のダイラタント材料は、Dow Corningのシリコーン・ダイラタント3179、Polastosil AMB−12および純粋のPBDMSであった。これらは、3リットルのShaws K1混合器を用いて、LLDPE MR50と混合された。LLDPEは、粒状の形で先ず粉砕機中に導入され、材料のせん断によってかもされて温度が約110℃までに上昇した。そしてダイラタント材料は、下記に指定された比率で密閉型混合機に流し込まれた:
1.35% 3179 65% LLDPE(重量).
2.50% 3179 50% LLDPE(重量)
3.50% Polqssttosil 50% LLDPE(重量)
(AABM−12)
4.35% Polqssttosil 65% LLDPE(重量)
(AABM−12)
5.30%PBDMS 70% LLDPE(重量)
6.35%PBDMS 65% LLDPE(重量)
上記の材料混合物は、4×2mm直径ダイを通して、吐き出し押出し成形によりストランドを形成し、そしてそれはペレット化された。
【0053】
例2
例1では、標準の工業用装置を用いて、ダイラタントと熱可塑性ポリマーとを混合する方法の説明をしたが、例2は、閉塞セル構造を実現することを通じて加工処理ルートを広げている。
【0054】
閉塞セル泡製造に適していると判った一つの方法は、高圧ガス溶解法である。この方法は、調節された温度のオートクレーブに満たされたガス(たとえば窒素)の中で、固体ポリマー材料を極高圧にさらして、固体ポリマー中にガスを押し込む。次にこの塊は、調節された高圧および温度の下で、ガスで満たされているオートクレーブを再度用いて、発泡させられる。この泡製造方法の利点は、多孔性構造の均一性と通常の発泡剤からの化学的堆積物を無くすことである。
【0055】
このような製造方法が適当であると確認するためには、混合物が製造方法の高められた温度で安定であろうことを、明らかにすることが必要である。これは、ポリマーのシートまたは塊を、実験的な操作で、ダイラタントと母材材料との両方を完全な混合物として含んでいる調製試料で取り替えることを考慮するために、必要である。この方法の標準の操作温度は、約165℃である。
【0056】
最初のテスト用に選ばれた、ポリマーベースの弾性のある母材材料は、Du Pontから入手できるポリエステルベースの熱可塑性エラストマーのHytrel GG3548Lであった。50gのHYtrelと同重量の3179ダイラタント化合物(例1参照)とが、高温での混合に備えて坩堝中に置かれた。A 実験室炉は220℃まで予熱されていて、坩堝と中身が炉の中に置かれ、30分間放置された。次いで、坩堝が取り出され、二つの材料を混合するために、中身が金属スパチュラでかき混ぜられた。得られた混合物は、次に炉内に戻され、調査のための取り出しの前まで、この温度で更に1時間均熱された。二つの材料は、非常に良好に混ざって混合物を作り、それは室温で固体になった。その混和材料は、実験室の炉内で165℃に加熱され、高圧窒素ガス溶解方法での持続時間である8時間に亘って安定であることが判った。この結果は、高圧ガス(窒素など)を使用する方法またはむしろ他の物理的または化学的成発泡方法の発泡用の試料の可能性がある適合性を示している。
【0057】
二つの材料が完全な混和材料を形成する能力を立証できて、この方法は、例1に述べた方法を用いて工業的装置での一回分30kg製造にあわせて調整された。
【0058】
先駆物質材料を製造するために、HytrelG3548Lグレードが、Dow Corning Siliconのダイラタント3179と混合された。選ばれた二つの混合比は、重量でダイラタント対HYtrelが35/65と50/50とであり、混合工程で作られたのは各混合比ごとに約30kgであった。
【0059】
物理的または化学的発泡技術によって、これらの混合物の閉塞セル泡を製造するための、続いて起こる加工処理は、材料が融けた状態にすることを要求するので、材料構造上へのその効果の検討が着手された。
【0060】
混合物材料(今はペレット形状)がは、くっつかない容器中移され、約200℃の温度を受けさせられた。ペレットは1時間放置され、その時間後には材料が融けていて;かき混ざれ; そして炉から取り出す前に、追加の時間放置された。冷やすと混合物は固化した。
【0061】
その固体の状態は、それから走査型電子顕微鏡(SEM)検査された 。材料の構造をあらわにするために、剃刀刃での切断および試料の液体窒素中への浸漬による破砕、ならびに、切れ込み (剃刀刃で切る)での破砕の、二つの技術が用いられた。
【0062】
図6、7、8および9の顕微鏡写真は、それぞれ、25x 倍率での50/50混合物の構造;83x倍率での50/50混合物の構造;33x倍率での35/65混合物の構造; および1200x倍率での35/65混合物の構造を表わす。図6および8は、切断表面から得られ、一方図7および9は、破砕表面から得られた。
【0063】
顕微鏡写真に加えて、電子プローブ分析が、観察される相の化学的構造を立証することに着手された。
【0064】
顕微鏡写真内に示される明るい領域は、高いほうの密度の材料Hytrel G3548LおよびDC3179の比重は1.115および1.14)のそれである。しかしながら、電子プローブ分析は明るいほうの範囲のより高い珪素含量を示しているが、それゆえに、これらはHytrelよりもDC3179ダイラタントがより化学的に類似していると想定される。若干の珪素は、より暗い範囲にも検出された (主としてHytrelによって構成されると想定される) そして、更なる調査では、これらは、珪素ベースの粒子が極めて微細の分散で含まれた。これらの粒子は、当初は結晶質シリカ (水晶)の形状のダイラタントの成分であったので、もともとの混合物は、ダイラタントとHytrelポリエーテルエステルコポリマーとの完全な混合物であったのにちがいない。
【0065】
相分離は、ほとんど確実に、続いて起こる混合物の融解に起因し、ダイラタント含量が高いほど、より分離が起こる。すなはち、50/50混合物中のより高い密度の (ダイラタント) 材料の領域は、35/65混合物のそれと比べてはるかに大きく、また大きさや形状がさまざまである。切断と破砕との両断面(図1および2)は、相間界面での裂け目の存在による、二相間の貧弱な粘着を示している。
【0066】
35/65混合物中に存在する相は、かなり微細の方である(図8参照)。第二の不連続相は、概して直径が3ないし10umである球状粒子の形状である(図9)。またしても二相間の貧弱な粘着を示している破断が、二相間の界面を追従する面を横切って起こっていた。
【0067】
分析から、続いて起こる加熱で融けた状態になる前の混合物材料は、一相が他の中の完全な分散物であったことを、結論することができる。これは混合物のHytrel相中の結晶質シリカ存在で示される。50/50混合物中ではっきり判る相分離は、続いて起こる加熱工程ですることになっている。同じ加熱処理を受けた 35/65混合物については、分離量がぐっと少ないので、相分離がダイラタントHytrelの比率に左右されるように見える。ダイラタント含量が高いほど、分離が大きい。
【0068】
第二の材料中でのダイラタントのより微細の分散が、より大きな二つの相の構造よりも有利な点があるなら、混合比および融けた状態の加工処理時間に、考慮を払うべきである。これも50/50混合物で見られたような構造が有利の点を示すケースである。この研究の推論は、相の構造が混合比および加熱処理で調節できる、ということである。
【0069】
例 3
二回分の混合物材料(35/65と50/50の混合物) が、Expancel法を用いて閉塞セル泡を製造するように、更に処理された。使用された特定グレードのExpancelは、Akzo Nobel Expancel 092MB120で、同じHytrelグレードと共に、Expancelが高濃度のマスターバッチを造った。それから、そのマスターバッチは、最終重量パーセントが混合物に対してExpancelが8%となるように、二つの混合物と混合された。
【0070】
純Hytrelと同様に、同じ含量のExpancelを持っているその混合物は、次にシート押し出し成形をされた。これは、ペレット形状の材料を入れているホッパーから供給を受ける加熱スクリューフィーダーを用いて行われた。材料のペレットが機械の胴にスクリューで供給されるのにつれて、ヒーターがペレットの温度を約200℃までに上昇させ、材料が融けた状態をとる。この温度は、Expancelをも活性化するが、この段階では、胴内の圧が材料のセル形成を停止させる。次に、融けた材料は、約4mm巾で長さ180mmのオリフィスにより、くっつかない磨き鋼鉄ローラー上に注入された。融けた材料が回転しているローラー上に流れて圧を大気圧まで落としたのが、Expancelシステム活動下の材料の発泡を可能にさせた。材料は、他の二つのローラーを通され、約6mm厚で約380kg/m3の密度を持つ固体の発泡体ができた。最終の密度と厚さは、スクリューフィーダー速度とローラーの回転速度との間の関係に影響される。全ての三材料(純Hytrel、35/65混合物および50/50混合物)は、感じが割合に堅い。
【0071】
ダイラタント材料は軟らかくて流動できるので、発泡されたHytrel材料と比べられた時に、混合物中のこの存在が、最終の発泡された混合物になんらかの柔らかさを与えたはずである。
【0072】
しかし、予想に反して、続いて起こる材料の繰り返された圧縮間に、全ての発泡した材料が柔らかくなったことが認められた。全材料への調節された量の繰り返された圧縮に着手することによって、泡がその最も柔らかい状態に"うまく収められ(worked)"た。これは、材料が約3mmの間隔をあけた逆回転鋼鉄ローラーを通り抜けることによってなされる。これには、ゆっくりローラーを手で回し、それを各材料ごとに20回繰り返した。柔らかさの測定が、この方法の前後に、手持ちのASTM D2240硬度測定計を用いて、材料ごとの"ショアA"示度を示している。これらは、表1に示されている。
【0073】
【表1】
【0074】
なぜ材料が繰り返された圧縮の後に柔らかくなったのかについての説明は、SEMの助けを借り、この柔軟化方法の前後の構造観察によって得られる。混合物材料を補強しているのはExpancelだったことが知られた。Expancelは、不連続の比較的に硬直なミクロバルーンとして現れる(図10:内部構造は、試料を裂くことによってあらわにされた)。Expancelミクロバルーンが無傷であるのが明らかに知られた。図11は、柔軟化方法後の構造を示す。Expancelミクロバルーンは、なんらのセル補強もなく、母材の材料に泡の柔軟性を限定するに任せて、崩壊してしまった。この構造変化は、全ての三材料に観察された。
【0075】
材料の繰り返し圧縮の量に従っての、この柔軟性での変化は、たとえば足の裏の高圧領域が、そこで中底が足の下面の形状に"型に入れて作る"ようにさせておくのを許すであろう、たとえば中底用のような材料の修理用での成果を、提供することがある。同じ原理は、スキーブーツの裏当てに応用できる
例4
ダイラタント材料がHytrelの衝撃性質に引き起こす効果を評価するために、衝撃テストが行われた。
【0076】
これらのテストが行われたのは、特別に設計された振り子衝撃装置上であり、この装置は図12で説明され、その不可欠な特徴が下記の表2に列挙されている。手短に言えば,この装置は、垂直面の中で揺れるようにピボットを付けられている腕木6を、自由に旋回するように取り付けられている水平腕木4の端の絞首門形の硬直な支柱2からなる。振動腕木の自由端に取り付けられているのは、錘10が付けられてもよい衝撃先端8である。試料(図示していない)が、その上で衝撃先端によって打撃を受けるであろう位置に構えているのは、半球状鋼鉄アンビル12である。
【0077】
【表2】
【0078】
衝撃装置は最も普通には、落錘型または搖動振り子型のいずれかである。この場合に搖動振り子型が択ばれたのは、開発テストの目的にかなう確かな利点があるからである。振り子型装置に加えられた衝撃負荷には、衝撃先端が衝撃発生後もテストされた試料との接触が残る落錘型の場合での残留クリープ負荷が、ついて来ない。これは、感圧フィルムのような圧測定手段が用いられる衝撃テストについて、特に直接的に関連する。これらの衝撃間の記録最高点圧、およびなんらかの二次的な打撃または残留負荷が、これらの示度を変造するかもしれない。
【0079】
どの衝撃テストでも、加えられた衝撃エネルギーは、衝撃先端の衝撃直前の正味運動エネルギーに等しく、振り子装置では、これが衝撃先端速度およびシステムの回転質量の関数である。この衝撃装置は、開放前の振り子傾斜角度の調整による衝撃速度の範囲および衝撃先端付近の重量の加減による回転質量の範囲に利用することができるように設計された。衝撃先端とアンビルとの外形は、EN 1621−1 1997オートバイ車体防護の標準テストを模写するように選ばれた。
【0080】
このテストの手順は、体の防護としての体上材料用法の最良典型となる方向と位置に、材料試料をアンビルにあてがい、これを粘着テープでアンビルに固定することであった。次に、衝撃揺動腕木は開放前の規定角度まで引っ込められた。衝撃発生間に伝達される力は、較正された圧電気ロードセルで動的に測定され、ピーク力が記録された。このロードセルは、アンビルの半球状のドームの背後に配置されている。圧電気ロードセルのプレインストールされた負荷は、最善慣行に従って、ゼロと読み取るようにリセットされた。
【0081】
そのうえ、衝撃間にアンビルに伝達される圧も、アンビルに直接貼付されその端がマスキングテープで貼り止められた富士の感圧フィルム上に、記録された。圧範囲での伝達される圧を同時に測定するために、中(1400−7000psi)、低(350−1400psi)と極めて低い(70−350psi)の 諸フィルムが他のもう一つの上面に積み重なれ、同時に装置に貼り付けられた。全フィルム試料は、巾5cmと高さ5.5cmの寸法に、あらかじめに切られていた。それらは、上面と底面だけに当てられたマスキングテープで、アンビル上に縦長方向に位置決めされた。富士の感圧フィルムは、調査している接触領域上の衝撃間のピーク圧を示す、簡単ではあるが有効な手段になる。
【0082】
標準EN 1621−1テストは、アンビルが極端に硬直なシステムの一部分であり、体の挙動でのなんらのコンプライアンスも提供しないので、実際の人体への衝撃発生を描写するものではない。EN1621−1のオートバイ防護用のテストの合格基準は、伝達されるピーク負荷が、衝撃速度4.3m/sで35 kNを、また、50Jの衝撃エネルギーを、超えないことである。しかし、伝達される35 kNのピーク力が実際に体に当てられては、ひどい損傷を起こすことであろう。
【0083】
指定の速度および衝撃速度3.9m/sのエネルギー水準に加えて、20Jのエネルギー値も使用したのは、これらの理由からである。富士の感圧フィルムの追加使用で、それに提唱された用途の一つであるのが、いろいろのスポーツ用、たとえば、雪上スポーツ、スケートボード、およびダウンヒルマウンテンバイキング用に使われる身体防護システムである、材料の動作の限界をよりはっきりさせることにも関連する。
【0084】
この二つのエネルギー水準を得る為に、補助の質量が、より高い50Jの衝撃用に使われた。これは、そこから腕木を開放する角度を計算するために打撃部の裏側に加えられ、新しい質量中心は測定で決められた。これは表3に示されている。
【0085】
【表3】
【0086】
全ての三材料が、押出成形されたシート材料の二つの層を用いて、上記のようにテストされた。押出成形のままと柔軟化された状態の両方での、また二つの衝撃エネルギー水準での力の結果が、下記の表4に示されている。
【0087】
【表4】
【0088】
50Jの衝撃を表す圧について、材料の挙動が図13に示されている。
これらの結果から、ダイラタント材料の混合が、Hytrelポリエステルコポリマーの衝撃挙動に有利な効果を持つことが示された。発泡された混合物は、発泡された純Hytrel材料よりもはっきり柔らかったけれども、衝撃間の力と圧との伝達の点から見ると、発泡された純Hytrel材料よりも性能が優れていた。具体的に言うと、伝達を受けた純Hytrelは、65/35混合物よりも、伝達される約19%より多い力の減少をしていた。定量化は難しいが、圧特性も動作改善を示していて;極めて感度の低いフィルムが、二つの混合物が増大された接触領域を持っていることを示しているが、感度中位のフィルムでは、接触領域がより低い。これが示唆するのは、衝撃が材料のより大きな容積(したがって領域)を通して負荷を伝達する間に、混合物材料が硬直したことを示しているより感度があるフィルムの対応するより大きい領域で、低いほうのピーク圧が混合物に(より少量の中位フィルム領域が飽和されている) 伝達されたことである。柔らかい方の混合物材料が、発泡純Hytrelよりも約10%少ない厚さを持っていたことをも、留意すべきである。
【0089】
理論に縛られることを求めずに、第二の材料 ii) (これは第一の材料i)の不存在でダイラタンシーを発揮する)が、本発明の複合物材料の固体母材i)の中に閉じ込められているので、局部の高変形速度でそのせん断を濃化する傾向が、変形速度につれて増大する変形下でそのために抵抗性の負荷を見せる未発泡の複合物材に、有効に与えられるよう、その流動能力が禁じられることが信じられる (ただし未確認)。
【0090】
更に、複合物材料の発泡では、セルの中のガスまたは空気が、その圧縮性の理由で、複合物材料のより大きな量の局部変形を許し、それによって衝撃間に複合物材料を硬化させる機会を拡げるであろう。そこでのセルが閉塞セルである上記の場合には、気体によるセル壁の補助拡張が、より大きな弾性のある局部変形を引き起こすと信じられる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明のファイバーの図面である。
【図2】本発明の用途の例を示す図面である。
【図3】本発明の用途の例を示す図面である。
【図4】本発明の用途の例を示す図面である。
【図5】本発明の用途で履物の例を示す図面である。
【図6】例2で論じられている顕微鏡写真である。
【図7】例2で論じられている顕微鏡写真である。
【図8】例2で論じられている顕微鏡写真である。
【図9】例2で論じられている顕微鏡写真である。
【図10】例3で論じられている顕微鏡写真である。
【図11】例3で論じられている顕微鏡写真である。
【図12】例4で論じられている顕微鏡写真である。
【図13】例4で論じられている顕微鏡写真である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、速度感受性が動作に好都合な要因をもたらす応用法、たとえば、人間、動物または諸対象物の衝撃による損傷を防ぐためのエネルギー吸収衝撃システム(以下、衝撃防護システムと呼ぶ)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衝撃防護システムは、エネルギー 吸収材料として、発泡エラストマーまたは類似の軟らかく弾力性で圧縮可能な材料を使用してきた。しかしながら、それでは単に限られた防護にすぎない。若干のシステムでは、このエネルギー吸収材料が硬直部材と組み合わせて使用され、その目的は、衝撃力をより広い面積に拡げて、影響を少なくすることに在る。しかし、このようなシステムが人体に接触すると、曲げられず心地よくない傾向がある。防護を必要とする最も傷つき易い体の部位、たとえば肘や膝は、外形に重要な変化を受けるから、堅くて曲がらない負荷を拡げる形状に合わせる試みは、通常失敗するであろう。一つの解決策は、硬直な固有の領分に関節を導入することであるが、性能に欠陥を生じさせ、費用もかさむ。
【0003】
より最近に提言されたのは、衝撃防護システム内のまたはエネルギー吸収材料としての、変形速度に敏感な、せん断増粘性のシリコーン・パテ材料(シリコーン・ダイラタントとしても知られている)の使用であった。我々は、変形速度に敏感な、せん断増粘性の材料またはダイラタントを指して、低速のひずみ変形では粘性流になるが、高められたひずみ変形速度では変形の変化速度につれ粘度の十分の上昇をこうむる、材料と言う。突然の衝撃によって引き起こされるような著しく高い変形速度では、その材料が堅くまたは硬直になる。たとえば、US−A−5599290は、ダイラタントまたはせん断増粘性の材料として、粘性流体中の固体粒子の分散液を用いた骨折予防衣服を記述している。GB−A−2349798は、パテ様のダイラタントを含むエネルギー吸収当て物を記述している。しかし双方の場合に、ダイラタントはその自己形状保持性(non self supporting)がないので、外包中に収めなければならない。そのため、製品が限定された屈曲性を持つ傾向があり、破裂の損害をこうむりがちで、また、比較的複雑で費用のかかる製造プロセスが必要になる。これらの製品は、ダイラタントが比較的に高密度(1000kg/m3を超えることがある)のために重くなる傾向もあり、また、ダイラタントはごく低水準の負荷でさえ粘性流を見せるので、外包内のダイラタントの移動が免れない。
【0004】
シリコーン・ダイラタントを利用する別の研究方法は、この材料を発泡ポリウレタンのような弾力性担体と組み合わせることであった。
【0005】
我々が、共係属中の国際特許公開:WO03/055339で記述し、特許請求をしていたのは:
i)固体の発泡合成ポリマー母材;
ii)ポリマーベースのダイラタント、i)と異なり、i)製造間に母材全体に分布され、その中に組み込まれている;および
iii) 母材全体に分布されている流体(母材、ダイラタントおよび流体の組み合わせが、複合物を弾性圧縮可能にする)からなる自己形状保持性エネルギー吸収複合物;
並びに、
i)固体の独立気泡母材;
ii)ポリマーベースのダイラタント、i)と異なり、母材全体に分布されている;
および
iii) 母材全体に分布されている流体(母材、ダイラタントおよび流体の組み合わせが、複合物を弾性圧縮可能にする)
からなる自己形状保持性エネルギー吸収複合物である。
[発明の開示]
【0006】
本発明は、衝撃吸収材料としてまたはその中に使用するのに適している、エネルギー吸収材料を提供する。それは自己形状保持性であり、その密度は適用仕様に合わせることができる。例えば、混合条件では約1150kg/cm3 から、中間密度から下がって発泡形態の100kg/cm3である。
【0007】
本発明により、弾性があり、変形速度につれて増大する変形下で抵抗性の負荷を示し、細分されているか細分されていない、i)第一のポリマーベースの弾性がある材料および ii) i)とは異なる第二のポリマーベース材料とからなり、ii)が固体母材 i)内に閉じ込められる i) の不存在時にはダイラタンシーを示し、未発泡で、発泡させられる時には発泡に先立って、ii)とi) が混ぜられて製造される混合物材料が提供される。
【0008】
たとえば圧縮、張力またはせん断あるいはそれらの任意の組み合わせの、あらゆるタイプの負荷の下で、複合物材料が永久ひずみに耐性のあることが、好ましい。 ここでの固体母材が意味するのは、容器の必要がなしで、自己の境界を保持する母材の材料である。
【0009】
本発明の複合物材料は、そのまま、または、続いて発泡させられるべき複合物材料の先駆物質として未発泡でもよい(つまり、ii)がi)の固体母材中に閉じ込められた後に発泡させられる)。
【0010】
好ましくは,第一の材料i)および第二の材料ii)が完全な混和材料になっている;これは、たとえば i)とii) を一緒に混ぜ合わせることによって達成できる。ここにいう混合は、ポリマーベース成分i)とダイラタントii)とが一緒に、半ば融けたまたは融けた状態で混ぜ合わされて、第一の材料i)と第二の材料ii)とが完全な混和材料になっている複合物材料を形成することを意味する。
【0011】
自己形状保持性に加えて、本発明の複合物材料は、現行の硬直システムのそれより卓越できる程度の衝撃防護性を提供し、更に好ましい態様では、あらゆるタイプの負荷の下でたわみやすく、また弾力性の両方があり、それには、外形の比較的に大きな変化の間中、緊密な接触を維持することによって保護されるように設計されている外形に、調和する能力がある。これは、防護成分の設計にとって重要である。なぜならば、引き起こされる損害が、この力が分配される領域に分割される衝撃から生じる最大の力の関数であるからである。本発明の複合物材料は、力の減少とその上にその力が作用するか反応させられる領域の増大との、両方をできるようにするので、衝撃発生が原因で伝達された結果の圧または応力を、いちじるしく引き下げる。それは、衝撃を与えるものにある調和を見せて特別の力の吸収、同時に剥離抵抗の表現で言える都合によい外形を生じさせる能力をも提供する。本発明によって、それだけで用いられた時と等量のダイラタント使用に比べて、改善された性能を達成することも可能である。
【0012】
第一の材料i)は、第一の材料i)を構成するポリマーがEVAまたはオレフィンポリマー、たとえばポリプロピレンまたは高圧法ポリエチレン(LDPE)、LLDPEまたはHDPEのようなエチレンポリマーを、含むものでよい。
【0013】
好ましくは、第一の材料i)を構成するポリマーは、エラストマーを含む。天然エラストマー、たとえばラテックスゴムも用いてよいが、我々が好むのは、合成エラストマー類(ネオプレンなど), より好ましくは、熱可塑性ポリエステルなどの合成熱可塑性エラストマーである。このようなエラストマーの好ましい部類は、エラストマー性ポリウレタンおよびエラストマー性EVA類(エチレン/酢酸ビニルコポリマー)を含み;他には、シリコーンゴムやEPゴム類たとえばEPDMゴムも、差し支えない。
【0014】
他の固体プラスチック材料も、適切な水準の弾性を示しさえすれば、第一の材料 i)のポリマー成分用としての使用にしてよい。ダイラタンシーを示し、第一の材料i)の選ばれた弾性のある成分に組み込むことができる、i)とは異なるポリマーベース材料は、第二の材料 ii)として使用してよい。ダイラタンシーを示すポリマーベース材料が指して言っているのは、一以上のポリマーだけで、または一以上のポリマーと共に、一以上の他の成分、たとえば細かく分割した粒状材料、粘性流体、可塑剤、エキステンダーまたはそれらの混合物との組み合わせで、ダイラタンシーが用意され、その中ではポリマーが主成分の材料である。一つの好ましい態様では、第二の材料 ii)を構成するポリマーが、ダイラタント性質を示すシリコーンポリマーから択ばれる。そのシリコーン基ポリマーは、好ましくは硼酸化シロキサンポリマーから選ばれる。例えば、そのダイラタントは、充填または非充填のポリボロジメチルシロキサン類(PBDMSs)またはPBDMSが成分であるいくらでもの数のポリマーから、選ばれる。ダイラタンシーは、粒状充填剤のような他の成分の包含によって高められてよい。
【0015】
ダイラタントは、ダイラタンシーを与える成分に加えて、他の成分、たとえば充填剤、可塑剤、着色剤、滑剤および希釈剤と組み合わせてよい。充填剤は、粒状(ミクロスフェアまたはミクロバルーンを含めて)または繊維状、または粒状と繊維状との混合物でよい。特別に好まれる、硼酸化シリコーン基材料を含むPBDMSをベースとするダイラタントの一種は、シリコーンのはずむパテ(silicone bouncing Putties)の一般名で市場に出され、いろんな製造業者によって製造されている。これらを含んでいるのは、Dow Corningによる製品カタログno.3179;Wacker GmbHによる製品ナンバーM48及びM29;The Polish Chemical Instituteによる製品名Polastosil AMB−12である。Rhodia、GE Plastics、 ICIなどの他の会社も、これらの材料および同様のダイラタンシー特性(たとえば、低速ひずみでの同様なモジュラスおよび加えられるひずみの速度に関しての同様のモジュラス図上表示)を持っている他のポリマーベースダイラタント材料を、製造している。
【0016】
変形速度につれて増大し、変形の下での抵抗性の負荷を見せることができる、複合物材料内の硼酸化橋かけのつなぎの存在があると信じられる。このタイプの橋かけのつなぎは、一時のものとみなされているが、理由は、可逆的にまたポリマーの高速度変形間にだけもしくは主に形成すると信じられるからである。PBDMS ポリマーでは、この効果は、即座に粘性流を抑制するひずみの高速度間に、シロキサン鎖のすべりを抑制する。この条件では、ポリマーはそれ故に、よりエラストマーらしくふるまうであろう。本発明の複合物材料も、前述のふるまいを可能にする硼酸化橋かけのつなぎを持っている。PBDMSのように一時の橋かけのつなぎを見せる他のポリマーも使用できる。
【0017】
本発明の複合物材料は、たとえば輸送の際または成形の目的のために、取り扱いが容易になるように、好ましくは細分される。
【0018】
本発明のもう一つの面に従って、前述の本発明に従った複合物材料を調製する方法が提供される。その方法を構成するのは:
a)第一の材料i)の構成を意図されたポリマーを融かすこと;および
b)それと共に、第二の材料ii)の構成を意図されたポリマーのダイラタントを混ぜること
である。
【0019】
第一の材料i)を構成することが意図されたポリマーは、上文に規定されたとおり、および/または、第二の 材料ii)を構成することが意図されたポリマーのダイラタントは、上文に規定されたとおりである。
【0020】
好ましくは, ポリマーのダイラタントは、段階(b)より先におよび/またはその間に融かされる。適当に混合および冷却の後に、そうして形成された複合物材料が、c)細分される。
【0021】
一つの好ましい混合物形成方法は、先ず、合体を防止するためのエラストマーのようなポリマーで被覆されている第二の材料ii)のミクロスフェアを形成することである。次に、これらの被覆されているミクロスフェアが、細分されているか融けている第一の材料i)中に導入される。
【0022】
本発明は、更に、前述の本発明の方法で調製された複合物材料を提供する。
【0023】
本発明の重要な面に従って、前述の本発明方法で調製され、続いて発泡された複合物材料が提供される;適切に、こうして製造された泡は、閉塞セルの泡である。適切には, 少なくとも一部のポリマーのダイラタントii)が、泡のセル壁内に入れられている。
【0024】
セルは、ニューマトゲン(pneumatogen)として、ガス、蒸気、超臨界液体またはそれらの先駆物質;たとえば、窒素または二酸化炭素を入れているのが好ましい。通常、ガスまたは蒸気は、実質上一様に母材中いたるところに分散されるであろうが、ある一定の場合には、不均一分散でも差し支えない。ガスまたは蒸気の弾力のある圧縮性への寄与は、母材内のガスまたは蒸気の再配分、並びにガスまたは蒸気の圧縮で(または、むしろこれら両方の効果) のためである。ガスまたは蒸気の複合物材料内の存在は、複合物の綜合密度をいちじるしく減少させるだけでなく、システム内での気性効果と関連しているポンピング損失のためで、ある量の減衰をも提供できる。その圧縮弾性も、泡中の閉塞セル対開放セルの比につれて、気性効果によって増進されるであろう。衝撃間のエネルギー吸収を考慮すると、ある量の減衰は望ましく、また複合物の反応性を更に高めるであろう。
【0025】
泡の重要な性質は、変形、特に圧縮を受けさせた後の回復する速度である。好ましくは, 回復は数秒内、たとえば5秒以下、より好ましくは2秒以下で、完全または実質上完全である。しかし、ある一定の応用法では、より遅い回復速度が望まれるかもしれない。
【0026】
本発明の発泡複合物材料は、変形速度につれて増大する変形の下で抵抗性の負荷量を見せる弾力のある圧縮性材料を製造するために、ダイラタントおよびガスまたは蒸気が、全般、実質上一様に、母材中いたるところに分配されるように、第一の 材料i)を構成する意図のポリマー;第二の材料ii)を構成する意図のポリマーのダイラタント;およびガス、蒸気、超臨界液体、またはこれらの先駆物質が混合して、調製されてよい。どんな方法でも用いられるとはいえ、ダイラタントが泡の構造中に組み込まれてよいものの、それがガスまたは蒸気を孔から完全に追い払うことはないことが重要である。
【0027】
このような一方法は、前述の本発明に従った非発泡の複合物材料またはi)とii)との混合物の、射出成形機のその中にはニューマトゲンを供給する手段を含む胴内への組み込み;このように規定した材料を、それが溶融形態であるような高められた温度と高められた圧にもってくること;ニューマトゲンの胴への供給;および加熱された複合物材料の圧の引き下げによる複合物材料の発泡からなる。
【0028】
圧は、複合物材料を型中に射出または押し出し成形するによるこの方法では、適当に環境圧にまで減少されてよい。このような方法は、連続体制で操作して差し支えない。
【0029】
好ましくは、ii)対i)の重量比は4ないし0.25、最も好ましくは2.3ないし1である。好ましくは高められた温度は150℃ないし240℃、最も好ましくは170℃ないし210℃である。好ましくは高められた圧は、ここでニューマトゲンが注入され、1600psiないし2000psi、最も好ましくは1700psiないし1900psiである。
【0030】
これと他の方法は、前述の本発明に従った未発泡の複合物材料またはi)とii) との混合物の、ニューマトゲンを供給する手段を含む密閉容器内への組み込み;複合物材料を高められた温度と高められた圧にもってくること;および密閉容器内へのニューマトゲンの注入からなる。適当には、容器の内部が型になっている。
【0031】
好ましくは、ii)対 i)の重量比は4ないし0.25、最も好ましくは2.3ないし1である。
【0032】
好ましくは、高められた温度は150℃ないし240℃、最も好ましくは170℃ないし200℃である。好ましくは、高められた圧は8000psiないし1200psi、最も好ましくは9000psiないし11000psiである。
【0033】
このような方法では、第一の材料i)を構成する意図のポリマーおよび第二の材料ii)を構成する意図のポリマーベースダイラタントが、組み合わせられて完全な混和材料を形成し、得られた混合物は次に発泡させられて複合物を形成する。用いられる方法は、いろいろな化学的または物理的な発泡形成方法のような、多数の容認される工業用方法から選ばれることができる。非常に高圧の窒素環境を用いる特別の調製方法も可能である。この方法は、(化学的または照射により)橋かけされ、それから、窒素で満たされたオートクレーブの中で、一連の温度と圧とにさらされる混合物の固体の押し出し切片を用いる。温度は材料を軟化させ、きわめて高い圧(10,000psi)のガスの溶解能のたすけになろう。この方法は、用いられる材料と厚さ次第で、数時間かかるかもしれない。この第一次のオートクレーブ工程の後には、得られた材料には、ごく高い圧の窒素の豆気泡が封じ込められている。第二次のより低い圧/温度のサイクルは、封じ込められている窒素が周囲の材料を広げて発泡を形成するのを可能にする。この第二次工程の正確な圧と温度のサイクルが、製造された泡の最終密度を決定することになろう。この方法は、Zotefoams、Croydon、UKで用いられている。
【0034】
もう一つのこのような工程は、ガスまたは蒸気を密閉して封じ込めるプラスチックの殻を構成する、上文に規定されたミクロスフェアとしての未発泡の複合物材料と、または、i)とii)との混合物の一または両方の成分との組み込み;そのように規定されている材料を高められた温度と圧にさらすこと;および、それによってミクロスフェアの拡大と複合物材料の発泡とをもたらす、加熱された複合物材料の圧の引き下げからなる。この方法では、複合物材料を型に射出すること、または複合物材料を押し出し成形することによって、圧は、適当に環境 圧までに下げてよい。このような方法は、連続を基礎として操作されてよい。
【0035】
本発明に従うこのような方法で、本発明の発泡複合物材料は、密閉してガスを封じ込めるポリマーの殻を構成するミクロスフェアをニューマトゲンとして用いて調製されてよい。(Akzo NobelによるEXPANCEL)ミクロスフェアは、第一の材料i)と混合されてよく、またはi)とii)との混合の前に、第二の材料ii)(または、むしろ両方)で被覆されてよい。製造された混合物を加熱すると、ミクロスフェア中のガスが膨張(この膨張は約40xでよい)して、閉塞セルを創造する。
【0036】
好ましくは,ii)対 i)の重量比は4ないし0.25、最も好ましくは2.3ないし1である。好ましくは、高められた温度は、160℃ないし230℃、最も好ましくは190℃ないし210℃である。高められた圧は、好ましくは5000psiないし8000psi、最も好ましくは6000psiないし7000psiで、射出成形機または押し出し成形機中で発生させられる自生圧である。
【0037】
本発明の複合物材料は、第一の材料i)を構成する意図のポリマー、第二の材料 ii)を構成する意図のポリマーベースダイラタントおよびガスまたは蒸気とは別の成分;たとえば、繊維状および/または粒状の充填剤、可塑剤、滑剤、増量剤、顔料および染料を含んでよい。望むならば、本発明の複合物は、硬直またはたわみやすいでもよい外包の中に組み込まれてよいが、そのような閉じ込めが不可欠ではないことが、本発明の貴重な特徴である。
【0038】
同様に、それは硬直または半硬直の成分と関連してもよいが、これが複合物の使用には不可欠ではなく、それの特定の用途のための性質の若干を傷つけさえしかねない。
【0039】
その上に、布地が剥離動作を高める能力を持ち、またなんらかの場合の鋭利な物体の侵入に対する抵抗、および/または、他のシステム製品への複合物材料の取り付けに助力する場合には、それは布地層または類似物とも関連してよい。伸縮性の布地裏当ても材料の伸張を限定し、耐久性を与える。この布地は、ある織物等級のケブラーのような、防弾または防刺傷織物としても役に立つ。
【0040】
本発明の更なる側面に従って、弾力、ひずみ速度感受性、抗張力、硬度、弾性率、およびクリープ率のような, 前述の複合物材料の最終性質は、融和剤または橋かけ(または、むしろ両方)の使用によって、慎重に調整できよう。橋かけは、化学的橋かけまたは(照射によってまたは絡み合い重合によってのような) 物理的橋かけでよく、第一の材料i)または第二の材料 ii)(あるいは、むしろ両方)に、着手してよい。第一の材料i)は、第二の材料ii)に橋かけられてよい。
【0041】
一般に、本発明の複合物材料は、クリープおよび圧縮ひずみに対して抵抗を見せるであろう。複合物の低クリープ率は、圧縮ひずみに対する抵抗力を分け与えるのには有益であろうが、不可欠ではない。ある種の用法、たとえば遮音目的用では、材料に高クリープ特性を持たせるのが好ましいかもしれない。
【0042】
本発明の複合物材料の実際の構成は、意図される用途に影響されるであろう。応用法は広い範囲の用途にわたり、諸対象物、動物および人間の衝撃防護を含んでいる。可能性のある応用法は絶えず変化する状況に拡大し、そこでは、たとえば、傷つきやすい装具用の梱包または車席にある人体でのように、対象物が既に表面に接触しているかもしれないし、対象物と表面との組み合わせが過酷な加速度および/または減速度を受けるかもしれない。このように複合物材料の特性と、複合物材料中のダイラタントの選択とその混合比、また、発泡の場合には、たとえば複合物材料の要求されている密度で指示されているような、複合物材料中のガスまたは蒸気の量が、複合物材料が使用されるべき防護システムの要求によって、決定される。一般に、ダイラタントは、容量で複合物の5ないし80%、好ましくは10ないし50%、より好ましくは15ないし40%を構成する。また、発泡の場合には、ガスまたは蒸気(好ましい場合では、それはガスである)の量は、複合物のガスまたは蒸気の含量が、容量で好ましくは20ないし90%、より好ましくは30ないし80%、なお一層より好ましくは40ないし70%であるような状態である。これらの割合は、なんらかの充填剤または他の特別な成分の使用を無視していることを留意すべきである。
【0043】
なお更に本発明に従って、たとえば、フィルム、シート、フィラメントおよびファイバーのような、本発明の複合物材料からなる押し出し成形物品が提供される。複合物の織られたシートのような成形物品には、圧縮変形が織物を構成する要素を都合よく変形させるであろう、複合物の反作用的の本質を最大限に活用するような外画的形態を、形成する織物があってよい。特にこの利益を受けるのは、閉塞セルの泡の場合である。望むならば、成形物品は、複合物材料中のダイラタントの比率が、他の範囲または層のそれと異なっている範囲または層を含めるような仕方で製造されてよい。この仕方で、ダイラタント/母材界面でのダイラタントに富んだ範囲の極大のせん断変形せん断を助長するように、成形物品たとえばファイバーまたはフィラメントのゆがみが、形成されてよい。
【0044】
ファイバーまたはフィラメントは、空気を最終製品中に組み込むように、織られ編まれ、または別のやり方で形成されてよい。そのような材料が衝撃を受けさせる 時、空気の空間によって、各ファイバーのゆがみが助長されて、衝撃吸収での複合物材料の有効な利用に望ましい大きな数の局部的な曲げたわみを、提供する。
【0045】
第一の材料i)の選択と濃度は、 好ましくは、複合物材料を、たとえばファイバーまたはフィラメントのような形にすることができる。低ひずみ速度の動きでは、混和材料複合混合物から形成されたファイバーまたはフィラメントからなる布地のたわみ性はファイバー織りまたは編みの選択によって提供できる。望むならば、他のファイバーまたはフィラメント、たとえば弾性のあるファイバーおよび/または摩損耐性のあるファイバーが、布地に含まれてもよい。
【0046】
たとえば、押し出しまたは紡糸によって形成されてよいファイバーは、第一の材料i)の中の第二の材料ii)中のむらのない分布を持ってもよく、または、そこでは第二の材料ii)がより高濃度の範囲または層を作るようにして製造されてもよい。
【0047】
なお更に本発明に従って、第一の材料i)のさやの中に第二の材料ii)の芯を含むファイバーが提供されるが、第一の材料i)および第二の材料ii)は、ここに規定されているとおりである。芯は空洞、好ましくは同軸空洞であってよい。このようなファイバーは、共押出法で作ってよい。このようなファイバーが、付属図面の図 1 に描かれていて、その中の1は第二の材料ii)の芯であり、2は第一の材料i)のさやであり、そして3はガス(空気)を入れている空洞である。
【0048】
本発明のエネルギー吸収性複合物材料は、たとえば、人間や動物の防護用当て物または衣類、人間または動物がそれに手荒い接触をするかもしれない乗り物および他の諸対象物のエネルギー吸収帯の中またはそのものとして、また傷つきやすい諸対象物や機械用の包装の中またはそのものとして、広汎の適用態様に使用してよい。用途の特別な例は、頭の被り物およびヘルメット;防護衣類または肘、膝、臀部およびむこうずね用の当て物;たとえば物が飛んできたり落ちてくる危険がある環境用の一般的な身体防護;乗り物のダッシュボード、室内装飾材料および座席の設備などである。他の可能性のある用途は、スポーツまたは遊びで物によく当たる身体部位を保護する衣服または当て物;たとえば、ランニングシューズ足底、フットボールブーツのような履物、ボクシンググローブおよびファイブズ球技に使うグローブにある。本発明のエネルギー吸収複合物材料は、たとえば自動車乗、振動隔離および遮音用などのエネルギー吸収・減衰材料のような、衝撃のない状況でも使ってよい。この列挙は限定する積もりではなく、他の可能性のある用途は、読者に思い浮かぶであろう。
【0049】
付属図面中の図2から4までに、例が描かれている。
付属図面の図5は、履物での使用例を説明している。
図6ないし9は、例2でより詳細に論じられている顕微鏡写真に相当する。
図10および11は、例3でより詳細に論じられている顕微鏡写真に相当する。
図12は、例4で用いられる衝撃装置を、図式で表現している;また
図13は、例4の結果を描いている。
【0050】
好都合な圧特性、および、何か活動的なリクリエーション間に足の裏から伝達される衝撃負荷の下でのより高い水準の支持を提供するために、履物の足底、たとえば、中底、中物または表底の構造に、複合物材料が利用される。その例は、そこで中底と中物(3)との、また、表底と中物との両方の間の界面が都合よく輪郭を付けられまたは織られて、本発明の発泡複合物材料内に多量のせん断変形を誘発する、中底(1)と表底(2)との間の材料の用法を明らかにする。このタイプの構成は、中底と表底との間の空洞に発泡複合物材料を組み込んで、結果の中物が固化して中底と表底との両方に結合するように形成されてよい。類似の構造は、それによって材料が型内で発泡し、中底と表底とが型表面で"スキン"製造によって形成される一部品成形(one−part−moulding)で達成できよう。
【0051】
望むならば、複合物に被覆を施してもよい。
下記の諸例は、本発明を例証する。
【0052】
例 1
先駆の混合方法評価のために選ばれ弾性のあるポリマーの成分材料は、線状低密度ポリエチレン(Flexirene MR50、Europa polymerによる)。三種のダイラタント材料が、比率を変えた混合テスト用に選ばれた。その三種のダイラタント材料は、Dow Corningのシリコーン・ダイラタント3179、Polastosil AMB−12および純粋のPBDMSであった。これらは、3リットルのShaws K1混合器を用いて、LLDPE MR50と混合された。LLDPEは、粒状の形で先ず粉砕機中に導入され、材料のせん断によってかもされて温度が約110℃までに上昇した。そしてダイラタント材料は、下記に指定された比率で密閉型混合機に流し込まれた:
1.35% 3179 65% LLDPE(重量).
2.50% 3179 50% LLDPE(重量)
3.50% Polqssttosil 50% LLDPE(重量)
(AABM−12)
4.35% Polqssttosil 65% LLDPE(重量)
(AABM−12)
5.30%PBDMS 70% LLDPE(重量)
6.35%PBDMS 65% LLDPE(重量)
上記の材料混合物は、4×2mm直径ダイを通して、吐き出し押出し成形によりストランドを形成し、そしてそれはペレット化された。
【0053】
例2
例1では、標準の工業用装置を用いて、ダイラタントと熱可塑性ポリマーとを混合する方法の説明をしたが、例2は、閉塞セル構造を実現することを通じて加工処理ルートを広げている。
【0054】
閉塞セル泡製造に適していると判った一つの方法は、高圧ガス溶解法である。この方法は、調節された温度のオートクレーブに満たされたガス(たとえば窒素)の中で、固体ポリマー材料を極高圧にさらして、固体ポリマー中にガスを押し込む。次にこの塊は、調節された高圧および温度の下で、ガスで満たされているオートクレーブを再度用いて、発泡させられる。この泡製造方法の利点は、多孔性構造の均一性と通常の発泡剤からの化学的堆積物を無くすことである。
【0055】
このような製造方法が適当であると確認するためには、混合物が製造方法の高められた温度で安定であろうことを、明らかにすることが必要である。これは、ポリマーのシートまたは塊を、実験的な操作で、ダイラタントと母材材料との両方を完全な混合物として含んでいる調製試料で取り替えることを考慮するために、必要である。この方法の標準の操作温度は、約165℃である。
【0056】
最初のテスト用に選ばれた、ポリマーベースの弾性のある母材材料は、Du Pontから入手できるポリエステルベースの熱可塑性エラストマーのHytrel GG3548Lであった。50gのHYtrelと同重量の3179ダイラタント化合物(例1参照)とが、高温での混合に備えて坩堝中に置かれた。A 実験室炉は220℃まで予熱されていて、坩堝と中身が炉の中に置かれ、30分間放置された。次いで、坩堝が取り出され、二つの材料を混合するために、中身が金属スパチュラでかき混ぜられた。得られた混合物は、次に炉内に戻され、調査のための取り出しの前まで、この温度で更に1時間均熱された。二つの材料は、非常に良好に混ざって混合物を作り、それは室温で固体になった。その混和材料は、実験室の炉内で165℃に加熱され、高圧窒素ガス溶解方法での持続時間である8時間に亘って安定であることが判った。この結果は、高圧ガス(窒素など)を使用する方法またはむしろ他の物理的または化学的成発泡方法の発泡用の試料の可能性がある適合性を示している。
【0057】
二つの材料が完全な混和材料を形成する能力を立証できて、この方法は、例1に述べた方法を用いて工業的装置での一回分30kg製造にあわせて調整された。
【0058】
先駆物質材料を製造するために、HytrelG3548Lグレードが、Dow Corning Siliconのダイラタント3179と混合された。選ばれた二つの混合比は、重量でダイラタント対HYtrelが35/65と50/50とであり、混合工程で作られたのは各混合比ごとに約30kgであった。
【0059】
物理的または化学的発泡技術によって、これらの混合物の閉塞セル泡を製造するための、続いて起こる加工処理は、材料が融けた状態にすることを要求するので、材料構造上へのその効果の検討が着手された。
【0060】
混合物材料(今はペレット形状)がは、くっつかない容器中移され、約200℃の温度を受けさせられた。ペレットは1時間放置され、その時間後には材料が融けていて;かき混ざれ; そして炉から取り出す前に、追加の時間放置された。冷やすと混合物は固化した。
【0061】
その固体の状態は、それから走査型電子顕微鏡(SEM)検査された 。材料の構造をあらわにするために、剃刀刃での切断および試料の液体窒素中への浸漬による破砕、ならびに、切れ込み (剃刀刃で切る)での破砕の、二つの技術が用いられた。
【0062】
図6、7、8および9の顕微鏡写真は、それぞれ、25x 倍率での50/50混合物の構造;83x倍率での50/50混合物の構造;33x倍率での35/65混合物の構造; および1200x倍率での35/65混合物の構造を表わす。図6および8は、切断表面から得られ、一方図7および9は、破砕表面から得られた。
【0063】
顕微鏡写真に加えて、電子プローブ分析が、観察される相の化学的構造を立証することに着手された。
【0064】
顕微鏡写真内に示される明るい領域は、高いほうの密度の材料Hytrel G3548LおよびDC3179の比重は1.115および1.14)のそれである。しかしながら、電子プローブ分析は明るいほうの範囲のより高い珪素含量を示しているが、それゆえに、これらはHytrelよりもDC3179ダイラタントがより化学的に類似していると想定される。若干の珪素は、より暗い範囲にも検出された (主としてHytrelによって構成されると想定される) そして、更なる調査では、これらは、珪素ベースの粒子が極めて微細の分散で含まれた。これらの粒子は、当初は結晶質シリカ (水晶)の形状のダイラタントの成分であったので、もともとの混合物は、ダイラタントとHytrelポリエーテルエステルコポリマーとの完全な混合物であったのにちがいない。
【0065】
相分離は、ほとんど確実に、続いて起こる混合物の融解に起因し、ダイラタント含量が高いほど、より分離が起こる。すなはち、50/50混合物中のより高い密度の (ダイラタント) 材料の領域は、35/65混合物のそれと比べてはるかに大きく、また大きさや形状がさまざまである。切断と破砕との両断面(図1および2)は、相間界面での裂け目の存在による、二相間の貧弱な粘着を示している。
【0066】
35/65混合物中に存在する相は、かなり微細の方である(図8参照)。第二の不連続相は、概して直径が3ないし10umである球状粒子の形状である(図9)。またしても二相間の貧弱な粘着を示している破断が、二相間の界面を追従する面を横切って起こっていた。
【0067】
分析から、続いて起こる加熱で融けた状態になる前の混合物材料は、一相が他の中の完全な分散物であったことを、結論することができる。これは混合物のHytrel相中の結晶質シリカ存在で示される。50/50混合物中ではっきり判る相分離は、続いて起こる加熱工程ですることになっている。同じ加熱処理を受けた 35/65混合物については、分離量がぐっと少ないので、相分離がダイラタントHytrelの比率に左右されるように見える。ダイラタント含量が高いほど、分離が大きい。
【0068】
第二の材料中でのダイラタントのより微細の分散が、より大きな二つの相の構造よりも有利な点があるなら、混合比および融けた状態の加工処理時間に、考慮を払うべきである。これも50/50混合物で見られたような構造が有利の点を示すケースである。この研究の推論は、相の構造が混合比および加熱処理で調節できる、ということである。
【0069】
例 3
二回分の混合物材料(35/65と50/50の混合物) が、Expancel法を用いて閉塞セル泡を製造するように、更に処理された。使用された特定グレードのExpancelは、Akzo Nobel Expancel 092MB120で、同じHytrelグレードと共に、Expancelが高濃度のマスターバッチを造った。それから、そのマスターバッチは、最終重量パーセントが混合物に対してExpancelが8%となるように、二つの混合物と混合された。
【0070】
純Hytrelと同様に、同じ含量のExpancelを持っているその混合物は、次にシート押し出し成形をされた。これは、ペレット形状の材料を入れているホッパーから供給を受ける加熱スクリューフィーダーを用いて行われた。材料のペレットが機械の胴にスクリューで供給されるのにつれて、ヒーターがペレットの温度を約200℃までに上昇させ、材料が融けた状態をとる。この温度は、Expancelをも活性化するが、この段階では、胴内の圧が材料のセル形成を停止させる。次に、融けた材料は、約4mm巾で長さ180mmのオリフィスにより、くっつかない磨き鋼鉄ローラー上に注入された。融けた材料が回転しているローラー上に流れて圧を大気圧まで落としたのが、Expancelシステム活動下の材料の発泡を可能にさせた。材料は、他の二つのローラーを通され、約6mm厚で約380kg/m3の密度を持つ固体の発泡体ができた。最終の密度と厚さは、スクリューフィーダー速度とローラーの回転速度との間の関係に影響される。全ての三材料(純Hytrel、35/65混合物および50/50混合物)は、感じが割合に堅い。
【0071】
ダイラタント材料は軟らかくて流動できるので、発泡されたHytrel材料と比べられた時に、混合物中のこの存在が、最終の発泡された混合物になんらかの柔らかさを与えたはずである。
【0072】
しかし、予想に反して、続いて起こる材料の繰り返された圧縮間に、全ての発泡した材料が柔らかくなったことが認められた。全材料への調節された量の繰り返された圧縮に着手することによって、泡がその最も柔らかい状態に"うまく収められ(worked)"た。これは、材料が約3mmの間隔をあけた逆回転鋼鉄ローラーを通り抜けることによってなされる。これには、ゆっくりローラーを手で回し、それを各材料ごとに20回繰り返した。柔らかさの測定が、この方法の前後に、手持ちのASTM D2240硬度測定計を用いて、材料ごとの"ショアA"示度を示している。これらは、表1に示されている。
【0073】
【表1】
【0074】
なぜ材料が繰り返された圧縮の後に柔らかくなったのかについての説明は、SEMの助けを借り、この柔軟化方法の前後の構造観察によって得られる。混合物材料を補強しているのはExpancelだったことが知られた。Expancelは、不連続の比較的に硬直なミクロバルーンとして現れる(図10:内部構造は、試料を裂くことによってあらわにされた)。Expancelミクロバルーンが無傷であるのが明らかに知られた。図11は、柔軟化方法後の構造を示す。Expancelミクロバルーンは、なんらのセル補強もなく、母材の材料に泡の柔軟性を限定するに任せて、崩壊してしまった。この構造変化は、全ての三材料に観察された。
【0075】
材料の繰り返し圧縮の量に従っての、この柔軟性での変化は、たとえば足の裏の高圧領域が、そこで中底が足の下面の形状に"型に入れて作る"ようにさせておくのを許すであろう、たとえば中底用のような材料の修理用での成果を、提供することがある。同じ原理は、スキーブーツの裏当てに応用できる
例4
ダイラタント材料がHytrelの衝撃性質に引き起こす効果を評価するために、衝撃テストが行われた。
【0076】
これらのテストが行われたのは、特別に設計された振り子衝撃装置上であり、この装置は図12で説明され、その不可欠な特徴が下記の表2に列挙されている。手短に言えば,この装置は、垂直面の中で揺れるようにピボットを付けられている腕木6を、自由に旋回するように取り付けられている水平腕木4の端の絞首門形の硬直な支柱2からなる。振動腕木の自由端に取り付けられているのは、錘10が付けられてもよい衝撃先端8である。試料(図示していない)が、その上で衝撃先端によって打撃を受けるであろう位置に構えているのは、半球状鋼鉄アンビル12である。
【0077】
【表2】
【0078】
衝撃装置は最も普通には、落錘型または搖動振り子型のいずれかである。この場合に搖動振り子型が択ばれたのは、開発テストの目的にかなう確かな利点があるからである。振り子型装置に加えられた衝撃負荷には、衝撃先端が衝撃発生後もテストされた試料との接触が残る落錘型の場合での残留クリープ負荷が、ついて来ない。これは、感圧フィルムのような圧測定手段が用いられる衝撃テストについて、特に直接的に関連する。これらの衝撃間の記録最高点圧、およびなんらかの二次的な打撃または残留負荷が、これらの示度を変造するかもしれない。
【0079】
どの衝撃テストでも、加えられた衝撃エネルギーは、衝撃先端の衝撃直前の正味運動エネルギーに等しく、振り子装置では、これが衝撃先端速度およびシステムの回転質量の関数である。この衝撃装置は、開放前の振り子傾斜角度の調整による衝撃速度の範囲および衝撃先端付近の重量の加減による回転質量の範囲に利用することができるように設計された。衝撃先端とアンビルとの外形は、EN 1621−1 1997オートバイ車体防護の標準テストを模写するように選ばれた。
【0080】
このテストの手順は、体の防護としての体上材料用法の最良典型となる方向と位置に、材料試料をアンビルにあてがい、これを粘着テープでアンビルに固定することであった。次に、衝撃揺動腕木は開放前の規定角度まで引っ込められた。衝撃発生間に伝達される力は、較正された圧電気ロードセルで動的に測定され、ピーク力が記録された。このロードセルは、アンビルの半球状のドームの背後に配置されている。圧電気ロードセルのプレインストールされた負荷は、最善慣行に従って、ゼロと読み取るようにリセットされた。
【0081】
そのうえ、衝撃間にアンビルに伝達される圧も、アンビルに直接貼付されその端がマスキングテープで貼り止められた富士の感圧フィルム上に、記録された。圧範囲での伝達される圧を同時に測定するために、中(1400−7000psi)、低(350−1400psi)と極めて低い(70−350psi)の 諸フィルムが他のもう一つの上面に積み重なれ、同時に装置に貼り付けられた。全フィルム試料は、巾5cmと高さ5.5cmの寸法に、あらかじめに切られていた。それらは、上面と底面だけに当てられたマスキングテープで、アンビル上に縦長方向に位置決めされた。富士の感圧フィルムは、調査している接触領域上の衝撃間のピーク圧を示す、簡単ではあるが有効な手段になる。
【0082】
標準EN 1621−1テストは、アンビルが極端に硬直なシステムの一部分であり、体の挙動でのなんらのコンプライアンスも提供しないので、実際の人体への衝撃発生を描写するものではない。EN1621−1のオートバイ防護用のテストの合格基準は、伝達されるピーク負荷が、衝撃速度4.3m/sで35 kNを、また、50Jの衝撃エネルギーを、超えないことである。しかし、伝達される35 kNのピーク力が実際に体に当てられては、ひどい損傷を起こすことであろう。
【0083】
指定の速度および衝撃速度3.9m/sのエネルギー水準に加えて、20Jのエネルギー値も使用したのは、これらの理由からである。富士の感圧フィルムの追加使用で、それに提唱された用途の一つであるのが、いろいろのスポーツ用、たとえば、雪上スポーツ、スケートボード、およびダウンヒルマウンテンバイキング用に使われる身体防護システムである、材料の動作の限界をよりはっきりさせることにも関連する。
【0084】
この二つのエネルギー水準を得る為に、補助の質量が、より高い50Jの衝撃用に使われた。これは、そこから腕木を開放する角度を計算するために打撃部の裏側に加えられ、新しい質量中心は測定で決められた。これは表3に示されている。
【0085】
【表3】
【0086】
全ての三材料が、押出成形されたシート材料の二つの層を用いて、上記のようにテストされた。押出成形のままと柔軟化された状態の両方での、また二つの衝撃エネルギー水準での力の結果が、下記の表4に示されている。
【0087】
【表4】
【0088】
50Jの衝撃を表す圧について、材料の挙動が図13に示されている。
これらの結果から、ダイラタント材料の混合が、Hytrelポリエステルコポリマーの衝撃挙動に有利な効果を持つことが示された。発泡された混合物は、発泡された純Hytrel材料よりもはっきり柔らかったけれども、衝撃間の力と圧との伝達の点から見ると、発泡された純Hytrel材料よりも性能が優れていた。具体的に言うと、伝達を受けた純Hytrelは、65/35混合物よりも、伝達される約19%より多い力の減少をしていた。定量化は難しいが、圧特性も動作改善を示していて;極めて感度の低いフィルムが、二つの混合物が増大された接触領域を持っていることを示しているが、感度中位のフィルムでは、接触領域がより低い。これが示唆するのは、衝撃が材料のより大きな容積(したがって領域)を通して負荷を伝達する間に、混合物材料が硬直したことを示しているより感度があるフィルムの対応するより大きい領域で、低いほうのピーク圧が混合物に(より少量の中位フィルム領域が飽和されている) 伝達されたことである。柔らかい方の混合物材料が、発泡純Hytrelよりも約10%少ない厚さを持っていたことをも、留意すべきである。
【0089】
理論に縛られることを求めずに、第二の材料 ii) (これは第一の材料i)の不存在でダイラタンシーを発揮する)が、本発明の複合物材料の固体母材i)の中に閉じ込められているので、局部の高変形速度でそのせん断を濃化する傾向が、変形速度につれて増大する変形下でそのために抵抗性の負荷を見せる未発泡の複合物材に、有効に与えられるよう、その流動能力が禁じられることが信じられる (ただし未確認)。
【0090】
更に、複合物材料の発泡では、セルの中のガスまたは空気が、その圧縮性の理由で、複合物材料のより大きな量の局部変形を許し、それによって衝撃間に複合物材料を硬化させる機会を拡げるであろう。そこでのセルが閉塞セルである上記の場合には、気体によるセル壁の補助拡張が、より大きな弾性のある局部変形を引き起こすと信じられる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明のファイバーの図面である。
【図2】本発明の用途の例を示す図面である。
【図3】本発明の用途の例を示す図面である。
【図4】本発明の用途の例を示す図面である。
【図5】本発明の用途で履物の例を示す図面である。
【図6】例2で論じられている顕微鏡写真である。
【図7】例2で論じられている顕微鏡写真である。
【図8】例2で論じられている顕微鏡写真である。
【図9】例2で論じられている顕微鏡写真である。
【図10】例3で論じられている顕微鏡写真である。
【図11】例3で論じられている顕微鏡写真である。
【図12】例4で論じられている顕微鏡写真である。
【図13】例4で論じられている顕微鏡写真である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性のある、変形速度につれて増大する変形下に抵抗性の負荷を見せる、細分されているかまたは細分されていなくて、i)第一のポリマーベースの弾性のある材料、および、ii) i)とは異なる第二のポリマーベース材料とからなる複合物材料であって;ii)は固体母材であるi)に閉じ込められ、i)の不存在ではダイラタンシーを示し、複合物材料が未発泡であるか、発泡される時には、発泡に先立ってi)に ii)組み込み込んで、第一の材料i)と第二の材料が緊密に混合され調製できる複合物材料。
【請求項2】
第一の材料i)および 第二の材料ii)を一緒に混ぜることによって達成できる請求項1の複合物材料。
【請求項3】
第一の 材料i)を構成しているポリマーが、EVAまたはオレフィンポリマー、たとえば、ポリプロピレンまたは高圧ポリエチレン(LDPE)、LLDPEまたはHDPEのようなエチレンポリマーを含む請求項1または2の複合物材料。
【請求項4】
第一の 材料i)を構成するポリマーがエラストマーを含む請求項1または2の複合物材料。
【請求項5】
エラストマーがラテックスゴムのような天然エラストマーである請求項 4 の複合物材料。
【請求項6】
エラストマーが合成エラストマーである請求項4の複合物材料。
【請求項7】
合成エラストマーがシリコーンゴム、ポリウレタンまたはEPDMのようなEPゴムである請求項6の複合物材料。
【請求項8】
合成エラストマーが熱可塑性エラストマーである請求項6の複合物材料。
【請求項9】
熱可塑性エラストマーがポリエステルを含む請求項8の複合物材料。
【請求項10】
第二の材料ii)を構成するポリマーが、ダイラタント性を示すシリコーンポリマーから選ばれる先行請求項のいずれか一項の複合物材料。
【請求項11】
シリコーンポリマーが硼酸化シロキサンポリマーから選ばれる請求項10の複合物材料。
【請求項12】
シリコーンポリマーが充填ポリボロジメチルシロキサンから選ばれる請求項11の複合物材料。
【請求項13】
細分されている、先行請求項のいずれか一項の複合物材料。
【請求項14】
a) 第一の材料i)の構成を意図するポリマーの融解;および b)それと第二の材料 ii)構成を意図するポリマーのダイラタントとの混合を含む請求項1の複合物材料を製造する方法。
【請求項15】
第一の材料i)の構成を意図するポリマーが請求項3ないし9のいずれか一項に規定されており、および/または、第二の材料ii)の構成を意図するポリマーのダイラタントが請求項10ないし12のいずれか一項に規定されている請求項14の方法。
【請求項16】
ポリマーのダイラタントが、混合段階(b)に先行し、および/または、その間に融かされる請求項14または15のいずれか一項に規定されている方法。
【請求項17】
混合および冷却の後に、複合物材料が仕上げにc)細分される請求項14、15または16のいずれか一項に規定されている方法。
【請求項18】
請求項14ないし17のいずれかの一項の方法によって製造される複合物材料。
【請求項19】
続いて発泡させられた請求項1ないし13および18のいずれか一項に規定されている複合物材料。
【請求項20】
泡が閉塞セルの泡である請求項19の複合物材料。
【請求項21】
少なくとも一部のポリマーのダイラタントii)が泡のセル壁内に含まれている、請求項19または20の複合物材料。
【請求項22】
セルがガスをニューマトゲンとして含んでいる請求項19、20または21の複合物材料。
【請求項23】
ガスが窒素を含んでいる、請求項22の複合物材料。
【請求項24】
請求項19ないし23のいずれかの一項の複合物材料を製造する方法であって、それが下記:
d) その中にニューマトゲンの供給手段を含む射出成形機械の胴中で、請求項1ないし13または18のいずれかの一項で規定されている,未発泡複合物材料またはi)およびii)の混合物を受け入れること;
e) d)で規定された材料を、それが融けた形態になるような、高められた温度と高められ た圧とにもってくること;
f) ニューマトゲンを胴に供給すること;および
g) 加熱された複合物材料の圧を引き下げ、それによって複合物材料を発泡させること
からなる製造方法。
【請求項25】
段階g)において、複合物材料を型の中に射出するか押し出し成形するかによって圧が減少される請求項24の方法。
【請求項26】
請求項19ないし23のいずれかの一項の複合物材料を製造する方法であって、それが下記;
h) 請求項1ないし13または18のいずれかの一項で規定されている,未発泡の複合物材料またはi)とii)の混合物を、その中にニューマトゲンを供給する手段を含む密閉容器に受け入れること、
j) 複合物材料を高められた温度と高められた圧とにもっていくこと;並びに
k) ニューマトゲンを密閉容器に注入すること;および
l) 加熱されている複合物材料の圧を引き下げ、それによって複合物材料を発泡させること
からなる製造方法。
【請求項27】
容器の内部が型に作り上げられている請求項26の方法。
【請求項28】
請求項19 ないし23のいずれか一項に規定されている複合物材料を製造する方法であって、それが下記:
m) 請求項1ないし13または18のいずれかの一項で規定された、未発泡の複合物材料と共にまたはi)とii)との混合物の一成分または両成分と共に、ガスまたは蒸気を密封式に包み込むプラスチックの殻からなるミクロスフェアを受け入れること;
n) m)で規定されている材料を高められた温度と圧にもってくること;および
お) 加熱された複合物材料の圧を引き下げ、それによってミクロスフェアの膨張および複合物材料の発泡を起こさせること
からなる製造方法。
【請求項29】
連続基準で操作される請求項28の製造方法。
【請求項30】
請求項24 ないし29のいずれか一項の方法によって製造される発泡された複合物材料。
【請求項31】
請求項1ないし13、18、19ないし23および30のいずれか一項の複合物材料からなる成形物品。
【請求項32】
シート、フィルム、フィラメントまたはファイバーの形を取っている請求項31の成形物品。
【請求項33】
ファイバーの形を取っている請求項32の成形物品。
【請求項34】
芯が空洞である、請求項33のファイバー。
【請求項35】
第一の材料 i)が請求項3ないし9のいずれかの一項で規定され、および/または、第二の材料ii)が請求項10ないし12のいずれかの一項で規定されている、請求項33または34のファイバー。
【請求項36】
請求項32ないし35のいずれかの一項のフィラメントまたはファイバーを含んでいるテキスタイルまたは織布。
【請求項37】
請求項1ないし13、18、19ないし23および30のいずれかの一項の複合物材料;請求項 31ないし35のいずれかの一項の成形物品、または、請求項36のテキスタイルまたは織布、を含む衝撃防護システム。
【請求項38】
硬直または半硬直の成分を結び付けられている、請求項37の衝撃防護システム。
【請求項39】
テキスタイルを結び付けられている請求項37または38の衝撃防護システム。
【請求項40】
そこでは、自己成形に使われる請求項28または20に従属する時、複合物材料が請求項30で請求されている請求項37ないし39のいずれかの一項の衝撃防護システム、たとえば履物。
【請求項1】
弾性のある、変形速度につれて増大する変形下に抵抗性の負荷を見せる、細分されているかまたは細分されていなくて、i)第一のポリマーベースの弾性のある材料、および、ii) i)とは異なる第二のポリマーベース材料とからなる複合物材料であって;ii)は固体母材であるi)に閉じ込められ、i)の不存在ではダイラタンシーを示し、複合物材料が未発泡であるか、発泡される時には、発泡に先立ってi)に ii)組み込み込んで、第一の材料i)と第二の材料が緊密に混合され調製できる複合物材料。
【請求項2】
第一の材料i)および 第二の材料ii)を一緒に混ぜることによって達成できる請求項1の複合物材料。
【請求項3】
第一の 材料i)を構成しているポリマーが、EVAまたはオレフィンポリマー、たとえば、ポリプロピレンまたは高圧ポリエチレン(LDPE)、LLDPEまたはHDPEのようなエチレンポリマーを含む請求項1または2の複合物材料。
【請求項4】
第一の 材料i)を構成するポリマーがエラストマーを含む請求項1または2の複合物材料。
【請求項5】
エラストマーがラテックスゴムのような天然エラストマーである請求項 4 の複合物材料。
【請求項6】
エラストマーが合成エラストマーである請求項4の複合物材料。
【請求項7】
合成エラストマーがシリコーンゴム、ポリウレタンまたはEPDMのようなEPゴムである請求項6の複合物材料。
【請求項8】
合成エラストマーが熱可塑性エラストマーである請求項6の複合物材料。
【請求項9】
熱可塑性エラストマーがポリエステルを含む請求項8の複合物材料。
【請求項10】
第二の材料ii)を構成するポリマーが、ダイラタント性を示すシリコーンポリマーから選ばれる先行請求項のいずれか一項の複合物材料。
【請求項11】
シリコーンポリマーが硼酸化シロキサンポリマーから選ばれる請求項10の複合物材料。
【請求項12】
シリコーンポリマーが充填ポリボロジメチルシロキサンから選ばれる請求項11の複合物材料。
【請求項13】
細分されている、先行請求項のいずれか一項の複合物材料。
【請求項14】
a) 第一の材料i)の構成を意図するポリマーの融解;および b)それと第二の材料 ii)構成を意図するポリマーのダイラタントとの混合を含む請求項1の複合物材料を製造する方法。
【請求項15】
第一の材料i)の構成を意図するポリマーが請求項3ないし9のいずれか一項に規定されており、および/または、第二の材料ii)の構成を意図するポリマーのダイラタントが請求項10ないし12のいずれか一項に規定されている請求項14の方法。
【請求項16】
ポリマーのダイラタントが、混合段階(b)に先行し、および/または、その間に融かされる請求項14または15のいずれか一項に規定されている方法。
【請求項17】
混合および冷却の後に、複合物材料が仕上げにc)細分される請求項14、15または16のいずれか一項に規定されている方法。
【請求項18】
請求項14ないし17のいずれかの一項の方法によって製造される複合物材料。
【請求項19】
続いて発泡させられた請求項1ないし13および18のいずれか一項に規定されている複合物材料。
【請求項20】
泡が閉塞セルの泡である請求項19の複合物材料。
【請求項21】
少なくとも一部のポリマーのダイラタントii)が泡のセル壁内に含まれている、請求項19または20の複合物材料。
【請求項22】
セルがガスをニューマトゲンとして含んでいる請求項19、20または21の複合物材料。
【請求項23】
ガスが窒素を含んでいる、請求項22の複合物材料。
【請求項24】
請求項19ないし23のいずれかの一項の複合物材料を製造する方法であって、それが下記:
d) その中にニューマトゲンの供給手段を含む射出成形機械の胴中で、請求項1ないし13または18のいずれかの一項で規定されている,未発泡複合物材料またはi)およびii)の混合物を受け入れること;
e) d)で規定された材料を、それが融けた形態になるような、高められた温度と高められ た圧とにもってくること;
f) ニューマトゲンを胴に供給すること;および
g) 加熱された複合物材料の圧を引き下げ、それによって複合物材料を発泡させること
からなる製造方法。
【請求項25】
段階g)において、複合物材料を型の中に射出するか押し出し成形するかによって圧が減少される請求項24の方法。
【請求項26】
請求項19ないし23のいずれかの一項の複合物材料を製造する方法であって、それが下記;
h) 請求項1ないし13または18のいずれかの一項で規定されている,未発泡の複合物材料またはi)とii)の混合物を、その中にニューマトゲンを供給する手段を含む密閉容器に受け入れること、
j) 複合物材料を高められた温度と高められた圧とにもっていくこと;並びに
k) ニューマトゲンを密閉容器に注入すること;および
l) 加熱されている複合物材料の圧を引き下げ、それによって複合物材料を発泡させること
からなる製造方法。
【請求項27】
容器の内部が型に作り上げられている請求項26の方法。
【請求項28】
請求項19 ないし23のいずれか一項に規定されている複合物材料を製造する方法であって、それが下記:
m) 請求項1ないし13または18のいずれかの一項で規定された、未発泡の複合物材料と共にまたはi)とii)との混合物の一成分または両成分と共に、ガスまたは蒸気を密封式に包み込むプラスチックの殻からなるミクロスフェアを受け入れること;
n) m)で規定されている材料を高められた温度と圧にもってくること;および
お) 加熱された複合物材料の圧を引き下げ、それによってミクロスフェアの膨張および複合物材料の発泡を起こさせること
からなる製造方法。
【請求項29】
連続基準で操作される請求項28の製造方法。
【請求項30】
請求項24 ないし29のいずれか一項の方法によって製造される発泡された複合物材料。
【請求項31】
請求項1ないし13、18、19ないし23および30のいずれか一項の複合物材料からなる成形物品。
【請求項32】
シート、フィルム、フィラメントまたはファイバーの形を取っている請求項31の成形物品。
【請求項33】
ファイバーの形を取っている請求項32の成形物品。
【請求項34】
芯が空洞である、請求項33のファイバー。
【請求項35】
第一の材料 i)が請求項3ないし9のいずれかの一項で規定され、および/または、第二の材料ii)が請求項10ないし12のいずれかの一項で規定されている、請求項33または34のファイバー。
【請求項36】
請求項32ないし35のいずれかの一項のフィラメントまたはファイバーを含んでいるテキスタイルまたは織布。
【請求項37】
請求項1ないし13、18、19ないし23および30のいずれかの一項の複合物材料;請求項 31ないし35のいずれかの一項の成形物品、または、請求項36のテキスタイルまたは織布、を含む衝撃防護システム。
【請求項38】
硬直または半硬直の成分を結び付けられている、請求項37の衝撃防護システム。
【請求項39】
テキスタイルを結び付けられている請求項37または38の衝撃防護システム。
【請求項40】
そこでは、自己成形に使われる請求項28または20に従属する時、複合物材料が請求項30で請求されている請求項37ないし39のいずれかの一項の衝撃防護システム、たとえば履物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2007−516303(P2007−516303A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516486(P2006−516486)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【国際出願番号】PCT/GB2004/002784
【国際公開番号】WO2005/000966
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(504240119)デザイン ブルー リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】DESIGN BLUE LTD.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【国際出願番号】PCT/GB2004/002784
【国際公開番号】WO2005/000966
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(504240119)デザイン ブルー リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】DESIGN BLUE LTD.
【Fターム(参考)】
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