説明

エネルギー硬化型フレキソ印刷液体インクによるウェットトラッピングの方法および装置

本発明は、粘度をコントロールする非反応性希釈剤を含んだ、粘度の低いエネルギー硬化型フレキソ印刷用液体インクを使用し、順次的に塗布された重なり合ったインク層をウェットトラップするのに充分なだけ塗布層から充分な量の希釈剤が蒸発し、塗布されたインク層の粘度が増加するようにインク層の塗布の間の時間を制御することによって順次的に塗布されるインク層のウェットトラッピングを実装する方法およびその装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
当発明は、フレキソカラー印刷の方法および装置、より正確には、エネルギー硬化型フレキソ印刷用液体インクを使用した、フレキソ印刷では「ウェットトラッピング」として知られているウェットトラップ印刷法を実施するための方法および関連装置に関連するものである。
【0002】
発明の背景
マルチカラーインプレッション印刷工程では、一般的に、複数の単色インク層の連続的な重ね刷りが要求される。高品質の画像再生が望まれる場合、後に続く印圧ユニットが先に塗布されたインク層に逆転移するのを避けることが重要である。このような転移により通常色と色の間で汚濁が起こり、望ましくない演色を招くことになる。
【0003】
当技術分野において、この問題はいくつかの方法で対処されてきた。好ましくない色の汚濁を防ぐ最も単純な方法は、インク層の重ね刷りを行う前に、先に塗布された各インク層を乾燥させることである。この方法は効果的ではあるものの、各インク層を塗布した後、インクを完全に乾燥させる必要があるという、大きな不利点がある。インクを完全に乾燥させるのには時間とエネルギーがかかるため、生産性が下がり、生産コストが増加してしまうのである。
【0004】
印刷工程の促進を目指し、ウェットトラッピングが開発された。本発明において「ウェットトラッピング」とは、各インク付けステーションで溶着または塗布されたインク層が乾燥する前に、その上に次のインク層を溶着して、色彩効果あるいは視覚効果を提供する工程、と定義される。ウェットトラッピングを行う際に、重ね合わされるインク層のタック特性が異なるものであるよう操作することが重要である。
【0005】
オフセット印刷で使用されるインクの粘度は20,000から100,000cps(字/秒)であるため、ウェットトラッピングはオフセット印刷においては深刻な問題にはならない。このような粘度の高いインクは本質的に多様なタック特性を示すため、インク付けステーション間でインクを乾燥させる必要なしに、ウェットトラッピングを行うために使用することができる。
【0006】
近年、ボール紙からポリエチレンそして金属にいたる、様々な種類の被印刷体への印刷を可能とする印刷形式が広く受け入れられている。この印刷方法はフレキソグラフィーまたはフレキソ印刷として知られている。
【0007】
フレキソ印刷は、弾力性があり凸部のある印刷版を使用し、この印刷版にインクを塗って被印刷体に押し付け、インクを被印刷体に転移する。フレキソ印刷において、インクはインク溜めから、当技術分野においてアニロックスロールとして知られている中間転写ロールを介し、印刷版の凸部に転移される。アニロックスロールの表面は、インク溜めから供給されるインクで満たされ、それをフレキソ印刷版に転移する、複数の小さなインクつぼで覆われている。高品質な印刷に、フレキソ印刷版表面への均一で一貫したインクの供給が求められることは明らかである。これは言い換えると、アニロックスロールのセルが小さいものであり、すべてのアニロックスセルが毎回ほぼ同じレベルまで、インク溜めから供給されるインクで満たされることが求められているということである。
【0008】
このような条件はインクの流動性あるいは粘度に制限をもたらす。アニロックスロールは、粘度のあるインクを均一に一貫して吸引しないため、フレキソ印刷版の表面を均一にインク付けすることができない。結果は、一般に粘度2,000cps以下、望ましくは400cps以下の液体インクがフレキソ印刷での使用に適しているということであった。
【0009】
現在の溶剤放出に関する規則のため、フレキソ印刷に適したエネルギー硬化型の印刷用インクの開発がなされた。当該インクは溶剤を含まず、また乾燥することによってではなく、紫外線や電子ビームなどの化学線放射により被印刷体に固定される。フレキソ印刷用液体インクのタックは非常に低く、従来型の機器では的確に測定することができない。一般的に粘度は、約30から50cpsの範囲にある。当該粘度範囲により結果的に高質のフレキソ印刷が行われるが、フレキソ印刷用のエネルギー硬化型フレキソ印刷液体インクは、タックが非常に低く、タック評定をすることができない。また、被印刷体上に先に塗布されたインクから、後に続くインク付けステーションのインク付けロールへの色の逆転移や混和を防ぐため、当該フレキソ印刷用のエネルギー硬化型フレキソ印刷液体インクを、インク付けステーションの間で硬化しなくてはならない。このようなステーション間での硬化には、かなりの設備改造が必要となり、高額な費用がかかる。またこのような硬化は、先に溶着されたインク層を硬化させるため、次のインク層の溶着までに要される時間が長くなり、従って印刷工程の速度が落ちることから、製造の見地からも望ましくはない。
【0010】
ウェットトラッピングはまた、複数層のインクを重ねて溶着する際に、各層が新しく溶着される層よりも粘度の高い層の上に溶着されれば、色の相互汚染は起こらない、という認識に基づき、エネルギー硬化型ではないフレキソ印刷についても提案されている。粘度の最も高い層は、いわば、下層を印圧ユニットに逆転移することなく二番目の層をトラップすることになる。しかしながら、入手可能なフレキソ印刷インクの粘度範囲内で、ウェットトラッピングを達成するために先に塗布された層の粘度とは充分に異なり、各層ごとに絶えず粘度が減少していくインクを使用するウェットトラッピングを実行するのは、特に塗布する層の数が多くなるほど現実的なことではない。要するに、ウェットトラッピングを実行するために使用可能なインクの粘度が尽きてしまうのである。
【0011】
米国特許第5,690,028号は、特にセントラルインプレッション(CI)フレキソ印刷に適した、エネルギー硬化型インク使用のマルチカラー印刷におけるウェットトラッピング法を用いて、前述のインク粘度範囲の限界の問題解決を試みている。当該特許によると、エネルギー硬化型インクは被印刷体に塗布される前に加熱され、先に塗布されたインク層よりも高い温度で被印刷体に塗布される。先に被印刷体に塗布されたインク層の温度が、次に塗布されるあるいは重ね刷りされる、加熱されたインクの温度よりも低いため、先に塗布されたインク層の粘度は次に塗布されるインクの粘度よりも低くなる。この粘度の差により、粘度の低いインクが粘度の高いインクの上に一方的に転移され、逆トラッピングおよびインクの混合を防ぐことになる。
【0012】
このウェットトラッピング法によって希望の結果は得られるものの、被印刷体にインクを塗布する前の各インク付けステーションに加熱ユニットを提供するためには、既存の印刷機に大幅な改造が必要となる。さらに、ステーションの数が増えるのに伴い、一連のインク付けステーションにおけるインクの温度も上げなくてはならない。従って、その特性に悪影響を与えるレベルまでインクの温度を上げることを防ぐため、被印刷体を冷やすか、印刷速度を遅くすることが必要となる。
【0013】
このように、エネルギー硬化型のフレキソ液体インクを使用し、既存の印刷機の改造をほとんど要せず、さらにその上高速な処理量を可能にするウェットトラッピングを行う方法が、いまだに必要とされている。
【0014】
発明の要約
当発明は、少なくとも一つのエネルギー硬化型フレキソ印刷液体インクを使用し、最初に印刷されたエネルギー硬化型フレキソ印刷液体インクを事前に乾燥させることなく、その上に次の異なった色の類似のインクを印刷する、被印刷体への複数インク層の重ね合わせによるフレキソ印刷の方法を提供する。
【0015】
以下の順番により、ウェットトラッピングを行うために、被印刷体上に複数のインク層を塗布する方法:
(a) 少なくとも一つの、粘度約4000cps以下の、非反応性の希釈剤を含むエネルギー硬化型液体インク層を、被印刷体上に塗布する。当該エネルギー硬化型液体インク層が、一番目の粘度を有する;
(b) 塗布されたインク層の少なくとも一部分の非反応性希釈剤を蒸発させる。これにより、塗布されたエネルギー硬化型液体インク層の粘度が増加する;
(c) 少なくとも一層の、前述の先に塗布されたエネルギー硬化型インク層の増加された粘度よりも低い粘度を有する、非エネルギー硬化型液体インクを、前述の被印刷体、および増加した粘度を有する、前述のエネルギー硬化型インク層に塗布する;また、
(d) 両方のインク層を、前述の被印刷体に固定する。
【0016】
当発明は、被印刷体上に複数のインク層を印刷する方法を提供する。この方法は一番目と二番目のエネルギー硬化型液体フレキソ印刷インクの選択を含む。各インクは、希釈剤の重量に基づいた、重量パーセント50%以下の非反応性希釈剤を含み、それぞれ4,000cps以下、望ましくは30から70cpsの間の粘度を有する。一番目と二番目のエネルギー硬化型液体フレキソインクは順次被印刷体上に塗布され、重なり合った部分を有する一番目と二番目のインク層を形成する。そのとき、二番目のインクは、前述の一番目のインク層の非反応性希釈剤の少なくとも一部が蒸発した後に塗布される。
【0017】
この発明はまた、ウェットトラッピングを行うために、少なくとも一つのインク層が非反応性希釈剤を含み、粘度が4000cps以下であるインク層を複数重ね合わせて被印刷体に順次塗布する装置を提供する。この装置は以下を含む:
(a) 被印刷体の経路、および前述の前もって決定された経路に沿って、前述の被印刷体を移送するための被印刷体の駆動部;
(b) 前もって決定された前述の経路に沿って間隔を取った複数のインク付けステーション。前述のインク付けステーションは、非反応性希釈剤を含み、粘度4000cps以下のインクを前述の被印刷体上に塗布する;および
(c) 前述の被印刷体の前述の経路に沿った移送を制御するコントロールシステム。
このシステムにより、前述のインク付けステーションの一つで前述の被印刷体に塗布された一番目の液体インク層の粘度が,前述の希釈剤の少なくとも一部の前述の一番目のインク層からの蒸発によって増加する。増加した粘度は、前述の一番目のインク付けステーションから間隔を置いた次のステーションで前述の一番目のインク層の上に塗布される二番目のインクの粘度よりも高く、また、前述の被印刷体が前述のインク付けステーションの間を移送される際に、前述の二番目の液体インクをウェットトラップするのに充分な粘度となる。
【0018】
本発明によると、インク層の順次的印刷ステップは、エネルギー硬化型インクを複数回順次的に印刷することにより、何度も繰り返される。このとき、毎回先刷りされた層の希釈剤の少なくとも一部分を乾燥させ、それによって次のインクの層を印刷する前に、その粘度を増加させていく。
【0019】
さらに、本発明によると、この発明はまた、エネルギー硬化型インク層の希釈剤の少なくとも一部を蒸発させることにより、被印刷体上のインク層の粘度を増加させる工程である。この工程は、次のインクを塗布する前にインクの付いた表面を加熱する、あるいは表面に空気を吹き付けることにより加速することができる。
【0020】
図面の簡単な説明
図1は、当発明に基づいて構成されたウェットトラッピング用のフレキソ印刷機を示す。図2は、当発明によるウェットトラッピング用装置の代替的な実施例を示す。
【0021】
発明の詳細な説明
以下、適宜図を参照して、当発明の説明をする。これらの図は発明の理解を助けるためのもので、そのために必要な要素のみを図示しており、どの装置も一定の比例に拡大して描かれたものではなく、また実際に市販・使用されている装置を表すことを意図したものではない。
【0022】
本発明は、フレキソ印刷環境におけるエネルギー硬化型液体フレキソインクのウェットトラップ印刷の斬新な工程に関連する。このとき当該インクは、望ましくは、2002年5月6日提出の「水性単相エネルギー硬化型組成物」と題され、その全面的な内容が参照文献として明確にここに組み込まれている、同時係属中の米国特許60/380081号にて開示されたタイプのものと同様に、調合された、エネルギー硬化型で水溶性の、単相の組成物である。またその他の、同種の特性を有する非水溶性組成物を使用することもできる。他のフレキソ印刷のインクとは対照的に、上記同時係属中の出願の水溶性エネルギー硬化型フレキソ印刷液体インクは、乾燥に伴うタックの変化は最小限であるが、以下に説明されるよう、フレキソ印刷のウェットトラッピングを実現するのに充分な粘度の変化を示す。
【0023】
これらのエネルギー硬化型、単相フレキソ印刷用液体インクは、単一要素、3要素、または4要素からなる組成物であり、酸または塩基により中和できる樹脂と、有機溶剤、水、またはそれらの組み合わせなどの非反応性希釈剤を含む。非反応性の希釈剤はこれらのインクの粘度をコントロールするために使用される。
【0024】
当発明における印刷に適した単相組成物はエネルギー硬化型である。ここで使われる「エネルギー硬化型組成物」という用語は、紫外線放射(UV)や放射線(EB)などの化学線のエネルギー源の影響により、重合化または架橋化できる組成物を意味している。またここで「紫外線放射」とは、約190nm(ナノメートル)から約500nm、望ましくは約200nmから420nmの範囲の波長を有する放射線を含むよう意図されている。この種の化学線は、例えば水銀灯、キセノンアーク灯、蛍光灯、単色レーザー源、その他の多様な線源から得られる。
さらにここで使用されるような電子線放射線は、典型的には70から200kVで作動し、一般的に1から4mRad(ミリラド)の範囲で放射線を放射する放電装置または電子線装置などから放射される、高エネルギーの電子を包含するように意図されている。
【0025】
本発明で使用されるのに適したインク組成物の一つの実施例において、非反応性希釈剤は水である。しかしながら、アルコールや、アルコールと水の混合など、その他の非反応性希釈剤を含んだ組成物を使用することもできる。また、新しく塗布されるインク層の粘度に比べ、すでに塗布された各インク層の粘度を充分に増加させ、新しい印刷層のウェットトラッピングを行うことで、色彩効果または視覚効果を得るのに適した別の希釈剤で、インク層の連続的な塗布の合間に、適当な時間内で充分な量の希釈剤を蒸発させるだけの揮発性を有するものを含んだ組成物を使用してもかまわない。
【0026】
実際面では、環境中に放出される溶剤の許容量を規定する保健条例および公害防止条例に準じているため、水性のエネルギー硬化型インク組成物の使用が特に望ましいとされている。従って、本発明では、当該組成物が使用される可能性が最も高いことから、水性インク組成物の使用について説明する。発明の説明におけるこのような制限は、しかしながら、限定とは解釈されない;そこで、同様のインク粘度特性、および同等の非反応性希釈剤蒸発特性を有する放射エネルギー硬化型のインクは、本発明の範囲内であるとみなされる。
【0027】
本発明により提供された、複数の、少なくとも部分的に重なり合ったインク層を被印刷体に塗布する方法は、被印刷体上に層をなして溶着された後の、エネルギー硬化型液体インク(水などの希釈剤を含んだ水性インク等)の迅速かつ比較的大きな粘度の変化に依存している。本発明での使用に適した被印刷体は、先刷りされた層を含んでいてもよい。本発明の下に先刷りされたインク層に関しては、各インク層は、インク付けステーションで被印刷体に溶着される、カラー画像の印刷に使用される個々のインクと同数のインク付けステーションがある。各インク付けステーションにおいて、インクはインク溜めからアニロックスロールを介し、E.I. DuPont de Nemours and Company, Inc (デュポン社)製Cyrelポリマー印刷版などのフレキソ印刷版へ転移される。インクはさらに、印刷版からフレキソ印刷版によって印刷される被印刷体上、例えば、非吸収性のウェッブやポリエチレンフィルムシート、あるいはその他の吸収性、または非吸収性の被印刷体上に転移される。
【0028】
被印刷体上に溶着されるフレキソ印刷用液体インクの最初の粘度は、一般に約4000cps以下、望ましくは1200cps以下であるが、特定の印刷の用途に応じ、粘度2000cpsのインクを使用することもできる。先にも説明したように、インク溜めからアニロックスロールを介して、印刷版表面までインクを良好に転移するためには、粘度が低いほうが好適である。
【0029】
ひとたびインクが被印刷体上に溶着されると、非反応性希釈剤が蒸発を始める。蒸発速度は、温度、気圧および相対湿度などの周囲条件と並び、選択された非反応性希釈剤の関数である。また、塗布されたインクあるいは塗布層の表面積の急激な増加、被印刷体に空気を吹き付けることも含む被印刷体に塗布されたインク層上の空気循環の増加、また被印刷体に吹きかけられる空気の加熱、あるいは赤外線ランプなどによる加熱によっても、蒸発は助長される。選択された印刷用インクの種類によっては、非反応性希釈剤のほんの少量の除去でさえも、溶着されたインク層の粘度に大きな、そして適切な変化をもたらすことがある。
【0030】
インク層が、被印刷体上、および先に溶着されたインク層のすべてではなくても少なくとも一部分の上に、通常は違う色の次のインク層を溶着する次のインク付けステーションに到達するころには、溶着されたインク層の粘度は、新しく溶着されるインクに逆トラップすることなくインク層をウェットトラップするのに充分なだけ増加し、先に溶着されたインクの溶着時の粘度と通常同範囲になる。したがって、水のような、粘度を調整する非反応性希釈剤を少量含んだ、エネルギー硬化型インクを選択することにより、例えばインクの加熱や、インク付けステーション間でのインク層を含んだ被印刷体の冷却、またはインク付けステーション間でのインクの硬化などにより、インクの粘性を変える必要もなく、複数のインク層のウェットトラッピングを実行することができる。
【0031】
本発明によると、一旦インク層がすべて塗布されたら、すべての塗布層を固定するのには、適切なエネルギー硬化源による一度の硬化処置で充分である。
【0032】
当該ウェットトラッピング工程はエネルギー硬化型フレキソ印刷用液体インクの使用に限定されるものではなく、少なくとも一つの非エネルギー硬化型インクのインク層を含むことができる。例えば、上記で開示された種類のエネルギー硬化型フレキソ印刷用液体インク層を塗布することができ、また、この層の被印刷体への塗布に続いて、非エネルギー硬化型のフレキソ印刷用インク層を塗布することができる。この時この二番目の層は、一番目の層の増加された(希釈剤のすべてまたは一部の蒸発による)粘度よりも低い粘度を有する。再び、粘度の差異のために、ウェットトラッピングが行れるのである。また、この二番目の層が最上層つまり最後に印刷される層である場合、すべてのインク層は従来の乾燥方法・手段により硬化され、被印刷体上に溶着されたインク層は同時に固定される。
【0033】
本発明のさらに別の実施例では、いくつものエネルギー硬化型の従来のインク層が重なり合ってインク付けされ、なお、さらに本発明のウェットトラッピング技術が使用される。例えば、前述のように、一番目の粘度を有する一番目のエネルギー硬化型インクを、一番目の層として塗布することができる。そして、この一番目のインク層の増加された粘度よりも低い粘度を有する従来のインクの層を、次のインク付けステーションで粘度の増加された層の上に塗布し、二番目の層を形成することができる。次に二番目の層の粘度よりも低い粘度を有する、二番目のエネルギー硬化型インクを使用して、三番目の層が二番目の層の上に塗布される。この層の粘度もまた、非反応性の希釈剤の蒸発に伴い、次のインク付けステーションに到達する前に増加する。四番目のインク付けステーションでは、三番目の層の増加した粘度よりも粘度の低い、また別のエネルギー硬化型インクを使用して、三番目の層の上に四番目の層が塗布される。従来のインク層の粘度があまりに低く、それよりも粘度の低いエネルギー硬化型インクが入手できない場合は、従来のインク層の乾燥が実装される。このように、「ハイブリッド(混合型)」工程と呼ばれる方法によって、本発明の工程を実行することが可能である。この方法では、特定数の層のみが当発明に基づく粘度の変化度によるウェットトラッピングによって実装され、その他の特定のインク層は、インクの組み合わせを使用して、追加のインク層が塗布される前に乾燥または硬化される。このようなハイブリッド工程は、しかしながら、可能でありまた本発明の範囲内ではあるものの、塗布されたすべての層がエネルギー硬化型のフレキソ印刷用液体インクの層である工程に比べ効率が良くない。
【0034】
図1は本発明の装置を示す。この図に示される装置10は、セントラルインプレッション(CI)印刷機に類似している。セントラルインプレッション(CI)印刷機とは、少なくとも幾つかのインクが重なり合った複数のインク層を含んだ多数の画像を印刷する、フレキソ印刷業界でしばしば使用される印刷機である。このような装置をつくる技術は当技術分野において周知のものであるため、当装置に組み込まれた標準のセントラルインプレッション印刷機を、液体インク層を重ね合わせて塗布した際にウェットトラッピングができるフレキソ印刷機に変えるための要素についてのみ説明する。
【0035】
図1に示されるように、装置10は外周表面14を有する被印刷体支持筒ドラム12を含む。ドラム12の外周面14の周りには、多数のインク付けステーション18が表面沿いに間隔をおいて位置している。当該ステーションが3つ図示されているが、これは例証のためのみに決められた数であり、当発明の範囲から逸れることなく、これ以下またはこれ以上の数のステーションをドラムの回りにおくことができる。
【0036】
各インク付けステーションは、インク溜め20、インク付けロール22、および印刷版支持ロール24を備えている。インク付けロールは、望ましくは、アニロックスロールであり、インク溜めからのインクを被着し、そのインクを印刷ロールに搭載された印刷版に転移するように位置付けられる。印刷ロールはドラム12に対し、図示の各ステーションのそれぞれの接点A、B、Cにおいて、ドラム12により支えられているウェッブ16上にインク層を塗布するように、位置付けられる。ここで説明されているようなインク付けステーションは、当技術分野において周知のものであり、セントラルインプレッション印刷機に広く使用されているものであるため、ここではこれ以上の説明はせず、当該インク付けステーションが、粘度4,000cpsを大きく下回る液体インクの取り扱い能力を有するべきものであることのみを記載しておく。
【0037】
エネルギー硬化ステーション38は、望ましくは、やはり最後のインク付けステーションの後に位置するドラム12の周りの、ウェッブ16の経路に沿って位置付けされる。当該硬化ステーションもまた、当技術分野において周知のものであり、これ以上の説明を必要としないが、本発明に基づいて使用される硬化ステーションの選択において、これらのステーションが、当発明の実施の際に使用される液体インクを硬化するのに必要とされる種類のエネルギー出力を備えていなくてはならないことだけは記載しておく。
【0038】
被印刷体支持ドラム12は、モーター30によって駆動されるベルト36および滑車32、34を備えた駆動部を使用し、回転速度ω rpmで回転駆動される。当該駆動部は、例えば滑車32、34の相対的なサイズを変えたり、モーター30により駆動される滑車32の回転速度を変えることによって、回転速度ωを変更することを可能にする。図に示された駆動部は例証用のものでこれに限定されるものではなく、可変スピードモーターのドラムへの直接的接続や、ギアボックスを介した駆動モーターのドラムへの接続などを含め、ドラム12の回転速度を変えるための当技術分野で周知の他の駆動部を、当発明の範囲内で使用することができる。
【0039】
本発明に基づき、セントラルコントロール28、ローカルコントロール26、またユーザーインターフェース40によって通常表されるコントロールシステムが、さらにこの装置に提供される。このコントロールシステムは、一番目のインク付けステーション18のポイント「A」でウェッブ16に塗布された一番目のインク層の粘度が、少なくとも一部分の非反応性希釈剤の蒸発により増加し、次に続くインク付けステーション18’のポイント「B」で重ねて塗布された二番目のインクの粘度よりも高く、二番目の液体インクをウェットトラップするのに充分な粘度となるように、装置をコントロールするため使用される。
【0040】
当コントロールシステムは、多くの方法の中の任意の一つによりこの結果を実現する。最も単純な方法では、インク付けステーション18、18’、および18”はすべて、特定の角度間隔θ、θ等でドラム12の周りに固定される。この場合、当コントロールシステムは、ポイント「A」で被覆された層が、ポイント「B」で塗布されるインク層のウェットトラップをするのに充分な高さの粘度でポイント「B」に到達するように、ドラムの回転速度ωを、ポイント「A」で被覆された層の蒸発を介して希望の粘度に変えるのに必要とされる時間の関数として調整する。
【0041】
所要時間は希望の粘度の変化の関数であり、粘度の変化は、二つのインク付けステーションで使用される液体インクの種類、最初のインク付けステーションで被覆される層の厚み、および蒸発に影響を与える周囲の環境条件の関数である。所要時間は、種々のインクおよび塗布されるインクの厚みに関して、実験的に決定することができる。このデータは、印刷の開始に先立って得られ、装置のオペレーターのために用意されていることが望ましい。
【0042】
このデータは、コントロールシステムの一部である電子メモリー(ブロック28に含まれる)に保存され、各インク付けステーションで使用されるインクの種類、および各インク付けステーションで塗布されるインク層の厚みによって索引付けされる。従ってオペレーターは、インターフェース40を介して、単にインク付けステーション18および18’で塗布されるインクの種類とインク層の厚みをコントロールシステムに入力するだけで、回転速度の情報を簡単に入手することができる。
【0043】
実際の商業用印刷のほとんどの場合がそうであるように、二つ以上のインク付けステーションが使用される場合、当該コントロールシステムは、すべてのインク付けステーションにおいて、ウェットトラッピングを行うために適切なだけ粘度を増加させるのに必要なインク層の蒸発の所要時間で、ウェッブをステーション18、18’、18”等の間で転移する、ドラム12の平均速度を算出するようにプログラムされている。
【0044】
コントロールシステムはまた、ドラム表面のウェッブ転移経路に沿って動き、ステーション間の角度間隔θ、θ等を変化させる、可動インク付けステーションを含む。このような変化は手動によっても、コントロールシステムの一部として各インク付けステーションに位置する個々のポジションドライブ26を使用して自動的にも提供することができる。
【0045】
コントロールシステムはさらに、各溶着インク層の粘度を、蒸発により、当該インク層がその上に溶着される次のインク層をウェットトラップするのに充分なだけ増加させる、という条件に合わせて、インク付けステーションの位置決めとドラムの回転速度ωの両方を調整できるように、可変スピードドライブと可変ポジションドライブの両方を含んでいる。
【0046】
このような配列のコントロールシステムは、メモリーに保存された粘度変化のデータを含む。このデータは、印刷の際に塗布されるインクの種類と層の厚みを入力すると、位置決めと回転速度の情報をオペレーターに提供するように索引付けされている。これは、当技術分野において周知の、中央演算処理装置または「CPU」、キーボードなどの入力装置、メモリーおよび表示装置などを使用することで、容易に実現できる。他のコントロールシステムでは、例えば、使用されるインクおよび層の厚みについて入力されたデータに基づき、インク付けステーションに関連するポジションドライブ26を使用することにより、CPUがドラムの回転速度と使用されるインク付けステーションの位置決めメカニズムの両方を直接コントロールすることがある。
【0047】
任意選択により、非反応性希釈剤の蒸発を助ける素子42がインク付けステーション間に置かれることもある。当該素子は、加熱素子、空気吹き付け素子、あるいはそれらの組み合わせであり、従来の技術で典型的なステージ間のドライヤーの一般的な溶剤回収装置を含まない。従来の技術においてステーション間での乾燥素子が必要とされていたのに反し、これらの素子は当発明では任意選択的使用を企図しており、塗布されたインク層の粘度がインク付けステーション間で転移されるのに伴い増加するように、蒸発工程の加速を促進するために使用される。当該素子が存在すると、場所が必要となり、エネルギーが消費され、ドラム表面が加熱されるため、当該素子の存在しない工程を実行するほうが望ましい。結果として、当発明に基づいて形成された装置は、特定数の印刷ステーションを備えたドラムの直径を減少させることができ、また、特定の直径を有するドラムの周りに存在する印刷ステーションの数を増加させることのできる構造を可能にする。さらに、当ドラムは、表面的には類似している、従来の技術のセントラルインプレッションシリンダー印刷に典型的に見られるような、特別なドラム冷却システムを必要としない。また本発明に基づいて形成された装置は、ドラムの構成部品を、一般的な金属または金属合金素材から、例えば、ポリマー合成物またはポリマー鋳型に変えることを可能にし、それによってセントラルインプレッションシリンダードラムの重さおよびコストを大幅に削減することができる。
【0048】
本発明に基づいた装置は図1に示されるセントラルインプレッション印刷機と同種である必要はない。しかし、図2に示されるように、当発明は、それぞれ被印刷体支持部またはドライブ48に接続されたバックアップロール46を備えた、多数のインク塗布機またはインク付けステーション44、および被印刷体表面との接触面で回転する取り付けロール50の印刷版を含むインライン式印刷機により実施されるものである。アニロックスロールなどのインク転移ロール52は、インク溜め54から取り付けロール50に設置された印刷版にインクを転移するために使用される。
【0049】
被印刷体は、複数のウェッブ誘導ローラー56、58を介し、任意数の記載の種類のインク付けステーション44を通って、連続的、順次的に被印刷体を移送する経路60に沿って誘導される。誘導ローラーは、望ましくは、エアバーのような、非接触式ウェッブ回転ローラーである、ウェッブ誘導ローラー56を含む。当該非接触式ローラーおよびエアバーは当技術分野において周知のものであり、詳しい説明は必要ではない。例えば、非接触式移動性ウェッブ誘導体・ドライヤーの説明をしている、米国特許5,640,784号を参照されたい。
【0050】
図1に関して先に説明されたのと同様に、図2の印刷機もまた被印刷体の移行速度を変更するために使用される、コントロールシステム62を含む。移行速度は、インク層が塗布され、塗布されたインク層の充分な量の非反応性希釈剤が蒸発し、被印刷体がポイントA、BおよびCに到達した時に次に塗布されるインク層をトラップするのに充分なだけ、塗布されたインク層の粘度が増加するのに必要な時間が経過した後に、被印刷体がそれぞれのインク付けステーション44、44’、44”に到達するように変更される。図1に関して説明されたように、この速度は、ウェッブ転移を移送する可変速モーターの使用、またはウェッブドライブのギアレシオの変化によって変えることができる。またこの速度は、望ましくは、粘度の変化との関係を、被覆の厚み、使用されたインクの種類、および任意的に、周囲の条件の関数として示す規定の表に基づいて、手動または自動的に決定することができる。
【0051】
さらに図1に図示された装置の場合に説明されるように、コントロールシステム62は、ステーション間の経路の長さを変更する方法を含むこともある。これは、例えば、ローラー58を引き上げたり、インク付けステーションをさらに遠くに離したりすることによって、被印刷体が移動するインク付けステーション間の距離を、手動で調整する措置により実現できる。ローラー58は、ピストン68を介したコントロールシステム、あるいはその他の同種の方法により自動的に引き上げることができる。一方、インク付けステーションは、図示はされていない、誘導フレーム上に移動可能な状態で支持され、被印刷体の経路に沿って滑り動くことが可能である。このような機械的配置は当技術分野において周知のものである。
【0052】
図1、2のいずれかの装置を使用した実例において、被印刷体ウェッブは多くのインク付けステーションを通過して駆動される。インク塗布の工程を開始する前に、オペレーターは、インク層が被印刷体に塗布された後、次の層がその上に塗布される前に、各塗布層の粘度が希望のトラッピングレベルまで増加するのに要する時間を決定する。オペレーターはこの時間を、インク塗布中の周囲の条件下における、各インクの粘度変化のデータに基づいて決定する。これは印刷されたリストか、そのようなメモリーが入手可能であればコントロールシステムのメモリーに保存された情報などの、規定のデータ表を使用することによって最も効果的に実行される。
【0053】
層の塗布の間の遅延時間の選択に続いて、オペレーターは駆動速度、ステーション間の間隔、またはその両方を設定し、ウェットトラッピングを実行するために塗布したインク層の粘度が増加するのにかかる遅延時間を(非反応性の希釈剤の蒸発により)求める。CPUやインクの構成および粘度に関するデータを含むメモリーが利用できる場合は、オペレーターがインクの種類や周囲の条件を入力すると、コントロールシステムが自動的に適切な速度および/またはステーション間の間隔を設定する。
【0054】
図1、図2の両方の装置は、最後のインク付けステーションに続くインク固定ステーション70を含む。インク固定ステーションでは、層を被印刷体全体に固定するため、エネルギー硬化型インク層にエネルギーが加えられる。エネルギー硬化型インクの性質により、固定ステーションでは紫外線(UV)や電子ビーム(EB)、その他の適切な化学線源などの、化学線放射源が使用される。
【0055】
以下の例により当発明の例証を行う。
これらの例では、ステーション間で乾燥や硬化をしない、従来のセントラルインプレッションフレキソ印刷機を使用し、ポリエチレン(例えばPE、HDPE、LDPE)、ポリプロピレン(例えばPP、OPP、BOPP)、ポリスチレン(例えばPS、OPS、BOPS)、ポリアミド(例えばナイロン)、ポリ塩化ビニル(例えばPVC)、またはポリエチレンテレフタレート(PET)薄膜などの非多孔性の被印刷体に印刷された、多色(黄色、赤、青、黒および白))のエネルギー硬化型、水性フレキソ印刷用インクを使用している。パーセンテージはすべて、特記されていない限り、インク組成物の合計重量に基づいた、重量パーセントである。
【0056】
例1
印刷機は、チェンバードクターブレードポンプシステムとFusion 200−600 ワット/インチ(watt/inch)の紫外線Hバルブ硬化ステーションを内蔵した、Kidder 社製、溶剤ベースインク用6色ワイドウェッブセントラルインプレッションフレキソ印刷機を使用。印刷機の印刷ステーションは中央シリンダーの回りに位置する。中央シリンダーの周りの印刷ステーションの間隔は以下の通り:
ステーション1と2の間の距離は24.9インチ;
ステーション2と3の間は28.9インチ;
ステーション3と4の間は36.3インチ;
ステーション4と5の間は28.9インチ;また、
ステーション5と6の間は24.9インチ。
最後のインク付けステーションと硬化ユニットの間の距離は約12フィート。
【0057】
印刷ステーションはウェットトラッピングエネルギー硬化型インクを用いて設定された。印刷版には固体DuPont Cyrel(デュポンサイレル)感光性樹脂フレキソ印刷版を使用。チェンバードクターブレード、および各インチごとに異なった数のラインのついているアニロックスロールも使用された。この例では、インク付けステーション1は使用されていない。インク付けステーション2は、以下の組成の黄色のインクを含む:
12.5 % 黄色の顔料(ドイツ、フランクフルトのClariant社製Permanent Yellow GDR)
30.6 % 水溶性、エチレン不飽和樹脂(NJ州Fort Lee、Sun Chemical 社製、樹脂924−1069、WO 99/19369号に記載)
6.3 % 過剰分散剤(Avecia製Solspers 41090)
0.3 % シリコン脱泡剤(Byk−Chemie製Byk 019)
26.2 % 水溶性、エチレン不飽和低重合体(BASF Corporation製、Laromer 8765の商標名で入手可能)
2.2 % 水不溶性、エチレン不飽和低重合体(Sartomer Corporation製、Sartomer SR 610)
5.0 % 光重合開始剤(Ciba Specialty Additives製、Irgacure 500の商標名で入手可能)
1.1 % シリコンフロー添加剤(Dow Corning製、DC 57の商標名で入手可能)および
16.0 % 水。
【0058】
インク付けステーション3は使用されない。インク付けステーション4は以下の組成の青インクを含む:
15.0 % 青色顔料(NJ州Fort Lee、Sun Chemical社製、Sunfast 249−1290の商標名で入手可能)
30.4 % 水溶性、エチレン不飽和樹脂(Sun Chemical 社製、樹脂924−1069)
0.5 % アンモニア(27−30 %濃度水溶液)
6.3 % 過剰分散剤(Avecia製、Solspers 41090)
0.3 % シリコン脱泡剤(Byk−Chemie製、Byk 019)
26.1 % 水溶性、エチレン不飽和低重合体(BASF Corporation製、Laromer 8765の商標名で入手可能)
2.1 % 水不溶性、エチレン不飽和低重合体(Sartomer Corporation製、Sartomer SR 610)
5.0 % 光重合開始剤(Ciba Specialty Additives製、Irgacure 500の商標名で入手可能)
1.1 % シリコンフロー添加剤(Dow Corning製、DC 57の商標名で入手可能)および
13.5 % 水。
【0059】
インク付けステーション5は以下の組成の黒インクを含む:
15.0 % カーボンブラック顔料(Degussa製、Printex 35) 30.4 % 水溶性、エチレン不飽和樹脂(Sun Chemical 社製、樹脂924−1069)
0.5 % アンモニア(27−30 %濃度水溶液)
6.3 % 過剰分散剤(Avecia製、Solspers 41090)
0.3 % シリコン脱泡剤(Byk−Chemie製、Byk 019)
26.1 % 水溶性、エチレン不飽和低重合体(BASF Corporation製、Laromer 8765の商標名で入手可能)
2.1 % 水不溶性、エチレン不飽和低重合体(Sartomer Corporation製、Sartomer SR 610)
5.0 % 光重合開始剤(Ciba Specialty Additives製、Irgacure 500の商標名で入手可能) manufactured by Dow Corning)、
1.1 % シリコンフロー添加剤(Dow Corning製、DC 57の商標名で入手可能)および
13.5 % 水。
【0060】
最後に、インク付けステーション6は以下の組成の白インクを含む:
33.8 % 白色顔料(Tioxide Corporation製、Tioxide R−HD6X)
9.0 % 水溶性、エチレン不飽和樹脂(Sun Chemical 社製、樹脂924−1069)
0.3 % 過剰分散剤(Avecia製、Solspers 41090)
0.3 % シリコン脱泡剤(Byk−Chemie製、Byk 019)
26.1 % 水溶性、エチレン不飽和低重合体(BASF Corporation製、Laromer 8765の商標名で入手可能)および
30.5 % 水。
【0061】
インク付けステーション2、4、5は1インチに800ラインのアニロックスローラーを備え、印刷版はDuPont Cyrel感光性樹脂フレキソ印刷版を使用。印刷版は、様々な密度のカラーエリア、固体印刷版トラップエリア、および画像を含むテスト画像を装備する。インク付けステーション6は1インチに360ラインのアニロックスローラーを備え、固体印刷Cyrel感光性樹脂フレキソ印刷版を使用。固体の印刷版は他のステーションについて説明されるようにテスト版全体をカバー、トラッピングしている。
【0062】
低密度の透明ポリエチレン薄膜上にウェットトラッピングが行われた。トラッピングおよび硬化は、溶剤である水の蒸発による粘度の変化を多様化するため、様々なライン速度でテストされた。インクの含水率およびこの粘度の変化に関する詳しいテストについては後に説明する。印刷機上で、トラップされた色は目視で、硬化はフィンガーの乾燥テストにより、また逆トラッピングは逆注入されたインクの着色のコントロールにより目視でチェックされた。試運転の後、インクの検査が行われ、着色は認められなかった。画像およびトラッピング印刷エリアのインクは、逆トラッピングすることなく完全に重なり合ってウェットトラップしていた。画像は希望の図案を示し、トラッピングの色彩は希望の陰影および輝度を示した。またインクはすべての硬化条件下で、すべての単色、白色、およびトラップエリアについて、完全に硬化した。テストされた最高ライン速度は、二つのステーション間(インク付けステーション5と6)でのウェットトラップ速度0.1245秒を例証する、1000fpm (フィート/分)であった。
印刷され硬化されたインクは後に、SWOP(オフセット印刷標準規格)のカラー密度、およびX−Rite(登録商標) Press Checkによる色度表値(D65 / L, a, bモード)についてテストされた。すべての色は高密度で印刷されていた。トラップされた色もまた希望のトラップカラー濃度を示した。これは白色を下地にしたすべての色の重ね転移が満足のいくものであることを示している。白色を含むどの色についても、バックトラックや着色は見られなかった。
【0063】
業界基準のアルコールおよび水の耐磨耗試験、および業界基準の開放テープ付着性試験などの追加試験も行われた。印刷物はすべての印刷エリアにおいて付着性試験をパスした。また耐性は硬化の条件にもよるが、全体的には好成績であった。
【0064】
例2
例1と同じ装置を使用し、二番目のインク付けステーションに以下の組成の黄色のインクを搭載する:
13.30 % 黄色の顔料(Permanent Yellow GDR)
12.07 % 水溶性、エチレン不飽和樹脂(樹脂924−1069)
6.65 % 過剰分散剤(Solspers 41090)
0.27% シリコン脱泡剤(Byk 019)
0.53 % アンモニア(30 %濃度水溶液)
7.65% 水不溶性、エチレン不飽和低重合体(Sartomer SR 610)
38.55 % 水溶性、エチレン不飽和低重合体(Laromer 8765)
4.0 % 光重合開始剤(Irgacure 500)
1.10 % シリコンフロー添加剤(DC 57)および
15.68 % 水。
【0065】
インク付けステーション5は、以下の組成の青色インクを搭載する:
15.96 % 青色顔料(Sunfast 249−1290)
10.92 % 水溶性、エチレン不飽和樹脂(樹脂924−1069)
6.65 % 過剰分散剤(Solspers 41090)
0.27% シリコン脱泡剤(Byk 019)
0.53 % アンモニア(30 %濃度水溶液)
7.42 % 水不溶性、エチレン不飽和低重合体(Sartomer SR 610)
38.32 % 水溶性、エチレン不飽和低重合体(Laromer 8765)
5.0 % 光重合開始剤(Irgacure 500)
1.10 % シリコンフロー添加剤(DC 57)および
14.63 % 水。
【0066】
インク付けステーションは1インチに550ラインのアニロックスローラーを備え、印刷版はDuPont Cyrel感光性樹脂フレキソ印刷版を使用。印刷物は4.5インチx7インチの固体版エリアと、2インチx6インチのウェットトラッピングエリアを有した。被印刷体は、低密度の透明ポリエチレン薄膜であった。トラッピングおよび硬化が、各種のライン速度でテストされた。印刷機上で、トラップされた色は目視で、硬化はフィンガーの乾燥テストにより、また逆トラッピングは逆注入されたインクの着色のコントロールにより目視でチェックされた。試運転の後、インクの検査が行われた。インクは逆トラッピングすることなく、与えられた速度における転移に基づいた色度で、完全に重なり合ってウェットトラップされていた。また、インクは青、黄色、およびトラップされた緑色のエリアでテストされた硬化条件下で、完全に硬化された。テストされた最高ライン速度は1000fpm、紫外線の最低放射量は、ライン速度300fpmで1インチにつき200ワットであった。
【0067】
例3
例2と同じインク、被印刷体、および装置を使用し、インク付けステーション2のインクを青に、インク付けステーション5のインクを黄色に入れ変える。各インク付けステーションは1インチごとに550ラインのアニロックスローラーを備え、 DuPont Cyrel感光性樹脂フレキソ印刷版が使用された。印刷物は4.5インチx7インチの固体版エリアと、2インチx6インチのウェットトラッピングエリアを有した。トラッピングは例2に記述された通りにテストされた。トラップされたエリア(緑色)に、視覚的な色の差は見られなかった。前述のX−Rite Press Checkによる色度値によってこの結果は確認された。色度値は測定の誤差の範囲内であった。これにより黄色のインクを青色インク上に転移することは、その反対と同様に充分に効果的であることを示しており、バックトラッキングも着色も見られなかった。
【0068】
例4
印刷機は、逆角度のチェンバードクターブレードシステムと、紫外線付着のためのステーション6を使用した積層ニップと、Fusion 200−700 watt/inchの紫外線Hバルブ硬化ステーションを備えた、Ko−Pack 社製の、従来型UVインク用6色ナローウェッブセントラルインプレッションフレキソ印刷機を使用。印刷機の印刷ステーションは中央シリンダーの回りに位置する。
【0069】
印刷ステーションはウェットトラッピングエネルギー硬化型インクを用いて設定された。印刷版には固体DuPont Cyrel感光性樹脂フレキソ印刷版を使用。チェンバードクターブレード、および1インチごとに異なった数のラインのついているアニロックスロールも使用された。この例では、インク付けステーション1は使用されていない。インク付けステーション2、4、および5は、例1に記載されたのと同じ組成のインクを含む。ステーション3は以下の組成の赤インクを含む:
13.95 % 赤色顔料(Sun 235−3438)
12.07 % 水溶性、エチレン不飽和樹脂(樹脂924−1069)
6.65 % 過剰分散剤(Solspers 41090)
0.27% シリコン脱泡剤(Byk 019)
0.53 % アンモニア(30 %濃度水溶液)
7.65% 水不溶性、エチレン不飽和低重合体(Sartomer SR 610)
37.95 % 水溶性、エチレン不飽和低重合体(Laromer 8765)
4.0 % 光重合開始剤(Irgacure 500)
1.10 % シリコンフロー添加剤(DC 57)および
15.68 % 水。
【0070】
インク付けステーション2、4、5は1インチに800ラインのアニロックスローラーを備え、インク付けステーション3は1インチに700ラインのアニロックスローラーを備えている。すべてのステーションもDuPont Cyrel(登録商標)感光性樹脂フレキソ印刷版を使用した。印刷版は、種々の密度のカラーエリア、固体版トラップエリア、および画像を含むテスト画像を装備する。ステーション間の硬化用ランプは、ステーション6の後の最後の硬化用ランプ以外は消され、最後に一回の硬化を行うウェットトラッピング工程を可能にした。すべての印刷物は最高印刷速度500fpmまでテストされた。
【0071】
このテストにおいて、以下のような様々な被印刷体の上でウェットトラッピングが行われた:
Trespaphan Adicional LWH 33不透明OPP
NOW Pack透明可縮性OPS
TEKRA Valeron 003 PP/Rubberブレンド
Mobil Label Lyte 66LL344不透明コート表面ストックBOPP
プラスチックサプライヤーPolyflex 0530 CLR透明clear PS/Rubberブレンド
Kloeckner Pentaplast Pentaclear PVC BX−KPETE321200
Trepaphan A−Z1透明OPP
【0072】
例5
例4と同じ装置とインク、および被印刷体7を使用し、印刷ステーション1に、例1のインク付けステーション6で使用されたのと同じインクを充填する。ステーションは600ラインのアニロックスローラーを備え、固体DuPont Cyrel感光性樹脂フレキソ印刷版を使用。結果、画像は白の固体層の上に高品質に、乱れ、歪み、または色あせなくウェットトラップされ、印刷された。印刷は最高印刷速度500fpmで行われた。
【0073】
例6
例4と同じ装置とインク、および被印刷体1を使用し、印刷ステーション6は、エネルギー硬化型コーティング(Sun Chemical社製、SunCure LE GAKFV0440563)、500ラインのアニロックスローラー、および固体DuPont Cyrel感光性樹脂フレキソ印刷版を装備。コーティングは印刷された画像上に追加的なインクの乾燥や硬化なしで塗布された。その結果、画像は非多孔性の被印刷体上に高品質に、乱れ、歪み、色あせ、または裁ち切りなくウェットトラップされ、印刷され、インラインウェットトラップコーティング層が塗布された。
【0074】
例7
例4と同じ装置とインク、および被印刷体1を使用し、印刷ステーション6は、エネルギー硬化型粘着剤(Sun Chemical社製、SunCure UV Lamination Adhesive RCKFV0487525)、1インチ500ラインのアニロックスローラー、および固体DuPont Cyrel感光性樹脂フレキソ印刷版を装備。積層ステーションは被印刷体を備える。画像が印刷された後、インクの乾燥、硬化をしないで、積層コーティングが印刷された画像の上に塗布された。透明の積層被印刷体が、ウェット積層コーティングとインクの上に載せられ、この積層でサンドイッチになったものが最後に紫外線ランプにより硬化された。その結果、非多孔性の被印刷体上およびインライン積層に高品質に、乱れ、歪み、色あせ、または裁ち切りなく画像がウェットトラップされ、印刷された。
【0075】
例8
以下のテスト例はインクの含水率の変化、従って溶剤である水の蒸発による粘度の変化を例証している。これらの例では、ステーション間での乾燥や硬化をしない、従来のチェストナッツフレキソ印刷機を使用し、非多孔性のポリエチレン薄膜の被印刷体に印刷された、黄色と青のエネルギー硬化型、水性フレキソ印刷用インクを使用している。すべてのインクは150fpmの一定速度で印刷され、Fusion Aetek Ultra Packランプにより、最高出力100%の400 w/”で硬化された。赤外線湿度メータKJT−100の近くにある目盛り付き携帯Kettが、印刷ニップから1インチ、4.5インチ、および10インチなど、被印刷体の様々な位置に焦点を当てて設置された。含水量および計算された蒸発速度は、硬化されたインクの含水量値を0%と仮定した。インクはドクターブレードとアニロックスロールの間を、印刷版へ、印刷ニップへと転移し、印刷ニップから1インチのところで最初の測定が行われるため、インクの総含水量を記録することはできなかった。湿度のデータは、どの地点でも100秒間に10の測定値が記録されているうちの、2秒間にわたる測定値全体の平均をとって内部に記録された。さらに、標準偏差も報告された。
【0076】
テスト1 次の組成の黄色いインクがインク付けステーション1で使用された:
12.5 % 黄色の顔料(Clariant社製Permanent Yellow GDR)
30.6 % 水溶性、エチレン不飽和樹脂(NJ州Fort Lee、Sun Chemical 社製、樹脂924−1069、国際特許WO 99/19369号に記載)
6.3 % 過剰分散剤(Avecia製Solspers 41090)
0.3 % シリコン脱泡剤(Byk−Chemie製、Byk 019)
26.2 % 水溶性、エチレン不飽和低重合体(BASF Corporation製、Laromer 8765の商標名で入手可能)
2.2 % 水不溶性、エチレン不飽和低重合体(Sartomer Corporation製、Sartomer SR 610)
5.0 % 光重合開始剤(Ciba Specialty Additives製、Irgacure 500の商標名で入手可能)
1.1 % シリコンフロー添加剤(Dow Corning製、DC 57の商標名で入手可能)および
16.0 % 水。
【0077】
インク付けステーションは1インチに300ラインのアニロックスローラーを備え、連続固体DuPont Cyrel感光性樹脂フレキソ印刷版を使用。被印刷体は透明ポリエチレン薄膜。ウェッブ温度22.7℃ +/− 0.2℃ で、相対湿度は46.3%、印刷されたインクの温度は22.6℃ +/− 0.1℃、RT(反応時間)は22.7であった。
【0078】
相対水分値は印刷ニップから1インチ地点で189.9 +/− 10.7、4.5インチ地点で108.2 +/− 10.3、10インチ地点では101.1 +/− 8.3であった。印刷ニップ1インチ地点と4.5インチ地点での測定値の間の平均蒸発率は0.38%/ミリセカンド、また残留水分は44.7% +/− 0.3%と報告された。また、印刷ニップ4.5インチ地点と10インチ地点での測定値の間の平均蒸発率は0.036%/ミリセカンド、また残留水分は7.0% +/− 0.7%と報告された。
【0079】
テスト2
次の組成の黄色いインクがインク付けステーション1で使用された:
12.5 % 黄色の顔料(Clariant社製Permanent Yellow GDR)
30.6 % 水溶性、エチレン不飽和樹脂(NJ州Fort Lee、Sun Chemical Co., Inc.製、樹脂924−1069、国際特許WO 99/19369号に記載)
6.3 % 過剰分散剤(Avecia製Solspers 41090)
0.3 % シリコン脱泡剤(Byk−Chemie製、Byk 019)
26.2 % 水溶性、エチレン不飽和低重合体(BASF Corporation製、Laromer 8765の商標名で入手可能)
2.2 % 水不溶性、エチレン不飽和低重合体(Sartomer Corporation製、Sartomer SR 610)
5.0 % 光重合開始剤(Ciba Specialty Additives製、Irgacure 500の商標名で入手可能)
1.1 % シリコンフロー添加剤(Dow Corning製、DC 57の商標名で入手可能)および
16.0 % 水。
【0080】
インク付けステーションは1インチに400ラインのアニロックスローラーを備え、連続固体DuPont Cyrel感光性樹脂フレキソ印刷版を使用。被印刷体は半透明のポリエチレン薄膜。ウェッブ温度23.2℃ +/− 0.4℃ で、相対湿度は46.9%、印刷されたインクの温度は23.1℃ +/− 0.4℃、RT(反応時間)は23であった。
【0081】
相対水分値は印刷ニップから1インチ地点で217.4 +/− 5.7、4.5インチ地点で201.7 +/− 7.1、10インチ地点では188.9 +/− 5.1であった。印刷ニップ1インチ地点と4.5インチ地点での測定値の間の平均蒸発率は0.05%/ミリセカンド、また残留水分は5.9% +/− 0.7%と報告された。また、印刷ニップ4.5インチ地点と10インチ地点での測定値の間の平均蒸発率は0.028%/ミリセカンド、また残留水分は5.1% +/− 0.7%と報告された。
【0082】
テスト3
以下の組成の青色インクがインク付けステーション1で使用された:
15.0 % 青色顔料(NJ州Fort Lee、Sun Chemical社製、Sunfast 249−1290の商標名で入手可能)
30.4 % 水溶性、エチレン不飽和樹脂(Sun Chemical Co.製、樹脂924−1069)
0.5 % アンモニア(27−30 %濃度水溶液)
6.3 % 過剰分散剤(Avecia製、Solspers 41090)
0.3 % シリコン脱泡剤(Byk−Chemie製、Byk 019)
26.1 % 水溶性、エチレン不飽和低重合体(BASF Corporation製、Laromer 8765の商標名で入手可能)
2.1 % 水不溶性、エチレン不飽和低重合体(Sartomer Corporation製、Sartomer SR 610)
5.0 % 光重合開始剤(Ciba Specialty Additives製、Irgacure 500の商標名で入手可能)
1.1 % シリコンフロー添加剤(Dow Corning製、DC 57の商標名で入手可能)および
13.5 % 水。
【0083】
インク付けステーションは1インチに300ラインのアニロックスローラーを備え、連続固体DuPont Cyrel感光性樹脂フレキソ印刷版を使用。被印刷体は透明ポリエチレン薄膜。ウェッブ温度23.0℃ +/− 0.1℃ で、相対湿度は44.2%、印刷されたインクの温度は22.6℃ +/− 0.1℃、RT(反応時間)は22.8であった。テスト3では印刷ニップから1インチおよび4.5インチの2地点でのみ測定値が採られた。
【0084】
相対水分値は印刷ニップから1インチ地点で110.0 +/− 11.5、4.5インチ地点で70.0 +/− 8.2であった。印刷ニップ1インチ地点と4.5インチ地点での測定値の間の平均蒸発率は0.20%/ミリセカンド、また残留水分は23.3% +/− 2.8%と報告された。
【0085】
この開示の利点を有するものは、異なった種類のインク、インク付けステーションの間への乾燥や硬化のステーションの追加など、数多くのバリエーション、および組み合わせを実装することができる。このような代替方法またはバリエーションは、当発明の範囲内であると見なされる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】図1は、当発明に基づいて構成されたウェットトラッピング用のフレキソ印刷機を示す。
【図2】図2は、当発明によるウェットトラッピング用装置の代替的な実施例を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップを含む、被印刷体への複数インク層の塗布の方法:
A. 少なくとも一つの、粘度約4000cps以下の、非反応性の希釈剤を含むエネルギー硬化型液体インク層を、前述の被印刷体上に塗布する。当該エネルギー硬化型インク層が、一番目の粘度を有する;
B. 塗布されたエネルギー硬化型インク層の少なくとも一部分の前述の非反応性希釈剤を蒸発させる。これにより、塗布されたエネルギー硬化型インク層の粘度が増加する;
C. 先に塗布された前述のエネルギー硬化型インク層の増加された粘度よりも低い粘度を有する、少なくとも一層の非エネルギー硬化型液体インクを、前述の被印刷体、および前述のエネルギー硬化型インク層に塗布する;また、
D. 両方のインク層を、前述の被印刷体に固定する。
【請求項2】
前述の希釈剤が水を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
希釈剤の重量に基づき、前述の希釈剤の約5重量%から50重量%が水を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップAが一番目のインク付けステーションで行われ、ステップCがそれに続くインク付けステーションで行われることを特徴とし、また、前述の被印刷体が、前述の一番目のインク付けステーションと、前述のそれに続くインク付けステーションの間を、前述のインク層の希釈剤の少なくとも一部分が蒸発することで前述のインク層の粘度が充分に増加し、その粘度の増加した層の上に塗布される別のインクのトラップを可能にするのに充分な速度で移送されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
気温、気圧、湿度などの周囲条件の下で、希釈剤の蒸発速度よりも速い速度で希釈剤の少なくとも一部分を除去するのを助けるため、前述の塗布されたインク層を加熱する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
気温、気圧、湿度などの周囲条件の下で、希釈剤の蒸発速度よりも速い速度で希釈剤の一部分を除去するのを助けるため、前述の印刷されたインク層に空気を吹き付ける、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前述の固定されたインク層の上に追加のインク層を塗布することにより、ステップDの後にステップCを少なくとももう一回繰り返し、前述の追加インク層も前述の被印刷体上に固定する、請求項1に基づいた方法。
【請求項8】
前述の希釈剤が水を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
希釈剤の重量に基づき、前述の希釈剤の約5重量%から50重量%が水を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
ステップAが一番目のインク付けステーションで行われ、ステップCがそれに続くインク付けステーションで行われることを特徴とし、また、前述の被印刷体が、前述の一番目のインク付けステーションと、前述のそれに続くインク付けステーションの間を、前述のインク層の希釈剤の少なくとも一部分が蒸発することで前述のインク層の粘度が充分に増加し、その粘度の増加した層の上に塗布される別のインクのトラップを可能にするのに充分な速度で移送されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
気温、気圧、湿度などの周囲条件の下で、希釈剤の蒸発速度よりも速い速度で希釈剤の少なくとも一部分を除去するのを助けるため、前述の塗布されたインク層を加熱する、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
気温、気圧、湿度などの周囲条件の下で、希釈剤の蒸発速度よりも速い速度で希釈剤の一部分を除去するのを助けるため、前述の印刷されたインク層に空気を吹き付ける、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前述の被印刷体が吸収性である、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前述の被印刷体が非吸収性である、請求項7に記載の方法。
【請求項15】
請求項1に基づき、ステップDの後に、少なくともあと一層の、インク粘度が約4000cps以下で、水を含んだ非反応性希釈剤を含む、エネルギー硬化型液体インクを使用したインク層を塗布する方法。
【請求項16】
前述の希釈剤が水を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
希釈剤の重量に基づき、前述の希釈剤の約5重量%から50重量%が水を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
ステップAが一番目のインク付けステーションで行われ、ステップCがそれに続くインク付けステーションで行われることを特徴とし、また、前述の被印刷体が、前述の一番目のインク付けステーションと、前述のそれに続くインク付けステーションの間を、前述のインク層の希釈剤の少なくとも一部分が蒸発することで前述のインク層の粘度が充分に増加し、その粘度の増加した層の上に塗布される別のインクのトラップを可能にするのに充分な速度で移送されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
気温、気圧、湿度などの周囲条件の下で、希釈剤の蒸発速度よりも速い速度で希釈剤の少なくとも一部分を除去するのを助けるため、前述の塗布されたインク層を加熱する、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
気温、気圧、湿度などの周囲条件の下で、希釈剤の蒸発速度よりも速い速度で希釈剤の一部分を除去するのを助けるため、前述の印刷されたインク層に空気を吹き付ける、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前述の被印刷体が吸収性である、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前述の被印刷体が非吸収性である、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
請求項1に基づき、ステップDの後に、ステップA、B、CおよびDを少なくとも一回繰り返すことを特徴とする方法。
【請求項24】
前述の被印刷体が吸収性である、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前述の被印刷体が非吸収性である、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
以下のステップを含む、被印刷体への複数インク層の塗布の方法:
A. 粘度約4000cps以下の、非反応性の希釈剤を含むエネルギー硬化型液体インク層を、被印刷体上に塗布する。前述の塗布されたエネルギー硬化型液体インク層が、一番目の粘度を有する;
B. 塗布されたエネルギー硬化型インク層の少なくとも一部分の非反応性希釈剤を蒸発させる。これにより、塗布されたエネルギー硬化型インク層の粘度が増加する;
C. 次に続く、粘度約4000cps以下で、非反応性希釈剤を含むエネルギー硬化型液体インクの層を、前述の被印刷体、および増加した粘度を有する、前述のエネルギー硬化型インク層に塗布する。このとき次に続くインク層の粘度は、前述の先に塗布されたエネルギー硬化型インク層の、増加した粘度よりも低い;また、
D. 各インク層を前述の被印刷体に固定する。
【請求項27】
前述の希釈剤が水である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
希釈剤の重量に基づき、前述の各インク中の前述の希釈剤の約5重量%から50重量%が水を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
ステップAが一番目のインク付けステーションで行われ、ステップCがそれに続くインク付けステーションで行われることを特徴とし、また、前述の被印刷体が、前述の一番目のインク付けステーションと、前述のそれに続くインク付けステーションの間を、前述のインク層の希釈剤の少なくとも一部分が蒸発することで前述のインク層の粘度が充分に増加し、その粘度の増加した層の上に塗布される別のインクのトラップを可能にするのに充分な速度で移送されることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
気温、気圧、湿度などの周囲条件の下で、希釈剤の蒸発速度よりも速い速度で希釈剤の少なくとも一部分を除去するのを助けるため、前述の塗布されたインク層を加熱する、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
気温、気圧、湿度などの周囲条件の下で、希釈剤の蒸発速度よりも速い速度で希釈剤の少なくとも一部分を除去するのを助けるため、前述の印刷されたインク層に空気を吹き付ける、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
請求項26に基づき、先に塗布されたインク層の上に、粘度約4000cps以下で、非反応性希釈剤を含む、別のエネルギー硬化型液体インクを毎回塗布することにより、ステップBおよびCを一回以上繰り返すことをさらに含んだ方法。前述の各種のインクの粘度は、先に塗布されたインク層の増加した粘度よりも低い。
【請求項33】
請求項32に基づき、ステップDが化学線放射源を用いてすべての層を固定することを特徴とする方法。
【請求項34】
エネルギー硬化型液体インクが、エネルギー硬化性、単相、水性、3要素組成物を含む、請求項26に記載の方法。3要素組成物は、水、水溶性エチレン不飽和低重合体、および酸または塩基による中和が可能な、水溶性エチレン不飽和樹脂を含む。
【請求項35】
樹脂の官能基が、第3アミンなどの塩基により中和することのできるカルボン酸基を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
ステップAが一番目のインク付けステーションで行われ、ステップCがそれに続くインク付けステーションで行われることを特徴とし、また、前述の被印刷体が、前述の一番目のインク付けステーションと、前述のそれに続くインク付けステーションの間を、前述のインク層の希釈剤の少なくとも一部分が蒸発することで前述のインク層の粘度が充分に増加し、その粘度の増加した層の上に塗布される別のインクのトラップを可能にするのに充分な速度で移送されることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項37】
前述のインクがエネルギー硬化型液体フレキソ印刷インクで、前述のインク付けステーションがフレキソ印刷機またはインク付けステーションである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
希釈剤の重量に基づいて5重量%から50重量%の水を含む、粘度をコントロールする非反応性希釈剤をそれぞれが含み、粘度がそれぞれ約30から70cpsの一番目と二番目のエネルギー硬化型液体フレキソ印刷インクの選択をすることを含む、被印刷体上に複数インク層を印刷する方法であり、前述の一番目のインクの前述の希釈剤の少なくとも一部が蒸発した後に前述の二番目のインクが塗布され、一番目と二番目のインク層が重なり合う部分を作るように、前述の一番目と二番目のエネルギー硬化型液体フレキソ印刷インクを順番に被印刷体の上に塗布することを含む、被印刷体上に複数インク層を印刷する方法。
【請求項39】
複数の重なり合ったインク層を被印刷体に順次的に塗布する装置であり、以下を含む装置:
被印刷体の経路および、前述の被印刷体を前述の経路に沿って移送する被印刷体ドライブ;
前述の経路に沿って位置する、複数のインク付けステーション。当該インク付けステーションは、希釈剤を含み粘度が4000cps以下のインクを、前述の被印刷体に塗布するように適合されている;
前述の経路に沿った前述の被印刷体の移送を制御するコントロールシステム。このとき、前述の一番目のインク層から前述の希釈剤の少なくとも一部が蒸発することにより、前述のインク付けステーションで前述の被印刷体に塗布された一番目の液体インク層の粘度が増加し、前述の被印刷体が前述のインク付けステーション間を移行する際、前述の二番目の液体インクをウェットトラップするのに充分なように、前述の一番目のインク付けステーションから間隔を置いて位置する次のインク付けステーションにおいて、前述の一番目のインク層の粘度がその上に塗布される二番目のインクの粘度よりも高くなる。
【請求項40】
前述の装置が前述の被印刷体をあらかじめ設定された速度で移送するドライブを含み、当該のあらかじめ設定された速度が、インク付けステーション間を移送される塗布されたインク層の希望の粘度増加の関数である、請求項39に基づいた装置。
【請求項41】
前述のドライブが速度可変ドライブであり、当該速度可変ドライブがコントロールシステムにより制御される、請求項40に基づいた装置。
【請求項42】
前述の移送経路に沿った前述のインク付けステーションの間隔が調整可能である、請求項39に基づいた装置。
【請求項43】
前述のコントロールシステムが、インク付けステーション間を移送される、塗布されたインク層の希望の粘度増加の関数として、前述のインク付けステーションの間隔を制御する、請求項42に基づいた装置。
【請求項44】
前述のコントロールシステムが、インク付けステーション間を移送される、塗布されたインク層の希望の粘度増加の関数として、インク付けステーション間の前述の被印刷体の前述の移送を制御し、さらに前述の間隔を置いたインク付けステーションにおける、前述の被印刷体状の塗布されたインク層の厚みを制御する、請求項39に基づいた装置。
【請求項45】
前述の装置が前述の被印刷体をあらかじめ設定された速度で移送するドライブを含み、前述のあらかじめ設定された速度が、インク付けステーション間を移送される、塗布されたインク層の希望の粘度増加の関数である、請求項44に基づいた装置。
【請求項46】
前述の移送経路に沿った前述のインク付けステーションの間隔が調整可能であり、前述のコントロールシステムが、前述のインク付けステーションの間隔と前述のあらかじめ設定された速度を、インク付けステーション間を移送される、塗布されたインク層の希望の粘度増加の関数として制御する、請求項45に基づいた装置。
【請求項47】
前述の規定の経路と前述のインク付けステーションとの間の距離が調整可能である、請求項39に基づいた装置。
【請求項48】
前述のコントロールシステムがメモリーを含むこと、当該メモリーが、時間の関数としての塗布されたインク層の粘度変化のデータを含むデータを備えていること、そして当該コントロールシステムがこれらのデータを回収し、当該回収データにより得られた速度における、インク付けステーション間での前述の被印刷体の移送を制御することを特徴とする、請求項41に基づいた装置。
【請求項49】
前述のメモリーの前述のデータが、特定のインクの調合により索引付けられている、請求項48に基づいた装置。
【請求項50】
前述のデータがまた、特定の塗布されたインク層の厚みによっても索引付けされている、請求項49に基づいた装置。
【請求項51】
前述の規定の経路が円筒の外周表面であり、前述のインク付けステーションが当該表面に沿って放射状に位置し、円筒が:
a) ステーション間に乾燥または硬化素子を持たず;
b) 直径が縮小され;
c) 円筒の外周に多数の印刷ステーションを有し;
d) 冷却システムを殆ど、あるいはまったく備えておらず;また、
e) ポリマー合成物またはポリマー鋳型などの非金属で構成されている、
請求項39に基づいた装置。
【請求項52】
さらに、最後のインク付けステーションに続く、規定の経路に沿ったエネルギー硬化ステーションを含む、請求項39に基づいた装置。


【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−501077(P2006−501077A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−569403(P2003−569403)
【出願日】平成15年2月19日(2003.2.19)
【国際出願番号】PCT/US2003/005033
【国際公開番号】WO2003/070464
【国際公開日】平成15年8月28日(2003.8.28)
【出願人】(305051277)
【出願人】(305051325)
【出願人】(305051299)
【出願人】(596024024)サン・ケミカル・コーポレーション (39)
【Fターム(参考)】