説明

エネルギー総和抑制制御装置、電力総和抑制制御装置および方法

【課題】定常状態において電力使用量が一定値を超えないように、かつ外乱抑制特性が可能な限り損なわれないようにする。
【解決手段】電力総和抑制制御装置は、割当総電力の情報を受信する割当総電力入力部(10)と、総電力実測値を取得する総電力実測値入力部(11)と、総電力実測値が割当総電力より大きい場合に補正係数を小さくする第1の補正係数更新部(12)と、使用電力が最大状態に到達していると見なされる状況で総電力実測値が割当総電力より小さい場合に補正係数を大きくする第2の補正係数更新部(13)と、各制御ループの電力余裕が公平な状態に近づくように操作量出力上限値を算出する電力抑制手段(14〜20)と、操作量出力上限値に補正係数を乗じて補正する出力上限値補正部21と、制御ループ毎に設けられ、操作量を算出して操作量の上限処理を実行する制御部(22−i)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の制御ループを備えたマルチループ制御系の制御装置および制御方法に係り、特に定常状態においてエネルギー使用量(例えば電力使用量)が指定された一定値を超えないように、かつ外乱抑制特性が可能な限り損なわれないように、制御を行うエネルギー総和抑制制御装置、電力総和抑制制御装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化問題に起因する法改正などに伴い、工場や生産ラインのエネルギー使用量管理が強く求められている。工場内の加熱装置や空調機器は特にエネルギー使用量の大きな設備装置であるため、エネルギー使用量の上限を、本来備える最大量よりも低く抑えるように管理されることが多い。例えば電力を使用する設備装置では、電力デマンド管理システムからの指示により、特定の電力使用量以内に制限する運用が行なわれている。
特に複数の電気ヒータを備える加熱装置では、立ち上げ時(複数の電気ヒータが設置されている領域の一斉昇温時)に同時供給される総電力を抑制するために、以下のような手法が提案されている。
【0003】
特許文献1に開示されたリフロー装置では、立ち上げ時の消費電流を低減するために、ヒータの近傍が熱的に飽和してから次のヒータを立ち上げるようにして、立ち上げ時間帯をずらすようにしていた。
特許文献2に開示された半導体ウエハの処理装置では、装置立ち上げ時に一時に大電力が消費されないように、各ヒータに対して時間的にずらしながら電力を供給するようにしていた。
【0004】
特許文献3に開示された基板処理装置では、電力供給部から同時に供給される最大電力を小さくするために、所定の立ち上げ順序に従って、各熱処理部を1台ずつ順次立ち上げていくようにしていた。
特許文献4に開示された加熱装置では、装置立ち上げ時の過度の消費電流による電力障害を防止するために、まずコンベアより下方に位置するヒータに対し必要とする電力を供給し、かつコンベアより上方に位置するヒータへ供給される電力を制限して、合計消費電力を一定値以下に制御し、炉体内の温度の上昇に伴って温度を切換パラメータとして、コンベアより下方に位置するヒータへの供給電力を減少させるように制御していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2885047号公報
【特許文献2】特開平11−126743号公報
【特許文献3】特開平11−204412号公報
【特許文献4】特許第4426155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1〜特許文献4に開示された技術は、いずれも加熱昇温時のみが対象になる。製造装置においては、立ち上げ状態は、装置の全稼働時間のごく限られた時間だけのものであり、むしろ制御量PV(例えば温度)を一定量に維持する制御状態になっている定常状態と言われる時間帯の方が圧倒的に長い。例えば、空気中の細菌数や有害物質を計測し、細菌数や有害物質を一定以下に抑える換気風量制御では、ファンを回転させて安定した状態を維持するようにしている。この場合、ファン回転数が必要以上に高くなっているならば、定常状態に相当する稼働状態での電力使用量が問題の対象になる。
【0007】
したがって、定常状態における確実なエネルギー抑制(特に電力抑制)が行なわれなければならないという要求がある。定常状態であってもPID制御などの制御演算が実行されているのであるから、制御特性との関連性を考慮したエネルギー抑制(電力抑制)になる必要がある。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、複数の制御系に関し、定常状態においてエネルギー使用量(例えば電力使用量)が指定された一定値を超えないように、かつ外乱抑制特性が可能な限り損なわれないように、制御を行うことができるエネルギー総和抑制制御装置、電力総和抑制制御装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のエネルギー総和抑制制御装置は、複数の制御ループLi(i=1〜n)の制御アクチュエータのエネルギー使用量を規定する割当総エネルギーの情報を受信する割当総エネルギー入力手段と、各制御ループLiの消費エネルギー値の総和である総エネルギー実測値を取得する総エネルギー実測値取得手段と、前記総エネルギー実測値が前記割当総エネルギーより大きい場合に、前記総エネルギー実測値が小さくなるように補正係数を所定の第1の割合だけ更新する第1の補正係数更新手段と、使用エネルギーが最大状態に到達していると見なされる状況で前記総エネルギー実測値が前記割当総エネルギーより小さい場合に、前記総エネルギー実測値が大きくなるように前記補正係数を所定の第2の割合だけ更新する第2の補正係数更新手段と、各制御ループLiの既知の最大出力時消費エネルギー値と操作量MViとから各制御ループLiのエネルギー余裕を算出し、このエネルギー余裕の総和に対する各制御ループLiのエネルギー余裕の比率と前記割当総エネルギーに基づいて各制御ループLiの操作量出力上限値OHiを算出するエネルギー抑制手段と、このエネルギー抑制手段が算出した操作量出力上限値OHi、前記エネルギー抑制手段が利用する前記割当総エネルギーの値、または前記エネルギー抑制手段が利用する前記最大出力時消費エネルギー値の何れかに前記補正係数を乗じる補正手段と、制御ループLi毎に設けられ、設定値SPiと制御量PViを入力として制御演算により操作量MViを算出し、操作量MViを前記操作量出力上限値OHi以下に制限する上限処理を実行して、上限処理後の操作量MViを対応する制御ループLiの制御アクチュエータに出力する制御手段とを備え、各制御ループLiのエネルギー余裕が公平な状態に近づくように前記操作量出力上限値OHiを算出することを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の電力総和抑制制御装置は、複数の制御ループLi(i=1〜n)の制御アクチュエータの電力使用量を規定する割当総電力PWの情報を受信する割当総電力入力手段と、各制御ループLiの消費電力値の総和である総電力実測値PRを取得する総電力実測値取得手段と、前記総電力実測値PRが前記割当総電力PWより大きい場合に、前記総電力実測値PRが小さくなるように補正係数を所定の第1の割合だけ更新する第1の補正係数更新手段と、使用電力が最大状態に到達していると見なされる状況で前記総電力実測値PRが前記割当総電力PWより小さい場合に、前記総電力実測値PRが大きくなるように前記補正係数を所定の第2の割合だけ更新する第2の補正係数更新手段と、各制御ループLiの既知の最大出力時電力値CTmiと操作量MViとから各制御ループLiの電力余裕を算出し、この電力余裕の総和に対する各制御ループLiの電力余裕の比率と前記割当総電力PWに基づいて各制御ループLiの操作量出力上限値OHiを算出する電力抑制手段と、この電力抑制手段が算出した操作量出力上限値OHi、前記電力抑制手段が利用する前記割当総電力PWの値、または前記電力抑制手段が利用する前記最大出力時電力値CTmiの何れかに前記補正係数を乗じる補正手段と、制御ループLi毎に設けられ、設定値SPiと制御量PViを入力として制御演算により操作量MViを算出し、操作量MViを前記操作量出力上限値OHi以下に制限する上限処理を実行して、上限処理後の操作量MViを対応する制御ループLiの制御アクチュエータに出力する制御手段とを備え、各制御ループLiの電力余裕が公平な状態に近づくように前記操作量出力上限値OHiを算出することを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の電力総和抑制制御装置は、複数の制御ループLi(i=1〜n)の制御アクチュエータの電力使用量を規定する割当総電力PWの情報を受信する割当総電力入力手段と、各制御ループLiの消費電力値の総和である総電力実測値PRを取得する総電力実測値取得手段と、前記総電力実測値PRが前記割当総電力PWより大きい場合に、補正係数HSを所定の第1の割合だけ小さく更新する第1の補正係数更新手段と、使用電力が最大状態に到達していると見なされる状況で前記総電力実測値PRが前記割当総電力PWより小さい場合に、前記補正係数HSを所定の第2の割合だけ大きく更新する第2の補正係数更新手段と、各制御ループLiの既知の最大出力時電力値CTmiと操作量MViとから各制御ループLiの電力余裕CTriを算出する電力余裕算出手段と、各制御ループLiの最大出力時電力値CTmiの総和である最大総電力BXを算出する最大総電力算出手段と、各制御ループLiの電力余裕CTriの総和である電力余裕総量RWを算出する電力余裕総量算出手段と、削減すべき総電力量である電力削減総量SWを前記最大総電力BXと前記割当総電力PWとから算出する電力削減総量算出手段と、各制御ループLiで削減すべき電力量である電力削減割当量CTsiを前記電力余裕CTriと前記電力余裕総量RWと前記電力削減総量SWとから算出する電力削減割当量算出手段と、前記電力削減割当量CTsiと前記最大出力時電力値CTmiとから各制御ループLiの操作量出力上限値OHiを算出する出力上限値算出手段と、各制御ループLiの操作量出力上限値OHiに前記補正係数HSを乗じて補正した操作量出力上限値OHxiを算出する出力上限値補正手段と、制御ループLi毎に設けられ、設定値SPiと制御量PViを入力として制御演算により操作量MViを算出し、操作量MViを前記操作量出力上限値OHxi以下に制限する上限処理を実行して、上限処理後の操作量MViを対応する制御ループLiの制御アクチュエータに出力する制御手段とを備えることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の電力総和抑制制御装置は、複数の制御ループLi(i=1〜n)の制御アクチュエータの電力使用量を規定する割当総電力PWの情報を受信する割当総電力入力手段と、各制御ループLiの消費電力値の総和である総電力実測値PRを取得する総電力実測値取得手段と、前記総電力実測値PRが前記割当総電力PWより大きい場合に、補正係数HSを所定の第1の割合だけ小さく更新する第1の補正係数更新手段と、使用電力が最大状態に到達していると見なされる状況で前記総電力実測値PRが前記割当総電力PWより小さい場合に、前記補正係数HSを所定の第2の割合だけ大きく更新する第2の補正係数更新手段と、前記割当総電力PWに前記補正係数HSを乗じて補正した割当総電力PWxを算出する割当総電力補正手段と、各制御ループLiの既知の最大出力時電力値CTmiと操作量MViとから各制御ループLiの電力余裕CTriを算出する電力余裕算出手段と、各制御ループLiの最大出力時電力値CTmiの総和である最大総電力BXを算出する最大総電力算出手段と、各制御ループLiの電力余裕CTriの総和である電力余裕総量RWを算出する電力余裕総量算出手段と、削減すべき総電力量である電力削減総量SWを前記最大総電力BXと前記割当総電力PWxとから算出する電力削減総量算出手段と、各制御ループLiで削減すべき電力量である電力削減割当量CTsiを前記電力余裕CTriと前記電力余裕総量RWと前記電力削減総量SWとから算出する電力削減割当量算出手段と、前記電力削減割当量CTsiと前記最大出力時電力値CTmiとから各制御ループLiの操作量出力上限値OHiを算出する出力上限値算出手段と、制御ループLi毎に設けられ、設定値SPiと制御量PViを入力として制御演算により操作量MViを算出し、操作量MViを前記操作量出力上限値OHi以下に制限する上限処理を実行して、上限処理後の操作量MViを対応する制御ループLiの制御アクチュエータに出力する制御手段とを備えることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の電力総和抑制制御装置は、複数の制御ループLi(i=1〜n)の制御アクチュエータの電力使用量を規定する割当総電力PWの情報を受信する割当総電力入力手段と、各制御ループLiの消費電力値の総和である総電力実測値PRを取得する総電力実測値取得手段と、前記総電力実測値PRが前記割当総電力PWより大きい場合に、補正係数HSを所定の第1の割合だけ大きく更新する第1の補正係数更新手段と、使用電力が最大状態に到達していると見なされる状況で前記総電力実測値PRが前記割当総電力PWより小さい場合に、前記補正係数HSを所定の第2の割合だけ小さく更新する第2の補正係数更新手段と、各制御ループLiの既知の最大出力時電力値CTmiに補正係数HSを乗じて補正した最大出力時電力値CTmxiを算出する最大出力時電力値補正手段と、各制御ループLiの最大出力時電力値CTmxiと操作量MViとから各制御ループLiの電力余裕CTriを算出する電力余裕算出手段と、前記最大出力時電力値CTmxiの総和である最大総電力BXを算出する最大総電力算出手段と、各制御ループLiの電力余裕CTriの総和である電力余裕総量RWを算出する電力余裕総量算出手段と、削減すべき総電力量である電力削減総量SWを前記最大総電力BXと前記割当総電力PWとから算出する電力削減総量算出手段と、各制御ループLiで削減すべき電力量である電力削減割当量CTsiを前記電力余裕CTriと前記電力余裕総量RWと前記電力削減総量SWとから算出する電力削減割当量算出手段と、前記電力削減割当量CTsiと前記最大出力時電力値CTmxiとから各制御ループLiの操作量出力上限値OHiを算出する出力上限値算出手段と、制御ループLi毎に設けられ、設定値SPiと制御量PViを入力として制御演算により操作量MViを算出し、操作量MViを前記操作量出力上限値OHi以下に制限する上限処理を実行して、上限処理後の操作量MViを対応する制御ループLiの制御アクチュエータに出力する制御手段とを備えることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明のエネルギー総和抑制制御方法は、複数の制御ループLi(i=1〜n)の制御アクチュエータのエネルギー使用量を規定する割当総エネルギーの情報を受信する割当総エネルギー入力ステップと、各制御ループLiの消費エネルギー値の総和である総エネルギー実測値を取得する総エネルギー実測値取得ステップと、前記総エネルギー実測値が前記割当総エネルギーより大きい場合に、前記総エネルギー実測値が小さくなるように補正係数を所定の第1の割合だけ更新する第1の補正係数更新ステップと、使用エネルギーが最大状態に到達していると見なされる状況で前記総エネルギー実測値が前記割当総エネルギーより小さい場合に、前記総エネルギー実測値が大きくなるように前記補正係数を所定の第2の割合だけ更新する第2の補正係数更新ステップと、各制御ループLiの既知の最大出力時消費エネルギー値と操作量MViとから各制御ループLiのエネルギー余裕を算出し、このエネルギー余裕の総和に対する各制御ループLiのエネルギー余裕の比率と前記割当総エネルギーに基づいて各制御ループLiの操作量出力上限値OHiを算出するエネルギー抑制ステップと、このエネルギー抑制ステップで算出した操作量出力上限値OHi、前記エネルギー抑制ステップで利用する前記割当総エネルギーの値、または前記エネルギー抑制ステップで利用する前記最大出力時消費エネルギー値の何れかに前記補正係数を乗じる補正ステップと、設定値SPiと制御量PViを入力として制御演算により操作量MViを算出し、操作量MViを前記操作量出力上限値OHi以下に制限する上限処理を実行して、上限処理後の操作量MViを対応する制御ループLiの制御アクチュエータに出力する制御ステップとを備え、各制御ループLiのエネルギー余裕が公平な状態に近づくように前記操作量出力上限値OHiを算出することを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の電力総和抑制制御方法は、複数の制御ループLi(i=1〜n)の制御アクチュエータの電力使用量を規定する割当総電力PWの情報を受信する割当総電力入力ステップと、各制御ループLiの消費電力値の総和である総電力実測値PRを取得する総電力実測値取得ステップと、前記総電力実測値PRが前記割当総電力PWより大きい場合に、前記総電力実測値PRが小さくなるように補正係数を所定の第1の割合だけ更新する第1の補正係数更新ステップと、使用電力が最大状態に到達していると見なされる状況で前記総電力実測値PRが前記割当総電力PWより小さい場合に、前記総電力実測値PRが大きくなるように前記補正係数を所定の第2の割合だけ更新する第2の補正係数更新ステップと、各制御ループLiの既知の最大出力時電力値CTmiと操作量MViとから各制御ループLiの電力余裕を算出し、この電力余裕の総和に対する各制御ループLiの電力余裕の比率と前記割当総電力PWに基づいて各制御ループLiの操作量出力上限値OHiを算出する電力抑制ステップと、この電力抑制ステップで算出した操作量出力上限値OHi、前記電力抑制ステップで利用する前記割当総電力PWの値、または前記電力抑制ステップで利用する前記最大出力時電力値CTmiの何れかに前記補正係数を乗じる補正ステップと、設定値SPiと制御量PViを入力として制御演算により操作量MViを算出し、操作量MViを前記操作量出力上限値OHi以下に制限する上限処理を実行して、上限処理後の操作量MViを対応する制御ループLiの制御アクチュエータに出力する制御ステップとを備え、各制御ループLiの電力余裕が公平な状態に近づくように前記操作量出力上限値OHiを算出することを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の電力総和抑制制御方法は、複数の制御ループLi(i=1〜n)の制御アクチュエータの電力使用量を規定する割当総電力PWの情報を受信する割当総電力入力ステップと、各制御ループLiの消費電力値の総和である総電力実測値PRを取得する総電力実測値取得ステップと、前記総電力実測値PRが前記割当総電力PWより大きい場合に、補正係数HSを所定の第1の割合だけ小さく更新する第1の補正係数更新ステップと、使用電力が最大状態に到達していると見なされる状況で前記総電力実測値PRが前記割当総電力PWより小さい場合に、前記補正係数HSを所定の第2の割合だけ大きく更新する第2の補正係数更新ステップと、各制御ループLiの既知の最大出力時電力値CTmiと操作量MViとから各制御ループLiの電力余裕CTriを算出する電力余裕算出ステップと、各制御ループLiの最大出力時電力値CTmiの総和である最大総電力BXを算出する最大総電力算出ステップと、各制御ループLiの電力余裕CTriの総和である電力余裕総量RWを算出する電力余裕総量算出ステップと、削減すべき総電力量である電力削減総量SWを前記最大総電力BXと前記割当総電力PWとから算出する電力削減総量算出ステップと、各制御ループLiで削減すべき電力量である電力削減割当量CTsiを前記電力余裕CTriと前記電力余裕総量RWと前記電力削減総量SWとから算出する電力削減割当量算出ステップと、前記電力削減割当量CTsiと前記最大出力時電力値CTmiとから各制御ループLiの操作量出力上限値OHiを算出する出力上限値算出ステップと、各制御ループLiの操作量出力上限値OHiに前記補正係数HSを乗じて補正した操作量出力上限値OHxiを算出する出力上限値補正ステップと、設定値SPiと制御量PViを入力として制御演算により操作量MViを算出し、操作量MViを前記操作量出力上限値OHxi以下に制限する上限処理を実行して、上限処理後の操作量MViを対応する制御ループLiの制御アクチュエータに出力する制御ステップとを備えることを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の電力総和抑制制御方法は、複数の制御ループLi(i=1〜n)の制御アクチュエータの電力使用量を規定する割当総電力PWの情報を受信する割当総電力入力ステップと、各制御ループLiの消費電力値の総和である総電力実測値PRを取得する総電力実測値取得ステップと、前記総電力実測値PRが前記割当総電力PWより大きい場合に、補正係数HSを所定の第1の割合だけ小さく更新する第1の補正係数更新ステップと、使用電力が最大状態に到達していると見なされる状況で前記総電力実測値PRが前記割当総電力PWより小さい場合に、前記補正係数HSを所定の第2の割合だけ大きく更新する第2の補正係数更新ステップと、前記割当総電力PWに前記補正係数HSを乗じて補正した割当総電力PWxを算出する割当総電力補正ステップと、各制御ループLiの既知の最大出力時電力値CTmiと操作量MViとから各制御ループLiの電力余裕CTriを算出する電力余裕算出ステップと、各制御ループLiの最大出力時電力値CTmiの総和である最大総電力BXを算出する最大総電力算出ステップと、各制御ループLiの電力余裕CTriの総和である電力余裕総量RWを算出する電力余裕総量算出ステップと、削減すべき総電力量である電力削減総量SWを前記最大総電力BXと前記割当総電力PWxとから算出する電力削減総量算出ステップと、各制御ループLiで削減すべき電力量である電力削減割当量CTsiを前記電力余裕CTriと前記電力余裕総量RWと前記電力削減総量SWとから算出する電力削減割当量算出ステップと、前記電力削減割当量CTsiと前記最大出力時電力値CTmiとから各制御ループLiの操作量出力上限値OHiを算出する出力上限値算出ステップと、設定値SPiと制御量PViを入力として制御演算により操作量MViを算出し、操作量MViを前記操作量出力上限値OHi以下に制限する上限処理を実行して、上限処理後の操作量MViを対応する制御ループLiの制御アクチュエータに出力する制御ステップとを備えることを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明の電力総和抑制制御方法は、複数の制御ループLi(i=1〜n)の制御アクチュエータの電力使用量を規定する割当総電力PWの情報を受信する割当総電力入力ステップと、各制御ループLiの消費電力値の総和である総電力実測値PRを取得する総電力実測値取得ステップと、前記総電力実測値PRが前記割当総電力PWより大きい場合に、補正係数HSを所定の第1の割合だけ大きく更新する第1の補正係数更新ステップと、使用電力が最大状態に到達していると見なされる状況で前記総電力実測値PRが前記割当総電力PWより小さい場合に、前記補正係数HSを所定の第2の割合だけ小さく更新する第2の補正係数更新ステップと、各制御ループLiの既知の最大出力時電力値CTmiに補正係数HSを乗じて補正した最大出力時電力値CTmxiを算出する最大出力時電力値補正ステップと、各制御ループLiの最大出力時電力値CTmxiと操作量MViとから各制御ループLiの電力余裕CTriを算出する電力余裕算出ステップと、前記最大出力時電力値CTmxiの総和である最大総電力BXを算出する最大総電力算出ステップと、各制御ループLiの電力余裕CTriの総和である電力余裕総量RWを算出する電力余裕総量算出ステップと、削減すべき総電力量である電力削減総量SWを前記最大総電力BXと前記割当総電力PWとから算出する電力削減総量算出ステップと、各制御ループLiで削減すべき電力量である電力削減割当量CTsiを前記電力余裕CTriと前記電力余裕総量RWと前記電力削減総量SWとから算出する電力削減割当量算出ステップと、前記電力削減割当量CTsiと前記最大出力時電力値CTmxiとから各制御ループLiの操作量出力上限値OHiを算出する出力上限値算出ステップと、設定値SPiと制御量PViを入力として制御演算により操作量MViを算出し、操作量MViを前記操作量出力上限値OHi以下に制限する上限処理を実行して、上限処理後の操作量MViを対応する制御ループLiの制御アクチュエータに出力する制御ステップとを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、各制御ループLiの既知の最大出力時消費エネルギー値と操作量MViとから各制御ループLiのエネルギー余裕を算出し、エネルギー余裕の総和に対する各制御ループLiのエネルギー余裕の比率と割当総エネルギーに基づいて各制御ループLiの操作量出力上限値OHiを算出することにより、各制御ループLiのエネルギー余裕が公平な状態に近づくように操作量出力上限値OHiを算出することができるので、複数の制御系に関し、定常状態においてエネルギー使用量が割当総エネルギーを超えないように、かつ外乱抑制特性が可能な限り損なわれないように、制御を行うことができる。また、本発明では、総エネルギー実測値が割当総エネルギーより大きい場合、あるいは使用エネルギーが最大状態に到達していると見なされる状況で総エネルギー実測値が割当総エネルギーより小さい場合に、エネルギー抑制手段が算出した操作量出力上限値OHi、エネルギー抑制手段が利用する割当総エネルギーの値、またはエネルギー抑制手段が利用する最大出力時消費エネルギー値の何れかを補正することで、逐次的かつ安定的にずれを補正する動作を実現することができる。
なお、上記のように本発明では、総エネルギー実測値が割当総エネルギーより大きい場合、あるいは使用エネルギーが最大状態に到達していると見なされる状況で総エネルギー実測値が割当総エネルギーより小さい場合というのは、総エネルギー実測値が割当総エネルギーに一致すべき状況において両者が一致していない状況を意味しており、このときの両者間の誤差を「ずれ」と称するものとする。
【0020】
また、本発明では、各制御ループLiの既知の最大出力時電力値CTmiと操作量MViとから各制御ループLiの電力余裕を算出し、電力余裕の総和に対する各制御ループLiの電力余裕の比率と割当総電力PWに基づいて各制御ループLiの操作量出力上限値OHiを算出することにより、各制御ループLiの電力余裕が公平な状態に近づくように操作量出力上限値OHiを算出することができるので、複数の制御系に関し、定常状態において電力使用量が割当総電力PWを超えないように、かつ外乱抑制特性が可能な限り損なわれないように、制御を行うことができる。また、本発明では、総電力実測値PRが割当総電力PWより大きい場合、あるいは使用電力が最大状態に到達していると見なされる状況で総電力実測値PRが割当総電力PWより小さい場合に、電力抑制手段が算出した操作量出力上限値OHi、電力抑制手段が利用する割当総電力PWの値、または電力抑制手段が利用する最大出力時電力値CTmiの何れかを補正することで、逐次的かつ安定的にずれを補正する動作を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】3ゾーンの温度変化に伴う総電力の変化を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る加熱装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る電力総和抑制制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る制御系のブロック線図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る電力総和抑制制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る電力総和抑制制御装置の動作例を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る電力総和抑制制御装置の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る電力総和抑制制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係る電力総和抑制制御装置の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係る電力総和抑制制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係るエネルギー総和抑制制御装置の構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態に係るエネルギー総和抑制制御装置の他の構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の第4の実施の形態に係るエネルギー総和抑制制御装置の他の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[発明の原理]
例として加熱装置を取り上げて説明する。多くの加熱装置では、定常状態においてヒータ出力は定格の20%程度になる。ここで、定常状態とは、制御量PVが設定値SPの近傍に制御された状態であり、外乱抑制のために制御機能が利用されている状態のことを言う。定常状態においてヒータ出力が定格の20%程度になるため、例えば100Wのヒータ、200Wのヒータ、300Wのヒータの3個合計で600Wのヒータを、割当総電力が300W(全ヒータ容量の50%)の条件で利用する場合であっても、100W×20%=20W、200W×20%=40W、300W×20%=60Wの合計120Wになるというように、電力使用量は概ね割当総電力以内に入りやすい。したがって、各ヒータの出力上限を一律に50%にして制御を行なえば十分であると考えられやすい。
【0023】
しかし、加熱装置の特定のヒータが設置されている領域に被加熱物が投入されるなどして、大幅な降温外乱が発生すると、この特定のヒータのみを高出力にして温度復帰させる必要性が生じる。このとき、50%の出力(操作量MV)では不十分であったとしても、各ヒータの出力上限が一律に50%に設定されているために、50%を超える出力にすることはできない。一方で、出力上限が50%でありながら、出力(操作量MV)が20%というように余裕のあるヒータも存在することになる。また、外乱が発生しない状態であっても、放熱状態などの影響により定常状態において10%程度の出力(操作量MV)になるヒータもあれば、30%程度の出力(操作量MV)になるヒータもある。この場合も、出力上限が一律に50%であれば、電力の余裕に格差が生じていることになる。
【0024】
したがって、各制御ループのヒータで使用されている電力を計測あるいは推定し、各制御ループの電力余裕が公平な状態に近づくように適宜制御アルゴリズムの出力上限値を更新すれば、外乱抑制に対する制御性の劣化を少なくすることができる。具体的には、操作量MVが最大値100%のときの最大出力時電力値CTmiを制御ループ毎に求め、最大出力時電力値CTmiの総和である最大総電力BXを算出して、最大総電力BXと割当総電力PWとの差分を総削減分として算出し、現時点の各出力(操作量MV)との関係において電力余裕が公平な状態に近づくように各制御ループの操作量出力上限値OHiを逆算すればよい。以上が本発明の基本原理である。
【0025】
ただし、各制御ループの最大出力時電力値CTmiとしては、予め記憶している値を使用することになるが、この最大出力時電力値CTmiが必ずしも精度良く得られるとは限らない。また、ヒータの抵抗値は、ヒータ温度やヒータ劣化などの影響で変化する場合がある。図1は3つの制御ゾーンをそれぞれヒータで加熱する加熱装置において、ヒータの抵抗値が制御ゾーンの温度の変化に伴って変化し、結果的に各ヒータの消費電力値の総和である総電力が変化する様子を示す図である。図1の100が総電力の変化を示している。このように、ヒータの抵抗値が変化すると、最大出力時電力値CTmiの精度を維持することは難しくなる。したがって、実際の使用電力が割当総電力PWと整合しなくなる(すなわち、ずれが生じる)ことが有り得るので、上記の基本原理に基づいて算出した操作量出力上限値OHiを補正する必要があるが、操作量出力上限値OHiを補正する場合、このようなずれを厳密に考慮する必要がある。
【0026】
総電力抑制としての目的を考慮すれば、操作量出力上限値OHiの補正が必要なずれが生じている状況は、総電力が評価されるべき下記状況に限られている。
(a)使用電力が想定以内(全ての操作量が操作量出力上限値以内)でありながら、総電力実測値が割当総電力PWを上回っている状況。
(b)使用電力が想定上限(全ての操作量が操作量出力上限値到達)でありながら、総電力実測値が割当総電力PWを下回っている状況。
【0027】
ここで、発明者は下記の点に着眼した。
(A)上記(a)、(b)の状況は時間的に継続して発生するので、PID制御周期毎に逐次的に修正することが可能である。すなわち、1回の何らかの処理で、操作量出力上限値OHiを正確に補正できなくてもよい。
(B)また、(a)、(b)の状況の解消は、最終的に帳尻が合えば問題ないものなので、ずれの要因を正確に特定する必要はない。すなわち、例えばどの制御ループがずれの原因になっているのかとか、ヒータ温度、ヒータ劣化、非線形性などの何れがずれの原因になっているのかとかは、解明されなくてもよい。
(C)そして、ずれの要因自体は、いずれにしろ急激に発生する現象ではないので、操作量出力上限値OHiの早急な補正動作は必要ではない。すなわち、緩やかな補正動作を継続的に実行していれば、十分に対応できる。
【0028】
以上の(A)、(B)、(C)の点から、上記(a)、(b)の状況の発生のみをPID制御周期毎に常時継続的に検出し、上記(a)、(b)の状況が発生している場合に操作量出力上限値OHiの微小な補正処理を実行し、その微小な補正処理を継続して積み重ねるようにすれば、逐次的かつ安定的にずれを補正する動作を実現できることに想到した。
【0029】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図2は本発明の第1の実施の形態に係る加熱装置の構成を示すブロック図である。加熱装置は、被加熱物を加熱するための加熱処理炉1と、加熱処理炉1の内部に設置された複数の制御アクチュエータであるヒータH1〜H4と、それぞれヒータH1〜H4によって加熱される加熱処理炉1内の制御ゾーンZ1〜Z4の温度PVを測定する複数の温度センサS1〜S4と、ヒータH1〜H4に出力する操作量MV1〜MV4を算出する電力総和抑制制御装置2と、電力総和抑制制御装置2から出力された操作量MV1〜MV4に応じた電力をそれぞれヒータH1〜H4に供給する電力調整器3−1〜3−4とから構成される。この図2に示した加熱装置においては、電力総和抑制制御装置2が制御ゾーンZ1〜Z4の温度PVを制御する制御ループが、4個形成されていることになる。
【0030】
図3は電力総和抑制制御装置2の構成を示すブロック図である。電力総和抑制制御装置2は、上位PC4から割当総電力PWの情報を受信する割当総電力入力部10と、各制御ループLi(i=1〜nであり、nは2以上の整数、図2の例ではn=4)の消費電力値の総和である総電力実測値PRを取得する総電力実測値入力部11と、総電力実測値PRが割当総電力PWより大きい場合に補正係数HSを小さく更新する第1の補正係数更新部12と、使用電力が最大状態に到達していると見なされる状況で総電力実測値PRが割当総電力PWより小さい場合に補正係数HSを大きく更新する第2の補正係数更新部13と、各制御ループLiの最大出力時電力値CTmiを入力する最大出力時電力値入力部14と、各制御ループLiの最大出力時電力値CTmiと操作量MViとから各制御ループLiの電力余裕CTriを算出する電力余裕算出部15と、各制御ループLiの最大出力時電力値CTmiの総和である最大総電力BXを算出する最大総電力算出部16と、各制御ループLiの電力余裕CTriの総和である電力余裕総量RWを算出する電力余裕総量RWを算出する電力余裕総量算出部17と、削減すべき総電力量である電力削減総量SWを最大総電力BXと割当総電力PWとから算出する電力削減総量算出部18と、各制御ループLiで削減すべき電力量である電力削減割当量CTsiを電力余裕CTriと電力余裕総量RWと電力削減総量SWとから算出する電力削減割当量算出部19と、電力削減割当量CTsiと最大出力時電力値CTmiとから各制御ループLiの操作量出力上限値OHiを算出する出力上限値算出部20と、各制御ループLiの操作量出力上限値OHiに補正係数HSを乗じて補正した操作量出力上限値OHxiを算出する出力上限値補正部21と、制御ループLi毎に設けられた制御部22−iとから構成される。
【0031】
最大出力時電力値入力部14と電力余裕算出部15と最大総電力算出部16と電力余裕総量算出部17と電力削減総量算出部18と電力削減割当量算出部19と出力上限値算出部20とは、電力抑制手段を構成している。
制御部22−iは、設定値SPi入力部23−iと、制御量PVi入力部24−iと、PID制御演算部25−iと、出力上限処理部26−iと、操作量MVi出力部27−iとから構成される。
【0032】
図4は本実施の形態の制御系のブロック線図である。各制御ループLiは、制御部22−iと、制御対象Piとから構成される。後述のように、制御部22−iは、設定値SPiと制御量PViとから操作量MViを算出して、この操作量MViを制御対象Piに出力する。図2の例では、制御対象PiはヒータHiが加熱する加熱処理炉1であるが、操作量MViの実際の出力先は電力調整器3−iであり、操作量MViに応じた電力が電力調整器3−iからヒータHiに供給される。
【0033】
各制御ループLiの操作量MViが最大値100%のときの最大出力時電力値CTmiは、各制御ループLiの消費電力値(具体的にはヒータHiの消費電力値)から推定することも可能である。しかし、本実施の形態では、この推定においても未知の非線形性が含まれ、ずれの原因になることを想定しているので、最大出力時電力値CTmiを推定する処理は採用しないものとする。
本実施の形態では、補正係数HS(初期値1.0)を導入し、補正係数HSを逐次更新するものとし、各制御ループLiの操作量出力上限値OHiに同じ補正係数HSを乗じる。
【0034】
以下、本実施の形態の電力総和抑制制御装置2の動作を説明する。図5は電力総和抑制制御装置2の動作を示すフローチャートである。
割当総電力入力部10は、電力を管理する電力デマンド管理システムのコンピュータである上位PC4から、ヒータの電力使用量を規定する割当総電力PWの情報を受信する(図4ステップS100)。
【0035】
総電力実測値入力部11は、各制御ループLiの現在の消費電力値(具体的にはヒータHiの消費電力値)の総和である総電力実測値PRをリアルタイムに計測する計測手段(不図示)から、総電力実測値PRを取得する(ステップS101)。なお、計測手段を電力総和抑制制御装置2内に設けるようにしてもよい。
【0036】
第1の補正係数更新部12は、総電力実測値PRと割当総電力PWとを比較し(ステップS102)、総電力実測値PRが割当総電力PWより大きいと判定した場合に、補正係数HSが現時点の数値よりも所定の第1の割合(本実施の形態では1%)だけ小さくなるように更新する(ステップS103)。すなわち、第1の補正係数更新部12は、次式のような処理を行なう。
IF PR>PW THEN HS←0.99HS ・・・(1)
【0037】
第2の補正係数更新部13は、制御部22−iから出力される操作量MViに基づいて、使用電力(各制御ループLiのヒータHiの消費電力値の総和)が最大状態に到達していると見なされる状況であるかどうかを判定する(ステップS104)。第2の補正係数更新部13は、全ての操作量MViがそれぞれ対応する操作量出力上限値OHxiに到達している場合、使用電力が最大状態に到達していると見なされる状況であると判定する。そして、第2の補正係数更新部13は、使用電力が最大状態に到達していると見なされる状況の場合、総電力実測値PRと割当総電力PWとを比較し(ステップS105)、総電力実測値PRが割当総電力PWより小さいと判定した場合に、補正係数HSが現時点の数値よりも所定の第2の割合(本実施の形態では0.1%)だけ大きくなるように更新する(ステップS106)。すなわち、第2の補正係数更新部13は、次式のような処理を行なう。
IF MVi=OHxi AND PR<PW THEN HS←1.001HS
・・・(2)
【0038】
なお、本実施の形態において補正係数HSを大きくすることは、使用電力が大きくなることを意味しているが、本発明は電力抑制を目的としているため、補正係数HSを小さくする度合い(1%)に比べて、補正係数HSを大きくする度合い(0.1%)を緩やかにしている。
【0039】
次に、最大出力時電力値入力部14は、各制御ループLiの操作量MViが最大値100%のときのヒータHiの消費電力値である最大出力時電力値CTmiを制御ループLi毎に取得する(ステップS107)。ここでは、最大出力時電力値CTmiは、最大出力時電力値入力部14に予め記憶されている固定値とする。
【0040】
電力余裕算出部15は、各制御ループLiの電力余裕CTriを次式により制御ループLi毎に算出する(ステップS108)。
CTri=CTmi(100.0−MVi)/100.0 ・・・(3)
最大総電力算出部16は、各制御ループLiの最大出力時電力値CTmiの総和である最大総電力BXを次式により算出する(ステップS109)。
BX=ΣCTmi=CTm1+CTm2+・・・+CTmn ・・・(4)
【0041】
電力余裕総量算出部17は、各制御ループLiの電力余裕CTriの総和である電力余裕総量RWを次式により算出する(ステップS110)。
RW=ΣCTri=CTr1+CTr2+・・・+CTrn ・・・(5)
電力削減総量算出部18は、削減すべき総電力量である電力削減総量SWを、最大総電力BXと割当総電力PWとから次式により算出する(ステップS111)。
SW=BX−PW ・・・(6)
【0042】
電力削減割当量算出部19は、各制御ループLiで削減すべき電力量である電力削減割当量CTsiを次式により制御ループLi毎に算出する(ステップS112)。
CTsi=SW(CTri/RW) ・・・(7)
出力上限値算出部20は、電力削減割当量CTsiと最大出力時電力値CTmiとから各制御ループLiの操作量出力上限値OHiを次式により制御ループLi毎に算出する(ステップS113)。
OHi={1.0−(CTsi/CTmi)}100.0[%] ・・・(8)
なお、BX<PWになる場合、すなわちSW<0になる場合は、OHiが100%を超えるが、その場合はOHiを100%で上限カットすればよい。
【0043】
出力上限値補正部21は、各制御ループLiの操作量出力上限値OHiを次式により補正した操作量出力上限値OHxiを制御ループLi毎に算出する(ステップS114)。
OHxi=OHiHS ・・・(9)
【0044】
次に、制御部22−iは、制御ループLiの操作量MViを以下のとおりに算出する。各制御ループLiの設定値SPiは、加熱装置のユーザによって設定され、設定値SPi入力部23−iを介してPID制御演算部25−iに入力される(ステップS115)。
各制御ループLiの制御量PVi(温度)は、温度センサSiによって測定され、制御量PVi入力部24−iを介してPID制御演算部25−iに入力される(ステップS116)。
【0045】
PID制御演算部25−iは、設定値SPiと制御量PViに基づいて、以下の伝達関数式のようなPID制御演算を行って操作量MViを算出する(ステップS117)。
MVi=(100/PBi){1+(1/TIis)+TDis}(SPi−PVi)
・・・(10)
PBiは比例帯、TIiは積分時間、TDiは微分時間、sはラプラス演算子である。
【0046】
出力上限処理部26−iは、以下の式のような操作量MViの上限処理を行う(ステップS118)。
IF MVi>OHxi THEN MVi=OHxi ・・・(11)
すなわち、出力上限処理部26−iは、操作量MViが操作量出力上限値OHxiより大きい場合、操作量MVi=OHxiとする上限処理を行う。
【0047】
操作量MVi出力部27−iは、出力上限処理部26−iによって上限処理された操作量MViを制御対象(実際の出力先は電力調整器3−i)に出力する(ステップS119)。制御部22−iは制御ループLi毎に設けられているので、ステップS115〜S119の処理は制御ループLi毎に実施されることになる。
電力総和抑制制御装置2は、以上のようなステップS101〜S119の処理を例えばユーザの指示によって制御が終了するまで(ステップS120においてYES)、一定時間毎に行う。
【0048】
3ループの制御系で、割当総電力PWを300Wとするシミュレーション結果を図6(A)、図6(B)に示す。図中の左軸は設定値SP1,SP2,SP3、制御量PV1,PV2,PV3および操作量MV1,MV2,MV3であり、右軸は割当総電力PWおよび総電力実測値PR、横軸は時間である。なお、ここでは操作量MV1,MV2,MV3だけでなく、設定値SP1,SP2,SP3および制御量PV1,PV2,PV3も%単位で表示している。
【0049】
図6(A)、図6(B)の例では、設定値SP1,SP2,SP3=20%としているため、制御量PV1,PV2,PV3は20%を維持するように制御されているが、600sec.の時点で制御量PV1,PV2,PV3に降温外乱が加わった後、電力総和抑制制御装置2による外乱抑制制御により制御量PV1,PV2,PV3が20%に復帰している。このとき、操作量出力上限値OHxiの微小な更新処理に伴い、操作量MViの高出力状態が緩やかに変化している。
【0050】
図6(A)の例では、600sec.〜650sec.の時点で総電力実測値PRが割当総電力PW=300Wに満たないため、総電力実測値PRを増やす方向に操作量出力上限値OHxiを逐次更新する動作になっている。一方、図6(B)の例では、600sec.〜620sec.の時点で総電力実測値PRが割当総電力PW=300Wを超えるため、総電力実測値PRを減らす方向に操作量出力上限値OHxiを逐次更新する動作になっている。
【0051】
以上のように、本実施の形態では、各制御ループLiの最大出力時電力値CTmiと操作量MViとから各制御ループLiの電力余裕を算出し、電力余裕の総和に対する各制御ループLiの電力余裕の比率と割当総電力PWに基づいて各制御ループLiの操作量出力上限値OHiを算出することにより、各制御ループLiの電力余裕が公平な状態に近づくように操作量出力上限値OHiを算出することができるので、複数の制御系に関し、定常状態において電力使用量が割当総電力PWを超えないように、かつ外乱抑制特性が可能な限り損なわれないように、制御を行うことができる。
【0052】
また、本実施の形態では、上記(a)、(b)の状況が発生している場合に操作量出力上限値OHxiの微小な補正処理を継続して実行することで、逐次的かつ安定的にずれを補正する動作を実現することができる。
また、本実施の形態では、操作量MVi自体を直接的に変化させるのではなく、操作量出力上限値OHxiを変化させるので、操作量MViには無意味な上下動は発生しない。すなわち、PID制御演算への悪影響が発生することがなく、不自然さのない制御応答波形を得ることができる。
【0053】
また、本実施の形態では、操作量出力上限値OHxiを算出する際に厳密に電力余裕を算出するので、各制御ループLiの電力余裕CTriまたはその総和である電力余裕総量RWをユーザに提示する提示手段を設けることで、電力余裕を監視・管理することができる。
【0054】
なお、図5の例では、割当総電力PWの情報を1回だけ受信するようになっているが、上位PC4は必要に応じて情報を送信し、これにより割当総電力PWの値が随時更新されるようになっていてもよい。
【0055】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態では、補正係数HS(初期値1.0)を導入し、補正係数HSを逐次更新するものとし、割当総電力PWに補正係数HSを乗じる。本実施の形態においても加熱装置全体の構成は第1の実施の形態と同様であるので、図2の符号を用いて説明する。
【0056】
図7は本実施の形態の電力総和抑制制御装置2の構成を示すブロック図である。本実施の形態の電力総和抑制制御装置2は、割当総電力入力部10と、総電力実測値入力部11と、第1の補正係数更新部12と、第2の補正係数更新部13aと、割当総電力PWに補正係数HSを乗じて補正した割当総電力PWxを算出する割当総電力補正部28と、最大出力時電力値入力部14と、電力余裕算出部15と、最大総電力算出部16と、電力余裕総量算出部17と、削減すべき総電力量である電力削減総量SWを最大総電力BXと割当総電力PWxとから算出する電力削減総量算出部18aと、電力削減割当量算出部19と、出力上限値算出部20と、制御ループLi毎に設けられた制御部22a−iとから構成される。
【0057】
最大出力時電力値入力部14と電力余裕算出部15と最大総電力算出部16と電力余裕総量算出部17と電力削減総量算出部18aと電力削減割当量算出部19と出力上限値算出部20とは、電力抑制手段を構成している。
制御部22a−iは、設定値SPi入力部23−iと、制御量PVi入力部24−iと、PID制御演算部25−iと、出力上限処理部26a−iと、操作量MVi出力部27−iとから構成される。
【0058】
以下、本実施の形態の電力総和抑制制御装置2の動作を説明する。図8は電力総和抑制制御装置2の動作を示すフローチャートである。
割当総電力入力部10の処理(図8のステップS200)、総電力実測値入力部11の処理(ステップS201)、第1の補正係数更新部12の処理(ステップS202,S203)は、それぞれ図5のステップS100,S101,S102,S103と同じなので、説明は省略する。
【0059】
第2の補正係数更新部13aは、制御部22a−iから出力される操作量MViに基づいて、使用電力が最大状態に到達していると見なされる状況であるかどうかを判定する(ステップS204)。第2の補正係数更新部13aは、全ての操作量MViがそれぞれ対応する操作量出力上限値OHiに到達している場合、使用電力が最大状態に到達していると見なされる状況であると判定する。そして、第2の補正係数更新部13aは、使用電力が最大状態に到達していると見なされる状況の場合、総電力実測値PRと割当総電力PWとを比較し(ステップS205)、総電力実測値PRが割当総電力PWより小さいと判定した場合に、補正係数HSが現時点の数値よりも所定の第2の割合(本実施の形態では0.1%)だけ大きくなるように更新する(ステップS206)。すなわち、第2の補正係数更新部13aは、次式のような処理を行なう。
IF MVi=OHi AND PR<PW THEN HS←1.001HS
・・・(12)
【0060】
次に、割当総電力補正部28は、割当総電力PWを次式により補正した割当総電力PWxを算出する(ステップS207)。
PWx=PWHS ・・・(13)
【0061】
最大出力時電力値入力部14の処理(ステップS208)、電力余裕算出部15の処理(ステップS209)、最大総電力算出部16の処理(ステップS210)、電力余裕総量算出部17の処理(ステップS211)は、それぞれ図5のステップS107,S108,S109,S110と同じなので、説明は省略する。
電力削減総量算出部18aは、削減すべき総電力量である電力削減総量SWを、最大総電力BXと割当総電力PWxとから次式により算出する(ステップS212)。
SW=BX−PWx ・・・(14)
【0062】
電力削減割当量算出部19の処理(ステップS213)、出力上限値算出部20の処理(ステップS214)は、それぞれ図5のステップS112,S113と同じなので、説明は省略する。
【0063】
次に、制御部22a−iは、制御ループLiの操作量MViを以下のとおりに算出する。設定値SPi入力部23−iの処理(ステップS215)、制御量PVi入力部24−iの処理(ステップS216)、PID制御演算部25−iの処理(ステップS217)は、それぞれ図5のステップS115,S116,S117と同じなので、説明は省略する。
【0064】
出力上限処理部26a−iは、以下の式のような操作量MViの上限処理を行う(ステップS218)。
IF MVi>OHi THEN MVi=OHi ・・・(15)
すなわち、出力上限処理部26a−iは、操作量MViが操作量出力上限値OHiより大きい場合、操作量MVi=OHiとする上限処理を行う。
【0065】
操作量MVi出力部27−iの処理(ステップS219)は、図5のステップS119と同じなので、説明は省略する。制御部22a−iは制御ループLi毎に設けられているので、ステップS215〜S219の処理は制御ループLi毎に実施されることになる。
電力総和抑制制御装置2は、以上のようなステップS201〜S219の処理を例えばユーザの指示によって制御が終了するまで(ステップS220においてYES)、一定時間毎に行う。
こうして、本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0066】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態では、補正係数HS(初期値1.0)を導入し、補正係数HSを逐次更新するものとし、各制御ループLiの最大出力時電力値CTmiに同じ補正係数HSを乗じる。本実施の形態においても加熱装置全体の構成は第1の実施の形態と同様であるので、図2の符号を用いて説明する。
【0067】
図9は本実施の形態の電力総和抑制制御装置2の構成を示すブロック図である。本実施の形態の電力総和抑制制御装置2は、割当総電力入力部10と、総電力実測値入力部11と、総電力実測値PRが割当総電力PWより大きい場合に補正係数HSを大きく更新する第1の補正係数更新部12bと、使用電力が最大状態に到達していると見なされる状況で総電力実測値PRが割当総電力PWより小さい場合に補正係数HSを小さく更新する第2の補正係数更新部13bと、最大出力時電力値入力部14と、各制御ループLiの最大出力時電力値CTmiに補正係数HSを乗じて補正した最大出力時電力値CTmxiを算出する最大出力時電力値補正部29と、最大出力時電力値CTmxiと操作量MViとから各制御ループLiの電力余裕CTriを算出する電力余裕算出部15bと、最大出力時電力値CTmxiの総和である最大総電力BXを算出する最大総電力算出部16bと、電力余裕総量算出部17と、電力削減総量算出部18と、電力削減割当量算出部19と、電力削減割当量CTsiと最大出力時電力値CTmxiとから各制御ループLiの操作量出力上限値OHiを算出する出力上限値算出部20bと、制御ループLi毎に設けられた制御部22a−iとから構成される。
【0068】
最大出力時電力値入力部14と電力余裕算出部15bと最大総電力算出部16bと電力余裕総量算出部17と電力削減総量算出部18と電力削減割当量算出部19と出力上限値算出部20bとは、電力抑制手段を構成している。
【0069】
以下、本実施の形態の電力総和抑制制御装置2の動作を説明する。図10は電力総和抑制制御装置2の動作を示すフローチャートである。
割当総電力入力部10の処理(図10のステップS300)、総電力実測値入力部11の処理(ステップS301)は、それぞれ図5のステップS100,S101と同じなので、説明は省略する。
【0070】
第1の補正係数更新部12bは、総電力実測値PRと割当総電力PWとを比較し(ステップS302)、総電力実測値PRが割当総電力PWより大きいと判定した場合に、補正係数HSが現時点の数値よりも所定の第1の割合(本実施の形態では1%)だけ大きくなるように更新する(ステップS303)。すなわち、第1の補正係数更新部12bは、次式のような処理を行なう。
IF PR>PW THEN HS←1.01HS ・・・(16)
【0071】
第2の補正係数更新部13bは、制御部22a−iから出力される操作量MViに基づいて、使用電力が最大状態に到達していると見なされる状況であるかどうかを判定する(ステップS304)。第2の補正係数更新部13bは、全ての操作量MViがそれぞれ対応する操作量出力上限値OHiに到達している場合、使用電力が最大状態に到達していると見なされる状況であると判定する。そして、第2の補正係数更新部13bは、使用電力が最大状態に到達していると見なされる状況の場合、総電力実測値PRと割当総電力PWとを比較し(ステップS305)、総電力実測値PRが割当総電力PWより小さいと判定した場合に、補正係数HSが現時点の数値よりも所定の第2の割合(本実施の形態では0.1%)だけ小さくなるように更新する(ステップS306)。すなわち、第2の補正係数更新部13bは、次式のような処理を行なう。
IF MVi=OHi AND PR<PW THEN HS←0.999H
・・・(17)
【0072】
なお、本実施の形態において補正係数HSを小さくすることは、使用電力が大きくなることを意味しているが、本発明は電力抑制を目的としているため、補正係数HSを大きくする度合い(1%)に比べて、補正係数HSを小さくする度合い(0.1%)を緩やかにしている。
【0073】
最大出力時電力値入力部14の処理(ステップS307)は、図5のステップS107と同じなので、説明は省略する。
最大出力時電力値補正部29は、各制御ループLiの最大出力時電力値CTmiを次式により補正した最大出力時電力値CTmxiを制御ループLi毎に算出する(ステップS308)。
CTmxi=CTmiHS ・・・(18)
【0074】
電力余裕算出部15bは、各制御ループLiの電力余裕CTriを次式により制御ループLi毎に算出する(ステップS309)。
CTri=CTmxi(100.0−MVi)/100.0 ・・・(19)
最大総電力算出部16bは、各制御ループLiの最大出力時電力値CTmxiの総和である最大総電力BXを次式により算出する(ステップS310)。
BX=ΣCTmxi=CTmx1+CTmx2+・・・+CTmxn ・・(20)
【0075】
電力余裕総量算出部17の処理(ステップS311)、電力削減総量算出部18の処理(ステップS312)、電力削減割当量算出部19の処理(ステップS313)は、それぞれ図5のステップS110,S111,S112と同じなので、説明は省略する。
出力上限値算出部20bは、電力削減割当量CTsiと最大出力時電力値CTmxiとから各制御ループLiの操作量出力上限値OHiを次式により制御ループLi毎に算出する(ステップS314)。
OHi={1.0−(CTsi/CTmxi)}100.0[%] ・・・(21)
なお、BX<PWになる場合、すなわちSW<0になる場合は、OHiが100%を超えるが、その場合はOHiを100%で上限カットすればよい。
【0076】
次に、制御部22a−iは、制御ループLiの操作量MViを以下のとおりに算出する。設定値SPi入力部23−iの処理(ステップS315)、制御量PVi入力部24−iの処理(ステップS316)、PID制御演算部25−iの処理(ステップS317)は、それぞれ図5のステップS115,S116,S117と同じなので、説明は省略する。
出力上限処理部26a−iの処理(ステップS318)は、図8のステップS218と同じなので、説明は省略する。操作量MVi出力部27−iの処理(ステップS319)は、図5のステップS119と同じなので、説明は省略する。
【0077】
電力総和抑制制御装置2は、以上のようなステップS301〜S319の処理を例えばユーザの指示によって制御が終了するまで(ステップS320においてYES)、一定時間毎に行う。
こうして、本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0078】
[第4の実施の形態]
第1〜第3の実施の形態では、電力量に基づいて操作量出力上限値OHi、割当総電力PW、最大出力時電力値CTmiを補正しているが、これに限るものではなく、例えば燃料使用量などのエネルギー量に基づいて補正を行なうようにしてもよい。すなわち、本発明は、第1〜第3の実施の形態の電力総和抑制制御装置2で用いる「電力」という物理量を、「エネルギー」あるいは「パワー」に置き換えた形態を権利範囲に含む。
【0079】
第1の実施の形態の電力総和抑制制御装置2で用いる「電力」という物理量を「エネルギー」に置き換えたエネルギー総和抑制制御装置の構成を図11に示し、第2の実施の形態の電力総和抑制制御装置2で用いる「電力」という物理量を「エネルギー」に置き換えたエネルギー総和抑制制御装置の構成を図12に示し、第3の実施の形態の電力総和抑制制御装置2で用いる「電力」という物理量を「エネルギー」に置き換えたエネルギー総和抑制制御装置の構成を図13に示す。
【0080】
図11のエネルギー総和抑制制御装置は、割当総エネルギー入力部110と、総エネルギー実測値入力部111と、第1の補正係数更新部112と、第2の補正係数更新部113と、最大出力時エネルギー値入力部114と、エネルギー余裕算出部115と、最大総エネルギー算出部116と、エネルギー余裕総量算出部117と、エネルギー削減総量算出部118と、エネルギー削減割当量算出部119と、出力上限値算出部120と、出力上限値補正部121と、制御部22−iとから構成される。
【0081】
最大出力時エネルギー値入力部114とエネルギー余裕算出部115と最大総エネルギー算出部116とエネルギー余裕総量算出部117とエネルギー削減総量算出部118とエネルギー削減割当量算出部119と出力上限値算出部120とは、エネルギー抑制手段を構成している。図11に示したエネルギー総和抑制制御装置の構成は、第1の実施の形態において「電力」を「エネルギー」に置き換えたものに相当するので、詳細な説明は省略する。
【0082】
図12のエネルギー総和抑制制御装置は、割当総エネルギー入力部110と、総エネルギー実測値入力部111と、第1の補正係数更新部112と、第2の補正係数更新部113aと、割当総エネルギー補正部128と、最大出力時エネルギー値入力部114と、エネルギー余裕算出部115と、最大総エネルギー算出部116と、エネルギー余裕総量算出部117と、エネルギー削減総量算出部118aと、エネルギー削減割当量算出部119と、出力上限値算出部120と、制御部22a−iとから構成される。
【0083】
最大出力時エネルギー値入力部114とエネルギー余裕算出部115と最大総エネルギー算出部116とエネルギー余裕総量算出部117とエネルギー削減総量算出部118aとエネルギー削減割当量算出部119と出力上限値算出部120とは、エネルギー抑制手段を構成している。図12に示したエネルギー総和抑制制御装置の構成は、第2の実施の形態において「電力」を「エネルギー」に置き換えたものに相当するので、詳細な説明は省略する。
【0084】
図13のエネルギー総和抑制制御装置は、割当総エネルギー入力部110と、総エネルギー実測値入力部111と、第1の補正係数更新部112bと、第2の補正係数更新部113bと、最大出力時エネルギー値入力部114と、最大出力時エネルギー値補正部129と、エネルギー余裕算出部115bと、最大総エネルギー算出部116bと、エネルギー余裕総量算出部117と、エネルギー削減総量算出部118と、エネルギー削減割当量算出部119と、出力上限値算出部120bと、制御部22a−iとから構成される。
【0085】
最大出力時エネルギー値入力部114とエネルギー余裕算出部115bと最大総エネルギー算出部116bとエネルギー余裕総量算出部117とエネルギー削減総量算出部118とエネルギー削減割当量算出部119と出力上限値算出部120bとは、エネルギー抑制手段を構成している。図13に示したエネルギー総和抑制制御装置の構成は、第3の実施の形態において「電力」を「エネルギー」に置き換えたものに相当するので、詳細な説明は省略する。
【0086】
なお、本発明は、加熱制御に限らず、例えば冷却装置による冷却温度制御や、換気風量による環境制御(有害物質VOC(Volatile Organic Compounas)や細菌などの制御)の電力総和抑制、エネルギー総和抑制にも適用することができる。
【0087】
第1〜第4の実施の形態で説明した電力総和抑制制御装置とエネルギー総和抑制制御装置とは、CPU、記憶装置及びインタフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。CPUは、記憶装置に格納されたプログラムに従って第1〜第4の実施の形態で説明した処理を実行する。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、複数の制御ループを備えたマルチループ制御系の制御装置および制御方法に適用することができる。
【符号の説明】
【0089】
1…加熱処理炉、2…電力総和抑制制御装置、3−1〜3−4…電力調整器、4…上位PC、10…割当総電力入力部、11…総電力実測値入力部、12,12b…第1の補正係数更新部、13,13a,13b…第2の補正係数更新部、14…最大出力時電力値入力部、15,15b…電力余裕算出部、16,16b…最大総電力算出部、17…電力余裕総量算出部、18,18a…電力削減総量算出部、19…電力削減割当量算出部、20,20b…出力上限値算出部、21…出力上限値補正部、22−i,22a−i…制御部、23−i…設定値SPi入力部、24−i…制御量PVi入力部、25−i…PID制御演算部、26−i,26a−i…出力上限処理部、27−i…操作量MVi出力部、28…割当総電力補正部、29…最大出力時電力値補正部、110…割当総エネルギー入力部、111…総エネルギー実測値入力部、112,112b…第1の補正係数更新部、113,113a,113b…第2の補正係数更新部、114…最大出力時エネルギー値入力部、115,115b…エネルギー余裕算出部、116,116b…最大総エネルギー算出部、117…エネルギー余裕総量算出部、118,118a…エネルギー削減総量算出部、119…エネルギー削減割当量算出部、120,120b…出力上限値算出部、121…出力上限値補正部、128…割当総エネルギー補正部、129…最大出力時エネルギー値補正部、H1〜H4…ヒータ、S1〜S4…温度センサ、Z1〜Z4…制御ゾーン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の制御ループLi(i=1〜n)の制御アクチュエータのエネルギー使用量を規定する割当総エネルギーの情報を受信する割当総エネルギー入力手段と、
各制御ループLiの消費エネルギー値の総和である総エネルギー実測値を取得する総エネルギー実測値取得手段と、
前記総エネルギー実測値が前記割当総エネルギーより大きい場合に、前記総エネルギー実測値が小さくなるように補正係数を所定の第1の割合だけ更新する第1の補正係数更新手段と、
使用エネルギーが最大状態に到達していると見なされる状況で前記総エネルギー実測値が前記割当総エネルギーより小さい場合に、前記総エネルギー実測値が大きくなるように前記補正係数を所定の第2の割合だけ更新する第2の補正係数更新手段と、
各制御ループLiの既知の最大出力時消費エネルギー値と操作量MViとから各制御ループLiのエネルギー余裕を算出し、このエネルギー余裕の総和に対する各制御ループLiのエネルギー余裕の比率と前記割当総エネルギーに基づいて各制御ループLiの操作量出力上限値OHiを算出するエネルギー抑制手段と、
このエネルギー抑制手段が算出した操作量出力上限値OHi、前記エネルギー抑制手段が利用する前記割当総エネルギーの値、または前記エネルギー抑制手段が利用する前記最大出力時消費エネルギー値の何れかに前記補正係数を乗じる補正手段と、
制御ループLi毎に設けられ、設定値SPiと制御量PViを入力として制御演算により操作量MViを算出し、操作量MViを前記操作量出力上限値OHi以下に制限する上限処理を実行して、上限処理後の操作量MViを対応する制御ループLiの制御アクチュエータに出力する制御手段とを備え、
各制御ループLiのエネルギー余裕が公平な状態に近づくように前記操作量出力上限値OHiを算出することを特徴とするエネルギー総和抑制制御装置。
【請求項2】
複数の制御ループLi(i=1〜n)の制御アクチュエータの電力使用量を規定する割当総電力PWの情報を受信する割当総電力入力手段と、
各制御ループLiの消費電力値の総和である総電力実測値PRを取得する総電力実測値取得手段と、
前記総電力実測値PRが前記割当総電力PWより大きい場合に、前記総電力実測値PRが小さくなるように補正係数を所定の第1の割合だけ更新する第1の補正係数更新手段と、
使用電力が最大状態に到達していると見なされる状況で前記総電力実測値PRが前記割当総電力PWより小さい場合に、前記総電力実測値PRが大きくなるように前記補正係数を所定の第2の割合だけ更新する第2の補正係数更新手段と、
各制御ループLiの既知の最大出力時電力値CTmiと操作量MViとから各制御ループLiの電力余裕を算出し、この電力余裕の総和に対する各制御ループLiの電力余裕の比率と前記割当総電力PWに基づいて各制御ループLiの操作量出力上限値OHiを算出する電力抑制手段と、
この電力抑制手段が算出した操作量出力上限値OHi、前記電力抑制手段が利用する前記割当総電力PWの値、または前記電力抑制手段が利用する前記最大出力時電力値CTmiの何れかに前記補正係数を乗じる補正手段と、
制御ループLi毎に設けられ、設定値SPiと制御量PViを入力として制御演算により操作量MViを算出し、操作量MViを前記操作量出力上限値OHi以下に制限する上限処理を実行して、上限処理後の操作量MViを対応する制御ループLiの制御アクチュエータに出力する制御手段とを備え、
各制御ループLiの電力余裕が公平な状態に近づくように前記操作量出力上限値OHiを算出することを特徴とする電力総和抑制制御装置。
【請求項3】
複数の制御ループLi(i=1〜n)の制御アクチュエータの電力使用量を規定する割当総電力PWの情報を受信する割当総電力入力手段と、
各制御ループLiの消費電力値の総和である総電力実測値PRを取得する総電力実測値取得手段と、
前記総電力実測値PRが前記割当総電力PWより大きい場合に、補正係数HSを所定の第1の割合だけ小さく更新する第1の補正係数更新手段と、
使用電力が最大状態に到達していると見なされる状況で前記総電力実測値PRが前記割当総電力PWより小さい場合に、前記補正係数HSを所定の第2の割合だけ大きく更新する第2の補正係数更新手段と、
各制御ループLiの既知の最大出力時電力値CTmiと操作量MViとから各制御ループLiの電力余裕CTriを算出する電力余裕算出手段と、
各制御ループLiの最大出力時電力値CTmiの総和である最大総電力BXを算出する最大総電力算出手段と、
各制御ループLiの電力余裕CTriの総和である電力余裕総量RWを算出する電力余裕総量算出手段と、
削減すべき総電力量である電力削減総量SWを前記最大総電力BXと前記割当総電力PWとから算出する電力削減総量算出手段と、
各制御ループLiで削減すべき電力量である電力削減割当量CTsiを前記電力余裕CTriと前記電力余裕総量RWと前記電力削減総量SWとから算出する電力削減割当量算出手段と、
前記電力削減割当量CTsiと前記最大出力時電力値CTmiとから各制御ループLiの操作量出力上限値OHiを算出する出力上限値算出手段と、
各制御ループLiの操作量出力上限値OHiに前記補正係数HSを乗じて補正した操作量出力上限値OHxiを算出する出力上限値補正手段と、
制御ループLi毎に設けられ、設定値SPiと制御量PViを入力として制御演算により操作量MViを算出し、操作量MViを前記操作量出力上限値OHxi以下に制限する上限処理を実行して、上限処理後の操作量MViを対応する制御ループLiの制御アクチュエータに出力する制御手段とを備えることを特徴とする電力総和抑制制御装置。
【請求項4】
複数の制御ループLi(i=1〜n)の制御アクチュエータの電力使用量を規定する割当総電力PWの情報を受信する割当総電力入力手段と、
各制御ループLiの消費電力値の総和である総電力実測値PRを取得する総電力実測値取得手段と、
前記総電力実測値PRが前記割当総電力PWより大きい場合に、補正係数HSを所定の第1の割合だけ小さく更新する第1の補正係数更新手段と、
使用電力が最大状態に到達していると見なされる状況で前記総電力実測値PRが前記割当総電力PWより小さい場合に、前記補正係数HSを所定の第2の割合だけ大きく更新する第2の補正係数更新手段と、
前記割当総電力PWに前記補正係数HSを乗じて補正した割当総電力PWxを算出する割当総電力補正手段と、
各制御ループLiの既知の最大出力時電力値CTmiと操作量MViとから各制御ループLiの電力余裕CTriを算出する電力余裕算出手段と、
各制御ループLiの最大出力時電力値CTmiの総和である最大総電力BXを算出する最大総電力算出手段と、
各制御ループLiの電力余裕CTriの総和である電力余裕総量RWを算出する電力余裕総量算出手段と、
削減すべき総電力量である電力削減総量SWを前記最大総電力BXと前記割当総電力PWxとから算出する電力削減総量算出手段と、
各制御ループLiで削減すべき電力量である電力削減割当量CTsiを前記電力余裕CTriと前記電力余裕総量RWと前記電力削減総量SWとから算出する電力削減割当量算出手段と、
前記電力削減割当量CTsiと前記最大出力時電力値CTmiとから各制御ループLiの操作量出力上限値OHiを算出する出力上限値算出手段と、
制御ループLi毎に設けられ、設定値SPiと制御量PViを入力として制御演算により操作量MViを算出し、操作量MViを前記操作量出力上限値OHi以下に制限する上限処理を実行して、上限処理後の操作量MViを対応する制御ループLiの制御アクチュエータに出力する制御手段とを備えることを特徴とする電力総和抑制制御装置。
【請求項5】
複数の制御ループLi(i=1〜n)の制御アクチュエータの電力使用量を規定する割当総電力PWの情報を受信する割当総電力入力手段と、
各制御ループLiの消費電力値の総和である総電力実測値PRを取得する総電力実測値取得手段と、
前記総電力実測値PRが前記割当総電力PWより大きい場合に、補正係数HSを所定の第1の割合だけ大きく更新する第1の補正係数更新手段と、
使用電力が最大状態に到達していると見なされる状況で前記総電力実測値PRが前記割当総電力PWより小さい場合に、前記補正係数HSを所定の第2の割合だけ小さく更新する第2の補正係数更新手段と、
各制御ループLiの既知の最大出力時電力値CTmiに補正係数HSを乗じて補正した最大出力時電力値CTmxiを算出する最大出力時電力値補正手段と、
各制御ループLiの最大出力時電力値CTmxiと操作量MViとから各制御ループLiの電力余裕CTriを算出する電力余裕算出手段と、
前記最大出力時電力値CTmxiの総和である最大総電力BXを算出する最大総電力算出手段と、
各制御ループLiの電力余裕CTriの総和である電力余裕総量RWを算出する電力余裕総量算出手段と、
削減すべき総電力量である電力削減総量SWを前記最大総電力BXと前記割当総電力PWとから算出する電力削減総量算出手段と、
各制御ループLiで削減すべき電力量である電力削減割当量CTsiを前記電力余裕CTriと前記電力余裕総量RWと前記電力削減総量SWとから算出する電力削減割当量算出手段と、
前記電力削減割当量CTsiと前記最大出力時電力値CTmxiとから各制御ループLiの操作量出力上限値OHiを算出する出力上限値算出手段と、
制御ループLi毎に設けられ、設定値SPiと制御量PViを入力として制御演算により操作量MViを算出し、操作量MViを前記操作量出力上限値OHi以下に制限する上限処理を実行して、上限処理後の操作量MViを対応する制御ループLiの制御アクチュエータに出力する制御手段とを備えることを特徴とする電力総和抑制制御装置。
【請求項6】
複数の制御ループLi(i=1〜n)の制御アクチュエータのエネルギー使用量を規定する割当総エネルギーの情報を受信する割当総エネルギー入力ステップと、
各制御ループLiの消費エネルギー値の総和である総エネルギー実測値を取得する総エネルギー実測値取得ステップと、
前記総エネルギー実測値が前記割当総エネルギーより大きい場合に、前記総エネルギー実測値が小さくなるように補正係数を所定の第1の割合だけ更新する第1の補正係数更新ステップと、
使用エネルギーが最大状態に到達していると見なされる状況で前記総エネルギー実測値が前記割当総エネルギーより小さい場合に、前記総エネルギー実測値が大きくなるように前記補正係数を所定の第2の割合だけ更新する第2の補正係数更新ステップと、
各制御ループLiの既知の最大出力時消費エネルギー値と操作量MViとから各制御ループLiのエネルギー余裕を算出し、このエネルギー余裕の総和に対する各制御ループLiのエネルギー余裕の比率と前記割当総エネルギーに基づいて各制御ループLiの操作量出力上限値OHiを算出するエネルギー抑制ステップと、
このエネルギー抑制ステップで算出した操作量出力上限値OHi、前記エネルギー抑制ステップで利用する前記割当総エネルギーの値、または前記エネルギー抑制ステップで利用する前記最大出力時消費エネルギー値の何れかに前記補正係数を乗じる補正ステップと、
設定値SPiと制御量PViを入力として制御演算により操作量MViを算出し、操作量MViを前記操作量出力上限値OHi以下に制限する上限処理を実行して、上限処理後の操作量MViを対応する制御ループLiの制御アクチュエータに出力する制御ステップとを備え、
各制御ループLiのエネルギー余裕が公平な状態に近づくように前記操作量出力上限値OHiを算出することを特徴とするエネルギー総和抑制制御方法。
【請求項7】
複数の制御ループLi(i=1〜n)の制御アクチュエータの電力使用量を規定する割当総電力PWの情報を受信する割当総電力入力ステップと、
各制御ループLiの消費電力値の総和である総電力実測値PRを取得する総電力実測値取得ステップと、
前記総電力実測値PRが前記割当総電力PWより大きい場合に、前記総電力実測値PRが小さくなるように補正係数を所定の第1の割合だけ更新する第1の補正係数更新ステップと、
使用電力が最大状態に到達していると見なされる状況で前記総電力実測値PRが前記割当総電力PWより小さい場合に、前記総電力実測値PRが大きくなるように前記補正係数を所定の第2の割合だけ更新する第2の補正係数更新ステップと、
各制御ループLiの既知の最大出力時電力値CTmiと操作量MViとから各制御ループLiの電力余裕を算出し、この電力余裕の総和に対する各制御ループLiの電力余裕の比率と前記割当総電力PWに基づいて各制御ループLiの操作量出力上限値OHiを算出する電力抑制ステップと、
この電力抑制ステップで算出した操作量出力上限値OHi、前記電力抑制ステップで利用する前記割当総電力PWの値、または前記電力抑制ステップで利用する前記最大出力時電力値CTmiの何れかに前記補正係数を乗じる補正ステップと、
設定値SPiと制御量PViを入力として制御演算により操作量MViを算出し、操作量MViを前記操作量出力上限値OHi以下に制限する上限処理を実行して、上限処理後の操作量MViを対応する制御ループLiの制御アクチュエータに出力する制御ステップとを備え、
各制御ループLiの電力余裕が公平な状態に近づくように前記操作量出力上限値OHiを算出することを特徴とする電力総和抑制制御方法。
【請求項8】
複数の制御ループLi(i=1〜n)の制御アクチュエータの電力使用量を規定する割当総電力PWの情報を受信する割当総電力入力ステップと、
各制御ループLiの消費電力値の総和である総電力実測値PRを取得する総電力実測値取得ステップと、
前記総電力実測値PRが前記割当総電力PWより大きい場合に、補正係数HSを所定の第1の割合だけ小さく更新する第1の補正係数更新ステップと、
使用電力が最大状態に到達していると見なされる状況で前記総電力実測値PRが前記割当総電力PWより小さい場合に、前記補正係数HSを所定の第2の割合だけ大きく更新する第2の補正係数更新ステップと、
各制御ループLiの既知の最大出力時電力値CTmiと操作量MViとから各制御ループLiの電力余裕CTriを算出する電力余裕算出ステップと、
各制御ループLiの最大出力時電力値CTmiの総和である最大総電力BXを算出する最大総電力算出ステップと、
各制御ループLiの電力余裕CTriの総和である電力余裕総量RWを算出する電力余裕総量算出ステップと、
削減すべき総電力量である電力削減総量SWを前記最大総電力BXと前記割当総電力PWとから算出する電力削減総量算出ステップと、
各制御ループLiで削減すべき電力量である電力削減割当量CTsiを前記電力余裕CTriと前記電力余裕総量RWと前記電力削減総量SWとから算出する電力削減割当量算出ステップと、
前記電力削減割当量CTsiと前記最大出力時電力値CTmiとから各制御ループLiの操作量出力上限値OHiを算出する出力上限値算出ステップと、
各制御ループLiの操作量出力上限値OHiに前記補正係数HSを乗じて補正した操作量出力上限値OHxiを算出する出力上限値補正ステップと、
設定値SPiと制御量PViを入力として制御演算により操作量MViを算出し、操作量MViを前記操作量出力上限値OHxi以下に制限する上限処理を実行して、上限処理後の操作量MViを対応する制御ループLiの制御アクチュエータに出力する制御ステップとを備えることを特徴とする電力総和抑制制御方法。
【請求項9】
複数の制御ループLi(i=1〜n)の制御アクチュエータの電力使用量を規定する割当総電力PWの情報を受信する割当総電力入力ステップと、
各制御ループLiの消費電力値の総和である総電力実測値PRを取得する総電力実測値取得ステップと、
前記総電力実測値PRが前記割当総電力PWより大きい場合に、補正係数HSを所定の第1の割合だけ小さく更新する第1の補正係数更新ステップと、
使用電力が最大状態に到達していると見なされる状況で前記総電力実測値PRが前記割当総電力PWより小さい場合に、前記補正係数HSを所定の第2の割合だけ大きく更新する第2の補正係数更新ステップと、
前記割当総電力PWに前記補正係数HSを乗じて補正した割当総電力PWxを算出する割当総電力補正ステップと、
各制御ループLiの既知の最大出力時電力値CTmiと操作量MViとから各制御ループLiの電力余裕CTriを算出する電力余裕算出ステップと、
各制御ループLiの最大出力時電力値CTmiの総和である最大総電力BXを算出する最大総電力算出ステップと、
各制御ループLiの電力余裕CTriの総和である電力余裕総量RWを算出する電力余裕総量算出ステップと、
削減すべき総電力量である電力削減総量SWを前記最大総電力BXと前記割当総電力PWxとから算出する電力削減総量算出ステップと、
各制御ループLiで削減すべき電力量である電力削減割当量CTsiを前記電力余裕CTriと前記電力余裕総量RWと前記電力削減総量SWとから算出する電力削減割当量算出ステップと、
前記電力削減割当量CTsiと前記最大出力時電力値CTmiとから各制御ループLiの操作量出力上限値OHiを算出する出力上限値算出ステップと、
設定値SPiと制御量PViを入力として制御演算により操作量MViを算出し、操作量MViを前記操作量出力上限値OHi以下に制限する上限処理を実行して、上限処理後の操作量MViを対応する制御ループLiの制御アクチュエータに出力する制御ステップとを備えることを特徴とする電力総和抑制制御方法。
【請求項10】
複数の制御ループLi(i=1〜n)の制御アクチュエータの電力使用量を規定する割当総電力PWの情報を受信する割当総電力入力ステップと、
各制御ループLiの消費電力値の総和である総電力実測値PRを取得する総電力実測値取得ステップと、
前記総電力実測値PRが前記割当総電力PWより大きい場合に、補正係数HSを所定の第1の割合だけ大きく更新する第1の補正係数更新ステップと、
使用電力が最大状態に到達していると見なされる状況で前記総電力実測値PRが前記割当総電力PWより小さい場合に、前記補正係数HSを所定の第2の割合だけ小さく更新する第2の補正係数更新ステップと、
各制御ループLiの既知の最大出力時電力値CTmiに補正係数HSを乗じて補正した最大出力時電力値CTmxiを算出する最大出力時電力値補正ステップと、
各制御ループLiの最大出力時電力値CTmxiと操作量MViとから各制御ループLiの電力余裕CTriを算出する電力余裕算出ステップと、
前記最大出力時電力値CTmxiの総和である最大総電力BXを算出する最大総電力算出ステップと、
各制御ループLiの電力余裕CTriの総和である電力余裕総量RWを算出する電力余裕総量算出ステップと、
削減すべき総電力量である電力削減総量SWを前記最大総電力BXと前記割当総電力PWとから算出する電力削減総量算出ステップと、
各制御ループLiで削減すべき電力量である電力削減割当量CTsiを前記電力余裕CTriと前記電力余裕総量RWと前記電力削減総量SWとから算出する電力削減割当量算出ステップと、
前記電力削減割当量CTsiと前記最大出力時電力値CTmxiとから各制御ループLiの操作量出力上限値OHiを算出する出力上限値算出ステップと、
設定値SPiと制御量PViを入力として制御演算により操作量MViを算出し、操作量MViを前記操作量出力上限値OHi以下に制限する上限処理を実行して、上限処理後の操作量MViを対応する制御ループLiの制御アクチュエータに出力する制御ステップとを備えることを特徴とする電力総和抑制制御方法。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−41318(P2013−41318A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175906(P2011−175906)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000006666)アズビル株式会社 (1,808)
【Fターム(参考)】