説明

エポキシ変性グアナミン化合物溶液の製造方法、熱硬化性樹脂組成物並びに、これを用いたプリプレグ及び積層板

【課題】毒性が低く安全な有機溶剤への溶解性が良く、金属箔接着性、耐熱性、耐湿性、難燃性、銅付き耐熱性、低誘電特性、低誘電正接性の全てに優れる熱硬化性樹脂組成物を与えるグアナミン化合物溶液の製造方法、熱硬化性樹脂組成物並びに、これを用いたプリプレグ及び積層板を提供する。
【解決手段】(a)6−置換グアナミン化合物、(b)25℃、無限希釈水溶液中の酸解離定数(pKa)が4.05以上のカルボキシル基含有酸性化合物及び(c)分子構造中に窒素原子を含有しないケトン系有機溶剤からなる均一溶液に、(d)分子構造中にエポキシ基を有する樹脂又はモノマーを添加し、70℃以上の温度で反応させることを特徴とするエポキシ変性グアナミン化合物溶液の製造方法、熱硬化性樹脂組成物並びに、これを用いたプリプレグ及び積層板である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機溶剤への溶解性が良く、金属箔接着性、耐熱性、耐湿性、難燃性などに優れ、電子部品等に好適な熱硬化性樹脂組成物を与えるエポキシ変性グアナミン化合物溶液の製造方法、熱硬化性樹脂組成物並びに、これを用いたプリプレグ及び積層板に関する。
【背景技術】
【0002】
熱硬化性樹脂は、その特有な架橋構造が高い耐熱性や寸法安定性を発現するため、電子部品等の高い信頼性を要求される分野において広く使われているが、特に銅張積層板や層間絶縁材料においては、近年の高密度化への要求から、微細配線形成のための高い銅箔接着性や、ドリル又は打ち抜きにより穴あけ等の加工をする際の加工性も必要とされる。
【0003】
また、近年の環境問題から、鉛フリーはんだによる電子部品の搭載やハロゲンフリーによる難燃化が要求され、そのため従来のものよりも高い耐熱性及び難燃性が必要とされる。さらに、製品の安全性や作業環境の向上化のため、毒性の低い成分のみで構成され、毒性ガス等が発生しない熱硬化性樹脂組成物が望まれている。
【0004】
熱硬化性樹脂であるメラミン樹脂やグアナミン化合物は、接着性、難燃性、耐熱性に優れる樹脂であるが、有機溶剤への溶解性が不足し、毒性の高いN,N−ジメチルホルムアミド等の窒素原子含有有機溶剤を多量に使用しないと熱硬化性樹脂組成物の作製が困難であったり、また保存安定性が不足する問題があった。また、これらの熱硬化性樹脂組成物を使用した銅張積層板や層間絶縁材料は、電子部品等を製造する際、めっき液等の各種薬液を汚染する問題があった。
【0005】
以上のような状況下で、メラミン樹脂やグアナミン化合物をホルムアルデヒド等のアルデヒド類を用いて縮合させた熱硬化性樹脂を使用した樹脂組成物が多く提案されている。(例えば、特許文献1〜4参照)
しかしながら、これらの樹脂組成物は、有機溶剤への溶解性は改良されているものの、熱分解温度が低く、毒性の分解ガスを発生するため作業環境を悪化させたり、近年要求される鉛フリーはんだへの耐熱性や銅付き耐熱性に不足する。また微細な加工処理・配線形成において、銅箔接着性や可とう性、靭性が不足し、回路パターンが断線や剥離を生じたり、ドリルや打ち抜きにより穴あけ等の加工をする際にクラックが発生する等の不具合が生じる。
【0006】
また、エーテル化メチロールグアナミンに尿素やメラミン等の前重合剤を反応させてエーテル化メチロールグアナミン化合物を製造する方法が開示されている(例えば、特許文献5参照)。しかしながら、このエーテル化メチロールグアナミン化合物も上記と同様に耐熱性や接着性、加工性等の問題がある。
【0007】
さらに、臭素含有難燃剤に代わるハロゲンフリーの難燃剤として、リン化合物が広く検討されている。しかし、リン酸又はリン酸エステル等を用いる場合、ブリードや加水分解性、耐熱性及び電気的信頼性の低下等の問題から、その使用量が限られ十分な難燃性が得られない等の問題がある。また赤リンは、打撃衝撃による発火等の安全上の理由や耐電食性等の信頼性を著しく劣化させる等の問題がある。
【0008】
【特許文献1】特公昭62−046584号公報
【特許文献2】特開平02−258820号公報
【特許文献3】特開平03−145476号公報
【特許文献4】特開2001−11672号公報
【特許文献5】特公昭62−61051号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、こうした現状に鑑み、毒性が低く安全な有機溶剤への溶解性が良く、金属箔接着性、耐熱性、耐湿性、難燃性、銅付き耐熱性、低誘電特性、低誘電正接性の全てに優れる熱硬化性樹脂組成物を与えるグアナミン化合物溶液の製造方法、熱硬化性樹脂組成物並びに、これを用いたプリプレグ及び積層板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定のグアナミン化合物、カルボキシル基含有酸性化合物及び分子構造中に窒素原子を含有しないケトン系有機溶剤からなる均一溶液にエポキシ樹脂又はモノマーを添加して反応させ製造したエポキシ変性グアナミン化合物溶液が上記目的に沿うものであり、積層板等に有利に用いられることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0011】
すなわち、本発明は、以下のエポキシ変性グアナミン化合物溶液の製造方法、熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ及び積層板を提供するものである。
1.(a)下記一般式(1)に示す6−置換グアナミン化合物、(b)25℃、無限希釈水溶液中の酸解離定数(pKa)が4.05以上のカルボキシル基含有酸性化合物及び(c)分子構造中に窒素原子を含有しないケトン系有機溶剤からなる均一溶液に、(d)分子構造中にエポキシ基を有する樹脂又はモノマーを添加し、70℃以上の温度で反応させることを特徴とするエポキシ変性グアナミン化合物溶液の製造方法。
【0012】
【化1】

【0013】
〔式(1)中、R1は、フェニル基、メチル基、ブチル基、アリル基、ビニル基、メトキシ基又はベンジロキシ基である。〕
2.(A)上記1の方法で製造されたエポキシ変性グアナミン化合物溶液に(B)1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂が配合された熱硬化性樹脂組成物。
3.上記2の熱硬化性樹脂組成物を、基材に含浸又は塗工した後、Bステージ化して得られたプリプレグ。
4.上記3のプリプレグを積層成形して得られた積層板。
5.プリプレグの少なくとも一方に金属箔を重ねた後、加熱加圧成形して得られた金属張積層板である上記4の積層板。
【発明の効果】
【0014】
本発明方法により得られるエポキシ変性グアナミン化合物溶液は、毒性が低く安全な有機溶剤への溶解性が良く、金属箔接着性、耐熱性、耐湿性、難燃性、銅付き耐熱性、低誘電特性、低誘電正接性の全てに優れる熱硬化性樹脂組成物を与えるものである。
このため該熱硬化性樹脂組成物を用いて、優れた性能を有するプリプレグや積層板などを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明について詳細に説明する。
先ず本発明は、(a)下記一般式(1)に示す6−置換グアナミン化合物、(b)25℃、無限希釈水溶液中の酸解離定数(pKa)が4.05以上のカルボキシル基含有酸性化合物及び(c)分子構造中に窒素原子を含有しないケトン系有機溶剤からなる均一溶液に、(d)分子構造中にエポキシ基を有する樹脂又はモノマーを添加し、70℃以上の温度で反応させることを特徴とするエポキシ変性グアナミン化合物溶液の製造方法を提供する。
なお、本発明において、エポキシ変性グアナミン化合物溶液における「化合物」には、モノマーとして存在するものと、繰返し単位を有する樹脂として存在するものが含まれる。
【0016】
【化2】

【0017】
〔式(1)中、R1は、フェニル基、メチル基、ブチル基、アリル基、ビニル基、メトキシ基又はベンジロキシ基である。〕
(a)の一般式(1)に示す6−置換グアナミン化合物としては、例えばベンゾグアナミンと称される2,4−ジアミノ−6−フェニル−s−トリアジン、アセトグアナミンと称される2,4−ジアミノ−6−メチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ビニル−s−トリアジン等が挙げられ、これらの中で、反応の反応率が高く、より高耐熱性化できるベンゾグアナミン、2,4−ジアミノ−6−ビニル−s−トリアジンがより好ましく、低毒性で安価である点からベンゾグアナミンが特に好ましい。
【0018】
(b)成分の25℃での無限希釈水溶液中の酸解離定数(pKa)が4.05以上のカルボキシル基含有酸性化合物としては、例えば、アクリル酸、アジピン酸、アゼライン酸、(o-,m-,p-)アニス酸、4−アミノ酪酸、イソ酪酸、イソ吉草酸、吉草酸、グルタル酸、酢酸、シクロヘキサンカルボン酸、2−ナフトエ酸、(o-,m-,p-)ヒドロキシ安息香酸、ピメリン酸、フェニル酢酸、p-フルオロ安息香酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、酪酸、レブリン酸等が挙げられる。
これらの中で、グアナミン化合物の溶解性が高く、より高耐熱性化できるアクリル酸、アジピン酸、(o-,m-,p-)アニス酸、イソ酪酸、グルタル酸、酢酸、シクロヘキサンカルボン酸、(o-,m-,p-)ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、p-フルオロ安息香酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、酪酸が好ましく、難燃性に優れる点から(o-,m-,p-)ヒドロキシ安息香酸がより好ましく、安価であり銅箔接着性に優れる点からp-ヒドロキシ安息香酸が特に好ましい。
なお、本発明で規定される25℃での無限希釈水溶液中の酸解離定数(pKa)は、化学便覧(改訂4版、基礎編II、p317、丸善(株)平成5年発行)より引用される数値である。
【0019】
また、(c)成分である分子構造中に窒素原子を含有しない有機溶剤としては、例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶剤、ジメチルスルホキシド等の硫黄原子含有溶剤等が挙げられ、1種又は2種以上を混合して使用できる。これらの中で、溶解性の点からシクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルセロソルブが好ましく、低毒性である点からシクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルがより好ましく、揮発性が高くプリプレグの製造時に残溶剤として残りにくいプロピレングリコールモノメチルエーテルが特に好ましい。
【0020】
(d)成分の分子構造中にエポキシ基を有する樹脂又はモノマーとしては、例えば、ビスフェノールA系、ビスフェノールF系、ビフェニル系、ノボラック系、多官能フェノール系、ナフタレン系、脂環式系及びアルコール系等のグリシジルエーテル系、グリシジルアミン系及びグリシジルエステル系等の樹脂又はモノマーが挙げられ、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
これらの中で、誘電特性、耐熱性、耐湿性及び銅箔接着性の点からビスフェノールF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等が好ましく、難燃性や成形加工性の点からビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂がより好ましく、安価であることからフェノールノボラック型エポキシ樹脂およびビスフェノールF型エポキシ樹脂が特に好ましい。
【0021】
ここで、(a)の6−置換グアナミン化合物と(b)のカルボキシル基含有酸性化合物の使用量は、−NH基換算の6−置換グアナミン化合物の当量に対する、反応性置換基換算のカルボキシル基含有酸性化合物の当量の比〔(6−置換グアナミン化合物の当量)/(カルボキシル基含有化合物の当量)〕が0.1〜10.0の範囲内であることが望ましい。該当量比を10.0以下とすることにより溶剤への溶解性が不足したりゲル化を起こすことがなく、0.1以上とすることにより得られる熱硬化性樹脂組成物の耐熱性が低下することがない。
【0022】
また、(c)成分の分子構造中に窒素原子を含有しない有機溶剤の使用量は、(a)成分と(b)成分の総和100質量部当たり、10〜1000質量部とすることが好ましく、100〜500質量部とすることがより好ましく、200〜500質量部とすることが特に好ましい。成分(c)の配合量を(a)成分と(b)成分の総和100質量部当たり10質量部以上とすることにより溶解性が不足することがなく、また1000質量部以下とすることにより好適な反応時間とすることができる。
【0023】
更に、(d)成分の分子構造中にエポキシ基を有する樹脂又はモノマーの使用量は、(d)成分のエポキシ樹脂又はモノマーの当量に対する(a)の6−置換グアナミン化合物の当量(−NH基換算)と(b)のカルボキシル基含有化合物の当量(反応性置換基換算)の総和の比〔(6−置換グアナミン化合物の当量とカルボキシル基含有化合物の当量の総和)/(エポキシ樹脂又はモノマの当量)〕が、0.5〜10.0の範囲内であることが望ましい。10.0以下とすることにより溶剤への好適な溶解性が得られ、0.5以上とすることによりゲル化を起こしたり、熱硬化性樹脂の耐熱性が低下することが回避される。
【0024】
本発明のエポキシ変性グアナミン化合物溶液は、前記(a)、(b)及び(c)成分が完全に溶解させたグアナミン化合物溶液に、70℃以上の温度で、(d)成分を添加し反応させて製造される。具体的には、(a)、(b)及び(c)成分の混合物を必要により加熱して均一な溶液とし、これに(d)成分を時間をかけて少量づつ添加して溶解させた後、70℃以上の温度、好ましくは100〜130℃で0.5時間から10時間反応させることによって分子構造中にエポキシ基を有する樹脂又はモノマーで変性されたグアナミン化合物溶液が得られる。
本発明において(a)、(b)及び(c)成分の混合物は70℃では均一な溶液であり、実施例に示すようにはんだ耐熱性や銅付き耐熱性が低下することなくエポキシ変性を行うことができる。
この反応には、必要により任意に反応触媒を使用することができる。反応触媒の例としては、トリエチルアミン、ピリジン、トリブチルアミン等のアミン類、メチルイミダゾール、フェニルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン等のリン系触媒等が挙げられ、1種又は2種以上を混合して使用できる。
【0025】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、(A)上記の方法で製造されたエポキシ変性グアナミン化合物溶液に(B)1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂が配合されたものである。
本発明の熱硬化性樹脂組成物に使用するエポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であれば、特に限定されず、例えば、ビスフェノールA系、ビスフェノールF系、ビフェニル系、ノボラック系、多官能フェノール系、ナフタレン系、脂環式系及びアルコール系等のグリシジルエーテル系、グリシジルアミン系及びグリシジルエステル系等の樹脂が挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合して使用することができる。これらの中で、誘電特性、耐熱性、耐湿性及び銅箔接着性の点からビスフェノールF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、難燃性や成形加工性の点からビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂がより好ましく、安価であることからフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が特に好ましい。
【0026】
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、エポキシ樹脂の硬化剤を配合してもよく、硬化剤の例としては、無水マレイン酸、無水マレイン酸共重合体等の酸無水物、ジシアノジアミド等のアミン化合物、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等のフェノール化合物等が挙げられる。これらの中で、耐熱性が良好となるフェノールノボラック、クレゾールノボラック等のフェノール化合物が好ましく、難燃性や接着性が向上することからクレゾールノボラック型フェノール樹脂が特に好ましい。
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物には、エポキシ樹脂の硬化促進剤を配合してもよく、硬化促進剤の例としては、イミダゾール類及びその誘導体、第三級アミン類及び第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0027】
本発明の熱硬化性樹脂組成物において、(A)エポキシ変性グアナミン化合物溶液の配合量は、(A)エポキシ変性グアナミン化合物溶液と(B)エポキシ樹脂の合計量100質量部当たり、1〜99質量部とすることが好ましく、20〜99質量部とすることがより好ましく、20〜90質量部とすることが特に好ましい。(A)エポキシ変性グアナミン化合物溶液の配合量を1質量部以上とすることにより優れた難燃性や接着性、可とう性が得られ、また99質量部以下とすることにより優れた耐熱性が得られる。
【0028】
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、任意に、公知の熱可塑性樹脂、エラストマー、難燃剤及び充填剤等を配合することができる。
熱可塑性樹脂の例としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂及びシリコーン樹脂等が挙げられる。
【0029】
エラストマーの例としては、ポリブタジエン、ポリアクリロニトリル、エポキシ変性ポリブタジエン、無水マレイン酸変性ポリブタジエン、フェノール変性ポリブタジエン及びカルボキシ変性ポリアクリロニトリル等が挙げられる。
【0030】
難燃剤の例としては、臭素や塩素を含有する含ハロゲン系難燃剤、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、ホスファゼン、赤リン等のリン系難燃剤、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウム等の無機物の難燃剤等が挙げられる。これらの難燃剤の中で、本発明の熱硬化性樹脂組成物は難燃効果が高いという利点も有するため、非ハロゲン系難燃剤であるリン系難燃剤や無機物の難燃剤等が環境上の問題から好ましく、リン系難燃剤と水酸化アルミニウム等の無機物の難燃剤を併用することが、安価であり、難燃性と耐熱性等の他特性との両立の点から特に好ましい。
【0031】
充填剤の例としては、シリカ、マイカ、タルク、ガラス短繊維又は微粉末及び中空ガラス等の無機物粉末、シリコーンパウダー、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、並びにポリフェニレンエーテル等の有機物粉末等が挙げられる。
【0032】
さらに、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、有機溶剤を任意に使用することができ、この有機溶剤は特に限定されない。有機溶剤の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、メチルセロソルブ等のアルコール系溶剤、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶剤、ジメチルホルムアミドジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられ、2種以上の有機溶剤を混合して使用することもできるが、エポキシ変性グアナミン化合物溶液に用いた有機溶剤と同一のものを用いることが好ましい。
【0033】
本発明において、上記の熱硬化性樹脂組成物に対して、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光重合開始剤、蛍光増白剤及び密着性向上剤等の添加も可能である。これら添加剤の例としては、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール系やスチレン化フェノール等の酸化防止剤、ベンゾフェノン類、ベンジルケタール類、チオキサントン系等の光重合開始剤、スチルベン誘導体等の蛍光増白剤、尿素シラン等の尿素化合物やシランカップリング剤等の密着性向上剤等が挙げられる。
【0034】
本発明のプリプレグは、上記の熱硬化性樹脂組成物を、基材に含浸又は塗工した後、Bステージ化してなるものである。すなわち、本発明の熱硬化性樹脂組成物を、基材に含浸又は塗工し、加熱等により半硬化(Bステージ化)して本発明のプリプレグを製造することができる。以下、本発明のプリプレグについて詳述する。
【0035】
本発明のプリプレグに用いられる基材には、各種の電気絶縁材料用積層板に用いられている周知のものが使用できる。その材質の例としては、Eガラス、Dガラス、Sガラス及びQガラス等の無機物の繊維、ポリイミド、ポリエステル及びテトラフルオロエチレン等の有機物の繊維、並びにそれらの混合物等が挙げられる。これらの基材は、例えば、織布、不織布、ロービンク、チョップドストランドマット及びサーフェシングマット等の形状を有するが、材質及び形状は、目的とする成形物の用途や性能により選択され、必要により、単独又は2種類以上の材質及び形状を組み合わせることができる。
基材の厚さは、特に制限されず、例えば、約0.03〜0.5mmのものを使用することができ、シランカップリング剤等で表面処理したもの又は機械的に開繊処理を施したものが、耐熱性や耐湿性、加工性の面から好適である。該基材に対する樹脂組成物の付着量が、乾燥後のプリプレグの樹脂含有率で、20〜90質量%となるように、基材に含浸又は塗工した後、通常、100〜200℃の温度で1〜30分加熱乾燥し、半硬化(Bステージ化)させて、本発明のプリプレグを得ることができる。
【0036】
本発明の積層板は、上記の本発明のプリプレグを積層成形して得られるものである。すなわち、本発明のプリプレグを、例えば、1〜20枚重ね、その片面又は両面に銅及びアルミニウム等の金属箔を配置した構成で積層成形することにより積層板を製造することができる。金属箔は、電気絶縁材料用途で用いるものであれば特に制限されない。また、成形条件は、例えば、電気絶縁材料用積層板及び多層板の手法が適用でき、例えば多段プレス、多段真空プレス、連続成形、オートクレーブ成形機等を使用し、温度100〜250℃、圧力0.2〜10mPa、加熱時間0.1〜5時間の範囲で成形することができる。また、本発明のプリプレグと内層用配線板とを組合せ、積層成形して、多層板を製造することもできる。
【実施例】
【0037】
次に、下記の実施例により本発明を更に詳しく説明するが、これらの実施例は本発明を制限するものではない。
なお、以下の実施例で得られた銅張積層板は、以下の方法で性能を測定・評価した。
【0038】
(1)銅箔接着性(銅箔ピール強度)の評価
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより、1cm幅の帯部分を残して銅箔を取り除いた評価基板を作製し、オートグラフ(島津製作所(株)製AG−100C)を用いて帯部分のピール強度を測定した。
(2)ガラス転移温度(Tg)の測定
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた5mm角の評価基板を作製し、TMA試験装置(デュポン(株)製TMA2940)を用い、評価基板の熱膨張特性を観察することにより評価した。
【0039】
(3)はんだ耐熱性の評価
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた5cm角の評価基板を作製し、プレッシャー・クッカー試験装置(平山製作所(株)製)を用いて、121℃、0.2mPaの条件で4時間までプレッシャー・クッカー処理を行った後、温度288℃のはんだ浴に、評価基板を20秒間浸漬した後、外観を観察することによりはんだ耐熱性を評価した。
(4)銅付き耐熱性(T−288)の評価
銅張積層板から5mm角の評価基板を作製し、TMA試験装置(デュポン(株)製TMA2940)を用い、288℃で評価基板の膨れが発生するまでの時間を測定することにより評価した。
【0040】
(5)吸湿性(吸水率)の評価
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた評価基板を作製し、プレッシャー・クッカー試験装置(平山製作所(株)製)を用いて、121℃、0.2mPaの条件で4時間までプレッシャー・クッカー処理を行った後、評価基板の吸水率を測定した。
(6)難燃性の評価
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた評価基板から、長さ127mm、幅12.7mmに切り出した評価基板を作製し、UL94の試験法(V法)に準じて評価した。
(7)比誘電率及び誘電正接の測定
得られた銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた評価基板を作製し、比誘電率測定装置(Hewllet・Packerd社製HP4291B)を用いて、周波数1GHzでの比誘電率及び誘電正接を測定した。
【0041】
製造例1:エポキシ変性グアナミン化合物溶液(1−1)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、ベンゾグアナミン:168.51gとp−ヒドロキシ安息香酸:49.74g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル:509.25gを入れ、120℃に昇温して均一に溶解した。次いでビスフェノールF型エポキシ樹脂〔ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名:エピコート807〕:272.50gを1時間かけて少しづつ添加して溶解させた後、120℃で5時間反応させてエポキシ変性グアナミン化合物溶液(1−1)を得た。なお、この反応における各成分の当量比は、(−NH基換算ベンゾグアナミンの当量)/(p−ヒドロキシ安息香酸の当量)=2.50であり、また(−NH基換算ベンゾグアナミンの当量とp−ヒドロキシ安息香酸の当量の総和)/(エポキシ樹脂の当量)=1.56である。なお、p−ヒドロキシ安息香酸の25℃での無限希釈水溶液中の酸解離定数(pKa)は4.58である。
【0042】
製造例2:エポキシ変性グアナミン化合物溶液(1−2)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、ベンゾグアナミン:157.76gとp−ヒドロキシ安息香酸:46.57g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル:476.77gを入れ、120℃に昇温して均一に溶解した。次いでフェノールノボラック型エポキシ樹脂〔ダウ・ケミカル(株)製、商品名:DEN−438〕:271.06gを1時間かけて少しづつ添加して溶解させた後、120℃で2時間反応させてエポキシ変性グアナミン化合物溶液(1−2)を得た。なお、この反応における各成分の当量比は、(−NH基換算ベンゾグアナミンの当量)/(p−ヒドロキシ安息香酸の当量)=2.50であり、また(−NH基換算ベンゾグアナミンの当量とp−ヒドロキシ安息香酸の当量の総和)/(エポキシ樹脂の当量)=1.56である。
【0043】
製造例3:エポキシ変性グアナミン化合物溶液(1−3)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、ベンゾグアナミン:74.55gとp−ヒドロキシ安息香酸:110.03g、及びシクロヘキサノン:430.70gを入れ、120℃に昇温して均一に溶解した。次いでビフェニル型エポキシ樹脂〔ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名:YX−4000H〕:384.72gを1時間かけて少しづつ添加して溶解させた後、140℃で5時間反応させてエポキシ変性グアナミン化合物溶液(1−3)を得た。なお、この反応における各成分の当量比は、(−NH基換算ベンゾグアナミンの当量)/(p−ヒドロキシ安息香酸の当量)=0.50であり、また(−NH基換算ベンゾグアナミンの当量とp−ヒドロキシ安息香酸の当量の総和)/(エポキシ樹脂の当量)=1.20である。
【0044】
製造例4:エポキシ変性グアナミン化合物溶液(1−4)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、ベンゾグアナミン:168.51gとm−ヒドロキシ安息香酸:49.74g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル:509.25gを入れ、120℃に昇温して均一に溶解した。次いでビスフェノールF型エポキシ樹脂〔ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名:エピコート807〕:272.50gを1時間かけて少しづつ添加して溶解させた後、120℃で5時間反応させてエポキシ変性グアナミン化合物溶液(1−4)を得た。なお、この反応における各成分の当量比は、(−NH基換算ベンゾグアナミンの当量)/(m−ヒドロキシ安息香酸の当量)=2.50であり、また(−NH基換算ベンゾグアナミンの当量とm−ヒドロキシ安息香酸の当量の総和)/(エポキシ樹脂の当量)=1.56である。なお、m−ヒドロキシ安息香酸の25℃での無限希釈水溶液中の酸解離定数(pKa)は4.08である。
【0045】
比較製造例1:(ベンゾグアナミンとマレイン酸の溶液)
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、ベンゾグアナミン:187.00gとマレイン酸:232.00g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル:977.67gを入れ、130℃に昇温したが、溶解せず、グアナミン化合物の均一に溶解した溶液が得られなかった。なお、マレイン酸の25℃での無限希釈水溶液中の酸解離定数(pKa)は、1.75である。
【0046】
比較製造例2:(ベンゾグアナミンと2,4−ジヒドロキシ安息香酸の溶液)
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、ベンゾグアナミン:187.00gと2,4−ジヒドロキシ安息香酸:308.00g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル:1155.00gを入れ、130℃に昇温したが、溶解せず、グアナミン化合物の均一に溶解した溶液が得られなかった。なお、2,4−ジヒドロキシ安息香酸の25℃での無限希釈水溶液中の酸解離定数(pKa)は、3.30である。
【0047】
比較製造例3:(ベンゾグアナミンと安息香酸の溶液)
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、ベンゾグアナミン:187.00gと安息香酸:244.00g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル:1005.67gを入れ、130℃に昇温したが、溶解せず、グアナミン化合物の均一に溶解した溶液が得られなかった。なお、安息香酸の25℃での無限希釈水溶液中の酸解離定数(pKa)は、4.00である。
【0048】
実施例1
(A)成分として製造例1で得られたエポキシ変性グアナミン化合物溶液(1−1)40質量部、(B)成分としてクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、商品名:エピクロンN−673)50質量部、エポキシ硬化剤としてクレゾールノボラック型フェノール樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、商品名:KA−1165)30質量部、難燃剤として水酸化アルミニウム100質量部を、溶剤としてメチルエチルケトンを使用して混合して樹脂分70質量%の均一なワニスを得た。次に、上記ワニスを厚さ0.2mmのEガラスクロスに含浸塗工し、160℃で10分加熱乾燥して樹脂含有量55質量%のプリプレグを得た。このプリプレグを4枚重ね、18μmの電解銅箔を上下に配置し、圧力2.5mPa、温度185℃で90分間プレスを行って、銅張積層板を得た。
得られた銅張積層板を用いて、前述の方法により、銅箔接着性(銅箔ピール強度)、ガラス転移温度、はんだ耐熱性、吸湿性(吸水率)、難燃性、比誘電率(1GHz)、誘電正接(1GHz)を測定・評価し、その結果を第1表に示す。
【0049】
実施例2
(A)成分として製造例2で得られたエポキシ変性グアナミン化合物溶液(1−2)40質量部を用いた他は、実施例1と同様とした。得られた銅張積層板の性能の測定・評価結果を第1表に示す。
【0050】
実施例3
(A)成分として製造例3で得られたエポキシ変性グアナミン化合物溶液(1−3)40質量部を用いた他は、実施例1と同様とした。得られた銅張積層板の性能の測定・評価結果を第1表に示す。
【0051】
実施例4
(A)成分として製造例4で得られたエポキシ変性グアナミン化合物溶液(1−4)40質量部を用いた他は、実施例1と同様とした。得られた銅張積層板の性能の測定・評価結果を第1表に示す。
【0052】
実施例5
(B)成分としてフェノールノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、商品名:エピクロンN−770)50質量部を用いた他は、実施例1と同様とした。得られた銅張積層板の性能の測定・評価結果を第1表に示す。
【0053】
実施例6
(B)成分としてフェノールノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、商品名:エピクロンN−770)50質量部を用いた他は、実施例2と同様とした。得られた銅張積層板の性能の測定・評価結果を第1表に示す。
【0054】
比較例1
(A)成分としてエポキシ変性グアナミン化合物溶液(1−1)に代えて比較製造例1で得られたベンゾグアナミン溶液40質量部を用いた他は、実施例1と同様とした。得られた銅張積層板の性能の測定・評価結果を第2表に示す。
【0055】
比較例2
(A)成分として比較製造例2で得られたベンゾグアナミン溶液40質量部を用いた他は、実施例1と同様とした。得られた銅張積層板の性能の測定・評価結果を第2表に示す。
【0056】
比較例3
(A)成分として比較製造例3で得られたベンゾグアナミン溶液40質量部を用いた他は、比較例1と同様とした。得られた銅張積層板の性能の測定・評価結果を第2表に示す。
【0057】
比較例4
(A)成分を使用せずに、(B)成分のエポキシ樹脂45質量部、硬化剤45質量部を用いた他は、比較例1と同様とした。得られた銅張積層板の性能の測定・評価結果を第2表に示す。
【0058】
比較例5
(B)成分をフェノールノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、商品名:エピクロンN−770)45質量部とした他は、比較例4と同様とした。得られた銅張積層板の性能の測定・評価結果を第2表に示す。
【0059】
【表1】

【0060】
【表2】

【0061】
第1表から明らかなように、本発明の実施例では、銅箔ピール強度、耐熱性、耐湿性、
難燃性、銅付き耐熱性(T−288)、低誘電特性、低誘電正接性の全てに優れている。
一方、比較例では、銅箔ピール強度、耐熱性、耐湿性、難燃性、銅付き耐熱性(T−288)、低誘電特性、低誘電正接性の全てを満たすものは無く、いずれかの特性に劣っている。
本発明のエポキシ変性グアナミン化合物溶液を含有する熱硬化性樹脂組成物を、基材に含浸または塗工して得たプリプレグ、及び該プリプレグを積層成形することにより製造した積層板は、銅箔接着性、耐熱性、耐湿性、難燃性、銅付き耐熱性(T−288)、低誘電特性、低誘電正接性に優れ、電子機器用プリント配線板として極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)下記一般式(1)に示す6−置換グアナミン化合物、(b)25℃、無限希釈水溶液中の酸解離定数(pKa)が4.05以上のカルボキシル基含有酸性化合物及び(c)分子構造中に窒素原子を含有しないケトン系有機溶剤からなる均一溶液に、(d)分子構造中にエポキシ基を有する樹脂又はモノマーを添加し、70℃以上の温度で反応させることを特徴とするエポキシ変性グアナミン化合物溶液の製造方法。
【化1】

〔式(1)中、R1は、フェニル基、メチル基、ブチル基、アリル基、ビニル基、メトキシ基又はベンジロキシ基である。〕
【請求項2】
(A)請求項1に記載の方法で製造されたエポキシ変性グアナミン化合物溶液に(B)1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂が配合された熱硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
請求項2に記載の熱硬化性樹脂組成物を、基材に含浸又は塗工した後、Bステージ化して得られたプリプレグ。
【請求項4】
請求項3に記載のプリプレグを積層成形して得られた積層板。
【請求項5】
プリプレグの少なくとも一方に金属箔を重ねた後、加熱加圧成形して得られた金属張積層板である請求項4に記載の積層板。

【公開番号】特開2008−50517(P2008−50517A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−230343(P2006−230343)
【出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】