説明

エラー訂正装置、エラー訂正方法及びエラー訂正プログラム

【課題】半導体メモリに記憶したデータにソフトエラーが発生した場合に、ソフトエラーを修正して正しいデータを得ることを目的とする。
【解決手段】補正データ格納用メモリ9には、少なくとも格納時点においては同一のデータであった補正データであって、複数のビットからなる補正データが、3つ以上の奇数個の領域に格納されている。多数決処理部12は、補正データ格納用メモリ9の各領域に格納された補正データの間で各ビットの値について多数決をとり、多数決データを生成するとともに、各領域に格納された補正データの間で値が異なるビットを示す差異データを生成する。妥当データ復元処理部15は、多数決データが妥当条件を満たす妥当データになるように、差異データが示すビットの値を変更して妥当データを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宇宙線等の影響により半導体メモリ内部に発生するソフトエラーを補正する技術に関する。また、前記ソフトエラーに起因する画像データの画質劣化を抑制し、画像取得を保証する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
赤外線撮像装置は、被写体が放出する赤外線を検出する赤外線撮像素子を有しており、熱分布を画像化する。赤外線撮像素子は微小な熱分布を検出する必要性から、赤外線検出画素(以下、画素と称する)毎の特性ばらつきが撮像素子出力に影響を与えやすいという特徴を持つ。アナログデータである撮像素子出力を高精度にデジタル化する場合に、画素毎の特性ばらつきが原因となり、A/D変換部の入力範囲を逸脱して画像が取得できないという課題が発生する。
【0003】
そのため、画素毎の特性ばらつきを示すデジタルデータ(以下、補正データと称する)を撮像装置内の半導体メモリに格納しておき、A/D変換処理前にアナログ化した補正データを用いて特性ばらつきを補正した後、デジタル変換することにより画像を取得している。
【0004】
ここで、半導体メモリに照射された宇宙線が半導体メモリ内に突入して原子と衝突すると、α線を含む大量のイオンが発生する。この大量のイオンにより半導体メモリ内部の電位が反転するソフトエラーを引き起こす。
【0005】
ソフトエラー対策としては、半導体メモリにエラー訂正符号(ECC:Error−Correcting−Code)を付加する方法や、異なる領域に同一データを格納しておき、多数決によりデータを判定してエラー訂正する方法(特許文献1)等が提案されている。
【0006】
赤外線撮像装置においても、半導体メモリから読み出して多数決によりエラー訂正した補正データを使用することにより、画像取得の信頼性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−52697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
多数決によりエラー訂正したデータを用いたソフトエラー対策は、多数決の対象となるデータ数に対するエラー数が、半数に満たない場合には訂正可能であるが、半数以上の場合には訂正不可能となる。
【0009】
ソフトエラーの発生率は撮像装置の使用環境により見込み可能であるが、ソフトエラーが発生するデータを予測することは不可能である。つまり、特定のデータにソフトエラーが多発した場合には、データ訂正が不可能な状況が発生する。訂正不可能となったデータ(以下、異常データと称する)を撮像装置で使用した場合、A/D変換部の入力範囲を逸脱して画像が取得できない可能性がある。
【0010】
撮像装置の補正データには、一画素にしか影響が及ばない補正データと多画素または全画素に影響が及ぶ補正データが存在する。一画素にしか影響が及ばない補正データに異常データを使用した場合、画像領域内の一画素の輝度異常(以下、画質劣化と称する)として現れるために撮像装置への影響は小さいと言える。しかし、多画素または全画素に影響が及ぶ補正データに異常データを使用した場合には、広範囲または全範囲の画像が取得できない可能性がある。
【0011】
本発明は、多数決によりエラー訂正したデータが異常データであった場合に、その異常データを修正して正しいデータを得ることを目的とする。また、本発明は、前記正しいデータを得ることにより、画質劣化を抑制し、画像取得を保証する撮像装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に係るエラー訂正装置は、
少なくとも格納時点においては同一のデータであった対象データであって、複数のビットからなる対象データが、3つ以上の奇数個の領域に格納された格納用メモリと、
前記格納用メモリの各領域に格納された対象データの間で各ビットの値について多数決をとり、各ビットの値を決定して多数決データを生成する多数決データ生成部と、
前記格納用メモリの各領域に格納された対象データの間で値が異なるビットを差異データとして検出する差異データ検出部と、
前記多数決データ生成部が生成した多数決データが所定の妥当条件を満たす妥当データになるように、前記差異データ検出部が差異データとして検出したビットの値を変更して妥当データを生成する妥当データ生成部と
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るエラー訂正装置は、多数決によりエラー訂正した多数決データについて、妥当条件を満たすようにさらに訂正する。これにより、多数決データが異常データである場合にも、正しいデータを得ることが可能となる。また、正しいデータを得ることが可能となるため、多数決データが異常データである場合にも、画質劣化を抑制し、画像取得を保証する撮像装置を実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施の形態1における撮像装置1の機能構成図。
【図2】実施の形態1における多数決処理の真理値表を示す図。
【図3】実施の形態1における妥当性検討処理の手順を示す図。
【図4】実施の形態1における妥当条件による復元結果を示す図。
【図5】実施の形態2における撮像装置1の機能構成図。
【図6】実施の形態3における撮像装置1の機能構成図。
【図7】撮像装置1のハードウェア構成の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図に基づき、この発明の実施の形態について説明する。
以下の説明において、処理装置は後述するCPU911等である。記憶装置は後述するROM913、RAM914、磁気ディスク装置920等である。出力装置は後述するLCD901等である。つまり、処理装置、記憶装置、出力装置はいずれもハードウェアである。
【0016】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における撮像装置1(赤外線撮像装置)の機能構成図である。
図1において、光学系2は、被写体から放射される赤外線を結像するための光学系である。光学系とは、光線の性質を利用して物体の像をつくる器具のことである。赤外線検出画素3は、光学系2の結像面に位置し、被写体からの赤外線を検出する。撮像素子4は、赤外線検出画素3の集合体から構成される。撮像素子駆動部5は、撮像素子4を駆動する。A/D変換部6は、撮像素子4が出力した撮像素子出力を、後述するD/A変換部16から出力された補正データ(妥当データ)により補正したアナログデータをデジタルデータに変換する。画像補正処理部7は、A/D変換部6がデジタルデータに変換した画像データを処理装置により補正する。画像出力部8は、画像補正処理部7にて補正処理した画像データを出力装置に出力する。補正データ格納用メモリ9は、少なくとも格納時点においては同一データであって、複数のビットからなる補正データを複数領域に多重格納する。複数の領域とは、少なくとも3個以上の奇数個の領域である。多数決データ生成部10は、補正データ格納用メモリ9に多重格納した補正データの各ビットから多数決データを処理装置により生成する。差異データ生成部11は、補正データ格納用メモリ9に多重格納した補正データの各ビットから差異データを処理装置により生成する。多数決処理部12は、多数決データ生成部10と差異データ生成部11とから構成される。妥当条件記憶部13は、後述する妥当データ生成部14が妥当性を検討する指標となる妥当条件を記憶した記憶装置である。妥当データ生成部14は、補正データの多数決データ及び差異データに基づき、妥当条件を満たす妥当データを生成する。妥当データ復元処理部15は、妥当条件記憶部13と妥当データ生成部14とから構成される。D/A変換部16は、妥当データ復元処理部15において復元したデジタルデータである妥当データをアナログデータに変換する。
【0017】
撮像装置1の機能と動作について説明する。
なお、ここでは、同一の補正データが、補正データ格納用メモリ9における3つの異なる領域に格納されているものとする。
撮像装置1では、多数決処理部12が、3つの異なる領域に格納された同一の補正データ(以下、真値データと称する)の任意ビットがソフトエラーにより反転した場合に、3つの補正データを多数決によりエラー訂正する多数決処理を実行する。その後、妥当データ復元処理部15が、真値データが必ず満足すべき妥当条件を満たすことを検討する妥当性検討処理を実行して、妥当条件を満足する妥当データを復元する。
【0018】
まず、多数決処理について説明する。
多数決データ生成部10は、異なる領域に格納した3つの補正データの各ビットに対して、多数決ビットを検出し、検出した多数決ビットを補正データ毎に結合し、複数ビットからなる多数決データを生成する。多数決ビットとは、多数決によりエラー訂正したビットに相当し、3つのビットのうちの2つ以上のビットがもつ値をとったビットである。
差異データ生成部11は、異なる領域に格納した3つの補正データの各ビットに対して、差異ビットを検出し、検出した差異ビットを補正データ毎に結合し、複数ビットからなる差異データを生成する。差異ビットとは、3つのビットが全て一致した場合に0となり、それ以外の場合に1となるビットである。
【0019】
図2は、実施の形態1における多数決処理の真理値表を示す図である。図2では、3つの補正データの特定のビットをそれぞれビットA、ビットB、ビットCとしたときの、多数決ビット及び差異ビットの真理値を示している。
ビットA〜Cのうち、いずれか1ビットが反転した場合には、多数決処理により真値データに訂正可能であるが、2ビット以上が反転した場合には、多数決処理のみによる真値データへの訂正は不可能となる。
【0020】
次に、妥当性検討処理について説明する。
妥当データ生成部14は、妥当条件記憶部13に予め記憶された妥当条件に従い、多数決データ生成部10が生成した多数決データの妥当性を検討し、多数決データを訂正することにより妥当条件を満たす妥当データを生成する。妥当条件は、例えば、多数決データの取り得る値の範囲を示すデータである。
【0021】
妥当データ生成部14は、多数決データ生成部10が生成した多数決データに対して、まず妥当性を検討する。妥当条件を満たす場合、入力された多数決データが妥当データとして出力し、処理は完了する。妥当条件を満たさない場合には、多数決データが真値データとは異なる値に変化したと判断し、差異データ生成部11が生成した差異データを用いて多数決データを訂正して妥当データを生成する。
訂正方法としては、差異データのビット列で1となるビットを捜索し、多数決データの対応ビットを反転しながら妥当性検討を繰り返す。妥当条件を満たすデータを復元した時点で処理は完了する。
【0022】
図3は、実施の形態1における妥当性検討処理の手順を示す図である。なお、図3では、補正データを0ビット(下位ビット)からn−1ビット(上位ビット)までのnビットのデータと定義し、nビットの多数決データX及びnビットの差異データYから、nビットの妥当データを復元するものとしている。
妥当データ生成部14は、nビットの多数決データと、nビットの差異データとを入力として、妥当性検討処理を開始する(S1)。妥当データ生成部14は、nビットの多数決データを、変数Zに代入し、変数kにn−1を代入する(S2)。そして、妥当データ生成部14は、nビットのデータZ(変数Z)が妥当条件を満たすか否かを判定する(S3)。データZが妥当条件を満たしている場合(S3でYES)、データZを訂正することなくそのまま妥当データとして出力する(S10)。一方、データZが妥当条件を満たしていない場合(S3でNO)、S4へ処理を進める。
妥当データ生成部14は、変数Y[k]の値が1であるか否か、つまり差異データYのkビット目の値が1であるか否かを判定する(S4)。変数Y[k]の値が1である場合(S4でYES)、S5へ処理を進める。一方、変数Y[k]の値が1でない場合(S4でNO)、S8へ処理を進める。
妥当データ生成部14は、データZのkビット目の値を反転する(S5)。つまり、データZのkビット目の値が0なら1に変更され、値が1なら0に変更される。そして、妥当データ生成部14は、kビット目の値を反転したデータZが妥当条件を満たすか否かを判定する(S6)。データZが妥当条件を満たしている場合(S6でYES)、S10へ処理を進めて、kビット目の値を反転したデータZを妥当データとして出力する。一方、データZが妥当条件を満たしていない場合(S6でNO)、S7へ処理を進める。
妥当データ生成部14は、S5で反転したデータZのkビット目の値を元に戻す(S7)。そして、妥当データ生成部14は、変数kの値が0より大きいか否かを判定する(S8)。変数kの値が0より大きい場合(S8でYES)、変数kの値を1減じて(S9)、S4へ処理を戻す。一方、変数kの値が0以下の場合(S8でNO)、データZを訂正することなくそのまま妥当データとして出力する(S10)。
【0023】
なお、図3では、差異データのビット捜索手順として上位ビットから下位ビットの順に捜索する手順を示しているが、下位ビットから上位ビットの順に捜索するなどの手順についても同様の効果が得られる。
【0024】
ここで、妥当性検討の指標となる妥当条件は、真値データと妥当データとが一致する確率、画質劣化の抑制効果及び画像取得の性能に影響する。
図4は、実施の形態1における妥当条件による復元結果を示す図である。図4では、妥当条件A、Bにより復元される妥当データを示している。なお、表中の数値は、全て2進数表記である。また、真値データを3ビットと仮定し、表中の多数決データ及び差異データの組み合わせにおいて復元される妥当データを示している。
多数決データは真値データから任意の1ビットのみ反転したデータであり、差異データは多数決データが真値データから反転したビットにおいて必ず1となるデータの組み合わせである。表に示した組み合わせ以外は、発生確率が非常に低いために示していない。
【0025】
図4では、最大値/最小値を指標とする妥当条件A、Bを規定している。妥当条件Bは、妥当条件Aと比較して真値データに近い範囲を指標としている。妥当条件として真値データに近い範囲が設定されている方が、真値データが妥当データとして復元される確率が高くなり、また妥当データと真値データとの誤差も小さくなる。
例えば、図4において、多数決データが“000”、差異データが“101”である場合、図3の処理を実行すると、データZは“000”、“100”、“001”の順に遷移する(図4の妥当データ遷移の欄を参照)。この場合、妥当条件A(010≦Z≦110)の場合でも、妥当条件B(001≦Z≦101)の場合でも、出力される妥当データは“100”である。
しかし、例えば、図4において、多数決データが“110”、差異データが“011”である場合、図3の処理を実行すると、データZは“110”、“100”、“111”の順に遷移する。この場合、妥当条件A(010≦Z≦110)の場合には、出力される妥当データは“110”であり、妥当条件B(001≦Z≦101)の場合には、出力される妥当データは“100”である。
このように、図4に示す例では、下側の4つの例において、妥当条件Bの場合には真値データが得られ、妥当条件Aの場合には真値データが得られていない。
【0026】
なお、妥当条件は、全補正データの分布や補正データの用途毎の分布から算出される補正データの最大値/最小値を用いて規定することができる。
【0027】
以上のように、実施の形態1における撮像装置1では、異なる領域に格納した同一補正データを多数決処理した結果に、妥当データ復元処理を適用している。これにより、従来は復元不可能であった同時に2ビットが反転したビットが含まれる場合においても真値データを復元できる。
また、実施の形態1における撮像装置1では、復元した真値データを用いて、撮像した画像データ(撮像素子出力)を補正しているため、出力画像の画質の劣化を抑制し、画像の取得を保証することが可能となる。
真値データとの値の誤差は、画像における輝度差として視覚化されるため、真値データとの誤差が小さくなるほど高い効果が得られる。
【0028】
実施の形態2.
図5は、実施の形態2における撮像装置1の機能構成図である。実施の形態2における撮像装置1について、図1に示す実施の形態1における撮像装置1と異なる部分について説明する。
妥当条件算出部20は、妥当条件を算出する。妥当データ生成部21は、補正データの多数決データ及び差異データに基づき、妥当条件算出部20が算出した妥当条件を満たす妥当データを生成する。妥当データ復元処理部22は、妥当条件算出部20と妥当データ生成部21とから構成される。
【0029】
実施の形態2における撮像装置1の特徴は、各補正データに応じた妥当条件を撮像装置内部にて生成することにある。
実施の形態1における撮像装置1のように、妥当条件を内部に保持する場合には、補正データ毎に妥当条件を切り替えるためには撮像装置内に多くの記憶領域を必要とする。そのため、処理回路の追加によるコスト・質量・装置大型化を招くという課題がある。
【0030】
そこで、実施の形態2における撮像装置1では、妥当条件算出部20が撮像装置1の内部にて保持するデータから各補正データに応じた妥当条件を算出することで、前記課題を解決する。
内部で算出する妥当条件としては、他の領域の補正データを使用する方法が挙げられる。例えば、補正データの特徴として、格納領域のアドレス値と格納されたデータとに正の相関があるとする。この場合、格納領域のアドレス値の順に妥当データを復元するなら、前アドレスのデータよりも大きな値であるという条件を妥当条件とすることができる。
【0031】
以上のように、実施の形態2における撮像装置1では、予め補正データ毎の妥当条件を内部に保持することなく、補正データ毎に異なった妥当条件を設定することが可能となる。そのため、処理回路の大幅な追加によるコスト・質量・装置大型化を招くことなく、実施の形態1における撮像装置1と同様の効果を高めることが可能となる。
【0032】
実施の形態3.
図6は、実施の形態3における撮像装置1の機能構成図である。実施の形態3における撮像装置1について、図1に示す実施の形態1における撮像装置1と異なる部分について説明する。
撮像装置1は、妥当データ復元処理部(1)32から妥当データ復元処理部(N)35までのN個の妥当データ生成部を備える。
妥当条件記憶部(1)30は、第1番目の妥当性検討に使用する妥当条件(1)を記憶した記憶装置である。妥当データ生成部(1)31は、補正データの多数決データ及び差異データに基づき、妥当条件(1)を満たす妥当データを生成する。妥当データ復元処理部(1)32は、妥当条件記憶部(1)30と妥当データ生成部(1)31とから構成される。
妥当条件記憶部(N)33は、第N番目の妥当性検討に使用する妥当条件(N)を記憶した記憶装置である。妥当データ生成部(N)34は、第N−1番目の妥当データ生成部(N−1)が生成した妥当データと、補正データの差異データに基づき、妥当条件(N)を満たす妥当データを生成する。妥当データ復元処理部(N)35は、妥当条件記憶部(N)33と妥当データ生成部(N)34とから構成される。
【0033】
実施の形態3における撮像装置1の特徴は、複数の妥当条件を用いて妥当性を検討することにある。
実施の形態1における撮像装置1では、1つの妥当条件しか用いていないために、真値データとは異なるデータが復元される可能性があることは図4を用いてすでに示した通りである。
【0034】
そこで、実施の形態3における撮像装置1では、異なった指標を用いて評価するための妥当条件を追加することで、真値データの復元確率を高める。
図6のようにN通りの妥当条件を使用する場合、妥当条件(1)〜(N−1)を満足するデータであっても妥当条件(N)を満足しなければ、真値データではないと判断できる。そのため、N個の妥当データ復元処理部のうちのいずれかが、妥当条件を満足しないと判定した場合、再度、差異ビットを用いて先ほどとは異なるデータを復元し、妥当条件(1)から再検討する。これを繰り返すことで、最終的に全ての妥当条件を満足する復元データを得る。
【0035】
以上のように、実施の形態3における撮像装置1では、複数の妥当条件を判断することにより、真値データの復元確率を高めることができる。
【0036】
次に、以上の実施の形態に係る撮像装置1のハードウェア構成について説明する。
図7は、撮像装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。
図7に示すように、撮像装置1は、プログラムを実行するCPU911(Central・Processing・Unit)を備えている。CPU911は、バス912を介してROM913、RAM914、LCD901(Liquid Crystal Display)、キーボード902(K/B)、磁気ディスク装置920と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。
【0037】
ROM913や磁気ディスク装置920には、上記の説明において「A/D変換部6」、「画像補正処理部7」、「画像出力部8」、「多数決データ生成部10」、「差異データ生成部11」、「多数決処理部12」、「妥当条件記憶部13」、「妥当データ生成部14」、「妥当データ復元処理部15」、「D/A変換部16」等として説明した機能を実行するソフトウェアやプログラムやその他のプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。
ROM913やRAM914や磁気ディスク装置920には、上記の説明において「補正データ」、「多数決データ」、「差異データ」、「妥当データ」、「撮像素子出力」等として説明した情報が記憶される。
【0038】
また、上記の説明におけるフローチャートの矢印の部分は主としてデータの入出力を示し、データは、RAM914に記録される。また、データは、バス912やプロセスバスによりオンライン伝送される。
【符号の説明】
【0039】
1 撮像装置、2 光学系、3 赤外線検出画素、4 撮像素子、5 撮像素子駆動部、6 A/D変換部、7 画像補正処理部、8 画像出力部、9 補正データ格納用メモリ、10 多数決データ生成部、11 差異データ生成部、12 多数決処理部、13 妥当条件記憶部、14 妥当データ生成部、15 妥当データ復元処理部、16 D/A変換部、20 妥当条件算出部、21 妥当データ生成部、22 妥当データ復元処理部、30 妥当条件記憶部(1)、31 妥当データ生成部(1)、32 妥当データ復元処理部(1)、33 妥当条件記憶部(N)、34 妥当データ生成部(N)、35 妥当データ復元処理部(N)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも格納時点においては同一のデータであった対象データであって、複数のビットからなる対象データが、3つ以上の奇数個の領域に格納された格納用メモリと、
前記格納用メモリの各領域に格納された対象データの間で各ビットの値について多数決をとり、各ビットの値を決定して多数決データを生成する多数決データ生成部と、
前記格納用メモリの各領域に格納された対象データの間で値が異なるビットを示す差異データを生成する差異データ生成部と、
前記多数決データ生成部が生成した多数決データが所定の妥当条件を満たす妥当データになるように、前記差異データ生成部が生成した差異データが示すビットの値を変更して妥当データを生成する妥当データ生成部と
を備えることを特徴とするエラー訂正装置。
【請求項2】
前記妥当データ生成部は、前記多数決データが前記妥当条件を満たす妥当データになるまで、前記差異データが示すビットの値を所定の順に変更して妥当データを生成する
ことを特徴とする請求項1に記載のエラー訂正装置。
【請求項3】
前記妥当データ生成部は、前記差異データが示すビットの値を変更したデータが前記妥当条件を満たさない場合には、変更したビットの値を元の値に戻した上で、次のビットの値を変更して妥当データを生成する
ことを特徴とする請求項2に記載のエラー訂正装置。
【請求項4】
前記エラー訂正装置は、さらに、
前記対象データが取り得る値の範囲を前記妥当条件として予め記憶した妥当条件記憶部
を備え、
前記妥当データ生成部は、前記妥当条件記憶部が記憶した妥当条件を満たす妥当データを生成する
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載のエラー訂正装置。
【請求項5】
前記格納用メモリには、複数の対象データが格納されており、
前記エラー訂正装置は、さらに、
各対象データについて、他の対象データの値からその対象データが取り得る値の範囲を前記妥当条件として算出する妥当条件算出部
を備え、
前記妥当データ生成部は、前記妥当条件算出部が算出した妥当条件を満たす妥当データを生成する
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載のエラー訂正装置。
【請求項6】
前記妥当データ生成部は、複数の妥当条件の全てを満たす妥当データを生成する
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載のエラー訂正装置。
【請求項7】
前記格納用メモリは、前記対象データとして、画像データを補正するための補正データが格納され、
前記エラー訂正装置は、
前記妥当データ生成部が生成した妥当データを用いて、前記画像データを補正する画像補正処理部
を備えることを特徴とする請求項1から6までのいずれかに記載のエラー訂正装置。
【請求項8】
処理装置が、少なくとも格納時点においては同一のデータであった対象データであって、複数のビットからなる対象データが、3つ以上の奇数個の領域に格納された格納用メモリの各領域に格納された対象データの間で各ビットの値について多数決をとり、各ビットの値を決定して多数決データを生成する多数決データ生成工程と、
処理装置が、前記格納用メモリの各領域に格納された対象データの間で値が異なるビットを示す差異データを生成する差異データ生成工程と、
処理装置が、前記多数決データ生成工程で生成した多数決データが所定の妥当条件を満たす妥当データになるように、前記差異データ生成工程で生成した差異データが示すビットの値を変更して妥当データを生成する妥当データ生成工程と
を備えることを特徴とするエラー訂正方法。
【請求項9】
少なくとも格納時点においては同一のデータであった対象データであって、複数のビットからなる対象データが、3つ以上の奇数個の領域に格納された格納用メモリの各領域に格納された対象データの間で各ビットの値について多数決をとり、各ビットの値を決定して多数決データを生成する多数決データ生成工程と、
前記格納用メモリの各領域に格納された対象データの間で値が異なるビットを示す差異データを生成する差異データ生成工程と、
前記多数決データ生成工程で生成した多数決データが所定の妥当条件を満たす妥当データになるように、前記差異データ生成工程で生成した差異データが示すビットの値を変更して妥当データを生成する妥当データ生成工程と
をコンピュータに実行させることを特徴とするエラー訂正プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−212392(P2012−212392A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78538(P2011−78538)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】