説明

エレクトロルミネセンス表示装置

【課題】スイッチング素子を介して画素電極に電源電圧を供給する金属配線における電圧降下に起因する表示画面内の輝度のムラを低減することができるエレクトロルミネセンス表示装置を提供すること。
【解決手段】基板101と、基板101上に、画素120毎に形成された複数の画素電極122と、画素電極122上に形成されたエレクトロルミネセンス層123と、複数の画素120にまたがってエレクトロルミネセンス層123上に形成された共通電極124と、画素電極122の各々に接続された複数のスイッチング素子110と、画素120が配置された表示領域内で複数のスイッチング素子110と接続する表示領域内電源線130と、前記表示領域外で表示領域内電源線130に接続される表示領域外電源線と、前記表示領域外電源線に電気的に接続され、前記表示領域外電源線の少なくとも一部を覆う補助電源線と、を有するエレクトロルミネセンス表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロルミネセンス表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に対し発光層を形成した側に光線を取り出す、いわゆるトップエミッション型のエレクトロルミネセンス表示装置では、エレクトロルミネセンス層上面には、共通電極として、表示領域の全面に亘るインジウム錫酸化物やインジウム亜鉛酸化物等の透明導電膜が設けられる。エレクトロルミネセンス層下面には、画素電極として同じくインジウム錫酸化物やインジウム亜鉛酸化物等の透明導電膜が用いられ、これら画素電極は画素毎にTFT(Thin Film Transistor)等のスイッチング素子に接続される。各スイッチング素子には、表示領域内に配置された金属配線により電源電圧が供給される。
【0003】
かかるエレクトロルミネセンス表示装置では、インジウム錫酸化物やインジウム亜鉛酸化物等の透明導電膜の電気抵抗が比較的大きいため、表示領域内の共通電極において電圧降下が発生し、表示画面内の輝度を一定とすることが難しい。
【0004】
特許文献1には、かかる問題を軽減するものとして、壁状絶縁壁上に補助電極を設け、その上に共通電極を設けたエレクトロルミネセンス表示装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、補助電極をエレクトロルミネセンス層より下部に設け、共通電極とコンタクトホールにより接続したエレクトロルミネセンス表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−59796号公報
【特許文献2】特開2007−108469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
出願人は、スイッチング素子を介して画素電極に電源電圧を供給する金属配線においても電圧降下が生じ、表示画面内の輝度が一定とならない原因となり得ることを発見した。これは、特に、エレクトロルミネセンス表示装置が小型あるいは高精細若しくはその両方であると、金属配線の幅等の寸法が小さくなるため顕著となる。
【0008】
本発明はかかる観点に鑑みてなされたものであって、その目的は、スイッチング素子を介して画素電極に電源電圧を供給する金属配線における電圧降下に起因する表示画面内の輝度のムラを低減することができるエレクトロルミネセンス表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本出願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0010】
(1)基板と、前記基板上に、画素毎に形成された複数の画素電極と、前記画素電極上に形成されたエレクトロルミネセンス層と、複数の画素にまたがって前記エレクトロルミネセンス層上に形成された共通電極と、前記画素電極の各々に接続された複数のスイッチング素子と、前記画素が配置された表示領域内で前記複数のスイッチング素子と接続する表示領域内電源線と、前記表示領域外で前記表示領域内電源線に接続される表示領域外電源線と、前記表示領域外電源線に電気的に接続され、前記表示領域外電源線の少なくとも一部を覆う補助電源線と、を有するエレクトロルミネセンス表示装置。
【0011】
(2)(1)において、前記表示領域外電源線と、前記補助電源線の間には少なくとも一層の絶縁層が形成され、前記表示領域外電源線と前記補助電源線はコンタクトホールにより電気的に接続されるエレクトロルミネセンス表示装置。
【0012】
(3)(1)又は(2)において、前記補助電極は、前記共通電極と同層で形成されるエレクトロルミネセンス表示装置。
【0013】
(4)(1)乃至(3)のいずれかにおいて、前記基板上に、外部機器と接続するための接続端子群をさらに備え、前記補助電源線は、前記接続端子群に接続される請求項1記載のエレクトロルミネセンス表示装置。
【発明の効果】
【0014】
以上の本出願において開示される発明によれば、スイッチング素子を介して画素電極に電源電圧を供給する金属配線における電圧降下に起因する表示画面内の輝度のムラを低減することができるエレクトロルミネセンス表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るエレクトロルミネセンス表示装置の構造を示す模式断面図である。
【図2】第1の実施形態のエレクトロルミネセンス表示装置の、基板上の配線を模式的に示す平面図である。
【図3】第1の実施形態の補助電源線の配置を示す平面図である。
【図4】コンタクトホールを含む補助電源線を含む位置でのエレクトロルミネセンス表示装置の断面図である。
【図5】第2の実施形態の補助電源線の配置を示す平面図である。
【図6】第3の実施形態の表示領域内電源線及び表示領域外電源線の配置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下本発明の第1の実施形態を図1乃至4を参照しつつ説明する。
【0017】
図1は、第1の実施形態に係るエレクトロルミネセンス表示装置100の構造を示す模式断面図である。本実施形態に係るエレクトロルミネセンス表示装置100は一般的な同種の装置同様、ガラス等からなる基板101上に多数形成されたTFT(Thin Film Transistor)等のスイッチング素子110により、基板101上に形成された画素120の発光量を制御する。なお、本実施形態では、エレクトロルミネセンス表示装置100は基板101上に形成されたエレクトロルミネセンス層123側に光線を取り出すいわゆるトップエミッション型であるので、基板101は必ずしも透明であることを要せず、その材質も特に限定されない。
【0018】
図中符号102はゲート絶縁層、符号103は層間絶縁層、符号104は保護層、符号105は画素分離層であり、符号106は絶縁性の平坦化層である。本実施形態では、ゲート絶縁層102及び層間絶縁層103は二酸化ケイ素(SiO)膜であり、保護層104はいわゆる無機パッシベーション膜、画素分離層105はアクリル樹脂またはポリイミド樹脂、平坦化層106はいわゆる有機パッシベーション膜である。しかしながら、これらの膜の材料は、絶縁性を有し、画素120を形成する上で十分な性能を有しているものであれば特に限定されず、どのようなものであってもよい。
【0019】
また、符号111はポリシリコン等からなるチャネル、符号112はゲート電極、符号113及び114はそれぞれソース電極、ドレイン電極である。これらのソース電極113、ドレイン電極114とそれらをつなぐチャネル111、ゲート絶縁層102を介してチャネル111中に電界を発生させるゲート電極112、各電極を絶縁する層間絶縁層103と保護層104によりTFTであるスイッチング素子110が形成される。また、必要であれば、チャネル111のさらに下側に、基板101からの不純物によるチャネル111の汚染を防止するための下地膜を設けてもよい。かかる下地膜には、例えば、窒化シリコン(SiN)膜及び二酸化ケイ素膜を用いてよい。
【0020】
さらに、符号121は反射層、符号122はソース電極113に接続された画素電極であり、エレクトロルミネセンス層123に正孔を供給するアノードとして機能する。画素電極122は、本実施形態では、インジウム錫酸化物やインジウム亜鉛酸化物等の金属酸化物薄膜であるが、アノードとしての機能を満たす限り、その材質は特に限定されない。反射層121はエレクトロルミネセンス層123から下方に向かう光を反射させて上方へ取り出すための層であり、銀やアルミニウム等の金属膜を好適に用いて良い。画素電極122自体が金属膜である場合など、光線を反射する機能を有している場合には、反射層121を省略してもよい。
【0021】
共通電極124はエレクトロルミネセンス層123の上面に、複数の画素にまたがって設けられており、エレクトロルミネセンス層123に電子を供給するカソードとして機能する。共通電極124は、光線の透過率が高く、かつ、できる限り電気抵抗の小さいものが好ましい。本実施形態では、共通電極124として銀からなる金属薄膜を用いるが、インジウム錫酸化物やインジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、酸化錫等の金属酸化物による透明導電膜を用いてもよいし、金属薄膜の材料として、銀以外にも銅、金、アルミニウムあるいはこれらの合金を用いてもよい。さらに、金属薄膜と金属酸化物膜とを積層して共通電極124としてもよい。
【0022】
そして、スイッチング素子110のドレイン電極114は表示領域内電源線130に接続され、電源電圧が印加される。一方、共通電極124は接地される。そのため、ゲート電極112に図示しない映像信号線からの信号電圧を印加すると、かかる信号電圧に応じた電流がドレイン電極114からソース電極113へと流れ、画素電極122からエレクトロルミネセンス層123に正孔が供給される一方、共通電極124からは電子が供給される。その結果、エレクトロルミネセンス層123は、画素電極122と接している領域である、発光領域150において正孔及び電子を注入され、信号電圧に応じた発光量で発光する。すなわち、発光領域150は、エレクトロルミネセンス層123のうち、光線を取り出すことができる領域である。基板101上に画素120が形成されている領域である表示領域の面積に占める発光領域150の割合は、一般に開口率と呼ばれている。
【0023】
なお、エレクトロルミネセンス表示装置100において、画素電極122及び共通電極124に印加する電位を逆向きとし、画素電極122をカソード、共通電極124をアノードとして用いても差し支えない。また、本実施例では、正電圧電源を用い、共通電極124を接地側、画素電極122(すなわちドレイン電極114)を電源側としたが、この区別は相対的であり、電源、接地の区別は便宜上のものである。すなわち、画素電極122側を接地電位として共通電極124に負電圧電源により電圧を印加しても一向に差し支えない。したがって、本明細書ではその電圧の正負や外部機器との接続の様態にかかわらず、画素電極122にスイッチング素子110を介して接続される側を電源、共通電極124に接続される側を接地と呼ぶ。
【0024】
封止基板140はガラスやプラスチックなどの透明基板であり、かかる封止基板140と基板101との間の空間141に窒素ガスなどの不活性ガスと、図示しない乾燥剤を封入し、水分や酸素によりエレクトロルミネセンス層123が劣化するのを防ぐ。封止基板140の外周部は、シール材により基板101と接着され、空間141は密閉される。なお、エレクトロルミネセンス層123の保護は、本実施形態のように封止基板140を用いる方法によってもよいし、透明樹脂を基板101上に塗布してエレクトロルミネセンス層を封止する、いわゆる樹脂封止の方法によってもよい。
【0025】
なお、本実施形態ではエレクトロルミネセンス層123が発光領域150の外側である画素分離層105上にも形成されているが、かかる構造は必須のものではなく、エレクトロルミネセンス層123が発光領域150上のみを覆うようにしてもよい。
【0026】
図2は、本実施形態のエレクトロルミネセンス表示装置100の、基板101上の配線を模式的に示す平面図である。基板101の下部側の一辺には、外部機器との接続のための端子群160が設けられ、各端子に外部機器より電源電圧、設置電圧及び各種制御信号が入力される。各種制御信号には、クロック信号や映像信号が含まれる。なお、同図に示した端子の数や形状は模式的に例示したものであり、これに限定されるものではない。
【0027】
基板101中央部には、画素120が多数形成された表示領域161が配置される。表示領域161の下部には映像信号制御回路162が配置される。端子群160より入力された映像信号は、映像信号制御回路162により画素の列ごとに形成された映像信号線に分配する。同図では、映像信号線163aと163bの2本のみを示し、他は省略している。また、表示領域161の左右には、走査回路164が配置される。走査回路164からは画素の行ごとに形成された走査信号線に、順次走査信号が出力される。同図では、走査信号線165aと165bのみを示し、他は省略した。
【0028】
隣り合う映像信号線163a、163b及び走査信号線165a、165bによって囲まれる領域が画素120となる。図示の画素120は、映像信号線163a及び走査信号線165aに接続される。
【0029】
なお、映像信号制御回路162及び走査回路164と端子群160間の配線は、図示の簡略化のため省略した。また、本実施形態では、映像信号制御回路162及び走査回路164をいわゆるSOG(System On Glass)の手法により基板101上に直接形成したものとしているが、これに限らず、IC(Integrated Circuit)チップ等を基板101上に実装するようにしてもよい。また、本実施形態では走査回路164を表示領域161の左右に分割して配置し、走査信号線を左右の走査回路164から交互に延びるものとしたが、これに限らず、走査回路164を表示領域161の左右いずれか片方に配置するようにしてもよい。
【0030】
符号166は接地線であり、端子群160より接地電位が入力される。接地線166は表示領域161の左右に配置されており、表示領域161の上下において、左右の接地線166を繋いで接地接続領域167が設けられる。共通電極124(図1参照)は、上下の接地接続領域167に囲まれる矩形の領域に形成され、接地接続領域167中に適宜設けられたコンタクトホール168により接地線166に電気的に接続される。
【0031】
また、符号131は表示領域外電源線であり、端子群160より電源電位が入力される。本実施形態では、表示領域外電源線131は図示のように、表示領域161の下側及び左右に設けられる。表示領域外電源線131上には適宜コンタクトホール168が設けられ、後述する補助電源線と電気的に接続される。
【0032】
なお、以上示した映像信号線163a、163b、走査信号線165a、165b、接地線166及び接地接続領域167、表示領域外電源線131及び表示領域内電源線130は、適宜絶縁層等を挟むことにより、互いに絶縁されている。
【0033】
そして、本実施形態では、表示領域外電源線131の上部に、その少なくとも一部を覆うように補助電源線が設けられる。図3は、本実施形態の補助電源線133の配置を示す平面図である。同図は図2に対応しており、基板101上における補助電源線133の位置及び形状を示している。補助電源線133は、図2を参照すると理解されるように、表示領域外電源線131と同位置、同形状であり、表示領域外電源線131をすっぽりと覆う形状である。しかしながら、補助電源線133は必ずしも表示領域外電源線131と同位置、同形状でなくともかまわず、その少なくとも一部を覆う形状で有ればよい。また、補助電源線133の端部134は、端子群160(図2参照)に接続されていることが好ましい。
【0034】
図中破線で示したのは共通電極124である。図示の通り、補助電源線133と共通電極124は平面的に一部重複しているが、両者の短絡を防ぐため、補助電源線133と共通電極124間には適宜の絶縁層が形成される。
【0035】
図4は、コンタクトホール132を含む補助電源線133を含む位置でのエレクトロルミネセンス表示装置100の断面図である。同図中、図1と共通に示される部材は同符号を付すこととし、その詳細な説明は図1に関する上記記載を参照されたい。図中示されるように、表示領域外電源線131は表示領域内電源線130(図1参照)と同層に形成され、補助電源線133は画素分離層105の上面に形成されている。そして、コンタクトホール132において、表示領域外電源線131及び補助電源線133は中間電極135を介して電気的に接続される。中間電極135は、表示領域外電源線131と補助電源線133との導通を確実にするために設けられるものであり、不要で有れば省略して差し支えない。また、補助電源線133の材質は導電性に優れたもので有れば特に限定されず、各種の金属膜、金属酸化物膜を使用して良い。本実施形態では、共通電極124(図1参照)と同じ材質、すなわち銀からなる金属薄膜を用いる。補助電源線133の材質を共通電極124あるいはその他の電極と共通の材質とすることで、エレクトロルミネセンス表示装置100の製造に有する材料及びプロセスの種類を増やすことなく補助電極線133が形成される。補助電極線133と表示領域外電源線131の間には絶縁層である画素分離層105、平坦化層106、保護層104が配置されているが、補助電極線133の位置は本実施形態のように画素分離層105の上部に限定されず、表示領域外電源線131との間に少なくとも1層の絶縁層を挟む位置で有ればよい。また、補助電極線133を複数層にわたって、例えば、さらに画素分離層105と平坦化層106の間にも形成するようにしてもよい。
【0036】
コンタクトホール132は適宜の間隔をもって複数設けられ(図2参照)、補助電極線133と表示領域外電源線131とを電気的に接続する。このように、コンタクトホール132により電気的に接続された補助電極線133を表示領域外電源線131と並行に設けることにより、実質的に表示領域外電源線131の断面積は増大することとなり、その電気抵抗は減少する。これにより、表示領域外電源線131の電気抵抗に起因する電源電位の低下が抑制され、エレクトロルミネセンス表示装置100の輝度のムラが低減される。また、補助電極線133の端部134(図2参照)が端子群160(図1参照)に接続されていると、実質的に表示領域外電源線131と端子群160との接触面積が増大することとなり、やはりその電気抵抗が減少する。
【0037】
続いて、本実施形態のエレクトロルミネセンス表示装置100の製造方法を説明する。
【0038】
再び図1を参照し、まず、基板101上にCVD(Chemical Vapor Deposition)によりアモルファスシリコン膜を形成し、レーザー照射によりポリシリコン膜に変換し、チャネル111を形成する。次いで、ゲート絶縁層102、ゲート電極112を形成する。さらに、ゲート電極112をマスクとして、チャネル2にリンやボロン等の不純物をイオンインプランテーションによって付与し、ソース部及びドレイン部を形成する。さらにゲート電極112を覆うように層間絶縁層103を形成し、ソース電極113及びドレイン電極114を、スルーホールを介してチャネル111と接続するように作成する。同時に、映像信号線163a,163b、走査信号線165a,165b、表示領域内電源線130及び表示領域外電源線131、接地線166及び接地接続領域167を形成する(図2参照)。その後、完成したスイッチング素子110を保護するため、保護層104を、さらにその上に平坦化層106を形成する。映像信号制御回路162、走査回路164及び端子群160(図2参照)はこれらのプロセスと同時または事前あるいは事後に基板101上に作成しておく。
【0039】
平坦化層106上に反射層121をアルミニウムまたはその合金により形成し、画素電極122をインジウム錫酸化物により形成する。インジウム錫酸化物は、摂氏200度程度に加熱し、アニールすることにより電気抵抗を低減する。また、画素電極122はスルーホールによりソース電極113と接続する。
【0040】
次いで、各画素の発光領域150を分離する画素分離層105を形成した後、エレクトロルミネセンス層123を形成する。エレクトロルミネセンス層123は、下層から正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層の5層からなっている。エレクトロルミネセンス層123を構成する各層は、マスク蒸着により形成する。このとき、エレクトロルミネセンス層123が異なる色に発光する複数種のエレクトロルミネセンス層を含むものである場合には、発光色ごとにマスク蒸着を行う。
【0041】
そして、エレクトロルミネセンス層123の上部に、蒸着、スパッタリングあるいはイオンプレーティング等の真空プロセスにより共通電極124を形成する。本実施形態では、共通電極124の材量は銀であるが、その他にも、銅、金、アルミニウムあるいはこれらの合金であってもよい。
【0042】
その後、共通電極124と補助電源線133とが平面的に重複する位置あるいは全面に、適宜の絶縁層を形成したのち、再度、蒸着、スパッタリングあるいはイオンプレーティング等の真空プロセスにより補助電源線133を形成する。なお、共通電極124と補助電源線133を形成する順序を逆にしても差し支えない。共通電極124は、コンタクトホール132(図4参照)により表示領域外電源線131に電気的に接続される。
【0043】
以上のようにして、基板101上にスイッチング素子110やエレクトロルミネセンス層123等からなる画素120が形成されたら、封止基板140を基板101上に空間141を隔てて取り付け、空間141内に窒素ガス等の不活性ガス及びシリカゲル等の乾燥材を封入して完成である。
【0044】
なお、ここで説明したエレクトロルミネセンス表示装置100の製造方法は一例として説明したものであり、他の順序あるいは方法によってもよい。
【0045】
続いて、本発明の第2の実施形態を図5を参照して説明する。
【0046】
図5は、第2の実施形態の補助電源線233の配置を示す平面図である。なお、同図では、第1の実施形態と共通の部材については同符号を付し、その詳細な説明を省略することとする。
【0047】
同図に示されるように、本実施形態は、第1の実施形態とは、補助電源線233の平面的な形状のみが相違し、その他の点はすべて同一である。補助電源線233は、表示領域外電源線131(図2参照)の一部を覆う形状であるものの、その全てを覆ってはいない。ここで重要な点は、補助電源線233と、共通電極124とが平面的に重複していない点である。このようにすると、共通電極124を形成する際のマスク形状を適宜の物とすることにより、共通電極124と補助電源線233とが同時に形成される。そのため、ほとんど追加の工程を必要とせず、補助電源線233が形成されるため、製造コストの増加は抑えられる。
【0048】
続いて、本発明の第3の実施形態を図6を参照して説明する。
【0049】
図6は、第3の実施形態の表示領域内電源線330及び表示領域外電源線331の配置を示す平面図である。本実施形態は、第1の実施形態とは、表示領域内電源線330及び表示領域外電源線331の平面的な形状のみが相違し、その他の点はすべて同一である。
【0050】
表示領域外電源線331は、図示するように、表示領域(図示せず)の四方を囲う形状となっており、また、表示領域内電源線330は縦方向及び横方向に格子状に表示流域内に配置される。このような形状であると、表示領域内に供給される電源電位の低下が小さく抑えられる。また、かかる表示領域外電源線331に対応して設けられる補助電源線(図示せず)の形状は、表示利用域外電源線と同一であってもよいし、少なくとも一部分を覆う任意の形状としてもよい。
【0051】
なお、かかる表示領域内電源線330及び表示領域外電源線331の配置及び形状をどのようにするかは任意である。本実施形態のように、表示領域外電源線331を、表示領域を四方から囲う形状としても、第1及び第2の実施例のように、表示領域の左右及び下部に配置しても、あるいは表示領域の左右あるいは左右いずれか、もしくは表示領域の上下あるいは下部に配置するようにしてもよい。また、表示領域内電源線330は、本実施形態のように、縦方向及び横方向に格子状に配置しても、そのいずれか一方向に配置しても、その配置方向を表示領域内で任意に変更しても差し支えない。
【符号の説明】
【0052】
100 エレクトロルミネセンス表示装置、101 基板、102 ゲート絶縁層、103 層間絶縁層、104 保護層、105 画素分離層、106 平坦化層、110 スイッチング素子、111 チャネル、112 ゲート電極、113 ソース電極、114 ドレイン電極、120 画素、121 反射層、122 画素電極、123 エレクトロルミネセンス層、124 共通電極、130 表示領域内電源線、131 表示領域外電源線、132 コンタクトホール、133 補助電極線、134 端部、135 中間電極、140 封止基板、141 空間、150 発光領域、160 端子群、161 表示領域、162 映像信号制御回路、163a,163b 映像信号線、164 走査回路、165a,165b 走査信号線、166 接地線、167 接地接続領域、168 コンタクトホール、233 補助電極線、330 表示領域内電源線、331 表示領域外電源線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に、画素毎に形成された複数の画素電極と、
前記画素電極上に形成されたエレクトロルミネセンス層と、
複数の画素にまたがって前記エレクトロルミネセンス層上に形成された共通電極と、
前記画素電極の各々に接続された複数のスイッチング素子と、
前記画素が配置された表示領域内で前記複数のスイッチング素子と接続する表示領域内電源線と、
前記表示領域外で前記表示領域内電源線に接続される表示領域外電源線と、
前記表示領域外電源線に電気的に接続され、前記表示領域外電源線の少なくとも一部を覆う補助電源線と、
を有するエレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項2】
前記表示領域外電源線と、前記補助電源線の間には少なくとも一層の絶縁層が形成され、
前記表示領域外電源線と前記補助電源線はコンタクトホールにより電気的に接続される請求項1記載のエレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項3】
前記補助電極は、前記共通電極と平面視において重複しない請求項1記載のエレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項4】
前記基板上に、外部機器と接続するための接続端子群をさらに備え、
前記補助電源線は、前記接続端子群に接続される請求項1記載のエレクトロルミネセンス表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−3088(P2012−3088A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−138728(P2010−138728)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】