説明

エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置及びその製造方法

【課題】有機EL装置において、画素定義膜からのアウトガス量を減少させて、有機膜の劣化を防止する。
【解決手段】画素定義膜からのアウトガス量を減少させて、前記アウトガスによる発光部の劣化を防ぐことができるように前記画素定義膜上に少なくとも一つのバリア層を形成して、またレーザ熱転写法を用いた後工程をし易いようにするために厚さが十分薄い画素定義膜を備えるエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置のために、基板と、前記基板上に備えられた複数の画素電極と、前記画素電極上に位置しながら前記各画素電極の所定部分を露出する開口部を備える画素定義膜と、前記画素定義膜の上部及び/または内部に位置する少なくとも一つのバリア層とを備えることを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置及びその製造方法に関するもので、さらに詳しくは画素定義膜からのアウトガス量を減少させ、前記アウトガスによる発光部の劣化が防止できるように少なくとも一つ以上のバリア層を有する画素定義膜を備えるエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置及びその製造方法(Electroluminescence display device and method of manufacturing the same)に関する。
【背景技術】
【0002】
高度の情報化時代に伴い、迅速且つ正確な情報を手に入れようとする要求が多くなるにつれて、軽量で薄く携帯し易いものと情報処理速度が早いディスプレイ装置に関する開発が急速に進められている。既存のCRTは、重量、体積、及び消費電力が大きく、LCDは工程の複雑性、狭い視野角、コントラスト、及び大面積化について技術的な限界がある。
【0003】
一方、有機電界発光素子は、有機発光層を含む有機膜に電圧を印加させることで、電子と正孔が有機発光層内で再結合して光を発生する自己発光型としてLCDのようなバックライトが要らないため軽量薄型が可能であるだけではなく工程を単純化させることができ、応答速度もCRTと同様なレベルであり、消費電力面からも有利である。これによって、有機電界発光素子が次世代ディスプレイとして急上昇している。
【0004】
図1は、一般の有機電界発光素子を示す平面図で、前記有機電界発光素子の赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の単位画素で構成された一つの画素に限定された図である。
図1を参照すると、一方向に配列されたスキャンライン1、前記スキャンライン1と互いに絶縁されて交差するデータライン2及び前記スキャンライン1と互いに絶縁されて交差し、前記データライン2に平行に共通電源電圧ライン3が位置する。前記スキャンライン1、前記データライン2及び共通電源電圧ライン3によって複数の単位画素、例えば、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の単位画素で定義される。
【0005】
前記各単位画素は、スイッチング薄膜トランジスタ5、駆動薄膜トランジスタ6、キャパシタ7及び有機発光素子9を備える。
前記各単位画素は、前記スキャンライン1に印加された信号によって前記データライン2に印加されたデータ信号を、例えばデータ電圧と前記共通電源ライン3に印加された電圧差による電荷を蓄積するキャパシタ7及び前記キャパシタ7に蓄積された電荷による信号を前記スイッチング薄膜トランジスタ5によって駆動薄膜トランジスタ6に入力する。続いて、データ信号を入力された前記駆動薄膜トランジスタ6は、画素電極8、対向電極、及び二つの電極との間に有機発光層を備えた前記有機発光素子9に電気的信号を送って光を放出する。
【0006】
図2は、前記図1の切断線I−I′に沿って示された有機電界発光素子における有機発光素子の断面図である。
図2を参照すると、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の単位画素領域を有する基板を供給する。
基板10の上に画素電極8を形成した後、発光層が形成される画素領域を定義するために基板全面にかけて前記画素電極8の上部に画素定義膜12を形成する。
【0007】
ここで、前記画素定義膜12は通常的に感光性物質からなり、フォトリソグラフィ工程で前記画素電極8の一部を露出させる開口部11を形成する。
以後、開口部11が形成された画素定義膜12の硬化のために230℃ないし280℃でベーク工程を通すことになる。
【0008】
続いて、前記基板全面にかけて前記開口部11上に少なくとも有機発光層を含む有機膜13を形成し、その上部に対向電極14を形成した後に封止することで、有機電界発光素子を製造する。
前記有機膜13は有機発光層の外の正孔注入層、正孔輸送層、正孔抑制層、電子輸送層及び電子注入層の中から一つないしすべてを積層して多層の有機膜に形成することができる。
【0009】
しかしながら、前記画素定義膜12は短期的、または長期的な化学的分解によってアウトガスが生成される。このようなアウトガスが有機発光素子に投入されて、前記有機発光素子を構成する有機膜を劣化させて画素縮小現象(pixel shrinkage)を発生したり、素子の寿命を低下させる。また、前記画素定義膜12は、高温で発生することもある作用基によって、有機膜層の有機分子が発光機能のない構造に変性され、輝度及び色相を大きく変化させることもある。
【0010】
したがって、前述のような影響の少ない無機膜を有して画素定義膜として用いられることもあるが、工程上厳しい問題もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前述のような問題点と共に、全般的な問題点を解決するためのもので、画素定義膜からのアウトガス量を減少させて前記アウトガスによる有機膜の劣化を防止することができるように、前記画素定義膜上に少なくとも一つ以上のバリア層を形成するエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述のような目的、及びその他の目的を果たすために本発明は、基板と、前記基板上に備えられた複数の画素電極と、前記画素電極上に位置し前記各画素電極の所定部分を露出する開口部を備える画素定義膜と、前記画素定義膜の上部及び/または内部に位置する少なくとも一つのバリア層とを備えることを特徴とするエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置を提供する。
【0013】
本発明は、また前述のような目的を果たすために、基板と、前記基板上に備えられた複数の画素電極と、前記画素電極上に位置し、前記各画素電極の所定部分を露出する開口部を備える少なくとも一つ以上の画素定義膜と、前記各画素定義膜の上部及び/または内部に少なくとも一つのバリア層とを備えることを特徴とするエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置を提供する。
【0014】
本発明は、また前述のような目的を果たすため、エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法は基板上にパターンされた画素電極を備える段階と、前記画素電極を含む基板全面に形成し、前記画素電極の所定部分を露出する開口部を備える画素定義膜を形成する段階と、前記画素定義膜の上部に不純物を注入してバリア層を形成する段階と、前記露出された画素電極上に発光層を形成する段階と前記発光層上に対向電極を形成する段階とを含む。
【0015】
本発明は、また前述のような目的を果たすため、エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法は基板上にパターンされた画素電極を備える段階と、前記画素電極を含む基板全面に形成し、前記画素電極の所定部分を露出する開口部を備える画素定義膜を形成する段階と、前記画素定義膜の一部を熱硬化してバリア層を形成する段階と、前記露出された画素電極上に発光層を形成する段階と、前記発光層上に対向電極を形成する段階とを含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明のエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置及びその製造方法によれば、次のような効果を得ることができる。
一番目として、画素定義膜内にアウトガスを誘発させない、少なくとも一つ以上のバリア層が備えられることで、画素定義膜からのアウトガス量を減少させることができる。
二番目として、画素定義膜内に少なくとも一つ以上のバリア層を備えることで、前記画素定義膜で発生したアウトガスが前記画素定義膜から排出することを防止し、前記アウトガスが発光層などの表示部に影響を及ぼして表示部を劣化させるのを防ぐことができる。
【0017】
三番目として、画素定義膜内に少なくとも一つ以上のバリア層を備えることで、前記画素定義膜から発生したアウトガスが前記画素定義膜から排出されるパスの長さを伸ばすことで、アウトガスの放出量を減少させることができる。
四番目として、画素定義膜の厚さが5000Å以下になるように形成することで、前記画素定義膜を形成した後、表示部を構成する発光部などを形成する段階で熱転写法を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】従来のエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置を示す平面図である。
【図2】図1の切断線I−I′の断面図である。
【図3A】本発明の好ましい一実施形態によるエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置を示す断面図である。
【図3B】本発明の好ましい一実施形態によるエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置を示す断面図である。
【図3C】本発明の好ましい一実施形態によるエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置を示す断面図である。
【図4】画素定義膜の上部に不純物を注入して形成されたバリア層を示す写真である。
【図5】本発明の好ましい、また他の一実施形態によるエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置を示す断面図である。
【図6】本発明の好ましい、また他の一実施形態によるエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置を示す断面図である。
【図7】本発明の好ましい、また他の一実施形態によるエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置を示す断面図である。
【図8】本発明の好ましいまた他の一実施形態によるエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置を示す断面図である。
【図9】本発明の好ましいまた他の一実施形態によるエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置を示す断面図である。
【図10】本発明の好ましい、一実施形態によるエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法を示す断面図である。
【図11】本発明の好ましい、一実施形態によるエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法を示す断面図である。
【図12】画素定義膜の一部を熱硬化してバリア層が形成されたことを示す写真である。
【図13】本発明の好ましい、一実施形態によるエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法を示す断面図である。
【図14】本発明の好ましい、一実施形態によるエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法を示す断面図である。
【図15】本発明の好ましい、一実施形態によるエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法を示す断面図である。
【図16】本発明の好ましい、また他の一実施形態によるエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法を示す断面図である。
【図17】本発明の好ましい、また他の一実施形態によるエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法を示す断面図である。
【図18】本発明の好ましい、また他の一実施形態によるエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法を示す断面図である。
【図19】本発明の好ましい、また他の一実施形態によるエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法を示す断面図である。
【図20】本発明の好ましい、また他の一実施形態によるエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付された図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳しく説明する。
図3Aないし図3Dは本発明の一実施形態によるエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置及びその製造方法を説明するための断面図である。
【0020】
図3Aを参考して説明すると、まず基板100が供給される。前記基板100上にバッファ層110を形成するのが好ましい。前記バッファ層110は前記基板100から流出される不純物を止める役目をする。この場合、前記バッファ層110シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、及びシリコン酸化膜/シリコン窒化膜の積層膜からなる一群から選択された一つで形成することができる。
【0021】
前記のバッファ層110上に非晶質のシリコン膜を塗布した後、結晶化させた後にパターニングしてポリシリコン膜125を形成する。
前記ポリシリコン膜125上部に基板全面にかけてゲート絶縁膜120を形成した後、前記ゲート絶縁膜120上に所定の部分、すなわちチャンネル領域125bが形成される部分と対向する部分にゲート電極135を蒸着する。
【0022】
その後に、前記ポリシリコン膜125にイオンドーピング処理をすることによってドレイン領域125a、ソース領域125c、及びチャンネル領域125bで構成された半導体層125を形成する。
前記のゲート電極135の上部にゲート絶縁膜120の全面にかけて層間絶縁膜130を形成し、ゲート絶縁膜120と層間絶縁膜130をエッチングしてドレイン領域125aとソース領域125cの所定部分が露出されるコンタクトホールを形成する。
【0023】
前記コンタクトホールを介して層間絶縁膜130上にソース/ドレイン領域125c、125aとそれぞれ接続されるソース/ドレイン電極145を形成する。
前記層間絶縁膜130上の全面にかけてソース/ドレイン電極145を覆うパッシベイション絶縁膜140を形成する。ここで、前記パッシベイション絶縁膜140はSiO、SiNx及びSiO/SiNx積層膜の中から一つを選択することが好ましい。
【0024】
前記パッシベイション絶縁膜140上に薄膜トランジスタによる段差を平坦化するための平坦化膜150を含むことがもっとも好ましい。ここで、前記平坦化膜150は後続工程で有機膜が薄く形成されることによって薄膜トランジスタの段差によって発生する乱反射を防ぐことができる。
前記平坦化膜150はポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、及びシリコン係樹脂からなる一群から選択された一つの物質で形成することができる。
【0025】
続いて、前記平坦化膜150上にソース/ドレイン電極145の中から一つを露出させるビアホール155を形成し、前記ビアホール155によって露出されたソース/ドレイン電極145上に平坦化膜150の全面にかけて接する画素電極165を形成する。
【0026】
ここで、前記画素電極165がアノードの場合、仕事関数が高い金属としてITOやIZOからなる透明電極や、Pt、Au、Ir、Cr、Mg、Ag、Ni、Al、及びこれらの合金からなる一群から選択された反射電極でもある。
また、前記画素電極165がカソードの場合、仕事関数が低い金属としてMg、Ca、Al、Ag、Ba、及びこれらの合金からなる一群から選択し、薄厚さを有する透明電極であるか、または厚い反射電極でもある。
前記画素電極165が形成された基板全面に屈曲された画素電極を十分に覆うことができる画素定義膜160を形成する。
【0027】
ここで、前記画素定義膜160は、スピンコーティングやディップコーティング方式を用いて形成することができる。この場合、前記画素定義膜160はレーザ熱転写法によって後述する有機膜を形成することを考慮して1000Åないし5000Åの厚さを有するように形成することが好ましい。
【0028】
前記画素定義膜160は有機膜として、ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアリールエーテル、ヘテロサイクリックポリマー、パリレン、フッ素高分子、エポキシ樹脂、ベンゾサイクルロブテン系樹脂、シロキサン系樹脂及びシーラン樹脂からなる一群から選択される一種の物質で形成される。
【0029】
以後、図3Bのように前記画素電極165の上部に形成された画素定義膜160を通常のフォトリソグラフィ工程を介してパターニングして画素電極の所定部分を露出させる開口部Aを形成する。
前記画素定義膜160を230℃ないし260℃の温度でベーク工程を経って硬化させ、内部に残存するアウトガスを取除こうとしたが、完全にアウトガスを取除くことができなくて有機発光素子に悪影響を及ぼすこともある。
【0030】
前記画素定義膜の上部に前記アウトガスから有機エレクトロルミネッセンス素子を保護するためにバリア層を形成することが好ましい。
前記バリア層は前記画素定義膜160の上部に不純物(X)を注入する工程を経って画素定義膜の表面を再び硬化させることで形成することができる。
【0031】
ここで、前記不純物(X)がB、P及びAsからなるイオンの中の一つでもある。
一方、前記不純物(X)はAr、He、Xe、H及びNeからなる不活性気体の中の一つでもある。
【0032】
ここで、前記バリア層160′を厚く形成するほどアウトガスが有機膜層に放出されることを防止することができるが、バリア層を厚く形成するためには、高エネルギーを用いたり不純物濃度を増加させることで可能である。しかしながら、このような工程は高価の装備を必要としたり持続的な投資を行わなければならないので生産性の低下及び生産単価が増加する。したがって、不純物ドーピングの後に形成されたバリア層の厚さは画素定義膜の厚さの10%以下に形成するのが好ましい。
【0033】
続いて、図3Cのように前記画素電極165及び画素定義膜160上に少なくとも発光層170を形成する。
この際、有機電界発光素子の場合、前記発光層は低分子有機膜または高分子有機膜で形成することができる。
【0034】
低分子有機膜を用いる場合、前記発光部170はホール注入層(HIL:hole injection layer)、ホール輸送層(HTL:hole transport layer)、発光層(EML:emission layer)、電子輸送層(ETL:electron transport layer)及び電子注入層(EIL:electron injection layer)などが単一、あるいは複合の構造として積層されて形成されることができ、使用可能な有機材料も銅フタロシアン(CuPc:copper phthalocyanine)、N、N−ジ(ナフタリン−1−イル)−N、N′−ジフェニル−ベンジデン(N、N′−Dinaphthalene−1−yl)−N、N′−diphenyl−benzidine:NPB)、トリス−8−ハイドロキシキノリンアルミニウム(tris−8−hydroxyquinoline aluminum:Alq3)を含めて多様に適用できるが、前記画素電極及び対向電極に電荷を供給するとホール(hole)と電子とが結合することによって励起子(exiton)が生成され、この励起子が励起状態から基底状態に変化することによって前記発光層が発光する。
【0035】
もちろん、前記発光層の構造は、必ず上に限定されるのではなく、必要によって多様な層として構成することもできる。
高分子有機膜を用いる場合には、前記発光層170は大体がホール輸送層(HTL)及び発光層(EML)に備えられることができる。前記高分子ホール輸送層はポリエチレンジヒドロキシチオフェン(PEDOT:poly−(2、4)−ethylene−dihydroxy thiophene)や、ポリアニリン(PANI:polyaniline)を用いてインクジェットプリンティングやスピンコーティング方法によって形成することができる。前記高分子有機発光層はPPV、SolublePPV′s、Cyano−PPV、ポリフルオレン(Polyfluorene)で備えられることができる。もちろん、このような高分子有機層の場合にも前記有機膜の構造は必ず上に限定されるのではなく、必要によって多様な層として構成することができる。
【0036】
前記発光層は、蒸着工程、インクジェットプリンティングやスピンコーティング、またはレーザ熱転写法などの通常の方法でカラーパターンを形成することができる。
この場合、無機エレクトロルミネッセンス素子の場合、前記発光層は前述した有機膜の代わりに無機膜で備えられて、これは発光層及び前記発光層と電極との間に介在した絶縁層に備えられることができる。もちろん、前記無機膜の構造は、必ず上に限定されるのではなく、必要によって多様な層で構成することができる。無機エレクトロルミネッセンス素子の場合、前記発光層はZnS、SrS、CaSなどのような金属硫化物、またはCaGa、SrGaなどのようなアルカリ土類カリウム硫化物、及びMn、Ce、Tb、Eu、Tm、Er、Pr、Pbなどを含む遷移金属、またはアルカリ稀金属のような発光中心原子で備えられることができる。
【0037】
その後に、前記発光層70上に対向電極180を形成する。
前記対向電極180がカソードの場合において、前記発光層170の上部に形成されて仕事関数が低い導電性の金属としてLi、LiF/Ca、LiF/Al、Mg、Ca、Al、Ag及びこれらの合金からなる一群から選択された一つの物質として薄い厚さを有する透明電極、若しくは厚い厚さを有する反射電極で形成される。
【0038】
また、前記対向電極180がアノードの場合において、仕事関数が高い金属として、ITOまたはIZOからなる透明電極、若しくはPt、Au、Ir、Cr、Mg、Ag、Ni、Al及びこれらの合金からなる反射電極でもある。
そして、上部メタル缶のような封止材で封止することによってエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置を製造することができる。
【0039】
図4は、画素定義膜の上部に不純物を注入した時の写真である。
図4のように、基板上部に形成された画素定義膜にPイオンを75keVの加速エネルギーで1×1015ions/cmのドーズ量で注入することによって再び硬化されて2800Åの厚さを有するバリア層160′を形成することを確認することができた。
これで、別途のマスク工程なしで、不純物を注入することによってバリア層を形成してアウトガスによる素子の劣化及び画素縮小現象等の問題点を解決することができる。
【0040】
したがって、本発明では前記画素定義膜160内にアウトガスを発生させないバリア層160′が備えられるようにすることによって、前記画素定義膜160内でアウトガスを誘発することができる領域の大きさを相対的に減らして窮極的にアウトガス量を減少させることができるようにする。また前記画素定義膜160にバリア層160′が備えられるようにすることによって、前記画素定義膜160内から発生するアウトガスが前記画素定義膜160の外部に排出されて素子に影響を及ぼすことを防ぐことができる。特に後者の場合、前記画素定義膜160内から発生するアウトガスが前記画素定義膜160の外部に排出されるためには前記バリア層186bを回っていかなければならないので、前記アウトガスの排出経路を長くすることによって前記アウトガスの排出を防ぐことができる効果が得られる。
【0041】
また、前述のような構造において、前記バリア層160′が前記画素定義膜160の表面に備えられることによって前記画素定義膜160の内部で発生したアウトガスが前記画素定義膜160の外部に排出できないようにする。
図5は、本発明の好ましい第2実施形態によるエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置を示す断面図である。
【0042】
図5を参照すると、画素定義膜286が表示部260の間、さらに正確には画素電極261の間に備えられている。この実施形態と前記第1実施形態においての異なる点は、この実施形態によるエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置では、各画素定義膜286が二重のバリア層286b1、286b2を含んでいるという点である。
【0043】
この実施形態によるエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置によれば、前記画素定義膜286内にアウトガスを発生させない二重のバリア層286b1、286b2が備えられるようにすることによって、前記画素定義膜286内でアウトガスを誘発することができる領域の大きさを相対的に減らして窮極的にアウトガス量を減少させることができる。
【0044】
また、前記画素定義膜286に二重のバリア層286b1、286b2が備えられるにすることによって、前記画素定義膜286内から発生するアウトガスが前記画素定義膜286の外部に排出されて前記表示部260に影響を及ぼすことを防止することができる。特に、前記画素定義膜286内から発生するアウトガスが前記画素定義膜286の外部に排出させるためには、前記二重のバリア層286b1、286b2を回っていかなければならないので、前記アウトガスの排出経路を長くすることによって前記アウトガスの排出を防ぐことができる効果が得られる。
もちろん、図5に示されたものとは違って、前記画素定義膜286に備えられたバリア
層の数が3個以上の場合もある。
【0045】
図6は、本発明の好ましい第3実施形態によるエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置を示す断面図である。
図6を参照すると、画素定義膜386が表示部360の間、さらに詳しくは、画素電極361の間に備えられている。この実施形態が前記実施形態と異なる点は、各画素定義膜386が3個以上のバリア層386b1、386b2、386b3、386b4、386b5を備えているということである。特に、図6に示されたように前記バリア層386b1、386b2、386b3、386b4、386b5は互いに平行になるようにすることによってタマネギの構造のような形態になれる。
【0046】
この実施形態においても、多層のバリア層386b1、386b2、386b3、386b4、386b5が前記画素定義膜386内に備えられるようにすることで、前記画素定義膜386内でアウトガスを誘発する領域の大きさを相対的に減らして窮極的にアウトガス量を減少させることができる。
【0047】
また前記画素定義膜386に多層のバリア層386b1、386b2、386b3、386b4、386b5が備えられることによって、前記画素定義膜386内から発生するアウトガスが前記画素定義膜386の外部に排出されて前記表示部360に影響を及ぼすことを防ぐことができる。特に、前記画素定義膜386内から発生するアウトガスが前記画素定義膜386の外部に排出されるためには前記多層のバリア層386b1、386b2、386b3、386b4、386b5を回っていかなければならないので、前記アウトガスの排出経路を長くすることによって前記アウトガスの排出を防ぐことができる効果が得られる。
【0048】
図7は、本発明の好ましい第4実施形態によるエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置を示す断面図である。
図7を参照すると、画素定義膜486が表示部460の間、さらに詳しくは、画素電極461の間に備えられている。この実施形態が前記実施形態と異なる点は、各画素定義膜486が3個以上のバリア層486b1、486b2、486b3、486b4、486b5を備えているという点である。特に、図7に示されたように前記バリア層486b1、486b2、486b3、486b4、486b5の端部が互いに接することによって図7に示されたような構造をする。
【0049】
この実施形態においても、多層のバリア層486b1、486b2、486b3、486b4、486b5が前記画素定義膜486内に備えられることによって、前記画素定義膜486内でアウトガスを誘発することができる領域の大きさを相対的に減らして窮極的にアウトガス量を減少させることができる。
【0050】
また、前記画素定義膜486に多層のバリア層486b1、486b2、486b3、486b4、486b5が備えられることによって、前記画素定義膜486内から発生するアウトガスが前記画素定義膜486の外部に排出されて前記表示部460に影響を及ぼすことを防ぐことができる。そして、前記画素定義膜486内から発生するアウトガスが前記画素定義膜486の外部に排出されるためには前記多層のバリア層486b1、486b2、486b3、486b4、486b5を回っていかなければならないので、前記アウトガスの排出経路を長くすることによって、前記アウトガスの排出を防ぐ効果が得られる。
【0051】
一方、この実施形態では、上述したように前記バリア層486b1、486b2、486b3、486b4、486b5の端部が互いに接するようになっていて、これを介して前記画素定義膜486の領域の中で前記表示部460に隣接した部分はバリア層486b1、486b2、486b3、486b4、486b5だけに備えられるようにして、前記画素定義膜486の内部でアウトガスが発生しても、前記表示部460に影響を及ぼすのを防ぐことができる。
【0052】
図8は、本発明の好ましい第5実施形態によるエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置を示す断面図である。
図8を参照すると、画素定義膜586が表示部560の間、さらに詳しくは、画素電極561の間に備えられている。この実施形態が前記実施形態と異なる点は、各画素定義膜586が3個以上のバリア層586b1、586b2、586b3、586b4、586b5を備えているという点である。特に、図8に示されたように、前記バリア層586b1、586b2、586b3、586b4、586b5の端部が互いに接することによって、図8に示された構造をとることができる。
【0053】
この実施形態が前記第4実施形態と異なる点は、前記画素定義膜586内に備えられた前記バリア層586b1、586b2、586b3、586b4、586b5の端部の形態である。前記第4実施形態によるエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置においては、表示部の周りの画素定義膜がバリア層のみで備えられているが、前記バリア層の端部が隣接することによって、前記表示部と接する部分のバリア層の総厚さが厚くなり、したがって表示部の領域が細くなるという問題があった。
【0054】
しかしながら、この実施形態によるエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置においては、前記バリア層586b1、586b2、586b3、586b4、586b5の端部が互いに重畳されて接するようになっており、これを介して、前記画素定義膜586の領域の中で前記表示部560に隣接した部分は、バリア層586b1、586b2、586b3、586b4、586b5だけで備えられるようにして前記画素定義膜586の内部でアウトガスが発生しても前記表示部560に影響を及ぼすことを防止すると共に、前記表示部560と接する部分のバリア層586b1、586b2、586b3、586b4、586b5の総厚さが一定になるように維持して前記表示部560の領域が細くなる問題を防ぐことができる。
【0055】
一方、前述の実施形態において、前記バリア層を含む画素定義膜の厚さを適切に調節することが重要であり、この説明を以下で行う。
前述の第3実施形態によるエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置を示す図9を参照すると、各画素定義膜に備えられたバリア層の間の長さと一つのバリア層の厚さとを合わせた値l1、l2、l3、l4、l5は、約1000Åになるようにするのが好ましい。
【0056】
各画素定義膜386に備えられたバリア層386b1、386b2、386b3、386b4、386b5間の長さと、一つのバリア層の厚さとを合わせた値l1、l2、l3、l4、l5が1000Åよりも著しく大きい場合は、多層のバリア層を備えた画素定義膜386の最終厚さがあまりにも厚くなって、後述するような後工程を実施し難くなるので、各画素定義膜386に備えられたバリア層386b1、386b2、386b3、386b4、386b5間の長さと一つのバリア層の厚さを合わせた値l1、l2、l3、l4、l5は、約1000Åになるようにするのが良い。また、前記値が1000Åよりも著しく小さく形成される場合は、各バリア層が切れたり、まともに形成されないなどの問題が発生することもあり、これによって前記画素定義膜から発生するアウトガスが排出されて表示部などに影響を与えることを防ぐという本発明の目的を果たすことができないので、前記値が約1000Åになるようにするのが良い。
【0057】
一方、エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造において、前記のような画素定義膜386が備えられた後は、画素電極と対向電極との間に介在する、少なくとも発光層を含む発光部を備える工程が実施される。このような工程は、前記発光部が低分子有機物で備えられる場合は真空蒸着によって各層を取り入れることができる。しかしながら、高分子有機物に備えられる場合も、マスクを用いた真空蒸着法を利用したのでは、物理的なギャップの最小化に限界があり、マスクの変形などによって数十μmレベルの微細パターンを有するエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置は適用が難しく、大型化に限界がある。
【0058】
このような問題点を乗り越えるために、スピンコーティング工程を用いて有機膜を塗布した後に、前記有機膜賞にフォトレジストをコーティング、露光及び現像して前記有機膜を微細パターニングをするリソグラフィ方法を用いる試みがあるが、前記リソグラフィ方法を用いると、前記方法を実施して形成された有機膜が前記リソグラフィ工程で用いられた有機溶媒及び現像液の残留物によって変形されるので、実質的に適用することは難しいという問題がある。
【0059】
前記のような問題点を解決するためにレーザ熱転写法(LITI:laser induced thermal image)を用いて有機膜として備えられた表示部を形成する方法が開発された。
前記のような熱転写法において、ドナーフィルムに照射するエネルギー源としてレーザを用いる場合、所定の値としてフォーカス調節されたレーザビームを前記ドナーフィルムの上に要求されるパターンによってスキャニングして有機物の塗布が行われ、前記レーザのフォーカシングによって必要とする微細パターニングができる。
【0060】
問題になるのは、上述したように有機物などが塗布される位置と前記ドナーフィルムの伝写層とが互いに対向するように配置しラミネイティングをさせる段階において、前記有機物が塗布される表面に突出部がある場合、正確なアライメント及び正確な有機物の伝写が難しいということである。
【0061】
上述したように、前記有機膜を、レーザ熱転写法を用いて備える工程は画素定義膜が備えられた後に行われ、図9に示すように画素定義膜386は表示部360よりも突き出されているので、上述した問題点を解決するためには、前記画素定義膜386の厚さを5000Å以下で形成した方が良い。
【0062】
現在、一般的に備えられる画素定義膜画素の厚さが約1.5μmないし2μmであり、前記のような厚さの画素定義膜を備える場合は、有機膜を上述したレーザ熱転写法を用いて正確に形成することができなくなる。したがって、前記画素定義膜386の厚さlpは、約5000Å以下になるようにした方が良い。
【0063】
この場合、前述のように各画素定義膜386に備えられたバリア層386b1、386b2、386b3、386b4、386b5間の長さと一つのバリア層との厚さを合わせた値l1、l2、l3、l4、l5は、約1000Åであり、結果的に前記各画素定義膜386に備えられたバリア層386b1、386b2、386b3、386b4、386b5の数は、5個以下になるようにした方が良い。
【0064】
図10、図11及び図13ないし図15は、本発明の好ましい一実施形態によるエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法、特にバリア層を備えた画素定義膜の製造工程を示す断面図である。
図10を参照すると、前記エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置を製造する工程は、まず基板381上にパターンの画素電極361を備える段階と、前記基板381の全面に画素定義膜3861を形成する段階と、前記画素定義膜3861をパターニングして前記画素電極361の一部を露出させる段階とでスタートする。もちろん、前記基板381上に所定パターンの画素電極361を備える前に前記基板381上に薄膜トランジスタ350、ストレージキャパシタを備える段階を経て、前記対向電極を形成した後に保護膜または全面基板などを備える段階も経ることができる。
【0065】
前記のような段階を経った後、図11に示すように前記画素定義膜3861の上部にバリア層386b1を形成し、前記露出された画素電極361の上部に少なくとも発光層を含む有機膜を形成し、前記有機膜の上部に対向電極を形成する段階を備える。
前記画素定義膜3861は、有機膜としてポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアリールエーテル、ヘテロサイクリックポリマー、パリレン、フッ素高分子、エポキシ樹脂、ベンゾサイクルロブテン系樹脂、シロキサン系樹脂及びシーラン樹脂からなる一群から選択される一種の物質で形成される。
【0066】
前述のような工程において、前記画素定義膜3861の上部に備えられる前記バリア層386b1は、前記画素定義膜3861を塑性することによって自然に形成され、前記塑性は、真空オーブン(vacuum oven)や炉(furnace)などで熱処理を実施して行う。
【0067】
また、前記バリア層386b1は、前記画素定義膜の上部に不純物(X)を注入する工程を経って画素定義膜表面を再び硬化させて形成することができる。
ここで、前記不純物(X)はB、P及びAsからなるイオンの中の一つでもあり、前記イオンはイオン注入器を、例えばイオンシャワーまたはインプラント(implanter)を用いて75keVないし85keVの加速エネルギーで1×1014ないし1×1015ions/cmのドーズ量を注入するのが好ましい。
【0068】
一方、前記不純物(X)は、Ar、He、Xe、H及びNeからなる不活性気体の中の一つであり、前記不活性気体はスパッタリングが可能な装備として、例えばエッチャー(etcher)やアッシャー(asher)で100Wの電力で50sccm以上のガスを10mtorrないし400mtorrの真空内で前記画素定義膜パターンに加速させることが好ましい。
【0069】
ここで、前記バリア層160′を厚く形成するほど、アウトガスが有機膜層に放出されるのを防ぐことができるが、バリア層を厚く形成するためには、高エネルギーを使用したり不純物濃度を増加させることで可能である。しかしながら、このような工程は、高価な装備を必要としたり、持続的な投資が必要であるために生産性が低下したり、生産単価が増加する。
したがって、不純物ドーピングの後に形成されたバリア層の厚さは、画素定義膜の厚さの10%以下に形成するのが良い。
【0070】
図12は、前述のような熱処理によって2層のバリア層が備えられた画素定義膜の断面を示す写真である。図12を参照すると、下部バリア層の場合の厚さは、約500Åないし1000Åであり、上部バリア層の場合の厚さは、約1000Åないし1500Åであり、画素定義膜の総厚さは約1.5μm位である。
【0071】
一方、多層バリア層を備えた画素定義膜を形成するために、上述した段階で前記画素定義膜3861の上部にバリア層386b1を形成する段階と、前記露出された画素電極361の上部に少なくとも発光層を含む発光部を形成する段階との間には、図13に示すように前記基板381の全面に画素定義膜3862を形成し、前記画素定義膜3862をパターニングして前記画素電極361の一部を露出させた後、図14に示すような前記画素定義膜3862の上部にバリア層386b2を形成する段階が順次に備えられるようにできて、前記のような段階を経ることで図14に示すような2個のバリア層386b1、386b2を備えた画素定義膜を形成することができる。
【0072】
そして、前記露出された画素電極361の上部に少なくとも発光層を含む発光部を形成する段階以前に、上述したような段階を繰り返すことで図15に示すような多層のバリア層386b1、386b2、386b3、386b4、386b5を形成することができる。
【0073】
前記のような工程で、前記基板381の全面に画素定義膜3861、3862を塗布する段階において、前記画素定義膜3861、3862の厚さl5′、l4′は約2000Åになるように塗布するのが良い。すなわち前記画素定義膜3861、3862の上部にバリア層386b1、386b2を形成する段階は、前述したように塑性、すなわち熱処理によって行われるので、前記熱処理の過程で前記画素定義膜3861、3862の厚さが薄くなる。したがって、前述のようなバリア層間の長さと一つのバリア層の厚さとを合わせた値l5、l4が約1000Åの厚さになるようにするためには、前記画素定義膜3861、3862の厚さl5′、l4′を約2000Åになるように塗布した後に、前記画素定義膜3861、3862の厚さが約1000Åになるまで塑性した方が良い。
【0074】
一方、図15に示された画素定義膜386は、前記画素定義膜386内に備えられた各バリア層386b1、386b2、386b3、386b4、386b5が互いに平行になるように備えられたものである。前記のような構造のバリア層386b1、386b2、386b3、386b4、386b5が備えられるようにするためには、前記画素定義膜3861の上部にバリア層386b1を形成する段階以後、前記画素定義膜3862をパターニングして前記画素電極361の一部を露出させる段階は、パターニングされた前記画素定義膜3862がその以前に形成された画素定義膜の上部にバリア層386b1を覆うように行われるようにすれば良い。
【0075】
一方、前述のように画素定義膜に備えられたバリア層は、その端部が互いに接するようにすることもできるが、図16ないし図20に示された断面図は、そのような構造のエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法を示す断面図である。
【0076】
まず、図16に示すように前記基板581の全面に画素定義膜5861を、その厚さl5′が約2000Åになるように塗布し、前記画素定義膜5861をパターニングして画素電極581の一部が露出されるようにし、その後に前記画素定義膜5861を塑性して図17に示すように前記画素定義膜の材料の表面にバリア層586b1が備えられるようにする。この場合、前述のように画素定義膜の厚さが約1000Åになるまで塑性する。
【0077】
その後、図18に示すように前記基板581の全面に画素定義膜5862を再び形成し、これをパターニングして前記画素電極561の一部を露出させて、前記のようなパターニング段階において前記段階の以前に形成された画素定義膜の上部のバリア層586b1の端部が露出されるようにする。そして、前記画素定義膜5862を塑性して、図19に示すように前記画素定義膜の上部に二番目のバリア層586b2が備えられるようにする。前記のような段階を繰り返して図20に示すように多層のバリア層586b1、586b2、586b3、586b4、586b5が備えられて、前記バリア層586b1、586b2、586b3、586b4、586b5の端部が互いに接している画素定義膜586を形成することができる。
【0078】
一方、前記実施形態において、アクティブマトリックス型エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置に本発明を適用した例で説明したが、アクティブマトリックス型エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の以外にもパッシブマトリックス型エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置など、画素定義膜が備えられるエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置であれば、どのような装置であれとも本発明が適用できる。
【0079】
本発明は、図面に示された実施形態を参照しながら説明したが、これは例示的なことに過ぎず、当技術分野で通常の知識を有する者であればこれによって多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であろう。よって、本発明の技術的な保護範囲は添付された特許請求範囲の技術的思想によって定められなければならない。
【符号の説明】
【0080】
250、350、450、550:薄膜トランジスタ
135、251、351、451、551:ゲート電極
252、352、452、552:ソース電極
253、353、453、553:ドレイン電極
260、360、460、560:表示部
165、261、361、461、561:画素電極
162、262、362、462、562:対向電極
125、280、380、480、580:半導体層
100、281、381、481、581:基板
110、282、382、482、582:バッファ層
120、283、383、483、583:ゲート絶縁膜
130、284、384、484、584:層間絶縁膜
285、385、485、585:第1保護膜
160、286、386、486、586:画素定義膜
170、287、387、487、587:有機膜
289、389、489、589:第2保護膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に備えられた複数の画素電極と、
前記画素電極上に位置し、前記各画素電極の所定部分を露出する開口部を備える画素定義膜と、
前記画素定義膜の上部及び/または内部に位置する少なくとも一つのバリア層と
を備えることを特徴とするエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置。
【請求項2】
前記画素定義膜の厚さは、1000Åないし5000Åであることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置。
【請求項3】
前記バリア層は、前記画素定義膜の厚さに対して10%以下で形成することを特徴とする請求項1に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置。
【請求項4】
前記バリア層は、イオンまたは不活性気体によって硬化されて形成されたことを特徴とする請求項1に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置。
【請求項5】
前記イオンは、B、P及びAsからなる一群から選択された一つであることを特徴とする請求項4に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置。
【請求項6】
前記不活性気体は、Ar、He、Xe、H及びNeからなる一群から選択された一つであることを特徴とする請求項4に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置。
【請求項7】
前記各画素定義膜に上に形成されたバリア層は、その端部が互いに接していることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置。
【請求項8】
基板と、
前記基板上に備えられた複数の画素電極と、
前記画素電極上に位置し、前記各画素電極の所定部分を露出する開口部を備える少なくとも一つ以上の画素定義膜と、
前記各画素定義膜の上部及び/または内部に少なくとも一つのバリア層と
を備えることを特徴とするエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置。
【請求項9】
前記各画素定義膜の厚さは、1000Åないし5000Åであることを特徴とする請求項8に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置。
【請求項10】
前記バリア層は、前記各画素定義膜の厚さに対して10%以下で形成することを特徴とする請求項8に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置。
【請求項11】
前記バリア層は、イオンまたは不活性気体によって硬化されて形成されたことを特徴とする請求項8に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置。
【請求項12】
前記イオンは、B、P及びAsからなる一群から選択された一つであることを特徴とする請求項11に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置。
【請求項13】
前記不活性気体はAr、He、Xe、H及びNeからなる一群から選択された一つであることを特徴とする請求項11に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置。
【請求項14】
前記各画素定義膜の上に形成されたバリア層は、その端部が互いに接していることを特徴とする請求項8に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置。
【請求項15】
基板上にパターンされた画素電極を備える段階と、
前記画素電極を含む基板の全面に形成し、前記画素電極の所定部分を露出する開口部を備える画素定義膜を形成する段階と、
前記画素定義膜の上部に不純物を注入してバリア層を形成する段階と、
前記露出された画素電極上に発光層を形成する段階と、
前記発光層上に対向電極を形成する段階と
を含むことを特徴とするエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法。
【請求項16】
前記不純物は、イオンや不活性気体であることを特徴とする請求項15に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法。
【請求項17】
前記イオンは、B、P及びAsの中の一つであることを特徴とする請求項16に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法。
【請求項18】
前記イオンは、前記画素定義膜の上部に75keVないし86keVの加速エネルギーで1014ないし1015ions/cmのドーズ量でドーピングされることを特徴とする請求項16に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法。
【請求項19】
前記不活性気体は、Ar、He、Xe、H及びNeからなる一群から選択された一つであることを特徴とする請求項16に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法。
【請求項20】
前記不活性気体は、前記画素定義膜の上部に100Wの電力で50sccm以上のガスを10mtorrないし400mtorrの真空内で加速することを特徴とする請求項16に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法。
【請求項21】
前記バリア層は、前記画素定義膜の厚さに対して10%以下で形成することを特徴とする請求項15に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法。
【請求項22】
前記画素定義膜の材料の表面にバリア層を形成する段階と前記露出された画素電極上に発光層を形成する段階との間には、
前記画素電極を含む基板全面に形成し、前記画素電極の所定部分を露出する開口部を備える画素定義膜を形成する段階と、
前記画素定義膜の上部に不純物を注入してバリア層を形成する段階と
が順次に少なくとも1回以上さらに含まれることを特徴とする請求項15に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法。
【請求項23】
前記各バリア層は、互いに接しないように形成することを特徴とする請求項22に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法。
【請求項24】
前記各バリア層の端部が互いに接するように形成することを特徴とする請求項22に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法。
【請求項25】
基板上にパターンされた画素電極を備える段階と、
前記画素電極を含む基板全面に形成し、前記画素電極の所定部分を露出する開口部を備える画素定義膜を形成する段階と、
前記画素定義膜の一部を熱硬化してバリア層を形成する段階と、
前記露出された画素電極上に発光層を形成する段階と、
前記発光層上に対向電極を形成する段階と
を含むことを特徴とするエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法。
【請求項26】
前記バリア層は、前記画素定義膜の厚さが50%に縮まるまで塑性されて形成されることを特徴とする請求項25に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法。
【請求項27】
前記製造方法は、前記画素定義膜の材料の表面にバリア層を形成する段階と、前記露出された画素電極の上部に発光層を形成する段階との間には、
前記画素電極を含む基板全面に形成し、前記画素電極の所定部分を露出する開口部を備える画素定義膜を形成する段階と、
前記画素定義膜の一部を熱硬化してバリア層を形成する段階と
が順次に少なくとも1回以上さらに含まれることを特徴とする請求項26に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法。
【請求項28】
前記各画素定義膜は、2000Åの厚さで形成することを特徴とする請求項27に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法。
【請求項29】
前記各バリア層は、互いに接しないように形成することを特徴とする請求項27に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法。
【請求項30】
前記各バリア層の端部が互いに接するように形成することを特徴とする請求項27に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図4】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−212251(P2010−212251A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−110195(P2010−110195)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【分割の表示】特願2005−165971(P2005−165971)の分割
【原出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【Fターム(参考)】