説明

エレクトロルミネッセンス装置

好適には、200nm乃至490nmの波長範囲を有する一次放射線を出射するために少なくとも1つのエレクトロルミネッセンス光源(2)と、前記一次放射線の部分吸収及び二次放射線の出射のために前記一次放射線の光線の経路内に備えられている少なくとも1つの光変換要素(3)とを有するエレクトロルミネッセンス装置であり、光変換要素(3)は一次放射線の放射線方向(5)における拡張を有し、該拡張は、光変換要素(3)に一次放射線の平均散乱長より小さい、エレクトロルミネッセンス装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロルミネッセンス装置、発光光の色変換のための要素及びこの要素を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロルミネッセンス光源(LED)を有し、発光光(一次放射線)が蛍光体−粉末層により少なくとも一部が吸収され且つ長波長(二次放射線)を伴って再び放射される蛍光体変換エレクトロルミネッセンス装置(pcLED)が知られている。pcLEDと称されるものは、一般に、白色光源として用いられ、そのLEDはUV光又は青色光(一次放射線)を発光し、その光の一部は、LEDにおいて配置されている層、代表的には、蛍光体−粒子層により吸収され、例えば、黄色、緑色及び赤色光(二次放射線)として再発光される。この過程はまた、色変換又は光変換を意味する。白色光は、その場合、加法混色により得られる。今日、利用可能な最良のpcLEDは、蛍光体層の有する場合(一次放射線及び二次放射線)と有しない場合(一次放射線)に放出光子の比、即ち、パッケージゲインと称せられるものを有し、それは50%以下である。蛍光体−粒子層は、埋め込まれた蛍光体粒子を有するマトリクス材料から成り、光源の効率は、LED発光のUV部分のためにマトリクス材料の光化学的に又は温度的にもたらされる劣化の結果として寿命と共に低下し、それ故、粒子層の光透過率が減少する。更に、pcLEDの光発光の均一性は、蛍光体−粒子層の均一性に大きく依存する。例えば、相関色温度(CCT)と称せられるものは、視野角の関数として4500K乃至6500Kの範囲内で変化する。
【0003】
独国特許第10349038A1号明細書において、白色光を発光する蛍光体変換エレクトロルミネッセンス装置であって、色変換が多結晶セラミック体により得られ、その多結晶セラミック体は、光放射方向にみて、LEDの上方に配置されている、蛍光体変換エレクトロルミネッセンス装置について開示している。蛍光体−粉末層とは対照的に、セラミック体は、蛍光体粒子を埋め込むための温度又は光感応性マトリックス材料を必要とせず、それ故、マトリクス材料の光学特性の劣化ために寿命の関数として効率の低下は回避される。光発光、例えば、視野角にできるだけ依存しない色温度の均一性が、多結晶材料における微結晶における一次及び二次放射線の散乱によりもたらされる。しかしながら、蛍光体−粒子層を有するpcLEDに対するパッケージゲインは、この種類の多結晶材料によっては改善されない。それ故、かなり高いパッケージゲインが要請されている。
【特許文献1】独国特許第10349038A1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それ故、本発明の目的は、できるだけ視野角に依存しない色温度と関連する高いパッケージゲインにより特徴付けられる蛍光体変換エレクトロルミネッセンス装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、好適には、200nm乃至490nmの範囲内の波長を有する一次放射線を出射するために少なくとも1つのエレクトロルミネッセンス光源と、一次放射線の一部の吸収及び二次放射線の出射のために、一次放射線の光線の経路内に備えられている少なくとも1つの光変換要素とを有するエレクトロルミネッセンス装置であって、光変換要素は一次放射線の放射方向において拡張を有し、その拡張は、光変換要素における一次放射線の平均散乱長より短い、エレクトロルミネッセンス装置により達成される。光変換要素内で散乱される光の量が少なければ少ない程、それぞれの材料における光路は短くなり、それ故、光が後続の再出射を伴わずに光変換材料において吸収される確率は小さくなる。それ故、得られるパッケージゲインは、強く散乱する光変換要素、例えば、散乱中心を有する通常の多結晶層又は粉末層を用いる場合より高い。ランバート・ベールの法則にしたがって、吸収及び散乱のための方向Θにおける放射線強度Iloss(Θ)の損失は、透過及び反射係数の関数に代えて、吸収長l及び散乱長lの関数として表される。放射線の伝搬方向に沿った拡張dを有する材料の平均散乱長であって、その材料は散乱中心において平均充填密度PDを有する、平均散乱長は、その場合、1/PDに略比例する。
【0006】
これに関連して、光変換要素が、光変換要素において理論的な材料の密度の93%乃至99.5%の範囲内の密度を有する材料から成ることは好ましい。好ましいエレクトロルミネッセンス装置においては、二次放射線は、一次放射線の波長より長い波長を有する1つ又はそれ以上の領域を有する。例えば、青色の一次放射線並びに黄色又は緑色及び赤色の二次放射線の適切な部分を混合することにより、白色光を生成することができる。
【0007】
これに関連して、光変換要素における一次放射線の平均吸収長は一次放射線の平均散乱長より短く、一次放射線の放射方向における光変換要素の拡張より好適に短いことは好ましい。それ故、一次放射線の十分な部分が白色光の生成のために二次放射線に変換されることが確実にされる。
【0008】
光変換要素は、エレクトロルミネッセンス光源に対向する本質的に平面的な第1表面と、光変換要素からアウトカップリングされた光を改善するための構造を有する第2表面とを有する。平面的な第1表面は、エレクトロルミネッセンス光源への光変換要素の直接的な適用を可能にする。構造化された第2表面は、光変換要素からの一次放射線及び二次放射線のアウトカップリングされた、改善された光のために用いられ、構造化表面の光分散効果によりそのアウトカップリングされた光の改善された均一性に更に繋がる。それにより、視野角の関数としての補正色温度の変化は明らかに低減される。
【0009】
好適な実施形態においては、エレクトロルミネッセンス光源から離れる方に向いている光変換要素の側部は少なくとも、屈折率n>1.3を有する少なくとも1つの透明材料のアウトカップリング要素により囲まれている。光変換要素が屈折率n及び|n−n|>0.1を有することは更に好ましい。一方で、全反射のための光アウトカップリングの損失は、光変換要素の光がアウトカップリングされたときに、n<nについて減少され、n≧nについて避けられる。他方、第2表面の光分散効果は、光変換要素の構造化された第2表面の場合における屈折率の再小差|n−n|>0.1により更に維持される。
【0010】
特定の好適な実施形態においては、光変換要素は、一次放射線から二次放射線に75%乃至90%の範囲内で、好適には、80%乃至85%の範囲内で変換する。全放射線(一次放射線プラス二次放射線)に対する一次放射線のこの比により、視野角の関数としての色温度の最小変化が得られる。
【0011】
これに関連して、光変換要素は、一次放射線の放射方向に少なくとも50μmの拡張を有することは好ましい。
【0012】
ここで、光変換要素の好適な材料は、次の材料を有する群から少なくとも1つを有する。
−(M1−x−yIIIII(Al1−zIV12
ここで、M=(Y,Lu)、MII=(Gd,La,Yb)、MIII=(Tb,Pr,Ce,Er,Nd,Eu)及びMIV=(Gd,Sc)であり、0≦x≦1、0≦y≦1及び0≦z≦1である。
−(M1−x−yIIIII
ここで、M=(Y,Lu)、MII=(Gd,La,Yb)、MIII=(Tb,Pr,Ce,Er,Nd,Eu,Bi,Sb)及びMIV=(Gd,Sc)であり、0≦x≦1及び0≦y≦1である。
−(M1−x−yIIIII)S1−zSe
ここで、M=(Ca,Sr,Mg,Ba)、MII=(Ce,Eu,Mn,Tb,Sm,Pr,Sb,Sn)、MIII=(K,Na,Li,Pb,Zn)であり、0≦x≦0.01、0≦y≦0.05及び0≦z≦1である。
−(M1−x−yIIIII)O
ここで、M=(Ca,Sr,Mg,Ba)、MII=(Ce,Eu,Mn,Tb,Sm,Pr)、MIII=(K,Na,Li,Pb,Zn)であり、0≦x≦0.1及び0≦y≦0.01である。
−(M2−xIIIII)O
ここで、M=(La,Y,Gd,Lu,Ba,Sr)、MII=(Eu,Tb,Pr,Ce,Nd,Sm,Tm)、MIII=(Hf,Zr,Ti,Ta,Nb)であり、0≦x≦1である。
−(M1−xIIIII1−yIV)O
ここで、M=(Ba,Sr,Ca,La,Y,Gd,Lu)、MII=(Eu,Tb,Pr,Ce,Nd,Sm,Tm)、MIII=(Hf,Zr,Ti,Ta,Nb)及びMIV=(Al,Ga,Sc,Si)であり、0≦x≦0.1及び0≦y≦0.01である。
【0013】
ここで、Mを引き合いに出すと、例えば、M=(Ca,Sr,Mg,Ba)においては、個々の元素ばかりでなく、括弧内の元素の化合物も表している。
【0014】
更に、本発明は、請求項1に記載されているエレクトロルミネッセンス装置における光変換要素を製造する方法であって:
−焼結の支援により真空中で又は還元条件下で2乃至8時間の持続時間の間、1700乃至1750℃の温度の範囲内で光変換要素の材料を、好適には、10乃至24時間の持続時間の間、1700乃至1750℃の温度の範囲内でその材料のセラミック主相に対して500乃至1000ppmの範囲内で酸化マグネシウム又は酸化珪素を焼結する段階と、
−0.5乃至2.0kbarの範囲内の圧力のアルゴン雰囲気下で9乃至11時間の範囲内の持続時間の間、1700乃至1750℃の温度の範囲内で光変換要素の材料を焼結する段階と、
−酸素含有雰囲気下で2乃至20時間の持続時間の間、1200乃至1400℃の温度の範囲内で光変換要素の材料をアニールする段階と、
を有する、方法に関する。
【0015】
体積当たり対応する小さい数の散乱中心及び高密度を有する材料がこの方法で製造され、光変換要素における散乱強度の増加がもたらされる。
【0016】
本発明の上記の及び他の特徴は、以下に説明する実施形態を参照することにより明らかになるが、本発明はそれらの実施形態に限定されるとみなされるべきものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、一次放射線を発光するために基板4に適用されるエレクトロルミネッセンス光源2と、一次放射線の一部の吸収及び二次放射線の出射のために一次放射線の光線の経路内に備えられている光変換要素3とを有する本発明にしたがったエレクトロルミネッセンス装置1であって、光変換要素3は一次放射線の放射方向5において拡張を有する、エレクトロルミネッセンス装置1を示している。
【0018】
ランバート・ベールの法則にしたがって、透過係数及び反射係数に代えて、吸収及び散乱のための方向Θについて、吸収長l及び散乱長lの関数として説明している。散乱中心における平均充填密度PD及び放射線の伝搬方向に沿って拡張dを有する非単結晶材料の平均散乱長は、その場合、略d/PDに比例する。散乱長が長くなればなる程、一次及び二次放射線の平均光路は短くなり、それ故、また、その光は、光変換要素における実質的な再出射を伴わない吸収による光の損失は小さくなる。散乱中心体積V及び体積Vを有する光変換要素における散乱中心の数Nにより、充填密度PDは、PD=N*V/Vで表される。例えば、光の伝搬方向において散乱材料の拡張を3.33回折り畳まれた散乱長は、10%の充填密度を有する球状散乱中心について得られる。これに関連して、比例定数は、特に、散乱中心の種類及び形状に、それ故、光変換要素3の材料組成に依存する。
【0019】
有機又は非有機エレクトロルミネッセンス層を有するLEDはエレクトロルミネッセンス光源2として用いられ、その層は、2つの電極間に備えられ、一般に、透明なベースとして適用される。これに関連して、ベースが一次放射線及び二次放射線の両方に対して透明であることは好ましい。典型的には、基板4に対向する電極は反射性であり、それ故、一次放射線は、矢印5で図1に示す、基板から離れる方に向いている側部の方に出射される。これに関連して、エレクトロルミネッセンス光源2はまた、同じ及び/又は異なる一次放射線を有する複数のLEDを有する。ここで、光変換要素3は、一次放射線を吸収するように一次放射線の光線の経路内に備えられている。その光変換要素は、エレクトロルミネッセンス光源2において直接、適用される、又は透明な材料によりエレクトロルミネッセンス光源2に光学的に結合されることが可能である。エレクトロルミネッセンス光源2への光変換要素3の光学的結合について、例えば、光変換要素3とエレクトロルミネッセンス光源2との間に、例えば、白金架橋される架橋可能な二成分シリコンゴム又は高温で光源及び光変換要素に付けられる代替のガラス材料のような、1.4乃至4.0の範囲内の屈折率を有する弾力性のある又は固い材料の接着層を使用することができる。更に、光変換要素がエレクトロルミネッセンス光源と密接な接触するようになることは特に好ましく、それ故、それら2つの間の距離は、一次放射線の平均波長の3倍より小さい、好適には、一次放射線の平均波長の2倍、特に好適には、一次放射線の平均波長の1倍である。しかしながら、他の実施形態においては、それらの構成、大きさ、形状又は材料に対して複数の異なる光変換要素がまた、1つ又はそれ以上のエレクトロルミネッセンス光源に光学的に接続されることが可能である。
【0020】
一次放射線の平均波長は200乃至490nmの範囲内の波長にあり、それ故、一次放射線及び二次放射線の混合により白色光を生成するために必要な全ての更なるスペクトル領域が励起されることが可能である。青色の一次放射線の場合、二次放射線は、好適には、それ故、黄色又は緑色及び赤色スペクトル領域における光を有し、そのことは、白色光が色混合により生成されることを可能にする。
【0021】
白色光を生成するために必要な長波長の二次放射線の一部がまた、光変換要素により与えられることが可能であることを確認するように、光変換要素における一次放射線の吸収が最小であることが必要である。このために、光変換要素3における一次放射線の平均吸収長が、一次放射線の平均散乱長より短い、好適には、一次放射線の放射方向5における光変換要素3の拡張より短いことは好ましい。ここで、一次放射線の吸収後に出射される二次放射線は等方的に出射される。光変換要素3の表面における一次放射線の、材料によりもたらされる複数の反射及び光変換要素3における一次放射線の伝搬方向の関連する変化の結果として、本発明にしたがったエレクトロルミネッセンス装置1はまた、視野角の関数としての所謂、相関色温度(CCT)の小さい変化により特徴付けられる。
【0022】
70%の平均利得は、図1に示すような、放射線方向5に対する光変換要素3の側面の45°の角度と1.0mmの厚さを有する光散乱要素3の形状を有する本発明にしたがったエレクトロルミネッセンス装置1の実施形態の実施例において得られ、その要素は0.3%のCeがドープされたYAGセラミックを有する。これは、従来の蛍光体粉末層の光変換層に対する著しい改善に相当する。
【0023】
本発明にしたがったエレクトロルミネッセンス装置1の好ましい実施形態においては、光変換要素3は本質的に平坦な第1表面3aを有し、その表面は、エレクトロルミネッセンス光源2と、光変換要素3からの光アウトカップリングを改善するための構造を有する第2表面3bとに直接、適用されることが可能である。構造化された第2表面3bを有する光変換要素3の実施形態の特に好ましい実施例について図2に示している。ここで、構造6は、第1表面3aに対して実質的に平行に備えられている第1領域61と、放射方向5にみて、テーパーが付けられている第2領域62とを有する。テーパーが付けられている領域のために、直接光のアウトカップリングの非改善が、放射方向5に対して大きい角度で光変換要素3において伝搬する光の一部について得られる。本質的に平面の第1領域61は、放射方向5に対して小さい角度で光変換要素において伝搬する光の直接のアウトカップリングを可能にする。特定の好ましい実施形態においては、光変換要素は第3領域63を有し、その第3領域は、第1表面3aに対して平行に、及び放射方向にみて、第2領域62の下方に本質的に配置されている。
【0024】
そのような構造化された第2表面3bの実施形態の実施例は、光変換要素の350μm厚さにおいて180μmの深さ(放射方向5にみて、第1領域61と第3領域63との間の距離)、隣接する第1領域63と第1表面3aに対して45°の角度に配置されている第2領域62を有する構造を有する。そのような構造は、例えば、Disco社の“ダイシング装置”と称されるものにより製造されることが可能である。このために、先ず、溝の200μmの幅及び180μmの深さが、光変換要素の本質的に平坦な表面に切り込まれ、A1Aシリーズの90°のダイシングディスクと称せられるものにより実質的に拡大される。他の溝の距離、他の溝の形状、他のダイシングディスク及び/又は他のカッティング深さにより、構造6は、光アウトカップリング及び光分布効果に対する種々の要求に適合されることが可能である。
【0025】
屈折率nを有する光変換要素3からの一次放射線及び二次放射線をアウトカップリングする改善された光について、特に好ましい実施形態は、屈折率n>1.3を有する少なくとも1つの透明な材料のアウトカップリング要素7を有し、そのアウトカップリング要素7は、エレクトロルミネッセンス光源2から離れる方に向いている光変換要素3の少なくとも側部を囲んでいて、これについては図3を参照されたい。n>nの場合、エレクトロルミネッセンス光源2から離れる方に向いている光変換要素3の側部における全反射のための、光変換要素3からの光放射方向5における光アウトカップリング損失は、空気への移行に対するより小さい屈折率の差のために低減されることが可能である。n<nの場合、光変換要素におけるアウトカップリング損失は、光学的に薄い媒体(光変換要素3)から光学的に厚い媒体(アウトカップリング要素7)への移行のために回避される。両方の場合、アウトカップリング要素の空気との境界表面において反射して戻される光の部分を低減するために、光放射方向5にみて、アウトカップリング要素7の外側表面は凹状表面を有する(図3を参照されたい)。
【0026】
図3に示す例示としての実施形態においては、エレクトロルミネッセンス光源2及びエレクトロルミネッセンス光源2に適用される光変換要素3の両方は、少なくとも1つの透明な材料を有するアウトカップリング要素7により囲まれ、光放射方向5にみて、そのアウトカップリング要素は、外側の凹状表面を有する。しかし、本発明はまた、異なる実施形態を有し、それらの異なる実施形態において、光変換要素3及び/又はエレクトロルミネッセンス光源2はアウトカップリング要素7により一部のみを囲まれている。同様に、本発明は、光放射方向5にみて、アウトカップリング要素7の非凹状の外側の表面を有する実施形態を含む。また、アウトカップリング要素7は、複数の透明な材料を有することが可能である。光アウトカップリングに加えて、アウトカップリング要素7はまた、全放射線の角度分布に関して光源の放射線特徴に影響する目的で用いられることが可能である。光変換要素3が構造化された第2表面3bを有する場合、アウトカップリング要素の透明材料が、光変換要素3の屈折率nに等しくない屈折率nを有することは特に好ましい。そのような構成の特に高いパッケージゲインに加えて、好ましい光分散効果が維持され、nがnより大きいか又は小さいかに依存せずに、屈折率の差分が|n−n|>0.1であるときに、出射角度により殆ど変わらない相関色温度の生成を可能にする。そのような特定の好ましい実施形態により、光変換要素として蛍光体粉末層を有する従来のpcLEDに対して明確な改善を示す、70%以上のパッケージゲインが得られる。
【0027】
図4は、及び 凹状表面形状を有するアウトカプリング要素により囲まれた黄色のスペクトル領域において二次放射線を生成するために光変換要素3がYAG:Ce粉末層から成るエレクトロルミネッセンス光源において適用される光変換要素3と、青色(波長<490nmを有する)で出射するエレクトロルミネッセンス光源2とを有するエレクトロルミネッセンス装置の放射方向5に対して出射角度βの関数として、それぞれの最大値に正規化された、絶対温度における補間色温度(CCT)を示している。白色光は、付加的色混合を介して生成される。従来の蛍光体−粒子層(曲線PPS)と本発明にしたがった光変換要素3(曲線A、B及びC)との間の比較において、データは、色温度が実質的に出射角度により変化することを示している。蛍光体−粒子層を有する代表的な光変換要素の場合、相関色温度は6500K(0°出射角度)と4500K(65°出射角度)との間で変化し、それは、殆ど40%の変化に相当し、ビューアに対して分散した視認可能な効果を示す。蛍光体−粒子層とは対照的に、光変換要素を有する、本発明にしたがったエレクトロルミネッセンス装置は、大きい散乱長を有し、相関色温度の小さい変化を示し、これについては図4における曲線Aを参照されたい。ここで、30%の変化に相当する値は、6762Kと4760Kとの間の範囲内にある。
【0028】
構造化された第2表面3bを有する好適な光変換要素3(曲線B)は、出射角度βの関数としての相関色温度のより明確に減少された変化を示している。ここで、色温度は6765Kと5542Kとの間の範囲内で変化し、それは20%より小さい変化に相当する。
【0029】
出射角度による色温度の変化は、一次放射線と二次放射線との間の好ましい比により更に改善されることが可能である。光変更要素3が、一次放射線から二次放射線に、75%乃至90%の範囲内で、好適には、80%乃至85%の範囲内で変換することは特に好ましい。例えば、相関色温度は、全放射線に対する青色の一次放射線の割合16.7%において、単に5406Kと4836Kとの間の範囲内の出射角度の関数として変化し、これについては図4の曲線Cを参照されたい。その結果、この9%以下の変化が、ビューアにとって最も均一な色印象を示す。
【0030】
これに関連して、適用される領域及び好ましい結果として得られる出射カラーに依存して、好ましい光変換要素は、次の材料を有する群から少なくとも1つの材料を有する。
−(M1−x−yIIIII(Al1−zIV12
ここで、M=(Y,Lu)、MII=(Gd,La,Yb)、MIII=(Tb,Pr,Ce,Er,Nd,Eu)及びMIV=(Gd,Sc)であり、0≦x≦1、0≦y≦1及び0≦z≦1である。
−(M1−x−yIIIII
ここで、M=(Y,Lu)、MII=(Gd,La,Yb)、MIII=(Tb,Pr,Ce,Er,Nd,Eu,Bi,Sb)及びMIV=(Gd,Sc)であり、0≦x≦1及び0≦y≦1である。
−(M1−x−yIIIII)S1−zSe
ここで、M=(Ca,Sr,Mg,Ba)、MII=(Ce,Eu,Mn,Tb,Sm,Pr,Sb,Sn)、MIII=(K,Na,Li,Pb,Zn)であり、0≦x≦0.01、0≦y≦0.05及び0≦z≦1である。
−(M1−x−yIIIII)O
ここで、M=(Ca,Sr,Mg,Ba)、MII=(Ce,Eu,Mn,Tb,Sm,Pr)、MIII=(K,Na,Li,Pb,Zn)であり、0≦x≦0.1及び0≦y≦0.01である。
−(M2−xIIIII)O
ここで、M=(La,Y,Gd,Lu,Ba,Sr)、MII=(Eu,Tb,Pr,Ce,Nd,Sm,Tm)、MIII=(Hf,Zr,Ti,Ta,Nb)であり、0≦x≦1である。
−(M1−xIIIII1−yIV)O
ここで、M=(Ba,Sr,Ca,La,Y,Gd,Lu)、MII=(Eu,Tb,Pr,Ce,Nd,Sm,Tm)、MIII=(Hf,Zr,Ti,Ta,Nb)及びMIV=(Al,Ga,Sc,Si)であり、0≦x≦0.1及び0≦y≦0.01である。
【0031】
ここで、Mを引き合いに出すと、例えば、M=(Ca,Sr,Mg,Ba)においては、個々の元素ばかりでなく、括弧内の元素の化合物も表している。
【0032】
酸化物前駆体粉末を混合する、粉砕する、粒状にする及びセラミックの緑色の本体に圧縮するための標準的技術は、光変換要素を製造するために用いられることが可能である。本発明にしたがった散乱挙動は特定の焼成方法により達成され、その内の2つの方法について例示として以下に説明する。
1)還元条件下で2乃至8時間の持続時間の間、1700乃至1750℃の温度の範囲内でセラミックを焼結し、その結果、空隙のない理論密度の>96%の密度を有する材料が得られる。
【0033】
続いて、その材料は、残留する空隙を取り除くように、10時間の間、アルゴンガス圧力(0.500kbar乃至2kbar)下で1750℃において焼結する。
2)10乃至24時間の間、1750℃において焼結補助相(セラミック主相に対してMgO又はSiOを500乃至1000wt−ppm)を用いてセラミックを真空焼結する。
【0034】
段階1)又は2)の後、2乃至20時間の間、1200乃至1400℃の範囲内の酸素を含む雰囲気中又は空気中におけるアニール段階が、ルミネッセンス特徴を改善するために必要である。必要に応じて、サンプルは、3mm以下の厚さ、好適には、2mm以下の厚さ、特に好適には、1mm以下の厚さを有する層に好適に分離されることが可能である。
【0035】
所定の材料の組成により、光変換要素3の厚さは、一次放射線と二次放射線との間の好ましい比に適合されるようになっている。これに関連して、放射線方向5にみて、光変換要素3の厚さが少なくとも50μmであることは好ましい。
【0036】
図及び詳細セル名により説明した実施形態は、エレクトロルミネッセンス装置の出射角度の関数として相対色温度の変化を減少し、パッケージゲインを改善するためのみに示され、それらの例示に対する特許請求の範囲の制限として解釈されるべきものではない。特許請求の範囲の保護の範囲により同様に網羅される代替の実施形態がまた、当業者にとって可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明にしたがったエレクトロルミネッセンス装置を示す図である。
【図2】本発明にしたがった構造化した光変換要素を示す図である。
【図3】本発明にしたがった1つのアウトカップリング要素を有するエレクトロルミネッセンス装置を示す図である。
【図4】異なるpcLEDについて、出射角度の関数として相関色温度を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトロルミネッセンス装置であって、好適には、200nm乃至490nmの波長範囲を有する一次放射線を出射するために少なくとも1つのエレクトロルミネッセンス光源と、前記一次放射線の部分吸収及び二次放射線の出射のために前記一次放射線の光線の経路内に備えられている少なくとも1つの光変換要素とを有するエレクトロルミネッセンス装置であり、前記光変換要素は前記一次放射線の放射線方向における拡張を有し、該拡張は前記光変換要素における前記一次放射線の平均散乱長より小さい、エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエレクトロルミネッセンス装置であって、前記光変換要素は、前記変換要素における理論的な材料密度の93%乃至99.5%の範囲内の密度を有する材料を有することを特徴とする、エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエレクトロルミネッセンス装置であって、前記二次放射線は、前記一次放射線の波長より長い波長を有する1つ又はそれ以上のスペクトル領域を有することを特徴とする、エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載のエレクトロルミネッセンス装置であって、前記光変換要素における前記一次放射線の平均吸収長は、前記一次放射線の前記平均散乱長より小さく、好適には、前記一次放射線の前記放射方向における前記光変換要素の前記拡張より小さいことを特徴とする、エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載のエレクトロルミネッセンス装置であって、前記光変換要素は、前記エレクトロルミネッセンス光源に対向する本質的に平面の第1表面と、前記光変換要素からアウトカップリングされる光を改善するための構造を有する第2表面と、を有することを特徴とする、エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載のエレクトロルミネッセンス装置であって、前記エレクトロルミネッセンス光源から離れる方に向いている少なくとも前記光変換要素の側部は、屈折率n>1.3を有する少なくとも1つの材料のアウトカップリング要素により囲まれていることを特徴とする、エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項7】
請求項6に記載のエレクトロルミネッセンス装置であって、前記光変換要素は、屈折率n及び|n−n|>0.1を有することを特徴とする、エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項記載のエレクトロルミネッセンス装置であって、前記光変換要素は、前記一次放射線から前記二次放射線に、75%乃至90%の範囲内で、好適には、80%乃至85%の範囲内で変換することを特徴とする、エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項記載のエレクトロルミネッセンス装置であって、前記光変換要素は、前記一次放射線の前記放射方向において少なくとも50μmの拡張を有することを特徴とする、エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一項記載のエレクトロルミネッセンス装置であって、前記光変換要素は、次の材料を有する群であって:
−(M1−x−yIIIII(Al1−zIV12であって、ここで、M=(Y,Lu)、MII=(Gd,La,Yb)、MIII=(Tb,Pr,Ce,Er,Nd,Eu)及びMIV=(Gd,Sc)であり、0≦x≦1、0≦y≦1及び0≦z≦1である、(M1−x−yIIIII(Al1−zIV12
−(M1−x−yIIIIIであって、ここで、M=(Y,Lu)、MII=(Gd,La,Yb)、MIII=(Tb,Pr,Ce,Er,Nd,Eu,Bi,Sb)及びMIV=(Gd,Sc)であり、0≦x≦1及び0≦y≦1である、(M1−x−yIIIII
−(M1−x−yIIIII)S1−zSeであって、ここで、M=(Ca,Sr,Mg,Ba)、MII=(Ce,Eu,Mn,Tb,Sm,Pr,Sb,Sn)、MIII=(K,Na,Li,Pb,Zn)であり、0≦x≦0.01、0≦y≦0.05及び0≦z≦1である、(M1−x−yIIIII)S1−zSe
−(M1−x−yIIIII)Oであって、ここで、M=(Ca,Sr,Mg,Ba)、MII=(Ce,Eu,Mn,Tb,Sm,Pr)、MIII=(K,Na,Li,Pb,Zn)であり、0≦x≦0.1及び0≦y≦0.01である、(M1−x−yIIIII)O;
−(M2−xIIIII)Oであって、ここで、M=(La,Y,Gd,Lu,Ba,Sr)、MII=(Eu,Tb,Pr,Ce,Nd,Sm,Tm)、MIII=(Hf,Zr,Ti,Ta,Nb)であり、0≦x≦1である、(M2−xIIIII)O;並びに
−(M1−xIIIII1−yIV)Oであって、ここで、M=(Ba,Sr,Ca,La,Y,Gd,Lu)、MII=(Eu,Tb,Pr,Ce,Nd,Sm,Tm)、MIII=(Hf,Zr,Ti,Ta,Nb)及びMIV=(Al,Ga,Sc,Si)であり、0≦x≦0.1及び0≦y≦0.01である、(M1−xIIIII1−yIV)O
を有する群からの少なくとも1つの材料を有する、ことを特徴とする、エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項11】
請求項1に記載のエレクトロルミネッセンス装置において光変換要素を製造する方法であって:
還元条件下で2乃至8時間の持続時間の間、1700乃至1750℃の温度の範囲内で前記光変換要素の前記材料を焼結する段階、又は、焼結の支援により真空中で10乃至24時間の持続時間の間、1700乃至1750℃の温度の範囲内で前記光変換要素の前記材料を、好適には、前記材料のセラミック主相に対して500乃至1000ppmの範囲内で酸化マグネシウム又は酸化珪素を焼結する段階;
0.5乃至2.0kbarの圧力の範囲内のアルゴン雰囲気下で9乃至11時間の範囲内の持続時間の間、1700乃至1750℃の温度の範囲内で前記光変換要素の前記材料を焼結する段階;及び
−酸素含有雰囲気下で2乃至20時間の持続時間の間、1200乃至1400℃の温度の範囲内で前記光変換要素の前記材料をアニールする段階;
を有する方法。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−542988(P2008−542988A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512967(P2008−512967)
【出願日】平成18年5月9日(2006.5.9)
【国際出願番号】PCT/IB2006/051458
【国際公開番号】WO2006/126119
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】