説明

エレベータのかご位置検出装置

【課題】この発明は、設置スペースをより縮小することができるとともに、より簡単に据え付けることができるエレベータのかご位置検出装置を提供することを目的とするものである。
【解決手段】かご4には、検出エリアにおける静電容量を検出する検出センサ24d,24eが取り付けられている。各作動位置15U〜18U,15D〜18Dには、作動片5e〜8eが配置されている。作動片5e〜8eは、かご4の昇降により検出センサ24d,24eの検出エリアに相対的に進入する。また、作動片5e〜8eは、検出エリアに進入した状態での検出エリアの静電容量をそれぞれ異ならしめるようになっている。エレベータ制御装置30は、検出センサ24d,24eが検出した静電容量に基づいてかご4の位置を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベータのかごの位置を検出するエレベータのかご位置検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エレベータのかご位置検出装置は、被検出体である複数の検出プレート(作動片)と、各検出プレートの有無を検出する複数の検出センサを有する検出器とで構成され、かごの速度減速位置や終点位置を検知する目的で、昇降路内の上部及び下部の終端階付近における複数のかご位置の検出を行うものである。各検出プレートは、昇降路内の上部及び下部の終端階付近で、かごの昇降方向に互いに間隔を置いて配置されている。また、それら各検出プレートは、検出するかご位置に応じて異なる配置パターンで配置されている。そして、上記構成において、各検出センサによって検出された検出プレートの有無に基づいて検出プレートの配置パターンが求められ、その検出プレートの配置パターンに基づいてかご位置が求められる。
また、仮に1つの検出センサが故障した場合にでも、かごが終端階付近に進入している状態を検出できるように、検出プレートの配置パターンには冗長性が持たされている。具体的には、検出プレートは、4列に分けて配置されており、その内の2列で、上部及び下部のいずれかの終端階付近にかごが位置されていることを示すことができ、残りの2列で、上部及び下部の終端階付近での詳細なかご位置を4箇所ずつ示すことができるように配列されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−142882号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来のエレベータのかご位置検出装置では、各検出プレートはそれぞれ同一形状、同一素材で形成されていたので、検出プレートの配置パターンのみに基づいてかご位置が求められる。このため、識別したいかご位置が多い場合には、検出プレートの配置パターンを多く準備しなければならないので、検出プレート及び検出センサの列数が多くなってしまう。従って、検出プレート及び検出センサを設置するためのスペースが大きくなるとともに、検出プレート及び検出センサの据付作業が煩雑になってしまう。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、設置スペースをより縮小することができるとともに、より簡単に据え付けることができるエレベータのかご位置検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエレベータのかご位置検出装置は、かごに搭載され、検出エリアにおける静電容量を検出する検出センサを有する検出器、昇降路の高さ方向に互いに間隔をおいて配置され、かごの昇降により検出エリアに相対的に進入する複数の作動片、検出センサからの情報に基づいてかごの位置を判定するかご位置判定部を備え、各作動片は、検出エリアに進入した状態での検出エリアの静電容量をそれぞれ異ならしめるようになっている。
【発明の効果】
【0007】
この発明のエレベータのかご位置検出装置によれば、各作動片は、検出エリアに進入した状態での検出エリアの静電容量をそれぞれ異ならしめるようになっているので、かご位置判定部は検出エリアの静電容量の相違に基づいてかごの位置を判定することができる。従って、識別したいかご位置が多くなったとしても、作動片の配置パターンを多く準備しなくて済み、かごの位置を判定するために必要な作動片及び検出センサの数を減らすことができ、設置スペースをより縮小することができるとともに、より簡単に据え付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
まず、この実施の形態1の概要を説明する。従来のかご位置検出装置では、検出センサとして磁気センサや光センサを用いていたので、検出プレートの有無(ON/OFF)を検出し、その検出結果を例えば0及び1等の2値データとして扱う。従って、この2値データを用いて4箇所のかご位置を判定するためには、例えば00,01,10,11等の2列(2桁)のデータが必要となるので、検出センサ及び検出プレートを2列に分けて配置する必要がある。
これに対して、この実施の形態1のかご位置検出装置では、検出センサとして静電容量センサを用いるとともに、検出するかご位置毎に、それぞれ異なる形状(厚み・幅)の作動片を配置する。これによって、検出結果を例えば1,2,3,4等の多値データとして扱うことができ、4箇所のかご位置を1列(1桁)のデータで判定することができる。つまり、この実施の形態1のかご位置検出装置では、従来4箇所のかご位置を判定するために必要だった検出センサ及び検出プレートの列数を、2列から1列に減らすことができる。
【0009】
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。図1は、この発明の実施の形態1によるエレベータのかご位置検出装置を示す構成図である。図において、昇降路1の上部終端階付近には、かご4の昇降方向に沿って下から順に、第1の上部取付バー2a、第2の上部取付バー2b、第3の上部取付バー2c、及び第4の上部取付バー2dが互いに間隔をおいて配置されている。また、昇降路1の下部終端階付近には、かご4の昇降方向に沿って上から順に、第1の下部取付バー3a、第2の下部取付バー3b、第3の下部取付バー3c、及び第4の下部取付バー3dが互いに間隔をおいて配置されている。それら取付バー2a〜2d,3a〜3dは、かご4の昇降を案内するガイドレール20に取り付けられている。
【0010】
かご4の位置は、第1〜4の上部取付バー2a〜2dがそれぞれ配置されている第1〜4の上部作動位置15U〜18Uと、第1〜4の下部取付バー3a〜3dがそれぞれ配置されている第1〜4の下部作動位置15D〜18Dとで検出される。
【0011】
かご4には、取付台13を介して検出器29が取り付けられている。検出器29は、かご4とともに昇降され、各作動位置15U〜18U,15D〜18Dを通過されるようになっている。また、検出器29は、千鳥状に配置されている第1〜3の検出センサ24a〜24cを有している。第1〜3の検出センサ24a〜24cの情報は、かご位置判定部であるエレベータ制御装置30に入力される。エレベータ制御装置30は、第1〜3の検出センサ24a〜24cからの情報に基づいてかご4の位置を判定する。なお、エレベータ制御装置30は、プログラム等の情報を記憶している記憶部と、記憶部が記憶しているプログラムに基づいて処理動作を行う処理部(CPU)とを有する情報処理回路(コンピュータ)である。
【0012】
第1の検出センサ24aの移動経路には、その移動経路に沿って第1の作動片5a〜8aが1列に配置されている。第1の作動片5a〜8aは、第1〜4の上部取付バー2a〜2dに対して垂直に立てられた状態で、それら第1〜4の上部取付バー2a〜2dに取り付けられている。また、第1の作動片5a〜8aは、かご4の昇降によって第1の検出センサ24aの検出エリアに相対的に進入する。
【0013】
第2の検出センサ24bの移動経路には、その移動経路に沿って第2の作動片9b〜12bが1列に配置されている。第2の作動片9b〜12bは、第1〜4の下部取付バー3a〜3dに対して垂直に立てられた状態で、それら第1〜4の下部取付バー3a〜3dに取り付けられている。また、第2の作動片9b〜12bは、かご4の昇降によって第2の検出センサ24bの検出エリアに相対的に進入する。
【0014】
第1及び第2の検出センサ24a,24bとしては、磁気センサや光センサが用いられる。第1及び第2の検出センサ24a,24bは、第1及び第2の作動片5a〜8a,9b〜12bの有無(ON/OFF)を検出する。エレベータ制御装置30は、第1及び第2の検出センサ24a,24bからの情報に基づいて、かご4が上部及び下部のいずれかの終端階付近に位置されているかどうかを判定する。
【0015】
第3の検出センサ24cの移動経路には、その移動経路に沿って第3の作動片5c〜12cが配置されている。第3の作動片5c〜12cには、第1〜4の上部取付バー2a〜2dに取り付けられた第3の上部作動片5c〜8cと、第1〜4の下部取付バー3a〜3dに取り付けられた第3の下部作動片9c〜12cとが含まれている。第3の上部作動片5c〜8cと第3の下部作動片9c〜12cとは、後述する第3の検出センサ24cの検出エリアにかご4の昇降により相対的に進入する。
【0016】
第3の検出センサ24cとしては、静電容量センサが用いられる。第3の検出センサ24cは、検出エリアにおける静電容量を検出する。ここで、第3の作動片5c〜12cは、その誘電率εsが、空気の誘電率εaよりも大きい材質で形成されている。即ち、第3の検出センサ24cの検出エリアに第3の作動片5c〜12cが進入している状態では、進入されていない状態とは異なる静電容量が検出される。エレベータ制御装置30は、この静電容量の相違から、検出エリアでの第3の作動片5c〜12cの有無を検出することができる。
【0017】
それに加えて、第3の上部作動片5c〜8cは、それぞれ異なった4種類の形状(厚み・幅)で形成されている。なお、第3の下部作動片9c〜12cは、第3の上部作動片5c〜8cと同じ4種類の形状で形成されている。つまり、検出エリア内で占める体積が第3の上部作動片5c〜8c(第3の下部作動片9c〜12c)毎に異なるので、第3の上部作動片5c〜8c(第3の下部作動片9c〜12c)は、検出エリアに進入した状態で検出エリアの静電容量をそれぞれ異ならしめる。エレベータ制御装置30は、この静電容量の相違から、上部及び下部の終端階付近での詳細なかご4の位置を判定することができる。
【0018】
次に、図2は、図1の第3の検出センサ24cと第3の作動片5cとを示す平面図である。図において、第3の検出センサ24cには、第3の作動片5cが進入している凹部40が設けられている。また、第3の検出センサ24cには、上述した検出エリア41aを凹部40内に形成する内装凹形電極41が組み込まれている。
【0019】
次に、図3は、図2の第3の検出センサ24cを詳細に示す構成図である。図において、第3の検出センサ24cは、発振回路52と、検波回路(ローパスフィルタ)53と、増幅回路54と、判定回路55と、デジタル信号出力回路56とをさらに有している。
【0020】
内装凹形電極41は、検出エリア41aにおける静電容量の変化に応じて発振回路52に電力(電圧)を供給するコンデンサとして動作する。発振回路52に流入する電流は、第3の作動片5c〜12cが検出エリア41aに進入するにつれて増大するとともに、作動片5c〜12cが進入している状態で安定し、作動片5c〜12cが通過した後に進入前の値まで減少する。発振回路52に流入する電流が安定する所定値は、検出エリア41aに進入している状態の作動片5c〜12cの形状の種類によって異なる。発振回路52は、内装凹形電極41から供給される電流に基づいて発振する。検波回路53は、発振回路52の出力を整形する。増幅回路54は、入力された信号を所定の倍率で増幅する。
【0021】
判定回路55は、増幅回路54からの出力に基づいて、検出エリア41aでの作動片5c〜12cの有無を判定するとともに、どの形状の作動片5c〜12cが検出エリア41aに進入している状態であるかを判定する。具体的には、判定回路55は、作動片5c〜12cが進入した状態での増幅回路54からの出力が、予め設定されている複数の基準値レベルの中でどの基準値レベルに達しているかを判定し、どの形状の作動片5c〜12cが検出エリア41aに進入している状態であるかを判定する。
【0022】
デジタル信号出力回路56は、判定回路55の判定結果を、作動片5c〜12cの種類数を表現できる情報量のバイナリコード、例えば4ビットのバイナリコードにコード化し、そのバイナリコードをエレベータ制御装置30に送信する。デジタル信号出力回路56からエレベータ制御装置30に対して送信されるバイナリコードは、現在の検出エリア41aにおける静電容量が、予め設定された複数の静電容量の値の中でどの値に一致するかを示している。なお、第1及び第2の検出センサ24a,24bは、第1及び第2の作動片の有無(ON/OFF)の判定結果を1ビットのバイナリコードにコード化し、そのバイナリコードをエレベータ制御装置30に送信する。
【0023】
エレベータ制御装置30には、作動位置15U〜18U,15D〜18Dに対応した複数のバイナリコード(基準コード)が予め登録されている。その基準コードの情報量は、各検出センサ24a〜24cからの情報(検出コード)をまとめて表現することができる情報量、例えば16ビットである。エレベータ制御装置30は、検出コードを基準コードと照合し、検出コードに一致する基準コードがあれば、その基準コードに対応する場所にかご4が位置していると判定する。
【0024】
次に、動作について説明する。図4は、図1の上部終端階付近で第1〜3の検出センサ24a〜24cからエレベータ制御装置30に入力される情報を示す説明図である。図において、上部終端階付近、即ち第1〜4の上部作動位置15U〜18Uでは、第1の検出センサ24aは第1の作動片5a〜8aが有ること(ON)を検出し、第2の検出センサ24bは第2の作動片9b〜12bを検出しない(OFF)。また、第1〜4の作動位置15U〜18Uでは、第3の検出センサ24cは、検出エリア41aの静電容量に基づいて第3の上部作動片5c〜8cを検出する。エレベータ制御装置30は、これら第1〜3の検出センサ24a〜24cからの情報の組み合わせに基づいて、かご4が上部終端階付近のどの作動位置15U〜18Uに位置されているかを判定する。
【0025】
ここで、仮に第1の検出センサ24aが故障したとすると、エレベータ制御装置30は、第1の検出センサ24aからの情報を利用できない。しかしながら、第2の作動片9b〜12bが第2の検出センサ24bによって検出されずに、第3の上部作動片5c〜8cのいずれかが第3の検出センサ24cによって検出されることで、エレベータ制御装置30は、どの作動位置15U〜18Uにかご4が位置されているかを判定することができる。なお、第2の検出センサ24bが故障した場合も同様である。
【0026】
また、仮に第3の検出センサ24cが故障した場合にでも、第1の作動片5a〜8aが第1の検出センサ24aによって検出され、第2の作動片9b〜12bが第2の検出センサ24bによって検出されないことから、エレベータ制御装置30は、かご4が上部終端階付近に進入している状態であることを判定することができる。
【0027】
次に、図5は、図1の下部終端階付近で各検出センサ24a〜24cからエレベータ制御装置30に入力される情報を示す説明図である。下部終端階付近の場合でも上部終端階付近の場合と同様に、エレベータ制御装置30は、第1〜3の検出センサ24a〜24cからの情報の組み合わせに基づいて、かご4が下部終端階付近のどの作動位置15D〜18Dに位置されているかを判定する。また同様に、エレベータ制御装置30は、仮に第1及び第2の検出センサ24a,24bが故障したとしても、かご4の詳細な位置を判定することができ、仮に第3の検出センサ24cが故障したとしても、かご4が下部終端階付近に進入している状態であることを判定することができる。
【0028】
このようなエレベータのかご位置検出装置では、第3の作動片5c〜12cは、検出エリア41aに進入した状態での検出エリア41aの静電容量をそれぞれ異ならしめるようになっているので、エレベータ制御装置30は、検出エリア41aの静電容量の相違に基づいてかご4の位置を判定することができる。これによって、従来4箇所のかご位置を判定するために2列必要だった第3の検出センサ24c及び第3の作動片5c〜12cの列数を1列に減らすことができ、設置スペースをより縮小することができるとともに、より簡単に据え付けることができる。
【0029】
実施の形態2.
実施の形態1では、第3の作動片5c〜12cは、それぞれ異なる形状で形成されることで、検出エリア41aの静電容量をそれぞれ異ならしめるようにされていたが、それぞれ異なる材質で作動片が形成されても、検出エリア41aでの静電容量を異ならしめることができる。
【0030】
仮に、第1の異材質プレートの材質をm、第2の異材質プレートの材質をm、及び第3の異材質プレートの材質をmとし、第1の異材質プレートの誘電率をεm、第2の異材質プレートの誘電率をεm、第3の異材質プレートの誘電率をεmとする。そして、それら誘電率をε<εm<εm<εmとなるように材質を選択すれば、各異材質プレートはそれぞれ固有の誘電率を有することができる。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0031】
このように、互いに異なる材質で各異材質プレートを形成することでも、検出エリア41aの静電容量を異ならしめることができ、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0032】
実施の形態3.
実施の形態1では、第1及び第2の検出センサ24a,24bとして、磁気センサや光センサが用いられると説明したが、この実施の形態3では、第1及び第2の検出センサ24a,24bとして、第3の検出センサ24cと同様の静電容量センサを用いる。なお、第1及び第2の作動片5a〜8a,9b〜12bは、それぞれ同一形状及び同一材料で形成されている。また、第1及び第2の作動片5a〜8a,9b〜12bは、第3の作動片5c〜12cとは異なる形状又は材質で形成されている。即ち、作動片5a〜8a,9b〜12b,5c〜12cの形状(又は材質)の種類は5種類である。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0033】
次に、動作について説明する。図6は、この発明の実施の形態3による第1〜3の検出センサ24a〜24cからエレベータ制御装置30に対して上部終端階付近で入力される情報を示す説明図である。図において、例えば中間階等、検出エリア41aに作動片5a〜8a,9b〜12b,5c〜12cが進入されていない状態、即ち検出エリア41aに実質的に空気のみが進入されている状態では、第1〜3の検出センサ24a〜24cは静電容量Caを検出している。
【0034】
これに対して、上部終端階付近、即ち第1〜4の上部作動位置15U〜18Uでは、第1の検出センサ24aは静電容量Caとは異なる値の静電容量C5を検出し、第2の検出センサ24bは静電容量Caを検出している。即ち、第1の検出センサ24aは第1の作動片5a〜8aが有ることを検出し、第2の検出センサ24bは第2の作動片9b〜12bを検出しない。つまり、第1及び第2の検出センサ24a,24bとして静電容量センサを用いても、実施の形態1と同様の検出結果を得ることができる。また、図7に示すように、上部終端階付近と同様に下部終端階付近でも、実施の形態1と同様の検出結果を得ることができる。
【0035】
従来、磁気センサを隣接して配置する場合には磁気干渉を考慮して配置しなければならないという問題があり、光センサを隣接して配置する場合には乱反射を考慮して配置しなければならないという問題があった。これに対して、実施の形態3のようなエレベータのかご位置検出装置では、第1〜3の検出センサ24a〜24cに静電容量センサが用いられているので、磁気干渉や乱反射を考慮する必要をなくすことができ、より容易に据え付けることができる。また一般に、静電容量センサは、磁気センサや光センサに比べて寿命が長いので、信頼性の高い検出結果をより長い期間得ることができる。
【0036】
実施の形態4.
図8は、この発明の実施の形態4によるエレベータのかご位置検出装置を示す構成図である。実施の形態1では、検出センサ24a〜24c及び作動片5a〜8a,9b〜12b,5c〜12cの列数は3列であったが、この実施の形態4では、図8に示すように、検出センサ24d,24e及び作動片5a〜12aの列数は2列である。
【0037】
かご4には、取付台13を介して第1及び第2の検出センサ24d,24eが取り付けられている。第1の検出センサ24dは、第2の検出センサ24eと水平方向に並べて配置されている。つまり、第1の検出センサ24dは、第2の検出センサ24eと同じ高さに配置されている。なお、この実施の形態4の第1及び第2の検出センサ24d,24eの構成は、実施の形態1の第3の検出センサ24cの構成と同様である。
【0038】
ここで、実施の形態1では、4種類の形状で形成された第3の上部作動片5c〜8cと第3の下部作動片9c〜12cとは、第3の検出センサ24cの移動経路に沿って1列に配置されると説明したが、この実施の形態4では、4種類の形状で形成された第1の上部作動片5e〜8eと第1の下部作動片9e〜12eとは、互いに異なった列に配置されている。具体的には、第1の上部作動片5e〜8eは、第1の検出センサ24dの移動経路に沿って第1の検出センサ24dの移動経路に沿って第1〜4の上部作動位置15U〜18Dに配置され、第1の下部作動片9e〜12eは、第2の検出センサ24eの移動経路に沿って第1〜4の下部作動位置15D〜18Dに配置されている。つまり、上部終端部付近と下部終端部付近とでは、互いに異なる配置パターンで第1の作動片5e〜12eが配置されている。
【0039】
また、各作動位置15U〜18U,15D〜18Dには、それぞれ同一形状及び同一材料で形成されるとともに、第1の作動片5e〜12eとは異なる形状又は材質で形成されている第2の作動片5a〜12aが配置されている。つまり作動片5a〜12a,5e〜12eの形状(又は材質)の種類は5種類である。
【0040】
第2の作動片5a〜12aには、第2の上部作動片5a〜8aと第2の下部作動片9a〜12aとが含まれている。第2の上部作動片5a〜8aは、第2の検出センサ24eの移動経路に沿って第1〜4の上部作動位置15U〜18Uに配置されている。第2の下部作動片9a〜12aは、第1の検出センサ24dの移動経路に沿って第1〜4の下部作動位置15D〜18Dに配置されている。
【0041】
次に、動作について説明する。図9は、図8の上部終端階付近で第1及び第2の検出センサ24d,24eからエレベータ制御装置30に入力される情報を示す説明図である。図10は、図8の下部終端階付近で第1及び第2の検出センサ24d,24eからエレベータ制御装置30に入力される情報を示す説明図である。
【0042】
図において、上部終端階付近、即ち第1〜4の上部作動位置15U〜18Uでは、それぞれ異なる静電容量C1〜C4が第1の検出センサ24dによって検出されるのに対して、下部終端階付近、即ち第1〜4の下部作動位置15D〜18Dでは、静電容量C1〜C4が第2の検出センサ24eによって検出される。エレベータ制御装置30は、静電容量C1〜C4が、第1及び第2の検出センサ24d,24eのどちらによって検出されるかに基づいて、上部及び下部のどちらの終端階付近にかご4が位置されているかを判定するとともに、上部終端階付近及び下部終端階付近での詳細なかご4の位置を判定する。即ち、エレベータ制御装置30は、第1及び第2の検出センサ24d,24eのどちらによって静電容量C1〜C4が検出されるかに基づいて、第1の作動片5e〜12eの配置パターンを求め、その配置パターンと、検出された静電容量C1〜C4とに基づいて、かご4の位置を判定する。
【0043】
また、第1〜4の上部作動位置15U〜18Uでは、静電容量Ca,C1〜C4とは異なった静電容量C5が第2の検出センサ24eによって検出されるのに対して、下部終端階付近、即ち第1〜4の下部作動位置15D〜18Dでは、静電容量C5が第1の検出センサ24dによって検出される。エレベータ制御装置30は、静電容量C5が、第1及び第2の検出センサ24d,24eのどちらによって検出されるかに基づいて、上部及び下部のいずれの終端階付近にかご4が進入されている状態であるかを判定する。つまり、仮に第1及び第2の検出センサ24d,24eのいずれか一方が故障したとしても、他方の検出センサ24d,24eによって静電容量C5が検出されるので、エレベータ制御装置30は、上部及び下部のどちらの終端階付近にかご4が進入されている状態かを判定できる。
【0044】
次に、第1及び第2の検出センサ24d,24eが水平配置されることの作用について説明する。図11は、図8の第1及び第2の検出センサ24d,24eが千鳥配置されている状態を示す正面図であり、比較対象となる説明図である。図12は、図8の第1及び第2の検出センサ24d,24eが水平配置されている状態を示す正面図である。
【0045】
ここで、かご位置判定の精度を高くするためには、第1及び第2の検出センサ24d,24eの検出結果を確認できる時間が長い方が良いので、第1及び第2の検出センサ24d,24eが同時に検出することができる作動片5a〜12a,5e〜12eの有効検出範囲60が、かご4の昇降方向に長いほど良い。
【0046】
図11に示すように、第1及び第2の検出センサ24d,24eが千鳥配置されている場合には、有効検出範囲60は、作動片5a〜12a,5e〜12eの全長にはならない。これに対して、図12に示すように、第1及び第2の検出センサ24d,24eが同じ高さに配置されている場合には、有効検出範囲60は作動片5a〜12a,5e〜12eの全長となる。
【0047】
このようなエレベータのかご位置検出装置では、第1の作動片5e〜12eは、上部終端部付近と下部終端部付近と互いに異なる配置パターンで配置され、エレベータ制御装置30は、第1及び第2の検出センサ24d,24eのどちらによって静電容量C1〜C4が検出されるかに基づいて、第1の作動片5e〜12eの配置パターンを求め、その配置パターンと検出された静電容量C1〜C4とに基づいてかご4の位置を判定するので、実施の形態1よりも作動片5a〜12a,5e〜12e及び検出センサ24d,24eの列数を減らすことができ、設置スペースをさらに縮小することができ、より簡単に据え付けることができる。
【0048】
また、第1及び第2の検出センサ24d,24eが水平配置されているので、それらが千鳥配置されている場合に比べて、作動片5a〜12a,5e〜12eの有効検出範囲60をかご4の昇降方向に長くすることができ、かご位置判定の精度をより高めることができる。また、第1及び第2の検出センサ24d,24eが千鳥配置されている場合のかご位置判定の精度を保ったまま、作動片5a〜12a,5e〜12eの長さを短くすることができ、作動片5a〜12a,5e〜12eをより軽くすることができ、据付作業をより簡単にすることができる。
【0049】
なお、実施の形態4では、4種類の形状の作動片5e〜12eが上部終端階付近と下部終端階付近とにそれぞれ配置されていると説明したが、数種類の材質でそれぞれ形成された作動片が上部終端階付近と下部終端階付近とにそれぞれ配置されてもよい。
【0050】
実施の形態5.
図13は、この発明の実施の形態5による第1及び第2の検出センサ24d,24eを示す正面図である。図において、第1及び第2の検出センサ24d,24eは、昇降路1の高さ方向に互いにずらされて配置されている。また、第1及び第2の検出センサ24d,24eは、それらを昇降路1の高さ方向に沿って見たときに互いの一部が重なるように配置されている。その他の構成は、実施の形態4と同様である。
【0051】
このようなエレベータのかご位置検出装置では、第1及び第2の検出センサ24d,24eは、それらを昇降路1の高さ方向に沿って見たときに互いの一部が重なるように配置されているので、第1及び第2の検出センサ24d,24e及び作動片5a〜12a,5e〜12eの設置スペースをさらに縮小することができる。
【0052】
実施の形態6.
図14は、この発明の実施の形態6による検出センサ24fを示す構成図である。実施の形態1の第3の検出センサ24cの電極は内装凹形電極41であったが、この実施の形態の検出センサ24fの電極は、図14に示すように、互いに所定の間隔を置いて互いに対向して配置されるとともに、その対向している間の空問に検出エリア58aを形成する一対の内装平行平板形電極58である。
【0053】
内装平行平板形電極58と各作動片5c〜12cとは、それらを昇降路1の高さ方向に沿って見たときに各作動片5c〜12cの先端が検出エリア58aから突出するように配置されている。換言すると、凹部40の深さ方向における内装平行平板形電極58の幅は、各作動片5c〜12cの先端が検出エリア58aよりも凹部40の底部40a側に位置する程度に狭小されている。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0054】
このようなエレベータのかご位置検出装置では、内装平行平板形電極58と各作動片5c〜12cとは、それらを昇降路1の高さ方向に沿って見たときに各作動片5c〜12cの先端が検出エリア58aから突出するように配置されているので、作動片5c〜12cの凹部40に対する進入の深さが、凹部40の深さ全長に対して浅くても、検出センサ24fは作動片5c〜12c固有の静電容量の値を検出することができる。
【0055】
なお、実施の形態1〜6では、各作動片5c〜12c,8e〜12eの厚み及び材質のいずれか一方のみを変えるように説明したが、形状及び材質の両方をそれぞれ異なるようにしてよい。
【0056】
さらに、実施の形態1〜6では、エレベータ制御装置30はコンピュータであると説明したが、かご位置判定部はアナログ情報処理回路でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】この発明の実施の形態1によるエレベータのかご位置検出装置を示す構成図である。
【図2】図1の第3の検出センサと第3の作動片とを示す平面図である。
【図3】図2の第3の検出センサを詳細に示す構成図である。
【図4】図1の上部終端階付近で第1〜3の検出センサからエレベータ制御装置に入力される情報を示す説明図である。
【図5】図1の下部終端階付近で各検出センサからエレベータ制御装置に入力される情報を示す説明図である。
【図6】この発明の実施の形態3による第1〜3の検出センサからエレベータ制御装置に対して上部終端階付近で入力される情報を示す説明図である。
【図7】この発明の実施の形態3による第1〜3の検出センサからエレベータ制御装置に対して下部終端階付近で入力される情報を示す説明図である。
【図8】この発明の実施の形態4によるエレベータのかご位置検出装置を示す構成図である。
【図9】図8の上部終端階付近で第1及び第2の検出センサからエレベータ制御装置に入力される情報を示す説明図である。
【図10】図8の下部終端階付近で第1及び第2の検出センサからエレベータ制御装置に入力される情報を示す説明図である。
【図11】図8の第1及び第2の検出センサが千鳥配置されている状態を示す正面図である。
【図12】図8の第1及び第2の検出センサが水平配置されている状態を示す正面図である。
【図13】この発明の実施の形態5による第1及び第2の検出センサを示す正面図である。
【図14】この発明の実施の形態6による検出センサを示す構成図である。
【符号の説明】
【0058】
1 昇降路、4 かご、5a〜12a,8b〜12b,5c〜12c,5e〜12e 作動片、24a〜24f 検出センサ、29 検出器、30 エレベータ制御装置(かご位置判定部)、41a,58a 検出エリア、58 内装平行平板形電極。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
かごに搭載され、検出エリアにおける静電容量を検出する検出センサを有する検出器、
昇降路の高さ方向に互いに間隔をおいて配置され、上記かごの昇降により上記検出エリアに相対的に進入する複数の作動片、
上記検出センサからの情報に基づいて上記かごの位置を判定するかご位置判定部
を備え、
上記各作動片は、上記検出エリアに進入した状態での上記検出エリアの上記静電容量をそれぞれ異ならしめるようになっていることを特徴とするエレベータのかご位置検出装置。
【請求項2】
上記作動片は、それぞれ異なる形状で形成されていることを特徴とする請求項1記載のエレベータのかご位置検出装置。
【請求項3】
上記作動片は、それぞれ異なる材質で形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエレベータのかご位置検出装置。
【請求項4】
上記作動片は、上記昇降路の高さ方向に離れた位置毎に異なる配置パターンで配置されており、
上記かご位置判定部は、上記検出センサからの情報に基づいて上記かごの現在位置での上記作動片の配置パターンを求め、その配置パターンと上記検出エリアの上記静電容量とに基づいて上記かごの位置を判定することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のエレベータのかご位置検出装置。
【請求項5】
上記検出センサは、第1の検出センサと、上記第1の検出センサと同じ高さに配置された第2の検出センサとを含むことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のエレベータのかご位置検出装置。
【請求項6】
上記検出センサは、上記昇降路の高さ方向に互いにずらされて配置され、かつそれらを上記昇降路の高さ方向に沿って見たときに互いの一部が重なるように配置されている第1及び第2の検出センサを有していることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のエレベータのかご位置検出装置。
【請求項7】
上記検出センサは、互いに所定の間隔を置いて対向して配置されるとともに、その対向している間の空間に上記検出エリアを形成する一対の平行平板形電極を有しており、
上記平行平板形電極と上記作動片とは、それらを上記昇降路の高さ方向に沿って見たときに上記作動片の先端が上記検出エリアから突出するように配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載のエレベータのかご位置検出装置。
【請求項8】
かごに搭載され、それぞれの検出エリアにおける静電容量を検出する第1及び第2の検出センサを有する検出器、
昇降路の高さ方向に互いに間隔を置いて配置され、上記かごの昇降により上記検出エリアに相対的に進入される複数の作動片、及び
上記第1及び第2の検出センサからの情報に基づいて上記かごの位置を検出するかご位置判定部
を備え、
上記第1及び第2の検出センサは、互いに同じ高さに配置されていることを特徴とするエレベータのかご位置検出装置。
【請求項9】
かごに搭載され、検出エリアにおける静電容量を検出する検出センサを有する検出器、
昇降路の高さ方向に互いに間隔を置いて配置され、上記かごの昇降により上記検出エリアに相対的に進入する作動片、及び
上記検出センサからの情報に基づいて上記かごの位置を判定するかご位置判定部
を備え、
上記検出センサは、互いに所定の間隔を置いて対向して配置されるとともに、その対向している間の空間に上記検出エリアを形成する一対の平行平板形電極を有し、
上記平行平板形電極と上記作動片とは、それらを上記昇降路の高さ方向に沿って見たときに上記作動片の先端が上記検出エリアから突出するように配置されていることを特徴とするエレベータのかご位置検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−108142(P2007−108142A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−302022(P2005−302022)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】