説明

エレベータの防犯装置及び群管理エレベータの防犯装置

【課題】カメラを操作する権原を有しない人物がカメラを操作した場合にのみ、カメラが異常操作されたと判定するようにする。
【解決手段】エレベータの防犯装置において、エレベータの乗りかご1内に設置され、乗りかご1内の映像を撮影し、撮影した映像を記録する記録媒体8を着脱可能に内蔵するカメラ3と、記録媒体8をカメラ3から取外す際に開放されるカバー9が開放されたことを検出するカバー開放検出部10と、カバー9を開放した人物がカメラ3を操作する権原を有する人物であることを認証する人物認証部4と、人物認証部4で認証されない人物によってカバー9が開放された場合にカメラ3が異常操作されたと判定する異常操作判定部11と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータの防犯装置及び群管理エレベータの防犯装置に関し、特に、着脱可能な記録媒体を備えたカメラを乗りかご内に設置したエレベータの防犯装置及び群管理エレベータの防犯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗りかご内の適宜な箇所にカメラを取り付け、乗りかごの上部に記録装置を設置し、カメラで撮影した乗りかご内の映像を当該記録装置に記録するようにしたエレベータの防犯装置が知られている。
【0003】
また、近年では、カメラに記録媒体を着脱可能に取付け、カメラで撮影した乗りかご内の映像を当該記録媒体に記録するようにしたエレベータの防犯装置が普及している。
【0004】
記録媒体がカメラに着脱可能に取付けられていると、撮影した映像を再生する場合には当該記録媒体をカメラから取外せばよく、従来のように、撮影した映像を再生するために乗りかごの上部に上がる必要がなく、撮影した映像を再生する際の手間と時間とを大幅に軽減することができる。しかも、カメラからの記録媒体の取外しは、専門のエレベータ保守員に頼らず、当該エレベータが設置されている建物の管理人などでも容易に行なうことができる。
【0005】
このような乗りかご内に設置されたカメラに対して悪戯が行なわれる場合があり、そのような悪戯に対処することが可能なエレベータの防犯装置の一例が下記特許文献1に記載されている。下記特許文献1に記載されたエレベータの防犯装置によれば、乗りかご内に設けたカメラが操作された場合にカメラ異常を検出する検出部を設け、検出部がカメラ異常を検出した場合には乗りかごのドアを閉止状態とし、カメラ異常の原因となる操作、例えば、カメラに対する悪戯をした人物を乗りかご内に閉じ込めるようにしている。
【特許文献1】特開2004−51269号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたエレベータの防犯装置によれば、カメラを操作した人物が、どのような人物であるかについては言及していない。このため、管理人等が記録媒体の交換や撮影映像の再生のためにカメラから記録媒体を取外そうとした場合において、検出部がカメラ異常が発生したと誤検出し、管理人等が乗りかご内に閉じ込められることが起こりえる。したがって、記録媒体が着脱可能に取付けられた形式のカメラを乗りかご内に設置している場合には、特許文献1に記載されたエレベータの防犯装置を適用することが困難である。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、その目的は、カメラを操作する権原を有しない人物がカメラを操作した場合にのみ、カメラが異常操作されたと判定することができるエレベータの防犯装置及び群管理エレベータの防犯装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施の形態に係る第1の特徴は、エレベータの防犯装置において、エレベータの乗りかご内に設置され、前記乗りかご内の映像を撮影し、撮影した映像を記録する記録媒体を着脱可能に内蔵するカメラと、前記記録媒体を前記カメラから取外す際に開放されるカバーが開放されたことを検出するカバー開放検出部と、前記カバーを開放した人物が前記カメラを操作する権原を有する人物であることを認証する人物認証部と、前記人物認証部で認証されない人物によって前記カバーが開放された場合に前記カメラが異常操作されたと判定する異常操作判定部と、を備えることである。
【0009】
本発明の実施の形態に係る第2の特徴は、群管理エレベータの防犯装置において、群管理される複数のエレベータのそれぞれに設けられる請求項1記載のエレベータの防犯装置と、前記異常操作判定部により前記カメラが異常操作されたと判定された場合、前記カメラが設置された前記乗りかごのかごドアを閉止状態に維持して前記乗りかごを閉じ込め制御する閉じ込め制御部と、前記閉じ込め制御部により閉じ込め制御された前記乗りかごに割り当てられているホール呼びをキャンセルし、キャンセルした前記ホール呼びの割り当てを他の乗りかごに変更する割り当て変更部と、を備えることである。
【0010】
本発明の実施の形態に係る第3の特徴は、群管理エレベータの防犯装置において、群管理される複数のエレベータのそれぞれに設けられる請求項1記載のエレベータの防犯装置と、前記異常操作判定部により前記カメラが異常操作されたと判定された場合、前記カメラが設置された前記乗りかごのかごドアを閉止状態に維持して前記乗りかごを閉じ込め制御する閉じ込め制御部と、前記閉じ込め制御部により閉じ込め制御された前記乗りかごが停止している階床に向けて警備担当者が乗車した他の乗りかごを直行させるパトカー運転制御部と、を備えることである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、カメラを操作する権原を有しない人物、例えば、カメラに悪戯をする人物や犯罪者等がカメラを操作した場合にのみ、カメラが異常操作されたと判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0013】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係るエレベータの防犯装置について、図1ないし図3に基づいて説明する。
【0014】
図1は、エレベータの乗りかご1を示す模式図である。乗りかご1には、開閉可能なかごドア2と、乗りかご1内を撮影するカメラ3と、カメラ3を操作する人物がカメラ3を操作する権原を有する人物であることを認証する人物認証部である暗証番号入力部4とが設けられている。カメラ3は乗りかご1内の天井の近傍に設けられ、乗りかご1内及びかごドア2から出入するエレベータ利用者を撮影可能となる向きに向けられている。暗証番号入力部4は、乗りかご1の側面に設けられている。
【0015】
図2は、エレベータの防犯装置の構成を示すブロック図である。エレベータは、乗りかご1とエレベータの動作を制御するエレベータ制御装置5とを備え、乗りかご1には上述したカメラ3と暗証番号入力部4とかごドア2とが設けられている。
【0016】
カメラ3には、映像撮影部6と、映像記録部7とが設けられている。映像記録部7には記録媒体8が着脱可能に取付けられ、映像撮影部6により撮影された映像が記録媒体8に記録される。
【0017】
さらに、カメラ3には、少なくとも映像記録部7の記録媒体挿入口(図示せず)を覆い、映像記録部7に記録媒体8を着脱する際に開閉されるカバー9と、カバー9が開放されたことを検出するカバー開放検出部10とが設けられている。
【0018】
暗証番号入力部4は、テンキーを備えた入力装置であり、保守員や管理人等がカメラ3を操作して記録媒体8を着脱する場合に、定められたキーを押すことによりカメラ3を操作する権原を有する人物であることの認証を受けることができる。なお、この実施の形態では、人物認証部として専用の暗証番号入力部4を設けているが、かご内操作盤(図示せず)の行先階ボタンを使って暗証番号を入力し、認証を行うように構成してもよい。
【0019】
エレベータ制御装置5には、乗りかご1の昇降動作等を制御する主制御部(図示せず)と、異常操作判定部11と、閉じ込め制御部12とが設けられている。
【0020】
異常操作判定部11には、カバー開放検出部10と暗証番号入力部4とが接続され、これらのカバー開放検出部10からの検出信号と暗証番号入力部4からの認証信号とにより、カメラ3が異常操作されたか否かを判定する。カメラ3が異常操作された場合とは、カバー9が開放され、かつ、カバー9が開放される前の設定時間以内に暗証番号入力部4から異常操作判定部11に対して認証信号が入力されていない場合である。
【0021】
なお、本実施の形態では異常操作判定部11をエレベータ制御装置5に設置しているが、この異常操作判定部11をカメラ3内に設け、その判定結果をエレベータ制御装置に5に出力するようにしてもよい。
【0022】
閉じ込め制御部12は、異常操作判定部11によりカメラ3が異常操作されたと判定された場合に、かごドア2を閉止状態に維持し、カメラ3を操作する権原がないにも係わらずカメラ3を異常操作した人物を乗りかご1内に閉じ込める閉じ込め制御を行う。
【0023】
図3は、カメラ3のカバー9が開放された場合におけるエレベータの防犯装置の制御について説明するフローチャートである。
【0024】
このエレベータの防犯装置の制御においては、まず、カメラ3のカバー9が開放されたか否かが判定される(S1)。カバー9が開放されたことの判定は、カバー9が開放されたことを検出したカバー開放検出部10からの検出信号が異常操作判定部11に入力されることにより行われる。カバー9の開放は、保守員や管理人等のようにカメラ3を操作する権原を有する人物が記録媒体8を交換する場合や、又は、カメラ3に対すめ悪戯を行ったり犯罪者が犯罪の発覚を防止するために記録媒体8を持ち去ろうとする場合等に行なわれる。
【0025】
カバー9が開放された場合には(S1のYES)、そのカバー9の開放が、暗証番号入力部4での認証が行われてから設定時間以内に行なわれたものであるか否かが判定される(S2)。なお、暗証番号入力部4での認証は、暗証番号入力部4に正しい暗証番号が入力されることにより行われ、暗証番号入力部4での認証が行われた場合には、認証信号が異常操作判定部11に入力される。暗証番号入力部4に暗証番号が入力されない場合や、誤った暗証番号が入力された場合には、異常操作判定部11に対して認証信号は入力されない。
【0026】
カバー9の開放が、暗証番号入力部4での認証が行われてから設定時間以内に行われた場合には(S2のYES)、カバー9を開放した人物はカメラ3を操作する権原を有する保守員や管理人等であると判定され、カメラ3は異常操作されていないとしてエレベータの防犯装置による一連の制御が終了する。なお、設定時間以内であるか否かの判定は、異常操作判定部11内に設けられているタイマ13を利用して行なわれる。
【0027】
一方、カバー9の開放が、暗証番号入力部4での認証が行われてから設定時間以内に行なわれたものでないと判定された場合には(S2のNO)、異常操作判定部11においてカメラ3が異常操作されたと判定され(S3)、閉じ込め制御部12により乗りかご1のかごドア2を閉止状態に維持する「閉じ込め制御」が行われる(S4)。
【0028】
閉じ込め制御が行われた乗りかご1は、カメラ3に対する異常操作が行われたと判定された後に停止可能な最寄の階床に停止され、その階床で停止状態に維持される。この閉じ込め制御が行われることにより、乗りかご1内でカメラ3を異常操作した人物は乗りかご2内に閉じ込められ、カメラ3が異常操作された場合におけるエレベータの防犯装置の一連の制御が終了する。
【0029】
このような構成において、第1の実施の形態によれば、カバー9の開放を伴うカメラ3の操作をした人物が、カメラ3を操作する権原を有しない人物である場合、例えば、カメラ3に対して悪戯をする人物や犯罪の発覚を防止するためにカメラ3の記録媒体8を持ち去ろうとする人物である場合には、暗証番号入力部4から異常操作判定部11への認証信号の入力を行っていないため、異常操作判定部11においてカメラ3が異常操作されたと判定され、その人物に対する乗りかご1内への閉じ込め制御が行われる。
【0030】
したがって、このエレベータの防犯装置を用いることにより、カメラ3に対して悪戯をした人物や犯罪の発覚を防止するためにカメラ3の記録媒体8を持ち去ろうとした人物を乗りかご1内に閉じ込め、確実に捕らえることができる。
【0031】
一方、カバー9の開放を伴うカメラ3の操作をした人物が、カメラ3を操作する権原を有する人物である場合、例えば、保守員や管理人等であって暗証番号入力部4から異常操作判定部11へ認証信号の入力を行っている場合には、カメラ3が異常操作されたとは判定されず、その人物に対する乗りかご1内への閉じ込め制御は行われない。このため、管理人等が必要に応じてカバー9を開放して記録媒体8の着脱を行なうことができるとともにエレベータの運行をスムーズに継続することができる。
【0032】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係るエレベータの防犯装置について、図4ないし図6に基づいて説明する。なお、第2の実施の形態及び以下に説明する他の実施の形態において、先行して説明した実施の形態の構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0033】
図4は、エレベータの防犯装置の構成を示すブロック図である。エレベータは、乗りかご1とエレベータの動作を制御するエレベータ制御装置5Aとを備え、乗りかご1には、乗りかご1内を撮影するカメラ3Aと、暗証番号入力部4と、かごドア2とが設けられている。
【0034】
カメラ3Aには、図5に示すように、第1の実施の形態で説明した映像撮影部6と、映像記録部7と、カバー9と、カバー開放検出部10とに加え、第2記録部14と、記録保護部15と、記録場所選択部16とが設けられている。
【0035】
第2記録部14は、カメラ3Aに対して非着脱式に取付けられた記録部であり、必要に応じて、既に記録媒体8に記録されている映像がバックアップされ、又は、映像撮影部6により撮影された映像が記録される。
【0036】
記録保護部15は、異常操作判定部11によりカメラ3Aが異常操作されたと判定された場合に、記録媒体8に記録されている映像を第2記録部14にバックアップする。
【0037】
記録場所選択部16は、映像撮影部6で撮影した映像を映像記録部7の記録媒体8に記録するか、又は、第2記録部14に記録するかを選択する。具体的には、異常操作判定部11によりカメラ3Aが異常操作されたと判定される前は記録媒体8に記録し、異常操作判定部11によりカメラ3Aが異常操作されたと判定された後に、記録先を記録媒体8から第2記録部14に変更する。
【0038】
エレベータ制御装置5Aには、第1の実施の形態で説明した異常操作判定部11と、閉じ込め制御部12とに加え、乗りかご移動制御部17と、報知部18とが設けられている。
【0039】
乗りかご移動制御部17は、閉じ込め制御部12により閉じ込め制御された乗りかご1を、予め設定された階床に強制的に移動させる。予め設定された階床をどこに設定するかは任意であるが、例えば、管理人などが駐在する防災センタ19のある階床に設定することが好適である。乗りかご1が強制的に移動される階床におけるホールドアの近傍には、乗りかご1の閉じ込め制御を解除する閉じ込め制御解除部である閉じ込め解除スイッチ20が設置されている。この閉じ込め解除スイッチ20は、エレベータ制御装置5Aの閉じ込め制御部12に接続されている。
【0040】
報知部18は、異常操作判定部11によりカメラ3Aが異常操作されたと判定された場合に、その判定結果を防災センタ19等の外部に報知する。
【0041】
図6は、カメラ3のカバー9が開放された場合におけるエレベータの防犯装置の制御について説明するフローチャートである。
【0042】
このエレベータの防犯装置の制御においては、まず、カメラ3のカバー9が開放されたか否かが判定される(S1)。
【0043】
カバー9が開放された場合には(S1のYES)、そのカバー9の開放が、暗証番号入力部4での認証が行われてから設定時間以内に行なわれたものであるか否かが判定される(S2)。
【0044】
カバー9の開放が、暗証番号入力部4での認証が行われてから設定時間以内に行われた場合には(S2のYES)、カバー9を開放した人物はカメラ3を操作する権原を有する保守員や管理人等であると判定され、カメラ3は異常操作されていないと判定されてエレベータの防犯装置による一連の制御が終了する。
【0045】
一方、カバー9の開放が、暗証番号入力部4での認証が行われてから設定時間以内に行なわれたものでないと判定された場合には(S2のNO)、異常操作判定部11においてカメラ3が異常操作されたと判定され(S3)、閉じ込め制御部12により乗りかご1のかごドア2を閉止状態に維持する「閉じ込め制御」が行われる(S4)。
【0046】
さらに、閉じ込め制御された乗りかご1が乗りかご移動制御部17により防災センタ19の有る階床に強制的に移動され(S11)、報知部18により防災センタ19に対してカメラ3が異常操作された旨が報知される(S12)。
【0047】
さらに、記録保護部15により、記録媒体8に記録されている映像が第2記録部14にバックアップされる(S13)。また、カメラ3の異常操作が発生した後に映像撮影部6で撮影された映像の記録先が、記録場所選択部16により記録媒体8から第2記録部14に変更される(S14)。なお、ステップS11における乗りかご1の強制移動と、ステップS13のバックアップとに関しては、乗りかご1の強制移動を先に行なうようにしてもよい。
【0048】
その後、乗りかご1が強制移動が終了したか否かが判定される(S15)。乗りかご1の強制移動が終了して乗りかご1が防災センタ19の階床に到着した場合には(S15のYES)、閉じ込め解除スイッチ20が操作されたか否かが判定される(S16)。閉じ込め解除スイッチ20が操作された場合には(S16のYES)、乗りかご1の閉じ込め制御が解除される(S17)。これにより、カメラ3が異常操作された場合におけるエレベータの防犯装置の一連の制御が終了する。なお、乗りかご1の閉じ込め制御が解除されることにより乗りかご1のかごドア2を開放することができ、かごドア2を開放して乗りかご1内に閉じ込められていた人物を捕らえることができる。
【0049】
このような構成において、カメラ3Aが異常操作された乗りかご1を閉じ込め制御し、その乗りかご1を強制的に予め設定された階床、例えば、防災センタ19のある階床に移動させることにより、カメラ3Aを異常操作したために乗りかご1内に閉じ込められた人物を確実に捕らえることができる。
【0050】
また、報知部18を設けたことにより、カメラ3Aが異常操作されたことを外部の防災センタ19等に速やかに知らせることができ、カメラ3Aを異常操作した人物を捕らえるための対策を迅速にとることができる。
【0051】
また、乗りかご1の閉じ込め制御を解除する解除スイッチ20を設けたことにより、カメラ3Aを異常操作した人物を捕らえるための最適なタイミングで閉止されていたかごドア2を開放することができ、乗りかご1内に閉じ込められていた人物を確実に捕らえることができる。
【0052】
カメラ3Aには記録保護部15が設けられ、カメラ3Aが異常操作された場合には記録媒体8に記録されていた映像が非着脱式の第2記録部14によりバックアップされるため、記録媒体8が盗難、破棄された場合でも、記録媒体8に記録されていた映像を再生することが可能となり、犯罪者の逮捕等に役立てることができる。
【0053】
また、カメラ3Aには記録場所選択部16が設けられ、カメラ3Aの異常操作が発生した後には映像撮影部6で撮影された映像が第2記録部14に記録されるため、記録媒体8が取外された後に映像撮影部6で撮影した映像についても確実に記録することができ、犯罪者の逮捕等に役立てることができる。
【0054】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態に係る群管理エレベータの防犯装置について、図7ないし図9に基づいて説明する。
【0055】
図7は、群管理エレベータの防犯装置の構成を示すブロック図である。この群管理エレベータは、複数台のエレベータの運行状況を監視して群管理制御を行う群管理制御装置21と、各々のエレベータの動作を個別に制御する複数台のエレベータ制御装置5Aと、各々のエレベータ制御装置5Aに対応して設けられた複数台の乗りかご1とを備えている。
【0056】
各乗りかご1には、カメラ3と、人物認証部である指紋認証部22と、かごドア2とが設けられ、カメラ3にはカバー開放検出部10が設けられている。指紋認証部22は、人物の指紋を読み取り、その読み取り結果に基づいて人物の認証を行なう。
【0057】
エレベータ制御装置5Aには、異常操作判定部11と、閉じ込め制御部12と、報知部18とが設けられ、閉じ込め制御部12には乗りかご移動制御部17が設けられている。乗りかご移動制御部17は、閉じ込め制御部12により閉じ込め制御された乗りかご1を、予め設定された階床に強制的に移動させるものであり、この第3の実施の形態では、防災センタ19が設けられている階床以外の階床(例えば、最上階の階床)に強制的に移動させるように設定されているものとする。
【0058】
群管理制御装置21は、各階床のエレベータホールに設けられたホール呼びボタン23を押すことによって登録された新規のホール呼びに対して、各乗りかご1の運行状況を基に適切な乗りかご1を対応させる割り当て制御部24と、各乗りかご1の運行を制御する運行制御部25とを備えている。
【0059】
割り当て制御部24は、閉じ込め制御部12により取り込め制御された乗りかご1が発生した場合、その乗りかご1に割り当てられているホール呼びをキャンセルして他の乗りかご1に割り当ての変更を行う割り当て変更部26を備えている。
【0060】
また、運行制御部25は、閉じ込め制御部12により閉じ込め制御された乗りかご1が発生した場合、その乗りかご1が停止している階床に向けて警備担当者である警備員等が乗車した他の乗りかご1を直行させるパトカー運転制御部27を備えている。
【0061】
このような構成において、この第3の実施の形態では、カメラ3を操作する権原を有する管理人等がカメラ3を操作する場合には、指紋認証部22に指を触れることにより認証を行なう。この認証を行なうことにより、カバー9の開放を伴うカメラ3の操作を行っても、カメラ3が異常操作されたとは判定されず、閉じ込め制御部12による乗りかご1の閉じ込め制御は行われない。指紋認証部22による人物の認証は、認証のための操作を手間をかけず短時間で行うことができ、操作の間違いによる閉じ込め制御を防止することができる。しかも、カメラ3を操作する権原を有する人物のみを確実に認証することができる。
【0062】
一方、或る乗りかご1において指紋認証部22での認証を行わない人物がカバー9の開放を伴うカメラ3の操作を行うと、異常操作判定部11においてカメラ3が異常操作されたと判定され、閉じ込め制御部12により当該乗りかご1の閉じ込め制御が行われ、閉じ込め制御された乗りかごが乗りかご移動制御部17により予め設定された階床に強制的に移動される。
【0063】
以下、閉じ込め制御部12により乗りかご1の「閉じ込め制御」が行われた場合の群管理制御装置21による制御について図9のフローチャートに基づいて説明する。
【0064】
群管理制御装置21では、閉じ込め制御部12による閉じ込め制御が発生したか否かを常時監視している(S21)。
【0065】
或る乗りかご1において閉じ込め制御が発生した場合には(S21のYES)、割り当て変更部26により、閉じ込め制御が発生した乗りかご1に割り当てられているホール呼びがキャンセルされ、キャンセルされたホール呼びの割り当てが他の乗りかご1に変更される(S22)。
【0066】
ついで、パトカー運転制御部27によるパトカー運転制御が行われる(S23)。このパトカー運転制御では、閉じ込め制御が発生した乗りかご1以外の乗りかご1に中から最も早く防災センタ19のある階床に応答できる乗りかご1が選定され、選定された乗りかご1が防災センタ19のある階床で戸開待機される。戸開待機中は、エレベータ利用者が乗りかご1内に乗り込まないようにアナウンスされ、行先階ボタンには応答しないようになる。防災センタ19には報知部18により閉じ込め制御が発生したことが報知されており、警備員が戸開待機中の乗りかご1に乗り込んで指紋認証部22で認証を行うと、戸開待機していた乗りかご1のかごドア2が閉じ、閉じ込め制御された乗りかご1が停止している階床に向けて直行運転される。
【0067】
このような構成において、この群管理エレベータの防犯装置によれば、割り当て変更部26が設けられているので、いずれかの乗りかご1で閉じ込め制御が発生した場合には、閉じ込め制御が発生した乗りかご1に割り当てられていたホール呼びが他の乗りかご1に変更されるので、閉じ込め制御が発生した場合でもエレベータ利用者に対するサービスの低下を防止することができる。
【0068】
さらに、パトカー運転制御部27が設けられているので、閉じ込め制御が発生した乗りかご1が停止している階床に警備員を急行させることができ、閉じ込め制御された人物を迅速に捕らえることが可能となる。
【0069】
なお、本実施の形態においては、人物認証部として指紋認証部22を例に挙げて説明したが、この人物認証部としては、人物の身体的特徴又は人物が携帯する認証部材を読み取ることが可能なものを使用することができる。例えば、人物の虹彩を読み取って人物を認証する虹彩認証部や、手の血管を読み取って人物を認証する血管認証部や、管理人等が携帯するIDカード等を読み取ることにより人物を認証するカードリーダ等を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るエレベータの防犯装置が適用される乗りかごの構造を示す模式図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るエレベータの防犯装置の構成を示すブロック図である。
【図3】カメラのカバーが開放された場合におけるエレベータの防犯装置の制御について説明するフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るエレベータの防犯装置の構成を示すブロック図である。
【図5】カメラの構成を示すブロック図である。
【図6】カメラのカバーが開放された場合におけるエレベータの防犯装置の制御について説明するフローチャートである。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る群管理エレベータの防犯装置の全体構成を示すブロック図である。
【図8】乗りかごとエレベータ制御装置との構成を示すブロック図である。
【図9】閉じ込め制御部により乗りかごの閉じ込め制御が行われた場合の群管理制御装置による制御について説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0071】
1 乗りかご
2 かごドア
3、3A カメラ
4 暗証番号入力部(人物認証部)
8 記録媒体
9 カバー
10 カバー開放検出部
11 異常操作判定部
12 閉じ込め制御部
14 第2記録部
15 記録保護部
16 記録場所変更部
17 乗りかご移動制御部
18 報知部
20 閉じ込め制御解除部
22 指紋認証部(人物認証部)
26 割り当て変更部
27 パトカー運転制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの乗りかご内に設置され、前記乗りかご内の映像を撮影し、撮影した映像を記録する記録媒体を着脱可能に内蔵するカメラと、
前記記録媒体を前記カメラから取外す際に開放されるカバーが開放されたことを検出するカバー開放検出部と、
前記カバーを開放した人物が前記カメラを操作する権原を有する人物であることを認証する人物認証部と、
前記人物認証部で認証されない人物によって前記カバーが開放された場合に前記カメラが異常操作されたと判定する異常操作判定部と、
を備えることを特徴とするエレベータの防犯装置。
【請求項2】
前記人物認証部は、人物の身体的特徴又は人物が携帯する認証部材を読み取ることにより人物を認証することを特徴とする請求項1記載のエレベータの防犯装置。
【請求項3】
前記異常操作判定部により前記カメラが異常操作されたと判定された場合、前記カメラが設置された前記乗りかごのかごドアを閉止状態に維持して前記乗りかごを閉じ込め制御する閉じ込め制御部を備えることを特徴とする請求項1又は2記載のエレベータの防犯装置。
【請求項4】
前記閉じ込め制御部により閉じ込め制御された前記乗りかごを、予め設定された階床に移動させる乗りかご移動制御部を備えることを特徴とする請求項3記載のエレベータの防犯装置。
【請求項5】
前記閉じ込め制御部により閉じ込め制御された前記乗りかごの閉じ込め制御を解除する閉じ込め制御解除部を備えることを特徴とする請求項3又は4記載のエレベータの防犯装置。
【請求項6】
前記異常操作判定部により前記カメラが異常操作されたと判定された場合、前記異常操作の発生を報知する報知部を備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一に記載のエレベータの防犯装置。
【請求項7】
前記カメラは、非着脱式の第2記録部と、前記異常操作判定部により前記カメラが異常操作されたと判定された場合に前記記録媒体に記録されている映像を前記第2記録部にバックアップする記録保護部と、を備えることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一に記載のエレベータの防犯装置。
【請求項8】
前記カメラは、非着脱式の第2記録部と、前記異常操作判定部により前記カメラが異常操作されたと判定された場合、前記異常操作が発生した後に前記カメラにより撮影された映像の記録場所を前記記録媒体から前記第2記録部に切替える記録場所選択部と、を備えることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一に記載のエレベータの防犯装置。
【請求項9】
前記異常操作判定部により前記カメラが異常操作されたと判定された場合、前記異常操作が発生した後に前記カメラにより撮影された映像の記録場所を前記記録媒体から前記第2記録部に切替える記録場所選択部と、を備えることを特徴とする請求項7記載のエレベータの防犯装置。
【請求項10】
群管理される複数のエレベータのそれぞれに設けられる請求項1記載のエレベータの防犯装置と、
前記異常操作判定部により前記カメラが異常操作されたと判定された場合、前記カメラが設置された前記乗りかごのかごドアを閉止状態に維持して前記乗りかごを閉じ込め制御する閉じ込め制御部と、
前記閉じ込め制御部により閉じ込め制御された前記乗りかごに割り当てられているホール呼びをキャンセルし、キャンセルした前記ホール呼びの割り当てを他の乗りかごに変更する割り当て変更部と、
を備えることを特徴とする群管理エレベータの防犯装置。
【請求項11】
群管理される複数のエレベータのそれぞれに設けられる請求項1記載のエレベータの防犯装置と、
前記異常操作判定部により前記カメラが異常操作されたと判定された場合、前記カメラが設置された前記乗りかごのかごドアを閉止状態に維持して前記乗りかごを閉じ込め制御する閉じ込め制御部と、
前記閉じ込め制御部により閉じ込め制御された前記乗りかごが停止している階床に向けて警備担当者が乗車した他の乗りかごを直行させるパトカー運転制御部と、
を備えることを特徴とする群管理エレベータの防犯装置。
【請求項12】
前記閉じ込め制御部により閉じ込め制御された前記乗りかごを、予め設定された階床に移動させる乗りかご移動制御部と、
前記異常操作判定部により前記カメラが異常操作されたと判定された場合、前記異常操作の発生を報知する報知部と、
前記乗りかご移動制御部により移動された前記乗りかごが停止している階床に向けて警備担当者が乗車した他の乗りかごを直行させるパトカー運転制御部と、
を備えることを特徴とする請求項10記載の群管理エレベータの防犯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−214968(P2009−214968A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−58732(P2008−58732)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】