説明

エレベータ装置

【課題】かご内が息苦しくなることを抑制することができるエレベータ装置を得る。
【解決手段】かご1と、かご1に出入りする空気の流れを発生させる送風装置2と、かご1の昇降の緊急停止を検出する検出装置12と、かご1に設けられたインターホン釦を有し、インターホン釦が操作されることにより情報センタと通話可能となるインターホン装置と、検出装置12がかご1の昇降の緊急停止を検出し、さらに、インターホン釦が操作されることにより、送風装置2を駆動させる制御装置とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、かご内に設けられたインターホン装置を備えたエレベータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、操作部を有したインターホン装置を備え、かご内に乗客が閉じ込められたときに、操作部が操作されることにより、インターホン装置が情報センタと通話可能となるエレベータ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−308253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、かご内の乗客がインターホン装置の操作部を操作しても、保守技術者によりエレベータ装置の緊急停止が解除されるまでの間、かご内の乗客はかご内に閉じ込められたままの状態となる。この状態が長く続くと、かご内は息苦しくなり、かご内の乗客は不快に感じてしまうという問題点があった。
【0005】
この発明は、かご内が息苦しくなることを抑制することができるエレベータ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエレベータ装置は、かごと、前記かごに出入りする空気の流れを発生させる風発生装置と、前記かごに設けられた操作部を有し、前記操作部が操作されることにより外部と通話可能となるインターホン装置と、前記操作部が操作されることにより、前記風発生装置を駆動させる制御装置とを備えている。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係るエレベータ装置によれば、制御装置は、インターホン装置の操作部が操作されることにより、かごに出入りする空気の流れを発生させる風発生装置を駆動させるので、かご内が息苦しくなることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1に係るエレベータ装置を示すブロック図である。
【図2】図1のエレベータ装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【図3】この発明の実施の形態2に係るエレベータ装置を示すブロック図である。
【図4】図3のエレベータ装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態3に係るエレベータ装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の各実施の形態を図に基づいて説明するが、各図において、同一または相当の部材、部位については、同一符号を付して説明する。
【0010】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るエレベータ装置を示すブロック図である。図において、この発明の実施の形態1に係るエレベータ装置は、かご1と、かご1に出入りする空気の流れを発生させる送風装置(風発生装置)2と、送風装置2の駆動を制御する制御装置3と、操作されることによりかご1内と情報センタ(外部)4との間で通話可能となるインターホン装置5とを備えている。
【0011】
送風装置2は、回転可能なファン6と、ファン6を駆動させる駆動装置7とを有している。駆動装置7は、ファン6を回転させることにより、かご1内に空気を送り込んだり、かご1内の空気を排気したりすることができる。
【0012】
インターホン装置5は、インターホン釦(操作部)8と、かご1内の乗客9の声を情報センタ4へ送るために用いられるマイク10と、情報センタ4からの音声をかご1内に発するスピーカ11とを有している。インターホン釦8、マイク10およびスピーカ11は、かご1内に設けられている。インターホン装置5は、インターホン釦8が操作されることにより、操作されたことを示す操作信号を制御装置3に送るようになっている。
【0013】
制御装置3は、インターホン装置5からの操作信号を受けることにより、送風装置2を駆動する。制御装置3には、送風装置2の運転状態が夏季運転状態であるか冬季運転状態であるかの情報が記憶されている。制御装置3は、送風装置2の運転状態が夏季運転状態である場合には送風装置2の駆動によりかご1内に空気を送り込み、送風装置2の運転状態が冬季運転状態である場合には送風装置2の駆動によりかご1内の空気を排出する。
【0014】
次に、エレベータ装置の動作について説明する。図2は、図1のエレベータ装置の動作の流れを示すフローチャートである。図において、エレベータ装置の運転が開始されると、制御装置3は、インターホン装置5からの操作信号を受けたか否かを判定する(ステップS1)。ステップS1で、制御装置3が操作信号を受けていない場合には、ステップS1を繰り返す。
【0015】
ステップS1で、制御装置3が操作信号を受けた場合には、インターホン装置5は、インターホン釦8が操作されているので、情報センタ4と通話可能となる(ステップS2)。
【0016】
その後、制御装置3は、送風装置2の運転状態が夏季運転状態であるか冬季運転状態であるかを判定する(ステップS3)。
【0017】
ステップS3で、送風装置2の運転状態が夏季運転状態であると制御装置3が判定した場合には、制御装置3は、送風装置2の駆動を制御して、かご1内に空気を送り込む(ステップS4)。一方、ステップS3で、送風装置2の運転状態が冬季運転状態であると制御装置3が判定した場合には、制御装置3は、送風装置2の駆動を制御して、かご1内の空気を排気する(ステップS5)。
【0018】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係るエレベータ装置によれば、制御装置3は、インターホン装置5のインターホン釦8が操作されることにより、かご1に出入りする空気の流れを発生させる送風装置2を駆動させるので、かご1内が息苦しくなることを抑制することができる。
【0019】
また、送風装置2は、夏季運転の場合にかご1内に空気を送り込むので、冷たい空気をかご1内に送り込むことができる。その結果かご1内が息苦しくなることをさらに抑制することができる。
【0020】
また、送風装置2は、冬季運転の場合にかご1内の空気を排気するので、冷たい空気がかご1内に送り込まれることを抑制することができる。
【0021】
また、送風装置2は、ファン6を有しているので、簡単な構成で、かご1に出入りする空気の流れを発生させることができる。
【0022】
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態2に係るエレベータ装置を示すブロック図である。図において、この発明の実施の形態2に係るエレベータ装置は、地震等により発生するかご1の昇降の緊急停止を検出する検出装置12をさらに備えている。検出装置12は、かご1の昇降を制御するエレベータ制御盤13に組み込まれている。
【0023】
検出装置12は、検出装置12がかご1の昇降の緊急停止を検出することにより、検出信号を制御装置3に送るようになっている。
【0024】
制御装置3は、検出装置12からの検出信号を受け、さらに、インターホン装置5からの操作信号を受けることにより、送風装置2を駆動する。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0025】
次に、エレベータ装置の動作について説明する。図4は図3のエレベータ装置の動作の流れを示すフローチャートである。図において、エレベータ装置の運転が開始されると、制御装置3は、検出装置12からの検出信号を受けたか否かを判定する(ステップS11)。ステップS11で、制御装置3が検出信号を受けていない場合には、ステップS11を繰り返す。
【0026】
ステップS11で、制御装置3が検出信号を受けた場合には、制御装置3は、インターホン装置5からの操作信号を受けたか否かを判定する(ステップS12)。ステップS12で、制御装置3が操作信号を受けていない場合には、ステップS11へ戻る。
【0027】
ステップS12で、制御装置3が操作信号を受けた場合には、インターホン装置5は、インターホン釦8が操作されているので、情報センタ4と通話可能となる(ステップS13)。
【0028】
その後、制御装置3は、送風装置2の運転状態が夏季運転状態であるか冬季運転状態であるかを判定する(ステップS14)。
【0029】
ステップS14で、送風装置2の運転状態が夏季運転状態であると制御装置3が判定した場合には、制御装置3は、送風装置2の駆動を制御して、かご1内に空気を送り込む(ステップS15)。一方、ステップS14で、送風装置2の運転状態が冬季運転状態であると制御装置3が判定した場合には、制御装置3は、送風装置2の駆動を制御して、かご1内の空気を排気する(ステップS16)。
【0030】
以上説明したように、この発明の実施の形態2に係るエレベータ装置によれば、制御装置3は、かご1の昇降の緊急停止を検出する検出装置12からの検出信号を受け、さらに、インターホン装置5からの操作信号を受けることにより、送風装置2を駆動するので、かご1内に乗客9が閉じ込められたときに、送風装置2が駆動して、かご1内が息苦しくなることを抑制することができる。また、検出装置12がかご1の昇降の緊急停止を検出していない状態で、インターホン装置5が操作されたときに、送風装置2が駆動することを防ぐことができる。また、検出装置12がかご1の昇降の緊急停止を検出しても、インターホン装置5が操作されなければ、送風装置2が駆動しないので、乗客9がかご1内にいない状態で、かご1の昇降の緊急停止が発生したときに、送風装置2が駆動することを防ぐことができる。
【0031】
なお、上記実施の形態2では、検出装置12がエレベータ制御盤13に組み込まれている例について説明したが、検出装置12とエレベータ制御盤13とが別々に設けられてもよい。
【0032】
実施の形態3.
図5はこの発明の実施の形態3に係るエレベータ装置を示すブロック図である。図において、この発明の実施の形態3に係るエレベータ装置は、停電時に、送風装置2、制御装置3およびインターホン装置5に電力を供給するバッテリ14をさらに備えている。その他の構成は、実施の形態1と同様である。なお、その他の構成を実施の形態2と同様にしてもよい。
【0033】
以上説明したように、この発明の実施の形態3に係るエレベータ装置によれば、停電時にバッテリ14から送風装置2に電力が供給されるので、停電が発生することによりかご1の昇降の緊急停止が発生してかご1内に乗客9が閉じ込められた場合に、送風装置2を駆動させることができる。その結果、停電が発生してもかご1内が息苦しくなることを確実に抑制することができる。
【0034】
また、バッテリ14は、停電時にインターホン装置5に電力を供給するので、バッテリ14により送風装置2およびインターホン装置5の両方に電力を供給することができる。その結果、バッテリ14の数を減らすことができ、コストの低減化を図ることができる。
【0035】
なお、各上記実施の形態では、制御装置3をエレベータ制御盤13から切り離した構成について説明したが、エレベータ制御盤13に制御装置3が組み込まれた構成であってもよい。
【0036】
また、各上記実施の形態では、風発生装置として送風装置2を例に説明したが、例えば、エアコンなどであってもよい。この場合、例えば、エアコンの運転状態が夏季運転状態の場合には、かご1内に冷たい空気が送り込まれ、エアコンの運転状態が冬季運転状態の場合には、かご1内に暖かい空気が送り込まれるようにしてもよい。
【0037】
また、各上記実施の形態では、インターホン装置5と通話可能となる外部として情報センタ4を例に説明したが、例えば、エレベータ装置が取り付けられている建物の管理室であってもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 かご、2 送風装置(風発生装置)、3 制御装置、4 情報センタ(外部)、5 インターホン装置、6 ファン、7 駆動装置、8 インターホン釦(操作部)、9 乗客、10 マイク、11 スピーカ、12 検出装置、13 エレベータ制御盤、14 バッテリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
かごと、
前記かごに出入りする空気の流れを発生させる風発生装置と、
前記かごに設けられた操作部を有し、前記操作部が操作されることにより外部と通話可能となるインターホン装置と、
前記操作部が操作されることにより、前記風発生装置を駆動させる制御装置とを備えたことを特徴とするエレベータ装置。
【請求項2】
前記かごの昇降の緊急停止を検出する検出装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記検出装置が前記かごの昇降の緊急停止を検出し、さらに、前記操作部が操作されることにより、前記風発生装置を駆動させることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ装置。
【請求項3】
前記風発生装置は、夏季運転の場合に前記かご内に空気を送り込むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエレベータ装置。
【請求項4】
前記風発生装置は、冬季運転の場合に前記かご内の空気を排気することを特徴とする請求項1または請求項3に記載のエレベータ装置。
【請求項5】
停電時に前記風発生装置に電力を供給するバッテリをさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載のエレベータ装置。
【請求項6】
前記バッテリは、停電時に前記インターホン装置に電力を供給することを特徴とする請求項5に記載のエレベータ装置。
【請求項7】
前記風発生装置は、ファンを有していることを特徴とする請求項1ないし請求項6の何れか1項に記載のエレベータ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−121654(P2012−121654A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272427(P2010−272427)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】