説明

エレベータ

エレベータ、好ましくは乗用エレベータであり、エレベータ乗りかご(2)と、エレベータ乗りかごを移動させかつ支持する少なくとも1本の巻上げロープ(R)と、巻上げロープに作用するトラクションシーブ(6)と、トラクションシーブ(6)を回転させる動力源とを備えている。エレベータのカウンタウェイト(1)は、カウンタウェイト(1)の少なくとも上方への動きを減速させたり抑制したりするブレーキを備えている。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明の対象は、エレベータ、好ましくは、少なくとも乗客の輸送に適したエレベータである。
【発明の背景】
【0002】
エレベータ乗りかごおよびカウンタウェイトは、最も一般的には、エレベータにおいてトラクションシーブによって動く巻上げ用索具を介して走行する。トラクションシーブを使用すると、エレベータ乗りかごが下方向に動いている状態において、トラクションシーブからエレベータ乗りかごへの引張り力をトラクションシーブとエレベータ乗りかごの間の巻上げロープで上方向に向けることによって、エレベータ乗りかごの移動速度を制動することができる。その代わり、このような状況において上方向に動いているカウンタウェイトは、トラクションシーブとカウンタウェイトの間の巻上げロープを用いて制動することができない。なぜなら、このロープは、カウンタウェイトを下方向に押すような力を伝達できないからである。この問題は、従来、次のような機構で解決されている。すなわちこの機構は、エレベータ昇降路の底端部で定位置に保持された転向プーリを通る補償ロープまたはその相当物にカウンタウェイトおよびエレベータ乗りかごを連結したものである。そのため、このロープは、エレベータ乗りかごを減速させる力をカウンタウェイトにも伝達でき、前述の転向プーリから支持力を得てカウンタウェイトを下方向に引っ張る力をカウンタウェイトに作用させることができる。こうして、エレベータ乗りかごが突然停止してしまった場合、カウンタウェイトが動き続けないようにする。また同時に、前述のような状況において、カウンタウェイトとトラクションシーブの間の巻上げ索具が弛むのを防止できる。このような動きの継続を防止しないと、重力の作用で動きが最終的に止まったときに、弛んだロープによってカウンタウェイトの動く方向が反転し、カウンタウェイトは下に落ちてロープにぶら下がることになり、この落下による衝撃が巻上げロープを通じてエレベータ乗りかごにも伝わって、危険な状況を招く恐れがある。件の方式でも、通常、補償機能が働く。この機能が必要とされるのは、巻上げロープがエレベータの負荷に対して非常に重い場合、ロープがエレベータのバランス状態を大きく左右するからである。エレベータ昇降路におけるエレベータ乗りかごおよびカウンタウェイトの位置は走行中に変わるうえ、いずれかのエレベータロープがトラクションシーブのエレベータ乗りかご側からカウンタウェイト側に動く。この不均衡状態は従来は均等化されていたが、これは、前述の転向プーリを通過するロープの1メートル当たりの質量を調整して、エレベータ乗りかごおよびカウンタウェイトにかかる力が前述の不均衡を相殺するようにしているためである。
【0003】
前述の方式における問題点は、エレベータの可動部が増加してしまい、当該方式が複雑でコスト高になってしまうことである。その上、転向プーリをエレベータの底部空間に配設しなければならず、そのため底部空間を拡大しなければならない。同時に、エレベータの加速機構もかさばってしまう。
【発明の目的】
【0004】
本発明は、とくに、上述の従来技術による方式における欠点を解消することを目的とする。すなわち、本発明の目的は、従来のエレベータよりもシンプルなエレベータを実現することにある。
【0005】
本発明は、とりわけ、以下の利点を1つ以上達成することを目的とする。
【0006】
−安全なエレベータを実現する。
【0007】
−急停止時に安全に動作するエレベータを実現する。
【0008】
−補償ロープを有さない構成にできるエレベータを実現する。
【0009】
−補償ロープを設けることなくエレベータを構成可能なほど巻上げロープが軽量で、なおかつ、飛び跳ねが起きても安全なエレベータを実現する。
【0010】
−移動および加速機構、ならびに軸負荷が従来よりも小さいエレベータを実現する。
【0011】
−ロープが軽量で、載貨重量に対して高い引張強度および引張剛性を有するエレベータを実現する。
【0012】
−高温に対する耐性が従来よりも高いエレベータを実現する。
【0013】
−高い熱伝導率と高温に対する優れた耐性を併せ持つロープを有するエレベータを実現する。
【0014】
−底部のスペースに広い余裕があるエレベータを実現する。
【0015】
−索具が軽量なエレベータを実現する。
【0016】
−ロープの不連続や断続がなく、そのためエレベータのロープが静音性に優れ、振動面でも利点を有するエレベータを実現する。
【0017】
−省エネタイプのエレベータを実現する。
【0018】
−トラクションシーブ制動の際、乗りかごおよび/またはカウンタウェイトの減速度をブレーキによって高められるエレベータを実現する。
【0019】
−乗りかごがドアの開いたまま乗り場から動きだすのをブレーキで容易に防止できるエレベータを実現する。
【発明の概要】
【0020】
本発明に係るエレベータは、請求項1の特徴部に開示されている事項を特徴としていると言うことができる。本発明の他の実施例は、その他の特許請求項に開示されているものを特徴とする。発明の実施例のいくつかは、本願の明細書部分および図面にも記載されている。本願の発明の内容は、特許請求の範囲に規定されているものとは別の形でも規定することも可能である。この場合、特許請求の範囲に含まれる属性の一部は、別の発明思想の観点からみて不要である場合もある。また、本発明の基本内容の枠内において、さまざまな実施例の特徴を他の実施例と組み合わせて適用することも可能である。
【0021】
本発明に係るエレベータは、好ましくは乗用エレベータであり、エレベータ乗りかごと、エレベータ乗りかごを動かしかつ支持する少なくとも1本の巻上げロープと、巻上げロープに作用するトラクションシーブと、トラクションシーブを回転させる動力源とを含んでいる。本エレベータのカウンタウェイトは、少なくともカウンタウェイトの上方向への動きを減速および/または抑制するブレーキを含んでいる。その利点の1つは、とくに、カウンタウェイトの飛び跳ねを防止して、飛び跳ねによる衝撃がエレベータ乗りかごに及ぶのを防止できることにある。他方、ブレーキは、カウンタウェイトの速度を低減させることができる。これは他の理由において利点となり得る。例えば、トラクションシーブの制動を向上させるため、または乗りかごがドアの開いたまま乗り場にあるときに、乗りかごが下降するのを防止するために有利である。
【0022】
本発明の一実施例において、本エレベータは補償ロープを有さない構成である。そのため、エレベータの索具は全体的に軽量である。
【0023】
本発明の一実施例において、1または複数の巻上げロープがエレベータ乗りかごおよびカウンタウェイトを動かすように配設されていて、巻上げロープは非金属製に限られた耐力部分を含んでいる。そのため、巻上げロープは軽量である。この種の材料については、本願の他の個所で述べるが、複合材料であるのが最も好ましい。また例えば、アラミド製組み紐などのアラミド繊維に基づく耐力部分が適している。
【0024】
ただし、本発明の一実施例において、エレベータは電気および/または情報を乗りかごに伝えるトレーリングケーブルを含んでいる。
【0025】
本発明の一実施例において、エレベータは補償ロープを有さない構成であり、とくに、トラクションシーブの両側からトラクションシーブに到来する補償ロープおよび巻上げロープから得られるロープ質量がトラクションシーブに伝える負荷を均等にする補償ロープを備えずに、エレベータ乗りかごの位置に関係なく負荷を実質的に同一に保つ。
【0026】
本発明に一実施例において、少なくともカウンタウェイト、および好ましくはエレベータ乗りかごも、ガイドレールに対応するブレーキを含み、このブレーキの制御の下に、当該カウンタウェイト/エレベータ乗りかごが走行する。
【0027】
本発明の一実施例において、ブレーキは飛び跳ね防止手段であり、すなわち、前述のカウンタウェイトおよび/またはエレベータ乗りかごの飛び跳ねを防止して、例えば、エレベータ乗りかごの速度が急に低下するような状況において、カウンタウェイトの自由な動きの継続を抑制する。このように、エレベータを補償ロープなしで構成することも可能である。この場合、巻上げ索具は好ましくは軽量であり、本願で述べるあるタイプのものであることが望ましい。
【0028】
本発明の一実施例において、カウンタウェイトに含まれるブレーキは、エレベータ乗りかごが突然停止または少なくとも速度を低下させた場合に制動を行うよう配設され、好ましくはさらに、エレベータ乗りかごに含まれるブレーキも、カウンタウェイトが突然停止または少なくとも速度を低下させた場合に制動を行うよう配設されている。このように、補償ロープを有さないエレベータを構成することも可能である。
【0029】
本発明の一実施例では、前述のような突然の停止または速度低下時における前述のエレベータ乗りかごまたはカウンタウェイトの減速度は、9.81m/s2以上であり、前述のブレーキは好ましくは、前述の減速度が9.81m/s2以上の場合にのみ作動するよう構成される。
【0030】
本発明の一実施例において、カウンタウェイトは、エレベータ乗りかごの減速度がある所定制限値を上回ると、前述のカウンタウェイトに含まれるブレーキを作動させるよう構成された手段を含んでいる。例えば、カウンタウェイトに連結された巻上げロープのロープ張力に基づいてバネ力Fを適切に調節して、作動させる。もしくは、エレベータがこの目的に合った手段を備えていてもよく、エレベータ乗りかごの加速度を測定して、加速度に基づいて作動装置のブレーキを始動させる。この場合、小規模の電子システムを使用してもよい。このようなシステムは、複雑なメカニズムを必要としない。
【0031】
本発明の一実施例では、エレベータ乗りかごは、カウンタウェイトの減速度がある所定制限値を上回ると、エレベータ乗りかごに含まれるブレーキを作動させるよう構成された手段を含んでいる。例えば、エレベータ乗りかごに連結された巻上げロープのロープ張力に基づいて、バネ力Fを適切に調節して作動させる。あるいは、エレベータはこの目的に合った手段を備えていてもよく、カウンタウェイトの加速度を測定して、加速度に基づいて作動装置のブレーキを始動させる。この場合、小規模の電子システムを使用してもよい。このようなシステムは、複雑なメカニズムを必要としない。
【0032】
本発明の一実施例では、ブレーキの制動力の大きさを選んで、ブレーキが何らかの作動状態で、空のエレベータ乗りかごにある所定値より大きな減速度が生じないようにする。この所定値は、3〜5m/s2である。これにより、エレベータに危険が及ばない。
【0033】
本発明の一実施例において、エレベータ乗りかごに備えられたブレーキ、および/またはカウンタウェイトに備えられたブレーキ(11)は、巻上げロープの張力が低下すると作動するよう構成されている。例えば、巻上げロープ(R)の張力が一定の制限張力値を下回ると作動する。
【0034】
本発明の一実施例では、少なくともエレベータ乗りかごに含まれるブレーキは、当該エレベータ乗りかごのガイドレールに対応した安全装置であり、好ましくは、エレベータの過回転制御装置にも連結された安全装置である。過回転制御装置は、エレベータ乗りかごの移動速度がある所定制限値を超えると、前述の安全装置を作動させる。
【0035】
本発明の一実施例において、ブレーキは、作動すると前述のエレベータ乗りかごまたはカウンタウェイトに2m/s2以上の加速度をかけて停止させる。ただし、加速度は最高で9.81m/s2とする。
【0036】
本発明の一実施例において、巻上げロープは(巻上げロープ単体、または同様のロープとともに)、エレベータ乗りかごおよびカウンタウェイトを動かすよう配設され、乗りかごおよびカウンタウェイトは、好ましくはロープの両端に吊り下げられている。
【0037】
本発明の一実施例では、補償ロープまたはその相当物はカウンタウェイトおよび/またはエレベータ乗りかごに連結されておらず、補償ロープまたはその相当物は当該エレベータ乗りかご/カウンタウェイトの垂直位置に応じた力を利用して乗りかご/カウンタウェイトを下方に引っ張ることができる、この力の程度は、エレベータ乗りかごが上方に動くと大きくなり、エレベータ乗りかごが下方に動くと小さくなる。
【0038】
本発明の一実施例において、他の状況では互いに同じ速度で動くはずのエレベータ乗りかごおよびカウンタウェイトの移動速度が相違し始めると、ブレーキが作動する。本エレベータはその目的を果たすために、エレベータ乗りかごとカウンタウェイトの移動速度を測定する手段を含んでいる。作動の基準が移動速度の逸脱である場合、複雑なメカニズムを必要としない小規模な電子システムを利用できる。
【0039】
本発明の一実施例では、カウンタウェイトおよびエレベータ乗りかごは、エレベータ昇降路の底端部に設けられた転向プーリを周回するロープまたはその相当物に連結されていない。
【0040】
本発明の一実施例では、上述の巻上げロープは耐力部分を少なくとも1つ、好ましくは複数含んでいて、耐力部分は複合材料からなるものであり、複合材料は強化繊維を含み、強化繊維は好ましくは炭素繊維またはガラス繊維であって、ポリマ基材に埋め込まれている。そのため、軽量で硬質な、耐久性を備えた単一のロープを形成できる。
【0041】
本発明の一実施例において、上述の複合材料からなる耐力部分は、ロープ断面のほぼ全域に及ぶものである。
【0042】
本発明の一実施例において、エレベータの走行高は30メートル以上、好ましくは30〜80メートル、最も好ましくは40〜80メートルであり、エレベータは補償ロープを持たない構成である。そのため、巻上げロープは、エレベータに補償ロープを必要としないほど軽量である。この場合、1または複数の巻上げロープ(R)は、好ましくは前述の複合ロープである。
【0043】
本発明の一実施例では、ロープの幅はロープの横断方向の厚みよりも大きい。そのため、ロープの屈曲による摩耗が少なく、ロープの耐用年数が長くなる。
【0044】
本発明の一実施例において、耐力部分は硬くて長尺状の棒片である。
【0045】
本発明の一実施例において、耐力部分はロープの長手方向に沿って設けられている。
【0046】
本発明の一実施例では、個々の強化繊維は上述の基材内に均等に配列されている。
【0047】
本発明の一実施例では、前述の強化繊維はロープの長手方向に連続する繊維であり、好ましくは、ロープの全長にわたって途切れることなく連続している。
【0048】
本発明の一実施例において、前述の強化繊維は前述のポリマ基材と共に結合されて一定の耐力部分をなし、好ましくは、製造段階で強化繊維をポリマ基材の材料に埋め込むことで結合される。
【0049】
本発明の一実施例では、上述の耐力部分は、ロープの長手方向に沿って真っ直ぐに延びた強化繊維を含んでいて、これらの繊維はポリマ基材と共に一体部分として結合される。
【0050】
本発明の一実施例において、前述の耐力部分の実質的にすべての強化繊維がロープの長手方向に設けられている。
【0051】
本発明の一実施例において、耐力部分の構造は、ロープの全長にわたって実質的に同一状態で延びている。
【0052】
本発明の一実施例において、ポリマ基材は非エラストマである。
【0053】
本発明の一実施例では、ポリマ基材(M)の弾力率(E)は、2GPa以上であり、最も好ましくは2.5GPa以上、さらに好ましくは2.5〜10GPaの範囲である。その中でも最も好ましいのは、2.5〜3.5GPaである。
【0054】
本発明の一実施例では、ポリマ基材はエポキシ樹脂、ポリエステル、フェノール樹脂、またはビニル・エステルである。
【0055】
本発明の一実施例において、耐力部分の断面の表面積の50%以上が上述の強化繊維であり、好ましくは50%〜80%が上述の強化繊維であり、最も好ましくは55%〜70%が強化繊維であるようにする。最も好ましくは、表面積の約60%が強化繊維であり、約40%は基材材料となるようにする。
【0056】
本発明の一実施例では、強化繊維は基材と共に一定の耐力部分を構成するものであり、その内部では、実質的に、繊維間または繊維と基材との間の相対的な摩耗運動が生じない。
【0057】
本発明の一実施例において、耐力部分の幅は、ロープの横断方向の厚みよりも大きい。
【0058】
本発明の一実施例では、ロープは上述の耐力部分を複数、並行して有している。
【0059】
本発明の一実施例において、耐力部分はポリマ層で囲繞され、ポリマ層は好ましくはエラストマであり、最も好ましくは、例えばポリウレタンなどの摩擦力の大きいエラストマである。
【0060】
本発明の一実施例では、耐力部分は、上述のポリマ基材と、ポリマ基材によって互いに結合された強化繊維と、当該繊維を取り囲むコーティングが存在する場合はこのコーティングとで構成され、さらにポリマ基材には場合によって添加物も混合されている。
【0061】
本発明の一実施例において、エレベータの巻上げ索具の実質的にすべての巻上げロープは、さきに述べた種類の複合材料を含むロープである。よって、巻上げロープは軽量であり、エレベータに補償索具を必要としない。
【0062】
本発明の一実施例において、前述の1または複数の巻上げロープ(R)は、金属製の耐力部分を含んでいない。そのため、エレベータの1または複数の巻上げロープRは、軽量である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
以下、添付図面を参照しながらいくつかの実施例を用いて、本発明を詳細に述べる。
【図1】本発明に係るエレベータの一実施例を示す。
【図2】本発明に係るエレベータで使用するのに有利な一ロープの断面を概略的に示す。
【図3】図1のエレベータに好適なブレーキの一構造を示す。
【図4】本発明に係るエレベータのロープの断面の細部を拡大した様子を概略的に示す。
【発明の詳細な説明】
【0064】
図1は、本発明に係るエレベータの実施例の1つを示すものである。本エレベータは、建物内のエレベータ昇降路Sを走行するよう設置されたエレベータ乗りかご2と、エレベータ乗りかご2を移動させ、かつ支持する少なくとも1本の巻上げロープRと、巻上げロープRに作用するトラクションシーブ6と、トラクションシーブ6を回転させる動力源(図示しないが、例えば電動機など)とを含んでいる。エレベータ乗りかごおよびカウンタウェイトはそれぞれブレーキ11、21を含み、これらのブレーキを用いて当該エレベータ乗りかご/カウンタウェイトの速度を減速できる。ブレーキはエレベータのガイドレール12、22に対応していて、乗りかご/カウンタウェイトの速度の減速に必要な支持力をガイドレールから得ることで速度を低下させるように配設されるものである。
【0065】
また、本エレベータは、上述のブレーキ11、21の制動を開始させる手段10、20を含んでいる。これらの手段を利用することによって、カウンタウェイトに含まれるブレーキは、エレベータ乗りかごが突然停止してしまったり、少なくとも乗りかごの速度が低下したりした場合に、制動を行うように構成され、同様に、エレベータ乗りかごに含まれるブレーキは、カウンタウェイトが突然停止したり、少なくともその速度が低下したりした場合に、制動を行うように構成される。それにより、エレベータ乗りかごまたはカウンタウェイトの速度がいきなり低下した場合に起きる、上述のエレベータ乗りかごまたはカウンタウェイトとは逆の方向に動くエレベータ乗りかごまたはカウンタウェイトの動きの継続を、抑制または少なくともかなり低減できる。
【0066】
上述の手段10、20は、これらの手段を用いることで、巻上げロープの張力が低下すると、エレベータ乗りかごおよび/またはカウンタウェイトに備えられたブレーキの制動を開始させる類のものである。これらの手段を使用する好適な一方法を、図3に示す。
【0067】
好ましくは、エレベータ乗りかご2に備えられたブレーキ21は、当該エレベータ乗りかご2のガイドレール22に対応する安全装置であって、望ましくは、エレベータの過回転防止装置(図示しないが、例えば典型的な従来の装置)にも接続されている安全装置であり、この過回転防止装置は、エレベータ乗りかごの移動速度が所定の制限値を超えたとき、安全装置を作動させる。安全装置は、当該エレベータ乗りかごまたはカウンタウェイトを即座に停止できる大きさにするのが好ましく、安全装置は望ましくは、エレベータ乗りかごの負荷が公称負荷0のとき、また好ましくはエレベータ乗りかごが例えば0.5m/sを上回る通常運転速度で動いている場合にも、作動すれば2〜10m/s2の加速度で当該エレベータ乗りかごまたはカウンタウェイトを停止させるよう構成される。
【0068】
図示したエレベータの1本のロープR(または複数のロープR)は、好ましくは軽量ロープであり、例えば、実質的にロープの耐力面全体が強化複合材料である。軽量ロープを使えば、補償索具を省略することができる。補償ロープは図示したエレベータのカウンタウェイトまたはエレベータ乗りかごに結合されていない。すなわち、ロープまたはその相当物は、エレベータ乗りかご/カウンタウェイトの位置に応じた力によってエレベータ乗りかご/カウンタウェイトを下方に引っ張ることができるため、力の度合いは、エレベータ乗りかごが上方向に動くと増大し、エレベータ乗りかごが下方向に動くと低下する。図示したエレベータのカウンタウェイトもエレベータ乗りかごも、エレベータ昇降路の底端部に設けられた転向プーリの周回するロープまたはその相当物に結合されていない。この種のロープは、通常、上述の転向プーリから支持力を得て、上述のエレベータ乗りかごまたはカウンタウェイトが上方に動く際に、エレベータ乗りかごおよびカウンタウェイトにロープを引っ張る力がかかるように配設されていて、また、カウンタウェイトまたはエレベータ乗りかごが突然停止したり、少なくともその速度が低下したりした場合に、巻上げ索具が弛むのを防止するか、または少なくとも実質的に低減させるよう構成されている。この場合、カウンタウェイトおよび/またはエレベータ乗りかごはブレーキを含んでいることが望ましく、ブレーキが当該カウンタウェイトまたはエレベータ乗りかごの動きを停止/減速させることで、カウンタウェイトの跳ね上がりが起こらない。この場合、当該ブレーキは、いわゆるロック機能またはそれに相当する機能、すなわち反跳防止装置の役割を果たす。したがって、補償ロープが無い場合には、跳ね上がりを防止する別の手立てが必要となり、本願では、上述のブレーキ11、21およびブレーキの作動手段10、20を用いることで、問題を解決している。
【0069】
図示した装置では、エレベータ乗りかごおよび/カウンタウェイトがそれぞれブレーキを含んでいて、必要に応じて、以下のような状況においても安全ブレーキとして用いることができる。すなわち、
−予期せぬ動きに伴って、乗りかごがドアの開いたままドア・ゾーンから走り去ってしまったときに用いる、および/または、
−昇降路の終端制御ゾーンの終端減速装置として用い、速度基準に応じた終着階への進入の際、故障による不具合が生じた状況における制動時に、減速を促進させる、および/または、
−欧州エレベータ規格EN81-1の付録Mに基づく「緊急停止」負荷問題に関する寸法決定規則を満たしていないエレベータにおいて、緊急制動を行うためのブースタとして用いることができ、一般的には、トラクションシーブの摩擦力に関して緊急制動が通常運転よりも重要であるエレベータに使用される。
【0070】
図2は、ある1本のロープRの断面を概略的に示すものであり、このロープは本発明に係るエレベータ、例えば図1に示すエレベータで使用するのに有利なロープである。ロープRはベルト状であり、つまり本ロープは、ロープの長手方向に対して直角をなす第1の方向に一定の幅wを有するものであり、幅wは厚さtより実質的に大きい。ロープはロープの全長にわたって実質的に同じ構造を維持するのが望ましいが、必須ではない。なぜならば、断面を必要に応じて、例えば歯を設けるなどして、断続的に変化させるように構成できるからである。ロープRは非金属繊維複合体である耐力部分TMを含み、耐力部分はポリマ基材中に炭素繊維またはガラス繊維、好ましくは炭素繊維を含むものである。繊維を含む耐力部分TMはロープの長手方向に対して設けられ、そのためロープが曲がる際にその構造を維持することができる。したがって、個々の繊維は実質的にロープの長手方向に配向されている。本例では、繊維は、ロープが引っ張られると、その力の方向に揃う。前述の強化繊維は、前述のポリマ基材と共に、一定の耐力部分として結合される。これにより、前述の耐力部分TMは、1つの固い長尺状の棒片となる。前述の強化繊維は、ロープの長手方向に対して連続する長い繊維であるのが望ましく、好ましくは、ロープの全長にわたって延びている。前述の耐力部分の、好ましくはできるだけ多くの繊維が、最滴には実質的にすべての強化繊維が、ロープの長手方向に配向される。したがって、強化繊維は実質的に相互に編み合わされていないことが望ましい。これにより、耐力部分の構造を可能な限りロープの全長にわたって一様にできる。前述の強化繊維を前述の耐力部分内にできるだけ均等に分配させることで、耐力部分をロープの長手方向に対してできる限り均一にできるであろう。ロープの屈曲方向は、好ましくは同図における上または下方向である。図2に示すロープRは、長方形の断面形状を有して、ポリマ層cに囲まれている耐力複合部分TMを複数含んでいる。あるいは、1つの耐力部分TMが、ポリマ層cと共に、またはポリマ層cなしで、それ自体がロープを形成することも可能である。
【0071】
ここに示す構造は、強化繊維を囲撓する基材が強化繊維の挿入位置を実質的に不変に保つという利点を有する。この構造が持つわずかな弾力性によって繊維にかかる力の分布が均等になり、繊維同士の接触およびロープの内部摩耗が軽減し、そのためロープの耐用年数が向上する。繊維間に起こり得る長手方向の動きは、基材に作用する弾性剪断であるが、曲状部でこれは、主に複合部分の諸材料全体の伸びの問題となり、諸材料の相対的な動きの問題ではない。強化繊維は、炭素繊維であることが最も好ましく、その場合、とりわけ、優れた引張剛性や、軽量な構造、良好な熱的性質を得ることができる。もしくは、ガラス繊維の強化繊維を用いることで、とりわけより良好な電気絶縁性を得ることができるため、一部の用途に適している。この場合、ロープの引張剛性もやや低いため、小径のトラクションシーブが使用可能となる。一本一本の繊維が可能な限り均等に配列される複合基材は、エポキシ樹脂からなるものが最も好ましく、エポキシ樹脂は強化材に対して優れた密着性を有していて、ガラス繊維および炭素繊維に有利に強力に作用する。あるいは、例えばポリエステルまたはビニル・エステルを使用してもよい。耐力複合部分は、最も好ましくは、約60%の炭素繊維と40%のエポキシ樹脂で構成される。
【0072】
本願では、耐力部分とは、当該ロープの長手方向にかかる負荷の大部分、例えばロープが支持するエレベータ乗りかごおよび/またはカウンタウェイトによってかかる負荷の大部分を負うロープの一部を指している。負荷によって耐力部分のロープ長手方向に張力が生じ、この張力は当該耐力部分内でロープの長手方向に対して前方に伝達される。これにより、耐力部分は、例えばトラクションシーブによってロープの長手方向にかかる力を、カウンタウェイトおよび/またはエレベータ乗りかごに伝達させて、カウンタウェイトおよび/または乗りかごを動かすことができる。例えば図1では、カウンタウェイト2およびエレベータ乗りかご3はロープRに支持されている。より詳細には、索具の複数のロープRの少なくとも1本(好ましくは全部)における耐力部分TMに支持されていて、耐力部分はエレベータ乗りかご3からカウンタウェイト2へと延びている。ロープRは、カウンタウェイトおよびエレベータ乗りかごに固定されている。カウンタウェイトおよび/またはエレベータ乗りかごによって生じる張力は、固定部分から、カウンタウェイトおよび/またはエレベータ乗りかごから来るロープの耐力部分を介して、上方の少なくともトラクションシーブ2に伝達される。耐力部分の強化繊維は、好ましくは実質的にすべてがまったく同一の材料からなる。
【0073】
図4は、図2に示した耐力部分TMに好適な構造を示す。耐力部分の表面構造の部分断面(ロープの長手方向から見た断面)を図中の円内に示してあり、この断面では、本願の別の箇所で述べた耐力部分の強化繊維は、好ましくはポリマ基材に含まれるものである。本図は、強化繊維Fがポリマ基材Mに実質的に均等に配列されている様子を示していて、基材は各繊維に取り囲まれて、繊維に固着している。ポリマ基材Mは、強化繊維F間の領域を満たして、実質的に基材中のすべての強化繊維F同士を結合させて一定の固体物質にする。この場合、強化繊維F間の研磨運動と、強化繊維Fと基材Mとの間の研磨運動は、実質的に抑制される。化学結合が好ましくはすべての個々の強化繊維Fと基材Mとの間に認められ、その一利点として、とりわけ、構造の均等性が挙げられる。化学結合を強固にするために、必要に応じて、ただし必須ではないが、被膜(図示せず)を強化繊維とポリマ基材Mとの間に設けてもよい。ポリマ基材Mは、本願の別の箇所で述べた基材と同様のものであり、よって、基材の特性を微調整するための添加物を、ベースポリマへの添加物として含んでいてもよい。ポリマ基材Mは、好ましくは硬質の非エラストマである。耐力部分のポリマ基材に含まれる強化繊維とは、本発明では、個々の強化繊維がポリマ基材によって互いに結合されている、例えば、製造段階においてポリマ基材の材料にこれらの繊維を埋め込んで結合することを指すものである。この場合、ポリマ基材によって相互結合された個々の繊維間の空間は、ポリマの基材で構成されている。よって、本発明では、好ましくは、ロープの長手方向に相互に結合された強化繊維のほとんどが、ポリマ基材中に配列されている。強化繊維は、好ましくはポリマ基材中に実質的に均等に、つまり均一に配列されるため、耐力部分がロープの断面の方向から見て極力均一となる。言い換えると、耐力部分の断面における繊維の密度が大きく変わることはない。強化繊維は基材と合わさって一定の耐力部分を構成し、その内部ではロープが屈曲しても相対的な摩耗運動が生じない。耐力部分の個々の強化繊維は主にポリマ基材に囲まれているものの、繊維間の接触はいたるところで起きる。これは、ポリマ基材の充填する際に、同時に各繊維の相互の繊維に対する位置の調整が難しいからである。またその一方において、繊維間の偶発的な接触を完全になくすことは、本発明の機能の点からみて、絶対に必要なわけでもない。しかしながら、この偶発的な接触を低減させたいのであれば、個々の強化繊維をあらかじめコーティングしておいて、それぞれの強化繊維を互いに結合させる前の段階において、すでに各繊維がポリマ被膜で覆われているようにするとよい。本発明では、耐力部分の個々の強化繊維は、その周囲を取り巻くポリマ基材の材料からなってポリマ基材が強化繊維に直に接するようにすることができる。しかし、このようにしないで、例えば製造段階において基材材料に対する化学的密着力を高めるために強化繊維の表面に設けられた下塗剤などの薄い被膜を、中間に設けてもよい。個々の強化繊維は耐力部分中に均等に配列されるため、個々の強化繊維間の空間は、ポリマの基材で構成されている。好ましくは、耐力部分の個々の強化繊維間の空間の大部分が、ポリマの基材で充填されている。最も好ましくは、実質的に耐力部分の個々の強化繊維間のすべての空間がポリマの基材で充填されている。耐力部分の基材は、その材料特性が硬質であることが最も望ましい。硬質基材は、とくにロープが屈曲した際に、強化繊維の支持を助長する。屈曲の際、張力が、屈曲しているロープの外面側の強化繊維に作用し、また、内面側の炭素繊維の長手方向への圧縮にも作用する。圧縮によって強化繊維がつぶれそうになる。ポリマ基材に硬質材料を選用すれば、繊維のつぶれを防止できる。これは、硬質材料が繊維を保持して繊維のつぶれを防ぎ、かつロープ内の張力を均等化できるからである。よって、ロープの屈曲範囲を小さくするには、ポリマ基材が硬いポリマであることがとりわけ好ましく、弾力的に作用したり抵抗力のないエラストマ(エラストマの一例として、ゴム)など以外の材料が望ましい。最も望ましい材料は、エポキシ樹脂、ポリエステル、フェノールプラスチック、およびビニル・エステルである。ポリマ基材は硬いのが望ましく、その弾性率(E)は2GPa以上であり、最も好ましくは2.5GPa以上である。本例では、弾性率(E)は、好ましくは2.5〜10GPaの範囲であり、最も好ましくは2.5〜3.5GPaである。
【0074】
図3は、図1に係るエレベータに好適なブレーキ構造の1つを示す。本エレベータは、ブレーキ11、21の制動を開始させる手段10、20を含んでいて、このブレーキは、例えばエレベータのガイドレール12、22に対応している。この場合、ブレーキは、乗りかご/カウンタウェイトの速度を落とすために必要な力をガイドレールから取り入れて減速させるように配設される。手段11、21は、次のようなタイプのものである。すなわち、これらの手段を使用して、巻上げロープの張力が減少すると、エレベータ乗りかごに備えられたブレーキの、および/またはカウンタウェイトに備えられたブレーキの制動を開始するよう構成されている。こうして、これらの手段10、20を用いることによって、カウンタウェイトに備えられたブレーキは、エレベータ乗りかごが急に停止してしまったり、または少なくとも速度が低下したりした場合に、制動するように容易に構成でき、また同様に、エレベータ乗りかごに備えられたブレーキは、カウンタウェイトが急に停止してしまったり、または少なくともその速度が低下したりした場合に、制動するように構成される。これにより、エレベータ乗りかごまたはカウンタウェイトの速度がいきなり低下した後に起きる、上述のエレベータ乗りかごまたはカウンタウェイトとは逆の方向に動くエレベータ乗りかごまたはカウンタウェイトの動きの継続を、抑制または少なくともかなり低減できる。好ましくは、ブレーキ11がエレベータ乗りかごのブレーキであるならば、このブレーキはガイドレールに対応した安全装置であり、好ましくは、エレベータの過回転防止装置(例えば過回転防止装置のロープ)にも接続された安全装置である。
【0075】
手段10、20は、ぴんと張られたロープRの長手方向への張力がもたらす力に抵抗するスプリング41を含んでいる。ブレーキは、巻上げロープRの弛みがもたらす運動効果によって作動するよう取り付けられている。より正確に言うと、ロープRの張力が低下した場合、バネ力Fsによって、ブレーキ11、21に取り付けられている部分、最も好ましくは固着基部42(例えば連結板)を(図の下方向に)動かし、安全装置をレバー43、44、45によって作動させることができる。レバー機構のレバー43は、エレベータ乗りかご2またはカウンタウェイト1に担持されて、回転軸48の周りで屈曲可能であり、レバーまたはケーブル44による動きをブレーキのレバー45に伝達する。レバー45は、伝達された動きの影響を受けて、ブレーキを作動させることができる。ここで述べた方式では、レバー45が回転軸47を中心に旋回して、ガイドレール12、22と安全装置型ブレーキ11、21の楔状面との間に設けられたローラ46を押す。レバー45がたわむと、その端部が楔状部分に対して図の下方向に動き、同時に、ローラが楔(レバー45の溝に可動に担持されている)に対して下方向、左側に移動する。上方向に動くエレベータ乗りかご/カウンタウェイト(図に示す機構を含んでいる)の連続的な上昇運動が、ローラを楔状部分とガイドレールの間にさらに押し込み、それによりエレベータが停止する。ロープRがロープの破断または跳ね上がり(動きの継続)によって緩むと、つまり、ロープがエレベータ乗りかごを支持しなくなると、スプリングの負荷が解放される。その場合、動作力が解放されて安全装置を作動させる。その結果、エレベータが停止する。ここで示した方式では、ロープRは基部42に取付け用金具Gを用いて固定されている。基部42は、カウンタウェイト11またはエレベータ乗りかご21に対し、ガイドレール49上を矢印で示す方向に移動可能だが、ガイドレールは、基部42によって動く距離および動きを、その距離を越える一定距離内に制限する。ブレーキ11、21は、フレームBに支持されている。
【0076】
当業者にとっては明白なことであるが、本発明は、上述の例を挙げて本発明について述べた実施例に限定されるものではなく、後述の特許請求の範囲に規定する発明概念の枠内であれば、本発明の様々な変更および異なる実施形態が可能である。本発明は、ここに示したロープとは別の種類のロープ、例えば金属またはアラミド繊維の組み紐など、複合材に代わる他の何らかの材料があるロープでも、利用可能であることは、当業者に明白である。また、上述のロープの耐力部分の数は、ここに示した数よりも多くても、少なくてもよく、またエレベータの巻上げロープは複数のロープを含んでいてもよいことも明白である。さらに、ブレーキは必ずしもガイドレールに対応していなくてもよく、これに代わって、例えばエレベータのロープに対応していてもよいことも明白である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータ乗りかご(2)と、該エレベータ乗りかごおよびカウンタウェイト(1)を動かし支持する少なくとも1本の巻上げロープ(R)と、該巻上げロープに作用するトラクションシーブ(6)と、該トラクションシーブ(6)を回転させる動力源とを含む、好ましくは乗用のエレベータにおいて、前記カウンタウェイト(1)は、該カウンタウェイト(1)の少なくとも上方向への動きを減速および/または抑制するブレーキ(11)を含むことを特徴とするエレベータ。
【請求項2】
前記請求項のいずれかに記載のエレベータにおいて、該エレベータは補償ロープを備えていない構成であることを特徴とするエレベータ。
【請求項3】
前記請求項のいずれかに記載のエレベータにおいて、前記1または複数の巻上げロープ(R)は前記エレベータ乗りかごおよび前記カウンタウェイト(1)を動かすように配設され、非金属製に限られた耐力部分(TM)を含むことを特徴とするエレベータ。
【請求項4】
前記請求項のいずれかに記載のエレベータにおいて、前記ブレーキ(11)は飛び跳ね防止手段であり、前記エレベータ乗りかご(2)が突然停止した場合に作動して、前記カウンタウェイト(1)の飛び跳ねを防止するよう構成されることを特徴とするエレベータ。
【請求項5】
前記請求項のいずれかに記載のエレベータにおいて、少なくとも前記カウンタウェイト(1)、および好ましくは前記エレベータ乗りかご(2)も、ガイドレールに対応するブレーキ(11、21)を含み、該ブレーキの制御の下に該カウンタウェイト(1)/エレベータ乗りかご(2)が走行することを特徴とするエレベータ。
【請求項6】
前記請求項のいずれかに記載のエレベータにおいて、前記カウンタウェイト(1)および/または前記エレベータ乗りかご(2)は、該カウンタウェイト(1)および/または該エレベータ乗りかご(2)がある所定制限値を超えて減速すると、該カウンタウェイト(1)および/またはエレベータ乗りかご(2)に備えられた前記ブレーキ(11、21)を作動させるように配設された手段(10、20)を含むことを特徴とするエレベータ。
【請求項7】
前記請求項のいずれかに記載のエレベータにおいて、前記ブレーキ(11、21)の制動力の大きさを決めることで、該ブレーキ(11、21)がいかなる作動状態にあっても、空のエレベータ乗りかご(2)の減速度がある所定値、すなわち3〜5m/s2を上回らないようにすることを特徴とするエレベータ。
【請求項8】
前記請求項のいずれかに記載のエレベータにおいて、前記エレベータ乗りかご(2)に備えられたブレーキ(21)および/または前記カウンタウェイト(1)に備えられたブレーキ(11)による制動は、前記巻上げロープの張力が低下すると、例えば、巻上げロープ(R)の張力が所定の制限張力以下に低下すると開始するよう構成されることを特徴とするエレベータ。
【請求項9】
前記請求項のいずれかに記載のエレベータにおいて、前記カウンタウェイト(1)は、前記カウンタウェイトを支持する少なくとも1本のロープ(R)の張力を測定して、該張力が所定の制限張力以下に低下すると、該カウンタウェイト(1)に備えられたブレーキ(11)を始動させる手段(10)を含むことを特徴とするエレベータ。
【請求項10】
前記請求項のいずれかに記載のエレベータにおいて、前記エレベータ乗りかご(2)は、前記エレベータ乗りかごを支持する少なくとも1本のロープ(R)の張力を測定して、該張力が所定の制限張力以下に低下すると、該エレベータ乗りかご(2)に備えられたブレーキ(21)を始動させる手段(20)を含むことを特徴とするエレベータ。
【請求項11】
前記請求項のいずれかに記載のエレベータにおいて、前記手段(10、20)は、ぴんと張ったロープ(R)の長手方向の張力がもたらす力に抵抗するスプリング(41)を含むことを特徴とするエレベータ。
【請求項12】
前記請求項のいずれかに記載のエレベータにおいて、前記ブレーキは、前記巻上げロープ(R)の弛みがもたらす前記スプリング(41)の運動効果によって作動するよう取り付けられていることを特徴とするエレベータ。
【請求項13】
前記請求項のいずれかに記載のエレベータにおいて、少なくとも前記エレベータ乗りかご(2)に備えられた前記ブレーキ(21)は、該エレベータ乗りかご(2)のガイドレールに対応する安全装置であり、好ましくは、該エレベータの過回転防止装置にも接続されている安全装置であって、該過回転防止装置は、前記エレベータ乗りかご(2)の移動速度がある所定制限値を上回ると、該安全装置を作動させることを特徴とするエレベータ。
【請求項14】
前記請求項のいずれかに記載のエレベータにおいて、前記巻上げロープ(R)は、好ましくは該ロープ(R)の両端に吊り下げられたエレベータ乗りかご(2)およびカウンタウェイト(1)を動かすように配設されていることを特徴とするエレベータ。
【請求項15】
前記請求項のいずれかに記載のエレベータにおいて、補償ロープまたはその相当物が前記カウンタウェイト(1)および/または前記エレベータ乗りかご(2)に連結されていず、該補償ロープまたはその相当物は、該エレベータ乗りかご/カウンタウェイトの垂直位値に応じた力を利用して該乗りかご/カウンタウェイトを下方向に引くことができ、該力の度合いは、該エレベータ乗りかご(2)が上方向に動くと大きくなり、該エレベータ乗りかごが下方向に動くと小さくなることを特徴とするエレベータ。
【請求項16】
前記請求項のいずれかに記載のエレベータにおいて、前記カウンタウェイトおよび前記エレベータ乗りかごは、エレベータ昇降路の底部に設けられた転向プーリを周回するロープまたはその相当物に連結されていないことを特徴とするエレベータ。
【請求項17】
前記請求項のいずれかに記載のエレベータにおいて、前記巻上げロープ(R)は、少なくとも1つの、好ましくは複数の耐力部分(TM)を含み、該耐力部分(TM)は複合材料からなり、該複合材料は強化繊維を含み、該強化繊維は、好ましくは炭素繊維またはガラス繊維であって、ポリマ基材に埋め込まれていることを特徴とするエレベータ。
【請求項18】
前記請求項のいずれかに記載のエレベータにおいて、該エレベータの移動高さは30メートル以上であり、好ましくは30〜80メートル、最も好ましくは40〜80メートルであり、該エレベータは補償ロープを有しない構成であることを特徴とするエレベータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−515126(P2012−515126A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545771(P2011−545771)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【国際出願番号】PCT/FI2010/000004
【国際公開番号】WO2010/081935
【国際公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(591159044)コネ コーポレイション (75)
【氏名又は名称原語表記】KONE CORPORATION
【Fターム(参考)】