説明

エンコーダ装置、デコーダ装置、撮像装置、観測装置、エンコード方法、及びデコード方法

【課題】画像における高周波成分のディテイル感の劣化を抑えつつ画像を良好に圧縮することのできるエンコーダ装置及びデコーダ装置を提供する。
【解決手段】エンコーダ装置は、Wavelet変換により得られた高周波成分の画像中で分散値が閾値以上の領域を高周波不規則画像成分とする。エンコーダ装置は丸め処理部にて高周波不規則画像成分のピクセル値を表現するNビット列のうち下位(N>M)ビットを切り捨てて右ビットシフトさせることによって圧縮する。エンコーダ装置は圧縮された高周波不規則画像成分の符号系列をエントロピー符号化した後、エントロピー符号化された低周波成分および高周波画像成分と結合して圧縮画像とする。デコーダ装置は、乱数生成部にて、高周波不規則画像成分のピクセル周辺の、低周波成分および高周波画像成分の複数のピクセルの値をもとに(N−M)ビットの乱数を算出し、高周波不規則画像成分のピクセル値のMビットの下位に付加してNビットのピクセル値に戻す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、画像を圧縮符号化するエンコーダ装置、圧縮符号化された画像を復号するデコーダ装置、上記のエンコーダ装置を有する撮像装置、上記のデコーダ装置を有する観測装置、エンコード方法、及びデコード方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像の圧縮技術は、例えばフーリエ変換やWavelet変換などの変換符号化によって画像を低周波成分と高周波成分に分離し、その中で高周波成分を取り除くことによって行われる。この場合、高周波成分が多い画像を圧縮した場合に、全体としてディテイル感の失われた画像となってしまう。
【0003】
特許文献1には、画像圧縮により失われた「画像において意図的なノイズ」を復号時に復元する技術が開示されている。その手法としては、画像信号の符号化を行う際に、符号化装置は画像中に含まれるノイズ量を検出し、そのノイズ量を示すフラグを符号化して伝送する。復号化装置は圧縮された画像を復号化する後にノイズ量を示すフラグに従って復号画像にノイズを付加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08−079965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高周波成分を取り除いて行われる画像圧縮によると、復元された画像の全体的なディテイル感が失われる、という問題がある。また、特許文献1の技術によると、フレーム全体にわたって一様に存在するノイズの復元方法としては有効であるものの、画像圧縮によって除かれた高周波成分のディテイル感を補うための手段としては不向きである。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、画像における高周波成分のディテイル感の劣化を抑えつつ画像を良好に圧縮することのできるエンコーダ装置、デコーダ装置、撮像装置、観測装置、エンコード方法およびデコード方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本技術の第1の側面であるエンコーダ装置は、画像情報の分散値を算出する分散値算出部と、前記画像情報の高周波成分において前記算出された分散値が閾値以上の成分を高周波不規則画像成分として分離する不規則画像成分分離部と、前記高周波不規則画像成分のピクセル値を示すビット列を丸める丸め処理部と、前記丸め処理部によって処理された前記高周波不規則画像成分をエントロピー符号化する第1のエントロピー符号化部とを具備する。
【0008】
このエンコーダ装置では、分散値が閾値以上の領域を画像が細かく且つ不規則な高周波不規則画像成分とする。丸め処理部は、高周波不規則画像成分のピクセル値を表現するビット列を丸める。この丸め処理部にてビット列を丸められた高周波不規則画像成分の符号系列はエントロピー符号化される。これにより、細かく且つ不規則な高周波不規則画像成分を少ない符号量で圧縮することができる。
【0009】
この技術に係るエンコーダ装置は、前記高周波不規則画像成分以外の成分をエントロピー符号化する第2のエントロピー符号化部と、前記第1のエントロピー符号化部によりエントロピー符号化された高周波不規則画像成分と、前記第2のエントロピー符号化部によりエントロピー符号化された高周波不規則画像成分以外の成分とを結合する符号化結合部とをさらに具備する。これにより、高周波不規則画像成分をエントロピー符号化した情報と高周波不規則画像成分以外の成分をエントロピー符号化した情報とを結合して1つの圧縮画像とすることができる。
【0010】
この技術に係るエンコーダ装置は、前記画像情報を変換符号化して低周波成分と高周波成分とに分離する第1の変換符号化部をさらに具備し、前記分散値算出部は、前記分離された高周波成分の分散値を算出するものであってよい。
【0011】
この技術に係るエンコーダ装置は、前記不規則画像成分分離部により分離された高周波不規則画像成分以外の成分を変換符号化する第2の変換符号化部をさらに具備するものであってもよい。
【0012】
本技術の第2の側面であるデコード装置は、ピクセル値を表現するビット列が丸められた高周波成分を高周波不規則画像成分として、少なくともエントロピー符号化が施された前記高周波不規則画像成分を含む圧縮画像から当該高周波不規則画像成分を分離する第1の分離部と、前記分離された高周波不規則画像成分と、前記圧縮画像の中の当該高周波不規則画像成分以外の成分をそれぞれエントロピー逆符号化するエントロピー逆符号化部と、前記エントロピー逆符号化された高周波不規則画像成分のピクセル毎に、当該高周波不規則画像成分のピクセルの、周辺に位置する複数のピクセルの値をもとに、前記丸められたビット列を元のビット数に戻すために補われる乱数を生成して前記丸められたビット列に付加する乱数生成部と、前記乱数生成部により処理された高周波不規則画像成分と、前記エントロピー逆符号化された高周波不規則画像成分以外の成分とを結合する復号結合部とを具備する。
【0013】
このデコード装置では、乱数生成部が、エントロピー逆符号化された高周波不規則画像成分のピクセル毎に、当該高周波不規則画像成分のピクセルの、周辺に位置する複数のピクセルの値をもとに、丸められたビット列を元のビット数に戻すために補われる乱数を生成して丸められたビット列に付加する。この乱数は、高周波不規則画像成分のピクセル周辺の複数のピクセルの値をもとに算出されたものであることから、見た目において違和感の少ないディテイル情報を乱数によって復元画像に加えることができる。
したがって、本技術のエンコーダ装置とデコーダ装置とを組み合わせて用いた場合には、画像の圧縮率の向上と、復元画像のディテイル感の確保との両立を図ることができる。
【0014】
前記乱数生成部は、前記高周波不規則画像成分のピクセルの周辺の、前記高周波不規則画像成分以外の成分の複数のピクセルの値をもとに前記乱数を生成するものであってもよい。
【0015】
本技術の第3の側面である撮像装置は、前記画像情報の分散値を算出する分散値算出部と、前記画像情報の高周波成分において前記算出された分散値が閾値以上の成分を高周波不規則画像成分として分離する不規則画像成分分離部と、前記高周波不規則画像成分のピクセル値を示すビット列を丸める丸め処理部と、前記丸め処理部によって処理された前記高周波不規則画像成分をエントロピー符号化する第1のエントロピー符号化部と、前記高周波不規則画像成分の位置を識別可能な第1の画像情報を生成する第1のGate画像生成部とを具備する。
【0016】
この撮像装置では、第1のGate画像生成部が高周波不規則画像成分の位置を識別可能な第1の画像情報を生成する。生成された第1の画像情報はモニタなどを通して表示される。したがって、画像圧縮により失われるディテイル感が補われる領域を撮像者が一目で把握することができる。
【0017】
この撮像装置は、前記高周波不規則画像成分の位置情報を前記結合部によって結合された情報に付加するGate情報付加部をさらに具備するものであってよい。これにより、画像の圧縮情報と同時に高周波不規則画像成分の位置情報を伝送することができる。
【0018】
本技術の第4の側面である観測装置は、ピクセル値を表現するビット列が丸められた高周波成分を高周波不規則画像成分として、少なくともエントロピー符号化が施され、前記高周波不規則画像成分の位置情報が付加された圧縮画像から当該高周波不規則画像成分および位置情報を分離する第2の分離部と、前記分離された高周波不規則画像成分と、前記圧縮画像の中の当該高周波不規則画像成分以外の成分をそれぞれエントロピー逆符号化するエントロピー逆符号化部と、前記エントロピー逆符号化された高周波不規則画像成分のピクセル毎に、当該高周波不規則画像成分のピクセルの、周辺に位置する複数のピクセルの値をもとに、前記丸められたビット列を元のビット数に戻すために補われる乱数を生成して前記丸められたビット列に付加する乱数生成部と、前記乱数生成部により処理された高周波不規則画像成分と、前記エントロピー逆符号化された高周波不規則画像成分以外の成分とを結合する復号結合部と、前記分離された前記高周波不規則画像成分の位置情報をもとに当該高周波不規則画像成分の位置を識別可能な第2の画像情報を生成する第2のGate画像生成部とを具備する。
【0019】
この技術により、観測装置の側でも、周波不規則画像成分が存在する位置を観測者が確認することができる。
【0020】
本技術の第5の側面であるエンコード方法は、画像情報の分散値を算出し、前記画像情報の高周波成分において前記算出された分散値が閾値以上の成分を高周波不規則画像成分として分離し、前記高周波不規則画像成分のピクセル値を示すビット列を丸めて、前記ビット列が丸められた高周波不規則画像成分をエントロピー符号化することを特徴とする。
【0021】
本技術の第6の側面であるデコード方法は、ピクセル値を表現するビット列が丸められた高周波成分を高周波不規則画像成分として、少なくともエントロピー符号化が施された前記高周波不規則画像成分を含む圧縮画像から当該高周波不規則画像成分を分離し、前記分離された高周波不規則画像成分と、前記圧縮画像の中の当該高周波不規則画像成分以外の成分をそれぞれエントロピー逆符号化し、前記エントロピー逆符号化された高周波不規則画像成分のピクセル毎に、当該高周波不規則画像成分のピクセルの、周辺に位置する複数のピクセルの値をもとに、前記丸められたビット列を元のビット数に戻すために補われる乱数を生成して前記丸められたビット列に付加し、前記乱数が付加された高周波不規則画像成分と、前記エントロピー逆符号化された高周波不規則画像成分以外の成分とを結合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本技術によれば、画像における高周波成分のディテイル感の劣化を抑えつつ画像を良好に圧縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本技術に係る第1の実施形態のエンコーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態のエンコーダ装置の動作手順を示すフローチャートである。
【図3】第1の実施形態のエンコーダ装置による画像のWavelet変換の概要を示す図である。
【図4】第1の実施形態のデコーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図5】第1の実施形態のデコーダ装置の動作手順を示すフローチャートである。
【図6】第1の実施形態のエンコーダ装置での高周波不規則画像成分の丸め処理とデコーダ装置での乱数付加処理の概要を示す図である。
【図7】第1の実施形態のエンコーダ装置中の乱数生成部の構成を示すブロック図である。
【図8】図7の乱数算出部による乱数の算出の方法を示す図である。
【図9】本技術に係る第2の実施形態の撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図10】第2の実施形態の撮像装置において高周波不規則画像成分が存在する位置を撮像者が識別可能な画像情報の例を示す図である。
【図11】第2の実施形態の観測装置の構成を示すブロック図である。
【図12】本技術に係る第3の実施形態のエンコーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図13】第3の実施形態のデコーダ装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本技術に係る実施形態を説明する。
本技術に係る実施形態は画像のエンコーダ装置とデコーダ装置に関するものである。
【0025】
<第1の実施形態>
[エンコーダ装置]
図1は、本技術に係る第1の実施形態のエンコーダ装置100の構成を示すブロック図である。
第1の実施形態のエンコーダ装置100は変換符号化にWavelet変換を用いたものである。
【0026】
エンコーダ装置100は、Wavelet変換部101(第1の変換符号化部)、分散値算出部102、不規則画像成分分離部103、丸め処理部104、第1のエントロピー符号化部105、第2のエントロピー符号化部106、および符号化結合部107を有する。
【0027】
Wavelet変換部101は、取得した画像情報に対して変換符号化としてWavelet変換を行う。Wavelet変換によって画像情報は低周波成分と高周波成分とに分離され、低周波成分は第1のエントロピー符号化部105に供給され、高周波成分は分散値算出部102に供給される。
【0028】
分散値算出部102は、Wavelet変換部101より供給された画像の高周波成分の分散値を算出する。
【0029】
不規則画像成分分離部103は、分散値算出部102によって算出された分散値が閾値以上の高周波成分を、細かく且つ不規則な画像成分である「高周波不規則画像成分」として判定して丸め処理部104に供給する。また、不規則画像成分分離部103は、高周波成分のうちの高周波不規則画像成分以外の成分を「高周波画像成分」として、これを第2のエントロピー符号化部106に供給する。
【0030】
丸め処理部104は、画像の高周波不規則画像成分を丸め処理によって圧縮する。丸め処理としては、例えば、高周波不規則画像成分のピクセルの値を示す1バイト(Nビット)のうち下位M(N>M)ビットを切り捨てて右Mビットシフトする、といった処理などが挙げられる。より具体的には、例えば、1バイトを8ビットとした場合、下位5ビットを切り捨てて右5ビットシフトすることによって、ピクセル値の情報を3ビットに圧縮する。
【0031】
第1のエントロピー符号化部105は、丸め処理部104より供給された高周波不規則画像成分をエントロピー符号化する。エントロピー符号化の方法としては、例えば、ハフマン符号、算術符号などが用いられる。
【0032】
第2のエントロピー符号化部106は、Wavelet変換部101により供給された低周波成分と、不規則画像成分分離部103より供給された高周波画像成分をそれぞれ第1のエントロピー符号化部105と同じ方法でエントロピー符号化する。
【0033】
符号化結合部107は、第1のエントロピー符号化部105によってエントロピー符号化された高周波不規則画像成分と、第2のエントロピー符号化部106によってエントロピー符号化された低周波成分および高周波画像成分とを結合してWavelet圧縮画像とする。
【0034】
このようにして生成されたWavelet圧縮画像の符号系列は、図示しない伝送符号化装置にて伝送に適した形式に符号化され、記憶媒体、伝送媒体に送出される。
【0035】
図2は第1の実施形態のエンコーダ装置100の動作手順を示すフローチャートである。
図3はエンコーダ装置100による画像のWavelet変換の概要を示す図である。
【0036】
まず、エンコーダ装置100内のレジスタおよびメモリの初期化など、エンコーダ装置100の初期化処理が行われる(ステップS101)。次に、エンコーダ装置100は画像情報を取得してメモリに保持する(ステップS102)。
【0037】
エンコーダ装置100は、Wavelet変換部101にて画像情報のWavelet変換を行う(ステップS103)。図3に示すように、画像情報はWavelet変換によって低周波成分、X方向高周波成分、Y方向高周波成分、XY方向高周波成分に分離される。Wavelet変換部101は分離した低周波成分を第1のエントロピー符号化部105に供給する一方、高周波成分(X方向高周波成分、Y方向高周波成分、XY方向高周波成分)を分散値算出部102に供給する。
【0038】
低周波成分は、第2のエントロピー符号化部106にてエントロピー符号化される(ステップS106)。エントロピー符号化された低周波成分は符号化結合部107に供給される。
【0039】
一方、分散値算出部102は、画像の高周波成分の分散値を算出して不規則画像成分分離部103に供給する(ステップS104)。不規則画像成分分離部103は分散値が閾値以上の領域の高周波成分を高周波不規則画像成分として抽出して丸め処理部104に供給する。不規則画像成分分離部103は、その他の領域の高周波成分を高周波画像成分として第2のエントロピー符号化部106に供給する(ステップS105)。
【0040】
高周波画像成分は第1のエントロピー符号化部105にてエントロピー符号化された後、符号化結合部107に供給される(ステップS106)。
【0041】
一方、丸め処理部104では、不規則画像成分分離部103より供給された高周波不規則画像成分のピクセル値を表現する1バイトを構成するNビットをMビットに丸めることによって圧縮する(ステップS107)。なお、この丸め処理については後で詳細を説明する。丸め処理部104によって圧縮された高周波不規則画像成分の符号系列は第1のエントロピー符号化部105によってエントロピー符号化された後、符号化結合部107に供給される(ステップS108)。
【0042】
次に、符号化結合部107にて、低周波成分、高周波画像成分、高周波不規則画像成分の各符号系列が連結されることで、ひとつながりの圧縮画像情報となる(ステップS109)。未圧縮である次の画像情報があれば、その画像情報について同様に圧縮処理が行われる(ステップS110)。
【0043】
その後、圧縮画像情報は、図示しない伝送符号化装置にて伝送に適した方式で符号化され、記憶媒体に記録、あるいは伝送媒体に送出される。
【0044】
[デコーダ装置]
次に、上記のエンコーダ装置100と組み合わせて用いることのできる本実施形態のデコーダ装置について説明する。
図4は本実施形態のデコーダ装置200の構成を示すブロック図である。
デコーダ装置200は、分離部201(第1の分離部)、第1のエントロピー逆符号化部202、第2のエントロピー逆符号化部203、乱数生成部204、復号結合部205、およびWavelet逆変換部206を有する。
【0045】
分離部201は、所定の記憶媒体あるいは伝送媒体を通じて伝送され、図示しない伝送復号装置にて復号された圧縮画像を低周波成分、高周波画像成分、高周波不規則画像成分に分離する。
【0046】
第1のエントロピー逆符号化部202は、分離部201にて分離された高周波不規則画像成分の情報をエントロピー逆符号化する。
【0047】
第2のエントロピー逆符号化部203は、分離部201にて分離された低周波成分および高周波画像成分の情報を第1のエントロピー逆符号化部202と同じ方法でエントロピー逆符号化する。
【0048】
乱数生成部204は、エントロピー逆符号化された高周波不規則画像成分のピクセルの周辺の複数のピクセルの値をもとに(N−M)ビットの乱数を生成する。乱数生成部204は、生成した(N−M)ビットの乱数を、エントロピー逆符号化された高周波不規則画像成分のピクセル値のビット列の下位に付加して、高周波不規則画像成分のピクセル値を元のビット数に戻す。
【0049】
復号結合部205は、エントロピー逆符号化された低周波成分および高周波画像成分の情報と乱数生成部204にて乱数が付加された高周波不規則画像成分の情報とを結合してWavelet変換画像を復元する。
【0050】
Wavelet逆変換部206は、復元されたWavelet変換画像からWavelet逆変換により元の画像を復元する。
【0051】
図5は第1の実施形態のデコーダ装置200の動作手順を示すフローチャートである。
まず、デコーダ装置200内のレジスタおよびメモリの初期化など、デコーダ装置200の初期化処理が行われる(ステップS201)。次にデコーダ装置200は、所定の記憶媒体あるいは伝送媒体を通じて伝送され、図示しない伝送復号装置にて復号された圧縮画像を取得してメモリに保持する(ステップS202)。
【0052】
デコーダ装置200は、分離部201にて圧縮画像を低周波成分および高周波画像成分と高周波不規則画像成分とに分離する(ステップS203)。
【0053】
分離部201にて分離された低周波成分および高周波画像成分の情報は第2のエントロピー逆符号化部203にてエントロピー逆符号化される(ステップS204)。エントロピー逆符号化された低周波成分および高周波画像成分の情報は復号結合部205に供給される。
【0054】
一方、分離部201にて分離された高周波不規則画像成分の情報は第1のエントロピー逆符号化部202にてエントロピー逆符号化される(ステップS205)。エントロピー逆符号化された高周波不規則画像成分の情報は乱数生成部204に供給される。ここで、エントロピー逆符号化された高周波不規則画像成分の情報とは、エンコーダ装置100の丸め処理部104によってNビットからMビットに丸められて圧縮されたものである。
【0055】
乱数生成部204では、この高周波不規則画像成分のピクセルの値を示すMビットの下位に付加する(N−M)ビットの乱数を生成し、この乱数をMビットの下位に付加してNビットの情報に戻す(ステップS206)。
【0056】
このようにしてNビットになった高周波不規則画像成分の情報、エントロピー逆符号化された低周波成分の情報、同じくエントロピー逆符号化された高周波画像成分の情報は復号結合部205にて結合されることで、Wavelet変換画像が復元される(ステップS207)。
【0057】
この後、Wavelet逆変換部206にて、Wavelet変換画像の逆変換が行われることで、元の画像が復元される(ステップS208)。復元された画像は、図示しない表示部に供給されて可視化される。ステップS202以降の処理がすべての圧縮画像について繰り返される(ステップS209)。
【0058】
[丸め処理と乱数付加処理]
次に、エンコーダ装置100において高周波不規則画像成分のピクセル値のビット列を丸める処理と、デコーダ装置200において高周波不規則画像成分のピクセル値のビット列に乱数を付加して元のビット数に戻す処理の詳細を説明する。
【0059】
図6は丸め処理と乱数付加処理の概要を示す図である。
図6において、画像のピクセル値を示す1バイトは仮に8ビットで表現されるものとする。エンコーダ装置100の丸め処理部104は、高周波不規則画像成分のピクセル値を表現するN(=8)ビットの中の下位(N−M=5)ビットを切り捨てた後、(N−M=5)ビットだけ右にシフトさせることによって、N(=8)ビットをM(=3)ビットに丸める。一方、デコーダ装置200の乱数生成部204では、M(=3)ビットに丸められた高周波不規則画像成分のピクセル値に対して(N−M=5)ビットの乱数が付与されることでN(=8)ビットのピクセル値に戻される。
【0060】
図7は、乱数生成部204の構成を示すブロック図である。
乱数生成部204は、丸め復元部2041、乱数算出部2042、乱数付加部2043を有する。
丸め復元部2041は、Mビットに圧縮された高周波不規則画像成分のピクセル値を(N−M)ビットだけ左にシフトさせる。
【0061】
乱数算出部2042は、高周波不規則画像成分のピクセルの周辺の、低周波成分および高周波画像成分の複数のピクセルの値をもとに、例えば、次のようにして(N−M)ビットの乱数を生成する。
【0062】
図8は、乱数算出部2042による乱数の算出の方法を示す図である。
ここでAからPはそれぞれ画像のピクセルを示し、その中で斜線によるハッチングで塗り潰されたF,J,Kの3つのピクセルは高周波不規則画像成分のピクセル、その他は低周波成分および高周波画像成分のピクセルである。
【0063】
乱数の生成には、乱数が付加される高周波不規則画像成分のピクセルの周辺の、低周波成分および高周波画像成分の複数のピクセルの値が用いられる。
すなわち、乱数を表現するビット数を5とした場合、
ピクセルFの値に付与する乱数=(B+E+G+N)&0x1F
ピクセルJの値に付与する乱数=(B+I+L+N)&0x1F
ピクセルKの値に付与する乱数=(G+I+O+L)&0x1F
となる。0x1Fは2進数の"11111"である。
これにより、高周波不規則画像成分のピクセルの周辺の低周波成分および高周波画像成分の複数のピクセルの値を反映した5ビットの乱数が生成される。
【0064】
なお、図8の例では、高周波不規則画像成分のピクセルに対してX軸方向およびY軸方向に最も近い低周波成分および高周波画像成分の4つのピクセルの値を用いて乱数を生成することとしたが、斜め方向において最も近い4つのピクセルの値を加味して乱数を生成してもよい。あるいは、最も近い低周波成分および高周波画像成分の複数のピクセルだけではなく、次に近いピクセルの値を同時に用いるなどの変形も考えられる。さらに、乱数が付加されるピクセルと周辺ピクセルとの左右上下斜めの位置関係に応じて、周辺ピクセルの値に対して適切な重みを付与してから乱数を生成してもよい。また、乱数が付加されるピクセルと周辺ピクセルとの距離に応じて、その周辺ピクセルの値に適切な重みを付与してから乱数を生成してもよい。いずれにしても、高周波不規則画像成分のピクセル値のビット列に付加される乱数が周辺のピクセルの値を加味して求められたものであれば、見た目において違和感の少ないディテイル情報を乱数によって復元画像に加えることができる。また、計算が比較的複雑になるが、高周波不規則画像成分、低周波成分、高周波画像成分の種類を問わずに、乱数付加対象であるピクセルの周囲の複数のピクセルの値を用いて乱数を算出することも可能である。
【0065】
図7に戻って乱数付加部2043は、乱数算出部2042によって算出された(N−M)ビットの乱数を、丸め復元部2041によって左ビットシフトされたMビット列の下位に付加する。これによって、元のNビットで表現されるピクセル値に展開される。このようにして元のNビットに戻された高周波不規則画像成分の符号系列は、第2のエントロピー逆符号化部203によってエントロピー逆符号化された低周波成分および高周波画像成分の符号系列と復号結合部205にて結合されてWavelet変換画像に戻され、さらにWavelet逆変換部206によって非圧縮状態の画像情報に復元される。
【0066】
以上のように、本実施形態のエンコーダ装置100は、Wavelet変換により得られた高周波成分の画像中で分散値が閾値以上の領域を、画像が細かく且つ不規則な高周波不規則画像成分とする。エンコーダ装置100は、丸め処理部104にて、高周波不規則画像成分のピクセル値を表現するNビット列のうち下位(N>M)ビットを切り捨てて右ビットシフトさせることによって圧縮する。そしてエンコーダ装置100は、この丸め処理部104にて圧縮された高周波不規則画像成分の符号系列をエントロピー符号化した後、エントロピー符号化された低周波成分および高周波画像成分と結合して圧縮画像とする。これにより、細かく且つ不規則な高周波不規則画像成分を少ない符号量で圧縮することができる。
【0067】
一方、本実施形態のデコーダ装置200は、乱数生成部204にて、高周波不規則画像成分のピクセル周辺の、低周波成分および高周波画像成分の複数のピクセルの値をもとに(N−M)ビットの乱数を算出する。デコーダ装置200は、エントロピー逆符号化によって得られた高周波不規則画像成分のピクセル値のMビットの下位に、上記の(N−M)ビットの乱数を付加してNビットのピクセル値に戻す。この乱数は、高周波不規則画像成分のピクセル周辺の低周波成分および高周波画像成分の複数のピクセルの値をもとに算出されたものであることから、ランダム関数を用いて生成される一般的な乱数を用いた場合に比べ、高周波不規則画像成分に対して違和感の無いディテイル情報となり得る。
【0068】
したがって、本実施形態のエンコーダ装置100とデコーダ装置200とを組み合わせて用いることで、画像の圧縮率の向上と、復元画像のディテイル感の確保との両立を図ることができる。
【0069】
<第2の実施形態>
次に、本技術に係る第2の実施形態を説明する。
第2の実施形態は、第1の実施形態のエンコーダ装置100の構成を含む撮像装置300と第1の実施形態のデコーダ装置200の構成を含む観測装置400に関するものである。
【0070】
撮像装置300は、第1の実施形態のエンコーダ装置100の構成を有するとともに、画像全体中の高周波不規則画像成分の位置を撮像者が識別できる画像情報を生成して外部もしくは内部のモニタに表示させることのできるものである。また、この撮像装置300は、高周波不規則画像成分が存在する領域の位置情報をGate情報として、画像の低周波成分、高周波画像成分および高周波不規則画像成分の結合情報に付加し、伝送符号化して伝送する。
【0071】
観測装置400は、第1の実施形態のデコーダ装置200の構成を有するとともに、撮像装置300にて圧縮された圧縮画像を取得して、低周波成分及び高周波画像成分と、高周波不規則画像成分と、Gate情報とに分離する。観測装置400は、分離されたGate情報をもとに画像全体中で高周波不規則画像成分が存在する位置を観測者が識別できる画像情報を生成して外部もしくは内部のモニタに表示させることができる。
【0072】
[撮像装置]
図9は第2の実施形態の撮像装置300の構成を示すブロック図である。
同図に示すように、この撮像装置300は、第1の実施形態のエンコーダ装置100の構成であるWavelet変換部101、分散値算出部102、不規則画像成分分離部103、第1のエントロピー符号化部105、丸め処理部104、第2のエントロピー符号化部106、および符号化結合部107を有し、さらに、撮像装置300に特有の構成として、Gate画像生成部108(第1のGate画像生成部)とGate情報付加部109を有する。
【0073】
Gate画像生成部108は、分散値算出部102によって高周波成分に対して算出された分散値が閾値以上の位置(不規則画像成分分離部103によって高周波不規則画像成分として判定される位置)を判定し、Wavelet変換画像空間において高周波不規則画像成分が存在する位置を撮像者が識別可能な画像情報を生成する。Gate画像生成部108は、生成した画像情報を外部もしくは内部のモニタに出力して表示させる。
【0074】
図10は高周波不規則画像成分が存在する位置を撮像者が識別可能な画像情報の例を示す図である。この例では、Wavelet変換画像の高周波成分の領域において高周波不規則画像成分が存在する位置が、所定の色情報などによって、ピクセルの単位で、他の部分に対して識別可能とされている。図10のWavelet変換画像の高周波成分の各領域において黒く塗り潰された部分が高周波不規則画像成分が存在する位置を示している。実際には、黒であるとは限らず、その他の領域に対して識別可能な色であればよい。なお、高周波不規則画像成分が存在する位置は、Y方向高周波成分、X方向高周波成分、XY方向高周波成分のそれぞれにおいて異なることが分かる。
【0075】
このようにWavelet変換画像空間において高周波不規則画像成分が存在する位置を撮像者が識別可能な画像情報を生成して表示することによって、圧縮により失われるディテイル感が補われる領域を撮像者が一目で把握することができる。
【0076】
図9に戻って、Gate情報付加部109は、Y方向高周波成分、X方向高周波成分、XY方向高周波成分毎に、高周波不規則画像成分が存在する領域の位置情報をGate情報として、画像の低周波成分、高周波画像成分および高周波不規則画像成分の結合情報に付加する。これにより、画像の圧縮情報と同時にGate情報を伝送することができる。
【0077】
[観測装置]
図11は第2の実施形態の観測装置の構成を示すブロック図である。
同図に示すように、この観測装置400は、第1の実施形態のデコーダ装置200の構成である分離部201、第1のエントロピー逆符号化部202、第2のエントロピー逆符号化部203、乱数生成部204、復号結合部205、およびWavelet逆変換部206を有し、さらにこの観測装置400に特有の構成としてGate画像生成部207(第2のGate画像生成部)を有する。
【0078】
分離部201は、所定の記憶媒体あるいは伝送媒体を通じて伝送され、図示しない伝送復号装置にて復号された圧縮画像を低周波成分、高周波画像成分、高周波不規則画像成分、Gate情報に分離する。
【0079】
Gate画像生成部207は、分離部201により分離されたGate情報をもとに画像全体中で高周波不規則画像成分が存在する位置を観測者が識別できる画像情報を生成して外部もしくは内部のモニタに表示させる。これにより、観測装置400の側においても、図10と同様に高周波不規則画像成分が存在する位置を観測者が確認することができる。
【0080】
<第3の実施形態>
上記の各実施形態においては、変換符号化の方法としてWavelet変換を用いたが、本技術はこれに限定されるものではない。本技術は、変換符号化の方法としてフーリエ変換を採用した場合にも同様に適用できるものである。
【0081】
図12は変換符号化の方法としてフーリエ変換を採用したエンコーダ装置500の構成を示すブロック図である。
同図に示すように、このエンコーダ装置500は、分散値算出部501、不規則画像成分分離部502、丸め処理部503、フーリエ変換部504、第1のエントロピー符号化部505、第2のエントロピー符号化部506、および符号化結合部507を有する。
【0082】
分散値算出部501は、取得した画像情報の分散値を算出する。
不規則画像成分分離部502は、分散値算出部501によって算出された分散値が閾値以上の高周波成分を高周波不規則画像成分として判定して丸め処理部503に供給する。また、不規則画像成分分離部502は、画像情報において高周波不規則画像成分以外の成分をフーリエ変換部504に供給する。
【0083】
丸め処理部503は、画像の高周波不規則画像成分を丸め処理によって圧縮する。丸め処理の具体的な方法は第1の実施形態と同様である。
【0084】
第1のエントロピー符号化部505は、丸め処理部503より供給された高周波不規則画像成分の符号系列をエントロピー符号化する。
【0085】
フーリエ変換部504は、不規則画像成分分離部502より供給された高周波不規則画像成分以外の成分のフーリエ変換画像を生成する。
【0086】
第2のエントロピー符号化部506は、高周波不規則画像成分以外の成分のフーリエ変換画像の符号系列を第1のエントロピー符号化部505と同じ方法でエントロピー符号化する。
【0087】
符号化結合部507は、第1のエントロピー符号化部505によってエントロピー符号化された高周波不規則画像成分と、第2のエントロピー符号化部506によってエントロピー符号化された高周波不規則画像成分以外の成分とを結合して圧縮画像とする。
【0088】
このようにして得られた圧縮画像の符号系列は、図示しない伝送符号化装置にて伝送に適した方式で符号化され、記憶媒体に記録、あるいは伝送媒体に送出される。
【0089】
図13は第3の実施形態のエンコーダ装置500によって圧縮された画像情報を復号するデコーダ装置600の構成を示すブロック図である。
【0090】
同図に示すように、このデコーダ装置600は、分離部601、第1のエントロピー逆符号化部602、第2のエントロピー逆符号化部603、乱数生成部604、復号結合部605、およびフーリエ逆変換部606を有する。
【0091】
分離部601は、所定の記憶媒体あるいは伝送媒体を通じて伝送され、図示しない伝送復号装置にて復号された圧縮画像を高周波不規則画像成分と高周波不規則画像成分以外の成分に分離する。
【0092】
第1のエントロピー逆符号化部602は、分離部601にて分離された高周波不規則画像成分の情報をエントロピー逆符号化する。
【0093】
第2のエントロピー逆符号化部603は、分離部601にて分離された高周波不規則画像成分以外の成分を第1のエントロピー逆符号化部602と同じ方法でエントロピー逆符号化してフーリエ変換画像を復元する。
【0094】
乱数生成部604は、エントロピー逆符号化された高周波不規則画像成分のピクセルの周辺の、高周波不規則画像成分以外の成分の複数のピクセルの値をもとに(N−M)ビットの乱数を生成する。乱数生成部604は、生成した(N−M)ビットの乱数を、エントロピー逆符号化された高周波不規則画像成分のピクセル値のビット列の下位に付加して、高周波不規則画像成分のピクセル値を表現する元のビット数に戻す。
【0095】
フーリエ逆変換部606は、第2のエントロピー逆符号化部603により復元されたフーリエ変換画像からフーリエ逆変換によって高周波不規則画像成分以外の成分の画像を復元する。
【0096】
復号結合部605は、フーリエ逆変換によって復元された高周波不規則画像成分以外の情報と乱数生成部604にてピクセル値が元のビット数に戻された高周波不規則画像成分の情報とを結合して元の画像情報を復元する。
【0097】
このような構成を有するデコーダ装置600により、エンコーダ装置500によって圧縮された画像情報を復号することができる。
【0098】
<変形例1>
第1の実施形態においては、ピクセル値を8ビットで表現し、下位の5ビットを乱数で補うようにしたが、下位何ビットを乱数で補うかをユーザが任意に設定できるように構成してもよい。
【0099】
<変形例2>
第1の実施形態においては、高周波不規則画像成分のピクセルに対して、周辺の予め決められた複数のピクセルの値をもとに乱数を生成することとしたが、高周波不規則画像成分のピクセルに対して、周辺のどの複数のピクセルの値をもとに乱数を生成するかをユーザが任意に設定できるように構成してもよい。
【0100】
なお、本技術は以上説明した実施の形態には限定されるものではなく、本技術の技術思想の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0101】
100…エンコーダ装置
101…Wavelet変換部
102…分散値算出部
103…不規則画像成分分離部
104…丸め処理部
105…第1のエントロピー符号化部
106…第2のエントロピー符号化部
107…符号化結合部
108…Gate画像生成部
109…Gate情報付加部
200…デコーダ装置
201…分離部
202…第1のエントロピー逆符号化部
203…第2のエントロピー逆符号化部
204…乱数生成部
205…復号結合部
206…Wavelet逆変換部
207…Gate画像生成部
300…撮像装置
400…観測装置
500…エンコーダ装置
501…分散値算出部
502…不規則画像成分分離部
503…丸め処理部
504…フーリエ変換部
505…第1のエントロピー符号化部
506…第2のエントロピー符号化部
507…符号化結合部
600…デコーダ装置
601…分離部
602…第1のエントロピー逆符号化部
603…第2のエントロピー逆符号化部
604…乱数生成部
605…復号結合部
606…フーリエ逆変換部
2041…丸め復元部
2042…乱数算出部
2043…乱数付加部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報の分散値を算出する分散値算出部と、
前記画像情報の高周波成分において前記算出された分散値が閾値以上の成分を高周波不規則画像成分として分離する不規則画像成分分離部と、
前記高周波不規則画像成分のピクセル値を示すビット列を丸める丸め処理部と、
前記丸め処理部によって処理された前記高周波不規則画像成分をエントロピー符号化する第1のエントロピー符号化部と
を具備するエンコーダ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエンコーダ装置であって、
前記高周波不規則画像成分以外の成分をエントロピー符号化する第2のエントロピー符号化部と、
前記第1のエントロピー符号化部によりエントロピー符号化された高周波不規則画像成分と、前記第2のエントロピー符号化部によりエントロピー符号化された高周波不規則画像成分以外の成分とを結合する符号化結合部と
をさらに具備するエンコーダ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のエンコーダ装置であって、
前記画像情報を変換符号化して低周波成分と高周波成分とに分離する第1の変換符号化部をさらに具備し、
前記分散値算出部は、前記分離された高周波成分の分散値を算出する
エンコーダ装置。
【請求項4】
請求項2に記載のエンコーダ装置であって、
前記不規則画像成分分離部により分離された高周波不規則画像成分以外の成分を変換符号化する第2の変換符号化部
をさらに具備するエンコーダ装置。
【請求項5】
ピクセル値を表現するビット列が丸められた高周波成分を高周波不規則画像成分として、少なくともエントロピー符号化が施された前記高周波不規則画像成分を含む圧縮画像から当該高周波不規則画像成分を分離する第1の分離部と、
前記分離された高周波不規則画像成分と、前記圧縮画像の中の当該高周波不規則画像成分以外の成分をそれぞれエントロピー逆符号化するエントロピー逆符号化部と、
前記エントロピー逆符号化された高周波不規則画像成分のピクセル毎に、当該高周波不規則画像成分のピクセルの、周辺に位置する複数のピクセルの値をもとに、前記丸められたビット列を元のビット数に戻すために補われる乱数を生成して前記丸められたビット列に付加する乱数生成部と、
前記乱数生成部により処理された高周波不規則画像成分と、前記エントロピー逆符号化された高周波不規則画像成分以外の成分とを結合する復号結合部と
を具備するデコーダ装置。
【請求項6】
請求項5に記載のデコーダ装置であって、
前記乱数生成部は、前記高周波不規則画像成分のピクセルの周辺の、前記高周波不規則画像成分以外の成分の複数のピクセルの値をもとに前記乱数を生成する
デコーダ装置。
【請求項7】
前記画像情報の分散値を算出する分散値算出部と、
前記画像情報の高周波成分において前記算出された分散値が閾値以上の成分を高周波不規則画像成分として分離する不規則画像成分分離部と、
前記高周波不規則画像成分のピクセル値を示すビット列を丸める丸め処理部と、
前記丸め処理部によって処理された前記高周波不規則画像成分をエントロピー符号化する第1のエントロピー符号化部と、
前記高周波不規則画像成分の位置を識別可能な第1の画像情報を生成する第1のGate画像生成部と
を具備する撮像装置。
【請求項8】
請求項7に記載の撮像装置であって、
前記高周波不規則画像成分の位置情報を前記結合部によって結合された情報に付加するGate情報付加部をさらに具備する
撮像装置
【請求項9】
ピクセル値を表現するビット列が丸められた高周波成分を高周波不規則画像成分として、少なくともエントロピー符号化が施され、前記高周波不規則画像成分の位置情報が付加された圧縮画像から当該高周波不規則画像成分および位置情報を分離する第2の分離部と、
前記分離された高周波不規則画像成分と、前記圧縮画像の中の当該高周波不規則画像成分以外の成分をそれぞれエントロピー逆符号化するエントロピー逆符号化部と、
前記エントロピー逆符号化された高周波不規則画像成分のピクセル毎に、当該高周波不規則画像成分のピクセルの、周辺に位置する複数のピクセルの値をもとに、前記丸められたビット列を元のビット数に戻すために補われる乱数を生成して前記丸められたビット列に付加する乱数生成部と、
前記乱数生成部により処理された高周波不規則画像成分と、前記エントロピー逆符号化された高周波不規則画像成分以外の成分とを結合する復号結合部と、
前記分離された前記高周波不規則画像成分の位置情報をもとに当該高周波不規則画像成分の位置を識別可能な第2の画像情報を生成する第2のGate画像生成部と
を具備する観測装置。
【請求項10】
画像情報の分散値を算出し、
前記画像情報の高周波成分において前記算出された分散値が閾値以上の成分を高周波不規則画像成分として分離し、
前記高周波不規則画像成分のピクセル値を示すビット列を丸めて、
前記ビット列が丸められた高周波不規則画像成分をエントロピー符号化する
エンコード方法。
【請求項11】
請求項10に記載のエンコード方法であって、
前記高周波不規則画像成分以外の成分をエントロピー符号化し、
前記エントロピー符号化された高周波不規則画像成分と、前記エントロピー符号化された高周波不規則画像成分以外の成分とを結合する
エンコード方法。
【請求項12】
請求項11に記載のエンコード方法であって、
前記画像情報を変換符号化して低周波成分と高周波成分とに分離し、
前記分離された高周波成分の分散値を算出する
エンコード方法。
【請求項13】
請求項11に記載のエンコード方法であって、
前記分離された高周波不規則画像成分以外の成分を変換符号化する
エンコード方法。
【請求項14】
ピクセル値を表現するビット列が丸められた高周波成分を高周波不規則画像成分として、少なくともエントロピー符号化が施された前記高周波不規則画像成分を含む圧縮画像から当該高周波不規則画像成分を分離し、
前記分離された高周波不規則画像成分と、前記圧縮画像の中の当該高周波不規則画像成分以外の成分をそれぞれエントロピー逆符号化し、
前記エントロピー逆符号化された高周波不規則画像成分のピクセル毎に、当該高周波不規則画像成分のピクセルの、周辺に位置する複数のピクセルの値をもとに、前記丸められたビット列を元のビット数に戻すために補われる乱数を生成して前記丸められたビット列に付加し、
前記乱数が付加された高周波不規則画像成分と、前記エントロピー逆符号化された高周波不規則画像成分以外の成分とを結合する
デコード方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−191287(P2012−191287A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51042(P2011−51042)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】