説明

エンジンのスロットル制御装置

【課題】エアクリーナの容量が確保でき、かつエアクリーナを吸気ポート側に接近して配置したエンジンのコンパクト化を図ることができるエンジンのスロットル制御装置を提供する。
【解決手段】シリンダヘッドカバー80は、シリンダヘッド30の上方に位置するカム軸61に向かって窪む凹部90を備え、駆動モータ61は凹部90内に配置され、さらに、前記駆動モータ61の回転軸61aがカム軸82に対して直交方向に配置されかつ前記カム軸82の軸方向から見てカムホルダ83と重なる位置に配置されたことを特徴とするエンジン16のスロットル制御装置70。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエンジンのスロットル制御装置に関し、特に、鞍乗型車両に適用して好適なエンジンのスロットル制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鞍乗型車両には、スロットルグリップとエンジンの吸入空気量を制御するスロットル弁とをスロットルワイヤを介して接続し、スロットルグリップの操作に応じてスロットル弁を連動動作する車両がある。そして、近年では、スロットルグリップの操作をアクセルポジションセンサ(APS)で検出し、この検出信号に基づいてスロットル弁を駆動モータで作動させる構成が採用されている。
【0003】
この種のスロットル弁を駆動モータにて作動させる駆動モータユニットを具備する鞍乗型車両では、例えば、特許文献1に開示された駆動モータユニットのように、駆動モータがスロットルボディに接近して配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−256896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この駆動モータは、比較的大きい構成部材であることから、特許文献1に開示されているように、スロットルボディの上流端(エアクリーナ側)からエアクリーナ側に突出する構成となる。このため、吸気ポートとエアクリーナとの距離を離さなければならなかった。
一方、エアクリーナを吸気ポートに接近させてコンパクトに配置する場合、エアクリーナの空間内に駆動モータを配置する提案もなされている。しかしながら、この場合、エアクリーナ容量を減らさなければならないという課題があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、エアクリーナの容量が確保でき、かつエアクリーナを吸気ポート側に接近させてエンジンのコンパクト化を図ることができるエンジンのスロットル制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、アクセル操作部の操作量に応じてアクセルポジションセンサユニットからの信号に基づき駆動モータユニットの駆動モータを駆動してスロットルバルブを開閉動作させるように構成されたエンジンのスロットル制御装置において、
シリンダヘッドカバーは、シリンダヘッドの上方に位置するカム軸に向かって窪む凹部を備え、
前記駆動モータは前記凹部内に配置され、さらに、前記駆動モータの回転軸が前記カム軸に対して直交方向に配置されかつ前記カム軸の軸方向から見てカムホルダと重なる位置に配置されたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の構成に加えて、前記カム軸を保持する一対の前記カムホルダ間に少なくとも1つのカムロブが設けられており、前記駆動モータは前記カムロブの回転軌跡に対して、前記カム軸の軸方向から見て重なるとともに、該軸方向に直交する方向から見ても重なる位置に配置されたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の構成に加えて、前記駆動モータは一対の前記カムロブ間に設けられており、前記カム軸の軸方向に直交する方向で前記両カムロブの回転軌跡に重なる位置に配置されたことを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の構成に加えて、エアクリーナはスロットルボディを介して前記シリンダヘッドカバーに対面するように配置され、前記駆動モータユニットは、前記スロットルボディに取り付けられて、該スロットルボディの上端よりも前記エアクリーナ側に突出しないように構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の構成に加えて、
前記凹部は、前記シリンダヘッドカバーと前記シリンダヘッドとのあわせ面よりも上方側に位置するように配置されていることを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の構成に加えて、前記シリンダヘッドカバーが前記シリンダヘッドに弾性部材を介して支持されており、さらに、前記駆動モータユニットが前記シリンダヘッドカバーに取り付けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項1〜6のいずれかに一項に記載の構成に加えて、前記駆動モータの回転が、ベベルギヤを介して前記スロットルバルブのスロットル回転軸に伝達されるように構成されたことを特徴とする。
【0014】
請求項8に係る発明は、請求項7に記載の構成に加えて、前記スロットル回転軸が前記カム軸の軸線方向に対して直交する方向に向けられており、前記駆動モータの回転が、平歯車列を介して前記スロットル回転軸に伝達されるように構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、駆動モータユニットの少なくとも一部がヘッドカバーに形成された凹部に配置されることにより、駆動モータユニットの吸気通路の軸線方向での突出を抑えることができ、駆動モータユニットのエアクリーナとの干渉を避けることができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、モータ部がカム軸の軸方向視でカムロブの回転軌跡に重なるように配置されたことにより、モータ本体部をシリンダヘッドカバーの凹部に大きく埋没させることができ、突出をさらに抑えることができる。
【0017】
請求項3の発明によれば、2つのカムロブの回転軌跡に重なる位置まで凹部を構成したので、モータ本体部の突出をさらに抑えることができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、駆動モータユニットがスロットルボディの上端よりも記エアクリーナ側に突出しないように構成されているので、スロットルボディの上端に接続されるエアクリーナと干渉することが回避され、エアクリーナの容量を減ずることなく駆動モータユニットを配置することができる。
【0019】
請求項5の発明によれば、凹部は、シリンダヘッドカバーとシリンダヘッドとのあわせ面よりも上方側に位置することで、このヘッドカバーに凹部を形成するときに、ヘッドカバーのみを加工すればよく、あわせ面の加工性を良くすることができる。
【0020】
請求項6の発明によれば、シリンダヘッドカバーがシリンダヘッドに弾性部材を介して支持され、その上駆動モータユニットがヘッドカバーに取り付けられていることで、特別な支持構造を設けなくても駆動モータユニットへのエンジン振動が軽減できるので、支持構造が小型化を図ることができる。
【0021】
請求項7の発明によれば、スロットル回転軸を駆動構造として、駆動モータの回転力を、ベベルギヤを介して伝達するので、スロットル回転軸に対してモータの回転軸を交差方向に配置することができ、駆動モータをシリンダヘッド側に配置させることができる。
【0022】
請求項8の発明によれば、スロットル回転軸は、平歯車を介して駆動力が伝達できるので、ギヤ構造が平易となるだけでなく、ギヤ加工が容易であるとともにギヤ部分の組み立て調整を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態であって、エンジンのスロットル制御装置を搭載した自動二輪車の側面図である。
【図2】図1に示した自動二輪車の平面図である。
【図3】本発明の第1実施形態における駆動モータユニットの取付け状態を示す部分斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態における駆動モータユニットの取付け状態を示す部分平面図である。
【図5】図4に示す駆動モータユニットの取付け状態を、カム軸線方向から見てシリンダヘッドを一部破断した部分側面図である。
【図6】図5におけるA部分の拡大断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態における駆動モータユニットの取付け位置を示すための概略図であって、車両後方側から見たときのカム軸と駆動モータとの位置を示す説明図である。
【図8】本発明の第2実施形態における駆動モータユニットの取付け状態を示す図であって、車両側面側の方向から見てシリンダヘッド近傍を一部破断した部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係るエンジンのスロットル制御装置の第1実施形態について、添付の図1〜図7に基づいて詳細に説明する。
なお、図面は符号の向きに見るものとし、図中におけるFrは車両前方を、Rrは車両後方を、Upは車両上方を、Dwは車両下方を、Rは車両右側を、Lは車両左側を示すものとする。
【0025】
図1及び図2に示すように、自動二輪車1は、前輪2を軸支するフロントフォーク3が、不図示のステアリングステムを介して、車体フレーム5の前端部に設けられるヘッドパイプ6に操舵可能に枢支される。ヘッドパイプ6からは車体フレーム5のメインフレーム7が斜め下後方に延び、その後端部が下方に屈曲してピボットプレート8に連なる。また、メインフレーム7の後部上方には、後方に延びるシートフレーム9の前端部が接続され、メインフレーム7の後部中央には、斜め上後方に延びるリヤフレーム10の前端部が接続されて、シートフレーム9とリヤフレーム10とは後端部で接続される。
【0026】
そして、自動二輪車1の車体後部には、ピボットプレート8に設けられるピボット軸111を介して、後輪12を軸支するスイングアーム13の基端部がスイング可能に取り付けられる。
なお、ピボット軸11は後輪12の車軸14と同様に、車幅方向と平行に設けられる。
【0027】
メインフレーム7の上部には燃料タンク15が、メインフレーム7の下部にはエンジン16及びラジエータ17が各々搭載される。また、シートフレーム9の上部にはシート18が取り付けられ、このシート18は、燃料タンク15の後方に配置される。
なお、図中19はウィンドスクリーン、20は操舵用のハンドル、21はフロントフェンダ、22はリヤフェンダ、23はサイドスタンドである。
【0028】
自動二輪車1の前部はアッパカウル24及びフロントカウル25により覆われ、シートフレーム9周辺はリアカウル26により覆われる。後輪12の左側にはリアスプロケット27が取り付けられ、このリアスプロケット27とエンジン16の後部左側に配設されるドライブスプロケット28とにドライブチェーン29が掛け回されることによって、エンジン16の駆動力が後輪12に伝達される。
【0029】
エンジン16は、水冷式直列4気筒型のエンジンであり、前輪2と後輪12との間に配置されている。また、エンジン16は、車体幅方向に沿って4本の気筒が直列にならび、各気筒は、シリンダヘッド30の車体後面側に吸気ポート81(図においてはアルファベットを付けて「81a,81b,81c,81d」と表記する)(図4参照)が開口しており、各吸気ポート81には、吸気ポート81から後上方へ延出する吸気通路11(図においてはアルファベットを付けて「31a,31b,31c,31d」と表記する)がそれぞれ接続されている。
【0030】
また、図1に示すように、エンジン16のシリンダヘッド30の各気筒には、4本の排気管40がそれぞれ接続されている。この4本の排気管40は、シリンダヘッド30から下方に延び、エンジン16の下方にて屈曲され1本に集合され、エンジン16の後方にて2本に分岐され屈曲されて、後輪12の左右両側に配置されるマフラ50,50に接続される。マフラ50は、マフラステー51を介してリヤフレーム10の下方に固定される。
なお、図1中、エンジン16の下方部には潤滑油を溜めるためのオイルパン16aがもうけられている。
【0031】
スロットルボディ31は、図3〜図5に示すように、各気筒の吸気ポート81に接続される吸気通路11(図においてはアルファベットを付けて「11a,11b,11c,11d」と表記する)を有する略筒状構造体で、吸気通路11が各吸気ポート81から上方に延びるように、シリンダヘッド30の後方に配置される。また、吸気通路11は、その上流端の開口であるファンネル34(図においてはアルファベットを付けて「34a,34b,34c,34d」と表記する)が、メインフレーム7と燃料タンク15との間に車幅方向に並んで配置され、エアクリーナ32のハウジング32hにそれぞれ接続されている。
【0032】
エアクリーナ32は、エンジン16と燃料タンク15とで挟まれるように配置されており、これにより、下面側はエンジン16によって覆われ、上面側は燃料タンク15によって覆われている。また、エアクリーナ32の前方側面部には左右一対の吸気口39が形成されており、この吸気口39には吸気ダクト(図示せず)の吐出口が接続されている。また、この吸気ダクトの空気取込口(図示せず)は、アッパカウル24の前面部に形成されている。
【0033】
そして、車体前方から吸気ダクトを介してエアクリーナ32内に取り込まれた空気は、エアクリーナ32に内蔵されるエアーフィルタ33により浄化された後、エアクリーナ32の後部下面に接続される吸気通路11を介して、シリンダヘッド30の各気筒に供給される。
エアクリーナ32において、エアーフィルタ33の下流となる内部空間32a(図1及び図3参照)は、エアーフィルタ33により浄化された空気を貯留しておく膨張室であって、各吸気通路11に十分な空気を供給できるように、十分な容量が設定されている。
【0034】
また、本実施形態においては、図3及び図4に示すように、駆動モータ61は、シリンダヘッドカバー80の凹部90内に配置されている。すなわち、シリンダヘッドカバー80には、シリンダヘッド30の上方に位置するカム軸82に向かって窪む凹部90が形成されている。そして、この凹部90に、駆動モータ61が嵌り込むようにして配置されている。
また、図4に示すように、駆動モータ61の回転軸61aは、エンジン16の横方向に水平に延びているカム軸82に対して直交方向に配置されている。また、図5に示すように、カム軸82の軸方向から見てカムホルダ83と重なるように配置されている。
【0035】
このように、駆動モータユニット60の一部を構成する駆動モータ61がシリンダヘッドカバー80に形成された凹部90に配置されることにより、ユニット全体がヘッド側に配置されるので、駆動モータユニット60が吸気通路11の軸線方向、すなわち、本実施形態においてはエアクリーナ32側に大きく突出するのを抑えることがでる。
したがって、駆動モータユニット60がエアクリーナ32と干渉することが避けられエアクリーナ32をエンジン側に接近して構成することができ、エアクリーナ32の容量を十分大きくすることができる。
【0036】
また、図4に示すように、駆動モータ61の駆動力は、駆動モータの回転軸61aに取り付けられた第2傘歯車65bとスロットル回転軸68に取り付けられた第1傘歯車65aとのベベルギヤを介して伝達される。したがって、スロットルバルブ38(図においてはアルファベットを付けて「38a、38b,38c、38d」と表記する)は、4つの吸気通路を貫通する一本のスロットル回転軸68が駆動されて適宜開閉動する。
【0037】
図4に示すように、各スロットルボディ31(図においてはアルファベットを付けて「31a,31b,31c,31d」と表記する)の吸気通路11の途中には、吸気通路11を開閉するスロットルバルブ38と、これらスロットルバルブ38の開度を調整する駆動モータ61と、各吸気通路11内に燃料を噴射する電子制御式のインジェクタ35(図においてはアルファベットを付けて「35a,35b,35c,35d」と表記する)と、が装備される。
【0038】
また、本実施形態においては、図4および図7に示すように、カム軸82を保持する一対のカムホルダ83間に一対のカムロブ88が設けられている。そして、駆動モータ61はカムロブ88の回転軌跡89に対して、カム軸82の軸方向(車両側面方向)から見て所定量h1(図7に示す高さ方向の重なり量h1)だけ重なるとともに、この軸方向に直交する方向(車両上下方向)から見た場合においても、駆動モータ61の左右両側部位が所定量W1,W1(図4及び図7に示す幅方向の重なり量W1)だけ重なるように配置されている。
また、図7に示すように、カムホルダ83と駆動モータ61とは車両側面方向から見て所定量h2だけ重なっている。
このように、駆動モータ61がカム軸82の軸方向視でカムロブ88の回転軌跡89に重なるように配置されていることにより、駆動モータ61を可能な限りシリンダヘッド側に配置させることができる。
【0039】
スロットルバルブ38は、所謂バタフライ弁で、スロットル回転軸68を駆動モータ61により回転操作されることで、開度が調整される。
本実施形態においては、一つの駆動モータ61により4つのスロットルバルブ38を同時に作動させるように構成されている。これは、図4に示すように、一本の長くかつ各吸気通路を貫通した水平なスロットル回転軸68に第1傘歯車65aが取り付けられ、この第1傘歯車65aに歯合する第2傘歯車65bが駆動モータ61の回転軸61aに取り付けられている。また、これらの歯車はギヤ収納ケース65により適宜覆われて保護されている。
【0040】
本実施形態では、前掲のように、エアクリーナ32はスロットルボディ31を介してシリンダヘッドカバー80に対面するように燃料タンク15の下側に配置されているが、図5に示すように、駆動モータユニット60が、スロットルボディ31に取り付けられて、このスロットルボディ31の上端31tよりもエアクリーナ32側に突出しないように構成されている。この結果、スロットルボディの上端31tに接続されるエアクリーナ32と干渉することが回避される。また、エアクリーナ32の容量は駆動モータユニット60によって減ずることなく配置される。
【0041】
また、凹部90は、図5に示すように、シリンダヘッドカバー80とシリンダヘッド30とのあわせ面99よりも上方側に位置するように構成されている。この構成によると、凹部90を形成するときに、シリンダヘッドカバー80のみを鋳造成形によりへこませればよく、あわせ面99に特別な加工を加える必要が無くシリンダヘッド30側の加工性が良い。
【0042】
また、本実施形態においては、図6に示すように、例えば、シリンダヘッドカバー80は、その下端面80dには溝80eが形成されており、シリンダヘッド30とのあわせ面99に弾性部材84が挟み込まれるようにしてシリンダヘッド30に固定されている。これにより、シリンダヘッドカバー80に、例えば、ブラケット95にネジ95a(図7参照)にて取り付けられている駆動モータユニットは、エンジン16に対して弾性体を介して取り付けされていることになり、特別な指示構造を設けなくても駆動モータユニット60へのエンジン振動が軽減される。
【0043】
また、本実施形態では、図2に示すように、車体右側のハンドル20には、エンジン出力を調整するためのアクセル操作部として、アクセル操作部20aが回転可能に設けられている。
【0044】
本実施形態におけるスロットル制御装置70は、アクセル操作部20aのスロットル操作量に応じて各気筒に供給する空気量を制御する装置であり、エンジン16の吸気通路11と、スロットルバルブ38と、駆動モータ61と、スロットル操作量であるアクセル操作部20aの回転操作量を電気信号に変換するアクセルポジションセンサ75を備えるアクセルポジションセンサユニット71と、このアクセルポジションセンサユニット71の出力に基づいて駆動モータ61の動作を制御する制御装置としてコンピュータ37(図1参照)と、を備えている。
【0045】
アクセルポジションセンサユニット71は、図1に示すように、アクセル操作部20aの回転操作に従動して変位する例えば2本のワイヤ72,73と、これらワイヤ72,73の変位に応じてアクセル操作部20aの操作量に応じた回転変位を発生する回転カム74と、この回転カム74の回転変位量に応じた電気信号を発生する素子が組み込まれたアクセルポジションセンサ75と、を備える。
このアクセルポジションセンサユニット71は、例えば、ヘッドパイプ6の少し後方で、燃料タンク15とエンジン16とに挟まれる空間に収まるように、メインフレーム7の前端部に掛け渡されたクロスメンバ(図示せず)に取り付けることができる。これにより、エンジン16のスロットル制御装置70は、スロットルバルブ38をワイヤで直接に開閉制御する従来の機械式のスロットル制御装置と同様の操作フィーリングを確保することができる。
【0046】
本実施形態のスロットル制御装置70は、前掲のように、シート18の下に配設された電子制御装置(ECU)37を有しているが、このアクセルポジションセンサ75によって検出されたスロットル操作量が電子制御装置37に通知され、他の諸情報とともに処理されて、インジェクタ35及び駆動モータ61の動作が制御される。すなわち、電子制御装置37は、集められた複数の情報に基づきスロットル開度を適宜補正して制御し、スロットル操作により乗員の期待に添った加速、或いは、減速が得られるように、適切なスロットル開度に制御する。
【0047】
(第2実施形態)
以下、本発明に係るスロットル制御装置の第2実施形態について、図8を参照して説明する。
なお、本実施形態において、第1実施形態と略同一の構成については同一の符号を付して示し、詳細な説明を省略する。本実施形態における自動二輪車は、第1実施形態と同様に、4気筒エンジンの場合に適用したものである。
【0048】
本実施形態における駆動モータユニット60は、前掲のように、電子制御装置37からの駆動信号によって駆動モータ61を駆動してスロットルバルブ38を適宜回転動作させる。
この駆動モータユニット60は、駆動モータ61と、車両前後方向に延びる4個のスロットル回転軸69(図においてはアルファベットを付けて「69a,69b,69c,69d」と表記する)の一端に取付けられた第1ギヤ63aと、駆動モータ61のモータ回転軸の一端に取付けられたモータギヤ63cと、両ギヤ間に介在するピニオンギヤ63b等の平歯車列から構成されている。また、この平歯車列はギヤ収納ケース65によって覆われている。
【0049】
そして、本実施形態においては、駆動モータ61は、スロットル回転軸69に対応してその数だけ設けるように構成してもよいが、図示しない適宜平歯車を介在させて4個のスロットルバルブ38(図においてはアルファベットを付けて「38a,38b,38c,38d」と表記してある)を同時に動作させるように構成してもよい。
このように本実施形態においては、駆動モータ61の回転力を伝達するギヤ構造が平易となり、ギヤ加工が容易であるとともに組み立て調整が容易である。
【0050】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、歯車構造や駆動モータの数等についても、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
また、前掲の実施形態においては、本発明を自動二輪車に適用したが、三輪車(三輪バギー)や四輪バギーを含む鞍乗型車両、その他の内燃機関に適用することができる。
【符号の説明】
【0051】
16 エンジン
20a アクセル操作部
30 シリンダ
35 スロットルバルブ
38 スロットルバルブ
60 駆動モータユニット
61 駆動モータ
68,69 スロットル回転軸
70 スロットル制御装置
72,73 スロットルワイヤ
71 アクセルポジションセンサユニット
80 シリンダヘッドカバー
82 カム軸
83 カムホルダ
90 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセル操作部(20a)の操作量に応じてアクセルポジションセンサユニット(71)からの信号に基づき駆動モータユニット(60)の駆動モータ(61)を駆動してスロットルバルブ(38)を開閉動作させるように構成されたエンジン(16)のスロットル制御装置(70)において、
シリンダヘッドカバー(80)は、シリンダヘッド(30)の上方に位置するカム軸(82)に向かって窪む凹部(90)を備え、
前記駆動モータ(61)は前記凹部(90)内に配置され、さらに、前記駆動モータ(61)の回転軸(61a)が前記カム軸(82)に対して直交方向に配置されかつ前記カム軸(82)の軸方向から見てカムホルダ(83)と重なる位置に配置されたことを特徴とするエンジン(16)のスロットル制御装置(70)。
【請求項2】
前記カム軸(82)を保持する一対の前記カムホルダ(83)間に少なくとも1つのカムロブ(88)が設けられており、前記駆動モータ(61)は前記カムロブ(88)の回転軌跡(89)に対して、前記カム軸(82)の軸方向から見て重なるとともに、該軸方向に直交する方向から見ても重なる位置に配置されたことを特徴とする請求項1に記載のエンジン(16)のスロットル制御装置(70)。
【請求項3】
前記駆動モータ(61)は一対の前記カムロブ(88)間に設けられており、前記カム軸(82)の軸方向に直交する方向で前記両カムロブ(88)の回転軌跡(89)に重なる位置に配置されたことを特徴とする請求項1または2に記載のエンジン(16)のスロットル制御装置(70)。
【請求項4】
エアクリーナ(32)はスロットルボディ(31)を介して前記シリンダヘッドカバー(80)に対面するように配置され、
前記駆動モータユニット(60)は、前記スロットルボディ(31)に取り付けられて、該スロットルボディ(31)の上端(31t)よりも前記エアクリーナ(32)側に突出しないように構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のエンジン(16)のスロットル制御装置(70)。
【請求項5】
前記凹部(90)は、前記シリンダヘッドカバー(80)と前記シリンダヘッド(30)とのあわせ面(99)よりも上方側に位置するように配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のエンジン(16)のスロットル制御装置(70)。
【請求項6】
前記シリンダヘッドカバー(80)が前記シリンダヘッド(30)に弾性部材(84)を介して支持されており、さらに、前記駆動モータユニット(60)が前記シリンダヘッドカバー(80)に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜5にいずれか一項に記載のエンジン(16)のスロットル制御装置(70)。
【請求項7】
前記駆動モータ(61)の回転が、ベベルギヤを介して前記スロットルバルブ(38)のスロットル回転軸(68)に伝達されるように構成されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに一項に記載のエンジン(16)のスロットル制御装置(70)。
【請求項8】
スロットル回転軸(69)が前記カム軸(82)の軸線方向に対して直交する方向に向けられており、前記駆動モータ(61)の回転が、平歯車列を介して前記スロットル回転軸(69)に伝達されるように構成されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに一項に記載のエンジン(16)のスロットル制御装置(70)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−207639(P2012−207639A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75726(P2011−75726)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】