説明

エンジンの潤滑構造

【課題】ミッションケースやミッションホルダに複雑の回避が可能なエンジンの潤滑構造を提供する。
【解決手段】メインシャフト20とカウンタシャフト30の間の動力伝達機構をユニット化してミッション室3に着脱自在になされたミッションホルダ40を有し、且つミッション室3に隣接して、クランクシャフト50の回転をトランスミッション60に伝達するクラッチ機構を有するクラッチ室2を有しており、トランスミッション60に潤滑オイルを供給するように構成されたエンジン1の潤滑構造である。そして、クラッチ室2とミッション室3との間に、この両室を連通するオイル導入口10,15が設けられ、オイル導入口10,15は、クラッチ室2側において上方に向いて開いた開口11,16が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエンジンの潤滑構造に関し、特に、カートリッジ式ミッションギア機構を備えるエンジンの潤滑構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のミッションギア機構における潤滑装置は、ミッションギア機構における潤滑装置のメインシャフト(カウンタ軸)やカウンタシャフト(ドライブ軸)への潤滑オイル供給のための通路は、通常ミッションケースの壁部内やミッションホルダ(ミッションケースカバー)の肉厚部内等に形成された通路や溝部からなり、メインシャフトやカウンタシャフトへの潤滑オイルの供給はエンジンメインギャラリーからの所定の分岐通路部等を介してなされている。
【0003】
また、ミッションケースの壁部内やミッションホルダの肉厚部内を貫通するように形成される潤滑オイル通路は、その経路が複雑であることからミッションケースやミッションホルダのその端壁部においてしばしば開口された通路開口として形成され、この開口状態とされた通路開口が適宜手段により閉塞されて潤滑オイル供給のための通路が形成されるものであり、しばしばこのような分岐通路部を介したメインシャフトもしくはカウンタシャフトへの潤滑オイルの供給がなされるものである。
そして、前掲のオイル供給路形成において、ミッションホルダの取り付けによって通路開口が閉塞されてオイル供給通路が形成される構造が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−308775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、従来のミッションギア機構への潤滑オイル供給通路は、ミッションケースやミッションホルダに複雑なオイル供給通路を形成する構造が採用されているだけでなく、オイルジェット等の強制的な給油系を必要としていた。この結果、クランクケースの複雑化や部品点数の増加という課題があった。
【0006】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ミッションケースやクランクケース等の複雑化が回避できるエンジンの潤滑構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、メインシャフトとカウンタシャフトの間に配置される減速ギヤ機構と、該減速ギヤ機構のギヤチェンジを行うシフトドラムとを備えるトランスミッションと、クランクシャフトの回転を前記トランスミッションに伝達するクラッチ機構と、を備え、
前記トランスミッションをユニット化して収容するミッション室と、前記クラッチ機構を有するクラッチ室とが、クランクケース内で、ミッションホルダによって区画され、
前記トランスミッションに潤滑オイルを供給するように構成されたエンジンの潤滑構造において、
前記クラッチ室と前記ミッション室との間に、前記両室を連通するオイル導入口が設けられ、
前記オイル導入口は、前記クラッチ室側において上方に向いて開いた開口を備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の構成に加えて、前記オイル導入口は前記ミッションホルダに設けられ、前記オイル導入口に連通するオイル通路がクランクケースに設けられ、オイル通路に連通する共に、ミッション収容部に連通するミッション開口がクランクケース幅方向略中央に形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の構成に加えて、前記メインシャフトよりも前記カウンタシャフトが上方側に配置されており、前記オイル通路のミッション収納部への前記ミッション開口が前記メインシャフトの直上に位置されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1に記載の構成に加えて、前記ミッションホルダの前記カウンタシャフトの軸端部が開口されて前記オイル導入口を形成するように構成されたことを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の構成に加えて、前記カウンタシャフトは中空部部分がオイル通路を構成することを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載の構成に加えて、前記オイル導入口は前記開口がクラッチ室の内方に張出してオイルを前記オイル導入口へ導く受壁底面部が設けられたことを特徴とする。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の構成に加えて、前記受壁底面部には、クラッチ回転方向に対して対向し且つ前記オイル導入口につながる壁面からなる延長壁部が設けられたことを特徴とする。
【0014】
請求項8に係る発明は、請求項2に記載の構成に加えて、前記オイル通路は前記ミッション室のミッションブリーザ通路と連通していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、クラッチ室において、クラッチ回転によってクラッチ室内を浮遊するミスト状あるいは液滴状の潤滑オイルが、上方に向いて開いた開口によって回収することができ、回収された潤滑オイルを、オイル導入口からミッション室へ供給することができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、オイル導入口はクランクケース側方寄り位置するミッションホルダから、オイル通路を介してクランクケース幅方向略中央に設けられたミッション開口によりミッション収容部に潤滑オイルを供給することができるので、潤滑オイルをミッションホルダからシャフト中央側へ導き効率よく潤滑できる。
【0017】
請求項3の発明によれば、オイル通路のミッション収納部へのミッション開口がメインシャフトの直上に位置されているので、オイル通路から供給される潤滑オイルをメインシャフトに効果的に導き効率よく潤滑することができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、軸受部の開口からカウンタシャフトを介して容易に潤滑オイルを供給でき、オイル供給構造が簡素化される。また、カウンタシャフトがメインシャフトの上に位置されているので、カウンタシャフトからメインシャフトへと潤滑オイルを供給することができる。
【0019】
請求項5の発明によれば、軸受部の開口からカンタシャフトの中空部分を介してミッション収納部内へ極めて容易に潤滑オイルを供給でき、オイル供給構造が簡素化される。
【0020】
請求項6の発明によれば、クラッチ室内方に張出す受壁底面部によってクラッチ室内で浮遊している潤滑オイルを受止めることができ、これにより潤滑オイルを回収してオイル導入口に導き供給することができる。
【0021】
請求項7の発明によれば、クラッチ回転によって飛散している潤滑オイルを受壁底面部だけでなく延長壁部によっても集めることができるので、より効果的に潤滑オイルを集めてミッション収納部へ供給することができる。
【0022】
請求項8の発明によれば、オイル通路はミッション室のミッションブリーザ通路と連通しているので、ミッションブリーザ通路の通路容積を大きくすることができ、高回転域でのエンジン出力やレスポンスの向上に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るエンジンの主要構造を示すクランクシャフトに沿う方向の断面図である。
【図2】図1に示すミッションホルダを側面方向から見た要部側面図である。
【図3】図1に示すクランクケースの右半分の内側を示す側面図である。
【図4】図1に示すクランクケースの左半分の内側を示す側面図である。
【図5】本発明に係るオイル導入口およびクランクケース内のオイル通路を示すためのミッションホルダ及びクランクケースを一部破断した斜視図である。
【図6】本発明に係るオイル導入口およびカウンタシャフト内のオイル通路を示す断面図である。
【図7】本発明に係るオイル導入口およびカウンタシャフトへの開口を示すミッションホルダの部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態について、図1〜図7を参照しながら詳細に説明する。本実施形態は、自動二輪車のエンジンについて、具体的に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【0025】
図1は、本実施形態におけるエンジン1のトランスミッション60の周辺の構造部を示す断面であり、クランクシャフト50やクランクケース55の一部、クラッチ機構90、ミッションギア機構61などが示されている。
【0026】
そして、図1に示すように、エンジン1のクランクシャフト50の一端にはプライマリドライブギア51が取付けられ、このプライマリドライブギア51はメインシャフト20上のプライマリドリブンギア90aと噛合い、プライマリドリブンギア90aとメインシャフト20との間にはクラッチ機構90が介装されている。
【0027】
メインシャフト20にはミッションギア機構61の減速用ギア列20eが軸装され、カウンタシャフト30(ドライブシャフト)の減速用ギア列30eと噛合い、そのギアシフトされた減速比によりカウンタシャフト30が駆動される。カウンタシャフト30の左方端30bにはドライブスプロケット30sが固定され、チエーンを介して図示されない車両駆動用の駆動輪に動力が伝えられる。
【0028】
クランクシャフト50はクランクケース55に軸受部を介して回転自在に軸架されている。またメインシャフト20およびカウンタシャフト30はクランクケース55に連設される軸受73,74並びにミッションホルダ40に設けられる軸受70,71を介して回転自在に軸架されている。そして、ミッションホルダ40によって、ミッション室3とクラッチ室2とが別室になるように画成されている。ここで、ミッション室3は、クランクケース55の側壁にて構成されるミッション室側壁3cにより軸周りが囲まれるように構成され、また、軸端側がミッションホルダ40によって適宜閉じられて形成されている。
なお、クランクケース55は、図3に示す右ケース55Rと図4に示す左ケース55Lとの組み合わせにより構成される。
【0029】
また、メインシャフト20は、図1においてその右方端の軸端20aが、ミッションホルダ40から貫通してクラッチ室2内に突出しており、この軸端20aには、プライマリドリブンギア90aとクラッチ機構90が取付けられている。
【0030】
また、カウンタシャフト30は、その左方端の軸端30bに前述のドライブスプロケット30sが固定されている一方、右方端の軸端部30aには、ミッションホルダ40により半分だけ覆われて軸受70に支持され、かつ後述するオイル導入口10,15(図2参照)が設けられている。
【0031】
以下、本実施形態におけるエンジン1とミッションギア機構61の潤滑構造について説明する。
【0032】
なお、図示しないオイルフイルタは、クランクケース55の下方側の適宜箇所に取付けられ、また、図示しないオイルクーラは、例えば気筒前方のクランクケース55の下方側の前面に取付けられており、さらに、クランクケース55のクランクシャフト50の下方にメインギャラリ54が設けられている。また、メインギャラリ54に通じるオイル供給通路54a等が適宜開口している。
【0033】
そして、オイルポンプの吸引によりオイルパンから吸い上げられた潤滑オイルは、オイルフイルタおよびオイルクーラを介して適宜供給通路を経てメインギャラリ54に供給される。そして、さらにメインギャラリ54から分岐するオイル供給通路54aを経てクランクシャフト50の各軸受部分に供給され、該軸受部分の潤滑に供される。
【0034】
本実施形態においては、トランスミッション60をユニット化して収容するミッション室3と、クラッチ機構90を有するクラッチ室2とが、クランクケース55内で、ミッションホルダ40によって区画されている。そして、ミッション室3はクランクケース55の側壁であるミッション室側壁3c、クランクケース55の外側壁3d(図1において左側)ならびにミッションホルダ40によって囲まれた空間が形成されている。このミッション室3に隣接して、クランクシャフト50の回転をトランスミッション60に伝達する前掲のクラッチ機構90を有するクラッチ室2が設けられている。
そして、トランスミッション60への潤滑オイルの供給は、クラッチ室2を介して、以下の潤滑構造によって行われる。
【0035】
まず、メインギャラリ54からオイル供給通路54aを経てクランクシャフト50の各軸受部分に供給された潤滑オイルは、クランクケース55の連通部分54bからクラッチ室2に供される。
【0036】
ここで、本実施形態においては、クラッチ室2とミッション室3との間に、図2に示すように、両室を連通する2つのオイル導入口10,15が設けられている。すなわち、ミッションホルダ40のクラッチ室側壁面40bに開口するように2つのオイル導入口10,15が設けられている。そして、このオイル導入口10,15は、何れもクラッチ室2側において上方に向いて開いた開口11,16(図5および図7参照)を備えた構造となっている。
【0037】
オイル導入口10は、図5に示すように、開口11がクラッチ室2の内方に張出す受壁底面部11aおよび受壁底面部11aを囲むように受壁側面部11b,11c,11dが設けられている。したがって、開口11はクラッチ室側壁面40bから張出すようにして上向きの構成を有している。
【0038】
また、オイル導入口15においては、図7に示すように、開口16がクラッチ室2の内方に張出す円弧状の受壁底面部16aおよび受壁底面部16aを囲むように半円状の受壁側面部16bが設けられている。この開口16もクラッチ室側壁面40bから張出すようにして上向きの構成となっている。
【0039】
本実施形態においては、図2に示すように、オイル導入口10はミッションホルダ40に設けられているが、クランクケース55側に形成されたオイル通路12と連通する構造となっている。
すなわち、図5に示すように、オイル導入口10に連通するオイル通路12がクランクケース55(図5においては左ケース55Lおよび右ケース55Rとして図示してある)に設けられて、ミッションホルダ40内のミッション室3に連通するミッション開口12aを有するように構成されている。そして、このオイル通路12は、クランクケース55の左右両ケース55R、55Lにおいて横断面形状が略三角形にクランクケース横方向に延出されて形成されている。
【0040】
また、ミッション開口12aは、図4および図5に示すように左ケース55Lの端面側に切り欠きとして形成されており、左右両ケース55R、55Lが組み合わされたときに開口として形成される。
【0041】
また、本実施形態においては、メインシャフト20よりもカウンタシャフト30が上方側に配置されている。そして、ミッション開口12aは、図4に示されているように、メインシャフト20の直上に位置し、メインシャフト20の中央部分に潤滑オイルを供給するように構成されている。
【0042】
また、本実施形態においては、図6および図7に示すように、ミッションホルダ40のカウンタシャフト30の軸端部30a(図1および図6参照)が開口されてオイル導入口15を形成するように構成されている。そして、カウンタシャフト30は中空部分がオイル通路33として構成されており、さらに、このオイル通路33からミッション室3に連通する連通路34が設けられている。
【0043】
クラッチ室2に供された潤滑オイルは、クラッチ機構90の回転によって、攪拌され、クラッチ室2において、ミスト状も若くは液滴した状態でクラッチ回転方向に回転しながら浮遊している。
したがって、オイル導入口10,15がクラッチ室2側において上方に向いて開いた開口11,16を有していることにより、クラッチ室2内方に張出す受壁底面部11aによってクラッチ室2内で浮遊している潤滑オイルを受止めることができ、これにより潤滑オイルが壁面を流れ(図5および図7において矢印F方向の流れ)回収してオイル導入口10に供給することができる。
【0044】
また、受壁底面部11a,16aには、クラッチ回転方向に対して対向し且つオイル導入口10,15につながる壁面からなる延長壁部11e,16eが設けられている。この延長壁部11e,16eが設けられた構成によれば、クラッチ回転によって飛散している潤滑オイルを延長壁部11e,16eおよび受壁底面部11aによってより大きい面積で捉えることができさらに効果的に集めることができる。
【0045】
また、ミッションホルダ40には、中空部のカウンタシャフト30の軸端部30aが開口されてオイル導入口10を形成するように構成されたことで、軸受部の開口からカウンタシャフト30のオイル通路33を介して連通路34から各ギヤへ極めて容易に潤滑オイルを供給でき、オイル供給構造の複雑化が回避されている。しかも、カウンタシャフト30の連通路34からのオイル供給には、シャフト回転力を利用することができ、極めて効果的な供給を行うことができる。
【0046】
また、本実施形態においては、メインシャフト20よりもカウンタシャフト30が上方側に配置されていることから、カウンタシャフト30に供給された潤滑オイルはメインシャフト20を経由して流れることができる。また、オイル通路12のミッション開口12aがメインシャフト20の直上に位置されていることで、メインシャフト20に対してシャフト中央部分に潤滑オイルを直接供給することができるので、効率よく潤滑できる。
【0047】
このように、実施形態によれば、クラッチ室2において、クラッチ回転によってクラッチ室内を浮遊するミスト状あるいは液滴状の潤滑オイルが、上方に向いて開いた開口11によって回収される。この回収された潤滑オイルは、オイル導入口10,15からオイル通路12,33を介した簡単な構造でミッション室3へ供給される。しかも、潤滑オイルをミッションホルダ40側からシャフト中央側へ導くための構造として、簡易に形成できるオイル通路12ならびにカウンタシャフト30の中空部分のオイル通路33が採用されているので、従来のようなクランクケースの複雑化が回避されている。
【0048】
また、本実施形態においては、図4に示すように、オイル通路12はミッション室3のミッションブリーザ通路56と隣接して設けられており、壁面を貫通する連通部12bを介して連通されている。なお、この連通部12bを形成するには、左ケース55Lの端面を切り欠くだけの構成で簡単に形成できる。なお、ミッションブリーザ通路56はエアクリーナへ繋がる連結パイプ59が接続されている。
このように連通部12bによってオイル通路12とミッションブリーザ通路56と繋がることにより、ミッションブリーザ通路56の通路容積を大きくすることができ、高回転域でのエンジン出力やレスポンスの向上に貢献することができる。
【0049】
以上、本発明を自動二輪車に適用した一実施形態について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、例えば、二輪以外にも三輪車(三輪バギー)や四輪バギーを含む鞍乗型車両、その他の内燃機関に適用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 エンジン
2 クラッチ室
10,15 オイル導入口
11,16 開口
11a,16a 受壁底面部
12,33 オイル通路
12a ミッション開口
20 メインシャフト
20e 減速用ギヤ列(減速ギヤ機構)
30 カウンタシャフト
30e 減速用ギヤ列(減速ギヤ機構)
34 連通路
40 ミッションホルダ
40b クラッチ室側壁面
50 クランクシャフト
55 クランクケース
55L 左ケース
55R 右ケース
56 ミッションブリーザ通路
60 トランスミッション
80 シフト変速機構
90 クラッチ機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインシャフト(20)とカウンタシャフト(30)の間に配置される減速ギヤ機構(20e,30e)と、該減速ギヤ機構のギヤチェンジを行うシフト変速機構(80)とを備えるトランスミッション(60)と、クランクシャフト(50)の回転を前記トランスミッション(60)に伝達するクラッチ機構(90)と、を備え、
前記トランスミッション(60)をユニット化して収容するミッション室(3)と、前記クラッチ機構(90)を有するクラッチ室(2)とが、クランクケース(55)内で、ミッションホルダ(40)によって区画され、
前記トランスミッション(60)に潤滑オイルを供給するように構成されたエンジン(1)の潤滑構造において、
前記クラッチ室(2)と前記ミッション室(3)との間に、前記両室を連通するオイル導入口(10,15)が設けられ、
前記オイル導入口(10,15)は、前記クラッチ室(2)側において上方に向いて開いた開口(11,16)を備えていることを特徴とするエンジン(1)の潤滑構造。
【請求項2】
前記オイル導入口(10)は、前記ミッションホルダ(40)に設けられ、
前記オイル導入口(10)に連通するオイル通路(12)がクランクケース(55)に設けられ、
前記オイル通路(12)に連通すると共に、ミッション収容部(40a)に連通するミッション開口(12a)が前記クランクケース(55)の幅方向略中央に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のエンジン(1)の潤滑構造。
【請求項3】
前記メインシャフト(20)よりも前記カウンタシャフト(30)が上方側に配置されており、
前記オイル通路(12)のミッション収納部(40a)への前記ミッション開口(12a)が前記メインシャフト(20)の直上に位置されていることを特徴とする請求項2に記載のエンジン(1)の潤滑構造。
【請求項4】
前記ミッションホルダ(40)の前記カウンタシャフト(30)の軸端部(30a)が開口されて前記オイル導入口(15)を形成するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のエンジン(1)の潤滑構造。
【請求項5】
前記カウンタシャフト(30)は中空部部分がオイル通路(33)を構成することを特徴とする請求項4に記載のエンジン(1)の潤滑構造。
【請求項6】
前記オイル導入口(10,15)は前記開口(11,16)がクラッチ室(2)の内方に張出してオイルを前記オイル導入口(10,15)へ導く受壁底面部(11a,16a)が設けられたことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のエンジン(1)の潤滑構造。
【請求項7】
前記受壁底面部(11a,16a)には、クラッチ回転方向に対して対向し且つ前記オイル導入口(10,15)につながる壁面からなる延長壁部(11e,16b)が設けられたことを特徴とする請求項6に記載のエンジン(1)の潤滑構造。
【請求項8】
前記オイル通路(12)は前記ミッション室(3)のミッションブリーザ通路(56)と連通していることを特徴とする請求項2に記載のエンジン(1)の潤滑構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−215231(P2012−215231A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80604(P2011−80604)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】