説明

エンジン駆動圧縮機

【課題】高い吐出圧力が設定されているエンジン駆動圧縮機に、低い駆動圧力で駆動する負荷機器類を誤接続した場合であっても、負荷機器類の損傷を防止することができるエンジン駆動圧縮機を提供することを課題とする。
【解決手段】エンジン駆動圧縮機の始動時に、演算・制御部50はエンジンの始動が不可能な閉塞状態に設定され、設定値確認ボタン50dが発生する確認信号の検知によって、エンジンの始動が可能な開放状態に設定される。演算・制御部50は、閉塞状態に設定されている場合に、運転ボタン52dが発生する始動信号を検知しても、制御部50aはエンジン始動回路3cにエンジン始動信号を送信しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン駆動圧縮機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
1台の本体で任意の吐出圧力の圧縮空気を供給できるエンジン駆動圧縮機は市場要望が強い商品である。
そこで、1台の本体で任意の吐出圧力の圧縮空気を供給できるエンジン駆動圧縮機として、例えば特許文献1には2つの圧力調整弁の切り換えによって、2種類の吐出圧力の圧縮空気を供給できるエンジン駆動圧縮機の技術が開示されている。また、本願出願人が出願した、特願2006−315965号には、電空比例弁を使用することで電気的に任意の吐出圧力を設定できる技術が記載されている。
【0003】
しかしながら吐出圧力が可変設定できるエンジン駆動圧縮機においては、例えば吐出圧力を1.27MPa(13kg/cm)に設定したエンジン駆動圧縮機に、例えば最大使用圧力が0.69MPa(7kg/cm)の負荷機器類を誤接続する場合も考えられる。このような誤接続の場合に、エンジン駆動圧縮機を駆動すると負荷機器類が損傷を受けるばかりでなく、負荷機器類が破裂破壊するなど、非常に危険な事態が想定される。
【0004】
このような誤接続に対する積極的な安全策は、例えば特許文献1などには記載されておらず、改善の余地がある。
【特許文献1】特開2001−116009号公報(段落0016〜0019参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は負荷機器類が誤接続された場合であっても、負荷機器類の損傷を防止することができるエンジン駆動圧縮機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、請求項1にかかる発明は、エンジンと、前記エンジンにより駆動される圧縮機本体と、前記エンジン及び前記圧縮機本体を操作する操作装置と、を備え、前記操作装置は、前記エンジンを始動する始動信号を発生する始動操作手段と、前記圧縮機本体が吐出する吐出圧力を定格値の範囲内で任意に設定する吐出圧力設定手段と、前記吐出圧力設定手段で設定されている吐出圧力の値を表示する設定圧力表示手段と、前記設定圧力表示手段が表示する吐出圧力の値を確認する確認信号を発生する確認操作手段と、前記始動信号が入力したことを検知する始動信号入力検知手段と、前記確認信号が入力したことを検知する確認信号入力検知手段と、前記エンジンと前記圧縮機本体を制御する制御手段と、前記制御手段を起動する電源開閉手段と、を備えることを特徴とするエンジン駆動圧縮機とした。
【0007】
請求項1にかかる発明によると、吐出圧力の値を確認する確認信号を発生する確認操作手段と確認信号の入力を検知する確認信号入力検知手段を備えるエンジン駆動圧縮機とすることができる。
【0008】
また、請求項2にかかる発明は、前記制御手段は、前記エンジンの始動が可能な開放状態と前記エンジンの始動が不可能な閉塞状態とに設定されるものであって、前記制御手段の起動時には、自動的に前記閉塞状態に設定されるとともに、前記閉塞状態の場合に、前記確認信号入力検知手段が前記確認信号の入力を検知したときには、前記開放状態に切り換わり、前記開放状態の場合に、前記始動信号入力検知手段が前記始動信号の入力を検知したときには、エンジン始動信号を送信して、前記エンジンを始動するように制御することを特徴とした。
【0009】
請求項2にかかる発明によると、制御手段は、起動したときには、エンジン始動が不可能な閉塞状態に自動的に設定されることから、エンジンの始動を防止することができる。また、確認信号入力検知手段が確認信号の入力を検知したときに制御手段は、エンジン始動が可能な開放状態に切り換わり、エンジンを始動することができる。
【0010】
また、請求項3にかかる発明は、前記制御手段は、前記閉塞状態の場合に、前記始動信号入力検知手段が、少なくとも1回の前記始動信号の入力を検知したときには、前記吐出圧力設定手段で設定可能な吐出圧力の定格値の範囲内で最低の吐出圧力を選択するように、前記吐出圧力設定手段に制御信号を送信するとともに、前記開放状態に切り換わり、エンジン始動信号を送信して、前記エンジンを始動するように制御することを特徴とした。
【0011】
請求項3にかかる発明によると、制御手段が閉塞状態の場合に、始動信号入力検知手段が1回もしくは複数回の始動信号の入力を検知したときには、最低の吐出圧力でエンジンを始動することができる。
【0012】
また、請求項4にかかる発明は、前記制御手段は、前記制御手段が起動してから、前記確認信号入力検知手段が前記確認信号の入力を検知しない状態で所定の時間が経過したときには、前記吐出圧力設定手段で設定可能な吐出圧力の定格値の範囲内で最低の吐出圧力を選択するように、前記吐出圧力設定手段に制御信号を送信するとともに、前記開放状態に切り換わるように制御することを特徴とした。
【0013】
請求項4にかかる発明によると、制御手段が起動した後、確認信号入力検知手段が確認信号の入力を検知しない状態で所定の時間が経過したときには、最低の吐出圧力に設定することができる。
【0014】
また、請求項5にかかる発明は、前記設定圧力表示手段は、前記制御手段からの制御信号によって、前記吐出圧力設定手段で設定されている吐出圧力の値を点滅表示する機能を有し、前記制御手段は、前記制御手段の起動時には前記設定圧力表示手段に制御信号を送信して前記吐出圧力の値を点滅表示するとともに、前記制御手段が前記開放状態に切り換わったときには、前記設定圧力表示手段に制御信号を送信して点滅表示を解除し、前記吐出圧力の値を点灯表示するように制御することを特徴とした。
【0015】
請求項5にかかる発明によると、制御手段が起動してから開放状態に切り換わるまで、吐出圧力を点滅表示することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、以下のような効果を奏する。
(1)オペレータが確認操作手段を操作した後に始動操作手段を操作しないとエンジンを始動できないことから、負荷機器類の駆動圧力を超える吐出圧力を供給することを防止でき、負荷機器類が誤接続されていても負荷機器類の損傷を防止することができる。
(2)オペレータが確認操作手段を操作しないで始動操作手段を操作した場合には、定格値の範囲内で最低の吐出圧力に設定されることから、負荷機器類の駆動圧力を超える吐出圧力を供給することを防止でき、負荷機器類が誤接続されていても負荷機器類の損傷を防止することができる。
(3)エンジン駆動圧縮機の制御手段が起動してから所定の時間が経過すると、定格値の範囲内で最低の吐出圧力に設定されることから、その後にオペレータが始動操作手段を誤操作しても、負荷機器類の駆動圧力を超える吐出圧力を供給することを防止でき、負荷機器類が誤接続されていても負荷機器類の損傷を防止することができる。
このように、本発明によると、負荷機器類が誤接続された場合であっても、負荷機器類の損傷を防止することができるエンジン駆動圧縮機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、適宜図を用いて詳細に説明する。
【0018】
図1は、本実施形態に係るエンジン駆動圧縮機の概略構成を示すブロック図である。エンジン駆動圧縮機1は、圧縮機本体2と、圧縮機本体2を駆動するエンジン3と、圧縮機本体2で圧縮される圧縮空気に混合する油分を分離し、かつ、圧縮空気を貯留するオイルチャンバ4と、を含んで構成される。
【0019】
圧縮機本体2には、一端が大気側に開口した吸気管2bが備わっていて、エンジン駆動圧縮機1の動作時に、圧縮機本体2の外部の空気を吸気して、吸気管2bを介して圧縮機本体2に取り込むことができる(以下、吸入空気と称する)。なお、吸気管2bの大気側に開口した側には、エアクリーナ2cを備えていてもよい。エアクリーナ2cを介して吸入空気を圧縮機本体2に吸入することによって、吸入空気の異物を除去することができる。
【0020】
そして、圧縮機本体2とオイルチャンバ4とは、ディスチャージパイプ4bで接続されていて、圧縮機本体2で圧縮された圧縮空気は、ディスチャージパイプ4bを介してオイルチャンバ4に送られる。また、オイルチャンバ4にはサービスバルブ4aが備わっていて、サービスバルブ4aの操作によってオイルチャンバ4に貯留される圧縮空気が、サービスバルブ4aに接続される図示しない負荷機器類に供給される。
【0021】
そして、本実施形態にかかるエンジン駆動圧縮機1においては、オイルチャンバ4に貯留されてサービスバルブ4aから吐出される圧縮空気の吐出圧力を設定する、後記する吐出圧力設定部52(図2参照)を含む制御ユニット(操作装置)5を備える。
【0022】
また、制御ユニット5は、後記する吐出圧力設定部52(図2参照)によって設定される値(以下、設定圧力値と称する)と吐出圧力とを比較して、吐出圧力と設定圧力値とが等しくない場合は、吐出圧力と設定圧力値とが等しくなるように、圧縮機本体2への吸入空気の吸気量を調節し、さらに、エンジン3のエンジン回転速度を増減させて調節する機能を有する。
【0023】
前記のように、制御ユニット5で圧縮機本体2への吸入空気の吸気量を調節するため、圧縮機本体2には容量レギュレータ2aが備わっており、配管途中に設けられる電空比例弁5aから出力される空気(以下、本発明では制御用空気と称する)の圧力によって制御される。
【0024】
電空比例弁5aは、圧縮空気源から入力される圧縮空気が流れる空気流路に、例えば電気式の開閉弁を有し、入力される制御信号(例えば、電流値や電圧値)に対応して開閉弁の開度を調節し、開閉弁の上流に入力される圧縮空気源の圧縮空気の空気圧力を調節して、開閉弁の下流側に任意の空気圧力を出力する装置である。そして、本実施形態において、電空比例弁5aは、逆止弁5bおよびオリフィス5cを介して、圧縮機本体2に備わる容量レギュレータ2aに接続される。
【0025】
容量レギュレータ2aは、例えば電空比例弁5aが出力する制御用空気の圧力に対応して、吸気管2bの開度を開放から閉鎖までの範囲で調節して、吸気管2bを流れる空気の流量を調節することで、圧縮機本体2に取り込まれる吸入空気の吸気量を調節する装置である。
【0026】
ここで、本実施形態において、図1に示すように、電空比例弁5aには、圧縮空気源としてオイルチャンバ4に貯留される圧縮空気が入力される。しかしながら、オイルチャンバ4の吐出圧力は、例えばサービスバルブ4aを介して外部に供給される空気の使用量の変動に伴って変動するため、電空比例弁5aから出力される制御用空気の圧力が、入力されるオイルチャンバ4の吐出圧力の変動に伴って変動して、容量レギュレータ2aが適切に制御されない場合がある。このため、制御用空気の圧力を検出して制御ユニット5の演算・制御部50(図2参照)に入力し、演算・制御部50が算出する電空比例弁5aの制御量に補正をかけることが好ましい。
【0027】
このため、電空比例弁5aの下流に、制御用空気の圧力を検出するための第2圧力センサ5dが備わる。さらに、信号線で制御ユニット5と第2圧力センサ5dとを接続して、第2圧力センサ5dから出力される電気信号を制御用空気の圧力信号として制御ユニット5に入力するように構成すればよい。制御ユニット5は、入力された電気信号に基づいて、第2圧力センサ5dが検出した圧力を算出することができる。
【0028】
また、図1に示すエンジン3は、回転速度等を制御するエンジン制御ユニット(Engine Control Unit:以下、ECUと称する)3aを有する。そして、制御ユニット5はECU3aと信号線で接続され、制御ユニット5は、エンジン回転速度制御信号でECU3aを制御して、エンジン3のエンジン回転速度等を制御する。
【0029】
さらに、エンジン3には、エンジン3を始動するエンジン始動回路3cが備わる。エンジン始動回路3cは制御ユニット5と信号線で接続され、制御ユニット5から送信されるエンジン始動信号によってエンジン3を予熱したり、クランキングしたりしてエンジン3を始動させる。
【0030】
図2は、制御ユニットの構成を示すブロック図である。制御ユニット5は、各種演算処理を実行し、制御ユニット5を駆動するための図示しないCPU(Central Processing Unit)や周辺回路等からなる演算・制御部(制御手段)50、演算・制御部50を動作するためのプログラムや各種データ等が記憶されているデータ記憶部51、圧力値を入力操作して吐出圧力を設定する吐出圧力設定部(吐出圧力設定手段)52、第1圧力センサ4cが出力する電気信号と、第2圧力センサ5dが出力する電気信号と、エンジン3(図1参照)のエンジン回転速度を検出する回転速度検出手段3bが出力するエンジン回転速度信号と、を入力する信号入力部53、エンジン回転速度制御信号を出力することで、エンジン3のECU3aに指令を与えるエンジン回転速度制御信号出力部54aおよび電空比例弁制御信号を出力する電空比例弁制御信号出力部54bを有する制御信号出力部54、エンジン回転速度を制御するエンジン回転速度制御部55などを含んで構成される。
【0031】
エンジン回転速度制御部55は、信号入力部53を介してエンジン回転速度信号が入力され、入力されたエンジン回転速度信号からエンジン3(図1参照)のエンジン回転速度を算出する。また、エンジン回転速度制御部55は演算・制御部50の演算部50bと信号線で接続され、吐出圧力に対応して、演算部50bが算出するエンジン回転速度(以下、要求回転速度と称する)が通知される。通知の方法は限定されるものではなく、例えばシリアルコマンドによる通信などが考えられる。
【0032】
そして、エンジン回転速度制御部55が算出したエンジン3(図1参照)のエンジン回転速度と演算部50bから通知された要求回転速度とに偏差が生じた場合、エンジン回転速度制御部55は、エンジン回転速度制御信号出力部54aを介して、ECU3aに対してエンジン回転速度制御信号を出力し、エンジン3(図1参照)のエンジン回転速度と要求回転速度とが同等になるように、エンジン回転速度を制御する。
【0033】
演算・制御部50は、エンジン始動回路3cにエンジン始動信号を送信してエンジン3(図1参照)の始動を制御する制御部50a、及びエンジン3の要求回転速度や電空比例弁5aの開度などを演算する演算部50bを含んで構成される。
そして、演算・制御部50は、エンジン始動回路3cへエンジン始動信号を送信可能な状態、すなわちエンジン3を始動可能な状態である開放状態と、エンジン始動回路3cへエンジン始動信号を送信不可能な状態、すなわちエンジン3を始動不可能な状態である閉塞状態とに設定される。
【0034】
また、吐出圧力設定部52には、アップボタンU、ダウンボタンD、決定ボタンE、停止ボタン52e、及び運転ボタン52dが信号線を介して接続され、各ボタンの操作情報が入力される操作部52aと、設定圧力値などを表示する表示部(設定圧力表示手段)52bとが備わり、各ボタンの操作によって設定圧力値を入力することができる。そして、入力された設定圧力値を吐出圧力として設定することで、複数の吐出圧力を選択的に設定することができる。設定圧力値の入力は、あらかじめ設定されている圧力値(例えば、0.69MPa、0.83MPa、1.03MPaなど)を順次表示し、表示された圧力値のなかから1つを選択する方法であってもよいし、表示する設定圧力値を、例えば0.01MPaずつ上昇もしくは下降させる方法であってもよい。
なお、入力できる設定圧力値は上限値と下限値とを有し、その上限値と下限値との間が定格値として設定可能な範囲となり、請求項に記載の定格値の範囲となる。
さらに、吐出圧力設定部52は、演算・制御部50の演算部50bと信号線を介して接続され、設定された設定圧力値や、各ボタンの操作情報が入力されたことを演算部50bに通知する機能を有する。通知する方法は限定されるものではなく、例えばシリアルコマンドによる通信などが考えられる。
【0035】
また、吐出圧力設定部52は、演算・制御部50の制御部50aからの制御信号によって、定格値として設定可能な設定圧力値の範囲内で最低の設定圧力値を選択して、サービスバルブ4a(図1参照)からの吐出圧力として設定する機能を有する。
前記のように、吐出圧力設定部52には、定格値として設定可能な設定圧力値の範囲内における下限値があらかじめ設定されている。そして、制御部50aからの制御信号によって、定格値の範囲内の下限値が選択され、選択された下限値を吐出圧力として設定する機能を有する。下限値は限定される値ではないが、例えば、本実施形態にかかるエンジン駆動圧縮機1(図1参照)に接続される、図示しない負荷機器類の一般的な駆動圧力の最低値を下限値とすればよい。
そして、設定可能な設定圧力値の下限値を、請求項に記載の最低の吐出圧力とする。
なお、吐出圧力設定部52の操作部52aには、運転ボタン(始動操作手段)52dが接続され、始動信号が入力されることから、操作部52aは、請求項に記載の始動信号入力検知手段となる。
また、表示部52bは、演算・制御部50の制御部50aからの制御信号によって、吐出圧力等を点滅表示する機能を有する。
さらに、吐出圧力設定部52には、ロックキー52cが接続される構造であってもよい。ロックキー52cは、アップボタンU、ダウンボタンD、決定ボタンEの操作をロックしたり、ロックを解除したりする機能を有する。このようにロックキー52cを備え、各ボタンの操作をロック状態にすることで、誤操作による吐出圧力の変更が不可能になり、安全性が向上する。
【0036】
また、演算・制御部50の演算部50bには、非常停止ボタン50c及び設定値確認ボタン50dが信号線を介して接続され、非常停止ボタン50c及び設定値確認ボタン50dが操作された情報が入力される。
設定値確認ボタン50dは、確認信号を発生する機能を有する。そして、設定値確認ボタン50dが発生する確認信号は、演算・制御部50の演算部50bに入力される。したがって、設定値確認ボタン50dは、請求項に記載の確認操作手段となり、演算部50bは、請求項に記載の確認信号入力検知手段となる。
【0037】
確認信号は、限定されるものではなく、例えば電圧値であればよい。一例として、設定値確認ボタン50dが操作されない場合は、演算部50bに高い電圧値が入力され、設定値確認ボタン50dが操作されると演算部50bに低い電圧が入力されるような構成が考えられる。これは、設定値確認ボタン50dが操作されないときは、演算部50bに図示しないプルアップ回路でプルアップされた電圧(例えば5V)が入力され、設定値確認ボタン50dが操作されると図示しない接地回路とプルアップ回路とが接続されて、演算部50bに接地電圧(例えば0V)が入力されるように構成すれば実現できる。
【0038】
メインスイッチ50eは、例えば制御ユニット5に供給される電源電圧を遮断することで、制御ユニット5の電源をOFFする構成とすればよい。この場合、メインスイッチ50eを操作して制御ユニット5に電源電圧を供給することで制御ユニット5を起動し、さらに演算・制御部50を起動することができる。したがって、メインスイッチ50eは、請求項に記載の電源開閉手段となる。
【0039】
このように構成される制御ユニット5においては、例えばサービスバルブ4a(図1参照)を介して図示しない負荷機器類に供給される空気の使用量が増加して、吐出圧力が設定圧力値より低くなると、吐出圧力を上昇させるため、演算・制御部50の制御部50aは、電空比例弁制御信号出力部54bを介して、電空比例弁5aに電空比例弁制御信号を出力して制御用空気の圧力を調節し、吸気管2b(図1参照)の開度を大きくするように容量レギュレータ2a(図1参照)を制御する。
【0040】
また、サービスバルブ4a(図1参照)が閉じられたり、サービスバルブ4aを介して図示しない負荷機器類に供給される空気の使用量が減少したりして吐出圧力が上昇し、設定圧力値以上になると、演算・制御部50の制御部50aは、電空比例弁制御信号出力部54bを介して、電空比例弁5aに電空比例弁制御信号を出力して制御用空気の圧力を調節して、吸気管2b(図1参照)の開度を小さくするように容量レギュレータ2a(図1参照)を制御する。
【0041】
そこで、演算・制御部50の演算部50bで設定圧力値と吐出圧力とを比較するため、サービスバルブ4a(図1参照)からの吐出圧力を検出し、演算部50bに入力する構成とする。吐出圧力はオイルチャンバ4に貯留される圧縮空気の圧力(以下、貯留圧力と称する)と同等であることからオイルチャンバ4の貯留圧力を測定すればよい。そこで、図1に示すように、オイルチャンバ4には第1圧力センサ4cが備えられる。
なお、第1圧力センサ4cはオイルチャンバ4に備わることは限定されず、オイルチャンバ4とサービスバルブ4aとの間の配管に備わっていてもよい。そして、第1圧力センサ4cは検出した圧力を所定の電気信号に変換して、図2に示すように信号入力部53を介して演算部50bに入力するように構成すればよい。演算部50bは、入力された電気信号に基づいて、第1圧力センサ4cが検出した圧力を算出する。
【0042】
さらに、演算部50bは吐出圧力に基づいたエンジン3(図1参照)の要求回転速度を算出してエンジン回転速度制御部55に通知する。エンジン回転速度制御部55は、エンジン回転速度制御信号出力部54aを介して、ECU3aに対してエンジン回転速度制御信号を出力し、エンジン3(図1参照)のエンジン回転速度を上昇および低減させるようにエンジン回転速度を制御する。このようにエンジン回転速度を制御することで、圧縮機本体2(図1参照)からの吐出空気量を増加および低減する。
【0043】
以上のように、制御ユニット5の演算・制御部50(図2参照)は、オイルチャンバ4(図1参照)からの吐出圧力が設定圧力値と等しくなるように制御する。このことによって、吐出圧力は設定圧力値と同等に保たれる。
【0044】
図1に戻って、制御ユニット5はエンジン3のエンジン回転速度をフィードバックして取り込むため、エンジン3には回転速度検出手段3bが備えられる。回転速度検出手段3bは特に限定されるものではなく、例えば汎用の電磁ピックアップ式のセンサを用いればよい。電磁ピックアップ式のセンサは、エンジン回転速度を交流電圧の周波数として出力でき、この交流電圧の周波数はエンジン回転速度に比例するので、この交流電圧(電気信号)をエンジン回転速度信号として、信号線を介して制御ユニット5に入力するように構成すればよい。このような構成によって、制御ユニット5のエンジン回転速度制御部55(図2参照)は入力された交流電圧の周波数からエンジン3のエンジン回転速度を算出することができる。
【0045】
図3は、制御ユニットのパネル面の一例を示す図である。図3に示すように、制御ユニット5のパネル面には、オイルチャンバ4(図1参照)の吐出圧力を、複数の数値で必要な桁数(例えば3桁)の数値として表示する機能を有する表示部52bと、表示部52bが表示する設定圧力値を上昇させるアップボタンUと下降させるダウンボタンD、および設定圧力値を吐出圧力として決定する決定ボタンEとが備わる。アップボタンUは、吐出圧力の設定変更時に表示部52bに表示される数値を1ずつ上昇させる方向に操作することができ、ダウンボタンDは、吐出圧力の設定変更時に数値を1ずつ下降させる方向に操作することができる。なお、数値の表示は、例えば7セグメントのLED(Light Emitting Diode)で構成されるデジタル表示とすればよい。
【0046】
さらに、制御ユニット5のパネル面には、エンジン3(図1参照)を始動するための運転ボタン52dとエンジン3を停止する停止ボタン52eとが備わる。運転ボタン52dは、例えばオペレータがエンジン3を始動するときに操作するボタンであって、始動信号を発生する機能を有する。始動信号は、限定されるものではなく、例えば電圧値であればよい。一例として、運転ボタン52dが操作されない間は、制御ユニット5の操作部52a(図2参照)に高い電圧値が入力され、運転ボタン52dが操作されると操作部52aに低い電圧が入力されるような構成が考えられる。これは、運転ボタン52dが操作されない間は、操作部52aに図示しないプルアップ回路でプルアップされた電圧(例えば5V)が入力され、運転ボタン52dが操作されると図示しない接地回路とプルアップ回路とが接続されて、操作部52aに接地電圧(例えば0V)が入力されるように構成すれば実現できる。
【0047】
そして、操作部52a(図2参照)に始動信号が入力されると、操作部52aは、演算・制御部50の演算部50b(図2参照)に、始動信号が入力されたことを、信号線を介して通知する機能を有する。通知する方法は限定されるものではなく、例えばシリアルコマンドによる通信などが考えられる。
【0048】
なお、操作部52a(図2参照)は、始動信号が、例えば所定時間以上入力されることによって、始動信号の入力を検知したと判定する構成とすれば、例えばオペレータによる運転ボタン52dの誤操作によるエンジン3の始動を防止することができ、安全性を高めることができる。
この場合、所定時間は限定される値ではなく、使用環境や使用頻度などを考慮して、例えば1秒など適宜設定すればよい。
【0049】
停止ボタン52eは、エンジン3を停止するときにオペレータが操作するボタンであって、停止ボタン52eが操作された情報が制御ユニット5の操作部52a(図2参照)に入力されると、操作部52aは停止ボタン52eが操作されたことを、信号線を介して演算・制御部50の演算部50b(図2参照)に通知する。停止ボタン52eが操作された情報が通知されたら、演算部50bは、エンジン3を停止する制御信号(電源OFF信号)を、制御部50aを介してECU3aに送信する構成とすればよい。
【0050】
また、制御ユニット5のパネル面には、制御ユニット5の電源を入り切りするためのメインスイッチ50e、エンジン駆動圧縮機1を非常停止するための非常停止ボタン50c、及びオイルチャンバ4(図1参照)の吐出圧力を確認する設定値確認ボタン50dなどを含む。
このうち、設定値確認ボタン50dは、演算・制御部50(図2参照)が起動したとき、エンジン駆動圧縮機1に接続されて駆動する図示しない負荷機器類の定格駆動圧力と、表示部52bに表示される、あらかじめ設定されている設定圧力値とが等しいことをオペレータが確認するボタンであって、確認信号を発生する機能を有する。
【0051】
図3に示す構成を有する制御ユニット5のパネル面において吐出圧力を変更するには、まずロックキー52cを操作してロックを解除した後、アップボタンUおよびダウンボタンDを指先等で操作して、表示部52bに表示される設定圧力値を上昇もしくは下降させる。そして、表示部52bに、吐出圧力として設定する設定圧力値の値を表示して、決定ボタンEを操作する。このような容易な操作で、設定圧力値を入力し、入力した設定圧力値を吐出圧力に設定できる。このようにして吐出圧力に設定された設定圧力値は、信号線を介して演算部50b(図2参照)に通知されるとともに、演算部50bを介して制御ユニット5のデータ記憶部51(図2参照)に記憶する構成とすればよい。そして、演算・制御部50は起動したときに、データ記憶部51から、設定圧力値を吐出圧力として読み出す構成とすればよい。
なお、アップボタンUの操作を続ける(押した状態を維持する)と、表示される圧力値が上昇する方向に早送りされ、ダウンボタンDへの操作を続ける(押した状態を維持する)と、表示される圧力値が下降する方向に早送りされる機能を有し、さらに設定を容易にする構成であってもよい。
【0052】
また、図3に示す制御ユニット5のパネル面の構成は一例であって、例えばテンキー状に配列された操作ボタンによって、設定圧力値を直接入力する態様であってもよい。
【0053】
このような構成のエンジン駆動圧縮機1(図1参照)を始動するとき、以下のように吐出圧力を確認する手順を加えることで、サービスバルブ4a(図1参照)に図示しない負荷機器類を誤接続しても、負荷機器類の損傷を防止することができる。図4は、エンジン駆動圧縮機のエンジンを始動するステップを示すフローチャートである。図4を参照しながら、エンジン駆動圧縮機1のエンジン3(図1参照)を始動するステップを説明する(以下、適宜図1〜図3参照)。
【0054】
メインスイッチ50eがONされて、制御ユニット5の演算・制御部50が起動すると、演算・制御部50の演算部50bは、データ記憶部51から設定圧力値を読み出す。そして、制御部50aを介して吐出圧力設定部52の表示部52bに制御信号を送信し、読み出した設定圧力値を吐出圧力として点滅表示する(ステップS1)。このように、吐出圧力を点滅表示することで、エンジン駆動圧縮機1を操作するオペレータに注意を喚起することができ、オペレータは吐出圧力の確認を忘れる可能性が低くなる。
【0055】
また、図示はしないが、例えばブザーなどの音声発声装置を備え、吐出圧力の点滅表示の際には、警告音を発生するような構成としてもよい。このように警告音を発生することで、オペレータに対する注意喚起の効果を高めることができる。
【0056】
そして、演算・制御部50は、自身を自動的に閉塞状態に設定する(ステップS2)。
このように演算・制御部50を閉塞状態に設定することで、例えばオペレータが運転ボタン52dを誤操作して、操作部52aに始動信号が入力されても、演算・制御部50はエンジン始動回路3cにエンジン始動信号を送信することがなく、エンジン3が始動しない。したがって、サービスバルブ4aから圧縮空気が吐出することがない。このことによって、高圧の圧縮空気がサービスバルブ4aから図示しない負荷機器類に供給されることが防止でき、安全性が向上する。
【0057】
そして、演算・制御部50の演算部50bが確認信号を検知するまで待機し(ステップS3→No)、演算部50bが確認信号を検知したら(ステップS3→Yes)、演算・制御部50の制御部50aは、吐出圧力設定部52の表示部52bに制御信号を送信し、表示部52bの点滅を終了して、吐出圧力を点灯表示する(ステップS4)。その後、自身を開放状態に設定する(ステップS5)。
【0058】
そして、演算・制御部50は、演算部50bが始動信号を検知するまで待機し(ステップS6→No)、演算部50bが始動信号を検知したら(ステップS6→Yes)、演算・制御部50の制御部50aは、エンジン始動回路3cにエンジン始動信号を送信する(ステップS7)。
エンジン始動信号が送信されたエンジン始動回路3cは、エンジン3を予熱したりクランキングしたりしてエンジン3を始動する。
【0059】
本実施形態において始動信号は、運転ボタン52dが、例えばオペレータによって操作されたときに発生する信号であって、吐出圧力設定部52の操作部52aに入力される。前記のように、始動信号が操作部52aに入力されると、操作部52aは、演算・制御部50の演算部50bに、信号線を介して始動信号の入力を通知する。したがって、演算部50bは、操作部52aから始動信号の入力を通知されたときに、始動信号を検知したと判定することができる。
【0060】
このように、演算・制御部50が起動すると自動的に閉塞状態に設定され、演算部50bが確認信号を検知したときに開放状態に設定される。そこで、演算・制御部50が閉塞状態のときは、演算部50bが始動信号を検知しても制御部50aは、エンジン始動回路3cにエンジン始動信号を送信しない構成とすれば、閉塞状態のときに、例えばオペレータが運転ボタン52dを誤操作してもエンジン3は始動しない。したがって、いきなりエンジン3が始動して、図示しない負荷機器類の駆動圧力を超える吐出圧力を供給することを防止できる。このことによって、サービスバルブ4aに図示しない負荷機器類が誤接続された場合であっても、負荷機器類の損傷を防止することができ、安全性を高めることができるという優れた効果を奏する。
【0061】
《変形例1》
また、変形例1として、演算・制御部50(図2参照)が閉塞状態のときに、演算部50b(図2参照)が始動信号を検知したら、エンジン駆動圧縮機1(図1参照)が定格値として設定できる範囲内の最低の吐出圧力に設定してエンジン3を始動する構成も考えられる。図5は、演算・制御部が閉塞状態のときに始動信号を検知したら、最低の吐出圧力に設定してエンジンを始動するステップを示すフローチャートである。図5を参照しながら、エンジン駆動圧縮機1のエンジン3(図1参照)を始動するステップを説明する(以下、適宜図1〜図3参照)。
【0062】
メインスイッチ50eがONされて、制御ユニット5の演算・制御部50が起動すると、演算・制御部50の演算部50bは、データ記憶部51から設定圧力値を読み出す。そして、制御部50aを介して吐出圧力設定部52の表示部52bに制御信号を送信し、読み出した設定圧力値を吐出圧力として点滅表示する(ステップS11)。そして、演算・制御部50は、自身を自動的に閉塞状態に設定する(ステップS12)。
【0063】
また、図示はしないが、例えばブザーなどの音声発声装置を備え、吐出圧力の点滅表示の際には、警告音を発生するような構成としてもよい。
【0064】
そして、演算・制御部50の演算部50bが確認信号を検知したら(ステップS13→Yes)、演算・制御部50の制御部50aは、吐出圧力設定部52の表示部52bに制御信号を送信し表示部52bの点滅を終了して、吐出圧力を点灯表示する(ステップS14)。その後、自身を開放状態に設定する(ステップS15)。
【0065】
そして、演算・制御部50は、演算部50bが始動信号を検知するまで待機し(ステップS16→No)、演算部50bが始動信号を検知したら(ステップS16→Yes)、演算・制御部50の制御部50aは、エンジン始動回路3cにエンジン始動信号を送信する(ステップS17)。
エンジン始動信号が送信されたエンジン始動回路3cは、エンジン3を予熱したりクランキングしたりしてエンジン3を始動する。
【0066】
ステップS13に戻って、演算・制御部50の演算部50bが確認信号を検知しないで(ステップS13→No)、始動信号も検知しない間は(ステップS18→No)、演算・制御部50は制御をステップS13に戻すが、始動信号を検知したら(ステップS18→Yes)、演算・制御部50の制御部50aは、吐出圧力設定部52に制御信号を送信する。そして、前記のように吐出圧力設定部52にあらかじめ設定されている、設定圧力値の下限値を選択することで、エンジン駆動圧縮機1が定格値として設定できる範囲内の最低の吐出圧力に設定する(ステップS19)。
【0067】
本変形例においても始動信号は、運転ボタン52dが、例えばオペレータによって操作されたときに発生する信号であって、吐出圧力設定部52の操作部52aに入力される。前記のように、始動信号が操作部52aに入力されると、操作部52aは、演算・制御部50の演算部50bに、信号線を介して始動信号の入力を通知する。したがって、演算部50bは、操作部52aから始動信号の入力を通知されたときに、始動信号を検知したと判定することができる。
また、演算・制御部50が閉塞状態の場合は、1回の始動信号の入力ではなく、2回以上の始動信号の入力が操作部52aから通知された場合に、演算部50bが始動信号の入力を検知したと判定する構成としてもよい。このように構成することで、エンジン3の始動に対して、より安全性を高めることができる。
【0068】
次に、演算・制御部50の制御部50aは、吐出圧力設定部52の表示部52bに制御信号を送信し、表示部52bの点滅を終了して吐出圧力を点灯表示する(ステップS20)。そして、自身を開放状態に設定し(ステップS21)、エンジン始動回路3cにエンジン始動信号を送信する(ステップS22)。
なお、ステップS20からステップS22に関して、その制御の順番は特に問わない。
また、ステップS20で点灯表示した吐出圧力は確認された吐出圧力ではないことから、ステップS20で点滅表示を終了せず、点滅表示を継続する構成であってもよい。
【0069】
以上のように、変形例1においては、演算・制御部50が閉塞状態であっても、演算部50bが始動信号を検知した場合は、エンジン駆動圧縮機1が定格値として設定できる範囲内の最低の吐出圧力に設定して、エンジン3を始動できる。このことによって、例えば誤操作によって運転ボタン52dが操作された場合であっても、図示しない負荷機器類の駆動圧力を超える吐出圧力を供給することを防止できる。したがって、負荷機器類の損傷を防止することができ、安全性を高められるという優れた効果を奏する。
【0070】
《変形例2》
また、変形例2として、演算・制御部50(図2参照)が閉塞状態のときに、演算部50bが確認信号と始動信号を共に検知しないで所定の時間が経過したときには、エンジン駆動圧縮機1(図1参照)が定格値として設定できる範囲内の最低の吐出圧力に設定するステップを含む構成も考えられる。図6は、演算・制御部が閉塞状態のときに確認信号と始動信号を検知しないで所定の時間が経過した場合に、最低の吐出圧力に設定するステップを示すフローチャートである。図6を参照しながら、エンジン駆動圧縮機1のエンジン3(図1参照)を始動するステップを説明する(以下、適宜図1〜図3参照)。
【0071】
メインスイッチ50eがONされて、制御ユニット5の演算・制御部50が起動すると、演算・制御部50の演算部50bは、データ記憶部51から設定圧力値を読み出す。そして、制御部50aを介して吐出圧力設定部52の表示部52bに制御信号を送信し、読み出した設定圧力値を吐出圧力として点滅表示する(ステップS31)。そして、演算・制御部50は、自身を自動的に閉塞状態に設定する(ステップS32)。
【0072】
また、図示はしないが、例えばブザーなどの音声発声装置を備え、吐出圧力の点滅表示の際には、警告音を発生するような構成としてもよい。
【0073】
さらに、演算・制御部50は起動してからの時間を計測して、所定の時間が経過したかを判定する(ステップS43)。そして、所定の時間が経過したら(ステップS43→Yes)、制御部50aは吐出圧力設定部52に制御信号を送信し、吐出圧力設定部52にあらかじめ設定されている、設定圧力値の下限値を選択することで、エンジン駆動圧縮機1が定格値として設定できる範囲内の最低の吐出圧力に設定する(ステップS44)。
ここで、所定の時間は、限定される時間ではなく、エンジン駆動圧縮機1に求められる性能や使用環境などに基づいて、例えば30秒や1分など適宜設定すればよい。
【0074】
演算・制御部50の制御部50aは、吐出圧力設定部52の表示部52bに制御信号を送信し、表示部52bの点滅を終了して、吐出圧力を点灯表示する(ステップS34)。その後、自身を開放状態に設定する(ステップS35)。
【0075】
そして、演算・制御部50は、演算部50bが始動信号を検知するまで待機し(ステップS36→No)、演算部50bが始動信号を検知したら(ステップS36→Yes)、演算・制御部50の制御部50aは、エンジン始動回路3cにエンジン始動信号を送信する(ステップS37)。
エンジン始動信号が送信されたエンジン始動回路3cは、エンジン3を予熱したりクランキングしたりしてエンジン3を始動する。
【0076】
ステップS43に戻って、所定の時間が経過しない間に(ステップS43→No)、演算・制御部50の演算部50bが確認信号を検知したら(ステップS33→Yes)、演算・制御部50は制御をステップS34に進める。
【0077】
一方、演算・制御部50の演算部50bが確認信号を検知しないで(ステップS33→No)、始動信号を検知したら(ステップS38→Yes)、制御部50aは、吐出圧力設定部52に制御信号を送信して、吐出圧力設定部52にあらかじめ設定されている、設定圧力値の下限値を選択することで、エンジン駆動圧縮機1が定格値として設定できる範囲内の最低の吐出圧力に設定する(ステップS39)。
【0078】
本変形例においても始動信号は、運転ボタン52dが、例えばオペレータによって操作されたときに発生する信号であって、吐出圧力設定部52の操作部52aに入力される。そして、前記のように、始動信号が操作部52aに入力されると、操作部52aは、演算・制御部50の演算部50bに、信号線を介して始動信号の入力を通知する。したがって、演算部50bは、操作部52aから始動信号の入力を通知されたときに、始動信号を検知したと判定することができる。
また、演算・制御部50が閉塞状態の場合は、1回の始動信号の入力ではなく、2回以上の始動信号の入力が操作部52aにあった場合に、演算部50bが始動信号の入力を検知したと判定する構成としてもよいのは変形例1と同様である。
【0079】
次に、演算・制御部50の制御部50aは、吐出圧力設定部52の表示部52bに制御信号を送信し、表示部52bの点滅を終了して吐出圧力を点灯表示する(ステップS40)。そして、自身を開放状態に設定し(ステップS41)、エンジン始動回路3cにエンジン始動信号を送信する(ステップS42)。
なお、ステップS40からステップS42に関して、その制御の順番は特に問わない。
また、ステップS40で点灯表示した吐出圧力は確認された吐出圧力ではないことから、ステップS40で点滅表示を終了せず、点滅表示を継続する構成であってもよい。
【0080】
なお、ステップS38において始動信号を検知しない間(ステップS38→No)、演算・制御部50は、制御をステップS43に戻して、所定の時間が経過したかを判定する。
【0081】
変形例2においては、演算・制御部50の起動後、例えばオペレータが確認操作を忘れた場合であっても、所定の時間が経過すると、エンジン駆動圧縮機1(図1参照)が低格値として設定できる範囲内の最低の吐出圧力に設定することから、その後に運転ボタン52dが誤操作されても、図示しない負荷機器類の駆動圧力を超える吐出圧力を供給することを防止できる。したがって、負荷機器類の損傷を防止することができ、安全性を高めることができるという優れた効果を奏する。
【0082】
なお、変形例2においては、演算・制御部50が閉塞状態の場合に、演算部50bが始動信号を検知しても制御部50aは、エンジン始動回路3cにエンジン始動信号を送信しない構成としてもよい。
【0083】
以上のように、本実施形態においては、エンジン駆動圧縮機1の制御ユニット5の演算・制御部50が起動してから、エンジン3が始動するまでの間に、確認信号が入力されたことを検知する手順が必要となることから、いきなりエンジン3が始動して、図示しない負荷機器類の駆動圧力を超える吐出圧力を供給することを防止できる。このことによって、サービスバルブ4aに図示しない負荷機器類が誤接続された場合であっても、負荷機器類の損傷を防止することができ、安全性を高めることができるという優れた効果を奏する。
【0084】
また、変形例1によると、演算・制御部50が閉塞状態にあるときに、始動信号を検知した場合は、エンジン駆動圧縮機1(図1参照)が定格値として設定できる範囲内の最低の吐出圧力に設定することから、誤操作によって運転ボタン52dが操作されても、図示しない負荷機器類の駆動圧力を超える吐出圧力を供給することを防止できる。したがって、負荷機器類の損傷を防止することができ、安全性を高められるという優れた効果を奏する。
【0085】
さらに、変形例2によると、演算・制御部50の起動後、例えばオペレータが確認操作を忘れた場合であっても、所定の時間が経過すると、エンジン駆動圧縮機1(図1参照)が定格値として設定できる範囲内の最低の吐出圧力に設定することから、その後に運転ボタン52d(図2参照)が誤操作されても、図示しない負荷機器類の駆動圧力を超える吐出圧力を供給することを防止できる。したがって、負荷機器類の損傷を防止することができ、安全性を高めることができるという優れた効果を奏する。
また、いずれの場合も最終的にエンジンは始動できるので、問題がエンジンの始動不良ではなく、吐出圧力の設定確認にあることが判別できる。
【0086】
特に乱雑な工事現場などでは、低圧で動作する負荷機器類に高圧の圧縮空気を供給するような誤接続が発生する可能性があるため、エンジン始動時に吐出圧力を必ず確認する本願発明は、安全対策としてきわめて有効である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本実施形態に係る空気圧縮機としての、エンジン駆動圧縮機の概略構成を示すブロック図である。
【図2】制御ユニットの構成を示すブロック図である。
【図3】制御ユニットのパネル面の一例を示す図である。
【図4】エンジン駆動圧縮機のエンジンを始動するステップを示すフローチャートである。
【図5】演算・制御部が閉塞状態のときに始動信号を検知したら、最低の吐出圧力に設定してエンジンを始動するステップを示すフローチャートである。
【図6】演算・制御部が閉塞状態のときに確認信号と始動信号を検知しないで所定の時間が経過場合に、最低の吐出圧力に設定するステップを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0088】
1 エンジン駆動圧縮機
2 圧縮機本体
3 エンジン
3a ECU
5 制御ユニット(操作装置)
50 演算・制御部(制御手段)
50a 制御部
50b 演算部(確認信号入力検知手段)
50d 設定値確認ボタン(確認操作手段)
50e メインスイッチ(電源開閉手段)
52 吐出圧力設定部(吐出圧力設定手段)
52a 操作部(始動信号入力検知手段)
52b 表示部(設定圧力表示手段)
52d 運転ボタン(始動操作手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンにより駆動される圧縮機本体と、
前記エンジン及び前記圧縮機本体を操作する操作装置と、を備え、
前記操作装置は、
前記エンジンを始動する始動信号を発生する始動操作手段と、
前記圧縮機本体が吐出する吐出圧力を定格値の範囲内で任意に設定する吐出圧力設定手段と、
前記吐出圧力設定手段で設定されている吐出圧力の値を表示する設定圧力表示手段と、
前記設定圧力表示手段が表示する吐出圧力の値を確認する確認信号を発生する確認操作手段と、
前記始動信号が入力したことを検知する始動信号入力検知手段と、
前記確認信号が入力したことを検知する確認信号入力検知手段と、
前記エンジンと前記圧縮機本体を制御する制御手段と、
前記制御手段を起動する電源開閉手段と、を備えることを特徴とするエンジン駆動圧縮機。
【請求項2】
前記制御手段は、前記エンジンの始動が可能な開放状態と前記エンジンの始動が不可能な閉塞状態とに設定されるものであって、
前記制御手段の起動時には、自動的に前記閉塞状態に設定されるとともに、
前記閉塞状態の場合に、前記確認信号入力検知手段が前記確認信号の入力を検知したときには、前記開放状態に切り換わり、
前記開放状態の場合に、前記始動信号入力検知手段が前記始動信号の入力を検知したときには、エンジン始動信号を送信して、前記エンジンを始動するように制御することを特徴とする請求項1に記載のエンジン駆動圧縮機。
【請求項3】
前記制御手段は、前記閉塞状態の場合に、前記始動信号入力検知手段が、少なくとも1回の前記始動信号の入力を検知したときには、前記吐出圧力設定手段で設定可能な吐出圧力の定格値の範囲内で最低の吐出圧力を選択するように、前記吐出圧力設定手段に制御信号を送信するとともに、前記開放状態に切り換わり、エンジン始動信号を送信して、前記エンジンを始動するように制御することを特徴とする請求項2に記載のエンジン駆動圧縮機。
【請求項4】
前記制御手段は、前記制御手段が起動してから、前記確認信号入力検知手段が前記確認信号の入力を検知しない状態で所定の時間が経過したときには、前記吐出圧力設定手段で設定可能な吐出圧力の定格値の範囲内で最低の吐出圧力を選択するように、前記吐出圧力設定手段に制御信号を送信するとともに、前記開放状態に切り換わるように制御することを特徴とする請求項2または請求項3に記載のエンジン駆動圧縮機。
【請求項5】
前記設定圧力表示手段は、前記制御手段からの制御信号によって、前記吐出圧力設定手段で設定されている吐出圧力の値を点滅表示する機能を有し、
前記制御手段は、前記制御手段の起動時には前記設定圧力表示手段に制御信号を送信して前記吐出圧力の値を点滅表示するとともに、前記制御手段が前記開放状態に切り換わったときには、前記設定圧力表示手段に制御信号を送信して点滅表示を解除し、前記吐出圧力の値を点灯表示するように制御することを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載のエンジン駆動圧縮機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−41396(P2009−41396A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−205412(P2007−205412)
【出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【出願人】(000109819)デンヨー株式会社 (88)
【Fターム(参考)】