説明

オキサゾール化合物の合成中間体及びその製造方法

本発明は、オキサゾール化合物を高収率で製造する方法を提供することを課題とする。
前記課題は、式


[式中、Rは水素原子又は低級アルキル基を示す。

(A1a)フェニル基上に1個以上のハロゲン置換低級アルコキシ基が置換しているフェノキシ基、
(A1b)フェニル基上に1個以上のハロゲン置換低級アルキル基が置換しているフェノキシ置換低級アルキル基、
(A1c)フェニル基上にハロゲンが置換しているフェニル置換低級アルコキシ低級アルキル基、
(A1d)フェニル基上に1個以上のハロゲン置換低級アルコキシ基が置換しているフェニル置換低級アルキル基、
(A1e)1個以上のハロゲン置換低級アルコキシ基が置換しているフェニル基及び低級アルキル基を有するアミノ基、及び
(A1f)フェニル基上に1個以上のハロゲン置換低級アルコキシ基が置換しているフェニル置換低級アルコキシ基
から選択される置換基を4位に有する1−ピペリジル基を示す。
nは1〜6の整数を示す。
は有機スルホニルオキシ基を示す。]
で表される化合物によって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オキサゾール化合物の合成中間体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
後記の式(1)で表される2,3−ジヒドロイミダゾ[2,1−b]オキサゾール化合物又はその塩は、抗結核薬として有用な化合物である(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
【0003】
【化1】

式(1)中、
は水素原子又は低級アルキル基を示し;
は、
(A1a)フェニル基上に1個以上のハロゲン置換低級アルコキシ基が置換しているフェノキシ基、
(A1b)フェニル基上に1個以上のハロゲン置換低級アルキル基が置換しているフェノキシ置換低級アルキル基、
(A1c)フェニル基上にハロゲンが置換しているフェニル置換低級アルコキシ低級アルキル基、
(A1d)フェニル基上に1個以上のハロゲン置換低級アルコキシ基が置換しているフェニル置換低級アルキル基、
(A1e)1個以上のハロゲン置換低級アルコキシ基が置換しているフェニル基及び低級アルキル基を有するアミノ基、及び
(A1f)フェニル基上に1個以上のハロゲン置換低級アルコキシ基が置換しているフェニル置換低級アルコキシ基
から選択される置換基を4位に有する1−ピペリジル基を示し;及び
nは1〜6の整数を示す。
【0004】
これらの特許文献には、当該2,3−ジヒドロイミダゾ[2,1−b]オキサゾール化合物の製法として、例えば、後記の反応スキーム−A及びBに示す方法が開示されている。
【0005】
反応スキーム−A:
【化2】

[式中、Rは水素原子又は低級アルキル基を示す。Rは置換ピペリジル基又は置換ピペラジニル基を示す。Xは、ハロゲン原子又はニトロ基を示す。]
【0006】
反応スキーム−B:
【化3】

[式中、Xは、ハロゲン又はハロゲンと同様の置換反応を起こす基を示す。nは、1〜6の整数を示す。R、R及びXは反応スキーム−Aにおけるそれらに同じである。]
【0007】
また、式(1a):
【化4】

で表されるオキサゾール化合物、即ち、2−メチル−6−ニトロ−2−{4−[4−(4−トリフルオロメトキシフェノキシ)ピペリジン−1−イル]フェノキシメチル}−2,3−ジヒドロイミダゾ[2,1−b]オキサゾール(以下、この化合物を単に「化合物1a」と称する場合がある。)は、例えば、後記反応スキーム−Cに示す方法により製造されている(特許文献3)。なお、本明細書中で用いられる用語「オキサゾール化合物」は、オキサゾール環またはオキサゾリン環(ジヒドロオキサゾール環)を分子内に有する化合物を包含するオキサゾール誘導体を意味する。
【0008】
反応スキーム−C:
【化5】

【0009】
しかしながら、これらの方法では、目的化合物の収率が不十分である。例えば、反応スキーム−Cの方法では、目的とする化合物(1a)が化合物(2a)から僅か35.9%の収率で製造されるに過ぎない。従って、当該化合物を工業的に有利に製造する別の方法の開発が切望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公報第2004/033463
【特許文献2】国際公報第2004/035547
【特許文献3】国際公報第2008/140090
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、化合物(1a)を包含する式(1)で表されるオキサゾール化合物を高収率かつ高純度(特に、高い光学純度)で製造するために用いることができる新規な合成中間体及び当該中間体の製法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、後記に示す合成中間体としての化合物、及びこれを用いた製造方法により、目的とする式(1)のオキサゾール化合物を高収率かつ高純度で製造できることを見い出した。本発明は、このような知見に基づき完成されたものである。
【0013】
すなわち、本発明は、次の各項に記載の態様等を提供する。
[項1]
式(11):
【化6】

[式中、Rは水素原子又は低級アルキル基を示す。

(A1a)フェニル基上に1個以上のハロゲン置換低級アルコキシ基が置換しているフェノキシ基、
(A1b)フェニル基上に1個以上のハロゲン置換低級アルキル基が置換しているフェノキシ置換低級アルキル基、
(A1c)フェニル基上にハロゲンが置換しているフェニル置換低級アルコキシ低級アルキル基、
(A1d)フェニル基上に1個以上のハロゲン置換低級アルコキシ基が置換しているフェニル置換低級アルキル基、
(A1e)1個以上のハロゲン置換低級アルコキシ基が置換しているフェニル基及び低級アルキル基を有するアミノ基、及び
(A1f)フェニル基上に1個以上のハロゲン置換低級アルコキシ基が置換しているフェニル置換低級アルコキシ基
から選択される置換基を4位に有する1−ピペリジル基を示す。
nは1〜6の整数を示す。
は有機スルホニルオキシ基を示す。]
で表される化合物。
[項2]
前記項1に記載の化合物を製造する方法であって、
式(10):
【化7】

[式中、R、R及びnは前記に同じである。]
で表される化合物を、
有機スルホン酸と反応させる工程を含む方法。
[項3]
式(11):
【化8】

[式中、R、R及びnは前記項1におけるそれらに同じである。]
で表される化合物。
[項4]
前記項3に記載の化合物の製造方法であって、
式(9):
【化9】

[式中、Xは脱離基を示す。R及びnは前記項1におけるそれらに同じである。]
で表される化合物を、
式(2):

[式中、Rは前記に同じである。]
で表される化合物と反応させる工程を含む方法。
[項5]
前記項3に記載の化合物の製造方法であって、
式(9):
【化10】

[式中、Xは脱離基を示す。R及びnは前記項1におけるそれらに同じである。]
で表される化合物を式(9−i):
【化11】

[式中、Rは低級アルキル基又は置換基を有することのあるフェニル基を示す。Rは水素原子又は低級アルキル基である。R及びRはそれらが結合している炭素原子と一緒になってシクロアルキル基を形成してもよい。]で表される化合物と反応させて、,
式(9−ii):
【化12】

[式中、R、X、n、R及びRは前記におけるそれらに同じである。]
で表される化合物を得る工程、
式(9−ii)で表される化合物を式(2):
【化13】

[式中、Rは前記項1におけるそれに同じである。]
で表される化合物と反応させて式(9−iii):
【化14】

[式中、R、R、n、R及びRは前記におけるそれらに同じである。]で表される化合物を得る工程、及び
式(9−iii)で表される化合物を脱保護に付す工程
を含む方法。
[項6]
式(12):
【化15】

[式中、R、R及びnは前記項1におけるそれらに同じである。]
で表される化合物を製造する方法であって、
前記項1に記載の化合物をエポキシ化反応に付す工程を含む方法。
[項7]
式(1):
【化16】

[式中、R、R及びnは前記項1におけるそれらに同じである。]
で表される化合物を製造する方法であって、以下の工程:
(a)前記項1に記載の化合物をエポキシ化反応に付して、式(12):
【化17】

[式中、R、R及びnは前記項1におけるそれらに同じである。]
で表される化合物を調製する工程、
(b)式(12)で表される化合物を式(8):
【化18】

[式中、Xはハロゲン原子を示す。]
で表される化合物と反応させて、式(13):
【化19】

[式中、R、R、X及びnは前記に同じである。]
で表される化合物を調製する工程、及び
(c)式(13)で表される化合物を閉環反応に付して、式(1)で表される化合物を調製する工程
を含む方法。
【0014】
また、本発明は、更に、次の項に記載の態様等を提供する。
【0015】
[項7]

【化20】

[式中、Rは水素原子又は低級アルキル基を示す。

(A1a)フェニル基上に1個以上のハロゲン置換低級アルコキシ基が置換しているフェノキシ基、
(A1b)フェニル基上に1個以上のハロゲン置換低級アルキル基が置換しているフェノキシ置換低級アルキル基、
(A1c)フェニル基上にハロゲンが置換しているフェニル置換低級アルコキシ低級アルキル基、
(A1d)フェニル基上に1個以上のハロゲン置換低級アルコキシ基が置換しているフェニル置換低級アルキル基、
(A1e)1個以上のハロゲン置換低級アルコキシ基が置換しているフェニル基及び低級アルキル基を有するアミノ基、及び
(A1f)フェニル基上に1個以上のハロゲン置換低級アルコキシ基が置換しているフェニル置換低級アルコキシ基
から選択される置換基を4位に有する1−ピペリジル基を示す。
nは1〜6の整数を示す。]
で表される化合物を製造する方法であって、以下の工程:
(a)式(9):
【化21】

[式中、Xは脱離基を示す。R、X及びnは前記項1におけるそれらに同じである。]
で表される化合物を、
式(2):
【化22】

[式中、Rは前記項1におけるそれに同じである。]
で表される化合物と反応させて、
式(10):
【化23】

[式中、R、R及びnは前記に同じである。]
で表される化合物を調製する工程、
(b)式(10)で表される化合物を、
有機スルホン酸と反応させて、
式(11):
【化24】

[式中、Xは有機スルホニルオキシ基である。R、R及びnは前記に同じである。]
で表される化合物を調製する工程、
(c)式(11)で表される化合物をエポキシ化反応に付して、式(12):
【化25】

[式中、R、R及びnは前記に同じである。]
で表される化合物を調製する工程、
(d)式(12)で表される化合物を、
式(8):
【化26】

[式中、Xはハロゲン原子を示す。]
で表される化合物と反応させて、
式(13):
【化27】

[式中、R、R、X及びnは前記に同じである。]
で表される化合物を調製する工程、
(e)式(13)で表される化合物を閉環反応に付して、
式(1):
【化28】

[式中、R、R及びnは前記に同じである。]
で表される化合物を調製する工程
を含む方法。
【0016】
本明細書において用いられる用語は、具体的には次の通りである。
本明細書中、室温とは、例えば、10℃〜35℃の範囲内の温度を意味する。
1−ピペリジル基における「4位に」とは、当業者が通常理解する通り、以下に数字4で示す位置である。
【化29】

【0017】
本明細書において示される各基は、具体的には次の通りである。
【0018】
ハロゲン原子(または、ハロゲン)としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0019】
低級アルコキシ基としては、例えば、炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜4)の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基を挙げることができる。より具体的には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、sec−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、1−エチルプロポキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、1,2,2−トリメチルプロポキシ、3,3−ジメチルブトキシ、2−エチルブトキシ、イソヘキシルオキシ、3−メチルペンチルオキシ基等が含まれる。
【0020】
ハロゲン置換低級アルコキシ基としては、ハロゲン原子が1〜7個、好ましくは1〜3個置換した前記例示の低級アルコキシ基を挙げることができる。より具体的には、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロメトキシ、ジクロロメトキシ、トリクロロメトキシ、ブロモメトキシ、ジブロモメトキシ、ジクロロフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、ペンタフルオロエトキシ、2−クロロエトキシ、3,3,3−トリフルオロプロポキシ、ヘプタフルオロプロポキシ、ヘプタフルオロイソプロポキシ、3−クロロプロポキシ、2−クロロプロポキシ、3−ブロモプロポキシ、4,4,4−トリフルオロブトキシ、4,4,4,3,3−ペンタフルオロブトキシ、4−クロロブトキシ、4−ブロモブトキシ、2−クロロブトキシ、5,5,5−トリフルオロペンチルオキシ、5−クロロペンチルオキシ、6,6,6−トリフルオロへキシルオキシ、6−クロロヘキシルオキシ基等が含まれる。
【0021】
フェニル基上に1個以上のハロゲン置換低級アルコキシ基が置換しているフェノキシ基としては、例えば、フェニル基上に前記例示のハロゲン置換低級アルコキシ基が1〜3個(好ましくは1個)置換しているフェノキシ基を挙げることができる。
【0022】
低級アルキル基としては、炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜4)の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を挙げることができる。より具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、1−エチルプロピル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、1,2,2−トリメチルプロピル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、イソヘキシル、3−メチルペンチル基等が含まれる。
【0023】
ハロゲン置換低級アルキル基としては、ハロゲン原子が1〜7個、好ましくは1〜3個置換した前記例示の低級アルキル基を挙げることができる。より具体的には、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ブロモメチル、ジブロモメチル、ジクロロフルオロメチル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、2−フルオロエチル、2−クロロエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、ヘプタフルオロプロピル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、ヘプタフルオロイソプロピル、3−クロロプロピル、2−クロロプロピル、3−ブロモプロピル、4,4,4−トリフルオロブチル、4,4,4,3,3−ペンタフルオロブチル、4−クロロブチル、4−ブロモブチル、2−クロロブチル、5,5,5−トリフルオロペンチル、5−クロロペンチル、6,6,6−トリフルオロへキシル、6−クロロヘキシル等が含まれる。
【0024】
フェノキシ置換低級アルキル基としては、フェノキシ基が1個置換した前記低級アルキル基を例示できる。より具体的には、フェノキシメチル、2−フェノキシエチル、1−フェノキシエチル、2−フェノキシエチル、2−フェノキシ−1−メチルエチル、2−フェノキシ−1−エチルエチル、3−フェノキシプロピル、4−フェノキシブチル等が含まれる。
【0025】
フェニル基上に1個以上のハロゲン置換低級アルキル基が置換しているフェノキシ置換低級アルキル基としては、例えば、フェニル基上に前記例示のハロゲン置換低級アルキル基が1〜3個(好ましくは1個)置換している前記例示のフェノキシ置換低級アルキル基を挙げることができる。
【0026】
低級アルコキシ低級アルキル基としては、前記例示の低級アルコキシ基が1個置換した前記例示の低級アルキル基を例示できる。より具体的には、メトキシメチル、2−メトキシエチル、1−エトキシエチル、2−エトキシエチル、2−イソブトキシエチル、2,2−ジメトキシエチル、2−メトキシ−1−メチルエチル、2−メトキシ−1−エチルエチル、3−メトキシプロピル、3−エトキシプロピル、3−イソブトキシプロピル、3−n−ブトキシプロピル、4−n−プロポキシブチル、1−メチル−3−イソブトキシプロピル、1,1−ジメチル−2−n−ペンチルオキシエチル、5−n−ヘキシルオキシペンチル、6−メトキシヘキシル、1−エトキシイソプロピル、2−メチル−3−メトキシプロピル基等が含まれる。
【0027】
フェニル置換低級アルコキシ低級アルキル基としては、低級アルコキシ基上にフェニル基が1個置換した前記低級アルコキシ低級アルキル基を例示できる。より具体的には、ベンジルオキシメチル、(2−フェニルエトキシ)メチル、(1−フェニルエトキシ)メチル、3−(3−フェニルプロポキシ)プロピル、4−(4−フェニルブトキシ)ブチル、5−(5−フェニルペンチルオキシ)ペンチル、6−(6−フェニルヘキシルオキシ)ヘキシル、1,1−ジメチル−(2−フェニルエトキシ)エチル、2−メチル−3−(3−フェニルプロポキシ)プロピル、2−ベンジルオキシエチル、1−ベンジルオキシエチル、3−ベンジルオキシプロピル、4−ベンジルオキシブチル、5−ベンジルオキシペンチル、6−ベンジルオキシヘキシル基等を例示できる。
【0028】
フェニル基上にハロゲンが置換しているフェニル置換低級アルコキシ低級アルキル基としては、例えば、ハロゲン原子が1〜7個、より好ましくは1〜3個置換している前記例示のフェニル置換低級アルコキシ低級アルキル基を挙げることができる。
【0029】
フェニル置換低級アルキル基としては、フェニル基が1個置換した前記低級アルキル基を例示できる。より具体的には、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、1−メチル−1−フェニルエチル、1,1−ジメチル−2−フェニルエチル、1,1−ジメチル−3−フェニルプロピル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル基等が含まれる。
【0030】
フェニル基上に1個以上のハロゲン置換低級アルコキシ基が置換しているフェニル置換低級アルキル基としては、例えば、前記例示のハロゲン置換低級アルコキシ基が1〜3個(好ましくは1個)置換している前記例示のフェニル置換低級アルキル基を挙げることができる。
【0031】
フェニル基上に1個以上のハロゲン置換低級アルコキシ基が置換しているフェニル基としては、例えば、前記例示のハロゲン置換低級アルコキシ基が1〜3個(好ましくは1個)置換しているフェニル基を挙げることができる。
【0032】
1個以上のハロゲン置換低級アルコキシ基が置換しているフェニル基及び低級アルキル基を有するアミノ基としては、例えば、アミノ基上に、前記例示のハロゲン置換低級アルコキシ基が置換しているフェニル基の1個及び前記例示の低級アルキル基の1個が置換したアミノ基を挙げることができる。
【0033】
フェニル置換低級アルコキシ基としては、フェニル基が1個置換した前記低級アルキル基を例示できる。より具体的には、ベンジルオキシ、1−フェニルエトキシ、2−フェニルエトキシ、1−メチル−1−フェニルエトキシ、1,1−ジメチル−2−フェニルエトキシ、1,1−ジメチル−3−フェニルプロポキシ、3−フェニルプロポキシ、4−フェニルブトキシ基等が含まれる。
【0034】
フェニル基上に1個以上のハロゲン置換低級アルコキシ基が置換しているフェニル置換低級アルコキシ基としては、例えば、前記例示のハロゲン置換低級アルコキシ基が1〜3個(好ましくは1個)置換している前記例示のフェニル置換低級アルコキシ基を挙げることができる。
【0035】
本発明の一態様である、式(1)のオキサゾール化合物の製造方法について、以下に説明する。本発明の他の態様もまた、当該説明によって理解される。
【0036】
本発明の、式(1)のオキサゾール化合物の製造方法の概要を、反応スキーム−Dに示す。
【0037】
<反応スキーム−D>
【化30】

[式中、R、R、X、X、X及びnは前記に同じである。]
式(1)のオキサゾール化合物の製造方法の一態様は、次の工程1〜5を有する。
【0038】
工程1:式
【化31】

[式中、Rは水素原子又は低級アルキル基を示す。
nは1〜6の整数を示す。
は脱離基を示す。]
で表される化合物を、

【化32】

[式中、R
(A1a)フェニル基上に1個以上のハロゲン置換低級アルコキシ基が置換しているフェノキシ基、
(A1b)フェニル基上に1個以上のハロゲン置換低級アルキル基が置換しているフェノキシ置換低級アルキル基、
(A1c)フェニル基上にハロゲンが置換しているフェニル置換低級アルコキシ低級アルキル基、
(A1d)フェニル基上に1個以上のハロゲン置換低級アルコキシ基が置換しているフェニル置換低級アルキル基、
(A1e)1個以上のハロゲン置換低級アルコキシ基が置換しているフェニル基及び低級アルキル基を有するアミノ基、及び
(A1f)フェニル基上に1個以上のハロゲン置換低級アルコキシ基が置換しているフェニル置換低級アルコキシ基
から選択される置換基を4位に有する1−ピペリジル基を示す。]
で表される化合物と反応させて、

【化33】

[式中、R、R及びnは前記に同じである。]
で表される化合物を調製すること。
【0039】
工程2:式(10)で表される化合物を、
有機スルホン酸と反応させて、
式(11):
【化34】

[式中、Xは有機スルホニルオキシ基を示す。R、R及びnは前記に同じである。]
で表される化合物を調製すること。
【0040】
工程3:式(11)で表される化合物をエポキシ化反応に付して、
式(12):
【化35】

[式中、R、R及びnは前記に同じである。]
で表される化合物を調製すること。
【0041】
工程4:式(12)で表される化合物を、
式(8):
【化36】

[式中、Xはハロゲン原子を示す。]
で表される化合物と反応させて、
式(13):
【化37】

[式中、R、R、X及びnは前記に同じである。]
で表される化合物を調製すること。
【0042】
工程5:式(13)で表される化合物を閉環反応に付して、
式(1):
【化38】

[式中、R、R及びnは前記に同じである。]
で表される化合物を調製すること。
【0043】
以下に、各工程について詳細に説明する。
<工程1>
式(10)で表される化合物は、式(9)で表される化合物を式(2)で表される化合物と反応させることによって製造される。
式(9)において、X1で示される脱離基としては、例えば、ハロゲン原子、ハロゲン置換もしくは未置換の低級アルカンスルホニルオキシ基、置換もしくは未置換のアリールスルホニルオキシ基等が挙げられる。中でも、好ましくはハロゲン原子である。
ハロゲン置換もしくは未置換の低級アルカンスルホニルオキシ基としては、具体的にはメタンスルホニルオキシ、エタンスルホニルオキシ、n−プロパンスルホニルオキシ、イソプロパンスルホニルオキシ、n−ブタンスルホニルオキシ、tert−ブタンスルホニルオキシ、n−ペンタンスルホニルオキシ、n−ヘキサンスルホニルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、2,2,2−トリフルオロエタンスルホニルオキシ等の炭素数が1〜6の直鎖又は分枝鎖状のアルカンスルホニルオキシ基等を例示できる。
【0044】
置換もしくは未置換のアリールスルホニルオキシ基としては、例えば、ベンゼン環上に置換基として炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキル基、炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルコキシ基、ニトロ基及びハロゲン原子からなる群より選択される1〜3個の置換基をそれぞれ有することのあるフェニルスルホニルオキシ、ナフチルスルホニルオキシ基等を挙げることができる。前記置換基を有することのあるフェニルスルホニルオキシ基の具体例としては、フェニルスルホニルオキシ、4−メチルフェニルスルホニルオキシ、2−メチルフェニルスルホニルオキシ、4−ニトロフェニルスルホニルオキシ、4−メトキシフェニルスルホニルオキシ、2−ニトロフェニルスルホニルオキシ、3−クロロフェニルスルホニルオキシ等を例示できる。ナフチルスルホニルオキシの具体例としては、α−ナフチルスルホニルオキシ、β−ナフチルスルホニルオキシ等を例示できる。
一般式(2)で表される化合物と一般式(9)で表される化合物との反応は、無溶媒又は不活性溶媒中、遷移金属化合物と配位子の存在下、塩基性化合物の存在下又は非存在下にて行われる。
【0045】
当該工程においては、遷移金属化合物及び配位子の使用が必須であり、両者を組み合わせて触媒として反応系に加える。添加方法は、反応系に、これらをそれぞれ加えてもよく、これらの錯体を添加してもよい。
【0046】
遷移金属(Transition Metal)化合物としては、8から11族元素を含有する化合物が挙げられ、好ましくはニッケル化合物、パラジウム化合物、銅化合物であり、最も好ましいのはパラジウム化合物である。
パラジウム化合物としては特に限定されるものではないが、例えば、ヘキサクロロパラジウム(IV)酸ナトリウム四水和物、ヘキサクロロパラジウム(IV)酸カリウムなどの4価パラジウム化合物類;塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、パラジウム(II)アセチルアセトナート、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロ(シクロオクタ−1,5−ジエン)パラジウム(II)等の2価パラジウム化合物類;トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)クロロホルム錯体、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等の0価パラジウム化合物類などが挙げられ、中でもトリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)クロロホルム錯体が好ましい。
【0047】
配位子(Ligand)としては、例えば、ホスフィン類、N−へテロN環状カルベン類等が挙げられる。
ホスフィン類は、特に限定されるものではないが、例えば、トリイソプロピルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル、2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2'−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2'−メチルビフェニル、2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2',4',6'−トリ−イソプロピル−1,1'−ビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−1,1'−ビナフチル、2'−ジシクロヘキシルホスフィノ−2,6−ジメトキシ−3−スフォナト−1,1'−ビフェニルナトリウム塩水和物、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2'−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2',6'−ジ−i−プロポキシ−1,1'−ビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2'−メチルビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2',4',6'−トリ−イソプロピル−1,1'−ビフェニル、2−ジフェニルホスフィノ−2'−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、5−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)−1',3',5'−トリフェニル−1'H−[1,4']−ビピラゾール、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)−1−フェニル−1H−ピロール、及び2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)−1−フェニル−1H−インドール等の単座ホスフィン;1,2−ビス(ジフェニスホスフィノ)ベンゼン、2,2'−ビス(ジフェニスホスフィノ)−1,1'−ビナフチル、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,1−(ジフェニルホスフィノ)フェロセン等の二座ホスフィンが挙げられ、中でも2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2',4',6'−トリ−イソプロピル−1,1'−ビフェニル、5−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)−1',3',5'−トリフェニル−1'H−[1,4']−ビピラゾール、2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2'−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、及び2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)−1−フェニル−1H−ピロールが好ましく、最も好ましくは2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2',4',6'−トリ−イソプロピル−1,1'−ビフェニルである。
また、N−へテロ環状カルベン類は、特に限定されるものではないが、例えば、1,3−(ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリニウムクロリド、1,3−(ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリウムクロリド、1,3−(ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾリニウムクロリド、1,3−(ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾリウムクロリドなどが挙げられる。
【0048】
遷移金属化合物及び配位子の錯体としては、パラジウム錯体(Palladium complex)が挙げられる。パラジウム錯体としては特に限定されるものではないが、例えばナフトキノン−[1,3−ビス(ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン]パラジウム(0)、ナフトキノン−[1,3−ビス(メシチル)イミダゾール−2−イリデン]パラジウム(0)、アリルクロロ−[1,3−ビス(ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン]パラジウム(II)、アリルクロロ−[1,3−ビス(ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン]パラジウム(II)、アリルクロロ−[1,3−ビス(メシチル)イミダゾール−2−イリデン]パラジウム(II)、アリルクロロ−[1,3−ビス(ジイソプロピルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン]パラジウム(II)、フェニルアリルクロロ−[1,3−ビス(ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン]パラジウム(II)、フェニルアリルクロロ−[1,3−ビス(ジイソプロピルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン]パラジウム(II)、ジクロロ−[1,3−ビス(ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン]パラジウム(II)ダイマー、ジクロロ−(1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロ−(1,5−シクロオクタジエン)−パラジウム(II)等が挙げられる。
【0049】
不活性溶媒としては、例えば、水;ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル溶媒;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール等の低級アルコール溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサメチルリン酸トリアミド、アセトニトリル等の極性溶剤等の単独もしくは混合溶媒が挙げられ、芳香族炭化水素溶媒が好ましい。
塩基性化合物としては、種々の公知のものを使用でき、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;ナトリウムアミド、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の無機塩基、及びナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、リチウム−tert−ブトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド類;トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ピリジン、キノリン、ピペリジン、イミダゾール、N−エチルジイソプロピルアミン、ジメチルアミノピリジン、トリメチルアミン、ジメチルアニリン、N−メチルモルホリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)等の有機塩基を挙げることができる。
これらの塩基性化合物は、1種単独で又は2種以上混合して使用される。
より好ましくは、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−メトキシド、カリウム−エトキシド、リチウム−tert−ブトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等のようなアルカリ金属アルコキシド類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、またはトリブチルアミンと水酸化カリウムの混合塩基である。
【0050】
遷移金属化合物の使用量は、式(2)で表される化合物1モルに対して、通常0.0001〜1モル、好ましくは0.001〜0.1モルである。
配位子の使用量は、式(2)で表される化合物1モルに対して、通常0.00005〜10モル、好ましくは0.001〜0.4モルである。また、配位子の使用量は、遷移金属化合物1モルに対して、通常0.5〜10モル、好ましくは1〜4モルである。
塩基性化合物の使用量は、式(2)で表される化合物1モルに対して、通常0.5〜10モル、好ましくは0.5〜6モルである。
【0051】
前記反応は、常圧下、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことも、また加圧下でも行うことができる。
式(9)で表される化合物は、式(2)で表される化合物1モルに対して、少なくとも0.5モル、好ましくは0.5〜5モル程度の量で用いられる。
前記反応の反応温度は、通常室温〜200℃、好ましくは室温〜150℃である。反応時間は、通常1〜30時間程度である。
【0052】
<工程2>
式(11)で表される化合物は、式(1)で表される化合物を有機スルホン酸と反応させることによって調製される。
式(10)で表される化合物と有機スルホン酸との反応は、無溶媒又は不活性溶媒中、塩基性化合物の存在下又は非存在下にて行われる。
有機スルホン酸としては、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ニトロベンゼンスルホン酸(オルト−、メタ−、パラ−)、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホン酸などが挙げられる。有機スルホン酸は、酸ハロゲン化物(より好ましくは塩化物)の形態で用いられるのが好ましい。
で示される有機スルホニルオキシ基は、有機スルホン酸に由来する基である。有機スルホニルオキシ基としては、メタンスルホニルオキシ(メシルオキシ)、パラトルエンスルホニルオキシ(トシルオキシ)、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、ニトロベンゼンスルホニルオキシ(オルト−、メタ−、パラ−)、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホニルオキシ、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニルオキシなどが挙げられる。
不活性溶媒としては、例えば、水;ジオキサン、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸t-ブチル等のエステル溶媒;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール等の低級アルコール溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサメチルリン酸トリアミド、アセトニトリル等の極性溶剤等の単独もしくは混合溶媒が挙げられ、シクロペンチルメチルエーテル、酢酸エチル、及びN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)が好ましい。
塩基性化合物としては、種々の公知のものを使用でき、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;ナトリウムアミド、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の無機塩基、及びナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、リチウム−tert−ブトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド類;トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ピリジン、キノリン、ピペリジン、イミダゾール、N−エチルジイソプロピルアミン、ジメチルアミノピリジン、トリメチルアミン、ジメチルアニリン、N−メチルモルホリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)等の有機塩基を挙げることができる。
これらの塩基性化合物は、1種単独で又は2種以上混合して使用される。
【0053】
塩基性化合物は、式(10)で表される化合物1モルに対して、通常0.5〜10モル、好ましくは0.5〜6モルの量で用いられる。
【0054】
スルホン酸は、式(10)で表される化合物1モルに対して、通常、少なくとも0.5モル、好ましくは0.5〜5モル程度の量で用いられる。
前記反応の反応温度は、通常−20℃〜100℃、好ましくは−10℃〜室温である。反応時間は、通常15分間〜30時間程度である。
【0055】
<工程3>
式(12)で表される化合物は、式(11)で表される化合物をエポキシ化反応に付すことによって調製される。
エポキシ化反応は、無溶媒又は不活性溶媒中、塩基性化合物の存在下又は非存在下にて行われる。
不活性溶媒としては、例えば、水;ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸t-ブチル等等のエステル溶媒;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール等の低級アルコール溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサメチルリン酸トリアミド、アセトニトリル等の極性溶剤等の単独もしくは混合溶媒が挙げられ、シクロペンチルメチルエーテル、メタノール、及びN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)が好ましい。
塩基性化合物としては、種々の公知のものを使用でき、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;ナトリウムアミド、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の無機塩基、及びナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、リチウム−tert−ブトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド類;トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ピリジン、キノリン、ピペリジン、イミダゾール、N−エチルジイソプロピルアミン、ジメチルアミノピリジン、トリメチルアミン、ジメチルアニリン、N−メチルモルホリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)等の有機塩基を挙げることができる。
これらの塩基性化合物は、1種単独で又は2種以上混合して使用される。
【0056】
塩基性化合物の使用量は、式(11)で表される化合物1モルに対して、通常0.5〜10モル、好ましくは0.5〜6モルである。
【0057】
前記反応の反応温度は、通常−20℃〜100℃、好ましくは0℃〜室温である。反応時間は、通常15分間〜30時間程度である。
前記反応は、相間移動触媒の存在下に行ってもよい。使用できる相関移動触媒としては、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムフルオリド、テトラブチルアンモニウムアイオダイド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、硫酸水素テトラブチルアンモニウム、トリブチルメチルアンモニウムクロリド、トリブチルベンジルアンモニウムクロリド、テトラペンチルアンモニウムクロリド、テトラペンチルアンモニウムブロミド、テトラヘキシルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルオクチルアンモニウムクロリド、メチルトリヘキシルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルオクタデカニルアンモニウムクロリド、メチルトリデカニルアンモニウムクロリド、ベンジルトリプロピルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、フェニルトリエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムクロリド等の炭素数1〜18の直鎖または分枝鎖状のアルキル基、フェニル低級アルキル基及びフェニル基からなる群より選択される置換基が置換した4級アンモニウム塩類;テトラブチルホスホニウムクロリド等の炭素数1〜18の直鎖または分枝鎖状のアルキル基が置換したホスホニウム塩類;1−ドデカニルピリジニウムクロリド等の炭素数1〜18の直鎖または分枝鎖状のアルキル基が置換したピリジニウム塩類等が挙げられる。
この場合、反応は、好ましくは、水中、または水及び水と混ざらない有機溶媒(ベンゼン、トルエン、キシレン、塩化メチレン、1、2−ジクロルエタン等)の混合液中で行われる。
相関移動触媒は、式(11)で表される化合物1モルに対して、通常0.01〜0.5モル、好ましくは0.2〜0.3モルの量で用いられる。
【0058】
<工程4>
式(13)で表される化合物は、式(12)のエポキシ化合物を式(8)で表される4−ニトロイミダゾール化合物と反応させることによって調製される。
式(12)で表される化合物は、式(8)で表される化合物1モルに対して、通常0.5〜5モル、好ましくは0.5〜3モルの量で用いられる。
塩基性化合物としては、種々の公知のものを使用でき、例えば金属水素化物、アルカリ金属低級アルコキシド、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩等の無機塩基及び酢酸塩等の有機塩基が挙げられる。
金属水素化物としては、具体的には、水素化ナトリウム、水素化カリウム等を例示できる。
アルカリ金属低級アルコキシドとしては、具体的には、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド等を例示できる。
水酸化物としては、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を例示できる。炭酸塩としては、具体的には、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等を例示できる。
炭酸水素塩としては、具体的には、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等を例示できる。
無機塩基には、前記以外に、ナトリウムアミド等も包含される。
酢酸塩としては、具体的には、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等を例示できる。前記以外の有機塩基としては、具体的には、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ジメチルアニリン、1−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)等を例示できる。
塩基性化合物は、式(8)で表される化合物1モルに対して、通常0.1〜2モル、好ましくは0.1〜1モル、より好ましくは0.1〜0.5モルの量で用いられる。
式(12)で表される化合物と式(8)で表される化合物との反応は、通常、適当な溶媒中で行われる。
溶媒としては、種々の公知のものを使用でき、反応を阻害しない溶媒が好ましい。このような溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル等の非プロトン性極性溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、流動パラフィン等の炭化水素溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール溶媒;テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジプロピルエーテル、ジエチルエーテル、ジグライム等のエーテル溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸t-ブチル等のエステル溶媒;これらの混合溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は、水が含まれていてもよい。
式(12)で表される化合物と式(8)で表される化合物との反応は、例えば、式(8)で表される化合物を反応溶媒に溶解し、撹拌しながら氷冷下又は室温(例、30℃)で塩基性化合物を加え、室温〜80℃で30分間〜1時間撹拌した後、式(12)で表される化合物を加え、通常室温〜100℃、好ましくは50〜80℃で30分間〜60時間、好ましくは1〜50時間攪拌を続けることにより行われる。
【0059】
式(8)で表される化合物は、公知の化合物であるか、公知の方法に準じて容易に調製できる化合物である。
【0060】
<工程5>
式(1)で表される化合物は、式(13)で表される化合物を閉環反応に付すことにより調製される。
閉環反応は、工程4で得られた式(13)で表される化合物を反応溶媒に溶解し、塩基性化合物を加えて撹拌することにより行われる。
反応溶媒及び塩基性化合物としては、工程4の反応で用いられる反応溶媒及び塩基性化合物と同様のものを使用できる。
塩基性化合物は、式(13)で表される化合物1モルに対して、通常1モル〜過剰量、好ましくは1〜5モル、より好ましくは1〜2モルの量で用いられる。
閉環反応の反応温度は、通常0℃〜150℃、好ましくは0℃〜室温である。反応時間は、通常30分間〜48時間、好ましくは1〜24時間、より好ましくは1〜12時間である。
工程4において生成する式(13)で表される化合物を単離することなく、反応混合物をそのまま引き続く閉環反応に供してもよい。式(1)で表される目的化合物は、また、例えば、式(12)で表される化合物を式(8)で表される化合物と室温〜100℃で反応させた後、反応混合物に塩基性化合物を添加し、0℃〜100℃で更に攪拌を行うか、又は式(12)で表される化合物と式(8)で表される化合物とを室温〜100℃で反応させた後、反応混合物を濃縮し、残留物を高沸点溶媒に溶解し、得られる溶液に塩基性化合物を添加し、0℃〜100℃で更に攪拌を行うことによっても調製することもできる。
【0061】
式(1)で表される目的化合物は、また、式(12)で表される化合物と式(8)で表される化合物との反応において、式(8)で表される化合物1モルに対して0.9〜2モルの塩基性化合物を用い、50℃〜100℃で攪拌することにより、式(12)で表される化合物と式(8)で表される化合物との反応、及びこれにより生成する式(13)で表される化合物の閉環反応を一挙に行い、調製することもできる。
【0062】
上記反応スキーム−Dにおける式(10)で表される化合物は、式(9)で表される化合物から、下記反応スキーム−Eに示す方法を用いて製造することもできる。
【0063】
反応スキーム−E
【化39】

[式中、R、R、X及びnは前記に同じ。Rは、低級アルキル基又は置換基を有することのあるフェニル基を示す。Rは、水素原子又は低級アルキル基を示す。また、R及びRは、これらが結合する炭素原子と一緒になってシクロアルキル環を形成してもよい。]
【0064】
反応スキーム−Eにおいては、式(9)で表される化合物と式(9−i)で表される化合物とを反応させて式(9−ii)で表される化合物を得、次いで式(9−ii)で表される化合物と式(2)で表される化合物とを反応させて式(9−iii)で表される化合物を得る。その後、式(9−iii)で表される化合物を脱保護することにより、式(10)で表される化合物を得る。
【0065】
及びRBで示される低級アルキル基としては、上述した低級アルキル基を例示できる。
【0066】
で示される、置換基を有することのあるフェニル基における置換基としては、上述した低級アルコキシ基を例示できる。好ましくは、1〜3個のこのような置換基が、フェニル環上に存在する。R及びRが、これらが結合する炭素原子と一緒になって形成してもよいシクロアルキル環としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環等が挙げられる。
【0067】
式(9−i)で表される化合物としては、アセトン、ベンズアルデヒド、p−メトキシベンズアルデヒド、2,4−ジメトキシベンズアルデヒド、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン等が挙げられる。
式(9)で表される化合物と式(9−i)で表される化合物との反応において、式(9−i)で表される化合物は、式(9)で表される化合物1モルに対して、通常1〜200モル、好ましくは1〜100モル使用される。
式(9)で表される化合物と式(9−i)で表される化合物との反応は、適当な溶媒中、酸触媒の存在下に行われる。
【0068】
溶媒としては、種々の公知のものを使用でき、反応を阻害しない溶媒が好ましい。このような溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル等の非プロトン性極性溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、ヘキサン、ペンタン、流動パラフィン等の炭化水素溶媒;テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジプロピルエーテル、ジエチルエーテル、ジグライム等のエーテル溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸t−ブチル等のエステル溶媒;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素溶媒;及びこれらの混合物等が挙げられる。
アセトン、メチルエチルケトン、及びシクロヘキサノン等のケトン溶媒もまた使用できる。
【0069】
触媒としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸等の無機酸;ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、酢酸等の有機酸;塩化アンモニウム、ピリジニウムヘキサフルオロアンチモナート等のアンモニウム塩;及びBF・(OC、四塩化チタン、スカンジウムトリフラート等のルイス酸が挙げられる。これらの酸触媒は、通常の触媒量で使用される。具体的には、式(9)で表される化合物1モルに対して、通常0.01〜1モル、好ましくは0.01〜2モル使用される。
この反応は、通常0℃〜200℃、好ましくは室温〜150℃で行われ、通常30分〜72時間程度で完結する。
上記反応により、式(9)で表される化合物の2つの水酸基が保護される。
【0070】
引き続く式(9−ii)で表される化合物と式(2)で表される化合物との反応は、前記式(9)で表される化合物と式(2)で表される化合物との反応と同様の反応条件下に行われる。
【0071】
斯くして得られる式(9−iii)で表される化合物の脱保護には、保護された水酸基から保護基を除去する種々の公知の反応条件を採用できる。例えば、適当な溶媒中、酸の存在下に、式(9−iii)で表される化合物の脱保護を行うことが好ましい。
【0072】
この脱保護で用いられる溶媒としては、例えば、前記式(9)で表される化合物と式(9−i)で表される化合物との反応に使用される溶媒と同様のものが挙げられる。
【0073】
酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸等の無機酸;ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、酢酸等の有機酸;及び塩化アンモニウム、ピリジニウムヘキサフルオロアンチモナート等のアンモニウム塩が挙げられる。
これらの酸は、式(9−iii)で表される化合物1モルに対して、通常0.01〜1モル、好ましくは0.01〜0.2モル使用される。
【0074】
この反応は、通常0〜200℃、好ましくは室温〜150℃で行われ、通常30分〜24時間程度で完結する。
【0075】
本発明の化合物を包含する、前記各反応式における原料化合物及び目的化合物は、フリー体であってもよく、塩の形態であってもよい。このような塩としては、薬理的に許容される塩であって、無機塩基の塩、有機塩基の塩、無機酸の塩及び有機酸の塩を挙げることができる。
【0076】
無機塩基の塩としては、例えば、アルカリ金属塩(例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(例えばカルシウム塩、マグネシウム塩等)等の金属塩、アンモニウム塩、炭酸アルカリ金属(例えば、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム等)の塩、炭酸水素アルカリ金属(例えば、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等)の塩、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等)の塩等を挙げることができる。
【0077】
有機塩基の塩としては、例えば、トリ(低級)アルキルアミン(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−エチルジイソプロピルアミン等)、ピリジン、キノリン、ピペリジン、イミダゾール、ピコリン、ジメチルアミノピリジン、ジメチルアニリン、N−(低級)アルキル−モルホリン(例えば、N−メチルモルホリン等)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)の塩等を挙げることができる。
【0078】
無機酸の塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等を挙げることができる。
【0079】
有機酸の塩としては、例えば、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、炭酸塩、ピクリン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、グルタミン酸塩等を挙げることができる。
【0080】
また、本発明の化合物を包含する、各反応式において示された原料化合物及び目的化合物は溶媒和物(例えば、水和物、エタノレート等)の形態であってもよい。好ましい溶媒和物としては水和物が挙げられる。
前記各工程で得られる各々の目的化合物は、反応混合物から、例えば、冷却後、濾過、濃縮、抽出等の単離操作によって粗反応生成物を分離し、カラムクロマトグラフィー、再結晶等の通常の精製操作に付すことによって、単離精製することができる。一方、これらを単離せずに、そのまま反応混合物として、次の工程の原料として用いてもよい。
【0081】
前記各工程において用いられる原料化合物及び目的化合物は、特に記載の無い限り、ラセミ体であってもよく、光学活性体であってもよいが、式(1)で表される化合物の光学活性体:
【化40】

[式中、R、R及びnは前記に同じである。]
を得るためには、各工程で以下の光学活性体を用いることが好ましい。
式(9):
【化41】

[式中、R、X及びnは前記に同じである。]
で表される化合物。
式(10):
【化42】

[式中、R、R及びnは前記に同じである。]
で表される化合物。
式(11):
【化43】

[式中、各記号はR、R、X及びnは前記に同じである。]
で表される化合物。
【0082】
式(12):
【化44】

[式中、R、R及びnは前記に同じである。]
で表される化合物。
【0083】
式(13):
【化45】

[式中、R、R、X及びnは前記に同じである。]
で表される化合物。
【0084】
式(1)、(10)〜(13)で表される化合物の光学活性体は、工程1において、式(9)で表される化合物を用いることによって、各工程で立体配置が維持されて、高い光学純度で得ることができる。
【発明の効果】
【0085】
本発明によれば、式(2)で表される化合物から式(1)で表される化合物を高収率で製造することができる。
本発明によれば、原料化合物に光学活性体を使用した場合、高い光学純度で、式(1)で表される化合物の光学活性体を製造できる。
本発明者らの研究によれば、これは、例えば、以下の理由に基づくものであると推測されるが、本発明はこれに限定されるものではない。
前記の公知の方法には、後記の反応式に示すように、化合物R-Nsへフェノキシドが求核攻撃を開始する工程がある。その工程では、化合物R-Nsにおける、path Aの矢印で示した位置をフェノキシドが攻撃して目的のR-エナンチオマーが得られる。しかしながら、フェノキシドは、path Bの矢印で示した位置も攻撃するので、S-エナンチオマーも副生する。従って、生成物の光学純度が低下する。これに対して、本発明の方法は、このような光学純度の低下を招く工程を含まず、この点で前記の公知の方法より優れている。
【0086】
【化46】

【発明を実施するための形態】
【0087】
以下に実施例を掲げて、本発明をより一層明らかにする。
【0088】
以下で用いる略号は、特に記載が無い限り、当業者が通常理解する意味を有するが、例えば、次の略号は、ここに記載する意味を有する。
s:シングレット、d:ダブレット、t:トリプレット、q:カルテット、m:マルチプレット、dd:ダブルダブレット、dt:ダブルトリプレット、br:ブロード(幅が広い)
aq.:水溶液
MeOH:メタノール
【0089】
参考例1
2-[(4-ブロモフェノキシ)メチル]-2-メチルオキシランの製造
4-ブロモフェノール(80g, 462mmol)、2-(クロロメチル)-2-メチルオキシラン(400ml)、及び炭酸カリウム(95.86g, 693mmol)を混合し、100℃で4時間反応させた。反応終了後、減圧濃縮し、酢酸エチル(200ml)、水(400ml)を加え抽出した。水層を酢酸エチル(200ml)で抽出した。有機層を水(200ml)で2回洗浄した。その後、減圧濃縮し、酢酸エチルを除去した。その後、トルエンを加え減圧濃縮し、粗製物を120g得た。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δppm: 1.47 (3H, s), 2.73 (1H, d, J = 4.8 Hz), 2.86 (1H, d, J = 4.8 Hz), 3.90 (1H, d, J = 10.7 Hz), 4.02 (1H, d, J = 10.7 Hz), 6.80 (2H, dd, J = 6.9, 2.3 Hz), 7.37 (2H, dd, J = 6.9, 2.3 Hz)。
【0090】
実施例1
(R)-3-(4-ブロモフェノキシ)-2-メチルプロパン-1,2-ジオールの製造
β−メタリルアルコール(90.0g, 1.25mol)、D-(-)-酒石酸ジイソプロピル(17.53g, 75.0mmol)、モレキュラーシーブス(MS-4A)(45.0g)、脱水トルエン(900ml)の混合物を -18℃で撹拌し、チタンテトライソプロポキシド(17.7g, 62.4mmol)を加えて-16 〜-18 ℃で0.5 時間撹拌した。さらに、80% クメンハイドロペルオキシド(404g(全体として), 2.12mol)を -16〜 -18℃で2 時間の間に滴下し、-10℃で 5時間攪拌した。その後、ジメチルスルホキシド(95.7g, 1225mmol)を 11〜13℃で0.7 時間の間に添加した。さらに、室温で6時間攪拌した。セライト(18.0g)を加えて0.5 時間攪拌した後、反応混合物を濾過して、(S)-2-メチルグリシジルアルコールのトルエン溶液を得た。
得られたトルエン溶液に4−ブロモフェノール(108g, 624mmol)と25% 水酸化ナトリウム水溶液(110g)を加え、40℃で 9時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却して、活性炭(9.0g)とセライト(45.0g)を加えて0.5 時間攪拌し、濾過した。トルエン層を水洗した後、トルエン及びクミルアルコールを減圧留去した。濃縮残渣に、トルエン(162ml)を加え、70 ℃まで加熱し溶解させた。その溶液を5時間で室温まで徐冷し、さらにヘキサン(162ml)を加えて5時間攪拌した。析出した白色結晶を濾取して、ヘキサン及びトルエンの混合溶媒(ヘキサン/トルエンの混合比が3/1)(90ml)で洗浄した。50℃で送風乾燥し目的物を123.8g(4−ブロモフェノール基準で76.1%)得た。
融点:90℃
光学純度:92.23%ee
1H−NMR(CDCl3) δppm: 1.30(s, 3H), 2.08 (t, J=5.5Hz, 1H), 2.62 (s, 1H), 3.58 (dd, J=11.2Hz, JJ=6.1Hz, 1H), 3.72 (dd, J=8.5Hz, 2H), 3.90 (q, J=8.5Hz, 2H), 6.81 (dt, J=9.1Hz, JJ=2.3Hz, 2H), 7.39 (dt, J=9.1Hz, JJ=2.2Hz, 2H)。
【0091】
実施例2
3-(4-ブロモフェノキシ)-2-メチルプロパン-1,2-ジオールの製造
β−メタリルアルコール(10g, 139mmol)とタングステン酸ナトリウム2水和物(92mg, 0.28mmol)の混合物を室温下で攪拌し、35% 過酸化水素水(17.3g, 153mmol)を5分かけて滴下した。40℃まで加熱後、7時間攪拌した。得られた反応液の半量(β−メタリルアルコール基準で70mmol)に対し、炭酸カリウム(9.6g, 69mmol)と4−ブロモフェノール(7.9g, 46mmol)を加え、60℃で 2.5 時間攪拌した。トルエン(30ml)を加えた後加熱し、60℃付近で水洗した。反応液を氷冷し、析出した結晶を濾取した。結晶をトルエン(5ml)で洗浄した後減圧乾燥し、3-(4-ブロモフェノキシ)-2-メチルプロパン-1,2-ジオールを9.8g得た(収率 82%(4-ブロモフェノール基準))。
【0092】
実施例3
3-(4-ブロモフェノキシ)-2-メチルプロパン-1,2-ジオールの製造
2-[(4-ブロモフェノキシ)メチル]-2-メチルオキシラン(72.9g, 300mmol)、アセトン(360ml)、水(180ml)、硫酸(7.3ml)を混合し、60℃で1時間撹拌した。冷却後、減圧濃縮した。濃縮残渣に、酢酸エチル(360ml)、飽和重曹水を加え抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後濃縮した。得られた粗製物に酢酸エチル(102ml)を加え、加熱、溶解させた。室温まで冷却後、ヘキサン(204ml)を加え、10℃以下で1時間撹拌した。析出した結晶を濾取し、酢酸エチル(24ml)及びヘキサン(48ml)の混合溶液で洗浄した。得られた結晶を減圧乾燥し、目的物を44.0g得た(収率 56%)。
【0093】
実施例4
(R)-1-[4-(2,3-エポキシ-2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン
(R)-3-(4-ブロモフェノキシ)-2-メチルプロパン-1,2-ジオール(87.96 g, 336.9 mmol, 光学純度 92.2%ee)、4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン(80 g, 306.2 mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(Pd2dba3, 701 mg, 0.77 mmol)、2−ジ-tert-ブチルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピル-1,1'-ビフェニル(780 mg, 1.84 mmol)、ナトリウム-tert-ブトキシド(33.85 g, 352.2 mmol)、トルエン(240 ml)を混合し、アルゴン雰囲気下70℃で6時間撹拌した。冷却後、反応混合液に塩化アンモニウム水溶液を加え、トルエンで抽出した。有機層を減圧留去し(R)-2-メチル-3-(4-{4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン-1-イル}フェノキシ)プロパン-1,2-ジオールの粗製物を得た。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δppm: 1.28 (3H, s), 1.88-2.03 (2H, m), 2.03-2.19 (2H, m), 2.22 (1H, br. s), 2.75 (1H, br. s), 2.92-3.05 (2H, m), 3.30-3.45
(2H, m), 3.57 (1H, d, J = 11.2 Hz), 3.73 (1H, d, J = 11.2 Hz), 3.86 (1H, d, J = 9.0 Hz), 3.93 (1H, d, J = 9.0 Hz), 4.36-4.48 (1H, m), 6.78-6.98 (6H, m), 7.13 (2H, d, J = 9.3 Hz)。
その粗製物に酢酸エチル(810 ml)、トリエチルアミン(62 g, 612 mmol)を加えた。次に氷冷下メタンスルホニルクロリドを原料が消失するまで加え(40.3 g, 351.8mmol)20分撹拌した。反応終了後、混合液に水を加え酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水で洗浄した後、減圧留去し(S)-2-ヒドロキシ-2-メチル-3-(4-{4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン-1-イル}フェノキシ)プロピル メタンスルホネートの粗製物を得た。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δppm: 1.37 (3H, s), 1.98-2.05 (2H, m), 2.05-2.19 (2H, m), 2.63 (1H, s), 2.93-3.07 (2H, m), 3.03 (3H, s), 3.32-3.43 (2H, m),
3.85 (1H, d, J = 9.2 Hz), 3.90 (1H, d, J = 9.2 Hz), 4.27 (2H, s), 4.38-4.47 (1H, m), 6.81-6.97 (6H, m), 7.14 (2H, d, J = 10.0 Hz)。
その粗製物にメタノール(954 ml)、炭酸カリウム(84.7 g, 612 mmol)を加え0℃から室温で30分撹拌した。反応混合液を減圧留去し、トルエン、水を加えた。トルエン層を水で水洗した後、減圧留去した。得られた残渣にイソプロパノール(520 ml)、水(130 ml)を加え加熱し溶解させた。その後冷却し、析出晶を濾取、乾燥し98.5gの(R)-1-{4-[(2,3-エポキシ-2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジンを得た(収率 76.2 %)。
光学純度:94.32%ee
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δppm: 1.48 (3H, s), 1.9-2.1 (4H, m), 2.72 (1H, d, J=5 Hz), 2.86 (1H, d, J=5 Hz), 2.9-3.1 (2H, m), 3.3-3.5 (2H, m), 3.91 (1H, d, J=10 Hz), 3.98 (1H, d, J=10Hz), 4.3-4.5 (1H, m), 6.8-7.0 (6H, m), 7.14 (2H, d, J=9 Hz)。
【0094】
実施例5
4-[(4-ブロモフェノキシ)メチル]-2,2,4-トリメチル-1,3-ジオキソランの製造
3-(4-ブロモフェノキシ)-2-メチルプロパン-1,2-ジオール(261mg, 1.00mmol)、アセトン(77mg, 1.3mmol)、テトラヒドロフラン(5mL)、三ふっ化ほう素ジエチルエーテル錯体(3滴)を混合し、室温下、67時間撹拌し、アセトン(102mg, 1.76mmol)を加えて2時間撹拌した。反応混合物に炭酸ナトリウム、酢酸エチルと水を加えて抽出し、有機層を2回、食塩水で洗浄した。有機層を減圧濃縮して得た残渣をシリカゲルでクロマトグラフィー精製(塩化メチレン)して121mg(収率 40%)の表題化合物を得た。
性状:無色油状物
1H-NMR (CDCl3) δppm: 1.43 (9H, s), 3.74 (1H, d, J=8.6Hz), 3.78 (1H, d, J=8.6Hz), 3.84 (1H, d, J=8.8Hz), 4.11 (1H, d, J=8.8Hz), 6.78 (2H, d, J=9.0Hz), 7.36 (2H, d, J=9.0Hz)。
【0095】
実施例6
4-[(4-ブロモフェノキシ)メチル]-2,2,4-トリメチル-1,3-ジオキソランの製造
3-(4-ブロモフェノキシ)-2-メチルプロパン-1,2-ジオール(261mg、1.00mmol)、アセトン(10mL)と三ふっ化ほう素ジエチルエーテル錯体(3滴)を混合し、室温下、14時間撹拌した。減圧濃縮して得た残渣に酢酸エチルと水を加えて抽出し、有機層を2回、食塩水で洗浄した。有機層を減圧濃縮して得た残渣をシリカゲルでクロマトグラフィー精製(塩化メチレン)して183mg(収率 61%)の表題化合物を得た。
性状:無色油状物
1H-NMR (CDCl3) δppm: 1.43 (9H, s), 3.75 (1H, d, J=8.6Hz), 3.78 (1H, d, J=8.6Hz), 3.85 (1H, d, J=8.8Hz), 4.11 (1H, d, J=8.8Hz), 6.79 (2H, d, J=9.1Hz), 7.37 (2H, d, J=9.1Hz)。
【0096】
実施例7
4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1-{4-[(2,2,4-トリメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メトキシ]フェニル}ピペリジンの製造
4-[(4-ブロモフェノキシ)メチル]-2,2,4-トリメチル-1,3-ジオキソラン(156mg, 0.518mmol)、4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン(135mg, 0.517mmol)、酢酸パラジウム(1.2mg, 0.0053mmol)、テトラフェニルほう素トリ-tert-ブチルホスホニウム(2.7mg, 0.0052mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド(55mg, 0.57mmol)とトルエン(2mL)を混合し、還流下に2時間撹拌した。反応混合物に酢酸エチルと水を加えて抽出し、有機層を2回、水で洗浄した。有機層を減圧濃縮して得た残渣をシリカゲルでクロマトグラフィー精製(酢酸エチル)して232mg(収率 93%)の表題化合物を得た。
性状:淡黄色油状物
1H-NMR (CDCl3) δppm: 1.43 (9H, s), 1.9-2.0 (2H, m), 2.1-2.2 (2H, m), 2.9-3.1 (2H, m), 3.3-3.4 (2H, m), 3.75 (1H, d, J=8.7Hz), 3.78 (1H, d, J=8.7Hz), 3.84 (1H, d, J=8.8Hz), 4.13 (1H, d, J=8.8Hz) , 4.4-4.5 (1H, m), 6.84 (2H, d, J=9.2Hz) , 6.9-7.0 (4H, m), 7.14 (2H, d, J=9.2Hz)。
【0097】
実施例8
2-メチル-3-(4-{4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン-1-イル}フェノキシ)プロパン-1,2-ジオールの製造
4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1-{4-[(2,2,4-トリメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メトキシ]フェニル}ピペリジン(223mg, 0.463mmol)、エタノール(10mL)と濃塩酸(2mL)を混合し、室温下、14時間撹拌した。反応混合物に水を加え、炭酸ナトリウムで中和後、混合物に酢酸エチルを加えて抽出し、有機層を3回、水で洗浄した。有機層を減圧濃縮して196mg(収率 96%)の表題化合物を得た。
性状:白色結晶
1H-NMR (CDCl3) δppm: 1.27 (3H, s), 1.9-2.0 (2H, m), 2.1-2.2 (2H, m), 2.4 (1H, br. s), 2.8 (1H, br. s), 2.9-3.1 (2H, m), 3.3-3.4 (2H, m), 3.56 (1H, d, J=11.2Hz), 3.71 (1H, d, J=11.2Hz), 3.85 (1H, d, J=9.1Hz), 3.91 (1H, d, J=9.1Hz) , 4.4-4.5 (1H, m), 6.85 (2H, d, J=9.2Hz), 6.9-7.0 (4H, m), 7.13 (2H, d, J=9.2Hz)。
【0098】
実施例9
(R)-2-メチル-6-ニトロ-2-{4-[4-(4-トリフルオロメトキシフェノキシ)ピペリジン-1-イル]フェノキシメチル}-2,3-ジヒドロイミダゾ[2,1-b]オキサゾールの製造
(R)-1-[4-(2,3-エポキシ-2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン(10.0g, 23.6mmol, 光学純度 94.3%ee)、2-クロロ-4-ニトロイミダゾール(4.0g, 27.2mmol)、酢酸ナトリウム(0.4g, 4.9mmol)、酢酸t-ブチル(10ml)を混合し、100℃で3.5時間撹拌した。反応液にメタノール(70ml)を加え、次いで水酸化ナトリウムの25%水溶液(6.3g, 39.4mmol)を氷冷下滴下した。得られた混合物を0℃で1.5時間撹拌し、さらに室温付近で40分撹拌した。これに水(15ml)、酢酸エチル(5ml)を加え、45〜55℃で1時間撹拌した。室温まで冷却後、析出した結晶を濾取し、メタノール(30ml)、次いで水(40ml)で洗浄した。得られた結晶にメタノール(100ml)を加え還流下30分撹拌した。室温まで冷却した後、結晶を濾取し、メタノール(30ml)で洗浄した。得られた結晶を減圧乾燥し、目的物を9.3g得た(収率 73%)。
光学純度:99.46%ee。
【0099】
実施例10
3-(4-クロロフェノキシ)-2-メチルプロパン-1,2-ジオールの製造
β−メタリルアルコール(50g, 693mmol)とタングステン酸ナトリウム2水和物(460 mg, 1.4 mmol)の混合物を室温下で攪拌し、30% 過酸化水素水(86.5g, 763 mmol) を5分かけて滴下した。40℃まで加熱後、9時間攪拌した。得られた反応液に、炭酸カリウム(79.7g, 576mmol)と4−クロロフェノール(52.4g, 407mmol)を加え、70℃で 1 時間攪拌した。トルエン(390ml)を加えた後加熱し、60℃付近で水洗した。反応液を氷冷し、析出した結晶を濾取した。得られた結晶を減圧乾燥し、3-(4-クロロフェノキシ)-2-メチルプロパン-1,2-ジオールを60.0g得た(収率 68%(4-クロロフェノール基準))。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δppm: 1.29 (3H, s), 2.29 (1H, br.t, J = 5.9 Hz), 2.74 (1H, s), 3.57 (1H, dd, J = 11.1, 5.9 Hz), 6.79-6.90 (2H, m), 7.19-7.30 (2H, m)。
【0100】
実施例11
2-メチル-3-(4-{4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン-1-イル}フェノキシ)プロパン-1,2-ジオールの製造
3-(4-クロロフェノキシ)-2-メチルプロパン-1,2-ジオール(190.7 mg, 0.88 mmol)、4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン(208.9 mg, 0.8 mmol)、Pd2dba3 (1.8 mg, 0.002 mmol)、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピル-1,1'-ビフェニル(3.4 mg, 0.008 mmol)、ナトリウム-tert-ブトキシド (76.9 mg, 0.8 mmol)、トルエン(0.6 ml)を混合し、アルゴン雰囲気下110℃で3時間撹拌し91%の転化率で2-メチル-3-(4-{4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン-1-イル}フェノキシ)プロパン-1,2-ジオールが生成していることをUPLCにより確認した。
分析条件(UPLC)
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:220 nm)
カラム: ACQUITY UPLC BEH C18(2.1 mm i.d.×50 mm、1.7 μm)、WATERS社
カラム温度:50℃
移動相:0.1M HCOONH4 aq. / MeOH
グラジエント条件:0.1M HCOONH4 aq.及びMeOHの組成を70 / 30から3分間で直線的に20 / 80に変化させる。
【0101】
実施例12
(R)-2-メチル-3-(4-{4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン-1-イル}フェノキシ)プロパン-1,2-ジオール p-トルエンスルホン酸塩の製造
(R)-3-(4-ブロモフェノキシ)-2-メチルプロパン-1,2-ジオール (20.0 kg, 76.6 mol)、4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン (22.0 kg, 84.3 mol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0) (175 g, 0.19 mol)、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピル-1,1'-ビフェニル (195 g, 0.46 mol)、 ナトリウム-tert-ブトキシド (8.46 kg, 88.0 mol)、トルエン(240 ml)を加えアルゴン雰囲気下70℃で3時間撹拌した。冷却後、反応混合液に塩化アンモニウム水溶液を加え、トルエンで抽出した。イソプロパノールを流入し、p-トルエンスルホン酸一水和物(16.0 kg, 84.1 mol)を加え攪拌し、析出晶を濾取、乾燥し(R)-2-メチル-3-(4-{4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン-1-イル}フェノキシ)プロパン-1,2-ジオール p-トルエンスルホン酸塩を40.3 kg得た(収率 85.7%)。
【0102】
実施例13
(R)-1-[4-(2,3-エポキシ-2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジンの製造
(R)-2-メチル-3-(4-{4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン-1-イル}フェノキシ)プロパン-1,2-ジオール p-トルエンスルホン酸塩 (9 kg, 14.7 mol)、シクロペンチルメチルエーテル(9 L)、トリエチルアミン (4.2 kg, 41.1 mol) を加えた。次に5℃以下でメタンスルホニルクロリド (1.9 kg, 16.8 mol) を滴下した。反応終了後、25%水酸化ナトリウム水溶液 (9 L) を加え40℃付近で90分撹拌した。反応混合液にトルエン、水を加え、トルエン層を水洗した後、減圧留去した。得られた残渣に70%イソプロパノール (63 L) を加え加熱し溶解させた。その後冷却し、析出晶を濾取、乾燥し(R)-1-[4-(2,3-エポキシ-2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジンを5.4 kg得た (収率 86.7 %)。
【0103】
実施例14
(R)-2-メチル-3-(4-{4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン-1-イル}フェノキシ)プロパン-1,2-ジオールの製造
(R)-3-(4-ブロモフェノキシ)-2-メチルプロパン-1,2-ジオール(2.0 g, 7.7 mmol)、4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン (2.0 g, 7.7 mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.141 g, 0.15 mmol)、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピル-1,1'-ビフェニル(0.157 g, 0.37 mmol)、水酸化カリウム(0.864 g, 15.4 mmol)、トリブチルアミン(5 mL)、キシレン(46 ml)を加え窒素雰囲気下80℃で6時間撹拌し、96%の転化率で、(R)-2-メチル-3-(4-{4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン-1-イル}フェノキシ)プロパン-1,2-ジオールが生成していることをHPLCにて確認した。
【0104】
実施例15
(R)-2-メチル-3-(4-{4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン-1-イル}フェノキシ)プロパン-1,2-ジオールの製造
(R)-3-(4-ブロモフェノキシ)-2-メチルプロパン-1,2-ジオール(2.0 g, 7.7 mmol)、4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン(2.0 g, 7.7 mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0) (0.141 g, 0.15 mmol)、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピル-1,1'-ビフェニル(0.157 g, 0.37 mmol)、リン酸カリウム(1.88 g, 8.86 mmol)、トルエン(46 ml)を加え窒素雰囲気下80℃で21時間撹拌し、52%の転化率で、(R)-2-メチル-3-(4-{4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン-1-イル}フェノキシ)プロパン-1,2-ジオールが生成していることをHPLCにて確認した。
【0105】
実施例16
(R)-2-メチル-3-(4-{4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン-1-イル}フェノキシ)プロパン-1,2-ジオールの製造
(R)-3-(4-ブロモフェノキシ)-2-メチルプロパン-1,2-ジオール(2.0 g, 7.7 mmol)、4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン(2.0 g, 7.7 mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.141 g, 0.15 mmol)、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピル-1,1'-ビフェニル(0.157 g, 0.37 mmol)、水酸化ナトリウム(0.354 g, 8.86 mmol)、トルエン(46 ml)を加え窒素雰囲気下80℃で14時間撹拌し、93%の転化率で、(R)-2-メチル-3-(4-{4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン-1-イル}フェノキシ)プロパン-1,2-ジオールが生成していることをHPLCにて確認した。
【0106】
実施例17
(R)-2-メチル-3-(4-{4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン-1-イル}フェノキシ)プロパン-1,2-ジオールの製造
(R)-3-(4-ブロモフェノキシ)-2-メチルプロパン-1,2-ジオール (2.0 g, 7.7 mmol)、4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン (2.0 g, 7.7 mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.141 g, 0.15 mmol)、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピル-1,1'-ビフェニル(0.637 g, 0.15 mmol)、炭酸セシウム(2.885 g, 8.86 mmol)、トルエン(46 ml)を加え窒素雰囲気下80℃で14時間撹拌し、79%の転化率で、(R)-2-メチル-3-(4-{4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン-1-イル}フェノキシ)プロパン-1,2-ジオールが生成していることをHPLCにて確認した。
【0107】
実施例18
(R)-2-メチル-3-(4-{4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン-1-イル}フェノキシ)プロパン-1,2-ジオールの製造
(R)-3-(4-ブロモフェノキシ)-2-メチルプロパン-1,2-ジオール (2.0 g, 7.7 mmol)、4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン(2.0 g, 7.7 mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0) (0.141 g, 0.15 mmol)、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2'-(N,N-ジメチルアミノビフェニル(0.126 g, 0.37 mmol)、水酸化カリウム(0.864 g, 15.4 mmol)、トリブチルアミン(5 mL)、キシレン(46 ml)を加え窒素雰囲気下80℃で21時間撹拌し、99%の転化率で、(R)-2-メチル-3-(4-{4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン-1-イル}フェノキシ)プロパン-1,2-ジオールが生成していることをHPLCにて確認した。
【0108】
実施例19
(R)-2-メチル-3-(4-{4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン-1-イル}フェノキシ)プロパン-1,2-ジオールの製造
(R)-3-(4-ブロモフェノキシ)-2-メチルプロパン-1,2-ジオール(2.0 g, 7.7 mmol)、4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン(2.0 g, 7.7 mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0) (0.141 g, 0.15 mmol)、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2'-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル(0.126 g, 0.37 mmol)、水酸化ナトリウム(0.354 g, 8.86 mmol)、トルエン(46 ml)を加え窒素雰囲気下80℃で14時間撹拌し、85%の転化率で、(R)-2-メチル-3-(4-{4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン-1-イル}フェノキシ)プロパン-1,2-ジオールが生成していることをHPLCにて確認した。
【0109】
実施例20
(R)-2-メチル-3-(4-{4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン-1-イル}フェノキシ)プロパン-1,2-ジオールの製造
(R)-3-(4-ブロモフェノキシ)-2-メチルプロパン-1,2-ジオール(275 mg, 1.05 mmol)、4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン(250 mg, 0.96 mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(4.4 mg, 0.0048 mmol)、5-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-1',3',5'-トリフェニル-1'H-[1,4']-ビピラゾール(5.8 mg, 0.011 mmol)、ナトリウム tert-ブトキシド(106 g, 1.10 mmol)、トルエン(0.75 ml)を加え窒素雰囲気下100℃で2時間撹拌し、99%の転化率で、(R)-2-メチル-3-(4-{4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン-1-イル}フェノキシ)プロパン-1,2-ジオールが生成していることをHPLCにて確認した。
【0110】
実施例21
(R)-2-メチル-3-(4-{4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン-1-イル}フェノキシ)プロパン-1,2-ジオールの製造
(R)-3-(4-ブロモフェノキシ)-2-メチルプロパン-1,2-ジオール(275 mg, 1.05 mmol)、4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン(250 mg, 0.96 mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0) (4.4 mg, 0.0048 mmol)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-1-フェニル-1H-ピロール(3.3 mg, 0.011 mmol)、ナトリウム tert-ブトキシド(106 g, 1.10 mmol)、トルエン(0.75 ml)を加え窒素雰囲気下100℃で2時間撹拌し、93%の転化率で、(R)-2-メチル-3-(4-{4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン-1-イル}フェノキシ)プロパン-1,2-ジオールが生成していることをHPLCにて確認した。
【0111】
実施例22
(R)-2-メチル-3-(4-{4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン-1-イル}フェノキシ)プロパン-1,2-ジオールの製造
(R)-3-(4-ブロモフェノキシ)-2-メチルプロパン-1,2-ジオール(275 mg, 1.05 mmol)、4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン(250 mg, 0.96 mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0) (4.4 mg, 0.0048 mmol)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-1-フェニル-1H-インドール(3.9 mg, 0.011 mmol)、ナトリウム tert-ブトキシド(106 g, 1.10 mmol)、トルエン(0.75 ml)を加え窒素雰囲気下100℃で2時間撹拌し、89%の転化率で、(R)-2-メチル-3-(4-{4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン-1-イル}フェノキシ)プロパン-1,2-ジオールが生成していることをHPLCにて確認した。
【0112】
実施例23
(R)-2-メチル-3-(4-{4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン-1-イル}フェノキシ)プロパン-1,2-ジオールの製造
(R)-3-(4-ブロモフェノキシ)-2-メチルプロパン-1,2-ジオール(275 mg, 1.05 mmol)、4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン(250 mg, 0.96 mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0) (4.4 mg, 0.0048 mmol)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-1,1'-ビナフチル(4.6 mg, 0.011 mmol)、ナトリウム tert-ブトキシド(106 g, 1.10 mmol)、トルエン(0.75 ml)を加え窒素雰囲気下100℃で2時間撹拌し、96%の転化率で、(R)-2-メチル-3-(4-{4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン-1-イル}フェノキシ)プロパン-1,2-ジオールが生成していることをHPLCにて確認した。
【0113】
実施例24
(S)-4-(4-ブロモフェノキシ)メチル-2,2,4-トリメチル-1,3-ジオキソランの製造
(R)-3-(4-ブロモフェノキシ)-2-メチルプロパン-1,2-ジオール(25 g, 0.1 mol)、p-トルエンスルホン酸(0.91 g, 4.8 mmol)をアセトン(300 g)に溶解し、還流下、5.5時間撹拌した。反応の進行はTLCにて追跡した。生成する水は300gの溶媒を常圧下で共沸留去することにより除去し,アセトン300gを途中で追加した。反応終了後,溶媒を減圧下留去し,濃縮残渣を酢酸イソプロピル(250 mL)に溶解し,有機層を1M 水酸化ナトリウム水溶液(100 mL)にて洗浄し、得られた有機層を濃縮乾固し25 g(収率 82%)の(S)-4-(4-ブロモフェノキシ)メチル-2,2,4-トリメチル-1,3-ジオキソランを得た。
【0114】
実施例25
(S)-4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1-{4-[(2,2,4-トリメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メトキシ]フェニル}ピペリジンの製造
(S)-4-(4-ブロモフェノキシ)メチル-2,2,4-トリメチル-1,3-ジオキソラン(2.32 g, 7.7 mmol)、4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン(2.0 g, 7.7 mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0) (0.141 g, 0.15 mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2'-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル(0.145 g, 0.37 mmol)、水酸化カリウム(0.864 g, 15.4 mmol)、トリブチルアミン(5 mL)、キシレン(46 ml)を加え窒素雰囲気下80℃で8時間撹拌し、99%の転化率で、(S)-4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1-{4-[(2,2,4-トリメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メトキシ]フェニル}ピペリジンが生成していることをHPLCにて確認した。
【0115】
実施例26
(S)-4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1-{4-[(2,2,4-トリメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メトキシ]フェニル}ピペリジンの製造
(S)-4-((4-ブロモフェノキシ)メチル)-2,2,4-トリメチル-1,3-ジオキソラン(2.32 g, 7.7 mmol)、4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン(2.0 g, 7.7 mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0) (0.141 g, 0.15 mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-1,1'-ビフェニル(0.130 g, 0.37 mmol)、水酸化カリウム(0.864 g, 15.4 mmol)、トリブチルアミン(5 mL)、キシレン(46 ml)を加え窒素雰囲気下80℃で8時間撹拌し、99%の転化率で、(S)-4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1-{4-[(2,2,4-トリメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メトキシ]フェニル}ピペリジンが生成していることをHPLCにて確認した。
【0116】
実施例27
(S)-4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1-{4-[(2,2,4-トリメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メトキシ]フェニル}ピペリジンの製造
(S)-4-((4-ブロモフェノキシ)メチル)-2,2,4-トリメチル-1,3-ジオキソラン(287 mg, 1 mmol)、4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]ピペリジン(261 mg, 1 mmol)、酢酸パラジウム(II) (2.2 mg, 0.01 mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',6'-ジメトキシ-1,1'-ビフェニル(0.12.3 mg, 0.03 mmol)、ナトリウム tert-ブトキシド(106 mg, 1.1 mmol)、トルエン(1.3 ml)を混合し窒素雰囲気下還流下で8時間撹拌し、99%以上の転化率で、(S)-4-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1-{4-[(2,2,4-トリメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メトキシ]フェニル}ピペリジンが生成していることをNMRにて確認した。
【0117】
実施例28
(R)-3-(4-ブロモフェノキシ)-2-メチルプロパン-1,2-ジオールの製造
β−メタリルアルコール(90.0g, 1.25mol)、D-(-)-酒石酸ジイソプロピル(17.5 g, 74.8 mmol)、モレキュラーシーブス 4A(45.0g)、脱水トルエン(450ml)の混合物を窒素雰囲気下-20℃で撹拌し、チタンテトライソプロポキシド(17.7g, 62.4mmol)を5分間の間に加えて、0.5時間撹拌した。さらに、80% クメンハイドロペルオキシド(309g, 1.62mol)を-20〜-15℃で2時間の間に滴下し、-10℃で3時間攪拌した。その後、ジメチルスルホキシド(59.2 g, 748 mmol)を 20〜35℃で0.5 時間の間に滴下した。得られた混合物を30〜40℃で3時間攪拌した。混合物を冷却し、その後一晩静置した。セライト(18.0g)を加えて0.5 時間攪拌した後、反応混合物を濾過して、(S)-2-メチルグリシジルアルコールのトルエン溶液を得た。
得られたトルエン溶液に4−ブロモフェノール(127 g, 734 mmol)と10% 水酸化ナトリウム水溶液(176 g, 440 mmol)を加え、55℃で5時間攪拌した。混合物を冷却し、その後一晩静置した。反応混合物を12℃に冷却して、10% 希硫酸(2.17 N, 423 ml)を添加し、その後0.2時間攪拌した。トルエン層を分離し、その後5%水酸化ナトリウム水溶液(178 ml)、5%食塩水(128 ml, 3回)、及び水(128 ml, 2回)で洗浄した。
その後、トルエン及びクミルアルコール(クミルアルコール: Bp 60〜65℃/2 mmHg)を有機層から減圧留去した。残渣を70℃まで冷却し、トルエン(191 ml)を加えた。得られた混合物を5℃まで冷却した。析出した結晶を濾取し、冷トルエン(95 ml)で洗浄した。得られた結晶を送風機によって乾燥させ、154.0 gの(R)-3-(4-ブロモフェノキシ)-2-メチルプロパン-1,2-ジオール(4-ブロモフェノール基準で収率: 80.3%)を得た。
光学純度: 88.6 %ee.
融点: 87-89℃.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(11):
【化1】

[式中、Rは水素原子又は低級アルキル基を示す。

(A1a)フェニル基上に1個以上のハロゲン置換低級アルコキシ基が置換しているフェノキシ基、
(A1b)フェニル基上に1個以上のハロゲン置換低級アルキル基が置換しているフェノキシ置換低級アルキル基、
(A1c)フェニル基上にハロゲンが置換しているフェニル置換低級アルコキシ低級アルキル基、
(A1d)フェニル基上に1個以上のハロゲン置換低級アルコキシ基が置換しているフェニル置換低級アルキル基、
(A1e)1個以上のハロゲン置換低級アルコキシ基が置換しているフェニル基及び低級アルキル基を有するアミノ基、及び
(A1f)フェニル基上に1個以上のハロゲン置換低級アルコキシ基が置換しているフェニル置換低級アルコキシ基
から選択される置換基を4位に有する1−ピペリジル基を示す。
nは1〜6の整数を示す。
は有機スルホニルオキシ基を示す。]
で表される化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物を製造する方法であって、
式(10):
【化2】

[式中、R、R及びnは前記に同じである。]
で表される化合物を、
有機スルホン酸と反応させる工程を含む方法。
【請求項3】
式(10):
【化3】

[式中、R、R及びnは請求項1におけるそれらに同じである。]
で表される化合物。
【請求項4】
請求項3に記載の化合物の製造方法であって、
式(9):
【化4】

[式中、Xは脱離基を示す。R及びnは請求項1におけるそれらに同じである。]
で表される化合物を、
式(2):

[式中、Rは前記に同じである。]
で表される化合物と反応させる工程を含む方法。
【請求項5】
請求項3に記載の化合物の製造方法であって、
式(9):
【化5】

[式中、Xは脱離基を示す。R及びnは請求項1におけるそれらに同じである。]
で表される化合物を式(9−i):
【化6】

[式中、Rは低級アルキル基又は置換基を有することのあるフェニル基を示す。Rは水素原子又は低級アルキル基である。R及びRはそれらが結合している炭素原子と一緒になってシクロアルキル基を形成してもよい。]で表される化合物と反応させて、
式(9−ii):
【化7】

[式中、R、X、n、R及びRは前記におけるそれらに同じである。]
で表される化合物を得る工程、
式(9−ii)で表される化合物を式(2):

[式中、Rは請求項1におけるそれに同じである。]
で表される化合物と反応させて式(9−iii):
【化8】

[式中、R、R、n、R及びRは前記におけるそれらに同じである。]で表される化合物を得る工程、及び
式(9−iii)で表される化合物を脱保護に付す工程
を含む方法。
【請求項6】
式(12):
【化9】

[式中、R、R及びnは請求項1におけるそれらに同じである。]
で表される化合物を製造する方法であって、
請求項1に記載の化合物をエポキシ化反応に付す工程を含む方法。
【請求項7】
式(1):
【化10】

[式中、R、R及びnは請求項1におけるそれらに同じである。]
で表される化合物を製造する方法であって、以下の工程:
(a)請求項1に記載の化合物をエポキシ化反応に付して、式(12):
【化11】

[式中、R、R及びnは請求項1におけるそれらに同じである。]
で表される化合物を調製する工程、
(b)式(12)で表される化合物を式(8):
【化12】

[式中、Xはハロゲン原子を示す。]
で表される化合物と反応させて、式(13):
【化13】

[式中、R、R、X及びnは前記に同じである。]
で表される化合物を調製する工程、及び
(c)式(13)で表される化合物を閉環反応に付して、式(1)で表される化合物を調製する工程
を含む方法。

【公表番号】特表2013−518033(P2013−518033A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534460(P2012−534460)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【国際出願番号】PCT/JP2011/052307
【国際公開番号】WO2011/093529
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000206956)大塚製薬株式会社 (230)
【Fターム(参考)】