説明

オキサゾール誘導体を含む輻射線感受性組成物、及び該組成物に基づく画像形成性要素

(a)遊離基重合されやすい1つ以上のエチレン系不飽和型基をそれぞれが含む、1種又は2種以上のタイプのモノマー及び/又はオリゴマー及び/又はポリマー、(b)1つ以上の増感剤、(c)該増感剤(b)と一緒に遊離基を形成することができ、そして下記クラスの化合物:メタロセン、1〜3つのCX3基(Xは塩素又は臭素を表す)を有する1,3,5-トリアジン誘導体;過酸化物;ヘキサアリールビイミダゾール;オキシムエーテル;オキシムエステル;N-アリールグリシン及びこれらの誘導体;チオール化合物;2つ以上のカルボキシル基を有するN-アリール、S-アリール及びO-アリールポリカルボン酸であって、該カルボキシル基のうちの1つ以上が、該アリール単位のN、S又はO原子に結合されているもの;アルキルトリアリールボレート;ベンゾインエーテル;ベンゾインエステル;トリハロゲノメチルアリールスルホン;アミン;N,N-ジアルキルアミノ安息香酸エステル;芳香族スルホニルハロゲン化物;トリハロゲノメチルスルホン;イミド;ジアゾスルホネート;9,10-ジヒドロアントラセン誘導体;α-ヒドロキシ及びα-アミノアセトフェノンから選択される1つ以上の共開始剤、及び(d)アルカリ可溶性バインダー、着色剤、露光指示薬、可塑剤、連鎖移動剤、ロイコ色素、界面活性剤、無機充填剤及び熱重合抑制剤から選択された1種又は2種以上の随意選択的な成分を含む輻射線感受性組成物であって、該1つ以上の増感剤が式(I)


[上記式中、それぞれのR1、R2及びR3は独立して、ハロゲン原子、必要に応じて置換されているアルキル基、必要に応じて置換されているアリール基(縮合されていてもよい)、必要に応じて置換されているアラルキル基、基-NR4R5及び基-OR6(ここで、R4及びR5は独立して、水素原子、アルキル、アリール又はアラルキル基から選択され、R6はアルキル、アリール又はアラルキル基、又は水素原子である)から選択され、そしてk、m及びnは独立して、0又は1〜5の整数である]のオキサゾール誘導体であることを特徴とする輻射線感受性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輻射線感受性組成物、特にオキサゾール誘導体を増感剤として含む輻射線感受性組成物に関する。本発明はさらに、この組成物に基づく画像形成性要素、このような要素の製造方法、このような要素に画像を形成する方法、及び画像形成済要素、例えば平版印刷版に関する。
【背景技術】
【0002】
平版印刷の技術分野は、油と水との非混和性に基づいている。油性材料又は印刷インクは好ましくは画像領域によって受理され、水又はファウンテン溶液は好ましくは非画像領域によって受理される。適切に製造された表面が水で湿潤され、そして印刷インクが適用されると、バックグラウンド又は非画像領域は水を受理し、そして印刷インクをはじくのに対して、画像領域は印刷インクを受理し、そして水をはじく。画像領域内の印刷インクは次いで、画像が形成されるようになっている材料、例えば紙や布地などの表面に移される。しかし一般には、印刷インクは先ずブランケットと呼ばれる中間材料に移される、この中間材料は次いで印刷インクを、画像が形成されるようになっている材料の表面上に移す。この技術はオフセット平板印刷と呼ばれる。
【0003】
よく使用されるタイプの平版印刷版前駆体は、アルミニウムを基材とする基体上に適用された感光性塗膜を含む。塗膜は輻射線に対して反応することができ、これにより露光済部分は可溶性になるので、この部分は現像プロセス中に除去される。このような版はポジ型と呼ばれる。他方において、塗膜の露光済部分が輻射線によって硬化される場合には、版はネガ型と呼ばれる。双方の事例において、残りの画像領域は印刷インクを受理し(すなわち親油性)、そして非画像領域(バックグラウンド)は水を受理する(すなわち親水性)。画像領域と非画像領域との区別は、露光中に行われる。この露光に際しては、印刷版前駆体にフィルムを真空下で付着させることにより良好な接触状態を保証する。その後、版は輻射源によって露光される。或いは、フィルムなしで、例えばUVレーザーを用いて版をデジタル露光することもできる。ポジ型版が使用される場合、版上の画像に対応するフィルム上の領域は不透明なので、光は版には到達しない。これに対して非画像領域に対応するフィルム上の領域は透明であり、光が塗膜を透過するのを可能にし、その溶解性が高まる。ネガ型版の場合には、その反対のことが行われる。すなわち、版上の画像に対応するフィルム上の領域が透明であるのに対して、非画像領域は不透明である。透明フィルム領域の下側に位置する塗膜は、入射光により硬化されるのに対し、光による影響を受けない領域は、現像中に除去される。ネガ型版の光硬化された表面は、従って親油性であり、そして印刷インクを受理するのに対して、現像剤によって除去される塗膜で被覆された非画像領域は不感脂化され、従って親水性である。
【0004】
感光性材料、例えば印刷版前駆体を製造するために、感光性混合物が多年にわたって光重合可能な組成物中に使用されている。しかし、新しい改良用途(例えばレーザーによる露光)に対しては、具体的には近紫外及び可視スペクトル範囲における感受性を改善して、露光時間を短縮できるようにすることが必要となる。経済上の観点からは、低照度の輻射源を使用できることも重要である。低照度の輻射源は、高照度の輻射源よりも低廉で信頼性が高い。従って、光重合可能な組成物中に使用されるべき感光性混合物の感受性を高めようと、かねてから努力が為されている。
【0005】
ドイツ国特許出願公開第3021599号明細書に開示された輻射線感受性組成物は、エチレン系不飽和型モノマー、並びに、光開始剤として2-(ハロゲノメチル-フェニル)-4-ハロゲン-オキサゾール誘導体を含む。しかし光開始剤の効率は不十分である。またドイツ国特許出願公開第3907666号明細書に記載された輻射線感受性組成物は、ハロゲン置換型オキサゾールを含有する。このような系の感受性もまた、今日の標準と比較するとあまりにも低い。
【0006】
米国特許第3,597,343号明細書には、光重合開始剤としてアゾール化合物が開示されているが、このような開始剤を含有する組成物の感受性は、今日の標準をもとにすると、あまりにも低い。前記特許明細書には、ローズベンガル及びエオシンのような光酸化増感剤を付加的に含有する組成物が記載されてはいるが、該色素の存在により、黄光条件下での組成物は感受性が不十分になるだけではなく、安定性も悪くなる。
【0007】
米国特許第3,912,606号明細書に記載された、フィルムと塗膜とのためのUV硬化可能な組成物は、エチレン系不飽和型モノマーに加えて、ハロアルカンベンゾキサゾール、ベンズイミダゾール及びベンゾチアゾールから選択された光開始剤を含む。これらの組成物の場合も、光開始剤の効率は不十分である。
【0008】
欧州特許出願公開第0 741 333号明細書に記載された光重合可能な組成物は、エチレン系不飽和型モノマー及び有機バインダーに加えて、蛍光増白剤と、アシル及びジアシルホスフィンオキシドから選択された光開始剤との組み合わせを含む。蛍光増白剤としては、スチルベン、トリアジン、チアゾール、ベンゾキサゾール、クマリン、キサンテン、トリアゾール、オキサゾール、チオフェン又はピラゾリン単位を含む蛍光増白剤が挙げられている。しかし、今日の標準をもとにすると、これらの光重合可能な組成物は、十分な感受性を示さない。
【0009】
米国特許第3,647,467号明細書に記載された「光活性化可能」な組成物は、ヘキサアリールビイミダゾール及び複素環式化合物Ar1-G-Ar2(Ar1は炭素原子数6〜12のアリール基であり、Ar2はAr1又は基アリーレン-G-Ar1であり、Gは二価フラン、オキサゾール又はオキサジアゾール環である)を含む。しかし、これらの組成物の輻射線感受性は今日の要件を満たさない。
【0010】
ドイツ国特許出願公開第1120875号明細書及び欧州特許出願公開第0129059号明細書では、オキサゾール誘導体が、電子写真要素中の光伝導性物質として使用されている。
【0011】
米国特許第3,652,275号明細書では、ヘキサアリールビイミダゾールとビス(p-アミノフェニル...-α,β-不飽和型)ケトンとを含む「光活性化可能」な組成物中で、連鎖延長剤として2-メルカプトベンゾオキサゾールが使用される。この組み合わせにおいても、得られる感光性はあまりにも低い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、良好な貯蔵安定性及び黄光条件下での良好な安定性と相俟って高い感光性を示し、そして印刷版の場合では印刷機で多くの部数を産出する輻射線感受性要素をもたらす輻射線感受性組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、
(a) 遊離基重合されやすい1つ以上のエチレン系不飽和型基をそれぞれが含む、1種又は2種以上のタイプのモノマー及び/又はオリゴマー及び/又はポリマー、
(b) 1つ以上の増感剤、
(c) 該増感剤(b)と一緒に遊離基を形成することができ、そして下記クラスの化合物:メタロセン、1〜3つのCX3基(Xは塩素又は臭素を表す)を有する1,3,5-トリアジン誘導体;過酸化物;ヘキサアリールビイミダゾール;オキシムエーテル;オキシムエステル;N-アリールグリシン及びこれらの誘導体;チオール化合物;2つ以上のカルボキシル基を有するN-アリール、S-アリール及びO-アリールポリカルボン酸であって、該カルボキシル基のうちの1つ以上が、該アリール単位のN、S又はO原子に結合されているもの;アルキルトリアリールボレート;ベンゾインエーテル;ベンゾインエステル;トリハロゲノメチルアリールスルホン;アミン;N,N-ジアルキルアミノ安息香酸エステル;芳香族スルホニルハロゲン化物;トリハロゲノメチルスルホン;イミド;ジアゾスルホネート;9,10-ジヒドロアントラセン誘導体;α-ヒドロキシ及びα-アミノアセトフェノンから選択される1つ以上の共開始剤、及び
(d) アルカリ可溶性バインダー、着色剤、露光指示薬、可塑剤、連鎖移動剤、ロイコ色素、界面活性剤、無機充填剤及び熱重合抑制剤から選択された1種又は2種以上の随意選択的な成分
を含む輻射線感受性組成物であって、
該1つ以上の増感剤が式(I)
【0014】
【化1】

【0015】
[上記式中、それぞれのR1、R2及びR3は独立して、ハロゲン原子、必要に応じて置換されているアルキル基、必要に応じて置換されているアリール基(縮合されていてもよい)、必要に応じて置換されているアラルキル基、基-NR4R5及び基-OR6
(ここで、R4及びR5は独立して、水素原子、アルキル、アリール又はアラルキル基から選択され、
R6はアルキル、アリール又はアラルキル基、又は水素原子である)から選択され、そして
k、m及びnは独立して、0又は1〜5の整数である]
のオキサゾール誘導体であることを特徴とする輻射線感受性組成物によって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
他に定義されない限りは、本発明において使用される「アルキル基」という用語は、好ましくは炭素原子数1〜18、特に好ましくは炭素原子数1〜10、及び最も好ましくは炭素原子数1〜6の直鎖状、分枝状又は環状の飽和型炭化水素基を意味する。アルキル基は任意には、例えばハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、CN、NO2、NR'2、COOR'及びOR'(R'は独立して、水素原子又はアルキル基を表す)から選択された1つ又は2つ以上の置換基(好ましくは0又は1つの置換基)を含むことができる。上記定義は、アラルキル基及びアルコキシ基のアルキル単位にも当てはまる。
【0017】
他に定義しない限りは、本発明において使用される「アリール基」は、好ましくは炭素原子数5〜14の1つ又は2つ以上の縮合環を有する芳香族炭素環式基を意味する。アリール基は任意には、例えばハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、CN、NO2、NR'2、COOR'及びOR'(それぞれのR'は独立して、水素又はアルキルから選択される)から選択された1つ又は2つ以上の置換基(好ましくは0〜3つ)を含むことができる。上記定義は、アラルキル基のアリール単位にも当てはまる。好ましい例は、任意に置換されていてもよいフェニル基及びナフチル基を含む。
【0018】
本発明にいう縮合環又は環系は、縮合される相手の環と2つの炭素原子を共有している環である。
【0019】
遊離基重合されることが可能であり、且つ1つ以上のC-C二重結合を含む全てのモノマー、オリゴマー及びポリマーを、エチレン系不飽和型モノマー、オリゴマー及びポリマーとして使用することができる。C-C三重結合を有するモノマー、オリゴマー及びポリマーを使用することもできるが、これらは好ましくない。好適な化合物が当業者によく知られており、特定の制限なしに本発明においてこれらを使用することができる。モノマー、オリゴマー及びポリマーの形の1つ又は2つ以上の不飽和型基を有するアクリル酸及びメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸及びフマル酸のエステルが好ましい。これらのエステルは、固体又は液体の形態で存在してよく、固体及び高粘性の形態が好ましい。モノマーとして適した化合物は、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート及びメタクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート及びメタクリレート、ジペンタエリトリトールモノヒドロキシペンタアクリレート及びメタクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート及びメタクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート及びメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート及びメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート及びメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート及びメタクリレート、又はテトラエチレングリコールジアクリレート及びメタクリレートを含む。好適なオリゴマー及び/又はプレポリマーは、例えばウレタンアクリレート及びメタクリレート、エポキシドアクリレート及びメタクリレート、ポリエステルアクリレート及びメタクリレート、ポリエーテルアクリレート及びメタクリレート、又は不飽和型ポリエステル樹脂である。
【0020】
モノマー及び/又はオリゴマーに加えて、遊離基重合可能なC-C二重結合を主鎖又は側鎖に含むポリマーを利用することもできる。その例は、無水マレイン酸オレフィン・コポリマーとヒドロキシアルキル(メト)アクリレートとの反応生成物(例えばドイツ国特許出願公開第4311738号明細書参照);アリルアルコールで部分又は完全エステル化された(メト)アクリル酸ポリマー(例えばドイツ国特許出願公開第3332640号明細書参照);高分子ポリアルコールとイソシアナト(メト)アクリレートとの反応生成物;不飽和型ポリエステル;(メト)アクリレートを末端基とするポリスチレン、ポリ(メト)アクリル酸エステル、ポリ(メト)アクリル酸、ポリ(メト)アクリルアミド;遊離基重合可能な基を含むエポキシドで部分又は完全エステル化された(メト)アクリル酸ポリマー;及びポリエーテルを含む。これに関して、「(メト)」という接頭辞は、アクリル酸の誘導体及びメタクリル酸の誘導体の双方を使用できることを示す。
【0021】
付加的な好適なC-C不飽和型の遊離基重合可能な化合物が、欧州特許出願公開第1176007号明細書に記載されている。
【0022】
異なる種類のモノマー、オリゴマー又はポリマーを混合物の形態で使用することがもちろん可能であり、さらに、モノマー及びオリゴマー及び/又はポリマーの混合物、並びに、オリゴマーとポリマーとの混合物を本発明において使用することもできる。遊離基重合可能なモノマー/オリゴマー/ポリマーは、本発明の輻射線感受性組成物から調製された輻射線感受性塗膜の乾燥層重量を基準として、好ましくは5〜95重量%で存在し;モノマー/オリゴマーを使用する場合、特に好ましくは20〜85重量%で存在する。本明細書中に使用される「輻射線感受性塗膜の乾燥層重量」という用語は従って、「輻射線感受性組成物の固形分」と同義である。
【0023】
本発明において言及される増感剤とは、輻射線に暴露されるとこれを吸収することができるが、しかしそれだけでは、すなわち共開始剤の添加なしには、遊離基を形成することはできない化合物である。
【0024】
本発明において、1種の増感剤、或いは2種又は3種以上の増感剤から成る混合物を使用することができる。
本発明において、式(I)
【0025】
【化2】

【0026】
のオキサゾール化合物が増感剤として使用され、
上記式中、それぞれのR1、R2及びR3は独立して、ハロゲン原子、必要に応じて置換されているアルキル基、縮合されていてもよい必要に応じて置換されているアリール基、必要に応じて置換されているアラルキル基、基-NR4R5及び基-OR6から選択され、
R4及びR5は独立して、水素原子、アルキル、アリール又はアラルキル基から選択され、
R6は必要に応じて置換されているアルキル、アリール又はアラルキル基、又は水素原子であり、そしてk、m及びnは独立して、0又は1〜5の整数である。
【0027】
R1、R2及びR3のうちの1つ又は2つ以上が必要に応じて置換されているアルキル基を表す場合、該アルキル基は無置換型であるか、或いは、CN、NO2、NR'2、COOR'及びOR'(R'は水素又はアルキル基を表す)から選択された1つの置換基と置換されることが好ましい。
【0028】
好ましくはR1、R2及びR3は独立して、ハロゲン原子、C1-C8アルキル及び基-NR4R5から選択され、ここでR4及びR5は好ましくは、独立して水素原子及びC1-C6アルキルから選択される。
【0029】
K、m及びnは好ましくは、独立して0又は1である。
R1、R2及びR3のうちの1つ以上が基-NR4R5(ここで、R4及びR5が好ましくは、独立して水素原子及びC1-C6アルキルから選択され、そして特に好ましくはR4= R5=C1-C6アルキルである)を表す式(I)のオキサゾール誘導体が特に好ましい。
【0030】
本発明において使用されるオキサゾール誘導体は、当業者によく知られた方法に従って調製することができる。これに関しては、ドイツ国特許出願公開第1120875号明細書及び欧州特許出願公開第129059号明細書が参照される。これらの明細書に記載された方法を用いて、出発化合物を適宜に変えることによって、これらに明記されていないオキサゾールを合成することもできる。
【0031】
増感剤は1種又は2種以上の共開始剤との組み合わせで使用される。
増感剤の量は特に制限されることはないが、組成物から生成される塗膜の固形分又は乾燥層重量を基準として、好ましくは0.2〜25重量%であり、特に好ましくは0.5〜15重量%である。
【0032】
本発明において言及される共開始剤は、輻射線に暴露されたときに事実上これを吸収することはできないが、しかし本発明に従って使用される輻射線吸収増感剤と一緒に遊離基を形成する化合物である。本発明によれば、共開始剤は、アミン、例えばアルカノールアミン;N,N-ジアルキルアミノ安息香酸エステル;N-アリールグリシン及びこれらの誘導体(例えばN-フェニルグリシン);芳香族スルホニルハロゲン化物;トリハロゲノメチルスルホン;イミド、例えばN-ベンゾイルオキシフタリミド;ジアゾスルホネート;9,10-ジヒドロアントラセン誘導体;2つ以上のカルボキシル基を有するN-アリール、S-アリール及びO-アリールポリカルボン酸であって、これらのカルボキシル基のうちの1つ以上が、アリール単位のN、S又はO原子に結合されているもの(例えばアニリン二酢酸及びその誘導体、及び米国特許第5,629,354号明細書に記載されたその他の共開始剤);ヘキサアリールビイミダゾール、例えば2,2-ビス-(2-クロロフェニル)-4,5,4',5'-テトラフェニル-2'H-[1,2']ビイミダゾール、及び2,2',5-トリス(2-クロロフェニル)-4-(3,4-ジメトキシフェニル)-4,5'-ジフェニルビイミダゾール;チオール化合物(例えばメルカプトベンズチアゾール、メルカプトベンズイミダゾール及びメルカプトトリアゾール);1〜3つのCX3基を有する1,3,5-トリアジン誘導体(どのXも独立して塩素又は臭素原子から選択され、好ましくは塩素原子である)、例えば2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-メチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-スチリル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス-トリクロロメチル-s-トリアジン、及び2-(4-エトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン及び2-[4-(2-エトキシエチル)-ナフト-1-イル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン;オキシムエーテル及びオキシムエステル、例えばベンゾインから誘導されたもの;α-ヒドロキシ及びα-アミノ-アセトフェノン;アルキルトリアリールボレート;トリハロゲノメチルアリールスルホン;ベンゾインエーテル及びベンゾインエステル;メタロセン(好ましくはチタノセン、及び特に好ましくは2つの5員シクロジエニル基、例えばシクロペンタジエニル基、及び1つ以上のオルトフッ素原子を含む1つ又は2つの6員芳香族基、及び任意にはピリル基を有するもの、例えばビス(シクロペンタジエニル)-ビス-[2,6-ジフルオロ-3-(ピル-1-イル)-フェニル]チタニウム、及びジシクロペンタジエン-ビス-2,4,6-トリフルオロフェニル-チタニウム又はジルコニウム)、及び過酸化物(例えば有機過酸化物のタイプの活性剤として、欧州特許出願公開第1035435号明細書に挙げられているもの)から選択される。
【0033】
アシルホスフィンオキシド及びジアシルホスフィンオキシドは、オキサゾール増感剤には適さない共開始剤であることが判っている。
本発明において、上記共開始剤のうちの1つ又はこれらの混合物を使用することができる。
【0034】
共開始剤の量は特に制限されることはないが、しかし、乾燥層重量を基準として、好ましくは0.2〜25重量%、特に好ましくは0.5〜15重量%である。
【0035】
随意選択的に、輻射線感受性塗膜は、付加的な共開始剤として、1種又は2種以上のオニウム塩;例えばアンモニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、アリールジアゾニウム塩及びN-アルコキシピリジニウム塩を含むこともできる。これらの塩は乾燥層重量を基準として、好ましくは0〜15重量%の量で存在する。
【0036】
随意選択的に、本発明の感光性組成物はバインダー又はバインダーの混合物を含むこともできる。バインダーは好ましくは、ポリビニルアセタール、アクリルポリマー、ポリウレタン及びこれらのコポリマーから選択される。バインダーは酸性基、特に好ましくはカルボキシル基を含有することが好ましい。最も好ましいのはアクリルポリマーである。酸性基を有するバインダーは好ましくは20〜180 mg KOH/gポリマーの酸価を有する。任意には、バインダーは付加環化反応(例えば光付加環化)を受けることができる基を含むことができる。バインダーの量は特に制限されることはないが、好ましくは0〜90重量%、特に好ましくは5〜60重量%である。
【0037】
輻射線感受性塗膜は、随意選択的に、少量の熱重合抑制剤を含むことができる。不所望の熱重合を抑制する抑制剤の好適な例は、ヒドロキノン、p-メトキシフェノール、ジ-t-ブチル-p-クレゾール、ピロガロール、t-ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4'-チオ-ビス-(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2'-メチレン-ビス-(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)及びN-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩を含む。輻射線感受性塗膜中の非吸収性重合抑制剤の量は、乾燥層重量を基準として、好ましくは0〜5重量%、特に好ましくは0.01〜2重量%である。このような抑制剤は、商業的なモノマー又はオリゴマーを介して輻射線感受性塗膜中にしばしば導入することができ、従って特に言及しない。
【0038】
さらに、本発明の輻射線感受性塗膜は、層を着色するための色素又は顔料を含むことができる。着色剤の例は、例えばフタロシアニン顔料、アゾ顔料、カーボンブラック及び二酸化チタニウム、エチル・バイオレット、クリスタル・バイオレット、アゾ色素、アントラキノン色素及びシアニン色素を含む。着色剤の量は、乾燥層重量を基準として、好ましくは0〜20重量%、特に好ましくは0.5〜10重量%である。
【0039】
硬化された層の物理特性を改善するために、輻射線感受性塗膜は加えて、更なる添加剤、例えば可塑剤又は無機充填剤を含むことができる。好適な可塑剤は例えばジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン及びトリクレシルホスフェートを含む。可塑剤の量は特に制限されるものではないが、乾燥層重量を基準として、好ましくは0〜10重量%、特に好ましくは0.25〜5重量%である。
【0040】
輻射線感受性塗膜は、既知の連鎖移動剤を含むこともできる。連鎖移動剤は乾燥層重量を基準として、好ましくは0〜15重量%、特に好ましくは0.5〜5重量%の量で使用される。
【0041】
さらに、輻射線感受性塗膜は、ロイコ色素、例えばロイコ・クリスタル・バイオレット及びロイコ・マラカイトグリーンを含むことができる。これらのロイコ色素は乾燥層重量を基準として、好ましくは0〜10重量%、特に好ましくは0.5〜5重量%で存在する。
【0042】
加えて、輻射線感受性塗膜は界面活性剤を含むことができる。好適な界面活性剤は、シロキサン含有ポリマー、フッ素含有ポリマー、及びエチレンオキシド基及び/又はプロピレンオキシド基を有するポリマーを含む。これらの界面活性剤は乾燥層重量を基準として、好ましくは0〜10重量%、特に好ましくは0.2〜5重量%の量で存在する。
【0043】
輻射線感受性塗膜の更なる任意の成分は、無機充填剤、例えばAl2O3及びSiO2を含む(これらは乾燥層重量を基準として、好ましくは0〜20重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%の量で存在する)。
【0044】
露光指示薬、例えば4-フェニルアゾジフェニルアミンが、輻射線感受性塗膜の任意の成分として存在してよい。これらは乾燥層重量を基準として、好ましくは0〜5重量%、特に好ましくは0〜2重量%の量で存在する。
【0045】
本発明の輻射線感受性要素は例えば、印刷版前駆体(具体的には平版印刷版の前駆体)、集積回路のためのプリント回路基板、又はフォトマスクとなることができる。
【0046】
寸法安定性を有するプレート状又はフォイル状材料が、特に印刷版前駆体を製造する際の基体として使用されることが好ましい。好ましくは、印刷物のための基体として既に使用されている材料が、寸法安定性を有するプレート状又はフォイル状材料として使用される。このような基体の例は、紙、プラスチック材料(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン)で被覆された紙、金属プレート又はフォイル、例えばアルミニウム(アルミニウム合金を含む)、亜鉛及び銅プレート、例えばセルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースニトレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート及びポリビニルアセテートから形成されたプラスチック・フィルム、及び紙又はプラスチック・フィルムと上述の金属のうちの1つとから形成された積層材料、又は蒸着により金属化された紙/プラスチック・フィルムを含む。これらの基体の中では、アルミニウム・プレート又はフォイルが特に好ましい。それというのは、アルミニウム・プレート又はフォイルは卓越した寸法安定度を示し、低廉であり、そしてさらに塗膜に対する優れた付着力を示すからである。さらに、複合フィルムを使用することもでき、この複合フィルムの場合、アルミニウム・フォイルがポリエチレンテレフタレート・フィルム上に貼り合わされている。
【0047】
金属基体、具体的にはアルミニウム基体には、砂目立て処理(例えば乾燥状態でのブラッシング、又は研磨懸濁液を用いたブラッシング、又は例えば塩酸電解質を用いた電気化学的な砂目立てによる)、陽極処理(硫酸又はリン酸中)、及び親水性処理から選択された1つ以上の処理が施されるのが好ましい。
【0048】
砂目立て処理、及び任意には硫酸又はリン酸中で陽極処理を施された金属基体の表面の親水性特性を改善するために、ケイ酸ナトリウム、フッ化カルシウムジルコニウム、ポリビニルホスホン酸又はリン酸の水溶液による後処理を、金属基体に施すことができる。本発明の範囲内で、「基体」という用語は、例えばその表面上にある親水性化層を示す、必要に応じて前処理された基体をも包含する。
【0049】
上述の基体前処理の詳細は当業者に知られている。
輻射線感受性要素を製造するために、本発明の輻射線感受性組成物は、共通の方法(例えばスピン・コーティング、浸漬コーティング、ドクター・ブレードによるコーティング)によって、基体の表面に塗布される。基体の両側に輻射線感受性組成物を塗布することも可能ではあるが、本発明の要素のためには、輻射線感受性塗膜は基体の一方の側に塗布されるのが好ましい。
【0050】
これを目的として、輻射線感受性組成物は1種又は2種以上の有機溶剤を含む。
好適な溶剤は、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール及びブタノール)、グリコールエーテル誘導体(例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、ケトン(例えばジアセトンアルコール、アセチルアセトン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン)、エステル(例えばメチルラクテート、エチルラクテート、エチルアセテート、3-メトキシプロピルアセテート及びブチルアセテート)、芳香族(例えばトルエン及びキシレン)、シクロヘキサン、3-メトキシ-2-プロパノール、1-メトキシ-2-プロパノール、メトキシメトキシエタノール、γ-ブチロラクトン及び双極性非プロトン性溶媒(例えばTHF、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド及びN-メチルプロピロリドン)を含む。塗布されるべき輻射線感受性混合物の固形分含有率は、用いられるコーティング法に依存し、好ましくは1〜50重量%である。
【0051】
輻射線感受性層上に水溶性酸素不透過性オーバコートを付加的に適用することが有利な場合がある。このようなオーバコートに適したポリマーは、とりわけ、ポリビニル、ポリビニルアルコール/ポリビニルアセテート・コポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン/ポリビニルアセテート・コポリマー、ポリビニルメチルエーテル、無水マレイン酸とコモノマー、例えばメチルビニルエーテル、ポリアクリル酸、セルロースエーテル、ゼラチンなどとの開環型コポリマーなどを含む。ポリビニルアルコールが好ましい。好ましくは酸素不透過性オーバコートのための組成物は、水溶液又は水と混和可能な溶剤中の溶液の形態で塗布され、いずれの場合にも、基体上に既に存在する輻射線感受性塗膜が溶解しないように、溶剤は選択される。オーバコートの層重量は例えば0.1〜6 g/m2、好ましくは0.5〜6g/m2であってよい。しかし、本発明による印刷版前駆体は、オーバコートなしでも優れた特性を示す。オーバコートは艶消し剤(すなわち、粒子サイズ2〜20μmの有機又は無機粒子)を含むこともできる。艶消し剤は、接触露光中のフィルムの平面位置決めを容易にする。輻射線感受性層に対するオーバコートの付着力を高めるために、オーバコートは付着促進剤、例えばポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(エチレンイミン)及びポリ(ビニルイミダゾール)を含むことができる。
好適なオーバコートは例えば国際公開第99/06890号パンフレットに記載されている。
【0052】
こうして製造された輻射線感受性要素は、波長>300nm(好ましくは350〜450nm)のUV線で、当業者に知られた形式で像様露光され、続いて、商業的に入手可能な水性アルカリ性現像剤で現像される。約405nm(例えば405±10 nm)の範囲のUV線を発光するUVレーザー・ダイオードが、輻射源として特に重要である。像様露光後、すなわち現像前に、50〜180℃、好ましくは90〜150℃で熱処理を行うことができる。一般的な方法を用いて、現像済要素を保存剤で処理することができる(ガム処理)。保存剤は、親水性ポリマーの水溶液、湿潤剤及びその他の添加剤である。
【0053】
或る特定の用途のために(例えば印刷版の場合)、熱処理(「ベーキング」と呼ばれる)及び/又は全体露光(例えばUV光を当てる)を施すことによって、現像後に残る塗膜部分の機械強度を増大させることがさらに有利である。これを目的として、処理前に、現像済要素は、非画像領域を保護する溶液で処理されるので、熱処理によって、これらの領域がインクを受理するようにはならない。この目的に適した溶剤は、例えば米国特許第4,355,096号明細書に記載されている。ベーキングは150〜250℃の温度で行われる。しかし、本発明による輻射線感受性要素、並びにこれらの要素から調製された印刷版は、熱処理が施されていなくても、優れた特性を示す。ベーキング及び全体露光の両方が行われる場合、2つの処理工程を同時に又は相前後して実施することができる。
【0054】
本発明による輻射線感受性要素の特徴は、黄光条件下における優れた安定性、高い感光度、及び良好な貯蔵安定性と相俟った優れた解像度である。印刷版前駆体の場合、現像済印刷版は優れた耐摩耗性を示し、このことは多くの部数の提供を可能にする。
【実施例】
【0055】
下記例において本発明をより詳細に説明する。
例1〜3及び比較例1〜6
電気化学的に(HCl中で)砂目立て処理され、陽極処理されたアルミニウム・フォイルをポリビニルホスホン酸(PVPA)の水溶液で処理し、そして乾燥後、表1に記載された溶液で被覆し、そして乾燥させた。
【0056】
【表1】

【0057】
溶液を濾過し、平版印刷基体にこれを適用し、その塗膜を4分間にわたって90℃で乾燥させた。感光性ポリマー層の乾燥層重量は約1.5 g/m2であった。
【0058】
得られた試料に、ポリ(ビニルアルコール)(Airproductsから入手可能なAirvol 203;加水分解度:88%)の水溶液を塗布することにより、オーバコートを塗布し、これを4分間にわたって90℃で乾燥させた後、オーバコートの乾燥層重量は約3 g/m2であった。
【0059】
階調範囲0.15〜1.95のグレイ・スケールを通して、405nmに対する金属干渉フィルターを有するタングステン・ランプで、印刷版前駆体に露光を施した。濃度増分は、1 μW/cm2で0.15(UGRAグレイ・スケール)に達した。露光直後に、このプレートを2分間にわたって90℃で炉内で加熱した。
【0060】
次いで、露光済プレートを、下記成分:
3.4重量部のRewopol NLS 28(登録商標)(REWOから入手可能)
1.1重量部のジエタノールアミン
1.0重量部のTexapon 842(登録商標)(Henkelから入手可能)
0.6重量部のNekal BX Paste(登録商標)(BASFから入手可能)
0.2重量部の4-トルエンスルホン酸、及び
93.7重量部の水
を含む現像液で30秒間にわたって処理した。
【0061】
次いでさらに30秒間、タンポンを使用して、現像液を表面全体にわたってこすり、次いでプレート全体を水ですすいだ。この処理後、露光された部分がプレート上に残った。感光性の評価のために、印刷インクを用いて、湿潤状態でプレートを黒くした。
【0062】
プレートの貯蔵安定性を評価するために、未露光印刷版前駆体を90℃の炉内で60分間にわたって貯蔵し、次いで露光し、そして上述のように現像した(貯蔵安定性試験)。
【0063】
平版印刷版の調製のために、上述のように、アルミニウム・フォイルに印刷層を適用し、露光し、加熱し、現像し、そして水ですすいだ後、現像済プレートを、0.5%リン酸及び6%アラビアゴムの水溶液を用いてこすった。こうして調製された版を、枚葉紙供給式オフセット印刷機内に装入し、そして研磨性印刷インク(10%炭酸カルシウムを含有する、Sun Chemicalから入手可能なOffset S 7184)で印刷するのに使用した。
【0064】
結果を表2に要約する。
【0065】
【表2】

【0066】
1)第1の値は、黒化されたグレイ・スケールのソリッド段階を示し、第2の値は、印刷インクを受け入れなかった最初の段階を示す。
【0067】
2)貯蔵安定性試験:未露光印刷版前駆体を10分間にわたって90℃で貯蔵した後の結果
3)2-フェニル-4-(2-クロロフェニル)-5-(4-N,N-ジエチルアミノフェニル)-オキサゾール-1,3
【0068】
4)2,2-ビス-(2-クロロフェニル)-4,5,4',5'-テトラフェニル-2'H-[1,2']ビイミダゾリル
5)2,5-ビス-4,4'-ジエチルアミノフェニル-1,3,4-オキサジアゾール
6)2,2'-(2,5-チオフェンジイル)ビス(tert-ブチルベンゾオキサゾール)
7)2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシド
8)2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス-(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン
9)4-フェニル-1-メトキシピリジウムテトラフルオロボレート
10)2,2',5-トリス(2-クロロフェニル)-4-(3,4-ジメトキシフェニル)-4,5'-ジフェニルビイミダゾール
【0069】
11)照度200ルクスのEncapsulite製黄光管G10で、30分間にわたってプレートを露光することにより、黄光安全性を測定した。プレートを90℃で2分間にわたって炉内で加熱した後、プレートを上述のように現像し、そして残ったコーティング残留物に関してチェックした。
【0070】
表2から判るように、式(I)の増感剤と共開始剤との組み合わせを用いることにより、高い感受性及び良好な貯蔵安定性を有する印刷版前駆体を得ることができ、これらの印刷版前駆体は、多くの部数を可能にする印刷版をもたらす。
【0071】
また表2から、本発明による印刷版前駆体が、黄光条件で良好な安定性を示すことを導き出すこともできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 遊離基重合されやすい1つ以上のエチレン系不飽和型基をそれぞれが含む、1種又は2種以上のタイプのモノマー及び/又はオリゴマー及び/又はポリマー、
(b) 1つ以上の増感剤、
(c) 該増感剤(b)と一緒に遊離基を形成することができ、そして下記クラスの化合物:メタロセン、1〜3つのCX3基(Xは塩素又は臭素を表す)を有する1,3,5-トリアジン誘導体;過酸化物;ヘキサアリールビイミダゾール;オキシムエーテル;オキシムエステル;N-アリールグリシン及びこれらの誘導体;チオール化合物;2つ以上のカルボキシル基を有するN-アリール、S-アリール及びO-アリールポリカルボン酸であって、該カルボキシル基のうちの1つ以上が、該アリール単位のN、S又はO原子に結合されているもの;アルキルトリアリールボレート;ベンゾインエーテル;ベンゾインエステル;トリハロゲノメチルアリールスルホン;アミン;N,N-ジアルキルアミノ安息香酸エステル;芳香族スルホニルハロゲン化物;トリハロゲノメチルスルホン;イミド;ジアゾスルホネート;9,10-ジヒドロアントラセン誘導体;α-ヒドロキシ及びα-アミノアセトフェノンから選択される1つ以上の共開始剤、及び
(d) アルカリ可溶性バインダー、着色剤、露光指示薬、可塑剤、連鎖移動剤、ロイコ色素、界面活性剤、無機充填剤及び熱重合抑制剤から選択された1種又は2種以上の随意選択的な成分
を含む輻射線感受性組成物であって、
該1つ以上の増感剤が式(I)
【化1】

[上記式中、それぞれのR1、R2及びR3は独立して、ハロゲン原子、必要に応じて置換されているアルキル基、必要に応じて置換されているアリール基(縮合されていてもよい)、必要に応じて置換されているアラルキル基、基-NR4R5及び基-OR6
(ここで、R4及びR5は独立して、水素原子、アルキル、アリール又はアラルキル基から選択され、
R6はアルキル、アリール又はアラルキル基、又は水素原子である)から選択され、そして
k、m及びnは独立して、0又は1〜5の整数である]
のオキサゾール誘導体であることを特徴とする輻射線感受性組成物。
【請求項2】
式(I)のオキサゾール誘導体が増感剤として使用され、そしてk、m及びnが独立して、0及び1から選択される、請求項1に記載の輻射線感受性組成物。
【請求項3】
該安定剤が、該式(I)の1,3-オキサゾール(ここで、基R1、R2及びR3のうちの1つ以上が、基-NR4R5を表す)である請求項1又は2に記載の輻射線感受性組成物。
【請求項4】
該共開始剤(c)が、メタロセン、トリアリールイミダゾリル二量体、及びこれらの混合物から選択される、請求項1から3までのいずれか一項に記載の輻射線感受性組成物。
【請求項5】
さらに、1種又は2種以上のオニウム塩を含む、請求項1から4までのいずれか一項に記載の輻射線感受性組成物。
【請求項6】
輻射線感受性要素であって、
(a) 必要に応じて前処理された基体と、
(b) 該基体上に適用された、請求項1から5までのいずれか一項に記載の組成物から成る輻射線感受性塗膜と
を含む輻射線感受性要素。
【請求項7】
該基体がアルミニウム・フォイル又はプレートである、請求項6に記載の輻射線感受性要素。
【請求項8】
塗布前に、該アルミニウム・フォイル又はプレートが、砂目立て処理、陽極処理、及び親水性処理から選択された1つ以上の処理を施される、請求項7に記載の輻射線感受性要素。
【請求項9】
該要素がさらに、酸素不透過性オーバコートを含む請求項6から8までのいずれか一項に記載の輻射線感受性要素。
【請求項10】
(a) 請求項6から9までのいずれか一項に記載の輻射線感受性要素を準備すること;
(b) >300 nmのUV線を用いる該要素の像様照射、
(c) 必要に応じて、照射した該要素を加熱すること;
(d) 水性アルカリ性現像剤によって、該塗膜の非照射領域を除去すること;
(e) 必要に応じて、該現像済要素を加熱し、及び/又は、該現像済要素に全体露光を施すこと
を含む輻射線感受性要素を画像形成させる方法。
【請求項11】
該像様照射が、波長範囲350〜450nmのUV線で行われる請求項10に記載の方法。
【請求項12】
画像形成済要素であって、請求項10又は11に記載の方法に従って得ることができる、画像形成済要素。
【請求項13】
該要素が平版印刷版である、請求項12に記載の画像形成済要素。
【請求項14】
(a) 必要に応じて前処理された基体を準備すること、
(b) (i) 遊離基重合されやすい1つ以上のエチレン系不飽和型基をそれぞれが含む、1種又は2種以上のタイプのモノマー及び/又はオリゴマー及び/又はポリマー、
(ii) 1つ以上の増感剤、
(iii) 該増感剤(b)と一緒に遊離基を形成することができ、そして下記クラスの化合物:メタロセン、1〜3つのCX3基(Xは塩素又は臭素を表す)を有する1,3,5-トリアジン誘導体;過酸化物;ヘキサアリールビイミダゾール;オキシムエーテル;オキシムエステル;N-アリールグリシン及びこれらの誘導体;チオール化合物;2つ以上のカルボキシル基を有するN-アリール、S-アリール及びO-アリールポリカルボン酸であって、該カルボキシル基のうちの1つ以上が、該アリール単位のN、S又はO原子に結合されているもの;アルキルトリアリールボレート;ベンゾインエーテル;ベンゾインエステル;トリハロゲノメチルアリールスルホン;アミン;N,N-ジアルキルアミノ安息香酸エステル;芳香族スルホニルハロゲン化物;トリハロゲノメチルスルホン;イミド;ジアゾスルホネート;9,10-ジヒドロアントラセン誘導体;α-ヒドロキシ及びα-アミノアセトフェノンから選択される1つ以上の共開始剤
(iv) アルカリ可溶性バインダー、着色剤、露光指示薬、可塑剤、連鎖移動剤、ロイコ色素、界面活性剤、無機充填剤及び熱重合抑制剤から選択された1種又は2種以上の随意選択的な成分、及び
(v) 1つ以上の溶剤
を含み、該増感剤が式(I)
【化2】

[上記式中、それぞれのR1、R2及びR3は独立して、ハロゲン原子、必要に応じて置換されているアルキル基、必要に応じて置換されているアリール基(縮合されていてもよい)、必要に応じて置換されているアラルキル基、基-NR4R5及び基-OR6
(ここで、R4及びR5は独立して、水素原子、アルキル、アリール又はアラルキル基から選択され、
R6はアルキル、アリール又はアラルキル基、又は水素原子である)から選択され、そして
k、m及びnは独立して、0又は1〜5の整数である]
のオキサゾール誘導体であることを特徴とする
輻射線感受性組成物を準備すること、
(c) 工程(b)で準備された該輻射線感受性組成物を、工程(a)で準備された該基体上に適用すること;
(d) 乾燥すること
を含んでなる輻射線感受性要素の製造方法。
【請求項15】
工程(a)で準備された該基体が、砂目立て処理、陽極処理、及び親水性化層の適用から選択された1つ以上の処理を施されたアルミニウム基体である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
平版印刷版前駆体を製造するための、請求項1から5までのいずれか一項に記載の輻射線感受性組成物の使用。

【公表番号】特表2006−519405(P2006−519405A)
【公表日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501915(P2006−501915)
【出願日】平成16年2月20日(2004.2.20)
【国際出願番号】PCT/EP2004/001706
【国際公開番号】WO2004/074930
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(505316060)コダック ポリクロウム グラフィクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (16)
【Fターム(参考)】