説明

オフセット印刷による電極形成方法

【課題】印刷により、ストライプ状の従来より幅の広いライン電極を形状精度及び寸法精度良く形成することができるオフセット印刷による電極形成方法を提供する。
【解決手段】版に導電性インクを充填後、ドクターナイフによって余剰な導電性インクを掻き取るドクタリング工程を含むオフセット印刷により、印刷用基材上にストライプ状のライン電極を形成する電極形成方法において、オフセット印刷に用いる版として、形成するライン電極に対応し、版の導電性インクを充填する凹形状のパターン内に、各々が凹形状の複数の彫刻部11を有し、形成するライン電極の面積に対する彫刻部の合計面積の比率TS(%)が、70%≦TS<100%で、かつ、個々の彫刻部の面積S(μm)が、0<S≦80000μmを満足する版、を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、版に導電性インクを充填後、ドクターナイフによって余剰な導電性インクを掻き取るドクタリング工程を含むオフセット印刷により、印刷用基材上にストライプ状のライン電極を形成する電極形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷により印刷用基材上に電極を形成する印刷による電極形成方法として種々の電極形成方法が知られており、一例として、グラビア印刷による積層セラミック電子部品の電極形成方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図7は有版印刷の一例としてグラビア印刷の一例を説明するための図である。図7に示す例において、51は電極を形成する材料となる導電性インク、52は導電性インク51を充填する凹部からなるパターン53が刻まれた版、54はPET等からなる印刷基材、55は圧銅である。図7に従ってグラビア印刷の一例を説明すると、まず、パターン53が刻まれた版52へ導電性インク51を充填するインキング工程を実施し、その後、圧銅55を用いて版52から印刷基材54に導電性インク51を転写する転写工程を実施している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−188044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したインキング工程において、図7に示したように、版52の凹部からなるパターン53に導電性インク51を充填した後、ドクターナイフ56によって余剰な導電性インク51を掻き取るドクタリング工程を実施する。従来、このドクタリング工程を必要とする有版印刷では、幅が広いストライプ状のライン、一例として、幅が300μm以上のストライプ状のラインを印刷基材54上に「抜け」なく形成することは難しかった。ここで、「抜け」とは、印刷品で本来導電性インクが在るべき所に導電性インクの無い状態のことを示し、電極回路を想定した場合、断線状態に相当する。
【0006】
この「抜け」の発生する理由は、ドクタリングの際、ドクターナイフ56の刃先が版52におけるパターン53の凹部へ落ち込み、必要量以上の導電性インク51まで掻き取ってしまうことが原因と考えられる。
【0007】
図8(a)〜(d)はそれぞれ従来の有版印刷による電極形成方法における「抜け」を説明するための図である。図8(a)〜(d)に示す例では、まず、図8(a)に示すように、凹部からなるパターン53に導電性インク51を充填した後、図8(b)に示すように、ドクターナイフ56によって余剰な導電性インク51を掻き取るドクタリング工程を実施する。この場合、ストライプ状のライン形状を有するパターン53の幅が広いと、一例としてその幅が300μm以上であると、ドクタリング工程を実施した後、図8(c)に図8(b)の状態の断面を示すように、各パターン53に充填された導電性インク51の中央部が凹んでしまう。この状態で、印刷(すなわち印刷基材54への導電性インク51の転写)を行った場合、図8(d)に示すように、ライン中央部の導電性インク51が抜けた状態となってしまう。このライン中央部の抜け不良は、要求されるライン幅に応じて変化し、幅の広いラインほどその不良状態が顕著なものとなっていた。
【0008】
本発明の目的は上述した問題点を解消して、オフセット印刷により、ストライプ状の従来より幅の広いライン電極を形状精度及び寸法精度良く形成することができるオフセット印刷による電極形成方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のオフセット印刷による電極形成方法は、版に導電性インクを充填後、ドクターナイフによって余剰な導電性インクを掻き取るドクタリング工程を含むオフセット印刷により、印刷用基材上にストライプ状のライン電極を形成する電極形成方法において、
前記オフセット印刷に用いる版として、
形成するライン電極に対応し、版の導電性インクを充填する凹形状のパターン内に、
各々が凹形状の複数の彫刻部を有し、
形成するライン電極の面積に対する彫刻部の合計面積の比率TS(%)が、
70%≦TS<100%で、かつ、
個々の彫刻部の面積S(μm)が、
0<S≦80000μmを満足する版、
を用いることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明のオフセット印刷による電極形成方法の好適例としては、隣接する前記彫刻部間の距離DI(μm)が、0<DI≦20μmであること、前記導電性インクの粘度P(Pa・s)が、1≦P≦50Pa・sであること、形成する電極が、パッシブ駆動方式の表示装置におけるストライプ状のライン電極であること、がある。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、オフセット印刷に用いる版として、各々が凹形状の複数の彫刻部を有し、形成するライン電極の面積に対する彫刻部の合計面積の比率TS(%)が、70%≦TS<100%、であり、個々の彫刻部の面積S(μm)が、0<S≦80000μmである版を、用いることで、ドクターナイフの刃先落ち込みを防止し、版に充填された導電性インクの余剰な掻き出しを防ぐとともに、隣接する彫刻部間のスペースを導電性インクのレベリング作用により埋めることができ、オフセット印刷により、ストライプ状の従来より幅の広いライン電極を形状精度及び寸法精度良く形成することができるオフセット印刷による電極形成方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)〜(c)はそれぞれ本発明の電極形成方法で用いるオフセット印刷の一例としてグラビアオフセット印刷の一例の工程を示す図である。
【図2】(a)、(b)はそれぞれ従来の電極形成方法で用いる版パターンの一例を説明するための図である。
【図3】(a)、(b)はそれぞれ本発明の電極形成方法で用いる版パターンの一例を説明するための図である。
【図4】(a)、(b)はそれぞれ本発明の電極形成方法で用いる版パターンの他の例を説明するための図である。
【図5】(a)、(b)はそれぞれ本発明の電極形成方法で用いる版パターンのさらに他の例を説明するための図である。
【図6】(a)、(b)はそれぞれ本発明の電極形成方法に従って作製した電極を使用する情報表示用パネルの一例の構成を示す図である。
【図7】有版印刷の一例としてグラビア印刷の一例を説明するための図である。
【図8】(a)〜(d)はそれぞれ従来の有版印刷による電極形成方法における「抜け」を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<本発明で電極形成のために用いるオフセット印刷について>
まず、本発明の電極形成方法において電極形成のために用いるオフセット印刷の一例について説明する。図1(a)〜(c)はそれぞれ本発明の電極形成方法で用いるオフセット印刷の一例としてグラビアオフセット印刷の一例の工程を示す図である。図1(a)〜(c)に示す例において、1は電極を形成する材料となる導電性インク、2は導電性インク1を充填する凹部からなるパターン3が刻まれた版、4はSiブランケットロール、5はPET等からなる印刷基材、6は圧銅である。
【0014】
図1(a)〜(c)に従ってグラビアオフセット印刷の一例を説明すると、グラビアオフセット印刷方式は、印刷基材5への印刷が完了するまで大きく3段階の工程に分けられ、1.インキング工程(パターン3が刻まれた版2への導電性インク1を充填する工程):図1(a)、2.受理工程(版2からSiブランケットロール4への導電性インク1の受理する工程):図1(b)、3.転写工程(Siブランケットロール4から印刷基材5への導電性インク1の転写する工程):図1(c)、のそれぞれの工程に分類される。
【0015】
上述したインキング工程において、図1(a)に示すように、版2の凹部からなるパターン53に導電性インク51を充填した後、ドクターナイフ7によって余剰な導電性インク1を掻き取るドクタリング工程を実施する。本発明の電極形成方法の特徴は、このドクタリング工程を改良すること、特に、使用する版のパターンを改良することにある。
【0016】
<本発明の電極形成方法の特徴となるオフセット印刷に用いる版について>
次に、図2(a)、(b)、図3(a)、(b)、図4(a)、(b)および図5(a)、(b)を参照して、本発明の電極形成方法の特徴となるオフセット印刷に用いる版について説明する。図2(a)、(b)〜図5(a)、(b)に示すいずれの例も、版2に刻まれた凹部からなるパターン3の1つを示している。凹部からなるパターン3は、円筒形状の版2の表面に形成されているため、実際は凹んでいるが、ここでは凹部からなるパターン3を平面として記載した。また、図2(a)、(b)に従来のオフセット印刷で使用する版を示すとともに、図3(a)、(b)〜図5(a)、(b)は本発明のオフセット印刷で使用する版を示す。
【0017】
図2(a)、(b)に示す従来のオフセット印刷に用いる版は、凹部からなるパターン3の全体が凹部から形成されている。これに対し、図3(a)、(b)、図4(a)、(b)および図5(a)、(b)に示す本発明のオフセット印刷に用いる版は、各々が凹形状の複数の彫刻部11から構成されている。図3(a)、(b)に示す例では、内部の四角形状の彫刻部11−1と端部の三角形状の彫刻部11−2とでパターン3を形成している。また、図4(a)、(b)に示す例では、三角形状の彫刻部11でパターン3を形成している。さらに、図5(a)、(b)に示す例では、円形状の彫刻部11でパターン3を形成している。
【0018】
図3(a)、図4(a)および図5(a)に示す本発明のオフセット印刷に用いる版2は、いずれの図においても、灰色部が凹部(彫刻部)からなる彫刻部11に相当している。そして、本発明のオフセット印刷に用いる版2では、複数の彫刻部11において、(1)形成するライン電極(パターン3に対応)の面積に対する彫刻部11の合計面積の比率TS(%)が70%≦TS<100%であり、(2)個々の彫刻部11の面積S(μm)が0<S≦80000μmであることが必要である。また、形成するライン電極(パターン3に対応)の面積に対する彫刻部11の合計面積の比率TS(%)は80%≦TS<100%であることが好ましく、個々の彫刻部11の面積S(μm)は650μm<S≦40000μmであることが好ましい。
【0019】
本発明において、形成するライン電極(パターン3に対応)の面積に対する彫刻部11の合計面積の比率TS(%)を70%≦TS<100%とする理由は、TSが70%未満であると、形成するライン電極の面積に対する未彫刻部の合計面積が多くなり、彫刻部同士が繋がらなくなるためである。また、個々の彫刻部11の面積S(μm)を0<S≦80000μmとする理由は、Sが800000μmを超えると、ドクターナイフ7の刃先が彫刻部11の凹部へ落ち込み、「抜け」の発生となるためである。
【0020】
次に、本発明の電極形成方法の特徴となるオフセット印刷に用いる版の好適例について説明する。まず、隣接する彫刻部同士の彫刻部間距離DI(μm)が、0<DI≦20μmであることが好ましく、3μm<DI≦10μmであることがさらに好ましい。彫刻部間距離DIが0に近づく程、導電性インクのレベリング作用により「抜け」の無い印刷パターンが得られるが、製版上3μmが実際に実現できる限界となる。また、彫刻部間距離DIが20μmを超えると、レベリング作用によっても「抜け」の発生を防止できない場合がある。なお、彫刻部が円形状の場合は、彫刻部間距離DIは隣接する円同士の最短距離とする。さらに、導電性インクの粘度P(Pa・s)が、1≦P≦50Pa・sであることが好ましい。粘度Pが1未満では、粘度が低すぎるためラインの形状が乱れる場合がある。一方、粘度Pが50を超える場合は、高粘度のため導電性インクがレベリングせず、彫刻部同士が繋がらない場合がある。さらにまた、彫刻部11の形状については、上述した三角形、四角形などの多角形や円の他、楕円形状なども適宜選択することができる。
【0021】
<本発明のオフセット印刷による電極形成方法で形成した電極を使用する情報表示用パネルについて>
本発明に従って形成した電極を使用する対象となるの情報表示用パネルのうち、帯電性粒子を含んだ粒子群を表示媒体として用いる情報表示用パネルの一例について説明する。上記情報表示用パネルでは、対向する2枚の基板間の空間に封入した表示媒体に電界が付与される。付与された電界方向に沿って、表示媒体が電界による力やクーロン力などによって引き寄せられ、表示媒体が電界方向の変化によって移動することにより、画像等の情報表示がなされる。従って、表示媒体が、均一に移動し、かつ、繰り返し表示情報を書き換える時あるいは表示情報を継続して表示する時の安定性を維持できるように、表示パネルを設計する必要がある。ここで、表示媒体を構成する粒子にかかる力は、粒子同士のクーロン力により引き付けあう力の他に、電極や基板との電気鏡像力、分子間力、液架橋力、重力などが考えられる。
【0022】
図6(a)、(b)に示す例では、少なくとも光学的反射率および帯電性を有する粒子を含んだ粒子群として構成した少なくとも2種類の表示媒体(ここでは負帯電性白色粒子23Waを含んだ粒子群として構成した白色表示媒体23Wと正帯電性黒色粒子23Baを含んだ粒子群として構成した黒色表示媒体23Bを示す)を、隔壁24で形成された各セル27において、背面側のパネル基板21に設けた電極25(ストライプ電極)と観察側の透明なパネル基板22に設けた透明電極26(ストライプ電極)とが対向直交交差して形成する画素電極対の間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板21、22と垂直に移動させる。そして、図6(a)に示すように白色表示媒体23Wを観察者に視認させて白色の表示を、あるいは、図6(b)に示すように黒色表示媒体23Bを観察者に視認させて黒色の表示を白黒のドットでマトリックス表示している。なお、図6(a)、(b)において、手前にある隔壁は省略している。また、28は接着剤である。さらに、ここではセルと画素(ドット)とが1対1に対応する例を示している。
【0023】
上述した情報表示用パネルにおいて、ストライプ電極25、26を形成する際、パネル基板21、22を印刷基材5として用いることで、本発明のオフセット印刷による電極形成方法を好適に用いることができる。
【実施例】
【0024】
以下、本発明のオフセット印刷による電極形成方法の具体的な実施例および比較例を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0025】
<実施例1:彫刻部が四角形状と三角形状との例(図3(a)、(b)に対応)>
まず、印刷版の作製を以下のように行った。すなわち、下記の通り、彫刻部形状を設けた版を作製した。版表面は、ドクタリングによる摩耗を防ぐため、Crめっき処理を施した。版の直径は200mmであった。
ライン形状:幅2.0mm、長さ(ドクターナイフ摺動方向)50mm
隣接するライン同士の間隔:100μm
ライン総数:100本
彫刻部形状:1辺80μmの正四角形(ライン外周は三角形状)
彫刻部間距離:5μm
彫刻部の深度:10μm
【0026】
次に、導電性インクを以下のように調整した。飽和共重合ポリエステル樹脂9重量部、1μmの銀微粒子77質量部、2−ブトキシエチルアセテート5重量部、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアセテート9重量部を計りとり、30分撹拌・分散処理を行い、印刷用導電性インクを作製した。導電性インクの粘度は25Pa・sであった。
【0027】
次に、印刷を以下のように行った。上記版を組み込んだグラビアオフセット印刷装置により、上記導電性インクを、易接着層を有するPETフィルム(帝人:03LF8)の易接着面に印刷して、PETフィルム上にストライプパターンの導電層を形成した。印刷条件は、印刷速度1m/分、ドクター角50°、ドクター圧0.2MPaであった。
【0028】
最後に、印刷で得られたストライプパターンの導電層について、外観形状をマイクロスコープ(キーエンス社製)で観察し、パターンの形状(「抜け」の有無等)を評価した。「抜け」が無い高精度のストライプパターンの場合を○とし、抜けや断線等の不良が認められた場合を×とした。なお、以上の基準は、以下の実施例、比較例においても同様の評価とした。結果を表1に示す。
【0029】
<実施例2:彫刻部が直角二等辺三角形状の例(図4(a)、(b)に対応)>
彫刻部形状を下記の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして導電層を形成し、評価した。結果を表1に示す。
ライン形状:幅2.0mm、長さ(ドクターナイフ摺動方向)50mm
隣接するライン同士の間隔:100μm
ライン総数:100本
彫刻部形状:短辺80μmの直角二等辺三角形
彫刻部間距離:5μm
彫刻部の深度:10μm
【0030】
<実施例3:彫刻部が円形状の例(図5(a)、(b)に対応)>
彫刻部形状を下記の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして導電層を形成し、評価した。結果を表1に示す。
ライン形状:幅2.0mm、長さ(ドクターナイフ摺動方向)50mm
隣接するライン同士の間隔:100μm
ライン総数:100本
彫刻部形状:直径80μmの円形
彫刻部間距離(隣接する彫刻部同士の最短距離):5μm
彫刻部の深度:10μm
【0031】
<実施例4:彫刻部が四角形状と三角形状との例(図3(a)、(b)に対応)>
彫刻部形状を下記の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして導電層を形成し、評価した。結果を表1に示す。
ライン形状:幅2.0mm、長さ(ドクターナイフ摺動方向)50mm
隣接するライン同士の間隔:100μm
ライン総数:100本
彫刻部形状:1辺80μmの正四角形(ライン外周は三角形状)
彫刻部間距離:10μm
彫刻部の深度:10μm
【0032】
<実施例5:彫刻部が直角二等辺三角形状の例(図4(a)、(b)に対応)>
彫刻部形状を下記の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして導電層を形成し、評価した。結果を表1に示す。
ライン形状:幅2.0mm、長さ(ドクターナイフ摺動方向)50mm
隣接するライン同士の間隔:100μm
ライン総数:100本
彫刻部形状:短辺35μmの直角二等辺三角形
彫刻部間距離:3μm
彫刻部の深度:10μm
【0033】
<実施例6:彫刻部が円形状の例(図5(a)、(b)に対応)>
彫刻部形状を下記の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして導電層を形成し、評価した。結果を表1に示す。
ライン形状:幅2.0mm、長さ(ドクターナイフ摺動方向)50mm
隣接するライン同士の間隔:100μm
ライン総数:100本
彫刻部形状:直径150μmの円形
彫刻部間距離(隣接する彫刻部同士の最短距離):10μm
彫刻部の深度:10μm
【0034】
<比較例1:彫刻部が四角形状と三角形状との例(図3(a)、(b)に対応)>
彫刻部形状を下記の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして導電層を形成し、評価した。結果を表1に示す。
ライン形状:幅2.0mm、長さ(ドクターナイフ摺動方向)50mm
隣接するライン同士の間隔:100μm
ライン総数:100本
彫刻部形状:1辺300μmの正四角形(ライン外周は三角形状)
彫刻部間距離:10μm
彫刻部の深度:10μm
【0035】
<比較例2:彫刻部が四角形状と三角形状との例(図3(a)、(b)に対応)>
彫刻部形状を下記の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして導電層を形成し、評価した。結果を表1に示す。
ライン形状:幅2.0mm、長さ(ドクターナイフ摺動方向)50mm
隣接するライン同士の間隔:100μm
ライン総数:100本
彫刻部形状:1辺45μmの正四角形(ライン外周は三角形状)
彫刻部間距離:10μm
彫刻部の深度:10μm
【0036】
<比較例3:彫刻部が四角形状と三角形状との例(図3(a)、(b)に対応)>
彫刻部形状を下記の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして導電層を形成し、評価した。結果を表1に示す。
ライン形状:幅2.0mm、長さ(ドクターナイフ摺動方向)50mm
隣接するライン同士の間隔:100μm
ライン総数:100本
彫刻部形状:1辺20μmの正四角形(ライン外周は三角形状)
彫刻部間距離:10μm
彫刻部の深度:10μm
【0037】
<比較例4:彫刻部無し(図2(a)、(b)に対応>
彫刻部を設けずパターン全体を凹部に変更した以外は、実施例1と同様にして導電層を形成し、評価した。結果を表1に示す。
ライン形状:幅2.0mm、長さ(ドクターナイフ摺動方向)50mm
隣接するライン同士の間隔:100μm
ライン総数:100本
彫刻部形状:無
彫刻部間距離:無
ライン部の彫刻深度:10μm
【0038】
【表1】

【0039】
表1の結果から、各々が凹形状の複数の彫刻部を有し、形成するライン電極の面積に対する彫刻部の合計面積の比率TS(%)が70%≦TS<100%であり、個々の彫刻部の面積S(μm)が0<S≦80000μmである版を用いた実施例1〜6が、それ以外の版を用いた比較例1〜4と比べて、「抜け」のない導電層を得ることができることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明によれば、ドクターナイフの刃先の版凹部への落ち込みを防止することができ、かつインクのレベリングにより、幅の広いストライプ形状の電極を印刷する場合でも形状精度及び寸法精度の高い「抜け」のない印刷パターンを形成することがきる。そのため、従来の印刷では困難であったライン幅2mmのパターン形成も実現可能であり、数μm〜数mm幅のラインが同時に混在したプリント配線基板への対応も可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 導電性インク
2 版
3 パターン
4 Siブランケットロール
5 印刷基材
11 基材
12 アンカーコート層
13 フィラー
21、22 パネル基板
23W 白色表示媒体
23Wa 負帯電性白色粒子
23B 黒色表示媒体
23Ba 正帯電性黒色粒子
24、25 ストライプ電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
版に導電性インクを充填後、ドクターナイフによって余剰な導電性インクを掻き取るドクタリング工程を含むオフセット印刷により、印刷用基材上にストライプ状のライン電極を形成する電極形成方法において、
前記オフセット印刷に用いる版として、
形成するライン電極に対応し、版の導電性インクを充填する凹形状のパターン内に、
各々が凹形状の複数の彫刻部を有し、
形成するライン電極の面積に対する彫刻部の合計面積の比率TS(%)が、
70%≦TS<100%で、かつ、
個々の彫刻部の面積S(μm)が、
0<S≦80000μmを満足する版、
を用いることを特徴とするオフセット印刷による電極形成方法。
【請求項2】
隣接する前記彫刻部同士の彫刻部間距離DI(μm)が、
0<DI≦20μmである、
ことを特徴とする請求項1に記載のオフセット印刷による電極形成方法。
【請求項3】
前記導電性インクの粘度P(Pa・s)が、
1≦P≦50Pa・sである、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のオフセット印刷による電極形成方法。
【請求項4】
形成する電極が、パッシブ駆動方式の表示装置におけるストライプ状のライン電極であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のオフセット印刷による電極形成方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−238818(P2012−238818A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108554(P2011−108554)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】