説明

オリガミセンサー

一態様において、本発明は、柔軟型基板と、該基板上に配置された光学素子と、を備えた光学センサーを提供する。柔軟型基板が、光学素子に作用する変形部を有し、該変形部が、少なくとも部分的に光学素子を囲む基板変形領域内に設けられる。本発明の目的は、ロールツーロール製造に適合する光学センサー構造を提供することである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柔軟型ホイル上に、光学センサーを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的な光学センサーにおいては、光が、発光源から、導光媒体を介して、受光検出器まで進まなければならない。光学センサーの測定精度及び信頼性を向上させるために、単一のセンサーに代え、光学センサーのアレイを製造することが求められる。これが、柔軟型ホイル上に有機発光ダイオード(OLED)及び有機フォトダイオード(OPD)を印刷することにより実施されてよい。製造時間及び組み立て費用を減らすために、好ましくは、印刷が、ロール−ツーロール(roll−to−roll)プロセスで実施される。
【0003】
しかしながら、OLED及びOPDの両方が、擬似的な二次元であり、通常、互いに向かい合う場合にのみ、相互に作用することが可能である。従って、典型的なセンサー構造が、各電気光学部品及びそれらの間に挟まれた誘導素子に対する分離層を備えた層状構造である。例えば、積層及び相互接続電子ホイルによって、このようなセンサー構造を組み立てることは、ロール−ツーロールプロセスにおいては困難でありうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/102654号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光学センサーの組み立てに関連する複雑さを減らすための一つの方法は、OLED及びOPDの両方を、同じホイル内で製造することである。これが、上記のような典型的な光学センサーから一つの層を除外する。誘導素子が、ホイル上に位置され、OLEDからOPDに光を導く。特許文献1が、この試みの実施例を示している。残念なことに、ホイル上における導光素子の正確な位置調節が、このセンサー構造を、ロール−ツーロールプロセスにおける使用に適さないものにする。さらに、十分な反射性を維持しつつ、平面光学素子上に導光素子を配置することが、困難となりうる。
【0006】
本発明の目的は、ロール−ツーロールプロセスに適合する光学センサー構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様において、本発明は、柔軟型基板及び基板上に配置された光学素子を備えた光学センサーを提供する。柔軟型基板が、光学素子に作用する変形部を備える。変形部が、少なくとも部分的に光学素子を囲む基板変形領域内に設けられる。
【0008】
他の態様において、本発明は、柔軟型基板及び基板上に配置された光学素子を備えた光学センサーを提供する。柔軟型基板が、光学素子に作用する変形部を備える。光源及び検出器の少なくとも一方の光学表面が、光学的に有効である基板に向けられている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明による光学センサーの例示的な実施形態であって、少なくとも部分的に光学素子を囲む基板変形領域内に設けられた変形部を示す。
【図2】本発明による光学センサーの例示的な実施形態であって、変形領域が、少なくとも部分的に弱化されている。
【図3】本発明による光学センサーの例示的な実施形態であって、変形領域が、少なくとも部分的に切断されている。
【図4】本発明による光学センサー内の変形領域の上面図である。
【図5】本発明による光学センサーの例示的な実施形態である。
【図6】単一の有機光学素子の例示的な積層体の断面図である。
【図7】光源及び検出器の組の断面図である。
【図8】本発明による光学センサーの例示的な実施形態である。
【図9】本発明による光学センサーの例示的な実施形態である。
【図10】本発明による導光素子を備えた光学センサーの例示的な実施形態である。
【図11】本発明による光学センサーの例示的な実施形態であって、センサー活性材料が、導光素子の形状及び/または大きさを変更する。
【図12】本発明による光学センサーの例示的な実施形態であって、基板が、偏光フィルタを形成する。
【図13】本発明による光学センサーの例示的な実施形態であって、基板が、部分的に二重となっている。
【図14】本発明による光学センサーの例示的な実施形態であって、導光素子が、完成型の層である。
【図15】例示的なセンサーアレイである。
【図16】完成したセンサーの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明が、添付の図面と併用される本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明からいっそう容易に明らかとなるだろう。
【0011】
図1Aは、本発明による光学センサーの例示的な実施形態の第一製造段階を概略的に示すものであって、変形部5が、基板2内に設けられる前を示す。センサー1が、柔軟型基板2及び基板2上に配置された2つの光学素子3を備える。基板2が、2つの変形領域4を含む。
【0012】
その完成型の光学センサーが、図1Bに概略的に示されており、柔軟型基板2が、少なくとも一つの光学素子に作用する変形部5及び5’を備える。典型的には、基板2のみが、変形されてよく、光学素子3が、変形されない。変形部5が、少なくとも部分的に光学素子を囲む基板変形領域4内に設けられる。変形部5、例えば、曲げまたは折り畳み部が、制限されるものではないが、モールディングまたはエンボス加工のような技術によって達成される。
【0013】
好ましくは、基板2が、圧延方向及び圧延方向と反対の方向の両方において、完全に柔軟である。しかしながら、圧延方向において柔軟である基板2のみが、ロール−ツーロール製造に適合しうる。
【0014】
基板2の変形部5を容易にするために、基板変形領域4が、少なくとも部分的に弱化され、または、少なくとも部分的に基板2から切り離される。図2が、本発明によるセンサーの実施形態100を示し、基板変形領域4が、弱化される。図2A及び2Bが、各々、第一製造段階であって、その完成型光学センサーの実施形態を示す。図2が、2つの光学素子3及び3’を示す。弱化変形領域4及び4’が、例えば、基板2内に弱化点を設けることによって製造されてよい。局部的な弱化が、制限するものではないが、アブレーション、ミリングまたは溶媒若しくは熱の局部的な適用等の方法によって達成されてよい。また、光学素子3の周囲に弱化領域を設けるまたは光学素子3を部分的に切り離すことが、光学素子の再配置を容易にする。
【0015】
図3において、実施形態100と似たセンサーの実施形態101が示されているが、ここで、基板変形領域4が、基板2から少なくとも部分的に切り離されている。図3Aが、この実施形態の光学センサーの第一製造段階を示し、図3Bが、完成型のセンサーを示す。部分的な切り離しが、制限するものではないが、切断、ミリングまたは掘削のような方法によって達成される。
【0016】
切断または弱化領域の方向が、任意に選択されてよく、従って、基板2に関して、及び互いに関して、配向を自由なものとすることが可能となる。これが、他の方法で容易に達成できない光学的配置を可能にしうる。
【0017】
基板2の柔軟性が、ロールツーロールプロセスによって、例えば、重要な処理ステップの後で基板2を再形成することによってもたらされるいくつかの幾何学的な制約を克服するために使用されてよい。特に、ロールツーロールプロセスの間、基板2が、好ましくは、平坦であり、柔軟である。センサーデバイスの重要な処理の後、光学素子3が、基板2から部分的に切り離されてよく、その柔軟性が、光学素子3を再配置するために使用されてよい。
【0018】
少なくとも部分的に基板2が弱化される領域によって光学素子3を囲むこと、または、基板2から部分的に切り離すことが、光学素子構造に関する設計の自由度を高める。
【0019】
好ましくは、基板2が、ポリエチレンナフタレートまたはポリエチレンテレフタラートのような透明なプラスチックホイルから形成される。しかしながら、他の、金属ホイルのような透明でない材料を使用することも可能である。光学素子3が、様々な構造及び材料を使用して構築されてよい。
【0020】
本発明による光学センサーにおいて、光学素子が、発光源、受光検出器または導光素子であってよい。
【0021】
図4が、図2及び3において説明されたようなセンサーの2つの実施形態の光学素子の上面図を示す。図4Aが、基板変形領域4を備えたセンサー100の上面図を図示し、変形領域が、少なくとも部分的に弱化され、素子3を囲む。図4Bが、センサー101の上面図を図示し、基板変形領域4が、少なくとも部分的に、基板2から切り離される。明細書に開示された実施形態において、少なくとも部分的に囲むことが、光学素子と直接的に隣接する外形に沿って広がる弱化または切断を含むことが示されている。外形が、少なくとも2つの異なる方向に広がり、好ましくは、光学素子3の4つの側面うち3つの側面に沿って広がる。光学的機能に作用するように十分に弱化領域が近接しているが、素子を傷つけないように十分に離れている。
【0022】
図2、3及び4に示されたような実施形態100及び101において、作用を受けた光学素子3が、発光源及び受光検出器であってよい。光源及び検出器の組が、その間に適用された媒体を検出し、測定しまたは分析するために使用されてよい。いくつかの場合、例えば化学センサーに対しては、光源と検出器との間内に光導波路を備えた検出器及び光源を構成することが好ましい。光導波路が、検出活性材料として機能してよく、または、光導波路が、センサー活性材料を含むことが出来る。
【0023】
図5が、本発明による、発光源6、受光検出器7、及び導光素子8を備えた光学センサーの実施形態102を示す。この実施形態において、また、導光素子8が、部分的に表面から切り離され、基板2の変形部5によって作用される。
【0024】
一実施形態において、発光源6が、有機発光ダイオード(OLED)または小分子有機発光ダイオード(SMOLED)を含んでよい。受光検出器7が、有機フォトダイオード(OPD)または小分子有機フォトダイオード(SMOPD)を含んでよい。
【0025】
材料の汚染を防ぐために、基板2上に有機材料を堆積するには非接触式印刷技術を使用することが好ましい。しかしながら、例えば、光学素子3が、基板2の両側で処理される場合、または、ある機能性を有する層が、この層の上端上に他の機能層を印刷する前に、バリア層によって保護される場合、接触式被覆技術が使用されてよい。
【0026】
ある機能性を有するさらなるホイルが、ともに積層されてよい。印刷され、積み重ねられ、または積層された光学素子3とともに、異なる発光ポリマー材料を使用することにり異なる波長を有するOLEDを使用することが可能である。好ましくは、単一の光学素子3が、透明であり柔軟であるバリア層で封止され、それらが、湿気から保護される。
【0027】
ホイルを介した導波を取り除くことが求められる場合、上面上において受光し発光する光学素子3が製造されてよい。この光が、有機半導体ポリマーの上端上における薄層を介して誘導されるだけでよい。これらの層が、柔軟型基板2と比較して、極めて薄く、それとともに、積み重ねられた層を介した光の内部誘導を減らす。最先端において、これらの素子が、トップーエミッション型ー素子(top−emissive−element)と呼ばれる。
【0028】
図6が、単一の有機光学素子の可能な構造の断面図を示す。パターン化された耐湿性セラミック様の層9が、柔軟型基板2上に堆積される。耐湿性セラミック様の層9の上端上において、湿気に対する拡散経路長を増やすために、有機層10が、設けられる。有機層10が、パターン化されてもよいが、多少、小さな大きさである。有機層10が、湿気を透過しないパターン化セラミック層11で覆われてよい。好ましくは、パターン化セラミック層11の形状が、有機層10を覆う。これらの層が、柔軟型基板2上にバリアスタックを仕上げる。
【0029】
バリアスタックの上部上に設けられた活性有機光学素子3が、パターン化アノード13とパターン化カソード14との間に挟まれたパターン化有機発光または受光材料12を備える。カソード14に対するコンタクトが、アノード13の材料と同じ材料であり、酸素及び湿気によるカソード14の劣化を防ぐ。
【0030】
電気的活性有機層が、パターン化された封止材によって湿気から保護されてよく、該封止材が、パターン化セラミック層15と、好ましくは湿気に対する拡散経路長を増やすための該パターン化セラミック層15よりも大きさが小さいパターン化有機層16と、好ましくはパターン化セラミック層15と同じ大きさのセラミック層17とを備える。
【0031】
光学素子が、ボトムーエミッション型またはトップーエミッション型であってよい。図7Aが、ボトムーエミッション型有機光学素子3と、発光源6と、受光検出器7と、の組に対する可能な構造を示す。光源6と、検出器7と、の両方が、パターン化バリアスタックと、例えばインジウムドープ酸化スズ(ITO)から形成されたパターン化透明アノード18と、パターン化発光ポリマー19または受光ポリマー20と、ホール用のパターン化透明層21と、パターン化反射金属カソード22と、を備える。デバイスが、湿気及び酸素に対して、パターン化バリアスタックを用いて封止される。図7Aに示されるようなボトムーエミッション型光学素子3の場合、カソード22が、反射型であり、光23が、基板2上のバリア及び基板2自体を介して、各々、発光、受光される。ボトムーエミッション型光学素子3において、基板2と、基板2上のバリアと、アノード18と、ホールトランスポート層21と、が、透明である。
【0032】
図7Bに示されるようなトップーエミッション型有機光学素子3の場合、光源6と検出器7とが、パターン化バリアスタックと、アノード材料24のようなパターン化反射金属層と、パターン化ホールトランスポート層21と、パターン化発光ポリマー19または受光ポリマー20と、電子注入用のカソード材料のようなパターン化透明金属薄層25と、を備える。トップーエミッション型デバイスの場合、アノード24が、反射型であり、光23が、透明カソード25と透明封止材とを介し、各々、発光、受光される。
【0033】
このスタック設計の特別な特徴は、無機バリア層が設けられ、これらが、完全に、個々の有機素子を封止することである。従って、例えば、レーザーによって、弱化領域または切り離し部により個々の素子を分離することが、有機素子を、環境に露出させない。従って、有機光学素子が、切断または弱化領域内の素子に入り込む湿気から保護される。典型的には、湿気との接触が、有機素子の寿命を縮め、従って、望ましくない。
【0034】
図8は、本発明による光学センサーの3つの他の実施形態を図示し、センサーが、基板2上に配置された受光検出器7と、発光源6と、を備える。検出器7が、光源6から放出された光23に反応する。基板2の変形部5が、光源6と検出器7との少なくとも一方を傾けるように配置され、光源6から、検出器7への光の移動に対する光路26を提供する。
【0035】
図8Aが、実施形態103を示し、基板2の変形部5が、発光源6を傾けるように配置され、光源6から、検出器7への光23の移動に対する光路26を提供する。図8Bが、実施形態104を示し、基板2の変形部5が配置され、光源6から、検出器7への光23の移動に対する光路26を提供する。図8Cが、実施形態を示し、基板2の変形部5が、発光源6と受光検出器7との両方を傾けるように配置され、光源6から、検出器7への光23の移動に対する光路26を提供する。
【0036】
図9が、本発明の実施形態106を図示し、光源6と検出器7との組が、媒体27の存在を検出しうる。どのように、光源6からの光23が、媒体27によって反射されまたは吸収されうるかを図9Aが図示し、これによって、反射の量が媒体27を特徴づける。図9Bが、実施形態107を概略的に示し、媒体27が、人間または動物の皮膚28を含む。この実施形態のセンサーが、体内または体上の測定に対するスマートバンデージ(smart bandage)に使用されてよい。光23が、毛細血管または静脈28中の血液の量及び容量に依存して、多かれ少なかれ吸収されうる。再配置された光学素子3により、二次元構造が、形成される。平面構造と比較して、二次元構造は、センサーが、わずかに皮膚上で押し付けられる場合に、毛細血管が閉じることをそれが防ぎうるという利点を有しうる。
【0037】
図8Cに示されたセンサー105をベースとし、図10に図示された本発明による光学センサーのさらに他の実施形態108において、センサーが、導光素子8をさらに備える。導光素子8が、制限されるものではないが、印刷、エンボス加工、またはモールディングのような技術を用いて設けられてよい。導光素子8が、光学素子3を備えた基板2上に直接的に印刷され、該基板2内にエンボス加工され、または、該基板2上にモールドされてよい。あるいは、導光素子8が、インジェクションモールディングまたはエンボス加工技術を使用して別々に形成されることが可能である。この実施形態において、導光素子8が、少なくとも部分的に、光源6と検出器7との間に配置される。導光素子8が、流体内の検体の量に対して反応するセンサー活性材料を含む。流体との用語が、センサーを囲む液体及び気体に対する総称として解釈される。あるいは、導波路自体が、センサー活性材料から構成されてよい。
【0038】
弱化領域が、導光素子8に対してまたは導光素子8の周囲で有機光学素子3を傾けることを可能にし、検出構造に関して、光学素子3を最適に配置する。
【0039】
他の実施形態において、センサー活性材料が、センサーを囲む流体中のある検体分子の量に応じて、例えば、導光素子8の吸収の特徴といった導光特性を変える。導光素子8を介して送られる光の変化が、例えば、フォトダイオードである検出器7によって測定されうる。
【0040】
本発明による光学センサーの一実施形態において、センサーを囲む流体中の検体の量に応じて、センサー活性材料が、導光素子8の反射特性を変化させる。
【0041】
図8Cに示されたセンサー105をベースとし、図11に図示された実施形態109において、発光源6と受光検出器7とが、導光素子8と隣接しており、センサー活性材料が、センサーを囲む流体中の検体の量に応じて、導光素子8の形状及び/または大きさを変え、受光検出器7及び/または発光源6の傾斜角(tilting angle)29を変える。
【0042】
検体の存在によって引き起こされるセンサー活性材料の体積変化が、その光学特性の変化の原因となりうる。体積変化が、光源6及び/または検出器7の傾斜角の変化を機械的に引き起こすために使用されてもよく、これによって、光学素子3の配置を変える。また、体積変化が、誘導構造の厚さの変動を引き起こしうる。光学特性のこれらの変化、及び引き起こされた光学的形状の変化が、導波路を介した光の輸送に影響を及ぼす。
【0043】
上記の構造を有することで、より高感度、または、より選択的なセンサーを形成するように、色の変化と、体積の変化と、の両方を組み合わせることが可能となる。例えば、曲がることができ、これによって、基板2が、ヒンジのように機能する一つの光源6と検出器7との組が、光学的形状の変化により、反射光の違いを測定し、一方、固定された位置の光学素子3の組が、色の変化を測定しうる。
【0044】
図11Aが、ある量の検体を含む流体に露出されない間におけるセンサー109を示す。この状態において、デバイスと、導光素子8との間に、ある傾斜角が存在する。図11Bに示されるように、センサー109が、ある量の検体を含む流体に露出される状態において、導光素子8の大きさ及び/または形状が、変更され、それとともに傾斜角も変更される。角度の変化が、導光素子8の反射特性の変化を生じ、この結果、光路26を変える。
【0045】
センサー活性材料に検体を輸送するために、導光素子8が、流体輸送システムを備えてよい。典型的には、センサー活性材料の層が、液体または気体の輸送のための開放構造を有し、例えば、これは、マイクロ流体チャンネルである。流体輸送システムが、センサー活性材料と検体との間の十分な接触を可能にしうる。
【0046】
他の実施形態110が、図12に図示される。この実施形態において、光学的に有効な基板2が、偏光フィルタを形成する。この実施形態の第一製造段階が、図12Aに示されている。センサー110が、基板2上に配置された受光検出器7と発光源6とを備える。光源6と検出器7とが、光学面を有する。光学面とは、例えばOLEDである発光源6の表面を意味し、ここで、光が、光源6から出て結合される。例えばOPDである受光検出器7においては、光学面は、光を受け入れる表面である。基板2が、光学的に有効な基板2である。光学的に有効とは、基板2が、例えば、偏光機能といった光学的機能を備えることを意味する。しかしながら、カラーフィルタのような他の光学的機能も可能である。光源6と検出器7との光学表面が、光学的に有効な基板2に向けられる。従って、光源6によって放出された光が、光学的に有効な基板2を介して進み、光が、光学的に有効な基板2を介して検出器7によって受容される。
【0047】
図12Bが、完成型のセンサーを示し、導光素子8が、少なくとも部分的に光源6と検出器7との間に配置される。導光素子8が、光学的に活性である場合にランダム偏光のルミネセンス光(luminescence light)39を放出するルミネセント染料32を含む。ルミネセンス光39の特徴が、センサーを囲む流体中の検体の量によって決まる。光源6から、導光素子8を介して、検出器7まで進む光が、第一に、光源6が配置されるとすぐに、偏光フィルタの一部によって、直線的に偏光され、第二に、検出器7が配置されるとすぐに、基板2の一部によって、直線的に偏光され、第二の偏光が、第一の偏光に対して90度回転される。直線的に偏光された光23が、導光素子8を介して進み、ルミネセント染料32を活性化し、ランダム偏光のルミネセンス光39を放出する。検出器7が、ランダム偏光のルミネセンス光39の一部の特徴を受け入れる。ルミネセント染料32と接触しなかった直線的に偏光された光が、90度回転された偏光によって遮られ、検出器7に受容されない。検出器7の信号から、センサーを囲む流体中の検体の量が測定されうる。
【0048】
図12Cは、検出器7と光源6との曲げ線30を、基板31の偏光方向に関して45度回転して配置することにより、光学センサーが、偏光方向に90度回転しうることを示している。
【0049】
図12Dは、図12Bに示されたような完成型の実施形態の断面図を概略的に表す。
【0050】
導光素子8が、検体を、ルミネセント染料に輸送するための流体輸送システムを備えてよい。
【0051】
また、柔軟型基板2の使用が、構造上の利点となり得、部分的に基板2を二重化するように、柔軟型基板2上の少なくとも一つの光学素子が、部分的に切り離され、基板2に戻るように折り畳まれる。基板2が二重化される前に、光学面が、基板2から離れるように方向づけされうる。基板2を二重化した後で、光学面が、基板2に向かうように再度方向づけされ、光学的機能を有する柔軟型基板2を使用することを可能にする。
【0052】
図13が、実施形態111の断面図を示す。この実施形態が、部分的に二重化された基板2の例示的な構造であり、基板2が、偏光機能を有する。基板2’(基板2’は、左に示される)から切開された後、光源6が形成されるとすぐに、基板33の第一部分が、基板2に戻るように折り畳まれる。矢印40が、折り畳みによる基板X41の一部の動きを示す。光源6からの光23を直線的に偏光させるように、基板2’’(基板2’’は、右に示される)から切開された後、検出器が形成されるとすぐに、基板34の第二部分が、折り畳まれ、光源6の上端上に配置される。第二部分34に対しては、明確にするために、動きが示されていない。部分的に二重化された基板2の上端上で、導光素子8が、ルミネセント染料32を含んで設けられてよい。
【0053】
直線的に偏光された光23が、導光素子8を介して進み、ルミネセント染料32を活性化し、ランダム偏光のルミネセンス光39を放出する。検出器7が、ランダム偏光のルミネセンス光39の一部の特徴を受容する。検出器信号から、センサーを囲む流体中の検体の量が、測定されうる。ルミネセント染料32と接触しなかった直線的に偏光された光23が、検出器7によって登録されることなく導光素子8から出て結合される。図13が、単一のセンサーノードの断面図を示すが、センサーノードが、図14、15及び16に示されるセンサーアレイと同様なセンサーアレイの一部となる可能性があることを強調する。
【0054】
さらに、部分的に二重化された基板2が、導光素子8を提供してよく、ここで、内部光反射が捕らえられる。
【0055】
図14は、擬似的な面内光学センサーアレイ112を概略的に図示する。図14Aが、アレイの第一製造段階を示し、このアレイが、所定位置内の面の外に再配置された部分的に切り離された光源6と検出器7との組を備える。
【0056】
完成型のセンサーアレイが、図14Bの断面図に示されている。光源6と検出器7のアレイが形成されるとすぐに、導光を目的とした材料の完全な層が、基板2の上端上に設けられることが理解できる。光源6から放出された光が、導光層を介して誘導され、検出材料64に達する。検出材料が、検出器7によって受容される光23に影響を及ぼす。
【0057】
導光素子8として完成型の層を使用することで、光学素子3を取付けることに関する課題、例えば、移動の課題を回避しうる。導光材料が、検出材料または成分を含んでよく、または、検出材料または成分が、導光層の上端上に堆積されてよい。検出材料または成分が、光学素子40の上端上に堆積されてもよい。
【0058】
センサーアレイ112を製造する一つの方法が、導光層を、既に配置された光学素子3を備えた完成型の基板2領域の上端上に設けることであり、印刷、インジェクションモールディングまたは被覆のような技術を用いるが、これらに制限するものではない。製造のバリエーションは、光源6と検出器とが、所定位置に形成される前に、導光材料を被覆することである。上端上の層が硬化される前に、光学素子3が、変形されなければならない。光学素子3が、部分的に切り離され、導光層内にエンボス加工されてよい。
【0059】
光源6と検出器7とのアレイを備えたバンデージのようないくつかの用途において、透明な導光層が、検出層の代わりに保護層としてのみ機能しうる。
【0060】
図15が、上記の様々なセンサーノードによる4つの光学センサーアレイを示す。ここまで、完成型の光学センサーシステムから離れて、単一のセンサーノードの構造のみが説明された。図15A、15B及び15Cのセンサーアレイが、発光源6と受光検出器7とを備えた柔軟型基板2をベースとした透過型または反射型センサーノードのアレイを備え、発光源6と受光検出器7との間が、導光媒体を用いて補完される。これらのセンサーアレイを仕上げるために、光源6と検出器とが、導光素子8に対して曲げられる。単一の測定ノードの代わりにセンサーノードのアレイを使用することで、光学センサーの質及び信頼性を改善しうる。各センサーノードまたはセンサーノード群が、例えば、異なる波長の光に対して感応性を有する検出器と光源6との組を備えて構成されることが可能である。
【0061】
センサーアレイにおけるクロストークを防ぐために、各光源6と検出器との組が、それ独自の導光素子8を有してよい。クロストークとは、光学的な分離が不完全であるために、検出器7が、意図せず、隣接するセンサー素子からの光を受容する現象である。
【0062】
図15Aが、図10に示されたようなセンサーノード108を備えたセンサーアレイの実施例を示す。光導波路を設けた後で、平面の光源6と検出器とが、導波路に対して曲げられる。
【0063】
図15Bが、センサーアレイの実施例を示し、これによって、弱化領域の切断方向が、任意に選択され、曲げられたデバイスの完全な自由性を示す。この設計が、他の方法では、容易に達成できない。
【0064】
図15Cは、吸着の変化と、体積の変化との両方が、結合される概略的な構造を示す。一組の光源6と検出器とが、固定位置を有し、他の組の光源6と検出器とが曲がることが可能であり、これによって、基板2が、図11に示されたセンサーノード109に対して説明されたようにヒンジとして機能する。
【0065】
図15Dは、図14における実施形態112に対して説明されたような光学的誘導システムを有さない光学センサーアレイの実施例を示す。
【0066】
図16は、センサーノード35のアレイと、プリント回路36と、電子部品37と、バッテリー38とを備えた完成型の光学センサーシステムを図示する。センサーの製造方法が、平面基板2の大部分を、手をつけずに残しうるため、センサーアレイが、従来型の(柔軟型)プリント回路基板(F)PCBに容易に接続されうる。逆に、基板自体が、プリント回路基板を代替するものとして使用されてよい。また、モールド・インターコネクション・デバイス(MID)が、使用されてもよく、これによって、光学部材とPCBとの両方が、モールディング技術を用いて形成される。
【0067】
本発明による光学センサーの他の実施形態において、センサーが、柔軟型基板2と、該基板2上に配置された光学素子3とを備える。柔軟型基板2が、光学素子3に作用する変形部5を備える。光源6と検出器7との少なくとも一方の光学面が、光学的に有効である基板2に向けられる。
【0068】
電気―光学素子3を備えたホイルが、別個に製造されたセンサー活性光学素子に積層されてよい。この光学素子が、検出材料と、例えば、検体に対するその透過性及びその光学的な伝導性に関して光学的検出のために最適化された基板材料またはマトリックスと、好ましくは、制限するものではないが、印刷、被覆またはエンボス加工技術を用いて設けられたミラーまたは回折格子のような補助素子とを備える。
【0069】
提供された詳細な図面、具体的な実施例、特定の形成が、説明のみの目的を果たす。OLED−スタックの多くの層が、内部光学干渉を引き起こし、OLEDの光出力プロファイルが、視角に依存しうる。この光において、基板の変形部が、光源と検出器との少なくとも一方を傾けるように配置されてよく、光源の発光プロファイルの主要な発光方向を検出器に向け、または、検出器の受光プロファイルの主要な受光方向を、光源に向ける。OLEDの発光プロファイルの主要な方向が、例えば、OLEDの光学面に対して約45°の角度であってよい。同様な検討事項が、有機フォトダイオード(OPD)または他の種の有機電気―活性材料を備えた受光検出器に当てはまる。OPDまたはSMOPDが、例えば、OPDまたはSMOPDの光学面に対して45°の角度である、ある角度での受光プロファイルにおける主要な受光方向を有してよい。添付の特許請求の範囲に表現されたような本発明の範囲から逸脱することなく、他の置換、修正、変更及び省略が、設計、操作条件、及び例示的な配置において行われてよい。
【符号の説明】
【0070】
1 センサー
2 基板
3 光学素子
4 基板変形領域
5 変形部
【図1A】

【図1B】

【図2A】

【図2B】

【図3A】

【図3B】

【図4A】

【図4B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟型基板(2)と、
前記柔軟型基板(2)上に配置された光学素子(3)と、
を備え、
前記柔軟型基板(2)が、前記光学素子(3)に作用する変形部(5)を備え、
前記変形部(5)が、少なくとも部分的に前記光学素子(3)を囲む基板変形領域(4)内に設けられることを特徴とする光学センサー(1)。
【請求項2】
前記基板変形領域(4)が、前記基板(2)の変形を容易にするような、前記基板(2)から少なくとも部分的に切り離されているか、または少なくとも部分的に弱化されていることを特徴とする請求項1に記載の光学センサー。
【請求項3】
前記光学素子(3)が、発光源(6)と、受光検出器(7)と、導光素子(8)と、からなる群から構成されることを特徴とする請求項1に記載の光学センサー。
【請求項4】
前記発光源(6)が、有機発光ダイオード(OLED)または小分子有機発光ダイオード(SMOLED)を含むことを特徴とする請求項3に記載の光学センサー。
【請求項5】
前記受光検出器(7)が、有機フォトダイオード(OPD)または小分子有機フォトダイオード(SMOPD)を含むことを特徴とする請求項3に記載の光学センサー。
【請求項6】
前記センサーが、前記基板(2)上に配置された受光検出器(7)と発光源(6)とを備え、
前記検出器が、前記発光源(6)によって放出された光(23)に反応し、
前記発光源(6)と前記受光検出器(7)との少なくとも一方を傾けるように、前記基板(2)の前記変形部(5)が配置され、前記発光源(6)から、前記検出器(7)へ、光(23)が進むための光路(26)が設けられることを特徴とする請求項1に記載の光学センサー。
【請求項7】
前記センサーが、導光素子(8)をさらに備え、
前記導光素子(8)が、少なくとも部分的に前記発光源(6)と前記検出器(7)との間に配置され、
前記導光素子(8)が、前記センサーを囲む流体中の検体の量に反応するセンサー活性材料を含むことを特徴とする請求項6に記載の光学センサー。
【請求項8】
前記センサーを囲む流体中の検体の量に応じて、前記センサー活性材料が、前記導光素子(8)の導光特性を変えることを特徴とする請求項7に記載の光学センサー。
【請求項9】
前記センサーを囲む流体中の検体の量に応じて、前記センサー活性材料が、前記導光素子(8)の反射特性を変えることを特徴とする請求項8に記載の光学センサー。
【請求項10】
前記発光源(6)と前記受光検出器(7)との少なくとも一方が、前記導光素子(8)と隣接し、
前記センサーを囲む流体中の検体の量に応じて、前記センサー活性材料が、前記導光素子(8)の形状及び/または大きさを変え、前記発光源(6)及び/または前記受光検出器(7)の傾斜角を変えることを特徴とする請求項8に記載の光学センサー。
【請求項11】
前記導光素子(8)が、検体を、前記センサー活性材料に輸送するための流体輸送システムを備えることを特徴とする請求項7から10のいずれか一項に記載の光学センサー。
【請求項12】
前記発光源(6)と前記検出器(7)との少なくとも一方の光学面が、光学的に有効である前記基板(2)に向けられていることを特徴とする請求項6に記載の光学センサー。
【請求項13】
光学的に有効である前記基板(2)が、偏光フィルタを形成することを特徴とする請求項12に記載の光学センサー。
【請求項14】
導光素子(8)が、少なくとも部分的に前記発光源(6)と前記検出器(7)との間に配置され、
前記導光素子(8)が、光学的に活性化された場合に、ランダム偏光のルミネセンス光(39)を放出するルミネセント染料(32)を含み、ルミネセンス光(39)の特徴が、前記センサーを囲む流体中の検体の量に応じて決まることを特徴とする請求項13に記載の光学センサー。
【請求項15】
柔軟型基板(2)と、
前記柔軟型基板(2)上に配置された光学素子(3)と、
を備え、
前記柔軟型基板(2)が、前記光学素子(3)に作用する変形部(5)を備え、
発光源(6)と検出器(7)との少なくとも一方の光学面が、光学的に有効である前記基板(2)に向けられていることを特徴とする光学センサー(1)。

【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【図16】
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【図12】
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【公表番号】特表2012−517016(P2012−517016A)
【公表日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549105(P2011−549105)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【国際出願番号】PCT/NL2010/050048
【国際公開番号】WO2010/090519
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(511095850)ネーデルランドセ・オルガニサティ・フォール・トゥーヘパスト−ナトゥールウェテンスハッペライク・オンデルズーク・テーエヌオー (16)
【Fターム(参考)】