説明

オリゴマーペプチドおよびHIV感染症の治療のためのその使用

【解決手段】本発明は、HIV感染症に対する生物活性を有し、アミノ酸配列
(Z1-LE-X1-IP-X2-X3-X4-P-X5-X6-X7-X8- X9-X10-K-X11-X12-X13-X14-X15-Z2)n
を有するオリゴマーペプチド、および、その断片および/または誘導体、特に、アミド化、アルキル化、アシル化、硫酸化、ペギル化、ホルホリル化および/またはグリコシル化誘導体であるオリゴマーペプチド、およびそれらの変異体に関する:
式中、
nは、モノマーペプチド鎖の数を表し、従ってnは、2、3または4であり;
X1は、リシン、アラニン、またはアスパラギン酸であり;
X2は、システイン、メチオニンまたはイソロイシンであり;
X3は、セリン、システイン、リシンまたはグリシンであり;
X4は、イソロイシン、アラニン、フェニルアラニンまたはシステインであり;
X5は、プロリン、D-プロリンまたは置換L-またはD-プロリンであり;
X6は、システインまたはグルタミン酸であり;
X7は、疎水性または芳香族側鎖を有するアミノ酸またはシステインであり;
X8は、疎水性または芳香族側鎖を有するアミノ酸またはシステインであり;
X9は、芳香族側鎖を有するアミノ酸であり;
X10は、グリシン、アラニンまたはアスパラギンであり;
X11は、プロリン、アスパラギン酸、オクタヒドロインドリル-2-カルボン酸またはD-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸であり;
X12は、フェニルアラニン、アラニン、グリシン、グルタミン酸またはD-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸であり;
X13は、疎水性または芳香族側鎖を有するアミノ酸であり;
X14は、疎水性または芳香族側鎖を有するアミノ酸であり;
X15は、フェニルアラニンまたは欠失部分であり;
Z1は、NH2または1〜10個のアミノ酸残基の配列であり;
Z2は、COOHまたは1〜10個のアミノ酸残基の配列であり;
ただし、
(a)X12がアラニン、グリシン、グルタミン酸、またはD-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸であるならば、X13、X14およびX15はそれぞれ、フェニルアラニン、バリンおよびフェニルアラニンであり;および/または
(b)X12がフェニルアラニンであるならば、X13、X14およびX15はそれぞれ、バリン、フェニルアラニンおよび欠失部分であり;および
(c) ペプチド中に、最大3個のシステイン残基があり;および
(d)該オリゴマーペプチドは(LEAIPCSIPPEFLFGKPFVF)2 (VIR-576)ではなく;および
(e)該モノマーペプチド鎖は、1つのペプチド鎖のN-末端ともう1つのペプチド鎖のC-末端との間がペプチド結合で結合されない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)によるヒト細胞の感染症に対する阻害活性を示す、オリゴマーペプチドに関する。特にこれらは、アミノ酸配列(Z1-LE-X1-IP-X2-X3-X4-P-X5-X6-X7-X8-X9-X10-K-X11-X12-X13-X14-X15-Z2)nのモノマーペプチド鎖、および、その断片および/または誘導体、特に、アミド化、アルキル化、アシル化、硫酸化、ペギル化、ホルホリル化および/またはグリコシル化誘導体であるオリゴマーペプチド、およびそれらの変異体を含む、オリゴマーペプチドである:式中、nは、モノマーペプチド鎖の数を表し、従ってnは、2、3または4であり;X1は、リシン、アラニン、またはアスパラギン酸であり;X2は、システイン、メチオニンまたはイソロイシンであり;X3は、セリン、システイン、リシンまたはグリシンであり;X4は、イソロイシン、アラニン、フェニルアラニンまたはシステインであり;X5は、プロリン、D-プロリンまたは置換L-またはD-プロリンであり;X6は、システインまたはグルタミン酸であり;X7は、疎水性または芳香族側鎖を有するアミノ酸またはシステインであり;X8は、疎水性または芳香族側鎖を有するアミノ酸またはシステインであり;X9は、芳香族側鎖を有するアミノ酸であり;X10は、グリシン、アラニンまたはアスパラギンであり;X11は、プロリン、アスパラギン酸、オクタヒドロインドリル-2-カルボン酸またはD-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸であり;X12は、フェニルアラニン、アラニン、グリシン、グルタミン酸またはD-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸であり;X13は、疎水性または芳香族側鎖を有するアミノ酸であり;X14は、疎水性または芳香族側鎖を有するアミノ酸であり;X15は、フェニルアラニンまたは欠失部分であり;Z1は、NH2または1〜10個のアミノ酸残基の配列であり;Z2は、COOHまたは1〜10個のアミノ酸残基の配列であり;ただし、(a)X12がアラニン、グリシン、グルタミン酸、またはD-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸であるならば、X13、X14およびX15はそれぞれ、フェニルアラニン、バリンおよびフェニルアラニンであり;および/または、(b)X12がフェニルアラニンであるならば、X13、X14およびX15はそれぞれ、バリン、フェニルアラニンおよび欠失部分であり;および、(c) オリゴマーペプチドのいずれのモノマーペプチド鎖にも、最大3個のシステイン残基があり;および、(d)該オリゴマーペプチドは、配列(LEAIPCSIPPEFLFGKPFVF)2(VIR-576)を有せず;および、(e)該モノマーペプチド鎖は、1つのペプチド鎖のN-末端ともう1つのペプチド鎖のC-末端との間がペプチド結合で結合されない。
【0002】
本発明は、さらに、本発明によるオリゴマーペプチドのモノマーペプチド鎖をコードする核酸分子に関するが、国際特許WO 2004/056871号に既に開示されたモノマーペプチド鎖をコードする核酸分子を除く。また、本発明は、前記オリゴマーペプチドに特異的に結合する抗体、および、前記のペプチド、核酸および/または抗体を含む医薬に関する。また、HIV感染症の治療用の医薬を製造するための、本発明のオリゴマーペプチドの使用も開示される。本発明は、また、本発明のオリゴマーペプチドの少なくとも1つを含む、HIVの融合ペプチドと相互作用する能力のある分子を見つけ出すためのアッセイに関する。さらに、本発明は、本発明のオリゴマーペプチドの少なくとも1つ、および/または、本発明の核酸分子少なくとも1つ、および/または、本発明の抗体の少なくとも1つを含有する、診断薬を開示する。また、言及したアッセイにおける本発明のオリゴマーペプチドの使用、および、単離した血漿、組織、尿、精液および/または髄液のHIV感染を試験するための前記診断薬の使用を開示する。
【背景技術】
【0003】
ここ数年、HIV感染症に対する活性を有する治療薬の独創的な研究が行われてきた。AIDSの発症を遅延および抑制し、血中のHIVレベルを低下させる、いくつかの医薬が開発・試験された。米国では、AIDS発症後のHIV感染患者の寿命が、1984年の11ヶ月から1997年には46ヶ月まで延びた。
【0004】
治療薬の探索において、種々の方策が適用され、ウイルスの複製に必要なプロテアーゼを阻害するプロテアーゼブロッカー等の医薬、およびレトロウイルスの複製に必須のウイルスの逆転写酵素を阻害する医薬が数種類得られた。最近開発された活性薬剤群は融合阻害剤であり、これらはウイルスと宿主細胞との融合を阻害する。また、インターロイキン2と他の活性薬剤との組み合わせにより、免疫応答の強度を増すことができることも示された。
【0005】
侵入阻害剤は、ウイルスが宿主へ付着し侵入する間に起こる、分子工程の1つを遮断することによって、HIVウイルス粒子の血液細胞への付着を遮断する。1つの重要な工程は、主要なケモカイン・コレセプターCCR5およびCXCR4(CCケモカイン受容体5およびCXCRケモカイン受容体4)の1つにHIVが結合することである。これらのコレセプターは、血液細胞の表面に位置し、ウイルスが侵入する前にHIVエンベロープへ結合することが必要である。侵入に必要なウイルスと細胞との相互作用のもう一つ工程は、HIVエンベローププロテインgp120が細胞CD4受容体へ結合することである。これらの工程はしばしば、ウイルス粒子の細胞標的への付着と見なされる。HIVのケモカイン・コレセプターへの結合を遮断することで、ウイルスの侵入を抑制することが示された(ストリズキ(Strizki)J.M.、Proc. Natl. Acad Sci.、米国、2001年、98巻、12718-12723頁)。gp120とCD4受容体との相互作用を遮断することによって、同じことが報告された(リン(Lin)ら、Proc. Natl. Acad Sci.、米国、2003年、100巻、11013-11018頁)。HIVのタンパク質gp41もまた、抗HIV薬開発の候補目的物と認められている(ゴードン(Gordon)ら、エイズ研究およびヒトレトロウイルス(AIDS Research and Human Retroviruses)11巻、677-686頁、1995年)。最初に認可された融合阻害剤はエンフビルチド(enfuvirtide)である(T-20、フゼオン(Fuzeon)、DP178)(国際特許WO 01/51673 A2号;国際特許WO 96/40191号;セルビア(Cervia)J.Sら、Clin. Infect. Dis、2003年、37巻、1102-1106頁; キルビー(Kilby)J.M.、ネイチャー・メディシン(Nature Medicine)、1998年、4巻、1302-1307頁)。この融合阻害剤は、HR-2と呼ばれるHIVエンベロープ・タンパク質gp41の一部と同一であり、gp41のHR-1セグメント(HR=7個の繰返し)に結合することによってHIV細胞の融合を阻害し、従ってHR-2がgp41のHR-1セグメントに結合するのを阻み、言い換えると、ウイルス粒子と血液細胞の融合に必要な6本のらせんの束の形成を阻む。T-20は、HIVのgp41のHR-1以外のタンパク質セグメント、またはウイルスまたは真核生物由来の他の分子にも結合することは示されていない。最近、HIVに対する生物活性を有するさらなる薬剤が、国際特許01/34640号に記載された。開示されたものは、VIRIP(ウイルス阻害ペプチド)と命名された20個のアミノ酸のペプチドであり、これはヒト血液濾液から単離され、ヒト細胞のHIV感染を阻害することが分かった。HIVに対する生物活性を有するVIRIPの合成誘導体が、国際特許2004/056871号に開示されている。
【0006】
それらの努力および種々の入手可能な薬物にもかかわらず、知られている治療法は、体内のHIVレベルおよびHIV感染血液細胞のレベルを優位に低下させることは可能であるが、ウイルスを完全には除去しないので、なおAIDSに対する治療法がないという問題は解決されないままである。特有の難点は、HIVが特に変異しやすいことであり、それによりしばしばある治療薬に対し抵抗性が発現する。一般に、知られている治療薬は、他の治療薬と組み合わせて投与された場合のみ、充分な有効性がある。現在のところ、このような組み合わせた治療薬は、治癒はしないが標準的な患者の寿命を延ばし、一般に重篤な副作用を伴い、しばしば患者は「普通の」生活を送ることができない。
【0007】
改良された治療薬となり、副作用がより少なく、かつAIDS発症前または発症後の、HIV感染者の平均余命を有意に延長する、新たな治療薬および改良された治療薬を提供する医学的必要性は大きい。
【0008】
本発明は、この問題と向き合って新たな治療薬を提供するものであり、上述の通りの問題を克服し、効率的な療法を可能にするか、効率的な組み合わせの療法に貢献する。
【0009】
[発明の要約]
驚くべきことに、上記の問題は、少なくともHIVのgp41の融合ペプチドと相互作用する、本発明によって提供されるオリゴマーペプチドによって解決される。この融合ペプチドは、約30個のアミノ酸残基からなるgp41のまさにアミノ末端部分である。現行モデルにおいて、gp41の疎水性融合ペプチドは、ウイルス粒子を宿主細胞膜と結合させるアンカー(いかり)となり(ディミトロフ(Dimitrov)A.S.ら、バイオケミストリー(Biochemistry)、2003年、42巻、14150-14158頁;モブレイ(Mobley)ら、Biochim. Biophys. Acta、1999年、1418巻、1-18頁)、本発明のペプチドは、HIV細胞の侵入プロセスを妨げて、ウイルスの侵入を防ぐ。
【0010】
本発明のペプチドは、HIV感染症に対して生物活性を有するものであり、アミノ酸配列
(Z1-LE-X1-IP-X2-X3-X4-P-X5-X6-X7-X8-X9-X10-K-X11-X12-X13-X14-X15-Z2)n
のモノマーペプチド鎖、および、断片および/または誘導体、特に、アミド化、アルキル化、アシル化、硫酸化、ペギル化、ホルホリル化および/またはグリコシル化誘導体であるオリゴマーペプチド、およびそれらの変異体を含む。
式中、
nは、モノマーペプチド鎖の数を表し、従ってnは、2、3または4であり;
X1は、リシン、アラニン、またはアスパラギン酸であり;
X2は、システイン、メチオニンまたはイソロイシンであり;
X3は、セリン、システイン、リシンまたはグリシンであり;
X4は、イソロイシン、アラニン、フェニルアラニンまたはシステインであり;
X5は、プロリン、D-プロリンまたは置換L-またはD-プロリンであり;
X6は、システインまたはグルタミン酸であり;
X7は、疎水性または芳香族側鎖を有するアミノ酸またはシステインであり;
X8は、疎水性または芳香族側鎖を有するアミノ酸またはシステインであり;
X9は、芳香族側鎖を有するアミノ酸であり;
X10は、グリシン、アラニンまたはアスパラギンであり;
X11は、プロリン、アスパラギン酸、オクタヒドロインドリル-2-カルボン酸またはD-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸であり;
X12は、フェニルアラニン、アラニン、グリシン、グルタミン酸またはD-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸であり;
X13は、疎水性または芳香族側鎖を有するアミノ酸であり;
X14は、疎水性または芳香族側鎖を有するアミノ酸であり;
X15は、フェニルアラニンまたは欠失部分であり;
Z1は、NH2または1〜10個のアミノ酸残基の配列であり;
Z2は、COOHまたは1〜10個のアミノ酸残基の配列であり;
ただし、
(a)X12がアラニン、グリシン、グルタミン酸、またはD-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸であるならば、X13、X14およびX15はそれぞれ、フェニルアラニン、バリンおよびフェニルアラニンであり;および/または
(b)X12がフェニルアラニンであるならば、X13、X14およびX15はそれぞれ、バリン、フェニルアラニンおよび欠失部分であり;および
(c) ペプチド中に、最大3個のシステイン残基があり;および
(d)該オリゴマーペプチドは(LEAIPCSIPPEFLFGKPFVF)2(VIR-576)ではなく;および
(e)該モノマーペプチド鎖は、1つのペプチド鎖のN-末端ともう1つのペプチド鎖のC-末端との間がペプチド結合で結合されない。
【0011】
一般式
(Z1-LE-X1-IP-X2-X3-X4-P-X5-X6-X7-X8-X9-X10-K-X11-X12-X13-X14-X15-Z2)n
を有する上記のペプチドの好ましい具体例において、
X7は、フェニルアラニン、システイン、バリン、イソロイシン、ロイシン、3,3-ジフェニルアラニン、1-ナフチルアラニン、またはp-フルオロフェニルアラニンであり;X8は、フェニルアラニン、ロイシン、アラニン、トリプトファン、グリシン、システイン、D-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸またはL-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸であり;X9は、フェニルアラニンまたはD-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸であり;かつ、Z1は好ましくはNH2または1〜3個のアミノ酸残基の配列であり、かつ、Z2は好ましくはCOOHまたは1〜3個のアミノ酸残基の配列である。上記のペプチドのHIV感染症に対する生物活性は、IC50として測定すると、6500nM以下である。
【0012】
HIVによる感染症に対する生物活性を有する、本発明のペプチドのさらなる具体例は、アミノ酸配列
(Z1-LE-X1-IP-X2-X3-X4-P-X5-X6-X7-X8-X9-X10-K-X11-FVF-Z2)n
を有するもの、および、断片および/または誘導体、特にアミド化、アルキル化、アシル化、硫酸化、ペギル化、ホルホリル化および/またはグリコシル化誘導体であるオリゴマーペプチド、およびそれらの変異体である。
式中、
nは、モノマーペプチド鎖の数を表し、従ってnは、2、3または4であり;
X1は、リシン、アラニン、またはアスパラギン酸であり;
X2は、システイン、メチオニンまたはイソロイシンであり;
X3は、セリン、システインまたはグリシンであり;
X4は、イソロイシンまたはシステインであり;
X5は、プロリン、D-プロリンまたはあらゆる置換L-またはD-プロリンであり;
X6は、システインまたはグルタミン酸であり;
X7は、フェニルアラニン、システイン、バリン、イソロイシンまたは3,3-ジフェニルアラニンであり;
X8は、フェニルアラニン、ロイシン、アラニン、グリシン、システイン、D-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸またはL-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸であり;
X9は、芳香族側鎖を有するアミノ酸であり;
X10は、グリシンまたはアスパラギンであり;
X11は、プロリンまたはD-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸であり;
Z1は、NH2または1〜10個のアミノ酸残基の配列であり;
Z2は、COOHまたは1〜10個のアミノ酸残基の配列である。
【0013】
一般式(Z1-LE-X1-IP-X2-X3-X4-P-X5-X6-X7-X8-X9-X10-K-X11-FVF-Z2)n を有する上記のオリゴマーペプチドの好ましい具体例において、X9はフェニルアラニンまたはD-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸であり、Z1は好ましくはNH2または1〜3個のアミノ酸残基の配列であり、Z2は好ましくはCOOHまたは1〜3個のアミノ酸残基の配列である。上記のオリゴマーペプチドのHIV感染症に対する生物活性は、IC50として測定する場合、2000nM以下である。
【0014】
HIVによる感染症に対する生物活性を有する本発明のオリゴマーペプチドのさらなる具体例は、アミノ酸配列
(Z1-LE-X1-IP-X2-X3-IP-X5-X6-X7-X8-F-X10-KPFVF-Z2)n
を有するもの、および、断片および/または誘導体、特に、アミド化、アルキル化、アシル化、硫酸化、ペギル化、ホルホリル化および/またはグリコシル化誘導体であるオリゴマーペプチド、およびそれらの変異体である。
式中、
nは、モノマーペプチド鎖の数を表し、従ってnは、2、3または4であり;
X1は、リシン、アラニンまたはアスパラギン酸であり;
X2は、システイン、メチオニンまたはイソロイシンであり;
X3は、セリンまたはグリシンであり;
X5は、L-プロリン、D-プロリンまたはあらゆる置換L-またはD-プロリンであり;
X6は、システインまたはグルタミン酸であり;
X7は、フェニルアラニンまたはバリンであり;
X8は、フェニルアラニン、ロイシン、アラニンまたはL-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸であり;
X10は、グリシンまたはアスパラギンであり;
Z1は、NH2または1〜10個のアミノ酸残基の配列であり;
Z2は、COOHまたは1〜10個のアミノ酸残基の配列である。
【0015】
一般式(Z1-LE-X1-IP-X2-X3-IP-X5-X6-X7-X8-F-X10-KPFVF-Z2)n を有するオリゴマーペプチドの好ましい具体例において、Z1は好ましくはNH2または1〜3個のアミノ酸残基の配列であり、Z2は好ましくはCOOHまたは1〜3個のアミノ酸残基の配列である。該ペプチドのHIV感染症に対する生物活性は、IC50として測定する場合、800nM以下である。
【0016】
HIVによる感染症に対する生物活性を有する本発明のオリゴマーペプチドのさらなる具体例は、アミノ酸配列
(Z1-LEAIP-X2-SIP-X5-X6-V-X8-FNKPFVF-Z2)n
を有するもの、および、断片および/または誘導体、特に、アミド化、アルキル化、アシル化、硫酸化、ペギル化、ホルホリル化および/またはグリコシル化誘導体であるオリゴマーペプチド、およびそれらの変異体である。
式中、
nは、モノマーペプチド鎖の数を表し、従ってnは、2、3または4であり;
X2およびX6は、システインであるか、または、X2がメチオニンであり、かつX6がグルタミン酸であり;
X5は、D-プロリンまたはL-プロリンであり;
X8は、疎水性または芳香族側鎖を有するアミノ酸またはリシンであり;
Z1は、NH2または1〜10個のアミノ酸残基の配列であり;
Z2は、COOHまたは1〜10個のアミノ酸残基の配列であり;
ただし、以下のうち、少なくとも1つが当てはまる:
X2およびX6がシステインである;
X5がD-プロリンである;または
X8がリシンではない。
【0017】
一般式(Z1-LEAIP-X2-SIP-X5-X6-V-X8-FNKPFVF-Z2)nを有するペプチドの好ましい具体例においては、Z1は好ましくはNH2または1〜3個のアミノ酸残基の配列であり、Z2は好ましくはCOOHまたは1〜3個のアミノ酸残基の配列である。
【0018】
好ましくは、本発明のオリゴマーペプチドにおいて、モノマーペプチド鎖は架橋される。モノマーペプチド鎖は、2つのモノマーペプチドの2つのアミノ酸側鎖の間、または、1つのモノマーペプチドのアミノ酸側鎖と別のモノマーペプチドのN-またはC-末端との間で、直接の分子間結合によって架橋されてもよい。本発明の別の具体例においては、結合はニ官能性のリンカー分子による間接的結合である。
【0019】
また、本発明のオリゴマーペプチドの1つの具体例は、6位と11位、6位と12位、7位と12位、または8位と13位のモノマーペプチド鎖におけるシステイン残基が、分子内ジスルフィド結合によって結合されているものである。従って、これらの位置にシステイン残基を有するオリゴマーペプチドは、1つのモノマーペプチド鎖のこれらの残基の間の分子内架橋で生じてもよく、または、モノマーペプチド鎖の間のジスルフィド結合で生じる、即ち、オリゴマー化がジスルフィド結合で達成されてもよい。従って、1つの具体例は、それぞれのモノマーペプチド鎖が2つのシステイン残基を含み、第二のモノマーペプチド鎖の2つのシステイン残基にジスルフィド結合で結合する2つのシステイン残基によってオリゴマー化がなされて、2つのジスルフィド結合で結合される2つのモノマーペプチド鎖を含むホモ二量体となるような、オリゴマーペプチドである。また、1つの具体例は、それぞれのモノマーペプチド鎖に3つのシステインを有するオリゴマーペプチドであって、それぞれのモノマーユニットにおける2つのシステイン残基は、分子内ジスルフィド結合に関与し、分子内ジスルフィド結合に関与しないモノマー鎖のシステイン残基へのジスルフィド結合を形成することによって、それぞれのモノマーペプチド鎖における第三のシステインがオリゴマー化に関与する、オリゴマーペプチドである。さらなる具体例は、それぞれのモノマーペプチド鎖に1つのシステイン残基を有するオリゴマーペプチドであって、該システイン残基が互いにジスルフィド結合で結合されて、オリゴマーペプチドのモノマーペプチド鎖を結合する、オリゴマーペプチドである。このように形成されるホモ二量体は好ましい。それぞれのモノマーペプチド鎖においてシステイン残基を有するオリゴマーペプチドのさらなる具体例において、それぞれのモノマーペプチド鎖の少なくとも1つのシステイン残基は、オリゴマーペプチドの他のモノマーペプチド鎖の1つのシステイン残基へ向かう2つのチオール基を含む、ニ官能性の小さな有機スペーサー基によって架橋される。二量体は、少なくとも1つのシステイン残基を含むオリゴマーペプチドの好ましい具体例である。
【0020】
さらなる具体例は、少なくとも1つの上述の特徴を含むオリゴマーペプチドであって、オリゴマーペプチドの少なくとも1つのモノマーペプチド鎖において、1位のアミノ酸のロイシン残基と2位のアミノ酸のグルタミン酸が、N-アルキル化アミド結合またはエステル結合または還元ペプチド結合またはretro-inverso型ペプチド結合またはN-アルキル化retro-inverso型ペプチド結合によって、共有結合で結合されているオリゴマーペプチドである。好ましいものは二量体であって、1位のアミノ酸のロイシン残基と2位のアミノ酸のグルタミン酸が、N-アルキル化アミド結合またはエステル結合または還元ペプチド結合またはretro-inverso型ペプチド結合またはN-アルキル化retro-inverso型ペプチド結合によって、共有結合で結合されている二量体である。
【0021】
また、1つの具体例は、少なくとも1つの上述の特徴を有し、線形順序にモノマーペプチド鎖の2、3または4つの繰り返し単位を含むオリゴマーペプチドであって、それによって、モノマーペプチド鎖は、連続したモノマーペプチド鎖のZ2とZ1の間の間接的ペプチド結合によって、共有結合で結合される。アミノ基とカルボキシル基を有する小さな有機ニ官能性スペーサーが連続したモノマーペプチド鎖のZ2とZ1を結合する場合に、間接的ペプチド結合が生じる。間接的ペプチド結合を有するこのような線状オリゴマーペプチドにおいて、繰り返し単位は、全て同一のモノマーペプチド鎖であって、均一のオリゴマーペプチドを得るか、または、繰り返し単位は、四量体が1、2、3または4つの非同一のモノマーペプチド鎖を含み得るか、三量体が1、2または3つの非同一のモノマーペプチド鎖を含み得るか、または、二量体が2つの非同一のモノマーペプチド鎖を含み得るように、異なるモノマーペプチド鎖から選択されて、不均一のオリゴマーペプチドを得る。間接的ペプチド結合を有する好ましい線状オリゴマーペプチドは、2つの繰り返し単位を有するようなものであって、即ち、二量体である。また、1つの具体例は、環状オリゴマーペプチドであって、特に、2、3または4つのモノマーペプチド鎖を有するものである。環状オリゴマーペプチドの1つの形態は、モノマーペプチド鎖の繰り返し単位を含み、それによって、最初および全ての連続したモノマーペプチド鎖は、連続したモノマーペプチド鎖のZ2とZ1との間での直接的または間接的ペプチド結合によって共有結合で結合され、第一と第二のモノマーペプチド鎖の間および/または第一と第三のモノマーペプチド鎖の間および/または第一と第四のモノマーペプチド鎖の間に、および/または第二と第三のモノマーペプチド鎖の間および/または第二と第四のモノマーペプチド鎖の間に、および/または第三と第四のモノマーペプチド鎖の間に、少なくとも1つのさらなる共有結合が生じる。少なくとも1つのさらなる共有結合は、アミド結合の群から選択されてもよく、特に、アミノ酸残基の側鎖と酸性および塩基性アミノ酸との間、または第一のモノマーペプチド鎖のアミノ末端と最後のモノマーペプチド鎖のカルボキシ末端との間に生じるようなペプチド結合、オキシム結合、ヒドラゾン結合、チアゾリジン結合、チオエステル結合、エーテル結合およびシステイン残基間のジスルフィド結合等から選択されてもよい。
【0022】
本発明のさらなる具体例は、少なくとも1つのシステイン残基を含む、あらゆる上述の線状オリゴマーペプチドであって、システイン残基によって、線状オリゴマーペプチドを含む、少なくとも1つのシステイン残基を有する別のオリゴマーペプチドのシステイン残基への直接的ジスルフィド結合が形成されるか、または、前記のシステイン残基が、2つのチオール基を有する短い有機ニ官能性スペーサーで互いに結合する、オリゴマーペプチドである。上述の線状オリゴマーペプチドと他のオリゴマーペプチドとの間のジスルフィド結合の代わりに、またはそれに加えて、これらのペプチド間の結合は、それぞれ、酸性および塩基性側鎖を有するアミノ酸残基の1つのカルボキシル基および1つのアミノ基との間に形成される、少なくとも1つのアミド結合によって形成される。あるいは、前記の酸性および塩基性側鎖は、アミノ基およびカルボキシル基を含む、短い有機ニ官能性スペーサーによって結合されてもよい。
【0023】
本発明のオリゴマーペプチドのさらなる具体例は、モノマーペプチド鎖が、2つのモノマーペプチド鎖の間の少なくとも1つのアミド結合によって互いに共有結合で結合されるものであって、これは、1つのモノマーペプチド鎖における塩基性アミノ酸の側鎖のアミノ基と、別のモノマーペプチド鎖における酸性アミノ酸の側鎖のカルボキシル基との間の共有結合によって得られる。特に、このようなアミド結合は、リシン残基の側鎖とアスパラギン酸塩残基の側鎖との間、および/またはリシン残基の側鎖とグルタミン酸塩残基との間に形成することができる。さらなる具体例において、これらのペプチド鎖のオリゴマー化は、1つのアミノ基と1つのカルボキシル基を含有する二官能性の小さな有機スペーサーを用いて間接的に得られるが、このスペーサーは、そのアミノ基を1つのペプチド鎖の酸性アミノ酸のカルボキシル側鎖に、および、そのカルボキシル基を第二のペプチド鎖の塩基性アミノ酸の側鎖のアミノ基に共有結合で結合することによって、これらのモノマーペプチド鎖を架橋する。四量体、三量体および二量体は、モノマーペプチド鎖の酸性および塩基性アミノ酸の側鎖間での直接的または間接的アミド結合によって形成することができ、それによる二量体は好ましい具体例である。また、1つの具体例は、リシンおよび低級リシン誘導体等の、2個のアミノ基を含有するアミノ酸のアミノ官能基とカルボキシ末端のペプチド結合による共有結合で結合された、4個以下のペプチド鎖を含有するオリゴマーペプチドである。さらなる具体例は、オリゴマーペプチドであって、2個または4個のモノマーペプチド鎖および少なくとも1個のリシンコアを含み、モノマーペプチド鎖を共有結合で結合するものである。リシンコアは、結合分子(スペーサーとして記載することもできる)として機能し、式「KX」を有するが、式中、「X」はアミノ酸、ペギル基または欠失部分、即ち「X」は欠落である。リシンコアは、2個のモノマーペプチド鎖のそれぞれのカルボキシ末端と2つのペプチド結合を形成することによって、2個のモノマーペプチド鎖に結合する。リシンコアにおける好ましいアミノ酸はアラニンであり、好ましいペギル基は小型PEGである。リシンコアは、リシン残基または低級リシン同族体等の側鎖にアミノ基を有するアミノ酸を越えて、他のリシンコアとペプチド結合によって結合することができる。両リシンコアが2つのモノマーペプチド鎖に共有結合で結合する場合、得られるオリゴマーペプチドは4つのモノマーペプチド鎖を含む。リシンコアは、デンドリマー構造とも呼ばれ、モノマーペプチド鎖は、デンドリマーリシンコア構造に結合されると考えられる。さらなる具体例は、本発明のオリゴマーペプチドであって、該モノマーペプチド鎖が、天然および非天然アミノ酸の反応性側鎖を用いて、少なくとも1つのオキシム、ヒドラゾンおよびチアゾリジン結合によって結合される、オリゴマーペプチドである。オキシムおよびヒドラゾン結合は、セリン等の側鎖中にヒドロキシ基を有するアミノ酸から産生されるアルデヒド官能基と、ヒドロキシルアミンまたはヒドラジン側鎖との間に生じ、アミノオキシ酢酸、アミノセリンまたはヒドラジノカルボン酸等の特別なアミノ酸を介して導入することができる。チアゾリジン形成は、N-末端システイン残基とアルデヒド側鎖との間に起こり得る(例:チャン(Chan)W.C.ら(編者)、Fmoc固相ペプチド合成:実践的アプローチ(Fmoc solid phase peptide synthesis: A practical approach)、オックスフォード大学出版局(Oxford University Press)、オックスフォード、2000年、p243-263;ノヴァバイオケム(Novabiochem) 2004/5カタログ、ペプチドおよび高処理量合成用試薬(Reagents for Peptide and High-Throughput Synthesis)、p.5.2-5.3)。また、本発明の具体例は、オリゴマーペプチドであって、それぞれのモノマーペプチド鎖が、側鎖に硫黄原子を有する少なくとも1つのアミノ酸残基を含み、チオエーテル・ブリッジによってモノマーペプチド鎖の間を共有結合することができる、オリゴマーペプチドである。少なくとも1つのチオエーテル・ブリッジによって連結されるオリゴマーペプチドの中で、2つのモノマーペプチド鎖が連結されるもの、即ち、二量体が好ましい。モノマーペプチド鎖が、2つのチオール基を有する有機スペーサー、2つのアミノ基を有する有機スペーサー、2つのカルボキシル基を有する有機スペーサー、および1つのカルボキシル基と1つのアミノ基を有する有機スペーサーの群から選択されるニ官能性スペーサー分子によって互いに結合されるオリゴマーペプチドが、さらに好ましい具体例である。特に、2つのモノマーペプチド鎖、即ち二量体を有するオリゴマーペプチドが好ましい。
【0024】
本発明のさらなる具体例は、HIV融合ペプチドであるgp41と相互作用するオリゴマーペプチドであって、VIR-574(配列番号2)またはVIR-577(配列番号3)等の、IC50が6500nM以下、好ましくはIC50が2000nM以下、最も好ましくは、IC50が607nMであるVIR-673 (配列番号4)等の、IC50が800nM以下であることを特徴とするものである。また、本発明の具体例は、本発明のオリゴマーペプチドのモノマーペプチド鎖をコードする核酸であって、国際特許WO 2004/056871号に既に開示された核酸を除くものである。従って、国際特許WO 2004/056871号における、VIR-166、VIR-175、VIR-261、VIR-273、VIR-274、VIR-344、VIR-345、VIR-348、VIR-352、VIR-353、VIR357、VIR-358、VIR-448、VIR-449、VIR-454、VIR-455、VIR-483、VIR-484、VIR-512、VIR-568およびVIR-580にそれぞれ対応する、モノマーペプチド鎖VIR-674、VIR-675、VIR-676、VIR-677、VIR-678、VIR-679、VIR-680、VIR-681、VIR-682、VIR-683、VIR-684、VIR-685、VIR-686、VIR-687、VIR-688、VIR-689、VIR-690、VIR-691、VIR-692、VIR-693およびVIR-694をコードする核酸は、本発明の一部ではない。さらなる具体例は、これらの本発明のオリゴマーペプチドに特異的に結合する抗体である。該抗体は、オリゴマーペプチドを認識するが、単離したモノマーペプチド鎖を認識しないので、特異的である。従って、抗体結合部位は分子の一部を含むが、これは単独のモノマー鎖とは異なる。例えば、結合部位は、2つのモノマーペプチド鎖の間の結合を含む可能性がある。
【0025】
さらなる具体例は、これらのオリゴマーペプチド、これらのオリゴマーペプチドのモノマーペプチド鎖をコードする核酸であって特許請求しないもの以外のもの、またはこれらのオリゴマーペプチドに対する特異的な抗体のいずれかを含む、医薬である。1つの具体例において、該医薬は、経口、静脈内、筋肉内、鼻腔内、皮内、皮下および/またはくも膜下投与のための製剤である。さらなる具体例は、少なくとも1つのさらなる治療薬を含む前記医薬である。また、1つの具体例は、前記の少なくとも1つのさらなる治療薬が、ウイルス・プロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、融合阻害剤、サイトカイン、サイトカイン阻害剤、インテグラーゼ阻害剤、グリコシル化阻害剤またはウイルスmRNA阻害剤等である、医薬である。HIV感染症の治療用医薬の製造のためのこれらのオリゴマーペプチドの使用は、さらなる具体例である。また、1つの具体例は、本発明の上述のオリゴマーペプチドのいずれかを含む、HIVの融合ペプチドと相互作用する能力のある分子を見つけ出すためのアッセイである。前記アッセイにおけるこれらのオリゴマーペプチドの使用もまた、1つの具体例である。さらなる具体例は、特許請求をしないもの以外の、上述のオリゴマーペプチド、核酸または抗体を含む診断薬である。もう1つの具体例は、HIV感染について、単離した血漿、組織、尿、精液および/または髄液のレベルを試験するためのアッセイシステムのための、診断薬の使用である。
【0026】
本発明のオリゴマーペプチドは、国際特許WO 01/34640号に開示および記載された通りの、血液濾液由来ペプチドVIRIP(配列番号1)、およびPCT/EP03/15654号に開示および記載されたペプチドに関連し、それらはHIVによる感染症を防ぐ生物活性を有する。本発明のペプチドは、国際特許01/34640号およびPCT/EP03/15654号に開示および記載されたペプチドとは異なるが、それらは全て少なくとも2本の単独のモノマーペプチド鎖よりなるオリゴマー構造である。
【0027】
モノマーペプチド鎖は、少なくとも1つの共有結合によって結合される。共有結合は、ジスルフィド結合、アミド結合であり得、特に、ペプチド結合、チオエーテル結合、エーテル結合またはオキシム、ヒドラゾンまたはチアゾリジン結合であり得る。本発明のオリゴマーペプチドを産生するため、モノマーペプチド鎖を、アミノ酸側鎖の反応基または末端官能基を用いて、少なくとも2本の単独のモノマーペプチド鎖を結合することによってオリゴマー化する。単独のペプチド鎖は、化学的に合成されるか、または生物工学的に製造され、即ち、例えば大腸菌等の細菌類、例えば酵母菌等の菌類などの微生物、および/または培養哺乳類細胞において、これらの単独のペプチド鎖をコードする核酸を発現させ、その後、それらを共有結合で結合してオリゴマーとする。オリゴマーペプチドは、デンドリマー構造として製造することもでき、この構造はアミノ酸または少なくとも2個のアミノ基を含有する基を含有し、そこにモノマーペプチド鎖を固相ペプチド合成技術を用いて結合する。このような基の例は、オルニチン、リシン、ジアミノブタン酸およびジアミノプロピオン酸(ノヴァバイオケム(Novabiochem) 2004/5カタログ、ペプチドおよび高処理量合成用試薬(Reagents for Peptide and High-Throughput Synthesis)、p.26-29)である。
【0028】
本発明のオリゴマーペプチドは、間接的なペプチド結合によるモノマーペプチド鎖の繰り返し単位から線状に集合したポリペプチドも含み、ここで繰り返し単位はモノマーペプチド鎖に対応する。アミノ基およびカルボキシル基を有する小さな有機ニ官能性スペーサーが連続したモノマーペプチド鎖のZ2とZ1を結合する場合に、間接的ペプチド結合が生じる。
【0029】
PCT/EP03/15654号に開示された配列(LEAIPCSIPPEFLFGKPFVF)2(VIR-576)を有するオリゴマーペプチドであって、二量化が2つのモノマーペプチド鎖の6位のシステイン残基の間のジスルフィド結合によってなされるものは、本発明のオリゴマーペプチドではない。しかしながら、配列(LEAIPCSIPPEFLFGKPFVF)2(配列番号56)を有する二量体であって、二量化があらゆる他の方法、特にグルタミン酸塩残基のいずれか1つと2個のアミノ基を有する小さなニ官能性リンカーによってなされ、グルタミン酸塩残基で2つのアミド結合を形成することによって2つのモノマー鎖が結合されるものは、本発明の一部である。また、本発明の一部は、配列(LEAIPCSIPPEFLFGKPFVF)2 (配列番号57)を有する二量体であって、二量化が16位のアミノ酸のリシン残基と2つのカルボキシル基を有する小さなニ官能性リンカーによってなされ、2つのリシン残基で2つのアミド結合を形成することによって2つのモノマー鎖が結合されるものである。
【0030】
本発明のオリゴマーペプチドのモノマーペプチド鎖は、少なくとも13位のアミノ酸において野生型のVIRIP (配列番号1)と全く異なり、VIRIPはリシン残基を含有するが、本発明のオリゴマーペプチドのモノマーペプチド鎖は13位のアミノ酸にリシン残基を含有しない。そのことに加え、本発明のオリゴマーペプチドのモノマーペプチド鎖は、VIRIP (配列番号1)と比較して、20または21個のアミノ酸にわたってさらにアミノ酸が変化している。本発明のオリゴマーペプチドは全て、VIRIP (配列番号1)より有意に高い抗HIV活性(2つのHIV-1株に対するIC50として測定)を有する。本発明のオリゴマーペプチドのモノマーペプチド鎖は、20または21個のアミノ酸のアミノ酸配列に基づいており、Z1およびZ2による両末端で1〜10個のアミノ酸の伸長が可能であり、3個のアミノ酸の伸長が好ましい。ここで使用するアミノ酸の番号は、残基Z1による可能なN-末端の伸長にかかわらず、1位のアミノ酸がロイシンに対応し、21位のアミノ酸がフェニルアラニンまたは欠失部分に対応するように、基本的配列の1〜21位のアミノ酸に常に対応する。通常のアミノ酸の1文字表記および3文字表記が使用される。他に示されない場合、アミノ酸のL-光学異性体を使用した。小文字の「p」はD-プロリンの略である。他のD-光学異性体は、前に「D-」を付けて示す。「Tic」はテトラヒドロイソキノリンカルボン酸の略である。「Oic」はオクタヒドロインドールカルボン酸の略である。
【0031】
「オリゴマーペプチド」という用語は、特に2、3または4個のモノマーペプチド鎖を含むペプチドであって、互いに共有結合で結合しているペプチドを言う。共有結合で結合された2つのモノマーペプチド鎖で形成されるオリゴマーペプチドである、二量体が好ましい。前記二量体は、モノマーペプチド鎖の間に少なくとも1つの共有結合を含むが、より多くの共有結合を有していてもよい。3つのモノマーペプチド鎖を有するオリゴマーペプチドは、三量体と呼ばれる。4つのモノマーペプチド鎖を有するオリゴマーペプチドは、四量体と呼ばれる。三量体において、結合している共有結合の最小数は、少なくとも2であるが、 もっと大きくてもよく、四量体は少なくとも3つの共有結合を含む。
【0032】
「モノマーペプチド鎖」という用語は、オリゴマーペプチドのペプチド単位を言い、かつ20または21個のアミノ酸のアミノ酸配列であり、Z1およびZ2による両末端で1〜10個のアミノ酸の伸長が可能であり、3個のアミノ酸の伸長が好ましい。本発明のオリゴマーペプチドは、n個のモノマーペプチド鎖を含む。
【0033】
式(配列)nで表される「オリゴマーペプチド」という用語は、互いに共有結合で結合されたn個のペプチドで形成される分子を言う。ここで使用される場合、「オリゴマーペプチド」は、モノマーペプチド鎖の間の特別な型の結合に制限されないことは明らかである。結合は、例えば、システイン架橋またはリシン側鎖を含む結合であってもよい。従って、本発明の文脈において、「オリゴマーペプチド」という用語および式(配列)nは、n個のアミノ酸モノマーが全て、N-およびC-末端の間で慣用のペプチド結合で結合されるという意味には解釈されない。
【0034】
「架橋された」という用語は、1つのモノマーペプチドのN-末端と別のモノマーペプチドのC-末端との間の慣用のペプチド結合とは異なる、2つのモノマーペプチドの間のあらゆる分子間共有結合を言う。
【0035】
「共有結合で結合した」という用語は、当業者には用意に理解され、オリゴマーペプチドを産生するために導入される、アミド、チオール−チオエステル、エーテル−オキシム、ヒドラゾンおよびチアゾリジン結合のような結合を言う。特に、このオリゴマーペプチドは、互いに共有結合で結合した2、3または4個のモノマーペプチド鎖を言い、それぞれ二量体、三量体および四量体を生じる。本発明のオリゴマーペプチドは「共有結合で結合した」と記載されるが、これは、オリゴマーペプチドのそれぞれのモノマーペプチド鎖が、オリゴマーペプチド中の他の全てのモノマーペプチド鎖に結合することを必要とせず;二量体は上記に列挙した化学的結合の少なくとも1つによって共有結合で結合しており;三量体は上記に列挙した化学的結合の少なくとも2つによって共有結合で結合しており、従って、第一のモノマーペプチド鎖が第二のモノマーペプチド鎖に結合し、第二のものが第三のモノマーペプチド鎖に結合するに充分であり;四量体は上記に列挙した化学的結合の少なくとも3つによって共有結合で結合しており、従って、第一のモノマーペプチド鎖が第二のモノマーペプチド鎖に結合し、第二のものが第三のモノマーペプチド鎖に結合し、第三のモノマーペプチド鎖が第四のモノマーペプチド鎖に結合するに充分である。オリゴマーペプチド中のモノマーペプチド鎖は、同一または異なるアミノ酸配列を有することができる。同一のモノマーペプチド鎖から作られたオリゴマーペプチドは、「均一の(homogeneous)」オリゴマーペプチドとも言い、二量体の場合、「ホモ二量体」とも言う。オリゴマーペプチド中のモノマーペプチド鎖が異なる場合は、「ヘテロ(heterologous)」という用語が、オリゴマーペプチドおよびそのモノマーペプチド鎖に用いられる。共有結合は、ジスルフィド結合、チオエーテル結合、エーテル結合、アミド結合、オキシム結合、チアゾリジン結合、ヒドラゾン結合等の、それぞれのペプチド鎖の間の「直接結合」であり得、即ち、架橋スペーサー分子がない。また、ペプチド鎖は、あらゆる化学的性質のスペーサーによって共有結合で結合することもでき(ハーベン−ウェイル(Houben-Weyl)、有機化学法、ペプチドおよびペプチド模倣薬の合成(Methods of organic chemistry, Synthesis of peptides and peptidomimetics)、ジョージ・ティーメ出版(Georg Thieme Verlag)、シュトゥットガルト(Stuttgart) 2002年)、ひいてはモノマーペプチド鎖は「間接的結合」によって結合されると言う。好ましいものは、2個のチオール基、2個のアミノ基、2個のカルボキシル基を有するもの、および1個のカルボキシル基および1個のアミノ基を有するもの等の、小さい有機ニ官能性スペーサーである。
【0036】
ここで使用される「疎水性アミノ酸」という用語は、当業者には用意に理解される。特に、あらゆる自然発生アミノ酸、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、プロリン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、および非内因性疎水性アミノ酸を言う。自然発生アミノ酸の性質を模倣する類似の合成非内因性アミノ酸も、HIVに対する生物活性が有意に低下しない限り、同様に使用することができる。
【0037】
ここで使用される「芳香族アミノ酸」という用語は、当業者には用意に理解される。特に、あらゆるアミノ酸、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン、および、1-ナフチルアラニン、3,3-ジフェニルアラニン、p-フルオロフェニルアラニン,またはD-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸またはL-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸等の、非内因性芳香族アミノ酸を言う。このようなアミノ酸の性質を模倣する類似の合成非内因性アミノ酸も、HIVに対する生物活性が有意に低下しない限り、同様に使用することができる。
【0038】
「酸性アミノ酸側鎖」という用語は、当業者には用意に理解される。特に、グルタミン酸およびアスパラギン酸、および、2-アミノアジピン酸等の側鎖官能基としてカルボン酸を持つあらゆる他の天然および非天然アミノ酸の、カルボン酸側鎖を言う。
【0039】
「塩基性アミノ酸側鎖」という用語は、当業者には用意に理解される。特に、リシン、オルニチン、またはジアミノプロピオン酸等の側鎖としてアミノ官能基を持つあらゆる他の天然および非天然アミノ酸の、側鎖アミノ基を言う。また、本発明が言及する塩基性側鎖を有するアミノ酸は、低級リシン誘導体であり、それは炭素が3個だけ、2個または1個だけの、短くなった側鎖(リシンと比較して)を有し、アミノ基を持つ。
【0040】
「非天然アミノ酸」という用語は、当業者には用意に理解される。特に、20の内因発生アミノ酸:グリシン、システイン、アラニン、バリン、リシン、ロイシン、イソロイシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、ヒスチジン、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、セリン、トレオニン、プロリンおよびメチオニン:に属しない、あらゆるアミノ酸を言う。
【0041】
「変異体」という用語は、当業者には用意に理解される。特に、開示された1以上のアミノ酸が変化し、即ち、1以上のアミノ酸が他のもので置換された、配列変異体を言う。特に、1以上のアミノ酸置換体は、置換アミノ酸のD-体であり、オリゴマーペプチドの生物活性は、非置換オリゴマーペプチドに比較して有意に低下しない。D-アミノ酸の導入は、例えば、タンパク分解酵素の作用に対する抵抗性を改善するのに有用であるかもしれない。本発明の変異体は、好ましくは、請求項1のオリゴマーペプチドから、1、2、3または4個のアミノ酸が変化する。好ましい具体例において、変異は保存的であり、変化したアミノ酸の側鎖の特性は元のアミノ酸と実質的には変わらない。変異体は、1以上のアミノ酸が配列から除かれるかまたは配列に挿入される、配列変化も含む。
【0042】
「断片」という用語は、当業者には容易に理解される。特に、配列がN-またはC-末端で切断された配列変異体を言う。好ましい具体例において、オリゴマーペプチドは、N-および/またはC-末端で、2、4または6個以下のアミノ酸が欠落する。
【0043】
「誘導体」という用語は、当業者には容易に理解される。特に、化学的に修飾されたオリゴマーペプチドを言う。この修飾は、N-およびC-末端、ペプチドの側鎖、ペプチド骨格のC(-およびN(-原子、および骨格のペプチド結合を形成する原子における、ペプチドの、1個のアミノ酸の置換、多数の置換、または種々の化学的修飾であり得る。
【0044】
「アミド化」という用語は、当業者には用意に理解される。特に、C-末端カルボキシル基がCONR2-基で置換されるオリゴマーペプチドの修飾を言い、ここでRは水素原子または、少なくとも1個の水素原子を置換することができる、あらゆる官能基である。
【0045】
「アシル化」という用語は、当業者には容易に理解される。特に、N-末端のアミノ基および/またはアミノ基の側鎖におけるアミノ酸以外に、共有結合で結合されたカルボン酸残基を含有する、オリゴマーペプチドについて言及する。
【0046】
「アルキル化」という用語は、当業者には容易に理解される。特に、N-末端アミノ基、あらゆる骨格原子および/または側鎖のあらゆる官能基において、種々の長さおよび構造のアルキル基で修飾されたオリゴマーペプチドについて言及する。
【0047】
「硫酸化」という用語は、当業者には容易に理解される。特に、チロシンまたは置換チロシン誘導体残基の水酸基に、硫酸成分を持つオリゴマーペプチドについて言及する。
【0048】
「ペギル化」という用語は、当業者には容易に理解される。特に、共有結合で結合された、ポリエチレングリコールに特有の少なくとも2つの繰り返し単位-CH2-CH2-O-よりなるポリエチレングリコール(PEG)部分を含有するペプチドについて言及する。好ましいものは、いわゆる小型(ミニ)PEG基である。ペギル基は、分子量が20kDa以下であってもよく、ペプチド配列において異なる官能基に直接結合することができ、または、N-および/またはC-末端および/または側鎖官能基でスペーサー基によって結合することができる。スペーサー基は、2、3、4、5、6、7、8または9個の炭素原子の骨格、および2個のアミノ基、2個のカルボキシル基または1個のアミノ基と1個のカルボキシル基等の2個の官能基によって特徴づけられる、ニ官能性炭化水素鎖の群から選択される。1以上のペギル基がペプチドの種々の部位に含有され得る。特に、好ましいものは、システイン残基に続く、ペプチドのC-末端側の小型PEGである。
【0049】
「ホルホリル化」という用語は、当業者には容易に理解される。特に、トレオニン、セリン、ヒドロプロリン、ヒドロキシリシン、チロシン、および/または、あらゆる他の非天然のヒドロキシアミノ酸の側鎖の水酸基が、リン酸基でエステル化されたオリゴマーペプチドについて言及する。
【0050】
「グリコシル化」という用語は、当業者には容易に理解される。特に、セリン、トレオニン、チロシン、アスパラギン、および/または非天然のアミノ酸の側鎖に、グリコシルまたはアルコール性水酸基で結合するモノマーおよび/またはオリゴマー炭水化物成分を含有する、オリゴマーペプチドについて言及する。
【0051】
「環状」という用語は、当業者には容易に理解される。特に、モノマーペプチド鎖の少なくとも1つに環状構造モチーフを含有するか、少なくとも2つのモノマーペプチド鎖を含む環状構造モチーフを含有する、オリゴマーペプチドについて言及する。環化は、骨格の環化、または、アミノ酸の側鎖が同一分子に存在する別のアミノ酸の側鎖に結合することによって達成することができる。本発明の好ましい具体例では、2つのシステイン残基、または、1つのカルボン酸側鎖および1つのアミノ基を含有する側鎖が、それぞれジスルフィド結合またはアミド結合によって環状モチーフを形成する。
【0052】
「HIVによる感染症に対する生物活性」という表現は、ウイルスの哺乳類細胞への侵入を少なくとも妨害し、または阻止する、オリゴマーペプチドの能力を言う。より具体的には、HIVのgp41の融合ペプチドと相互作用する能力を言う。HIVによる感染症に対する生物活性の尺度は、IC50の値である。好ましくは、本発明のオリゴマーペプチドのHIV感染症に対する生物活性は、そのIC50値が野生型のVIRIPのIC50 値よりも低いものである。
【0053】
本発明のオリゴマーペプチドは、原型のVIRIP(配列番号1)またはモノマー類似物と比較した場合、HIVによる感染症に対する抗ウイルス活性および血漿中の安定性に関して、有利な特性を示す。特に、二量体ペプチドは優れた特質を有するので好ましい。本発明の二量体ペプチドを得るために、モノマーペプチド鎖を化学的に結合させ、2つのペプチド鎖の間に共有結合を導入する。共有結合は、システインのチオール基等の側鎖官能基の間の直接結合であってもよく、または、ペプチドの2つの同一の鎖がリシン残基の2つのアミノ基に結合する場合に存在するような、ペプチド鎖の間にスペーサーを含む結合であってもよい。後者はしばしばリシンコアデンドリマーの最小形態と見なされる(サドラー(Sadler)K.、J. バイオテクノロジー(Biotechnology)、2002年、90巻、195-229頁)。 2つのペプチド鎖は、2つの単独のペプチド鎖の間のアミド結合によって結合することもでき、これは1つのペプチド鎖の側鎖アミノ基と第二の鎖の側鎖カルボキシル基との間の共有結合によって達成される。この結合は、1つのペプチド鎖のカルボキシル側鎖および第二のペプチド鎖の側鎖アミノ基への共有結合によって2つのペプチド鎖を架橋する、小さなニ官能性の有機スペーサー分子を用いて達成することもできる。さらに、この有機スペーサー分子は、2つの酸官能基を含有する場合、アミノ官能基による2つの同一のペプチド鎖の架橋に用いることができ、または、スペーサー分子が2つのアミノ官能基を含有する場合、1つのカルボキシル官能基による2つの同一のペプチド鎖の架橋に用いることができる(ペニングトン(Pennington)ら(編者)、ペプチド合成プロトコル(Peptide synthesis protocols)、フマナ・プレス(Humana Press)、トトワ(Totowa) 1994年)。モノマーの2つのペプチド鎖は、天然または非天然アミノ酸の反応性側鎖を用いる、オキシム、ヒドラゾンおよびチアゾリジン形成によって結合することもできる(ローズ(Rose)K.、米国化学会誌(J. Am. Chem. Soc.)、1994年、116巻、30-33頁;シャオ(Shao)、J.およびタム(Tam)J.P.、1995年、米国化学会誌(J. Am. Chem. Soc.)、117巻、3893-3899頁;フィッシュ(Fisch)I.ら、生物複合体化学(Bioconjugate Chem.)、1992年、3巻、147-153頁;リュー(Liu)C.-F.およびタム(Tam)J.P.、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、1994年、91巻、6584-6588頁)。加えて、本発明のオリゴマーペプチドは、モノマーペプチド鎖の繰り返し単位を含有する線状オリゴマーペプチドの固相ペプチド合成によって得られる。
【0054】
本発明のオリゴマーペプチド、特に、本発明の二量体ペプチドは、野生型VIRIP(配列番号1)と比較して、構造的および生物学的により安定であり、かつ活性がより高い。それらでは半減期の延長が見られ、それにより血漿中の濃度がより高くなる。加えて、それらにより作用部位で抗ウイルス活性のあるペプチド鎖の局所濃度が上昇する。故に、本発明のオリゴマーペプチドは、ウイルス受容体分子とより有利に相互作用する分子であり、ウイルスの侵入をより効果的に遮断する。
【0055】
野生型VIRIP(配列番号1)と比較して、モノマーペプチド鎖のアミノ酸配列を特異的に変化させることによって、HIVに対する活性が有意に上昇したオリゴマーペプチドが得られることもわかった。モノマーペプチド鎖において10位のL-プロリンをD-プロリンで置換し、および/または2つのシステインを6位および11位のアミノ酸に導入した場合、および/または13位の正に荷電したリシンを疎水性または芳香族側鎖を有するアミノ酸と交換した場合に、オリゴマーペプチドにおいて活性の最も顕著な上昇が観察される。野生型VIRIP(配列番号1)と比較した活性の上昇は構造の変化によるものと考えられる。システイン架橋は、構造に影響を与え、D-プロリンの導入と同様に、ペプチドの柔軟性を有意に低下させることが知られており、それによってペプチドの二次構造要素を変化させ、故にペプチドの種々の部分の互いの位置を変化させる。さらに、荷電していない疎水性または芳香族アミノ酸でリシンを交換することによって、正に荷電したリシン側鎖の、同一分子の2位および11位の負に荷電したアミノ酸または受容体分子の負に荷電した部分との可能な相互作用が変化することから、構造が変わるであろう。オリゴマーペプチドのモノマーペプチド鎖の3位のアラニン残基が、リシンまたはアスパラギン酸残基での置換によって正または負に荷電した残基に交換される場合、抗HVI活性の有意な上昇がさらに観察される。3位に荷電した残基を導入することによって、静電力または双極子力が増加して、受容体分子の対応部分への結合強度を増強することができる。オリゴマーペプチドのモノマーペプチド鎖の7位および/または15位のアミノ酸残基を、小さなアミノ酸残基、特にグリシンと交換することによって、本発明のオリゴマーペプチドの抗HIV活性が上昇することもわかった。グリシン残基は立体障害が最小の残基であり、受容体分子に結合する場合、または受容体分子との結合に必要な自身の凝集体を形成する場合、ペプチドを最適な内部構造に配列することが可能である。記載した置換は、本発明のオリゴマーペプチドのモノマーペプチド鎖において、組み合わせてもよい。
【0056】
本発明のペプチドのモノマー鎖は、化学的に合成することができ、または、本発明のモノマーペプチド鎖をコードする核酸の組み換え発現によって産生することができる。サイズが小さいこと、即ち、本発明のオリゴマーペプチドに含有されるモノマーペプチド中のアミノ酸の数が少ないことから、全体のペプチド合成技術は、そのようなモノマーペプチド鎖の化学的合成に利用することができる。HIV融合阻害剤T-20の合成は、3つの個別の断片の合成と、続いて、最終産物T-20を生じる3つの断片の結合が必要であり、この合成と比較して、本発明のモノマーペプチド鎖は、段階的固相法または液相化学によって大規模に合成することができる。故に、本発明のオリゴマーペプチドのモノマーペプチド鎖を得る方法は複雑でないので、本発明のオリゴマーペプチド製品のコストは低い。また、モノマーペプチドの共有結合も複雑ではなく、即ち、困難な化学反応を必要としないので、結合反応はオリゴマーペプチドを含む最終産物のコストの大きな要因にはならない。
【0057】
本発明のオリゴマーペプチドのさらなる有利点は、種々のイオン強度の溶液中、広範なpH(pH2〜8.5)にわたる溶解性と安定性である。特に、血漿中の安定性は重視されなければならない。化学合成は、固相技術を用いた固体支持体上で、または液相中で実施することができるが、両者は当業者に知られた標準的方法である。本発明のオリゴマーペプチドのモノマーペプチド鎖もまた、当業者に知られた標準的方法である、2以上の側鎖の保護または非保護断片の連結によって合成することができる(タム(Tam)J.P.、バイオポリマーズ(Biopolymers)、2001年、60巻、194-205頁)。本発明のオリゴマーペプチドのモノマーペプチド鎖またはその断片の固相合成は、アミノ酸のFmoc/tBu-またはBoc/Bzl-保護パターンを用いて実施することができる。標準的なFmoc-保護スキームにない、他の保護基を使用することができる。合成モノマーペプチド鎖およびオリゴマーペプチドの精製は、逆相、イオン交換またはサイズ排除等のクロマトグラフィー法によって達成される。ここに記した本発明のモノマーペプチド鎖およびオリゴマーペプチドの化学的合成方法は、いくつかの概説刊行物で調べられる(例:チャン(Chan)W.C.ら(編者)、Fmoc固相ペプチド合成:実践的アプローチ(Fmoc solid phase peptide synthesis: A practical approach)、オックスフォード大学出版局(Oxford University Press)、オックスフォード(Oxford)、2000年;スィーワルド(Seewald)N.ら、ペプチド:生物学および化学(Peptides: biology and chemistry)、ウィレイ(Wiley)-VCH、ワインハイム(Weinheim)、2002年;グッドマン(Goodman)M.、ハーベン−ウェイル(Houben-Weyl)、有機化学法、ペプチドおよびペプチド模倣薬の合成(Methods of organic chemistry, Synthesis of peptides and peptidomimetics)、ジョージ・ティーメ出版(Georg Thieme Verlag)、シュトゥットガルト(Stuttgart) 2002年)。
【0058】
本発明のオリゴマーペプチドのモノマーペプチド鎖へのジスルフィド結合の導入は、少なくとも2つのシステイン残基を含有するモノマーペプチド鎖に酸化的化学法を適用することによって達成されてもよく、この方法は当業者に知られている(ペニングトン(Pennington)ら(編者)、ペプチド合成プロトコル(Peptide synthesis protocols)、フマナ出版(Humana Press)、トトワ(Totowa) 1994年;チャン(Chan)W.C.ら(編者)、Fmoc固相ペプチド合成:実践的アプローチ(Fmoc solid phase peptide synthesis: A practical approach)、オックスフォード大学出版局(Oxford University Press)、オックスフォード(Oxford)、2000年)。本発明のオリゴマーペプチドのモノマーペプチド鎖の間のジスルフィド結合は、酸化的処置によって固相または溶液合成から得られる、少なくとも1つの非保護システイン残基を含有する還元前駆体モノマーペプチド鎖から産生されてもよい。酸化剤として、酸素、ジメチルスルホキシド、鉄(III)塩、ヨウ素、またはその他を使用してもよい。あるいは本発明のオリゴマーのモノマーペプチド鎖のジスルフィドは、対応するシステイン残基に保護基を含有する前駆体からペプチドへ導入されてもよい。保護基としては、アセトアミドメチル、tert-ブチル、S-tert-ブチルまたはその他を使用してもよい。保護基の切断および鎖内ジスルフィド結合の形成は、ヨウ素、ホスフィン等の試薬、またはその他を使用して実施してもよい。
【0059】
ジスルフィド結合を有するもの以外のオリゴマーペプチドの環状モノマーペプチド鎖は、モノマーペプチド鎖の骨格の環化によって、または、アミノ、カルボキシ、ヒドロキシまたはチオ等の少なくとも1つの反応性側鎖基と、同一の分子中に存在するあらゆる他の反応基との間の化学結合によって得ることができ、これらは当業者に知られている通りである (リ(Li)ら、Curr. Top. Med. Chem.、2002年、2巻、325-341頁;タム(Tam)J.P.、バイオポリマーズ(Biopolymers)、2001年、60巻、194-205頁;グッドマン(Goodman)M.、ハーベン・ウェイル(Houben-Weyl)、有機化学法、ペプチドおよびペプチド模倣薬の合成(Methods of organic chemistry, Synthesis of peptides and peptidomimetics)、ジョージ・ティーメ出版(Georg Thieme Verlag)、シュトゥットガルト(Stuttgart) 2002年)。
【0060】
モノマーペプチドが共有結合したオリゴマーは、種々のタイプの化学結合によって2つのペプチド鎖を結合することによって得られる。ジスルフィド結合したオリゴマーは、活性化したシステインによるか、または、システインを全く前活性化せず、2つのペプチド鎖を連結することによって合成される(サッカ(Sacca)B.ら、J. Pept. Sci.、2002年、8巻、192-204頁;スィーワルド(Seewald)N.ら、ペプチド:生物学および化学(Peptides: biology and chemistry)、ウィレイ(Wiley)-VCH、ワインハイム(Weinheim)、2002年)。2つのペプチド鎖の間のチオエーテル結合とエーテル結合とペプチド結合は、当業者に知られており文献に記載の様々な方法によって導入することができる (スィーワルド(Seewald)N.ら、ペプチド:生物学および化学(Peptides: biology and chemistry)、ウィレイ(Wiley)-VCH、ワインハイム(Weinheim)、2002年)。リシンコアデンドリマーは、Fmoc-Lys(Fmoc)-OHを固体の支持体に連結することによって合成することができる。アミノ酸の脱保護の後、固相ペプチド合成により、オリゴマーペプチドを得る(スィーワルド(Seewald)N.ら、ペプチド:生物学および化学(Peptides: biology and chemistry)、ウィレイ(Wiley)-VCH、ワインハイム(Weinheim)、2002年;チャン(Chan)W.C.ら(編者)、Fmoc固相ペプチド合成:実践的アプローチ(Fmoc solid phase peptide synthesis:A practical approach)、オックスフォード・ユニバーシティ・プレス(Oxford University Press)、オックスフォード、2000年)。 カルボキシ末端のリシン残基とペプチド鎖との間に、さらなるリシン残基を置くことができる。リシンは、オルニチン等の2つのアミノ基を含有するあらゆる他のアミノ酸、および、ジアミノプロピオン酸等の側鎖に1つのアミノ基を有するあらゆる非天然のアミノ酸によって置換することができる。
【0061】
本発明の好ましいオリゴマーペプチドにおいて、2つの単独のペプチド鎖の間のアミド結合による2つのペプチド鎖の結合は、1つのペプチド鎖の側鎖アミノ基と第二の鎖の側鎖カルボキシル基との間の共有結合によって達成される。また、この結合は、1つのペプチド鎖のカルボキシ側鎖および第二のペプチド鎖の側鎖アミノ基への共有結合によって2つのペプチド鎖を架橋する、小さなニ官能性の有機スペーサー分子を使用することによっても達成することができる。さらに、この有機スペーサー分子は、スペーサー分子が2つの酸官能基を有する場合は、アミノ官能基によって2つの同一のペプチド鎖を架橋するために用いることができ、または、スペーサー分子が2つのアミノ官能基を含有する場合は、カルボキシル官能基によって2つ同一のペプチド鎖を結合するために用いることができる。この方法は、当業者に知られており、文献に記載されている(ペニングトン(Pennington)ら(編者)、ペプチド合成プロトコル(Peptide synthesis protocols)、フマナ・プレス(Humana Press)、トトワ(Totowa) 1994年)。
【0062】
天然または非天然のアミノ酸の反応性側鎖を使用する、オキシム、ヒドラゾンまたはチアゾリジン形成を含む2つのモノマーペプチド鎖の結合は、ヒドロキシルアミンまたはヒドラジン基を有するモノマーペプチドをアルデヒド基を有するペプチドに結合することによって、または、N-末端システインを有するペプチドをペプチドのアルデヒドに結合することによって達成することができ、これらの方法は当業者に知られており、文献に記載されている(チャン(Chan)W.C.ら(編者)、Fmoc固相ペプチド合成:実践的アプローチ(Fmoc solid phase peptide synthesis: A practical approach)、オックスフォード大学出版局(Oxford University Press)、オックスフォード、2000年、p243-263;ノヴァバイオケム(Novabiochem) 2004/5カタログ、ペプチドおよび高処理量合成用試薬(Reagents for Peptide and High-Throughput Synthesis)、p.5.2-5.3;ローズ (Rose)K.、米国化学会誌(J. Am. Chem. Soc.)、1994年、116巻、30-33頁;シャオ(Shao)、J.およびタム(Tam)J.P.、1995年、米国化学会誌(J. Am. Chem. Soc.)、117巻、3893-3899頁;フィッシュ(Fisch)I.ら、生物複合体化学(Bioconjugate Chem.)、1992年、3巻、147-153頁;リュー(Liu)C.-F.およびタム(Tam)J.P.、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、1994年、91巻、6584-6588頁)。
【0063】
以下の段落において、本発明の種々のオリゴマーペプチドがいかに共有結合しているかを簡単に記載する。これらのペプチドは全て二量体である。
【0064】
VIR-674:1つのモノマーペプチド鎖のCys6およびCys11と、それぞれ、2つ目の同一のモノマーペプチド鎖のCys6およびCys11との間の、2つのシステイン架橋による結合。
VIR-675:1つのモノマーペプチド鎖のGlu11と、第二の同一のモノマーペプチド鎖のLys16との間の、1つのアミド結合による結合。
VIR-676:1つのモノマーペプチド鎖のGlu11と、第二の同一のモノマーペプチド鎖のLys16との間の、1つのアミド結合による結合。
VIR-677:1つのモノマーペプチド鎖のCys7およびCys12と、それぞれ、2つ目の同一のモノマーペプチド鎖のCys7およびCys12との間の、2つのシステイン架橋による結合。
VIR-678:1つのモノマーペプチド鎖のCys7およびCys12と、それぞれ、2つ目の同一のモノマーペプチド鎖のCys7およびCys12との間の、2つのシステイン架橋による結合。
VIR-679:1つのモノマーペプチド鎖のCys6およびCys11と、それぞれ、2つ目の同一のモノマーペプチド鎖のCys6およびCys11との間の、2つのシステイン架橋による結合。
VIR-680:1つのモノマーペプチド鎖のCys6およびCys11と、それぞれ、2つ目の同一のモノマーペプチド鎖のCys6およびCys11との間の、2つのシステイン架橋による結合。
【0065】
VIR-681:1つのモノマーペプチド鎖のCys6およびCys11と、それぞれ、2つ目の同一のモノマーペプチド鎖のCys6およびCys11との間の、2つのシステイン架橋による結合。
VIR-682:1つのモノマーペプチド鎖のCys6およびCys11と、それぞれ、2つ目の同一のモノマーペプチド鎖のCys6およびCys11との間の、2つのシステイン架橋による結合。
VIR-683:1つのモノマーペプチド鎖のCys6およびCys11と、それぞれ、2つ目の同一のモノマーペプチド鎖のCys6およびCys11との間の、2つのシステイン架橋による結合。
VIR-684:1つのモノマーペプチド鎖のCys6およびCys11と、それぞれ、2つ目の同一のモノマーペプチド鎖のCys6およびCys11との間の、2つのシステイン架橋による結合。
VIR-685: 1つのモノマーペプチド鎖のCys6およびCys11と、それぞれ、2つ目の同一のモノマーペプチド鎖のCys6およびCys11との間の、2つのシステイン架橋による結合。
【0066】
VIR-686: 1つのモノマーペプチド鎖のGlu11と、第二の同一のモノマーペプチド鎖のLys16との間の、1つのアミド結合による結合。
VIR-687:1つの単位のGlu11と、第二の同一のモノマーペプチド鎖のLys16との間の、1つのアミド結合による結合。
VIR-689:1つのモノマーペプチド鎖のGlu11と、第二の同一のモノマーペプチド鎖のLys16との間の、1つのアミド結合による結合。
VIR-690:1つのモノマーペプチド鎖のGlu11と、第二の同一のモノマーペプチド鎖のLys16との間の、1つのアミド結合による結合。
【0067】
VIR-691:1つのモノマーペプチド鎖のGlu11と、第二の同一のモノマーペプチド鎖のLys16との間の、1つのアミド結合による結合。
VIR-692:1つのモノマーペプチド鎖のGlu11と、第二の同一のモノマーペプチド鎖のLys16との間の、1つのアミド結合による結合。
VIR-693: 1つのモノマーペプチド鎖のCys8およびCys13と、それぞれ、2つ目の同一のモノマーペプチド鎖のCys8およびCys13との間の、2つのシステイン架橋による結合。
VIR-694:1つのモノマーペプチド鎖のGlu11と、第二の同一のモノマーペプチド鎖のLys16との間の、1つのアミド結合による結合。
VIR-695:1つのモノマーペプチド鎖のCys6と、第二の同一のモノマーペプチド鎖のCys6との間の、1つのシステイン架橋による結合。
【0068】
VIR-696:1つのモノマーペプチド鎖のCys6と、第二の同一のモノマーペプチド鎖のCys6との間の、1つのシステイン架橋による結合。
VIR-697:1つのモノマーペプチド鎖のCys7と、第二の同一のモノマーペプチド鎖のCys7との間の、1つのシステイン架橋による結合。
VIR-698:1つのモノマーペプチド鎖のCys7と、第二の同一のモノマーペプチド鎖のCys7との間の、1つのシステイン架橋による結合。
VIR-699:1つのモノマーペプチド鎖のCys6と、第二の同一のモノマーペプチド鎖のCys6との間の、1つのシステイン架橋による結合。
VIR-700:1つのモノマーペプチド鎖のCys6と、第二の同一のモノマーペプチド鎖のCys6との間の、1つのシステイン架橋による結合。
【0069】
VIR-701:1つのモノマーペプチド鎖のCys6と、第二の同一のモノマーペプチド鎖のCys6との間の、1つのシステイン架橋による結合。
VIR-702:1つのモノマーペプチド鎖のCys6と、第二の同一のモノマーペプチド鎖のCys6との間の、1つのシステイン架橋による結合。
VIR-703:1つのモノマーペプチド鎖のCys6と、第二の同一のモノマーペプチド鎖のCys6との間の、1つのシステイン架橋による結合。
VIR-704:1つのモノマーペプチド鎖のCys6と、第二の同一のモノマーペプチド鎖のCys6との間の、1つのシステイン架橋による結合。
VIR-705:1つのモノマーペプチド鎖のCys6と、第二の同一のモノマーペプチド鎖のCys6との間の、1つのシステイン架橋による結合。
【0070】
VIR-706:1つのモノマーペプチド鎖のCys6と、第二の同一のモノマーペプチド鎖のCys6との間の、1つのシステイン架橋による結合。
VIR-707:1つのモノマーペプチド鎖のCys6と、第二の同一のモノマーペプチド鎖のCys6との間の、1つのシステイン架橋による結合。
VIR-708:1つのモノマーペプチド鎖のCys6と、第二の同一のモノマーペプチド鎖のCys6との間の、1つのシステイン架橋による結合。
VIR-709:1つのモノマーペプチド鎖のCys6と、第二の同一のモノマーペプチド鎖のCys6との間の、1つのシステイン架橋による結合。
VIR-710:1つのモノマーペプチド鎖のCys6と、第二の同一のモノマーペプチド鎖のCys6との間の、1つのシステイン架橋による結合。
【0071】
VIR-711:1つのモノマーペプチド鎖のCys6と、第二の同一のモノマーペプチド鎖のCys6との間の、1つのシステイン架橋による結合。
VIR-712:1つのモノマーペプチド鎖のCys6と、第二の同一のモノマーペプチド鎖のCys6との間の、1つのシステイン架橋による結合。
VIR-713:1つのモノマーペプチド鎖のCys8と、第二の同一のモノマーペプチド鎖のCys8との間の、1つのシステイン架橋による結合。
VIR-714:1つのモノマーペプチド鎖のCys6と、第二の同一のモノマーペプチド鎖のCys6との間の、1つのシステイン架橋による結合。
VIR-715:1つのモノマーペプチド鎖のCys6と、第二の同一のモノマーペプチド鎖のCys6との間の、1つのシステイン架橋による結合。
【0072】
VIR-716:1つのモノマーペプチド鎖のCys6と、第二の同一のモノマーペプチド鎖のCys6との間の、1つのシステイン架橋による結合。
VIR-717:1つのモノマーペプチド鎖のCys6と、第二の同一のモノマーペプチド鎖のCys6との間の、1つのシステイン架橋による結合。
VIR-718:リシンコアデンドリマーによる結合。
VIR-719:1つのモノマーペプチド鎖のCys6と、第二の同一のモノマーペプチド鎖のCys6との間の、1つのシステイン架橋による結合。
VIR-720: 2つのモノマーペプチド鎖のカルボキシル末端Cys残基の間の、システイン架橋による結合。
【0073】
VIR-721:1つのシステイン架橋による結合であって、このシステイン架橋に加えてCys6およびCys11の間に分子内システイン架橋を含有する1つのモノマーペプチド鎖のCys7と、同様にCys6およびCys11の間に分子内システイン架橋を含有する第二の同一のモノマーペプチド鎖のCys7との間の、システイン架橋による結合。
VIR-722:2つのモノマーペプチド鎖のカルボキシ末端システイン残基の間の、1つのシステイン架橋による結合であって、両者がそれらのCys6およびCys11の間に分子内システイン架橋を含有する。
VIR-723:1つのモノマーペプチド鎖のCys6およびカルボキシ末端Cys残基と、それぞれ、2つ目の同一のモノマーペプチド鎖のCys6およびカルボキシ末端Cys残基との間の、2つのシステイン架橋による結合。これらのオリゴマーペプチドがさらなる修飾を有する場合、モノマーペプチド鎖は、二量化の前、またはより一般的な用語では、オリゴマー化の前に、以下に記載されるとおり修飾される。
【0074】
アミド化ペプチドモノマーは、ペプチド鎖を集めるアミドリンカーを有する樹脂を用いた固相ペプチド合成によって得られる。対応する合成されたペプチドの酸開裂によって、ペプチドアミドを得る。溶液相合成において、C-末端アミノ酸が、実施されたカルボキサミドをC-末端に有するビルディングブロックとして用いられる場合、アミド化されたペプチドが得られる。(チャン(Chan)W.C.ら(編者)、Fmoc固相ペプチド合成:実践的アプローチ(Fmoc solid phase peptide synthesis: A practical approach)、オックスフォード大学出版局(Oxford University Press)、オックスフォード(Oxford)、2000年)。
【0075】
アシル化ペプチドモノマーは、当業者によれば、遊離型アミノ基またはヒドロキシ基を有するペプチドを、ハロゲン化アシルまたはカルボン酸無水物等のカルボン酸由来の活性化アシル化試薬、またはアシル化ペプチドに対応する他の反応性カルボニル化合物を用いて変化させて得られる。代わりに、アシル化は、ホスホニウム-またはウロニウム-型化合物による、in situ活性化された遊離カルボン酸を用いて達成することができる(グリーネ(Greene)T.W.、有機化学における保護基(Protective groups in organic chemistry)、ジョン・ウィレイ・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)、ニューヨーク、1991年; コシエンスキ(Kocienski)P.、保護基(Protecting groups)、ティーメ出版(Thieme-Verlag)、シュトゥットガルト(Stuttgart) 1994年;スィーワルド(Seewald)N.ら、ペプチド:生物学および化学(Peptides: biology and chemistry)、ウィレイ(Wiley)-VCH、ワインハイム(Weinheim)、2002年)。
【0076】
アルキル化ペプチドモノマーは、ペプチド合成を固体支持体上または溶液中で実施する場合、予めアルキル化したアミノ酸ビルディングブロックを組み入れることによって得ることができる。このようなアミノ酸は、当業者に知られた標準的な活性化プロトコルを用いて、ペプチド鎖上に連結される(チャン(Chan)W.C.ら(編者)、Fmoc固相ペプチド合成:実践的アプローチ(Fmoc solid phase peptide synthesis: A practical approach)、オックスフォード大学出版局(Oxford University Press)、オックスフォード(Oxford)、2000年)。また、アルキル化は、当業者に知られた適当なアルキル化法を用いてペプチド鎖を集めた後に達成されてもよい(グリーネ(Greene)T.W.、有機化学における保護基(Protective groups in organic chemistry)、ジョン・ウィレイ・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)、ニューヨーク、1991年; コシエンスキ(Kocienski)P.、保護基(Protecting groups)、ティーメ出版(Thieme-Verlag)、シュトゥットガルト(Stuttgart) 1994年)。このような方法は、部分的に保護されたペプチドにおいて、ペプチド骨格のアミノ-、ヒドロキシル-、チオ-等の反応基およびペプチド結合に適用してもよい。
【0077】
硫酸化ペプチドは、固相または溶液ペプチド合成において、チロシンまたはチロシン誘導体を予め硫酸化したビルディングブロックを用いることによって得られる。2-クロロトリチル樹脂等の高度に酸不安定な樹脂を合成に使用した場合、O-硫酸化物は、樹脂からのペプチド開裂の間、ヒドロキシル基に結合したままである(スィーワルド(Seewald)N.ら、ペプチド:生物学および化学(Peptides: biology and chemistry)、ウィレイ(Wiley)-VCH、ワインハイム(Weinheim)、2002年)。
【0078】
ペギル化ペプチドは、ペプチドの官能基に結合するペギル残基を含有する。ペギル残基は、繰り返し単位-CH2-CH2O-有する親水性の線状または分枝状ポリマー鎖であることを特徴とする。ペギル残基は、好適な、機能的に修飾された反応性ペギル含有物質を用いて、ペプチド鎖を集めた後、ペプチド中に導入される。当業者は、様々な活性化方法によって、種々の活性化ペギル基をペプチドの様々な側鎖または、アミノ、カルボキシル、ヒドロキシルおよびチオ等の末端官能基に結合させることができる(ヴェロンス(Veronese)F.M.ら、Bioconjug. Chem.、2001年、12巻、62-70頁;ヴェロンス(Veronese)F.M.、バイオマテリアルズ(Biomaterials)、2001年、22巻、405-417頁)。
【0079】
ホスホリル化ペプチドは、固相または溶液相ペプチド合成によって合成することができる。通常、ホスホリル化ペプチドの合成は、当業者によれば、ホルホリル化ヒドロキシアミノ酸ビルディングブロックを利用して、および/または、1以上の遊離型ヒドロキシ官能基を有する保護ペプチドの鎖集合後のホスホリル化によって達成される(ムッレイ(Murray)J.S.、バイオポリマーズ(Biopolymers)、2001年、60巻、3-31頁;チャン(Chan)W.C.ら(編者)、Fmoc固相ペプチド合成:実践的アプローチ(Fmoc solid phase peptide synthesis: A practical approach)、オックスフォード大学出版局(Oxford University Press)、オックスフォード(Oxford)、2000年;スィーワルド(Seewald)N.ら、ペプチド:生物学および化学(Peptides: biology and chemistry)、ウィレイ(Wiley)-VCH、ワインハイム(Weinheim)、2002年)。
【0080】
グリコシル化ペプチドは、当業者によれば、ペプチドの固相または溶液相合成に組み込むことができる、グリコシル化アミノ酸ビルディングブロックを用いて、または、国際的な鎖集合後グリコシル化アプローチによって得ることができる(デイビス(Davis)B.G.、Chem. Rev.、2002年、102巻、579-602頁;チャン(Chan)W.C.ら(編者)、Fmoc固相ペプチド合成:実践的アプローチ(Fmoc solid phase peptide synthesis: A practical approach)、オックスフォード大学出版局(Oxford University Press)、オックスフォード(Oxford)、2000年;スィーワルド(Seewald)N.ら、ペプチド:生物学および化学(Peptides: biology and chemistry)、ウィレイ(Wiley)-VCH、ワインハイム(Weinheim)、2002年)。
【0081】
本発明は、本発明のオリゴマーペプチドのモノマーペプチド鎖をコードする核酸分子にも関する。好ましい核酸は、DNAおよびRNAであり、特にcDNAおよびmRNAである。
【0082】
また、本発明の主題は、本発明のペプチドに特異的に結合する抗体でもある。「特異的に」という用語は、当業者に容易に理解される。特に、本発明のペプチドではない、VIRIPのような関連するペプチドに結合しないか、または実質的に結合しない抗体を意味する。当業者は、慣用法によって本発明のペプチドに対する抗体を得、知られているスクリーニング法によって本発明の特異的抗体を選択するであろう。
【0083】
本発明は、HIVのエンベロープタンパク質gp41のN-末端領域と特異的に相互作用し結合するオリゴマーペプチドに関する。「相互作用する」および「結合する」という用語は、当業者に容易に理解される。このような結合および相互作用によって、本発明のオリゴマーペプチドは、HIV粒子による宿主細胞の感染を阻止する。また、本発明は、HIVのgp41の融合ペプチドに対応する合成ペプチドに結合する、オリゴマーペプチドにも関する。当業者は、定量的構造活性相関(QSAR)アッセイを適用することによって、HIVのgp41の合成融合ペプチドへの、本発明のオリゴマーペプチドのいずれかの結合および相互作用を検出する。これらのアッセイは、限定されないが、合成融合ペプチドの溶血作用の抑制の検出(モブレイ(Mobley)P.W.ら、Biochim. Biophys. Acta、1992年、1139巻、251-256頁;ゴードン(Gordon)L.、Biochim. Biophys. Acta、1992年、1139巻、257-274頁)、微小熱量測定(ゴールケ(Gohlke)H.ら、Angew. Chem. Int. Ed. Engl.、2002年、41巻、2644-2676頁)、または化学シフト滴定実験、飽和移動差スペクトル法または二次元技術であり得るNMR-分光技術(メイヤー(Meyer)ら、Ernst Schering Res. Found. ワークショップ、2004年、44巻、149-167頁)を含む。
【0084】
また、本発明は、本発明のオリゴマーペプチド、核酸または抗体を含有する医薬にも関する。この医薬は好ましくは、経口、静脈内、筋肉内、皮内、皮下および/またはくも膜下投与のための製剤において提供される。
【0085】
好ましい具体例において、この医薬は、少なくとも1つのさらなる治療薬を含む。この少なくとも1つのさらなる治療薬は、ウイルス・プロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、融合阻害剤、サイトカイン、サイトカイン阻害剤、グリコシル化阻害剤またはウイルス・mRNA阻害剤等であり得る。好ましくは、このような阻害剤は、HIVをターゲットにする。このような組み合わせの療法は、AIDSの治療に非常に適切である。本発明のペプチド、核酸および抗体は、好ましくは、HIV感染症の治療用医薬の製造に使用される。これは、レトロウイルスHIV(ヒト免疫不全ウイルス)の知られている全ての型、特に、最も一般的な型であるHIV-1を含む。HIV-1は、AIDSの発症に関連する。
【0086】
また、本発明は、本発明のオリゴマーペプチド、核酸および/または抗体を含む診断薬に関する。この診断薬は、単離した血漿、血清、組織、尿、精液および/または髄液のHIV感染を試験するためのアッセイシステムに用いてもよい。
【0087】
また、本発明は、HIVのエンベロープタンパク質gp41、特にgp41のN-末端融合ペプチドに結合する物質を同定するツールとして、本発明のオリゴマーペプチドの少なくとも1つを含む、アッセイシステムに関する。このようなアッセイは、単離形態、ウイルス形態またはあらゆる他の形態、または、gp41のN-最末端からアミノ酸残基が35個以下の長さの合成形態の、全体のgp41タンパク質中に結合される融合ペプチドへの、あらゆる物質の結合を測定するのに好適な、あらゆるシステムであり得る。このようなアッセイは、あらゆる分光学的、細胞性、または放射性リガンドアッセイであり得るが、そのようなアッセイにおいて、本発明のオリゴマーペプチドの少なくとも1つと競合する物質の結合が測定される。本発明のオリゴマーペプチドをツールとして使用する、そのような競合アッセイの結果、HIVgp41への親和性および結合部位特異性が増した物質の同定が達成される。そのような物質は、HIV粒子による細胞性感染を遮断する効力が向上している。それらはAIDS治療のための改良された治療薬として使用することができる。
【0088】
本発明のいくつかのオリゴマーペプチドを化学合成した後、得られた産物の収量および分子量を調べた。全てのペプチドについて、高収量が達成され、理論分子量を確認したが(表1参照)、これは合成方法の成功を反映している。本発明のペプチドを種々の試験に供した。
【0089】
1組目の試験では、本発明のペプチドのHIV感染を阻害する効力を確認した(表2参照)。ペプチドは、HIV-1のNL4-3型に対して試験し、IC50値を計算した。相当の活性を有するペプチドは、IC50値が2000nM以下(VIR-673、配列番号4)、およびIC50値が6500nM(VIR-574、配列番号2;VIR-577、配列番号3)であった。試験したオリゴマーペプチドは、野生型VIRIP (配列番号1)と比較して活性が増加したが;野生型VIRIP (配列番号1)は、それぞれHIVのNL4-3型で試験した場合、IC50値は15,000であった。表2を要約すると、本発明のペプチドは、野生型VIRIPと比較して抗HIV活性が5倍から22倍に上昇していた。
【0090】
2組目の試験では、本発明のペプチドの哺乳類血漿中での安定性を確認した。種々の動物およびヒトから単離した血漿を、規定の濃度の本発明の種々のペプチドでスパイクした。ペプチドはヒト血漿中で、半減期および代謝がかなり向上した。またこれらのペプチドは生体動物の血漿中で向上した安定性を示す。
【0091】
本質的に、本発明のペプチドは抗HIV活性が特徴であり、IC50として表すと6500nM以下であり、最も活性の高いペプチドはIC50が2000nM以下である。本発明の個別のぺプチドは、IC50が800nM未満であった(表1参照)。また、本発明のペプチドは、血漿中の半減期が改善されることも特徴である。
【実施例】
【0092】
実施例1:本発明のペプチドの化学合成
A.モノマーペプチド鎖の合成:
本発明のオリゴマーペプチドのモノマーペプチド鎖を、固相ペプチド合成の原理およびFmocまたはBoc保護基法を利用して化学的に合成したが(アサートン(Atherton)およびシェパード(Sheppard)、1989年、固相ペプチド合成(Solid Phase Peptide Synthesis)、IRLプレス(IRL Press);メリフィールド(Merrifield)、1986年、固相合成(Solid phase synthesis)、サイエンス(Science) 232巻、341-347頁)、溶液相合成、または本発明のペプチドの保護または非保護断片の結合によっても、合成することができる。
【0093】
例として、オリゴマーペプチド VIR-577[アミノ酸配列: LEAIPMCIPPEFLFGKPFVF](配列番号55)のモノマーペプチド鎖の合成を、自動ペプチドシンセサイザ433A(アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems))で、フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)-保護したアミノ酸を用いて、ここに記載する。モノマーペプチドの合成は、負荷容量が樹脂1g当り1mmolの、予め負荷したFmoc-Phe-Wang樹脂を用い、N-メチルピロリジノン(NMP)中の無水酢酸を用いたキャッピング・サイクルが0.1mmolスケールの、標準HBTU[(2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウム-ヘキサフルオロフォスフェート)/HOBt(1-ヒドロキシベンゾトリアゾール)活性化によって実施した。使用したアミノ酸ビルディングブロックの側鎖は以下の通り保護した:Glu(OtBu)、Lys(Boc)、Cys(Trt)。ペプチド鎖集合体のアシル化工程を15〜60分間実施し、それぞれのアシル化後、Fmoc基をNMP中のピペリジンで脱保護した。1位のロイシン残基を脱保護した後、得られた保護ペプチジル樹脂をNMP、2-プロパノールおよびジクロロメタンで洗浄し、その後乾燥した。乾燥樹脂は、トリフルオロ酢酸/エタンジチオール/水(94:3:3、容量/容量/容量、40ml/g樹脂)の新鮮混合物で、室温で2〜4.5時間処理した。混合物を、氷冷したt-ブチルメチルエーテル(TBME)中に濾過し、ペプチドの沈殿を促進した。得られた沈殿は遠心分離で分離し、TBMEで洗浄し、真空下で乾燥した。粗ペプチドは、C18 HPLC分析およびエレクトロスプレイ質量分析(API 100、パーキン・エルマー(Perkin Elmer))を用いて分析した(図1+2)。
【0094】
B.モノマーペプチド鎖の二量体VIR-577へのオリゴマー化
粗モノマーペプチド鎖VIR-577を、ペプチド濃度4mg/mlでCH3CN/H2O(1:4)中に溶解した。溶液に8% DMSOを添加し、希アンモニアでpHを〜8に調製した。溶液を室温で一晩、激しく撹拌した。18時間後、粗混合物を酢酸で酸性化し、分取Vydac C18カラムに負荷した(47x300mm、15-20μm、流速40ml/min;溶媒A、0.07容量% TFA;溶媒B、アセトニトリル/H2O=80:20(容量%)中の0.07容量% TFA;UV検出、215nm;45-70容量%のBで、50分間の勾配溶出)。所望の純粋なオリゴマーペプチドを含有するフラクションは、質量分析(API 100、パーキン・エルマー(Perkin Elmer))およびC18 HPLC分析、あるいはキャピラリーゾーン電気泳動によって検出し、プールして、凍結乾燥により乾燥した。凍結乾燥したオリゴマーペプチドは、C18 HPLC分析(図3)、キャピラリーゾーン電気泳動、および質量分析 (図4)による、純度および分子量の分析に使用した。ペプチド(LEAIPMCIPPEFLFGKPFVF)2 (配列番号3)の収量は7mgであった。
【0095】
C.リシンコアデンドリマーの合成:
リシンコアデンドリマーの合成には、Fmoc-Gly-Wang樹脂またはFmoc-Wang-Ala樹脂を用いる。第一のアミノ酸に、Fmoc-Lys(Fmoc)誘導体またはFmoc-Orn(Fmoc)誘導体を結合させる。NMP中の20%ピペリジンを用いてFmoc脱保護した後、樹脂は2つのアミン官能基を有し、そこで線状VIRIP-ペプチドの合成が標準Fmocサイクルによって実施される。リシンコアは、別のFmoc-Lys(Fmoc)またはFmoc-Orn(Fmoc)誘導体をコアに結合させて容易に延長することができ、線状ペプチド合成のための4つの遊離型アミン基を産生する。例として、VIR-574[アミノ酸配列:(LEAIPMSIPPEFLFGKPFVF)2-K-G](配列番号2)の合成を、自動ペプチドシンセサイザー433A(アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems))でフルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)保護アミノ酸を用いて述べる。合成は、負荷容量が樹脂1g当り0.68mmolの、予め負荷したFmoc-Gly-Wang樹脂を用い、N-メチルピロリジノン(NMP)中の無水酢酸を用いたキャッピング・サイクルが0.1mmolスケールの、標準HBTU[(2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウム-ヘキサフルオロフォスフェート)/HOBt(1-ヒドロキシベンゾトリアゾール)活性化によって実施した。使用したアミノ酸ビルディングブロックの側鎖は以下の通り保護した:Glu(OtBu)、Lys(Boc)、Lys(Fmoc)、Ser(tBu)。ペプチド鎖集合体のアシル化工程を15〜60分間実施し、それぞれのアシル化後、Fmoc基をNMP中のピペリジンで脱保護した。1位のロイシン残基を脱保護した後、得られた保護ペプチジル樹脂をNMP、2-プロパノールおよびジクロロメタンで洗浄し、その後乾燥した。乾燥樹脂は、トリフルオロ酢酸/エタンジチオール/水(94:3:3、容量/容量/容量、40ml/g樹脂)の新鮮混合物で、室温で2〜4.5時間処理した。混合物を、氷冷したt-ブチルメチルエーテル(TBME)中に濾過し、ペプチドの沈殿を促進した。得られた沈殿は遠心分離で分離し、TBMEで洗浄し、真空下で乾燥した。粗オリゴマーペプチドは、希酢酸に溶解し、分取Vydac C18 カラムに負荷した(47x300mm、15-20μm、流速40ml/min;溶媒A、0.07容量% TFA;溶媒B、アセトニトリル/H2O=80:20(容量%)中の0.07容量% TFA;UV検出、215nm;45-70容量%のBで、50分間の勾配溶出)。所望の純粋なオリゴマーペプチドを含有するフラクションは、質量分析(API 100、パーキン・エルマー(Perkin Elmer))およびC18 HPLC分析、あるいはキャピラリーゾーン電気泳動によって検出し、プールして、凍結乾燥により乾燥した。凍結乾燥したオリゴマーペプチドは、C18 HPLC分析(図5)、キャピラリーゾーン電気泳動、および質量分析 (図6)による、純度および分子量の分析に使用した。
【0096】
この合成法は、小規模で多数のペプチド合成にも適応することができた。2つの分子間ジスルフィド結合を有する本発明のオリゴマーペプチドを、ジメチルスルホキシドを用いて、または用いず、pH7.5〜8.5で空気で処理し、続いてヨウ素で処理して、システイン架橋形成を促進し、1つのアセトアミドメチル保護したシステインおよび1つの非保護システインを有する前駆体から出発して、二量体を形成した。
【0097】
D.システインでAcm保護したモノマーペプチド鎖の合成:
本発明のオリゴマーペプチドのモノマーペプチド鎖を、固相ペプチド合成の原理およびFmocまたはBoc保護基法を利用して化学的に合成したが(アサートン(Atherton)およびシェパード(Sheppard)、1989年、固相ペプチド合成(Solid Phase Peptide Synthesis)、IRLプレス(IRL Press);メリフィールド(Merrifield)、1986年、固相合成(Solid phase synthesis)、サイエンス(Science) 232巻、341-347頁)、溶液相合成、または本発明のペプチドの保護または非保護断片の結合によっても、合成することができる。
【0098】
例として、オリゴマーペプチドVIR-705[アミノ酸配列: LEKIPC(Acm)SIPpEVAFNKPFVF](配列番号36)のモノマーAcm保護ペプチド鎖の合成を、自動ペプチドシンセサイザ433A(アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems))で、フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)-保護したアミノ酸を用いて、ここに記載する。モノマーペプチドの合成は、負荷容量が樹脂1g当り1mmolの、予め負荷したFmoc-Phe-Wang樹脂を用い、N-メチルピロリジノン(NMP)中の無水酢酸を用いたキャッピング・サイクルが0.1mmolスケールの、標準HBTU[(2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウム-ヘキサフルオロフォスフェート)/HOBt(1-ヒドロキシベンゾトリアゾール)活性化によって実施した。使用したアミノ酸ビルディングブロックの側鎖は以下の通り保護した:Glu(OtBu)、Asn(Trt)、Lys(Boc)、Ser(tBu)、Cys(Acm)。ペプチド鎖集合体のアシル化工程を15〜60分間実施し、それぞれのアシル化後、Fmoc基をNMP中のピペリジンで脱保護した。1位のロイシン残基を脱保護した後、得られた保護ペプチジル樹脂をNMP、2-プロパノールおよびジクロロメタンで洗浄し、その後乾燥した。乾燥樹脂は、トリフルオロ酢酸/エタンジチオール/水(94:3:3、容量/容量/容量、40ml/g樹脂)の新鮮混合物で、室温で2〜4.5時間処理した。混合物を、氷冷したt-ブチルメチルエーテル(TBME)中に濾過し、ペプチドの沈殿を促進した。得られた沈殿は遠心分離で分離し、TBMEで洗浄し、真空下で乾燥した。粗ペプチドは、C18 HPLC分析およびエレクトロスプレイ質量分析(API 100、パーキン・エルマー(Perkin Elmer))を用いて分析した(図8+9)。
【0099】
E.モノマーAcm保護ペプチド鎖の二量体VIR-705へのオリゴマー化:
粗モノマーペプチド鎖VIR-577を、ペプチド濃度6mg/mlでHOAc/H2O(4:1)中に溶解した。溶液に、HOAc中の0.05M I2溶液を4等量添加した。溶液を室温で60分間、激しく撹拌し、残ったI2をアスコルビン酸溶液で還元した。粗混合物を5倍容量の水で希釈し、分取Vydac C18カラムに負荷した(47x300mm、15-20μm、流速40ml/min;溶媒A、0.07容量% TFA;溶媒B、アセトニトリル/H2O=80:20(容量%)中の0.07容量% TFA;UV検出、215nm;45-70容量%のBで、50分間の勾配溶出)。所望の純粋なオリゴマーペプチドを含有するフラクションは、質量分析(API 100、パーキン・エルマー(Perkin Elmer))およびC18 HPLC分析、あるいはキャピラリーゾーン電気泳動によって検出し、プールして、凍結乾燥により乾燥した。凍結乾燥したオリゴマーペプチドは、C18 HPLC分析(図10)、キャピラリーゾーン電気泳動、および質量分析 (図11)による、純度および分子量の分析に使用した。ペプチド(LEKIPCSIPpEVAFNKPFVF)2(配列番号36)の収量は97mgであった。
【0100】
本発明のオリゴマーペプチドの合成方法を、本発明の精製ペプチド1g〜5gを産する、0.5〜20mmolの範囲のより大きな規模に適用した。
【0101】
これらの一般的合成アプローチを用いて、他のものの中から表1に示したオリゴマーペプチドを合成し、クロマトグラフィーで最大98%まで精製し、分析した:
【0102】
【表1】

【0103】
VIR-577はホモ二量体であり;分子間ジスルフィド架橋が7位のアミノ酸のシステインで起こる。VIR-574はリシンコア結合ホモ二量体である。VIR-673はシステイン残基およびPEG-スペーサーを有し、システインとペプチド配列の間でジスルフィド結合したホモ二量体である。VIR-705はホモ二量体であり;分子間ジスルフィド架橋が6位のアミノ酸のシステインで起こる。VIR-706はホモ二量体であり;分子間ジスルフィド架橋が6位のアミノ酸のシステインで起こる。VIR-712はホモ二量体であり;分子間ジスルフィド架橋が6位のアミノ酸のシステインで起こる。VIR-716はホモ二量体であり;分子間ジスルフィド架橋が6位のアミノ酸のシステインで起こる。VIR-717はホモ二量体であり;分子間ジスルフィド架橋が6位のアミノ酸のシステインで起こる。
【0104】
実施例2:本発明のオリゴマーペプチドによるHIV感染の阻害
一次CD4受容体および主要なHIV-1侵入補因子であるCXCR4およびCCR5の両方を発現する、P4-CCR5指標細胞(シャーニュ(Charneau)ら、1994年;分子生物学ジャーナル(Journal of Molecular Biology) 241巻、651-662頁)を用い、本発明のオリゴマーペプチドがHIV-1感染の有力な阻害剤であるか評価した。これらの細胞は、HIV-1プロモータの制御下でβ-ガラクトシダーゼ受容体遺伝子を含有する。従って、β-ガラクトシダーゼ受容体遺伝子の活性化によって、HIV-1感染の効率を測定することができ、故にHIV-1阻害剤の効力を定量化することができる(デトユクス(Detheux)M.ら、2000年;実験医学ジャーナル(Journal of Experimental Medicine) 192巻、1501-1508頁;ミュンフ(Munch)ら、2002年; 抗菌剤および化学療法(Antimicrobial Agents and Chemotherapy) 46巻、982-990頁)。
【0105】
代表的な感染アッセイを実施するため、P4-CCR5細胞(シャーニュ(Charneau)ら、1994年;分子生物学ジャーナル(Journal of Molecular Biology) 241巻、651-662頁;シャーニュ(Charneau)ら、ウイルス学(Virology). 1994年 205巻、247-53頁)を、10容量%のFCSを追加したRPMI 1640培地中に保持した。この細胞系は、CD4およびHIV-1コレセプタであるCCR5およびCXCR4の両方を共発現し、HIV-1プロモータの制御下でβ-ガラクトシダーゼ遺伝子を含有する。ウイルスのストックは、記載された通りのカルシウム共沈法(デトユクス(Detheux)ら、J Exp Med. 192巻:1501-8頁;2000年)によって生産し、p24抗原レベルを、NIH AIDSリージェント・プログラムで得られるHIV p24 ELISAキットを用いて定量した。細胞を平底の96穴皿に播種し、一晩培養し、培地総量50ml中に1ngのp24抗原を含むウイルスで感染させる前に、様々な量のペプチドと共にインキュベートした。一晩インキュベーションした後、細胞を2回洗浄し、阻害ペプチドを含まない新鮮な培地で培養した。感染3日後、細胞を溶解し、ガラクト-ライト・プラス(Galacto-Light PlusTm)化学発光受容体アッセイキット(トロピックス(Tropix)、ベッドフォード、マサチューセッツ州)を用いて製造元の推奨通りに感染率を定量した。全ての感染は5部実施した。
【0106】
このアッセイの結果により、本発明のオリゴマーペプチドは、VIRIPと比較して、抗HIV-1活性が非常に増強していることが示される。本発明のオリゴマーペプチドは、最大22倍まで、X4屈性のHIV-1 NL4-3によって感染を阻害した(表2)。これらのデータから、野生型VIRIP配列のオリゴマー化および特別な修飾により、本発明のオリゴマーペプチドの抗HIV-1効力が非常に増強されることが示される。以下に、記載した感染アッセイから得られた、本発明のペプチドのIC50値を示す。
【0107】
【表2】

【0108】
VIR-577はホモ二量体であり;分子間ジスルフィド架橋が7位のアミノ酸のシステインで起こる。VIR-574はリシンコア結合ホモ二量体である。VIR-673はシステイン残基およびPEG-スペーサーを有し、システインとペプチド配列の間でジスルフィド結合したホモ二量体である。VIR-705はホモ二量体であり;分子間ジスルフィド架橋が6位のアミノ酸のシステインで起こる。VIR-706はホモ二量体であり;分子間ジスルフィド架橋が6位のアミノ酸のシステインで起こる。VIR-712はホモ二量体であり;分子間ジスルフィド架橋が6位のアミノ酸のシステインで起こる。VIR-716はホモ二量体であり;分子間ジスルフィド架橋が6位のアミノ酸のシステインで起こる。VIR-717はホモ二量体であり;分子間ジスルフィド架橋が6位のアミノ酸のシステインで起こる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】図1は、VIR-577モノマー[LEAIPMCIPPEFLFGKPFVF](配列番号55)のC18 HPLCの痕跡である。条件:Vydac C18 (4.6×250mm、300A、5μm、流速: 0.8ml/分、勾配: 30分間で10-70容量%のB、緩衝液A: 0.07容量% TFA、緩衝液B: 0.05容量% TFA、80容量%アセトニトリル)。
【図2】図2は、VIR-577モノマー[LEAIPMCIPPEFLFGKPFVF](配列番号55)のエレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI-MS)である。質量分析は、Sciex API 100質量分析計を用いて記録した。[M+2H]2+ (m/z 1148.5)および[M+1H]1+ (m/z 2296.5)の分子イオンを示す。
【図3】図3は、VIR-577[(LEAIPMCIPPEFLFGKPFVF)2](配列番号3)のC18 HPLCの痕跡である。条件:Vydac C18 (4.6×250mm、300A、5μm、流速: 0.8ml/分、勾配: 30分間で10-70容量%のB、緩衝液A: 0.07容量% TFA、緩衝液B: 0.05容量% TFA、80容量%アセトニトリル)。
【図4】図4は、VIR-577[(LEAIPMCIPPEFLFGKPFVF)2](配列番号3)のエレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI-MS)である。質量分析は、Sciex API 100質量分析計を用いて記録した。[M+4H]4+ (m/z 1148.5)、[M+3H]3+ (m/z 1531.0)および[M+2H]2+ (m/z 2294.5)の分子イオンを示す。
【図5】図5は、VIR-574[ (LEAIPMSIPPEFLFGKPFVF)2-K-G](配列番号2)のC18 HPLCの痕跡である。条件:Vydac C18 (4.6(250mm、300A、5μm、流速: 0.8ml/分、勾配: 30分間で10-70容量%のB、緩衝液A: 0.07容量% TFA、緩衝液B: 0.05容量% TFA、80容量%アセトニトリル)。
【図6】図6は、VIR-577[(LEAIPMSIPPEFLFGKPFVF)2-K-G](配列番号2)のエレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI-MS)である。質量分析は、Sciex API 100質量分析計を用いて記録した。[M+4H]4+ (m/z 1183.0)、[M+3H]3+ (m/z 1576.5)および[M+2H]2+ (m/z 2364.0)の分子イオンを示す。
【図7】図7は、リシンコアデンドリマーの一例の、VIR-574[(LEAIPMSIPPEFLFGKPFVF)2-K-G](配列番号2)の化学構造図である。
【図8】図8は、VIR-705モノマー[LEKIPC(Acm)SIPpEVAFNKPFVF](配列番号36)のC18 HPLCの痕跡である。条件:Vydac C18 (4.6×250mm、300A、5μm、流速: 0.8ml/分、勾配: 60分間で10-70容量%のB、緩衝液A: 0.07容量% TFA、緩衝液B: 0.05容量% TFA、80容量%アセトニトリル)。
【図9】図9は、VIR-705モノマー[LEKIPC(Acm)SIPpEVAFNKPFVF](配列番号36)のエレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI-MS)である。質量分析は、Sciex API 100質量分析計を用いて記録した。[M+3H]3+ (m/z 696.5)、[M+2H]2+ (m/z 1174.5)および[M+1H]1+ (m/z 2347.5)の分子イオンを示す。
【図10】図10は、VIR-705二量体[(LEKIPCSIPpEVAFNKPFVF)2](配列番号36)のC18 HPLCの痕跡である。条件:Vydac C18 (4.6×250mm、300A、5μm、流速: 0.8ml/分、勾配: 30分間で10-70容量%のB、緩衝液A: 0.07容量% TFA、緩衝液B: 0.05容量% TFA、80容量%アセトニトリル)。
【図11】図11は、VIR-705二量体[(LEKIPCSIPpEVAFNKPFVF)2](配列番号36)のエレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI-MS)である。質量分析は、Sciex API 100質量分析計を用いて記録した。[M+4H]4+ (m/z 1138.5)、[M+3H]3+ (m/z 1517.5)および[M+2H]2+ (m/z 2276.0)の分子イオンを示す。
【図12】本発明のペプチドのIC50値を示す。
【0110】
略語:
AIDS: 後天性免疫不全症候群(aquired immuno-deficiency syndrome)
Boc: t-ブチルオキシカルボニル(tert-butyloxycarbonyl)
CXCR4: CXCケモカイン受容体4(CXC chemokine receptor 4)
CCR5: CCケモカイン受容体5(CC chemokine recptor 5)
ESI-MS: エレクトロスプレーイオン化質量分析
(electrospray ionization-mass spectrometry)
FP: 融合ペプチド(fusion peptide)
HIV: ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus)
HPLC: 高速液体クロマトグラフィー
(high performance liquid chromatography)
HR-1、HR-2: 7個の繰り返し1、2(heptad repeat 1、2)
MALDI-TOF: マトリックス支援レーザー脱離イオン化
(matrix-assisted laser desorption/ionization-time-of-flight)
小型PEG: -NH-(CH2)2-O-(CH2)2-O-CH2-CO-NH-(CH2)2-O-(CH2)2-O-CH2-CO-NH2
NMR: 核磁気共鳴(nuclear magnetic resonance)
Oic: オクタヒドロインドリル-2-カルボン酸
(octahydroindolyl-2-carboxylic acid)
PEG: ペギル(pegyl)、ポリオキシエチレングリコール
(polyoxyethyleneglycol)
QSAR: 定量的構造活性相関(quantitative structure-activity relationship)
TBu: t-ブチル(tert-butyl)
TFA: トリフルオロ酢酸(trifluoroacetic acid)
Tic: 1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸
(1,2,3,4-tetrahydroisoquinoline-3-carboxylic acid)
Trt: トリチル(trityl)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
HIVによる感染症に対する生物活性を有するオリゴマーペプチドであって、アミノ酸配列
(Z1-LE-X1-IP-X2-X3-X4-P-X5-X6-X7-X8-X9-X10-K-X11-X12-X13-X14-X15-Z2)n
のモノマーペプチド鎖、および、その断片および/または誘導体、特に、アミド化、アルキル化、アシル化、硫酸化、ペギル化、ホルホリル化および/またはグリコシル化誘導体であるオリゴマーペプチド、およびそれらの変異体を含む、オリゴマーペプチド。
式中、
nは、モノマーペプチド鎖の数を表し、従ってnは、2、3または4であり;
X1は、リシン、アラニン、またはアスパラギン酸であり;
X2は、システイン、メチオニンまたはイソロイシンであり;
X3は、セリン、システイン、リシンまたはグリシンであり;
X4は、イソロイシン、アラニン、フェニルアラニンまたはシステインであり;
X5は、プロリン、D-プロリンまたは置換L-またはD-プロリンであり;
X6は、システインまたはグルタミン酸であり;
X7は、疎水性または芳香族側鎖を有するアミノ酸またはシステインであり;
X8は、疎水性または芳香族側鎖を有するアミノ酸またはシステインであり;
X9は、芳香族側鎖を有するアミノ酸であり;
X10は、グリシン、アラニンまたはアスパラギンであり;
X11は、プロリン、アスパラギン酸、オクタヒドロインドリル-2-カルボン酸またはD-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸であり;
X12は、フェニルアラニン、アラニン、グリシン、グルタミン酸またはD-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸であり;
X13は、疎水性または芳香族側鎖を有するアミノ酸であり;
X14は、疎水性または芳香族側鎖を有するアミノ酸であり;
X15は、フェニルアラニンまたは欠失部分であり;
Z1は、NH2または1〜10個のアミノ酸残基の配列であり;
Z2は、COOHまたは1〜10個のアミノ酸残基の配列であり;
ただし、
(a)X12がアラニン、グリシン、グルタミン酸、またはD-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸であるならば、X13、X14およびX15はそれぞれ、フェニルアラニン、バリンおよびフェニルアラニンであり;および/または
(b)X12がフェニルアラニンであるならば、X13、X14およびX15はそれぞれ、バリン、フェニルアラニンおよび欠失部分であり;および
(c) オリゴマーペプチドのいずれのモノマーペプチド鎖にも、最大3個のシステイン残基があり;および
(d)該オリゴマーペプチドは(LEAIPCSIPPEFLFGKPFVF)2(VIR-576)ではなく;および
(e)該モノマーペプチド鎖は、1つのペプチド鎖のN-末端ともう1つのペプチド鎖のC-末端との間がペプチド結合で結合されない。
【請求項2】
請求項1に記載の、HIVによる感染症に対する生物活性を有し、アミノ酸配列
(Z1-LE-X1-IP-X2-X3-X4-P-X5-X6-X7-X8-X9-X10-K-X11-FVF-Z2)n
を有するオリゴマーペプチド、および、その断片および/または誘導体、特にアミド化、アルキル化、アシル化、硫酸化、ペギル化、ホルホリル化および/またはグリコシル化誘導体であるオリゴマーペプチド、およびそれらの変異体。
式中、
nは、モノマーペプチドの数を表し、従ってnは、2、3または4であり;
X1は、リシン、アラニン、またはアスパラギン酸であり;
X2は、システイン、メチオニンまたはイソロイシンであり;
X3は、セリン、システインまたはグリシンであり;
X4は、イソロイシンまたはシステインであり;
X5は、プロリン、D-プロリンまたはあらゆる置換L-またはD-プロリンであり;
X6は、システインまたはグルタミン酸であり;
X7は、フェニルアラニン、システイン、バリン、イソロイシンまたは3,3-ジフェニルアラニンであり;
X8は、フェニルアラニン、ロイシン、アラニン、グリシン、システイン、D-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸またはL-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸であり;
X9は、芳香族側鎖を有するアミノ酸であり;
X10は、グリシンまたはアスパラギンであり;
X11は、プロリンまたはD-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸であり;
Z1は、NH2または1〜10個のアミノ酸残基の配列であり;
Z2は、COOHまたは1〜10個のアミノ酸残基の配列である。
【請求項3】
請求項1〜2に記載の、HIVによる感染症に対する生物活性を有し、アミノ酸配列
(Z1-LE-X1-IP-X2-X3-IP-X5-X6-X7-X8-F-X10-KPFVF-Z2)n
を有するオリゴマーペプチド、および、断片および/または誘導体、特に、アミド化、アルキル化、アシル化、硫酸化、ペギル化、ホルホリル化および/またはグリコシル化誘導体であるオリゴマーペプチド、およびそれらの変異体。
式中、
nは、モノマーペプチド鎖の数を表し、従ってnは、2、3または4であり;
X1は、リシン、アラニンまたはアスパラギン酸であり;
X2は、システイン、メチオニンまたはイソロイシンであり;
X3は、セリンまたはグリシンであり;
X5は、L-プロリン、D-プロリンまたはあらゆる置換L-またはD-プロリンであり;
X6は、システインまたはグルタミン酸であり;
X7は、フェニルアラニンまたはバリンであり;
X8は、フェニルアラニン、ロイシン、アラニンまたはL-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸であり;
X10は、グリシンまたはアスパラギンであり;
Z1は、NH2または1〜10個のアミノ酸残基の配列であり;
Z2は、COOHまたは1〜10個のアミノ酸残基の配列である。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の、HIV感染症に対する生物活性を有し、アミノ酸配列
(Z1-LEAIP-X2-SIP-X5-X6-V-X8-FNKPFVF-Z2)n
を有するオリゴマーペプチド、および、断片および/または誘導体、特に、アミド化、アルキル化、アシル化、硫酸化、ペギル化、ホルホリル化および/またはグリコシル化誘導体であるペプチド、およびそれらの変異体。
式中、
nは、モノマーペプチド鎖の数を表し、従ってnは、2、3または4であり;
X2およびX6は、システインであるか、または、X2がメチオニンであり、かつX6がグルタミン酸であり;
X5は、D-プロリンまたはL-プロリンであり;
X8は、疎水性または芳香族側鎖を有するアミノ酸またはリシンであり;
Z1は、NH2または1〜10個のアミノ酸残基の配列であり;
Z2は、COOHまたは1〜10個のアミノ酸残基の配列であり;
ただし、以下のうち、少なくとも1つが当てはまる:
X2およびX6がシステインである;
X5がD-プロリンである;または
X8がリシンではない。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のオリゴマーペプチドであって、該モノマーペプチド鎖が架橋されている、オリゴマーペプチド。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のオリゴマーペプチドであって、6位と11位、6位と12位、7位と12位、または8位と13位のシステイン残基が、分子内ジスルフィド結合によって結合されている、オリゴマーペプチド。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のオリゴマーペプチドであって、1位のアミノ酸のロイシン残基と2位のアミノ酸のグルタミン酸が、N-アルキル化アミド結合またはエステル結合または還元ペプチド結合またはretro-inverso型ペプチド結合またはN-アルキル化retro-inverso型ペプチド結合によって、共有結合で結合されている、オリゴマーペプチド。
【請求項8】
請求項1〜5または7のいずれかに記載のオリゴマーペプチドであって、少なくとも2つのモノマーペプチド鎖が両者とも、少なくとも1つの単独のシステイン残基を有し、それらが互いにジスルフィド結合によって共有結合で結合されている、オリゴマーペプチド。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載のオリゴマーペプチドであって、該モノマーペプチド鎖が、酸性アミノ酸側鎖のCOOH基と塩基性アミノ酸側鎖のNH2基との間の少なくとも1つのアミド結合で、互いに共有結合で結合されている、オリゴマーペプチド。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載のオリゴマーペプチドであって、該モノマーペプチド鎖が、2つのチオール基を有する有機スペーサー、2つのアミノ基を有する有機スペーサー、2つのカルボキシル基を有する有機スペーサーおよび1つのカルボキシル基および1つのアミノ基を有する有機スペーサーの群から選択される、二官能性スペーサー分子で互いに結合されている、オリゴマーペプチド。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載のオリゴマーペプチドであって、2または4個のモノマーペプチド鎖、および該モノマーペプチド鎖に共有結合で結合している少なくとも1つのリシンコアを含む、オリゴマーペプチド。
【請求項12】
以下のアミノ酸配列の1つを有する、請求項1〜11のいずれかに記載のペプチド:
VIR-574 (LEAIPMSIPPEFLFGKPFVF)2-K-G 配列番号2
VIR-577 (LEAIPMCIPPEFLFGKPFVF)2 配列番号3
VIR-673 (LEAIPMSIPPEFLFGKPFVF-小型PEG-C-アミド)2 配列番号4
VIR-674 (LEAIPCSIPPCVA(D-Tic)NKP(D-Tic)FVF)2 配列番号5
VIR-675 (LEAIPMSIPPEFLFGKPFVF)2 配列番号6
VIR-676 (LEAIPMSIPpE(3,3-ジフェニルアラニン)AFNKPFVF)2 配列番号7
VIR-677 (LEAIPMCIPPECFFNKPFVF)2 配列番号8
VIR-678 (LEAIPMCIPPECLFGKPFVF)2 配列番号9
VIR-679 (LEAIPCSIPPCVFFGKPFVF)2 配列番号10
VIR-680 (LEAIPCSIPPCFLFGKPFVF)2 配列番号11
VIR-681 (LEAIPCSIPpCVGFGKPFVF)2 配列番号12
VIR-682 (LEAIPCSIPpCVFFNKPFVF)2 配列番号13
VIR-683 (LEAIPCSIPpCFLFNKPFVF)2 配列番号14
VIR-684 (LEDIPCSIPpCVAFNKPFVF)2 配列番号15
VIR-685 (LEKIPCSIPpCVAFNKPFVF)2 配列番号16
VIR-686 (LEAIPMGIPpEV(D-Tic)FNKPFVF)2 配列番号17
VIR-687 (LEAIPMGIPpEV(L-Tic)FNKPFVF)2 配列番号18
VIR-688 (LEKIPMSIPpEV(D-Tic)FNKPFVF)2 配列番号19
VIR-689 (LEKIPMSIPpEV(L-Tic)FNKPFVF)2 配列番号20
VIR-690 (LEKIPIGIPpEV(D-Tic)FNKPFVF)2 配列番号21
VIR-691 (LEKIPIGIPpEV(L-Tic)FNKPFVF)2 配列番号22
VIR-692 (N-Me-LEAIPMSIPPEFLFGKPFVF)2 配列番号23
VIR-693 (LEAIPMSCPPEFCFGKPFVF)2 配列番号24
VIR-694 (LEAIPMSIPPEFLFGKPFVF-小型PEG)2 配列番号25
VIR-695 (LEAIPCSIPPEVA(D-Tic)NKP(D-Tic)FVF)2 配列番号26
VIR-696 (LEAIPCSIPpE(3,3-ジフェニルアラニン)AFNKPFVF)2 配列番号27
VIR-697 (LEAIPMCIPPEVFFNKPFVF)2 配列番号28
VIR-698 (LEAIPMCIPPEVLFGKPFVF)2 配列番号29
VIR-699 (LEAIPCSIPPEVFFGKPFVF)2 配列番号30
VIR-700 (LEAIPCSIPPEFLFGKPFVF)2 配列番号31
VIR-701 (LEAIPCSIPpEVGFGKPFVF)2 配列番号32
VIR-702 (LEAIPCSIPpEVFFNKPFVF)2 配列番号33
VIR-703 (LEAIPCSIPpEFLFNKPFVF)2 配列番号34
VIR-704 (LEDIPCSIPpEVAFNKPFVF)2 配列番号35
VIR-705 (LEKIPCSIPpEVAFNKPFVF) 2 配列番号36
VIR-706 (LEAIPCGIPpEV(D-Tic)FNKPFVF)2 配列番号37
VIR-707 (LEAIPCGIPpEV(L-Tic)FNKPFVF)2 配列番号38
VIR-708 (LEKIPCSIPpEV(D-Tic)FNKPFVF)2 配列番号39
VIR-709 (LEKIPCSIPpEV(L-Tic)FNKPFVF)2 配列番号40
VIR-710 (LEKIPCGIPpEV(D-Tic)FNKPFVF)2 配列番号41
VIR-711 (LEKIPCGIPpEV(L-Tic)FNKPFVF)2 配列番号42
VIR-712 (N-Me-LEAIPCSIPPEFLFGKPFVF)2 配列番号43
VIR-713 (LEAIPMSCPPEFLFGKPFVF)2 配列番号44
VIR-714 (LEAIPCSIPPEFLFGKPFVF-(小型PEG)2-アミド)2 配列番号45
VIR-715 (N-Me-LEAIPCSIPPEFLFGKPFVF-(小型PEG)2-アミド)2 配列番号46
VIR-716 (N-Me-LEKIPCSIPPEFLFGKPFVF)2 配列番号47
VIR-717 (N-Me-LEDIPCSIPPEFLFGKPFVF)2 配列番号48
VIR-718 (LEKIPIGIPpEV(L-Tic)FNKPFVF) 2-KA 配列番号49
VIR-719 (N-Me-LEAIPCSIPpEFLFGKPFVF)2 配列番号50
VIR-720 (LEKIPIGIPpEV(L-Tic)FNKPFVF-小型PEG-C)2 配列番号51
VIR-721 (LEKIPCCIPpCVAFNKPFVF)2 配列番号52
VIR-722 (N-Me-LEDIPCSIPpCVAFNKPFVF-小型PEG-C)2 配列番号53
VIR-723 (LEAIPCSIPPEFLFGKPFVF-(小型PEG)2-C)2 配列番号54
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載のオリゴマーペプチドであって、HIVの融合ペプチドと相互作用する、オリゴマーペプチド。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載のオリゴマーペプチドであって、VIR-574、VIR-577およびVIR-673等の、IC50が6500nM以下である、オリゴマーペプチド。
【請求項15】
請求項12に記載のいずれかのモノマーペプチドのモノマーペプチド鎖をコードする核酸であって、VIR-674、VIR-675、VIR-676、VIR-677、VIR-678、VIR-679、VIR-680、VIR-681、VIR-682、VIR-683、VIR-684、VIR-685、VIR-686、VIR-687、VIR-688、VIR-689、VIR-690、VIR-691、VIR-692、VIR-693およびVIR-694のモノマーペプチド鎖をコードする核酸を除く、核酸。
【請求項16】
請求項1〜12のいずれかに記載のオリゴマーペプチドに特異的に結合する抗体。
【請求項17】
請求項1〜14のいずれかに記載のオリゴマーペプチドの少なくとも1つ、請求項15の核酸および/または請求項16の抗体を含む、医薬。
【請求項18】
請求項17に記載の医薬であって、経口、静脈内、筋肉内、皮内、皮下および/またはくも膜下投与のための製剤である、医薬。
【請求項19】
請求項17または18の医薬であって、少なくとも1つのさらなる治療薬を含む、医薬。
【請求項20】
請求項19の医薬であって、該少なくとも1つのさらなる治療薬が、ウイルス・プロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、融合阻害剤、サイトカイン、サイトカイン阻害剤、グリコシル化阻害剤またはウイルス・mRNA阻害剤である、医薬。
【請求項21】
請求項1〜12のいずれかに記載のオリゴマーペプチドの、HIV感染症の治療用医薬の製造のための、使用。
【請求項22】
請求項1〜12のいずれかに記載のオリゴマーペプチドの少なくとも1つを含む、HIVの融合ペプチドと相互作用する能力のある分子を見つけ出すためのアッセイ。
【請求項23】
請求項22に記載のアッセイにおける、請求項1〜12のいずれかに記載のオリゴマーペプチドの使用。
【請求項24】
請求項1〜12のいずれかに記載のオリゴマーペプチドの少なくとも1つ、請求項15に記載の核酸および/または請求項16に記載の抗体を含む、診断薬。
【請求項25】
請求項24に記載の診断薬の使用であって、単離した血液、血漿、組織、尿、精液および/または髄液のHIV感染を試験するための使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公表番号】特表2008−505854(P2008−505854A)
【公表日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515966(P2007−515966)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【国際出願番号】PCT/EP2005/052833
【国際公開番号】WO2005/123771
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(502156559)イーペーエフ ファルマシューティカルス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (4)
【Fターム(参考)】