説明

オリゴ糖溶液を用いて粒状経口組成物を製造する方法

【課題】粉末状の経口素材の成型(造粒)に際して、オリゴ糖溶液を結合剤として用いることで、オリゴ糖以外の結合剤を用いずに成型(造粒)できるのみならず、液体懸濁時および液体非懸濁時において良好な口内感を有する顆粒状の経口組成物を提供する。
【解決手段】オリゴ糖を流動層造粒法の噴霧液に溶解して、粉末状の経口素材に噴霧することにより、オリゴ糖を結合剤として該経口素材を造粒する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結合剤にオリゴ糖溶液を用いて、粉末状の経口素材を造粒して得られる経口組成物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国民の健康に対する関心の高まりから、毎日摂取する食物を通して健康を維持する試みが注目を集めている。なかでも、生体内機能性成分を含む種々の粉末状の経口素材の開発は目覚しく、それらは種々の形状の製品として提供され、なかでも、顆粒剤で提供され、消費する直前に内服可能な液体に溶解または分散した食品の人気が高い。
【0003】
しかしながら、粉末状の経口素材を顆粒剤に成型(造粒)する場合、それ自身は粘着性に乏しいことが多く、単純にこれらを用いて湿式造粒法等で成型(造粒)しても、製造工程や商品として流通する工程で簡単に破損、崩壊すること、また成型(造粒)上問題ない場合においても、液体懸濁時の口内感が劣ること等の問題がある。この点を解決する手段としては、結合剤を用いることが考えられ、特許文献1等に記載されるように既に公知技術として汎用されている。すなわち、粉末状の経口素材を造粒するに際して汎用される結合剤は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、プルラン、デンプン、デキストリン、グアガム等があるが、これら結合剤を用いることで良好な顆粒が得られることは広く知られている。
【0004】
しかしながら、結合剤を用いると、一単位の顆粒剤に配合する生体内機能性成分の含量が減少し、その分、一度に摂取する顆粒剤の量が多くなってしまうという問題を有していた。また、健康上および嗜好上の理由から、結合剤が添加されたものよりも、できるだけ摂取を目的とする生体内機能性成分を含む経口素材のみで調製されたものが消費者に望まれている。そのため、結合剤を使用しないエリスリトール含有顆粒剤の製造方法(特許文献2)、生薬成分のみで造粒した製剤(特許文献3)等、一部の粉末については結合剤を添加せずに成型(造粒)できる技術が公知となっているものの、それら技術は多くの経口粉末素材について汎用できるまでには至っていない。
【0005】
一方、生体内機能性成分の中でも、オリゴ糖といった糖類や、それらの分解生成物はそれらが消化管で発揮する生理活性が注目され近年非常に研究されている分野でもある。オリゴ糖は摂取後それらが大腸にて作用し、腸内有用菌であるビフィズス菌を選択的に増殖させることが知られている。また、オリゴ糖は優れた甘味を有するため、呈味改善目的で種々の食品へ利用できることが報告されている(特許文献4、特許文献5を参照)。さらに、オリゴ糖は水にぬれ易い特性を有し、成型の際に結合剤に補助的に添加することで成形性の改善に寄与することが知られている(特許文献6)。
【0006】
しかしながら、粉末状の経口素材を顆粒剤に成型(造粒)する場合に、結合剤的にオリゴ糖を利用することは全く知られておらず、また、そのようにして提供された顆粒剤の口内感についての報告はなされていない。
【特許文献1】特開平7-188058
【特許文献2】特開2000-119173
【特許文献3】特開2004-160165
【特許文献4】特開平10-210957
【特許文献5】特開2004-161701
【特許文献6】PCT WO 00/48575
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、粉末状の経口素材の成型(造粒)に際して、オリゴ糖溶液を結合剤として用いることで、オリゴ糖以外の結合剤を用いずに成型(造粒)できるのみならず、液体懸濁時および液体非懸濁時において良好な口内感を有する顆粒状の経口組成物を提供する。
【発明を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明者は、生体内で有用な機能を有し、消費者に摂取が求められている食品素材を用いて、粉末状の経口素材を成型(造粒)することを鋭意検討した結果、オリゴ糖溶液を結合剤的に用いることで、十分成型(造粒)できるのみならず、液体懸濁時の良好な口当たりを有し、かつ、液体非懸濁時の口腔内滞留性が改善された顆粒状の経口組成物を得ることができた。
【0009】
即ち、本発明は、オリゴ糖溶液を使用して、粉末状の経口素材を造粒することからなる粒状経口組成物の製造方法である。
本発明に関わる経口組成物は、粉末状の経口素材に対して、オリゴ糖溶液を結合剤的に使用することによって得ることができ、更に飲食物として摂取することができる。
〔発明の効果〕
【0010】
本発明によれば、粉末状の経口素材にオリゴ糖溶液を結合剤的に用いることで、オリゴ糖以外の結合剤を用いずに成型(造粒)できるのみならず、液体懸濁時の良好な口当たりを有し、かつ、液体非懸濁時の口腔内滞留性が改善された顆粒状の経口組成物が提供される。また、本発明の経口組成物は、取扱いが容易で、消費者が摂取を目的とする成分以外の摂取が低減される。さらに、本発明の経口組成物にはオリゴ糖の有する整腸作用が付与されるため、消費者にとって健康上、極めて有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明において使用されるオリゴ糖は、ホモオリゴ糖またはヘテロオリゴ糖のいずれをもとわず、単糖がグリコシル結合で複数個結合した(好ましくは二糖以上十糖程度で結合)短い糖鎖をいう。例えば、ラフィノース、パラチノース、ラクチトール、ラクチュロース、ラクトスクロース、スタキオース、ラフティロース、ガラクトオリゴ糖、転移ガラクトオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、キシロオリゴ糖、マルトオリゴ糖、セロオリゴ糖、パラチノースオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖及び大豆オリゴ糖である。これらのオリゴ糖は、2種以上を組み合わせて含有してもよく、d体l体のいずれでも用いることができる。なかでも、キシロオリゴ糖を用いることが望ましい。
【0012】
キシロオリゴ糖は、コーンコブ、綿実殻等から得られるホモ多糖キシラン(ヘミセルロース)を原料とし、キシロースがβ-1,4結合で数個結合したオリゴ糖のことをいう。白色でわずかな甘味を有する無臭の結晶性粉末である。例えば、本出願人が商品名「キシロオリゴ95P」として市販されているものを使用すると都合がよい。
【0013】
本発明の方法ではオリゴ糖は溶液状態で用いられ、好ましくは結合剤的役目と同時に噴霧液の役目も発揮する。オリゴ糖を溶解する溶媒は水性の溶媒であり、例えば水または含水エタノールである。オリゴ糖溶液中のオリゴ糖の濃度は、結合剤的役割と造粒水の役目を同時に発揮する濃度であればよく、その濃度は、用いるオリゴ糖の種類および造粒する粉末経口素材に応じて、容易に選択できる。例えば、食物繊維含有材料を造粒する場合に好ましいオリゴ糖の濃度は5〜40重量%である。
【0014】
これらオリゴ糖の経口組成物中の含有量は、配合目的に応じて常用量で適宜含有量を決定することができ、オリゴ糖の総量が、0.1〜30重量%、より好ましくは、1〜20重量%、特に好ましくは3〜15重量%である。この場合、本発明の方法で造粒された経口組成物を特定の目的のために摂取する際に、オリゴ糖の摂取量が大人1人あたり、0.1〜10g、好ましくは0.3〜0.8gを目安として決めるとよい。
【0015】
本発明において経口素材とは、飲食品、健康食品、医薬品としての効果が期待される物質、すなわち、生体機能性を有する物質であって、口から消化管を通して体内に摂取される素材をいう。経口素材が粉末状である場合は、飛散しやすいため、取り扱いや口からの摂取が問題とされる場合があるが、摂取を容易にするため液状にしようとしても、水性溶媒に不溶性または難溶性であると溶解に時間がかかる等種々の問題がある。特に小児、老人ではこれらの問題は深刻であり、造粒して利用し易くする必要がある。粉末状でない経口素材の場合にも、種々の方法にて75μm以下の粉末にして、本発明の方法で造粒して用いることができる。
【0016】
本発明において造粒する粉末状の経口素材は、特に限定されないが、本発明の方法が特に適する経口素材は水不溶性の成分を含むものである。水不溶性の成分としては、脂溶性ビタミン、不溶性食物繊維等が例示されるが、これらを含む経口素材として、食物繊維含有素材が挙げられる。食物繊維の主な作用は糞便重量の増加、各消化器官への影響、栄養成分の代謝への影響等であるが、これらの生理活性の中でも、タンパク質の代謝、脂質代謝、糖質代謝に関わる分野では多くの研究が行われている。また、近年は食物繊維が腸内に存在する細菌群に対する生理作用に関する研究も注目を集めている。食物繊維は、主として、植物の繊維を含む、葉、芽、茎、花、実、根、穂、種子、果実等の部分に多く含まれ、典型的には緑色植物の粉末である。
【0017】
緑色植物の粉末としては、いわゆる青汁を製造するための食品素材がより好ましく、その例としては、アシタバ末、麦若葉末、緑茶粉末、ケール末の1乃至それ以上からなる混合物である。使用できる緑色植物の他の例は、特開2003-334046、特開2003-79339等多くの文献に記載されている。
【0018】
アシタバ末は、特開昭59-154935、特開平2-231057等によって種々の製法が知られているが、その製法は問わず、乾燥されたアシタバ末であればよい。アシタバはセリ科の多年草で、日本では本州の中部及び関東地方太平洋側の近海地で栽培されている。アシタバにはクマリン類、カルコン類、その他抗酸化ビタミンが多く含まれており、動脈硬化、便秘や貧血に有効である。使用部位は特に限定されず、葉、芽、茎、果実等全部位が使用可能である。
【0019】
麦若葉末は、公知文献等(特開平7-241176、特開2001-112435、特開2002-58449、 特開2002-212、特開2003-9812、特開2003-178)によって種々の製法が知られているが、その製法は問わず、乾燥された麦若葉末であればよい。麦若葉は、麦類の若葉を指し、具体的には大麦、小麦、ライ麦、えん麦、はと麦等の若葉が例示される。麦若葉はビタミン類、ミネラル類、食物繊維などに富み、有害物質の吸着、腸内環境の改善、コレステロールの吸収抑制、食後血糖値の急上昇防止、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)の活性化などの効果を有する健康食品の素材として注目を浴びている。
【0020】
ケール末は、公知文献等(特開2002-186445、特開2002-125612、特開2002-119245、特開2002-119239、特開2002-112729、特開2002-112701、特開2002-85010)によって種々の製法が知られているが、その製法は問わず、乾燥されたケール末であればよい。ケールはアブラナ科アブラナ属に属する多年草生木で、もともとはキャベツの改良種である。葉にはビタミン類が多く含まれ、胃炎や胃潰瘍の予防、肝機能や便秘の改善に有効である。ケールはアブラナ科ケールに属するものであれば特に制限されることなく使用できる。例えば、シベリアンケール、スコッチケール、コラードなどの種々のケールが使用できる。
【0021】
造粒される粉末状経口素材は、一般的に用いられる結合剤を含む必要はないが、所望により、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、プルラン、デンプン、デキストリン、グアガムから選択される結合剤を含んでもよい。オリゴ糖以外の結合剤の含有量は、造粒後の経口組成物の固形分に換算して、0〜2重量%である。造粒される粉末状経口素材はさらに、必要に応じて、食品に一般に使用される添加剤もしくは補助成分を含んでもよい。例えば甘味料としてエリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、パラチニット、マルチトール、ラクチトール、アラビノース、ガラクトース、グルコース、フルクトース、アスパルテーム、スクラロース、ガラクトース、ステビア等、強化剤として、ビタミン類、アントシアニジン、イソフラボン、カルコン、カテキン、リコピン、ルテイン、アスタキサンチン、ルチン等を含んでも良い。なかでも、酵素処理ルチンを抗酸化成分として、造粒後の経口組成物の固形分に換算して0.1〜10重量%程度含有させることにより、食品としての価値を高めることができる。
【0022】
酵素処理ルチンとは、ルチンおよびルチンの類縁体を酵素処理によって配糖体化したものであり、ルチン類縁体としてケルセチン、イソクエルシトリン、モリン、ミリシトリン、ミリセチン等が例示される。酵素処理ルチンは、例えば特開平7-10898、特開2003-33164に記載の方法で得ることができ、酵素処理ルチンだけでなく製剤学的に許容される添加物を含んでもよい。組成物あたりの酵素処理ルチンの量は、酵素処理ルチンの摂取量が大人1人あたり、1日5mg〜500mg、好ましくは10mg〜300mgとなることを目安として、決めるとよい。
【0023】
本発明の方法における造粒工程は、押出造粒法、流動層造粒法を含む任意の方法で行うことができるが、口内感の良い顆粒が得られる流動層造粒法を使用することが望ましい。
造粒に際しては、粉末経口素材、および使用する場合は添加剤もしくは補助成分を流動層造粒機に投入し、混合する。一方、オリゴ糖は5〜40重量%の水性溶液として、流動層造粒機内の粉末経口素材へ噴霧する。造粒時の温度、風量などの運転条件は任意に設定すれば良い。
【0024】
上記のようにして製造された粒子を、必要に応じて16号(目開き1000μm)の篩にて篩過して粒度を整え、経口組成物を得る。本発明の経口組成物は、325号(目開き45μm)の篩を通過する微粉の割合が全量の50重量%以下、好ましくは25重量%以下である。粒度を整えた経口組成物は、使用目的に応じて容易に包装を施すことができる。
【0025】
本発明により得られる経口組成物は、飛散しにくい顆粒剤であるから、摂取前に液体に懸濁させることが容易である上、懸濁物を飲用する時の口内感が良好である。懸濁液の調製に使用される水性の液体は、経口摂取可能であれば特に限定されないが、水の他に乳飲料、清涼飲料、アルコール飲料等が例示される。この経口組成物は、液体に懸濁せず顆粒状態のまま摂取した場合においても口内での滞留性が改善されており、極めて摂取しやすいという利点を有する。
【0026】
本発明の経口組成物の好ましい態様は、食物繊維を含有する粒状の食品である。食物繊維含有食品は、機能に関する表示を付して提供されてもよい。機能の表示の方法には特別制限はないが、食品の包装、容器の面、食品の説明書、食品の広告等への表示が例示できる。本発明の食物繊維含有食品が有する機能の例は、動脈硬化、貧血、胃炎、胃潰瘍、便秘といった症状の予防または改善、肝機能改善、有害物質の吸着抑制、腸内環境の改善、ダイエット効果、コレステロールの吸収抑制、食後血糖値の急上昇防止、スーパーオキシドディスムターゼの活性化、ビフィズス菌増殖活性を始めとする整腸作用、大腸癌予防、ミネラル吸収促進、または抗酸化作用に基づく機能である。

以下に実施例に基づいて本発明の説明をするが、これらの実施例は本発明を限定するためのものではない。
【実施例】
【0027】
実施例1〜3
粉末経口素材としてキシロオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、アシタバ末、大麦若葉末、抹茶、酵素処理ルチン、マルチトール、卵殻カルシウム、鹿角霊芝末を用い、表1に示す混合粉末約300gを流動層造粒機(FD-LAB-1(株)パウレック社製)にて、噴霧液としてキシロオリゴ糖30重量%溶液、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)3重量%溶液、水、フラクトオリゴ糖30重量%溶液のいずれかを用いて造粒した。混合粉末を投入して3分間混合した後、表1に示す噴霧液を1.0〜1.5ml/分の速度で噴霧しながら10〜20分間造粒した(品温:35℃〜40℃、吸気温度:50〜60℃)。同装置で15〜20分乾燥後、造粒物を取り出して16号(目開き1000μm)の篩にて篩過して顆粒剤を得た。
【0028】
造粒性の指標として微粉の割合を評価し、結果を表1に示した。すなわち、325号(目開き45μm)の師を通過する微粉の割合が全量の25重量%以下である場合を○、50重量%以下である場合を△、50重量%を越える場合を×とした。これは顆粒剤の取扱い性および飲用時の口内感を考慮して設定された。
【0029】
試験例1〜3
実施例1〜3において製造した顆粒剤を5名の被験者に顆粒剤の状態および水に懸濁した状態で経口摂取してもらい、口内感(ざらつき・キレ)について評価してもらった。評価にあたっては、3点:口内感が非常に悪い、2点:口内感が悪い、1点:口内感がやや良い、0点:口内感が良い、として、5名の評価合計を集計し、平均が3点以下2点超を×、2点以下1点超を△、1点以下0点を○として、結果を表1に示した。
【0030】
【表1】

試験例1、2においては、試料番号1、5の結果に示すように、キシロオリゴ糖を粉末の状態で混合後、水で造粒する場合にはざらつきがある顆粒となり、口内感の良い顆粒を得ることはできなかった。一方、造粒時噴霧液としてキシロオリゴ糖溶液を使用した場合には、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)溶液単体で造粒する場合(試料番号2、6)と同様に、ざらつき、キレともに改善され、口内感の良い顆粒が得られることが示された(試料番号3、7)。なお、この場合、少量であれば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)溶液を併用しても、造粒性及び口内感の良い顆粒を得ることができた(試料番号4)。
【0031】
すなわち、HPCを結合剤として用いることなく、造粒時噴霧液としてキシロオリゴ糖溶液を使用することで、造粒性及び口内感の良い顆粒が得られることが分かった。
試験例3においては、試料番号9〜11の結果に示すように、キシロオリゴ糖溶液、フラクトオリゴ糖溶液のいずれを使用しても、口内感の良い顆粒が得られることが示された。

実施例4(顆粒剤の製造例)
本発明の技術を用いて、顆粒剤を製造した。造粒工程の仕込み量を100kgとして、表2に示す各成分について16号(目開き1000μm)の篩にて篩過後、流動層造粒機(フローコーター200型、フロント産業(株)社製)に投入した。予備的な流動後、キシロオリゴ糖30重量%溶液を約800ml/分の速度で噴霧しながら約30分造粒した(排気温度:約40℃、吸気温度:60℃)。同装置で約50分間乾燥後、造粒物を取り出して16号の篩にて篩過して造粒物を得た。
【0032】
この顆粒剤について実施例1〜3と同様に粒度分布を調べて造粒性を評価したところ、45μm以下の微粉の割合は25%以下であり、造粒性は良好であった。
さらに、この顆粒剤を5名の被験者に顆粒剤の状態および水に懸濁した状態で経口摂取してもらい、口内感(ざらつき・キレ)について評価してもらった。評価にあたっては、3点:口内感が非常に悪い、2点:口内感が悪い、1点:口内感がやや良い、0点:口内感が良い、として、5名の評価合計を集計し、平均が3点以下2点超を×、2点以下1点超を△、1点以下0点を○とした。
【0033】
結果を表2に示す。
【0034】
【表2】

評価の結果、実施例4で得られた顆粒剤は口内感が良好であることが示された。
【0035】
本発明に係わる経口組成物は、食品、医薬品、特に健康食品として食生活を補助することができるものである。従って、本発明は当該分野における産業に利用されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリゴ糖溶液を使用して、粉末状の経口素材を造粒することからなる粒状経口組成物の製造方法。
【請求項2】
オリゴ糖を流動層造粒法の噴霧液に溶解して、粉末状の経口素材に噴霧することにより、オリゴ糖を結合剤として該経口素材を造粒することからなる、請求項1の経口組成物の製造方法。
【請求項3】
粉末状の経口素材が、水不溶性の成分を含有する素材であることを特徴とする請求項1または2記載の経口組成物の製造方法。
【請求項4】
水不溶性の成分を含有する素材が、食物繊維含有素材である請求項3記載の経口組成物の製造方法。
【請求項5】
水不溶性の成分を含有する素材が、緑色植物の粉末である請求項4記載の経口組成物の製造方法。
【請求項6】
緑色植物の粉末が、アシタバ末、麦若葉末、緑茶粉末、ケール末の1乃至それ以上からなる、請求項5記載の経口組成物の製造方法。
【請求項7】
造粒前の経口素材に抗酸化成分として酵素処理ルチンを含有させる工程を含む、請求項1乃至6のいずれか1項記載の経口組成物の製造方法。
【請求項8】
オリゴ糖が、キシロオリゴ糖である請求項1乃至7のいずれか1項記載の経口組成物の製造方法。
【請求項9】
経口組成物中のオリゴ糖含量を、全固形分に対して0.1〜30重量%とすることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか1項記載の経口組成物の製造方法。
【請求項10】
経口組成物中のオリゴ糖含量を、全固形分に対して1〜20重量%とすることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか1項記載の経口組成物の製造方法。
【請求項11】
経口組成物中のオリゴ糖含量を、全固形分に対して3〜15重量%とすることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか1項記載の経口組成物の製造方法。
【請求項12】
経口組成物が、水または水を含有する液体に懸濁する組成物である、請求項1乃至11のいずれか1項記載の経口組成物の製造方法。
【請求項13】
オリゴ糖以外の結合剤を、全固形分に対して0〜2重量%含有させる請求項1乃至12のいずれか1項記載の経口組成物の製造方法。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項記載の製造方法で得られる経口組成物。
【請求項15】
目開き45μmの篩を通過する微粉末が25重量%以下である請求項14記載の経口組成物。
【請求項16】
分包された請求項13、14または15記載の経口組成物。
【請求項17】
食物繊維含有食品である請求項16記載の経口組成物。
【請求項18】
機能に関する表示を付したことを特徴とする請求項17記載の経口組成物。
【請求項19】
機能が、動脈硬化、貧血、胃炎、胃潰瘍、便秘といった症状の予防または改善、肝機能改善、有害物質の吸着抑制、腸内環境の改善、ダイエット効果、コレステロールの吸収抑制、食後血糖値の急上昇防止、スーパーオキシドディスムターゼの活性化、ビフィズス菌増殖活性を始めとする整腸作用、大腸癌予防、ミネラル吸収促進、または抗酸化作用に基づく機能である請求項18記載の経口組成物。

【公開番号】特開2006−335648(P2006−335648A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−158628(P2005−158628)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(000001904)サントリー株式会社 (319)
【Fターム(参考)】