説明

オーディオジャックコネクタ

【解決手段】オーディオジャックコネクタは絶縁性ハウジングと複数の端子とを有する。前記ハウジングは嵌(かん)合面を有し、該嵌合面は、上面及び下面と接続されている。前記ハウジングはスロットを画定し、該スロットの開口は、下面に位置し上面19まで延在する。前記嵌合面はスロットと連通するジャックキャビティを画定する。基部の一端は上面に向けて逆方向に曲げられた弾性アームを形成する。該弾性アームの自由端は半球形コンタクト部を形成し、前記基部の他端ははんだ付部を形成するために曲げられている。該はんだ付部はスロットから外に延在し、下面の外縁に配置される。前記端子はハウジングのスロットにそれぞれ収容され、基部を通ってスロットに固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーディオジャックコネクタに関し、より詳細には相手側オーディオコネクタと電気接続するために通信装置内に配設されたオーディオジャックコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
小型軽量で携帯可能でありながら他の装置に簡単に取付けることができるような通信装置が開発されつつある。したがって、メーカーは、携帯電話機のあらゆる部品を小型軽量化するように設計している。同時に、メーカーは、信号伝送の品質を維持するために、すべての電気接続が良好であることを保証しなければならない。携帯電話機の基本的な機能は、音声の送受信であるが、最近では画像やインターネットの送受信も加わっている。よく知られていることではあるが、携帯電話機は、イヤホン用のコネクタを収容するオーディオコネクタを備えている。
【0003】
図1を参照すると、従来技術における通常のオーディオジャックコネクタは、絶縁性ハウジング5と複数の端子7とを含む。前記絶縁性ハウジング5の外側面50は平坦(たん)であり、前記端子7は、様々な形状に曲げられて絶縁性ハウジング5に収容されている。各端子7は、絶縁性ハウジング5に固定される複数の干渉タブ70を有する。前記絶縁性ハウジング5は、端子7の位置を制限する突起52を形成している。さらに、前記絶縁性ハウジング5は、相手側オーディオコネクタ(図示せず)を挿入し、端子7と電気的に係合させるための張出し開口部51を画定する。
【0004】
相手側コネクタの端子と係合したまま、かつ、プリント回路基板にはんだ付することができるようにしながら端子が互いに接触するのを防ぐために、端子は様々な形状に曲げられている。端子をハウジング内に確実に保持するために、端子には複数の干渉タブが配設されている。端子の動きを制限するために突起52が使用されているため、絶縁性ハウジングの寸法が大きくなり製造コストが高くなってしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、小型で設計が単純で組立が容易な端子を有するオーディオジャックコネクタを提供することである。本発明の別の目的は、携帯可能な小型の絶縁性ハウジングを有するオーディオジャックコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の目的を達成するために、本発明は、通信装置内に配設されたオーディオジャックコネクタであって、その一部分がプリント回路基板に電気的に接続され、別の部分が相手側オーディオコネクタの端子を収容するように設計されたオーディオジャックコネクタを提供する。このコネクタは、絶縁性ハウジングと複数の端子とを含む。ハウジングは、嵌(かん)合面と、互いに対向する上面及び下面に接続された後面を有する。絶縁性ハウジングは、下面で開口し上面まで延在するスロットを画定する。嵌合面は、スロットと連通するプラグ収容口を画定する。複数の端子はスロット内に配設され、各端子は基部を有する。該基部の一端から延在する弾性アームは上面に向けて逆方向に曲げられ、弾性アームの自由端がコンタクト部を形成する。はんだ付部は、基部の他端から延在している。
【0007】
絶縁性ハウジングのスロットは、対向する2つの側壁を備えた内側壁面を含む。側壁の面は対称的な2つの突出バーを形成し、該2つの突出バーの間にそれぞれ対称的な2つの溝が形成される。端子の基部の側縁はこれら対称的な2つの溝に収容される。該溝は、ハウジングの下面から上面まで延在している。弾性アームは、各端子の基部の上面に隣接する一端から逆方向に延在している。端子の基部の側縁は干渉タブを形成する。該干渉タブは、2つの溝の内面に固定されるように設計されている。さらに、絶縁性ハウジングの下面は、ハウジングをプリント回路基板に位置決めするための突出ポストを含む。端子のコンタクト部は突出面を有し、該突出面は、絶縁性ハウジングのジャックの中心軸の一方の側に配置されている。相手側オーディオコネクタは、ジャックに挿入されて端子と電気的に係合する。各端子のはんだ付部は、絶縁性ハウジングのスロットから外に延在し、絶縁性ハウジングの下面の外縁に配置される。絶縁性ハウジングは、さらに、スリットとスイッチ端子とを画定する。該スイッチ端子は、該スイッチ端子の一端が端子の弾性アームの自由端と電気的に係合する状態でスリットに収容される。スロットは、ジャックキャビティの両側に配設され、ハウジングの側縁の近い側に2つのスロットが配置され、ハウジングの側縁から遠い側に別の2つのスロットが配置されている。また、スロットは、ハウジングの側縁の近い側に3つのスロットが配置され、ハウジングの側縁から遠い側に1つのスロットが配置されるように配設されてもよい。
【0008】
新規であると考えられる本発明の特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に示す。本発明は、その目的及びその利点とともに、添付図面と関連して行われる以下の説明を参照することによって最もよく理解することができ、図面において類似の参照符号は類似の要素を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明の2通りの実施形態を示す。図2〜7を参照すると、本発明の第1の実施形態におけるオーディオジャックコネクタは、通信装置内に配設され、外部の相手側オーディオコネクタと電気的に接続するためにプリント回路基板と電気的に接続されている。そして、前記オーディオジャックコネクタは絶縁性ハウジングと複数の端子とを有する。
【0010】
絶縁性ハウジング1は嵌合面17を有する。該嵌合面17は、互いに対向する上面19及び下面20と接続されている。絶縁性ハウジング1はスロット11を有し、該スロット11の開口は、下面20に位置し上面19まで延在する。嵌合面17は、スロット11と連通する開口18を画定する。絶縁性ハウジング1の下面20は、さらに、ハウジングをプリント回路基板(図示せず)に位置決めするための突出ポスト16を含む。
【0011】
スロット11内には複数の端子3が配設される。各端子3は基部30を有する。該基部30の一端から弾性アーム33が延在しており、上面19に向けて逆方向に曲げられている。弾性アーム33の自由端は半球形コンタクト部34を形成している。前記基部30の他端からはんだ付部32が延在している。該はんだ付部32は、スロット11を通り絶縁性ハウジング1の下面20の縁よりも内側に配置される。各端子3の基部30の側縁には複数の干渉タブ31が形成されており、これらはスロットの内面に固定される。
【0012】
絶縁性ハウジング1のスロット11の内面は内側壁面12を含み、これは2つの対向する側壁面13に接続されている。該側壁面13には、対称的な2つの突出バー14と、該2つの突出バー14の間にそれぞれ形成された対称的な2つの溝15が形成されている。端子3の基部30の側縁は、これら対称的な2つの溝15に収容される。干渉タブ31は、スロット11の側壁面13に固定される。
【0013】
図7を参照すると、各端子3のコンタクト部34は、絶縁性ハウジング1の開口18の中心軸の片側に配置された突出面を有し、相手側オーディオコネクタ(図示せず)は開口18に挿入される。図2〜6を参照すると、スロット11は開口18の両側に配置されている。2つのスロット11はハウジング1の側縁の近くに配置され、別の2つのスロット11はハウジング1の側縁から遠い位置に配置されている。さらに、図8及び9を参照すると、これに替わる実施形態が開示されている。ここでは、スロット11は開口18の両側に配置されており、3つのスロット11はハウジング1の側縁の近くに配置され、1つのスロット11はハウジング1の側縁から遠くの位置に配置されている。スロット11の向きは、オーディオジャックコネクタ端子の構成に従って異なるように設計され構成されているが、その構成は相手側オーディオコネクタの対応部分と一致しなければならない。
【0014】
端子3は、絶縁性ハウジング1のスロット11と合致するように簡素な形状に設計され、該スロット11は、端子3から延在する弾性アーム33とコンタクト部34とのためのスペースを提供するのでコネクタの製造と組立とが容易となる。端子3は、基部30の側縁に形成された干渉タブ31のみによってスロット11の溝15に固定される。端子は、ハウジング内における湾曲又は突起を必要としない。したがって、絶縁性ハウジング1の高さと材料の量とが低減される。これは、絶縁性ハウジング1のスロット11が下面20から上面19まで延在しており、弾性アーム33が、端子3の基部30の一端から上面19に向けて逆方向に曲げられているためである。したがって、上面19から下面20の高さが低くなる。さらに、はんだ付部32が基部30を曲げることによって直接形成され、下面20から外側に露出するので、はんだ接合部の品質の目視検査を行うことができる。
【0015】
図2及び8を参照すると、絶縁性ハウジング1は、さらに、スリット21を画定しており、該スリット21には端子4が収容される。相手側オーディオコネクタが開口18に挿入されていないとき、端子4の一端が端子3の弾性アーム33の自由端と電気的に係合して通信装置のスピーカから音声が確実に出るようになっている。相手側オーディオコネクタが、開口18に挿入されて端子3と電気的に係合するとき、相手側オーディオコネクタは、端子3の弾性アーム33の自由端を押して端子4との電気的係合を解除して開回路を形成して、音声が、相手側オーディオコネクタによって、通信装置のスピーカではなくイヤホンに確実に伝達されるようにする。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態を示し説明したが、以上の説明は、本発明を限定することを意図したものではない。むしろ、当業者であれば、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明の様々な変形例を考えうる。したがって、本発明の保護対象は、本出願によって定義された特許請求の範囲に基づいて決められるものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来技術における通常のオーディオジャックコネクタの断面図である。
【図2】本発明のオーディオジャックコネクタの分解斜視図である。
【図3】本発明のオーディオジャックコネクタを後ろから見た組立斜視図である。
【図4】本発明のオーディオジャックコネクタを正面から見た組立斜視図である。
【図5】本発明のオーディオジャックコネクタの上面図である。
【図6】本発明のオーディオジャックコネクタの下面図である。
【図7】本発明のオーディオジャックコネクタの嵌合面の正面図である。
【図8】本発明の他の実施形態におけるオーディオジャックコネクタを後ろから見た分解斜視図である。
【図9】本発明の他の実施形態におけるオーディオジャックコネクタの組立斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置内に配設され、相手側オーディオコネクタとの電気接続のためにプリント回路基板に電気的に接続されたオーディオジャックコネクタであって、
2つの対向する上面及び下面に接続された嵌合面を備える絶縁性ハウジングであって、該絶縁性ハウジングが、開口が下面に位置するとともに上面まで延在するスロットを画定し、嵌合面が、スロットと連通するコネクタ収容チャネルに開口する開口を画定する絶縁性ハウジングと、
前記スロット内に配設された複数の端子であって、各端子は、基部と、該基部の一端から延在し上面に向けて逆方向に曲げられた弾性アームと、コネクタ収容チャネルに挿入されたときに相手側オーディオコネクタの導体と係合するように設計された半球形コンタクト部を形成する弾性アームの自由端と、基部の他端から延在してプリント回路基板にはんだ付されるように設計されたはんだ付部とを備える複数の端子とを有し、
前記絶縁性ハウジングは、スリットと該スリットに収容された1つのスイッチ端子とを更に含み、該スイッチ端子の一端は、端子の弾性アームの自由端と電気的に係合し、相手側オーディオコネクタが開口からコネクタ収容チャネルに挿入されたときには自由端との係合が外れるように設計されているオーディオジャックコネクタ。
【請求項2】
前記絶縁性ハウジングのスロットの内面が内側壁面を含み、該内側壁面は2つの対向する側壁面に接続され、該側壁面には対称的な2つの突出バーが形成され、該2つの突出バーと内側壁面の間に対称的な溝が画定され、前記端子の基部の側縁が対称的な2つの溝と機械的に係合する、請求項1に記載のオーディオジャックコネクタ。
【請求項3】
前記端子の基部の側縁は干渉タブを形成し、該干渉タブは、対称的な2つの溝と機械的に係合してハウジング内に端子を固定する、請求項2に記載のオーディオジャックコネクタ。
【請求項4】
前記スロットは下面から上面まで延在し、前記弾性アームは、各端子の基部の上面に隣接する一端から逆方向に延在する、請求項3に記載のオーディオジャックコネクタ。
【請求項5】
前記絶縁性ハウジングの下面が、ハウジングをプリント回路基板に対して位置決めする突出ポストを更に含む、請求項3に記載のオーディオジャックコネクタ。
【請求項6】
前記端子のコンタクト部は突出面を備え、該突出面が絶縁性ハウジングのコネクタ挿入チャネルの中心軸の片側に配置され、相手側オーディオコネクタはコネクタ挿入チャネルに挿入されて突出面と電気的に係合する、請求項3に記載のオーディオジャックコネクタ。
【請求項7】
前記スロットは、コネクタ挿入チャネルの対向する両側に配置され、ハウジングの側縁に近い側に2つのスロットが配置され、ハウジングの側縁から遠い側に別の2つのスロットが配置される、請求項6に記載のオーディオジャックコネクタ。
【請求項8】
前記スロットは、コネクタ挿入チャネルの対向する両側に配置され、ハウジングの側縁に近い側に3つのスロットが配置され、ハウジングの側縁から遠い側に1つのスロットが配置される、請求項6に記載のオーディオジャックコネクタ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置内に配設され、相手側オーディオコネクタとの電気接続のためにプリント回路基板に電気的に接続されたオーディオジャックコネクタであって、
2つの対向する上面(19)及び下面(20)に接続された嵌合面(17)を備える絶縁性ハウジング(1)であって、該絶縁性ハウジングが、開口が下面に位置するとともに上面まで延在するスロット(11)を画定し、嵌合面が、スロットと連通するコネクタ収容チャネルに開口する開口(18)を画定する絶縁性ハウジングと、
前記スロット内に配設され下面(20)に配置されたスロットの開口から挿入可能な複数の端子(3)であって、各端子は、基部(30)と、該基部の一端から延在し上面に向けて逆方向に曲げられた弾性アーム(33)と、コネクタ収容チャネルに挿入されたときに相手側オーディオコネクタの導体と係合するように設計された半球形コンタクト部(34)を形成する弾性アームの自由端と、基部の他端から延在してプリント回路基板にはんだ付されるように設計されたはんだ付部(32)とを備え、スロット(11)がコネクタ挿入チャネルの両側に配設された複数の端子とを有し、
前記絶縁性ハウジングのスロット(11)の内面が内側壁面(12)を含み、該内側壁面は2つの対向する側壁面(13)に接続され、該側壁面には対称的な2つの突出バー(14)が形成され、該2つの突出バーと内側壁面との間に対称的な溝(15)が画定され、端子の基部(30)の側縁は対称的な2つの溝と機械的に係合する干渉タブ(31)を形成し、
前記端子のコンタクト部(34)は突出面を更に含み、該突出面が絶縁性ハウジングのコネクタ挿入チャネルの中心軸の片側に配置され、相手側オーディオコネクタはコネクタ挿入チャネルに挿入されて突出面と電気的に係合し、
前記絶縁性ハウジングは、スリット(21)と該スリットに収容された1つのスイッチ端子(4)とを更に含み、該スイッチ端子の一端は、端子(3)の弾性アーム(33)の自由端と電気的に係合し、相手側オーディオコネクタが開口からコネクタ収容チャネルに挿入されたときには自由端との係合が外れるように設計されているオーディオジャックコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2006−521001(P2006−521001A)
【公表日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507010(P2006−507010)
【出願日】平成16年3月9日(2004.3.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/007209
【国際公開番号】WO2004/086570
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(591043064)モレックス インコーポレーテッド (441)
【氏名又は名称原語表記】MOLEX INCORPORATED
【Fターム(参考)】