カチオン性オリゴヌクレオチド、同ヌクレオチドの自動調製法およびそれらの使用
本発明は、自動ホスホロアミダイト化学を介して合成され得る、オリゴヌクレオチド部分Aiおよびオリゴカチオン部分Bjを有するオリゴヌクレオチド−オリゴカチオン分子AiBjHであって、Aiは、i−merのオリゴヌクレオチド残基であり、i=5〜50であり、ヌクレオチドAは、天然または非天然に発生する核酸塩基および/またはペンタフラノシル基および/または生来のホルホジエステル結合を有するオリゴマー、例えば、デオキシリボ、リボ、ロック(LNA)ヌクレオチドから選択され、並びにそれらの化学改変体または置換体、例えばホスホロチオアート、2’−フルオロ、2’−O−アルキルまたはマーカー基、例えば、蛍光剤であり、Bjは、j−merの有機オリゴカチオン部分であり、j=1〜50であり、Bは、・-HPO3-R1-(X-R2)n1-X-R3-O-(ここで、R1、R2およびR3は、同一または異なって、低級アルキレンであり、XはNHまたはNC(NH2)2であり、nは1〜5であり、n1=2〜20である)、・-HPO3-R4-CH(R5X1)-R6-O-(ここで、R4は低級アルキレンであり、R5およびR6は、同一または異なって、低級アルキレンであり、X1はプトレッシン、スペルミジンまたはスペルミン残基である)、・-HPO3-R7-(aa)n2-R8-O-(ここで、R7は低級アルキレンであり、R8は低級アルキレン、セリン、天然アミノアルコールであり、(aa)n2は、カチオン性側鎖を有する天然アミノ酸、例えば、アルギニン、リシン、オルニチン、ヒスチジン、ジアミノプロピオン酸を含むペプチドであり、n2=2〜20である)を含む群から選択されるものに関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カチオン性オリゴヌクレオチド、すなわち、オリゴヌクレオチド−オリゴカチオン分子(本明細書において(それらの全体的な電荷に関係なく)カチオン性オリゴヌクレオチドとも呼ばれる)であって、オリゴヌクレオチド合成機で段階的に合成され得るものに関する。本発明はまた、分子生物学、診断および治療適用におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
オリゴヌクレオチドは、分子生物学および医療において極めて大多数の適用を見出し、膨大な種類の疾患の治療のための非常に選択的な部類の薬物になり得る。
【0003】
オリゴヌクレオチドは、別のポリアニオン核酸によって生み出された相補配列にハイブリッド形成した後にそれらの特異的な活性を発揮するポリアニオンである。
【0004】
候補薬として、それらはまた、アニオン性の細胞膜を通過することが可能でなければならない。
【0005】
簡単な静電気的な考察により、ハイブリッド形成エネルギーおよび細胞バインディングは、カチオン基のオリゴヌクレオチド構造への付加から恩恵を受け得ることが暗示される。
【0006】
この目的に向けて、アンモニウムまたはグアニジニウム残基をオリゴヌクレオチドに導入するための多くの合成的なアプローチが研究された:リン酸骨格の置き換え、リボースまたは核酸塩基の改変、およびポリアニオンの末端接合(end conjugation)。しかしながら、ハイブリッド形成の特異性、核酸プロセシング酵素活性並びに代謝物の毒性が、阻害アプローチへの全ての点に影響し、そこで、最良の解決策としてポリカチオンが他の状態の天然のオリゴヌクレオチドに加えられる。残念なことに、オリゴヌクレオチド−カチオンペプチド接合体の段階的な自動合成は、まだ日常的ではない。一方、予め形成された大きなブロック間の接合化学は、簡単ではなく、特に、水においては、「超」双性イオンが、解決困難な溶解性、精製および特徴的な問題を引き起こす。さらに、分子生物学および診断適用は、任意の有機カチオン長さにつながる任意の所与の塩基配列の迅速で簡単な合成を必要とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らによって、オンライン(コンピュータ駆動)のオリゴヌクレオチド−オリゴカチオン分子の合成は、適切に活性化されかつ保護されたオリゴカチオン誘導体を含むバイアルを、4種の天然塩基のものに加えてオリゴヌクレオチド合成機に詰めることによって可能であることが見出された。
【0008】
本発明の目的は、それ故に、新規なカチオン性オリゴヌクレオチドを提供することにある。
【0009】
本発明の別の目的は、前記カチオン性オリゴヌクレオチドの高収率の自動合成を提供することにある。
【0010】
さらなる目的において、本発明は、前記カチオン性オリゴヌクレオチドの適用、特には、分子生物学、診断および治療での適用に関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
それ故に、本発明は、混合オリゴヌクレオチドオリゴカチオン分子であって、自動ホスホロアミダイト化学、すなわち、ポリホスホジエステルを介して合成され得るものに関する。
【0012】
より詳細には、本発明のカチオン性オリゴヌクレオチドAiBjHは、オリゴヌクレオチド部分Aiおよびオリゴカチオン部分Bjを有し、ここで、
Aiは、i mer(i個)のオリゴヌクレオチド残基であり、i=5〜50であり、ヌクレオチドAは、天然または非天然に生じた核酸塩基および/またはペンタフラノシル基および/または生来のホスホジエステル結合を有するオリゴマーであり、
Bjは、j merの有機オリゴカチオン部分であり、j=1〜50であり、Bは、
・ -HPO3-R1-(X-R2n)n1-X-R3-O-(ここで、R1、R2nおよびR3は、同一または異なって、低級アルキレンであり、Xは、NHまたはNC(NH2)2であり、nは1〜5であり、n1は2〜20である)、
・ -HPO3-R4-CH(R5X1)-R6-O-(ここで、R4は低級アルキレンであり、R5およびR6は、同一または異なって、低級アルキレンであり、X1は、プトレッシン、スペルミジンまたはスペルミン残基である)、
・ -HPO3-R7-(aa)n2-R8-O-(ここで、R7は低級アルキレンであり、R8は低級アルキレン、セリン、天然アミノアルコールであり、(aa)n2は、カチオン性側鎖を有する天然アミノ酸(例えば、アルギニン、リシン、オルニチン、ヒスチジン、ジアミノプロピオン酸)を含むペプチドであり、n2=2〜20である)
を含む基から選択される。
【0013】
明細書および特許請求の範囲において用いられる場合の「低級アルキル」および「低級アルキレン」は、好ましくは、置換されてもよいC1−C5直鎖(linear)または分枝鎖アルキルまたはアルキレン基をそれぞれ表す。
【0014】
Aは、例えば、デオキシリボ、リボ、ロック(LNA)ヌクレオチド並びにそれらの化学改変体または置換体、例えば、ホスホロチオアート(チオホスファートとも表される)、2’−フルオロ、2’−O−アルキルまたはマーカー基、例えば、蛍光剤を含む群から選択される。
【0015】
本発明の混合オリゴヌクレオチド−オリゴカチオン分子は、3’A5’−B配列を有する。
【0016】
本発明の他の分子は、B−3’A5’配列を有する。
【0017】
本発明のさらに他の分子は、B−3’A5’−Bまたは3’A5’−B−3’A5’配列を有する。
【0018】
このような配列は、実施例において、下記構造を有するオリゴヌクレオチド−スペルミン分子によって例示される:
(3’A5)i−[PO3−−(CH2)4−NH2+−(CH2)3−NH2+−(CH2)4−NH2+−(CH2)3−NH2+−(CH2)4−O]jH
式中、A、iおよびjは、上記定義の通りである。
【0019】
Aがホスホロチオアートヌクレオチドである分子は、それらの生物学的適用の点で特に有利である。ホスホロチオアートオリゴヌクレオチドは、生体液中で加水分解されないからである。
【0020】
上記規定のカチオン性オリゴヌクレオチドは、実施例によって例示されるように、鎖置換の状況下、さらにはプラスミド鎖の侵入の状況下にそれらの相補配列と迅速で安定な複合体を形成する。
【0021】
末端接合に起因して、配列の選択性は、天然のヌクレオチドと同程度に高いままである。
【0022】
したがって、本発明のカチオン性オリゴヌクレオチドは、分子生物学、研究試薬および診断適用、例えば、PCR、リアルタイムPCR、ジェノタイピング、in situ ハイブリダイゼーションおよびDNAチップのために非常に興味深いものである。
【0023】
このような適用もまた本発明によってカバーされ、上記に定義されたようなオリゴヌクレオチド−オリゴカチオン分子の使用を含む。
【0024】
アニオン性オリゴヌクレオチドとは対照的に、本発明のカチオン性オリゴヌクレオチドは、実施例において、生細胞の細胞質および核に自発的に入ることが示される。
【0025】
それらの強化されたハイブリダイゼーションおよび細胞浸透特性の点で、それらはまた、治療適用、例えば、メッセンジャーRNAのアンチセンスおよびsiRNA分解、メッセンジャーRNAの成熟の間のエキソンスキッピング、クロマチンによる三重らせんの形成、クロマチン鎖の侵入(遺伝子修正)等によって媒介されるものに有用である。
【0026】
本発明は、それ故に、上記規定のオリゴヌクレオチド−オリゴカチオン分子の有効量を、製薬的に許容される担体と関連して含む医薬組成物にも関する。
【0027】
本発明はまた、上記に規定されたようなオリゴヌクレオチド−オリゴカチオン分子の有効量を製薬的に許容される担体と関連して用いる工程を包含する治療方法に関する。
【0028】
上記規定の混合オリゴヌクレオチド−オリゴカチオン分子は、有利には、オリゴヌクレオチド合成機により、ホスホロアミダイトルートを介して、
− 活性化されかつ保護されたオリゴカチオンBを含むバイアルを、上記規定のようなオリゴヌクレオチドAのバイアルに加えて、またはその逆のようにしてオリゴヌクレオチド合成機に詰める工程と、
− 所望の長さが得られた時に合成を停止させる工程と、
− 固体担体からオリゴマーを開裂させる工程と、
− 保護基を除去する工程と
を包含する方法に従って段階的に合成される。
【0029】
本発明は、オリゴカチオン反復ブロックBの構造の自動合成において用いられるホスホロアミダイト試薬と密接に関連する。以下のホスホロアミダイト試薬が、この目的のために用いられ得る:
・P(OR9)(N(R10)2)-O-R1-(X-R2n)n1-X-R3-O-Prot(ここで、R1、R2、R3、nおよびn1は、上記定義の通りであり、Xは、適切に保護されたNHまたはNC(NH2)2であり、R9は−CH2CH2CNまたは低級アルキルであり、R10が低級アルキルであるかまたは−N(R10)2がピロリジノ、ピペリジノまたはモルホリノ基であり、Protは、オリゴヌクレオチド合成において用いられる保護基、例えば、DMT、MMTである);
・P(OR9)(N(R10)2)-O-R4-CH(R5X1)-R6-O-Prot(ここで、R4、R5、R6は低級アルキレンであり、X1は適切に保護されたプトレッシン、スペルミジンまたはスペルミンであり、R9およびR10は上記の定義通りである);
・P(OR9)(N(R10)2)-O-R7-(aa)n2 -R8-O-Prot(ここで、R7、R8、R9、R10、n2およびProtは、上記定義の通りであり、(aa)n2は、適切に保護されたカチオン性側鎖を有する天然アミノ酸(例えば、アルギニン、リシン、オルニチン、ヒスチジン、ジアミノプロピオン酸)を含むペプチドであり、n2=2〜20である)。
【0030】
適切に保護されたNHまたはNC(NH2)2は、試薬が露出させられた化学反応条件に対してアミノ基またはグアニジン残基の機能を不活性にするために保護基がそれら上にそれぞれ存在することを意味する。
【0031】
そのような保護基は、例えば、フタルイミド(PHTH)、トリフルオロアセタート、アリルオキシカルボニル(Alloc)、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)、クロロベンジルオキシカルボニル、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)およびイソニコチニルオキシ(i−Noc)基である。
【0032】
本発明の実施形態によると、オリゴヌクレオチド配列の段階的合成の後に、オリゴカチオン部分の段階的合成が行われて、配列(3’A5’−B)を有する化合物が得られる。
【0033】
別の実施形態によると、逆順の工程が行われ、オリゴカチオン部分の段階的合成の後に、オリゴヌクレオチド配列の段階的合成が行われて、(B−3’A5’)配列の化合物が得られる。
【0034】
さらに別の実施形態によると、混合配列が合成される。
【0035】
特に、両端でキャッピングされたオリゴヌクレオチド配列(B−3’A5’−B)は、生体液中でエキソヌクレアーゼに抵抗することができ、カチオンを割り込ませた配列(3’A5’−B−3’A5’)は、隣接する核酸配列のターゲッティングを可能にする。
【0036】
天然に生ずるアミン(例えばスペルミン)またはペプチド(例えばオリゴアルギニン)を用いることによって、代謝物の潜在的な毒性は回避される。スペルミンは、リモラー濃度で細胞中に実際に存在し、その末端のアルキル化物は無害である。さらに、塩基性ペプチド配列は、多くの核タンパク質に存在する。
【0037】
活性化されかつ保護されたオリゴカチオンBは、有利には、ポリアミンのアミノ基を保護した後に、オリゴヌクレオチド合成に化学反応を起こさないジオールにつながるα,ω−ビスヒドロキシアルキル化を行うことによって得られる。
【0038】
従来のDMTおよびホスホロアミダイトの延長(elongation)化学は、有利には、塩基不安定TFA保護基と一緒に実行される。
【0039】
化学的に保護されたジオール体は、新規物であり、本発明の範囲に入る。
【0040】
本発明は、特に、以下を含む群から選択される中間体に関する:
・P(OR9)(N(R10)2)-O-R1-(X-R2n)n1-XR3-O-Prot(ここで、R1、R2、R3、nおよびn1は上記に定義された通りであり、Xは適切に保護されたNHまたはNC(NH2)2であり、R9は−CH2CH2CNまたは低級アルキルであり、R10は低級アルキルであるかまたは−N(R10)2はピロリジノ、ピペリジノまたはモルホリノ基であり、Protは、オリゴヌクレオチド合成において用いられる保護基、例えばDMT、MMTである);
・P(OR9)(N(R10)2)-O-R4-CH(R5X1)-R6-O-Prot(ここで、R4、R5、R6は低級アルキレンであり、X1は適切に保護されたプトレッシン、スペルミジンまたはスペルミンであり、R9およびR10は上記に定義された通りである);
・P(OR9)(N(R10)2)-O-R7-(aa)n2 -R8-O-Prot(ここで、R7、R8、R9、R10、n2およびProtは上記に定義された通りであり、(aa)n2は、適切に保護されたカチオン性側鎖を有する天然アミノ酸、例えば、アルギニン、リシン、オルニチン、ヒスチジン、ジアミノプロピオン酸を含むペプチドであり、n2=2〜20である)。
【0041】
本発明の他の特徴および利点は以降に与えられる。特に、スペルミン(S)を有するデカマーオリゴヌクレオチド配列(A10)(以下においてA10Sn)によって表される)の合成が、実例として、本発明の範囲を制限することなく与えられることになる。実施例において、図1〜14が参照されることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
(実施例1:ホスホロアミダイトスペルミン合成素子の合成)
スペルミン連結ホスホロアミダイト1は、以下のスキーム1に示されるようにスペルミンから合成された。
【化1】
【0043】
(Mes=2,4,6−トリメチルフェニル;TBDMS=t−ブチルジメチルシリル;TFA=CF3CO−;DMT=4,4’−ジメトキシトリチル)
テトラキス(メシチルスルホニル)スペルミン2は、スペルミンから調製されるものであり、このものはビスアルキル化されて3を得た。酢酸条件中での3の完全な脱保護の後、粗ビス(C4−OH)スペルミン・テトラヒドロブロミド4は、ピリジン中の無水トリフルオロ酢酸によって完全に保護され、次いで、5の2つの末端エステル基は、中性条件下に加水分解されてジオール体6を得た。1モル当量のDMTCl試薬を用いる統計的方法で5のモノトリチル化が行われ、43%の収率で7を得た。未反応のジオール体6およびビス・トリチル化合物8が回収され、中程度の酸条件(ジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸)下、再平衡に達しさせられ、7を得た。7のホスファイト化により、所望のホスホロアミダイト1を得た。
【0044】
N1,N4,N9,N12−テトラキス(メシチルスルホニル)スペルミン(2):この化合物は、文献:Bergeron et al. J. Med. Chem. 2001, 44, 232-244.に従って調製された。
【0045】
N1,N12−ビス[4−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)ブチル]−N1,N4,N9,N12−テトラキス(メシチルスルホニル)−スペルミン(3):水素化ナトリウム(60%,1.0g,25mmol)が、2(9.31g,10.0mmol)のDMF溶液(20mL)にN2下に0℃で攪拌しながら分けて加えられた。室温で30分間にわたって攪拌した後、t−ブチル(4−ヨードブトキシ)ジメチルシラン(7.86g,25mmol)が、一度に加えられた。混合物は、室温で終夜攪拌され、次いで、H2O−CH2Cl2(100mL/100mL)で分液された。有機相が分けられ、水相はCH2Cl2(50mL)により3回抽出された。有機相が合わせられ、このものは、NaHCO3溶液(1M)により洗浄され、次いで、MgSO4により乾燥させられた。溶媒留去の後、糊状の残渣は、フラッシュ・クロマトグラフィーによって、溶離液として1:4 AcOEt:シクロヘキサンを用いて精製された。3を含むフラクションは、糊状の油状物にまで溶媒留去され、このものは、冷ペンタンによりさらに洗浄され、迅速な可動不純物(fast moving impurity)が除去され、次いで、ポンプで真空吸引され、9.97g(76%)の3を油状物として得た:TLC(AcOEt/シクロヘキサン 1:4):Rf=0.28 IR (KRS-5): 2937, 1604, 1471, 1320, 1151, 1101, 838, 777, 657, 578 cm-1. 1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ= -0.01 (s, 12 H), 0.85 (s, 18 H), 1.20-1.45 (m, 12 H), 1.62 (m, 4 H), 2.28 (s, 6 H), 2.29 (s, 6 H), 2.53 (s, 12 H), 2.54 (s, 12 H), 2.90-3.10 (m, 16 H), 3.42 (t, J = 6.1 Hz, 4 H), 6.91 (s, 4 H), 6.92 (s, 4 H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ= 4.7, 18.9, 21,6, 23.4, 23.5, 24.1, 24.9, 25.7, 26.6, 30.4, 43.5, 43.6, 45.6, 45.7, 62.9, 132.59, 132.64, 133.8, 140.7, 143.0, 143.1 MS-ESI (MeOH): m/z = 1325.85 [M + Na]+, 1303.83 [M + H]+. C66H110N4O10S4Si2 (Mw = 1304.03) 計算値 C 60.79, H 8.50, N 4.30, S 9.84; 実測値C 60.74, H 8.55, N 4.21, S 9.63.
N1,N12−ビス(4−ヒドロキシブチル)スペルミン・テトラヒドロブロミド(4):酢酸中の臭化水素(33重量%溶液,80mL,1.4mol)が、3(9.87g,7.57mmol)およびフェノール(29.0g,0.31mol,40当量)のCH2Cl2溶液(80mL)に滴下された。反応混合物は、室温で終夜攪拌された。氷浴により冷却した際に、冷水(100mL)が、攪拌しながら加えられた。有機層が分けられ、水(20mL)により3回抽出された。水層が合わせられ、このものは、CH2Cl2(30mL)により5回洗浄され、乾燥するまで溶媒留去させられた。得られた湿気を有する固体残渣は、エーテル中に懸濁させられ、スパーテルにより粉砕され、上澄みエーテル層は廃棄された。これらの操作は、固体懸濁液が得られるまで繰り返された(5回)。溶媒留去および真空乾燥の後、化合物4が固体として得られた(5.32g)。この粗物質は、さらなる精製なしで用いられた:1H NMR (300 MHz, D2O): δ = 1.75-2.10 (m, 12 H), 2.27 (m, 4 H), 3.15-3.35 (m, 16 H), 3.76 (t, J = 12.2 Hz, 4 H). 13C NMR (75 MHz, D2O): δ = 22.9, 23.2, 23.4, 29.0, 45.0, 45.2, 47.7, 48.3, 61.5. MS-ESI (MeOH): m/z = 347.39 [M + H]+.
N1,N12−ビス(4−(トリフルオロアセトキシ)ブチル)−N1,N4,N9,N12−テトラキス(トリフルオロアセチル)スペルミン(5)(4からTFA2O/NEt3により):4(5.3g,7.6mmol)のCH2Cl2懸濁液(50mL)に、トリエチルアミン(11.5g,114mmol、15当量)が、一度に加えられた。混合物は、氷浴で冷却され、無水トリフルオロ酢酸(19.1g、90.9mmol,12当量)がN2下に攪拌しながら滴下された。混合物は、室温で3.5時間にわたって攪拌された。氷浴による冷却後、得られた溶液は、冷水(20mL)により3回洗浄され、MgSO4で乾燥させられ、次いで、溶媒留去されて、油状残渣(11.7g)を得、この油状残渣は、この反応の二次生成物として(TFA)2C=CH−NEt2を含有する(参照;Schreber, S. L., Tetrahedron Lett. 1980, 21, 1027)。これは、2回の連続するフラッシュ・クロマトグラフィー(溶離液1:1−60:40 AcOEt:シクロヘキサン、次いで、5〜10%Et2O/CH2Cl2)によって除去され、5(5.59g,81%)を油状物として得た:TLC(AcOEt/シクロヘキサン 1:1);Rf = 0.25. IR (KRS-5): 2955, 1789, 1690, 1467, 1352, 1197, 1147, 759, 731, 692 cm-1. 1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 1.52-2.06 (m, 16 H), 3.33-3.49 (m, 16 H), 3.38 (m, 4 H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3): このスペクトルは、4つのアミド基の回転異性体によって複雑化されている。高強度の共鳴シグナルのみが以下のように記載される:δ = 23.3, 23.9, 24.1, 24.8, 25.3, 25.6, 26.0, 26.55, 26.61, 44.4, 44.8, 45.7, 46.1, 46.4, 47.3, 48.0, 56.6, 67.3, 67.5, 116.6 (q, J = 288 Hz), 156.9, 157.4, 157.8, 158.6.
N1,N12−ビス(4−ヒドロキシブチル)−N1,N4,N9,N12−テトラキス(トリフルオロアセチル)スペルミン(6):5(5.39g,5.84mmol)のMeOH溶液(50mL)に、NaHCO3(0.1g,固体)が一度に加えられ、得られた懸濁液は、2時間にわたって室温で攪拌された。溶媒留去の後、油状残渣は、CH2Cl2に溶解させられ(若干繊維質のNaHCO3)の懸濁液を与える)、5〜10% MeOH/CH2Cl2により溶離するフラッシュ・クロマトグラフィーによって精製され、3.61g(85%)の6を油状物として得た:TLC(MeOH5%/CH2Cl2):Rf=0.14(MeOH10%/CH2Cl2):Rf=0.45.1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ= 1.51-2.02 (m, 18 H), 3.33-3.51 (m, 16 H), 3.68 (m, 4 H). MS-ESI (MeOH): m/z = 753.33 [M + Na]+. C26H38F12N4O6・H2O (Mw = 748.60) 計算値 C 41.72, H 5.39, N 7.48, F 30.45; 実測値C 41.97, H 5.26, N 7.37, F 30.14.
4からの6の調製(TFA2O/ピリジン、次いでNaHCO3による):4(15.3g,22.8mmol)のCH2Cl2(100mL)およびピリジン(44mL,0.54mmol)の懸濁液に、無水トリフルオロ酢酸(46mL,0.33mol)が、氷浴で冷却しながらおよびN2下に攪拌しながら滴下された。混合物は、室温で3時間にわたって攪拌された。過剰の無水トリフルオロ酢酸が、氷浴で冷却しながら冷水(100mL)を添加することによって分解され、次いで、得られた溶液は、CH2Cl2により抽出された(4回100mL+50mL+25mL×2)。抽出物を合わせ、このものは、冷水により洗浄され(50mL×3)、MgSO4で乾燥させられ、次いで、溶媒が留去されて、粗生成物5を油状物として得た(19.4g,92%)。この油状物は、MeOH(100mL)に溶解させられた。NaHCO3(固体,0.1g)が加えられ、懸濁液は、終夜攪拌された。溶媒を留去した後、残渣は、フラッシュ・クロマトグラフィーによって、溶離液として5〜7% MeOH:CH2Cl2を用いて精製され、10.1g(61%)の6を油状物として得た。
【0046】
N1−[4−(ジメトキシトリチルオキシ)ブチル]−N12−(4−ヒドロキシブチル)−N1,N4,N9,N12−テトラキス(トリフルオロ−アセチル)スペルミン(7):6(1.46g,2.00mmol)のピリジン溶液(3mL)に、DMTCl(757mg,2.23mmol)が1mLのピリジンを用いて加えられ、リンスされた。反応混合物は、4時間にわたって室温でN2下に攪拌され、次いで、ピリジンが、トリエンによる共留去によって繰り返し除去された。残渣は、2回の連続的なフラッシュ・クロマトグラフィー(溶離液 2〜5%MeOH/CH2Cl2、次いで、10〜15%アセトン/CH2Cl2)によって精製され、7(879mg,43%)(発泡体)およびビス−DMT誘導体8(648mg,24%)を得た。出発ジオール6も回収された(350mg,24%)。7のデータ:TLC(アセトン/CH2Cl2 1:9):Rf=0.20 1H NMR (300 MHz, CDCl3):δ= 1.51-2.03 (m, 17 H), 3.11 (m, 2 H), 3.32-3.51 (m, 16 H), 3.71 (m, 2 H), 3.81 (s, 6H), 6.84 (m, 4 H), 7.19-7.46 (m, 9 H). MS-ESI (MeOH): m/z = 1055.52 [M + Na]+. C47H56F12N4O8 (Mw = 1032.95) 計算値 C 54.65, H 5.46, N 5.42, F 22.07; 実測値 C 54.46, H 5.58, N 5.37, F 21.63.
ジオール体(6)およびビス−DMT誘導体(8)からの化合物(7):6(1.4g,1.9mmol)および8(2.5g,1.9mmol)のCH2Cl2溶液に、トリフルオロ酢酸(50μL,0.6mmol)が加えられ、室温で30分間にわたり攪拌された。溶液は、Na2CO3の1M溶液により3回洗浄され、MgSO4で乾燥させられ、溶媒留去された。残渣は、フラッシュ・クロマトグラフィー(カラム径:50mm,SiO2の高さ:15cm)によって、5%AcOEt/CH2Cl2(750mL)、33%AcOEt/CH2Cl2(500mL)、7%MeOH/CH2Cl2(500mL)および10%MeOH/CH2Cl2(500mL)を連続的に用いて分離され、8(1.1g)、7(1.2g)および6(1.3g)を得た。
【0047】
スペルミン連結ホスホロアミダイト(1):7(844mg,817μmol)およびトリエチルアミン(230μL,1.65mmol,2当量)のCH2Cl2溶液(4mL)に、2−シアノエチル−(N,N−ジイソプロピルアミノ)クロロホスファイト(205μL,0.92mmol,1.1当量)が加えられ、混合物は、N2下に室温で40分間にわたり攪拌された。反応混合物は、NEt3で飽和された(CH2Cl2:シクロヘキサン1:2中NEt3 1%;400mL)SiO2カラム(直径:20mm、高さ:15cm)に、CH2Cl2:シクロヘキサン 1:2中NEt3 1%(125mL)、次いで、CH2Cl2:シクロヘキサン1:1中NEt3 1%(100mL)を用いて通され、1(735mg,73%)を油状物として得た:1H NMR (200 MHz, CDCl3): δ= 1.13-1.35 (m, 12 H), 1.51-2.06 (m, 16 H), 2.66 (t, J = 6.4 Hz, 2 H), 3.11 (m, 2 H), 3.32-3.98 (m, 20 H), 3.81 (s, 6H), 6.84 (m, 4 H), 7.15-7.51 (m, 9 H). 31P NMR (81 MHz, CDCl3): 148.06, 148.13, 148.19, 148.3 (アミドの回転異性体に起因して分裂している)
(実施例2:下記式を有するデカマー・オリゴヌクレオチドの合成、精製および特徴付け)
【0048】
【化2】
【0049】
前記オリゴヌクレオチドは、以降ではN10Sn(N10=オリゴヌクレオチド部分;S=スペルミン残基およびn=1〜6)によって表されることになる。
【0050】
自動合成:増加する数のスペルミン残基Sが付け加えられた同一配列N10=3’CACCGTAGCG5’の一連のデカマー・オリゴヌクレオチドは、標準固相シアノエチルホスホロアミダイト化学を用いてExpedite DNA合成機により、下記スキームに従って合成された。
【0051】
【化3】
【0052】
最後のN部は、古典的なオリゴヌクレオチド合成によるヌクレオチドである。
【0053】
自動DNA合成に用いられる試薬は、Glen Research(Eurogentec)から購入された。
【0054】
自動合成の間、長期にわたるカップリング時間(15分)によりなされ、わずかにより高濃度ホスホロアミダイト溶液(1mLのアセトニトリル中90mgのアミダイト)を用いたスペルミンホスホロアミダイト1のカップリング以外は、標準の1μmolのカップリングサイクルが用いられた。
【0055】
トリチルフラクションが集められ、希釈され、分光光度計において分析されて、段階的なカップリング収率が測定された。
【0056】
4種の天然ヌクレオチドのカップリング収率は97%を超えたが、一方で、
スペルミンホスホロアミダイトのカップリングの収率は上記カップリング条件において90〜96%であった。
【0057】
全ての場合で、DMT−ON(ON=オリゴヌクレオチド)の形態が用いられ、精製−同定の目的のためオリゴマー上で開裂されていない5’端のDMT基が維持された。
【0058】
合成後処理:自動合成の後、オリゴマーの固体担体からの開裂および完全な脱保護が標準的な条件(開裂のための濃アンモニア水による90分間にわたる室温での、次いで、脱保護のための終夜にわたる55℃での処理)を用いてなされた。
【0059】
精製:最初の2つのアニオン性オリゴヌクレオチドN10S1およびN10S2は、最初に、DMT−on状態で、逆相ヌクレオシルC−18カラム(Macherey-Nagel 10×250mm)による標準HPLC手順によって、20mMの酢酸アンモニウム溶液(pH7)中アセトニトリルの線形濃度勾配(20分内で5〜35%)により精製された。精製されたオリゴヌクレオチドは、次いで、室温で20分間にわたってAcOH/H2O=4/1(500mL)による処理によって脱トリチル化された。水(5mL)による希釈の後、DMT−OHが、エーテル抽出(3×2mL)によって除去され、水相が濃縮され、オリゴマーを得た。
【0060】
オリゴヌクレオチドN10S1およびN10S2のHPLC分析は、図1において、逆相ヌクレオシルC−18カラム(Macherey-Nagel 4.6×250mm)で、20mMの酢酸アンモニウム溶液(pH7)中のアセトニトリルの線形勾配(20分内の5〜35%)により与えられる:a)N10S1(粗生成物)、DMT−ON;b)N10S1(精製);c)N10S2(粗生成物)、DMT−ON;d)N10S2(精製)。*ベンズアミド;**端を切り取った(truncated)配列。
【0061】
中性オリゴマーN10S3およびカチオン性オリゴマーN10S4、N10S5およびN10S6(DMT基を有するかまたは有しない)は、アセトニトリル/濃アンモニア水/水(20:4:80)によりなされた最終のオリゴヌクレオチド溶離を除いて、Poly-Pak II(登録商標)(Glen Research/Eurogentec)カラムを用いて、製造業者によって与えられた指示に従って精製された。オリゴヌクレオチドを含むフラクションは、TLCプレートを用いて明らかにされ得る。フラクションを集めた後、溶媒は、凍結乾燥によって除去された。こうして得られたオリゴマーは、概して、ベンズアミドによって汚染されていた。それは、希アンモニア水溶液(50mM)への溶解後のエーテルによる抽出(3回)によって除去された。精製されたオリゴヌクレオチドは、希アンモニア水溶液(50mM)に溶解させられ、それらの濃度は、以下の吸光係数(260nm,mol−1dm3cm−1)を用いて測定された:
ε=(15.4NA+11.5NG+7.4NC+8.7NT)×0.9×103
精製されたオリゴヌクレオチドのHPLC分析は図2に与えられる:線形勾配(NaCl(10分超で100〜350mM)/NaOH25mM(pH12.4))を有する陰イオン交換カラム(Dionex PA-100g×250mm):a)N10S1、b)N10S2、c)N10S3、d)N10S4、e)N10S5、f)N10S6。
【0062】
用いられた接合化学(conjugation chemistry)に起因して、各ポリアミンは、リン酸基と同伴し、それ故に、正味の追加のカチオン電荷に寄与する。7種のオリゴヌクレオチド(N10Sn)3n−9n=0...6(完全にイオン化された場合に全体的な電荷−9、−6、−3、0、+3、+6、+9を有する)が、それ故に、80〜250ナノモルの範囲の量で利用可能である。
【0063】
(電気泳動移動度)
pH7における電界中のそれらの遊走が、ポリアクリルアミドゲルの電気泳動によって研究され、銀鏡染色によって明らかにされた。10μLのローディングバッファー(10mM HEPES pH7.4、150mM NaCl、グリセロール)中の化合物(0.5nmol)が、非変性ポリアクリルアミドゲル(TAE pH7中15%)上に充填された。電気泳動は、5V/cmで17時間にわたり4℃で実行された。銀染色は、Rabilloud et al, Electrophoresis, 1987,9, 288-291に従って行われた。結果は、図3に与えられる。スペルミンを有しないオリゴヌクレオチドN10(レーン1)は、アノードに向かって迅速に移動し、ポリアミン含有オリゴヌクレオチドが明らかにされる条件下にかすかな銀染色のみを示した。
【0064】
(N10のN10・C10との自発的な交換)
オリゴヌクレオチドC10(ここで、Cは、Nに相補的なヌクレオチドである)(50pmolまたは500pmol)が、蛍光N10・C10*二本鎖体溶液(HEPES 10mM pH7.4,NaCl 150mM中50pmol)に加えられた。混合物は、4時間37℃、20℃または10℃でインキュベートされ、非変性ポリアクリルアミドゲル(TAE pH7中15%)上に充填された。電気泳動は、4℃で17時間にわたって5V/cmで行われた。C10*蛍光は、Typhoon 8600 Imagerを用いてゲルを走査することによって検出された。図4において与えられる結果によって示されるように、N10のN10・C10との自発的交換は、10℃において顕著ではない。
【0065】
(N10とN10Snとの間の鎖の交換)
天然の二本鎖体N10・C10へのN10Snの鎖の置換能が生理塩条件において試験された。
【0066】
スペルミン接合体N10Sn(50または500pmol)が、蛍光N10・C10*二本鎖体溶液(10mM HEPES pH7.4,150mM NaCl中50pmol)に加えられた。混合物は、4時間10℃でインキュベートされ、非変性ポリアクリルアミドゲル(TAE pH7中15%)上に充填された。電気泳動は、4℃で17時間にわたって5V/cmで行われた。蛍光は、Typhoon 8600 Imagerを用いてゲルを走査することによって検出された。
【0067】
スペルミン接合体は、図5に示されるように鎖交換反応に重大な影響を及ぼした。N10・C10*に対応するバンドは、増加した競争N10Snのスペルミン残基の数に応じて、よりゆっくり移動する、より乏しいアニオン性のN10Sn・C10*複合体に有利になるように、より弱くなった。この効果は、特に、N10S3、すなわち、形式的な陰電荷をもはや帯びない接合体について断言される。実際に、スペルミンは、副溝においてNH2+二座水素結合の鎖間ネットワークを形成することによって二本鎖DNA構造を取り囲んでおり、それ故に、N10よりもN10Snバインディングに有利に働くことになる。それでも、事前に形成された(N10Sn)3n−9/(N10・C10)18−静電複合体(n>3についての場合であり得る)において鎖交換が起こる場合にさらなる有利な速度論的因子が作動し得る。
【0068】
(N10Sn・C10二本鎖体の融点)
二本鎖核酸の安定性は、それらの融点、すなわち、相補鎖が協同的にバラバラになる温度を測定することによって比較された。N10Sn・C10の溶液の光学密度(optical density:O.D.)対温度Tが、260nmで記録された。
【0069】
融点Tmは、HEPES 10mM pH7.4(黒色線,菱形)中およびHEPES 10mM pH7.4+150mM NaCl(灰色線、円)中で測定された。全二本鎖体(1mLバッファ中3.75nmol)の溶融プロファイルは、温度制御装置を備えたCARY 4000分光光度計を用いて、サンプルを徐々に加熱(1℃/分)しながら、それらの260nmでの吸収を記録することによって得られた。二本鎖体の溶融は、結果として、濃色シフト(hyperchromic shift)をもたらし、Tmは、一次導関数曲線dO.D./dT=f(T)が最大に達する温度である。結果は、図5に与えられる。
【0070】
天然の二本鎖体は、10mM HEPES pH7.4においてTm=30℃で溶解した(図5)。接合体のスペルミン数の増加は、顕著なTmの増加につながった。N10S6・C10はTm=75.2℃で溶解し、いくつかは、天然の二本鎖体より高い45℃で溶解した。Tm=f(n)曲線は、天然のN10S3オリゴヌクレオチドについては変曲を有するS字形状を示した。
【0071】
融点は、生理塩条件においても記録された。Tm=f(n)曲線は大きく減衰するようであり、意外なことに、N10S3についての従前の曲線と交差した。それ故に、n<3について、N10SnおよびC10の両方のオリゴヌクレオチドはアニオン性であり、二本鎖体において互いに反発する;溶液の塩濃度が増加すれば斥力が遮断され、それ故に、Tmが増加する。n>3について、N10Snはカチオン性になり、C10を引きつける;ここでは、塩が誘導する静電的遮断が安定性を減少させる。
【0072】
天然のN10S3では、二本鎖体の安定性は、塩濃度とは無関係である。
【0073】
(5’GTGGCATCGC3’ および5’GTGGCGTCGC3’を有するN10Sn(n=0〜6)によって形成された二本鎖体の融点の比較)
オリゴヌクレオチド−スペルミン接合体の単一の塩基対のミスマッチの識別が試験された。C10=5’GTGGCATCGC3’の配列の前後関係の範囲内で、文献データは、最もストリージェントな試験であるので中央に位置するAからGへの転換を推奨した。
【0074】
融点Tmは、HEPES 10mM pH7.4+NaCl 150mMにおいて測定された。全二本鎖体(1mMバッファ中3.75nmol)の溶融プロファイルは、温度制御装置を備えたCARY 4000分光光度計を用いて、サンプルを徐々に加熱(1℃/分)しながらそれらの260nmでの吸収を記録することによって得られた。Tmは、一次導関数曲線dO.D./dT=f(T)がその最大に達する温度である。結果は、図7に与えられる(菱形は5’GTGGCATCGC3’に対応し、三角形は5’GTGGCGTCGC3’に対応する)。
【0075】
150mMのNaCl中の天然のN10・C10二本鎖体の転移温度は、ミスマッチが存在する場合、50.6℃から42.9℃に落ち、すなわち、DTm=7.7℃であった。原則として、非特異的な末端接合静電力に起因する安定性の増加は、塩基対の特異性を損なうべきではなく、これは、ΔΔGとして表される。これは、相補的かつミスマッチなターゲットオリゴヌクレオチドが平均ΔTm=7.9℃を有する擬似並行Tm=f(n)曲線を示したので、実際に観察されたことである。
【0076】
(精製されたN10SnオリゴヌクレオチドのES−MS分析)
オリゴヌクレオチドは、1%トリエチルアミンを含有する50%(v/v)アセトニトリル水溶液に、5×10−5Mの最終濃度で溶解させられた。100mLの分割量が、Applied Biosystems Mariner 5155質量分析計のイオン源に5mL/分の流速で導入された。結果は図8に与えられる(挿入:デコンボリューションスペクトル(deconvoluted spectra)):a)N10S1、b)N10S2、c)N10S3、d)N10S4、e)N10S5、f)N10S6。中性およびカチオン性オリゴマーN10S3−6のイオン化は、より困難になり、受け入れ可能なシグナル−ノイズ比を得るために複数のスペクトルを蓄積することが必要であった。
【0077】
(実施例3:下記式を有する12merのチオホスファート・オリゴヌクレオチドの合成、精製および特徴付け)
【0078】
【化4】
【0079】
前記オリゴヌクレオチドは、以降ではN12SnF(N=12mer オリゴヌクレオチド チオホスファート部分;S=スペルミン残基およびn=2または11;F=チミンに接合させられたフルオレセイン)によって表されることになる。
【0080】
自動合成:2または11個のスペルミン残基Sが付け加えられた配列N12=3’GCGACTCATGAA5’の12mer チオホスファート・オリゴヌクレオチドが、固相シアノエチルホスホロアミダイト化学を用いてExpedite DNA合成機により合成された。仕上げ処理の間のオリゴマーの開裂を避けるために超軽度のCEホスホロアミダイトおよび超軽度の支持体(Glen Research/Eurogenetec)が用いられた。12mer オリゴヌクレオチド部分中にホスホロチオアート結合を生じさせるために標準的な硫化剤(Glen Research/Eurogentec)が用いられた。フルオレセイン−dTホスホロアミダイト(Glen Research/Eurogentec)が、5’末端のラベリングのために用いられた。スペルミンホスホロアミダイトのカップリングは、実施例2に記載されたカップリング手順を用いて行われた。
【0081】
トリチルフラクションが集められ、希釈され、分光光度計において分析されて、段階的なカップリング収率が決定された。
【0082】
全ての場合において、DMT−ONの形態が用いられ、精製−同定の目的のためにオリゴマー上で開裂されていない5’−末端のDMT基が維持された。
【0083】
合成後処理:自動合成後、オリゴマーの固体支持体からの開裂および完全な脱保護は、濃アンモニア水による室温での終夜処理によって行われた。
【0084】
精製:DMT−ON化合物N12S2FおよびN12S11Fは、Poly-Pak II(登録商標)カラム(Glen Research/Eurogenetec)を用いて、製造業者によって与えられた指示に従って精製された。
【0085】
精製されたオリゴヌクレオチドN12SnF(n=2、11)は、陰イオン交換カラム(SAX1000-8)により、塩基性水溶液条件(100mM アンモニア,pH11)で、NaCl勾配(20分内で0.75〜2.5M)を用いて分析された。HPLC追跡は図9に示される(A:N12S11F、B:N12S2F)。
【0086】
(精製されたオリゴヌクレオチドのMALDI−TOF MS分析)
オリゴヌクレオチドは、500μLの脱イオン水に溶解させられた。サンプルおよびHPAマトリクスが、プレート上で一緒に混合された。一旦結晶化されてから、サンプルは、BRUKER Ultraflex MS装置により分析された。結果は図10Aに与えられる:N12S2F 計算値5460、実測値5459(上部)および図10B:N12S11F 計算値:9135 実測値:9125(下部)。
【0087】
(実施例4:プラスミドDNA鎖の14merおよび20merの蛍光オリゴヌクレオチドを伴う侵入)
【0088】
【化5】
【0089】
上記に示される化合物は、以降において、N14SnF(N=オリゴヌクレオチド部分;S=スペルミン残基(n=2〜4);F=フルオレセイン残基)およびN20SnF(N=オリゴヌクレオチド部分;S=スペルミン残基(n=3〜5);F=フルオレセイン残基)によって表されることになる。
【0090】
これらの蛍光オリゴヌクレオチドは、実施例2に記載された手順の後に合成された。5’−フルオレセイン・ホスホロアミダイト(Glen Research/Eurogentec)が、5’−末端のラベリングのために用いられた。最も置換されたN14S4FおよびN20S5F化合物についての分析的HPLC追跡およびMALDI−TOF MSスペクトルは、純度と構造の証拠として図11および12に示される(それぞれ、N14S4F 計算値6470、実測値6478;N20S5F 計算値8813、実測値8815)。
【0091】
N14SnFおよびN20SnFのオリゴヌクレオチド配列は、pGL3コントロールプラスミド(Promega)のルシフェラーゼ遺伝子配列の中から選ばれた。鎖侵入の配列特異性を評価するために、pGL2コントロールプラスミド(Promega)が用いられた。GL2ルシフェラーゼ配列は、GL3と95%同一であり、N14SnFおよびN20SnFによってターゲットにされる配列は、それぞれ、1および2のミスマッチを含有する。
【0092】
pGL3プラスミドを鎖侵略する(strand-invade)がpGL2プラスミドを鎖侵略しないN14SnFおよびN20SnFの能力が、生理的な塩および温度条件で試験された。
【0093】
蛍光接合体N14SnFおよびN20SnF(8.65pmol)が、プラスミドの溶液(10mM HEPES pH7.4,150mM NaCl中1.5μg,0.43pmol)に加えられた。混合物は、24時間37℃でインキュベートされ、アガロースゲル(TAE pH7.4中1.3%)上に充填された。電気泳動は、Typhoon 8600 Imagerを用いてゲルを走査することによって何か蛍光緑色発光が検出された後に室温で45分間にわたって行われた。ゲルの赤色の蛍光画像が、臭化エチジウム溶液中の15分のインキュベーションの後にUVトランスイルミネーター上で取得された。結果は図13に与えられる。
【0094】
赤および緑色の蛍光は、それぞれ、二本鎖プラスミドDNAおよび蛍光オリゴヌクレオチドの証拠である。pGL3とは共局在化するがpGL2とは共局在化しないことは、それ故に、鎖侵入の証拠である。化合物N14S3FおよびN20SnFは、pGL3とインキュベートされたがpGL2とインキュベートされない場合にプラスミドと関連するかすかな蛍光バンドを示した。
【0095】
(実施例5:カチオン性オリゴヌクレオチドの細胞への浸透)
MEM培地を含有する10%(v/v)ウシ胎仔血清において生育されたヒーラ細胞が、50−60×103細胞/ウェルで、4−ウェル有孔ボロシリカートLab-Tek皿に、実験の1日前に塗布された。完全培地は、0.5mLの無血清MEM培地と置換された。5’−カチオン性フルオレセイン接合オリゴヌクレオチドF−S18N19(ここで、N19はTCGAAGTACTCAGCGTAAGである)製剤が滅菌PBSにおいて調製された。それは、2μMの最終濃度まで細胞に加えられた。4時間後に、培地は、1mLの新鮮な血清含有培地と置換された。第1の画像は、FITCフィルタを備えたZeiss axiovert 25蛍光顕微鏡により撮られた(図14A、左)。全ての細胞は蛍光性になり、いくつかの蛍光は細胞内の液胞に位置し、最も重要なことには、細胞質および核の全体にわたっても広がっていた。24時間後に培地は1mLのフェノールレッド不含有のMEM培地により置換された。ヨウ化プロピジウム(水中1mM)が10μMの最終濃度まで加えられた。10分後に、第2の画像が撮られ、これは、大部分のプロピジウムがない健康な細胞であって、依然として蛍光性であったものを示す(図14B、右)。F−N19オリゴヌクレオチドにより類似の条件でインキュベートされたコントロール細胞は、非蛍光性を示した。
【0096】
それ故に、本発明は、カチオン性オリゴヌクレオチドであって、鎖侵入の状況においてさえもそれらの相補的な配列と迅速かつ安定的な複合体を形成するものの多用途の自動合成を提供する。末端の接合に起因して、配列の選択性は、天然のオリゴヌクレオチドと同程度に高いままである。さらに、それらのカチオン性の性質のお陰で、細胞内送達は、カチオン性の運搬分子との複合体の形成を必要としない。まとめると、これらの特性は、オリゴヌクレオチド−オリゴカチオン接合体を、分子生物学、診断並びに治療適用のためのオリゴヌクレオチドに対して魅力的な代替物にする。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】逆相カラムによるカチオン性オリゴヌクレオチドN10Sn(n=1〜2)のHPLC分析
【図2】陰イオン交換カラムによる精製オリゴヌクレオチドN10Sn(n=1〜6)のHPLC分析
【図3】ポリアクリルアミドゲル電気泳動によるN10Sn(n=1〜6)電気泳動移動度の分析
【図4】種々の温度でのN10のN10・C10との自発的交換
【図5】ポリアミドゲル電気泳動によって示されるN10とN10Snとの間の鎖の交換
【図6】N10S10・C10二本鎖体の融点(ここでCはNに相補的なヌクレオチドである)
【図7】5’GTGGCATCGC3’を有するおよび5’GTGGCGTCGC3’を有するN10Sn(n=0〜6)によって形成された二本鎖体の融点の比較結果
【図8】精製N10Sn(n=1〜6)オリゴヌクレオチドのES−MS分析
【図9】ホスホロチオアートオリゴヌクレオチドN12S11F(9A)およびN12S2F(9B)のHPLC追跡
【図10】N12S2F(10A)およびN12S11F(10B)のMALDI−TOF MSスペクトル
【図11】N14S4F(11A)およびN20S5F(11B)のHPLC追跡
【図12】N14S4F(12A)およびN20S5F(12B)のMLLDI−TOF MSスペクトル
【図13】N14SnF(13A)およびN20SnF(13B)によるpGL2およびpGL3プラスミドの鎖の侵入
【図14A】カチオン性オリゴヌクレオチドF−S18N19のヒーラ細胞への透過
【図14B】カチオン性オリゴヌクレオチドF−S18N19のヒーラ細胞への透過
【技術分野】
【0001】
本発明は、カチオン性オリゴヌクレオチド、すなわち、オリゴヌクレオチド−オリゴカチオン分子(本明細書において(それらの全体的な電荷に関係なく)カチオン性オリゴヌクレオチドとも呼ばれる)であって、オリゴヌクレオチド合成機で段階的に合成され得るものに関する。本発明はまた、分子生物学、診断および治療適用におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
オリゴヌクレオチドは、分子生物学および医療において極めて大多数の適用を見出し、膨大な種類の疾患の治療のための非常に選択的な部類の薬物になり得る。
【0003】
オリゴヌクレオチドは、別のポリアニオン核酸によって生み出された相補配列にハイブリッド形成した後にそれらの特異的な活性を発揮するポリアニオンである。
【0004】
候補薬として、それらはまた、アニオン性の細胞膜を通過することが可能でなければならない。
【0005】
簡単な静電気的な考察により、ハイブリッド形成エネルギーおよび細胞バインディングは、カチオン基のオリゴヌクレオチド構造への付加から恩恵を受け得ることが暗示される。
【0006】
この目的に向けて、アンモニウムまたはグアニジニウム残基をオリゴヌクレオチドに導入するための多くの合成的なアプローチが研究された:リン酸骨格の置き換え、リボースまたは核酸塩基の改変、およびポリアニオンの末端接合(end conjugation)。しかしながら、ハイブリッド形成の特異性、核酸プロセシング酵素活性並びに代謝物の毒性が、阻害アプローチへの全ての点に影響し、そこで、最良の解決策としてポリカチオンが他の状態の天然のオリゴヌクレオチドに加えられる。残念なことに、オリゴヌクレオチド−カチオンペプチド接合体の段階的な自動合成は、まだ日常的ではない。一方、予め形成された大きなブロック間の接合化学は、簡単ではなく、特に、水においては、「超」双性イオンが、解決困難な溶解性、精製および特徴的な問題を引き起こす。さらに、分子生物学および診断適用は、任意の有機カチオン長さにつながる任意の所与の塩基配列の迅速で簡単な合成を必要とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らによって、オンライン(コンピュータ駆動)のオリゴヌクレオチド−オリゴカチオン分子の合成は、適切に活性化されかつ保護されたオリゴカチオン誘導体を含むバイアルを、4種の天然塩基のものに加えてオリゴヌクレオチド合成機に詰めることによって可能であることが見出された。
【0008】
本発明の目的は、それ故に、新規なカチオン性オリゴヌクレオチドを提供することにある。
【0009】
本発明の別の目的は、前記カチオン性オリゴヌクレオチドの高収率の自動合成を提供することにある。
【0010】
さらなる目的において、本発明は、前記カチオン性オリゴヌクレオチドの適用、特には、分子生物学、診断および治療での適用に関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
それ故に、本発明は、混合オリゴヌクレオチドオリゴカチオン分子であって、自動ホスホロアミダイト化学、すなわち、ポリホスホジエステルを介して合成され得るものに関する。
【0012】
より詳細には、本発明のカチオン性オリゴヌクレオチドAiBjHは、オリゴヌクレオチド部分Aiおよびオリゴカチオン部分Bjを有し、ここで、
Aiは、i mer(i個)のオリゴヌクレオチド残基であり、i=5〜50であり、ヌクレオチドAは、天然または非天然に生じた核酸塩基および/またはペンタフラノシル基および/または生来のホスホジエステル結合を有するオリゴマーであり、
Bjは、j merの有機オリゴカチオン部分であり、j=1〜50であり、Bは、
・ -HPO3-R1-(X-R2n)n1-X-R3-O-(ここで、R1、R2nおよびR3は、同一または異なって、低級アルキレンであり、Xは、NHまたはNC(NH2)2であり、nは1〜5であり、n1は2〜20である)、
・ -HPO3-R4-CH(R5X1)-R6-O-(ここで、R4は低級アルキレンであり、R5およびR6は、同一または異なって、低級アルキレンであり、X1は、プトレッシン、スペルミジンまたはスペルミン残基である)、
・ -HPO3-R7-(aa)n2-R8-O-(ここで、R7は低級アルキレンであり、R8は低級アルキレン、セリン、天然アミノアルコールであり、(aa)n2は、カチオン性側鎖を有する天然アミノ酸(例えば、アルギニン、リシン、オルニチン、ヒスチジン、ジアミノプロピオン酸)を含むペプチドであり、n2=2〜20である)
を含む基から選択される。
【0013】
明細書および特許請求の範囲において用いられる場合の「低級アルキル」および「低級アルキレン」は、好ましくは、置換されてもよいC1−C5直鎖(linear)または分枝鎖アルキルまたはアルキレン基をそれぞれ表す。
【0014】
Aは、例えば、デオキシリボ、リボ、ロック(LNA)ヌクレオチド並びにそれらの化学改変体または置換体、例えば、ホスホロチオアート(チオホスファートとも表される)、2’−フルオロ、2’−O−アルキルまたはマーカー基、例えば、蛍光剤を含む群から選択される。
【0015】
本発明の混合オリゴヌクレオチド−オリゴカチオン分子は、3’A5’−B配列を有する。
【0016】
本発明の他の分子は、B−3’A5’配列を有する。
【0017】
本発明のさらに他の分子は、B−3’A5’−Bまたは3’A5’−B−3’A5’配列を有する。
【0018】
このような配列は、実施例において、下記構造を有するオリゴヌクレオチド−スペルミン分子によって例示される:
(3’A5)i−[PO3−−(CH2)4−NH2+−(CH2)3−NH2+−(CH2)4−NH2+−(CH2)3−NH2+−(CH2)4−O]jH
式中、A、iおよびjは、上記定義の通りである。
【0019】
Aがホスホロチオアートヌクレオチドである分子は、それらの生物学的適用の点で特に有利である。ホスホロチオアートオリゴヌクレオチドは、生体液中で加水分解されないからである。
【0020】
上記規定のカチオン性オリゴヌクレオチドは、実施例によって例示されるように、鎖置換の状況下、さらにはプラスミド鎖の侵入の状況下にそれらの相補配列と迅速で安定な複合体を形成する。
【0021】
末端接合に起因して、配列の選択性は、天然のヌクレオチドと同程度に高いままである。
【0022】
したがって、本発明のカチオン性オリゴヌクレオチドは、分子生物学、研究試薬および診断適用、例えば、PCR、リアルタイムPCR、ジェノタイピング、in situ ハイブリダイゼーションおよびDNAチップのために非常に興味深いものである。
【0023】
このような適用もまた本発明によってカバーされ、上記に定義されたようなオリゴヌクレオチド−オリゴカチオン分子の使用を含む。
【0024】
アニオン性オリゴヌクレオチドとは対照的に、本発明のカチオン性オリゴヌクレオチドは、実施例において、生細胞の細胞質および核に自発的に入ることが示される。
【0025】
それらの強化されたハイブリダイゼーションおよび細胞浸透特性の点で、それらはまた、治療適用、例えば、メッセンジャーRNAのアンチセンスおよびsiRNA分解、メッセンジャーRNAの成熟の間のエキソンスキッピング、クロマチンによる三重らせんの形成、クロマチン鎖の侵入(遺伝子修正)等によって媒介されるものに有用である。
【0026】
本発明は、それ故に、上記規定のオリゴヌクレオチド−オリゴカチオン分子の有効量を、製薬的に許容される担体と関連して含む医薬組成物にも関する。
【0027】
本発明はまた、上記に規定されたようなオリゴヌクレオチド−オリゴカチオン分子の有効量を製薬的に許容される担体と関連して用いる工程を包含する治療方法に関する。
【0028】
上記規定の混合オリゴヌクレオチド−オリゴカチオン分子は、有利には、オリゴヌクレオチド合成機により、ホスホロアミダイトルートを介して、
− 活性化されかつ保護されたオリゴカチオンBを含むバイアルを、上記規定のようなオリゴヌクレオチドAのバイアルに加えて、またはその逆のようにしてオリゴヌクレオチド合成機に詰める工程と、
− 所望の長さが得られた時に合成を停止させる工程と、
− 固体担体からオリゴマーを開裂させる工程と、
− 保護基を除去する工程と
を包含する方法に従って段階的に合成される。
【0029】
本発明は、オリゴカチオン反復ブロックBの構造の自動合成において用いられるホスホロアミダイト試薬と密接に関連する。以下のホスホロアミダイト試薬が、この目的のために用いられ得る:
・P(OR9)(N(R10)2)-O-R1-(X-R2n)n1-X-R3-O-Prot(ここで、R1、R2、R3、nおよびn1は、上記定義の通りであり、Xは、適切に保護されたNHまたはNC(NH2)2であり、R9は−CH2CH2CNまたは低級アルキルであり、R10が低級アルキルであるかまたは−N(R10)2がピロリジノ、ピペリジノまたはモルホリノ基であり、Protは、オリゴヌクレオチド合成において用いられる保護基、例えば、DMT、MMTである);
・P(OR9)(N(R10)2)-O-R4-CH(R5X1)-R6-O-Prot(ここで、R4、R5、R6は低級アルキレンであり、X1は適切に保護されたプトレッシン、スペルミジンまたはスペルミンであり、R9およびR10は上記の定義通りである);
・P(OR9)(N(R10)2)-O-R7-(aa)n2 -R8-O-Prot(ここで、R7、R8、R9、R10、n2およびProtは、上記定義の通りであり、(aa)n2は、適切に保護されたカチオン性側鎖を有する天然アミノ酸(例えば、アルギニン、リシン、オルニチン、ヒスチジン、ジアミノプロピオン酸)を含むペプチドであり、n2=2〜20である)。
【0030】
適切に保護されたNHまたはNC(NH2)2は、試薬が露出させられた化学反応条件に対してアミノ基またはグアニジン残基の機能を不活性にするために保護基がそれら上にそれぞれ存在することを意味する。
【0031】
そのような保護基は、例えば、フタルイミド(PHTH)、トリフルオロアセタート、アリルオキシカルボニル(Alloc)、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)、クロロベンジルオキシカルボニル、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)およびイソニコチニルオキシ(i−Noc)基である。
【0032】
本発明の実施形態によると、オリゴヌクレオチド配列の段階的合成の後に、オリゴカチオン部分の段階的合成が行われて、配列(3’A5’−B)を有する化合物が得られる。
【0033】
別の実施形態によると、逆順の工程が行われ、オリゴカチオン部分の段階的合成の後に、オリゴヌクレオチド配列の段階的合成が行われて、(B−3’A5’)配列の化合物が得られる。
【0034】
さらに別の実施形態によると、混合配列が合成される。
【0035】
特に、両端でキャッピングされたオリゴヌクレオチド配列(B−3’A5’−B)は、生体液中でエキソヌクレアーゼに抵抗することができ、カチオンを割り込ませた配列(3’A5’−B−3’A5’)は、隣接する核酸配列のターゲッティングを可能にする。
【0036】
天然に生ずるアミン(例えばスペルミン)またはペプチド(例えばオリゴアルギニン)を用いることによって、代謝物の潜在的な毒性は回避される。スペルミンは、リモラー濃度で細胞中に実際に存在し、その末端のアルキル化物は無害である。さらに、塩基性ペプチド配列は、多くの核タンパク質に存在する。
【0037】
活性化されかつ保護されたオリゴカチオンBは、有利には、ポリアミンのアミノ基を保護した後に、オリゴヌクレオチド合成に化学反応を起こさないジオールにつながるα,ω−ビスヒドロキシアルキル化を行うことによって得られる。
【0038】
従来のDMTおよびホスホロアミダイトの延長(elongation)化学は、有利には、塩基不安定TFA保護基と一緒に実行される。
【0039】
化学的に保護されたジオール体は、新規物であり、本発明の範囲に入る。
【0040】
本発明は、特に、以下を含む群から選択される中間体に関する:
・P(OR9)(N(R10)2)-O-R1-(X-R2n)n1-XR3-O-Prot(ここで、R1、R2、R3、nおよびn1は上記に定義された通りであり、Xは適切に保護されたNHまたはNC(NH2)2であり、R9は−CH2CH2CNまたは低級アルキルであり、R10は低級アルキルであるかまたは−N(R10)2はピロリジノ、ピペリジノまたはモルホリノ基であり、Protは、オリゴヌクレオチド合成において用いられる保護基、例えばDMT、MMTである);
・P(OR9)(N(R10)2)-O-R4-CH(R5X1)-R6-O-Prot(ここで、R4、R5、R6は低級アルキレンであり、X1は適切に保護されたプトレッシン、スペルミジンまたはスペルミンであり、R9およびR10は上記に定義された通りである);
・P(OR9)(N(R10)2)-O-R7-(aa)n2 -R8-O-Prot(ここで、R7、R8、R9、R10、n2およびProtは上記に定義された通りであり、(aa)n2は、適切に保護されたカチオン性側鎖を有する天然アミノ酸、例えば、アルギニン、リシン、オルニチン、ヒスチジン、ジアミノプロピオン酸を含むペプチドであり、n2=2〜20である)。
【0041】
本発明の他の特徴および利点は以降に与えられる。特に、スペルミン(S)を有するデカマーオリゴヌクレオチド配列(A10)(以下においてA10Sn)によって表される)の合成が、実例として、本発明の範囲を制限することなく与えられることになる。実施例において、図1〜14が参照されることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
(実施例1:ホスホロアミダイトスペルミン合成素子の合成)
スペルミン連結ホスホロアミダイト1は、以下のスキーム1に示されるようにスペルミンから合成された。
【化1】
【0043】
(Mes=2,4,6−トリメチルフェニル;TBDMS=t−ブチルジメチルシリル;TFA=CF3CO−;DMT=4,4’−ジメトキシトリチル)
テトラキス(メシチルスルホニル)スペルミン2は、スペルミンから調製されるものであり、このものはビスアルキル化されて3を得た。酢酸条件中での3の完全な脱保護の後、粗ビス(C4−OH)スペルミン・テトラヒドロブロミド4は、ピリジン中の無水トリフルオロ酢酸によって完全に保護され、次いで、5の2つの末端エステル基は、中性条件下に加水分解されてジオール体6を得た。1モル当量のDMTCl試薬を用いる統計的方法で5のモノトリチル化が行われ、43%の収率で7を得た。未反応のジオール体6およびビス・トリチル化合物8が回収され、中程度の酸条件(ジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸)下、再平衡に達しさせられ、7を得た。7のホスファイト化により、所望のホスホロアミダイト1を得た。
【0044】
N1,N4,N9,N12−テトラキス(メシチルスルホニル)スペルミン(2):この化合物は、文献:Bergeron et al. J. Med. Chem. 2001, 44, 232-244.に従って調製された。
【0045】
N1,N12−ビス[4−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)ブチル]−N1,N4,N9,N12−テトラキス(メシチルスルホニル)−スペルミン(3):水素化ナトリウム(60%,1.0g,25mmol)が、2(9.31g,10.0mmol)のDMF溶液(20mL)にN2下に0℃で攪拌しながら分けて加えられた。室温で30分間にわたって攪拌した後、t−ブチル(4−ヨードブトキシ)ジメチルシラン(7.86g,25mmol)が、一度に加えられた。混合物は、室温で終夜攪拌され、次いで、H2O−CH2Cl2(100mL/100mL)で分液された。有機相が分けられ、水相はCH2Cl2(50mL)により3回抽出された。有機相が合わせられ、このものは、NaHCO3溶液(1M)により洗浄され、次いで、MgSO4により乾燥させられた。溶媒留去の後、糊状の残渣は、フラッシュ・クロマトグラフィーによって、溶離液として1:4 AcOEt:シクロヘキサンを用いて精製された。3を含むフラクションは、糊状の油状物にまで溶媒留去され、このものは、冷ペンタンによりさらに洗浄され、迅速な可動不純物(fast moving impurity)が除去され、次いで、ポンプで真空吸引され、9.97g(76%)の3を油状物として得た:TLC(AcOEt/シクロヘキサン 1:4):Rf=0.28 IR (KRS-5): 2937, 1604, 1471, 1320, 1151, 1101, 838, 777, 657, 578 cm-1. 1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ= -0.01 (s, 12 H), 0.85 (s, 18 H), 1.20-1.45 (m, 12 H), 1.62 (m, 4 H), 2.28 (s, 6 H), 2.29 (s, 6 H), 2.53 (s, 12 H), 2.54 (s, 12 H), 2.90-3.10 (m, 16 H), 3.42 (t, J = 6.1 Hz, 4 H), 6.91 (s, 4 H), 6.92 (s, 4 H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ= 4.7, 18.9, 21,6, 23.4, 23.5, 24.1, 24.9, 25.7, 26.6, 30.4, 43.5, 43.6, 45.6, 45.7, 62.9, 132.59, 132.64, 133.8, 140.7, 143.0, 143.1 MS-ESI (MeOH): m/z = 1325.85 [M + Na]+, 1303.83 [M + H]+. C66H110N4O10S4Si2 (Mw = 1304.03) 計算値 C 60.79, H 8.50, N 4.30, S 9.84; 実測値C 60.74, H 8.55, N 4.21, S 9.63.
N1,N12−ビス(4−ヒドロキシブチル)スペルミン・テトラヒドロブロミド(4):酢酸中の臭化水素(33重量%溶液,80mL,1.4mol)が、3(9.87g,7.57mmol)およびフェノール(29.0g,0.31mol,40当量)のCH2Cl2溶液(80mL)に滴下された。反応混合物は、室温で終夜攪拌された。氷浴により冷却した際に、冷水(100mL)が、攪拌しながら加えられた。有機層が分けられ、水(20mL)により3回抽出された。水層が合わせられ、このものは、CH2Cl2(30mL)により5回洗浄され、乾燥するまで溶媒留去させられた。得られた湿気を有する固体残渣は、エーテル中に懸濁させられ、スパーテルにより粉砕され、上澄みエーテル層は廃棄された。これらの操作は、固体懸濁液が得られるまで繰り返された(5回)。溶媒留去および真空乾燥の後、化合物4が固体として得られた(5.32g)。この粗物質は、さらなる精製なしで用いられた:1H NMR (300 MHz, D2O): δ = 1.75-2.10 (m, 12 H), 2.27 (m, 4 H), 3.15-3.35 (m, 16 H), 3.76 (t, J = 12.2 Hz, 4 H). 13C NMR (75 MHz, D2O): δ = 22.9, 23.2, 23.4, 29.0, 45.0, 45.2, 47.7, 48.3, 61.5. MS-ESI (MeOH): m/z = 347.39 [M + H]+.
N1,N12−ビス(4−(トリフルオロアセトキシ)ブチル)−N1,N4,N9,N12−テトラキス(トリフルオロアセチル)スペルミン(5)(4からTFA2O/NEt3により):4(5.3g,7.6mmol)のCH2Cl2懸濁液(50mL)に、トリエチルアミン(11.5g,114mmol、15当量)が、一度に加えられた。混合物は、氷浴で冷却され、無水トリフルオロ酢酸(19.1g、90.9mmol,12当量)がN2下に攪拌しながら滴下された。混合物は、室温で3.5時間にわたって攪拌された。氷浴による冷却後、得られた溶液は、冷水(20mL)により3回洗浄され、MgSO4で乾燥させられ、次いで、溶媒留去されて、油状残渣(11.7g)を得、この油状残渣は、この反応の二次生成物として(TFA)2C=CH−NEt2を含有する(参照;Schreber, S. L., Tetrahedron Lett. 1980, 21, 1027)。これは、2回の連続するフラッシュ・クロマトグラフィー(溶離液1:1−60:40 AcOEt:シクロヘキサン、次いで、5〜10%Et2O/CH2Cl2)によって除去され、5(5.59g,81%)を油状物として得た:TLC(AcOEt/シクロヘキサン 1:1);Rf = 0.25. IR (KRS-5): 2955, 1789, 1690, 1467, 1352, 1197, 1147, 759, 731, 692 cm-1. 1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 1.52-2.06 (m, 16 H), 3.33-3.49 (m, 16 H), 3.38 (m, 4 H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3): このスペクトルは、4つのアミド基の回転異性体によって複雑化されている。高強度の共鳴シグナルのみが以下のように記載される:δ = 23.3, 23.9, 24.1, 24.8, 25.3, 25.6, 26.0, 26.55, 26.61, 44.4, 44.8, 45.7, 46.1, 46.4, 47.3, 48.0, 56.6, 67.3, 67.5, 116.6 (q, J = 288 Hz), 156.9, 157.4, 157.8, 158.6.
N1,N12−ビス(4−ヒドロキシブチル)−N1,N4,N9,N12−テトラキス(トリフルオロアセチル)スペルミン(6):5(5.39g,5.84mmol)のMeOH溶液(50mL)に、NaHCO3(0.1g,固体)が一度に加えられ、得られた懸濁液は、2時間にわたって室温で攪拌された。溶媒留去の後、油状残渣は、CH2Cl2に溶解させられ(若干繊維質のNaHCO3)の懸濁液を与える)、5〜10% MeOH/CH2Cl2により溶離するフラッシュ・クロマトグラフィーによって精製され、3.61g(85%)の6を油状物として得た:TLC(MeOH5%/CH2Cl2):Rf=0.14(MeOH10%/CH2Cl2):Rf=0.45.1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ= 1.51-2.02 (m, 18 H), 3.33-3.51 (m, 16 H), 3.68 (m, 4 H). MS-ESI (MeOH): m/z = 753.33 [M + Na]+. C26H38F12N4O6・H2O (Mw = 748.60) 計算値 C 41.72, H 5.39, N 7.48, F 30.45; 実測値C 41.97, H 5.26, N 7.37, F 30.14.
4からの6の調製(TFA2O/ピリジン、次いでNaHCO3による):4(15.3g,22.8mmol)のCH2Cl2(100mL)およびピリジン(44mL,0.54mmol)の懸濁液に、無水トリフルオロ酢酸(46mL,0.33mol)が、氷浴で冷却しながらおよびN2下に攪拌しながら滴下された。混合物は、室温で3時間にわたって攪拌された。過剰の無水トリフルオロ酢酸が、氷浴で冷却しながら冷水(100mL)を添加することによって分解され、次いで、得られた溶液は、CH2Cl2により抽出された(4回100mL+50mL+25mL×2)。抽出物を合わせ、このものは、冷水により洗浄され(50mL×3)、MgSO4で乾燥させられ、次いで、溶媒が留去されて、粗生成物5を油状物として得た(19.4g,92%)。この油状物は、MeOH(100mL)に溶解させられた。NaHCO3(固体,0.1g)が加えられ、懸濁液は、終夜攪拌された。溶媒を留去した後、残渣は、フラッシュ・クロマトグラフィーによって、溶離液として5〜7% MeOH:CH2Cl2を用いて精製され、10.1g(61%)の6を油状物として得た。
【0046】
N1−[4−(ジメトキシトリチルオキシ)ブチル]−N12−(4−ヒドロキシブチル)−N1,N4,N9,N12−テトラキス(トリフルオロ−アセチル)スペルミン(7):6(1.46g,2.00mmol)のピリジン溶液(3mL)に、DMTCl(757mg,2.23mmol)が1mLのピリジンを用いて加えられ、リンスされた。反応混合物は、4時間にわたって室温でN2下に攪拌され、次いで、ピリジンが、トリエンによる共留去によって繰り返し除去された。残渣は、2回の連続的なフラッシュ・クロマトグラフィー(溶離液 2〜5%MeOH/CH2Cl2、次いで、10〜15%アセトン/CH2Cl2)によって精製され、7(879mg,43%)(発泡体)およびビス−DMT誘導体8(648mg,24%)を得た。出発ジオール6も回収された(350mg,24%)。7のデータ:TLC(アセトン/CH2Cl2 1:9):Rf=0.20 1H NMR (300 MHz, CDCl3):δ= 1.51-2.03 (m, 17 H), 3.11 (m, 2 H), 3.32-3.51 (m, 16 H), 3.71 (m, 2 H), 3.81 (s, 6H), 6.84 (m, 4 H), 7.19-7.46 (m, 9 H). MS-ESI (MeOH): m/z = 1055.52 [M + Na]+. C47H56F12N4O8 (Mw = 1032.95) 計算値 C 54.65, H 5.46, N 5.42, F 22.07; 実測値 C 54.46, H 5.58, N 5.37, F 21.63.
ジオール体(6)およびビス−DMT誘導体(8)からの化合物(7):6(1.4g,1.9mmol)および8(2.5g,1.9mmol)のCH2Cl2溶液に、トリフルオロ酢酸(50μL,0.6mmol)が加えられ、室温で30分間にわたり攪拌された。溶液は、Na2CO3の1M溶液により3回洗浄され、MgSO4で乾燥させられ、溶媒留去された。残渣は、フラッシュ・クロマトグラフィー(カラム径:50mm,SiO2の高さ:15cm)によって、5%AcOEt/CH2Cl2(750mL)、33%AcOEt/CH2Cl2(500mL)、7%MeOH/CH2Cl2(500mL)および10%MeOH/CH2Cl2(500mL)を連続的に用いて分離され、8(1.1g)、7(1.2g)および6(1.3g)を得た。
【0047】
スペルミン連結ホスホロアミダイト(1):7(844mg,817μmol)およびトリエチルアミン(230μL,1.65mmol,2当量)のCH2Cl2溶液(4mL)に、2−シアノエチル−(N,N−ジイソプロピルアミノ)クロロホスファイト(205μL,0.92mmol,1.1当量)が加えられ、混合物は、N2下に室温で40分間にわたり攪拌された。反応混合物は、NEt3で飽和された(CH2Cl2:シクロヘキサン1:2中NEt3 1%;400mL)SiO2カラム(直径:20mm、高さ:15cm)に、CH2Cl2:シクロヘキサン 1:2中NEt3 1%(125mL)、次いで、CH2Cl2:シクロヘキサン1:1中NEt3 1%(100mL)を用いて通され、1(735mg,73%)を油状物として得た:1H NMR (200 MHz, CDCl3): δ= 1.13-1.35 (m, 12 H), 1.51-2.06 (m, 16 H), 2.66 (t, J = 6.4 Hz, 2 H), 3.11 (m, 2 H), 3.32-3.98 (m, 20 H), 3.81 (s, 6H), 6.84 (m, 4 H), 7.15-7.51 (m, 9 H). 31P NMR (81 MHz, CDCl3): 148.06, 148.13, 148.19, 148.3 (アミドの回転異性体に起因して分裂している)
(実施例2:下記式を有するデカマー・オリゴヌクレオチドの合成、精製および特徴付け)
【0048】
【化2】
【0049】
前記オリゴヌクレオチドは、以降ではN10Sn(N10=オリゴヌクレオチド部分;S=スペルミン残基およびn=1〜6)によって表されることになる。
【0050】
自動合成:増加する数のスペルミン残基Sが付け加えられた同一配列N10=3’CACCGTAGCG5’の一連のデカマー・オリゴヌクレオチドは、標準固相シアノエチルホスホロアミダイト化学を用いてExpedite DNA合成機により、下記スキームに従って合成された。
【0051】
【化3】
【0052】
最後のN部は、古典的なオリゴヌクレオチド合成によるヌクレオチドである。
【0053】
自動DNA合成に用いられる試薬は、Glen Research(Eurogentec)から購入された。
【0054】
自動合成の間、長期にわたるカップリング時間(15分)によりなされ、わずかにより高濃度ホスホロアミダイト溶液(1mLのアセトニトリル中90mgのアミダイト)を用いたスペルミンホスホロアミダイト1のカップリング以外は、標準の1μmolのカップリングサイクルが用いられた。
【0055】
トリチルフラクションが集められ、希釈され、分光光度計において分析されて、段階的なカップリング収率が測定された。
【0056】
4種の天然ヌクレオチドのカップリング収率は97%を超えたが、一方で、
スペルミンホスホロアミダイトのカップリングの収率は上記カップリング条件において90〜96%であった。
【0057】
全ての場合で、DMT−ON(ON=オリゴヌクレオチド)の形態が用いられ、精製−同定の目的のためオリゴマー上で開裂されていない5’端のDMT基が維持された。
【0058】
合成後処理:自動合成の後、オリゴマーの固体担体からの開裂および完全な脱保護が標準的な条件(開裂のための濃アンモニア水による90分間にわたる室温での、次いで、脱保護のための終夜にわたる55℃での処理)を用いてなされた。
【0059】
精製:最初の2つのアニオン性オリゴヌクレオチドN10S1およびN10S2は、最初に、DMT−on状態で、逆相ヌクレオシルC−18カラム(Macherey-Nagel 10×250mm)による標準HPLC手順によって、20mMの酢酸アンモニウム溶液(pH7)中アセトニトリルの線形濃度勾配(20分内で5〜35%)により精製された。精製されたオリゴヌクレオチドは、次いで、室温で20分間にわたってAcOH/H2O=4/1(500mL)による処理によって脱トリチル化された。水(5mL)による希釈の後、DMT−OHが、エーテル抽出(3×2mL)によって除去され、水相が濃縮され、オリゴマーを得た。
【0060】
オリゴヌクレオチドN10S1およびN10S2のHPLC分析は、図1において、逆相ヌクレオシルC−18カラム(Macherey-Nagel 4.6×250mm)で、20mMの酢酸アンモニウム溶液(pH7)中のアセトニトリルの線形勾配(20分内の5〜35%)により与えられる:a)N10S1(粗生成物)、DMT−ON;b)N10S1(精製);c)N10S2(粗生成物)、DMT−ON;d)N10S2(精製)。*ベンズアミド;**端を切り取った(truncated)配列。
【0061】
中性オリゴマーN10S3およびカチオン性オリゴマーN10S4、N10S5およびN10S6(DMT基を有するかまたは有しない)は、アセトニトリル/濃アンモニア水/水(20:4:80)によりなされた最終のオリゴヌクレオチド溶離を除いて、Poly-Pak II(登録商標)(Glen Research/Eurogentec)カラムを用いて、製造業者によって与えられた指示に従って精製された。オリゴヌクレオチドを含むフラクションは、TLCプレートを用いて明らかにされ得る。フラクションを集めた後、溶媒は、凍結乾燥によって除去された。こうして得られたオリゴマーは、概して、ベンズアミドによって汚染されていた。それは、希アンモニア水溶液(50mM)への溶解後のエーテルによる抽出(3回)によって除去された。精製されたオリゴヌクレオチドは、希アンモニア水溶液(50mM)に溶解させられ、それらの濃度は、以下の吸光係数(260nm,mol−1dm3cm−1)を用いて測定された:
ε=(15.4NA+11.5NG+7.4NC+8.7NT)×0.9×103
精製されたオリゴヌクレオチドのHPLC分析は図2に与えられる:線形勾配(NaCl(10分超で100〜350mM)/NaOH25mM(pH12.4))を有する陰イオン交換カラム(Dionex PA-100g×250mm):a)N10S1、b)N10S2、c)N10S3、d)N10S4、e)N10S5、f)N10S6。
【0062】
用いられた接合化学(conjugation chemistry)に起因して、各ポリアミンは、リン酸基と同伴し、それ故に、正味の追加のカチオン電荷に寄与する。7種のオリゴヌクレオチド(N10Sn)3n−9n=0...6(完全にイオン化された場合に全体的な電荷−9、−6、−3、0、+3、+6、+9を有する)が、それ故に、80〜250ナノモルの範囲の量で利用可能である。
【0063】
(電気泳動移動度)
pH7における電界中のそれらの遊走が、ポリアクリルアミドゲルの電気泳動によって研究され、銀鏡染色によって明らかにされた。10μLのローディングバッファー(10mM HEPES pH7.4、150mM NaCl、グリセロール)中の化合物(0.5nmol)が、非変性ポリアクリルアミドゲル(TAE pH7中15%)上に充填された。電気泳動は、5V/cmで17時間にわたり4℃で実行された。銀染色は、Rabilloud et al, Electrophoresis, 1987,9, 288-291に従って行われた。結果は、図3に与えられる。スペルミンを有しないオリゴヌクレオチドN10(レーン1)は、アノードに向かって迅速に移動し、ポリアミン含有オリゴヌクレオチドが明らかにされる条件下にかすかな銀染色のみを示した。
【0064】
(N10のN10・C10との自発的な交換)
オリゴヌクレオチドC10(ここで、Cは、Nに相補的なヌクレオチドである)(50pmolまたは500pmol)が、蛍光N10・C10*二本鎖体溶液(HEPES 10mM pH7.4,NaCl 150mM中50pmol)に加えられた。混合物は、4時間37℃、20℃または10℃でインキュベートされ、非変性ポリアクリルアミドゲル(TAE pH7中15%)上に充填された。電気泳動は、4℃で17時間にわたって5V/cmで行われた。C10*蛍光は、Typhoon 8600 Imagerを用いてゲルを走査することによって検出された。図4において与えられる結果によって示されるように、N10のN10・C10との自発的交換は、10℃において顕著ではない。
【0065】
(N10とN10Snとの間の鎖の交換)
天然の二本鎖体N10・C10へのN10Snの鎖の置換能が生理塩条件において試験された。
【0066】
スペルミン接合体N10Sn(50または500pmol)が、蛍光N10・C10*二本鎖体溶液(10mM HEPES pH7.4,150mM NaCl中50pmol)に加えられた。混合物は、4時間10℃でインキュベートされ、非変性ポリアクリルアミドゲル(TAE pH7中15%)上に充填された。電気泳動は、4℃で17時間にわたって5V/cmで行われた。蛍光は、Typhoon 8600 Imagerを用いてゲルを走査することによって検出された。
【0067】
スペルミン接合体は、図5に示されるように鎖交換反応に重大な影響を及ぼした。N10・C10*に対応するバンドは、増加した競争N10Snのスペルミン残基の数に応じて、よりゆっくり移動する、より乏しいアニオン性のN10Sn・C10*複合体に有利になるように、より弱くなった。この効果は、特に、N10S3、すなわち、形式的な陰電荷をもはや帯びない接合体について断言される。実際に、スペルミンは、副溝においてNH2+二座水素結合の鎖間ネットワークを形成することによって二本鎖DNA構造を取り囲んでおり、それ故に、N10よりもN10Snバインディングに有利に働くことになる。それでも、事前に形成された(N10Sn)3n−9/(N10・C10)18−静電複合体(n>3についての場合であり得る)において鎖交換が起こる場合にさらなる有利な速度論的因子が作動し得る。
【0068】
(N10Sn・C10二本鎖体の融点)
二本鎖核酸の安定性は、それらの融点、すなわち、相補鎖が協同的にバラバラになる温度を測定することによって比較された。N10Sn・C10の溶液の光学密度(optical density:O.D.)対温度Tが、260nmで記録された。
【0069】
融点Tmは、HEPES 10mM pH7.4(黒色線,菱形)中およびHEPES 10mM pH7.4+150mM NaCl(灰色線、円)中で測定された。全二本鎖体(1mLバッファ中3.75nmol)の溶融プロファイルは、温度制御装置を備えたCARY 4000分光光度計を用いて、サンプルを徐々に加熱(1℃/分)しながら、それらの260nmでの吸収を記録することによって得られた。二本鎖体の溶融は、結果として、濃色シフト(hyperchromic shift)をもたらし、Tmは、一次導関数曲線dO.D./dT=f(T)が最大に達する温度である。結果は、図5に与えられる。
【0070】
天然の二本鎖体は、10mM HEPES pH7.4においてTm=30℃で溶解した(図5)。接合体のスペルミン数の増加は、顕著なTmの増加につながった。N10S6・C10はTm=75.2℃で溶解し、いくつかは、天然の二本鎖体より高い45℃で溶解した。Tm=f(n)曲線は、天然のN10S3オリゴヌクレオチドについては変曲を有するS字形状を示した。
【0071】
融点は、生理塩条件においても記録された。Tm=f(n)曲線は大きく減衰するようであり、意外なことに、N10S3についての従前の曲線と交差した。それ故に、n<3について、N10SnおよびC10の両方のオリゴヌクレオチドはアニオン性であり、二本鎖体において互いに反発する;溶液の塩濃度が増加すれば斥力が遮断され、それ故に、Tmが増加する。n>3について、N10Snはカチオン性になり、C10を引きつける;ここでは、塩が誘導する静電的遮断が安定性を減少させる。
【0072】
天然のN10S3では、二本鎖体の安定性は、塩濃度とは無関係である。
【0073】
(5’GTGGCATCGC3’ および5’GTGGCGTCGC3’を有するN10Sn(n=0〜6)によって形成された二本鎖体の融点の比較)
オリゴヌクレオチド−スペルミン接合体の単一の塩基対のミスマッチの識別が試験された。C10=5’GTGGCATCGC3’の配列の前後関係の範囲内で、文献データは、最もストリージェントな試験であるので中央に位置するAからGへの転換を推奨した。
【0074】
融点Tmは、HEPES 10mM pH7.4+NaCl 150mMにおいて測定された。全二本鎖体(1mMバッファ中3.75nmol)の溶融プロファイルは、温度制御装置を備えたCARY 4000分光光度計を用いて、サンプルを徐々に加熱(1℃/分)しながらそれらの260nmでの吸収を記録することによって得られた。Tmは、一次導関数曲線dO.D./dT=f(T)がその最大に達する温度である。結果は、図7に与えられる(菱形は5’GTGGCATCGC3’に対応し、三角形は5’GTGGCGTCGC3’に対応する)。
【0075】
150mMのNaCl中の天然のN10・C10二本鎖体の転移温度は、ミスマッチが存在する場合、50.6℃から42.9℃に落ち、すなわち、DTm=7.7℃であった。原則として、非特異的な末端接合静電力に起因する安定性の増加は、塩基対の特異性を損なうべきではなく、これは、ΔΔGとして表される。これは、相補的かつミスマッチなターゲットオリゴヌクレオチドが平均ΔTm=7.9℃を有する擬似並行Tm=f(n)曲線を示したので、実際に観察されたことである。
【0076】
(精製されたN10SnオリゴヌクレオチドのES−MS分析)
オリゴヌクレオチドは、1%トリエチルアミンを含有する50%(v/v)アセトニトリル水溶液に、5×10−5Mの最終濃度で溶解させられた。100mLの分割量が、Applied Biosystems Mariner 5155質量分析計のイオン源に5mL/分の流速で導入された。結果は図8に与えられる(挿入:デコンボリューションスペクトル(deconvoluted spectra)):a)N10S1、b)N10S2、c)N10S3、d)N10S4、e)N10S5、f)N10S6。中性およびカチオン性オリゴマーN10S3−6のイオン化は、より困難になり、受け入れ可能なシグナル−ノイズ比を得るために複数のスペクトルを蓄積することが必要であった。
【0077】
(実施例3:下記式を有する12merのチオホスファート・オリゴヌクレオチドの合成、精製および特徴付け)
【0078】
【化4】
【0079】
前記オリゴヌクレオチドは、以降ではN12SnF(N=12mer オリゴヌクレオチド チオホスファート部分;S=スペルミン残基およびn=2または11;F=チミンに接合させられたフルオレセイン)によって表されることになる。
【0080】
自動合成:2または11個のスペルミン残基Sが付け加えられた配列N12=3’GCGACTCATGAA5’の12mer チオホスファート・オリゴヌクレオチドが、固相シアノエチルホスホロアミダイト化学を用いてExpedite DNA合成機により合成された。仕上げ処理の間のオリゴマーの開裂を避けるために超軽度のCEホスホロアミダイトおよび超軽度の支持体(Glen Research/Eurogenetec)が用いられた。12mer オリゴヌクレオチド部分中にホスホロチオアート結合を生じさせるために標準的な硫化剤(Glen Research/Eurogentec)が用いられた。フルオレセイン−dTホスホロアミダイト(Glen Research/Eurogentec)が、5’末端のラベリングのために用いられた。スペルミンホスホロアミダイトのカップリングは、実施例2に記載されたカップリング手順を用いて行われた。
【0081】
トリチルフラクションが集められ、希釈され、分光光度計において分析されて、段階的なカップリング収率が決定された。
【0082】
全ての場合において、DMT−ONの形態が用いられ、精製−同定の目的のためにオリゴマー上で開裂されていない5’−末端のDMT基が維持された。
【0083】
合成後処理:自動合成後、オリゴマーの固体支持体からの開裂および完全な脱保護は、濃アンモニア水による室温での終夜処理によって行われた。
【0084】
精製:DMT−ON化合物N12S2FおよびN12S11Fは、Poly-Pak II(登録商標)カラム(Glen Research/Eurogenetec)を用いて、製造業者によって与えられた指示に従って精製された。
【0085】
精製されたオリゴヌクレオチドN12SnF(n=2、11)は、陰イオン交換カラム(SAX1000-8)により、塩基性水溶液条件(100mM アンモニア,pH11)で、NaCl勾配(20分内で0.75〜2.5M)を用いて分析された。HPLC追跡は図9に示される(A:N12S11F、B:N12S2F)。
【0086】
(精製されたオリゴヌクレオチドのMALDI−TOF MS分析)
オリゴヌクレオチドは、500μLの脱イオン水に溶解させられた。サンプルおよびHPAマトリクスが、プレート上で一緒に混合された。一旦結晶化されてから、サンプルは、BRUKER Ultraflex MS装置により分析された。結果は図10Aに与えられる:N12S2F 計算値5460、実測値5459(上部)および図10B:N12S11F 計算値:9135 実測値:9125(下部)。
【0087】
(実施例4:プラスミドDNA鎖の14merおよび20merの蛍光オリゴヌクレオチドを伴う侵入)
【0088】
【化5】
【0089】
上記に示される化合物は、以降において、N14SnF(N=オリゴヌクレオチド部分;S=スペルミン残基(n=2〜4);F=フルオレセイン残基)およびN20SnF(N=オリゴヌクレオチド部分;S=スペルミン残基(n=3〜5);F=フルオレセイン残基)によって表されることになる。
【0090】
これらの蛍光オリゴヌクレオチドは、実施例2に記載された手順の後に合成された。5’−フルオレセイン・ホスホロアミダイト(Glen Research/Eurogentec)が、5’−末端のラベリングのために用いられた。最も置換されたN14S4FおよびN20S5F化合物についての分析的HPLC追跡およびMALDI−TOF MSスペクトルは、純度と構造の証拠として図11および12に示される(それぞれ、N14S4F 計算値6470、実測値6478;N20S5F 計算値8813、実測値8815)。
【0091】
N14SnFおよびN20SnFのオリゴヌクレオチド配列は、pGL3コントロールプラスミド(Promega)のルシフェラーゼ遺伝子配列の中から選ばれた。鎖侵入の配列特異性を評価するために、pGL2コントロールプラスミド(Promega)が用いられた。GL2ルシフェラーゼ配列は、GL3と95%同一であり、N14SnFおよびN20SnFによってターゲットにされる配列は、それぞれ、1および2のミスマッチを含有する。
【0092】
pGL3プラスミドを鎖侵略する(strand-invade)がpGL2プラスミドを鎖侵略しないN14SnFおよびN20SnFの能力が、生理的な塩および温度条件で試験された。
【0093】
蛍光接合体N14SnFおよびN20SnF(8.65pmol)が、プラスミドの溶液(10mM HEPES pH7.4,150mM NaCl中1.5μg,0.43pmol)に加えられた。混合物は、24時間37℃でインキュベートされ、アガロースゲル(TAE pH7.4中1.3%)上に充填された。電気泳動は、Typhoon 8600 Imagerを用いてゲルを走査することによって何か蛍光緑色発光が検出された後に室温で45分間にわたって行われた。ゲルの赤色の蛍光画像が、臭化エチジウム溶液中の15分のインキュベーションの後にUVトランスイルミネーター上で取得された。結果は図13に与えられる。
【0094】
赤および緑色の蛍光は、それぞれ、二本鎖プラスミドDNAおよび蛍光オリゴヌクレオチドの証拠である。pGL3とは共局在化するがpGL2とは共局在化しないことは、それ故に、鎖侵入の証拠である。化合物N14S3FおよびN20SnFは、pGL3とインキュベートされたがpGL2とインキュベートされない場合にプラスミドと関連するかすかな蛍光バンドを示した。
【0095】
(実施例5:カチオン性オリゴヌクレオチドの細胞への浸透)
MEM培地を含有する10%(v/v)ウシ胎仔血清において生育されたヒーラ細胞が、50−60×103細胞/ウェルで、4−ウェル有孔ボロシリカートLab-Tek皿に、実験の1日前に塗布された。完全培地は、0.5mLの無血清MEM培地と置換された。5’−カチオン性フルオレセイン接合オリゴヌクレオチドF−S18N19(ここで、N19はTCGAAGTACTCAGCGTAAGである)製剤が滅菌PBSにおいて調製された。それは、2μMの最終濃度まで細胞に加えられた。4時間後に、培地は、1mLの新鮮な血清含有培地と置換された。第1の画像は、FITCフィルタを備えたZeiss axiovert 25蛍光顕微鏡により撮られた(図14A、左)。全ての細胞は蛍光性になり、いくつかの蛍光は細胞内の液胞に位置し、最も重要なことには、細胞質および核の全体にわたっても広がっていた。24時間後に培地は1mLのフェノールレッド不含有のMEM培地により置換された。ヨウ化プロピジウム(水中1mM)が10μMの最終濃度まで加えられた。10分後に、第2の画像が撮られ、これは、大部分のプロピジウムがない健康な細胞であって、依然として蛍光性であったものを示す(図14B、右)。F−N19オリゴヌクレオチドにより類似の条件でインキュベートされたコントロール細胞は、非蛍光性を示した。
【0096】
それ故に、本発明は、カチオン性オリゴヌクレオチドであって、鎖侵入の状況においてさえもそれらの相補的な配列と迅速かつ安定的な複合体を形成するものの多用途の自動合成を提供する。末端の接合に起因して、配列の選択性は、天然のオリゴヌクレオチドと同程度に高いままである。さらに、それらのカチオン性の性質のお陰で、細胞内送達は、カチオン性の運搬分子との複合体の形成を必要としない。まとめると、これらの特性は、オリゴヌクレオチド−オリゴカチオン接合体を、分子生物学、診断並びに治療適用のためのオリゴヌクレオチドに対して魅力的な代替物にする。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】逆相カラムによるカチオン性オリゴヌクレオチドN10Sn(n=1〜2)のHPLC分析
【図2】陰イオン交換カラムによる精製オリゴヌクレオチドN10Sn(n=1〜6)のHPLC分析
【図3】ポリアクリルアミドゲル電気泳動によるN10Sn(n=1〜6)電気泳動移動度の分析
【図4】種々の温度でのN10のN10・C10との自発的交換
【図5】ポリアミドゲル電気泳動によって示されるN10とN10Snとの間の鎖の交換
【図6】N10S10・C10二本鎖体の融点(ここでCはNに相補的なヌクレオチドである)
【図7】5’GTGGCATCGC3’を有するおよび5’GTGGCGTCGC3’を有するN10Sn(n=0〜6)によって形成された二本鎖体の融点の比較結果
【図8】精製N10Sn(n=1〜6)オリゴヌクレオチドのES−MS分析
【図9】ホスホロチオアートオリゴヌクレオチドN12S11F(9A)およびN12S2F(9B)のHPLC追跡
【図10】N12S2F(10A)およびN12S11F(10B)のMALDI−TOF MSスペクトル
【図11】N14S4F(11A)およびN20S5F(11B)のHPLC追跡
【図12】N14S4F(12A)およびN20S5F(12B)のMLLDI−TOF MSスペクトル
【図13】N14SnF(13A)およびN20SnF(13B)によるpGL2およびpGL3プラスミドの鎖の侵入
【図14A】カチオン性オリゴヌクレオチドF−S18N19のヒーラ細胞への透過
【図14B】カチオン性オリゴヌクレオチドF−S18N19のヒーラ細胞への透過
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動ホスホロアミダイト化学を介して合成され得る、オリゴヌクレオチド部分Aiおよびオリゴカチオン部分Bjを有するオリゴヌクレオチド−オリゴカチオン分子AiBjHであって、
Aiは、i merのオリゴヌクレオチド残基並びにそれらの化学改変体または置換体であり、ここで、i=5〜50であり、天然のまたは非天然に発生する核酸塩基および/またはペンタフラノシル基および/または生来のホスホジエステル結合を有し;
Bjは、j merの有機オリゴカチオン部分であり、j=1〜50であり、ここで、Bは、
・ -HPO3-R1-(X-R2)n1-X-R3-O-(ここで、R1、R2およびR3は、同一または異なって、低級アルキレンであり、XはNHまたはNC(NH2)2であり、n1=2〜20である)、
・ -HPO3-R4-CH(R5X1)-R6-O-(ここで、R4は低級アルキレンであり、R5およびR6は、同一または異なって、低級アルキレンであり、X1はプトレッシン、スペルミジンまたはスペルミン残基である)、
・ -HPO3-R7-(aa)n2-R8-O-(ここで、R7は低級アルキレンであり、R8は低級アルキレン、セリン、天然アミノ酸の還元によって得られるアミノアルコールであり、(aa)n2は、カチオン性側鎖を有する天然アミノ酸を含むペプチドであり、n2=2〜20である)
を含む群から選択される
オリゴヌクレオチド−オリゴカチオン分子AiBjH。
【請求項2】
オリゴヌクレオチドは、デオキシリボ、リボ、ロック(LNA)ヌクレオチド並びにそれらの化学改変体または置換体を含む群において選択される、請求項1に記載の分子。
【請求項3】
改変体または置換体は、ホスホロチオアート、2’−フルオロ、2’−O−アルキルである、請求項2に記載の分子。
【請求項4】
マーカー基は、蛍光剤である、請求項1〜3のいずれか1つに記載の分子。
【請求項5】
アミノ酸は、アルギニン、リシン、オルニチン、ヒスチジン、ジアミノプロピオン酸である、請求項1〜4のいずれか1つに記載の分子。
【請求項6】
3’A5’−B配列を有する、請求項1〜5のいずれか1つに記載の分子。
【請求項7】
B−3’A5’配列を有する、請求項1〜5のいずれか1つに記載の分子。
【請求項8】
B−3’A5’−Bまたは3’A5’−B−3’A5’配列並びにそれらの組合せを有する、請求項1〜5のいずれか1つに記載の分子。
【請求項9】
ホスホロアミダイトルートを介する、オリゴヌクレオチド合成機による段階的な合成を用いることによって、請求項1〜8のいずれか1つに記載のオリゴヌクレオチド−オリゴカチオン分子を得る方法であって、
活性化されかつ保護されたオリゴヌクレオチドBを含むバイアルをオリゴヌクレオチド合成機に、オリゴヌクレオチドAのバイアルに加えて詰めるか、またはこれと逆順に詰める工程と、
所望長さが得られた時に合成を停止させる工程と、
固体支持体からオリゴマーを開裂させる工程と、
保護基を除去する工程と
を包含する、方法。
【請求項10】
ホスホロアミダイト試薬は、
・ P(OR9)(N(R10)2)-O-R1-(X-R2)n1-X-R3-O-Prot(ここで、R1、R2、R3およびn1は、上記に定義した通りであり、Xは適切に保護されたNHまたはNC(NH2)2であり、R9は−CH2CH2CNまたは低級アルキルであり、R10は低級アルキルであるかまたは−N(R10)2はピロリジノ、ピペリジノまたはモルホリノ基であり、Protはオリゴヌクレオチド合成において用いられる保護基、例えば、DMT、MMTである);
・ P(OR9)(N(R10)2)-O-R4-CH(R5X1)-R6-O-Prot(ここで、R4、R5、R6は低級アルキレンであり、X1は適切に保護されたプトレッシン、スペルミジンまたはスペルミンであり、R9およびR10は上記に定義された通りである);および
・ P(OR9)(N(R10)2)-O-R7-(aa)n2 -R8-O-Prot(ここで、R7、R8、R9、R10、n2、(aa)n2およびProtは、上記に定義された通りである)
を含む群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
オリゴヌクレオチド配列の段階的合成の次にオリゴカチオン部分の段階的合成が行われて、配列(3’A5’−B)を有する化合物が得られる、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
オリゴカチオン部分の段階的合成の次にオリゴヌクレオチド配列の段階的合成が行われて、(B−3’A5’)配列の化合物が得られる、請求項9または10に記載の方法。
【請求項13】
混合配列の合成を包含する、請求項9または10に記載の方法。
【請求項14】
両端部においてキャッピングされたオリゴヌクレオチド配列(B−3’A5’−B)またはカチオンを割り込ませたオリゴヌクレオチド配列(3’A5’−B−3’A5’)の合成を包含する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ポリアミンのアミノ基を保護し、次いで、α,ω−ビスヒドロキシアルキル化によって、オリゴヌクレオチドの合成により化学反応を起こさないジオールに導くことによって活性化されかつ保護されたオリゴカチオンBが得られる、請求項9〜14のいずれか1つに記載の方法。
【請求項16】
式:P(OR9)(N(R10)2)-O-R1-(X-R2)n1-X-R3-O-Prot(ここで、R1、R2、R3およびn1は上記の定義の通りであり、Xは適切に保護されたNHまたはNC(NH2)2であり、R9は−CH2CH2CNまたは低級アルキルであり、R10は低級であるかまたは−N(R10)2はピロリジノ、ピペリジノまたはモルホリノ基であり、Protは、オリゴヌクレオチド合成において用いられる保護基、例えばDMT、MMTである);
P(OR9)(N(R10)2)-O-R4-CH(R5X1)-R6-O-Prot(ここで、R4、R5、R6は低級アルキレンであり、X1は適切に保護されたプトレッシン、スペルミジンまたはスペルミンであり、R9およびR10は上記に定義された通りである);または、
P(OR9)(N(R10)2)-O-R7-(aa)n2 -R8-O-Prot(ここで、R7、R8、R9、R10およびProtは上記に定義された通りである)
の、中間化合物としてのホスホロアミダイト試薬。
【請求項17】
請求項1〜8のいずれか1つに記載のオリゴヌクレオチド−オリゴカチオン分子の使用を包含する、生物学および診断における使用方法。
【請求項18】
PCR、リアルタイムPCR、ジェノタイピング、in situハイブリダイゼーションおよびDNAチップ製造における使用のための、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
請求項1〜8のいずれか1つに記載のオリゴヌクレオチド−オリゴカチオン分子の有効量を、製薬的に許容される担体と関連して含む医薬組成物。
【請求項1】
自動ホスホロアミダイト化学を介して合成され得る、オリゴヌクレオチド部分Aiおよびオリゴカチオン部分Bjを有するオリゴヌクレオチド−オリゴカチオン分子AiBjHであって、
Aiは、i merのオリゴヌクレオチド残基並びにそれらの化学改変体または置換体であり、ここで、i=5〜50であり、天然のまたは非天然に発生する核酸塩基および/またはペンタフラノシル基および/または生来のホスホジエステル結合を有し;
Bjは、j merの有機オリゴカチオン部分であり、j=1〜50であり、ここで、Bは、
・ -HPO3-R1-(X-R2)n1-X-R3-O-(ここで、R1、R2およびR3は、同一または異なって、低級アルキレンであり、XはNHまたはNC(NH2)2であり、n1=2〜20である)、
・ -HPO3-R4-CH(R5X1)-R6-O-(ここで、R4は低級アルキレンであり、R5およびR6は、同一または異なって、低級アルキレンであり、X1はプトレッシン、スペルミジンまたはスペルミン残基である)、
・ -HPO3-R7-(aa)n2-R8-O-(ここで、R7は低級アルキレンであり、R8は低級アルキレン、セリン、天然アミノ酸の還元によって得られるアミノアルコールであり、(aa)n2は、カチオン性側鎖を有する天然アミノ酸を含むペプチドであり、n2=2〜20である)
を含む群から選択される
オリゴヌクレオチド−オリゴカチオン分子AiBjH。
【請求項2】
オリゴヌクレオチドは、デオキシリボ、リボ、ロック(LNA)ヌクレオチド並びにそれらの化学改変体または置換体を含む群において選択される、請求項1に記載の分子。
【請求項3】
改変体または置換体は、ホスホロチオアート、2’−フルオロ、2’−O−アルキルである、請求項2に記載の分子。
【請求項4】
マーカー基は、蛍光剤である、請求項1〜3のいずれか1つに記載の分子。
【請求項5】
アミノ酸は、アルギニン、リシン、オルニチン、ヒスチジン、ジアミノプロピオン酸である、請求項1〜4のいずれか1つに記載の分子。
【請求項6】
3’A5’−B配列を有する、請求項1〜5のいずれか1つに記載の分子。
【請求項7】
B−3’A5’配列を有する、請求項1〜5のいずれか1つに記載の分子。
【請求項8】
B−3’A5’−Bまたは3’A5’−B−3’A5’配列並びにそれらの組合せを有する、請求項1〜5のいずれか1つに記載の分子。
【請求項9】
ホスホロアミダイトルートを介する、オリゴヌクレオチド合成機による段階的な合成を用いることによって、請求項1〜8のいずれか1つに記載のオリゴヌクレオチド−オリゴカチオン分子を得る方法であって、
活性化されかつ保護されたオリゴヌクレオチドBを含むバイアルをオリゴヌクレオチド合成機に、オリゴヌクレオチドAのバイアルに加えて詰めるか、またはこれと逆順に詰める工程と、
所望長さが得られた時に合成を停止させる工程と、
固体支持体からオリゴマーを開裂させる工程と、
保護基を除去する工程と
を包含する、方法。
【請求項10】
ホスホロアミダイト試薬は、
・ P(OR9)(N(R10)2)-O-R1-(X-R2)n1-X-R3-O-Prot(ここで、R1、R2、R3およびn1は、上記に定義した通りであり、Xは適切に保護されたNHまたはNC(NH2)2であり、R9は−CH2CH2CNまたは低級アルキルであり、R10は低級アルキルであるかまたは−N(R10)2はピロリジノ、ピペリジノまたはモルホリノ基であり、Protはオリゴヌクレオチド合成において用いられる保護基、例えば、DMT、MMTである);
・ P(OR9)(N(R10)2)-O-R4-CH(R5X1)-R6-O-Prot(ここで、R4、R5、R6は低級アルキレンであり、X1は適切に保護されたプトレッシン、スペルミジンまたはスペルミンであり、R9およびR10は上記に定義された通りである);および
・ P(OR9)(N(R10)2)-O-R7-(aa)n2 -R8-O-Prot(ここで、R7、R8、R9、R10、n2、(aa)n2およびProtは、上記に定義された通りである)
を含む群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
オリゴヌクレオチド配列の段階的合成の次にオリゴカチオン部分の段階的合成が行われて、配列(3’A5’−B)を有する化合物が得られる、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
オリゴカチオン部分の段階的合成の次にオリゴヌクレオチド配列の段階的合成が行われて、(B−3’A5’)配列の化合物が得られる、請求項9または10に記載の方法。
【請求項13】
混合配列の合成を包含する、請求項9または10に記載の方法。
【請求項14】
両端部においてキャッピングされたオリゴヌクレオチド配列(B−3’A5’−B)またはカチオンを割り込ませたオリゴヌクレオチド配列(3’A5’−B−3’A5’)の合成を包含する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ポリアミンのアミノ基を保護し、次いで、α,ω−ビスヒドロキシアルキル化によって、オリゴヌクレオチドの合成により化学反応を起こさないジオールに導くことによって活性化されかつ保護されたオリゴカチオンBが得られる、請求項9〜14のいずれか1つに記載の方法。
【請求項16】
式:P(OR9)(N(R10)2)-O-R1-(X-R2)n1-X-R3-O-Prot(ここで、R1、R2、R3およびn1は上記の定義の通りであり、Xは適切に保護されたNHまたはNC(NH2)2であり、R9は−CH2CH2CNまたは低級アルキルであり、R10は低級であるかまたは−N(R10)2はピロリジノ、ピペリジノまたはモルホリノ基であり、Protは、オリゴヌクレオチド合成において用いられる保護基、例えばDMT、MMTである);
P(OR9)(N(R10)2)-O-R4-CH(R5X1)-R6-O-Prot(ここで、R4、R5、R6は低級アルキレンであり、X1は適切に保護されたプトレッシン、スペルミジンまたはスペルミンであり、R9およびR10は上記に定義された通りである);または、
P(OR9)(N(R10)2)-O-R7-(aa)n2 -R8-O-Prot(ここで、R7、R8、R9、R10およびProtは上記に定義された通りである)
の、中間化合物としてのホスホロアミダイト試薬。
【請求項17】
請求項1〜8のいずれか1つに記載のオリゴヌクレオチド−オリゴカチオン分子の使用を包含する、生物学および診断における使用方法。
【請求項18】
PCR、リアルタイムPCR、ジェノタイピング、in situハイブリダイゼーションおよびDNAチップ製造における使用のための、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
請求項1〜8のいずれか1つに記載のオリゴヌクレオチド−オリゴカチオン分子の有効量を、製薬的に許容される担体と関連して含む医薬組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2009−519317(P2009−519317A)
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545144(P2008−545144)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際出願番号】PCT/IB2006/004085
【国際公開番号】WO2007/069092
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(508119437)サーントゥル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシュ シャーンティフィク (セ エン エール エス) (3)
【出願人】(508178685)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際出願番号】PCT/IB2006/004085
【国際公開番号】WO2007/069092
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(508119437)サーントゥル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシュ シャーンティフィク (セ エン エール エス) (3)
【出願人】(508178685)
【Fターム(参考)】
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