説明

カプセル化されたマイケル付加触媒

【課題】カプセル化されたマイケル付加触媒を提供する。
【解決手段】カプセル化触媒が、マイケル供与体および受容体の存在下、二成分又は多成分系で、ポットライフ、硬化速度に前例のない制御をもたらし、かつ一成分型組成物としての使用を可能にするので、接着剤、シーラント、コーティング、エラストマー、フィルム、および発泡体として有用な組成物が得られる。カプセル化触媒は貯蔵、処理の間の様々な反応物質の時期尚早の反応を防止し、決められた事象例えば熱、圧力又は溶媒和の適用でカプセルを破裂し、迅速に硬化させる。カプセル化触媒の使用は、ポットライフ、硬化速度に、従来組成物にない制御をもたらす。カプセル化触媒を使用した結果、従来不知の一成分型マイケル付加組成物の可能性が生じる。カプセル化触媒の使用は、カプセルの破裂時に非常に迅速な硬化を提供し、迅速なグリーン強度発現を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤、シーラント、コーティング、発泡体、エラストマー、フィルム、成型物品、およびインクを製造するために有用な組成物に関する。本発明は、カプセル化された塩基触媒を利用した炭素マイケル(Michael)付加反応による多官能性アクリレートと活性メチレン化合物との反応により硬化する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
マイケル付加反応は、マイケル受容体がマイケル供与体と反応して、炭素鎖を伸長させる公知プロセスである。マイケル付加は、例えば、RT MorrisonおよびRN Boyd(Organic Chemistry、第3版、Allyn and Bacon、1973)により教示されている。反応は、マイケル供与体およびマイケル受容体間で、塩基触媒の存在下で起こると考えられる。
【0003】
米国特許出願公開番号2005/0081994は、接着剤、シーラント、エラストマーおよび発泡体に有用であるマイケル付加組成物を硬化させるための強塩基触媒の使用を開示している。強塩基は、それらが非常に迅速な硬化をもたらす点で望ましいが、強塩基は多くのプロセスに問題をもたらし、その結果、ポットライフ(pot−life)が短くなる。強塩基の使用は、典型的には、塩基が一つの成分に添加され、使用直前まで第二の成分(共反応物質)から隔離された状態である二成分系の使用を必要とする。強塩基により触媒されるマイケル付加組成物の二成分を混合すると、迅速に反応して、完全な硬化を示す。一つの制限は、迅速な反応の結果、まず粘度が劇的に増大し、処理および取り扱いが困難になり、その後、最終的に硬化することである。混合により起こる早すぎる粘度の劇的な増加は短いポットライフとして知られている。この欠点を克服するために、混合された物質を直ちに消費する適用法(たとえば、押出法)を使用しなければならない。もう一つ別の関連する制限は、このような混合および適用システムは多くの断続的工業生産操作に役立たないことである。
【0004】
一成分型組成物は、接着剤、コーティング、発泡体、エラストマー、シーラントとして、および使用者側に複雑さ、および高機能の装置を要求しない点でポリマーの他の工業的に有用な最終用途に非常に望ましい。二成分系よりも望ましいが、反応が直ちに起こり、その結果、物質の満足できるコーティングまたは処理の前に取り扱いが困難な硬化物が得られるので、一成分系は強塩基のマイケル供与体および受容体への添加により得ることができない。
【0005】
弱塩基触媒は、ポリマーおよび反応物質を分解または加水分解する傾向が強塩基よりも少ない点で強塩基よりも有利である。しかしながら、マイケル付加反応を触媒するための弱塩基の使用は、特に周囲温度で反応速度が強塩基よりもかなり遅いために強塩基ほどよく知られていない。しかしながら、弱塩基のカプセル化は、強度の低下を補うためにさらに多量の弱塩基を使用することを可能にし、それでもカプセルの破損前のオープンタイムの延長およびより制御可能なポットライフを可能にすることにより、この欠点を克服する。
【特許文献1】米国特許出願公開2005/0081994号明細書
【非特許文献1】RT MorrisonおよびRN Boyd、Organic Chemistry、第3版、Allyn and Bacon、1973
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、要求時に硬化し、要求前に硬化しない一成分型マイケル付加組成物を得る方法を導入することが望ましい。長いポットライフを有し、その結果、要求時(たとえば、コーティングされる基体表面、または接着される2つの面に適用される場合)に迅速に硬化する二成分型マイケル付加組成物を導入することも望ましい。弱塩基触媒を利用するが、それでも長いオープンタイムおよび制御可能なポットライフを保持する一または二成分型マイケル付加組成物を導入することも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、カプセル化された塩基触媒は、マイケル供与体および受容体の存在下で、二成分または多成分系においてポットライフおよび硬化速度に対して前例のない制御をもたらし、一成分型組成物としての使用を可能にすることにより、接着剤、シーラント、コーティング、エラストマー、フィルム、および発泡体として有用な組成物をもたらすことを見いだした。カプセル化された触媒は、貯蔵および処理の間の様々な反応物質の時期尚早の反応を防止し、あらかじめ決められた事象、たとえば、熱、圧力、または溶媒和の適用によりカプセルが破裂すると、迅速に硬化を生じさせる。カプセル化された触媒の使用は、ポットライフおよび硬化速度に対して従来の組成物を上回る前例のない制御をもたらす。従って、カプセル化された触媒を使用する結果、従来知られていない一成分型マイケル付加組成物の可能性がもたらされる。カプセル化された触媒の使用はさらに、カプセルの破裂時に、より非常に迅速な硬化を提供することにより、より速いグリーン強度(green strength)の発現を可能にする。
【0008】
従って、本発明は:(a)少なくとも1つのマイケル供与体;(b)少なくとも1つのマイケル受容体;および(c)1以上のカプセル化された触媒を含む一成分型硬化性組成物を提供し、ここにおいて、1以上のカプセル化された触媒は、一成分型硬化性接着組成物の一部ないし全部に、0.1〜500μmの平均粒子サイズを有するカプセルに製造される。
【0009】
本発明はさらに、接着剤、シーラント、コーティング、エラストマーおよび発泡体から選択される一成分型組成物から製造される物品も提供する。
【0010】
本発明はさらに、一成分型硬化性組成物を製造する方法および一成分型硬化性組成物を使用して少なくとも2またはそれを超える基体を接着する方法も提供する。
【0011】
高分子量物質の使用は、硬化前のブレンドされた二成分型組成物の強度を増大させる(増大したグリーン強度)望ましい方法であることが知られている。高分子量成分の使用の結果、典型的には、粘度が増大するが、これは典型的には処理に悪影響を及ぼす。マルチロールアプリケーターなどの適用装置での反応性二成分型物質の処理は、反応組成物が好適な低粘度を示し、基体上で流動し、堆積可能なように反応組成物を配合することを必要とする。周囲温度で粘度が高すぎるならば、ローラーの温度を上昇させて、粘度を低下させることができる。しかしながら、二成分系についてのこのアプローチは、ポットライフを著しく減少させる。しかしながら、カプセル化触媒の使用は、高分子量反応物質の利用を可能にし、かつ反応物質が前硬化することなく組成物を処理するために熱を使用することを可能にする一方法である。カプセル化された触媒の使用は、従って、迅速なグリーン強度を発現させるためのいくつかの経路を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
「マイケル供与体」とは、本明細書において用いられる場合、少なくとも1つのマイケル供与体官能基を有する化合物であり、マイケル供与体官能基とは少なくとも1つのマイケル活性水素原子を含有する官能基であり、マイケル活性水素原子とは、2つの電子吸引基、たとえば、C=Oおよび/またはC≡Nの間に位置する炭素原子に結合した水素原子である。マイケル供与体官能基の例は、マロネートエステル、アセトアセテートエステル、マロンアミド、およびアセトアセトアミド(ここにおいて、マイケル活性水素は2個のカルボニル基間の炭素原子と結合している);およびシアノアセテートエステルおよびシアノアセトアミド(ここにおいて、マイケル活性水素はカルボニル基とシアノ基の間の炭素原子と結合している)を包含する。2以上のマイケル活性水素原子を有する化合物を、本明細書において多官能性マイケル供与体と呼ぶ。本明細書において用いられる場合、マイケル供与体の「骨格」は、マイケル活性水素原子を含有する官能基以外の供与体分子の部分である。
【0013】
好ましい供与体は、これに限定されないが、メチルアセトアセテート、エチルアセトアセテート、n−プロピルアセトアセテート、イソプロピルアセトアセテート、n−ブチルアセトアセテート、t−ブチルアセトアセテート、エチレングリコールビスアセトアセテート、1,2プロパンジオールビスアセトアセテート、1,3プロパンジオールビスアセトアセテート、1,4ブタンジオールビスアセトアセテート、ネオペンチルグリコールビスアセトアセテート、イソソルビドビスアセトアセテート、トリメチロールプロパントリスアセトアセテート、グリセロールトリスアセトアセテート、ヒマシ油トリスアセトアセテート、グルコーストリスアセトアセテート、グルコーステトラアセトアセテート、スクロースアセトアセテート、ソルビトールトリスアセトアセテート、ソルビトールテトラアセトアセテート、エトキシル化およびプロポキシル化ジオール、トリオールおよびポリオールのアセトアセテート、たとえば、エトキシル化ネオペンチルグリコールビスアセトアセテート、プロポキシル化グルコースアセトアセテート、プロポキシル化ソルビトールアセトアセテート、プロポキシル化スクロースアセトアセテート、ポリエステルが少なくとも1つの二酸および少なくとも1つのジオール由来であるポリエステルアセトアセテート、ポリエステルアミドが少なくとも1つの二酸および少なくとも1つのジアミン由来であるポリエステルアミドアセトアセテート、1,2エチレンビスアセトアミド、1,4ブタンビスアセトアミド、1,6ヘキサンビスアセトアミド、ピペラジンビスアセトアミド、アミン末端ポリプロピレングリコールのアセトアミド、ポリエステルアミドが少なくとも1つの二酸および少なくとも1つのジアミン由来であるポリエステルアミドアセトアセテートのアセトアミド、アセトアセトキシ官能基(たとえば、アセトアセトキシエチルメタクリレート由来のもの)を有するコモノマーを含有するポリアクリレート、ならびにアセトアセトキシ官能基およびシリル化コモノマー(たとえば、ビニルトリメトキシシラン)を含有するポリアクリレートを包含する。
【0014】
「マイケル受容体」とは、本明細書において用いられる場合、構造(I)を有する少なくとも1つの官能基を有する化合物である:
【0015】
【化1】

【0016】
式中、R、R、およびRは、独立して、水素または有機基、たとえば、アルキル(直鎖、分岐、または環状)、アリール、アリール置換アルキル(アルアルキルまたはアリールアルキルとも呼ぶ)、およびアルキル置換アリール(アルカリールまたはアルキルアリールとも呼ぶ)であり、その誘導体および置換体を包含する。R、R、およびRは、は独立して、エーテル結合、カルボキシル基、さらなるカルボニル基、そのチオ類似体、窒素含有基、またはその組み合わせを含有してもよいし、あるいは含有しなくてもよい。Rは酸素、窒素含有基、またはR、R、およびRについて先に記載された有機基の任意のものである。それぞれが構造(I)を含有する2以上の官能基を有する化合物を、本明細書において多官能性マイケル受容体と呼ぶ。本明細書において用いられる場合、マイケル受容体の「骨格」は、構造(I)以外の受容体分子の部分である。任意の構造(I)を別の(I)基または骨格に直接結合させることができる。
【0017】
本発明において有用なマイケル供与体のための適当な骨格は、アルコール、たとえば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、および高級アルコールを包含する。
【0018】
本発明において有用なマイケル供与体および受容体の両方に関して好適な骨格は、これに限定されないが、ジオール、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、テトラエチレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、トリプロピレングリコールおよびトリシクロデカンジメチロール、トリオール、たとえば、グリセロール、プロポキシル化グリセロール、トリメチロールプロパンおよびヒマシ油、多価アルコール、たとえば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、多水酸基アルキレンオキシドおよび他の多水酸基ポリマー、グルコース、フルクトース、マルトース、スクロース、ソルビトールおよびイソソルビドを包含する糖類、ならびにビスフェノールAジグリシジルエーテル、エポキシ化ポリブタジエンおよびエポキシ化ダイズ油を包含するエポキシドを包含する。類似のアルコールおよびエポキシド、その置換体、およびその混合物も企図される。アミン、たとえば、エチレンジアミン、1,6ヘキサンジアミンおよびピペラジンも好適な骨格として企図される。
【0019】
本発明の実施において、多官能性マイケル受容体の骨格は、多官能性マイケル供与体の骨格と同一であっても異なっていてもよい。1より多いマイケル供与体または1より多いマイケル受容体を含有する混合物を使用できることも考えられる。
【0020】
有用な塩基性触媒は、強塩基触媒(pKb11.0またはそれを超える)および弱塩基触媒(pKb4〜11)のどちらも包含する。好適な強塩基触媒の例は、グアニジン、アミジン、ヒドロキシド、アルコキシド、珪酸塩、アルカリ金属リン酸塩、および酸化物、たとえば、これに限定されないが、テトラメチルグアニジン(TMG)、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセ−7−エン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノン−5−エン(DBN)、1,4ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン(DABCO)、ターシャリーブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、リン酸三カリウム、珪酸ナトリウムおよび酸化カルシウムを包含する。好適な弱塩基触媒は、ターシャリーアミン、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、アルカリ金属リン酸水素塩、ホスフィン、カルボン酸のアルカリ金属塩、たとえばこれに限定されないが、トリエチルアミン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸水素カリウム(一塩基性および二塩基性)、トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン、酢酸カリウム、アクリル酸カリウムを包含する。触媒は、その純粋またはニートな状態において、あるいはエタノールまたは水などの溶媒中でカプセル化することができる。いくつかの触媒は溶液として最も望ましくカプセル化されると認識される。
【0021】
カプセル化された触媒は、典型的には、触媒の周りにシェルを堆積させることにより製造される。触媒は、カプセル内の1つの空隙またはリザーバー中に含まれうるか、またはカプセル内の多くの空隙中に存在し得る。シェルの厚さは使用される物質、触媒のローディング量、カプセルの形成法、および所望の最終用途に応じてかなり変化し得る。触媒のローディング量は、好ましくは5〜90%、さらに好ましくは10〜90%、最も好ましくは30〜90%である。あるカプセル化法は、他のものよりも高いコア体積ローディングに役立つ。時期尚早の破損または漏れを確実にするためには、1より多いシェルが望まれうる。
【0022】
カプセル化された触媒は、これに限定されないが、コアセルべーション、界面付加および凝縮、乳化重合、微小流体重合、逆ミセル重合、エアサスペンション、遠心押出、噴霧乾燥、噴射造粒、Bitem(商標)プロセス、パンコーティング、およびM−CAP(商標)カプセル化法によるなどをはじめとする様々なミクロカプセル化技術の任意のものにより製造することができる。
【0023】
コアセルべーションは、カプセル壁形成の基本的な方法である。カプセル化法は、1950年代に発見され、開発された。コアセルべーション法の例は、米国特許第2,800,457号および第2,800,458号に記載されている。コアセルベートカプセル化は:粒子または液滴形成;コアセルベート壁形成;およびカプセル単離の3段階法である。最初のコアセルベートカプセルは、「水中油」系における壁としてゼラチンを使用して製造された。後の開発により、極性の非常に高い水溶性コアのための「油中水」系が製造された。
【0024】
M−CAP(商標)法は、高いコアローディング体積(>75%)での30ミクロン粒子サイズのカプセル化された触媒であって、圧力で破裂させることができるものを製造するための好ましい方法として認められている。M−CAP(商標)法は米国特許第5,271,881号に詳細に記載されている。
【0025】
噴射造粒も、触媒の時期尚早の放出を防止するのに優れたバリア特性を有する高結晶性ワックスの使用を可能にするカプセル化のための好ましい方法として認められている。噴射造粒は、噴霧凝固、噴霧冷却または溶融噴霧とも呼ばれ、5〜50%の触媒の典型的なローディング量で0.5μm〜3000μmの間のサイズのカプセルを提供する。これは、有機可溶性強塩基、たとえば、TMGおよびDBUのカプセル化のための好ましい方法である。噴霧造粒法によるカプセル化のための好ましいシェル材料は、パラフィンワックス、合成ワックス、微結晶ワックス、植物性ワックス、ポリエチレンワックス、および低分子量ポリマーを包含する。噴霧造粒のための最も好ましいシェル材料は、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、40〜120℃の融点を有するFischer−Tropschワックスである。
【0026】
Bitem(商標)法は、炭酸カリウム、リン酸三カリウム、または酢酸カリウムの水性溶液などの塩基の水性溶液についてのカプセル化技術の別の好適な例である。触媒の時期尚早の放出を防止するのに優れたバリア特性を有する高結晶性ワックスの使用を可能にする点で噴霧造粒方法と類似している。この方法の結果、50〜500μmのカプセルが得られ、ここにおいて、水性触媒溶液を含有する小さなチャンバーがワックスマトリクス中に埋め込まれている。噴霧造粒法によるカプセル化のための好ましいシェル材料は、パラフィンワックス、合成ワックス、微結晶ワックス、植物性ワックス、ポリエチレンワックス、および低分子量ポリマーを包含する。噴霧造粒のための最も好ましいシェル材料は、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、40〜120℃の融点を有するFischer−Tropschワックスである。
【0027】
カプセル化技術と独立して、触媒をカプセル化するために用いられる物質は、合成ワックス、微結晶ワックス、植物性ワックス、ポリエチレンワックス、ポリアミド、ポリ尿素(たとえば、ポリメチル尿素またはPMU)、マイケル付加ポリマー(すなわち、アセトアセテートまたはマロネートなどの供与体および多官能性アクリレートなどの受容体の反応生成物)、ポリアクリレート、側鎖結晶性ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ボレートなどのクロスリンカーを使用する架橋したポリビニルアルコール、ポリジメチルシロキサン、カルボキシメチルセルロース、ポリスチレン、ポリエチレンビニルアセテートコポリマー、ポリエチレンアクリレートコポリマー、ポリアルファオレフィン、ポリエチレン、不均一触媒反応(たとえば、メタロセン触媒作用)により製造されたポリエチレン、ポリプロピレン、不均一触媒反応(たとえば、メタロセン触媒作用)により製造されたポリプロピレンを包含する。
【0028】
高結晶性、シャープな融点物質、たとえば、パラフィンワックス、合成ワックス、およびポリエチレンワックスおよび高結晶、低分子量ポリマー、たとえば、側鎖結晶性ポリアクリレートは、融点の賢明な選択により、触媒の熱誘発性放出が組成物の最終処理条件と一致して起こる可能性をもたらす。
【0029】
カプセル材料として用いられる水感受性ポリマーおよびワックスも企図される。好ましくは、このような水感受性カプセル材料は結晶性または半結晶性、たとえば、ポリエチレングリコール(PEG)またはポリビニルアルコール(PVOH)である。他の有用な非結晶性または半結晶性水感受性ポリマーは、デンプン、疎水性に修飾されたデンプン、セルロース誘導体、たとえば、ヒドロキシプロピルセルロース、およびポリエチルオキサゾリンを包含する。
【0030】
本発明の塩基性触媒のまわりにシェルを製造するために、特に有用なアプローチは、マイケル供与体および受容体の反応を利用することである。この方法は、酸触媒を必要とする他の重合法の課題を克服する。
【0031】
いくつかのシェルまたはいくつかの独立したコーティングの使用は、カプセル化された触媒を含有する一成分型処方中の反応物質の反応の時期尚早な開始を防止するために十分なシェル強度および完全性を提供するために望まれうる。このような多シェルカプセルの例は、パラフィンまたは微結晶ワックスシェル(たとえば、噴霧造粒により得られるもの)と、それに続くポリメチル尿素(PMU)シェルである。もう一つ別の例は、ワックスシェルを使用し、続いて炭素マイケル付加により製造されたシェルを使用することである。
【0032】
カプセルの好ましい粒子サイズは、0.1〜1000μm、さらに好ましくは0.1〜500μm、最も好ましくは0.1〜100μmである。カプセルの粒子サイズは、あらかじめ決められた条件下での破裂を確実にするための適用に合わせることができる。
【0033】
典型的には、好ましい粒子サイズ分布は狭いが、粒子サイズ分布は狭くても、広くてもよい。許容できる粒子サイズ分布例を表1に示す。
【0034】
【表1】

【0035】
別の具体例によると、本発明の塩基性触媒をカプセル化するための別のアプローチは、微粉末固体触媒をコーティングするために液体ポリマー、たとえば、液体または解重合ポリイソプレン、液体ポリブタジエン、または液体ポリアクリレートを使用することである。このような液体ポリマーは50000より低いMn、たとえば40000より低いMn、および30000より低いMnを有する。このようなカプセル化に好適な固体触媒の例は、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、および珪酸塩である。
【0036】
カプセル化触媒を使用するマイケル付加組成物は、これに限定されないが、柔軟積層法、工業的積層法、製品組み立て、建設、自動車、消費者および日曜大工(DYI)、エレクトロニクス(接着、注入およびカプセル化)、歯科、および医療機器組み立て用の接着剤をはじめとする様々な用途のための接着剤として硬化時に有用である。
【0037】
組成物は、床用コーティング、路面塗料、工業用コーティング、金属コーティング、木材コーティング、船舶用コーティング、および建築用コーティングなどのコーティングとしても硬化時に有用である。組成物は、自動車用シーラント、車道用シーラント、建設用シーラント、家庭用シーラント、絶縁シーラント、屋根用シーラント、および器具用シーラントとしても硬化時に有用である。組成物は、エラストマー、フィルム、および発泡体(硬質および軟質の両方)としても硬化時に有用である。発泡体としての使用に関して、揮発性非フルオロカーボン発砲剤、たとえば、n−ペンタンおよびシクロペンタンが好ましい。
【0038】
柔軟性包装用接着剤用途に関して、カプセルを破裂させるために、ポリマー薄膜(12〜48μm)間の薄い接着剤層(2.5μm)を、圧縮ローラーを使用して圧縮させることができるように、平均粒子サイズは、好ましくは0.1〜300μmである。別法として、加熱されたローラーを使用するか、積層物をオーブン中に通して、カプセルを融解させることができる。
【0039】
組み立ておよび工業用(硬質)積層接着剤に関して、基体間の接着剤層がかなり厚いために、平均粒子サイズは、好ましくは10〜500μmである。このようなカプセルは、工業的接着法において使用される高圧圧縮法により圧壊することができるか、あるいはオーブンまたは「ヒートニップ」を通過させることにより融解させることができる。押し出し法に関して、発泡体およびエラストマー製造カプセルにおいて使用されるようなものが典型的に添加ポートに粉末として、または他のポリマーのマスターバッチ中のいずれかで導入される。押し出しにより製造される発泡体およびエラストマーに使用されるカプセル化触媒の平均粒子サイズは、典型的には50〜500μmである。
【0040】
500〜1000μmの平均粒子サイズを有する非常に大きなカプセルも様々な用途に使用することができるが、典型的にはこれらは沈降するかまたは上昇し、その結果、組成物を使用前に撹拌しなければならないので、典型的にはあまり望ましくない。
【0041】
物質:
SR−259(商標)− Sartomer companyから得られるポリエチレングリコールジアクリレート
MorCure 2000(商標)− Rohm and Haas Companyから得られるビスフェノールAジグリシジルエポキシジアクリレート
TMPトリスAcAc − トリメチロールプロパントリスアセトアセテート
【実施例】
【0042】
次のものを包含するパラフィンおよび微結晶ワックスを使用して塩基触媒から様々なカプセルを製造した:
【0043】
【表2】

【0044】
カプセル化された触媒が圧力で破損できたことを確認するために、20PSI圧力を適用する前後にデジタル写真を撮影した。
【0045】
カプセル化された触媒を次に炭素マイケル付加化学反応に基づいて接着剤組成物中に配合した。
【0046】
【表3】

【0047】
前記配合物を圧縮および熱への暴露を使用した接着発現ならびに接着性に関して試験した。接着性を24時間後に評価した。
【0048】
【表4】

【0049】
解重合ポリイソプレン、cis1,4ポリイソプレンをコーティングとして使用したカプセル化されたマイケル付加触媒の例
カプセル化された触媒を2グラムのNaCOから製造し、325メッシュのスクリーンを通過するように粉砕し、次いで110℃で2時間乾燥させ、コーティングとして5グラムのIsolene(商標)40と混合した。実施例10はラミネート接着剤配合物を記載する。
【0050】
実施例10
【0051】
【表5】

【0052】
実施例11
実施例10のラミネート接着剤配合物(66.42グラム)を、7グラムのIsolene40でコーティングされたNaCO(2.7%NaCOを与える)と、最終配合接着剤中で混合した。粘度データを接着剤について測定し、以下の通りであった:
【0053】
【表6】

【0054】
ラミネート接着剤配合物を、下塗りされた1X3インチアルミニウムクーポンに適用した。クーポンに脱イオン水を噴霧し、下塗りされた1X3インチアルミニウムクーポンに積層して、1インチオーバーラップを形成し、室温で24時間硬化させた。ラミネート接着剤配合物を少量の脱イオン水と混合し、下塗りされたアルミニウムクーポンに適用して、前記のような1インチオーバーラップラミネートを形成した。
【0055】
平均24時間引っ張り強度データを、ラミネート接着剤配合物においてカプセル化された触媒を使用して製造されたラミネートについて以下に記載する。
【0056】
【表7】

【0057】
ラミネート接着剤配合物を製造し、実施例12に記載する。
実施例12
【0058】
【表8】

【0059】
実施例13
実施例12のラミネート接着剤配合物(100グラム)を前記のように10.4グラムのカプセル化された触媒と混合して、接着剤配合物中2.7重量%の触媒を得た。
【0060】
粘度データを接着剤について測定し、以下の通りであった:
【0061】
【表9】

【0062】
実施例13のラミネート接着剤配合物を下塗りされたアルミニウムクーポンに適用し、噴霧し、積層して、前記のような1インチオーバーラップラミネートを形成した。接着剤処方を少量の脱イオン水と混合し、下塗りされたアルミニウムクーポンに適用し、積層して、前記のような1インチオーバーラップラミネートを形成した。
【0063】
平均24時間引っ張り強度データを、ラミネート接着剤配合物においてカプセル化された触媒を使用して製造されたラミネートについて以下に記載する。
【0064】
【表10】

【0065】
2グラムのNaCOからカプセル化された触媒を製造し、325メッシュスクリーンを通過するように粉砕し、110℃で2時間乾燥させ、5グラムのIsolene(商標)400と混合して、触媒をコーティングした。
【0066】
実施例14
実施例12のラミネート接着剤配合物(100グラム)を10.4グラムの触媒と混合して、最終接着剤配合物において2.7%の触媒を得た。粘度データを接着剤について測定し、次の通りであった:
【0067】
【表11】

【0068】
実施例14の貼り合わせ用接着剤を前記のように下塗りされたアルミニウムクーポンに適用し、脱イオン水を噴霧し、積層した。ラミネート接着剤配合物においてカプセル化された触媒を使用して製造されたラミネートについて平均24時間引っ張り強度データは以下の通りである。
【0069】
【表12】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)メチルアセトアセテート、エチルアセトアセテート、n−プロピルアセトアセテート、イソプロピルアセトアセテート、n−ブチルアセトアセテート、t−ブチルアセトアセテート、エチレングリコールビスアセトアセテート、1,2プロパンジオールビスアセトアセテート、1,3プロパンジオールビスアセトアセテート、1,4ブタンジオールビスアセトアセテート、ネオペンチルグリコールビスアセトアセテート、イソソルビドビスアセトアセテート、トリメチロールプロパントリスアセトアセテート、グリセロールトリスアセトアセテート、ヒマシ油トリスアセトアセテート、グルコーストリスアセトアセテート、グルコーステトラアセトアセテート、スクロースアセトアセテート、ソルビトールトリスアセトアセテート、ソルビトールテトラアセトアセテート、エトキシル化およびプロポキシル化ジオール、トリオールおよびポリオールのアセトアセテート、エトキシル化ネオペンチルグリコールビスアセトアセテート、プロポキシル化グルコースアセトアセテート、プロポキシル化ソルビトールアセトアセテート、プロポキシル化スクロースアセトアセテート、ポリエステルが少なくとも1つの二酸および少なくとも1つのジオール由来であるポリエステルアセトアセテート、ポリエステルアミドが少なくとも1つの二酸および少なくとも1つのジアミン由来であるポリエステルアミドアセトアセテート、1,2エチレンビスアセトアミド、1,4ブタンビスアセトアミド、1,6ヘキサンビスアセトアセトアミド、ピペラジンビスアセトアミド、アミン末端ポリプロピレングリコールのアセトアミド、ポリエステルアミドが少なくとも1つの二酸および少なくとも1つのジアミン由来であるポリエステルアミドアセトアセテートのアセトアミド、アセトアセトキシ官能基(たとえば、アセトアセトキシエチルメタクリレート由来のもの)を有するコモノマーを含有するポリアクリレート、ならびにアセトアセトキシ官能基およびシリル化コモノマー(たとえば、ビニルトリメトキシシラン)を含有するポリアクリレート:からなる群から選択される少なくとも1つのマイケル供与体;
(b)構造(I)を有する少なくとも1つの官能基を有する化合物から選択される少なくとも1つのマイケル受容体:
【化1】

式中、R、R、およびRは、独立して、水素または有機基、たとえば、アルキル(直鎖、分岐、または環状)、アリール、アリール置換アルキル(アルアルキルまたはアリールアルキルとも呼ぶ)、およびアルキル置換アリール(アルカリールまたはアルキルアリールとも呼ぶ)であり、その誘導体および置換体を包含する;R、R、およびRは、独立して、エーテル結合、カルボキシル基、さらなるカルボニル基、そのチオ類似体、窒素含有基、またはその組み合わせを含有してもよいし、あるいは含有しなくてもよい;Rは酸素、窒素含有基、またはR、R、およびRについて先に記載された有機基の任意のものである;および
(c)グアニジン、アミジン、ヒドロキシド、アルコキシド、オキシド、ターシャリーアミン、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属リン酸水素塩、ホスフィン、カルボン酸のアルカリ金属塩、アルカリ珪酸塩、テトラメチルグアニジン(TMG)、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセ−7−エン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノン−5−エン(DBN)、1,4ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン(DABCO)、ターシャリーブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、リン酸三カリウム、酸化カルシウム、トリエチルアミン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸水素カリウム(一塩基性および二塩基性)、トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン、珪酸ナトリウム、酢酸カリウム、アクリル酸カリウム、およびオクタン酸カリウム:からなる群から選択される1以上のカプセル化された触媒、該1以上のカプセル化された触媒は、一成分型硬化性接着剤組成物の一部ないし全部に、0.1〜500μmの平均粒子サイズを有するカプセルに製造されている:
を含む一成分型硬化性組成物。
【請求項2】
1以上のカプセル化された触媒のカプセルが0.1〜100μmの平均粒子サイズを有する請求項1記載の一成分型硬化性組成物。
【請求項3】
1以上のカプセル化された触媒が、合成ワックス、微結晶ワックス、植物性ワックス、ポリエチレンワックス、ポリアミド、ポリ尿素、マイケル付加ポリマー、ポリアクリレート、側鎖結晶性ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ボレートなどのクロスリンカーを使用する架橋ポリビニルアルコール、ポリジメチルシロキサン、カルボキシメチルセルロース、ポリスチレン、ポリエチレンビニルアセテートコポリマー、ポリエチレンアクリレートコポリマー、ポリアルファオレフィン、ポリエチレン、不均一触媒反応により製造されたポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリプロピレンから選択されるカプセルから製造される請求項1記載の一成分型硬化性組成物。
【請求項4】
1以上のカプセル化された触媒が、重合されたマイケル供与体および受容体を含む少なくとも1つのシェルを有するミクロカプセルとして製造される請求項3記載の一成分型硬化性組成物。
【請求項5】
請求項1記載の一成分型硬化性組成物から製造される接着剤。
【請求項6】
請求項1記載の一成分型硬化性組成物から製造される発泡体。
【請求項7】
請求項1記載の一成分型硬化性組成物から製造されるシーラント。
【請求項8】
請求項1記載の一成分型硬化性組成物から製造されるエラストマー。
【請求項9】
請求項1記載の一成分型硬化性組成物から製造されるコーティング。
【請求項10】
グアニジン、アミジン、ヒドロキシド、アルコキシド、オキシド、ターシャリーアミン、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属リン酸水素塩、ホスフィン、カルボン酸のアルカリ金属塩、アルカリ珪酸塩、テトラメチルグアニジン(TMG)、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセ−7−エン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノン−5−エン(DBN)、1,4ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン(DABCO)、ターシャリーブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、リン酸三カリウム、酸化カルシウム、トリエチルアミン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸水素カリウム(一塩基性および二塩基性)、トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン、珪酸ナトリウム、酢酸カリウム、アクリル酸カリウム、およびオクタン酸カリウム:からなる群から選択される1以上のカプセル化された触媒〔該カプセル化された触媒は、0.1〜500μmの平均粒子サイズを有する〕を、硬化性接着剤組成物の一部ないし全部に加える工程を含む、一成分型組成物を製造する方法
〔該硬化性接着剤組成物は;
メチルアセトアセテート、エチルアセトアセテート、n−プロピルアセトアセテート、イソプロピルアセトアセテート、n−ブチルアセトアセテート、t−ブチルアセトアセテート、エチレングリコールビスアセトアセテート、1,2プロパンジオールビスアセトアセテート、1,3プロパンジオールビスアセトアセテート、1,4ブタンジオールビスアセトアセテート、ネオペンチルグリコールビスアセトアセテート、イソソルビドビスアセトアセテート、トリメチロールプロパントリスアセトアセテート、グリセロールトリスアセトアセテート、ヒマシ油トリスアセトアセテート、グルコーストリスアセトアセテート、グルコーステトラアセトアセテート、スクロースアセトアセテート、ソルビトールトリスアセトアセテート、ソルビトールテトラアセトアセテート、エトキシル化およびプロポキシル化ジオール、トリオールおよびポリオールのアセトアセテート、エトキシル化ネオペンチルグリコールビスアセトアセテート、プロポキシル化グルコースアセトアセテート、プロポキシル化ソルビトールアセトアセテート、プロポキシル化スクロースアセトアセテート、ポリエステルが少なくとも1つの二酸および少なくとも1つのジオール由来であるポリエステルアセトアセテート、ポリエステルアミドが少なくとも1つの二酸および少なくとも1つのジアミン由来であるポリエステルアミドアセトアセテート、1,2エチレンビスアセトアミド、1,4ブタンビスアセトアミド、1,6ヘキサンビスアセトアセトアミド、ピペラジンビスアセトアミド、アミン末端ポリプロピレングリコールのアセトアミド、ポリエステルアミドが少なくとも1つの二酸および少なくとも1つのジアミン由来であるポリエステルアミドアセトアセテートのアセトアミド、アセトアセトキシ官能基(たとえば、アセトアセトキシエチルメタクリレート由来のもの)を有するコモノマーを含有するポリアクリレート、ならびにアセトアセトキシ官能基およびシリル化コモノマー(たとえば、ビニルトリメトキシシラン)を含有するポリアクリレート:からなる群から選択される少なくとも1つのマイケル供与体;および
構造(I)を有する少なくとも1つの官能基を有する化合物から選択される少なくとも1つのマイケル受容体:
【化2】

式中、R、R、およびRは、独立して、水素または有機基、たとえば、アルキル(直鎖、分岐、または環状)、アリール、アリール置換アルキル(アルアルキルまたはアリールアルキルとも呼ぶ)、およびアルキル置換アリール(アルカリールまたはアルキルアリールとも呼ぶ)であり、その誘導体および置換体を包含する;R、R、およびRは、独立して、エーテル結合、カルボキシル基、さらなるカルボニル基、そのチオ類似体、窒素含有基、またはその組み合わせを含有してもよいし、あるいは含有しなくてもよい;Rは酸素、窒素含有基、またはR、R、およびRについて先に記載された有機基の任意のものである:
をさらに含む〕。
【請求項11】
(a)構造(I)を有する少なくとも1つの官能基を有する化合物から選択される少なくとも1つのマイケル受容体:
【化3】

式中、R、R、およびRは、独立して、水素または有機基、たとえば、アルキル(直鎖、分岐、または環状)、アリール、アリール置換アルキル(アルアルキルまたはアリールアルキルとも呼ぶ)、およびアルキル置換アリール(アルカリールまたはアルキルアリールとも呼ぶ)であり、その誘導体および置換体を包含する;R、R、およびRは、独立して、エーテル結合、カルボキシル基、さらなるカルボニル基、そのチオ類似体、窒素含有基、またはその組み合わせを含有してもよいし、あるいは含有しなくてもよい;Rは酸素、窒素含有基、またはR、R、およびRについて先に記載された有機基の任意のものである:
メチルアセトアセテート、エチルアセトアセテート、n−プロピルアセトアセテート、イソプロピルアセトアセテート、n−ブチルアセトアセテート、t−ブチルアセトアセテート、エチレングリコールビスアセトアセテート、1,2プロパンジオールビスアセトアセテート、1,3プロパンジオールビスアセトアセテート、1,4ブタンジオールビスアセトアセテート、ネオペンチルグリコールビスアセトアセテート、イソソルビドビスアセトアセテート、トリメチロールプロパントリスアセトアセテート、グリセロールトリスアセトアセテート、ヒマシ油トリスアセトアセテート、グルコーストリスアセトアセテート、グルコーステトラアセトアセテート、スクロースアセトアセテート、ソルビトールトリスアセトアセテート、ソルビトールテトラアセトアセテート、エトキシル化およびプロポキシル化ジオール、トリオールおよびポリオールのアセトアセテート、エトキシル化ネオペンチルグリコールビスアセトアセテート、プロポキシル化グルコースアセトアセテート、プロポキシル化ソルビトールアセトアセテート、プロポキシル化スクロースアセトアセテート、ポリエステルが少なくとも1つの二酸および少なくとも1つのジオール由来であるポリエステルアセトアセテート、ポリエステルアミドが少なくとも1つの二酸および少なくとも1つのジアミン由来であるポリエステルアミドアセトアセテート、1,2エチレンビスアセトアミド、1,4ブタンビスアセトアミド、1,6ヘキサンビスアセトアセトアミド、ピペラジンビスアセトアミド、アミン末端ポリプロピレングリコールのアセトアミド、ポリエステルアミドが少なくとも1つの二酸および少なくとも1つのジアミン由来であるポリエステルアミドアセトアセテートのアセトアミド、アセトアセトキシ官能基(たとえば、アセトアセトキシエチルメタクリレート由来のもの)を有するコモノマーを含有するポリアクリレート、ならびにアセトアセトキシ官能基およびシリル化コモノマー(たとえば、ビニルトリメトキシシラン)を含有するポリアクリレート:からなる群から選択される少なくとも1つのマイケル供与体;および
グアニジン、アミジン、ヒドロキシド、アルコキシド、オキシド、ターシャリーアミン、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属リン酸水素塩、ホスフィン、カルボン酸のアルカリ金属塩、アルカリ珪酸塩、テトラメチルグアニジン(TMG)、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセ−7−エン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノン−5−エン(DBN)、1,4ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン(DABCO)、ターシャリーブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、リン酸三カリウム、酸化カルシウム、トリエチルアミン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸水素カリウム(一塩基性および二塩基性)、トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン、珪酸ナトリウム、酢酸カリウム、アクリル酸カリウム、およびオクタン酸カリウム:からなる群から選択される少なくとも1つのカプセル化された触媒、ここで該1以上のカプセル化された触媒のカプセルは0.1〜500μmの粒子サイズを有する:
を含む組成物を少なくとも1つの基体に適用し、熱、圧力、または溶媒和によりカプセルを破裂させる工程;並びに
(b)組成物を硬化させる工程:
を含む、少なくとも2つの基体を接着する方法。

【公開番号】特開2007−217686(P2007−217686A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−13490(P2007−13490)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】