説明

カムシャフト調節装置用の同期装置及び方法及びメモリ媒体及びプログラム要素

エンジン用の同期装置は、第1のアクティブセンサと第2のアクティブセンサを有している。第1のアクティブセンサは、第1のシャフトの角度位置を求めるように構成されており、第2のアクティブセンサは、第2のシャフトの角度位置を求めるように構成されている。第1のアクティブセンサと第2のアクティブセンサは、制御装置に、第1のシャフトと第2のシャフトの角度位置の状態についての情報、又は、第1のシャフトの角度位置と第1のシャフトと第2のシャフトの間の位相位置についての情報を供給するように構成されている。更に、制御装置は、第1のシャフトと第2のシャフトとの間の予め設定可能な位相差の調整用の制御信号を供給するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、エンジンに関する。殊に、本発明は、エンジン用の同期装置、エンジン内の各シャフトの同期用の方法、メモリ媒体及びプログラム要素に関する。
【0002】
昨今の内燃機関での典型的な始動過程は、ほぼ1秒間続く。自動車メーカはどこでも、この始動過程の時間をできる限り短くしようと努力している。と言うのは、この始動過程の時間は、例えば、NVH、つまり、ノイズ(Noise)、振動(Vibration)、ハーシュネス(Harshness)の理由から妨害と感じられるからである。
【0003】
スタート時間を短縮したシステムは、高い市場アクセプタンスが得られる。エンドユーザは、例えば、交差点の交通信号でのスタート時に、所謂ストップ−スタート時に、赤信号期間中エンジンを停止しない通常の車両で慣れているのと同様の敏捷性を期待する。それにより、感じている安全性も高まる。
【0004】
刊行物DE 10 2004 005 449 A1から、内燃機関のセンサホイールの回転を識別するための装置が公知である。
【0005】
刊行物WO 2004/020795 A1からは、カムシャフトの回転角度の調節用の制御装置が公知である。
【0006】
エンジン回転用の識別システムが、US 2006/0042578 A1刊行物から公知である。
【0007】
本発明の課題は、内燃機関を高速でスタートすることにある。
【0008】
本発明によると、エンジン用の同期装置、エンジン内の各シャフトの同期用の方法、コンピュータ読み出し可能な媒体及びプログラム要素が提案されている。
【0009】
本発明の実施例によると、エンジン用の同期装置が提供される。同期装置は、制御装置、第1のアクティブセンサ及び第2のアクティブセンサを有している。その際、第1のアクティブセンサは、エンジンの第1のシャフトの角度位置を求めるように構成されており、第2のセンサは、第2のシャフトの角度位置を求めるように構成されている。第1のアクティブセンサは、更に、第1のシャフトの求めた角度位置を制御装置に供給するように構成されている。第2のアクティブセンサは、第2のシャフトの角度位置を制御装置に供給するように構成されている。択一的に、第2のアクティブセンサは、第1のシャフトの、第2のシャフトに対する位相位置を求め、求めた位相位置を制御装置に供給するように構成されている。第1のアクティブセンサ及び第2のアクティブセンサは、少なくともシャフト回転数用の基準値とシャフト停止状態との間のシャフト回転数を検出するように構成されている。つまり、アクティブセンサは、内燃機関内で生じる各回転数全てを検出するために構成されている。しかし、アクティブセンサは、殊に、エンジン停止状態、つまり、回転数0と回転数の基準値との間で生じることがある僅かな回転数の回転数検出用にも構成されている。
【0010】
更に、第1のアクティブセンサ及び第2のアクティブセンサは、シャフトの回転方向の反転を検出するように構成されている。即ち、シャフトは、2つの回転方向を有しているようにするとよい。アクティブセンサは、従って、2つのシャフトの角度位置又は2つのシャフトの位相位置を相互に検出することができる。この検出は、1つのシャフトの両回転方向で同様に、つまり、回転方向に依存せずに行うことができる。その際、アクティブセンサは、両方向の内どちらの方向にシャフトが回転するか検出することができ、及び、アクティブセンサは、別の方向への緩慢な回転時に両シャフトの角度位置及び位相位置も検出することができる。
【0011】
位相位置は、第1のシャフトの角度位置と一緒に、第2のシャフトの角度位置を求めるために利用することができる。と言うのは、第2のシャフトの角度位置と第2のシャフトの位相位置との間に所定の関係を形成することができるからである。
【0012】
第1のシャフトが、エンジンのカムシャフトであり、且つ、第2のシャフトが、エンジンのクランクシャフトである場合、各シャフトの各角度位置を介して、シリンダ内のピストンの位置を求めることができる。つまり、クランクシャフトに対してカムシャフトの位置の検出を介して、エンジンのどのシリンダ内にスタート過程時に燃料が噴射されるのが特定することができる。従って、クランクシャフト位置を用いて、どのシリンダが吸気状態であるのか、即ち、どのシリンダで、ピストンが、シリンダヘッドから離れるように動くのか特定することができる。カムシャフトを用いて、どの弁が空気の吸い込みのために開かれているのか特定することができる。それにより、エンジンスタートを加速するために、燃料が噴射されるシリンダが特定される。燃焼サイクルは、周期的な過程であるので、後続の各処理ステップで燃料が噴射されるべき各シリンダの列順序も求めることができる。従って、時間の掛かる同期処理を回避することができる。
【0013】
制御装置は、第1のシャフトの、供給された角度位置情報及び第1及び第2のシャフトの位相位置用の情報、又は、第1のシャフトと第2のシャフトの角度位置情報が評価されて、それから、第1のシャフトと第2のシャフトとの間の所定の位相差の調整用の制御信号が供給されるように構成されている。その際、所定の位相差は、効率的な燃費のために設定可能であるようにできる。制御装置は、燃料を噴射すべきシリンダの列順序も求めることができる。
【0014】
アクティブセンサ又はアクティブなシャフト状態の調整装置は、シャフトの角度位置又は第1のシャフトと第2のシャフトの間の位相差を直接特定するように構成するとよい。
【0015】
ここで、アクティブセンサとは、高い位相分解能又は角度位置分解能を有するセンサのことである。アクティブセンサの位相分解能又は角度位置分解能は、例えば、1°にするとよく、アクティブセンサは、例えば、0.1°のステップで位相位置変化又は角度位置変化を検出することができるようにするとよい。この高い分解能によって、アクティブセンサは、従来技術のセンサから区別することができる。
【0016】
アクティブセンサは、以下の各基準を充足することができる。つまり、アクティブセンサは、例えば、5°NW、つまり、カムシャフトに関して5°の高い位相分解能を有することができ、又は、5°Eモータ、つまり、電気モータに関して5°の分解能を有することができる。更に、アクティブセンサは、例えば、0.1°KW、つまり、クランクシャフトに関して0.1°のステップで、位相位置変化又は角度位置変化を検出することができる。
【0017】
アクティブセンサは、永続的な監視機能も行うことができる。つまり、アクティブセンサは、例えば、エンジンの点火がスイッチオフされた場合でも、位相差、又は、第1のシャフトと第2のシャフトとの角度位置を監視することができる。
【0018】
更に、アクティブセンサは、緩慢な位相変化又は緩慢な角度位置変化を検出することができ、第1のシャフト及び第2のシャフトの緩慢な回転数での各位相変化又は角度位置変化も検出することができる。従って、発信器の各側縁を、シャフトの緩慢な回転数の場合でも検出することができる。その際、緩慢な位相変化又は角度位置の緩慢な変化は、例えば、0°KW/分〜5°KW/分の領域内、又は、0°KW/分〜10°KW/分の領域内で生じる。緩慢な、又は、低い回転数は、例えば、0回/分〜50回/分又は0回/分〜80回/分の回転数である。その際、回転数は、シャフトの回転数、及び、エンジン回転数にするとよい。
【0019】
アクティブセンサは、緩慢な回転数の場合でも、シャフトの回転方向又は回転方向の変化を検出することができる。つまり、アクティブセンサは、第1のシャフト及び第2のシャフトのうちの一方のシャフトの反転も検出する。
【0020】
アクティブセンサは、その際、各基準のうちの少なくとも1つの基準、高い分解能、永続的な監視機能、低い回転数での側縁検出及び反転検出を有することができる。
【0021】
角度位置とは、例えば、固定の基準位置に対する角度を言うことができる。角度位置は、基準位置に配置されているマーキングについて検出することができる。
【0022】
シャフトの状態とは、本明細書の範囲内では、シャフトの運動状態のことである。この運動状態は、所定時間に対するシャフトの角度位置、回転速度、パルスの数、又は、シャフトの位相情報のことである。
【0023】
本発明の別の実施例によると、エンジンスタート又はエンジンストップ期間中に、エンジンの各シャフトの同期用方法が提供される。先ず、第1のシャフトの角度位置が、第1のアクティブセンサを用いて求められ、第2のシャフトの角度位置が第2のアクティブセンサを用いて求められる。第1のシャフトと第2のシャフトの角度位置は、制御装置に供給される。第2のシャフトの角度位置を求めるのに対して択一的に、第1及び第2のシャフトの位相位置を求めて、制御装置に供給してもよい。制御装置は、それに基づいて、制御信号を求め、この制御信号を第1のシャフトと第2のシャフトとの間の所定の位相差を供給する。制御信号は、位相差の調整のために目標値を利用することができる。第1のアクティブセンサ(215)及び第2のアクティブセンサ(218,220)は、シャフト回転数用の基準値とシャフト停止状態との間のシャフト回転数を検出するように構成されている。更に、第1のアクティブセンサ(215)及び第2のアクティブセンサ(218,220)は、シャフト回転方向の反転を検出するように構成されている。
【0024】
本発明の更に別の実施例によると、プロセッサにより、上述の各方法ステップを制御するように実行されるプログラムが記憶されている、コンピュータ読み出し可能な媒体が提供される。
【0025】
本発明の更に別の実施例によると、プロセッサにより、上述の各方法ステップを制御するように実行されるか、又は、処理される、各シャフトの同期化用のプログラム要素が提供される。
【0026】
本発明を用いると、位相差信号が制御信号として形成され、位相差信号は、2つのシャフト間の位相差を調整するための制御信号として利用することができる。両シャフトの一方は、内燃機関のカムシャフトであり、他方は、内燃機関のクランクシャフトである。
【0027】
内燃機関のスタート期間は、例えば、1秒であり、その際、スタート期間は、制御機器の同期化用の時間成分と、エンジンが点火する迄の本来の始動過程とからなる。スタート過程は、赤信号期間中エンジンが停止されるストップ−スタートシステムで生じることがある。
【0028】
エンジン停止の理由は、燃費低減又は有害物質放出の低減であり得る。殊に、ハイブリッド車両では、例えば、赤信号期間時の車両停止時にエンジンを停止することができ、その後、エンジンをできる限り高速でスタートするようにされる。
【0029】
ストップ−スタートシステムは、エンジン及び殊に車両又はエンジンを備えた自動車がストップ期間中であることを自動的に検出するシステムである。ストップ−スタートシステムは、ストップ期間が、例えば、エンジン回転数の低減時に検出されると、エンジンを自動的に停止することができる。車両が動き始めると即座に、ストップ−スタートシステムは、新たなエンジンスタートを実行することができる。
【0030】
スタートのために、エンジンのクランクシャフトをエンジンのカムシャフトと同期させる必要があることがある。同期化により、内燃機関での燃焼の過程を制御することができる。従って、同期化により、弁を所定のように開又は閉にすることができる。それにより、スタート過程は、例えば、放出、消費及び負荷に関して制御することができる。同期化は、制御機器を用いて行うことができる。クランクシャフトとカムシャフトとの同期は、所定の対応関係、即ち、クランクシャフトの位置とカムシャフトの位置との所定の関係が達成された場合に得ることができる。
【0031】
クランクシャフトの位置とカムシャフトの位置との対応付けのために、第1のシャフトの状態又は角度位置と、第2のシャフトの状態又は角度位置を利用することができる。例えば、クランクシャフトの位置とカムシャフトの位置の対応付けを、カムシャフト又はクランクシャフトでの特徴的な目印を検出した後に確定することができる。シャフト上に設けることができる特徴的な目印は、例えば、発信器ホイールの欠落した歯(例えば、60−2個の歯)、殊に、発信器歯車又はセンサ目標ホイール又は発信器の欠落した歯、又は、各エッジの側縁検出にすることができる。例えば、シャフトの角度を検出するために、シャフトに半月状の識別部を取り付けてもよい。
【0032】
内燃機関の停止過程は、ばらつきが大きいことがある。つまり、ストップ期間中、エンジンを停止する際、ピストンの停止位置は、確率的である。つまり、ピストンの正確な位置、従って、ピストンと結合されたクランクシャフトの角度は、極めて(moeglicherweise)予知不可能である。例えば、内燃機関の、1つのピストンが案内される1つのシリンダ内には、エンジン停止後約1秒以内で高い圧力が印加されることがある。エンジン停止後、エンジンは、毎分0回転(U/min又はmin−1)のエンジン回転数を有していることがある。しかし、ピストン内に未だ存在する圧力は、クランクシャフトの慣性的な回転(Nachdrehen)により制御できない減圧過程を生じることがあり、それにより、新たな同期化を必要とすることがある。
【0033】
つまり、クランクシャフトが、例えば、停止過程の最後のステップで、反転することがある。即ち、停止過程の最後のステップで、クランクシャフトの回転は、エンジンの駆動時に通常である方向とは反対方向に行われることがある。戻り回転は、例えば、50〜70°KW(クランクシャフト)の値であることがある。その際、「°KW」は、基準位置に対して所定の度数だけクランクシャフトが回転していることを示す。
【0034】
停止過程時に生じる、クランクシャフト乃至カムシャフトの僅かな回転数に基づいて、従来技術のクランクシャフトセンサは、回転、殊に、クランクシャフトの反転を検出することができないことが生じることがある。従って、毎分当たりのゼロの回転(U/min)の領域内での僅かな回転数では、従来技術のクランクシャフトセンサは機能し得ない、即ち、回転運動が存在するにも拘わらず、シャフトの回転運動を検出することができないことがある。
【0035】
同期化装置を用いて、第1のセンサ、第2のセンサ及び制御機器の設計仕様、特に、制御装置により、エンジン停止中でも角度位置を検出し続けることができる。例えば、エンジンストップ期間中、第1のシャフトと第2のシャフトとの間の同期化乃至同期(Synchronisation oder Synchronitaet)、殊に、クランクシャフトとカムシャフトとの間の同期化乃至同期が失われるのを回避することができる。
【0036】
同期化の喪失を回避するために、第1のアクティブセンサ及び第2のアクティブセンサが、1つのシャフトの状態の例にすることができる角度位置を、エンジンストップ期間中でも求めることができる。アクティブセンサは、クランクシャフト又はカムシャフトの反転も検出することができる。クランクシャフト及びカムシャフトの戻り回転は、殊に、オットーエンジンの場合種々異なる値を有することがある。
【0037】
第1のアクティブセンサ及び第2のアクティブセンサは、エンジンストップ期間中も、即ち、毎分回転がほぼゼロである場合でも、各シャフトの状態について制御装置に伝送することができるように構成することができる。それにより、カムシャフト及びクランクシャフトの同期を、エンジンストップ期間中でも維持することができる。従って、カムシャフト及びクランクシャフトの同期、及び、制御機器、殊に、制御装置の同期化用の時間を、後続のエンジンスタートの全ての場合に省くことができる。
【0038】
比較的長い停止期間乃至エンジンストップ期間中でも、同期を維持し続けることができ、それにより、初期のエンジンスタートも、同期化用の時間をかけずに行うことができる。その際、初期のエンジンスタートとは、エンジンが点火を遮断してスイッチオフされている状態でのスタートのことである。初期エンジンスタートは、例えば、駐車過程後に必要となることがある。
【0039】
しかし、この遮断期間中、同期装置又は制御装置が、各シャフトの同期化を更に行うようにし続けてもよい。しかし、そのためには、エンジンが停止されている間も、制御装置にエネルギを供給する必要がある。同期化乃至同期(Synchronisation oder Synchronitaet)の維持は、例えば、EVT(エレクトロメカニカル・バルブ・タイミング(Electromechanical Valve Timing))コンポーネントを用いて行うことができる。液圧(水圧、油圧)式のカムシャフト調整システム(hydraulischen Nockenwellenverstellsystem)とは異なり、EVTシステムでは、クランクシャフトに対するカムシャフトの調整を電気モータを用いて行うことができる。
【0040】
同期化によって、カムシャフト及びクランクシャフトを、第1の点火過程時にエンジンのスタートを加速して行うことができるように相互に停止させることができる。それにより、後続スタートでのエンジンスタートの期間をほぼ半減させることができる。つまり、1秒の通常のスタート期間の際に、システム又は内燃機関のスタート過程を、同期化装置を用いて、約0.5秒に低減することができる。
【0041】
エンジン用の同期化装置は、第1のアクティブセンサと第2のアクティブセンサと制御装置を有しており、この第1のアクティブセンサは、第1のシャフトの角度位置を検出し、この第2のアクティブセンサは、第2のシャフトの角度位置を検出する。その際、第1のアクティブセンサは、制御装置に第1のシャフトの角度位置を供給するように構成されており、第2のアクティブセンサは、制御装置に第2のシャフトの角度位置を供給するように構成されている。制御装置は、アクティブセンサによって受信された角度位置情報を評価して、制御信号を第1のシャフトと第2のシャフトとの間の予め決めることができる所定の位相差を調整するために供給するように構成されている。
【0042】
1つのシャフトの状態又は2つのシャフト間の位相位置の状態は、例えば、磁気的、光学的又は電気的に相応のセンサを用いて検出することができる。この状態は、間接的にエンジンの1つのシリンダ内の圧力を介して、又は、エンジンのノッキング信号を介して検出することができる。
【0043】
本発明の別の例示的な実施例によると、第1のアクティブセンサ及び第2のアクティブセンサは、更に、第1のシャフト及び第2のシャフトの回転のストップ期間中、第1のシャフトの角度位置及び第2のシャフトの角度位置又は第1のシャフトの、第2のシャフトに対する位相位置を永続的に監視することができるように構成されている。
【0044】
従って、第1のシャフトの角度位置の、第2のシャフトの角度位置に対する同期を、停止状態でも監視することができる。
【0045】
本発明の別の例示的な実施例によると、同期化装置は、第3のセンサを有しており、その際、第3のセンサは、第3のシャフトの角度位置を求めるように構成されている。その際、第3のセンサは、第3のシャフトの角度位置についての、求めた情報を、制御装置に供給するように構成されている。
【0046】
しかし、角度位置を求めることは、測定を用いて、測定された別の量との既知の依存性から算出を用いて行ってもよい。つまり、角度位置は、幾つかの側縁を用いて、又は、歯車比を介して求めることができる。第3のセンサは、角度位置の測定精度を高めることができ、パッシブ又はアクティブなセンサとして構成することができる。その際、1つのシャフトに既に設けられたセンサを用いてもよい。
【0047】
更に、本発明の別の実施例によると、第3のセンサはアクティブセンサである。
【0048】
本発明の他の例示的な実施例によると、第3のシャフトと結合された調整部材を有する同期化装置が提供される。第3のシャフトは、第1及び第2のシャフトと共に動くように結合されていて運動結合部を形成する。その際、調整部材、及び、殊に、第3のシャフトと、第1及び第2のシャフトとの動くように結合された運動結合部は、予め決めることができる所定の位相角度、又は、予め決めることができる所定の位相差を、第3のシャフトの加速又は制動を用いて調整することができる。
【0049】
第1のシャフト、第2のシャフト及び第3のシャフトは、例えば、遊星歯車式伝動装置(Planetengetriebes)にするとよく、それにより、運動結合部を達成することができる。その際、シャフトに取り付けられた歯車を介して、各シャフトを相互に結合することができる。相応の各シャフトの各回転速度、歯数又は周囲長の比は、歯車比によって特定される。歯車比、つまり、遊星歯車式伝動装置の歯車の歯数の比、乃至、各シャフト相互の各回転速度の比は、伝動装置の基本方程式(Getriebegrundgleichung)を介して求めることができる。
【0050】
第3のシャフトの状態情報又は角度位置の供給によって、第1のシャフト又は第2のシャフト上にしか、アクティブセンサが設けられていない場合でも、第1のシャフトの、第2のシャフトに対する位相差を求めることができる。3つのシャフトは、即ち、固定の歯車比の3シャフト伝動装置の部分にすることができる。3つのシャフトは、エンジンのクランクシャフト、エンジンのカムシャフト又はEVTシステムの調節シャフトであるようにするとよい。各シャフト相互の対応付けは、任意に行うことができる。その際、EVTシステムは、調節シャフトでの回転を用いて、クランクシャフトとカムシャフトとの間の位相角度を調整することができるように構成されている。調節シャフトの調整は、電気モータを用いて行ってもよい。
【0051】
第3のシャフトの角度位置は、補助センサを用いて検出してもよい。補助センサは、1つのシャフトの状態を当該シャフトから離れて求めることができる。つまり、シャフトの状態を求めるための補助センサは、その状態を求める必要があるシャフトに直接アクセスするのではなく、当該シャフトの状態を、トランスファしたシャフトの目印(Wellenmerkmal)を介して求めてもよい。補助センサは、主センサ、例えば、第1のアクティブセンサ又は第2のアクティブセンサと同じシャフトに設けてもよい。その際、補助センサは、別のセンサに対して並列又は補完して設けてもよい。補助センサは、シャフトの状態について付加的な情報を収集することができる。
【0052】
第1のアクティブセンサ、第2のアクティブセンサ及び第3のセンサは、1つ又は多数のセンサ又はセンサ素子を有することができ、その際、多数のセンサを1つのシャフトに用いると、供給される情報の精度を高めることができる。アクティブセンサとパッシブセンサを組み合わせて用いてもよい。例えば、1つの電気モータ内に直列に設けられていて、当該電気モータの各永久磁石によって励磁される3つのホールセンサを用いると、当該電気モータに接続されたシャフトの回転方向を検出することができる。3つのセンサは、その際、相互に関連し合ったセンサと見なせる。
【0053】
本発明の更に別の実施例によると、同期化装置が提供され、その際、調整部材が、第1のシャフトと第2のシャフトとの間の位相差を調整する第3のシャフトを用いて構成される。
【0054】
つまり、調整器又は調整部材は、第1のシャフトと第2のシャフトとの間の位相差を調整するために、第1のシャフト及び第2のシャフトに直接作用せず、調整部材は、第1のシャフト及び第2のシャフトと結合されたシャフトに作用することができる。
【0055】
本発明別の実施例によると、同期化装置が提供され、その際、調整部材は、電気モータとして構成されている。
【0056】
その際、電気モータは、第1の作動状態を有することができ、この第1の作動状態では、電気モータは、電気エネルギを力に変換する。この第1の作動状態では、電気モータは、アクチュエータとして機能する。
【0057】
更に、電気モータは、第2の作動状態を有することができ、この第2の作動状態では、電気モータは、内燃機関、第1のシャフト及び第2のシャフトを有するシステムからエネルギを取り出す。エネルギ取り出し時には、電気モータは、ブレーキとして作動することがある。その際、シャフトの回転運動が制動される。従って、電気モータは、発電機として作動する。
【0058】
第3のシャフトは、調整部材もセンサも有しているようにするとよい。この調整部材及びセンサは、1つの要素内に一体的にまとめることができる。
【0059】
つまり、第1のアクティブセンサ及び第2のアクティブセンサを用いて、第1のシャフトの状態及び第2のシャフトの状態を求めることができ、別のシャフトを用いて、第1のシャフトと第2のシャフトの間の位相差を調整することができる。他方では、第1のアクティブセンサと第3のセンサの組合せ、又は、第2のアクティブセンサと第3のセンサとの組合せを用いて、第1及び第2のシャフトの状態を求めることができる。第1のシャフトと第2のシャフトの間の位相調整は、同様に第3のシャフトを用いて行うことができる。
【0060】
本発明の別の実施例によると、調整部材又は位相調整装置に対するエネルギ供給を制限することができる。
【0061】
調整部材は、第1のシャフトと第2のシャフトとの間の位相差を調整するために、エネルギを必要とすることがある。このエネルギは、電気エネルギ乃至電力にすることができる。内燃機関を自動車内に使用する際、調整部材の給電は、車両搭載電源網を介して行うことができる。調整のために印加すべき力に依存して、相応に高いエネルギを必要とすることがある。それにより、車両搭載電源網内に蓄電されたエネルギ全体が調整のために供給されることがある。
【0062】
調整部材又は位相調整装置の調整の際、従って、供給エネルギを制限する必要があることがある。この際、動的及び静的に制限することができる。以下、静的な制限と動的な制限の差について説明する。
【0063】
静的な制限とは、ここでは、給電電力(例えば、電流と電圧の積UxIとしての電力)の制限が、静的な値に制限されるということである。つまり、静的な値は、他の量に依存せず、静的に決められる。静的な制限では、例えば、PWM(パルス幅変調)を用いて作動される、電気モータ用の電力給電の場合、固定のデューティ比によって、位相調節装置(Phasenverstelleinrichtung)又は位相調整装置(Phaseneinstelleinrichtung)が固定されるようにすることができる。電力は、静的に、例えば、最大許容電流を固定することによって特定することができる。
【0064】
動的な制限の場合、調整部材又は位相調整装置内に供給される電力は、関数又は他の量に依存して変えることができる。制限は、例えば、時間に直線状に依存して、又は、測定された外部又は算出された内部の別の量のn次の関数として行うことができる。つまり、例えば、電力給電は、全バッテリ状態に関連する、車両搭載電源による給電部の相対的な電圧レベルにすることができる。
【0065】
静的な制限の場合でも、動的な制限の場合でも、制限をゼロで行ってもよく、つまり、電力を給電しないようにしてもよい。
【0066】
つまり、同期化装置が提供され、その際、少なくとも第1のセンサ及び第2のセンサはアクティブセンサである。
【0067】
ここで、アクティブセンサとは、複数の基準を充足することができるセンサのことである。アクティブセンサは、高い分解能を有することができる。高い分解能とは、アクティブセンサが、例えば、8個又は8個より多くの側縁を1シャフト回転時に求めるということである。高い分解能とは、例えば、1つのシャフトに取り付けられた歯車の60個の歯も検出することができるということであり、その際、歯車は、複数の溝を有していてもよい。
【0068】
アクティブセンサは、永続的な監視機能も行うことができる。つまり、アクティブセンサは、エネルギが供給されなくても、例えば、エンジンの点火部がスイッチオフされている場合でも、シャフトの監視又はシャフトの状態を検出して供給するのに使うことができるということである。従って、例えば、エンジン停止時に、クランクシャフトとカムシャフトとの間の位相差が生じるのを回避することができる。クランクシャフトとカムシャフトとの間の調整された状態での位相ずれは、内燃機関を備えた自動車が、ギアが入れられた状態のまま動かされ、スイッチオフされたセンサによって、1つのシャフト又は複数のシャフト相互の回転が検出されない場合に生じることがある。
【0069】
アクティブセンサは、更に、毎分当たりの回転がおよそゼロの回転数の場合に側縁を検出することができる。即ち、緩慢な回転時にアクティブセンサによって依然としてシャフトの状態を検出することができる。
【0070】
更に、アクティブセンサは、シャフトの反転も検出することができる。反転とは、作動中、エンジンのシャフトが先ず一方の方向に回転し、それに対して、エンジンの停止時に、緩慢な回転数で、シャフトがその回転方向とは逆方向に回転するということである。アクティブセンサは、クランクシャフトとカムシャフトとの間の相対的な調整角度を、ストップ−スタート駆動中永続的に監視することもできる。
【0071】
アクティブセンサとは異なって、パッシブセンサとは、実質的に反転検出を行わず、毎分当たりの回転がおよそゼロの回転を検出することができないセンサのことである。従って、パッシブセンサは、低い回転数ではほぼ機能しない。低い、僅かな、又は、緩慢な回転数は、例えば、0回転/分〜50回転/分の回転数である。
【0072】
第1のアクティブセンサ及び第2のアクティブセンサに対して付加的に、少なくとも1つの別のパッシブセンサを用いてもよい。
【0073】
本発明の別の例示的な実施例によると、調整部材は、センサを有しており、その際、センサは、第1のアクティブセンサ、第2のアクティブセンサ及び第3のセンサからなるグループから選択される。
【0074】
本発明の更に別の実施例によると、同期化装置が提供され、この同期化装置は、更に位相保持装置を有しており、この位相保持装置は、第1のシャフトと第2のシャフトとの間の予め決めることができる所定の位相差を維持するように構成されている。全ストップ−スタート期間中、同期化装置を用いた位相角度の調整、及び、調整部材乃至位相調整装置による位相角度の調整に対して択一的又は並行して、位相の保持又は位相の調整された調節のために更に別の手段を行ってもよい。例えば、位相調整装置は、調整機構を機械的にインターロックするようにしてもよい。
【0075】
例えば、エンジンストップ時に、機械的なインターロック及び第1のシャフトと第2のシャフトとの間の位相ずれを固定するようにしてもよい。従って、例えば、(エンジンが)停止した(abgestellten)車両が(慣性により)動く(Anschieben)ことにより、第1のシャフトと第2のシャフトとの間に位相ずれが生じるのを回避することができる。
【0076】
更に、調整器、位相調整装置又は位相調節装置(電気モータとして構成することができる)をクランプ乃至停止する(verklemmen)ことができる。
【0077】
位相又は位相位置の保持は、同様に、自己保持(Selbsthaltung)(回路)を用いたバイアス電圧の印加(Vorspannen)によって行うことができる。その際、シャフトは、例えば、ストッパに対して押圧されており、回転しないようにすることができる。位相を保持するための別の手段は、アクティブなブレーキを組み込むことによって達成することができ、このアクティブなブレーキは、所定の位相差の調整後、しっかり固定して作動させ(引っ張って)(festgezogen)、それにより、固定した位相ずれ(Phasenverschiebung)を保持することができる。
【0078】
本発明の更に別の実施例によると、調整部材は、エンジン停止過程時に、第1のシャフトと第2のシャフトとの間の位相差を調整するように構成されている。
【0079】
従って、エンジンの最終停止時には、第1のシャフトと第2のシャフトとの間の所望の位相差を調整することができる。そのために、例えば、位相保持装置を利用することができ、それにより、エンジンの最終停止後に行われる初期エンジンスタートのために所望の位相差を利用することができる。従って、初期エンジンスタート過程を加速することができる。択一的に、(エンジン)停止過程の時間期間に亘って、位相差を、調整部材乃至位相調整装置を用いて一定に保持又は一定に調整するようにするとよい。
【0080】
本発明の更に別の実施例によると、エンジンの基準回転数とエンジン停止状態との間に位置している所定のエンジン回転数から作動される同期化装置が提供される。その際、エンジン回転数は、間接的に、シャフト回転数の測定を介して求めることができる。
【0081】
第1のシャフトと第2のシャフトとの間の位相差の調整のためには、エネルギを供給する必要があることがある。第1のシャフトと第2のシャフトとの間の位相位置の調整のためのエネルギを全作動時間に亘って供給しなくても済むようにするために、同期化装置のスイッチオンを、僅かなエンジン回転数又は低いエンジン回転数になってから初めて行うようにするとよい。その際、僅かなエンジン回転数は、毎分当たりゼロの回転から基準回転数又は回転数の基準値迄にするとよい。従って、エンジン停止の領域内で、直ぐ次のスタートのために、クランクシャフトとカムシャフトとの間の所望の位相差を調整することができる。
【0082】
調整部材は、位相差の調整のためのアクチュエータとして用いることができるのみならず、調整部材又は電気モータを用いて、シャフトの状態又は運動を求めることができる。そのために、例えば、整流子レスモータ又は電気モータの場合、即ち、整流子なしのモータの場合、モータ巻線中の誘導電流を利用することができ、それにより、調整部材をアクティブセンサとして構成することができる。
【0083】
本発明の更に別の実施例によると、調整部材又は電気モータは、多数のセンサ素子を有することができる。従って、位相調整装置を用いて、シャフトの反転を検出することができる。整流子レス電気モータは、永久磁石を有することができる。永久磁石は、電気モータに設けられた各ホールセンサを所定の列順序で励起することができる。この列順序は、制御装置によって評価することができ、それにより、モータの運動方向を測定することができる。更に、1つのセンサの代わりに複数のセンサを使って、センサの分解能を精細にすることができる。
【0084】
本発明別の例示的な実施例によると、同期化装置が提供され、その際、各センサのうちの少なくとも1つのセンサは、磁界センサとして構成されている。更に、1つの光学センサを使用してもよい。
【0085】
磁界センサは、例えば、ホールセンサ又は磁気抵抗センサ(MRセンサ)にするとよい。磁界センサを用いて、僅かな回転数の場合でも、側縁検出を行うことができる。
【0086】
本発明の別の実施例によると、同期化装置は、記憶装置を有しており、この記憶装置内に、第1のシャフトと第2のシャフトとの間の位相差についての情報を記憶することができる。
【0087】
従って、非揮発性メモリ内に、電流給電のスイッチオフにも拘わらず、直ぐ次のエンジンスタートのために所望の位相差を記憶しておき、呼び出すことができる。従って、両シャフト間の所望の位相差を調整することができ、従って、エンジンのスタート過程を加速することができる。
【0088】
本発明の別の実施例によると、エンジン停止期間中、又は、ストップ−スタート期間中、第1のシャフトと第2のシャフトとの間の調整された位相差又は調整された位相角度を一定に保持することができる位相保持装置が構成される。
【0089】
位相差の保持のために、例えば、機械的なインターロックを使用することができる。しかし、調整装置又は制御装置を、位相調整装置と組み合わせて用いて、第1のシャフトと第2のシャフトとの間の一定の位相角度を保持するようにしてもよい。
【0090】
エンジン停止期間は、点火をスイッチオフすることによってエンジンが停止されている時間期間にすることができる。しかし、エンジン停止期間で、赤信号期間又はエンジンの「エンスト」での短時間のエンジン停止の時間期間を示してもよい。
【0091】
本発明の別の実施例によると、エンジン用の同期装置が提供される。パッシブセンサは、第1のアクティブセンサ及び第2のアクティブセンサの1つに対して付加的に、第1のシャフト及び第2のシャフトの少なくとも1つのシャフトに設けられている。
【0092】
パッシブセンサは、アクティブセンサの精度を向上することができる。つまり、例えば、制御チェーンをパッシブセンサにより監視することができる。制御チェーンは、経年変化効果及び損耗に基づいて、アクティブセンサを用いて検出された情報に影響することがある所定の許容偏差を有することができるので、例えば、パッシブセンサを用いて、この許容偏差を補償することができる情報を求めることができる。
【0093】
本発明の別の例示的な実施例によると、同期化装置は、制動システム内で使用するために構成されている。
【0094】
本発明の更に別の例示的な実施例によると、各センサ、例えば、第1のアクティブセンサ、第2のアクティブセンサ及び第3のセンサの少なくとも1つのセンサが、カムシャフト調整器内に統合されている。
【0095】
つまり、カムシャフト調整器は、1つのユニットとして、各センサと一緒に交換することができる。
【0096】
先ず、本発明の、同期装置に関する多数の実施例について説明した。これらの各構成は、相応のやり方で、エンジン内のシャフト用の同期化のための方法にも、コンピュータ読み出し可能なメモリ媒体及びプログラム要素にも該当する。
【0097】
明らかに、本発明の基本思想と見なせるのは、エンジンストップ期間中、EVTコンポーネントを用いた同期化又は同期の保持により、全てのエンジンスタート用、場合によっては、初期エンジンスタート用の制御機器の同期化のための時間期間を省くことができる点である。従って、エンジンスタートの期間は、全ての後続のスタートの場合に、通常のスタート過程に対して半分にすることができる。同期化装置の組込み用のコストを更に低減することができる。更に、通常のエンジンに対して、エンジンの効率を、NEFZ(neuer europaeischer Fahrzyklus: 新ヨーロッパ排ガス規制)サイクル消費(Zyklusverbrauch)を、同期化装置を用いて、ユーザが認めることができるようなストップ−スタートにすることより低減するようにして改善することができる。つまり、例えば、クランクシャフトの2回転を同期化に至る迄行わないで済む。
【0098】
更に、始動過程時にノイズが生じるのを低減することができる。同期化装置は、カムシャフト位置及びクランクシャフト位置の検出部を備えたカムシャフト端に1つのセンサを有している。更に、同期化装置は、EVT制御機器(EVT-Steuergeraet)又は制御装置(Steuereinrichtung)に対する接続部又は接続部材を有している。更に、エンジン制御機器に対して信号の通信を行うことができる。
【0099】
本発明は、2つのシャフトの位置を相互に検出する必要がある個所に使用可能である。各シャフト相互の位置が近いことにより、センサの集積を改善することができる。液圧(水圧、油圧)式のカムシャフト調整システムの場合でも、本発明を使用することができる。更に、本発明は、例えば、制動システムでも使用することができる。
【0100】
クランクシャフト及びカムシャフト角度位置情報は、間接的に、回転数情報又はシャフト状態(所定時間内での所定回数の事象)の評価を介して形成することができる。回転数情報は、例えば、所定時間間隔内で検出された歯の個数によって特定することができる。高速の同期化のために、一方では、カムシャフトとクランクシャフトに絶対角度センサを装着してもよい。絶対角度センサにより、スタート−ストップシステムの初期エンジンスタート時に、本発明の機能を用いることができるようになる。その際、初期エンジンスタートとは、走行サイクルの最初回のエンジンスタートのことである。
【0101】
その際、スタート−ストップシステムは、初期エンジンスタート時に、カムシャフトとクランクシャフトの同期化を行うことができ、ストップ−スタートシステムにより、駆動中同期化を行うことができるシステムのことである。
【0102】
アクティブセンサとして、機能が拡張された簡単なセンサが適していることがある。機能拡張は、例えば、シャフトの反転の検出又は算出、並びに、ストップ−スタート駆動中のカムシャフト角度又はクランクシャフト角度の永続的な監視(つまり、毎分当たりの回転がほぼゼロであるような非常に低い回転数の場合でも監視すること)にすることができる。アクティブセンサは、センサの目標歯車の運動も運動の方向も検出することができる。その際、センサの目標歯車は、1つのシャフトに固定された歯車にすることができ、この歯車の運動は、例えば、センサの傍を通過する、この歯車の歯に基づいてセンサにより検出することができる。その際、歯車の運動は、シャフトの回転運動に相応する。
【0103】
本発明の観点は、エンジンストップ期間中EVTシステムの拡張によって保持されるクランクシャフトとカムシャフトの同期用の各測定量を供給することにある。伝動装置及び調整部材は、有利には、カムシャフトの端に設けられているので、同期化のために必要な各測定量を、伝動装置側の端で局所的に検出することができる。何れにせよ、センサは、シャフトの任意の個所に設けることができる。その際、カムシャフトセンサは、調整部材に隣接して設けることができる。例えば、CANバス(Controller Area Network)のようなバス接続を介して、EVTの情報処理を車両制御機器に所定のように接続することによって、EVTで局所的に検出された同期化情報を制御システムに伝送することができる。
【0104】
アクティブセンサ又は絶対角度センサを用いて、クランクシャフト位置を検出することができる。従って、クランクシャフトの初期位置が、エンジン制御機器に分かるようにすることができる。エンジン制御機器は、制御装置の一部分にするとよい。
【0105】
固定歯車比の3シャフト伝動装置を用いることによって、3シャフト伝動装置の3つのシャフト相互の回転数、角度又は加速度を検出することができる。位相調整装置内又は電気モータ内の回転数検出装置は、クランクシャフトに関して高い分解能を有することができる。位相調整装置内に複数のセンサ素子を用いることによって、反転方向でも角度位置を検出することができるようになる。3シャフト伝動装置は、遊星歯車式伝動装置にすることができ、その際、遊星歯車式伝動装置は、駆動部材(Antriebselement)、調整部材及び末端動力部材(Abtriebselement)を有することができる。駆動部材は、クランクシャフトと結合することができ、遊星歯車式伝動装置の調整部材は、調節シャフトと結合することができ、駆動部材は、カムシャフトと結合することができる。各シャフト相互の各回転数は、伝動装置の歯車比を介して決めることができる。
【0106】
更に、スタート信号の検出は、各シャフトで最初の回転が検出される前に、電気的及び/又は電子的な各コンポーネントをスタンバイ状態にすることができる。
【0107】
以下、本発明について、図示の実施例を用いて詳細に説明する。
【0108】
図1は、エンジンスタート過程の測定経過特性を示し、
図2は、本発明の実施例による高速エンジンスタート用のストップ−スタートシステムサポート付のEVTを示す。
【0109】
図1は、エンジンスタート過程の測定経過特性を示す。図1に示された測定経過特性は、平均的なストップ−スタート駆動時に典型的な90℃の駆動オイル温度でのエンジンスタート過程を例示する。X軸100は、時間を示し、Y軸101は、エンジン回転数を示す。エンジンがその正常駆動に達する迄にかかるスタート時間乃至インターバルは、インターバル102によって特徴付けられる。
【0110】
測定曲線103では、図1の左端の始端領域内に、スタータ回転数の領域内にあるエンジン回転数で、3つの圧縮104,105及び106が生じることが分かる。3つの圧縮104,105及び106では、点火は生じない。3つの圧縮104,105及び106は、スタート時間インターバル102の第1の半部内に位置している。4番目の圧縮107から初めて、最初の点火過程が生じ、それに続いて、エンジンは、無負荷運転回転数に上昇する。エンジンが無負荷運転回転数で作動される領域は、インターバル108で特徴付けられ、図1の右側の部分内に示されている。
【0111】
図2は、本発明の実施例による高速エンジンスタート用のストップ−スタートシステムサポート付のEVTシステムを示す。
【0112】
図2には、エンジンのカムシャフト−クランクシャフトシステムが示されている。そのために、カムシャフト201及びクランクシャフト202が図示されている。クランクシャフト202は、屈曲(クリンプ)部203を有している。左側の端には、クランクシャフト202のシャフト205が、伝動装置204(図2には部分的にしか図示していない)内に組み入れられている。図2には、クランクシャフト202をカムシャフト201と結合する制御チェーン206が図示されている。クランクシャフト202とカムシャフト201との歯車比は、2:1である。つまり、カムシャフト201の完全な回転は、ずれ過程が生じない場合、クランクシャフト202の完全な2回転に対応している。調節シャフト207は、カムシャフト201に対向して、調節シャフト207とカムシャフト201の対称な各シャフトが一致するように設けられている。調節シャフト207は、伝動装置204を介して、カムシャフト201とクランクシャフト202と連結されている。制御チェーン206は、スプロケットの上に配設されており、その際、このスプロケットは、伝動装置204内に統合されている。調節シャフト207を用いて、伝動装置204を介して、カムシャフト201の回転運動とクランクシャフト202の回転運動との間の位相位置を調整することができる。調節シャフト207の調整のために、調節シャフト207に、位相調整装置又は調整部材、例えば、電気モータが設けられている。調整部材は、図2には図示していない。調整器又は調整部材は、EVTシステムの部分である。EVTシステムは、調整部材の他に制御装置208を有している。制御装置208は、EVT制御機器209及びエンジン制御装置210を有しており、その際、エンジン制御装置201及びEVT制御装置は、結合部222を介して結合されている。結合部222は、例えばバス、例えば、CANバスのようなバスにすることができる。EVT制御機器209の機能は、Eモータ、つまり、電気モータ又は位相調整装置又はエンジン制御装置210内に統合又は部分的に統合してもよい。
【0113】
同様にバスとして構成することができる結合部211を介して、制御装置208及び殊にEVT制御機器209は、補助センサ212と接続されている。補助センサ212は、その際、調節シャフト207の状態を検出して、EVT制御機器に伝送することができる。センサ212は、位相調整装置内に統合してもよい。センサ212は、アクティブセンサ、例えば、EVTのコミュティールングセンサ(Kommutierungssensor)にしてもよい。
【0114】
カムシャフト201には、カム213が設けられている。伝動装置204の領域内に、カムシャフトに同軸にカムシャフト側縁発信器214が設けられている。カムシャフト側縁発信器214は、カムシャフトセンサ215を用いて、カムシャフトの回転運動についての状態を検出することができるように構成されている。同様にバス線路として構成することができる結合部216を介して、シャフト状態装置215又はカムシャフトセンサ215の状態情報を、制御装置208に伝送することができる。
【0115】
図2のクランクシャフト202の右側縁部に、クランクシャフト202のシャフト205に同軸に設けられたクランクシャフト側縁発信器217乃至センサターゲットホイール(Sensorzielrad)217が図示されている。クランクシャフト202の回転時に、クランクシャフト202の状態がクランクシャフトセンサ218を介して検出され、同様にバスとして、例えば、CANバスとして構成することができる結合部219を介して、制御装置208に伝送することができる。クランクシャフトセンサ218は、センサターゲットホイール217の状態識別のために、特徴的な目印を検知する。制御チェーン208の運動を検出する補助センサ220を用いて、同様にバスとして構成することができる結合部221を介して、センサ情報を制御装置208に伝送することができる。結合部211,216,219,221及び222を介して受け取られた全ての情報は、制御装置208内で評価することができ、制御装置208と結合部材との、図2に図示されていない結合部を介して、調整量として調整部材に伝送される。従って、カムシャフト201とクランクシャフト202との間の位相差を調整することができる。
【0116】
センサ212,220,218及び215を用いたセンシングに関して、複数の可能な配設手段があり、以下これについて説明する。
【0117】
調整部材、調節シャフト207及び伝動装置204を含む調整システムは、伝動装置側で各伝達部材を用いて又は用いずに3つのシャフトと結合されている。伝達部材の一例は、遊星歯車式伝動装置である。シャフト207,201,202は、図2では、調節シャフト207、カムシャフト201及びクランクシャフト202である。これらの各シャフト207,201,202上のセンサ212,220,215,218の情報を用いて、又は、EVTコンポーネントに用いられているセンサ装置、例えば、調整センサ212を用いて、各シャフト207,201,202の角度測定及び回転数測定を行うことができる。従って、クランクシャフト202とカムシャフト201との間の相対角度を測定することができる。その際、伝動装置204の歯車比と各シャフト207,201,202の回転数又は回転角度との関係を供給する、伝動装置の基本方程式(Getriebegrundgleichung)を用いることができる。
【0118】
アクティブセンサに対して付加的に、補足的にパッシブセンサを使用してもよい。付加的なパッシブセンサを用いることによって、クランクシャフト202とカムシャフト201との間の位相差の測定精度を高めることができる。付加的なパッシブセンサを用いて、例えば、制御チェーン206の回転によって生じる効果を除去又は低減する(herausgerechnet)ことができる。従って、クランクシャフト202とカムシャフト201との間の位相位置の付加的なずれを補償することができる。
【0119】
同期の保持は、パッシブなクランクシャフトセンサ218、アクティブなカムシャフトセンサ215及びアクティブな調節シャフトセンサ212によって達成することができる。カムシャフトセンサ215及び調節シャフトセンサ212から、伝動装置の基本方程式(Getriebegrundgleichung)を用いて、クランクシャフト202の回転角度を算出することができる。この算出は、制御装置208内で行うことができる。求められた反転角度(Rueckdrehwinkel)は、エンジン制御機器210に伝送することができる。
【0120】
カムシャフト201とクランクシャフト202との同期を維持する別の手段は、アクティブなクランクシャフトセンサ218、パッシブなカムシャフトセンサ215及びアクティブな調節シャフトセンサ212を用いることにある。
【0121】
クランクシャフト202と制御チェーン206との間に存在する形状結合(Formschlusses)及び制御駆動部(Steuertrieb)206を介してのクランクシャフト202とカムシャフト201との2:1の歯車比のために、クランクシャフト角度情報が、EVT伝動装置チェーンホイール223に相対的に伝送される。EVT伝動装置チェーンホイール223で、クランクシャフト角度情報が、クランクシャフト補助センサ220を用いて検出される。情報の相対的な伝送は、例えば、カムシャフト調整器又は位相調整装置の伝動装置のチェーンホイール側の各終端ストッパの一方が引き受け、つまり、位相調整装置は、図2に示されていないカムシャフト調整器をカムシャフト201に取り付ける際に、クランクシャフト202の方に所定のように配向して取り付けられている。クランクシャフト角度位置の検出は、ここでは、EVT伝動装置のチェーンホイール側と固定して結合された構成部品で行われる。
【0122】
択一的に、制御チェーン206、制御ベルト206又は歯車駆動部206を、チェーンホイール323上の特徴的なクランクシャフト特徴部を変換する(transferieren)ために用いてもよい。その際、特徴的なクランクシャフト特徴部は、制御駆動部206の長さに相応して制御駆動部206上にいくつも設けることができる。例えば、制御駆動部206の各x番目のチェーン部材が、センサ評価可能な拡張された継ぎ部(Lasche)を有しているようにすることができる。制御チェーン206のチェーン部材の位置又はクランクシャフトカバー用の値エーン部材の位置は、取付により得られ、又は、クランクシャフトセンサ218及びクランクシャフト補助センサ220又はクランクシャフトセンサ218及びカムシャフトセンサ215のセンサ情報の比較から、調整角度を考慮して求めることができる。クランクシャフト角度位置の検出は、EVT伝動装置204のチェーンホイール側と直接結合された構成部品で行われる。
【0123】
カムシャフト201とクランクシャフト202との同期を保持するための第3の手段は、アクティブなクランクシャフトセンサ218、アクティブなカムシャフトセンサ215及びパッシブな調節シャフトセンサ212によって形成される。この構成では、クランクシャフト202並びにカムシャフト201は、充分に正確な信号分解能で構成されている。高い分解能のクランク角度及び高い分解能のカム角度の評価により、相対的な回転角度又は位相差を直接算出することができる。
【0124】
カムシャフト201とクランクシャフト202の同期を維持するための別の例は、全てのセンサ212、220、215、218をアクティブなセンサとして構成することによって可能である。
【0125】
更に、カムシャフト201及びクランクシャフト202の同期の維持は、しかし、パッシブなクランクシャフトセンサ218及びクランクシャフト又は選択的にカムシャフト用のアクティブな調節シャフトセンサによっても可能である。調節シャフトセンサは、その際、直接、カムシャフト201とクランクシャフト202との位相差を検出する必要がある。そのために、例えば、WO 2004/020795から公知の調節シャフト相対センサを用いてもよい。
【0126】
更に、カムシャフト201及びクランクシャフト202の同期を維持するための別の例は、アクティブなクランクシャフトセンサ218及びクランクシャフト202又はカムシャフト201用のアクティブな調節シャフト相対センサによって可能である。更に、アクティブな調節シャフト相対センサは、調節シャフト207とカムシャフト201との間又は調節シャフト207とクランクシャフト202との間に設けてもよい。この構成は、アクティブなセンサをクランクシャフト202に必要とする、車両が高速スタートシステムを備えている場合にも可能である。ここでは、調節シャフト相対センサを備えたETVは、クランクシャフト信号とは無関係に、実際の相対角度乃至カムシャフト201とクランクシャフト202との位相差を正確に算出する。
【0127】
カムシャフトセンサ215は、充分な角度分解能又は充分に高い分解能を利用できるように構成するとよい。例えば、充分な角度分解能用のカムシャフトセンサ215は、8側縁より多くの分解能を有していて、反転検出が可能であるようにするとよい。反転検出は、2つのセンサ要素を有するカムシャフトセンサ215を装着していて、両センサによって供給された、これらの各情報を、検出された各センサ回路の列順序を考慮して評価することによって行うことができる。
【0128】
更に、高い分解能のアクティブなセンサの評価を、内燃機関の駆動時の所定の位相でのみ実行するようにしてもよい。この所定の位相は、回転数及び/又は回転角度をできる限り正確に特定することが有意義であって、多数の情報を評価のために必要とすることによって特徴付けることができる。これは、例えば、エンジンスタート時又はエンジンストップ時の僅かな回転数の場合である。
【0129】
別の期間では、精度は、僅かな要求しか課せられない。この期間内では、従来のパッシブなセンサを評価すれば十分である。それにより、形成される情報の数を低減することができ、それにより、制御装置208の処理負荷を低減することができる。
【0130】
既述のセンシング手段を用いて、内燃機関の全てのストップ期間及びスタート期間の間位相角度を測定することができる。この実際の角度情報は、位相角度の調整のために利用することができる。その際、位相角度は、カムシャフト201とクランクシャフト202との間の回転角度を、両シャフト相互の出発点の関係(Ausgangsbeziehung)に関して示す。調整器は、内部で算出された、又は、外部で、例えば、エンジン制御機器210によって設定された目標位相角度を、実際に算出された位相角度との比較によって調整することができる。
【0131】
調節シャフト207上に取り付けられた調整部材、例えば、供給すべきエネルギを供給することができるEモータが、エンジンストップでのクランクシャフト202とカムシャフト201との間の位相角度を調整すると直ぐに、内燃機関の回転数は、0に迄低減される。更に、位相角度を調整してもよい。それに続く内燃機関スタート時に、位相角度を更に調整してもよい。その際、位相角度の調整は、スタート信号の検出から、例えば、アクセルペダルの操作から、所定のクランクシャフト回転数の検出から、又は、所定のクランクシャフト回転数の検出の前から予め行ってもよい。
【0132】
停止しているクランクシャフトの場合、非常に小さなクランクシャフト回転数の場合でも、少なくとも、調整部材又はEモータ内に供給すべきエネルギは非常に高い。たいていは非常に高い、調整部材内に供給されるエネルギは、殊に比較的低い回転数では、実質的に、比較的高い動的且つ静的な、カムシャフトのトルクが生じる。極めて高い力が、弁ばねの操作時にカム213によって生じる。調整部材が、過度に高い負荷トルクに起因して、停止しているクランクシャフトでの調整、つまり、内燃機関によって駆動されないクランクシャフトでの調整、又は、クランクシャフトの低い回転数での調整を実行することができない場合、エネルギエントリ(Energieeintrag)は、静的又は動的に制限される。所要エネルギエントリ(Energieeintrag)が調整部材を損なうことがある場合にも、エネルギエントリは制限される。その際、エネルギエントリの制限は、種々異なるやり方で実行することができる。エネルギ制限は:
−カムシャフト位置監視を用いて、
−負荷トルク監視を用いて、
−カムシャフト/クランクシャフト/調節シャフト回転数監視を用いて、
−調整部材、例えば、Eモータのトルクの監視を用いて、
−電流監視を用いて、
−電圧監視を用いて、
−デューティ比監視を用いて、
行われる。エネルギの制限は、温度、例えば、オイル温度、外気温度、等に関連するあらゆるバリアント(Varianten)で行うことができる。
【0133】
カムシャフト位置監視の場合、実際のカムシャフト位置、即ち、カムシャフト201の角度が評価される。カムシャフト201の実際の位置で、弁ばねがカム213により操作されると、調整部材内に供給されたエネルギは、静的又は動的にカムシャフトの位置に依存して制限される。その際、カムシャフト201の位置は、カムシャフトの回転数を介して測定することができる。
【0134】
負荷トルク監視の場合、評価されたカムシャフト情報に基づいて、又は、カムシャフト201の状態、例えば、回転数又は位置に基づいて、負荷トルクが算出される。更に、クランクシャフト202及び調節シャフト207並びに伝動装置204での情報を用いて、印加されている負荷トルクを算出してもよい。更に、負荷トルクを、例えば、トルク測定シャフトによって、直接測定してもよい。モデルに基づいて、トルクを、供給された出力の、時間に亘っての情報から評価してもよい。負荷の所定の限界値から、静的又は動的な制限を行うことができる。
【0135】
カムシャフト/クランクシャフト/調節シャフト回転数監視は、カムシャフト回転数、クランクシャフト回転数及び/又は調整システムの調節シャフト回転数の観測によって行うことができる。それにより、静的/動的に制限することができる。例えば、毎分回転数0の高さでクランクシャフト回転数が検出された場合、供給される出力はゼロに設定することができる。つまり、シャフトの停止状態では、カムシャフト201の、クランクシャフト202に対する位相位置が調整される。
【0136】
モデルに基づいて、制御装置208での調節シャフトトルク又は電流又は電圧又はデューティ比の監視を用いて、調整トルク又は電気モータのトルクを算出することができる。そのために、例えば、所要電流、電圧及び/又はデューティ比が、時間に亘って評価され、電力に換算することができる。所定の限界値から、又は、この供給された出力に一般的に依存して、動的又は静的な制限を選択することができる。クランクシャフト202とカムシャフト201との間の位相角度の調整に対して択一的に、又は、クランクシャフト202とカムシャフト201との間の位相角度の調整に並行して、クランクシャフト202とカムシャフト201との間の位相の保持又は調整された位置調節を行なうことができる。
【0137】
エンジン停止過程の間既に、制御装置208を用いて、クランクシャフト202及びカムシャフト201の、直ぐ次のエンジンスタートのために期待される新規な目標位置にすることができる。それにより、直ぐ次のエンジンスタートのために目標角度に達する時間を短縮することができる。
【0138】
入口及び出口弁の制御時間は、スタート時間を更に短縮するために利用することができる。その際、重なり部分が少ない制御時間、並びに、有効圧縮が高い制御時間、即ち、下側の死点の近傍の入口流動点での制御時間にするようにされる。
【0139】
高い角度分解能は、図2に示されていないクランクシャフト補助センサトリガホイールを用いて、及び、少なくとも8個の側縁を備えたカムシャフトセンサトリガホイール214を用いて達成することができる。その際、シャフト状態の調整装置は、完全なシャフト回転時のシャフト状態の調整装置が少なくとも8個の側縁、側縁の切換又はパルスを供給するように構成されている。
【0140】
識別のために、センサ目標ホイール217,214,223の1つ又は複数のホイールが、永久磁石材料又はフェライト材料から形成するとよい。シャフト状態の調整装置は、センサ目標ホイールを有しており、その際、センサ目標ホイールは、永久磁石材料又はフェライト材料から形成されている。
【0141】
クランクシャフト補助センサ220のケーシング、及び/又は、カムシャフトセンサ215のケーシングは、エンジンのシリンダヘッドに対して相対的に位置しているEVT構成部品内に統合するとよい。例えば、クランクシャフト補助センサ220又はカムシャフトセンサ215を電気モータケーシング内に統合するとよい。それにより、センサケーシングの付加的な密閉を行わなくて済む。
【0142】
補足的に、「含む」は、別の要素又はステップを排除せず、「1つ」は、複数を排除しないことを指摘しておく。更に、上述の各実施例の1つを参照して説明した各特徴又は各ステップは、上述の他の実施例の他の各特徴又は各ステップと組み合わせて用いてもよいことを指摘しておく。請求の範囲内での参照符号は、制限とは見なさない。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】エンジンスタート過程の測定経過特性を示す図
【図2】本発明の実施例による高速エンジンスタート用のストップ−スタートシステムサポート付のEVTを示す図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カムシャフト調節装置用の同期装置において、
制御装置(208)と、
第1のシャフト(201)の角度位置を求めるための第1のアクティブセンサ(215)と、
第2のシャフト(202)の角度位置を求めるため、又は、前記第1のシャフト(201)と前記第2のシャフト(202)との位相位置を求めるための第2のアクティブセンサ(218,220)とを有しており、
前記第1のアクティブセンサ(215)は、前記制御装置(208)に、前記第1のシャフト(201)の角度位置についての情報を供給するように構成されており、
前記第2のアクティブセンサ(218,220)は、前記制御装置(208)に、前記第2のシャフト(202)の角度位置についての情報、又は、前記第1のシャフト(201)と前記第2のシャフト(202)との間の前記位相位置についての情報を供給するように構成されており、
前記第1のアクティブセンサ(215)及び前記第2のアクティブセンサ(218,220)は、少なくともシャフト回転数用の基準値とシャフト停止状態との間のシャフト回転数を検出するように構成されており、
前記第1のアクティブセンサ(215)及び前記第2のアクティブセンサ(218,220)は、シャフトの回転方向の反転を検出するように構成されており、
前記制御装置(208)は、前記第1のシャフト(201)と前記第2のシャフト(202)との間の予め設定可能な位相差の調整用の制御信号を供給するように構成されていることを特徴とする同期装置。
【請求項2】
更に、第1のアクティブセンサ(215)及び第2のアクティブセンサ(218,220)は、第1のシャフト(201)及び第2のシャフト(202)の回転のストップ期間中、前記第1のシャフト(201)の角度位置及び前記第2のシャフト(202)の角度位置の持続的監視、又は、前記第2のシャフト(202)の位相位置の持続的監視を可能にするように構成されている請求項1記載の同期装置。
【請求項3】
更に、第3のシャフト(207)の角度位置を求めるための第3のセンサ(212)と、前記第3のセンサ(212)は、前記制御装置(208)に、前記第3のシャフト(207)の角度位置についての情報を供給するように構成されている請求項1又は2記載の同期装置。
【請求項4】
第3のセンサ(212)は、アクティブセンサである請求項3記載の同期装置。
【請求項5】
更に、調整部材を有しており、該調整部材は、第3のシャフト(207)と結合されており、及び、前記第3のシャフト(207)は、第1のシャフト(201)及び第2のシャフト(202)と共に動くように結合されており、前記調整部材は、前記第1のシャフト(201)と前記第2のシャフト(202)との間の予め設定可能な位相角度を前記第3のシャフト(207)の加速、又は、制動を用いて調整するように構成されている請求項1から4迄の何れか1記載の同期装置。
【請求項6】
調整部材は、電気モータである請求項5記載の同期装置。
【請求項7】
調整部材へのエネルギ供給が静的又は動的に制限可能である請求項5又は6記載の同期装置。
【請求項8】
調整部材は、第1のアクティブセンサ(215)、第2のアクティブセンサ(218,220)及び第3のセンサ(212)からなるグループから選択された1つのセンサを有する請求項5から7迄の何れか1記載の同期装置。
【請求項9】
更に、第1のシャフト(201)と第2のシャフト(202)との間の予め設定可能な位相差を維持するように構成された位相保持装置を有する請求項1から8迄の何れか1記載の同期装置。
【請求項10】
調整部材は、エンジン調整過程時に第1のシャフト(201)と第2のシャフト(202)との間の位相差を調整するように構成されている請求項5から9迄の何れか1記載の同期装置。
【請求項11】
同期装置は、エンジンの基準回転数と前記エンジンの停止状態との間の前記エンジンの所定の回転数の場合に作動状態にされるように構成されている請求項1から10迄の何れか1記載の同期装置。
【請求項12】
第1のアクティブセンサ(215)、第2のアクティブセンサ(218,220)及び第3のセンサ(212)の少なくとも1つが、磁場センサとして構成されている請求項1から11迄の何れか1記載の同期装置。
【請求項13】
更に、エンジンの停止状態の間、第1のシャフト(201)と第2のシャフト(202)との間の位相差を記憶するように構成された記憶装置を有する請求項1から12迄の何れか1記載の同期装置。
【請求項14】
更に、パッシブセンサを有しており、該パッシブセンサは、第1のアクティブセンサ(215)又は第2のアクティブセンサ(218,220)の少なくとも1つに対して付加的に、第1のシャフト(201)又は第2のシャフト(202)の少なくとも1つに設けられている請求項1から13迄の何れか1記載の同期装置。
【請求項15】
同期装置は、制動システム内で使用するために構成されている請求項1から14迄の何れか1記載の同期装置。
【請求項16】
各センサの少なくとも1つは、第1のアクティブセンサ(215)、第2のアクティブセンサ(218,220)及び第3のセンサ(212)からなるグループから選択されて、カムシャフト調節装置内に統合されている請求項1から15迄の何れか1記載の同期装置。
【請求項17】
エンジンスタート又はエンジンストップ期間中エンジン内の各シャフトを同期するための方法において、第1のアクティブセンサ(215)を用いて、第1のシャフト(201)の角度位置を求め、第2のアクティブセンサ(218,220)を用いて、第2のシャフト(202)の角度位置を求め、前記第1のシャフト(201)と前記第2のシャフト(202)との間の位相位置を求め、前記第1のアクティブセンサ(215)及び前記第2のアクティブセンサ(218,220)は、少なくともシャフト回転数用の基準値とシャフト停止状態との間のシャフト回転数を検出するように構成されており、前記第1のアクティブセンサ(215)及び前記第2のアクティブセンサ(218,220)は、シャフトの回転方向の反転を検出するように構成されており、前記第1のシャフト(201)の角度位置についての情報を制御装置(208)に供給し、前記第2のシャフト(202)の角度位置又は前記第1のシャフト(201)と前記第2のシャフト(202)との間の位相位置についての情報を前記制御装置に供給し、前記第1のシャフト(201)と前記第2のシャフト(202)との間の予め設定可能な位相差の調整用の制御信号を供給することを特徴とする方法。
【請求項18】
更に、第3のセンサ(212)を用いて、第3のシャフト(207)の角度位置を求め、
前記第3のシャフト(207)の角度位置の情報を制御装置(208)に供給する請求項17記載の方法。
【請求項19】
更に、前記第1のシャフト(201)と前記第2のシャフト(202)との間の予め設定可能な位相差を、調整部材を用いて調整する請求項17又は18記載の方法。
【請求項20】
更に、前記第1のシャフト(201)と前記第2のシャフト(202)との間の予め設定可能な位相差を、位相保持装置を用いて保持する請求項17から19迄の何れか1記載の方法。
【請求項21】
更に、前記第1のシャフト(201)と前記第2のシャフト(202)との間の位相差を、エンジン調整過程時に調整する請求項17から20迄の何れか1記載の方法。
【請求項22】
更に、エンジンの基準回転数と前記エンジンの停止状態との間の前記エンジンの回転数の場合に同期装置を作動状態にする請求項17から21迄の何れか1記載の方法。
【請求項23】
更に、前記第1のシャフト(201)と前記第2のシャフト(202)との間の位相差を記憶する請求項17から22迄の何れか1記載の方法。
【請求項24】
エンジンスタート期間又はエンジンストップ期間の間、前記エンジン内の各シャフトを同期するためのプログラムが記憶されている、コンピュータにより読み出し可能なメモリ媒体において、前記プログラムがプロセッサによって実行された場合に、前記プログラムは、以下の各方法ステップを制御し:
第1のアクティブセンサ(215)を用いて、第1のシャフト(201)の角度位置を求めるステップ、第2のアクティブセンサ(218,220)を用いて、第2のシャフト(202)の角度位置を求めるステップ、又は、前記第1のシャフト(201)と前記第2のシャフト(202)との間の位相位置を求めるステップを制御し、前記第1のアクティブセンサ(215)及び前記第2のアクティブセンサ(218,220)は、少なくともシャフト回転数用の基準値とシャフト停止状態との間のシャフト回転数を検出するように構成されており、前記第1のアクティブセンサ(215)及び前記第2のアクティブセンサ(218,220)は、シャフトの回転方向の反転を検出するように構成されており、前記第1のシャフト(201)の角度位置についての情報を制御装置(208)に供給し、前記第2のシャフト(202)の角度位置又は前記第1のシャフト(201)と前記第2のシャフト(202)との間の位相位置についての情報を前記制御装置に供給し、前記第1のシャフト(201)と前記第2のシャフト(202)との間の予め設定可能な位相差の調整用の制御信号を供給することを特徴とするコンピュータにより読み出し可能なメモリ媒体。
【請求項25】
各シャフトの同期化用のプログラム要素において、プログラム要素は、エンジンスタート又はエンジンストップ期間中前記エンジン内の各シャフトを同期化するためのプログラムを含み、前記プログラム要素は、前記プログラムがプロセッサによって実行された場合に、以下の各方法ステップを制御し:
第1のアクティブセンサ(215)を用いて、第1のシャフト(201)の角度位置を求めるステップ、第2のアクティブセンサ(218,220)を用いて、第2のシャフト(202)の角度位置を求めるステップ、又は、前記第1のシャフト(201)と前記第2のシャフト(202)との間の位相位置を求めるステップを制御し、前記第1のアクティブセンサ(215)及び前記第2のアクティブセンサ(218,220)は、少なくともシャフト回転数用の基準値とシャフト停止状態との間のシャフト回転数を検出するように構成されており、前記第1のアクティブセンサ(215)及び前記第2のアクティブセンサ(218,220)は、シャフトの回転方向の反転を検出するように構成されており、前記第1のシャフト(201)の角度位置についての情報を制御装置(208)に供給し、前記第2のシャフト(202)の角度位置又は前記第1のシャフト(201)と前記第2のシャフト(202)との間の位相位置についての情報を前記制御装置に供給し、前記第1のシャフト(201)と前記第2のシャフト(202)との間の予め設定可能な位相差の調整用の制御信号を供給することを特徴とする各シャフトの同期化用のプログラム要素。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−533592(P2009−533592A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504668(P2009−504668)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【国際出願番号】PCT/EP2007/052806
【国際公開番号】WO2007/118758
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(390009623)シエツフレル コマンディートゲゼルシャフト (99)
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler KG
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1−3, D−91074 Herzogenaurach, Germany
【Fターム(参考)】