説明

カメラモジュール

【課題】異なる倍率の画像を選択的に得ることができると共に携帯機器に特に好適で薄型のカメラモジュールを提供する。
【解決手段】 異なる焦点距離を持つ複数のレンズユニットと、該レンズユニットを介して入射された光に基づき撮像信号を処理するイメージセンサチップと、複数のレンズユニットを介して入射された光または該光に基づく撮像信号を選択する選択手段とを備え、該選択手段によって複数のレンズユニットのうちのいずれか1つのレンズユニットを介して入射された光または該光に基づく撮像信号を選択可能としたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラモジュールに関するものであり、より詳しくは、レンズユニットおよびイメージセンサチップを備えたカメラモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、携帯端末(PDA)やカードカメラの用途に、カメラモジュールが広く使用されている。また、これらの撮影レンズについても単焦点ではなく焦点距離を切り替えることが可能な光学ズーム機能を有するものが要求されてきている。光学ズーム機能を有する電子カメラの従来技術としては、次のようなものが知られている。
【0003】
以下、図を参照して電子カメラの従来例について説明する。図12は、従来例の電子カメラの内部構造を示す断面図である。図12に示すように、従来技術における電子カメラは、大きく分けて、カメラ本体1とレンズ鏡筒2とからなる。カメラ本体1には、光学ファインダの接眼レンズ3のほか、表示部としてカラー液晶ディスプレイ(LCD)4が設けられている。
【0004】
また、被写体光はレンズ鏡筒2に設けられたズームレンズである第1レンズ群11a、第2レンズ群11bを通過した後、絞り/シャッタ12により光量が制御される。この第1、第2レンズ群11a、11bおよび絞り/シャッタ12を通過した被写体光は、さらにフォーカスレンズである第3レンズ群11cを通過してカメラ本体1内に導かれ、ビームスプリッタ14によって2つに分割された後、その一方がカラー固体撮像素子であるCCD2次元カラーイメージセンサ(以下、単にCCDという)15に入射する。これにより、CCD15の撮像面上に被写体像が結像される。
【0005】
また、他方の被写体光は、ピントを合わせるためのピント板16、被写体像を反転させるためのリレーレンズ17および接眼レンズ3からの逆入射光を遮断するための液晶シャッタ(従来のアイピースシャッタに相当する)18を通過して接眼レンズ3に到達し、観察用の被写体像としてユーザに提供される(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】特開2002−25835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術における光学ズーム機能を有する電子カメラの場合は、図12に示すように光学系の全長aが長くなるという問題があった。図13、図14は従来技術におけるカメラモジュールの移動式ズームレンズの具体的な構成例を示すもので、レンズを広角側(1倍時)にセットした状態と、望遠側(2.2倍時)にセットした状態の光学系の配置を示す。図13は、1倍時のレンズ配置を示し、焦点距離は、5.51mm、画角Pは57度である。また、図14は、2.2倍時のレンズ配置を示し、焦点距離は、12.2mm、画角Sは26度である。このカメラモジュールは対物レンズ5、ズームレンズ群6、フォーカスレンズ7、IR(赤外線)カットガラス8、結像面であるイメージセンサチップ9を具備しており、1倍時のレンズ配置においては、図13に示すように対物レンズ5とフォーカスレンズ7との間にあるズームレンズ群6がフォーカスレンズ7側に配置されている。また、図14に示すように2.2倍時のレンズ配置においては、ズームレンズ群6が対物レンズ5側に移動、配置され、この移動するための距離bは5mm程度が必要となる。このため、このカメラモジュールの光学長aは18mm程度が必要となる。
【0008】
このように、光軸上に沿ってレンズ群を移動させることで焦点距離を切り替えるズームレンズを用いる従来技術におけるカメラモジュールの場合は、レンズ群を移動するための距離bを確保しなければならないため、光学系の全長aが長くなるという問題があり、薄型化が難しく携帯機器に用いるには適さないという問題があった。
また、構造が複雑で部品点数も多く高精度な駆動機構を必要とするため組み立てが難しく、組み立て工程における歩留まり、信頼性、コストフォーマンスが著しく低下するという問題があった。
【0009】
(目的)
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、異なる焦点距離を持つ複数のレンズユニットを用いて構造が簡素で、設計、組み立てが容易、且つレンズユニットの全長の短いカメラモジュールを実現し、異なる倍率の画像を選択的に得ることができると共に、携帯機器に特に好適であり、薄型化を実現できるカメラモジュールを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため本発明のカメラモジュールは、異なる焦点距離を持つ複数のレンズユニットと、該レンズユニットを介して入射された光に基づき撮像信号を処理するイメージセンサチップと、複数のレンズユニットを介して入射された光または該光に基づく撮像信号を選択する選択手段とを備え、該選択手段によって複数のレンズユニットのうちのいずれか1つのレンズユニットを介して入射された光または該光に基づく撮像信号を選択可能としたことを特徴とする。
【0011】
また、複数のレンズユニットのそれぞれに対応する位置に配置された複数のイメージセンサチップを有し、選択手段は、該複数のイメージセンサチップから出力される撮像信号を電気的に切り替える撮像信号切替手段を有し、該撮像信号切替手段によって複数のイメージセンサのうちのいずれか1つのイメージセンサチップから出力される撮像信号を選択可能としたことを特徴とする。
【0012】
また、複数のイメージセンサチップを搭載した配線基板を有し、該配線基板上に前記複数のレンズユニットが固定されていることを特徴とする。
【0013】
また、所定の位置に配置された一つのイメージセンサチップを有し、選択手段は、複数のレンズユニットを支持するレンズユニット支持部と、該レンズユニット支持部を移動させて複数のレンズユニットのうちのいずれか一つをイメージセンサチップに対応する位置に配置してレンズユニットを切り替えるレンズユニット切替手段とを有し、該レンズユニット切替手段によって複数のレンズユニットのうちのいずれか1つのレンズユニットを介して入射された光を選択可能としたことを特徴とする。
【0014】
また、複数のレンズユニットは少なくとも広角側の第1のレンズユニットと望遠側の第2のレンズユニットとを有することを特徴とする。
【0015】
また、複数のレンズユニットのうち少なくとも一つのレンズユニットはピント調整を行うフォーカス機構を有することを特徴とする。
【0016】
また、複数のレンズユニットのうち少なくとも一つのレンズユニットは通常撮影とマクロ撮影とが選択可能であるマクロ機構を有することを特徴とする。
【0017】
また、複数のレンズユニットは、それぞれ複数のレンズを有し、該レンズはプラスチックまたはガラスにより構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
以上のように本発明によれば異なる焦点距離を持つ複数のレンズユニットを用いて、異なる倍率の画像を選択的に得ることができると共に、構造が簡素で、設計、組み立てが容易な薄型のカメラモジュールを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本実施形態におけるカメラモジュールは、焦点距離の異なる2個のレンズユニットと、レンズユニットを介して入射された光に基づき撮像信号を処理するイメージセンサチップとを備え、二つのレンズユニットのうちのいずれか1つのレンズユニットを介して入射された光または該光に基づく撮像信号を選択することによって、焦点距離が切り替えられるようにし、レンズ鏡筒の全長を小さく抑え、かつ、組立てが容易で携帯機器に好適な薄型のカメラモジュールを実現したものである。
【0020】
図1から図4は本実施形態の実施例1におけるカメラモジュールを説明するための図、図5、図6は実施例2におけるカメラモジュールを説明するための図、図7から図9は実施例3におけるカメラモジュールを説明するための図、図10、図11は実施例4におけるカメラモジュールを説明するための図である。なお、各実施例において同様な構成要素については、同一番号を付与し説明は省略する。以下、本実施形態におけるカメラモジュールの具体的実施例について図1から図11を用いて説明する。
【実施例1】
【0021】
実施例1におけるカメラモジュールは、焦点距離の異なる二つのレンズユニットと、それぞれに対応する位置に配置された二つのイメージセンサチップとを有し、この二つのイメージセンサチップから出力される撮像信号を電気的に切り替えることによって、二つのイメージセンサチップのうちのいずれか1つのイメージセンサチップから出力される撮像信号を選択可能とした例である。
図1は実施例1におけるカメラモジュールを示し、図1(a)は斜視図、図1(b)は断面図である。図2、図3は実施例1におけるレンズユニットの具体的なレンズ構成例を示すもので、図2は広角側(1倍)の第1のレンズユニットのレンズ群を示し、図3は望遠側(2.2倍)の第2レンズユニットのレンズ群を示す。図4は、撮像信号を電気的に切り替える選択手段を示す図である。
【0022】
図1に示すように本実施例におけるカメラモジュールは、広角側(1倍)の第1のレンズユニット21と、望遠側(2.2倍)の第2のレンズユニット22と、第1、第2のレンズユニット21、22のそれぞれに対応する位置に配置された第1のイメージセンサチップ25aと第2のイメージセンサチップ25bとを備えている。また、第1、第2のレンズユニット21、22は互いに隣接して配置され、レンズユニット支持部23に保持されている。
【0023】
第1のレンズユニット21は、レンズ群21aと鏡筒21bにより構成されており、図2にその光学系の配置を示す。図2に示すように、第1のレンズユニット21は、広角側(1倍)のレンズユニットでレンズ31a、31b、31cを備えており、焦点距離が3.55mm、画角Pが68度、光学長dが4.5mmである。レンズ31a、31b、31cは、いずれも非球面レンズであり、入射された光をイメージセンサチップ25aの表面上で結像させるようになっている。
【0024】
第2のレンズユニット22は、レンズ群22aと鏡筒22bにより構成されており、図3にその光学系の配置を示す。図3に示すように、第2のレンズユニット22は、望遠側(2.2倍)のレンズユニットでレンズ32a、32b、32cを備えており、焦点距離が7.94mm、画角Sが28度、光学長fが6.5mmである。レンズ32a、32b、32cは、いずれも非球面レンズであり、入射された光をイメージセンサチップ25bの表面上で結像させるようになっている。なお、レンズ31a、31b、31c、32a、32b、32cは、いずれもプラスチックやガラスにより構成される。
【0025】
第1、第2イメージセンサチップ25a、25bは、配線基盤26の表面上に形成され、光学的な情報を電気信号に変換し、撮像信号として出力する素子であり、第1、第2のレンズユニット21、22を介して入射された光に基づき撮像信号を処理するものである。また、第1、第2イメージセンサチップ25a、25bは、ワイヤーボンディングにより配線基盤26と電気的に接続されている。さらに、配線基盤26の裏面側には外部電極と接続するためのFPC27、DSP(Digital Signal Processor)チップ28等の他のチップも搭載されており、このFPC27、DSPチップ28は樹脂封止剤29によって配線基板26に対して接着固定されている。このFPC27は携帯電話、携帯端末(PDA)と電気的に接続することができる。
【0026】
また、配線基盤26の表面上には、第1、第2イメージセンサチップ25a、25bを包囲するようにレンズユニット支持部23が配置固定されている。このとき、第1、第2イメージセンサチップ25a、25bは、予め所定の位置に配置されており、第1のレンズユニット21が第1のイメージセンサチップ25aに対応する位置に配置され、第2のレンズユニット22が第2のイメージセンサチップ25bに対応する位置に配置されるように、レンズユニット支持部23が配線基盤26に固定される。また、第1、第2のレンズユニットと第1、第2イメージセンサチップ25a、25bとの間には、平行平面ガラスからなるIR(赤外線)カットフィルター24が配置されており、レンズユニット支持部23に固定されている。
【0027】
第1、第2のイメージセンサチップ25a、25bは、図4に示すようにワイヤーボンディングにより配線基盤26上の信号端子30a、30b、接地端子30c、30dと電気的に接続されている。また、信号端子30a、30bは、スイッチ30によって切り替えられ、いずれか1方が外部回路(図示せず)に接続されるようになっている。このように、本実施例におけるカメラモジュールは、第1、第2のイメージセンサチップ25a、25bから出力される撮像信号を電気的に切り替える撮像信号切替手段であるスイッチ30によって第1、第2のイメージセンサチップ25a、25bのうちのいずれか1つのイメージセンサチップから出力される撮像信号を選択することができる。これによって、第1、第2のレンズユニット21、22のレンズユニットのうちのいずれか1つのレンズユニットを介して入射された光に基づく撮像信号を選択することができるようになっている。
【0028】
以上のように、本実施例におけるカメラモジュールは、焦点距離の異なる第1、第2のレンズユニット21、22を介して入射された光を第1、第2のイメージセンサチップ25a、25bの表面上に結像させ、第1、第2のイメージセンサチップ25a、25bのうちのいずれか1つのイメージセンサチップから出力される撮像信号を切り替えて使用することにより倍率の異なる二つの画像を選択的に使用することができる。また、第1、第2のレンズユニット21、22は固定焦点のレンズ系であるため、従来の移動式ズームレンズと比較してレンズユニットの全長を短くすることができる。この結果、カメラモジュールの薄型化を図ることができる。さらに、撮像信号を電気的に切り替えレンズ系の機械的な移動をなくすことによって、構造が簡単で、設計、組み立てが容易となり携帯機器に特に好適な薄型で低価格のカメラモジュールを実現することができる。
【実施例2】
【0029】
実施例2におけるカメラモジュールは、実施例1における第1のレンズユニットに通常撮影とマクロ撮影とが選択可能であるマクロ機構を設け、第2のレンズユニットにピント調整を行うオートフォーカス機構を設け、高機能化した例である。図5は第1のレンズユニットにマクロ機構を設けた例を示す断面図、図6は第2のレンズユニットにオートフォーカス機構を設けた例を示す断面図である。本実施例におけるマクロ機構、オートフォーカス機構は、いずれも公知の機構の一例であり、特に限定されるものではなく通常の機構であれば採用可能である。以下、図に基づいて簡単に説明する。なお、第1、第2レンズユニットのレンズ構成は実施例1と同様あり、同様な構成要素については、同一番号を付与し説明は省略する。
【0030】
図5に示すように本実施例における広角側の第1のレンズユニット40は、レンズユニット支持部23に保持されているマクロ切り替えレバー44と、その上方に配置されているレンズ鏡筒48とカバー41を備えており、レンズ鏡筒48は、マクロ切り替えレバー44の方向に付勢されたばね43を介してレンズユニット支持部23に保持されている。マクロ切り替えレバー44はリング状の形状をなし、その一部にはレンズ鏡筒48側に突出し、その一部に斜面部を有する突起45が形成されている。また、レンズ鏡筒48も同じくリング状の形状をなし、マクロ切り替えレバー44の突起45に対応する位置、即ちレンズ鏡筒48の下面側に斜面を有する突起46が形成されている。この突起45と突起46との斜面同士は互いに当接するように配置されており、レンズ鏡筒48を光軸方向に移動させるカムの役割を果たすものである。
【0031】
このマクロ切り替えレバー44を回転させることによりレンズ鏡筒48は光軸方向に移動し、突起45と突起46とが当接した状態がマクロ撮影位置となり、マクロ切り替えレバー44の突起45がレンズ鏡筒48の下面と当接した状態が通常撮影位置となる。このように本実施例の第1のレンズユニット40によれば通常撮影とマクロ撮影(接写)との選択が可能である。例えば、携帯機器に搭載されているカメラモジュールの場合、通常撮影が30cmから無限遠まで可能なレンズ系で、マクロ撮影で7〜15cm付近の接写が可能となる。この場合、レンズユニットとイメージセンサチップとの距離を通常撮影状態に対して、数百μm長くするとマクロ撮影状態となる。
【0032】
次にオートフォーカスについて簡単に説明する。図6に示すように本実施例における望遠側の第2のレンズユニット39は、レンズユニット支持部23に保持されているカバー33と、カバー33の内部に配置されるレンズ鏡筒34と、レンズ鏡筒34の光軸方向の移動をガイドするガイドポスト35a、35bと、モータ36と、モータ36に取り付けられレンズ鏡筒34を光軸方向に移動させるための板カム37と、レンズ鏡筒34を板カム36側に付勢するためのばね38とを備えている。レンズ鏡筒34はリング状の形状をなし、その外周付近に貫通孔34a、34bが設けられており、この貫通孔34a、34bに挿入されたガイドポスト35a、35bがカバー33とレンズユニット支持部23との間に保持されている。また、ガイドポスト35a、35bにおけるカバー33とレンズ鏡筒34との間にはばね38が配置されている。さらに、レンズ鏡筒34の外周部の一端が板カム37のカム面に当接されており、モータ36による板カムの37の回転に伴いレンズ鏡筒34が光軸方向に移動する。このように本実施例の第2のレンズユニット39によれば、接写から無限遠までの撮影が可能である。例えば、レンズユニットとイメージセンサチップとの距離を数百μm前後させることで5cmから無限遠まで、どの位置でもベストピントで撮影が可能である。
【0033】
以上のように本実施例によれば各レンズユニットにオートフォーカス機構またはマクロ機構を備えることで、より高機能カメラモジュールを実現することができる。なお、本実施例においても実施例1と同様の効果を得ることができる。
【実施例3】
【0034】
実施例3におけるカメラモジュールは、第1、第2、第3のレンズユニットを直接、配線基板上に配置した例であり、その他の基本的な構成は実施例1とほぼ同様である。実施例1は、二つのレンズユニットをレンズユニット支持部に固定して一体化し、レンズユニット支持部を配線基板に配置し、固定した例であるが、本実施例は三つのレンズユニットをそれぞれ個別に、直接、配線基盤に配置し、配線基盤に設ける三つのイメージセンサチップに対応する位置に固定した例である。
【0035】
図7は実施例3におけるカメラモジュールの断面図である。図7に示すように本実施例におけるカメラモジュールは、広角側(1倍)の第1のレンズユニット51と、望遠側(2倍)の第2のレンズユニット52と、望遠側(3倍)の第3のレンズユニット53と、第1、第2、第3のレンズユニット51、52、53のそれぞれに対応する位置に配置された第1のイメージセンサチップ55aと第2のイメージセンサチップ55bと第3のイメージセンサチップ55cとを備えている。また、第1、第2、第3のレンズユニット51、52、53は直線上に隣接して配置され、配線基板26に直接、固定されている。第1、第2、第3のレンズユニット51、52、53は、レンズ群51a、52a、53aとレンズ鏡筒51b、52b、53bにより構成されており、レンズ鏡筒51b、52b、53bは、対応する第1、第2、第3のイメージセンサチップ55a、55b、55cをそれぞれ包囲するように配置されている。
【0036】
第1のレンズユニット51は、広角側(1倍)のレンズユニットで焦点距離が3.5mm、画角Pが68度である。第2のレンズユニット52は、望遠側(2倍)のレンズユニットで焦点距離が7mm、画角Qが34度である。また、第3のレンズユニット53は、望遠側(3倍)のレンズユニットで焦点距離が10.5mm、画角Sは23度である。なお、具体的なレンズ配置は、実施例1と類似するため説明は省略するが、第1、第2、第3のレンズユニット51、52、53に入射された光は、それぞれ対応する第1、第2、第3のイメージセンサチップ55a、55b、55cの表面上で結像させるようになっている。
【0037】
第1、第2、第3のイメージセンサチップ55a、55b、55cは、実施例1におけるイメージセンサチップと同様であるため説明を省略するが、実施例1と同様に、ワイヤーボンディングにより配線基盤26上の信号端子(図示せず)、接地端子(図示せず)と電気的に接続されている。また、信号端子(図示せず)は、スイッチ(図示せず)によって切り替えられ、いずれか一つが外部回路(図示せず)に接続されるようになっている。このように、本実施例におけるカメラモジュールは、第1、第2、第3のイメージセンサチップ55a、55b、55cから出力される撮像信号をスイッチによって電気的に切り替えるものである。これによって、第1、第2、第3のレンズユニット51、52、53のレンズユニットのうちのいずれか1つのレンズユニットを介して入射された光に基づく撮像信号を選択することができるようになっている。
【0038】
以上のように、本実施例におけるカメラモジュールは、焦点距離の異なる第1、第2、第3のレンズユニット51、52、53を介して入射された光をそれぞれ第1、第2、第3のイメージセンサチップ55a、55b、55cの表面上に結像させ、第1、第2、第3のイメージセンサチップ55a、55b、55cのうちのいずれか1つのイメージセンサチップから出力される撮像信号を切り替えて使用することにより倍率の異なる三つの画像のうちの任意の一つを選択的に使用することができる。
【0039】
さらに、レンズ鏡筒51b、52b、53bを直接、配線基板26に配置し、固定することでレンズ群51a、52a、53aとイメージセンサチップ55a、55b、55cとの間の部材がレンズ鏡筒51b、52b、53bだけとなり、部材の積み重ねの誤差が小さくなりレンズ群51a、52a、53aとイメージセンサチップ55a、55b、55cとの位置を高精度で固定することができる。したがって、より構造が簡素化され携帯機器に特に好適な薄型で低価格のカメラモジュールを実現することができる。なお、本実施例においても実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0040】
また、本実施例においても、図8、図9に示すように実施例2と同様にマクロ機構や、オートフォーカス機構を設け、高機能化したカメラモジュールを実現することができる。図8は広角側の第1のレンズユニット40にマクロ機構を設けた例であり、第1のレンズユニット40をレンズユニット支持部42で保持し、このレンズユニット支持部42がイメージセンサチップ55aを包囲するように配線基盤26に固定されている。その他は第2実施例と同様であるため、説明を省略するが、マクロ切り替えレバー44を回転させることにより通常撮影とマクロ撮影(接写)との選択ができるようになっている。
【0041】
図9は、望遠側の第2のレンズユニット39にオートフォーカス機構を設けた例であり、レンズ鏡筒39bの光軸方向の移動をガイドするガイドポスト35a、35bと、レンズ鏡筒39bを移動するためのモータ36とが配線基盤26に直接固定されている。さらに、カバー33がイメージセンサチップ55bを包囲するように配線基盤26に固定されている。その他は第2実施例と同様であり、モータ36による板カムの37の回転に伴いレンズ鏡筒39bが光軸方向に移動し、焦点調整のために、レンズ群39aとイメージセンサチップ55bとの間の距離を変更することができる。これによって接写から無限遠までの撮影ができるようになっている。なお、第3のレンズユニット53についても同様にオートフォーカス機構を設けても良い。
【実施例4】
【0042】
実施例4におけるカメラモジュールは、第1、第2のレンズユニットと、第1、第2のレンズユニットを支持するレンズユニット支持部と、所定の位置に配置された一つのイメージセンサチップとを備えており、第1、第2のレンズユニットを支持するレンズユニット支持部を移動させて、第1、第2のレンズユニットのうちのいずれか一つをイメージセンサチップに対応する位置に配置し、いずれか1つのレンズユニットを介して入射された光をイメージセンサチップの表面上で結像させるようにした例である。
【0043】
図10は実施例4におけるカメラモジュールを示す概略断面図である。図10に示すように本実施例におけるカメラモジュールは、広角側(1倍)の第1のレンズユニット21と、望遠側(2.2倍)の第2のレンズユニット22と、所定の位置に配置されたイメージセンサチップ25とを備えている。また、第1、第2のレンズユニット21、22は互いに隣接して配置され、レンズユニット支持部67に保持されている。なお、具体的なレンズ配置は、実施例1と同様であるため説明は省略する。また、図10は第2のレンズユニット22がイメージセンサチップ25に対応する位置に配置され第2のレンズユニット22に入射された光をイメージセンサチップ25の表面上で結像させるようにした例を示しているが、レンズユニット支持部67を矢印Bの方向に移動させることによって、第1のレンズユニット21をイメージセンサチップ25に対応する位置に配置することができる。すなわち、レンズユニット支持部67を矢印AまたはBの方向に移動させることによって、第1のレンズユニット21または第2のレンズユニット22に入射された光を選択的にイメージセンサチップ25の表面上で結像させるようになっている。
【0044】
イメージセンサチップ25は、配線基盤26の表面上に形成され、光学的な情報を電気信号に変換し、撮像信号として出力する素子であり、第1のレンズユニット21または第2のレンズユニット22を介して入射された光に基づき撮像信号を処理するものである。また、イメージセンサチップ25は、ワイヤーボンディングにより配線基盤26上の信号端子(図示せず)、接地端子(図示せず)と電気的に接続され外部回路(図示せず)に接続されるようになっている。その他は実指例1と同様であるため説明は省略する。
【0045】
また、配線基盤26の表面上には、イメージセンサチップ25を包囲するようにガイドテーブル68が配置固定されており、このガイドテーブル68の上に第1、第2のレンズユニットを保持したレンズユニット支持部67が移動可能に配置されている。レンズユニット支持部67はリニアモータ等のアクチュエータにより、矢印Aまたは矢印Bの方向に移動され、イメージセンサチップ25に対応する位置に第1のレンズユニット21または第2のレンズユニット22が配置されるようになっている。このように、第1、第2のレンズユニット21、22を切り替えることによって、第1、第2のレンズユニット21、22のうちのいずれか1つのレンズユニットを介して入射された光を選択できるようになっている。
【0046】
以上のように、本実施例におけるカメラモジュールは、焦点距離の異なる第1、第2のレンズユニット21、22の位置を移動させ、いずれか1つのレンズユニットをイメージセンサチップ25に対応する位置に配置することにより、第1、第2のレンズユニット21、22を介して入射される光を切り替えて使用することにより、倍率の異なる二つの画像を選択的に使用することができる。また、本実施例においては多数のレンズユニットを用いる場合でもイメージセンサチップは一つで良く部品点数を少なくすることができる。また、第1、第2のレンズユニット21、22は固定焦点のレンズ系であるため、従来の移動式ズームレンズと比較してレンズユニットの全長を短くすることができる。この結果、カメラモジュールの薄型化を図ることができる。
【0047】
また、本実施例においては、二つのレンズユニットを用いた例で説明したが、図11に示すように、焦点距離の異なる四つのレンズユニット61、62、63、64を円形形状をなすレンズユニット支持部66上に配置しても良い。さらに、所定の位置を中心とする円周上に四つのレンズユニットを配置し、矢印Aの方向にレンズユニット支持部66を回転することによって四つのレンズユニット61、62、63、64を移動させ、いずれか一つレンズユニットをイメージセンサチップに対応する位置に配置させても良い。これによって、四つのレンズユニット61、62、63、64を介して入射される光を切り替えて使用することにより四つの倍率の画像を選択的に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施例1におけるカメラモジュールを示し、図1(a)は概略斜視図、図1(b)は断面図である。
【図2】本発明の実施例1における広角側の第1のレンズユニットのレンズ構成例を示す概略図である。
【図3】本発明の実施例1における望遠側の第2のレンズユニットのレンズ構成例を示す概略図である。
【図4】本発明の実施例1におけるイメージセンサチップの電気的接続を示す図である。
【図5】本発明の実施例2におけるカメラモジュールを示し、マクロ機構を搭載した広角側の第1のレンズユニットを示す断面図である。
【図6】本発明の実施例2におけるカメラモジュールを示し、オートフォーカス機構を搭載した望遠側の第2のレンズユニットを示す断面図である。
【図7】本発明の実施例3におけるカメラモジュールを示す断面図である。
【図8】本発明の実施例3の他の例を示す図でマクロ機構を搭載した広角側の第1のレンズユニットを示す断面図である。
【図9】本発明の実施例3の他の例を示す図でオートフォーカス機構を搭載した望遠側の第2のレンズユニットを示す断面図である。
【図10】本発明の実施例4におけるカメラモジュールを示す断面図である。
【図11】本発明の実施例4におけるカメラモジュールの他の例を示す概略平面図である。
【図12】従来技術における電子カメラを示す断面図である。
【図13】従来技術における広角側レンズユニットのレンズ構成例を示す概略図である。
【図14】従来技術における望遠側レンズユニットのレンズ構成例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0049】
21 第1のレンズユニット
21a レンズ群
21b
レンズ鏡筒
22 第2のレンズユニット
22a レンズ群
22b
レンズ鏡筒
23 レンズユニット支持部
24 IRカットフィルタ
25 イメージセンサチップ
25a
第1のイメージセンサチップ
25b
第2のイメージセンサチップ
26 配線基板
27 FPC
28 DSPチップ
29
樹脂封止剤
30 スイッチ
30a、30b 信号端子
30c、30d 接地端子
31a、31b、31c レンズ
32a、32b、32c レンズ
33 カバー
34 レンズ鏡筒
34a、34b 貫通孔
35a、35b ガイドポスト
36 モータ
37 板カム
38 ばね
39 第2のレンズユニット
40 第1のレンズユニット
41 カバー
42 レンズユニット支持部
43 ばね
44 マクロ切り替えレバー
45 突起部
46 突起部
48 レンズ鏡筒
48a
レンズ鏡筒の下面
51、56 第1のレンズユニット
51a レンズ群
51b、56b レンズ鏡筒
52 第2のレンズユニット
52a レンズ群
52b
レンズ鏡筒
53、57 第3のレンズユニット
53a、57a レンズ群
53b、57b レンズ鏡筒
55a
第1のイメージセンサチップ
55b
第2のイメージセンサチップ
55c
第3のイメージセンサチップ
61 第1のレンズユニット
62 第2のレンズユニット
63 第3のレンズユニット
64 第4のレンズユニット
66、67 レンズユニット支持部
68 スライドテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる焦点距離を持つ複数のレンズユニットと、該レンズユニットを介して入射された光に基づき撮像信号を処理するイメージセンサチップと、前記複数のレンズユニットを介して入射された光または該光に基づく撮像信号を選択する選択手段とを備え、該選択手段によって前記複数のレンズユニットのうちのいずれか1つのレンズユニットを介して入射された光または該光に基づく撮像信号を選択可能としたことを特徴とするカメラモジュール。
【請求項2】
前記複数のレンズユニットのそれぞれに対応する位置に配置された複数のイメージセンサチップを有し、前記選択手段は、該複数のイメージセンサチップから出力される撮像信号を電気的に切り替える撮像信号切替手段を有し、該撮像信号切替手段によって前記複数のイメージセンサチップのうちのいずれか1つのイメージセンサチップから出力される撮像信号を選択可能としたことを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項3】
前記複数のイメージセンサチップを搭載した配線基板を有し、該配線基板上に前記複数のレンズユニットが固定されていることを特徴とする請求項2に記載のカメラモジュール。
【請求項4】
所定の位置に配置された一つのイメージセンサチップを有し、前記選択手段は、前記複数のレンズユニットを支持するレンズユニット支持部と、該レンズユニット支持部を移動させて前記複数のレンズユニットのうちのいずれか一つを前記イメージセンサチップに対応する位置に配置してレンズユニットを切り替えるレンズユニット切替手段とを有し、該レンズユニット切替手段によって前記複数のレンズユニットのうちのいずれか1つのレンズユニットを介して入射された光を選択可能としたことを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項5】
前記複数のレンズユニットは少なくとも広角側の第1のレンズユニットと望遠側の第2のレンズユニットとを有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のカメラモジュール。
【請求項6】
前記複数のレンズユニットのうち少なくとも一つのレンズユニットはピント調整を行うフォーカス機構を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のカメラモジュール。
【請求項7】
前記複数のレンズユニットのうち少なくとも一つのレンズユニットは通常撮影とマクロ撮影とが選択可能であるマクロ機構を有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のカメラモジュール。
【請求項8】
前記複数のレンズユニットは、それぞれ複数のレンズを有し、該レンズはプラスチックまたはガラスにより構成されていることを特徴とする請求項1から請求項7に記載のカメラモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−306282(P2007−306282A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−132321(P2006−132321)
【出願日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(000131430)シチズン電子株式会社 (798)
【Fターム(参考)】