説明

カメラ用羽根駆動装置

【課題】バリヤ羽根等の駆動装置において衝撃力によるバリヤ羽根の誤作動を防止する。
【解決手段】開口部10aを有する基板10、基板10に対して開口部10aに臨む位置と開口部10aから外れた退避位置との間を移動自在に支持されたバリヤ羽根20、バリヤ羽根20を臨む位置又は退避位置に位置決めするべく基板10に設けられたストッパ11、バリヤ羽根20を駆動する電磁駆動源40を備え、バリヤ羽根20をその端面23,24方向に非接触にて生じる磁気的吸引力により臨む位置又は退避位置に保持するべく、バリヤ羽根20には強磁性体が設けられ、基板10には永久磁石30が設けられている。これにより、この装置がデジタルカメラ等に搭載された状態で落下等による衝撃力を受けても、バリヤ羽根は勝手に移動することなく所定位置に保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ等の開口部に配置されたバリヤ羽根、シャッタ羽根、あるいは絞り羽根等の羽根部材を駆動して位置決めするカメラ用羽根駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のカメラ用羽根駆動装置としては、露光用の開口部を有する基板、基板に対して回動自在に支持され開口部に臨む位置(閉鎖位置)と開口部から外れた退避位置(開放位置)との間を移動する一対のシャッタ羽根、シャッタ羽根に形成された孔に挿入される駆動ピン及びロータを有しシャッタ羽根を駆動するモータ等を備え、一対のシャッタ羽根が退避位置に位置するとき、ロータをその角度位置において磁気的吸引力すなわちディテントトルクにより保持して、シャッタ羽根を退避位置に保持するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、ロータのディテントトルクを用いる保持手法では、デジタルカメラ等を落下させて外部から衝撃力が加わったような場合に、ディテントトルクが比較的小さいため、シャッタ羽根が閉鎖位置に移動してしまう虞がある。
【0003】
また、従来のカメラ用羽根駆動装置としては、露光用の開口部を有する基板、基板に対して直線的に往復動可能に支持され開口部に臨む絞り位置と開口部から外れた退避位置との間を移動する一対の絞り羽根、絞り羽根に形成された孔に挿入される駆動ピン及びロータを有し絞り羽根を駆動するモータ、一対の絞り羽根の主面にそれぞれ貼付された強磁性体板、基板を覆う蓋に貼付され絞り羽根の強磁性体板と所定の間隙をおいて磁気的吸引力を及ぼす永久磁石等を備え、一対の絞り羽根を常時一方向に付勢するようにしてガタ寄せを行うようにしたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、この付勢手法では、絞り羽根を開口部に臨む位置あるいは退避位置に保持することはできず、又、絞り羽根に貼付された強磁性体板と蓋に貼付された永久磁石とは、絞り羽根の端面ではなく主面方向においてお互いに磁気的吸引力を及ぼすため、磁気的吸引力が及ぶ範囲は比較的広くなり、絞り羽根を駆動する際の駆動負荷が増加するという問題がある。
【0004】
【特許文献1】特開2001−75145号公報
【特許文献2】特開2000−314905号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、構造の簡略化、装置の小型化等を図りつつ、落下等により衝撃力が加わっても、羽根部材を開口部に臨む位置又は開口部から外れた退避位置に確実に保持することができるカメラ用羽根駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のカメラ用羽根駆動装置は、開口部を有する基板と、基板に対して開口部に臨む位置と開口部から外れた退避位置との間を移動自在に支持された羽根部材と、羽根部材を臨む位置又は退避位置に位置決めするべく基板に設けられたストッパと、羽根部材を駆動する電磁駆動源と、を備えたカメラ用羽根駆動装置であって、上記羽根部材をその端面方向に非接触にて生じる磁気的吸引力により臨む位置又は退避位置に保持するべく、上記羽根部材には、永久磁石及び強磁性体の一方が設けられ、上記基板には、永久磁石及び強磁性体の他方が設けられている、ことを特徴としている。
この構成によれば、電磁駆動源により羽根部材が駆動されて、開口部に臨む位置又は開口部から外れた退避位置にあるとき、羽根部材はストッパに当接して位置決めされると共に、羽根部材に設けられた永久磁石及び強磁性体の一方と基板に設けられた永久磁石及び強磁性体の他方との間で、非接触にて羽根部材の端面方向に発生する磁気的吸引力により、羽根部材は確実に開口部に臨む位置又は退避位置に保持される。したがって、この装置がデジタルカメラ等に搭載された状態で落下等による衝撃力を受けても、羽根部材は勝手に移動することなく所定位置に保持されて所期の状態(例えば、撮影待機の状態)を確保することができる。
【0007】
上記構成において、永久磁石及び強磁性体の他方は、ストッパの近傍に設けられている、構成を採用することができる。
この構成によれば、羽根部材がストッパに当接する近傍において、羽根部材を保持する磁気的吸引力が作用するため、羽根部材を確実にかつ強力な保持力で、開口部に臨む位置又は退避位置に保持することができる。
【0008】
上記構成において、基板には永久磁石が設けられ、羽根部材は強磁性体により形成されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、羽根部材が薄板状の金属板等で形成される場合、基板に永久磁石を設けるだけでよいため、構造が簡略化されて、製造コスト及び部品の管理コストを低減でき、装置全体のコストを低減することができる。
【0009】
上記構成において、基板には永久磁石及び強磁性体の一方が設けられ、羽根部材は永久磁石及び強磁性体の他方を混入又は埋設した樹脂材料により形成されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、羽根部材の軽量化を図ると共に、永久磁石及び強磁性体の他方が樹脂材料に混入又は埋設されるため、永久磁石及び強磁性体の他方を後付けする場合等に比べて、製造コスト及び部品の管理コストを低減でき、装置全体のコストを低減することができる。
【0010】
上記構成において、羽根部材は、電磁駆動源の駆動力を伝達するリンク部材を含み、リンク部材には永久磁石及び強磁性体の一方が設けられ、基板には永久磁石及び強磁性体の他方が設けられている、構成を採用することができる。
この構成によれば、リンク部材を磁気的吸引力により保持することで間接的に羽根部材を保持するため、羽根部材の設計の自由度(例えば、全て樹脂材料により形成でき、又は、永久磁石又は強磁性体を設ける位置を考慮することなく形状を自由に設定できる等)、あるいは、電磁駆動源の配置の自由度が増え、種々の要求に応じた形態に設定することができる。
【0011】
上記構成において、基板に設けられた永久磁石又は強磁性体は、基板に対する取付け位置が調整自在となっている、構成を採用することができる。
この構成によれば、永久磁石と強磁性体との間に発生する磁気的吸引力を所望の強さに調整できるため、羽根部材の保持力を適度な大きさに調整しつつ、羽根部材を円滑に作動させることができる。
【0012】
上記構成において、羽根部材は、開口部を開閉するバリヤ羽根、開口部を開閉するシャッタ羽根、又は、開口部を所定の口径に絞る絞り羽根である、構成を採用することができる。
この構成によれば、羽根部材がバリヤ羽根あるいはシャッタ羽根の場合、撮影待機の状態で衝撃力等を受けた際に、バリヤ羽根あるいはシャッタ羽根が勝手に開口部を閉鎖するのを防止でき、又、羽根部材が絞り羽根の場合、撮影待機の状態で衝撃力等を受けた際に、絞り羽根が勝手に開口部を絞るのを防止できる。
【発明の効果】
【0013】
上記構成をなすカメラ用羽根駆動装置によれば、この装置がデジタルカメラ等に搭載された状態で落下等による衝撃力を受けても、羽根部材を開口部に臨む位置又は開口部から外れた退避位置に確実に保持することができる。すなわち、構造の簡略化、装置の小型化等を達成しつつ、落下等により受ける衝撃力等に対して誤作動を生じない高精度な動作が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の最良の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1ないし図4は、本発明に係るカメラ用羽根駆動装置の一実施形態を示すものであり、図1は羽根部材が開口部に臨む位置にある状態を示す平面図、図2は羽根部材が開口部から外れた退避位置にある状態を示す平面図、図3は装置の断面図、図4はカバーを取り除いた状態でズ1の裏面側から見た装置の内部を示す部分図である。
【0015】
この装置は、図1ないし図3に示すように、円形の開口部10aを有する基板10、基板10に対して揺動自在に支持され開口部10aに臨む位置と開口部10aから外れた退避位置との間を移動(揺動)自在に支持された羽根部材としてのバリヤ羽根20、バリヤ羽根20を退避位置と臨む位置とにそれぞれ位置決めするべく基板10に設けられた一対のストッパ11、ストッパ11にバリヤ羽根20が当接した状態で後述するバリヤ羽根20の端面23,24との間に隙間が形成される位置に設けられた一対の永久磁石30、バリヤ羽根20を駆動するための回転駆動力を発生する電磁駆動源40、バリヤ羽根20を覆うカバー50、位置センサ60等を備えている。
【0016】
基板10は、図1ないし図4に示すように、輪郭が略矩形をなすように樹脂材料により形成されて、中央部に開けられた円形の開口部10a、バリヤ羽根20を摺動させる平坦面10b、バリヤ羽根20を当接させて位置決めする2つのストッパ11、バリヤ羽根20を揺動自在に支持する支軸12、後述するロータ41の駆動ピン41aを通す扇状の貫通孔13等を備えている。
【0017】
バリヤ羽根20は、図1ないし図4に示すように、強磁性体である金属板により形成されており、支軸12を通す円孔21、駆動ピン41aを通す長孔22、開口部10aに臨む位置でストッパ11に当接する端面23、開口部10aから外れた位置でストッパ11に当接する端面24等を備えている。
そして、バリヤ羽根20は、図1及び図2に示すように、円孔21に支軸12が通されて揺動自在に支持されると共に、駆動ピン41aが長孔22に挿入されて、後述するロータ41が回動することにより、バリヤ羽根20は開閉動作を行うようになっている。
このように、バリヤ羽根20が強磁性体からなる金属板により形成されているため、基板10に永久磁石30を設けるだけで磁気的吸引力を発生させることができ、構造が簡略化されて、製造コスト及び部品の管理コストを低減でき、装置全体のコストを低減することができる。
【0018】
一対の永久磁石30は、略円柱状に形成されて、基板10に形成されたそれぞれのストッパ11の近傍に植設されおり、バリヤ羽根20がストッパ11に当接した状態で、バリヤ羽根20の端面23,24と永久磁石30とは非接触になるように形成されている。
このように、永久磁石30は、ストッパ11の近傍に設けられているため、バリヤ羽根20がストッパ11に当接する近傍において、バリヤ羽根20を保持する磁気的吸引力が作用するため、バリヤ羽根20を確実にかつ強力な保持力で、開口部10aに臨む位置又は退避位置に保持することができる。
【0019】
すなわち、一方の永久磁石30は、バリヤ羽根20が開口部10aから外れた退避位置に移動してストッパ11に当接したとき、バリヤ羽根20の端面24方向において、非接触にて生じる磁気的吸引力により、バリヤ羽根20を退避位置に確実に保持するようになっている。一方、他方の永久磁石30は、バリヤ羽根20が開口部10aに臨む位置に移動してストッパ11に当接したとき、バリヤ羽根20の端面23方向において、非接触にて生じる磁気的吸引力により、バリヤ羽根20を臨む位置に確実に保持するようになっている。
【0020】
電磁駆動源40は、ムービングマグネット型のモータであり、円周方向に2つの磁極を有し所定の角度範囲を回動するロータ41、ロータ41に一体的に形成された駆動ピン41a、ロータ41に一体的に形成された被検出片41b、励磁用のコイル42、磁路を形成する円筒状のヨーク43、鉄ピン44等を備えており、基板10に対してネジ等により固定されている。
そして、コイル42に一方向の通電が行われると、ロータ41が時計回りに回転して、バリヤ羽根20は開口部10aに臨む位置に移動し、コイル42に他方向の通電が行われると、ロータ41が反時計回りに回転して、バリヤ羽根20は開口部10aから外れた退避位置に移動する。
【0021】
カバー50は、基板10と所定の間隔をおいて取り付けられてバリヤ羽根20を覆うものであり、図1ないし図3に示すように、基板10の開口部10aに対応する位置に設けられた円形の開口部50a、ネジBを通す孔51、駆動ピン41aの先端を通す長孔52、その他複数の位置決め孔あるいは逃げ孔等を備えている。
【0022】
位置センサ60は、発光素子及び受光素子を備えたフォトインタラプタであり、ロータ41の被検出片41bの有無を検出することにより、バリヤ羽根20が退避位置にあるか否かを検出するものである。
【0023】
次に、この装置がデジタルカメラに搭載された場合の動作について、図1及び図2を参照しつつ説明する。
先ず、デジタルカメラが撮影されない収納状態では、図1に示すように、バリヤ羽根20は、開口部10aに臨む位置に位置付けられて、開口部10aを閉鎖し、内部のレンズ光学系を保護した状態にある。尚、電磁駆動源40は、非通電の状態で鉄ピン44とロータ41との間に生じる磁気的吸引力によるディテントトルクを発生する。また、永久磁石30は、バリヤ羽根20の端面23領域に対して非接触の状態で磁気的吸引力を及ぼして引き付け、バリヤ羽根20をこの位置に保持している。
【0024】
この状態から、操作者が撮影待機の状態にするためのスイッチを入れると、電磁駆動源40が起動してロータ41(駆動ピン41a)が所定角度だけ回転し、バリヤ羽根20は、図2に示すように、開口部10aから外れた退避位置に移動する。
そして、バリヤ羽根20がストッパ11に当接して、永久磁石30によりその端面24領域が磁気的吸引力により引き寄せされて保持される。これにより、バリヤ羽根20は、この退避位置に確実に保持される。したがって、この状態で仮に外部から衝撃力等を受けても、バリヤ羽根20は勝手に移動することなくそのまま退避位置に保持されて、撮影待機の状態が維持される。
【0025】
この実施形態においては、基板10に永久磁石30を設け、バリヤ羽根20に強磁性体を設ける構成を採用したが、逆に、基板10に金属の強磁性体を設け、バリヤ羽根20の端面23,24の領域に永久磁石を取り付ける構成を採用してもよい。
【0026】
図5は、図4と同様にして見た図で、本発明に係るカメラ用羽根駆動装置の他の実施形態を示すものであり、バリヤ羽根20´の材質及び永久磁石30´の形状を変更した以外は、前述の実施形態と基本的に同一であるため、同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
この装置において、バリヤ羽根20´は、金属粉末等の強磁性体を混入させた樹脂材料を用いて成型されている。特に、バリヤ羽根20´が開口部10aに臨む位置又は退避位置にあるときに永久磁石30´の近傍に位置する端面23,24の領域に強磁性体を含むように形成されている。
また、永久磁石30´は、略矩形断面をなすように、すなわち、バリヤ羽根20´の端面23,24と対向する面積が大きくなるように形成されている。
【0027】
このように、バリヤ羽根20´が、強磁性体粉末を混入した樹脂材料により形成されているため、全てを金属材料により形成する場合に比べて、バリヤ羽根20´を軽量化でき、又、強磁性体粉末が樹脂材料に混入されるため、強磁性体を後付けする場合等に比べて、製造コスト及び部品の管理コストを低減でき、装置全体のコストを低減することができる。
【0028】
この実施形態においては、バリヤ羽根20´を形成する樹脂材料に強磁性体の粉末を混入させる場合を示したが、強磁性体からなる金属小片を、端面23,24の領域に位置付けるように、樹脂材料に局部的に埋設してもよい。
また、この実施形態においては、基板10に永久磁石30´を設け、バリヤ羽根20´に強磁性体を混入する場合を示したが、逆に、基板10に強磁性体を設け、バリヤ羽根を、永久磁石を混入又は埋設した樹脂材料により形成してもよい。
【0029】
図6は、図4と同様にして見た図で、本発明に係るカメラ用羽根駆動装置のさらに他の実施形態を示すものであり、永久磁石30´´を変更した以外は、前述の実施形態と基本的に同一であるため、同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
この装置において、基板10に設けられた永久磁石30´´は、基板10に対する取付け位置(取付け角度)が調整自在となっている。
これによれば、バリヤ羽根20が開口部10aに臨む位置にあるとき、偏心軸に取り付けられた永久磁石30´´を回転させて、永久磁石30´´と端面23との離隔距離を調整し、両者間に発生する磁気的吸引力の強さを適宜調整することができる。その結果、バリヤ羽根20の保持力を適度な大きさに調整しつつ、バリヤ羽根20を円滑に作動させることができる。
【0030】
この実施形態においては、基板10に永久磁石30´´を設けかつバリヤ羽根20に強磁性体を設けた構成において、永久磁石30´´の取付け位置を調整自在としたが、基板10の偏心軸に強磁性体を設けかつバリヤ羽根に永久磁石を設けた構成において、この強磁性体の位置を調整できるようにしてもよい。
【0031】
図7は、図4と同様にして見た図で、本発明に係るカメラ用羽根駆動装置のさらに他の実施形態を示すものであり、バリヤ羽根20´´の一部としてリンク部材25を採用し、リンク部材25に永久磁石30´´´を設け、基板10上においてバリヤ羽根20がストッパ11に当接した状態で永久磁石30´´´との間に隙間を設ける位置に強磁性体からなる金属片70を植設した以外は、前述の実施形態と基本的に同一であるため、同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0032】
この装置において、バリヤ羽根20´´は、全て樹脂材料により形成されている。リンク部材25は、基板10に対して支軸12により揺動自在に支持されると共に、駆動ピン41aとバリヤ羽根20´´に連結されている。そして、駆動ピン41aが往復動すると、リンク部材25が揺動し、バリヤ羽根20´´が開口部10aを開閉するようになっている。
ここでは、リンク部材25を介して、バリヤ羽根20´´を間接的に保持するため、バリヤ羽根20´´の設計の自由度(例えば、全て樹脂材料により形成でき、又は、永久磁石又は強磁性体を設ける位置を考慮することなく形状を自由に設定できる等)、あるいは、電磁駆動源40の配置の自由度が増えて、要求される形態に設定することができる。
尚、リンク部材に強磁性体からなる金属片を設け、基板に永久磁石を設けるようにしてもよい。
【0033】
以上述べた実施形態においては、羽根部材として、バリヤ羽根20,20´,20´´を採用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、開口部10aを開閉するシャッタ羽根、又は、開口部10aを所定の口径に絞る絞り羽根を採用してもよい。
これらシャッタ羽根あるいは絞り羽根の場合でも、撮影待機の状態で衝撃力等を受けた際に、前述同様に、シャッタ羽根あるいは絞り羽根が勝手に開口部を閉鎖しあるいは絞るのを防止できる。
さらに、羽根部材として、一枚のバリヤ羽根20,20´,20´´を示したが、これに限定されるものではなく、一対又は複数枚のバリヤ羽根、シャッタ羽根、絞り羽根、さらには、NDフィルタ羽根、赤外光カットフィルタ羽根等を備える構成において、本発明を採用してもよい。
【0034】
上記実施形態においては、基板10に設ける永久磁石30,30´,30´´を、ストッパ11の近傍に配置した場合を示したが、これに限定されるものではなく、基板10上の他の領域に設けてもよい。例えば、永久磁石30,30´,30´´を、強磁性体と対向するように、図示する基板10の裏面側に埋設してもよい。
上記実施形態においては、羽根部材が揺動する場合について本発明を適用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、直線的に往復動する羽根部材においても適用することができる。
【0035】
上記実施形態においては、この装置がデジタルカメラに搭載された場合について説明したが、これに限定されるものではなく、銀塩フィルム式のカメラ、その他のカメラ等においても、本発明を採用してもよい。
上記実施形態においては、電磁駆動源40において、鉄ピン44を設けた場合を示したが、鉄ピン44を設けずディテントトルクを発生させない構成において、本発明を採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上述べたように、本発明のカメラ用羽根駆動装置は、構造の簡略化、装置の小型化等を達成しつつ、羽根部材を開口部に臨む位置又は開口部から外れた退避位置に確実に保持することができるため、小型で携帯用のデジタルカメラ等に搭載されるのは勿論のこと、外部から衝撃力等を受けて羽根部材の誤作動の虞があるカメラであれば、携帯型に限らず、固定型のカメラにも有用である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係るカメラ用羽根駆動装置の一実施形態を示すものであり、バリヤ羽根が開口部に臨む位置にある状態を示す平面図である。
【図2】本発明に係るカメラ用羽根駆動装置の一実施形態を示すものであり、バリヤ羽根が開口部から外れた位置にある状態を示す平面図である。
【図3】図1及び図2に示す装置の断面図である。
【図4】図1に示す装置の内部の一部を示す部分図である。
【図5】本発明に係るカメラ用羽根駆動装置の他の実施形態を示す部分図である。
【図6】本発明に係るカメラ用羽根駆動装置のさらに他の実施形態を示す部分図である。
【図7】本発明に係るカメラ用羽根駆動装置のさらに他の実施形態を示す部分図である。
【符号の説明】
【0038】
10 基板
10a 開口部
10b 平坦面
11 ストッパ
12 支軸
13 貫通孔
20,20´,20´´ バリヤ羽根(羽根部材)
21 円孔
22 長孔
23,24 端面
25 リンク部材
30,30´,30´´,30´´´ 永久磁石
40 電磁駆動源
41 ロータ
41a 駆動ピン
42 コイル
43 ヨーク
50 カバー
60 位置センサ
70 金属片(強磁性体)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する基板と、前記基板に対して前記開口部に臨む位置と前記開口部から外れた退避位置との間を移動自在に支持された羽根部材と、前記羽根部材を前記臨む位置又は退避位置に位置決めするべく前記基板に設けられたストッパと、前記羽根部材を駆動する電磁駆動源と、を備えたカメラ用羽根駆動装置であって、
前記羽根部材をその端面方向に非接触にて生じる磁気的吸引力により前記臨む位置又は退避位置に保持するべく、前記羽根部材には、永久磁石及び強磁性体の一方が設けられ、前記基板には、永久磁石及び強磁性体の他方が設けられている、
ことを特徴とするカメラ用羽根駆動装置。
【請求項2】
前記永久磁石及び強磁性体の他方は、前記ストッパの近傍に設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載のカメラ用羽根駆動装置。
【請求項3】
前記基板には、前記永久磁石が設けられ、
前記羽根部材は、前記強磁性体により形成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラ用羽根駆動装置。
【請求項4】
前記基板には、前記永久磁石及び強磁性体の一方が設けられ、
前記羽根部材は、前記永久磁石及び強磁性体の他方を混入又は埋設した樹脂材料により形成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラ用羽根駆動装置。
【請求項5】
前記羽根部材は、前記電磁駆動源の駆動力を伝達するリンク部材を含み、
前記リンク部材には、前記永久磁石及び強磁性体の一方が設けられ、
前記基板には、前記永久磁石及び強磁性体の他方が設けられている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラ用羽根駆動装置。
【請求項6】
前記基板に設けられた永久磁石又は強磁性体は、前記基板に対する取付け位置が調整自在となっている、
ことを特徴とする請求項1ないし5いずれかに記載のカメラ用羽根駆動装置。
【請求項7】
前記羽根部材は、前記開口部を開閉するバリヤ羽根、前記開口部を開閉するシャッタ羽根、又は、前記開口部を所定の口径に絞る絞り羽根である、
ことを特徴とする請求項1ないし6いずれかに記載のカメラ用羽根駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−10943(P2007−10943A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−191097(P2005−191097)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(000001225)日本電産コパル株式会社 (755)
【Fターム(参考)】