カメラ
【課題】アダプターなどの格別のアクセサリーを使用したり、光ファイバーなどの部品増大を招くことなく、更にはストロボを代用することなく、既にカメラに備えられている機能品を活用してマクロ撮影用の照明光源を実現することにより、コストダウンを図ることができる。
【解決手段】マクロ撮影時の照明用光源として、カメラ1の機能部品として既に具備されているLCDモニター5のバックライト部を使用する。
【解決手段】マクロ撮影時の照明用光源として、カメラ1の機能部品として既に具備されているLCDモニター5のバックライト部を使用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はLCDモニターを備え且つマクロ撮影が可能なカメラに関し、特に部品点数の増大、構成の複雑化等を招くことなく画質のよいマクロ撮影が可能なカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラ本体に装備されたストロボ等の照明用光源を用いてカメラによる撮影を行う際に被写体が撮影レンズから例えば30cm以遠に位置している場合には、照明用光源からの配光範囲内に被写体を位置させて撮影を行うことができるが、上記距離よりも近い距離にて被写体を撮影するマクロ撮影(接写撮影)においては、撮影範囲全体に照明用光源からの光を照射することが困難となり画質が低下する。
各種カメラを用いたマクロ撮影は、被写体からカメラの撮影レンズまでの距離が、通常の撮影に比べて極端に短い。一般のカメラを例にとると、通常撮影では前記距離が30cm〜無限、が普通であるが、マクロ撮影の場合には最至近撮影距離が1cm〜となる製品も有る。その場合、マクロ撮影を行いたい被写体面に、外光が当たりにくくなるため被写体面に十分な光が回り込まないケースが出てくる。また、屋内などで撮影する場合など、もともと十分な外光に恵まれないところでの撮影シーンも多い。そう言った場合、マクロ撮影で照明光源が欲しいと言ったケースが多く考えられる。
なお、外部のアクセサリーを使ったマクロ撮影用の照明装置は既に公知のものとして製品化され、一般用にも販売されている。しかし、これらを実際に使ってみると、寸法が大きく、カメラ本体と照明装置とを接続する接続ケーブルなどがあり、取りまわしが非常に煩雑である。また価格もそれなりに安価なものではない。
また、特開平11−218809号公報「至近撮影用ストロボアダプター」((株)五光インターナショナルコーポレーション)には、至近距離でストロボを発光させた際に適切な配光による撮影を可能にする外付けのストロボアダプターをストロボの出射面に覆うように配置する構成(撮影時にカメラのストロボにアダプターを装着して行う)が開示されている。しかし、別部材のアダブターをマクロ撮影するたびに取り付ける作業は繁雑であり、アダプターを携帯、保管する手間などが必要となるため、不便である。
【0003】
次に、特開平10−48711号公報「マクロ撮影時に配光方向を撮影レンズの光軸側へ傾けることができるストロボ装置及びカメラ」(ミノルタ(株))には、通常撮影に使用するストロボをマクロ撮影時にはストロボの反射傘の角度を変化させることによってマクロ撮影時の照明光源として活用する技術が開示されている。
しかし、ストロボ光は、実際撮影する瞬間には発光するが、撮影直前にアングルを決める際などは発光していない。その為、十分な照明光を照射しながらのモニターリングが困難となる。また、撮影時においては、照明光源となる強いストロボ光が、被写体面で反射したり、或は、明るすぎて被写体が何なのか判別できないという白トビ現象が発生することが懸念される。
次に、特開平10−313422号公報(電子スチルカメラ)には、LCDモニターのバックライト光源を光ファイバーにて被写体面に誘導し照明光源として活用する技術が開示されている。しかし、光ファイバー等の別部材を介してLCDモニターのバックライト光を被写体に導く構成は部品点数の増大と、照明効率の低下という不具合をもつ。
【特許文献1】特開平11−218809号公報
【特許文献2】特開平10−48711号公報
【特許文献3】特開平10−313422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、アダプターなどの格別のアクセサリーを使用したり、光ファイバーなどの部品増大を招くことなく、更にはストロボを代用することなく、既にカメラに備えられている機能品を活用してマクロ撮影用の照明光源を実現することにより、コストダウンを図ることを課題とする。
即ち、本発明では、バックライトを有するLCDモニター等をマクロ撮影時の光源として活用しているので、常にバックライトを有するLCDモニターを照明しながらマクロ撮影時に被写体に対するアングル調整ができ、モニターリングを行いながら配光状況を確認することが可能となる。また、ストロボを代用しないので撮影時の光量が過大となって、撮影品質が低下することがない。また、光ファイバーなどを介さず、直接的に被写体に対して照明するので照明効率が良くなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するため、請求項1の発明は、撮影レンズを備えた本体と、表示面とバックライト部とを有した表示部と、を備えたカメラであって、前記バックライト部が前記表示部に対して姿勢変更可能であることを特徴とする。
請求項2の発明は、前記表示部が、2軸枢支機構によって前記本体に対して2方向に回動自在に支持されることを特徴とする。
請求項3の発明は、前記バックライト部が、前記表示部本体に対してリンク手段を介して回動可能に支持されることを特徴とする。
請求項4の発明は、前記バックライト部が、前記表示部本体に対してヒンジによって回動可能に支持されていることを特徴とする。
請求項5の発明は、前記バックライト部が、前記表示部本体に対して着脱可能であることを特徴とする。
請求項6の発明は、撮影レンズを備えた本体と、被写体像を表示する表示面とバックライト部とを有した表示部と、を備えたカメラであって、前記表示部が、2軸枢支機構によって前記本体に対して2方向に回動自在に支持され、前記表示面を被写体に向けることで、前記バックライト部からの光を前記被写体に照射することを特徴とする。
【0006】
請求項7の発明は、前記表示部は、前記本体に対して着脱可能であることを特徴とする。
請求項8の発明は、前記バックライト部を有した表示部の表示面全体の輝度を、切り替えられることを特徴とする。
請求項9の発明は、前記バックライト部を有した表示部の表示面の輝度を、表示面のエリア毎に複数段階に切り替えできることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
以上のように本発明によれば、アダプターなどの格別のアクセサリーを使用したり、光ファイバーなどの部品増大を招くことなく、更にはストロボを代用することなく、既にカメラに備えられている機能品を活用してマクロ撮影用の照明光源を実現することにより、コストダウンを図ることができる。即ち、本発明では、バックライトを有するLCDモニター等をマクロ撮影時の光源として活用しているので、常にバックライトを有するLCDモニターを照明しながらマクロ撮影時に被写体に対するアングル調整ができ、モニターリングを行いながら配光状況を確認することが可能となる。また、ストロボを代用しないので撮影時の光量が過大となって、撮影品質が低下することがない。また、光ファイバーなどを介さず、直接的に被写体に対して照明するので照明効率が良くなる。
即ち、本発明によれば、マクロ撮影時の照明用光源として、カメラの機能部品として既に具備されているLCDモニターを使用することにより、照明光源を改めて設ける必要がなく、照明光源を取りつけるスペースが発生しない、照明光源を改めて取りつける場合と比較しコストダウンが可能、内蔵型として使用できるので、取りまわしが良く扱いやすい等、と言った作用効果を発揮できる。
本発明においては、撮影レンズの光軸とLCDモニターの中央部を一致させることにより、被写体に対し効率良く照明することができる。また、LCDモニターの枢支部に揺動機構が備わっていることで、通常撮影時は撮影者側にモニターを向けて置けるので、従来の一般の撮影には支障無く実現できる、等々の利点を提供できる。
本発明によれば、撮影レンズの光軸に対し、LCDモニターの中央部が一致できるように移動可能に構成したことにより、カメラのデザイン(外観のデザインや設計レイアウト)が、LCDモニターと「撮影レンズの光軸」を常に一致させるような制約にとらわれなくなり、設計自由度が上がる。また、ユーザーにとっても購入時など、自由度の有るデザインの中からカメラを選択できる。更に、LCDモニターをマクロ撮影時の光源として使用する場合(効率はやや下がるが)、撮影時にユーザーが狙いとする撮影された写真のライティング効果を狙って、斜め方向からの照明を行いたい場合などは、モニター位置の選択自由度が有る為、自由なライティングを楽しむことができるようになる。
【0008】
本発明では、液晶表示面はユーザー側に向いていて、照明光源となるバックライト部のみ被写体へ向けることが可能なので、ユーザーがモニター画面を観察しながらマクロ撮影時の照明光源のセッティングを行うことが可能となり、非常に使いやすくなる。また、バックライト部分は、アームとヒンジから成るリンク手段であり、回転可能なので、照明光源となるバックライト部の位置がいろいろ選択可能となり、被写体の条件・環境に対して照明光源のセッティングが対応しやすくなり、非常に使いやすくなる。
本発明は、液晶表示面はユーザー側に向いていて、照明光源となるバックライト部のみ被写体へ向けることが可能なので、ユーザーがモニター画面を観察しながらマクロ撮影時の照明装置のセッティングが可能となり、非常に使いやすくなる。請求項4のタイプと比較し、ヒンジだけを用いた簡単な構造なので、低コストでユーザーに提供できる。
本発明は、バックライトを有するLCDモニターがカメラ本体より着脱が可能であるので、撮影時にカメラ本体の位置に左右されること無く、マクロ撮影時に照明光源として使用するLCDモニターの位置を決めることができる。たとえば、被写体に対し、右斜めや左斜めの姿勢で、被写体にかぶせるように照明したり等、ライティングが非常にやりやすくなる。カメラ本体は被写体との距離で位置が制約されてしまう為、カメラ本体に何らかの形で照明光源となるLCDモニターが固定されていると被写体対照明光源の位置が制約を受けてしまう場合があるが、この構造であれば、そう言った問題を解決できる。この発明の目的から派生する効果ではあるが、LCDモニターを本来のモニターとして撮影をした写真を鑑賞する(見る)場合、カメラ本体の位置に制約されず、モニターをいろいろな向きに向けることができる。LCDモニターは観察する際、指向性を持っているため正面から見ないと見えにくいものである。この発明では、そう言ったLCDモニターを使って、たとえば、営業のプレゼンテーションなどする場合でも、モニターのみ鑑賞者に向けることが簡単なので、複数の鑑賞者がいる場合など、一人一人の方向へモニターを向けやすい。その為、鑑賞者に対し非常に見てもらいやすいモニターになり、商品価値が高いものとなる。
【0009】
本発明は、「バックライトを有するLCDモニターが、カメラ本体より着脱が可能で、且つLCDモニターに対してバックライト部が分離(回動)可能な構造であるため、カメラ本体より着脱可能なことから得られる作用効果は、請求項6の場合と同等である。更に、バックライト部は被写体側、LCDモニターは撮影者へと向けることが可能なので、ユーザーは、マクロ撮影時に被写体を観察しながら照明光源の位置調整ができ、使い勝手が良い。つまり、本体から外れていることで、セッティング時の制約条件が改善され、さらに使い勝手は向上する。
本発明は、バックライト部だけをカメラ本体(LCDモニター)より着脱可能に構成した。ユーザーが把持する部品がバックライト部のみであると、LCDモニターよりも小さく軽いので、取りまわしが非常に向上する。その為、マクロ撮影時に照明光源として利用する場合にユーザーへの負担が軽減できる。液晶表示面は、通常撮影時と同じくユーザー側を向いているので、無理無く被写体を観察しながらマクロ撮影が可能である。
本発明は、マクロ撮影時に利用するバックライト付LCDモニターの輝度を、被写体の条件或はLCDモニターの位置などの条件により、LCDモニター全面の濃度を任意に変えられるようにしたので、マクロ撮影時の被写体の撮影環境が、明るい場所だったり、暗い場所だったりした場合でもフレキシブルに対応できる。特に近接撮影の場合、照明光源自体が、外光をさえぎったりする場合も有るので、照明装置のロケーションに応じて、照明装置の輝度を調節できることは、ユーザーが良い撮影をするにあたって非常に重要なことである。
【0010】
本発明は、マクロ撮影時に照明光源として活用する液晶表示面の輝度を、エリアによって異ならせることを可能とした。即ち、被写体から液晶表示面までの距離に応じて、一つの液晶表示面の各部分の輝度を、任意複数段階の輝度にセットできるようにした。LCDモニターから被写体までの距離に応じ、液晶表示面のあるエリアは輝度を高く、有るエリアは輝度を低くと言った事を実現できるようにした。この発明では、LCDモニターのバックライトなど、平面光源を照明光源として使っている為、照明光源と被写体が近い場合など、被写体がLCDモニター・バックライト部などの輝度面に対し、十分小さいものであった場合、照明が均等に当たらない場合がある。しかし、被写体に近い部分は「暗め」、遠い部分は「明るめ」とすれば、被写体に対し均等に照明することができる。したがって、照明光源となるLCDモニターが被写体に対して角度を持っていたりする時等は均等な照明が可能となり、マクロ撮影時の撮影された写真の質を向上させることができる。
本発明は、バックライトを持つLCDモニター又はLCDモニターのバックライト部を、マクロ撮影時の照明光源として「使用する或いは使用しない」モード、又は「常時使用する或いはレリーズ時(画像を取り込む時)だけ使用する」モードといった選択ができるように構成したので、マクロ撮影時の照明が必要なのか不要なのかにより、ユーザーが照明装置を使うか使わないか選べる。また、ユーザーが選択可能とすることにより、幅広い被写体の条件に対応できるカメラが提供できる。更に、節電に大きな効果がある。即ち、従来のカメラで「バックライトを有するLCDモニター」はカメラの必要機能部品のなかでも、消費電力の高い部品である。したがって照明装置として「使用する」・「使用しない」を選べることは、電池寿命の向上にも効果がある。また、ユーザーが撮影を行う時はいろいろな要求があるものである。たとえば、節電はしたいが、撮影時は照明光源が必要だという場合等も十分考えられる。このような場合に、画像を取り込むときだけ照明光源をONするような機能は、電池寿命を延ばし、撮影ショット数を向上させることができるようになる。ひいては安心してユーザーに、マクロ撮影時の照明装置を使っての撮影を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を図面に示した実施の形態によって詳細に説明する。
図1(a)乃至(f)は、本発明の一実施形態に係るマクロ撮影可能なカメラの構成及び動作を示す説明図である。
このカメラ1は、前面に撮影レンズ3を、上面適所にレリーズ釦4等を備えたカメラ本体2と、カメラ本体2の上部適所に揺動自在に支持された矩形平板状のLCDモニター(表示部)5等を有する。LCDモニター5はカメラ本体2の前端面に設けた撮影レンズ3の直上に設けた枢支部10によって横方向A及び上下方向Bへ夫々回動自在に支持されることによって任意の方向に揺動可能に構成されている。また、LCDモニター5は、バックライト部からのバックライト光によって照明される液晶表示面6を有している。
枢支部10は、(e)の要部拡大正面図に示すように横方向Aへの回動を許容する軸A15と、上下方向への回動を許容する軸B16から成る2軸枢支機構によって、LCDモニター5の突部17を各方向A、Bに回動自在に支持した構成を備える。
カメラ本体2の上面には、LCDモニター5を収納するための収納用凹所20が形成され、LCDモニターの不使用時、或いは液晶表示面6を上向きにセットして使用する場合には、LCDモニターを枢支部10にて回動させてこの凹所20内にLCDモニター5を嵌合させる。一方、LCDモニター5を起立させた状態でモニターとして使用する場合には枢支部10を利用してLCDモニターを起立させて所望方向に向けてから表示面6を目視しながら撮影を行う。
【0012】
更に、本発明の第1の実施形態では図2の使用状態説明図に示すように被写体21をマクロ撮影する場合に、撮影レンズ3の画界内に位置する被写体21に対する照明をLCDモニター5を利用して行うようにしている。即ち、光量の大きいストロボを使用せずに、LCDモニター5の液晶表示面6を被写体21に向けておき、適度な光量を有したバックライト部からの光を照射することによって、被写体に対するアングル調整をモニターリングしながら行い、配光状況を確認することができる。更に、マクロ撮影時の照明光源としてもこのバックライト光を使用することができる。ストロボからの光は、マクロ撮影時には、被写体に対する過剰は照明となって撮影画質の低下をもたらすが、バックライト部からの光はマクロ撮影時の光量としては最適である。なお、液晶表示面6を利用したモニタリングは、撮影者が被写体側から液晶表示面6を見ながら行い、レリーズ釦4の操作も同様の姿勢にて行うこととなる。
収納用凹所20内に収納された状態にあるLCDモニター5を図2の姿勢に移動させる場合には、まず図1(a)のように軸B16を利用してLCDモニター5を起立させてから、(b)(c)のように軸A15を利用して横方向に回動させ、その後(d)のように液晶表示面6が被写体21を向くように下向き傾斜させる。
このように、本実施形態では、マクロ撮影時の照明用光源として、バックライト部を持つLCDモニターを利用したので、マクロ撮影を行う時は、枢支部10を支点にして、表示面6を被写体側へ向け、LCDモニター5はバックライト部を明るくした状態にして、撮影したい被写体を照明するように、モニター面を調整しながら適切な位置にセットして撮影を行う。
前述のように従来のカメラに使用されるマクロ撮影用の照明装置(照明光源)は、アクセサリーの形として外部取り付け方式で提供されたり、或いはカメラ本体内蔵と言う形をとっているが、いずれもマクロ撮影用の照明光源として専用に備えているものである。その為コストの点やスペースの点からすると問題であり、改善の余地があった。
そこで、本発明では、カメラの機能品としてすでに備わっているLCDモニターを活用することにより、アクセサリーのような形で別途外付け取り付けの形をとらず、従来の機能品を活用することで、スペースをとらずにコストを抑えた形で、従来のマクロ撮影時の機能を実現することができる。
【0013】
更に、本発明の第2の実施形態では、図1(f)から明らかなように、バックライト部を有したLCDモニター5の横方向中央部Lを、カメラ本体2の撮影レンズ3の光軸部(光軸中心)Cと一致するように配置し、LCDモニター5を回転、揺動させることでマクロ撮影用の照明用光源として利用できるようにしている。
LCDモニター5の位置は、その中央部Lが、撮影レンズ3の光軸部Cに対応する位置にあることによって、被写体を効率良く照明する上で最良の結果をもたらす。その為、図1(f)に示すように撮影レンズ3の光軸部Cと同じ位置に液晶表示面6の中央部Lが来るように、設計レイアウトする。尚、ユーザーがこのような構造のLCDモニター5でマクロ撮影を行う場合、図2のように、被写体21側よりLCDモニターの液晶表示面6を観察しながら撮影を行うことで、撮影時の条件だしなどを観察しながらの撮影セッティングが可能となる。
このように、本発明の第2の実施形態では、カメラ本体2の撮影レンズ3の光軸部に一致する位置にLCDモニターの中央部が来るような配置としたので、マクロ撮影時の照明光源によりできるだけ効率良く被写体を照明することができ、モニターリング時、及びマクロ撮影時に、夫々適した照明を行うことができる。
【0014】
次に、図3は本発明の第3の実施形態に係るマクロ撮影可能なカメラの説明図であり、(a)は正面からの斜視図、(b)は一部断面正面図である。
この実施形態に係るマクロ撮影可能なカメラ(以下、カメラ、という)1においては、LCDモニター5は、カメラ本体2によって横方向へスライド自在に支持されており、マクロ撮影時にはLCDモニター5の中央部Lをカメラ本体2の前面に設けた撮影レンズ3の光軸部Cと一致する位置に移動可能に構成されており、更に2軸揺動機構から成る枢支部10を介してLCDモニターを揺動させることでマクロ撮影用の照明用光源として利用できるように構成している。
即ち、LCDモニター5を有するカメラ1において、通常の撮影時にはLCDモニター5はカメラ本体2の中央部(撮影レンズの光軸部)に配置されていないが、マクロ撮影を行う場合には、第2の実施形態の場合のようにLCDモニター5を撮影レンズ3の中央部にスライド移動させて、LCDモニターの表示面6を任意の方向に揺動させて被写体へ方向付けさせることを可能としたので、マクロ撮影用の照明装置として利用することが可能となる。
マクロ撮影時の照明光源として利用するLCDモニター5の中央部Lは、カメラ本体の撮影レンズ光軸Cと一致していることが望ましい。しかし、たとえばカメラのデザイン上の制約等により、普通に撮影する時など、撮影レンズ3の光軸部C上に液晶表示面6の中央部Lを位置させるレイアウトをとれない場合もあり得る(図3(a)の場合)。そこで、本発明は、このような場合であっても、マクロ撮影時に被写体の照明光源が必要となる場合には、照明光源の照明効率を改善し、撮影レンズ3の光軸上に液晶表示面6の中央部Lを合わせられるように枢支部10を横方向へスライドさせるように構成した。
【0015】
具体的な実施例としては、枢支部10の構成は、例えばカメラ本体2の上面適所に設けた横方向へ延びるガイド溝(ガイド手段)25と、下面から突設させた軸A15をガイド溝25内に遊嵌させて横方向へスライド移動、且つ回転するスライドブロック26と、スライドブロック26を横方向に貫通した軸B16の突出した両端部によって前後方向へ回動可能に支持されたLCDモニターの被枢支部27と、を有する。このため、LCDモニター5は、ガイド溝25に沿って横方向へスライド移動可能であるとともに、揺動可能である。また、図3(b)のように枢支部10及びLCDモニター5が最も左側に位置したときに液晶表示面6の中央部Lは、撮影レンズ3の光軸部Cと一致した位置となり、この状態においてマクロ撮影時の照明用光源として、バックライト部からの光を使用することが可能となる。
なお、ガイド手段の構成として説明したガイド溝は、一例に過ぎず、例えばガイド溝に代えてガイド突条を設けてスライドブロックを横方向へスライド自在且つ回転自在に支持する等々種々の変形が可能である。
LCDモニター5をスライドさせたり、回転させる操作は、ユーザーが容易に行うことが可能である。
【0016】
次に、図4は本発明の第4の実施形態に係るマクロ撮影可能なカメラの構成を示す図であり、バックライトを有する平板状のLCDモニター5は、前記2軸揺動機構から成る枢支部10によってカメラ本体2上に揺動可能に支持されており、このLCDモニター5は、液晶表示面6を備えたLCDモニター本体30と、リンク手段32を介してLCDモニター本体30に対して上下方向へ回動可能に支持されたバックライト部31とから成り、リンク手段32を介してバックライト部31をLCDモニター本体30から分離することが可能であり、且つバックライト部は図4(a)(b)(c)(d)に示すようにLCDモニター本体30に対して回転できる。符号6aはバックライト受光面(液晶表示面の裏面)であり、符号31aはバックライト部31の出射面である。
リンク手段32は、アーム35の両端部をヒンジ36によってLCDモニター本体30とバックライト部31の適所に夫々回動可能に取り付けられており、(a)に示した収納状態から、(b)、或いは(c)及び(d)に示したマクロ撮影状態に移行することができる。
この実施形態では、LCDモニター5のバックライト部31をLCDモニター本体30に対して回動自在に支持することによって、照明装置として使用する部分のバックライト部だけを任意の姿勢で被写体に向けることができるようにした。この構成によれば、LCDモニターの観察部分(液晶表示面6)はユーザーが通常使う方向に向けておくことが可能なので、無理無くマクロ撮影が出来るようになっている。
その為、ユーザーはLCDモニター本体の液晶表示面を観察しながらバックライト部31の位置調節が出来るので、マクロ撮影時の配光を確認しながら撮影することも可能である。尚、この時LCDモニター本体30は、バックライト部31がない分、見えにくいことも考えられる。この対策方法として、バックライト部とLCDモニター本体の「合わせ面」になっているバックライト受光面6aにハーフミラー状の部材等を備えることによりLCDモニター本体に当たる外光の反射光が利用出来るようにして、モニターを見やすくするなどの改善を図る。
以上の構成において、図4(a)に示すようにバックライト部31は、通常LCDモニター本体30の裏側に密着された状態で使用されている。マクロ撮影などで、照明光源が必要な場合は、(b)に示すように、LCDモニター5のバックライト部31をリンク手段32を介して回転させ、バックライト部のバックライト出射面31aを被写体21側へ向ける。このように、バックライト部31は、被写体21に対し効率よく照明光源が当たる様、任意の位置にて固定して使用する。尚、バックライト受光面6aを露出した状態で、マクロ撮影する場合などは、LCDモニターのバックライト受光面6aからの外光により、LCDモニター本体の液晶表示面6を観察しながら、マクロ撮影が可能である。また、図示しないが、バックライト受光面にハーフミラー状の部材を具備するなどすれば、図4(c)(d)に示すようにバックライト部31を反転させた状態で、LCDモニター本体30に密着させて使用しても、被写体21を確認しながらマクロ撮影を行うことが可能である。
【0017】
次に、図5は本発明の第5の実施形態の説明図であり、この実施形態に係るマクロ撮影可能なカメラが、第4の実施形態と異なる点は、LCDモニター本体30の上部に対してバックライト部31の上部を、ヒンジ40を上下方向へ回動自在に枢支し、バックライト部のみを被写体方向に照明光源を導くようにした構成である。
その他の構成は、第4の実施形態とほぼ同様である。
マクロ撮影時に被写体21を照明する場合は、バックライト部31をヒンジ40を支点として被写体側へ向けて被写体を照明する(図5(a)〜(c))。尚、LCDモニター裏面のバックライト受光面6aにも、バックライト部の照明光線を回り込ませたり、あるいは図示しないが、バックライト受光面にハーフミラー状の部材を具備するなどすれば、ユーザーはLCDモニターを観察しながらマクロ撮影が可能である。
この実施形態では、LCDモニター5のバックライト部31のみを分離(姿勢変更)することが可能な構造にすることによって、照明装置として使用する部分のバックライト部だけを被写体に向けることができるようにした。この改善点によれば、LCDモニターの観察部分はユーザーが通常使う方向にしておくことが可能なので、無理無くマクロ撮影が出来るようになる。
尚、前記第4の実施形態の場合は、リンク手段を介した回転可能な構造によってバックライト部を任意の多様な姿勢に変えることによって、被写体方向へ向ける構造としているが、本実施形態では、単純な回転構造である。このため、LCDモニター及びバックライト部分の構造を簡単な形で実現することが可能となる。
この実施形態でも、LCDモニターを観察しながらバックライト部の位置調節が出来るので、マクロ撮影時の配光を確認しながら撮影することも可能である。尚、この時LCDモニター本体はバックライト部がない分、見えにくいことも考えられる。この対策方法として、通常撮影時にはバックライト部とLCDモニターの「合わせ面」になっている、バックライト受光面にハーフミラー状の部材等を備えることによりLCDモニターに当たる外光の反射光が利用出来るようにして、モニターを見やすくするなどの改善を図ってもよい。
【0018】
次に、図6は本発明の第6の実施形態に係るマクロ撮影可能なカメラの構成及び操作説明図である。この実施形態のカメラは、LCDモニター本体30とバックライト部31とから成るLCDモニター5が、カメラ本体2より着脱可能であるようにした構成が特徴的である。
本実施形態に係るカメラ1は、カメラ本体2の前端上部中央位置に設けた枢支部50によってLCDモニター5を、着脱自在に支持した構成が特徴的である。このカメラ1は、カメラのデザイン上、撮影レンズ3の光軸とLCDモニター5の中央部が一致していない。一般撮影時は、図6(a)に示すような状態で使用する。マクロ撮影時などにおいては、図6(b)に示すように、LCDモニター5をカメラ本体2からはずし、被写体21に対してLCDモニター5の液晶表示面6aからの光線が当たるような位置に配置して被写体を照明する。この実施例では、ユーザーがLCDモニターを保持することとなる。
枢支部50は、着脱機構51を備えている。着脱機構51は、(c)(d)にも示すように、カメラ本体2の上部に設けた凹所52の左右内壁に設けた穴から内外方向へ突出入自在に支持された左軸53、右軸54と、各軸53、54を夫々突出方向へ付勢する弾性部材55、56と、一方の軸、例えば左軸53を弾性部材55に抗して引っ込ませる為に左軸53と一体化した着脱スイッチ57と、突出状態にある各軸53、54の内側端部を受け入れて回動自在に支持される軸穴58を備えたLCDモニター側突部59と、を有する。
左軸53、右軸54には、夫々弾性部材55、56が付いており、通常は、LCDモニターに設けた軸穴58に両軸の内側端部が入っていてLCDモニターの軸穴に両軸が収まる方向にテンションをかけてある。LCDモニターをはずす場合は、着脱スイッチ57を右から左にシフトさせ、それと連動して動作する左軸53をLCDモニターの軸穴58からはずすことにより行う。ちょうどトイレットペーパーを交換するような方法を実施例として採用する。また、LCDモニター5はモニターケーブル60を介してカメラ本体2と連結されている。
この実施形態によれば、カメラ本体よりLCDモニターが着脱できるようにしたので、マクロ撮影時の照明をLCDモニターを使って行う場合、そのLCDモニターを本体から着脱することにより、照明時の方向・位置などのセッティングが容易にできることとなる。
【0019】
次に、図7は本発明の第7の実施形態に係るマクロ撮影可能なカメラの構成及び操作説明図であり、このカメラ1は、撮影レンズ3を備えたカメラ本体2と、バックライトを有したLCDモニター5と、を備えたマクロ撮影可能なカメラであり、マクロ撮影時の照明用光源としてLCDモニター5からのバックライト光を利用している。更に、このLCDモニター5は、カメラ本体1に対して着脱可能なLCDモニター本体65と、LCDモニター本体65に対して回動自在に支持されたバックライト部66とを備えている。
この実施形態例においては、通常の使用状態のカメラは図7(a)のような状態となっており、マクロ撮影時には図7(b)及び図7(c)のような状態となる。
この実施形態が、第6の実施形態と異なる点は、カメラ本体2に対して着脱自在に構成したLCDモニター5を、カメラ本体1に対して着脱可能なLCDモニター本体65と、LCDモニター本体65に対して回動自在に支持されたバックライト部66と、から構成した点である。
従って、枢支部50及び着脱機構51の構成は、第6の実施形態に示したものを使用可能である。また、LCDモニター本体65に対してバックライト部66を回動自在に連結するリンク手段61の構成は図4に示した実施形態のリンク手段と同様に、アーム61aと、その両端部をLCDモニター本体65とバックライト部66に枢支するヒンジ部61bとから構成する。また、LCDモニター本体65とカメラ本体2との間は、モニターケーブル60によって接続されている。
LCDモニター本体65は、リンク手段61によりバックライト部66から分離でき、且つバックライト部66はリンク手段61を支点に回転可能な構造をしている。このバックライト部のバックライト面66aを被写体21へ向け、照明光線が被写体へ当たるにして、マクロ撮影時の照明光源として利用する。尚図7(b)に示すバックライト受光面6aにハーフミラー状の部材を備えることにより、外光が入る場合や、液晶表示面6の観察面に外光が入る場合などは、液晶表示面を観察しながらマクロ撮影が可能である。
この実施形態によれば、LCDモニター5を全体としてカメラ本体2から着脱できると共に、そのLCDモニターはLCDモニター本体65からバックライト部66が分離可能にしてあるので、マクロ撮影時にLCDモニターを照明光源として使用するときでも、カメラ本体から着脱できるので、被写体に対する照明の方向や位置が、カメラの位置に左右されず取りまわしが容易である。またバックライト部とLCDモニター本体とが分離できるので、バックライト部を被写体に向けて照明していても、撮影者がLCDモニターを観察することが容易となっている。
【0020】
次に、図8は本発明の第8の実施形態に係るマクロ撮影可能なカメラの構成及び操作説明図であり、このカメラ1は、撮影レンズ3を備えたカメラ本体2と、バックライトを有したLCDモニター5と、を備え、マクロ撮影時の照明用光源としてLCDモニター5を利用する。更に、LCDモニター5は、カメラ本体2に対して枢支部75によって回動或いは揺動自在に枢支されたLCDモニター本体70と、該LCDモニター本体70に対して着脱自在に構成されたバックライト部71とから成る。LCDモニター本体70とバックライト部71との間は、モニターケーブル72によって接続されている。
通常の撮影時は図8(a)に示すようにバックライト部71がLCDモニター本体70に設けたホルダ部73によって保持されている。マクロ撮影時の光源としてバックライト部を使用する場合は、図8(b)に示すように、ホルダ部73よりバックライト部71を取り外した状態で、被写体21に対し、照明光源としてのバックライト部71を任意の位置に配置し、適切に照明されるようにバックライト部を調整する。尚、バックライト受光面にハーフミラー状の部材などを備えることにより、外光が入る場合や、液晶表示面6に外光が入る場合などは、液晶表示面6を観察しながらマクロ撮影が可能である。
この実施形態は、カメラ本体2に対してLCDモニターのバックライト部71のみを着脱可能にすることにより、マクロ撮影時の照明装置としては、LCDモニターと一体のタイプよりもバックライト部単体のほうが軽く、取りまわしが容易に出来るようにしている。また、LCDモニターの液晶表示面6はカメラ本体に取りついている状態で、撮影時は、ユーザーが確認することが可能である。
【0021】
次に、図9は本発明の第9の実施形態に係るマクロ撮影可能なカメラの構成及び動作説明図であり、本実施形態は上記他の全ての実施形態に共通して適用可能な構成例であるが、ここでは図1の例を用いて説明する。
この実施形態に係るカメラ1の特徴的な構成は、マクロ撮影時に利用するバックライト付LCDモニター5の液晶表示面6の輝度を被写体の条件或はLCDモニターの位置などの条件に応じて、複数段階のパターンに変更可能にした点にある。
例えばユーザーが、図9(a)に示すカメラ本体2に備えられている輝度操作釦76を一操作(1回押)する毎に、液晶表示面6(LCDモニター面)の輝度が、「明るい→明暗中間→暗い→OFF→明るい→…」と切り替えられるようになっていて、その操作内容に応じて図9(b)に示すように、バックライト部を有するLCDモニター5のバックライト部の輝度が切り替わる。バックライト部とLCDモニターは一体構造をしており、マクロ撮影時の照明光源として使用されている液晶表示面6の輝度(濃度)は、それに応じて切り替わる。輝度のセッティングは、撮影するユーザーが、被写体の条件や撮影環境やLCDモニターの位置などを考慮し適切な輝度を決定しセッティングする。
以上のように本実施例は、液晶表示面6(LCDモニター面)の面全体の明るさを調整できるようにしたことにより、被写体21の周りの明るさ・環境に応じた適切な照明が出来るようにすると共に、バックライト付きLCDモニター5と被写体に対する角度・距離などがいろいろな条件下にあったとしても、それに対して適切な照明が出来るようになった。
なお、カメラ本体の機能として備えている「AE:自動露出」の情報などをもとにカメラ側の持つ情報を元に、自動でバックライトの輝度を決定するような機構を備えさせることも可能である。
【0022】
次に、図10は、本発明の第10の実施形態、換言すれば、第9実施形態の変形例であり、マクロ撮影時に照明光源として活用する液晶表示面6(LCDモニター面)の各エリアの輝度(濃度)を、被写体21から液晶表示面6までの距離に応じて任意複数段階の輝度にセットできることを特徴としている。即ち、液晶表示面6から被写体までの距離に応じて、液晶表示面内のあるエリアは輝度を高く、他のエリアは輝度を低くと言った事を実現できることを特徴としている。
この実施形態も、上記した全ての実施形態に係るカメラに適用することができるが、ここでは図1に示した実施形態に係るカメラに適用する場合を説明する。
このカメラに備えられているLCDモニター5は液晶表示面6の輝度を図10(a)〜(c)の各パターンに順次切り替えることができる。その操作は、液晶表示面6から被写体21までの距離やモニター面の角度等により、図9に示すモニター面輝度操作釦76をユーザーが操作することにより行う。液晶表示面の輝度パターンについては、あらかじめカメラ1のメモリー等に画像ファイル等で記録しておき、ユーザーがモニター面パターン操作釦を操作することにより、いくつか用意されている液晶表示面のパターンを選択して使用する。尚、図示しないが別の方法として、ユーザーがモニター面パターン操作釦を操作するのではなく、LCDモニターの傾斜角度をカメラが検出し、自動で適切な液晶表示面6の濃度パターンを切り替えるようにしてもよい。
このように、この実施形態では、液晶表示面6の面内のエリア毎に光量を変えられるようにしたので、例えば液晶表示面と被写体が近い場合に、被写体に当たる照明光量の配分が一定になるようなセッティングが出来るようになる。
カメラ本体の機能として備えている「AE:自動露出」の情報などをもとにカメラ側の持つ情報を元に、自動でバックライトの輝度を決定するような機構を備えさせることも可能である。
なお、第9及び第10の実施形態を図4、図5、図7、図8のカメラの液晶表示面に適用する場合にも、バックライト部の輝度を図9(b)、或いは図10のように変更可能に構成することとなる。
【0023】
次に、図11は本発明の第11の実施形態の制御手順を示すフロー図である。この実施形態に係るカメラにおいては、バックライトを持つLCDモニター5又はLCDモニターのバックライト部31、66、71を、マクロ撮影時の照明装置として、「使用する或いは使用しない」モード、又は「常時使用する或いはレリーズ時(画像を取り込む時)だけ使用する」モードといった選択ができるように構成した点が特徴的である。具体的には、切り替えスイッチを用いた操作によってこのような切り替えを行う。
上記各実施形態の説明において図示したカメラ1において、バックライトを備えたLCDモニター、或いはバックライト部を備えたカメラ本体には、選択スイッチ80を設けてある。
図12は、選択スイッチ80の使用例を説明している。
選択スイッチ80の切り替えは次の如き2つのパターンに分けられる。
使用しないモード:マクロ撮影時、LCDモニター5のバックライト(バックライト部を含む)をOFFし、照明光源として利用しない。
使用するモード:
(2−1)常時使用する:マクロ撮影時は被写体をモニターリングしているときもLCDモニターのバックライトはON状態で被写体を照明する。
(2−2)レリーズ時だけ使用する:マクロ撮影時、ユーザーが被写体を撮影する準備をしている間はLCDモニターのバックライトはOFFの状態。実際に画像を取り込むときだけ(例えばユーザーがレリーズ操作をしたときだけ)LCDモニターのバックライトがONし、被写体を照明する。
実際には、あらかじめカメラ本体の制御部に設けたメモリー中にこのような内容のプログラムを組んでおく。
この実施形態によれば、前記全ての実施形態において、マクロ撮影時の照明が必要な時にだけ被写体照射用にバックライトを使用できるようにすることで、節電を図り、カメラの電池寿命を延ばすことができる。また、マクロ撮影時でも常に照明を必要とするわけでは無い為、撮影シーンにより、照明が不要である場合は、ユーザーがそれを選択できるようにした。
なお、本発明は、通常のカメラは勿論、デジタルカメラ、LCDモニターを備えた撮影装置(ビデオカメラなど)にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】(a)乃至(f)は本発明の一実施形態に係るマクロ撮影可能なカメラの構成及び動作を示す説明図。
【図2】図1の実施形態におけるカメラの使用方法を示す図。
【図3】本発明の第3の実施形態に係るマクロ撮影可能なカメラの説明図であり、(a)は正面からの斜視図、(b)は一部断面正面図。
【図4】(a)乃至(d)は本発明の第4の実施形態に係るマクロ撮影可能なカメラの構成及び操作を示す図。
【図5】(a)乃至(c)は本発明の第5の実施形態の構成及び動作の説明図。
【図6】(a)乃至(d)は本発明の第6の実施形態の構成及び動作説明図。
【図7】(a)(b)及び(c)は本発明の第7の実施形態に係るマクロ撮影可能なカメラの構成及び操作説明図。
【図8】(a)及び(b)は本発明の第8の実施形態に係るマクロ撮影可能なカメラの構成及び操作説明図。
【図9】(a)及び(b)は本発明の第9の実施形態に係るマクロ撮影可能なカメラの構成及び動作説明図。
【図10】(a)(b)及び(c)は本発明の第10の実施形態の説明図。
【図11】本発明の第11の実施形態の制御手順を示すフロー図。
【符号の説明】
【0025】
1 カメラ、2 カメラ本体、3 撮影レンズ、4 レリーズ釦、5 LCDモニター、6 液晶表示面、6a バックライト受光面、10 枢支部、15、16 軸、20 凹所、25 ガイド溝(ガイド手段)、26 スライドブロック、27 被枢支部、30 LCDモニター本体、31 バックライト部、31a バックライト出射面、32 リンク手段、35 アーム、36 ヒンジ、40 ヒンジ、50 枢支部、51 着脱機構、53 左軸、54 右軸、55、56 弾性部材、57 着脱スイッチ、58 軸穴、59 LCDモニター側突部、60 モニターケーブル、61 リンク手段、61a アーム、61b ヒンジ、65 LCDモニター本体、66 バックライト部、80 選択スイッチ。
【技術分野】
【0001】
本発明はLCDモニターを備え且つマクロ撮影が可能なカメラに関し、特に部品点数の増大、構成の複雑化等を招くことなく画質のよいマクロ撮影が可能なカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラ本体に装備されたストロボ等の照明用光源を用いてカメラによる撮影を行う際に被写体が撮影レンズから例えば30cm以遠に位置している場合には、照明用光源からの配光範囲内に被写体を位置させて撮影を行うことができるが、上記距離よりも近い距離にて被写体を撮影するマクロ撮影(接写撮影)においては、撮影範囲全体に照明用光源からの光を照射することが困難となり画質が低下する。
各種カメラを用いたマクロ撮影は、被写体からカメラの撮影レンズまでの距離が、通常の撮影に比べて極端に短い。一般のカメラを例にとると、通常撮影では前記距離が30cm〜無限、が普通であるが、マクロ撮影の場合には最至近撮影距離が1cm〜となる製品も有る。その場合、マクロ撮影を行いたい被写体面に、外光が当たりにくくなるため被写体面に十分な光が回り込まないケースが出てくる。また、屋内などで撮影する場合など、もともと十分な外光に恵まれないところでの撮影シーンも多い。そう言った場合、マクロ撮影で照明光源が欲しいと言ったケースが多く考えられる。
なお、外部のアクセサリーを使ったマクロ撮影用の照明装置は既に公知のものとして製品化され、一般用にも販売されている。しかし、これらを実際に使ってみると、寸法が大きく、カメラ本体と照明装置とを接続する接続ケーブルなどがあり、取りまわしが非常に煩雑である。また価格もそれなりに安価なものではない。
また、特開平11−218809号公報「至近撮影用ストロボアダプター」((株)五光インターナショナルコーポレーション)には、至近距離でストロボを発光させた際に適切な配光による撮影を可能にする外付けのストロボアダプターをストロボの出射面に覆うように配置する構成(撮影時にカメラのストロボにアダプターを装着して行う)が開示されている。しかし、別部材のアダブターをマクロ撮影するたびに取り付ける作業は繁雑であり、アダプターを携帯、保管する手間などが必要となるため、不便である。
【0003】
次に、特開平10−48711号公報「マクロ撮影時に配光方向を撮影レンズの光軸側へ傾けることができるストロボ装置及びカメラ」(ミノルタ(株))には、通常撮影に使用するストロボをマクロ撮影時にはストロボの反射傘の角度を変化させることによってマクロ撮影時の照明光源として活用する技術が開示されている。
しかし、ストロボ光は、実際撮影する瞬間には発光するが、撮影直前にアングルを決める際などは発光していない。その為、十分な照明光を照射しながらのモニターリングが困難となる。また、撮影時においては、照明光源となる強いストロボ光が、被写体面で反射したり、或は、明るすぎて被写体が何なのか判別できないという白トビ現象が発生することが懸念される。
次に、特開平10−313422号公報(電子スチルカメラ)には、LCDモニターのバックライト光源を光ファイバーにて被写体面に誘導し照明光源として活用する技術が開示されている。しかし、光ファイバー等の別部材を介してLCDモニターのバックライト光を被写体に導く構成は部品点数の増大と、照明効率の低下という不具合をもつ。
【特許文献1】特開平11−218809号公報
【特許文献2】特開平10−48711号公報
【特許文献3】特開平10−313422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、アダプターなどの格別のアクセサリーを使用したり、光ファイバーなどの部品増大を招くことなく、更にはストロボを代用することなく、既にカメラに備えられている機能品を活用してマクロ撮影用の照明光源を実現することにより、コストダウンを図ることを課題とする。
即ち、本発明では、バックライトを有するLCDモニター等をマクロ撮影時の光源として活用しているので、常にバックライトを有するLCDモニターを照明しながらマクロ撮影時に被写体に対するアングル調整ができ、モニターリングを行いながら配光状況を確認することが可能となる。また、ストロボを代用しないので撮影時の光量が過大となって、撮影品質が低下することがない。また、光ファイバーなどを介さず、直接的に被写体に対して照明するので照明効率が良くなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するため、請求項1の発明は、撮影レンズを備えた本体と、表示面とバックライト部とを有した表示部と、を備えたカメラであって、前記バックライト部が前記表示部に対して姿勢変更可能であることを特徴とする。
請求項2の発明は、前記表示部が、2軸枢支機構によって前記本体に対して2方向に回動自在に支持されることを特徴とする。
請求項3の発明は、前記バックライト部が、前記表示部本体に対してリンク手段を介して回動可能に支持されることを特徴とする。
請求項4の発明は、前記バックライト部が、前記表示部本体に対してヒンジによって回動可能に支持されていることを特徴とする。
請求項5の発明は、前記バックライト部が、前記表示部本体に対して着脱可能であることを特徴とする。
請求項6の発明は、撮影レンズを備えた本体と、被写体像を表示する表示面とバックライト部とを有した表示部と、を備えたカメラであって、前記表示部が、2軸枢支機構によって前記本体に対して2方向に回動自在に支持され、前記表示面を被写体に向けることで、前記バックライト部からの光を前記被写体に照射することを特徴とする。
【0006】
請求項7の発明は、前記表示部は、前記本体に対して着脱可能であることを特徴とする。
請求項8の発明は、前記バックライト部を有した表示部の表示面全体の輝度を、切り替えられることを特徴とする。
請求項9の発明は、前記バックライト部を有した表示部の表示面の輝度を、表示面のエリア毎に複数段階に切り替えできることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
以上のように本発明によれば、アダプターなどの格別のアクセサリーを使用したり、光ファイバーなどの部品増大を招くことなく、更にはストロボを代用することなく、既にカメラに備えられている機能品を活用してマクロ撮影用の照明光源を実現することにより、コストダウンを図ることができる。即ち、本発明では、バックライトを有するLCDモニター等をマクロ撮影時の光源として活用しているので、常にバックライトを有するLCDモニターを照明しながらマクロ撮影時に被写体に対するアングル調整ができ、モニターリングを行いながら配光状況を確認することが可能となる。また、ストロボを代用しないので撮影時の光量が過大となって、撮影品質が低下することがない。また、光ファイバーなどを介さず、直接的に被写体に対して照明するので照明効率が良くなる。
即ち、本発明によれば、マクロ撮影時の照明用光源として、カメラの機能部品として既に具備されているLCDモニターを使用することにより、照明光源を改めて設ける必要がなく、照明光源を取りつけるスペースが発生しない、照明光源を改めて取りつける場合と比較しコストダウンが可能、内蔵型として使用できるので、取りまわしが良く扱いやすい等、と言った作用効果を発揮できる。
本発明においては、撮影レンズの光軸とLCDモニターの中央部を一致させることにより、被写体に対し効率良く照明することができる。また、LCDモニターの枢支部に揺動機構が備わっていることで、通常撮影時は撮影者側にモニターを向けて置けるので、従来の一般の撮影には支障無く実現できる、等々の利点を提供できる。
本発明によれば、撮影レンズの光軸に対し、LCDモニターの中央部が一致できるように移動可能に構成したことにより、カメラのデザイン(外観のデザインや設計レイアウト)が、LCDモニターと「撮影レンズの光軸」を常に一致させるような制約にとらわれなくなり、設計自由度が上がる。また、ユーザーにとっても購入時など、自由度の有るデザインの中からカメラを選択できる。更に、LCDモニターをマクロ撮影時の光源として使用する場合(効率はやや下がるが)、撮影時にユーザーが狙いとする撮影された写真のライティング効果を狙って、斜め方向からの照明を行いたい場合などは、モニター位置の選択自由度が有る為、自由なライティングを楽しむことができるようになる。
【0008】
本発明では、液晶表示面はユーザー側に向いていて、照明光源となるバックライト部のみ被写体へ向けることが可能なので、ユーザーがモニター画面を観察しながらマクロ撮影時の照明光源のセッティングを行うことが可能となり、非常に使いやすくなる。また、バックライト部分は、アームとヒンジから成るリンク手段であり、回転可能なので、照明光源となるバックライト部の位置がいろいろ選択可能となり、被写体の条件・環境に対して照明光源のセッティングが対応しやすくなり、非常に使いやすくなる。
本発明は、液晶表示面はユーザー側に向いていて、照明光源となるバックライト部のみ被写体へ向けることが可能なので、ユーザーがモニター画面を観察しながらマクロ撮影時の照明装置のセッティングが可能となり、非常に使いやすくなる。請求項4のタイプと比較し、ヒンジだけを用いた簡単な構造なので、低コストでユーザーに提供できる。
本発明は、バックライトを有するLCDモニターがカメラ本体より着脱が可能であるので、撮影時にカメラ本体の位置に左右されること無く、マクロ撮影時に照明光源として使用するLCDモニターの位置を決めることができる。たとえば、被写体に対し、右斜めや左斜めの姿勢で、被写体にかぶせるように照明したり等、ライティングが非常にやりやすくなる。カメラ本体は被写体との距離で位置が制約されてしまう為、カメラ本体に何らかの形で照明光源となるLCDモニターが固定されていると被写体対照明光源の位置が制約を受けてしまう場合があるが、この構造であれば、そう言った問題を解決できる。この発明の目的から派生する効果ではあるが、LCDモニターを本来のモニターとして撮影をした写真を鑑賞する(見る)場合、カメラ本体の位置に制約されず、モニターをいろいろな向きに向けることができる。LCDモニターは観察する際、指向性を持っているため正面から見ないと見えにくいものである。この発明では、そう言ったLCDモニターを使って、たとえば、営業のプレゼンテーションなどする場合でも、モニターのみ鑑賞者に向けることが簡単なので、複数の鑑賞者がいる場合など、一人一人の方向へモニターを向けやすい。その為、鑑賞者に対し非常に見てもらいやすいモニターになり、商品価値が高いものとなる。
【0009】
本発明は、「バックライトを有するLCDモニターが、カメラ本体より着脱が可能で、且つLCDモニターに対してバックライト部が分離(回動)可能な構造であるため、カメラ本体より着脱可能なことから得られる作用効果は、請求項6の場合と同等である。更に、バックライト部は被写体側、LCDモニターは撮影者へと向けることが可能なので、ユーザーは、マクロ撮影時に被写体を観察しながら照明光源の位置調整ができ、使い勝手が良い。つまり、本体から外れていることで、セッティング時の制約条件が改善され、さらに使い勝手は向上する。
本発明は、バックライト部だけをカメラ本体(LCDモニター)より着脱可能に構成した。ユーザーが把持する部品がバックライト部のみであると、LCDモニターよりも小さく軽いので、取りまわしが非常に向上する。その為、マクロ撮影時に照明光源として利用する場合にユーザーへの負担が軽減できる。液晶表示面は、通常撮影時と同じくユーザー側を向いているので、無理無く被写体を観察しながらマクロ撮影が可能である。
本発明は、マクロ撮影時に利用するバックライト付LCDモニターの輝度を、被写体の条件或はLCDモニターの位置などの条件により、LCDモニター全面の濃度を任意に変えられるようにしたので、マクロ撮影時の被写体の撮影環境が、明るい場所だったり、暗い場所だったりした場合でもフレキシブルに対応できる。特に近接撮影の場合、照明光源自体が、外光をさえぎったりする場合も有るので、照明装置のロケーションに応じて、照明装置の輝度を調節できることは、ユーザーが良い撮影をするにあたって非常に重要なことである。
【0010】
本発明は、マクロ撮影時に照明光源として活用する液晶表示面の輝度を、エリアによって異ならせることを可能とした。即ち、被写体から液晶表示面までの距離に応じて、一つの液晶表示面の各部分の輝度を、任意複数段階の輝度にセットできるようにした。LCDモニターから被写体までの距離に応じ、液晶表示面のあるエリアは輝度を高く、有るエリアは輝度を低くと言った事を実現できるようにした。この発明では、LCDモニターのバックライトなど、平面光源を照明光源として使っている為、照明光源と被写体が近い場合など、被写体がLCDモニター・バックライト部などの輝度面に対し、十分小さいものであった場合、照明が均等に当たらない場合がある。しかし、被写体に近い部分は「暗め」、遠い部分は「明るめ」とすれば、被写体に対し均等に照明することができる。したがって、照明光源となるLCDモニターが被写体に対して角度を持っていたりする時等は均等な照明が可能となり、マクロ撮影時の撮影された写真の質を向上させることができる。
本発明は、バックライトを持つLCDモニター又はLCDモニターのバックライト部を、マクロ撮影時の照明光源として「使用する或いは使用しない」モード、又は「常時使用する或いはレリーズ時(画像を取り込む時)だけ使用する」モードといった選択ができるように構成したので、マクロ撮影時の照明が必要なのか不要なのかにより、ユーザーが照明装置を使うか使わないか選べる。また、ユーザーが選択可能とすることにより、幅広い被写体の条件に対応できるカメラが提供できる。更に、節電に大きな効果がある。即ち、従来のカメラで「バックライトを有するLCDモニター」はカメラの必要機能部品のなかでも、消費電力の高い部品である。したがって照明装置として「使用する」・「使用しない」を選べることは、電池寿命の向上にも効果がある。また、ユーザーが撮影を行う時はいろいろな要求があるものである。たとえば、節電はしたいが、撮影時は照明光源が必要だという場合等も十分考えられる。このような場合に、画像を取り込むときだけ照明光源をONするような機能は、電池寿命を延ばし、撮影ショット数を向上させることができるようになる。ひいては安心してユーザーに、マクロ撮影時の照明装置を使っての撮影を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を図面に示した実施の形態によって詳細に説明する。
図1(a)乃至(f)は、本発明の一実施形態に係るマクロ撮影可能なカメラの構成及び動作を示す説明図である。
このカメラ1は、前面に撮影レンズ3を、上面適所にレリーズ釦4等を備えたカメラ本体2と、カメラ本体2の上部適所に揺動自在に支持された矩形平板状のLCDモニター(表示部)5等を有する。LCDモニター5はカメラ本体2の前端面に設けた撮影レンズ3の直上に設けた枢支部10によって横方向A及び上下方向Bへ夫々回動自在に支持されることによって任意の方向に揺動可能に構成されている。また、LCDモニター5は、バックライト部からのバックライト光によって照明される液晶表示面6を有している。
枢支部10は、(e)の要部拡大正面図に示すように横方向Aへの回動を許容する軸A15と、上下方向への回動を許容する軸B16から成る2軸枢支機構によって、LCDモニター5の突部17を各方向A、Bに回動自在に支持した構成を備える。
カメラ本体2の上面には、LCDモニター5を収納するための収納用凹所20が形成され、LCDモニターの不使用時、或いは液晶表示面6を上向きにセットして使用する場合には、LCDモニターを枢支部10にて回動させてこの凹所20内にLCDモニター5を嵌合させる。一方、LCDモニター5を起立させた状態でモニターとして使用する場合には枢支部10を利用してLCDモニターを起立させて所望方向に向けてから表示面6を目視しながら撮影を行う。
【0012】
更に、本発明の第1の実施形態では図2の使用状態説明図に示すように被写体21をマクロ撮影する場合に、撮影レンズ3の画界内に位置する被写体21に対する照明をLCDモニター5を利用して行うようにしている。即ち、光量の大きいストロボを使用せずに、LCDモニター5の液晶表示面6を被写体21に向けておき、適度な光量を有したバックライト部からの光を照射することによって、被写体に対するアングル調整をモニターリングしながら行い、配光状況を確認することができる。更に、マクロ撮影時の照明光源としてもこのバックライト光を使用することができる。ストロボからの光は、マクロ撮影時には、被写体に対する過剰は照明となって撮影画質の低下をもたらすが、バックライト部からの光はマクロ撮影時の光量としては最適である。なお、液晶表示面6を利用したモニタリングは、撮影者が被写体側から液晶表示面6を見ながら行い、レリーズ釦4の操作も同様の姿勢にて行うこととなる。
収納用凹所20内に収納された状態にあるLCDモニター5を図2の姿勢に移動させる場合には、まず図1(a)のように軸B16を利用してLCDモニター5を起立させてから、(b)(c)のように軸A15を利用して横方向に回動させ、その後(d)のように液晶表示面6が被写体21を向くように下向き傾斜させる。
このように、本実施形態では、マクロ撮影時の照明用光源として、バックライト部を持つLCDモニターを利用したので、マクロ撮影を行う時は、枢支部10を支点にして、表示面6を被写体側へ向け、LCDモニター5はバックライト部を明るくした状態にして、撮影したい被写体を照明するように、モニター面を調整しながら適切な位置にセットして撮影を行う。
前述のように従来のカメラに使用されるマクロ撮影用の照明装置(照明光源)は、アクセサリーの形として外部取り付け方式で提供されたり、或いはカメラ本体内蔵と言う形をとっているが、いずれもマクロ撮影用の照明光源として専用に備えているものである。その為コストの点やスペースの点からすると問題であり、改善の余地があった。
そこで、本発明では、カメラの機能品としてすでに備わっているLCDモニターを活用することにより、アクセサリーのような形で別途外付け取り付けの形をとらず、従来の機能品を活用することで、スペースをとらずにコストを抑えた形で、従来のマクロ撮影時の機能を実現することができる。
【0013】
更に、本発明の第2の実施形態では、図1(f)から明らかなように、バックライト部を有したLCDモニター5の横方向中央部Lを、カメラ本体2の撮影レンズ3の光軸部(光軸中心)Cと一致するように配置し、LCDモニター5を回転、揺動させることでマクロ撮影用の照明用光源として利用できるようにしている。
LCDモニター5の位置は、その中央部Lが、撮影レンズ3の光軸部Cに対応する位置にあることによって、被写体を効率良く照明する上で最良の結果をもたらす。その為、図1(f)に示すように撮影レンズ3の光軸部Cと同じ位置に液晶表示面6の中央部Lが来るように、設計レイアウトする。尚、ユーザーがこのような構造のLCDモニター5でマクロ撮影を行う場合、図2のように、被写体21側よりLCDモニターの液晶表示面6を観察しながら撮影を行うことで、撮影時の条件だしなどを観察しながらの撮影セッティングが可能となる。
このように、本発明の第2の実施形態では、カメラ本体2の撮影レンズ3の光軸部に一致する位置にLCDモニターの中央部が来るような配置としたので、マクロ撮影時の照明光源によりできるだけ効率良く被写体を照明することができ、モニターリング時、及びマクロ撮影時に、夫々適した照明を行うことができる。
【0014】
次に、図3は本発明の第3の実施形態に係るマクロ撮影可能なカメラの説明図であり、(a)は正面からの斜視図、(b)は一部断面正面図である。
この実施形態に係るマクロ撮影可能なカメラ(以下、カメラ、という)1においては、LCDモニター5は、カメラ本体2によって横方向へスライド自在に支持されており、マクロ撮影時にはLCDモニター5の中央部Lをカメラ本体2の前面に設けた撮影レンズ3の光軸部Cと一致する位置に移動可能に構成されており、更に2軸揺動機構から成る枢支部10を介してLCDモニターを揺動させることでマクロ撮影用の照明用光源として利用できるように構成している。
即ち、LCDモニター5を有するカメラ1において、通常の撮影時にはLCDモニター5はカメラ本体2の中央部(撮影レンズの光軸部)に配置されていないが、マクロ撮影を行う場合には、第2の実施形態の場合のようにLCDモニター5を撮影レンズ3の中央部にスライド移動させて、LCDモニターの表示面6を任意の方向に揺動させて被写体へ方向付けさせることを可能としたので、マクロ撮影用の照明装置として利用することが可能となる。
マクロ撮影時の照明光源として利用するLCDモニター5の中央部Lは、カメラ本体の撮影レンズ光軸Cと一致していることが望ましい。しかし、たとえばカメラのデザイン上の制約等により、普通に撮影する時など、撮影レンズ3の光軸部C上に液晶表示面6の中央部Lを位置させるレイアウトをとれない場合もあり得る(図3(a)の場合)。そこで、本発明は、このような場合であっても、マクロ撮影時に被写体の照明光源が必要となる場合には、照明光源の照明効率を改善し、撮影レンズ3の光軸上に液晶表示面6の中央部Lを合わせられるように枢支部10を横方向へスライドさせるように構成した。
【0015】
具体的な実施例としては、枢支部10の構成は、例えばカメラ本体2の上面適所に設けた横方向へ延びるガイド溝(ガイド手段)25と、下面から突設させた軸A15をガイド溝25内に遊嵌させて横方向へスライド移動、且つ回転するスライドブロック26と、スライドブロック26を横方向に貫通した軸B16の突出した両端部によって前後方向へ回動可能に支持されたLCDモニターの被枢支部27と、を有する。このため、LCDモニター5は、ガイド溝25に沿って横方向へスライド移動可能であるとともに、揺動可能である。また、図3(b)のように枢支部10及びLCDモニター5が最も左側に位置したときに液晶表示面6の中央部Lは、撮影レンズ3の光軸部Cと一致した位置となり、この状態においてマクロ撮影時の照明用光源として、バックライト部からの光を使用することが可能となる。
なお、ガイド手段の構成として説明したガイド溝は、一例に過ぎず、例えばガイド溝に代えてガイド突条を設けてスライドブロックを横方向へスライド自在且つ回転自在に支持する等々種々の変形が可能である。
LCDモニター5をスライドさせたり、回転させる操作は、ユーザーが容易に行うことが可能である。
【0016】
次に、図4は本発明の第4の実施形態に係るマクロ撮影可能なカメラの構成を示す図であり、バックライトを有する平板状のLCDモニター5は、前記2軸揺動機構から成る枢支部10によってカメラ本体2上に揺動可能に支持されており、このLCDモニター5は、液晶表示面6を備えたLCDモニター本体30と、リンク手段32を介してLCDモニター本体30に対して上下方向へ回動可能に支持されたバックライト部31とから成り、リンク手段32を介してバックライト部31をLCDモニター本体30から分離することが可能であり、且つバックライト部は図4(a)(b)(c)(d)に示すようにLCDモニター本体30に対して回転できる。符号6aはバックライト受光面(液晶表示面の裏面)であり、符号31aはバックライト部31の出射面である。
リンク手段32は、アーム35の両端部をヒンジ36によってLCDモニター本体30とバックライト部31の適所に夫々回動可能に取り付けられており、(a)に示した収納状態から、(b)、或いは(c)及び(d)に示したマクロ撮影状態に移行することができる。
この実施形態では、LCDモニター5のバックライト部31をLCDモニター本体30に対して回動自在に支持することによって、照明装置として使用する部分のバックライト部だけを任意の姿勢で被写体に向けることができるようにした。この構成によれば、LCDモニターの観察部分(液晶表示面6)はユーザーが通常使う方向に向けておくことが可能なので、無理無くマクロ撮影が出来るようになっている。
その為、ユーザーはLCDモニター本体の液晶表示面を観察しながらバックライト部31の位置調節が出来るので、マクロ撮影時の配光を確認しながら撮影することも可能である。尚、この時LCDモニター本体30は、バックライト部31がない分、見えにくいことも考えられる。この対策方法として、バックライト部とLCDモニター本体の「合わせ面」になっているバックライト受光面6aにハーフミラー状の部材等を備えることによりLCDモニター本体に当たる外光の反射光が利用出来るようにして、モニターを見やすくするなどの改善を図る。
以上の構成において、図4(a)に示すようにバックライト部31は、通常LCDモニター本体30の裏側に密着された状態で使用されている。マクロ撮影などで、照明光源が必要な場合は、(b)に示すように、LCDモニター5のバックライト部31をリンク手段32を介して回転させ、バックライト部のバックライト出射面31aを被写体21側へ向ける。このように、バックライト部31は、被写体21に対し効率よく照明光源が当たる様、任意の位置にて固定して使用する。尚、バックライト受光面6aを露出した状態で、マクロ撮影する場合などは、LCDモニターのバックライト受光面6aからの外光により、LCDモニター本体の液晶表示面6を観察しながら、マクロ撮影が可能である。また、図示しないが、バックライト受光面にハーフミラー状の部材を具備するなどすれば、図4(c)(d)に示すようにバックライト部31を反転させた状態で、LCDモニター本体30に密着させて使用しても、被写体21を確認しながらマクロ撮影を行うことが可能である。
【0017】
次に、図5は本発明の第5の実施形態の説明図であり、この実施形態に係るマクロ撮影可能なカメラが、第4の実施形態と異なる点は、LCDモニター本体30の上部に対してバックライト部31の上部を、ヒンジ40を上下方向へ回動自在に枢支し、バックライト部のみを被写体方向に照明光源を導くようにした構成である。
その他の構成は、第4の実施形態とほぼ同様である。
マクロ撮影時に被写体21を照明する場合は、バックライト部31をヒンジ40を支点として被写体側へ向けて被写体を照明する(図5(a)〜(c))。尚、LCDモニター裏面のバックライト受光面6aにも、バックライト部の照明光線を回り込ませたり、あるいは図示しないが、バックライト受光面にハーフミラー状の部材を具備するなどすれば、ユーザーはLCDモニターを観察しながらマクロ撮影が可能である。
この実施形態では、LCDモニター5のバックライト部31のみを分離(姿勢変更)することが可能な構造にすることによって、照明装置として使用する部分のバックライト部だけを被写体に向けることができるようにした。この改善点によれば、LCDモニターの観察部分はユーザーが通常使う方向にしておくことが可能なので、無理無くマクロ撮影が出来るようになる。
尚、前記第4の実施形態の場合は、リンク手段を介した回転可能な構造によってバックライト部を任意の多様な姿勢に変えることによって、被写体方向へ向ける構造としているが、本実施形態では、単純な回転構造である。このため、LCDモニター及びバックライト部分の構造を簡単な形で実現することが可能となる。
この実施形態でも、LCDモニターを観察しながらバックライト部の位置調節が出来るので、マクロ撮影時の配光を確認しながら撮影することも可能である。尚、この時LCDモニター本体はバックライト部がない分、見えにくいことも考えられる。この対策方法として、通常撮影時にはバックライト部とLCDモニターの「合わせ面」になっている、バックライト受光面にハーフミラー状の部材等を備えることによりLCDモニターに当たる外光の反射光が利用出来るようにして、モニターを見やすくするなどの改善を図ってもよい。
【0018】
次に、図6は本発明の第6の実施形態に係るマクロ撮影可能なカメラの構成及び操作説明図である。この実施形態のカメラは、LCDモニター本体30とバックライト部31とから成るLCDモニター5が、カメラ本体2より着脱可能であるようにした構成が特徴的である。
本実施形態に係るカメラ1は、カメラ本体2の前端上部中央位置に設けた枢支部50によってLCDモニター5を、着脱自在に支持した構成が特徴的である。このカメラ1は、カメラのデザイン上、撮影レンズ3の光軸とLCDモニター5の中央部が一致していない。一般撮影時は、図6(a)に示すような状態で使用する。マクロ撮影時などにおいては、図6(b)に示すように、LCDモニター5をカメラ本体2からはずし、被写体21に対してLCDモニター5の液晶表示面6aからの光線が当たるような位置に配置して被写体を照明する。この実施例では、ユーザーがLCDモニターを保持することとなる。
枢支部50は、着脱機構51を備えている。着脱機構51は、(c)(d)にも示すように、カメラ本体2の上部に設けた凹所52の左右内壁に設けた穴から内外方向へ突出入自在に支持された左軸53、右軸54と、各軸53、54を夫々突出方向へ付勢する弾性部材55、56と、一方の軸、例えば左軸53を弾性部材55に抗して引っ込ませる為に左軸53と一体化した着脱スイッチ57と、突出状態にある各軸53、54の内側端部を受け入れて回動自在に支持される軸穴58を備えたLCDモニター側突部59と、を有する。
左軸53、右軸54には、夫々弾性部材55、56が付いており、通常は、LCDモニターに設けた軸穴58に両軸の内側端部が入っていてLCDモニターの軸穴に両軸が収まる方向にテンションをかけてある。LCDモニターをはずす場合は、着脱スイッチ57を右から左にシフトさせ、それと連動して動作する左軸53をLCDモニターの軸穴58からはずすことにより行う。ちょうどトイレットペーパーを交換するような方法を実施例として採用する。また、LCDモニター5はモニターケーブル60を介してカメラ本体2と連結されている。
この実施形態によれば、カメラ本体よりLCDモニターが着脱できるようにしたので、マクロ撮影時の照明をLCDモニターを使って行う場合、そのLCDモニターを本体から着脱することにより、照明時の方向・位置などのセッティングが容易にできることとなる。
【0019】
次に、図7は本発明の第7の実施形態に係るマクロ撮影可能なカメラの構成及び操作説明図であり、このカメラ1は、撮影レンズ3を備えたカメラ本体2と、バックライトを有したLCDモニター5と、を備えたマクロ撮影可能なカメラであり、マクロ撮影時の照明用光源としてLCDモニター5からのバックライト光を利用している。更に、このLCDモニター5は、カメラ本体1に対して着脱可能なLCDモニター本体65と、LCDモニター本体65に対して回動自在に支持されたバックライト部66とを備えている。
この実施形態例においては、通常の使用状態のカメラは図7(a)のような状態となっており、マクロ撮影時には図7(b)及び図7(c)のような状態となる。
この実施形態が、第6の実施形態と異なる点は、カメラ本体2に対して着脱自在に構成したLCDモニター5を、カメラ本体1に対して着脱可能なLCDモニター本体65と、LCDモニター本体65に対して回動自在に支持されたバックライト部66と、から構成した点である。
従って、枢支部50及び着脱機構51の構成は、第6の実施形態に示したものを使用可能である。また、LCDモニター本体65に対してバックライト部66を回動自在に連結するリンク手段61の構成は図4に示した実施形態のリンク手段と同様に、アーム61aと、その両端部をLCDモニター本体65とバックライト部66に枢支するヒンジ部61bとから構成する。また、LCDモニター本体65とカメラ本体2との間は、モニターケーブル60によって接続されている。
LCDモニター本体65は、リンク手段61によりバックライト部66から分離でき、且つバックライト部66はリンク手段61を支点に回転可能な構造をしている。このバックライト部のバックライト面66aを被写体21へ向け、照明光線が被写体へ当たるにして、マクロ撮影時の照明光源として利用する。尚図7(b)に示すバックライト受光面6aにハーフミラー状の部材を備えることにより、外光が入る場合や、液晶表示面6の観察面に外光が入る場合などは、液晶表示面を観察しながらマクロ撮影が可能である。
この実施形態によれば、LCDモニター5を全体としてカメラ本体2から着脱できると共に、そのLCDモニターはLCDモニター本体65からバックライト部66が分離可能にしてあるので、マクロ撮影時にLCDモニターを照明光源として使用するときでも、カメラ本体から着脱できるので、被写体に対する照明の方向や位置が、カメラの位置に左右されず取りまわしが容易である。またバックライト部とLCDモニター本体とが分離できるので、バックライト部を被写体に向けて照明していても、撮影者がLCDモニターを観察することが容易となっている。
【0020】
次に、図8は本発明の第8の実施形態に係るマクロ撮影可能なカメラの構成及び操作説明図であり、このカメラ1は、撮影レンズ3を備えたカメラ本体2と、バックライトを有したLCDモニター5と、を備え、マクロ撮影時の照明用光源としてLCDモニター5を利用する。更に、LCDモニター5は、カメラ本体2に対して枢支部75によって回動或いは揺動自在に枢支されたLCDモニター本体70と、該LCDモニター本体70に対して着脱自在に構成されたバックライト部71とから成る。LCDモニター本体70とバックライト部71との間は、モニターケーブル72によって接続されている。
通常の撮影時は図8(a)に示すようにバックライト部71がLCDモニター本体70に設けたホルダ部73によって保持されている。マクロ撮影時の光源としてバックライト部を使用する場合は、図8(b)に示すように、ホルダ部73よりバックライト部71を取り外した状態で、被写体21に対し、照明光源としてのバックライト部71を任意の位置に配置し、適切に照明されるようにバックライト部を調整する。尚、バックライト受光面にハーフミラー状の部材などを備えることにより、外光が入る場合や、液晶表示面6に外光が入る場合などは、液晶表示面6を観察しながらマクロ撮影が可能である。
この実施形態は、カメラ本体2に対してLCDモニターのバックライト部71のみを着脱可能にすることにより、マクロ撮影時の照明装置としては、LCDモニターと一体のタイプよりもバックライト部単体のほうが軽く、取りまわしが容易に出来るようにしている。また、LCDモニターの液晶表示面6はカメラ本体に取りついている状態で、撮影時は、ユーザーが確認することが可能である。
【0021】
次に、図9は本発明の第9の実施形態に係るマクロ撮影可能なカメラの構成及び動作説明図であり、本実施形態は上記他の全ての実施形態に共通して適用可能な構成例であるが、ここでは図1の例を用いて説明する。
この実施形態に係るカメラ1の特徴的な構成は、マクロ撮影時に利用するバックライト付LCDモニター5の液晶表示面6の輝度を被写体の条件或はLCDモニターの位置などの条件に応じて、複数段階のパターンに変更可能にした点にある。
例えばユーザーが、図9(a)に示すカメラ本体2に備えられている輝度操作釦76を一操作(1回押)する毎に、液晶表示面6(LCDモニター面)の輝度が、「明るい→明暗中間→暗い→OFF→明るい→…」と切り替えられるようになっていて、その操作内容に応じて図9(b)に示すように、バックライト部を有するLCDモニター5のバックライト部の輝度が切り替わる。バックライト部とLCDモニターは一体構造をしており、マクロ撮影時の照明光源として使用されている液晶表示面6の輝度(濃度)は、それに応じて切り替わる。輝度のセッティングは、撮影するユーザーが、被写体の条件や撮影環境やLCDモニターの位置などを考慮し適切な輝度を決定しセッティングする。
以上のように本実施例は、液晶表示面6(LCDモニター面)の面全体の明るさを調整できるようにしたことにより、被写体21の周りの明るさ・環境に応じた適切な照明が出来るようにすると共に、バックライト付きLCDモニター5と被写体に対する角度・距離などがいろいろな条件下にあったとしても、それに対して適切な照明が出来るようになった。
なお、カメラ本体の機能として備えている「AE:自動露出」の情報などをもとにカメラ側の持つ情報を元に、自動でバックライトの輝度を決定するような機構を備えさせることも可能である。
【0022】
次に、図10は、本発明の第10の実施形態、換言すれば、第9実施形態の変形例であり、マクロ撮影時に照明光源として活用する液晶表示面6(LCDモニター面)の各エリアの輝度(濃度)を、被写体21から液晶表示面6までの距離に応じて任意複数段階の輝度にセットできることを特徴としている。即ち、液晶表示面6から被写体までの距離に応じて、液晶表示面内のあるエリアは輝度を高く、他のエリアは輝度を低くと言った事を実現できることを特徴としている。
この実施形態も、上記した全ての実施形態に係るカメラに適用することができるが、ここでは図1に示した実施形態に係るカメラに適用する場合を説明する。
このカメラに備えられているLCDモニター5は液晶表示面6の輝度を図10(a)〜(c)の各パターンに順次切り替えることができる。その操作は、液晶表示面6から被写体21までの距離やモニター面の角度等により、図9に示すモニター面輝度操作釦76をユーザーが操作することにより行う。液晶表示面の輝度パターンについては、あらかじめカメラ1のメモリー等に画像ファイル等で記録しておき、ユーザーがモニター面パターン操作釦を操作することにより、いくつか用意されている液晶表示面のパターンを選択して使用する。尚、図示しないが別の方法として、ユーザーがモニター面パターン操作釦を操作するのではなく、LCDモニターの傾斜角度をカメラが検出し、自動で適切な液晶表示面6の濃度パターンを切り替えるようにしてもよい。
このように、この実施形態では、液晶表示面6の面内のエリア毎に光量を変えられるようにしたので、例えば液晶表示面と被写体が近い場合に、被写体に当たる照明光量の配分が一定になるようなセッティングが出来るようになる。
カメラ本体の機能として備えている「AE:自動露出」の情報などをもとにカメラ側の持つ情報を元に、自動でバックライトの輝度を決定するような機構を備えさせることも可能である。
なお、第9及び第10の実施形態を図4、図5、図7、図8のカメラの液晶表示面に適用する場合にも、バックライト部の輝度を図9(b)、或いは図10のように変更可能に構成することとなる。
【0023】
次に、図11は本発明の第11の実施形態の制御手順を示すフロー図である。この実施形態に係るカメラにおいては、バックライトを持つLCDモニター5又はLCDモニターのバックライト部31、66、71を、マクロ撮影時の照明装置として、「使用する或いは使用しない」モード、又は「常時使用する或いはレリーズ時(画像を取り込む時)だけ使用する」モードといった選択ができるように構成した点が特徴的である。具体的には、切り替えスイッチを用いた操作によってこのような切り替えを行う。
上記各実施形態の説明において図示したカメラ1において、バックライトを備えたLCDモニター、或いはバックライト部を備えたカメラ本体には、選択スイッチ80を設けてある。
図12は、選択スイッチ80の使用例を説明している。
選択スイッチ80の切り替えは次の如き2つのパターンに分けられる。
使用しないモード:マクロ撮影時、LCDモニター5のバックライト(バックライト部を含む)をOFFし、照明光源として利用しない。
使用するモード:
(2−1)常時使用する:マクロ撮影時は被写体をモニターリングしているときもLCDモニターのバックライトはON状態で被写体を照明する。
(2−2)レリーズ時だけ使用する:マクロ撮影時、ユーザーが被写体を撮影する準備をしている間はLCDモニターのバックライトはOFFの状態。実際に画像を取り込むときだけ(例えばユーザーがレリーズ操作をしたときだけ)LCDモニターのバックライトがONし、被写体を照明する。
実際には、あらかじめカメラ本体の制御部に設けたメモリー中にこのような内容のプログラムを組んでおく。
この実施形態によれば、前記全ての実施形態において、マクロ撮影時の照明が必要な時にだけ被写体照射用にバックライトを使用できるようにすることで、節電を図り、カメラの電池寿命を延ばすことができる。また、マクロ撮影時でも常に照明を必要とするわけでは無い為、撮影シーンにより、照明が不要である場合は、ユーザーがそれを選択できるようにした。
なお、本発明は、通常のカメラは勿論、デジタルカメラ、LCDモニターを備えた撮影装置(ビデオカメラなど)にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】(a)乃至(f)は本発明の一実施形態に係るマクロ撮影可能なカメラの構成及び動作を示す説明図。
【図2】図1の実施形態におけるカメラの使用方法を示す図。
【図3】本発明の第3の実施形態に係るマクロ撮影可能なカメラの説明図であり、(a)は正面からの斜視図、(b)は一部断面正面図。
【図4】(a)乃至(d)は本発明の第4の実施形態に係るマクロ撮影可能なカメラの構成及び操作を示す図。
【図5】(a)乃至(c)は本発明の第5の実施形態の構成及び動作の説明図。
【図6】(a)乃至(d)は本発明の第6の実施形態の構成及び動作説明図。
【図7】(a)(b)及び(c)は本発明の第7の実施形態に係るマクロ撮影可能なカメラの構成及び操作説明図。
【図8】(a)及び(b)は本発明の第8の実施形態に係るマクロ撮影可能なカメラの構成及び操作説明図。
【図9】(a)及び(b)は本発明の第9の実施形態に係るマクロ撮影可能なカメラの構成及び動作説明図。
【図10】(a)(b)及び(c)は本発明の第10の実施形態の説明図。
【図11】本発明の第11の実施形態の制御手順を示すフロー図。
【符号の説明】
【0025】
1 カメラ、2 カメラ本体、3 撮影レンズ、4 レリーズ釦、5 LCDモニター、6 液晶表示面、6a バックライト受光面、10 枢支部、15、16 軸、20 凹所、25 ガイド溝(ガイド手段)、26 スライドブロック、27 被枢支部、30 LCDモニター本体、31 バックライト部、31a バックライト出射面、32 リンク手段、35 アーム、36 ヒンジ、40 ヒンジ、50 枢支部、51 着脱機構、53 左軸、54 右軸、55、56 弾性部材、57 着脱スイッチ、58 軸穴、59 LCDモニター側突部、60 モニターケーブル、61 リンク手段、61a アーム、61b ヒンジ、65 LCDモニター本体、66 バックライト部、80 選択スイッチ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影レンズを備えた本体と、表示面とバックライト部とを有した表示部と、を備えたカメラであって、
前記バックライト部が前記表示部に対して姿勢変更可能であることを特徴とするカメラ。
【請求項2】
前記表示部が、2軸枢支機構によって前記本体に対して2方向に回動自在に支持されることを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項3】
前記バックライト部が、前記表示部本体に対してリンク手段を介して回動可能に支持されることを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラ。
【請求項4】
前記バックライト部が、前記表示部本体に対してヒンジによって回動可能に支持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラ。
【請求項5】
前記バックライト部が、前記表示部本体に対して着脱可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラ。
【請求項6】
撮影レンズを備えた本体と、被写体像を表示する表示面とバックライト部とを有した表示部と、を備えたカメラであって、
前記表示部が、2軸枢支機構によって前記本体に対して2方向に回動自在に支持され、
前記表示面を被写体に向けることで、前記バックライト部からの光を前記被写体に照射することを特徴とするカメラ。
【請求項7】
前記表示部は、前記本体に対して着脱可能であることを特徴とする請求項6に記載のカメラ。
【請求項8】
前記バックライト部を有した表示部の表示面全体の輝度を、切り替えられることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のカメラ。
【請求項9】
前記バックライト部を有した表示部の表示面の輝度を、表示面のエリア毎に複数段階に切り替えできることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のカメラ。
【請求項1】
撮影レンズを備えた本体と、表示面とバックライト部とを有した表示部と、を備えたカメラであって、
前記バックライト部が前記表示部に対して姿勢変更可能であることを特徴とするカメラ。
【請求項2】
前記表示部が、2軸枢支機構によって前記本体に対して2方向に回動自在に支持されることを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項3】
前記バックライト部が、前記表示部本体に対してリンク手段を介して回動可能に支持されることを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラ。
【請求項4】
前記バックライト部が、前記表示部本体に対してヒンジによって回動可能に支持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラ。
【請求項5】
前記バックライト部が、前記表示部本体に対して着脱可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラ。
【請求項6】
撮影レンズを備えた本体と、被写体像を表示する表示面とバックライト部とを有した表示部と、を備えたカメラであって、
前記表示部が、2軸枢支機構によって前記本体に対して2方向に回動自在に支持され、
前記表示面を被写体に向けることで、前記バックライト部からの光を前記被写体に照射することを特徴とするカメラ。
【請求項7】
前記表示部は、前記本体に対して着脱可能であることを特徴とする請求項6に記載のカメラ。
【請求項8】
前記バックライト部を有した表示部の表示面全体の輝度を、切り替えられることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のカメラ。
【請求項9】
前記バックライト部を有した表示部の表示面の輝度を、表示面のエリア毎に複数段階に切り替えできることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のカメラ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−304618(P2007−304618A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−180319(P2007−180319)
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【分割の表示】特願2000−367500(P2000−367500)の分割
【原出願日】平成12年12月1日(2000.12.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【分割の表示】特願2000−367500(P2000−367500)の分割
【原出願日】平成12年12月1日(2000.12.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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