カメラ
【課題】測光素子の測光信号を用いる複数の機能ごとに適した位置ずれ補正を行うこと。
【解決手段】カメラは、被写体光を測光し、測光信号を出力する測光素子13と、測光信号に対して、記憶部42に記憶された測光素子13の所定位置からの位置ずれ量データを用いて測光素子13の位置ずれを補正する位置ずれ補正処理を行い、位置ずれ補正処理後の測光信号を用いて、撮影条件の設定に関連する機能のうちの少なくとも二つの機能を実行可能な実行部31、32、33と、を備え、実行部31、32、33は、機能ごとに異なる位置ずれ補正処理を行う。
【解決手段】カメラは、被写体光を測光し、測光信号を出力する測光素子13と、測光信号に対して、記憶部42に記憶された測光素子13の所定位置からの位置ずれ量データを用いて測光素子13の位置ずれを補正する位置ずれ補正処理を行い、位置ずれ補正処理後の測光信号を用いて、撮影条件の設定に関連する機能のうちの少なくとも二つの機能を実行可能な実行部31、32、33と、を備え、実行部31、32、33は、機能ごとに異なる位置ずれ補正処理を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
ファインダスクリーン上に結像した被写体像を、測光センサの受光面に再結像させて撮影画面を測光するカメラが知られている(特許文献1参照)。この種のカメラでは、測光センサが撮影画面に対して正確に位置決めされていないと、撮影画面内の各位置における実際の被写体輝度と、カメラで認識される各位置の輝度とが一致せず、正確に露出値が演算できない。そこで、特許文献1に記載のカメラでは、測光センサの位置を調整可能な調整機構が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−258290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、調整機構により測光センサの位置が一意に補正されるため、測光センサの測光信号を用いる複数の機能ごとに適した位置ずれ補正を行うことは考慮されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によるカメラは、被写体光を測光し、測光信号を出力する測光素子と、測光信号に対して、記憶部に記憶された測光素子の所定位置からの位置ずれ量データを用いて測光素子の位置ずれを補正する位置ずれ補正処理を行い、位置ずれ補正処理後の測光信号を用いて、撮影条件の設定に関連する機能のうち少なくとも二つの機能を実行可能な実行部と、を備え、実行部は、機能ごとに異なる位置ずれ補正処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、測光素子の測光信号を用いる複数の機能ごとに適した位置ずれ補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施の形態による一眼レフ電子カメラの構成を説明する図である。
【図2】電子カメラの要部構成を説明するブロック図である。
【図3】測光センサの正面図である。
【図4】測光センサの位置ずれ量の計測方法を説明する図である。
【図5】テストチャートを説明する図である。
【図6】測光センサ上に結像されたテストチャートの像を説明する図である。
【図7】測光領域のシフトを説明する図である。
【図8】露出演算機能におけるブロック化を説明する図である。
【図9】被写体追尾機能におけるブロック化を説明する図である。
【図10】顔検出機能におけるブロック化を説明する図である。
【図11】(a)は測光信号の間引き読み出しを説明する図であり、(b)はTTL調光演算機能におけるブロック化を説明する図である。
【図12】間引き読み出し領域のシフトを説明する図である。
【図13】変形例2において、測光センサ上に結像されたテストチャートの像を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。図1は、本発明の一実施の形態による一眼レフ電子カメラの構成を説明する図である。図1において、カメラ本体4に対して着脱可能な交換レンズ1が装着されている。
【0009】
被写体からの光は、撮像レンズ2および絞り3を介してカメラ本体4へ入射される。カメラ本体4に入射した被写体光は、シャッタレリーズ前は図1に例示したミラーダウン状態にある一部半透過のクイックリターンミラー(以下メインミラーと呼ぶ)5で上方のファインダ部へ向けて折り曲げられ、ファインダスクリーン6へ向けて進行する。また、メインミラー5を透過した一部の被写体光は、サブミラー14によって下方へ折り曲げられ、焦点検出センサ15へ導かれる。
【0010】
ファインダスクリーン6へ入射された被写体光束は、撮像レンズ2によって拡散面6aに結像する。ファインダスクリーン6で拡散された光束はさらに、ファインダ光学系の光軸22に沿ってペンタプリズム8へ入射される。ペンタプリズム8は、拡散された被写体光を接眼レンズ9へ導く。撮影者は、接眼部10から接眼レンズ9を通してファインダスクリーン6上の被写体像を観察する。
【0011】
また、ファインダスクリーン6で拡散された光束の一部は、ファインダ光学系の光軸22から傾いた測光光学系光軸23の方向へ進み、三角プリズム11の反射面11aで上方へ折り曲げられる。この光束は測光レンズ12を介して測光センサ13の受光面に再結像する。
【0012】
シャッタレリーズ後は、メインミラー5が上方へ回動し(ミラーアップ状態)、全ての被写体光は開駆動されるメカニカルシャッター16を介して撮像素子17へ導かれ、その撮像面上に被写体像を結像する。撮像素子17は、撮像面上に結像されている被写体像を撮像し、被写体像に応じた光電変換信号を出力する。撮像が終了するとメカニカルシャッター16が閉駆動され、メインミラー5がミラーダウン状態へ戻る。
【0013】
上述した電子カメラにおいて、測光センサ13は、画素に対応する複数の光電変換素子を備えたCMOSイメージセンサなどによって構成される。光電変換素子は、光の強さに応じた信号電荷を蓄積する。測光センサ13の受光面には画素位置に対応させてベイヤー配列されたカラーフィルタ13aが設けられており、測光センサ13による蓄積信号から色情報が得られるよう構成されている。
【0014】
図2は、電子カメラの要部構成を説明するブロック図である。測光センサ13は、光の強さに応じた信号電荷を蓄積する蓄積動作を行う。センサ制御部31は、制御部32の指示に応じて、測光センサ13の蓄積動作および蓄積信号の読出し動作を制御する。測光センサ13から読み出された蓄積信号は、センサ制御部31を介して演算部33に送られる。演算部33は、露出演算部34、被写体追尾処理部35、顔検出処理部36、およびTTL調光演算部37を含む。
【0015】
本実施形態の電子カメラは、不図示のレリーズボタンが半押し操作されると、測光センサ13の蓄積動作と、測光センサ13からの蓄積信号に基づく露出演算とを繰り返し行う。また、測光センサ13からの蓄積信号に基づいて顔検出処理や被写体追尾処理などを行う。AF(Auto Focus)制御部38は、たとえば顔検出処理部36による顔検出処理結果に基づく顔の位置、または被写体追尾処理部35による被写体追尾処理結果に基づく被写体の位置において焦点検出を行う。そして、焦点検出結果に基づいて撮像レンズ2のフォーカスレンズを駆動させ、合焦動作を行う。
【0016】
レリーズボタンが全押し操作されると、電子カメラは撮影制御を行う。このとき露出制御部39は、露出演算部34による露出演算結果に基づいて絞り3およびメカニカルシャッター16を制御する。
【0017】
また、電子カメラは、被写体に撮影補助光を照射する照明装置40の発光が許可されている場合にレリーズボタンが全押し操作されると、TTL調光動作を行った後、撮影制御を行う。TTL調光動作では、照明装置40の予備発光に合わせて測光センサ13の蓄積動作を行い、該蓄積動作により得られた信号に基づいてTTL調光演算を行う。照明制御部41は、TTL調光演算部37によるTTL調光演算結果に基づいて照明装置40の本発光量を制御する。
【0018】
記憶部42には、後述する位置ずれ量データが格納される。制御部32は、記憶部42から位置ずれ量データを読み出し、後述する位置補正処理において、該位置ずれ量データを用いてセンサ制御部31および演算部33を制御する。
【0019】
図3は、測光センサ13の正面図である。測光センサ13は、マトリクス状に配列された複数の画素(光電変換素子)を備えており、画素数はたとえば約10万画素である。本実施形態において測光センサ13の受光領域は、測光を行う所定サイズの領域(測光領域)50よりも短辺および長辺の長さが2ΔLずつ長い矩形状に構成される。なお、測光センサ13の受光領域は、接眼レンズ9で観察される全視野51よりは小さく構成される。本実施形態では、測光センサ13の位置ずれを補正する(詳しくは後述する)ために、測光センサ13の受光領域が測光領域50よりも一回り大きく構成されている。
【0020】
−位置ずれ量の計測−
図4は、測光センサ13の位置ずれ量の計測方法を説明する図である。この方法では、図5に示すテストチャート60を測光センサ13で撮像して得られる画像データを用いて位置ずれ量を計測する。
【0021】
パーソナルコンピュータ(PC)61は、LCDモニタ62にテストチャート60を表示させる。LCDモニタ62の周囲には、LCDモニタ62に周囲の環境光が写り込まないように遮光カバー63が設けられる。テストチャート60(図5)は、中心Otを通りX方向(画面水平方向)に平行なラインTxと、中心Otを通りY方向(画面垂直方向)に平行なラインTyとを有する。
【0022】
テストチャート60が表示されたLCDモニタ62は、電子カメラの交換レンズ1の前方に設置される。電子カメラの交換レンズ1の光軸21とテストチャート60の中心Otとが一致するように、LCDモニタ62と電子カメラとを位置決めする。
【0023】
このように位置決めした状態で、電子カメラをミラーダウン状態とし、測光センサ13の受光面にテストチャート60の像を結像させ、測光センサ13に該光像を撮像させる。図6は、測光センサ13上に結像されたテストチャート60の像を示す。図6(a)に示すように、測光センサ13の中心Osとテストチャート60の中心Otとが一致する場合、測光センサ13の中心Osと撮像レンズ2の光軸(撮影画面の中心)とが一致する。この場合の測光センサ13の位置を基準位置とし、位置ずれ量をゼロとする。
【0024】
これに対し、図6(b)に示すように、測光センサ13の中心Osとテストチャート60の中心Otとの位置が一致しない場合は、測光センサ13の中心Osと撮像レンズ2の光軸(撮影画面の中心)とが一致しない。本実施形態では、測光センサ13の中心Osに対するテストチャート60の中心Otの位置ずれ量を、撮影画面に対する測光センサ13の位置ずれ量として計測する。なお、X方向の位置ずれ量をΔXmとし、Y方向の位置ずれ量をΔYmとする。
【0025】
ΔXmおよびΔYmは、測光センサ13の画素ピッチよりも細かい単位で計測が可能である。たとえば、テストチャート60のラインTxおよびTyの幅が測光センサ13の1画素分の幅に相当するようにテストチャート60と交換レンズ1の距離を調整する。ラインTxの像が測光センサ13のY方向において2画素にまたがって写るときは、該2画素の受光量の比に基づいてラインTxのY方向の位置(すなわちテストチャート60の中心OtのY方向の位置)を画素ピッチよりも細かい単位で求めることができる。
【0026】
そして、次式(1)により測光センサ13のX方向における画素ピッチ単位の位置ずれ量(以下、X方向調整値とも呼ぶ)ΔXを求める。
ΔXm÷Px=ΔX 余り dx …(1)
ただし、Px:測光センサ13の1画素のX方向の長さである。ΔXは整数とし、余りをdxとして求める。dx:測光センサ13の画素ピッチよりも細かい位置ずれ量(以下、X方向残留値とも呼ぶ)である。
【0027】
同様にして、次式(2)により測光センサ13のY方向における画素ピッチ単位の位置ずれ量(以下、Y方向調整値とも呼ぶ)ΔYを求める。
ΔYm÷Py=ΔY 余り dy …(2)
ただし、Py:測光センサ13の1画素のY方向の長さである。ΔYは整数とし、余りをdyとして求める。dy:測光センサ13の画素ピッチよりも細かい位置ずれ量(以下、Y方向残留値とも呼ぶ)である。
【0028】
このように計測された、X方向調整値ΔX、Y方向調整値ΔY、X方向残留値dx、およびY方向残留値は、位置ずれ量データとして記憶部42に記憶される。以上の位置ずれ量の計測は、たとえば、電子カメラの製造工程などで行われ、該位置ずれ量データが記憶部42に記憶された電子カメラが出荷される。
【0029】
本実施形態の電子カメラは、該位置ずれ量データを用いて、測光センサ13の位置ずれを補正する位置ずれ補正処理を行う。この位置ずれ補正処理は、測光センサ13の蓄積信号を利用する複数の機能(露出演算機能、被写体追尾機能、顔検出機能およびTTL調光演算機能)において、各機能別に行う。以下、各機能別の位置ずれ補正処理について説明する。
【0030】
−露出演算機能における位置ずれ補正処理−
露出演算時、センサ制御部31は、所定時間の蓄積が行われた測光センサ13から蓄積信号を読み出す。本実施形態のセンサ制御部31は、測光センサ13の受光領域における全ての画素からの蓄積信号を読み出すのではなく、測光領域内に含まれる画素からの蓄積信号を読み出す。
【0031】
位置ずれがある場合、上述したように、測光センサ13の中心Osに対して撮像レンズ2の光軸の中心(撮影画面の中心)が、X方向位置ずれ量ΔXmおよびY方向位置ずれ量ΔYm分ずれている。このX方向位置ずれ量ΔXmおよびY方向位置ずれ量ΔYmは、上述したように、測光センサ13の画素ピッチよりも細かい単位で計測されている。
【0032】
しかしながら、測光センサ13から蓄積信号を読み出す領域は、画素ピッチ未満の単位では調整できない。そこで、センサ制御部31は、画素ピッチ単位のずれ量である上記X方向調整値ΔXおよびY方向調整値ΔYを用いて測光領域Asを設定する。
【0033】
図7は、測光領域Asを説明する図である。測光センサ13の位置ずれがない場合における測光領域Akの左上隅の位置が、読み出し開始位置Pk(X0,Y0)として設定されている。上述したように測光センサ13は、測光領域Akよりも短辺および長辺が2ΔLずつ長いので、測光センサ13の左上隅を原点(0,0)とすると、読み出し開始位置Pk(X0,Y0)=(ΔL,ΔL)となる。
【0034】
測光センサ13の位置ずれがある場合における測光領域Asの読み出し開始位置Ps(X0’,Y0’)は、上記X方向調整値ΔXおよびY方向調整値ΔYを用いて次式(3)および(4)により算出される。
X0’=X0+ΔX …(3)
Y0’=Y0+ΔY …(4)
【0035】
センサ制御部31は、算出した読み出し開始位置Psが左上隅となるように上記測光領域Akをシフトさせた領域を測光領域Asとして設定して、該測光領域Asから蓄積信号を読み出す。これにより、撮影画面に対する測光センサ13の位置ずれが画素ピッチ単位において補正される。
【0036】
このように、露出演算時において、制御部32は、記憶部42からX方向調整値ΔXおよびY方向調整値ΔYを読み出して、センサ制御部31に出力する。センサ制御部31は、X方向調整値ΔXおよびY方向調整値ΔYを用いて上記読み出し開始位置Psを算出し、上記読み出し開始位置Psを用いて測光領域Asを設定する。センサ制御部31は、測光センサ13の測光領域As内の画素から蓄積信号を読み出し、露出演算部34に出力する。
【0037】
露出演算部34は、図8に示すように、測光センサ13において、隣接するa×a個の画素をまとめて1つの露出演算用ブロック71とし、露出演算用ブロック71に含まれる画素ごとの出力信号を合成加算して、露出演算用ブロック71ごとの輝度信号を生成する。露出演算部34は、該露出演算用ブロック71ごとの輝度信号に基づいて公知の露出演算を行う。
【0038】
−被写体追尾機能における位置ずれ補正処理−
被写体追尾機能においても、露出演算機能と同様に、センサ制御部31は、X方向調整値ΔXおよびY方向調整値ΔYを用いて設定した測光領域Asからの蓄積信号を被写体追尾処理部35に出力する。これにより、撮影画面に対する測光センサ13の位置ずれが画素ピッチ単位において補正された蓄積信号が被写体追尾処理部35に入力される。また制御部32は、記憶部42からX方向残留値dxおよびY方向残留値dyを読み出して被写体追尾処理部35に出力する。
【0039】
被写体追尾処理部35は、図9に示すように、測光センサ13において、隣接するb×b個の画素をまとめて1つの被写体追尾用ブロック72とし、被写体追尾用ブロック72に含まれる画素ごとの出力信号を加算して、被写体追尾用ブロック72ごとのRGB信号を生成する。なお、被写体追尾用ブロック72のサイズは、露出演算用ブロック71のサイズより小さく設定される(すなわちb<a)。被写体追尾処理部35は、該被写体追尾用ブロック72ごとのRGB信号に基づいて公知の被写体追尾処理を行い、たとえば後述する顔検出処理によって検出された顔を追尾対象として、その位置を検出する。
【0040】
被写体追尾処理部35は、検出した追尾対象の位置(x,y)を、制御部32から入力されたX方向残留値dxおよびY方向残留値dyを用いて次式(5)および(6)により補正し、補正後の追尾対象の位置(x’,y’)を算出する。
x’=x+dx …(5)
y’=y+dy …(6)
【0041】
これにより、撮影画面に対する測光センサ13の位置ずれが、画素ピッチよりも細かい単位において補正される。被写体追尾処理部35は、上記補正後の追尾対象の位置(x’,y’)を被写体追尾処理結果としてAF制御部38に出力する。
【0042】
−顔検出機能における位置ずれ補正処理−
顔検出機能においても、露出演算機能および被写体追尾機能と同様に、センサ制御部31は、X方向調整値ΔXおよびY方向調整値ΔYを用いて設定した測光領域Asからの蓄積信号を顔検出処理部36に出力する。これにより、撮影画面に対する測光センサ13の位置ずれが画素ピッチ単位において補正された蓄積信号が顔検出処理部36に入力される。また制御部32は、記憶部42からX方向残留値dxおよびY方向残留値dyを読み出して顔検出処理部36に出力する。
【0043】
顔検出処理部36は、図10に示すように、測光センサ13における1つの画素70を1つの顔検出用ブロック73として扱い、顔検出用ブロック73からの出力信号(すなわち各画素40からの出力信号)を顔検出用データとする。すなわち顔検出用ブロック73のサイズは、各画素70のサイズと同じなので、露出演算用ブロック71および被写体追尾用ブロック72のいずれのサイズよりも小さい。
【0044】
顔検出処理部36は、画素70ごとの信号に対して公知の画素補間処理を行って画素70ごとのRGB信号を生成する。そして顔検出処理部36は、該画素70ごとのRGB信号を用いて公知の顔検出処理を行い、顔位置を検出する。
【0045】
顔検出処理部36は、検出した顔位置(x,y)を、制御部32から入力されたX方向残留値dxおよびY方向残留値dyを用いて上記式(5)および(6)により補正し、補正後の顔位置(x’,y’)を算出する。
【0046】
これにより、撮影画面に対する測光センサ13の位置ずれが、画素ピッチよりも細かい単位において補正される。顔検出処理部36は、上記補正後の顔位置(x’,y’)を顔検出処理結果としてAF制御部38に出力する。
【0047】
以上のように本実施形態では、測光センサ13から出力される所定画素数の画像データを、機能ごとに適したサイズのブロックに区分して各機能を実行することをふまえ、各機能別に上記位置ずれ補正処理を行う。たとえば顔検出機能では、顔の位置検出の精度が求められるため、顔検出用ブロック73のサイズを画素70と同程度のサイズとしている。また、測光センサ13の画素ピッチ単位の補正を行ったあとに顔位置を検出し、検出した顔位置に対し画素ピッチよりも細かい位置ずれを補正することにより、顔位置の精度を向上することができる。
【0048】
被写体追尾機能では、追尾対象の移動位置検出の精度と演算負荷とを考慮し、被写体追尾用ブロック72のサイズを顔検出用ブロック73より大きく且つ露出演算用ブロック71より小さくしている。また、測光センサ13の画素ピッチ単位の補正を行ったあとに被写体位置を検出し、検出した被写体位置に対し画素ピッチよりも細かい位置ずれを補正することにより、被写体位置の精度を向上することができる。
【0049】
さらに、露出演算機能では、位置精度よりも信号レベルの精度が求められるため、露出演算用ブロック71のサイズを被写体追尾用ブロック72および顔検出用ブロック73のいずれのサイズより大きくする。これにより、露出演算機能の演算負荷を低減する。また露出演算機能では、露出演算用ブロック71のサイズが比較的大きいため、画素ピッチよりも細かい位置ずれの影響が少なく、画素ピッチよりも細かい位置ずれの補正を省略することができる。
【0050】
−TTL調光演算機能における位置ずれ補正処理−
TTL調光演算機能では、上述した3つの機能(露出演算機能、被写体追尾機能および顔検出機能)と異なり、センサ制御部31は、測光センサ13から所定数の水平方向の画素列(水平ライン)ごとに蓄積信号を読み出す動作、いわゆる間引き読み出しを行う。図11(a)は、この間引き読み出しを説明する図である。図11(a)において、斜線が描かれた画素70は、蓄積信号を読み出さない画素を示し、斜線が描かれていない画素70は、蓄積信号を読み出す画素を示す。なお、図11では、図示の都合上、測光センサ13の一部を抜き出して図示している。図11(a)に示すように、測光センサ13からはc行につきd行ずつ信号が読み出される。本実施形態は、このように間引き読み出しを行うことで、読み出し時間を短縮できるよう構成されている。
【0051】
またセンサ制御部31は、上記間引き読み出し時に、上述した3つの機能と同様に測光センサ13の位置ずれを画素ピッチ単位で補正するよう構成されている。図12(a)は、測光センサ13の位置ずれがない場合における間引き読み出し領域Arを説明する図であり、図12(b)は、測光センサ13の位置ずれがある場合における間引き読み出し領域Amを説明する図である。
【0052】
図12(a)に示す測光センサ13の位置ずれがない場合における間引き読み出し領域Arは、測光センサ13の位置ずれがない場合における上記測光領域Ak内で、上記c行につき上記d行ずつ、所定の行数が設定される。間引き読み出し領域Arの左上隅の位置が、読み出し開始位置Pr(X0,YOffset)として設定されている。
【0053】
図12(b)に示す測光センサ13の位置ずれがある場合における間引き読み出し領域Amの読み出し開始位置Pm(X0’,YOffset’)は、上記X方向調整値ΔXおよびY方向調整値ΔYを用いて次式(7)および(8)により算出される。
X0’=X0+ΔX …(7)
YOffset’=YOffset+ΔY …(8)
【0054】
センサ制御部31は、算出した読み出し開始位置Pmが左上隅となるように上記間引き読み出し領域Arをシフトさせた領域を間引き読み出し領域Amとして設定して、該間引き読み出し領域Amから蓄積信号を読み出す。これにより、撮影画面に対する測光センサ13の位置ずれが、画素ピッチ単位において補正される。
【0055】
このように、TTL調光演算時において、制御部32は、記憶部42からX方向調整値ΔXおよびY方向調整値ΔYを読み出して、センサ制御部31に出力する。センサ制御部31は、X方向調整値ΔXおよびY方向調整値ΔYを用いて上記読み出し開始位置Pmを算出し、上記読み出し開始位置Pmを用いて間引き読み出し領域Amを設定する。センサ制御部31は、間引き読み出し領域Am内の画素から蓄積信号を読み出し、TTL調光演算部37に出力する。
【0056】
TTL調光演算部37は、上記間引き読み出し領域Amにおいて、図11(b)に示すように、隣接するd×e個の画素70をまとめて1つのTTL調光演算用ブロック74とし、TTL調光演算用ブロック74に含まれる画素70ごとの出力信号を合成加算してTTL調光演算用ブロック74ごとの輝度信号を生成する。なお、TTL調光演算用ブロック74の垂直方向の画素数は、間引き読み出しするd行に対応してd個とする。また、本実施形態では、TTL調光演算用ブロック74を横長の矩形状とし、TTL調光演算用ブロック74の垂直方向の画素数よりも水平方向の画素数を多くする(すなわちd<e)。TTL調光演算部37は、TTL調光演算ブロック74ごとの輝度信号に基づいて公知のTTL調光演算を行う。
【0057】
TTL調光演算機能では、演算スピードが求められるため、読み出した蓄積信号を上記TTL調光演算用ブロック74によりブロック化することにより、TTL調光演算機能の精度を維持しながら演算スピードを向上する。またTTL調光演算機能では、複数の画素の蓄積信号をブロック化するため、画素ピッチよりも細かい位置ずれの影響が少なく、画素ピッチよりも細かい位置ずれの補正を省略することができる。
【0058】
以上説明した実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)被写体光を測光し、測光信号(蓄積信号)を出力する測光センサ13と、測光信号に対して、記憶部42に記憶された測光センサ13の所定位置(上記基準位置)からの位置ずれ量データを用いて測光センサ13の位置ずれを補正する位置ずれ補正処理を行い、位置ずれ補正処理後の測光信号を用いて、撮影条件の設定に関連する機能(露出演算機能、被写体追尾機能、顔検出機能およびTTL調光演算機能)を実行するセンサ制御部31、制御部32、演算部33と、を備え、センサ制御部31、制御部32、演算部33は、機能ごとに異なる位置ずれ補正処理を行うように構成したので、測光センサ13の測光信号を用いる複数の機能(露出演算機能、被写体追尾機能、顔検出機能およびTTL調光演算機能)ごとに適した位置ずれ補正を行うことができる。また、本実施形態のカメラは、測光センサ13の位置を調整する調整機構などを設けて機械的に位置ずれを補正する場合と比較して、該調整機構による調整難度の問題や該調整後のカバー取付等の後作業により発生する位置ずれの問題などもなく、また該調整機構を省略できる分小型化することもできる。
【0059】
(2)上記(1)のカメラにおいて、被写体像を撮像して、撮影用の画像データを出力する撮像素子17と、撮影用光路上に位置する第1状態(ミラーダウン状態)と撮影用光路外に位置する第2状態(ミラーアップ状態)とを切り替え、第1状態の場合に測光センサ13に被写体光を導き、第2状態の場合に撮像素子17に被写体光を導くメインミラー5と、をさらに備えるように構成したので、複数の機能ごとに適した位置ずれ補正を、一眼レフ電子カメラの測光センサ13に対して行うことができる。
【0060】
(3)上記(1)または(2)のカメラにおいて、位置ずれ量データは、測光センサ13の水平(X)方向および垂直(Y)方向における位置ずれ量を、所定の単位(画素ピッチ)で示す第1位置ずれ量データ(X方向調整値ΔXおよびY方向調整値ΔY)と、所定の単位よりも細かいずれ量を示す第2位置ずれ量データ(X方向残留値dxおよびY方向残留値dy)とを含むように構成したので、たとえば画素ピッチ単位での位置ずれ補正と、画素ピッチよりも細かい位置ずれの補正とを行うことができる。
【0061】
(4)上記(3)のカメラにおいて、測光センサ13は、所定の測光領域50よりも大きな受光領域を有し、センサ制御部31は、受光領域内において所定位置に対応する測光領域Akを第1位置ずれ量データ(X方向調整値ΔXおよびY方向調整値ΔY)を用いてシフトさせ、シフトさせた測光領域Asから測光信号を読み出すことにより、露出演算機能における位置ずれ補正処理を行うように構成したので、複数の画素をブロック化した測光信号を扱う露出演算に対応して、たとえば画素ピッチ単位の位置ずれ補正のみを行い、画素ピッチよりも細かい位置ずれの補正を省略することで演算負荷を低減できる。すなわち、露出演算機能に適した位置ずれ補正を行うことができる。
【0062】
(5)上記(3)のカメラにおいて、センサ制御部31は、測光センサ13の画素列においてm列(上記c行)おきにn列(上記d行)ずつ測光信号を読み出す間引き読み出しを行い、TTL調光演算部37は、間引き読み出しにより得られた測光信号を用いてTTL調光演算機能を実行するように構成したので、測光センサ13からの測光信号の読み出し時間を短縮でき、TTL調光演算機能にかかる時間を短縮することができる。
【0063】
(6)上記(5)のカメラにおいて、測光センサ13は、間引き読み出しを行う間引き読み出し領域Arよりも大きな受光領域を有し、センサ制御部31は、受光領域内において所定位置に対応する間引き読み出し領域Arを第1位置ずれ量データ(X方向調整値ΔXおよびY方向調整値ΔY)を用いてシフトさせ、シフトさせた間引き読み出し領域Amから測光信号を読み出すことにより、TTL調光演算機能における位置ずれ補正処理を行うように構成したので、測光信号の間引き読み出しに対応した位置ずれ補正を行うことができる。すなわち、TTL調光演算機能に適した位置ずれ補正を行うことができる。
【0064】
(7)上記(3)のカメラにおいて、測光センサ13は、所定の測光領域50よりも大きな受光領域を有し、センサ制御部31は、受光領域内において所定位置に対応する測光領域Akを第1位置ずれ量データ(X方向調整値ΔXおよびY方向調整値ΔY)を用いてシフトさせ、被写体追尾処理部35は、シフトさせた測光領域Asから読み出した測光信号を用いて被写体追尾処理を行い、被写体追尾処理の結果を第2位置ずれ量データ(X方向残留値dxおよびY方向残留値dy)を用いて補正することにより、被写体追尾機能における位置ずれ補正処理を行うように構成したので、位置検出精度が求められる被写体追尾機能において被写体位置の精度を向上できる。すなわち、被写体追尾機能に適した位置ずれ補正を行うことができる。
【0065】
(8)上記(3)のカメラにおいて、測光センサ13は、所定の測光領域50よりも大きな受光領域を有し、センサ制御部31は、受光領域内において所定位置に対応する測光領域Akを第1位置ずれ量データ(X方向調整値ΔXおよびY方向調整値ΔY)を用いてシフトさせ、顔検出処理部36は、シフトさせた測光領域Asから読み出した測光信号を用いて顔検出処理を行い、顔検出処理の結果を第2位置ずれ量データ(X方向残留値dxおよびY方向残留値dy)を用いて補正することにより、被写体追尾機能における位置ずれ補正処理を行うように構成したので、位置検出精度が求められる顔検出機能において顔位置の精度を向上できる。すなわち、顔検出機能に適した位置ずれ補正を行うことができる。
【0066】
(変形例1)
被写体追尾機能における位置ずれ補正処理において、上述した実施の形態では、測光センサ13から蓄積信号を読み出す際に画素ピッチ単位での補正を行うようにしたが、測光センサ13の受光領域における全ての画素からの蓄積信号を読み出して被写体追尾処理を行い、得られた被写体位置に対して位置ずれを補正するようにしてもよい。
【0067】
変形例1のセンサ制御部31は、測光センサ13の受光領域における全ての画素からの蓄積信号を読み出して被写体追尾処理部35に出力する。被写体追尾処理部35は、入力された全ての画素からの蓄積信号を用いて被写体追尾処理を行い、追尾対象の位置を検出する。その後被写体追尾処理部35は、検出した追尾対象の位置(x,y)を、X方向調整値ΔX、Y方向調整値ΔY、X方向残留値dxおよびY方向残留値dyを用いて次式(9)および(10)により補正し、補正後の追尾対象の位置(x’,y’)を算出する。
x’=x+ΔX・Px+dx …(9)
y’=y+ΔY・Py+dy …(10)
ただし、Px:測光センサ13の1画素のX方向の長さであり、Py:測光センサ13の1画素のY方向の長さである。
【0068】
同様に、顔検出機能における位置ずれ補正処理においても、測光センサ13の受光領域における全ての画素からの蓄積信号を用いて顔検出処理を行い、得られた顔位置を、X方向調整値ΔX、Y方向調整値ΔY、X方向残留値dxおよびY方向残留値dyを用いて補正するようにしてもよい。
【0069】
(変形例2)
上述した実施の形態では、撮影画面に対する測光センサ13の位置ずれをX方向およびY方向において補正するようにしたが、さらにXY平面上での回転方向において補正するようにしてもよい。
【0070】
上述したテストチャート60により測光センサ13の位置ずれ量の計測する場合、図13に示すように、測光センサ13の中心Osとテストチャート60の中心Otとの位置が一致せず、さらに測光センサ13上のX方向に平行なラインSxとテストチャート60のラインTxとの角度が異なる場合がある。この場合は、測光センサ13におけるXY座標系と撮影画面におけるXY座標系の角度が一致しない。変形例2では、測光センサ13のラインSxに対するテストチャート60のラインTxの角度Δθmを、測光センサ13の回転方向における位置ずれ量として計測する。この回転方向における位置ずれ量(回転補正量)Δθmも、記憶部42に記憶する。
【0071】
変形例2の被写体追尾処理部35は、上述した実施の形態と同様に、測光領域Asからの蓄積信号を用いて被写体追尾処理を行い追尾対象の位置(x,y)を検出したあと、追尾対象の位置(x,y)を、X方向残留値dxおよびY方向残留値dyに加え、回転補正量Δθmも用いて次式(11)および(12)により補正し、補正後の追尾対象の位置(x’,y’)を算出する。
x’=x+dx+{cos(Δθm)・x−sin(Δθm)・y} …(11)
y’=y+dy+{sin(Δθm)・x−cos(Δθm)・y} …(12)
これにより、測光センサ13の位置ずれを、XY平面上の回転方向においても補正することができる。
【0072】
同様に、顔検出機能における位置ずれ補正処理においても、顔検出処理により得られた顔位置を、X方向残留値dx、Y方向残留値dyおよび回転補正量Δθmを用いて上記式(11)および(12)により補正するようにしてもよい。
【0073】
また、蓄積信号を読み出す測光領域Asを、上記X方向調整値ΔXおよびY方向調整値ΔYに加え、上記回転補正量Δθmを用いて補正するようにしてもよい。
【0074】
(変形例3)
上述した実施の形態では、被写体追尾処理部35は、被写体追尾処理により検出した追尾対象の位置(x,y)をX方向残留値dxおよびY方向残留値dyを用いて補正するようにしたが、この補正を省略してもよい。被写体追尾機能では、複数の画素をブロック化した信号を扱うため、画素ピッチよりも細かい位置ずれの影響は少ないためである。
【0075】
(変形例4)
上述した実施の形態では、測光領域をシフトさせるピッチを測光センサ13の画素ピッチとしたが、これに限らなくてもよく、たとえば2画素ピッチとしてもよい。この場合は、X方向調整値ΔXおよびY方向調整値ΔYを、X方向の位置ずれ量ΔXmおよびY方向の位置ずれ量ΔYmを測光センサ13の2画素分の長さで除算することにより求める。
【0076】
(変形例5)
上述した実施の形態では、測光センサ13からの測光信号を用いて露出演算機能、被写体追尾機能、顔検出機能およびTTL調光演算機能の4つの機能を実行するようにしたが、これに限らず、撮影条件の設定に関連する機能であれば、この他の機能を実行する場合に本発明を適用してもよいし、またこれらの機能のうち少なくとも2つを実行する場合に本発明を適用してもよい。
【0077】
以上の説明はあくまで一例であり、上記の実施形態の構成に何ら限定されるものではない。また、上記実施形態および各変形例の構成を適宜組み合わせてもかまわない。
【符号の説明】
【0078】
2…撮像レンズ
5…メインミラー
6…ファインダスクリーン
13…測光センサ
17…撮像素子
31…センサ制御部
32…制御部
33…演算部
34…露出演算部
35…被写体追尾処理部
36…顔検出処理部
37…TTL調光演算部
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
ファインダスクリーン上に結像した被写体像を、測光センサの受光面に再結像させて撮影画面を測光するカメラが知られている(特許文献1参照)。この種のカメラでは、測光センサが撮影画面に対して正確に位置決めされていないと、撮影画面内の各位置における実際の被写体輝度と、カメラで認識される各位置の輝度とが一致せず、正確に露出値が演算できない。そこで、特許文献1に記載のカメラでは、測光センサの位置を調整可能な調整機構が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−258290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、調整機構により測光センサの位置が一意に補正されるため、測光センサの測光信号を用いる複数の機能ごとに適した位置ずれ補正を行うことは考慮されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によるカメラは、被写体光を測光し、測光信号を出力する測光素子と、測光信号に対して、記憶部に記憶された測光素子の所定位置からの位置ずれ量データを用いて測光素子の位置ずれを補正する位置ずれ補正処理を行い、位置ずれ補正処理後の測光信号を用いて、撮影条件の設定に関連する機能のうち少なくとも二つの機能を実行可能な実行部と、を備え、実行部は、機能ごとに異なる位置ずれ補正処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、測光素子の測光信号を用いる複数の機能ごとに適した位置ずれ補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施の形態による一眼レフ電子カメラの構成を説明する図である。
【図2】電子カメラの要部構成を説明するブロック図である。
【図3】測光センサの正面図である。
【図4】測光センサの位置ずれ量の計測方法を説明する図である。
【図5】テストチャートを説明する図である。
【図6】測光センサ上に結像されたテストチャートの像を説明する図である。
【図7】測光領域のシフトを説明する図である。
【図8】露出演算機能におけるブロック化を説明する図である。
【図9】被写体追尾機能におけるブロック化を説明する図である。
【図10】顔検出機能におけるブロック化を説明する図である。
【図11】(a)は測光信号の間引き読み出しを説明する図であり、(b)はTTL調光演算機能におけるブロック化を説明する図である。
【図12】間引き読み出し領域のシフトを説明する図である。
【図13】変形例2において、測光センサ上に結像されたテストチャートの像を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。図1は、本発明の一実施の形態による一眼レフ電子カメラの構成を説明する図である。図1において、カメラ本体4に対して着脱可能な交換レンズ1が装着されている。
【0009】
被写体からの光は、撮像レンズ2および絞り3を介してカメラ本体4へ入射される。カメラ本体4に入射した被写体光は、シャッタレリーズ前は図1に例示したミラーダウン状態にある一部半透過のクイックリターンミラー(以下メインミラーと呼ぶ)5で上方のファインダ部へ向けて折り曲げられ、ファインダスクリーン6へ向けて進行する。また、メインミラー5を透過した一部の被写体光は、サブミラー14によって下方へ折り曲げられ、焦点検出センサ15へ導かれる。
【0010】
ファインダスクリーン6へ入射された被写体光束は、撮像レンズ2によって拡散面6aに結像する。ファインダスクリーン6で拡散された光束はさらに、ファインダ光学系の光軸22に沿ってペンタプリズム8へ入射される。ペンタプリズム8は、拡散された被写体光を接眼レンズ9へ導く。撮影者は、接眼部10から接眼レンズ9を通してファインダスクリーン6上の被写体像を観察する。
【0011】
また、ファインダスクリーン6で拡散された光束の一部は、ファインダ光学系の光軸22から傾いた測光光学系光軸23の方向へ進み、三角プリズム11の反射面11aで上方へ折り曲げられる。この光束は測光レンズ12を介して測光センサ13の受光面に再結像する。
【0012】
シャッタレリーズ後は、メインミラー5が上方へ回動し(ミラーアップ状態)、全ての被写体光は開駆動されるメカニカルシャッター16を介して撮像素子17へ導かれ、その撮像面上に被写体像を結像する。撮像素子17は、撮像面上に結像されている被写体像を撮像し、被写体像に応じた光電変換信号を出力する。撮像が終了するとメカニカルシャッター16が閉駆動され、メインミラー5がミラーダウン状態へ戻る。
【0013】
上述した電子カメラにおいて、測光センサ13は、画素に対応する複数の光電変換素子を備えたCMOSイメージセンサなどによって構成される。光電変換素子は、光の強さに応じた信号電荷を蓄積する。測光センサ13の受光面には画素位置に対応させてベイヤー配列されたカラーフィルタ13aが設けられており、測光センサ13による蓄積信号から色情報が得られるよう構成されている。
【0014】
図2は、電子カメラの要部構成を説明するブロック図である。測光センサ13は、光の強さに応じた信号電荷を蓄積する蓄積動作を行う。センサ制御部31は、制御部32の指示に応じて、測光センサ13の蓄積動作および蓄積信号の読出し動作を制御する。測光センサ13から読み出された蓄積信号は、センサ制御部31を介して演算部33に送られる。演算部33は、露出演算部34、被写体追尾処理部35、顔検出処理部36、およびTTL調光演算部37を含む。
【0015】
本実施形態の電子カメラは、不図示のレリーズボタンが半押し操作されると、測光センサ13の蓄積動作と、測光センサ13からの蓄積信号に基づく露出演算とを繰り返し行う。また、測光センサ13からの蓄積信号に基づいて顔検出処理や被写体追尾処理などを行う。AF(Auto Focus)制御部38は、たとえば顔検出処理部36による顔検出処理結果に基づく顔の位置、または被写体追尾処理部35による被写体追尾処理結果に基づく被写体の位置において焦点検出を行う。そして、焦点検出結果に基づいて撮像レンズ2のフォーカスレンズを駆動させ、合焦動作を行う。
【0016】
レリーズボタンが全押し操作されると、電子カメラは撮影制御を行う。このとき露出制御部39は、露出演算部34による露出演算結果に基づいて絞り3およびメカニカルシャッター16を制御する。
【0017】
また、電子カメラは、被写体に撮影補助光を照射する照明装置40の発光が許可されている場合にレリーズボタンが全押し操作されると、TTL調光動作を行った後、撮影制御を行う。TTL調光動作では、照明装置40の予備発光に合わせて測光センサ13の蓄積動作を行い、該蓄積動作により得られた信号に基づいてTTL調光演算を行う。照明制御部41は、TTL調光演算部37によるTTL調光演算結果に基づいて照明装置40の本発光量を制御する。
【0018】
記憶部42には、後述する位置ずれ量データが格納される。制御部32は、記憶部42から位置ずれ量データを読み出し、後述する位置補正処理において、該位置ずれ量データを用いてセンサ制御部31および演算部33を制御する。
【0019】
図3は、測光センサ13の正面図である。測光センサ13は、マトリクス状に配列された複数の画素(光電変換素子)を備えており、画素数はたとえば約10万画素である。本実施形態において測光センサ13の受光領域は、測光を行う所定サイズの領域(測光領域)50よりも短辺および長辺の長さが2ΔLずつ長い矩形状に構成される。なお、測光センサ13の受光領域は、接眼レンズ9で観察される全視野51よりは小さく構成される。本実施形態では、測光センサ13の位置ずれを補正する(詳しくは後述する)ために、測光センサ13の受光領域が測光領域50よりも一回り大きく構成されている。
【0020】
−位置ずれ量の計測−
図4は、測光センサ13の位置ずれ量の計測方法を説明する図である。この方法では、図5に示すテストチャート60を測光センサ13で撮像して得られる画像データを用いて位置ずれ量を計測する。
【0021】
パーソナルコンピュータ(PC)61は、LCDモニタ62にテストチャート60を表示させる。LCDモニタ62の周囲には、LCDモニタ62に周囲の環境光が写り込まないように遮光カバー63が設けられる。テストチャート60(図5)は、中心Otを通りX方向(画面水平方向)に平行なラインTxと、中心Otを通りY方向(画面垂直方向)に平行なラインTyとを有する。
【0022】
テストチャート60が表示されたLCDモニタ62は、電子カメラの交換レンズ1の前方に設置される。電子カメラの交換レンズ1の光軸21とテストチャート60の中心Otとが一致するように、LCDモニタ62と電子カメラとを位置決めする。
【0023】
このように位置決めした状態で、電子カメラをミラーダウン状態とし、測光センサ13の受光面にテストチャート60の像を結像させ、測光センサ13に該光像を撮像させる。図6は、測光センサ13上に結像されたテストチャート60の像を示す。図6(a)に示すように、測光センサ13の中心Osとテストチャート60の中心Otとが一致する場合、測光センサ13の中心Osと撮像レンズ2の光軸(撮影画面の中心)とが一致する。この場合の測光センサ13の位置を基準位置とし、位置ずれ量をゼロとする。
【0024】
これに対し、図6(b)に示すように、測光センサ13の中心Osとテストチャート60の中心Otとの位置が一致しない場合は、測光センサ13の中心Osと撮像レンズ2の光軸(撮影画面の中心)とが一致しない。本実施形態では、測光センサ13の中心Osに対するテストチャート60の中心Otの位置ずれ量を、撮影画面に対する測光センサ13の位置ずれ量として計測する。なお、X方向の位置ずれ量をΔXmとし、Y方向の位置ずれ量をΔYmとする。
【0025】
ΔXmおよびΔYmは、測光センサ13の画素ピッチよりも細かい単位で計測が可能である。たとえば、テストチャート60のラインTxおよびTyの幅が測光センサ13の1画素分の幅に相当するようにテストチャート60と交換レンズ1の距離を調整する。ラインTxの像が測光センサ13のY方向において2画素にまたがって写るときは、該2画素の受光量の比に基づいてラインTxのY方向の位置(すなわちテストチャート60の中心OtのY方向の位置)を画素ピッチよりも細かい単位で求めることができる。
【0026】
そして、次式(1)により測光センサ13のX方向における画素ピッチ単位の位置ずれ量(以下、X方向調整値とも呼ぶ)ΔXを求める。
ΔXm÷Px=ΔX 余り dx …(1)
ただし、Px:測光センサ13の1画素のX方向の長さである。ΔXは整数とし、余りをdxとして求める。dx:測光センサ13の画素ピッチよりも細かい位置ずれ量(以下、X方向残留値とも呼ぶ)である。
【0027】
同様にして、次式(2)により測光センサ13のY方向における画素ピッチ単位の位置ずれ量(以下、Y方向調整値とも呼ぶ)ΔYを求める。
ΔYm÷Py=ΔY 余り dy …(2)
ただし、Py:測光センサ13の1画素のY方向の長さである。ΔYは整数とし、余りをdyとして求める。dy:測光センサ13の画素ピッチよりも細かい位置ずれ量(以下、Y方向残留値とも呼ぶ)である。
【0028】
このように計測された、X方向調整値ΔX、Y方向調整値ΔY、X方向残留値dx、およびY方向残留値は、位置ずれ量データとして記憶部42に記憶される。以上の位置ずれ量の計測は、たとえば、電子カメラの製造工程などで行われ、該位置ずれ量データが記憶部42に記憶された電子カメラが出荷される。
【0029】
本実施形態の電子カメラは、該位置ずれ量データを用いて、測光センサ13の位置ずれを補正する位置ずれ補正処理を行う。この位置ずれ補正処理は、測光センサ13の蓄積信号を利用する複数の機能(露出演算機能、被写体追尾機能、顔検出機能およびTTL調光演算機能)において、各機能別に行う。以下、各機能別の位置ずれ補正処理について説明する。
【0030】
−露出演算機能における位置ずれ補正処理−
露出演算時、センサ制御部31は、所定時間の蓄積が行われた測光センサ13から蓄積信号を読み出す。本実施形態のセンサ制御部31は、測光センサ13の受光領域における全ての画素からの蓄積信号を読み出すのではなく、測光領域内に含まれる画素からの蓄積信号を読み出す。
【0031】
位置ずれがある場合、上述したように、測光センサ13の中心Osに対して撮像レンズ2の光軸の中心(撮影画面の中心)が、X方向位置ずれ量ΔXmおよびY方向位置ずれ量ΔYm分ずれている。このX方向位置ずれ量ΔXmおよびY方向位置ずれ量ΔYmは、上述したように、測光センサ13の画素ピッチよりも細かい単位で計測されている。
【0032】
しかしながら、測光センサ13から蓄積信号を読み出す領域は、画素ピッチ未満の単位では調整できない。そこで、センサ制御部31は、画素ピッチ単位のずれ量である上記X方向調整値ΔXおよびY方向調整値ΔYを用いて測光領域Asを設定する。
【0033】
図7は、測光領域Asを説明する図である。測光センサ13の位置ずれがない場合における測光領域Akの左上隅の位置が、読み出し開始位置Pk(X0,Y0)として設定されている。上述したように測光センサ13は、測光領域Akよりも短辺および長辺が2ΔLずつ長いので、測光センサ13の左上隅を原点(0,0)とすると、読み出し開始位置Pk(X0,Y0)=(ΔL,ΔL)となる。
【0034】
測光センサ13の位置ずれがある場合における測光領域Asの読み出し開始位置Ps(X0’,Y0’)は、上記X方向調整値ΔXおよびY方向調整値ΔYを用いて次式(3)および(4)により算出される。
X0’=X0+ΔX …(3)
Y0’=Y0+ΔY …(4)
【0035】
センサ制御部31は、算出した読み出し開始位置Psが左上隅となるように上記測光領域Akをシフトさせた領域を測光領域Asとして設定して、該測光領域Asから蓄積信号を読み出す。これにより、撮影画面に対する測光センサ13の位置ずれが画素ピッチ単位において補正される。
【0036】
このように、露出演算時において、制御部32は、記憶部42からX方向調整値ΔXおよびY方向調整値ΔYを読み出して、センサ制御部31に出力する。センサ制御部31は、X方向調整値ΔXおよびY方向調整値ΔYを用いて上記読み出し開始位置Psを算出し、上記読み出し開始位置Psを用いて測光領域Asを設定する。センサ制御部31は、測光センサ13の測光領域As内の画素から蓄積信号を読み出し、露出演算部34に出力する。
【0037】
露出演算部34は、図8に示すように、測光センサ13において、隣接するa×a個の画素をまとめて1つの露出演算用ブロック71とし、露出演算用ブロック71に含まれる画素ごとの出力信号を合成加算して、露出演算用ブロック71ごとの輝度信号を生成する。露出演算部34は、該露出演算用ブロック71ごとの輝度信号に基づいて公知の露出演算を行う。
【0038】
−被写体追尾機能における位置ずれ補正処理−
被写体追尾機能においても、露出演算機能と同様に、センサ制御部31は、X方向調整値ΔXおよびY方向調整値ΔYを用いて設定した測光領域Asからの蓄積信号を被写体追尾処理部35に出力する。これにより、撮影画面に対する測光センサ13の位置ずれが画素ピッチ単位において補正された蓄積信号が被写体追尾処理部35に入力される。また制御部32は、記憶部42からX方向残留値dxおよびY方向残留値dyを読み出して被写体追尾処理部35に出力する。
【0039】
被写体追尾処理部35は、図9に示すように、測光センサ13において、隣接するb×b個の画素をまとめて1つの被写体追尾用ブロック72とし、被写体追尾用ブロック72に含まれる画素ごとの出力信号を加算して、被写体追尾用ブロック72ごとのRGB信号を生成する。なお、被写体追尾用ブロック72のサイズは、露出演算用ブロック71のサイズより小さく設定される(すなわちb<a)。被写体追尾処理部35は、該被写体追尾用ブロック72ごとのRGB信号に基づいて公知の被写体追尾処理を行い、たとえば後述する顔検出処理によって検出された顔を追尾対象として、その位置を検出する。
【0040】
被写体追尾処理部35は、検出した追尾対象の位置(x,y)を、制御部32から入力されたX方向残留値dxおよびY方向残留値dyを用いて次式(5)および(6)により補正し、補正後の追尾対象の位置(x’,y’)を算出する。
x’=x+dx …(5)
y’=y+dy …(6)
【0041】
これにより、撮影画面に対する測光センサ13の位置ずれが、画素ピッチよりも細かい単位において補正される。被写体追尾処理部35は、上記補正後の追尾対象の位置(x’,y’)を被写体追尾処理結果としてAF制御部38に出力する。
【0042】
−顔検出機能における位置ずれ補正処理−
顔検出機能においても、露出演算機能および被写体追尾機能と同様に、センサ制御部31は、X方向調整値ΔXおよびY方向調整値ΔYを用いて設定した測光領域Asからの蓄積信号を顔検出処理部36に出力する。これにより、撮影画面に対する測光センサ13の位置ずれが画素ピッチ単位において補正された蓄積信号が顔検出処理部36に入力される。また制御部32は、記憶部42からX方向残留値dxおよびY方向残留値dyを読み出して顔検出処理部36に出力する。
【0043】
顔検出処理部36は、図10に示すように、測光センサ13における1つの画素70を1つの顔検出用ブロック73として扱い、顔検出用ブロック73からの出力信号(すなわち各画素40からの出力信号)を顔検出用データとする。すなわち顔検出用ブロック73のサイズは、各画素70のサイズと同じなので、露出演算用ブロック71および被写体追尾用ブロック72のいずれのサイズよりも小さい。
【0044】
顔検出処理部36は、画素70ごとの信号に対して公知の画素補間処理を行って画素70ごとのRGB信号を生成する。そして顔検出処理部36は、該画素70ごとのRGB信号を用いて公知の顔検出処理を行い、顔位置を検出する。
【0045】
顔検出処理部36は、検出した顔位置(x,y)を、制御部32から入力されたX方向残留値dxおよびY方向残留値dyを用いて上記式(5)および(6)により補正し、補正後の顔位置(x’,y’)を算出する。
【0046】
これにより、撮影画面に対する測光センサ13の位置ずれが、画素ピッチよりも細かい単位において補正される。顔検出処理部36は、上記補正後の顔位置(x’,y’)を顔検出処理結果としてAF制御部38に出力する。
【0047】
以上のように本実施形態では、測光センサ13から出力される所定画素数の画像データを、機能ごとに適したサイズのブロックに区分して各機能を実行することをふまえ、各機能別に上記位置ずれ補正処理を行う。たとえば顔検出機能では、顔の位置検出の精度が求められるため、顔検出用ブロック73のサイズを画素70と同程度のサイズとしている。また、測光センサ13の画素ピッチ単位の補正を行ったあとに顔位置を検出し、検出した顔位置に対し画素ピッチよりも細かい位置ずれを補正することにより、顔位置の精度を向上することができる。
【0048】
被写体追尾機能では、追尾対象の移動位置検出の精度と演算負荷とを考慮し、被写体追尾用ブロック72のサイズを顔検出用ブロック73より大きく且つ露出演算用ブロック71より小さくしている。また、測光センサ13の画素ピッチ単位の補正を行ったあとに被写体位置を検出し、検出した被写体位置に対し画素ピッチよりも細かい位置ずれを補正することにより、被写体位置の精度を向上することができる。
【0049】
さらに、露出演算機能では、位置精度よりも信号レベルの精度が求められるため、露出演算用ブロック71のサイズを被写体追尾用ブロック72および顔検出用ブロック73のいずれのサイズより大きくする。これにより、露出演算機能の演算負荷を低減する。また露出演算機能では、露出演算用ブロック71のサイズが比較的大きいため、画素ピッチよりも細かい位置ずれの影響が少なく、画素ピッチよりも細かい位置ずれの補正を省略することができる。
【0050】
−TTL調光演算機能における位置ずれ補正処理−
TTL調光演算機能では、上述した3つの機能(露出演算機能、被写体追尾機能および顔検出機能)と異なり、センサ制御部31は、測光センサ13から所定数の水平方向の画素列(水平ライン)ごとに蓄積信号を読み出す動作、いわゆる間引き読み出しを行う。図11(a)は、この間引き読み出しを説明する図である。図11(a)において、斜線が描かれた画素70は、蓄積信号を読み出さない画素を示し、斜線が描かれていない画素70は、蓄積信号を読み出す画素を示す。なお、図11では、図示の都合上、測光センサ13の一部を抜き出して図示している。図11(a)に示すように、測光センサ13からはc行につきd行ずつ信号が読み出される。本実施形態は、このように間引き読み出しを行うことで、読み出し時間を短縮できるよう構成されている。
【0051】
またセンサ制御部31は、上記間引き読み出し時に、上述した3つの機能と同様に測光センサ13の位置ずれを画素ピッチ単位で補正するよう構成されている。図12(a)は、測光センサ13の位置ずれがない場合における間引き読み出し領域Arを説明する図であり、図12(b)は、測光センサ13の位置ずれがある場合における間引き読み出し領域Amを説明する図である。
【0052】
図12(a)に示す測光センサ13の位置ずれがない場合における間引き読み出し領域Arは、測光センサ13の位置ずれがない場合における上記測光領域Ak内で、上記c行につき上記d行ずつ、所定の行数が設定される。間引き読み出し領域Arの左上隅の位置が、読み出し開始位置Pr(X0,YOffset)として設定されている。
【0053】
図12(b)に示す測光センサ13の位置ずれがある場合における間引き読み出し領域Amの読み出し開始位置Pm(X0’,YOffset’)は、上記X方向調整値ΔXおよびY方向調整値ΔYを用いて次式(7)および(8)により算出される。
X0’=X0+ΔX …(7)
YOffset’=YOffset+ΔY …(8)
【0054】
センサ制御部31は、算出した読み出し開始位置Pmが左上隅となるように上記間引き読み出し領域Arをシフトさせた領域を間引き読み出し領域Amとして設定して、該間引き読み出し領域Amから蓄積信号を読み出す。これにより、撮影画面に対する測光センサ13の位置ずれが、画素ピッチ単位において補正される。
【0055】
このように、TTL調光演算時において、制御部32は、記憶部42からX方向調整値ΔXおよびY方向調整値ΔYを読み出して、センサ制御部31に出力する。センサ制御部31は、X方向調整値ΔXおよびY方向調整値ΔYを用いて上記読み出し開始位置Pmを算出し、上記読み出し開始位置Pmを用いて間引き読み出し領域Amを設定する。センサ制御部31は、間引き読み出し領域Am内の画素から蓄積信号を読み出し、TTL調光演算部37に出力する。
【0056】
TTL調光演算部37は、上記間引き読み出し領域Amにおいて、図11(b)に示すように、隣接するd×e個の画素70をまとめて1つのTTL調光演算用ブロック74とし、TTL調光演算用ブロック74に含まれる画素70ごとの出力信号を合成加算してTTL調光演算用ブロック74ごとの輝度信号を生成する。なお、TTL調光演算用ブロック74の垂直方向の画素数は、間引き読み出しするd行に対応してd個とする。また、本実施形態では、TTL調光演算用ブロック74を横長の矩形状とし、TTL調光演算用ブロック74の垂直方向の画素数よりも水平方向の画素数を多くする(すなわちd<e)。TTL調光演算部37は、TTL調光演算ブロック74ごとの輝度信号に基づいて公知のTTL調光演算を行う。
【0057】
TTL調光演算機能では、演算スピードが求められるため、読み出した蓄積信号を上記TTL調光演算用ブロック74によりブロック化することにより、TTL調光演算機能の精度を維持しながら演算スピードを向上する。またTTL調光演算機能では、複数の画素の蓄積信号をブロック化するため、画素ピッチよりも細かい位置ずれの影響が少なく、画素ピッチよりも細かい位置ずれの補正を省略することができる。
【0058】
以上説明した実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)被写体光を測光し、測光信号(蓄積信号)を出力する測光センサ13と、測光信号に対して、記憶部42に記憶された測光センサ13の所定位置(上記基準位置)からの位置ずれ量データを用いて測光センサ13の位置ずれを補正する位置ずれ補正処理を行い、位置ずれ補正処理後の測光信号を用いて、撮影条件の設定に関連する機能(露出演算機能、被写体追尾機能、顔検出機能およびTTL調光演算機能)を実行するセンサ制御部31、制御部32、演算部33と、を備え、センサ制御部31、制御部32、演算部33は、機能ごとに異なる位置ずれ補正処理を行うように構成したので、測光センサ13の測光信号を用いる複数の機能(露出演算機能、被写体追尾機能、顔検出機能およびTTL調光演算機能)ごとに適した位置ずれ補正を行うことができる。また、本実施形態のカメラは、測光センサ13の位置を調整する調整機構などを設けて機械的に位置ずれを補正する場合と比較して、該調整機構による調整難度の問題や該調整後のカバー取付等の後作業により発生する位置ずれの問題などもなく、また該調整機構を省略できる分小型化することもできる。
【0059】
(2)上記(1)のカメラにおいて、被写体像を撮像して、撮影用の画像データを出力する撮像素子17と、撮影用光路上に位置する第1状態(ミラーダウン状態)と撮影用光路外に位置する第2状態(ミラーアップ状態)とを切り替え、第1状態の場合に測光センサ13に被写体光を導き、第2状態の場合に撮像素子17に被写体光を導くメインミラー5と、をさらに備えるように構成したので、複数の機能ごとに適した位置ずれ補正を、一眼レフ電子カメラの測光センサ13に対して行うことができる。
【0060】
(3)上記(1)または(2)のカメラにおいて、位置ずれ量データは、測光センサ13の水平(X)方向および垂直(Y)方向における位置ずれ量を、所定の単位(画素ピッチ)で示す第1位置ずれ量データ(X方向調整値ΔXおよびY方向調整値ΔY)と、所定の単位よりも細かいずれ量を示す第2位置ずれ量データ(X方向残留値dxおよびY方向残留値dy)とを含むように構成したので、たとえば画素ピッチ単位での位置ずれ補正と、画素ピッチよりも細かい位置ずれの補正とを行うことができる。
【0061】
(4)上記(3)のカメラにおいて、測光センサ13は、所定の測光領域50よりも大きな受光領域を有し、センサ制御部31は、受光領域内において所定位置に対応する測光領域Akを第1位置ずれ量データ(X方向調整値ΔXおよびY方向調整値ΔY)を用いてシフトさせ、シフトさせた測光領域Asから測光信号を読み出すことにより、露出演算機能における位置ずれ補正処理を行うように構成したので、複数の画素をブロック化した測光信号を扱う露出演算に対応して、たとえば画素ピッチ単位の位置ずれ補正のみを行い、画素ピッチよりも細かい位置ずれの補正を省略することで演算負荷を低減できる。すなわち、露出演算機能に適した位置ずれ補正を行うことができる。
【0062】
(5)上記(3)のカメラにおいて、センサ制御部31は、測光センサ13の画素列においてm列(上記c行)おきにn列(上記d行)ずつ測光信号を読み出す間引き読み出しを行い、TTL調光演算部37は、間引き読み出しにより得られた測光信号を用いてTTL調光演算機能を実行するように構成したので、測光センサ13からの測光信号の読み出し時間を短縮でき、TTL調光演算機能にかかる時間を短縮することができる。
【0063】
(6)上記(5)のカメラにおいて、測光センサ13は、間引き読み出しを行う間引き読み出し領域Arよりも大きな受光領域を有し、センサ制御部31は、受光領域内において所定位置に対応する間引き読み出し領域Arを第1位置ずれ量データ(X方向調整値ΔXおよびY方向調整値ΔY)を用いてシフトさせ、シフトさせた間引き読み出し領域Amから測光信号を読み出すことにより、TTL調光演算機能における位置ずれ補正処理を行うように構成したので、測光信号の間引き読み出しに対応した位置ずれ補正を行うことができる。すなわち、TTL調光演算機能に適した位置ずれ補正を行うことができる。
【0064】
(7)上記(3)のカメラにおいて、測光センサ13は、所定の測光領域50よりも大きな受光領域を有し、センサ制御部31は、受光領域内において所定位置に対応する測光領域Akを第1位置ずれ量データ(X方向調整値ΔXおよびY方向調整値ΔY)を用いてシフトさせ、被写体追尾処理部35は、シフトさせた測光領域Asから読み出した測光信号を用いて被写体追尾処理を行い、被写体追尾処理の結果を第2位置ずれ量データ(X方向残留値dxおよびY方向残留値dy)を用いて補正することにより、被写体追尾機能における位置ずれ補正処理を行うように構成したので、位置検出精度が求められる被写体追尾機能において被写体位置の精度を向上できる。すなわち、被写体追尾機能に適した位置ずれ補正を行うことができる。
【0065】
(8)上記(3)のカメラにおいて、測光センサ13は、所定の測光領域50よりも大きな受光領域を有し、センサ制御部31は、受光領域内において所定位置に対応する測光領域Akを第1位置ずれ量データ(X方向調整値ΔXおよびY方向調整値ΔY)を用いてシフトさせ、顔検出処理部36は、シフトさせた測光領域Asから読み出した測光信号を用いて顔検出処理を行い、顔検出処理の結果を第2位置ずれ量データ(X方向残留値dxおよびY方向残留値dy)を用いて補正することにより、被写体追尾機能における位置ずれ補正処理を行うように構成したので、位置検出精度が求められる顔検出機能において顔位置の精度を向上できる。すなわち、顔検出機能に適した位置ずれ補正を行うことができる。
【0066】
(変形例1)
被写体追尾機能における位置ずれ補正処理において、上述した実施の形態では、測光センサ13から蓄積信号を読み出す際に画素ピッチ単位での補正を行うようにしたが、測光センサ13の受光領域における全ての画素からの蓄積信号を読み出して被写体追尾処理を行い、得られた被写体位置に対して位置ずれを補正するようにしてもよい。
【0067】
変形例1のセンサ制御部31は、測光センサ13の受光領域における全ての画素からの蓄積信号を読み出して被写体追尾処理部35に出力する。被写体追尾処理部35は、入力された全ての画素からの蓄積信号を用いて被写体追尾処理を行い、追尾対象の位置を検出する。その後被写体追尾処理部35は、検出した追尾対象の位置(x,y)を、X方向調整値ΔX、Y方向調整値ΔY、X方向残留値dxおよびY方向残留値dyを用いて次式(9)および(10)により補正し、補正後の追尾対象の位置(x’,y’)を算出する。
x’=x+ΔX・Px+dx …(9)
y’=y+ΔY・Py+dy …(10)
ただし、Px:測光センサ13の1画素のX方向の長さであり、Py:測光センサ13の1画素のY方向の長さである。
【0068】
同様に、顔検出機能における位置ずれ補正処理においても、測光センサ13の受光領域における全ての画素からの蓄積信号を用いて顔検出処理を行い、得られた顔位置を、X方向調整値ΔX、Y方向調整値ΔY、X方向残留値dxおよびY方向残留値dyを用いて補正するようにしてもよい。
【0069】
(変形例2)
上述した実施の形態では、撮影画面に対する測光センサ13の位置ずれをX方向およびY方向において補正するようにしたが、さらにXY平面上での回転方向において補正するようにしてもよい。
【0070】
上述したテストチャート60により測光センサ13の位置ずれ量の計測する場合、図13に示すように、測光センサ13の中心Osとテストチャート60の中心Otとの位置が一致せず、さらに測光センサ13上のX方向に平行なラインSxとテストチャート60のラインTxとの角度が異なる場合がある。この場合は、測光センサ13におけるXY座標系と撮影画面におけるXY座標系の角度が一致しない。変形例2では、測光センサ13のラインSxに対するテストチャート60のラインTxの角度Δθmを、測光センサ13の回転方向における位置ずれ量として計測する。この回転方向における位置ずれ量(回転補正量)Δθmも、記憶部42に記憶する。
【0071】
変形例2の被写体追尾処理部35は、上述した実施の形態と同様に、測光領域Asからの蓄積信号を用いて被写体追尾処理を行い追尾対象の位置(x,y)を検出したあと、追尾対象の位置(x,y)を、X方向残留値dxおよびY方向残留値dyに加え、回転補正量Δθmも用いて次式(11)および(12)により補正し、補正後の追尾対象の位置(x’,y’)を算出する。
x’=x+dx+{cos(Δθm)・x−sin(Δθm)・y} …(11)
y’=y+dy+{sin(Δθm)・x−cos(Δθm)・y} …(12)
これにより、測光センサ13の位置ずれを、XY平面上の回転方向においても補正することができる。
【0072】
同様に、顔検出機能における位置ずれ補正処理においても、顔検出処理により得られた顔位置を、X方向残留値dx、Y方向残留値dyおよび回転補正量Δθmを用いて上記式(11)および(12)により補正するようにしてもよい。
【0073】
また、蓄積信号を読み出す測光領域Asを、上記X方向調整値ΔXおよびY方向調整値ΔYに加え、上記回転補正量Δθmを用いて補正するようにしてもよい。
【0074】
(変形例3)
上述した実施の形態では、被写体追尾処理部35は、被写体追尾処理により検出した追尾対象の位置(x,y)をX方向残留値dxおよびY方向残留値dyを用いて補正するようにしたが、この補正を省略してもよい。被写体追尾機能では、複数の画素をブロック化した信号を扱うため、画素ピッチよりも細かい位置ずれの影響は少ないためである。
【0075】
(変形例4)
上述した実施の形態では、測光領域をシフトさせるピッチを測光センサ13の画素ピッチとしたが、これに限らなくてもよく、たとえば2画素ピッチとしてもよい。この場合は、X方向調整値ΔXおよびY方向調整値ΔYを、X方向の位置ずれ量ΔXmおよびY方向の位置ずれ量ΔYmを測光センサ13の2画素分の長さで除算することにより求める。
【0076】
(変形例5)
上述した実施の形態では、測光センサ13からの測光信号を用いて露出演算機能、被写体追尾機能、顔検出機能およびTTL調光演算機能の4つの機能を実行するようにしたが、これに限らず、撮影条件の設定に関連する機能であれば、この他の機能を実行する場合に本発明を適用してもよいし、またこれらの機能のうち少なくとも2つを実行する場合に本発明を適用してもよい。
【0077】
以上の説明はあくまで一例であり、上記の実施形態の構成に何ら限定されるものではない。また、上記実施形態および各変形例の構成を適宜組み合わせてもかまわない。
【符号の説明】
【0078】
2…撮像レンズ
5…メインミラー
6…ファインダスクリーン
13…測光センサ
17…撮像素子
31…センサ制御部
32…制御部
33…演算部
34…露出演算部
35…被写体追尾処理部
36…顔検出処理部
37…TTL調光演算部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体光を測光し、測光信号を出力する測光素子と、
前記測光信号に対して、記憶部に記憶された前記測光素子の所定位置からの位置ずれ量データを用いて前記測光素子の位置ずれを補正する位置ずれ補正処理を行い、前記位置ずれ補正処理後の測光信号を用いて、撮影条件の設定に関連する機能のうち少なくとも二つの機能を実行可能な実行部と、
前記実行部は、前記機能ごとに異なる前記位置ずれ補正処理を行うことを特徴とするカメラ。
【請求項2】
請求項1に記載のカメラにおいて、
被写体像を撮像して、撮影用の画像データを出力する撮像素子と、
撮影用光路上に位置する第1状態と前記撮影用光路外に位置する第2状態とを切り替え、前記第1状態の場合に前記測光素子に被写体光を導き、前記第2状態の場合に前記撮像素子に被写体光を導くミラーと、
をさらに備えることを特徴とするカメラ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のカメラにおいて、
前記実行部は、露出演算機能、被写体追尾機能、顔検出機能およびTTL(through the lens)調光演算機能のうちの少なくとも二つの機能を実行可能であることを特徴とするカメラ。
【請求項4】
請求項3に記載のカメラにおいて、
前記位置ずれ量データは、前記測光素子の水平方向および垂直方向における位置ずれ量を、所定の単位で示す第1位置ずれ量データと、前記所定の単位よりも細かいずれ量を示す第2位置ずれ量データとを含むことを特徴とするカメラ。
【請求項5】
請求項4に記載のカメラにおいて、
前記測光素子は、所定の測光領域よりも大きな受光領域を有し、
前記実行部は、前記受光領域内において前記所定位置に対応する前記測光領域を前記第1位置ずれ量データを用いてシフトさせ、前記シフトさせた測光領域から測光信号を読み出すことにより、前記露出演算機能における前記位置ずれ補正処理を行うことを特徴とするカメラ。
【請求項6】
請求項4に記載のカメラにおいて、
前記実行部は、前記測光素子の画素列においてm列おきにn列ずつ測光信号を読み出す間引き読み出しを行い、前記間引き読み出しにより得られた測光信号を用いて前記TTL調光演算機能を実行することを特徴とするカメラ。
【請求項7】
請求項6に記載のカメラにおいて、
前記測光素子は、前記間引き読み出しを行う間引き読み出し領域よりも大きな受光領域を有し、
前記実行部は、前記受光領域内において前記所定位置に対応する前記間引き読み出し領域を前記第1位置ずれ量データを用いてシフトさせ、前記シフトさせた間引き読み出し領域から測光信号を読み出すことにより、前記TTL調光演算機能における前記位置ずれ補正処理を行うことを特徴とするカメラ。
【請求項8】
請求項4に記載のカメラにおいて、
前記測光素子は、所定の測光領域よりも大きな受光領域を有し、
前記実行部は、前記受光領域内において前記所定位置に対応する前記測光領域を前記第1位置ずれ量データを用いてシフトさせ、前記シフトさせた測光領域から読み出した測光信号を用いて被写体追尾処理を行い、前記被写体追尾処理の結果を前記第2位置ずれ量データを用いて補正することにより、前記被写体追尾機能における前記位置ずれ補正処理を行うことを特徴とするカメラ。
【請求項9】
請求項4に記載のカメラにおいて、
前記測光素子は、所定の測光領域よりも大きな受光領域を有し、
前記実行部は、前記受光領域内において前記所定位置に対応する前記測光領域を前記第1位置ずれ量データを用いてシフトさせ、前記シフトさせた測光領域から読み出した測光信号を用いて顔検出処理を行い、前記顔検出処理の結果を前記第2位置ずれ量データを用いて補正することにより、前記顔検出機能における前記位置ずれ補正処理を行うことを特徴とするカメラ。
【請求項10】
請求項8または9に記載のカメラにおいて、
前記位置ずれ量データは、さらに前記測光素子の回転方向における位置ずれ量を示す第3位置ずれ量データを含み、
前記実行部は、前記被写体追尾処理または前記顔検出処理の結果をさらに前記第3位置ずれ量データを用いて補正することを特徴とするカメラ。
【請求項1】
被写体光を測光し、測光信号を出力する測光素子と、
前記測光信号に対して、記憶部に記憶された前記測光素子の所定位置からの位置ずれ量データを用いて前記測光素子の位置ずれを補正する位置ずれ補正処理を行い、前記位置ずれ補正処理後の測光信号を用いて、撮影条件の設定に関連する機能のうち少なくとも二つの機能を実行可能な実行部と、
前記実行部は、前記機能ごとに異なる前記位置ずれ補正処理を行うことを特徴とするカメラ。
【請求項2】
請求項1に記載のカメラにおいて、
被写体像を撮像して、撮影用の画像データを出力する撮像素子と、
撮影用光路上に位置する第1状態と前記撮影用光路外に位置する第2状態とを切り替え、前記第1状態の場合に前記測光素子に被写体光を導き、前記第2状態の場合に前記撮像素子に被写体光を導くミラーと、
をさらに備えることを特徴とするカメラ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のカメラにおいて、
前記実行部は、露出演算機能、被写体追尾機能、顔検出機能およびTTL(through the lens)調光演算機能のうちの少なくとも二つの機能を実行可能であることを特徴とするカメラ。
【請求項4】
請求項3に記載のカメラにおいて、
前記位置ずれ量データは、前記測光素子の水平方向および垂直方向における位置ずれ量を、所定の単位で示す第1位置ずれ量データと、前記所定の単位よりも細かいずれ量を示す第2位置ずれ量データとを含むことを特徴とするカメラ。
【請求項5】
請求項4に記載のカメラにおいて、
前記測光素子は、所定の測光領域よりも大きな受光領域を有し、
前記実行部は、前記受光領域内において前記所定位置に対応する前記測光領域を前記第1位置ずれ量データを用いてシフトさせ、前記シフトさせた測光領域から測光信号を読み出すことにより、前記露出演算機能における前記位置ずれ補正処理を行うことを特徴とするカメラ。
【請求項6】
請求項4に記載のカメラにおいて、
前記実行部は、前記測光素子の画素列においてm列おきにn列ずつ測光信号を読み出す間引き読み出しを行い、前記間引き読み出しにより得られた測光信号を用いて前記TTL調光演算機能を実行することを特徴とするカメラ。
【請求項7】
請求項6に記載のカメラにおいて、
前記測光素子は、前記間引き読み出しを行う間引き読み出し領域よりも大きな受光領域を有し、
前記実行部は、前記受光領域内において前記所定位置に対応する前記間引き読み出し領域を前記第1位置ずれ量データを用いてシフトさせ、前記シフトさせた間引き読み出し領域から測光信号を読み出すことにより、前記TTL調光演算機能における前記位置ずれ補正処理を行うことを特徴とするカメラ。
【請求項8】
請求項4に記載のカメラにおいて、
前記測光素子は、所定の測光領域よりも大きな受光領域を有し、
前記実行部は、前記受光領域内において前記所定位置に対応する前記測光領域を前記第1位置ずれ量データを用いてシフトさせ、前記シフトさせた測光領域から読み出した測光信号を用いて被写体追尾処理を行い、前記被写体追尾処理の結果を前記第2位置ずれ量データを用いて補正することにより、前記被写体追尾機能における前記位置ずれ補正処理を行うことを特徴とするカメラ。
【請求項9】
請求項4に記載のカメラにおいて、
前記測光素子は、所定の測光領域よりも大きな受光領域を有し、
前記実行部は、前記受光領域内において前記所定位置に対応する前記測光領域を前記第1位置ずれ量データを用いてシフトさせ、前記シフトさせた測光領域から読み出した測光信号を用いて顔検出処理を行い、前記顔検出処理の結果を前記第2位置ずれ量データを用いて補正することにより、前記顔検出機能における前記位置ずれ補正処理を行うことを特徴とするカメラ。
【請求項10】
請求項8または9に記載のカメラにおいて、
前記位置ずれ量データは、さらに前記測光素子の回転方向における位置ずれ量を示す第3位置ずれ量データを含み、
前記実行部は、前記被写体追尾処理または前記顔検出処理の結果をさらに前記第3位置ずれ量データを用いて補正することを特徴とするカメラ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−44994(P2013−44994A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183515(P2011−183515)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]