説明

カラーフィルターの製造方法、カラーフィルター、画像表示装置および電子機器

【課題】遮光部と着色部との密着性に優れ、コントラストに優れた画像表示を行うことができるカラーフィルターを提供すること。
【解決手段】本発明のカラーフィルターの製造方法は、基板上に感光性材料および熱硬化性樹脂を含む遮光部形成用組成物を付与する工程と、感光性材料を露光することにより、前記遮光部形成用組成物を、現像液に対する溶解性の高い易溶性部と溶解性の低い難溶性部とを有するものとする工程と、現像により、難溶性部で仕切られた空間としてのセルを複数個形成する工程と、セル内に染料および熱硬化性樹脂を含む着色部形成用材料を付与する工程と、加熱により、遮光部形成用組成物中に含まれる熱硬化性樹脂を硬化させ遮光部とするとともに、着色部形成用材料中に含まれる熱硬化性樹脂を硬化させ着色部とする工程とを有し、遮光部形成用組成物と着色部形成用材料とは、同種の熱硬化性樹脂成分を含むものであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルターの製造方法、カラーフィルター、画像表示装置および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カラー表示を行う液晶表示装置(LCD)等には、一般に、カラーフィルターが用いられている。カラーフィルターには、一般に、光の三原色である赤(R)、緑(G)、青(B)に対応する3色の着色部が設けられており、カラーフィルターを備えた液晶表示装置では、これら各色の着色部の光の透過量を調整することにより、カラー表示を行っている。
また、表示画像のコントラスト比の向上等の目的で、各着色部の間には、遮光部が設けられている。
【0003】
カラーフィルターは、従来、着色剤、感光性材料、官能性モノマー、重合開始剤等を含む材料(着色部形成用材料)で構成された塗膜を基板上に形成し、その後、フォトマスクを介して光を照射する感光処理、現像処理等を行う、いわゆるフォトリソグラフィー法を用いて製造されてきた。このような方法では、通常、基板のほぼ全面に、各色に対応する塗膜を形成し、その一部のみを硬化させ、それ以外の大部分を除去するという操作を繰り返すことにより、各色が重なり合わないようにカラーフィルターを製造する。このため、カラーフィルターの製造において形成される塗膜は、最終的に得られるカラーフィルターには、その一部のみが着色部として残存するのみで、その大部分が製造工程において除去されることとなる。このため、カラーフィルターの製造コストが上昇するばかりでなく、省資源の観点からも好ましくない。
【0004】
一方、近年、インクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)を用いて、カラーフィルターの着色部を形成する方法(インクジェット方式による製造方法)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような方法では、遮光部により仕切られた空間としてのセル内に、着色部形成用の材料(着色部形成用材料)を付与するため、着色部形成用材料の無駄を少なくし、環境への負荷を低減することができ、また、製造コストも抑制することができる。
【0005】
しかしながら、従来の方法では、遮光部と着色部との密着性を十分に優れたものとすることが困難であり、長期間使用したり、高温環境下での使用等により、遮光部と着色部との間にクラック等が生じ、光漏れ等を生じることがあった。
また、インクジェット方式による製造方法では、従来、上記のような問題が特に発生し易く、さらに、表示画像のコントラストを、十分に高いものとすることが困難であるという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−225124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、遮光部と着色部との密着性に優れ、コントラストに優れた画像の表示を行うことができるカラーフィルターを提供すること、該カラーフィルターを効率よく製造することができるカラーフィルターの製造方法を提供すること、また、前記カラーフィルターを備えた画像表示装置、電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のカラーフィルターの製造方法は、光透過性を有する基板上に、感光性材料および熱硬化性樹脂を含む遮光部形成用組成物を付与する遮光部形成用組成物付与工程と、
所定のパターンで、前記遮光部形成用組成物に光を照射することにより、前記感光性材料の現像液に対する溶解性を変化させ、前記遮光部形成用組成物を、現像液に対し相対的に溶解性の高い易溶性部と、相対的に溶解性の低い難溶性部とを有するものとする露光工程と、
前記易溶性部を除去することにより、前記難溶性部で仕切られた空間としてのセルを複数個形成する現像工程と、
前記セル内に、染料および熱硬化性樹脂を含む着色部形成用材料を付与する着色部形成用材料付与工程と、
加熱により、前記遮光部形成用組成物中に含まれる熱硬化性樹脂を硬化させ遮光部とするとともに、前記着色部形成用材料中に含まれる熱硬化性樹脂を硬化させ着色部とする熱硬化工程とを有し、
前記遮光部形成用組成物と前記着色部形成用材料とは、同種の熱硬化性樹脂成分を含むものであることを特徴とする。
これにより、遮光部と着色部との密着性に優れ、コントラストに優れた画像の表示を行うことができるカラーフィルターを効率よく製造することができるカラーフィルターの製造方法を提供することができる。
【0009】
本発明のカラーフィルターの製造方法では、前記遮光部形成用組成物の固形分中に占める熱硬化性樹脂の含有率は、15.0wt%以上であり、
前記着色部形成用材料の固形分中に占める熱硬化性樹脂の含有率は、15.0wt%以上であることが好ましい。
これにより、製造されるカラーフィルターについて、遮光部と着色部との密着性、表示画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
【0010】
本発明のカラーフィルターの製造方法では、前記着色部形成用材料は、インクジェット方式での吐出により、前記セル内に付与されるものであることが好ましい。
これにより、カラーフィルターの製造に用いる材料の無駄を少なくし、環境への負荷を低減することができる。また、従来においては、インクジェット方式による製造方法を用いたときに、遮光部と着色部との密着性、表示画像のコントラストを十分に高めることができないという問題がより顕著であったが、本発明によれば、インクジェット方式による製造方法に適用した場合であっても、上記のような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、インクジェット方式での吐出により着色部形成用材料をセル内に付与する方法に適用した場合に、本発明の効果は特に顕著に発揮される。
【0011】
本発明のカラーフィルターの製造方法では、前記着色部形成用材料付与工程に先立ち、前記難溶性部の前記基板に対向する面とは反対側の表面に撥液処理を施す撥液処理工程を有することが好ましい。
これにより、遮光部と着色部との密着性を優れたものとしつつ、着色部形成用材料付与工程において、隣接するセル間に付与すべき着色部形成用材料が遮光部上で混ざり合うことをより確実に防止することができる。その結果、製造されるカラーフィルターの耐久性を十分に優れたものとしつつ、表示画像のコントラストの低下や、混色による表示画像の画質の低下等をより確実に防止することができる。
【0012】
本発明のカラーフィルターの製造方法では、前記着色部形成用材料として、赤色を呈する赤色着色部形成用材料と、緑色を呈する緑色着色部形成用材料と、青色を呈する青色着色部形成用材料とを用い、
これら3種の着色部形成用材料を、互いに異なる前記セル内に付与することが好ましい。
これにより、製造されるカラーフィルターの色再現域を十分に広いものとすることができる。
【0013】
本発明のカラーフィルターは、本発明の方法を用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、遮光部と着色部との密着性に優れ、コントラストに優れた画像の表示を行うことができるカラーフィルターを提供することができる。
本発明のカラーフィルターは、光透過性を有する基板と、
前記基板上に設けられ、遮光性の材料で構成された遮光部と、
前記遮光部により仕切られた複数個の空間にそれぞれ設けられた複数の着色部とを有するカラーフィルターであって、
前記遮光部が、感光性材料および熱硬化性樹脂の硬化物を含む材料で構成されたものであり、
前記着色部が、熱硬化性樹脂の硬化物と染料とを含む材料で構成されたものであることを特徴とする。
これにより、遮光部と着色部との密着性に優れ、コントラストに優れた画像の表示を行うことができるカラーフィルターを提供することができる。
【0014】
本発明の画像表示装置は、本発明のカラーフィルターを備えたことを特徴とする。
これにより、光漏れ等の問題の発生が確実に防止され、かつ、コントラストに優れた画像の表示を行うことができる画像表示装置を提供することができる。
本発明の電子機器は、本発明の画像表示装置を備えたことを特徴とする。
これにより、光漏れ等の問題の発生が確実に防止され、かつ、コントラストに優れた画像の表示を行うことができる電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のカラーフィルターの好適な実施形態を示す断面図である。
【図2】カラーフィルターの製造方法を示す断面図である。
【図3】本発明の製造方法において、形成される着色部の表面が効果的に平坦化されることについて推定されるメカニズムを説明するための断面図である。
【図4】カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置を示す斜視図である。
【図5】液晶表示装置の実施形態を示す断面図である。
【図6】本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。
【図7】本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
【図8】本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
《カラーフィルター》
まず、本発明のカラーフィルターについて説明する。
図1は、本発明のカラーフィルターの好適な実施形態を示す断面図である。なお、本明細書で参照する図面は、構成の一部を強調して示したものであり、実際の寸法等を正確に反映したものではない。
【0017】
図1に示すように、カラーフィルター1は、基板11と、着色部形成用材料を用いて形成された着色部(着色層)12と、遮光部形成用組成物を用いて形成された遮光部13とを備えている。着色部12としては、異なる色調を呈する3種の着色部(第1の着色部12A、第2の着色部12B、第3の着色部12C)を備えている。特に、本実施形態では、着色部12としては、赤色を呈する赤色着色部(第1の着色部)12Aと、緑色を呈する緑色着色部(第2の着色部)12Bと、青色を呈する青色着色部(第3の着色部)12Cとが設けられている。これにより、カラーフィルター1の色再現域を十分に広いものとすることができる。第1の着色部12Aは、赤色着色部形成用材料を用いて形成されたものであり、第2の着色部12Bは、緑色着色部形成用材料を用いて形成されたものであり、第3の着色部12Cは、青色着色部形成用材料を用いて形成されたものである。
【0018】
<基板>
基板11は、光透過性を有する板状の部材で、着色部12、遮光部13を保持する機能を有している。
基板11は、光透過性を有するものであればよいが、実質的に透明な材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、カラーフィルター1を透過する光により、より鮮明な画像を形成することができる。
【0019】
また、基板11は、耐熱性、機械的強度に優れたものであるのが好ましい。これにより、例えば、カラーフィルター1の製造時に加わる熱による変形等を確実に防止することができる。このような条件を満足する基板11の構成材料としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ノルボルネン系開環重合体やその水素添加物等が挙げられる。
【0020】
<着色部>
着色部12は、後に詳述する着色部形成用材料(染料および熱硬化性樹脂を含む着色部形成用材料)を用いて形成されたものである。着色部12が染料を含む材料で構成されたものであるため、カラーフィルター1による表示画像は、コントラストに優れている。
各着色部12は、後述する遮光部13により囲まれた領域であるセル14内に設けられている。
【0021】
上述したように、第1の着色部12A、第2の着色部12B、第3の着色部12Cは、互いに異なる色調を呈するものである。そして、一組の異なる色調の着色部12A、12B、12Cで1画素を構成している。そして、カラーフィルター1においては、その横方向および縦方向に、着色部12が所定数配置されている。例えば、カラーフィルター1が、ハイビジョン用のカラーフィルターである場合には1366×768個の画素が配置されており、フルハイビジョン用のカラーフィルターである場合には1920×1080個の画素が配置されており、スーパーハイビジョン用のカラーフィルターである場合には7680×4320個の画素が配置されている。なお、カラーフィルター1は、例えば、有効領域外に予備の画素を備えたものであってもよい。
【0022】
<遮光部>
隣接する着色部12の間には、遮光性の材料で構成された遮光部13が設けられている。これにより、カラーフィルター1を用いた表示画像のコントラストを優れたものとすることができる。遮光部13の色は、特に限定されないが、黒色であるのが好ましい。これにより、表示される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
また、遮光部13は、後に詳述するように、感光性材料および熱硬化性樹脂を含む遮光部形成用組成物(着色部形成用材料に含まれる熱硬化性樹脂成分と同種の熱硬化性樹脂成分を含む遮光部形成用組成物)を用いて形成されたものであり、感光性材料および熱硬化性樹脂の硬化物を含む材料で構成されたものである。このため、着色部12と遮光部13との密着性に優れたものとなっており、カラーフィルター1は耐久性に優れている。なお、着色部12と遮光部13との密着性に優れたものとなることについての推定されるメカニズムについては、後に詳述する。
【0023】
遮光部13の高さは、特に限定されないが、着色部12の膜厚とほぼ同じであるのが好ましく、遮光部13の具体的な厚さは、0.1μm以上10μm以下であるのが好ましく、0.5μm以上3.5μm以下であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター1の製造時における隣接する着色部12の間での混色を確実に防止することができるとともに、カラーフィルター1を備えた画像表示装置、電子機器における視野角特性を優れたものとすることができる。
【0024】
《カラーフィルターの製造方法》
次に、上述したようなカラーフィルター1の製造方法の一例、特に、感光性材料として、露光により、硬化し、現像液に対する溶解性が低下するものを用いる製造方法の一例について説明する。
図2は、カラーフィルターの製造方法を示す断面図、図3は、本発明の製造方法において、形成される着色部の表面が効果的に平坦化されることについて推定されるメカニズムを説明するための断面図、図4は、カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置を示す斜視図である。
図2に示すように、本実施形態のカラーフィルターの製造方法は、光透過性を有する基板11上を準備する基板準備工程(1a)と、基板11上に、感光性材料および熱硬化性樹脂を含む遮光部形成用組成物を付与し、塗膜3を形成する遮光部形成用組成物付与工程(1b)と、フォトマスク5を介して、所定のパターンで、遮光部形成用組成物の塗膜3に光を照射し、遮光部形成用組成物を構成する感光性材料の現像液に対する溶解性を変化(低下)させ、相対的に溶解性が小さい(減少した)難溶性部(溶解性変化部)13’とする露光工程(1c)と、難溶性部13’の基板11に対向する面とは反対側の表面に撥液処理を施し、撥液化部131’を形成する撥液処理工程(1d)と、基板11上に形成された塗膜3のうち、相対的に溶解性が大きい部位(易溶性部)を除去することにより、難溶性部13’により仕切られた空間としてのセル14を複数個形成する現像工程(1e)と、セル14内に、染料および熱硬化性樹脂を含む着色部形成用材料2を付与する着色部形成用材料付与工程(1f)と、加熱により、難溶性部13’(遮光部形成用組成物)中に含まれる熱硬化性樹脂を硬化させ遮光部13とするとともに、着色部形成用材料2中に含まれる熱硬化性樹脂を硬化させ着色部12とする熱硬化工程(1g)とを有する。
【0025】
<基板準備工程>
まず、上述したような基板11を準備する(1a)。本工程で準備する基板11は、洗浄処理が施されたものであるのが好ましい。また、本工程で準備する基板11は、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理が施されたものであってもよい。
【0026】
<遮光部形成用組成物付与工程>
次に、基板11の一方の面のほぼ全体に遮光部形成用組成物を付与し、塗膜(遮光部形成用組成物膜)3を形成する(1b)。
本工程で用いる遮光部形成用組成物は、感光性材料および熱硬化性樹脂を含むものである。なお、遮光部形成用組成物については、後に詳述する。
【0027】
塗膜3の形成方法は、特に限定されず、例えば、スピンコート、ディッピング、刷毛塗り、噴霧塗装、静電塗装、電着塗装等の塗装法等が挙げられる。
また、遮光部形成用組成物が感光性材料および熱硬化性樹脂を溶解する溶媒を含むものである場合、本工程において、遮光部形成用組成物を基板11上に付与した後、当該溶媒の少なくとも一部を除去してもよい。
【0028】
<露光工程>
その後、フォトマスク5を介して、所定のパターンで、遮光部形成用組成物の塗膜3に光を照射し、遮光部形成用組成物を構成する感光性材料を硬化させ、難溶性部13’とする(1c)。このとき、遮光部形成用組成物(塗膜3)を構成する熱硬化性樹脂は、実質的に硬化反応に寄与せず、比較的低い分子量の状態が保持されている。
【0029】
本工程で用いるフォトマスク5は、着色部12を形成すべき部位に対応する部位が光透過部51となっており、それ以外の部位が光の透過を防止する遮光部52となっている。
本工程で照射する光は、いかなる波長領域のものであってもよく、例えば、可視光、赤外線、紫外線、X線等が挙げられる。本工程での光照射条件の例としては、光のピーク波長:248nm以上436nm以下、照射強度:60mJ/cm以上1200mJ/cm以下を挙げることができる。
【0030】
<撥液処理工程>
難溶性部13’の基板11に対向する面とは反対側の表面に撥液処理を施し、撥液化部131’を形成する(1d)。
撥液化処理の方法としては、例えば、難溶性部13’が形成された塗膜3に対しフッ素樹脂をスタンプ法等で付与する方法や、フッ素をプラズマ重合処理で難溶性部13’の表面にドープする方法等が挙げられる。
【0031】
撥液化処理を施すことにより、製造されるカラーフィルター1において、遮光部13と着色部12との密着性を優れたものとしつつ、後述する着色部形成用材料付与工程において、隣接するセル14間に付与すべき着色部形成用材料2が遮光部13上で混ざり合うことをより確実に防止することができる。その結果、製造されるカラーフィルター1の耐久性を十分に優れたものとしつつ、表示画像のコントラストの低下や、混色による表示画像の画質の低下等をより確実に防止することができる。なお、撥液化処理は、後に詳述する着色部形成用材料付与工程に先立ち行うものであればよく、例えば、現像工程後に行ってもよいが、上述した露光工程の後、かつ、後述する現像工程の前に行うのが好ましい。これにより、難溶性部13’の表面(基板11に対向する面とは反対側の表面)を選択的に撥液化することができる。また、後の工程で形成される着色部12の表面の平坦性の更なる向上にも寄与する。なお、遮光部形成用組成物中に、他の構成材料に比べて比重の小さいフッ素樹脂を添加することにより、当該フッ素樹脂を塗膜3(難溶性部13’)の表面付近に偏在させることができ、上記と同様の効果を得ることができる。
【0032】
<現像工程>
その後、現像処理を行い、基板11上に形成された塗膜3のうち、現像液に対する溶解性が相対的に小さい部位(難溶性部13’以外の部位としての易溶性部)を除去することにより、難溶性部13’により仕切られた空間としてのセル14を複数個形成する(1e)。現像処理は、例えば、液盛り法、ディッピング法、振動浸漬法等により行うことができる。また、現像液としては、例えば、アルカリ現像液等を用いることができる。また、現像処理時間は、例えば、10秒以上300秒以下とすることができる。
【0033】
<着色部形成用材料付与工程>
その後、セル14内に、染料および熱硬化性樹脂を含む着色部形成用材料2を付与する(1f)。
本工程で用いる着色部形成用材料2は染料を含むものであるため、染料の代わりに顔料を含む材料を用いた場合に比べて、製造されるカラーフィルターによる表示画像のコントラストを優れたものとすることができる。
【0034】
また、本工程で用いる着色部形成用材料2は、熱硬化性樹脂を含むものである。
一方、遮光部形成用組成物を用いて形成された難溶性部13’も、着色部形成用材料が含む熱硬化性樹脂成分と同種の熱硬化性樹脂成分を含んでいる。このため、遮光部形成用組成物2は、難溶性部13’で仕切られたセル14内に速やかに濡れ広がり、難溶性部13’と付与された遮光部形成用組成物2との間に、気泡が残存するのが確実に防止される。その結果、最終的に得られるカラーフィルター1において、光漏れ等の問題の発生がより効果的に防止される。
【0035】
また、難溶性部13’には着色部形成用材料が含む熱硬化性樹脂成分と同種の熱硬化性樹脂成分が含まれるが、難溶性部13’では、感光性材料が硬化している。このため、難溶性部13’から、熱硬化性樹脂成分等が流出してしまうことが確実に防止され、形成される着色部12の色調等に悪影響を及ぼすこと等が確実に防止される。特に、着色部形成用材料が前記熱硬化性樹脂成分の溶解性の高い溶媒を含む場合であっても、熱硬化性樹脂成分等の流出、および、それによる悪影響を確実に防止することができる。
なお、着色部形成用材料については、後に詳述する。
【0036】
本実施形態において、本工程は、インクジェット方式により、着色部形成用材料2を、セル14内に付与することにより行う。
このように、着色部形成用材料付与工程をインクジェット方式で行うことにより、カラーフィルターの製造に用いる材料の無駄を少なくし、環境への負荷を低減することができる。また、従来においては、インクジェット方式による製造方法を用いたときに、遮光部と着色部との密着性、表示画像のコントラストを十分に高めることができないという問題がより顕著であったが、本発明によれば、インクジェット方式による製造方法に適用した場合であっても、上記のような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、インクジェット方式での吐出により着色部形成用材料をセル内に付与する方法に適用した場合に、本発明の効果は特に顕著に発揮される。
【0037】
また、本実施形態では、形成すべき複数色の着色部12に対応する複数種の着色部形成用材料2(赤色着色部形成用材料、緑色着色部形成用材料、青色着色部形成用材料)を用いて行う。この際、難溶性部13’が設けられているため、2種以上の着色部形成用材料2が混ざり合うことが確実に防止される。特に、上述したような撥液化処理を施すことにより、2種以上の着色部形成用材料2が混ざり合うことがより確実に防止される。
【0038】
着色部形成用材料2の吐出は、図4に示すような液滴吐出装置を用いて行う。
図4に示すように、本工程で用いる液滴吐出装置100は、着色部形成用材料2を保持するタンク101と、タンク101内の着色部形成用材料2を送液するチューブ(送液チューブ)110と、チューブ110を介してタンク101から着色部形成用材料2が供給される吐出走査部102とを備える。吐出走査部102は、複数の液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)をキャリッジに搭載してなる液滴吐出手段103と、液滴吐出手段103の位置を制御する第1位置制御装置104(移動手段)と、前記工程で難溶性部13’が形成された基板11(以下、単に「基板11」とも言う。)を保持するステージ106と、ステージ106の位置を制御する第2位置制御装置108(移動手段)と、制御手段112とを備えている。タンク101と、液滴吐出手段103における複数の液滴吐出ヘッドとは、チューブ(送液チューブ)110で連結されており、チューブ(送液チューブ)110を介して、タンク101から複数の液滴吐出ヘッドのそれぞれに着色部形成用材料2が圧縮空気によって供給される。
【0039】
第1位置制御装置104は、制御手段112からの信号に応じて、液滴吐出手段103をX軸方向、およびX軸方向に直交するZ軸方向に沿って移動させる。さらに、第1位置制御装置104は、Z軸に平行な軸の回りで液滴吐出手段103を回転させる機能も有する。本実施形態では、Z軸方向は、鉛直方向(つまり重力加速度の方向)に平行な方向である。第2位置制御装置108は、制御手段112からの信号に応じて、X軸方向およびZ軸方向の双方に直交するY軸方向に沿ってステージ106を移動させる。さらに、第2位置制御装置108は、Z軸に平行な軸の回りでステージ106を回転させる機能も有する。
【0040】
ステージ106は、X軸方向とY軸方向との双方に平行な平面を有する。また、ステージ106は、着色部形成用材料2を付与すべきセル14を有する基板11をその平面上に固定、または保持できるように構成されている。
上述のように、液滴吐出手段103は、第1位置制御装置104によってX軸方向に移動させられる。一方、ステージ106は、第2位置制御装置108によってY軸方向に移動させられる。つまり、第1位置制御装置104および第2位置制御装置108によって、ステージ106に対する液滴吐出ヘッドの相対位置が変わる(ステージ106に保持された基板11と、液滴吐出手段103とが相対的に移動する)。
【0041】
制御手段112は、着色部形成用材料2を吐出すべき相対位置を表す吐出データを外部情報処理装置から受け取るように構成されている。
上記のような液滴吐出装置100を用いて、カラーフィルター1が有する複数色の着色部12に対応する着色部形成用材料2を、セル14内に付与する。上記のような装置を用いることにより、セル14内に、効率よくかつ選択的に着色部形成用材料2を付与することができる。なお、図示の構成では、液滴吐出装置100は、着色部形成用材料2を保持するタンク101、チューブ110等を1色分しか有していないが、これらの部材を、カラーフィルター1が有する複数色の着色部12に対応する複数色分有するものであってもよい。また、カラーフィルター1の製造においては、複数色の着色部形成用材料2に対応する複数の液滴吐出装置100を用いてもよい。
【0042】
なお、本発明では、液滴吐出ヘッドは、駆動素子として、ピエゾ素子を用いるものであっても、静電アクチュエータを用いるものであってもよい。また、液滴吐出ヘッドは、駆動素子として電気熱変換素子を用い、この電気熱変換素子による材料の熱膨張を利用してカラーフィルター用インクを吐出する構成であってもよい。
また、着色部形成用材料が染料を溶解する溶媒を含むものである場合、後述する熱硬化工程に先立ち、本工程において着色部形成用材料をセル14内に付与した後、当該溶媒の少なくとも一部を除去してもよい。
【0043】
<熱硬化工程>
その後、加熱により、難溶性部13’(遮光部形成用組成物)中に含まれる熱硬化性樹脂を硬化させ遮光部13とするとともに、着色部形成用材料2中に含まれる熱硬化性樹脂を硬化させ着色部12とする(1g)。これにより、カラーフィルター1が得られる。
ところで、本発明において、遮光部形成用組成物と着色部形成用材料とは、同種の熱硬化性樹脂成分を含むものである。このため、難溶性部13’(遮光部形成用組成物)中に含まれる熱硬化性樹脂と着色部形成用材料2中に含まれる熱硬化性樹脂とは、本工程で硬化する際に強固に結合し、形成される遮光部13と着色部12との密着性は非常に優れたものとなる。また、本工程は加熱により行うが、この際、難溶性部13’については、熱硬化性樹脂の重合が十分に進行しておらず、熱膨張率が大きいため、大きく熱膨張した状態で(熱膨張した難溶性部13’が流動性の高い着色部形成用材料2を押し上げられたような状態で)熱硬化性樹脂の重合が進行し(2b)、遮光部13となる(2c)。そして、加熱状態から開放すると、遮光部13は大きな収縮率で収縮し、形成された着色部12は、遮光部13側に張力が加わった状態となり、その表面の平坦性が高いものとなる(2d)。したがって、加熱状態(本工程で施すような高温状態)において、形成された着色部12の表面に不本意な凹凸が生じてしまった場合であっても、カラーフィルター1の通常の使用条件においては、着色部12の表面の平坦性を十分に高いものとすることができる。その結果、カラーフィルター1を用いた表示画像のコントラストを確実に高いものとすることができる(図3参照)。このような効果は、熱硬化工程に供される際に、遮光部形成用組成物中の熱硬化性樹脂の重合が十分に進行していない状態であることにより得られるのであって、熱硬化工程に供される際に、遮光部形成用組成物中の硬化性樹脂の硬化反応が十分に進行してしまっている場合には、得られない。また、遮光部形成用組成物が熱硬化性樹脂を含む場合であっても、遮光部形成用組成物と着色部形成用材料とが同種の熱硬化性樹脂成分を含んでいない場合には、上記のような優れた効果は、得られない。
【0044】
また、本工程で着色部形成用材料2が溶媒を含むものである場合には、通常、本工程で、当該溶媒は除去される。また、本工程では、通常、比較的高温での熱処理を施すため、難溶性部13’中に溶媒が含まれている場合であっても、本工程で当該溶媒を確実に除去することができ、形成される遮光部13中に溶媒が残存することを防止することができる。また、同様に、本工程で形成される着色部12中に溶媒が残存することを防止される。その結果、カラーフィルター1の耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。
なお、本発明において、「同種の熱硬化性樹脂成分」とは、構成モノマー(単量体成分)が互いに同一である樹脂成分のことを指す。着色部形成用材料および遮光部形成用組成物に含まれる同種の熱硬化性樹脂成分は、互いに、各構成モノマーの比率が同一のものであるのが好ましく、さらに、重量平均分子量が同一であるのがより好ましい。
【0045】
本工程での加熱温度は、特に限定されないが、100℃以上280℃以下であるのが好ましく、110℃以上250℃以下であるのがより好ましい。これにより、着色部12と遮光部13との密着性を特に優れたものとすることができるとともに、着色部12の平坦性を特に高いものとし、カラーフィルター1を用いた表示画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター1の生産性を特に優れたものとすることができる。
また、本工程での加熱時間は、特に限定されないが、30分以上190分以下であることが好ましく、40分以上130分以下であることがより好ましい。これにより、着色部12と遮光部13との密着性を特に優れたものとすることができるとともに、着色部12の平坦性を特に高いものとし、カラーフィルター1を用いた表示画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
【0046】
また、本工程では、温度の異なる複数の加熱処理を行ってもよい。具体的には、本工程において、比較的低温で加熱を行う第1の加熱処理と、第1の加熱処理よりも高い温度で加熱を行う第2の加熱処理とを施してもよい。
これにより、遮光部13の構成材料、着色部12の構成材料の不本意な劣化・分解等を防止しつつ、着色部12と遮光部13との密着性を特に優れたものとし、着色部12の平坦性を特に高いものとすることができる。また、カラーフィルター1の生産性をさらに向上させ、さらに、形成される遮光部13中に溶媒が残存したり、形成される着色部12中に溶媒が残存したりすることをより確実に防止することができる。
このような場合、第1の加熱処理にて比較的低温で加熱することにより、着色部形成用材料2が溶媒を含むものである場合において、着色部形成用材料2の対流を防止しつつ、穏やかに溶媒を除去し、着色部形成用材料2の表面を平坦なものとした状態で、流動性を消失または低減させることができるため、得られるカラーフィルター1の着色部12の平坦性を特に高いものとすることができ、カラーフィルター1を用いた表示画像のコントラストをさらに優れたものとすることができる。
【0047】
上記のように、本工程において第1の加熱処理および第2の加熱処理を施す場合、第1の加熱処理での処理温度(加熱された基板11の温度)は、特に限定されないが、30℃以上100℃以下であるのが好ましく、40℃以上80℃以下であるのがより好ましい。これにより、着色部形成用材料2の対流を確実に防止しつつ、着色部形成用材料2から好適に溶媒を除去できる。
【0048】
また、第1の加熱処理の時間は、特に限定されないが、3分以上50分以下であることが好ましく、5分以上40分以下であることがより好ましい。
また、第2の加熱処理での処理温度(加熱された基板11の温度)は、特に限定されないが、120℃以上280℃以下であるのが好ましく、150℃以上250℃以下であるのがより好ましい。
【0049】
また、第2の加熱処理の時間は、特に限定されないが、25分以上150分以下であることが好ましく、30分以上100分以下であることがより好ましい。
また、本工程においては、例えば、着色部形成用材料2が付与された基板11を減圧環境下に置く等の処理を行ってもよい。
次に、上述したようなカラーフィルターの製造で用いる着色部形成用材料および遮光部形成用組成物について詳細に説明する。
【0050】
<着色部形成用材料>
着色部形成用材料は、カラーフィルターの着色部の形成に用いられる材料であり、染料、熱硬化性樹脂を含む材料で構成されたものである。
(染料)
着色部形成用材料が着色剤として染料を含むことにより、製造されるカラーフィルターによる表示画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
【0051】
染料としては、例えば、アゾ染料、アントラキノン染料、縮合多環芳香族カルボニル染料、インジゴイド染料、カルボニウム染料、フタロシアニン染料、メチン,ポリメチン染料等が挙げられる。染料の具体例としては、例えば、C.I.ダイレクトレッド2,4,9,23,26,28,31,39,62,63,72,75,76,79,80,81,83,84,89,92,95,111,173,184,207,211,212,214,218,221,223,224,225,226,227,232,233,240,241,242,243,247;C.I.アシッドレッド35,42,51,52,57,62,80,82,111,114,118,119,127,128,131,143,145,151,154,157,158,211,249,254,257,261,263,266,289,299,301,305,319,336,337,361,396,397;C.I.リアクティブレッド3,13,17,19,21,22,23,24,29,35,37,40,41,43,45,49,55;C.I.ベーシックレッド12,13,14,15,18,22,23,24,25,27,29,35,36,38,39,45,46;C.I.ダイレクトバイオレット7,9,47,48,51,66,90,93,94,95,98,100,101;C.I.アシッドバイオレット5,9,11,34,43,47,48,51,75,90,103,126;C.I.リアクティブバイオレット1,3,4,5,6,7,8,9,16,17,22,23,24,26,27,33,34;C.I.ベーシックバイオレット1,2,3,7,10,15,16,20,21,25,27,28,35,37,39,40,48;C.I.ダイレクトイエロー8,9,11,12,27,28,29,33,35,39,41,44,50,53,58,59,68,87,93,95,96,98,100,106,108,109,110,130,142,144,161,163;C.I.アシッドイエロー17,19,23,25,39,40,42,44,49,50,61,64,76,79,110,127,135,143,151,159,169,174,190,195,196,197,199,218,219,222,227;C.I.リアクティブイエロー2,3,13,14,15,17,18,23,24,25,26,27,29,35,37,41,42;C.I.ベーシックイエロー1,2,4,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,32,36,39,40;C.I.アシッドグリーン16;C.I.アシッドブルー9,45,80,83,90,185;C.I.ベーシックオレンジ21,23;C.I.ディスパースレッド54,60,73,92;C.I.ディスパースイエロー51,54,64,79;C.I.ディスパースブルー56,79,81,139;C.I.ソルベントレッド23,24,26;C.I.ソルベントイエロー2,7,14;C.I.ソルベントブルー37,38等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0052】
着色部形成用材料中における染料の含有率は、2wt%以上25wt%以下であるのが好ましく、3wt%以上20wt%以下であるのがより好ましい。染料の含有率が前記範囲内の値であると、カラーフィルター用の液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)からの吐出性(吐出安定性)を特に優れたものとしつつ、製造されるカラーフィルターの耐久性を優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターにおいて、十分な色濃度を確保することができる。また、所定の色濃度の着色部を形成するのに要する着色部形成用材料の量を少なくすることができ、省資源の観点から有利である。また、カラーフィルターの着色部を形成する際における染料の揮発量を抑制することができるため、環境に対する負荷を軽減することができる。
【0053】
(熱硬化性樹脂)
上述したように、着色部形成用材料は、熱硬化性樹脂を含むものである。
着色部形成用材料を構成する熱硬化性樹脂は、いかなるものであってもよいが、着色部形成用材料は、熱硬化性樹脂成分としてエポキシ構造を有するものを含有するのが好ましい。これにより、着色部12と遮光部13との密着性を特に優れたものとすることができる。
【0054】
また、着色部形成用材料は、熱硬化性樹脂成分として下記式(4)で表される単量体成分を含むものを含有するのが好ましい。これにより、着色部12と遮光部13との密着性を特に優れたものとすることができる。
【0055】
【化1】

【0056】
また、着色部形成用材料は、熱硬化性樹脂成分として下記式(5)で表される単量体成分を含むものを含有するのが好ましい。これにより、着色部12と遮光部13との密着性を特に優れたものとすることができる。また、形成される着色部の表面の平坦性を特に優れたものとすることができる。このようなことから、着色部形成用材料がこのような硬化性樹脂成分を含むものであると、カラーフィルターを用いた表示画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
【0057】
【化2】

【0058】
上記のような単量体成分を含む熱硬化性樹脂成分の一例としては、下記式(6)で示されるようなものが挙げられる。
【0059】
【化3】

【0060】
着色部形成用材料を構成する熱硬化性樹脂の重量平均分子量は、1000以上50000以下であるのが好ましく、2000以上20000以下であるのがより好ましい。これにより、着色部形成用材料の経時的安定性(長期保存性)、着色部形成用材料の吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルターの生産性を十分に優れたものとし、さらに、着色部形成用材料を用いて形成される着色部の平坦性をより確実に高いものとすることができ、カラーフィルターを用いて表示される画像における色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
【0061】
また、着色部形成用材料の分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1以上3以下であるのが好ましい。
また、着色部形成用材料中における熱硬化性樹脂の含有率は、0.5wt%以上18wt%以下であるのが好ましく、1.0wt%以上15wt%以下であるのがより好ましく、3.0wt%以上12wt%以下であるのがさらに好ましい。
【0062】
また、着色部形成用材料の固形分中に占める熱硬化性樹脂の含有率は、15.0wt%以上であるのが好ましく、28.0wt%以上63.0wt%以下であるのがより好ましい。これにより、製造されるカラーフィルター1について、遮光部13と着色部12との密着性、表示画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
なお、着色部形成用材料を構成する熱硬化性樹脂は、複数種の樹脂成分を含むものであってもよい。また、着色部形成用材料は、後に詳述する遮光部形成用組成物を構成する熱硬化性樹脂成分と同種の熱硬化性樹脂成分を含むものであるが、他の熱硬化性樹脂成分(遮光部形成用組成物を構成する熱硬化性樹脂成分とは異なる組成の熱硬化性樹脂成分)をさらに含むものであってもよい。ただし、着色部形成用材料を構成する熱硬化性樹脂全体に占める遮光部形成用組成物を構成する熱硬化性樹脂成分と同種の熱硬化性樹脂成分の割合は、50wt%以上であるのが好ましく、80wt%以上であるのがより好ましい。
【0063】
(溶媒)
着色部形成用材料は、通常、上記のような染料、熱硬化性樹脂に加え、前記染料を溶解する溶媒を含むものである。このような溶媒を含むことにより、例えば、上述したような着色部形成用材料付与工程(インクジェット方式による着色部形成用材料の吐出)を好適に行うことができる。そして、通常、溶媒は、カラーフィルターを製造する過程において、その大部分が除去されるものである。
【0064】
着色部形成用材料を構成する溶媒としては、例えば、エステル化合物、エーテル化合物、ヒドロキシケトン、炭酸ジエステル、環状アミド化合物等を用いることができ、中でも、〔1〕多価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等)の縮合物としてのエーテル(多価アルコールエーテル)や、多価アルコールまたは多価アルコールエーテルのアルキルエーテル(例えば、メチルエーテル、エチルエーテル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル等)、エステル(例えば、ホルメート、アセテート、プロピオネート等)、〔2〕多価カルボン酸(例えば、こはく酸、グルタル酸等)のエステル(例えば、メチルエステル等)、〔3〕分子内に少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つのカルボキシル基とを有する化合物(ヒドロキシ酸)のエーテル、エステル等、〔4〕多価アルコールとホスゲンとの反応で得られるような化学構造を有する炭酸ジエステルが好ましい。
【0065】
溶媒の大気圧(1気圧)下における沸点は、160℃以上300℃以下であるのが好ましく、180℃以上290℃以下であるのがより好ましく、200℃以上280℃以下であるのがさらに好ましい。溶媒の大気圧下における沸点が前記範囲内の値であると、着色部形成用材料を吐出する液滴吐出ヘッドにおける目詰まり等をより効果的に防止することができ、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。
また、溶媒の25℃における蒸気圧は、0.7mmHg以下であるのが好ましく、0.1mmHg以下であるのがより好ましい。溶媒の蒸気圧が前記範囲内と値であると、着色部形成用材料を吐出する液滴吐出ヘッドにおける目詰まり等をより効果的に防止することができ、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。
【0066】
着色部形成用材料中における溶媒の含有率は、50wt%以上98wt%以下であるのが好ましく、60wt%以上95wt%以下であるのがより好ましく、65wt%以上93wt%以下であるのがさらに好ましい。溶媒の含有率が前記範囲内の値であると、着色部形成用材料の液滴吐出ヘッドからの吐出性を特に優れたものとしつつ、製造されるカラーフィルターの耐久性を優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターにおいて、十分な着色濃度を確保することができる。
【0067】
(その他の成分)
着色部形成用材料は、上記以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、各種架橋剤、熱酸発生剤、光酸発生剤、各種重合開始剤、酸架橋剤、各種顔料、界面活性剤、増感剤、光安定剤、各種分散剤、発光材料、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、接着性改良剤、各種重合促進剤、各種光安定化剤、ガラス、ジルコニア、アルミナ、酸化チタン等のセラミックス、密着促進剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を用いることができる。
【0068】
レベリング剤は、着色部形成用材料の表面張力を低下させることにより、セル内に付与された着色部形成用材料の表面を平滑化し、着色部を平坦化させるものである。このため、着色部形成用材料がレベリング剤を有することにより、上述したような熱硬化性樹脂の効果と相乗的に作用し、セル内の着色部形成用材料の表面をより平坦なものとすることができる。このため、形成される着色部はより平坦なものとなる。
【0069】
レベリング剤としては、アクリル系レベリング剤、ビニルエーテル系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤、フッ素−ケイ素系レベリング剤、アセチレングリコール系レベリング剤等が挙げられる。このようなレベリング剤の中でも、アクリル系レベリング剤、ビニルエーテル系レベリング剤、アセチレングリコール系レベリング剤を用いることが好ましい。特に、サーフィノールDF−58、LHP−95、LHP−90、LF1970から選択される1種または2種以上を組み合わせて用いるのが好ましい。これにより、形成される着色部の表面がより平坦化され、得られるカラーフィルターは、各部位での色むら、濃度むらが特に小さいものとなる。
【0070】
酸化防止剤は、着色部形成用材料の酸化等による変質を防止するとともに、着色部形成用材料によって形成された着色部内において染料や樹脂材料等の熱や光等による劣化を防止することができる。
酸化防止剤としては、各種リン系酸化防止剤、各種イオウ系酸化防止剤、各種ヒンダードフェノール系酸化防止剤、各種ヒンダーアミン系酸化防止剤等の各種酸化防止剤等が挙げられる。この中でも、ヒンダードアミン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤のうち少なくとも一種を用いることが好ましく、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を用いることがより好ましく、TINUVIN152を用いることがさらに好ましい。このような酸化防止剤は、好適に着色部形成用材料、着色部の変質を効果的に防止するとともに、形成される着色部において、色、明度、コントラスト比等の光学特性に影響しにくいものである。
【0071】
着色部形成用材料の25℃における粘度(振動式粘度計を用いて測定される粘度)は、特に限定されないが、4mPa・s以上12mPa・s以下であるのが好ましく、5mPa・s以上11mPa・s以下であるのがより好ましい。着色部形成用材料の粘度が前記範囲内の値であると、インクジェット方式による液滴吐出において、吐出される着色部形成用材料の液適量のばらつきを特に小さいものとしつつ、液滴吐出ヘッドにおける目詰まりの発生等をより確実に防止することができる。なお、着色部形成用材料の粘度の測定は、例えば、振動式粘度計を用いて行うことができ、特に、JIS Z8809に準拠して行うことができる。
【0072】
<遮光部形成用組成物>
遮光部形成用組成物は、カラーフィルターの遮光部の形成に用いられるものであり、感光性材料および熱硬化性樹脂を含む材料で構成されたものである。
(感光性材料)
上述したように、感光性材料は、露光工程において現像液に対する溶解性が変化するものである。
【0073】
感光性材料としては、例えば、アクリル系化合物を主成分とするもの、ウレタンアクリレートオリゴマーまたはポリエステルウレタンアクリレートオリゴマーを主成分とするもの、エポキシ系樹脂、ビニルフェノール系樹脂等が挙げられる。
前記アクリル系化合物としては、アクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステルのモノマー等が挙げられ、具体的にはジアクリル酸エチレングリコール、ジメタクリ酸エチレングリコール、ジアクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジメタクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジアクリル酸グリセリン、ジメタクリル酸グリセリン、ジアクリル酸1,10−デカンジオール、ジメタクリル酸1,10−デカンジオール等の2官能アクリレート、トリアクリル酸トリメチロールプロパン、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、トリアクリル酸ペンタエリスリトール、トリメタクリル酸ペンタエリスリトール、ヘキサアクリル酸ジペンタエリスリトール、ヘキサメタクリル酸ジペンタエリスリトール等の多官能アクリレート等が挙げられる。
また、感光性材料としては、ビスアジド化合物を用いることができる。
【0074】
遮光部形成用組成物の固形分中に占める感光性材料(固形分)の含有率は、15.0wt%以上であるのが好ましく、18.0wt%以上50.0wt%以下であるのがより好ましい。これにより、例えば、製造されるカラーフィルター1について、遮光部13と着色部12との密着性を十分に優れたものとしつつ、カラーフィルター1の製造過程においては、露光工程より後の工程で、露光工程で形成された難溶性部13’から、熱硬化性樹脂等が流出してしまうのをより確実に防止することができ、形成される着色部12の色調等に悪影響を及ぼすこと等がより確実に防止される。
なお、遮光部形成用組成物を構成する感光性材料は、複数種の成分を含むものであってもよい。
【0075】
(熱硬化性樹脂)
上述したように、遮光部形成用組成物を構成する熱硬化性樹脂は、熱硬化工程において硬化するものである。
本発明において、遮光部形成用組成物は、上述した着色部形成用材料中に含まれる熱硬化性樹脂成分と同種の熱硬化性樹脂成分を含むものである。
したがって、遮光部形成用組成物を構成する熱硬化性樹脂としては、上述した着色部形成用材料の構成材料として説明した熱硬化性樹脂を用いることができる。
【0076】
また、着色部形成用材料の構成材料として説明した熱硬化性樹脂成分は、光に対する反応性(感光性)が十分に低いものである。このため、遮光部形成用組成物が上記のような熱硬化性樹脂成分を含むものであると、当該熱硬化性樹脂成分が、露光工程で、不本意な硬化反応(重合反応)をすることを確実に防止することができ、本発明の効果をより確実に発揮することができる。
【0077】
また、遮光部形成用組成物の固形分中に占める熱硬化性樹脂の含有率は、15.0wt%以上であるのが好ましく、18.0wt%以上50.0wt%以下であるのがより好ましい。これにより、製造されるカラーフィルター1について、遮光部13と着色部12との密着性、表示画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
また、遮光部形成用組成物中の感光性材料の含有率をC[wt%]、遮光部形成用組成物中の熱硬化性樹脂の含有率をC[wt%]としたとき、0.36≦C/C≦2.7の関係を満足するのが好ましく、0.50≦C/C≦2.2の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、例えば、製造されるカラーフィルター1について、遮光部13と着色部12との密着性を十分に優れたものとしつつ、カラーフィルター1の製造過程においては、露光工程より後の工程で、露光工程で形成された難溶性部13’から、熱硬化性樹脂等が流出してしまうのをより確実に防止することができ、形成される着色部12の色調等に悪影響を及ぼすこと等がより確実に防止される。
【0078】
なお、遮光部形成用組成物を構成する熱硬化性樹脂は、複数種の樹脂成分を含むものであってもよい。また、遮光部形成用組成物は、上述した着色部形成用材料を構成する熱硬化性樹脂成分と同種の熱硬化性樹脂成分を含んでいればよく、他の熱硬化性樹脂成分(着色部形成用材料を構成する熱硬化性樹脂成分とは異なる組成の熱硬化性樹脂成分)をさらに含むものであってもよい。ただし、遮光部形成用組成物を構成する熱硬化性樹脂全体に占める着色部形成用材料を構成する熱硬化性樹脂成分と同種の熱硬化性樹脂成分の割合は、50wt%以上であるのが好ましく、80wt%以上であるのがより好ましい。
【0079】
(遮光材料)
カラーフィルター1が有する遮光部13は、遮光性を有するものであるため、遮光部形成用組成物は、通常、遮光材料を含んでいる。
遮光材料としては、例えば、カーボンブラック等の黒色を呈する材料を用いることができる。
また、遮光材料は、複数種の成分の混合物で、これら全体で、暗色(特に、黒色)を呈するものとして利用することができる。
【0080】
(溶媒)
遮光部形成用組成物は、通常、上記のような感光性材料、熱硬化性樹脂等に加え、感光性材料および熱硬化性樹脂を溶解する溶媒を含むものである。
このような溶媒としては、例えば、前述した着色部形成用材料を構成する溶媒と同様な化合物を用いることができる。
【0081】
(その他の成分)
遮光部形成用組成物は、上記以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、着色部形成用材料の構成材料としての「その他の成分」で説明したようなものが挙げられる。
【0082】
《画像表示装置》
次に、カラーフィルター1を有する画像表示装置(電気光学装置)である液晶表示装置の好適な実施形態について説明する。
図5は、液晶表示装置の好適な実施形態を示す断面図である。同図に示すように、液晶表示装置60は、カラーフィルター1と、カラーフィルター1の着色部12が設けられた面側に配された基板(対向基板)66と、カラーフィルター1と基板66との間の空隙に封入された液晶よりなる液晶層62と、カラーフィルター1の基板11の液晶層62に対向する面とは反対の面側(図5中下側)に設けられた偏光板67と、基板66の液晶層62に対向する面とは反対の面側(図5中上側)に設けられた偏光板68とを有している。そして、カラーフィルター1の着色部12および遮光部13が設けられた面(着色部12および遮光部13の基板11に対向する面とは反対の面)には、共通電極61が設けられており、基板(対向基板)66の液晶層62、カラーフィルター1に対向する面には、カラーフィルター1の各着色部12に対応する位置に、マトリクス状に、画素電極65が配されている。さらに、共通電極61と液晶層62との間には配向膜64が設けられ、基板66(画素電極65)と液晶層62との間には配向膜63が設けられている。
【0083】
基板66は、可視光に対して光透過性を有する基板であり、例えば、ガラス基板である。
共通電極61、画素電極65は、可視光に対して光透過性を有する材料で構成されたものであり、例えば、ITO等で構成されている。
また、図中省略しているが、各画素電極65に対応するように、複数のスイッチング素子(例えば、TFT:薄膜トランジスター)が設けられている。そして、各着色部12に対応する各画素電極65について、共通電極61との間での電圧の印加状態を制御することにより、各着色部12(各画素電極65)に対応する領域での、光の透過性を制御することができる。
【0084】
液晶表示装置60では、図示しないバックライトから発せられた光が、偏光板68側(図5中上側)から入射するようになっている。そして、液晶層62を透過し、カラーフィルター1の各着色部12(12A、12B、12C)に入射した光は、各着色部12(12A、12B、12C)に対応する色の光として、偏光板67(図5中下側)から出射する。
液晶表示装置60は、上述したようなカラーフィルター1を備えるものであるため、光漏れ等の問題の発生が確実に防止され、かつ、コントラストに優れた画像の表示を行うことができる。
【0085】
《電子機器》
前述したようなカラーフィルター1を有する液晶表示装置等の画像表示装置(電気光学装置)1000は、各種電子機器の表示部に用いることができる。
図6は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。
【0086】
この図において、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このパーソナルコンピューター1100においては、表示ユニット1106が画像表示装置1000を備えている。
【0087】
図7は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206とともに、画像表示装置1000を表示部に備えている。
図8は、本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
【0088】
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、画像表示装置1000が表示部に設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。
ケースの内部には、回路基板1308が設置されている。この回路基板1308は、撮像信号を格納(記憶)し得るメモリーが設置されている。
【0089】
また、ケース1302の正面側(図示の構成では裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、回路基板1308のメモリーに転送・格納される。
【0090】
また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示のように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニター1430が、データ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピューター1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、回路基板1308のメモリーに格納された撮像信号が、テレビモニター1430や、パーソナルコンピューター1440に出力される構成になっている。
【0091】
なお、本発明の電子機器は、上述したパーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター)、携帯電話機、ディジタルスチルカメラの他にも、例えば、テレビ(例えば、液晶テレビ)や、ビデオカメラ、ビューファインダー型、モニター直視型のビデオテープレコーダー、ラップトップ型パーソナルコンピューター、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、タッチパネルを備えた機器(例えば金融機関のキャッシュディスペンサー、自動券売機)、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電表示装置、超音波診断装置、内視鏡用表示装置)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレータ、その他各種モニター類、プロジェクター等の投射型表示装置等に適用することができる。中でも、テレビは、近年の表示部の大型化の傾向が顕著であるが、このような大型の表示部(例えば、対角線長80cm以上の表示部)を有する電子機器では、従来、着色部と遮光部との密着性が低いことによる問題(例えば、着色部と遮光部との間に生じたクラック等による光漏れ等)の発生が顕著であったが、本発明を適用すれば、このような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、上記のような大型の表示部を有する電子機器に適用した場合に、本発明の効果は、より顕著に発揮される。したがって、本発明は、上記のような大型の表示部を有する電子機器に適用するのが好ましい。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0092】
例えば、前述した実施形態では、カラーフィルターが赤色の着色部、赤色の着色部、赤色の着色部を有するものとして説明したが、カラーフィルターが有する着色部の色は、これらに限定されるものではなく、例えば、カラーフィルターは、藍紫色(シアン)の着色部、紅紫色(マゼンタ)の着色部、黄色(イエロー)の着色部を備えるものであってもよい。
【0093】
また、前述した実施形態では、3種の着色部形成用材料を用い、3色の着色部を形成する場合について代表的に説明したが、着色部形成用材料の種類は、3種類でなくてもよく、例えば、4種以上の着色部形成用材料を用いてもよい。
また、前述した実施形態では、カラーフィルターの製造方法は、撥液処理工程を有するものして説明したが、撥液化工程は省略してもよい。
【0094】
また、前述した実施形態では、感光性材料として、露光により、硬化し、現像液に対する溶解性が低下するものを用いる場合について代表的に説明したが、例えば、露光により、現像液に対する溶解性が上昇するものを用いてもよい。このような場合、フォトマスク5として、光透過部51と遮光部52の位置関係が逆転したものを用いることにより、上記と同様にしてカラーフィルターを製造することができる。また、感光性材料としては、露光により、硬化はしないものの、現像液に対する溶解性が低下するものを用いもよい。
また、本発明の製造方法は、現像工程と着色部形成用材料付与工程との間に、加熱により、遮光部形成用組成物中に含まれる熱硬化性樹脂を仮硬化させる熱硬化工程を有するものであってもよい。
【0095】
また、カラーフィルター、画像表示装置、電子機器を構成する各部は、同様の機能を発揮する任意のものと置換、または、その他の構成を追加することもできる。例えば、本発明のカラーフィルターにおいては、着色部の基板に対向する面とは反対の面側に、着色部を被覆する保護膜が設けられていてもよい。これにより、着色部の損傷や劣化等をより効果的に防止することができる。
また、本発明のカラーフィルターは、遮光部が感光性材料および熱硬化性樹脂の硬化物を含む材料で構成され、かつ、着色部が熱硬化性樹脂の硬化物を含む材料で構成されたものであれば、いかなる方法で製造されたものであってもよく、上述したような方法により製造されたものでなくてもよい。
【実施例】
【0096】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
[1]熱硬化性樹脂の合成
(合成例1)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ)に、溶媒(溶剤)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:100重量部を入れて、80℃に加熱した。続いて、該フラスコ内に、メタクリル酸2−[O−(1′−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル(=2−(1−メチルプロピリデンアミノオキシカルボニルアミノエチル)メタクリレート):30重量部、ステアリルメタクリレート:20重量部、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルメタクリレート:50重量部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:30重量部に溶解させた溶液を滴下ポンプを用いて4時間かけてフラスコ内に滴下した。一方、ラジカル開始剤(重合開始剤)としてのアゾビスジメチルバレロニトリル:5重量部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:90重量部に溶解させた溶液を、別の滴下ポンプを用いて4時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤の滴下が終了した後、4時間同温度に保持(熟成)し、その後、室温まで冷却して、上記式(6)で表される熱硬化性樹脂TR1を得た。熱硬化性樹脂TR1の重量平均分子量Mwは、15000であった。また、熱硬化性樹脂TR1についての分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は2であった。
【0097】
[2]感光性材料溶液の調製
(調製例1)
原料として、2−ヒドロキシエチルメタクリレート:30重量部と、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドのメチルクロライド塩:30重量部と、N,N−ジメチルアクリルアミド:40重量部とを用いて、溶液重合法により共重合体を合成した。その後、反応液を酢酸エチル中に滴下して沈澱精製し、乾燥後、上記共重合体にジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを加えて樹脂液とした。その後、当該樹脂液に下記式(10)で表されるビスアジド化合物を添加し、目的とする感光性材料(固形分)が溶解した感光性材料溶液を得た。
【0098】
【化4】

【0099】
[3]着色部形成用材料(3色分の着色部形成用材料セット)の調製
(調製例A1)
<赤色着色部形成用材料の調製>
C.I.ソルベントレッド24(マゼンダ系染料)、C.I.ソルベントイエロー114(イエロー系染料)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(溶媒)、ジエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル(溶媒)、熱硬化性樹脂TR1、レベリング剤(サーフィノールDF58、日信化学工業(株)社製))、および、酸化防止剤(TINUVIN 152、チバジャパン株式会社製)を混合することにより、赤色着色部形成用材料を得た。
【0100】
<緑色着色部形成用材料の調製>
C.I.ソルベントブルー70(シアン系染料)、C.I.ソルベントイエロー114(イエロー系染料)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(溶媒)、ジエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル(溶媒)、熱硬化性樹脂TR1、レベリング剤(サーフィノールDF58、日信化学工業(株)社製))、および、酸化防止剤(TINUVIN 152、チバジャパン株式会社製)を混合することにより、緑色着色部形成用材料を得た。
【0101】
<青色着色部形成用材料の調製>
C.I.ソルベントブルー70(シアン系染料)、C.I.ソルベントレッド24(マゼンダ系染料)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(溶媒)、ジエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル(溶媒)、熱硬化性樹脂TR1を混合することにより、青色着色部形成用材料を得た。
これにより、上記のような3種の着色部形成用材料(赤色着色部形成用材料、緑色着色部形成用材料、青色着色部形成用材料)のセットが得られた。
(調製例A2〜A7)
着色部形成用材料の調製に用いる成分の種類・含有量を表に示すように変更した以外は、前記調製例A1と同様にして各色の着色部形成用材料(3色分の着色部形成用材料からなる着色部形成用材料セット)を調製した。
【0102】
[4]遮光部形成用組成物の調製
(調製例B1)
カーボンブラック、熱硬化性樹脂TR1、上記感光性材料溶液および希釈溶媒としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを混合することにより、遮光部形成用組成物を得た。
【0103】
(調製例B2〜B5)
遮光部形成用組成物の調製に用いる成分の種類・含有量を表に示すように変更した以外は前記調製例B1と同様にして遮光部形成用組成物を調製した。
(調製例B6)
遮光部形成用組成物の調製において、熱硬化性樹脂TR1を用いることなく、各成分の種類・含有量を表に示すように変更した以外は前記調製例B1と同様にして遮光部形成用組成物を調製した。
【0104】
前記調製例A1〜A7の着色部形成用材料セットを構成する各着色部形成用材料、および、前記調製例B1〜B6の遮光部形成用組成物の構成成分の種類、含有量を表1にまとめて示した。なお、表1中、熱硬化性樹脂TR1を「TR1」、C.I.ソルベントブルー70(シアン系染料)をA1、C.I.ソルベントレッド24(マゼンダ系染料)をA2、C.I.ソルベントイエロー114(イエロー系染料)をA3、レベリング剤(サーフィノールDF58、日信化学工業(株)社製))を「DF58」、レベリング剤(LHP−90、楠本化成社製)を「L90」、レベリング剤(LHP−95、楠本化成社製)を「L95」、レベリング剤(LF−1970、楠本化成社製)を「LF」、レベリング剤(オルフィンSPC、日信化学工業(株)社製)を「SPC」、酸化防止剤(TINUVIN 152、チバジャパン株式会社製)を「T152」、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを「S1」、1,3−ブチレングリコールジアセテートを「S2」、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテートを「S3」、ビス(2−ブトキシエチル)エーテルを「S4」、オクタン酸エチルを「S5」、
ジエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルを「S6」、トリエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルを「S7」、3−エトキシプロピオン酸エチルを「S8」、
感光性材料(調製例1で調製した上記感光性材料溶液中に含まれる固形分)を「PR1」、カーボンブラックを「CB」で示した。また、表1中、赤色着色部形成用材料を「Rインク」、緑色着色部形成用材料を「Gインク」、青色着色部形成用材料を「Bインク」で示した。
【0105】
また、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定された前記各調製例の着色部形成用材料セットを構成する各着色部形成用材料の25℃における粘度は、いずれも、5mPa・s以上11mPa・s以下の範囲内の値であった。
また、表1には、前記調製例A1〜A7、および、調製例B1〜B6で調製したの着色部形成用材料および遮光部形成用組成物についての保存安定性評価(長期安定性評価)の結果をあわせて示した。保存安定性評価(長期安定性評価)は、各着色部形成用材料および各遮光部形成用組成物を、40℃の環境下に30日間放置した後、目視による観察を行い、以下の4段階の基準に従い、行った。
【0106】
A:加熱前から外観上の変化が全く認められない。
B:加熱前から外観上の変化がわずかに認められる。
C:加熱前から外観上の変化がはっきりと認められる。
D:加熱前から外観上の変化が顕著に認められる。
【0107】
【表1】

【0108】
[5]カラーフィルターの製造
(実施例1)
前記調製例A1で調製した着色部形成用材料(着色部形成用材料セット)および前記調製例B1で調製した遮光部形成用組成物を用いて、以下のようにして、カラーフィルターを製造した。
【0109】
まず、両面にナトリウムイオンの溶出を防止するシリカ(SiO)膜が形成されたソーダガラス製の基板(G5サイズ:1100×1300mm)を用意し、洗浄処理を施した(基板準備工程)。
次に、調製例B1で調製した遮光部形成用組成物を、洗浄済の基板の一方の面の全体にスピンコート法により付与し、塗膜を形成した(遮光部形成用組成物付与工程)。
【0110】
次に、フォトマスクを介して、i線(波長:365nm)を、照射強度:350mJ/cmという条件で照射し、難溶性部を形成した(露光工程)。
次に、難溶性部の表面に撥液処理を施し、撥液化部を形成した(撥液処理工程)。撥液処理は、フッ素をプラズマ重合処理で難溶性部の表面にドープする方法により行った。
その後、アルカリ現像液を用いた現像処理を行った(現像工程)。現像処理は、振動浸漬法により行った。現像処理時間は、60秒とした。
【0111】
次に、図4に示すような液滴吐出装置を用いて、難溶性部により仕切られた空間としてのセル内に、調製例A1で調製した各着色部形成用材料を吐出した(着色部形成用材料付与工程)。この際、着色部形成用材料セットを構成する各着色部形成用材料が混色しないようにした。各セル内には、形成される着色部の平均厚さが2.0μmとなるような量の着色部形成用材料を付与した。
【0112】
その後、以下のような加熱処理を施すことにより、難溶性部を遮光部とするとともに、着色部を形成した(熱硬化工程)。
まず、ホットプレート上にて80℃で20分間の加熱処理を施した(第1の加熱処理)。
さらに230℃のオーブン内で60分加熱処理を施すことにより(第2の加熱処理)、用いた着色部形成用材料の色に対応する3色の着色部が形成された。その後、N−メチル−2−ピロリドンおよびγ−ブチロラクトンを用いた洗浄を行い、図1に示すようなカラーフィルターが得られた。なお、カラーフィルターが有する遮光部の高さは、2.0μmであった。
上記のような方法を用いて、3000枚のカラーフィルターを製造した。
【0113】
(実施例2〜6)
遮光部形成用組成物付与工程で用いる遮光部形成用組成物の種類、着色部形成用材料付与工程で用いる着色部形成用材料(着色部形成用材料セット)の種類を変更した以外は、前記実施例1と同様にして3000枚のカラーフィルターを製造した。
(比較例1)
遮光部形成用組成物付与工程で用いる遮光部形成用組成物の種類を変更した以外は、前記実施例1と同様にして3000枚のカラーフィルターを製造した。
【0114】
(比較例2)
遮光部形成用組成物付与工程で用いる遮光部形成用組成物の種類、着色部形成用材料付与工程で用いる着色部形成用材料(着色部形成用材料セット)の種類を変更するとともに、現像工程の後、第1の加熱処理の先立って、基板の着色部形成用材料が付与された面全体に、g、h、i混合線(波長:436nm、405nm、365nm)を、照射強度:1200mJ/cmという条件で照射する光照射処理を行った以外は、前記実施例1と同様にして3000枚のカラーフィルターを製造した。
【0115】
[6]カラーフィルターの評価
上記のようにして得られた各カラーフィルターを用いて、以下のような評価を行った。
[6.1]着色部の平坦性
前記各実施例および各比較例で製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、3000枚目に製造されたカラーフィルターを用意した。
これらのカラーフィルターについて、触針式粗さ計(Tencor社製、P−15)を用いて、各色の着色部について、着色部の最大高さと最小高さとの差ΔDを求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。
【0116】
A:平均ΔD値が0.22μm未満。
B:平均ΔD値が0.22μm以上0.34μm未満。
C:平均ΔD値が0.34μm以上0.49μm未満。
D:平均ΔD値が0.49μm以上0.55μm未満。
E:平均ΔD値が0.55μm以上。
【0117】
[6.2]コントラスト比の評価
前記各実施例および各比較例で製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、3000枚目に製造されたカラーフィルターを用いて、同条件で図5に示すような液晶表示装置を製造した。
これらの液晶表示装置を用いて、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示を行い、光度計(PHOTO RESEARCH社製、PR−800)を用いて、単色表示を行っていない場合と比較してのコントラスト比(CR)を求め、下記のようにして評価を行った。
【0118】
赤色の単色表示の場合、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:CRが2900以上。
B:CRが2400以上2900未満。
C:CRが2000以上2400未満。
D:CRが1700以上2000未満。
E:CRが1700未満。
【0119】
緑色の単色表示の場合、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:CRが3800以上。
B:CRが3500以上3800未満。
C:CRが3000以上3500未満。
D:CRが2800以上3200未満。
E:CRが2800未満。
【0120】
青色の単色表示の場合、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:CRが3100以上。
B:CRが2700以上3100未満。
C:CRが2400以上2700未満。
D:CRが2200以上2400未満。
E:CRが2200未満。
【0121】
[6.3]色むら、濃度むら
前記[6.2]で製造した前記各実施例および各比較例の液晶表示装置について、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示、白色の単色表示を行った状態で目視による観察を行い、各部位での色むら、濃度むらの発生状況を、以下の5段階の基準に従い、評価した。
【0122】
A:色むら、濃度むらが全く認められない。
B:色むら、濃度むらがほとんど認められない。
C:色むら、濃度むらがわずかに認められる。
D:色むら、濃度むらがはっきりと認められる。
E:色むら、濃度むらが顕著に認められる。
【0123】
[6.4]ヒートサイクル試験
前記各実施例および各比較例で製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、2901〜2910枚目に製造されたカラーフィルターを用いて、同条件で図5に示すような液晶表示装置を製造した。
これらの液晶表示装置を用いて、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示を行った状態で目視による観察を行い、光漏れ(白抜け、輝点)が発生していないことを確認した。
【0124】
次に、上記の液晶表示装置からカラーフィルターを取り外した。
取り外した各カラーフィルターを、20℃の環境下に1時間、次いで、50℃の環境下に2時間、次いで、20℃の環境下に1時間、次いで、−20℃の環境下に2時間静置した。その後、再び、環境温度を20℃に戻し、これを1サイクル(6時間)とし、このサイクルを合計80回繰り返した(合計480時間)。
【0125】
その後、これらのカラーフィルターを用いて、再び、図5に示すような液晶表示装置を組み立てた。
これらの液晶表示装置を用いて、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示を行った状態で目視による観察を行い、光漏れ(白抜け、輝点)の発生状況を、以下の6段階の基準に従い、評価した。
【0126】
A:光漏れ(白抜け、輝点)の発生したカラーフィルターはない。
B:1〜2枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
C:3〜4枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
D:5〜7枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
E:8〜9枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
F:10枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
【0127】
これらの結果を表2に示す。なお、表2中、カラーフィルターの製造に用いた着色部形成用材料セット、遮光部形成用組成物の種類を示す欄には、各着色部形成用材料セット、各遮光部形成用組成物の調製例の番号を示した。また、各実施例および各比較例に係るカラーフィルターに関して、赤色着色部・赤色の単色表示についての評価を「R」の欄に、緑色着色部・緑色の単色表示についての評価を「G」の欄に、青色着色部・青色の単色表示についての評価を「B」の欄に、それぞれ示した。
【0128】
【表2】

【0129】
表2から明らかなように、本発明では、優れた結果が得られたのに対し、比較例では、満足な結果が得られなかった。
また、市販の液晶テレビを分解し、液晶表示装置部分を、上記のようにして製造したものと交換して、上記と同様の評価を行ったところ、上記と同様な結果が得られた。
【符号の説明】
【0130】
1…カラーフィルター 11…基板 12…着色部(着色層) 12A…赤色着色部(第1の着色部) 12B…緑色着色部(第2の着色部) 12C…青色着色部(第3の着色部) 13’…難溶性部(溶解性変化部) 131’…撥液化部 13…遮光部 14…セル 2…着色部形成用材料 3…塗膜(遮光部形成用組成物膜) 5…フォトマスク 51…光透過部 52…遮光部 60…液晶表示装置 61…共通電極 62…液晶層 63、64…配向膜 65…画素電極 66…基板(対向基板) 67、68…偏光板 100…液滴吐出装置 101…タンク 102…吐出走査部 103…液滴吐出手段 104…第1位置制御装置(移動手段) 106…ステージ 108…第2位置制御装置(移動手段) 110…チューブ(送液チューブ) 112…制御手段 1000…画像表示装置 1100…パーソナルコンピューター 1102…キーボード 1104…本体部 1106…表示ユニット 1200…携帯電話機 1202…操作ボタン 1204…受話口 1206…送話口 1300…ディジタルスチルカメラ 1302…ケース(ボディー) 1304…受光ユニット 1306…シャッターボタン 1308…回路基板 1312…ビデオ信号出力端子 1314…データ通信用の入出力端子 1430…テレビモニター 1440…パーソナルコンピューター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性を有する基板上に、感光性材料および熱硬化性樹脂を含む遮光部形成用組成物を付与する遮光部形成用組成物付与工程と、
所定のパターンで、前記遮光部形成用組成物に光を照射することにより、前記感光性材料の現像液に対する溶解性を変化させ、前記遮光部形成用組成物を、現像液に対し相対的に溶解性の高い易溶性部と、相対的に溶解性の低い難溶性部とを有するものとする露光工程と、
前記易溶性部を除去することにより、前記難溶性部で仕切られた空間としてのセルを複数個形成する現像工程と、
前記セル内に、染料および熱硬化性樹脂を含む着色部形成用材料を付与する着色部形成用材料付与工程と、
加熱により、前記遮光部形成用組成物中に含まれる熱硬化性樹脂を硬化させ遮光部とするとともに、前記着色部形成用材料中に含まれる熱硬化性樹脂を硬化させ着色部とする熱硬化工程とを有し、
前記遮光部形成用組成物と前記着色部形成用材料とは、同種の熱硬化性樹脂成分を含むものであることを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
【請求項2】
前記遮光部形成用組成物の固形分中に占める熱硬化性樹脂の含有率は、15.0wt%以上であり、
前記着色部形成用材料の固形分中に占める熱硬化性樹脂の含有率は、15.0wt%以上である請求項1に記載のカラーフィルターの製造方法。
【請求項3】
前記着色部形成用材料は、インクジェット方式での吐出により、前記セル内に付与されるものである請求項1または2に記載のカラーフィルターの製造方法。
【請求項4】
前記着色部形成用材料付与工程に先立ち、前記難溶性部の前記基板に対向する面とは反対側の表面に撥液処理を施す撥液処理工程を有する請求項1ないし3のいずれかに記載のカラーフィルターの製造方法。
【請求項5】
前記着色部形成用材料として、赤色を呈する赤色着色部形成用材料と、緑色を呈する緑色着色部形成用材料と、青色を呈する青色着色部形成用材料とを用い、
これら3種の着色部形成用材料を、互いに異なる前記セル内に付与する請求項1ないし4のいずれかに記載のカラーフィルターの製造方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の方法を用いて製造されたことを特徴とするカラーフィルター。
【請求項7】
光透過性を有する基板と、
前記基板上に設けられ、遮光性の材料で構成された遮光部と、
前記遮光部により仕切られた複数個の空間にそれぞれ設けられた複数の着色部とを有するカラーフィルターであって、
前記遮光部が、感光性材料および熱硬化性樹脂の硬化物を含む材料で構成されたものであり、
前記着色部が、熱硬化性樹脂の硬化物と染料とを含む材料で構成されたものであることを特徴とするカラーフィルター。
【請求項8】
請求項6または7に記載のカラーフィルターを備えたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項9】
請求項8に記載の画像表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−138065(P2011−138065A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−299065(P2009−299065)
【出願日】平成21年12月29日(2009.12.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】