説明

カラーフィルタ付TFT基板

【課題】本発明は、低コストで、容易に形成することが可能であり、高輝度な画像表示を行うことが可能なカラーフィルタ付TFT基板、これを用いた液晶表示装置、および上記カラーフィルタ付TFT基板を、容易な工程で高いスループットで製造することができ、製造コストを削減することが可能なカラーフィルタ付TFT基板の製造方法を提供することを主目的とする。
【解決手段】基板と、上記基板上に形成された複数のTFT素子と、上記基板上に形成され、少なくとも一色がインクジェット方式で形成された複数色の画素部と、上記画素部上に形成された画素電極と、上記画素部間に配置され、上記TFT素子のドレイン電極と上記画素電極とを接続するためのコンタクトホールとを有し、上記コンタクトホールと上記画素部とは、同一の着色樹脂材料からなる隔壁で区画されていることを特徴とするカラーフィルタ付TFT基板を提供することにより、上記目的を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容易に形成することが可能であり、高輝度な画像表示を行うことが可能なカラーフィルタ付TFT基板、および上記カラーフィルタ付TFT基板をインクジェット法を用いて高いスループットで製造することができるカラーフィルタ付TFT基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
薄膜トランジスタ(以下、薄膜トランジスタをTFTと称する場合がある。)等のアクティブ素子を用いたアクティブマトリックス型液晶表示装置は、薄型、軽量、高画質等の特長から、表示装置として広く採用されている。アクティブマトリックス型液晶表示装置では、TFT素子および画素電極が形成された薄膜トランジスタ基板(以下、薄膜トランジスタ基板をTFT基板と称する場合がある。)と、TFT基板に対向して配置される共通電極基板との間に液晶を挟持し、TFT基板の画素電極と共通電極基板の共通電極との間に電圧を印加して液晶を駆動し、入射光を変調、出射することで画像を形成する。
また、カラー表示を行うため、共通電極基板側には、通常、カラーフィルタが設けられている。
【0003】
上記TFT基板は、例えば、基板上にゲート線およびゲート線に接続するゲート電極が形成され、ゲート線およびゲート電極を覆うようにゲート絶縁層が形成され、ゲート絶縁層上に半導体層が形成され、ゲート線と交差するようにソース線が形成され、半導体層上にソース線に接続するソース電極およびドレイン電極が形成され、ドレイン電極に接続する画素電極が形成された層構成を有し、上記ゲート電極、半導体層、ソース電極、およびドレイン電極をTFT素子として用いるものである。
【0004】
上記TFT基板には、ゲート線およびソース線等の配線や、ゲート電極、半導体層、ソース電極、およびドレイン電極等を有するTFT素子、画素電極などにより基板表面に段差が存在し、この段差によって液晶の配向不良が発生し、光漏れ(白抜け)が起こるという問題がある。
【0005】
この問題を解決するために、共通電極基板側のカラーフィルタに遮光部を形成して、液晶の配向不良を隠す方法が提案されている。しかしながら、上記TFT基板および共通電極基板を貼り合わせた場合に、上記TFT基板の上記TFT素子が形成されている領域にのみ、上記カラーフィルタの上記遮光部が形成されている領域を対向させることは困難であることから、上記遮光部の線幅は、通常、上記TFT素子が形成されている領域よりも広く形成される。上記遮光部はカラーフィルタの画素部を区画するものでもあることから、上記遮光部の線幅を広くした場合は、上記画素部の開口率が小さくなるため、液晶表示装置の輝度を十分に高いものとすることが困難であるといった問題があった。また、貼り合わせ時に精度の高いアライメントをとる必要があることから、製造工程が煩雑なものとなり、スループットが低下するといった問題があった。
【0006】
そこで、上記問題を解決するために、上述したTFT基板上にカラーフィルタが形成されたカラーフィルタ付TFT基板が提案されている(例えば特許文献1)。具体的には、上記TFT素子上に遮光部が形成され、上記TFT素子および画素電極の間に複数色の画素部が形成されたものである。また、カラーフィルタ付TFT基板は、各々のTFT素子のドレイン電極上に、上記TFT素子のドレイン電極と画素電極とを接続するためのコンタクトホールを有するものである。
上記構成を有するカラーフィルタ付TFT基板は、上記TFT素子上に遮光部を形成することができることから、上記遮光部の線幅を上記TFT素子の形成領域に合わせることが可能となるため、上記画素部の開口率を高いものとすることができる。また、上記カラーフィルタ付TFT基板は、上記共通電極との貼り合わせ時のアライメントに高い精度を必要としないことから、液晶表示装置の製造工程が容易になるため、スループットを向上させることが可能となる。
【0007】
上記構成を有するカラーフィルタ付TFT基板は、通常、フォトリソグラフィー法により形成されるものであるが、上記フォトリソグラフィー法は工程数が多いことから、製造工程が煩雑であり、多くの時間を必要とすることから、製造コストが高くなるといった問題があった。
そこで、より容易な工程で製造が可能でコスト的に有利なカラーフィルタ付TFT基板が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−237621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、低コストで、容易に形成することが可能であり、高輝度な画像表示を行うことが可能なカラーフィルタ付TFT基板、これを用いた液晶表示装置、および上記カラーフィルタ付TFT基板を、容易な工程で高いスループットで製造することができ、製造コストを削減することが可能なカラーフィルタ付TFT基板の製造方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するため、上述したカラーフィルタ付TFT基板の製造工程において、上記画素部を形成する際に、少ない工程数で複数色の画素部を形成することが可能なインクジェット法を用いることを試みた。
ここで、上述したように、上記カラーフィルタ付TFT基板においては、画素電極とTFT素子のドレイン電極とを接続させるために、上記TFT素子のドレイン電極上にコンタクトホールを形成する必要がある。また、上記コンタクトホールは通常、画素部をフォトリソグラフィー法を用いて形成する際に、画素部とともにパターニングされて形成されるものであるが、上記インクジェット法によって画素部を形成する場合は、TFT素子のドレイン電極上の所定の位置にコンタクトホールを形成することは困難であるといった問題があった。
そこで、本発明者らは、鋭意検討の結果、上記コンタクトホールをTFT素子のドレイン電極上の所定の位置に形成する方法として、予め、画素部を区画する隔壁とともに上記コンタクトホールを区画するための隔壁を同時に形成する方法を見出し、これにより、インクジェット法を用いて画素部を形成した場合であっても、上記コンタクトホールをTFT素子のドレイン電極上の所定の位置に形成することが可能となることを見出して、本発明を完成させるに至ったのである。
【0011】
すなわち、本発明は、基板と、上記基板上に形成された複数のTFT素子と、上記基板上に形成され、少なくとも一色がインクジェット方式で形成された複数色の画素部と、上記画素部上に形成された画素電極と、上記画素部間に配置され、上記TFT素子のドレイン電極と上記画素電極とを接続するためのコンタクトホールとを有し、上記コンタクトホールと上記画素部とは、同一の着色樹脂材料からなる隔壁で区画されていることを特徴とするカラーフィルタ付TFT基板を提供する。
【0012】
本発明によれば、上記コンタクトホールと上記画素部とを、予め同一の着色樹脂材料からなる隔壁で区画することができることから、インクジェット方式で複数色の画素部を形成した場合であっても、上記画素部間に上記コンタクトホールを配置することが可能となり、容易な工程で、コスト的に有利なカラーフィルタ付TFT基板とすることが可能となる。
【0013】
本発明においては、上記コンタクトホールと上記画素部とを区画する上記隔壁が、一体で形成されていることが好ましい。これにより、上記隔壁をより容易に形成することが可能となることから、スループットを向上させることが可能となるため、より低コストでカラーフィルタ付TFT基板を得ることが可能となる。
【0014】
本発明においては、上記隔壁が撥液性を有することが好ましい。上記隔壁が撥液性を有することにより、上記画素部をインクジェット方式を用いて形成する際に、上記隔壁によって区画された画素部形成領域に塗布された画素部形成用塗工液が、隣接する画素部形成領域に流れ込むことや、上記画素部形成用塗工液が、上記コンタクトホール内に流れ込むことをより効果的に防止することが可能となるからである。
【0015】
本発明においては、上記着色樹脂材料が、樹脂製遮光部用組成物であることが好ましい。上記着色樹脂材料が樹脂製遮光部用組成物であることにより、上記隔壁を遮光性の高い樹脂製遮光部として形成することができることから、上記TFT素子からの光漏れを好適に防止することが可能となり、より高輝度な画像表示を行うことが可能なカラーフィルタ付TFT基板とすることが可能となる。
【0016】
本発明においては、上記着色樹脂材料が、上記複数色の画素部のうち、いずれか1色の上記画素部を形成するための画素部用組成物であることが好ましい。上記1色の画素部と上記隔壁とに同一の画素部用組成物を用いることにより、上記隔壁を形成するための着色樹脂材料を別途用いる必要がなくなることから、製造コストを削減することが可能となる。また、上記カラーフィルタ付TFT基板および共通電極基板を貼り合わせる際に用いられるアライメントマークを認識しやすくなることから、上記カラーフィルタ付TFT基板を用いて、液晶表示装置をより容易に製造することが可能となる。
【0017】
本発明は、基板、上記基板上に形成された複数のTFT素子、上記基板上に形成され、少なくとも一色がインクジェット方式で形成された複数色の画素部、上記画素部上に形成された画素電極、および上記画素部間に配置され、上記TFT素子のドレイン電極と上記画素電極とを接続するためのコンタクトホールを有し、上記コンタクトホールと上記画素部とは、同一の着色樹脂材料からなる隔壁で区画されていることを特徴とするカラーフィルタ付TFT基板と、共通電極を有する共通電極基板と、上記カラーフィルタ付TFT基板および共通電極基板の間に設けられた液晶層と、を有することを特徴とする液晶表示装置を提供する。
【0018】
本発明によれば、上記カラーフィルタ付TFT基板を有することにより、高輝度な画像表示を行うことが可能な液晶表示装置とすることができる。また、上記カラーフィルタ付TFT基板を有することから、コスト的にも有利な液晶表示装置とすることができる。
【0019】
本発明は、複数のTFT素子が形成された基板上に、着色樹脂材料を含有する隔壁形成用塗工液を塗布して隔壁形成用層を形成し、フォトマスクを用いて上記隔壁形成用層を所定のパターン状に露光後、現像することにより、複数色の画素部が設けられる画素部形成領域と、上記TFT素子のドレイン電極上に設けられるコンタクトホールとを区画する隔壁を形成する隔壁形成工程と、上記画素部形成領域に、少なくとも1色の画素部をインクジェット方式で形成する画素部形成工程と、上記画素部上に設けられ、かつ、上記コンタクトホール内で上記TFT素子のドレイン電極と接続するように設けられる画素電極を形成する画素電極形成工程と、を有することを特徴とするカラーフィルタ付TFT基板の製造方法を提供する。
【0020】
本発明によれば、上記画素部形成領域と上記コンタクトホールとを区画する隔壁を予め上記隔壁形成工程で形成することができることから、上記画素部形成工程でインクジェット方式を用いて上記画素部を形成した場合であっても、上記コンタクトホールをTFT素子のドレイン電極の所定の位置に形成することが可能となる。よって、複数色の画素部をフォトリソグラフィー法を用いて形成する場合に比べて、工程数を少なくすることができるため、スループットを向上させ、製造コストを削減して、カラーフィルタ付TFT基板を製造することが可能となる。
【0021】
本発明においては、上記隔壁形成工程では、上記着色樹脂材料として、樹脂製遮光部用組成物を用いることが好ましい。上記隔壁を遮光性の高い樹脂製遮光部として形成することができることから、上記TFT素子からの光漏れを好適に防止することが可能となり、より高輝度な画像表示を行うことが可能なカラーフィルタ付TFT基板を製造することが可能となる。
【0022】
本発明においては、上記隔壁工程では、上記着色樹脂材料として、上記複数色の画素部のうち、いずれか1色の上記画素部を形成するための画素部用組成物を用いることが好ましい。上記1色の画素部と上記隔壁とに同一の画素部用組成物を用いることにより、上記隔壁を形成するための着色樹脂材料を別途用いる必要がなくなることから、製造コストを削減することが可能となる。また、本発明の製造方法により得られたカラーフィルタ付TFT基板を用いて液晶表示装置とする場合に、上記カラーフィルタ付TFT基板および共通電極基板を貼り合わせる際に用いられるアライメントマークを認識しやすくなることから、上記カラーフィルタ付TFT基板を用いて、液晶表示装置をより容易に製造することが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、上記コンタクトホールと上記複数色の画素部とを、予め、同一の着色樹脂材料からなる隔壁を形成して区画することができることから、インクジェット方式で上記画素部を形成した場合であっても、上記画素部間にコンタクトホールを配置することが可能となり、容易な工程で、コスト的に有利なカラーフィルタ付TFT基板を得ることが可能となるといった作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明のカラーフィルタ付TFT基板の一例を示す概略図である。
【図2】本発明のカラーフィルタ付TFT基板の他の一例を示す概略平面図である。
【図3】本発明のカラーフィルタ付TFT基板の他の一例を示す概略平面図である。
【図4】本発明のカラーフィルタ付TFT基板の一例を示す概略図である。
【図5】本発明の液晶表示装置の一例を示す概略断面図である。
【図6】本発明のカラーフィルタ付TFT基板の製造方法の一例を示す工程図である。
【図7】本発明のカラーフィルタ付TFT基板の製造方法の他の一例を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明のカラーフィルタ付TFT基板、液晶表示装置、およびカラーフィルタ付TFT基板の製造方法について説明する。
【0026】
A.カラーフィルタ付TFT基板
本発明のカラーフィルタ付TFT基板は、基板と、上記基板上に形成された複数のTFT素子と、上記基板上に形成され、少なくとも一色がインクジェット方式で形成された複数色の画素部と、上記画素部上に形成された画素電極と、上記画素部間に配置され、上記TFT素子のドレイン電極と上記画素電極とを接続するためのコンタクトホールとを有し、上記コンタクトホールと上記画素部とは、同一の着色樹脂材料からなる隔壁で区画されていることを特徴とするものである。
【0027】
ここで、本発明における「画素部」とは、本発明のカラーフィルタ付TFT基板を液晶表示装置に用いた際に、画像表示に寄与する領域を指す。
【0028】
また、本発明における「画素部間」とは、本発明のカラーフィルタ付TFT基板を液晶表示装置に用いた際に、画像表示に寄与しない領域を指す。また、通常、上記画素部間には、TFT素子、コンタクトホール、隔壁等が存在する。
【0029】
従来、上述したカラーフィルタ付TFT基板の製造工程においては、上記複数色の画素部をフォトリソグラフィー法を用いて形成していたため、製造工程が煩雑であり、多くの時間を必要とすることから、製造コストが高くなるといった問題があった。そのため、より容易な工程で製造が可能であり、コスト的に有利な上記カラーフィルタ付TFT基板が望まれている。
そこで、本発明者らは、上述したカラーフィルタ付TFT基板の製造工程において、上記画素部を形成する際に、少ない工程数で複数色の画素部を形成することが可能なインクジェット法を用いることを試みた。
ここで、上記カラーフィルタ付TFT基板は、画素電極とTFT素子のドレイン電極とを接続させるために、上記TFT素子のドレイン電極上にコンタクトホールを形成する必要がある。しかしながら、上記コンタクトホールは、通常、画素部をフォトリソグラフィー法を用いて形成する際に、画素部とともにパターニングされて形成されるものであることから、上記インクジェット法によって画素部を形成する場合は、上記TFT素子のドレイン電極上の所定の位置に、コンタクトホールを形成することは困難であるといった問題があった。
本発明者らは、鋭意検討の結果、上記コンタクトホールを上記TFT素子のドレイン電極上の所定の位置に形成する方法として、予め画素部を区画する隔壁とともに上記コンタクトホールを区画する隔壁を同時に形成する方法を見出し、これにより、インクジェット法を用いて画素部を形成した場合であっても、コンタクトホールをTFT素子のドレイン電極上の所定の位置に形成することが可能となることを見出して、本発明を完成させるに至ったのである。
【0030】
本発明は、上記カラーフィルタ付TFT基板を製造する製造工程において、従来用いられていなかったインクジェット法により複数色の画素部が形成されていることに大きな特徴を有するものである。
本発明によれば、上記コンタクトホールと上記画素部とを、予め同一の着色樹脂材料からなる隔壁を形成して区画することができることから、インクジェット方式で複数色の画素部を形成した場合であっても、上記画素部間にコンタクトホールを配置することが可能となり、容易な工程で、コスト的に有利なカラーフィルタ付TFT基板とすることが可能となる。
【0031】
ここで、本発明のカラーフィルタ付TFT基板は、上記隔壁に用いられる着色樹脂材料が樹脂製遮光部用組成物である態様(以下、第1態様とする。)と、上記着色樹脂材料が、上記複数の画素部のうち、いずれか1色の上記画素部を形成するための画素部用組成物である態様(以下、第2態様とする。)との2つの態様に分けて考えることができる。以下、各態様についてそれぞれ説明する。
【0032】
1.第1態様のカラーフィルタ付TFT基板
まず、本発明のカラーフィルタ付TFT基板の第1態様について説明する。
本態様のカラーフィルタ付TFT基板は、上記コンタクトホールと上記画素部とが、同一の樹脂製遮光部用組成物からなる隔壁で区画されていることを特徴とするものである。
【0033】
ここで、本態様のカラーフィルタ付TFT基板について、図を用いて説明する。
図1は、本態様のカラーフィルタ付TFT基板の一例を示す概略図であり、図1(a)は、本態様のカラーフィルタ付TFT基板の一例を示す概略平面図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A断面の概略断面図である。図1(a)、(b)に示すように、本態様のカラーフィルタ付TFT基板10は、基板1と、基板1上に形成された複数のTFT素子2と、TFT素子2上に形成され、少なくとも1色がインクジェット方式で形成された複数色の画素部3(図1では、緑色画素部3G、青色画素部3B、および赤色画素部3R)と、画素部3上に形成された画素電極4と、画素部3間に形成され、TFT素子2のドレイン電極25と画素電極4とを接続するためのコンタクトホールhとを有するものである。
なお、図1(a)において、画素部3間とは、隔壁5が形成されている領域と、一点鎖線で囲まれた画素部用組成物からなる層を有する領域Uとを指すものである。
また、本態様においては、画素部3とコンタクトホールhとが、同一の樹脂製遮光部用組成物からなる隔壁5により区画されているものである。また、図1(a)、(b)においては、画素部3を区画する隔壁を画素部用隔壁5aとし、コンタクトホールhを区画する隔壁をコンタクトホール用隔壁5bとして示している。
なお、本態様におけるTFT素子2は、通常、図1(b)に示すように、ゲート電極21と、ゲート電極21上に形成されたゲート絶縁膜22と、ゲート絶縁膜22上に形成された半導体層23と、半導体層23上に所定の間隔をあけて対向するように形成されたソース電極24およびドレイン電極25とを有するものである。
なお、図1(a)においては、画素電極を省略して示している。
【0034】
本態様においては、上記着色樹脂材料が樹脂製遮光部用組成物であることにより、上記隔壁を遮光性の高い樹脂製遮光部として形成することができることから、上記TFT素子からの光漏れを好適に防止することが可能であるため、より高輝度な画像表示を行うことが可能なカラーフィルタ付TFT基板とすることが可能となる。
【0035】
以下、本態様のカラーフィルタ付TFT基板に用いられる各構成についてそれぞれ説明する。
【0036】
(1)隔壁
本態様に用いられる隔壁は、上記コンタクトホールと上記画素部とをそれぞれ区画するために形成されるものであり、上記コンタクトホールを区画する隔壁と上記画素部を区画する隔壁とが同一の樹脂製遮光部用組成物からなるものである。
【0037】
本態様に用いられる隔壁について、以下、隔壁の形態と樹脂製遮光部用組成物とに分けて説明する。
【0038】
(a)隔壁の形態
本態様における隔壁の形態としては、上記コンタクトホールと上記画素部とを区画することができるものであれば特に限定されるものではない。このような隔壁の形態としては、具体的には、図2に示すように、コンタクトホールhと画素部3とを区画する隔壁5が一体で形成されている態様(以下、Aの態様とする。)と、上述した図1で示したように、コンタクトホールhと画素部3とを区画する隔壁5が別体(図1においては、画素部用隔壁5aおよびコンタクトホール用隔壁5b)で形成されている態様(以下、Bの態様とする。)との2つの態様に分けて考えることができる。なお、図2は、本態様のカラーフィルタ付TFT基板の他の一例を示す概略平面図であり、画素部3間が隔壁5が形成されている領域からなる例について示している。また、図2において説明していない符号については、図1と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0039】
(i)Aの態様
本態様の隔壁は、コンタクトホールと画素部とを区画する隔壁が一体で形成されているものである。
【0040】
本態様の隔壁の高さとしては、本態様のカラーフィルタ付TFT基板の製造時において、少なくとも1色の画素部をインクジェット方式により形成する場合に、上記隔壁により区画される所定の画素部形成領域に塗布された画素部形成用塗工液が他の画素部形成領域に流れ込んで画素部形成用塗工液同士の混色が生じることを防止することができ、かつ、上記画素部形成用塗工液が上記コンタクトホール内へ流れ込んで上記コンタクトホールを塞ぐことを防止することが可能な高さであれば、特に限定されるものではないが、2.0μm〜5.0μmの範囲内、なかでも、2.0μm〜4.0μmの範囲内、特に、2.5μm〜3.5μmの範囲内であることが好ましい。上記隔壁の高さが上記範囲に満たない場合は、上記隔壁を設けた場合であっても、インクジェット方式を用いて上記画素部を形成した場合には、所定の画素部形成領域に塗布された上記画素部形成用塗工液が他の画素部形成領域やコンタクトホール内に流れ込むことを防止することが困難となるおそれがあるからである。また、上記隔壁の高さが上記範囲を超える場合は、上記カラーフィルタ付TFT基板を薄膜に形成することが困難となることから、近年要望が高まっている薄膜の液晶表示装置を提供することが困難となるからである。
【0041】
本態様に用いられる隔壁の線幅としては、インクジェット方式を用いて上記画素部を形成した場合に、上記画素部形成用塗工液同士の混色を防止することが可能な程度の線幅であれば特に限定されるものではないが、4μm〜30μmの範囲内、なかでも4μm〜20μmの範囲内、特に4μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。上記線幅が上記範囲に満たない場合は、上記隔壁を形成した場合であっても、上記画素部用形成用塗工液同士の混色を防止することが困難となるおそれがあるからであり、上記線幅が上記範囲を超える場合は、上記画素部の開口率が低くなるため、本態様のカラーフィルタ付TFT基板を液晶表示装置に用いた際に、高輝度な画像表示を行うことが困難となるおそれがあるからである。
なお、本態様に用いられる「隔壁の線幅」とは、図2(b)に示すように画素部3間の最短距離xを指すものである。また、図2(b)は、図2(a)のB部分の拡大図を示している。
【0042】
本態様に用いられる隔壁における上記画素部と上記コンタクトホールとの間の距離としては、上記画素部をインクジェット方式を用いて形成した場合に、上記画素部形成用塗工液がコンタクトホール内部へと流れ込むことを防止することができる程度の距離であれば特に限定されるものではないが、4μm〜30μmの範囲内、なかでも4μm〜20μmの範囲内、特に4μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。上記画素部と上記コンタクトホールとの間の距離が上記範囲に満たない場合は、上記隔壁を形成した場合であっても、上記画素部形成用塗工液がコンタクトホール内に流れ込むことを防止することが困難となる可能性があるからであり、上記画素部と上記コンタクトホールとの間の距離が上記範囲を超える場合は、上記画素部の開口率が低下することから、本態様のカラーフィルタTFT基板を液晶表示装置に用いた際に、高輝度な画像表示を行うことが困難となるおそれがあるからである。
なお、本態様における「上記画素部と上記コンタクトホールとの間の距離」とは、図2(b)に示すように、画素部3の端部からコンタクトホールhの端部までの最短距離yを指すものである。
【0043】
上記隔壁の形成方法としては、後述する樹脂製遮光部用組成物を用いて、複数のTFT素子が形成された基板上に、コンタクトホールおよび画素部を区画する隔壁を所定のパターン状に形成することが可能な方法であれば特に限定されるものではなく、一般的なカラーフィルタを形成する際に用いられる樹脂製部材の形成方法と同様とすることができる。具体的には、フォトリソグラフィー法を挙げることができる。
【0044】
(ii)Bの態様
本態様の隔壁は、コンタクトホールと画素部とを区画する隔壁が別体で形成されているものである。以下、コンタクトホールを区画する隔壁をコンタクトホール用隔壁、画素部を区画する隔壁を画素部用隔壁と称して説明する場合がある。
【0045】
本態様におけるコンタクトホール用隔壁の高さとしては、上記画素部をインクジェット方式で形成した際に、画素部形成用塗工液がコンタクトホール内に流れ込むことを防止することができる高さであれば特に限定されるものではなく、上述した「(i)Aの態様」の項で説明した隔壁の高さと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0046】
本態様におけるコンタクトホール用隔壁の線幅としては、上記画素部をインクジェット方式で形成した際に、画素部形成用塗工液がコンタクトホール内に流れ込むことを防止することができる線幅であれば特に限定されるものではなく、上述した「(i)Aの態様」の項で説明した上記コンタクトホールと上記画素部との間の距離と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
なお、本態様におけるコンタクトホール用隔壁の線幅とは、図3(b)に示すように、コンタクトホール用隔壁5bの一方の端部から他方までの端部の最短距離zを指すものである。なお、図3(a)は、本態様のカラーフィルタ付TFT基板の他の一例を示す概略平面図であり、図3(b)は、図3(a)のC部分の拡大図である。また、図3において説明していない符号については図1と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0047】
次に、本態様における画素部用隔壁について説明する。本態様に用いられる画素部用隔壁の高さ、および線幅については、上述した「(i)Aの態様」の項で説明した隔壁の高さおよび線幅と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0048】
本態様の隔壁の形成方法については、「(i)Aの態様」の項で説明した隔壁の形成方法と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0049】
(iii)隔壁の形態
本態様における隔壁の形態としては、上述したAの態様とBの態様とのうち、特にAの態様であることが好ましい。上記コンタクトホールと上記画素部とを区画する隔壁が一体で形成されていることにより、上記隔壁をより容易に形成することが可能となるため、スループットを向上させることが可能となることから、本態様のカラーフィルタ付TFT基板をより低コストで得ることができるからである。
【0050】
(b)樹脂製遮光部用組成物
次に、本態様に用いられる樹脂製遮光部用組成物について説明する。
本態様に用いられる樹脂製遮光部用組成物としては、上述した隔壁を形成することが可能なものであれば特に限定されるものではなく、一般的なカラーフィルタの樹脂製遮光部に用いられるものと同様とすることができ、通常、樹脂および遮光材料を有するものである。
【0051】
上記樹脂としては、一般的なカラーフィルタの樹脂製遮光部の形成に一般的に用いられる樹脂を使用することができ、撥液性を有し、上記画素部形成用塗工液の接触角が大きい撥液性樹脂であっても良く、親液性を有し、画素部形成用塗工液の接触角が小さい親液性樹脂であっても良いが、入手容易であることから、通常、親液性樹脂が用いられる。
【0052】
上記親液性樹脂としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−ビニル共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、エチレン−メタクリル酸樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル、ポリビニルアルコール、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミック酸樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂等を用いることができる。
【0053】
上記遮光材料としては、一般的なカラーフィルタの樹脂製隔壁に用いられる材料を使用することができ、例えば、カーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子等を挙げることができる。
【0054】
上記遮光部用組成物としては、上述した樹脂および遮光材料の他にも、必要に応じて光重合開始剤、増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、および難燃剤等を含むものであっても良い。
【0055】
(c)隔壁
本態様に用いられる隔壁は、上記画素部をインクジェット方式を用いて形成した場合に、上記画素部形成用塗工液同士の混色や、上記コンタクトホール内に上記画素部形成用塗工液が流れ込むことを防止することが可能なものであれば特に限定されるものではない。本態様においては、なかでも上記隔壁が撥液性を有するものであることが好ましい。上記隔壁が撥液性を有することにより、上記画素部形成用塗工液の混色やコンタクトホール内に上記画素部形成用塗工液が流れ込むことを好適に防止することが可能となるからである。
【0056】
ここで、本態様における「撥液性」とは、本態様において、後述する複数色の画素部の形成に用いられる画素部形成用塗工液との接触角が大きいことを意味するものである。
【0057】
このような隔壁の撥液性としては、上記画素部形成用塗工液の種類等に応じて適宜設定されるものであるが、上記撥液性隔壁と上記画素部形成用塗工液との接触角が、上記基板上の上記画素部形成領域と上記画素部形成用塗工液との接触角よりも高いものであれば特に限定されるものではない。なかでも本態様においては、表面張力が28mN/mの液体との接触角が、20°以上となる程度であることが好ましく、なかでも40°以上となる程度であることが好ましく、特に50°以上となる程度であることが好ましい。上記範囲であることにより、上記基板上に上記画素部形成用塗工液を塗布して画素部を形成した場合に、上記画素部形成用塗工液が、隣接する画素部形成領域およびコンタクトホール内に流れ込むおそれの少ないものとすることができる。このため、画素部の混色防止等を図ることができるからである。
なお、表面張力が28mN/mの液体としては、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)を例示することができる。
また、上記接触角は、接触角測定器(例えば協和界面科学(株)製CA−Z型)を用いて測定(マイクロシリンジから液滴を滴下して30秒後)することにより得ることができる。
【0058】
上記隔壁に撥液性を付与する方法としては、上記隔壁の全表面が撥液性を有するようにすることができる方法であれば特に限定されるものではなく、具体的には、上述した樹脂製遮光部用組成物に撥液剤を含有させる方法と、上述した樹脂製遮光部用組成物を用いて形成された隔壁に、撥液化処理を施して撥液化させる方法とを挙げることができる。
【0059】
上記撥液剤を含有する方法において用いられる撥液剤としては、画素部の形成に用いられる画素部形成用塗工液に対する撥液性を備えるものであれば良く、例えば、フッ素含有基と親水基または親油基とを有するモノマーまたはオリゴマー、フッ素含有高分子化合物、および、フッ素含有物質の微粒子等を挙げることができる。
【0060】
ここで、上記フッ素含有高分子化合物としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロエチレンプロピレン樹脂、パーフルオロアルコキシ樹脂等を挙げることができる。
また、上記フッ素含有物質の微粒子としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、フルオロオレフィンビニルエーテル系共重合体、3フッ化エチレン−フッ化ビニリデン共重合体等からなる微粒子を挙げることができる。
さらに、上記フッ素含有基と親水基または親油基とを有するモノマーまたはオリゴマーとしては、例えば、下記一般式(1)〜(6)で表される化合物を例示することができる。
【0061】
【化1】

【0062】
ここで、上記一般式(1)〜(6)において、RfおよびRf’はフルオロアルキル基、RおよびR’はアルキレン基を表し、RfとRf’また、RとR’は同一でも異なっていても良い。また、X、X’およびYは、−COO−、−OCOO−、−CONR''−、−OCONR''−、−SONR''−、−SO−、−SOO−、−O−、−NR''−、−S−、−CO−、−OSOO−、−OPO(OH)O−のうちのいずれかを表し、X、X’およびYは同一でも異なっていても良い。Zは、−SOH、−COOH、−OH、−NH、−SONH、−CONH、−SONH、−COONH、また、R''は、アルキル基または水素を表し、R’’’はアルキル基を表す。
【0063】
本態様に用いられる撥液剤としては、上記フッ素含有基と親水基または親油基とを有するモノマーまたはオリゴマー、上記フッ素含有高分子化合物、および、上記フッ素含有物質の微粒子のいずれであっても好適に用いることができるが、なかでも上記フッ素含有基と親水基または親油基とを有するモノマーまたはオリゴマーを用いることが好ましい。
【0064】
なお、本態様に用いられる撥液剤は1種類のみであっても良く、または、2種類以上であっても良い。
【0065】
本態様に用いられる撥液剤の含有量としては、使用する撥液剤の種類等に応じて、上記樹脂製隔壁に所望の撥液性を付与できる範囲内であれば良いが、上記撥液性遮光材料中に0.005質量%〜50質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも0.01質量%〜25質量%の範囲内であることが好ましい。上記範囲より多いと、十分な強度を有するものとすることができない可能性があるからであり、上記範囲より少ないと、十分な撥液性を発揮することができないおそれがあるからである。
【0066】
一方、本態様において、上述した遮光部用組成物を用いて形成された隔壁の表面を撥液性とする撥液化方法としては、上記隔壁の表面が所望の撥液性を有するものとすることができる方法であれば良い。具体的には、フッ素化合物を導入ガスとしたプラズマ照射をするプラズマ照射方法を好ましく用いることができる。
上記プラズマ照射方法では、樹脂を含む親液性隔壁の表面のみを撥液化することができ、上記基板表面の撥液化を抑制することができる。したがって、画素部形成用塗工液を塗布した際に、上記基板表面で、上記画素部形成用塗工液が十分に濡れ広がるものとすることができるからである。
【0067】
上記導入ガスに用いられるフッ素化合物としては、例えば、CF、SF、CHF、C、C、C等を挙げることができる。
【0068】
また、上記導入は、上記フッ素ガスと他のガスとが混合されたものであっても良い。他のガスとしては、例えば、窒素、酸素、アルゴン、ヘリウム等を上げることができるが、なかでも窒素を用いることが好ましい。さらに上記他のガスとして窒素を用いる場合、窒素の混合比率は60%以上であることが好ましい。
【0069】
また、上記プラズマ照射を行う方法としては、上記隔壁の表面を撥液化することが可能な方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、減圧下でプラズマ照射する方法であっても良く、または、大気圧下でプラズマ照射する方法であっても良い。なかでも、本態様においては特に大気圧下でプラズマ照射を行う方法が好ましい。
【0070】
なお、上記プラズマ照射を行った際の、上記隔壁の表面におけるフッ素の存在は、X線光電子分光分析装置による分析(XPS)において、表面より検出される全元素中のフッ素元素の割合を測定することにより確認することができる。また、X線光電子分光分析装置としては、例えばV.G.Scientific社製 ESCALAB 220i−XL等を用いることができる。
【0071】
(2)コンタクトホール
本態様に用いられるコンタクトホールは、上記画素部間に形成され、上記TFT素子のドレイン電極と上記画素電極とを接続するために設けられるものである。
【0072】
上記コンタクトホールの平面視上の形状としては、上記TFT素子のドレイン電極および画素電極を接続させることが可能な面積を確保することが可能な形状であれば特に限定されず、上記画素部のパターンにより適宜選択されるものであり、例えば、円形状、楕円形状、多角形状等を挙げることができる。
【0073】
本態様において、上記画素部のパターンがストライプ型である場合は、上述したコンタクトホールの平面視上の形状のなかでも四角形状が好ましく、より好ましくは、図3(a)、(b)に示すように、画素部3の短辺方向に平行な辺tの長さが、画素部3の長辺方向に平行な辺tの長さよりも長くなるように形成されている四角形状である。
【0074】
ここで、通常、上記画素部の短辺方向には、各画素部に対応するTFT素子が形成されているものである。上記コンタクトホールは、上記画素電極およびTFT素子のドレイン電極が接続するように形成される必要があることから、上記コンタクトホールにおいては、上記画素部の短辺方向に平行な辺の長さについては、ある程度の長さが必要となる。一方、上記画素部の長辺方向に平行な辺の長さについては、上記画素電極およびTFT素子のドレイン電極が接続するようにコンタクトホールを形成することが可能であれば、特に限定されないことから、上記画素部の長辺方向に平行な辺の長さを短くすることにより、上記コンタクトホールを小さくすることが可能となる。これにより、本態様のカラーフィルタ付TFT基板を用いて、より高精細な画像表示を行うことが可能となる。
また、コンタクトホールの平面視上の形状を図3(a)、(b)に示すような四角形状とした場合は、上述した他の形状に比べて、コンタクトホールを小さく形成した場合もドレイン電極および画素電極を接続させるために必要な面積を確保しやすくなるからである。
【0075】
また、上記コンタクトホールの断面形状としては、上記TFT素子のドレイン電極および画素電極を接続することが可能な断面形状であれば特に限定されるものではなく、上記コンタクトホールの画素電極側の開口幅およびTFT素子のドレイン電極側の開口幅が同等な形状であってもよいし、上記コンタクトホールの画素電極側の開口幅およびTFT素子のドレイン電極側の開口幅が異なる形状であってもよい。本態様においては、なかでも、図1(b)に示すように、コンタクトホールhの画素電極4側の開口幅がTFT素子2のドレイン電極25側の開口幅より大きくなるようなテーパー形状であることが好ましい。上記形状とすることにより、上記コンタクトホール内で上記TFT素子のドレイン電極および画素電極を好適に接続することが可能となるからである。
【0076】
本態様に用いられるコンタクトホールの大きさとしては、上記画素電極およびTFT素子のドレイン電極を接続することが可能な大きさであれば特に限定されず、本態様のカラーフィルタ付TFT基板の大きさに合わせて適宜選択されるものである。
【0077】
上記コンタクトホールの形成位置としては、上記画素部間であって、上記画素電極およびTFT素子のドレイン電極を接続させることが可能となるように、少なくとも上記ドレイン電極上に形成される位置であれば特に限定されず、本態様に用いられるTFT素子の形成位置により適宜選択されるものである。
【0078】
(3)画素部
本態様に用いられる画素部は、上記基板上に形成され、少なくとも1色がインクジェット方式で形成されたものである。また、本態様における画素部は、本態様のカラーフィルタ付TFT基板を液晶表示装置に用いた際に、画像表示に寄与する領域を指す。
また、通常、赤色画素部、緑色画素部、および青色画素部を有するものであるが、上記3色以外の画素部を有していてもよい。
【0079】
本態様に用いられる画素部のパターンとしては、本態様のカラーフィルタ付TFT基板を用いて表示装置を組み立てた際に、画像表示を行うことができるものであれば特に限定されるものではなく、一般的なカラーフィルタに用いられる画素部のパターンと同様とすることができ、具体的には、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の公知の配列とすることができる。また、画素部面積は任意に設定することができる。
【0080】
上記画素部の厚みとしては、上記カラーフィルタ付TFT基板を用いて良好な画像表示を行うことができる程度の厚みであれば特に限定されるものではなく、一般的なカラーフィルタに用いられる画素部の厚みと同様とすることができる。
【0081】
上記画素部の材料としては、一般的なカラーフィルタの画素部に用いられる材料と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。なお、本態様においては、少なくとも1色の画素部の材料は、一般的なカラーフィルタにおいてインクジェット方式を用いて形成される画素部に用いられるものと同様である。
【0082】
また、本態様においては、複数色の画素部のうち、少なくとも1色の画素部がインクジェット方式で形成されたものであれば、特に限定されるものではないが、すべての画素部がインクジェット方式で形成されていることがより好ましい。これにより、本態様のカラーフィルタ付TFT基板を製造する製造工程を少ないものとすることができることから、製造コストを削減することが可能となる。
【0083】
(4)TFT素子
本態様におけるTFT素子は、後述する基板上に複数設けられるものである。
【0084】
TFT素子は、図1(b)に例示するように、ゲート電極21と、ゲート電極21上に形成されたゲート絶縁膜22と、ゲート絶縁膜22上に形成された半導体層23と、半導体層23上に所定の間隔をあけて対向するように形成されたソース電極24およびドレイン電極25とを有しており、画素電極4はドレイン電極25と接続されている。
TFT素子としては、特に限定されるものではなく、用いられる液晶表示装置の種類に応じて適宜選択され、例えば、a−Si TFT構造を有するものであってよく、p−Si TFT構造を有するものであってもよい。a−Si TFT構造を有するTFT素子の場合、正スタガ型(トップゲート構造)および逆スタガ型(ボトムゲート構造)のいずれであってもよい。また、逆スタガ型の場合、チャネルエッチ型およびチャネルプロテクト型のいずれであってもよい。一方、p−Si TFT構造を有するTFT素子の場合、プレーナ型およびスタガ型のいずれであってもよい。
【0085】
(5)画素電極
本態様に用いられる画素電極は、上記画素部上にパターン状に形成され、かつ、上記コンタクトホール内で上記TFT素子と接続するように形成されるものである。
【0086】
画素電極は、一般に液晶表示素子の画素電極として用いられているものであれば特に限定されるものではなく、例えば、酸化インジウム、酸化錫、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム錫(IZO)等が好ましく用いられる。
【0087】
(6)基板
本態様に用いられる基板は、一般に液晶表示素子の基板として用いられるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ガラス板、プラスチック板などが好ましく挙げられる。
【0088】
(7)その他の構成
本態様のカラーフィルタ付TFT基板は上述した隔壁、コンタクトホール、画素部、TFT素子、画素電極、および基板を有するものであれば特に限定されるものではなく、他にも必要な部材を適宜選択して追加することが可能である。このような部材としては、配向膜、オーバーコート層、柱状スペーサ等を挙げることができる。なお、これらの部材については、一般的なカラーフィルタ付TFT基板に用いられるものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0089】
2.第2態様のカラーフィルタ付TFT基板
次に、本発明のカラーフィルタ付TFT基板の第2態様について説明する。
本態様のカラーフィルタ付TFT基板は、上記コンタクトホールと上記画素部とが、上記複数の画素部のうち、いずれか1色の上記画素部を形成するための画素部用組成物からなる隔壁で区画されていることを特徴とするものである。
【0090】
ここで、本態様のカラーフィルタ付TFT基板について、図を用いて説明する。
図4は、本態様のカラーフィルタ付TFT基板の一例を示す概略図であり、図4(a)は、本態様のカラーフィルタ付TFT基板の一例を示す概略平面図であり、図4(b)は、図4(a)のD−D断面の概略断面図である。図4(a)、(b)に示すように、本態様のカラーフィルタ付TFT基板10は、基板1と、基板1上に形成された複数のTFT素子2と、TFT素子2上に形成され、少なくとも1色がインクジェット方式で形成された複数色の画素部3(図1では、緑色画素部3G、青色画素部3B、および赤色画素部3R)と、画素部3上に形成された画素電極4と、画素部3間に形成され、TFT素子2のドレイン電極25と画素電極4とを接続するためのコンタクトホールhとを有するものである。なお、図4(a)における画素部3間とは、隔壁5が形成されている領域と、一点鎖線で囲まれた画素部用組成物からなる層を有する領域Uとを指すものである。
また、本態様においては、画素部3とコンタクトホールhとが、青色画素部3Bと同一の青色画素部用組成物からなる隔壁5により区画されているものである。また、図4(a)、(b)においては、画素部3を区画する隔壁を画素部用隔壁5aとし、コンタクトホールhを区画する隔壁をコンタクトホール用隔壁5bとして示している。
なお、本態様におけるTFT素子2については、図1で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
また、図4(a)においては、画素電極を省略して示している。
【0091】
本態様においては、上記1色の画素部と上記隔壁とに同一の画素部用組成物を用いることにより、上記隔壁を形成するための着色樹脂材料を別途用いる必要がなくなることから、製造コストを削減することが可能となる。また、上記カラーフィルタ付TFT基板および共通電極基板を貼り合わせる際に用いられるアライメントマークを認識しやすくなることから、上記カラーフィルタ付TFT基板を用いて、液晶表示装置をより容易に製造することが可能となる。
【0092】
以下、本態様のカラーフィルタ付TFT基板に用いられる各構成についてそれぞれ説明する。
【0093】
(1)隔壁
本態様に用いられる隔壁は、上記コンタクトホールと上記画素部とをそれぞれ区画するために形成されるものであり、上記コンタクトホールを区画する隔壁と上記画素部を区画する隔壁とが、上記複数の画素部のうち、いずれか1色の画素部を形成するための画素部用組成物からなるものである。
【0094】
本態様において、画素部用隔壁およびコンタクトホール用隔壁に用いられる画素部用組成物としては、上述した複数色の画素部のうち、いずれか1色の画素部に用いられるものであれば特に限定されるものではなく、赤色画素部用組成物、青色画素部用組成物、または緑色画素部用組成物のいずれであっても用いることができる。本態様においては、なかでも、赤色画素部用組成物または青色画素部用組成物であることが好ましい。赤色画素部または青色画素部は、緑色画素部に比べて視感度が低く、暗く見えることから、上記TFT素子からの光漏れ等を好適に防止することが可能となる。また、本態様においては、特に、青色画素部用組成物を用いることが好ましい。上記青色画素部用組成物を用いて、画素部用隔壁およびコンタクトホール用隔壁を形成することにより、本態様のカラーフィルタ付TFT基板を用いた画像表示は、全体的に青みがかったブルー系の画像表示となる。一般的に、上記ブルー系の画像表示は、全体的に赤みがかったレッド系の画像表示に比べて好まれることから、本態様においては、青色画素部用組成物を用いて画素部用隔壁およびコンタクトホール用隔壁を形成することが好ましい。
【0095】
なお、上記画素部用組成物としては、一般的にフォトリソグラフィー法を用いて形成される画素部に用いられるものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0096】
また、本態様に用いられる隔壁は、通常、上記1色の画素部と同時に形成されるものである。
【0097】
本態様に用いられる隔壁の形態については、上述した「1.第1態様のカラーフィルタ付TFT基板」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0098】
本態様においても、上記隔壁は撥液性を有することが好ましい。インクジェット方式を用いて、上記1色の画素部以外の画素部を形成する際に、画素部形成用塗工液の混色、および上記コンタクトホール内への画素部形成用塗工液の流れ込みをより好適に防止することが可能となるからである。
上記隔壁の撥液性、および上記隔壁を撥液化する方法については、「1.第1態様のカラーフィルタ付TFT基板」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。なお、上記隔壁が撥液性を有する場合は、通常、同時に形成される1色の画素部についても、同様に撥液化されるものである。
【0099】
(2)画素部
本態様に用いられる画素部は、上記基板上に形成され、少なくとも1色がインクジェット方式で形成されたものである。また、上述したように、複数色の画素部のうち、いずれか1色の画素部は、通常、上述した隔壁と同時に形成されるものであり、上記隔壁と同一の画素部用組成物からなるものである。
【0100】
本態様に用いられる画素部について、上記以外の点については、上述した「1.第1態様のカラーフィルタ付TFT基板」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0101】
(3)隔壁および画素部以外の構成
本態様に用いられる隔壁および画素部以外の構成、すなわち、コンタクトホール、TFT素子、画素電極、基板、およびその他の部材については、上述した「1.第1態様のカラーフィルタ付TFT基板」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0102】
B.液晶表示装置
次に本発明の液晶表示装置について説明する。
本発明の液晶表示装置は、上述した「A.カラーフィルタ付TFT基板」の項で説明したカラーフィルタ付TFT基板と、共通電極を有する共通電極基板と、上記カラーフィルタ付TFT基板および共通電極基板の間に設けられた液晶層とを有することを特徴とするものである。
【0103】
本発明の液晶表示装置について図を用いて説明する。図5は、本発明の液晶表示装置の一例を示す概略断面図である。図5に示すように、本発明の液晶表示装置100は、カラーフィルタ付TFT基板10と、共通電極基板30と、カラーフィルタ付TFT基板10および共通電極基板20の間に設けられた液晶層40とを有するものである。
図5におけるカラーフィルタ付TFT基板については、図1と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
また、共通電極基板30は、第2基板31と、第2基板31上に形成された共通電極32とを有するものである。
【0104】
本発明によれば、上記カラーフィルタ付TFT基板を有することにより、高輝度な画像表示を行うことが可能な液晶表示装置とすることができる。また、上記カラーフィルタ付TFT基板を有することから、コスト的にも有利な液晶表示装置とすることができる
以下、本発明の液晶表示装置に用いられる各構成についてそれぞれ説明する。
【0105】
1.カラーフィルタ付TFT基板
本発明に用いられるカラーフィルタ付TFT基板については、「A.カラーフィルタ付TFT基板」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0106】
2.共通電極基板
本発明に用いられる共通電極基板は、共通電極を有するものである。また、通常、上記共通電極は自己支持性を有する基板上に形成されるものである。
【0107】
上記共通電極基板に用いられる基板としては、一般的な液晶表示素子の基板に用いられているものと同様とすることができる。具体的には、「A.カラーフィルタ付TFT基板」の項で説明した基板と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0108】
上記共通電極としては、一般的な液晶表示素子の共通電極に用いられているものと同様とすることができる。具体的には、「A.カラーフィルタ付TFT基板」の項で説明した画素電極と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
なお、本発明に用いられる共通電極は、上記基板全面に形成されるものであってもよいし、上記カラーフィルタ付TFT基板上に形成された画素部に対向するように、パターン状に形成されているものであってもよい。
【0109】
本発明に用いられる共通電極基板は、上記共通電極を有するものであれば特に限定されるものではなく、必要な部材を適宜選択して追加することができる。このような部材としては、上記カラーフィルタ付TFT基板と貼り合わせた際にTFT素子による光漏れを防止するための遮光部を挙げることができる。
【0110】
本発明に用いられる共通電極基板は、上記遮光部を有しているものであってもよいし、上記遮光部を有していないものであってもよいが、上記遮光部を有さないものであることがより好ましい。上記共通電極基板が上記遮光部を有さないものである場合には、上記カラーフィルタ付TFT基板と上記共通電極基板とを貼り合わせる際のアライメントが不要となることから、容易に液晶表示装置を得ることが可能となるからである。
【0111】
3.液晶層
本発明に用いられる液晶層は、上記カラーフィルタ付TFT基板および共通電極基板の間に設けられるものである。上記液晶層については、一般的な液晶表示装置に用いられる液晶層と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0112】
4.その他の構成
本発明の液晶表示装置は、上述したカラーフィルタ付TFT基板、共通電極基板、および液晶層を有するものであれば特に限定されるものではなく、必要に応じて、他の構成についても適宜選択して用いることが可能である。このような構成としては、上記液晶表示装置の端部に設けられ、液晶層を封止する封止部材を挙げることができる。上記封止部材については、一般的な液晶表示装置に用いられるものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0113】
C.カラーフィルタ付TFT基板の製造方法
次に、カラーフィルタ付TFT基板の製造方法について説明する。
本発明のカラーフィルタ付TFT基板の製造方法は、複数のTFT素子が形成された基板上に、着色樹脂材料を含有する隔壁形成用塗工液を塗布して隔壁形成用層を形成し、フォトマスクを用いて上記隔壁形成用層を所定のパターン状に露光後、現像することにより、複数色の画素部が設けられる画素部形成領域と、上記TFT素子のドレイン電極上に設けられるコンタクトホールとを区画する隔壁を形成する隔壁形成工程と、上記画素部形成領域に、少なくとも1色の上記画素部をインクジェット方式で形成する画素部形成工程と、上記画素部上に設けられ、かつ、上記コンタクトホール内で上記TFT素子のドレイン電極と接続するように設けられる画素電極を形成する画素電極形成工程と、を有することを特徴とする製造方法である。
【0114】
本発明によれば、上記画素部形成領域と上記コンタクトホールとを区画する隔壁を予め上記隔壁形成工程で形成することができることから、上記画素部形成工程でインクジェット方式を用いて上記画素部を形成した場合であっても、コンタクトホールを所定の位置に形成することが可能となる。よって、複数色の画素部をフォトリソグラフィー法を用いて形成する場合に比べて、工程数を少なくすることができるため、スループットを向上させ、製造コストを削減して、カラーフィルタ付TFT基板を製造することが可能となる。
【0115】
本発明のカラーフィルタ付TFT基板の製造方法は、「A.カラーフィルタ付TFT基板」の項で説明した第1態様のカラーフィルタ付TFT基板を製造する製造方法(以下、第3態様とする。)と、第2態様のカラーフィルタ付TFT基板を製造する製造方法(以下、第4態様とする。)との2つの態様に分けて考えることができる。以下、各態様についてそれぞれ説明する。
【0116】
1.第3態様のカラーフィルタ付TFT基板の製造方法
まず、本発明のカラーフィルタ付TFT基板の製造方法の第3態様について説明する。
本態様のカラーフィルタ付TFT基板の製造方法は、「A.カラーフィルタ付TFT基板」の項で説明した第1態様のカラーフィルタ付TFT基板を製造する製造方法であり、具体的には、上記着色樹脂材料として、樹脂製遮光部用組成物を用いることを特徴とする製造方法である。
【0117】
本態様のカラーフィルタ付TFT基板の製造方法について説明する。
図6は、本態様のカラーフィルタ付TFT基板の一例を示す工程図である。本態様の製造方法においては、まず図6(a)に示すように、複数のTFT素子2が形成された基板1上に、樹脂製遮光部用組成物を含有する隔壁形成用塗工液を塗布して隔壁形成用層5’を形成し、フォトマスク50を用い、露光光60を隔壁形成用層5’に照射して露光した後、現像することにより、図6(b)に示すように、複数の画素部が設けられる画素部形成領域と、上記TFT素子2のドレイン電極25上に設けられるコンタクトホールhとを区画する隔壁5を形成する(隔壁形成工程)。次に、図6(c)に示すように、画素部形成領域に複数色の画素部形成用塗工液(図6(c)では、緑色画素部形成用塗工液3G’、青色画素部形成用塗工液3B’、および赤色画素部形成用塗工液3R’)をインクジェット法を用いて塗布することにより、図6(d)に示すように、複数色の画素部(図6(d)では、緑色画素部3G、青色画素部3B、および赤色画素部3R)を形成する(画素部形成工程)。次に、図6(e)に示すように、緑色画素部3G、青色画素部3B、および赤色画素部3R上に設けられ、かつ、コンタクトホールh内でTFT素子2のドレイン電極25と接続するように設けられる画素電極4を形成する(画素電極形成工程)。これにより、カラーフィルタ付TFT基板を製造することが可能となる。なお、図6においては、隔壁5が画素部用隔壁5aおよびコンタクトホール用隔壁5bの別体で形成されている例について示している。また、TFT素子2については、図1で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0118】
本態様においては、上記隔壁を遮光性の高い遮光部として形成することができることから、上記TFT素子からの光漏れを好適に防止することが可能となり、より高輝度な画像表示を行うことが可能なカラーフィルタ付TFT基板を製造することが可能となる。
【0119】
以下、本態様のカラーフィルタ付TFT基板の製造方法における各工程について説明する。
【0120】
(1)隔壁形成工程
本工程は、複数のTFT素子が形成された基板上に、着色樹脂材料を含有する隔壁形成用塗工液を塗布して隔壁形成用層を形成し、フォトマスクを用いて上記隔壁形成用層を所定のパターン状に露光後、現像することにより、画素部が設けられる画素部形成領域と、上記TFT素子のドレイン電極上に設けられるコンタクトホールとを区画する隔壁を形成する工程である。
【0121】
本工程に用いられる基板およびTFT素子については、「A.カラーフィルタ付TFT基板」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。また、上記TFT素子は、一般的なTFT基板に用いられるTFT素子と同様の形成方法で形成されるものである。
【0122】
本工程に用いられる隔壁形成用塗工液は、上述した「A.カラーフィルタ付TFT基板」の「1.第1態様のカラーフィルタ付TFT基板」の項で説明した樹脂製遮光部用組成物を含有するものであり、通常は、その他に溶剤が含まれるものである。上記溶剤については、一般的な樹脂製部材を形成する際に用いられる溶剤を同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0123】
また、本工程に用いられるフォトマスク、露光装置、および現像液等については、一般的なフォトリソグラフィー法により樹脂製部材を形成する際に用いられるものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0124】
また、本工程により形成される隔壁については、「A.カラーフィルタ付TFT基板」の「1.第1態様のカラーフィルタ付TFT基板」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0125】
また、本工程により形成される隔壁が撥液性を有するものである場合は、上記隔壁形成用塗工液に撥液剤を混合させることによって、撥液性を付与することができる。
【0126】
一方、撥液化処理を行うことにより、上記隔壁に撥液性を付与する場合は、通常、本工程後で後述する画素部形成工程前に、形成された隔壁に撥液化処理が行われる。
【0127】
(2)画素部形成工程
本工程は、上記画素部形成領域に、少なくとも1色の画素部をインクジェット方式で形成する工程である。
【0128】
本工程においては、少なくとも1色の画素部をインクジェット方式により形成することができればよいが、通常は、すべての画素部がインクジェット方式により形成されることが好ましい。これにより、スループットを高くすることができることから、より製造コストを削減することができるからである。
【0129】
本工程により形成される複数色の画素部については、「A.カラーフィルタ付TFT基板」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0130】
(3)画素電極形成工程
本工程は、上記画素部上に設けられ、かつ、上記コンタクトホール内で上記TFT素子のドレイン電極と接続するように設けられる画素電極を形成する工程である。
【0131】
本工程に用いられる画素電極の形成方法については、一般的なカラーフィルタ付TFT基板の画素電極を形成する際に用いられる方法と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0132】
また、本工程により形成される画素電極については、「A.カラーフィルタ付TFT基板」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0133】
(4)その他の工程
本態様のカラーフィルタ付TFT基板の製造方法は、上述した隔壁形成工程、画素部形成工程、および画素電極形成工程を有する製造方法であれば特に限定されず、他にも必要な工程を適宜選択して追加することができる。このような工程としては上記画素部上にオーバーコート層を形成するオーバーコート層形成工程や、配向膜を形成する配向膜形成工程、柱状スペーサを形成する柱状スペーサ工程等を挙げることができる。これらの工程については、一般的なカラーフィルタを製造する際に用いられる工程と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0134】
2.第4態様のカラーフィルタ付TFT基板の製造方法
本発明のカラーフィルタ付TFT基板の製造方法の第4態様について説明する。
本態様のカラーフィルタ付TFT基板の製造方法は、上述した「A.カラーフィルタ付TFT基板」の項で説明した第2態様のカラーフィルタ付TFT基板を製造する製造方法であり、具体的には、上記隔壁形成工程では、上記着色樹脂材料として、上記複数色の画素部のうち、いずれか1色の画素部を形成するための画素部用組成物を用いることを特徴とする製造方法である。
【0135】
本態様のカラーフィルタ付TFT基板の製造方法について説明する。
図7は、本態様のカラーフィルタ付TFT基板の一例を示す工程図である。本態様の製造方法においては、まず図7(a)に示すように、複数のTFT素子2が形成された基板1上に、青色画素部用組成物を含有する隔壁形成用塗工液(青色画素部形成用塗工液3B')を塗布して隔壁形成用層5’を形成し、フォトマスク50を用い、露光光60を隔壁形成用層5’に照射して露光した後、現像することにより、図7(b)に示すように、複数の画素部が設けられる画素部形成領域と、上記TFT素子2のドレイン電極25上に設けられるコンタクトホールhとを区画する隔壁5と青色画素部3Bとを形成する(隔壁形成工程)。次に、図7(c)に示すように、画素部形成領域に複数色の画素部形成用塗工液(図7(c)では、緑色画素部形成用塗工液3G’、および赤色画素部形成用塗工液3R’)をインクジェット法を用いて塗布することにより、図7(d)に示すように、複数色の画素部(図7(d)では、緑色画素部3G、および赤色画素部3R)を形成する(画素部形成工程)。次に、緑色画素部3G、青色画素部3B、および赤色画素部3R上に設けられ、かつ、コンタクトホールh内でTFT素子2のドレイン電極25と接続するように設けられる画素電極4を形成する(画素電極形成工程)。これにより、カラーフィルタ付TFT基板を製造することが可能となる。また、図7においては、隔壁5が画素部用隔壁5aとコンタクトホール用隔壁5bとの別体で形成される例について示している。なお、TFT素子2については、図1で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0136】
本態様においては、上記1色の画素部、および隔壁を同一の画素部用組成物を含有する隔壁形成用塗工液、すなわち1色の画素部形成用塗工液で形成することにより、別途、画素部用隔壁およびコンタクトホール用隔壁を形成するための隔壁形成用塗工液が必要なくなるため、製造コストを削減することが可能となる。また、上記画素部形成用塗工液を用いて画素部用隔壁およびコンタクトホール用隔壁を形成することにより、本態様の製造方法により製造されるカラーフィルタ付TFT基板を用いて液晶表示装置とする場合に、上記カラーフィルタ付TFT基板および共通電極基板を貼り合わせる際のアライメントマークを読み取りやすいものとすることができることから、上記液晶表示装置を容易に形成することが可能なカラーフィルタ付TFT基板を製造することが可能となる。
【0137】
本態様における画素部形成工程、画素電極形成工程、およびその他の工程については、上述した「1.第3態様のカラーフィルタ付TFT基板の製造方法」と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
以下、隔壁工程について説明する。
【0138】
本態様における隔壁形成工程は、複数のTFT素子が形成された基板上に、上記複数色の画素部のうち、いずれか1色の画素部を形成するための画素部用組成物を含有する隔壁形成用塗工液を塗布して隔壁形成用層を形成し、フォトマスクを用いて上記隔壁形成用層を所定のパターン状に露光後、現像することにより、画素部が設けられる画素部形成領域と、上記TFT素子のドレイン電極上に設けられるコンタクトホールとを区画する隔壁を形成する工程である。また、本工程においては、通常、上記隔壁とともに、上記1色の画素部が形成される。
【0139】
上記隔壁形成工程に用いられるTFT素子および基板については、「A.カラーフィルタ付TFT基板」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0140】
また、上記隔壁形成用塗工液としては、上記1色の画素部、および隔壁を形成することができるものであれば特に限定されない。具体的には、「A.カラーフィルタ付TFT基板」の「2.第2態様のカラーフィルタ付TFT基板」の項で説明した画素部用組成物を含有するものであり、通常は、溶剤を含むものである。上記溶剤については、一般的なカラーフィルタの画素部を形成する際に用いられるものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0141】
本態様における隔壁形成工程に用いられる露光光、現像液等については、一般的なフォトリソグラフィー法に用いられるものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0142】
上記隔壁形成工程により形成される1色の画素部および隔壁については、上述した、「A.カラーフィルタ付TFT基板」の「2.第2態様のカラーフィルタ付TFT基板」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0143】
また、上記隔壁に撥液性を付与する場合については、上述した「1.第3態様のカラーフィルタ付TFT基板の製造方法」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0144】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0145】
以下、本発明について、実施例を挙げて説明する。
【0146】
[実施例1]
複数のTFT素子を形成したガラス基板上に、撥液剤を含む樹脂製遮光部用組成物を含有する隔壁形成用塗工液(東京応化社製ネガ型レジストCFPR BK-IJ))をスピンコータで膜厚2.7μmになるように塗布し、この基板をホットプレートで加熱した。次に、所定のパターンを有するフォトマスクを用い、UV露光装置にてマスク露光を実施し、続いてアルカリ現像を実施した後に純水にて洗浄し、更にオーブンにて230℃で30分間ベークを施し、基板上に高さ2.5μmの隔壁を形成した。この隔壁は開口部140μm×420μmの画素部用隔壁と30μmΦの平面視上の形状が円形状のコンタクトホール用隔壁からなるものである。
【0147】
ついで、隔壁を形成した基板に対し、インクジェットヘッドを用いて画素部用組成物を含有する画素部形成用塗工液を塗布した。画素部形成用塗工液はカラーフィルタ用顔料と熱硬化型樹脂等の画素部用組成物を含有するR、G、B各色の顔料分散型インキを用い、1つの開口部に所望のカラーフィルタの色が再現できるように着弾させた。
【0148】
次いで、ホットプレートを用い100℃にて10分間、基板をプリベークした。更にオーブンにて230℃で30分間、基板をベークした。
次いで、ITO膜を画素部上およびコンタクトホール内部に成膜し、所定のパターン形状にパターニングして画素電極を形成し、カラーフィルタ付TFT基板を得た。
【0149】
[実施例2]
複数のTFT素子を形成したガラス基板上に、青色画素部用組成物を含有する青色画素部形成用塗工液をスピンコータで膜厚2.7μmになるように塗布し、この基板をホットプレートで加熱した。次に、所定のパターンを有するフォトマスクを用い、UV露光装置にてマスク露光を実施し、続いてアルカリ現像を実施した後に純水にて洗浄し、更にオーブンにて230℃で30分間ベークを施し、青色画素部と画素部用隔壁およびコンタクトホール用隔壁からなる隔壁とを形成した。青色画素部の膜厚および隔壁の高さは2.5μmだった。なお、画素部用隔壁およびコンタクトホール用隔壁の形状については実施例1と同様である。
次に上記青色画素部、および隔壁が形成された基板上にフッ素化合物を導入ガスとしたプラズマ処理を加えることにより、青色画素部表面および隔壁表面が撥液性を示すように処理を施した。
【0150】
ついで、隔壁を形成した基板に対し、インクジェットヘッドを用いて画素部用組成物を含有する画素部形成用塗工液を塗布した。画素部形成用塗工液はカラーフィルタ用顔料や熱硬化型樹脂等の画素部用組成物を含有するR、G各色の顔料分散型インキを用い、1つの開口部に所望のカラーフィルタの色が再現できるように着弾させた。
【0151】
次いで、ホットプレートを用い100℃にて10分間、基板をプリベークした。更にオーブンにて230℃で30分間、基板をベークした。
次いで、ITO膜を画素部上およびコンタクトホール内部に成膜し、所定のパターン形状にパターニングして画素電極を形成し、カラーフィルタ付TFT基板を得た。
【符号の説明】
【0152】
1 … 基板
2 … TFT素子
3 … 画素部
3R … 赤色画素部
3G … 緑色画素部
3B … 青色画素部
4 … 画素電極
5 … 隔壁
h … コンタクトホール
10 … カラーフィルタ付TFT基板
30 … 共通電極基板
31 … 第2基板
32 … 共通電極
40 … 液晶層
50 … フォトマスク
60 … 露光光
100 … 液晶表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板上に形成された複数のTFT素子と、前記基板上に形成され、少なくとも一色がインクジェット方式で形成された複数色の画素部と、前記画素部上に形成された画素電極と、前記画素部間に配置され、前記TFT素子のドレイン電極と前記画素電極とを接続するためのコンタクトホールとを有し、
前記コンタクトホールと前記画素部とは、同一の着色樹脂材料からなる隔壁で区画されていることを特徴とするカラーフィルタ付TFT基板。
【請求項2】
前記コンタクトホールと前記画素部とを区画する前記隔壁が、一体で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ付TFT基板。
【請求項3】
前記隔壁が撥液性を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカラーフィルタ付TFT基板。
【請求項4】
前記着色樹脂材料が、樹脂製遮光部用組成物であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のカラーフィルタ付TFT基板。
【請求項5】
前記着色樹脂材料が、前記複数色の画素部のうち、いずれか1色の前記画素部を形成するための画素部用組成物であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のカラーフィルタ付TFT基板。
【請求項6】
基板、前記基板上に形成された複数のTFT素子、前記基板上に形成され、少なくとも一色がインクジェット方式で形成された複数色の画素部、前記画素部上に形成された画素電極、および前記画素部間に配置され、前記TFT素子のドレイン電極と前記画素電極とを接続するためのコンタクトホールを有し、前記コンタクトホールと前記画素部とは、同一の着色樹脂材料からなる隔壁で区画されていることを特徴とするカラーフィルタ付TFT基板と、
共通電極を有する共通電極基板と、
前記カラーフィルタ付TFT基板および共通電極基板の間に設けられた液晶層と、
を有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項7】
複数のTFT素子が形成された基板上に、着色樹脂材料を含有する隔壁形成用塗工液を塗布して隔壁形成用層を形成し、フォトマスクを用いて前記隔壁形成用層を所定のパターン状に露光後、現像することにより、複数色の画素部が設けられる画素部形成領域と、前記TFT素子のドレイン電極上に設けられるコンタクトホールとを区画する隔壁を形成する隔壁形成工程と、
前記画素部形成領域に、少なくとも1色の画素部をインクジェット方式で形成する画素部形成工程と、
前記画素部上に設けられ、かつ、前記コンタクトホール内で前記TFT素子のドレイン電極と接続するように設けられる画素電極を形成する画素電極形成工程と、
を有することを特徴とするカラーフィルタ付TFT基板の製造方法。
【請求項8】
前記隔壁形成工程では、前記着色樹脂材料として、樹脂製遮光部用組成物を用いることを特徴とする請求項7に記載のカラーフィルタ付TFT基板の製造方法。
【請求項9】
前記隔壁工程では、前記着色樹脂材料として、前記複数色の画素部のうち、いずれか1色の前記画素部を形成するための画素部用組成物を用いることを特徴とする請求項7に記載のカラーフィルタ付TFT基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−98618(P2012−98618A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247805(P2010−247805)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】