説明

カラー品質制御のための方法、システム、およびデバイス

再現順変換(122)によってキャリブレートされる少なくとも1つの再現デバイス(120)上で再現されるべき画像の色補正のためのシステム(100)での使用のために適応されたカラー品質制御デバイス(140)。システムもまた、画像内の少なくとも1つの色を補正するように適応された色補正デバイス(110)を含む。カラー品質制御デバイス(140)は、再現順変換(122)からの情報を使用して、画像(322)内の輪郭が変換によって導入された疑似輪郭(328)であるかどうか判定する疑似輪郭検出ユニット(141)を含む。これは、色補正中のオペレータの作業を容易にする。システムおよび方法もまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、カラーマネジメント(colour management)に関し、より詳細には、色を管理するためのシステムにおける色域外検出および警告に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルフィルム処理およびデジタル映画の導入時代には、−従来はアナログの−映画撮影ワークフロー(workflow)において、複数のデジタル処理段階が生じる。しばらくの間デジタル特殊効果生成および撮影後の編集(post−production)が普通であったが、今ではデジタルカメラおよび新しいデジタル表示デバイスならびにデジタルメディア(digital media)が普及し始めている。デジタル機器は、キャプチャ(capture)および後処理中の作業習慣を完全に変え、デジタル技術は新しい特徴をもたらすが、それらはまた芸術的経験および伝承の危機を表す。したがって、知られている芸術的効果を従来の−−アナログの−−映画撮影後処理からデジタル映画の後処理に移行する必要がある。新しい機器の導入は漸進的であると予期されるので、共存するアナログおよびデジタル処理のための技術が研究されなければならない。これは、例えば、アナログフィルムカメラによってキャプチャされ、次いでデジタルプロジェクタによって表示されるフィルム、またはアナログフィルム製作チェーン(analogue film production chain)におけるデジタル特殊効果の統合に関する。
【0003】
芸術的ワークフローツールの1つは色補正であり、これは、例えば、照明色アーティファクト(artefacts)を補償するために生産後に、またはある種の場面のための芸術的意図を実現するために色調を微調整すべくフィルム配給(distribution)の前に、生フィルム材料に適用される。色補正は、映画撮影後処理の重要な段階であるのとは別に、印刷の前に写真、絵画、またはグラフィックスにも適用される。
【0004】
一連のビデオフレームにも、単一のビデオフレームにも、静止画にも、または画像の中のオブジェクトなど画像の部分にさえも、色補正を適用することができる。これは、芸術監督(artistic director)と1人または複数の熟練したオペレータとの協力で通常行われる。芸術監督は色補正の意図を記述し、一方でオペレータは、その意図をビジュアルコンテンツ(visual content)に適用される色変換に変換する。そのような色変換は、例えば、彩度の上昇、色相の変化、赤色調の低下またはコントラストの増加を含んでもよい。色補正は、画像にも、1組の画像にも、1つの単一の画像における特定の領域にも、または特定の意味単位(semantic unit)に対応するいくつかの画像におけるすべての画像領域にさえも、グローバルでよい。
【0005】
色補正の間、芸術監督およびオペレータは、適用された色補正の最終再現媒体に及ぼす影響がどんなものであるか覚えておかなければならない。以下の諸例は、この問題を示す。第1の例では、絵画がパーソナルコンピュータ(PC)を使用してスキャンされ、色補正される。オペレータは、PCのディスプレイ上で適用された色補正を検証するが、最終再現は紙のプリンタ(paper printer)で行われる。第2の例は、スキャンされ、デジタル化され、専用の高解像度色補正デバイスを使用して色補正されるフィルムである。オペレータは、高精細制御モニタの画面上で適用された色補正を検証するが、最終再現は後でフィルム投影が行われるフィルムプリンタ(film printer)によって行われる。
【0006】
これら2つのいずれの例においても、検証された色は再現された色と違っている可能性があり、プルーフビューイング(校正閲覧:proof viewing)表示デバイス(例えばPCモニタ画面または高精細制御モニタ)と最終再現デバイス(例えば紙のプリンタ、または後でフィルム投影が行われるフィルムプリンタ)との間のいかなる違いも、色補正中に考慮に入れられるべきである。これらの違いには、色相の変化、彩度の変化、コントラストの変化、輝度の変化、ダイナミックレンジ(dynamic range)の変化、色域の変化などがあり得る。この問題の知られている部分的なソリューションは、カラーマネジメント(CMM)である。CMMでは、プルーフビューイングデバイスおよび最終再現デバイスの特性は、色変換を使用して測定され、数学的にモデル化され、次いで、補償される。CMMは、表示デバイスの、関係するデバイスの、再現可能な色すべてを表す色域を考慮に入れる。画像が表示デバイスの色域外の色、または色域の境界に近い色を含む場合、適用された色変換は、変換された色が色域の内側にあるように色圧縮、カラークリッピング(colour clipping)、または他の特定の動作を含んでもよい。
【0007】
表示デバイスの色域間の違いは色補正の問題を引き起こすことを容易に理解されたい。オペレータがプルーフビューイングデバイス上に許容可能な結果を生成する色補正を適用することが生じる可能性があり、最終再現デバイスの色域はプルーフビューイングデバイスの色域とは違うので、最終再現デバイスが再現することができない色もある。また、オペレータが最終再現デバイス上に許容可能な結果を生成するであろう特定の色補正を適用することを所望することが生じる可能性もあり、補正は、限定された色域ではプルーフビューイングデバイス上で十分にビジュアル化されることができない。
【0008】
色補正の第2の問題は、CMMの色変換によって引き起こされる。これらの色変換は、入力色値を出力色値に変換する。変換は、それぞれが有効入力色の特定の範囲に関して定義されるいくつかの部分的色変換を含んでもよい。有効入力色のそのような範囲の境界上では、色変換はその傾きを変えるか、または不連続である可能性がある。これは、変換された画像内に疑似輪郭を生成する可能性がある。さらに、色変換は、しばしば、1組の対のサンプル入力色およびサンプル出力色を含むLUT(ルックアップテーブル:Look−Up Table)を使用する。色がLUT内で変換される場合、サンプル色間の色が補間されなければならない。色補間は不連続色またはサンプル色における色の不連続な傾きを導入し、これは変換された画像内に疑似輪郭を生成する可能性がある。
【0009】
再現デバイスの色域外、いわゆる「ガンマアラーム(gamma alarm)外」の色値を検出することは、当技術分野ではよく知られている。例えば、特許文献1は再現デバイスの色域外にあるカラーパレットからのすべての色を示すシステムを教示している。
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0016230号A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、オペレータが、色補正によって引き起こされる再現された画像内の可能な問題を知らされるための方法を提供することにより従来技術を改良することを意図するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の態様では、本発明は、再現順変換によってキャリブレートされる少なくとも1つの再現デバイス上に再現されるべき画像の色補正のためのシステムでの使用に適応されたカラー品質制御デバイスを対象とする。変換された色は変換された再現色と呼ばれる。システムは、画像内の色を補正するように適応された色補正デバイスをさらに含む。補正デバイスの出力色は補正された色と呼ばれる。カラー品質制御デバイスは、再現順変換からの情報を使用して画像内の輪郭が疑似輪郭であるかどうか判定するように適応された疑似輪郭検出ユニットを含む。
【0013】
好ましい実施形態では、疑似輪郭検出ユニットは、画像内の輪郭を見つけ、再現順変換における異常に関する情報を使用して、見つけられた輪郭が疑似輪郭であるかどうか判定するように適応される。
【0014】
他の好ましい実施形態では、疑似輪郭検出ユニットは、再現順変換における異常に関する情報を使用して、そのような異常のまわりの補正された色間の輪郭を画像内で検索し、画像内で見つけられた任意の輪郭を疑似輪郭であると判定するように適応される。
【0015】
他の好ましい実施形態では、疑似輪郭検出ユニットは、変換された再現色の画像内に輪郭を検索し、補正された色の画像内で輪郭を検索し、補正された色の画像内に対応する輪郭がない場合は、変換された再現色の画像内の検出された輪郭を疑似輪郭として分類するように適応される。
【0016】
他の好ましい実施形態では、再現順変換は、区分的に定義された関数(piecewise defined function)によって与えられる。
【0017】
他の好ましい実施形態では、カラー品質制御デバイスは、ユーザに疑似輪郭に関する情報を提供するように適応されたビジュアル化ユニットをさらに含む。
【0018】
第2の態様によれば、本発明は、画像の色補正のためのシステムを対象とする。システムは、画像内の色を補正するように適応された色補正デバイス、ユーザに補正された画像を表示するように適応されたプルーフビューイングデバイス、および本発明の第1の態様によるカラー品質制御ユニットを含む。
【0019】
第3の態様では、本発明は、色補正システムにおいて色品質を制御する方法を対象とする。再現順変換によってキャリブレートされる少なくとも1つの再現デバイスで再現されるべき画像内の少なくとも1つの色は、色補正デバイスによって補正される。カラー品質制御ユニットは、再現順変換からの情報を使用して画像内の輪郭が疑似輪郭であるかどうか判定する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、本発明の好ましい特徴が、添付の図面を参照しながら、例として説明される。
【0021】
以下の例示的で非限定的な実施形態では、本発明は、専用色補正デバイスを使用するデジタル化されたフィルムの色補正、およびフィルム投影に続くフィルム印刷による最終再現の場合について説明される。
【0022】
図1は、本発明で使用するカラーマネジメント(CMM)を使用する色補正環境100を示す。
【0023】
色補正デバイス110は、フィルムスキャナ(図示されていない)によってデジタル化されたフィルムを入力105として受け取る。オペレータは、フィードバックのためにプルーフビューイングデバイス130を使用して色補正をフィルムに適用し、一方でフィルムは、最終再現デバイス120、例えばフィルムプリンタを使用して最終的に再現される。例示的実施形態は、2つのデバイス(プルーフビューイングデバイスおよび再現デバイス)を含むが、この手順を3つ以上のデバイスに拡張することができる。
【0024】
プルーフビューイングデバイス130は、任意のデバイスの特性を補償するプルーフビューイング順変換132を使用してキャリブレートされ、したがって、色補正デバイス110から受け取られる補正された色112はできる限り正確に示される。プルーフビューイング順変換132には、いくつかの部分的色変換、LUTベースの補間法、および色域クリッピングまたは範囲圧縮(gamut compression)などがあり得る。補正された色などは、実際には、補正された色に関する情報として読まれるべきであることを理解されたい。
【0025】
最終再現デバイス120は、任意のデバイスの特性を補償する再現順変換122を使用してキャリブレートされ、したがって、色補正デバイス110から受け取られた補正された色112はできる限り正確に再現される。再現順変換122には、いくつかの部分的色変換、LUTベースの補間法、および色域クリッピングまたは範囲圧縮などがあり得る。
【0026】
カラー品質制御ユニット140は、色を連続的に分析する。このために、色補正によって補正された色112、順変換122、132に関する情報123、133、ならびに再現デバイス120およびプルーフビューイングデバイス130の逆変換124、134によって変換された色127、137−変換された色と呼ばれる−は、カラー品質制御ユニット140に入力される。逆変換124、134は、通常、表示デバイス120、130上に実際に表示される色を与えることを意図し、これらの色は元の色112と違ってもよい。
【0027】
図2は、本発明によるカラー品質制御ユニットを示す。カラー品質制御ユニットは以下の3つの一般的なユニットを含む。
【0028】
−補正された色112、順変換122、132に関する情報123、133、変換された再現色127、および変換されたプルーフビューイング色137を使用して、変換された再現色127内の疑似輪郭を検出するための疑似輪郭検出ユニット141、
−補正された色112、変換された再現色127、変換されたプルーフビューイング色137、および変換情報123、133を使用して変換アーティファクトを検出するための変換アーティファクト分析ユニット142、
−疑似輪郭情報145および変換アーティファクト情報144に基づいて、オペレータに疑似輪郭および変換アーティファクトの存在を警告する出力146を生成するためのビジュアル化ユニット143。
【0029】
疑似輪郭検出
疑似輪郭、すなわちフラットな画像領域における輝度または色の不連続は、人間の目にかなりよく見える。これらの不所望の疑似輪郭は、図3に示されているように、色補正中に現れる可能性がある。
【0030】
図3は、例えば変換されるべき色値であるx1およびx2が、色変換関数310によって色補正された色値であるy1およびy2に変換される例示的変換グラフ300を示す。変換関数がなめらかである(第1次および第2次導関数において連続である)限り、疑似輪郭は通常、変換によって生成されないが、疑似輪郭は、変換が部分的になめらか(すなわち、変換の部分がなめらか)であっても、変換関数がなめらかでないとすぐに現れる可能性がある。図3では、なめらかさの欠如は、2つの「折れている部分(knee)」312、314によって示されている。
【0031】
さらに、アナログフィルム320の1つのフレーム322だけが示されているアナログフィルム320の一部分が図3に示されている。このフレーム322には、色補正後がそれぞれ色値y1およびy2を有する2つの領域324、326がある。2つの色値は、互いに近くにあるが、折れている部分314の異なる側にあるので、これは疑似輪郭328を生成する可能性がある(図では容易に見られるように引き伸ばされている)。「近くに」の正確な意味は、変換の部分ごとに異なるが、当業者はどの程度厳密な解釈を所望するかによって、特定の場合ごとに判定することができることに留意されたい。
【0032】
疑似輪郭328は、色補正前の元の画像の一部分ではなかったので、疑似輪郭328は、不所望の現象である可能性が最も高い。
【0033】
疑似輪郭は、ルックアップテーブル(LUT)の使用など、他の変換法の使用中にも現れる可能性があることを留意されたい。要するに、疑似輪郭は補正された色がLUTの変換値または入力値における異常のまわりに現れる場合に現れる可能性がある。
【0034】
疑似輪郭を分析するために、補正された画像を分析して輪郭を検出し、次いで、補正された輪郭が、変則部分である本例では折れている部分のいずれの側にもあるかどうか見ることが提案される。当然、画像内での検索を折れている部分に近い色に、特にそのような色が多くある場合、限定するために、変換関数の知識を使用することも可能である。別の可能性は、変換された再現色の画像内、および補正された色の画像内の輪郭を検索し、後者の画像内に対応する輪郭がない場合は、前者の画像内の輪郭を疑似輪郭として分類することである。
【0035】
疑似輪郭の分析の好ましい実施形態がここでより詳細に説明される。
【0036】
第1に、フラットな画像領域が以下の段階によって検出される。
【0037】
1.すべての画像の画素に関して、基準KF=‖∇C‖が計算され、ここで∇は微分算子(derivation operator)、‖・‖はノルム演算子、Cは、1組の隣接する画像の画素のベクトル、例えばRGB値(赤緑青)である。代替として、他のアクティビティ基準が利用されてもよい。
【0038】
2.画像の画素は、K<Tであるとき、宣言されたフラットであり、ここでTFは閾値である。
【0039】
3.フラットな画像領域は、メジアンフィルタ、形態学的な開および閉演算、ならびに小さな非連結領域の抑制を適用することによりフラットな画素から検出される。
【0040】
フラットな画像領域では、疑似輪郭は、以下の段階によって検出される。
【0041】
1.フラットな画像領域のすべての画素に関して、基準
【0042】
【数1】

【0043】
が計算され、ここでCは可能な色不連続を有する、すなわち変換異常のまわりの色値である。これらの色値は、LUT入力であるか、部分的変換の有効範囲間の境界上の色値であるか、変換が不均質であると予測される場合は他の特定の色であるかのいずれかである変換情報から取られることができる。代替として、他の分散基準を利用してもよい。
【0044】
2.画像の画素は、K>Tの場合、疑似輪郭の宣言された候補であり、ここでTは閾値である。
【0045】
3.それらの空間的近傍の分析によって、候補は、検証され連結されて疑似輪郭を構築するか、または分離されている場合には除去される。
【0046】
検出された疑似輪郭は、画像コンテンツおよびビューイング条件に応じて疑似輪郭のビジュアル性を判定するためにカラーアピアランスモデル(colour appearance model)によって後処理段階において評価されてもよい。
【0047】
変換情報123、133および変換された再現色127を使用して、疑似輪郭検出ユニット141は、オペレータが1つまたは複数の警告を受け取ることができるように、検出された疑似輪郭に関する情報145をビジュアル化ユニット143に提供する。
【0048】
変換アーティファクト分析
変換アーティファクトは、例えば、変換が色域外にある値となる場合に現れる。変換アーティファクト分析は、変換情報123、133を使用して行われる。所与のプルーフビューイング順変換132およびプルーフビューイング逆変換134を有する所与のプルーフビューイングデバイス130に関して、Gは色域、およびGの境界上の色値CV,jとする。所与の再現順変換122および再現逆変換124を有する所与の再現デバイス120に関して、Gは色域、およびG境界上の色値CR,jとする。
【0049】
本発明は、少なくとも2つの色域、すなわち、プルーフビューイングデバイスの色域Gおよび再現デバイスの色域Gに基づいて変換アーティファクトを分析するという点で、従来技術を改良する。この分析は、例えば、複数のプルーフビューイングデバイスおよび複数の再現デバイスに拡張されてもよい。
【0050】
変換アーティファクト制御は以下の場合を検出する。
【0051】
1.G外の色値。補正された色値Cは、CがGに含まれていない場合にはG外と宣言される。Gに関する情報は、変換情報133に含まれる。代替実施形態では、Gは色(図1および2には示されていない)からの凸包(convex hull)として算出される。
【0052】
2.プルーフビューイング変換によって変更される色値。補正された色Cとその対応する変換された色との違いを測定することにより、違いが閾値を超えている場合には、色を変更すると宣言する。違いの測定は、特定の色空間(例えばCIEXYZ、またはCIELab)で行われることができる。
【0053】
3.G外の色値。補正された色値Cは、CがGに含まれていない場合にはG外にあると宣言される。Gに関する情報は、変換情報123に含まれている。代替実施形態では、Gは、色121(図1および2には示されていない)から凸包として算出される。
【0054】
4.再現変換によって変更される色値。補正された色Cとその対応する変換された色との違いを測定することにより、違いが閾値を超えている場合には、色を変更すると宣言する。違いの測定は、特定の色空間(例えばCIEXYZ、またはCIELab)で行われることができる。
【0055】
変換アーティファクト分析ユニット142は、オペレータが1つまたは複数の警告を受け取ることができるように、検出されたアーティファクトに関する情報144をビジュアル化ユニット143に提供する。
【0056】
警告Aは、オペレータが、再現デバイス上に正確に再現された色という結果になる色補正を適用することをオペレータに示し、プルーフビューイングディスプレイ上に表示された色は、プルーフビューイングデバイスの限定された色域のために変更される。言い換えれば、オペレータは、「オペレータが見ているものはオペレータが得るものではない」ということを告げられるが、それでもなおオペレータは所望するものを得ることができる。警告Aは、場合3および場合4が存在しない状況で、場合1およびまたは場合2で与えられる。
【0057】
警告Bは、オペレータが、再現デバイスの限定された色域のためにそのデバイス上で不正確に再現された色という結果になる色補正を適用することをオペレータに示す。さらに、不正確に再現された色は、プルーフビューイングデバイス上に正確に示されない。これは、オペレータは、再現デバイスの不正確な色を評価し制御することができないことを意味する。警告Bは、場合3および場合4のうちの少なくとも1つが存在する場合、場合1および/または場合2で与えられる。
【0058】
警告Bは、ビューイング順変換132が、補正された色112の代わりに、変換された再現色127によって与えられる代替実施形態において著しく興味深い。この実施形態では、プルーフビューイングデバイス130は通常、再現デバイス120によって正確に、または不正確に再現される色を再現する。警告Bは、不正確に再現された色はプルーフビューイングデバイス上で正確に示されないことを示す。
【0059】
警告Cは、オペレータに、オペレータが、再現デバイスの限定された色域のためにそのデバイス上で不正確に再現された色という結果となる色変換を適用することを示す。しかし、色はプルーフビューイングデバイス上で正確に示される。これは、オペレータが再現デバイスの不正確な色を評価し制御することができることを意味する。警告Cは、場合1および場合2が存在しない状況で、場合3および/または場合4で与えられる。
【0060】
ビジュアル化
ビジュアル化モジュール143は、好ましくはプルーフビューイングデバイス130による表示のために、疑似輪郭およびアーティファクト情報146を準備する。これは、別個の画像、重ねあわされた画像またはテキスト、統計情報でもよい。画像のビジュアル化の場合、疑似輪郭は線として示されてもよく、一方でアーティファクト警告A、B、およびCは、人工的に着色された画素としてビジュアル化されてもよい。疑似輪郭および警告A、B、およびCを示すために単一で予め決められた色を使用できるが、これらの4つの指示はそれぞれ、その他の指示とは異なる特定の色によって表されることが好ましい。これらの色は、それらがはっきり見えるように周囲のものに応じて変更されることがさらに好ましい。テキストのビジュアル化の場合は、アーティファクトまたは疑似輪郭の数およびタイプが表示されてもよい。
【0061】
カラー品質制御ユニット140の構成要素は、それぞれプロセッサに実装でき、構成要素の1つまたは複数がプロセッサを共有してもよく、カラー品質制御ユニット140全体がプロセッサに実装されてもよいことを留意されたい。さらに、構成要素は、専用メモリ(図示されていない)、または他の構成要素と共有できるメモリへのアクセス権を有してもよい。
【0062】
再現デバイス120およびプルーフビューイングデバイスそれぞれのための順変換122、132および逆変換124、134は、色補正デバイス110において、デバイス120、130それ自体で、または中間変換デバイス(図示されていない)で行われてもよいことも留意されたい。
【0063】
したがって、本発明は、特に画像内の疑似輪郭を検出することにより画像内の色品質を制御するように適応されたデバイスを提供することにより、従来技術を改良することを理解されたい。
【0064】
本発明は純粋に例として説明されてきたことが理解されるであろうし、詳細の変更が本発明の範囲から逸脱することなく行われることができる。
【0065】
本明細書および(適切な場合は)特許請求の範囲ならびに図面で開示された各特徴は、独立に、または任意の適切な組合せで提供できる。特徴は、適切な場合は、ハードウェア、ソフトウェア、または両者の組合せで実装されうる。接続は、適用可能な場合は、無線接続または有線接続として実装でき、直接接続または専用接続である必要性はない。
【0066】
特許請求の範囲に現れる参照数字は、例示としてのみであり、特許請求の範囲に限定的影響を及ぼさないものとする。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明による方法が使用される色補正環境を示す図である。
【図2】本発明によるカラー品質制御ユニットを示す図である。
【図3】画像内の疑似輪郭の原点の例示図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再現順変換(122)によってキャリブレートされる少なくとも1つの再現デバイス(120)上で再現されるべき画像の色補正のためのシステム(100)において使用されるよう適応されたカラー品質制御デバイス(140)であって、前記画像内の色を補正するように適応された色補正デバイス(110)をさらに備え、カラー品質制御デバイス(140)が、再現順変換(122)からの情報を使用して前記画像(322)内の輪郭が疑似輪郭(328)であるかどうか判定するように適応された疑似輪郭検出ユニット(141)を備えることを特徴とするカラー品質制御デバイス(140)。
【請求項2】
前記疑似輪郭検出ユニット(141)は、
前記画像(322)内の輪郭を見つけ、
前記再現順変換(122)における異常に関する情報を使用して、見つけられた輪郭が疑似輪郭(328)かどうか判定する
ようにさらに適応されることを特徴とする請求項1に記載のカラー品質制御デバイス(140)。
【請求項3】
前記疑似輪郭検出ユニット(141)は、
前記再現順変換(122)における異常に関する情報を使用して、そのような異常のまわりの補正された色の間の輪郭を前記画像(322)内で検索し、
前記画像(322)内で見つけられた任意の輪郭も疑似輪郭(328)であると判定する
ようにさらに適応されることを特徴とする請求項1に記載のカラー品質制御デバイス(140)。
【請求項4】
前記疑似輪郭検出ユニット(141)は、
変換された再現色(127)の前記画像(322)内の輪郭を検索し、
前記補正された色(112)の前記画像内の輪郭を検索し、
前記補正された色(112)の前記画像内に対応する輪郭がない場合は、変換された再現色の前記画像(322)内の検出された輪郭を疑似輪郭(328)として分類する
ように適応されることを特徴とする請求項1に記載のカラー品質制御デバイス(140)。
【請求項5】
前記再現順変換(122)は区分的に定義された関数によって与えられることを特徴とする請求項1に記載のカラー品質制御デバイス(140)。
【請求項6】
疑似輪郭に関する情報をユーザに提供するように適応されたビジュアル化ユニット(143)をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のカラー品質制御デバイス(140)。
【請求項7】
画像内の少なくとも1つの色を補正するように適応された色補正デバイス(110)、および前記補正された画像をユーザに表示するように適応されたプルーフビューイングデバイス(130)を備える画像の色補正のためのシステム(100)であって、請求項1から6のうちの任意の一項に記載のカラー品質制御ユニット(140)を含むことを特徴とするシステム(100)。
【請求項8】
色補正システムにおいて色品質を制御する方法であって、再現順変換(122)によってキャリブレートされる少なくとも1つの再現デバイス(120)上に再現されるべき画像内の少なくとも1つの色を色補正デバイス(110)によって補正するステップを備え、前記画像(322)内の輪郭が疑似輪郭(328)であるか否かを、前記再現順変換(122)からの情報を使用して、カラー品質制御ユニット(140)によって判定するステップをさらに備えたことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−512924(P2009−512924A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536026(P2008−536026)
【出願日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際出願番号】PCT/EP2006/067355
【国際公開番号】WO2007/045602
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】46 Quai A. Le Gallo, F−92100 Boulogne−Billancourt, France
【Fターム(参考)】