説明

カラー画像形成装置

【課題】画像形成時間の短縮化でき、しかも2次転写から定着までの必要な距離を確保しつつも装置本体の高さを抑えた小型化を図ることができるカラー画像形成装置を提供する。
【解決手段】作像部の作像手段8が中間転写ベルト7の下部側走行辺に沿って並列に所定の間隔で配置され、その中間転写ベルト7の下部側の走行辺が、走行方向下流側へ向う程、作像手段8高さレベルが下方となる方向に傾斜されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラープリンタ、カラー複写機、カラーファクシミリ等のカラー画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式の画像形成装置はカラープリンタやカラー複写機等のようなフルカラーの装置が要望され、その要望に答えるように多くのフルカラーの機器が出回っている。このフルカラーの画像形成装置は、モノクロの装置と比べてその構造上、装置が大型化され、さらに画像形成速度も低速になることが避けられないものであった。しかし、フルカラーの画像形成装置においてもモノクロのプリンタの如くテーブルの上に載せて使用できる程度に小型化されたもので、かつ、画像形成速度の高速のものが望まれている。
【0003】
フルカラー画像形成装置において、採用されているカラー記録方式を大別すると、1ドラム型とタンデム型の各方式に分けられる。1ドラム型は、1つの感光体の回りに複数色の現像装置を備え、それらの現像装置でトナーを付着させて感光体上に合成トナー像を形成し、そのトナー像を転写して用紙にカラー画像を記録する方式のものである。他方、タンデム型は並べて備える複数の感光体にそれぞれ単色のトナー画像を形成し、それらの単色トナー像を順次転写して用紙に合成カラー画像を記録する方式のものである。
【0004】
1ドラム型とタンデム型の画像形成装置を比較すると、1ドラム型は感光体が1つであるから、タンデム型と比べて画像形成部を小型化することができ、低コストであるという利点があるものの、1つの感光体を用いて複数回(通常4回)画像形成を繰り返してフルカラー画像を形成するものであるから画像形成の高速化に難がある。これに対し、後者のタンデム型は小型化、コストの面で上記1ドラム型より劣るものの、画像形成の高速化が容易である利点がある。
【0005】
よって、フルカラー画像形成装置では画像形成速度の点からモノクロ並みのスピードが得られるタンデム型が要望され近年非常に注目されている。
タンデム型の画像形成装置には、図3に示すように、各感光体51上の画像を転写装置52により、用紙搬送ベルト53で搬送する用紙に順次転写する直接転写方式のものと、図4に示すように、各感光体51上の画像を1次転写装置52によりいったん中間転写ベルト54に順次転写して後、その中間転写ベルト54上の画像を2次転写装置55により用紙に一括転写する間接転写方式のものとがある。
【0006】
直接転写方式のものと、間接転写方式のものとを比較すると、前者は、感光体51を並べたタンデム型画像形成装置Tの上流側に給紙装置60を、下流側に定着装置61を配置しなければならず、用紙搬送方向に大型化する欠点がある。これに対し、後者は2次転写位置55を比較的自由に設定することができるので、用紙の搬送パスを短くすることが可能で、小型化が可能となる利点がある。
【0007】
上記の説明からフルカラー画像形成装置は、画像形成速度の高速化を考慮すると、記録方式がタンデム型で、そして小型化を考慮して間接転写方式が好ましいいと言える。
次に、記録方式がタンデム型で間接転写方式のフルカラー画像形成装置について考察すると、用紙を給紙口から定着までの搬送パスが最短になるように縦搬送を採用すると、用紙の搬送距離が短い分高速化でき、しかもジャム等も起こりにくい利点がある。そして、縦搬送パスを採用した装置では、図5に示すように、2次転写位置55が中間転写ベルト54の右端になることは必然である。このとき、一般的な中間転写ベルト54の上部走行辺に4つの作像手段としての作像ユニット50を配置すると、最終のBK画像が転写されてから約半周回ってから2次転写装置55を通過するため、その分ファーストコピーの時間が長くなることが避けられない。
【0008】
そこで、記録方式がタンデム型で間接転写方式のフルカラー画像形成装置において縦搬送パスを採用した場合、図6に示すように、中間転写ベルト54の下側走行辺に4つの作像ユニット50を配置することが有利である。すなわち、このように配置された装置では、用紙の搬送パスもほぼ最短で、しかも最終画像を転写された直後に重ね画像が2次転写位置に到来するため、ファーストコピーの時間が短縮化される。
【0009】
上記したように、フルカラーの画像形成装置でテーブル上に載置して使用できる程の小型化にでき、しかも高速の画像形成を実現するには、現在の技術から記録方式がタンデム型で間接転写方式のフルカラー画像形成装置において縦搬送パスを採用したものが最も好ましいと言える。
【0010】
ところで、電子写真方式の画像形成装置において、転写位置から定着位置までの距離は使用する用紙サイズ等から定まるある程度の長さが必要であり、図8を用いてその理由を簡単に説明する。
【0011】
図8において、2次転写部55の線速をb,定着部61での線速aとすると、両者の線速はa=bが理想である。しかし、現実問題としてa=bに設定しても公差からa=bになることは不可能であり、もし転写よりも定着が速いa>bになってしまうと、転写部と定着部とに跨って用紙が搬送されるとき、転写中の用紙が定着によって引っ張られて転写ズレを発生させる。そこで、転写部と定着部の関係は予めa<bとして上記した転写ズレを防止するように設定している。しかし、定着部よりも転写部の線速が速いa<bに設定すると、転写部と定着部とに跨って搬送される用紙に大きく側方へずれるたるみが生じ、このたるみにいよって未定着トナー像が筐体の一部に触れて画像を乱すという問題が発生する。したがって、転写部から定着部までの距離hは大きく側方へずれるたるみを緩和させるためにも、使用する用紙のサイズに応じたある程度の長さが必要となっていた。このとき、転写点から定着点までの高さh・sinβは、転写擦れが生じないようにするため、
【0012】
a:定着ローラの線速
b:転写ローラの線速
c:用紙の副走査方向の長さ
l:ループ量
l’:転写コスレを発生しない最大許容ループ量としたとき、
1)a≦b
2)(b−a)×c/b=l
3)MAX1≦1’
を満足すればよい。
【0013】
そこで、記録方式がタンデム型で間接転写方式のフルカラー画像形成装置において縦搬送パスを採用したものについて考察すると、転写部から定着部までの距離Lを確保し、しかも画像形成装置全体の高さを低くすることは非常に困難になる。しかし、テーブルの上に載せて使用可能なフルカラーの画像形成装置では、占有面積となる装置本体の幅や奥行もある程度小さくしたいが、それ以上に装置の高さが高いと、用紙の受け取り、ジャム処理、トナー収納容器の交換等の操作性に大きな影響を及ぼすため、高さを低く抑えたいという要求がある。しかしながら、転写部から定着部までの距離hを確保しつつ装置本体の高さを低く抑えるということは上記したように相反関係にあるため、上記した縦搬送の画像形成装置では上記距離hの確保をしつつ、装置本体の高さを低く抑えることはきわめて困難であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記した事情に鑑み、画像形成時間の短縮化でき、しかも2次転写から定着までの必要な距離を確保しつつも装置本体の高さを抑えた小型化を図ることができるカラー画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するため、本発明は、感光体を具備する複数の作像手段を備えた作像部、該作像部の感光体に光書き込みを行う光書き込み部、前記作像部で形成された画像が転写される中間転写ベルト、用紙に担持された未定着トナー像を定着する定着部、画像形成を終えた用紙を機外に排出する排出部、前記作像部の各作像手段に補給するトナーを収納したトナー収納部、及び複数の電装ユニットを備える電装部が設けられている画像形成部と、該画像形成部へ送り込む用紙を給紙する給紙部とを有するカラー画像形成装置において、前記作像部の作像手段が前記中間転写ベルトの下部側走行辺に沿って並列配置され、該中間転写ベルトの下部側の走行辺が、走行方向下流側へ向う程、前記作像手段の高さレベルが下方となる方向に傾斜されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の構成によれば、作像手段が配置される下部側のベルト走行辺が傾斜されているので、複数の作像手段を用いる形式の画像形成装置であっても、その縦横の両方のサイズをコンパクト化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に従って説明する。
【0018】
図1は、本発明に係るカラー画像形成装置の一例であるカラーレーザプリンタを示す概略図である。このカラーレーザプリンタは、装置本体1の下部に給紙部2が配置され、その上方に画像形成部3を配置した構成となっている。画像形成部3には、複数のローラ4、5、6に巻き掛けられた可撓性を有する無端ベルトにより構成された像担持体としての中間転写ベルト7が設けられている。この中間転写ベルト7のローラ4とローラ5間は、該ベルトの下部側ベルト走行辺に相当しており、該下側走行辺に対向して作像部が設けられ、該作像部に作像手段としての4個の作像ユニット8Y,8C,8M,8BKが配設されている。
【0019】
4個の作像ユニット8は、中間転写ベルト7に接する潜像担持体としての感光体ドラム10を具備している。この感光体ドラム10の周りには、帯電装置11、現像装置12、クリーニング装置13が配置され、さらに感光体ドラム10が中間転写ベルト7に接する位置における中間転写ベルト7の内側には1次転写である転写装置14が設けられている。本実施形態の場合、4個の作像ユニット8Y,8C,8M,8BKは同一構造に構成されているが、現像装置12の現像剤の色がイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色に分けられている。また、作像ユニット8の下方には光変調されたレーザ光Lを各感光体ドラム表面に照射する光書き込み手段としての光書き込みユニット15が配置され、このレーザ光Lは帯電装置11と現像装置の間で感光体ドラム10に照射する。光書き込みユニット15は、各作像ユニット8が個別に設けてもよいが、本例のような共通の光書き込みユニット15を用いればコストの点で有利である。
【0020】
画像形成動作が開始されると、上記作像ユニット8の感光体ドラム10が図示していない駆動装置によって時計方向に回転駆動され、その感光体ドラム10の表面が帯電装置11によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された感光体表面には、光書き込みユニット15からのレーザ光Lが照射され、これによって感光体ドラム10表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体ドラム10に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように形成された静電潜像は、現像装置12を通るとき、各現像装置12の現像剤によってトナー像として可視像化される。
【0021】
また、中間転写ベルト7上記複数のローラ4,5,6のうち1つのローラが図示していない駆動装置によって反時計方向に回転駆動され、これにより中間転写ベルト7が矢印で示す方向に走行駆動され、他のローラが従動回転する。このように走行する中間転写ベルト7には、イエロー現像装置12を具備するイエロー作像ユニット8Yで形成されたイエロートナー像が転写装置14によって転写される。その転写されたイエロートナー像には、作像ユニット8C、8M及び8BKで形成されたシアントナー像、さらにマゼンタトナー像及びブラックトナー像が転写装置14によって順次重ね転写され、かくして中間転写ベルト7はその表面にフルカラーのトナー像を担持する。なお,中間転写ベルト7にはローラ6に対向して2次転写装置20が配設され,ローラ4に対向してベルト表面を清掃するベルトクリーニング装置21が配設されている。
【0022】
また、トナー像が転写された後の感光体ドラム表面に付着する残留トナーは、クリーニング装置13によって感光体ドラム表面から除去され、次いでその表面が図示していない除電装置によって除電作用を受け、その表面電位が初期化されて次の画像形成に備えられる。
【0023】
一方、給紙部2から紙または樹脂シート等からなる用紙が給送され、給紙口2aから画像形成部3に送り込まれる。画像形成部3に送り込まれた用紙は、レジストローラ21を介してローラ6と対向する2次転写装置20との間に給送される。そして、このとき2次転写装置20には中間転写ベルト表面のトナー像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加され、これによって中間転写ベルト表面のトナー像が用紙上に一括して転写される。トナー像を転写された用紙は、定着装置22を通るとき、その熱及び圧によってトナー像が用紙に熔融して定着される。定着された用紙は、矢印で示すように、画像形成装置本体1の上部により構成された排紙部23に排出される。また、トナー像を用紙に転写後の中間転写ベルト12は、該ベルトに残留したトナーがクリーニング装置21より除去される。
【0024】
以上の説明は、用紙上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、作像ユニット8のいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2色又は3色の画像を形成したりすることもできる。
【0025】
このように構成されたカラープリンタは、4個の作像ユニット8Y,8M,8C及び8BKを中間転写ベルト7に対向して設け、中間転写ベルト7に順次各色のトナー像を重ね転写するため、作像手段が1つ4色の現像装置を持ち、中間転写体上にトナー像を重ね転写し、その後用紙に転写する形式のものと比べて作像時間を大幅に短縮することができる。さらに、タンデム方式の画像形成装置であっても図5に示すような中間転写ベルトの上部走行辺に作像手段を配置したものと比べてファースプリントが速いという利点が得られる。
【0026】
本実施形態におけるカラープリンタは、中間転写ベルト7におけるローラ4とローラ5間の下側走行辺を傾斜させ、その傾斜した下側走行辺に対向させて各作像ユニット8を並列配置させている。この中間転写ベルト7の下側走行辺の傾斜方向は、中間転写ベルト7の走行方向に対し、下流側に配置した作像ユニット8ほど高さレベルが下方となる方向であり、図1では右下がりとなっている。
【0027】
図1に本実施形態のカラープリンタは、図6に示すプリンタとほぼ同一の構成部品を使用しているものの、装置本体の高さが低く形成されている。したがって、縦搬送パスである給紙部2から定着装置20までの距離も短くなっているが、上記したように中間転写ベルト7を傾斜して配置することで、パスが短くなっても2次転写装置20から定着装置20までの必要とする距離hを十分に確保し、全体の高さを低く抑えている。
【0028】
また、中間転写ベルト7の走行辺が図6のように水平であると、ベルト全体を同高さレベルに位置させることになるが、図1に示す本実施形態のプリンタでは中間転写ベルトの左側が上方に位置するため、そのプリンタ本体には左下に顕著な断面ほぼ三角形の空間が形成される。この空間は、図9に斜線で示すように、光書き込みユニット15の幅をAとすると、一辺の高さがA・sinθ,一辺の幅がA・cosθの直角三角形の形状をとなる。そして、その空間に電装ユニットを配置すればプリンタは高さだけでなく幅方向においても小型化が可能となる。なお、図1の例では中間転写ベルト7の下部に4個の作像ユニット8、その下方に光書き込みユニット15、そして光書き込みユニット15の下には各作像プロセスに必要な高圧電源を供給する高圧電源ユニット30と、ホストコンピュータからの画像信号を内部の制御信号に変換するコントロールユニット31及び装置全体の制御を行うエンジンコントロール32を配置している。
【0029】
このようにプリンタに必要とされる電装ユニットを光書き込みユニット15の下に配置したことにより、プリンタの小型化が実現でき、本プリンタでは電源ユニット33だけを装置後方に直立して配置している。
【0030】
また、図1に示す本プリンタの画像形成部3のレイアウトは、数式によって規定することができる。この場合、画像形成部3の最奥側の給紙部の用紙を分離する点と同じ高さの点を原点としたときのレイアウト関係式における各ポイントの定義は、図10、図12、図13、図15及び図16に示すように、
【0031】
1)排出点:HS(x,y)
2)定着ニップ中心点:TT(x,y)
3)転写点:TS(x,y)
4)レジスト点:RE(x,y)
5)給送分離点:BR(x,y)
6)複数のトナー収納部の高さを規定する点:
【0032】
複数のトナー収納部を側面から見て最も高い位置に存在するトナー収納部の最上位の点:T1(x,y)
そのトナー収納部の最下位の点:T2(x,y)、
【0033】
複数のトナー収納部を側面から見て最も低い位置に存在するトナー収納部の最上位の点:T3(x,y)、
そのトナー収納部の最下位の点:T4(x,y)
【0034】
定着ニップ中心点とトナー収納部の最短距離を形成するトナー収納部の点:T5(x,y)
である。
【0035】
また、レイアウト関係式における各角度の定義は図10及び図11に示すように、
1)中間転写ベルト下部走行辺と水平面が形成する角度:θ
2)中間転写ローラ5の転写点と作像部の端部が延長し中間転写ベルトと接する点をむすぶ線と水平面が形成する角度:φ
3)転写点と給送分離点をむすぶ線と水平面が形成する角度:γ
4)定着点と転写点をむすぶ線と水平面が形成する角度:β
【0036】
さらに、レイアウト関係式における各距離の定義は図10に示すように、
1)中間転写ベルト下部走行辺から作像手段を挟んだ光書込み手段の下辺部までの幅:d1
2)給送分離点から光書込み手段までのy方向の距離:d2
3)給送分離点から転写点までのy方向の距離:D
4)トナー固着防止距離:HI
5)トナー固着防止距離(x方向):HIx
6)トナー固着防止距離(y方向):HIy
7)転写点と定着点の距離:h
8)奥側円筒状トナー収納部の中心点と手前側円筒状トナー収納部の中心点の距離:N
9)円筒状トナー収納部の半径:R1
10)円筒状トナー収納部の半径(他と異なる半経の場合):R2
である。
【0037】
本プリンタにおいて、最上位にトナー収納部があり、その最上位点の高さ方向(y方向)の大きさをT1(y)とすると、
T1(y)=R1+(N+R1)sinθ+HIy+h・sinβ+D
【0038】
で表すことができる。
この場合、R1+(N+R1)sinθ+HIyは定着点からトナー収納部の最上位部までの高さ、h・sinβは転写点から定着点までの高さ、そしてDは給送分離点から転写点までのy方向の距離である。
【0039】
さらに、Dは
D=d2+d1・cosθ+d3 sinφ
で表すことができる。
【0040】
また、本プリンタの最大幅の点のx方向の大きさTT(x)は、
TT(x)=BR(x)+D/tanγ+h・cosβで表すことができる。
以上の関係式から,画像形成部3のレイアウトは、画像形成部3の最奥側で最下部を原点として複数のトナー収納部を側面から見て最も高い位置に存在するトナー収納部の最上位の点の高さT1(y)と定着ニップ中心点の幅TT(x)においてT1(y)≦TT(x)の関係を満足することである。
【0041】
さらに、複数のトナー収納部を側面から見て最も低い位置に存在するトナー収納部の最上位の点の高さT3(y)と定着ニップ中心点の高さTT(y)においてTT(y)≦T3(y)の関係を満足し、より好ましくは複数のトナー収納部を側面から見て最も低い位置に存在するトナー収納部の最上位の点の高さT3(y)及びそのトナー収納部の最下位の点の高さT4(y)と定着ニップ中心点の高さTT(y)とにおいてT4(y)≦TT(y)≦T3(y)の関係を満足することである。
【0042】
さらにまた、複数のトナー収納部を側面から見て最も高い位置に存在するトナー収納部の最上位の点の高さT1(y)と排出点をHS(y)とにおいてHS(y)≦T1(y)の関係を満足することであり、より好ましくは複数のトナー収納部を側面から見て最も高い位置に存在するトナー収納部の最上位の点の高さT1(y)及びそのトナー収納部の最下位の点の高さT2(y)と排出点の高さHS(y)とにおいてT2(y)≦HS(y)≦T1(y)の関係を満足することである。
【0043】
また、中間転写ベルト7の下部側走行辺と水平線とでなす角度をθは
sinθ=(T1(y)−HIy−h・sinβ−D−R1)/(N+R1)で表すことができる。該角度θが5度から25度の範囲であることがより好ましい。
【0044】
ここで、図1に本プリンタと図6のプリンタとを比較する。なお、図2は図1のプリンタの平面説明図で、図7は図6のプリンタの平面説明図である。また、両者は各構成部材がほぼ同一のものを使用している。
【0045】
図1及び図2と図6及び図7から明らかなように、上記したレイアウト関係式によって規定された本プリンタは図1の右端側が正面としたとき、両者は奥行きこそ570mmと同サイズであったものの、幅において420mmと475mmと55mm小型化され、高さにおいて468mmと475mmと7mm小型化となり、本プリンタの方が小サイズにすることができた。この差は、ミリ単位のものであるが、現時点での小型化の技術がほぼ網羅されており、そのような画像形成装置において数ミリでも小型化になることは極めて有益である。
【0046】
さて、本発明の如き電子写真方式を採用したプリンタにおいてトナーは消耗品であり、トナーはその消費した量に応じてトナー収納手段としてのトナーカートリッジ36から補給される。本実施形態においても、すべて同一サイズからなるトナーカートリッジ36と各作像ユニット8の現像装置12とが図示していないトナー補給装置によって連結されている。このトナー補給装置は、オーガによってトナーを搬送するものであるが、そのオーガの駆動はメインモータ(図示せず)から受けている。かかる構成において、本実施形態では図1に示すように、各色のトナーカートリッジ36からそのトナーを補給する現像装置12までのトナー搬送経路の長さ、角度をすべて同一にさせている。すなわち、各トナーカートリッジ36は中間転写ベルト7の上方で、そのベルトの下側走行辺の傾斜と同角度に傾斜させるとともに、各作像ユニット8の配置間隔と同間隔を持って並列配置させている。
【0047】
このように構成することにより、各トナーカートリッジ36から各作像ユニット8の現像装置12までの搬送条件がほぼ同一となり、同一駆動源でトナー搬送を行う場合の設定・制御を容易に行うことができる。また、トナーカートリッジ36はトナーエンドとなれば新品と交換しなければならない。本実施形態のプリンタでは、排紙部23として使用している上部カバー37を図12の矢印で示すように手前から奥側方向へ開放することでトナーカートリッジ36の交換が可能となる。このとき、トナーカートリッジ36は奥側のものほど上位位置に位置するので取り扱いやすく、すべてのトナーカートリッジ36を水平に配置した場合と比べて交換作業性、視認性が大幅に向上する。
【0048】
また、本実施形態のプリンタは給紙から排紙までの搬送パスをほぼ最小の長さに済み,しかも搬送パスは図1のようにレジストローラ24から定着装置22までをほぼストレートにすることが容易であり、ストレートな搬送パスは、ジャムがしにくく有利である。さらに、プリンタ1の正面板を開閉可能とすることで、ジャム処理のための搬送パスの開放も容易になる。
【0049】
さらにまた、本発明はトナー収納部において、図14に示すように少なくとも一つのトナーカートリッジ36を他のトナーカートリッジ36より収納量を多くすることができ、例えば、最も消費量が多い黒トナーの収納量を他のカラートナーより多くすれば交換頻度を抑えられ有利である。なお、トナーカートリッジ36は図16に示すように円筒状でなく、角筒状であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明のカラー画像形成装置の全体構成を示す概略説明図である。
【図2】図1のカラー画像形成装置の平面説明図である。
【図3】直接転写のタンデム型カラー画像形成装置を示す説明図である。
【図4】間接転写のタンデム型カラー画像形成装置を示す説明図である。
【図5】間接転写のタンデム型カラー画像形成装置の他の従来例を示す説明図である。
【図6】図5の装置の問題を軽減できるタンデム型カラー画像形成装置の従来例を示す説明図である。
【図7】図6のカラー画像形成装置の平面説明図である。
【図8】2次転写と定着間の用紙搬送に存在する問題点を説明する図である。
【図9】本発明のカラー画像形成装置に形成される電装部を配置可能なスペースを示す説明図である。
【図10】本発明のカラー画像形成装置のレイアウト関係式に定義される各ポイントを示す説明図である。
【図11】本発明のカラー画像形成装置のレイアウト関係式に定義される各角度を示す説明図である。
【図12】本発明のカラー画像形成装置のレイアウト関係式に定義される各ポイントを補足する説明図である。
【図13】本発明のカラー画像形成装置のレイアウト関係式に定義される各ポイントを補足する説明図である。
【図14】1つだけ容量の大きいトナー収納部とした一例を示す説明図である。
【図15】図14におけるカラー画像形成装置のレイアウト関係式に定義される各ポイントを示す説明図である。
【図16】各トナー収納部を四角形にした一例を示す説明図である。
【図17】本発明のカラー画像形成装置の外観斜視図である。
【符号の説明】
【0051】
1 装置本体
7 中間転写ベルト
8Y,8M,8C,8BK 作像ユニット
10 感光体ドラム
12 現像装置
20 2次転写装置
22 定着装置
30〜33 電装ユニット
36 トナーカートリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体を具備する複数の作像手段を備えた作像部、該作像部の感光体に光書き込みを行う光書き込み部、前記作像部で形成された画像が転写される中間転写ベルト、用紙に担持された未定着トナー像を定着する定着部、画像形成を終えた用紙を機外に排出する排出部、前記作像部の各作像手段に補給するトナーを収納したトナー収納部、及び複数の電装ユニットを備える電装部が設けられている画像形成部と、該画像形成部へ送り込む用紙を給紙する給紙部とを有するカラー画像形成装置において、
前記作像部の作像手段が前記中間転写ベルトの下部側走行辺に沿って並列配置され、該中間転写ベルトの下部側の走行辺が、走行方向下流側へ向う程、前記作像手段の高さレベルが下方となる方向に傾斜されていることを特徴とするカラー画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−133421(P2007−133421A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−354531(P2006−354531)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【分割の表示】特願2005−293637(P2005−293637)の分割
【原出願日】平成14年9月12日(2002.9.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】