説明

カルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサン、シリコーン組成物及び有機発光ダイオード

N−カルバゾリルアルキル基及び加水分解性基を含有するカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサン、カルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンを含有するシリコーン組成物、該シリコーン組成物を硬化させることによって調製される硬化カルバゾリル官能性ポリシロキサン、並びにカルバゾリル官能性ポリシロキサンを含有する有機発光ダイオード(OLED)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサン、より詳細には、N−カルバゾリルアルキル基及び加水分解性基を含有するカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンに関する。また、本発明は、カルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンを含有するシリコーン組成物、該シリコーン組成物を硬化させることによって調製される硬化カルバゾリル官能性ポリシロキサン、及びカルバゾリル官能性ポリシロキサンを含有する有機発光ダイオード(OLED)に関する。
【背景技術】
【0002】
[発明の背景]
カルバゾリルアルキル基を含有するカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンは、当該技術分野で既知である。例えば、Strohriegl(Makromol. Chem., Rapid Commun., 1986, 7, 771−775)は、カルバゾール単位がアルキレンスペーサーによってシロキサン骨格から離された、カルバゾールペンダント基を有する一連のポリシロキサンの調製及び特徴付けについて記載している。
【0003】
Tiekeの米国特許第4,933,053号は、5〜100mol%の式Iの反覆構造単位及び95〜0mol%の式IIの反覆構造単位:
【0004】
【化1】

【0005】
(式中、R及びRは互いに独立して、C〜Cのアルキル、C〜Cのアルコキシ、フェニル又はフェノキシであり;R及びRは互いに独立して、C〜Cのアルキル、C〜Cのアルコキシ、ハロゲン、シアノ又はニトロであり;Rは無置換又は1つ若しくは2つのヒドロキシル基で置換され得るC〜C18のアルキルであるか、又はフェニル若しくはヒドロキシルであり;mは3〜11の整数であり;n及びpは互いに独立して、0〜2の整数である)から成る出発ポリマーの陽極酸化によって得ることができる導電性ポリマーを開示している。上記053号特許は、生成物がエレクトロクロミックディスプレイ素子、陽極材料又は導電性膜として特に適切であることを教示している。
【0006】
Leyrer等の欧州特許出願第0224784号のDerwentの要約書番号1987−158535は、ポリマー主鎖に結合したカルバゾール側基を有するポリシロキサンを開示している。この要約書は、ポリシロキサンを電子写真記録材料で使用することができること、及び電子写真オフセット印刷版を得るのに使用することができることを教示している。
【0007】
Kazumasa等の日本国特許出願第02127432号に対応する日本公開特許公報の特許要約は、(A)カルバゾール基、ケイ素原子又は加水分解性基に結合したOH基、及びシロキサン結合の形成によって架橋可能なケイ素原子含有基を有するカルバゾール基含有硬化性化合物と、(B)シラノール縮合触媒とを含有するカルバゾール基含有硬化性組成物を開示している。
【0008】
上記参考文献はカルバゾリルアルキル基を含有する直鎖ポリシロキサンを開示しているにも関わらず、これらは本発明のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサン、シリコーン組成物、硬化カルバゾリル官能性ポリシロキサン又はOLEDを開示していない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
[発明の要約]
本発明は、30〜99mol%の式Iを有する単位、1〜70mol%の式IIを有する単位、及び式IIIを有する単位:
【0010】
【化2】

【0011】
(式中、Rは脂肪族不飽和を含まないC〜C10のヒドロカルビルであり;Rは、−CH−CHR−又は−CH−CHR−Y−であり、ここで、Yは二価の有機基であり、RはR又は−Hであり;RはR、−(CH−Cz、−CH−CHR−SiR3−n又は−CH−CHR−Y−SiR3−nであり、ここで、CzはN−カルバゾリルであり;Zは加水分解性基であり;mは2〜10の整数であり、nは0、1又は2である)を含むカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンに関する。
【0012】
また、本発明は、少なくとも30mol%の式Iを有する単位、及び式IVを有する単位:
【0013】
【化3】

【0014】
(式中、Rは、脂肪族不飽和を含まないC〜C10のヒドロカルビルであり;Zは加水分解性基であり;mは2〜10の整数であり;pは0、1又は2である)を含むカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンに関する。
【0015】
また、本発明は、上記カルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンから選択されたポリシロキサン及び有機溶媒を含むシリコーン組成物に関する。さらに、本発明は、該シリコーン組成物を硬化させることによって調製される硬化カルバゾリル官能性ポリシロキサンに関する。
【0016】
さらに、本発明は、
第1の反対面(opposing surface)及び第2の反対面を有する基体と、
前記第1の反対面に積層された第1の電極層と、
前記第1の電極層に積層された発光素子であって、前記発光素子は、
正孔輸送層、及び
電子輸送層
を含み、前記正孔輸送層及び前記電子輸送層は互いに直接的に配置され、前記正孔輸送層及び前記電子輸送層の一方は、
(A)(i)30〜99mol%の式Iを有する単位、1〜70mol%の式IIを有する単位、及び式IIIを有する単位:
【0017】
【化4】

【0018】
(式中、Rは脂肪族不飽和を含まないC〜C10のヒドロカルビルであり;Rは−CH−CHR−又は−CH−CHR−Y−であり、ここで、Yは二価の有機基であり、RはR又は−Hであり;RはR、−(CH−Cz、−CH−CHR−SiR3−n又は−CH−CHR−Y−SiR3−nであり、ここで、CzはN−カルバゾリルであり;Zは加水分解性基であり;mは2〜10の整数であり;nは0、1又は2である)を含む少なくとも1つのカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサン、(ii)少なくとも30mol%の式Iを有する単位、及び式IVを有する単位:
【0019】
【化5】

【0020】
(式中、Rは脂肪族不飽和を含まないC〜C10のヒドロカルビルであり;Zは加水分解性基であり;mは2〜10の整数であり;pは0、1又は2である)を含む少なくとも1つのカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサン、並びに(iii)(i)及び(ii)を含む混合物から選択されるポリシロキサンと、
(B)有機溶媒と
を含むシリコーン組成物を硬化させることによって調製される硬化カルバゾリル官能性ポリシロキサン、並びに
少なくとも50mol%の式Iを有する単位、及び式Vを有する単位:
【0021】
【化6】

【0022】
(式中、Rは脂肪族不飽和を含まないC〜C10のヒドロカルビルであり;mは2〜10の整数であり;RはR又は−(CH−Czであり、ここで、CzはN−カルバゾリルである)を含む少なくとも1つのカルバゾリル官能性ポリシロキサン
から選択されるカルバゾリル官能性ポリシロキサンを含む発光素子と、
前記発光素子に積層された第2の電極層と
を含む有機発光ダイオードに関する。
【0023】
本発明のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンは、印加電圧に供した場合に発光するエレクトロルミネセンスを示す。さらに、直鎖ポリシロキサンは、加水分解性基を含み、硬化させて耐久性のある架橋ポリシロキサンを生成することができる。また、直鎖ポリシロキサンは、少量の蛍光色素をドープして、エレクトロルミネセンスの効率を増大させ、且つ硬化ポリシロキサンのカラー出力(color output)を調節することができる。
【0024】
本発明のシリコーン組成物を、一部の組成物(one-part composition)として都合良く処方することができる。さらに、シリコーン組成物は、水分の非存在下で良好な保存安定性を有する。重要なことに、スピンコーティング、印刷及び噴霧等の従来の高速法によって組成物を基板に適用することができる。また、温和な(mild)温度から中程度の(moderate)温度における水分への曝露によってシリコーン組成物を容易に硬化させることができる。
【0025】
本発明のシリコーン組成物を硬化させることによって調製される硬化カルバゾリル官能性ポリシロキサンは、エレクトロルミネセンスを示す。さらに、硬化ポリシロキサンは、下塗剤無しに(primerless)、種々の基板への良好な接着性を示す。硬化ポリシロキサンは、優れた耐久性、耐薬品性及び低温での可撓性も示す。さらに、硬化ポリシロキサンは、高い透明性(典型的には、電磁スペクトルの可視領域において、100nmの厚さでの透過率は少なくも95%)を示す。重要なことに、ポリシロキサンは、OLEDデバイス中の電極層及び発光層に悪影響を及ぼす酸性又は塩基性の成分を実質的に含まない。
【0026】
本発明のOLEDは、磨耗、有機溶媒、水分及び酸素に対して良好な耐性を示す。さらに、OLEDは、高い量子効率及び光安定性を示す。
【0027】
OLEDは、個別の発光デバイス又は発光アレイ若しくはディスプレイ(フラットパネルディスプレイ等)の能動素子として有用である。OLEDディスプレイは、腕時計、電話、ラップトップコンピュータ、ポケットベル、携帯電話、デジタルビデオカメラ、DVDプレイヤー及び計算機等の多数のデバイスで有用である。
【0028】
本発明のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲及び添付の図面を参照してより深く理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
[発明の詳細な説明]
本明細書中で使用される場合、「直鎖カルバゾリル官能性ポリシロキサン」という用語は、1分子あたり平均して少なくとも90mol%、あるいは少なくとも95mol%、あるいは少なくとも98mol%の二官能性シロキサン単位(すなわち、D単位)及び一官能性シロキサン単位(すなわち、M単位)の組み合わせを含むカルバゾリル官能性ポリシロキサンを示す。本明細書中で使用される場合、シロキサン単位又はシロキサン単位の組み合わせの「mol%」は、ポリシロキサン中のシロキサン単位の総モル数に対するシロキサン単位又はシロキサン単位の組み合わせのモル数の比に100を掛けたものと定義する。また、「脂肪族不飽和を含まないヒドロカルビル基」という用語は、基が脂肪族炭素−炭素二重結合及び脂肪族炭素−炭素三重結合を含まないことを意味する。
【0030】
本発明による第1のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンは、30〜99mol%の式Iを有する単位、1〜70mol%の式IIを有する単位、及び式IIIを有する単位:
【0031】
【化7】

【0032】
(式中、Rは脂肪族不飽和を含まないC〜C10のヒドロカルビルであり;Rは−CH−CHR−又は−CH−CHR−Y−であり、ここで、Yは二価の有機基であり、RはR又は−Hであり;RはR、−(CH−Cz、−CH−CHR−SiR3−n又は−CH−CHR−Y−SiR3−nであり、ここで、CzはN−カルバゾリルであり;Zは加水分解性基であり;mは2〜10の整数であり;nは0、1又は2である)を含む。代替的には、下付き符号mは、3〜10又は3〜6の値を有する。
【0033】
及びRによって示されるヒドロカルビル基は、脂肪族不飽和を含まず、1〜10個の炭素原子、代替的には1〜6個の炭素原子を典型的に有する。少なくとも3個の炭素原子を含有する非環式ヒドロカルビル基は、分枝状又は非分枝状の構造を有することができる。ヒドロカルビル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル及びオクタデシル等のアルキル;シクロペンチル、シクロヘキシル及びメチルシクロヘキシル等のシクロアルキル;フェニル及びナフチル等のアリール;トリル及びキシリル等のアルカリール;並びにベンジル及びフェネチル等のアラルキルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
式(III)では、Rは、−(CHm−2−Cz(式中、CzはN−カルバゾリルであり、mは2〜10の整数である)であり得る。本明細書中で使用される場合、「N−カルバゾリル」という用語は、式:
【0035】
【化8】

【0036】
を有する基を示す。
【0037】
Yによって示される二価の有機基は、1〜18個の炭素原子、あるいは1〜10個の炭素原子、あるいは1〜6個の炭素原子を典型的に有する。炭素及び水素に加えて、二価の有機基は、ポリシロキサンを調製するか、又はポリシロキサン中の加水分解性基Zと反応するために使用される、以下に記載のヒドロシリル化反応を二価の基が阻害しない場合に、窒素、酸素及びハロゲン等の他の原子を含有し得る。Yによって示される二価の有機基の例としては、メチレン、プロピレン及びフェニレン等のヒドロカルビレン;クロロエチレン及びフルオロエチレン等のハロゲン置換ヒドロカルビレン;−CHOCHCHCH−、−CHCHOCHCH−、−CHCHOCH(CH)CH−及び−CHOCHCHOCHCH−等のアルキレンオキシアルキレン;並びに−C(=O)O−(CH−等のカルボニルオキシアルキレンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
本明細書中で使用される場合、「加水分解性基」という用語は、水と反応してケイ素結合−OH(シラノール)基を形成することができるケイ素結合基Zを意味する。Zによって示される加水分解性基の例としては、−Cl、Br、−OR、−OCHCHOR、CHC(=O)O−、Et(Me)C=N−O−、CHC(=O)N(CH)−及び−ONHが挙げられるが、これらに限定されない。ここで、RはC〜Cのヒドロカルビル又はハロゲン置換ヒドロカルビルであって、両者とも脂肪族不飽和を含まない。
【0039】
によって示されるヒドロカルビル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、ヘキシル、ヘプチル及びオクチル等の非分枝状及び分枝状のアルキル;シクロペンチル、シクロヘキシル及びメチルシクロヘキシル等のシクロアルキル;フェニル;トリル及びキシリル等のアルカリール;並びにベンジル及びフェネチル等のアラルキルが挙げられるが、これらに限定されない。ハロゲン置換ヒドロカルビル基の例としては、3,3,3−トリフルオロプロピル、3−クロロプロピル、クロロフェニル及びジクロロフェニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
第1のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンは、上記の式(I)、(II)及び(III)を有する単位を含むコポリマーである。ポリシロキサンは、30〜99mol%、あるいは75〜99mol%、あるいは80〜95mol%の式(I)を有する単位を含有する。また、ポリシロキサンは、1〜70mol%、あるいは5〜50mol%、あるいは5〜15mol%の式(II)を有する単位を含有する。上記の式(I)、(II)及び(III)を有する単位に加えて、第1のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンは、30mol%以下、あるいは15mol%以下、あるいは5mol%以下の他のシロキサン単位を含有し得る。他のシロキサン単位の例としては、以下の式:RHSiO2/2、HRSiO1/2及びRSiO2/2を有する単位が挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
第1のカルバゾリル官能性ポリシロキサンは、低角度レーザー光散乱検出器を使用するゲル浸透クロマトグラフィによって分子量を計算すると、1,000〜1,000,000、あるいは2,500〜150,000、あるいは10,000〜30,000の数平均分子量を典型的に有する。
【0042】
第1のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンの例としては、以下の平均的な式:
(Me)SiO[Si(Me)(CHCHCHCz)O]0.93[Si(Me)(CHCHCHSi(OMe))O]0.05Si(Me)
(Me)SiO[Si(Me)(CHCHCHCz)O]0.86[Si(Me)(CHCHCHSi(OMe))O]0.1Si(Me)
(Me)SiO[Si(Me)(CHCHCHCz)O]0.8[Si(Me)(CHCHCHSi(OMe))O]0.1[SiO(Me)(H)]0.05Si(Me)
(Me)SiO[Si(Et)(CHCHCHCz)O]0.93[Si(Et)(CHCHCHSi(OMe))O]0.05Si(Me)
(Me)SiO[Si(Et)(CHCHCHCz)O]0.86[Si(Et)(CHCHCHSi(OMe))O]0.1Si(Me)
(Me)SiO[Si(Et)(CHCHCHCz)O]0.8[Si(Et)(CHCHCHSi(OMe))O]0.1[SiO(Et)(H)]0.05Si(Me)
(Me)SiO[Si(Ph)(CHCHCHCz)O]0.93[Si(Ph)(CHCHCHSi(OMe))O]0.05Si(Me)
(Me)SiO[Si(Ph)(CHCHCHCz)O]0.86[Si(Ph)(CHCHCHSi(OMe))O]0.1Si(Me)
(Me)SiO[Si(Ph)(CHCHCHCz)O]0.8[Si(Ph)(CHCHCHSi(OMe))O]0.1[SiO(Ph)(H)]0.05Si(Me)
(Me)SiO[Si(Me)(CHCHCHCz)O]0.93[Si(Me)(CHCH(Me)COCHCHCHSi(OMe))O]0.05Si(Me)
(Me)SiO[Si(Me)(CHCHCHCz)O]0.86[Si(Me)(CHCH(Me)COCHCHCHSi(OMe))O]0.1Si(Me)、及び
(Me)SiO[Si(Me)(CHCHCHCz)O]0.8[Si(Me)(CHCH(Me)COCHCHCHSi(OMe))O]0.1[SiO(Me)(H)]0.05Si(Me)
を有するポリシロキサン類が挙げられるが、これらに限定されない。ここで、Meはメチルであり、Etはエチルであり、Phはフェニルであり、下付き数字はモル分率を表わす。また、先の式において、単位の配列は非特定である。
【0043】
第1のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンは、(a)式RSiO(RHSiO)SiRを有する有機水素ポリシロキサンと、(b)式Cz−(CHm−2−CH=CHを有するN−アルケニルカルバゾール並びに(c)Z3−nSi−Y−CR=CH及びZ3−nSi−CR=CHから選択される式を有するアルケニルシランとを、(d)ヒドロシリル化触媒及び場合によっては(e)有機溶媒の存在下で、反応させることにより調製することができる。ここで、下付きのaは、有機水素ポリシロキサンが180〜220,000の数平均分子量を有するような値を有し;R、R、Cz、Y、Z、m及びnは、第1のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンに対して上記で定義及び例示したとおりである。
【0044】
(a)有機水素ポリシロキサンは、式RSiO(RHSiO)SiRを有する。ここで、R及びRは、第1のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンに対して上記で定義及び例示したとおりであり、下付きのaは、有機水素ポリシロキサンが、180〜220,000、あるいは1,000〜150,000、あるいは1,000〜75,000の数平均分子量を典型的に有するような値を有する。
【0045】
(a)有機水素ポリシロキサンとして用いるのに好適な有機水素ポリシロキサン類の例としては、トリメチルシロキシ末端化ポリ(メチル水素シロキサン)類、水素ジメチルシロキシ末端化ポリ(メチル水素シロキサン)類、トリエチルシロキシ末端化ポリ(メチル水素シロキサン)類、水素ジエチルシロキシ末端化ポリ(メチル水素シロキサン)類、トリメチルシロキシ末端化ポリ(エチル水素シロキサン)類、水素ジメチルシロキシ末端化ポリ(エチル水素シロキサン)類、トリエチルシロキシ末端化ポリ(エチル水素シロキサン)類、水素ジエチルシロキシ末端化ポリ(エチル水素シロキサン)類、トリメチルシロキシ末端化ポリ(フェニル水素シロキサン)類、水素ジメチルシロキシ末端化ポリ(フェニル水素シロキサン)類、トリエチルシロキシ末端化ポリ(フェニル水素シロキサン)類、及び水素ジエチルシロキシ末端化ポリ(フェニル水素シロキサン)類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
ポリ(メチル水素)シロキサンの製造によって例示される有機水素ポリシロキサンの調製方法は、当該技術分野で既知である。例えば、米国特許第2,491,843号に従い、適切な有機ハロシランを加水分解及び縮合させることによって、約500以下の重合度のポリ(メチル水素)シロキサンを調製することができる。Gupta等(Polym. J., 1993, 29(1), 15-22)に記載のように、常温下、塩化メチレン中で開始剤としてトリフルオロメタンスルホン酸を用いて、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンを重合させるによって、10を超える数平均分子量を有するポリ(メチル水素)シロキサンを調製することができる。あるいは、Maisonnier等(Polym. Int., 1999, 48, 159-164)によって教示されるように、ドデシルベンゼンスルホン酸及びBrij35(ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル)をそれぞれ乳化剤/開始剤及び共乳化剤として用いて、水性乳濁液中で1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンを重合させることによって、比較的高分子量(M=7,000〜70,000)のポリ(メチル水素)シロキサンを調製することができる。さらに、米国特許第5,554,708号に開示されるように、(i)シラノール基を含まないヘキサ有機ジシロキサン、1つ以上のシラノールを含まないメチル水素環状シロキサン、及び約100ppm未満の水を含有する反応混合物を形成し、(ii)反応混合物を無水トリフルオロメタンスルホン酸触媒と接触させ、並びに(iii)100℃未満で混合物及び触媒を撹拌して、直鎖トリ有機シロキシ基でエンドキャプしたメチル水素ポリシロキサンを形成することによって、約2,200以下の重合度の、直鎖トリ有機シロキシ基でエンドキャプしたポリ(メチル水素)シロキサンを調製することができる。
【0047】
(b)N−アルケニルカルバゾールは、式Cz−(CHm−2−CH=CH(式中、Cz及びmは、第1のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンについて上記で定義及び例示したとおりである)を有する少なくとも1つのN−アルケニルカルバゾールである。
【0048】
(b)N−アルケニルカルバゾールとしての使用に適切なN−アルケニルカルバゾールの例としては、以下の式:CH=CH−Cz、CH=CH−CH−Cz、CH=CH−(CH−Cz、CH=CH−(CH−Cz及びCH=CH−(CH−Cz(式中、CzはN−カルバゾリルである)を有するカルバゾールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
(b)N−アルケニルカルバゾールは、式Cz−(CHm−2−CH=CH(式中、Cz及びmは、第1のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンについて上記で定義及び例示したとおりである)をそれぞれ有する、単一のN−アルケニルカルバゾール又は2つ以上の異なるN−アルケニルカルバゾールを含む混合物であり得る。
【0050】
N−アルケニルカルバゾールの調製方法は、当該技術分野で既知である。例えば、Heller等(Makromol. Chem., 1964, 73, 48)に記載のように、式Br−(CHm−2−CH=CHを有するω−アルケニルブロミドとカルバゾールナトリウムとを反応させることによって、N−アルケニルカルバゾールを調製することができる。
【0051】
(c)アルケニルシランは、Z3−nSi−Y−CR=CH及びZ3−nSi−CR=CH(式中、R、R、Y、Z及びnは、第1のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンについて上記で定義及び例示したとおりである)から選択される式を有する少なくとも1つのアルケニルシランである。
【0052】
(c)アルケニルシランとしての使用に適切なアルケニルシランの例としては、以下の式:CH=C(Me)−C(=O)−OCHCHCHSi(OMe)、CH=CH−Si(OAc)、CH=CH−(CH−Si(OMe)、CH=CH−Si(OAc)(OMe)及びCH=CH−CH−Si(OMe)(式中、Meメチルであり、OAcはアセトキシである)を有するシラン類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
(c)アルケニルシランは、Z3−nSi−Y−CR=CH及びZ3−nSi−CR=CH(式中、R、R、Y、Z及びnは、第1のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンについて上記で定義及び例示したとおりである)から選択される式をそれぞれ有する、単一のアルケニルシラン又は2つ以上の異なるアルケニルシランを含む混合物であり得る。
【0054】
アルケニルシランの調製方法は、当該技術分野で既知である。例えば、直接合成、グリニャール反応、アルケン又はアルキンへの有機ケイ素水素化物の添加、クロロオレフィンと有機ケイ素水素化物との縮合、及びハロアルキルシランの脱ヒドロハロゲン化によって、アルケニルシランを調製することができる。これら及び他の方法は、W.Noll in Chemistry AND Technology of Silicones, Academic Press:New York, 1968に記載されている。
【0055】
(d)ヒドロシリル化触媒は、白金族金属(すなわち、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム及びイリジウム)又は白金族金属を含有する化合物を含む任意の既知のヒドロシリル化触媒であり得る。好ましくは、ヒドロシリル化反応におけるその高活性に基づく白金族金属は、白金である。
【0056】
好ましいヒドロシリル化触媒には、Willingの米国特許第3,419,593号(本明細書中で参照により援用される)に開示の、塩化白金酸と特定のビニル含有有機シロキサンとの合成物が挙げられる。この種の好ましい触媒は、塩化白金酸と1,3−ジエテニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンとの反応生成物である。
【0057】
(e)有機溶媒は、少なくとも1つの有機溶媒である。有機溶媒は、本方法の条件下で、(a)有機水素ポリシロキサン、(b)N−アルケニルカルバゾール、(c)アルケニルシラン、又は第1のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンと反応せず、且つ成分(a)、(b)、(c)及びカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンと混和性である非プロトン性有機溶媒又は双極性非プロトン性有機溶媒であり得る。
【0058】
有機溶媒の例としては、n−ペンタン、ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン及びドデカン等の飽和脂肪族炭化水素類;シクロペンタン及びシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン及びメシチレン等の芳香族炭化水素類;テトラヒドロフラン(THF)及びジオキサン等の環式エーテル類;メチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン類;トリクロロエタン等のハロゲン化アルカン類;並びにブロモベンゼン及びクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類等が挙げられるが、これらに限定されない。(e)有機溶媒は、それぞれ上記で説明されたような、単一の有機溶媒又は2つ以上の異なる有機溶媒を含む混合物であり得る。
【0059】
ヒドロシリル化反応に適切な任意の標準的な反応装置で反応を行うことができる。適切な反応装置としては、ガラス反応装置及びテフロン(登録商標)加工(Teflon-lined)ガラス反応装置が挙げられる。好ましくは、反応装置は、撹拌等の混合手段を備えている。また、好ましくは、水分の存在しない窒素又はアルゴン等の不活性雰囲気下で反応を行う。
【0060】
有機水素シロキサン、N−アルケニルカルバゾール、アルケニルシラン、ヒドロシリル化触媒及び有機溶媒を、あらゆる順序で組み合わせることができる。典型的には、(d)ヒドロシリル化触媒の導入前に、(a)有機水素ポリシロキサン及び任意の(e)有機溶媒に、(b)N−アルケニルカルバゾール及び(c)アルケニルシランを同時又は任意の順序で連続的に添加する。(e)有機溶媒が存在する場合、(a)、(b)、(c)及び(e)の混合物に(d)ヒドロシリル化触媒を添加する。(e)有機溶媒が存在しない場合、(a)、(b)及び(c)の混合物を、溶解物の形成に十分な温度(例えば、60℃)に加熱し、(d)ヒドロシリル化触媒を溶解物に添加する。
【0061】
反応は、0℃〜140℃、あるいは室温(約23℃)〜140℃の温度で典型的に行う。温度が0℃未満である場合、反応速度は、典型的に、非常に遅い。
【0062】
反応時間は、有機水素ポリシロキサン、N−アルケニルカルバゾール及びアルケニルシランの構造、並びに温度等のいくつかの要因に依存する。反応時間は、典型的に、室温〜140℃の温度で、2〜48時間である。以下の実施例の項に記載の方法を使用する日常的実験によって、最適の反応時間を決定することができる。
【0063】
(a)有機水素ポリシロキサン中のケイ素結合水素原子に対する(b)N−アルケニルカルバゾールのモル比は、典型的に0.8〜1.2、あるいは0.8〜0.95である。(a)有機水素ポリシロキサン中のケイ素結合水素原子に対する(c)アルケニルシランのモル比は、典型的に0.05〜0.25、あるいは0.05〜0.1である。
【0064】
(d)ヒドロシリル化触媒の濃度は、(a)有機水素ポリシロキサンと(b)N−アルケニルカルバゾール及び(c)アルケニルシランとの付加反応を触媒するのに十分な濃度である。典型的には、(d)ヒドロシリル化触媒の濃度は、(a)有機水素ポリシロキサン、(b)N−アルケニルカルバゾール及び(c)アルケニルシランの総重量に基づいて、0.1ppm〜1,000ppmの白金族金属、あるいは1ppm〜500ppmの白金族金属、あるいは5ppm〜150ppmの白金族金属を提供することで十分である。反応速度は、0.1ppm未満の白金族金属で非常に遅い。1,000ppmを超える白金族金属の使用により、反応速度の増加はわずかであり、従って不経済である。
【0065】
(e)有機溶媒の濃度は、反応混合物の総重量に基づいて、典型的に0〜60%(w/w)、あるいは30〜60%(w/w)、あるいは40〜50%(w/w)である。
【0066】
ポリシロキサンの沈殿を生じさせるに十分な量のアルコールを添加した後、反応混合物を濾過してポリシロキサンを得ることによって、反応混合物から第1のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンを取り出すことができる。アルコールは、1〜6個の炭素原子、あるいは1〜3個の炭素原子を典型的に有する。さらに、アルコールは、直鎖、分岐又は環状構造を有し得る。アルコール中のヒドロキシル基を、第1級、第2級又は第3級脂肪族炭素原子に結合させることができる。アルコールの例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、1−ペンタノール及びシクロヘキサノールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
本発明の第2のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンは、少なくとも30mol%の式Iを有する単位、及び式IVを有する単位:
【0068】
【化9】

【0069】
(式中、Rは、脂肪族不飽和を含まないC〜C10のヒドロカルビルであり;Zは加水分解性基であり;mは2〜10の整数であり;pは0、1又は2である)を含む。式(I)及び(IV)において、R、Z及びmは、第1のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンについて上記で定義及び例示したとおりである
【0070】
第2のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンは、少なくとも30mol%、あるいは少なくとも70mol%、あるいは少なくとも90mol%の式(I)を有する単位を含む。上記の式(I)及び(IV)を有する単位に加えて、第2のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンは、30mol%以下、あるいは15mol%以下、あるいは5mol%以下の他のシロキサン単位を含有し得る。他のシロキサン単位の例としては、以下の式:RHSiO2/2及びRSiO2/2を有する単位が挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
第2のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンは、低角度レーザー光散乱検出器を使用するゲル浸透クロマトグラフィによって分子量を計算すると、1,000〜1,000,000、あるいは2,500〜150,000、あるいは10,000〜30,000の数平均分子量を典型的に有する。
【0072】
第2のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンの例としては、以下の平均的な式:
Me(MeO)SiO[Si(Me)(CHCHCHCz)O]Si(OMe)Me、
Me(MeO)SiO[Si(Et)(CHCHCHCz)O]Si(OMe)Me、
Me(MeO)SiO[Si(Ph)(CHCHCHCz)O]Si(OMe)Me、
(AcO)SiO[Si(Me)(CHCHCHCz)O]Si(OAc)
(AcO)SiO[Si(Et)(CHCHCHCz)O]Si(OAc)
(AcO)SiO[Si(Ph)(CHCHCHCz)O]Si(OAc)
(MeO)SiO[Si(Me)(CHCHCHCz)O]Si(OMe)
(MeO)SiO[Si(Et)(CHCHCHCz)O]Si(OMe)、及び
(MeO)SiO[Si(Ph)(CHCHCHCz)O]Si(OMe)
を有するポリシロキサン類が挙げられるが、これらに限定されない。ここで、CzはN−カルバゾリルであり、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、OAcはアセトキシであり、下付きのcは、ポリシロキサンが1,000〜1,000,000の数平均分子量を有するような値を有する。
【0073】
第2のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンは、(d)ヒドロシリル化触媒及び任意に(e)有機溶媒の存在下で、(a’)式Z3−pSiO(RHSiO)SiR3−pを有する有機水素ポリシロキサンと(b)式Cz−(CHm−2−CH=CHを有するN−アルケニルカルバゾールとの反応によって調製することができる。ここで、下付きのaは、有機水素ポリシロキサンが180〜220,00の数平均分子量を有するような値を有し、CzがN−カルバゾリルであり、R、Z、m及びpは第2のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンについて上記で定義及び例示のとおりである。
【0074】
(a’)有機水素ポリシロキサンは、式Z3−pSiO(RHSiO)SiR3−p(式中、R、Z及びpは第2のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンについて上記で定義及び例示のとおりであり、下付きのaは、有機水素ポリシロキサンが180〜220,00、あるいは1,000〜150,000、あるいは1,000〜75,000の数平均分子量を有するような値を有する)を有する。
【0075】
(a’)有機水素ポリシロキサンとして好適に使用される有機水素ポリシロキサン類の例としては、トリメトキシシロキシ末端化ポリ(メチル水素シロキサン)類、ジメトキシメチルシロキシ末端化ポリ(メチル水素シロキサン)類、メトキシジメチルシロキシ末端化ポリ(メチル水素シロキサン)類、トリアセトキシシロキシ末端化ポリ(メチル水素シロキサン)類、ジアセトキシメチルシロキシ末端化ポリ(メチル水素シロキサン)類、アセトキシジメチルシロキシ末端化ポリ(メチル水素シロキサン)類、トリメトキシシロキシ末端化ポリ(エチル水素シロキサン)類、ジメトキシメチルシロキシ末端化ポリ(エチル水素シロキサン)類、メトキシジメチルシロキシ末端化ポリ(エチル水素シロキサン)類、トリアセトキシシロキシ末端化ポリ(エチル水素シロキサン)類、ジアセトキシメチルシロキシ末端化ポリ(エチル水素シロキサン)類、アセトキシジメチルシロキシ末端化ポリ(エチル水素シロキサン)類、トリメトキシシロキシ末端化ポリ(フェニル水素シロキサン)類、ジメトキシメチルシロキシ末端化ポリ(フェニル水素シロキサン)類、メトキシジメチルシロキシ末端化ポリ(フェニル水素シロキサン)類、トリアセトキシシロキシ末端化ポリ(フェニル水素シロキサン)類、ジアセトキシメチルシロキシ末端化ポリ(フェニル水素シロキサン)類、及びアセトキシジメチルシロキシ末端化ポリ(フェニル水素シロキサン)類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
末端に加水分解性基を有する有機水素ポリシロキサンを調製する方法は当該技術分野で既知である。例えば、かかる有機水素ポリシロキサンは、アルコキシ末端化有機水素ポリシロキサンと式XSiR3−p(式中、XはZ又は−OHであり、R、Z及びpは第2のカルバゾリル官能性ポリシロキサンについて上記で定義のとおりである)を有するシランとの反応によって調製することができる。
【0077】
(b)N−アルケニルカルバゾール、(d)ヒドロシリル化触媒、及び(e)有機溶媒は、第1のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンを調製する方法において上記で定義及び例示のとおりである。
【0078】
第2のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンを調製する反応を、(a)有機水素ポリシロキサン中のケイ素結合水素原子に対するN−アルキルカルバゾール(b)のモル比が、典型的に0.7〜1.2、あるいは0.85〜1.1であること以外は、第1のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンの調製について上記した様式で行うことができる。さらに、第2のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンは、第1のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンについて、上記のように反応混合物から取り出すことができる。
【0079】
本発明によるシリコーン組成物は、
(A)(i)30〜99mol%の式Iを有する単位、1〜70mol%の式IIを有する単位、及び式IIIを有する単位:
【0080】
【化10】

【0081】
(式中、Rは脂肪族不飽和を含まないC〜C10のヒドロカルビルであり;Rは−CH−CHR−又は−CH−CHR−Y−であり、ここで、Yは二価の有機基であり、RはR又は−Hであり;RはR、−(CH−Cz、−CH−CHR−SiR3−n又は−CH−CHR−Y−SiR3−nであり、ここで、CzはN−カルバゾリルであり;Zは加水分解性基であり、mは2〜10の整数であり、nは0、1、又は2である)を含む少なくとも1つのカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサン、(ii)少なくとも30mol%の式Iを有する単位、及び式IVを有する単位:
【0082】
【化11】

【0083】
(式中、Rは脂肪族不飽和を含まないC〜C10のヒドロカルビルであり;Zは加水分解性基であり;mは2〜10の整数であり;pは0、1又は2である)を含む少なくとも1つのカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサン、並びに(iii)(i)及び(ii)を含む混合物から選択されるポリシロキサンと、
(B)有機溶媒とを含む。
【0084】
成分(A)(i)及び(A)(ii)は、それぞれ上で記載及び例示の第1のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサン及び第2のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンである。
【0085】
成分(B)は、少なくとも1つの有機溶媒である。有機溶媒の例としては、n−ペンタン、ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン及びドデカン等の飽和脂肪族炭化水素;シクロペンタン及びシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン及びメシチレン等の芳香族炭化水素;テトラヒドロフラン(THF)及びジオキサン等の環状エーテル;メチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン;トリクロロエタン等のハロゲン化アルカン;並びにブロモベンゼン及びクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素が挙げられるが、これらに限定されない。成分(B)は、それぞれ上記に定義される単一の有機溶媒又は2つ以上の異なる有機溶媒を含む混合物であり得る。有機溶媒の濃度は、シリコーン組成物の総重量に基づいて、典型的に70〜99%(w/w)、あるいは85〜99%(w/w)である。
【0086】
シリコーン組成物は、少なくとも1つの縮合触媒をさらに含み得る。縮合触媒は、ケイ素結合ヒドロキシ(シラノール)基の縮合を促進させてSi−O−Si架橋を形成するために典型的に用いられる任意の縮合触媒であり得る。縮合触媒の例としては、ジラウリン酸スズ、スズジオクトエート及びテトラブチルスズ等のスズ(II)化合物及びスズ(IV)化合物;並びにチタンテトラブトキシド等のチタン化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
存在する場合、縮合触媒の濃度は、成分(A)の総重量に基づいて、典型的に0.1〜10%(w/w)、あるいは0.5〜5%(w/w)、あるいは1〜3%(w/w)である。
【0088】
シリコーン組成物が成分(A)(ii)を含み、pが2の値を有するとき、かかる組成物は、RSiZ4−qの式を有する架橋剤を典型的にさらに含む。ここで、RはC〜Cのヒドロカルビル又はハロゲン置換ヒドロカルビルであり、Zは第2のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンについて上記のとおりであり、qは0又は1である。架橋剤の例としては、MeSi(OCH、CHSi(OCHCH、CHSi(OCHCHCH、CHSi[O(CHCH]、CHCHSi(OCHCH、CSi(OCH、CCHSi(OCH、CSi(OCHCH、CH=CHSi(OCH、CH=CHCHSi(OCH、CFCHCHSi(OCH、CHSi(OCHCHOCH、CFCHCHSi(OCHCHOCH、CH=CHSi(OCHCHOCH、CH=CHCHSi(OCHCHOCH、CSi(OCHCHOCH、Si(OCH、Si(OC及びSi(OC等のアルコキシシラン類;CHSi(OCOCH、CHCHSi(OCOCH及びCH=CHSi(OCOCH等のオルガノアセトキシシラン類;CHSi[O−N=C(CH)CHCH]、Si[O−N=C(CH)CHCH]及びCH=CHSi[O−N=C(CH)CHCH]等のオルガノイミノオキシシラン類;CHSi[NHC(=O)CH]及びCSi[NHC(=O)CH]等のオルガノアセトアミドシラン類;CHSi[NH(s−C)]及びCHSi(NHC11等のアミノシラン類;並びにオルガノアミノオキシシラン類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
架橋剤は、それぞれ上記の、単一のシラン又は2つ以上の異なるシランの混合物であり得る。また、三官能性及び四官能性シランを調製する方法は、当該技術分野で既知であり、これらのシランの多くは市販されている。
【0090】
存在する場合、シリコーン組成物中の架橋剤の濃度は、組成物を硬化(架橋)させるのに十分な量である。架橋剤の正確な量は、所望の硬化の程度に依存し、かかる硬化の程度は、第2のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサン中の加水分解性基Zのモル数に対する架橋剤中のケイ素結合加水分解性基のモル数の比が増加するにつれて一般に増加する。典型的には、架橋剤の濃度は、第2のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサン中の加水分解性基1個あたり0.9〜1.0個のケイ素結合加水分解性基を得るのに十分な量である。成分(C)の最適量を、日常的な実験によって容易に決定することができる。
【0091】
本発明のシリコーン組成物は、常温で、記載された比率における成分(A)、(B)及び任意成分の組み合わせによって典型的に調製される。
【0092】
混合は、バッチ又は連続プロセスにおける粉砕(milling)、ブレンド、及び撹拌等の当該技術分野で既知の任意の技術によって行うことができる。成分の粘度及び最終的なシリコーン組成物の粘度によって特定のデバイスが決定される。
【0093】
本発明の硬化カルバゾリル官能性ポリシロキサンは、上記のシリコーン組成物を硬化させることによって調製される。シリコーン組成物は、中温において組成物を水分に曝露することによって硬化させることができる。加熱及び/又は高湿度に曝露することによって硬化を促進することができる。硬化速度は、多数の要因(温度、湿度、カルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンの構造、及び加水分解性基の性質が挙げられる)に依存する。例えば、シリコーン組成物を、約室温(23℃)〜約150℃の温度で、0.5時間〜72時間、約30%の相対湿度に組成物を曝露することによって硬化させることができる。
【0094】
本発明による有機発光ダイオードは、
第1の反対面及び第2の反対面を有する基板と、
前記第1の反対面に積層された第1の電極層と、
前記第1の電極層に積層された発光素子であって、前記発光素子は、
正孔輸送層、及び
電子輸送層
を含み、前記正孔輸送層及び前記電子輸送層は互いに直接的に配置され、前記正孔輸送層及び前記電子輸送層の一方は、
(A)(i)30〜99mol%の式Iを有する単位、1〜70mol%の式IIを有する単位、及び式IIIを有する単位:
【0095】
【化12】

【0096】
(式中、Rは脂肪族不飽和を含まないC〜C10のヒドロカルビルであり;Rは−CH−CHR−又は−CH−CHR−Y−であり、ここで、Yは二価の有機基であり、RはR又は−Hであり;RはR、−(CH−Cz、−CH−CHR−SiR3−n又は−CH−CHR−Y−SiR3−nであり、ここで、CzはN−カルバゾリルであり;Zは加水分解性基であり;mは2〜10の整数であり;nは0、1又は2である)を含む少なくとも1つのカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサン、(ii)少なくとも30mol%の式Iを有する単位、及び式IVを有する単位:
【0097】
【化13】

【0098】
(式中、Rは脂肪族不飽和を含まないC〜C10のヒドロカルビルであり;Zは加水分解性基であり;mは2〜10の整数であり;pは0、1又は2である)を含む少なくとも1つのカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサン、並びに(iii)(i)及び(ii)を含む混合物から選択されるポリシロキサンと、
(B)有機溶媒と
を含むシリコーン組成物を硬化させることによって調製される硬化カルバゾリル官能性ポリシロキサン、並びに
少なくとも50mol%の式Iを有する単位、及び式Vを有する単位:
【0099】
【化14】

【0100】
(式中、Rは脂肪族不飽和を含まないC〜C10のヒドロカルビルであり;mは2〜10の整数であり;RはR又は−(CH−Czであり、ここで、CzはN−カルバゾリルである)を含む少なくとも1つのカルバゾリル官能性ポリシロキサン
から選択されるカルバゾリル官能性ポリシロキサンを含む発光素子と、
前記発光素子に積層された第2の電極層と
を含む。
【0101】
指定した成分に対する第1の電極層、発光素子及び第2の電極層の位置に関して使用される用語「積層」は、図1〜4に示すように、OLEDが第1の電極層の下の基板と共に配置される場合、特定の層が成分上に直接配置されるか、又はその間の1つ以上の中間層と共に成分上に配置されることを意味する。例えば、OLED中の基板の第1の反対面に対する第1の電極層の位置に関して使用される用語「積層」は、第1の電極層が表面上に直接配置されるか、又は1つ以上の中間層によって表面から離れていることを意味する。
【0102】
基板は、2つの反対面を有する剛体又は可撓性の材料であり得る。さらに、基板は、電磁スペクトルの可視領域において光に対して透明又は不透明であり得る。本明細書中で使用される場合、用語「透明」は、特定の成分(例えば、基板又は電極層)が、電磁スペクトルの可視領域(約400〜約700nm)における光に対して少なくとも30%、あるいは少なくとも60%、あるいは少なくとも80%の透過率を有することを意味する。本明細書中で使用される場合、用語「不透明」は、成分が、電磁スペクトルの可視領域における光に対して30%未満の透過率を有することを意味する。
【0103】
基板の例としては、シリコン、二酸化シリコンの表面層を有するシリコン及びガリウムヒ素等の半導体材料;石英;石英ガラス;酸化アルミニウム;セラミックス;ガラス;金属箔;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン及びポリエチレンテレフタレート等のポリオレフィン類;ポリテトラフルオロエチレン及びポリフッ化ビニル等の炭化フッ素ポリマー;ナイロン等のポリアミド類;ポリイミド類;ポリ(メチルメタクリレート)等のポリエステル類;エポキシ樹脂;ポリエーテル類;ポリカーボネート類;ポリスルホン類;並びにポリエーテルスルホン類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0104】
第1の電極層は、OLED中で陽極又は陰極として機能することができる。第1の電極層は、可視光線に対して透明でも不透明でもよい。陽極は、高仕事関数(>4eV)の金属、合金、又は酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物、アルミニウムがドープされた酸化亜鉛等の金属酸化物、ニッケル、並びに金から典型的に選択される。陰極は、Ca、Mg及びAl等の低仕事関数(<4eV)の金属;上記の高仕事関数(>4eV)の金属、合金若しくは金属酸化物;又は低仕事関数の金属と高仕事関数若しくは低仕事関数を有する少なくとも1つの他の金属との合金(例えば、Mg−Al、Ag−Mg、Al−Li、In−Mg及びAl−Ca等)であり得る。OLEDの作製における陽極層及び陰極層の堆積方法(例えば、蒸着、同時蒸着、DCマグネトロンスパッタリング又はRFスパッタリング)は、当該技術分野でよく知られている。
【0105】
発光素子は、下記のように、正孔輸送層及び電子輸送層を含み、ここで、正孔輸送層及び電子輸送層が互いに直接配置され、正孔輸送層及び電子輸送層の一方がカルバゾリル官能性ポリシロキサンを含む。発光素子の方向は、OLED中の陽極及び陰極の相対位置に依存する。正孔輸送層は、陽極と電子輸送層との間に配置され、電子輸送層は、正孔輸送層と陰極との間に配置される。正孔輸送層の厚さは、典型的に20nm〜100nm、あるいは30nm〜50nmである。電子輸送層の厚さは、典型的に20nm〜100nm、あるいは30nm〜50nmである。
【0106】
OLEDのカルバゾリル官能性ポリシロキサンは、第1のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサン、第2のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサン及びそれらの混合物から選択されるポリシロキサン、並びに有機溶媒を含むシリコーン組成物を硬化させることによって調製された硬化カルバゾリル官能性ポリシロキサンであり得る。シリコーン組成物及び組成物の硬化方法は、上記のとおりである。
【0107】
あるいは、OLEDのカルバゾリル官能性ポリシロキサンは、少なくとも50mol%の式(I)を有する単位、及び式Vを有する単位:
【0108】
【化15】

【0109】
(RはR又は−(CH−Czであり、CzはN−カルバゾリルであり、R及びmは、第1のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンについて上記で定義及び例示のとおりである)を含むカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンであり得る。
【0110】
カルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンは、少なくとも50mol%、あるいは少なくとも70mol%、あるいは少なくとも90mol%の式(I)を有する単位を含む。上記の式(I)及び(III)を有する単位に加えて、カルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンは、30mol%以下、あるいは15mol%以下、あるいは5mol%以下の他のシロキサン単位を含み得る。他のシロキサン単位の例としては、以下の式を有する単位:RHSiO2/2、HRSiO1/2及びRSiO2/2が挙げられるが、これらに限定されない。
【0111】
カルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンは、1,000〜1,000,000、あるいは2,500〜150,000、あるいは10,000〜30,000の数平均分子量を典型的に有する。ここで、数平均分子量は、低角度レーザー光散乱検出器を使用するゲル浸透クロマトグラフィによって決定される。
【0112】
カルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサン類の例としては、以下の平均式:MeSiO[Si(Me)(CHCHCHCz)O]SiMe、EtSiO[Si(Me)(CHCHCHCz)O]SiEt、MeSiO[Si(Et)(CHCHCHCz)O]SiMe、EtSiO[Si(Et)(CHCHCHCz)O]SiEt、MeSiO[Si(Ph)(CHCHCHCz)O]SiMe、EtSiO[Si(Ph)(CHCHCHCz)O]SiEt及びPhMeSiO[Si(Me)(CHCHCHCz)O]SiMePhを有するポリシロキサン類が挙げられるが、これらに限定されない。ここで、CzはN−カルバゾリルであり、Meはメチルであり、Etはエチルであり、Phはフェニルであり、下付きのcは、ポリシロキサンが1,000〜1,000,000の数平均分子量を有するような値を有する。
【0113】
カルバゾリル官能性ポリシロキサンは、(d)ヒドロシリル化触媒及び任意に(e)有機溶媒の存在下で、(a)式RSiO(RHSiO)SiRを有する有機水素ポリシロキサンと(b)式Cz−(CHm−2−CH=CHを有するN−アルケニルカルバゾールとの反応によって調製することができる。ここで、(a)有機水素ポリシロキサン、並びに成分(b)、(d)及び(e)は、第1のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンの調製方法において上に記載及び例示のとおりである。
【0114】
カルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンを調製する反応は、(a)有機水素ポリシロキサン中のケイ素結合水素原子に対する(b)N−アルケニルカルバゾールのモル比が、典型的に0.7〜1.2、あるいは0.85〜1.1であること以外は、第1のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンの調製について上記した様式で行うことができる。さらに、カルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンは、第1のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンについて上記したように、反応混合物から取り出すことができる。
【0115】
硬化カルバゾリル官能性ポリシロキサン及びカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンを調製するために使用されるシリコーン組成物は、OLEDの構成に依存して、スピンコーティング、ディッッピング、噴霧、ブラッシング、及び印刷等の従来の方法を使用して、第1の電極層、正孔輸送層又は電子輸送層に適用することができる。また、有機溶媒が本発明のシリコーン組成物について上記のとおりである場合には、カルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンは、適用前に有機溶媒に溶解させることもできる。
【0116】
正孔輸送層がカルバゾリル官能性ポリシロキサンである場合、電子輸送層は、OLEDデバイスにおいて電子輸送材料、電子注入/電子輸送材料又は発光材料として典型的に使用される任意の低分子量の有機化合物又は有機ポリマーであり得る。米国特許第5,952,778号;同第4,539,507号;同第4,356,429号;同第4,769,292号;同第6,048,573号;及び同第5,969,474に例示されるように、電子輸送層としての使用に適切な低分子量の有機化合物は、当該技術分野でよく知られている。低分子量の化合物の例としては、アントラセン、ナフタレン、フェナントレン、ピレン、クリセン及びペリレン等の芳香族化合物;1,4−ジフェニルブタジエン及びテトラフェニルブタジエン等のブタジエン類;クマリン類;アクリジン;トランス−スチルベン等のスチルベン類;並びにトリス(8−ヒドロキシキノラト)アルブミン(III)(Alq)等のキレート化オキシノイド化合物が挙げられるが、これらに限定されない。これらの低分子量の有機化合物は、真空蒸着及び昇華等の標準的な薄膜調製技術によって蒸着させることができる。
【0117】
電子輸送層として適切に使用される有機ポリマーは当該技術分野でよく知られており、米国特許第5,952,778号、同第5,247,190号、同第5,807,627号、同第6,048,573号及び同第6,255,774号に例示される。有機ポリマーの例としては、ポリ(1,4−フェニレンビニレン)等のポリ(フェニレンビニレン)類;ポリ(2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン)(MEHPPV)、ポリ(2−メトキシ−5−(2−メチルペンチルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン)、ポリ(2−メトキシ−5−ペンチルオキシ−1,4−フェニレンビニレン)及びポリ(2−メトキシ−5−ドデシルオキシ−1,4−フェニレンビニレン)等のポリ−(2,5−ジアルコキシ−1,4フェニレンビニレン)類;ポリ(2,5−ジアルキル−1,4フェニレンビニレン)類;ポリ(フェニレン);ポリ(2,5−ジアルキル−1,4フェニレン)類;ポリ(p−フェニレン);ポリ(3−アルキルチオフェン)類等のポリ(チオフェン)類;ポリ(3−ドデシルチエニレン)等のポリ(アルキルチエニレン)類;ポリ(9,9−フッ化ジアルキル)類等のポリ(フルオレン)類;並びにポリアニリン類が挙げられるが、これらに限定されない。かかる有機ポリマーは、スピンコーティング、ディッピング、噴霧、ブラッシング法及び印刷(例えば、ステンシル印刷及びスクリーン印刷)等の従来の溶媒塗布技術により適用することができる。
【0118】
電子輸送層がカルバゾリル官能性ポリシロキサンである場合、正孔輸送層は、OLEDデバイスにおいて正孔輸送材料、正孔注入材料又は正孔注入/正孔輸送材料として典型的に使用される任意の有機化合物であり得る。米国特許第4,720,432号;同第5,593,788号;同第5,969,474号;同第4,539,507号;同第6,048,573号;及び同第4,888,211号に例示されるように、正孔輸送層としての使用に適切な有機化合物は、当該技術分野でよく知られている。有機化合物の例としては、モノアリールアミン類、ジアリールアミン類、トリアリールアミン類及びテトラアリールジアミン類等の芳香族第三級アミン類;ヒドラゾン類;カルバゾール類;トリアゾール類;イミダゾール類;アミノ基を有するオキサジアゾール類;Baytron(登録商標)Pの商品名でH. C. Starck Inc.から市販されているポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホネート)等のポリチオフェン類;並びにフタロシアニン類及び金属含有フタロシアニン類等のポルフィリン(porhyrinic)化合物が挙げられるが、これらに限定されない。かかる有機化合物は、真空蒸着及び昇華等の従来の薄膜調製技術によって適用することができる。
【0119】
発光素子における発光層中の電子輸送層又は正孔輸送層は、蛍光色素をさらに含み得る。米国特許第4,769,292号に例示のように、OLEDデバイスにおける使用に適切な蛍光色素は当該技術分野で既知である。蛍光色素の例としては、クマリン類;4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)4H−ピラン等のジシアノメチレンピラン類;ジシアノメチレンチオピラン類;ポリメチン;オキサベンズアントラセン;キサンテン;ピリリウム及びチアピリリルム;カボスチリル;並びにペリレン蛍光色素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0120】
第2の電極層は、OLEDにおける陽極又は陰極のいずれかとして機能することができる。第2の電極層は、可視領域において光に対して透明又は不透明であり得る。陽極材料及び陰極材料、並びにそれらの形成方法の例としては、第1の電極層について上記したとおりである。
【0121】
本発明のOLEDは、陽極と正孔輸送層との間に配置された正孔注入層、及び/又は陰極と電子輸送層との間に配置された電子注入層をさらに含み得る。正孔注入層は、5nm〜20nm、あるいは7nm〜10nmの厚さを典型的に有する。正孔注入層としての使用に適切な材料の例としては、銅フタロシアニンが挙げられるが、これに限定されない。電子注入層は、0.5nm〜5nm、あるいは1nm〜3nmの厚さを典型的に有する。電子注入層としての使用に適切な材料の例としては、フッ化リチウム及びフッ化セシウム等のアルカリ金属フッ化物;並びに酢酸リチウム及び酢酸セシウム等のカルボン酸のアルカリ金属塩が挙げられるが、これらに限定されない。正孔注入層及び正孔注入層は、従来の技術(熱蒸着)によって形成することができる。
【0122】
図1に示すように、本発明のOLEDの第1の実施形態は、第1の反対面100A及び第2の反対面100Bを有する基板100と、前記第1の反対面100A上の第1の電極層102であって、陽極である第1の電極層102と、前記第1の電極層102に積層された発光素子104であって、正孔輸送層106及び前記正孔輸送層106上に直接配置された電子輸送層108を含み、前記正孔輸送層106がカルバゾリル官能性ポリシロキサンを含む発光素子104と、前記発光素子104に積層された第2の電極層110であって、陰極である第2の電極層110とを含む。
【0123】
図2に示すように、本発明のOLEDの第2の実施形態は、第1の反対面200A及び第2の反対面200Bを有する基板200と、前記第1の反対面200A上の第1の電極層202であって、陽極である第1の電極層202と、前記第1の電極層202に積層された発光素子204であって、正孔輸送層206及び前記正孔輸送層206上に直接配置された電子輸送層208を含み、前記電子輸送層208がカルバゾリル官能性ポリシロキサンを含む発光素子204と、前記発光素子204に積層された第2の電極層210であって、陰極である第2の電極層210とを含む。
【0124】
図3に示すように、本発明のOLEDの第3の実施形態は、第1の反対面300A及び第2の反対面300Bを有する基板300と、前記第1の反対面300A上の第1の電極層302であって、陰極である第1の電極層302と、前記第1の電極層302に積層された発光素子304であって、電子輸送層308及び前記電子輸送層308上に直接配置された正孔輸送層306を含み、前記正孔輸送層306がカルバゾリル官能性ポリシロキサンを含む発光素子304と、前記発光素子304に積層された第2の電極層310であって、陽極である第2の電極層310とを含む。
【0125】
図4に示すように、本発明のOLEDの第4の実施形態は、第1の反対面400A及び第2の反対面400Bを有する基板400と、前記第1の反対面400A上の第1の電極層402であって、陰極である第1の電極層402と、前記第1の電極層402に積層された発光素子404であって、電子輸送層408及び前記電子輸送層408上に直接配置された正孔輸送層406を含み、前記電子輸送層408がカルバゾリル官能性ポリシロキサンを含む発光素子404と、前記発光素子404に積層された第2の電極層410であって、陽極である第2の電極層410とを含む。
【0126】
本発明のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンは、印加電圧に供した場合に発光するエレクトロルミネセンスを示す。さらに、直鎖ポリシロキサンは加水分解性基を含有し、硬化させて耐久性架橋ポリシロキサン類を生成することができる。また、直鎖ポリシロキサン類は、エレクトロルミネセンス効率を増大させて硬化ポリシロキサン類のカラー出力を調節するために、少量の蛍光色素をドープすることができる。
【0127】
本発明のシリコーン組成物を、組成物の一部(one-part composition)として都合良く配合することができる。さらに、シリコーン組成物は、水分の非存在下で良好な保存安定性を有する。重要なことに、組成物は、スピンコーティング、印刷及び噴霧等の従来の高速法によって基板に適用することができる。また、シリコーン組成物は、穏やかな温度から中程度の温度で、水分に曝露することによって容易に硬化させることができる。
【0128】
本発明のシリコーン組成物を硬化させることによって調製された硬化カルバゾリル官能性ポリシロキサンは、エレクトロルミネセンスを示す。さらに、硬化ポリシロキサンは、下塗剤無しに、種々の基板に対する良好な接着性を示す。また、硬化ポリシロキサンは、優れた耐久性、耐薬品性、及び低温での可撓性を示す。さらに、硬化ポリシロキサンは、高い透明性(電磁スペクトルの可視領域において100nmの厚さで、典型的に少なくも95%の透過率)を示す。重要なことに、ポリシロキサンは、OLEDデバイスにおける電極層及び発光層に悪影響を及ぼす酸性又は塩基性の成分を実質的に含まない。
【0129】
本発明のOLEDは、磨耗、有機溶媒、水分及び酸素に対して良好な耐性を示す。さらに、OLEDは、高い量子効率及び光安定性を示す。
【0130】
OLEDは、個別の発光デバイスとして、又は発光アレイ若しくはディスプレイ(例えば、フラットパネルディスプレイ等)の能動素子として有用である。OLEDディスプレイは、腕時計、電話、ラップトップコンピュータ、ポケットベル、携帯電話、デジタルビデオカメラ、DVDプレイヤー及び計算機等の多数のデバイスに有用である。
【実施例】
【0131】
以下の実施例は、本発明のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサン、シリコーン組成物及びOLEDをより良好に例示するために示すが、本発明を制限すると解釈されず、本発明は添付の特許請求の範囲に制限される。他で示さない限り、実施例で報告した全ての部及び比率は重量に対する値である。以下の方法及び材料を実施例で使用した。
【0132】
(赤外線スペクトル)
カルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサン類の赤外線スペクトルは、Perkin Elmer Instrumentsの1600FT−IR分光計で記録した。ポリシロキサンを含有する反応混合物のアリコートを、THF又はトルエンに溶解して、約10%の濃度にした。溶液の液滴を、NaClの窓(window)に適用し、乾燥窒素流下で溶媒を蒸発させてポリシロキサンの薄膜を形成させた。
【0133】
(NMRスペクトル)
カルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンの核磁気共鳴スペクトル(13C NMR、29Si NMR)は、Varian Mercury 400MHz NMR分光計を使用して得た。0.5oz(14.17g)のガラスバイアル中で、ポリシラン(0.5〜1.0g)を、2.5〜3mLのクロロホルム−dに溶解した。溶液をTeflon NMRチューブに移し、クロロホルム−dのCr(acac)溶液(0.04M)3〜4mLをチューブに加えた。本実施例で報告した化学シフト値(δ)は、13C NMRスペクトルにおけるCDCl及び29Si NMRスペクトルにおけるテトラメチルシランと比較して測定された100万分の1の単位(ppm)である。
【0134】
(熱安定性)
カルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンの熱安定性は、TA Instrumentsの自動TGA 2950HR分析器を使用する熱重量分析(TGA)によって測定した。ポリシロキサンサンプルを、大気又はヘリウム中、10℃/分で0℃から1,000℃まで加熱し、得られたポリシロキサンの質量損失をサーモグラムから求めた。質量損失が10%を超える温度をポリシロキサンの分解温度と見なした。
【0135】
(膜厚)
カルバゾリル官能性ポリシロキサン膜及びポリマー膜の厚さは、KLA−Tencor AS−500表面段差計(surface profiler)を使用して測定した。測定前に、膜の一部分(幅2〜3mm及び長さ4〜5mm)を除去し、基板を曝露させた。基板のコーティング表面と非コーティング表面との間の段差において膜厚を測定した。ミクロン(μm)単位によって示される報告された厚さの値は、同一基板の異なる領域で行った3つの測定値の平均を表す。
【0136】
(屈折率)
シリコンウエハー上のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサン膜の屈折率は、J.A.Woollam VVASE偏光解析器を使用して測定した。ポリシロキサンの無水トルエン溶液(1.25%w/w)(0.5mL未満)をシリンジフィルター(0.1μm)に通し、シリコンウエハー(10.2cm)上に堆積させ、CHEMAT Technology KW−4Aスピンコーター(3,000rpm、20秒間)を使用して薄膜にキャスティング(cast)した。屈折率は、589nmの波長を有する光について23℃で測定した。
【0137】
(透過率)
ガラス基板上のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサン膜の紫外−可視吸収スペクトル(250〜800nm)は、Optical SolutionsのPS−2ポータブルダイオードアレイ分光光度計システムを使用して測定した。カルバゾリル官能性ポリシロキサンのトルエン溶液(3%)をシリンジフィルター(0.1μm)に通し、ガラススライド(25mm×25mm)上に堆積させ、CHEMAT Technology Model KW−4Aスピンコーター(3,000rpm、20秒間)を使用して薄膜にキャスティングした。スペクトル曲線からポリシロキサン膜の透過率を求めた。
【0138】
(光ルミネセンススペクトル)
トルエン中のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサン(0.1%)の光ルミネセンス励起スペクトル及び発光スペクトルは、キセノンランプを備えたSPEX 1681 Fluorolog II単格子分光蛍光光度計を使用して測定した。励起スペクトルは、370nmの発光波長で集た。発光スペクトルは、340nmの励起波長で収集した。これらのスペクトルから、ポリシロキサンについて極大発光波長(λmax,em)及び極大励起波長(λmax,ex)を求めた。
【0139】
(耐溶剤性)
硬化カルバゾリル官能性ポリシロキサン膜の耐溶剤性は、膜でコーティングされた基板をTHFに2分間浸漬することによって測定した。THFへの浸漬前後における膜の質(例えば、膨張、粘着)及び膜厚の比較によって耐溶剤性を求めた。
【0140】
(ITO−コーティングガラス基板の洗浄方法)
10Ω/□の表面抵抗を有するITOコーティングガラススライド(Thin Film Technology, Inc.、カリフォルニア州、ブエルトン)を、25mm四方の基板に切断した。1%のAlconox粉末クリーナー(Alconox, Inc.)から成る水溶液を含有する超音波浴中に10分間、基板を浸漬した後、脱イオン水でリンスした。次いで、以下の各溶媒:イソプロピルアルコール、n−ヘキサン及びトルエン中に、超音波撹拌しながら10分間、基板を連続的に浸漬させた。次いで、乾燥窒素流下でガラス基板を乾燥させた。
【0141】
(OLEDにおけるポリシロキサン膜の形成)
OLEDにおけるカルバゾリル官能性ポリシロキサン膜は、所望の層上へのポリシロキサン溶液の堆積、及びCHEMAT Technology Model KW−4Aスピン−コーターを使用して3,000rpmの速度で20秒間操作する薄膜へのキャスティングによって形成させた。
【0142】
(OLEDにおける有機膜及びSiOの堆積)
低分子量有機化合物(例えば、銅フタロシアニン及びAlq)及び一酸化ケイ素(SiO)から調製される有機膜は、クリスタルバランス膜厚モニター(crystal balance film thickness monitor)を備えたBOC Edwardsの自動306高真空蒸着システムを使用する熱蒸着によって堆積させた。供給源上に配置された回転サンプルホルダーに基板を置き、適切なマスクで覆った。供給源は、有機化合物又はSiOのサンプルを酸化アルミニウム坩堝に入れることによって準備した。次いで、タングステンワイヤースパイラル(tungsten wire spiral)に坩堝を配置した。真空チャンバーを、2.0×10−6mbarに減圧した。基板は、この圧力で少なくとも30分間脱気された。サンプルホルダーを回転させながら、タングステンフィラメントを介して供給源を加熱することによって有機膜又はSiO膜を堆積させた。堆積プロセスの間、膜の堆積速度(0.1〜0.3nm/秒)及び厚さをモニタリングした。
【0143】
ポリマー(例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホネート))から調製される有機膜を、所望の層上へのポリマー溶液の蒸着、及びCHEMAT Technology Model KW−4Aスピン−コーターを使用して3,000rpmの速度で20秒間操作する薄膜へのキャスティングによって形成させた。
【0144】
(OLEDにおける金属膜の堆積)
金属及び合金膜(例えば、Ca、Al及びLiF)は、クリスタルバランス膜厚モニターを備えたBOC EdwardsのモデルE306Aコーティングシステムを使用する、10−6mbarの初期真空下での熱蒸着によって堆積させた。供給源は、金属を酸化アルミニウム坩堝に入れてタングステンワイヤースパイラル中に坩堝を置くか、又はタングステンバスケット中に金属を直接置くことによって準備した。異なる金属の複数の層が必要な場合、適切な供給源を、各金属の堆積のために回転させることができるタレット(turret)に入れた。堆積プロセスの間、膜の堆積速度(0.1〜0.3nm/秒)及び厚さをモニタリングした。
【0145】
(ターンオン電圧、輝度及び相対的効率)
乾燥窒素ラインに接続された黒色プラスチックボックスを使用してサンプルチャンバーを構築した。ボックス中のサンプルホルダーは、ガラス基板上のOLED電極の相対位置に適合する5つの金属接続ピンを有していた。これらの金属ピンを、Keithley 2400供給源メーターに接続し、これを介して所定の電圧(0.5V)が印加され、電流を測定した。OLEDの前に、光ダイオード検出器をOLEDと一直線上に配置した。光ダイオードによって発生したシグナルを測定するInternational Light IL 1700放射計に光ダイオードを接続した。輝度及び相対的効率をそれぞれ、14V及び500cd/cmで測定した。
【0146】
(OLEDのエレクトロルミネセンススペクトル)
OLEDのエレクトロルミネセンススペクトルは、Fluorlog II 単格子分光蛍光光度計を使用して測定した。分光蛍光光度計のサンプルチャンバーの中央にOLEDを固定し、測定の間、励振源を黒色パネルで覆った。供給源メーターを使用してOLEDに電圧を印加し、分光蛍光光度計を使用してOLEDからの放射光のスペクトルを記録した。波長に対する強度のプロットから、OLEDについての極大強度での発光波長(λmax)及び極大強度での半値幅(PW50)を測定した。
【0147】
(実施例1:ポリ[3−(N−カルバゾリル)プロピルメチルシロキサン]の調製)
N−アリルカルバゾール(11.40g、0.055mol)と、0.05molのケイ素結合水素原子を得るのに十分な量の、115の重合度(dp)を有するトリメチルシロキシ末端化ポリ(メチル水素シロキサン)と、10gの無水トルエンとを、電磁撹拌機、窒素注入口及び温度計を備えた乾燥フラスコ中で混合した。1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン62%及び1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの白金(IV)錯体38%から成る溶液を、10ppmの白金濃度を得るのに十分な量で混合物に加えた。フラスコを60℃で油浴に入れ、FTIR分析用の混合物のアリコートを定期的に採取することによって反応の進行をモニタリングした。2,100〜2,200cm−1でのSi−H吸収がもはや明らかでなくなった場合に、フラスコの脱気(venting)、窒素による系の連続的パージング、及び110〜140℃での混合物の加熱によって溶媒を除去した。
【0148】
粗生成物を最少量の無水トルエン中に溶解し、高純度メタノールの添加によってカルバゾリル官能性ポリシロキサンを沈殿させた。溶解/沈殿プロセスを3回繰り返した。最終的な沈殿物を、エレクトロニクス用のヘキサンで1回抽出した。溶解物が形成されるまで、アルゴン下、真空オーブン中において140〜150℃で沈殿物を加熱した。加熱は、真空下(約133pa)、140〜150℃で2時間継続させた。透明な固体として表題の化合物が得られた。
【0149】
生成物の13C NMRスペクトルは、Si−CH−CH基に対応する22.3ppm及び14.6ppmでシグナルを示す。29Si NMRスペクトルによって、ポリ(メチル水素シロキサン)において−36ppmで認められるSi−H基の非存在が確認された。TGAの結果は、ポリシロキサンが、大気中で380℃及びヘリウム中で420℃の分解温度を有することを示す。カルバゾリル官能性ポリシロキサン及びポリシロキサンから調製した薄膜の光学的特性を表1に示す。
【0150】
(実施例2:ポリ[3−(N−カルバゾリル)プロピルエチルシロキサン]の調製)
かかるポリ(メチル水素シロキサン)を、25℃で75〜125cStの粘度を有するトリメチルシロキシ末端化ポリ(エチル水素シロキサン)に変え、溶媒を除去する前に反応混合物を60℃で2時間加熱したこと以外は、実施例1の方法を使用して表題の化合物を調製した。混合物のIRスペクトルは2141cm−1で弱い吸収を示し、これはポリシロキサン生成物中における1〜5mol%の残存Si−H基の存在を示す。
【0151】
生成物の13C NMRスペクトルは、Si−CH−CH基に対応する22.3ppm及び14.6ppmでシグナルを示す。29Si NMRは、−36.3ppmに弱いシグナルを示し、残存Si−H基の存在が確認された。TGAの結果は、ポリシロキサンが、大気中で380℃及びヘリウム中で420℃の分解温度を有することを示す。カルバゾリル官能性ポリシロキサン及びポリシロキサンから調製した薄膜の光学的特性を表1に示す。
【0152】
【表1】

【0153】
(実施例3:ポリ{[3−(N−カルバゾリル)プロピルエチルシロキサン]−コ−[2−(トリメトキシシリルプロピルオキシカルボニル)−2−メチルエチルシロキサン]}の調製)
N−アリルカルバゾール(4.92g、0.024mol)、115のdpを有するトリメチルシロキシ末端化ポリ(メチル水素シロキサン)1.5g、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン0.3g(1.2mmol)、及び無水トルエン6gを、窒素下、フラスコ中で混合した。十分に(thorough)混合した後、2−プロパノール中1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン0.31%及び1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの白金(IV)錯体0.19%から成る溶液0.06gを、シリンジを使用して混合物に加えた。フラスコを80℃で油浴に4時間入れた。3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(0.3g、1.2mmol)の第2の部分を混合物に加えた。混合物を80℃でさらに2時間加熱後、1.0g(4.8mmol)のN−アリルカルバゾールを混合物に加えた。フラスコの脱気、窒素による系の連続的パージング、及び110〜140℃での混合物の加熱によって溶媒を除去した。
【0154】
エレクトロニクス用のヘキサン(20mL)をフラスコに加えて、いくらかの未反応N−アリルカルバゾールを抽出した。最少量の無水トルエン中に粗生成物を溶解し、20mLのメタノールを加えることによってカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサンを沈殿させた。溶解/沈殿プロセスを3回繰り返した。残りの固体を約11mLの無水トルエンに溶解して固体含有率が41.6%の濃縮原液を得た。
【0155】
(実施例4:ポリ[3−(N−カルバゾリル)プロピルエチルシロキサン−コ−(メチルジアセトキシシリル)エチルエチルシロキサン]の調製)
N−アリルカルバゾール(9.33g、0.045mole)と、ジアセトキシメチルビニルシラン(0.94g、0.005mole)と、0.05molのケイ素結合水素原子を得るのに十分な量の、25℃にて75〜125cStの粘度を有するトリメチルシロキシ末端化ポリ(エチル水素シロキサン)と、無水トルエン10gとを、電磁撹拌機、窒素注入口及び温度計を備えた乾燥フラスコ中で混合した。1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン62%及び1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの白金(IV)錯体38%から成る溶液を、10ppmの白金濃度を得るのに十分な量で混合物に加えた。フラスコを60℃で油浴に入れ、FTIR分析用の混合物のアリコートを定期的に採取することによって反応の進行をモニタリングした。2,100〜2,200cm−1でのSi−H吸収の強度が一定のままとなった場合、2.07g(0.01mmol)のN−アリルカルバゾールを混合物に加えた後、60℃でさらに1時間加熱した。Si−H吸収強度に変化がない場合、フラスコの脱気、窒素による系の連続的パージング、及び110℃での混合物の加熱によって溶媒を除去した。粗生成物を、実施例3の溶解/沈殿手順に供した。残りの固体を無水トルエンに溶解して固体含有率50%の原液を生成させた。
【0156】
(実施例5:ポリ[3−(N−カルバゾリル)プロピルエチルシロキサン−コ−(トリアセトキシシリル)エチルエチルシロキサン]の調製)
ジアセトキシメチルビニルシランを1.16g(0.005mole)のトリアセトキシビニルシランに変えたこと以外は実施例4の方法を使用して表題の化合物を調製した。固体生成物を無水トルエンに溶解して固体含有率5%の原液を生成させた。
【0157】
(実施例6:硬化ポリ[3−(N−カルバゾリル)プロピルエチルシロキサン−コ−(メチルジアセトキシシリル)エチルエチルシロキサン]の薄膜)
トルエン中ポリ[3−(N−カルバゾリル)プロピルエチルシロキサン−コ−(メチルジアセトキシシリル)エチルエチルシロキサン]1.5%から成る溶液の1滴を、シリコンウエハーの研磨面に適用した。窒素下で溶媒を蒸着させて13μmの厚さを有する膜を生成させた。膜(ウエハー上)のFTIRスペクトルは、カルボニル吸収(1,720cm−1)を示した。膜をオーブンにて100℃で42時間加熱した後、150℃で23時間加熱した。その後、カルボニル吸収に対応する吸収はFTIRスペクトルで認められなかった。硬化前後における膜厚の比較によって、8%の収縮が示された。膜はTHFに対して良好な耐性を示し、2分間の溶媒への浸漬後に、浸食(膜厚の低下、膨張又は剥離)は認められなかった。
【0158】
(実施例7:ポリ[3−(N−カルバゾリル)プロピルエチルシロキサン−コ−(トリアセトキシシリル)エチルエチルシロキサン]の薄膜)
1.5部のポリ[3−(N−カルバゾリル)プロピルメチルシロキサン−コ−(トリアセトキシシリル)エチルエチルシロキサン]を98.5部の無水トルエンに溶解させることよってシリコーンベース組成物を調製した。かかるベース組成物の各サンプルと0.0015%の触媒濃度を達成するための以下の3つの触媒(水酸化テトラメチルアンモニウム、スズ(II)ジオクトエート、チタン(IV)イソプロポキシド)のうちの1つとの組み合わせによって、3つのさらなる組成物を調製した。各組成物を予備洗浄したガラス基板上に蒸着させ、3,000prmで20秒間、スピンコーティングすることによって膜にキャスティングした。次いで、密封(真空)オーブンにおいて150℃で2時間、蒸気(900g水/cm)に膜を曝露した後、同温度で、周囲空気において2時間加熱した。スズ及びチタン触媒を含有する組成物から調製した膜は、2分間のTHFへの浸漬後において浸食(膜厚の低下、膨張又は剥離)は認められなかった。スズ及びチタン触媒を含有する組成物から調製した膜は、良好なTHF耐性を示し、2分間の溶媒への浸漬後において浸食(膜厚の低下、膨張又は剥離)は認められなかった。ベース組成物及び水酸化テトラメチルアンモニウムを含有する組成物から調製した膜は、THFによって基板から完全に除去された。
【0159】
(実施例8)
4つのOLED(以下の図5を参照のこと)を以下のようにして製造した。一酸化ケイ素(100nm)を、方形開口(6mm×25mm)を有するマスクを介して、予備洗浄したITOコーティングガラス基板(25mm×25mm)の第1の端に沿って熱蒸着させた。3M Scotchブランドのテープ(5mm×25mm)の細片を、SiO蒸着に対して垂直方向の基板の第2の端に沿って適用した。銅フタロシアニンを、マスクを介してITO表面に熱蒸着させて、正孔注入層(10nm)を形成させた。トルエン中ポリ[3−[N−カルバゾリル)−プロピルメチルシロキサン]1.5%から成る溶液を、正孔注入層上にスピンコーティングして、40nmの厚さを有する正孔輸送層を形成させた。複合体を、オーブンにおいて、窒素下、80℃で30分間加熱した後、室温に冷却した。エレクトロニクス用のメチルイソブチルケトン中、ポリ[{9,9−ジヘキシル−2,7−ビス(l−シアノビニレン)フルオレニレン}−アルト−コ−{2,5−ビス(N,N−ジフェニルアミノ)−1,4−フェニレン}](American Dye Sources, Inc.、カナダ、ケベック州)2%から成る溶液を、正孔輸送層上にスピンコーティングして50nmの厚さを有する電子輸送層を形成させた。複合体をオーブンにおいて、窒素下、80℃で30分間再度加熱した後、室温に冷却した。陽極(ITO)を曝露するためにテープの細片を基板から除去し、マスクを介して電子輸送層上にフッ化リチウムを熱蒸着させて電子注入層(1nm)を形成させた。電子注入層上へのカルシウムの蒸着(50nm)及び4つの方形開口(3mm×16mm)を有するマスクを介したSiO蒸着、その後のカルシウム上へのマスクを介したアルミニウムの蒸着(100nm)によって、4つの陰極を形成させた。各OLEDの電気的及び光学的特性を表2に示す。
【0160】
(実施例9)
4つのOLEDを、正孔輸送層及び電子輸送層を以下のようにして形成させたこと以外は実施例8に記載のようにして製造した。エレクトロニクス用トルエン中、実施例3のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサン1.5%及びデュポン(デラウェア州ウィルミントン)から商品名TYZOR DCとして市販されているチタンジイソプロポキシドビス(エチルアセトアセテート)0.004%から成るシリコーン組成物を、正孔注入層上にスピンコーティングしてポリシロキサン膜を形成させた。膜を常温及び湿度下で2時間静置した後、オーブンにおいて、140℃で30分間加熱して40nmの厚さを有する正孔輸送層を形成させた。トリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(III)(Alq)を、正孔輸送層上に熱蒸着させて電子輸送層(30nm)を形成させた。各OLEDの電気的及び光学的特性を表2に示す。
【0161】
(実施例10)
4つのOLED(以下の図6を参照のこと)を、正孔注入層を省略し、正孔輸送層、電子輸送層及び陰極を以下のようにして形成させたこと以外は実施例8に記載のようにして製造した。水中、H.C. Starck Inc.から商品名Baytron(登録商標)Pとして市販されているポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホネート)(以下のようにPEOT:PSSと略す)1.3%から成る水溶液を、ITO表面上にスピンコーティングして50nmの厚さを有する正孔輸送層を形成させた。複合体を、オーブンにおいて、窒素下、70℃で60分間加熱した後、室温に冷却した。トルエン中ポリ[3−[N−カルバゾリル)プロピルエチルシロキサン]1.5%から成る溶液を、正孔輸送層上にスピンコーティングして40nmの厚さを有する電子輸送層を形成させた。複合体を、オーブンにおいて、窒素下、80℃で30分間加熱した。電子注入層上へのアルミニウムの蒸着(100nm)及び4つの方形開口(3mm×16mm)を有するマスクを介したSiO蒸着によって4つの陰極を形成させた。各OLEDの電気的及び光学的特性を表2に示す。
【0162】
(実施例11)
4つのOLEDを、正孔注入層を省略し、正孔輸送層、電子輸送層及び陰極を以下のようにして形成させたこと以外は実施例8に記載のようにして製造した。トルエン中、ポリ[3−[N−カルバゾリル)プロピルエチルシロキサン]1.5%及びルブレン(5,6,11,12−テトラフェニルナフタセン)0.1%から成る溶液を、ITO表面上にスピンコーティングして40nmの厚さを有する正孔輸送層を形成させた。複合体を、オーブンにおいて、窒素下、80℃で30分間加熱した。トリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(III)(Alq)を、正孔輸送層上に熱蒸着させて電子輸送層(30nm)を形成させた。電子注入層上へのアルミニウムの蒸着(100nm)及び4つの方形開口(3mm×16mm)を有するマスクを介したSiO蒸着によって4つの陰極を形成させた。各OLEDの電気的及び光学的特性を表2に示す。
【0163】
(実施例12)
4つのOLEDを、正孔輸送層を以下のようにして形成させたこと以外は実施例8に記載のようにして製造した。トルエン中、ポリ[3−[N−カルバゾリル)プロピルエチルシロキサン]1.25%、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)4H−ピラン(Fisher Scientific/Acros Organics)0.055%、及び1,4−ビス(4−メチル−5−フェニルオキサゾール−2−イル)ベンゼン(Aldrich、ウィスコンシン州ミルウォーキー)0.075%から成る溶液を、正孔注入層上にスピンコーティングして40nmの厚さを有する正孔輸送層を形成させた。各OLEDの電気的及び光学的特性を表2に示す。
【0164】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】本発明のOLEDの第1の実施形態の断面図を示す。
【図2】本発明のOLEDの第2の実施形態の断面図を示す。
【図3】本発明のOLEDの第3の実施形態の断面図を示す。
【図4】本発明のOLEDの第4の実施形態の断面図を示す。
【図5】実施例8におけるOLEDの概観及び断面図を示す。
【図6】実施例10におけるOLEDの断面図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
30〜99mol%の式Iを有する単位、1〜70mol%の式IIを有する単位、及び式IIIを有する単位:
【化1】

(式中、Rは脂肪族不飽和を含まないC〜C10のヒドロカルビルであり;Rは−CH−CHR−又は−CH−CHR−Y−であり、ここで、Yは二価の有機基であり、RはR又は−Hであり;RはR、−(CH−Cz、−CH−CHR−SiR3−n又は−CH−CHR−Y−SiR3−nであり、ここで、CzはN−カルバゾリルであり;Zは加水分解性基であり;mは2〜10の整数であり;nは0、1又は2である)を含むカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサン。
【請求項2】
前記ポリシロキサンは、75〜99mol%の式(I)を有する単位及び5〜50mol%の式(II)を有する単位を含む請求項1に記載のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサン。
【請求項3】
前記ポリシロキサンは、RHSiO2/2、HRSiO1/2、RSiO2/2及びこれらの組み合わせから選択される式(式中、Rは脂肪族不飽和を含まないC〜C10のヒドロカルビルである)を有する、15mol%以下のシロキサン単位を含有する請求項1に記載のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサン。
【請求項4】
少なくとも30mol%の式Iを有する単位、及び式IVを有する単位:
【化2】

(式中、Rは脂肪族不飽和を含まないC〜C10のヒドロカルビルであり;Zは加水分解性基であり;mは2〜10の整数であり;pは0、1又は2である)を含むカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサン。
【請求項5】
前記ポリシロキサンは、少なくとも70mol%の式Iを有する単位を含有する請求項4に記載のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサン。
【請求項6】
前記ポリシロキサンは、RHSiO2/2、HRSiO1/2、RSiO2/2及びこれらの組み合わせから選択される式(式中、Rは脂肪族不飽和を含まないC〜C10のヒドロカルビルである)を有する、15mol%以下のシロキサン単位を含有する請求項4に記載のカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサン。
【請求項7】
(A)(i)30〜99mol%の式Iを有する単位、1〜70mol%の式IIを有する単位、及び式IIIを有する単位:
【化3】

(式中、Rは脂肪族不飽和を含まないC〜C10のヒドロカルビルであり;Rは−CH−CHR−又は−CH−CHR−Y−であり、ここで、Yは二価の有機基であり、RはR又は−Hであり;RはR、−(CH−Cz、−CH−CHR−SiR3−n又は−CH−CHR−Y−SiR3−nであり、ここで、CzはN−カルバゾリルであり;Zは加水分解性基であり;mは2〜10の整数であり;nは0、1又は2である)を含む少なくとも1つのカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサン、(ii)少なくとも30mol%の式Iを有する単位、及び式IVを有する単位:
【化4】

(式中、Rは脂肪族不飽和を含まないC〜C10のヒドロカルビルであり;Zは加水分解性基であり;mは2〜10の整数であり;pは0、1又は2である)を含む少なくとも1つのカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサン、並びに(iii)(i)及び(ii)を含む混合物から選択されるポリシロキサンと、
(B)有機溶媒と
を含むシリコーン組成物。
【請求項8】
前記ポリシロキサン(A)は、pが2の値を有する(A)(ii)であり、且つ式RSiZ4−q(式中、RはC〜Cのヒドロカルビル又はハロゲン置換ヒドロカルビルであり、Zは加水分解性基であり、qは0又は1である)を有する架橋剤をさらに含む請求項7に記載のシリコーン組成物。
【請求項9】
第1の反対面及び第2の反対面を有する基板と、
前記第1の反対面に積層された第1の電極層と、
前記第1の電極層に積層された発光素子であって、前記発光素子は、
正孔輸送層、及び
電子輸送層
を含み、前記正孔輸送層及び前記電子輸送層は互いに直接的に配置され、前記正孔輸送層及び前記電子輸送層の一方は、
(A)(i)30〜99mol%の式Iを有する単位、1〜70mol%の式IIを有する単位、及び式IIIを有する単位:
【化5】

(式中、Rは脂肪族不飽和を含まないC〜C10のヒドロカルビルであり;Rは−CH−CHR−又は−CH−CHR−Y−であり、ここで、Yは二価の有機基であり、RはR又は−Hであり;RはR、−(CH−Cz、−CH−CHR−SiR3−n又は−CH−CHR−Y−SiR3−nであり、ここで、CzはN−カルバゾリルであり;Zは加水分解性基であり;mは2〜10の整数であり;nは0、1又は2である)を含む少なくとも1つのカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサン、(ii)少なくとも30mol%の式Iを有する単位、及び式IVを有する単位:
【化6】

(式中、Rは脂肪族不飽和を含まないC〜C10のヒドロカルビルであり;Zは加水分解性基であり;mは2〜10の整数であり;pは0、1又は2である)を含む少なくとも1つのカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサン、並びに(iii)(i)及び(ii)を含む混合物から選択されるポリシロキサンと、
(B)有機溶媒と
を含むシリコーン組成物を硬化させることによって調製される硬化カルバゾリル官能性ポリシロキサン、並びに
少なくとも50mol%の式Iを有する単位、及び式Vを有する単位:
【化7】

(式中、Rは脂肪族不飽和を含まないC〜C10のヒドロカルビルであり;mは2〜10の整数であり;RはR又は−(CH−Czであり、ここで、CzはN−カルバゾリルである)を含む少なくとも1つのカルバゾリル官能性直鎖ポリシロキサン
から選択されるカルバゾリル官能性ポリシロキサンを含む発光素子と、
前記発光素子に積層された第2の電極層と
を含む有機発光ダイオード。
【請求項10】
前記正孔輸送層は、カルバゾリル官能性ポリシロキサンである請求項9に記載の有機発光ダイオード。
【請求項11】
前記電子輸送層は、カルバゾリル官能性ポリシロキサンである請求項9に記載の有機発光ダイオード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−502885(P2007−502885A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523837(P2006−523837)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【国際出願番号】PCT/US2004/020720
【国際公開番号】WO2005/019308
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】