説明

カルボシランポリマーを含有する歯科用組成物

次の構造的特徴:1つより多くの繰り返し単位;少なくとも4つのSi−アリーレン結合;少なくとも1つの(メタ)アクリレート部分、Si−H部分、もしくは両方;0個のSi−O結合;および、好ましくは少なくとも4つのケイ素原子を有し、各繰り返し単位で2つのケイ素原子が1つのアリーレン基によって分離されているカルボシラン含有ポリマー(オリゴマーを含む)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
カルボシランポリマーおよびこのようなポリマーを含む歯科用組成物。
【背景技術】
【0002】
硬化時の歯科用組成物の体積収縮の結果、コンポジット中に高い応力と微小破壊が起こることが周知である。このような欠陥は、コンポジット材料の臨床での失敗に繋がる場合がある。従って、体積収縮が低減すると同時に、現在の材料の優れた物理的特性を維持する歯科用コンポジットを開発することが重要である。
【0003】
現在市販されている(メタ)アクリレートベースのコンポジットは、重合時に2〜4パーセント(%)の体積収縮を示す。目標は、収縮を2%未満に低減すると同時に、圧縮強度や粘度など、他の望ましい物理的特性を維持することである。重合収縮を低減するため、多くの種類の成分が歯科用コンポジット、特に、(メタ)アクリレートベースのコンポジットに使用されるように開発されてきたが、それらをベースにするコンポジットは、一般に、フィルテック(FILTEK)Z250の商品名でミネソタ州セントポール、3M社(3M Company, St.Paul, MN)から入手可能なものなどの市販の製品と比較して物理的特性が低減してしまう。
【0004】
このようにして、収縮を低減する(メタ)アクリレートベースの歯科用組成物に添加され得る新規な成分が、依然として必要とされている。
【0005】
【特許文献1】米国特許第3,159,610号明細書
【特許文献2】米国特許第4,603,215号明細書
【特許文献3】米国特許第3,220,972号明細書
【特許文献4】米国特許第3,715,334号明細書
【特許文献5】米国特許第3,419,593号明細書
【特許文献6】米国特許第3,775,452号明細書
【特許文献7】米国特許第4,288,345号明細書
【特許文献8】米国特許第4,421,903号明細書
【特許文献9】米国特許第4,705,765号明細書
【特許文献10】米国特許第4,530,879号明細書
【特許文献11】米国特許第4,510,094号明細書
【特許文献12】米国特許第4,600,484号明細書
【特許文献13】米国特許第4,652,274号明細書
【特許文献14】米国特許第4,642,126号明細書
【特許文献15】国際公開第00/38619号パンフレット
【特許文献16】国際公開第01/92271号パンフレット
【特許文献17】国際公開第01/07444号パンフレット
【特許文献18】国際公開第00/42092号パンフレット
【特許文献19】米国特許第5,076,844号明細書
【特許文献20】米国特許第4,356,296号明細書
【特許文献21】欧州特許第0 373 384号明細書
【特許文献22】欧州特許第0 201 031号明細書
【特許文献23】欧州特許第0 201 778号明細書
【特許文献24】米国特許第5,545,676号明細書
【特許文献25】欧州特許出願第173567号
【特許文献26】米国特許第4,071,424号明細書
【特許文献27】米国特許第4,772,530号明細書
【特許文献28】米国特許第4,954,414号明細書
【特許文献29】米国特許第4,874,450号明細書
【特許文献30】米国特許第5,055,372号明細書
【特許文献31】米国特許第5,057,393号明細書
【特許文献32】米国特許第4,695,251号明細書
【特許文献33】米国特許第4,503,169号明細書
【特許文献34】米国特許第6,387,981号明細書
【特許文献35】米国特許第6,572,693号明細書
【特許文献36】国際公開第01/30305号パンフレット
【特許文献37】国際公開第01/30306号パンフレット
【特許文献38】国際公開第01/30307号パンフレット
【特許文献39】国際公開第03/063804号パンフレット
【特許文献40】米国特許出願第10/847,782号明細書
【特許文献41】米国特許出願第10/847,781号明細書
【特許文献42】米国特許出願第10/847,803号明細書
【特許文献43】米国特許第6,624,211号明細書
【非特許文献1】H.N.ベックら、化学工学データ誌、8、453(1963年)(H.N.Beck et al., J. Chem. Eng. Data, 8, 453(1963))
【非特許文献2】ホーベン−ワイル、有機化学の方法、VI/3巻、(Houben−Weyl, Methoden der Organischen Chemie, volume VI/3)、 57頁(第1の調製例)又は56頁(第1の調製例)、ゲオルグ・ティーメ出版、シュトゥットガルト、1965年、第4版(Georg Thieme Verlag, Stuttgart, 1965, 4th edition)
【非特許文献3】D.ターベルら、米国化学会誌、64(5)、1066〜1070頁(1942年)(D.Tarbell et al., J. Am. Chem. Soc. 64(5), 1066−1070(1942))
【非特許文献4】ワッツ(Watts)収縮試験手順(D.C.ワッツおよびA.J.キャッシュ、測定科学技術、2、788〜794頁(1991年)(D.C.Watts and A.J.Cash, Meas.Sci.Technol., 2, 788−794(1991))
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、歯科用組成物に使用されるカルボシランポリマーを提供する。カルボシランポリマー(即ち、カルボシラン含有ポリマー)は、1つより多くの繰り返し単位を有する材料である。本明細書では、ポリマーおよびポリマー材料は、その範囲に比較的低分子量のオリゴマー材料を含む。好ましくは、カルボシランポリマーは、カルボシラン含有オリゴマー材料を含む。このような材料は、好ましくは、次の構造的特徴:1つより多くの繰り返し単位;少なくとも4つのSi−アリーレン結合;少なくとも1つの(メタ)アクリレート部分、Si−H部分、もしくは両方;0個のSi−O結合;および、好ましくは少なくとも4つのケイ素原子を含む。このような材料は、典型的には、各繰り返し単位中に、1つのアリーレン基によって分離されている2つのケイ素原子も含む。
【0007】
特定の実施形態では、カルボシランポリマーは、芳香族シラン、特にアリーレンジシランとエチレン性不飽和化合物との反応から形成される。これらの材料は、組成物を硬化させる前又は硬化させた後の所望の特性バランスに応じて、結晶性であっても又は非結晶性であってもよい。これらの材料を含む歯科用組成物は、典型的には、および好ましくは、硬化時の体積収縮が小さくなる。また、得られる硬化した組成物は、現在のコンポジットと比較して耐汚染性(stain resistance)が高くなる可能性がある。
【0008】
本発明の歯科用組成物は、典型的には、光活性フリーラジカル供給源(好ましくは、青色光によって活性化されるもの)などの開始剤系も含む。特定の実施形態では、歯科用組成物はフィラー系も含み、好ましくは組成物の総重量を基準にしてフィラー系(好ましくは、無機フィラーを含む)を最大80重量%(即ち、wt%)まで含む。他の任意成分としては、例えば、着色剤、香味剤、薬剤、安定剤、粘度調整剤、希釈剤、流れ調整添加剤、チキソトロープ剤、抗微生物剤、およびポリマー増粘剤が挙げられる。所望の効果を得るため、本明細書に列挙されている各成分の様々な組み合わせを使用することができる。
【0009】
特定の実施形態では、本発明のカルボシランポリマーは、次式(I)を有する:
【化1】


(式中、
各Arは独立してアリーレン基であり、
各Rは独立して、任意に1つ以上のO、Br、Cl若しくはSi原子又はこれらの組み合わせを含む、脂肪族基、脂環式基、又はこれらの組み合わせであり、二環式基を含んでもよく、
各Qは独立して、単結合、又は、任意に1つ以上のO、Br、Cl若しくはSi原子又はこれらの組み合わせを含む脂肪族基、脂環式基、芳香族基、又はこれらの組み合わせであり、二環式基を含んでもよく、ここで、Qは任意に1つ以上の(メタ)アクリレート基を含み、
各R1〜R4基は独立して、任意に1つ以上の(メタ)アクリレート基で置換されている脂肪族基、脂環式基、芳香族基、又はこれらの組み合わせであり、
各R5〜R6基は独立して、水素、任意に1つ以上の(メタ)アクリレート基で置換されている脂肪族基、脂環式基、芳香族基、又はこれらの組み合わせであり、そして
nは1より大きい。)。
【0010】
特定の実施形態では、本発明のカルボシランポリマーは、次式(II)を有する:
【化2】

(式中、
各Arは独立してアリーレン基であり、
各Qは独立して、単結合、又は、任意に1つ以上のO、Br、Cl若しくはSi原子又はこれらの組み合わせを含む脂肪族基、脂環式基、芳香族基、又はこれらの組み合わせであり、二環式基を含んでもよく、ここで、Qは任意に1つ以上の(メタ)アクリレート基で置換されており、
各R1〜R4基はメチルであり、
各R5〜R6基は独立して、水素、任意に1つ以上のO、Br、Cl若しくはSi原子又はこれらの組み合わせを含み、任意に1つ以上の(メタ)アクリレート基で置換されている脂肪族基、脂環式基、芳香族基、又はこれらの組み合わせであり、そして
nは1より大きい。)。
【0011】
定義
「硬化性(hardenable)」の用語は、例えば、加熱して溶媒を除去すること、加熱して重合を引き起こすこと、化学架橋、又は、放射線誘導重合若しくは架橋等により硬化(cure)又は固化され得る材料を指す。
【0012】
「アリーレン」の用語は、本明細書で使用される時、炭素環(carbocyclic)芳香環又は環系を含み、ここで、芳香環は、任意に、酸素、窒素、イオウ、若しくはアルキレン基、又はこれらの組み合わせで橋架けされていてもよく、任意に、ハロゲン、アルキル若しくはアルコキシ基、又はこれらの組み合わせで置換されていてもよい。アリーレン基の例としては、任意にアルキルおよび/又はアルコキシ基で置換されているフェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、フルオレニレン、インデニレン、ジフェニレンエーテルが挙げられる。
【0013】
「結晶性」は、示差走査熱量計(DSC)で測定したとき、材料が単独で又は他のモノマーの存在下で20℃以上の結晶融点を示すことを意味する。観察される吸熱のピーク温度を結晶融点と見なす。結晶相は複数の格子を含み、ここで、材料は、材料を構成している隣接化学部分に非常に整然としたレジストリ(registry)がある立体配座を取る。格子内の充填配列(短距離秩序(short order)配置)は、化学的側面と幾何学的側面の両方で非常に規則的である。結晶性成分は、ポリマー鎖の長いセグメントが非晶質状態と結晶状態の両方又は20℃以上の相にあると考えられる「半結晶状態」であってもよい。このようにして、本明細書では、「結晶性」成分は、半結晶性材料を包含する。
【0014】
「非結晶性」の用語は、定まったパターン、格子構造、又は長距離秩序(long range order)を形成しない、ランダムに配置された原子、イオン、又は分子から構成されている材料(即ち、非晶質)を意味する。非結晶性材料は、示差走査熱量計(DSC)で測定したとき、20℃以上の結晶融点を示さない。
【0015】
「含む(comprises)」の用語およびその変形は、これらの用語が説明および特許請求の範囲に記載される場合、限定的な意味を有していない。
【0016】
本明細書で使用される時、「1(a)」、「1(an)」、「その(the)」、「少なくとも1」および「1以上」は互換的に使用される。このようにして、例えば、「1種類の」カルボシラン含有成分を含む歯科用組成物は、歯科用組成物が「1種類以上の」カルボシラン含有成分を含むことを意味するものと解釈され得る。同様に、「1種類」のフィラーを含む組成物は、組成物が「1以上の」種類のフィラーを含むことを意味するものと解釈され得る。
【0017】
また本明細書では、端点による数値範囲の記載は、その範囲に包含される全ての数値を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
【0018】
本発明の前記要約は、本発明の開示される各実施形態又はあらゆる実施を記載することを意図していない。以下の説明は、例証の実施形態をより詳細に例示する。出願全体の幾つかの箇所では実施例の列挙により手引きするが、実施例は様々な組み合わせで使用され得る。各場合において、記載される列挙は代表的な群の役割をするに過ぎず、排他的な列挙と解釈されるべきではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、歯科用組成物に、特に、他の(メタ)アクリレートベースの成分と共に使用されるカルボシランポリマー(オリゴマーを含む)を提供する。カルボシランポリマー(即ち、カルボシラン含有ポリマー)は、好ましくは、次の構造的特徴:1つより多くの繰り返し単位;少なくとも2つのSi−アリーレン結合;少なくとも1つの(メタ)アクリレート部分、Si−H部分、もしくは両方(好ましくは、少なくとも2つの(メタ)アクリレート部分を有する);0個のSi−O結合;および、好ましくは少なくとも4つのSi原子を含み、ここで、各繰り返し単位において、2つのケイ素原子は1つのアリーレン基によって分離されている。
【0020】
重要なことには、これらの芳香族カルボシランポリマーは、例えば、単純なヒドロシリル化法を使用して調製することができる。出発材料(例えば、芳香族シラン、又は、より具体的にはアリーレンジシラン、および、エチレン性不飽和、又はより具体的にはジオレフィン化合物)は広範に入手可能であるため、カルボシラン成分の構造、アーキテクチャ、および官能性を広く制御することができる。このようにして、典型的には、カルボシラン成分の繰り返し単位は、エチレン性不飽和化合物(典型的には、ジオレフィン化合物)とアリーレンジシラン(2つのSi−H部分を有する)との反応生成物から誘導される化学部分を含む。この化学により、好ましくは一段階で、主鎖に沿って重合性官能基(好ましくは、(メタ)アクリレート官能性基)を有する直鎖材料を調製することができる。
【0021】
カルボシラン成分およびその調製
カルボシラン成分の材料は、典型的にはポリマーであり、好ましくはオリゴマーである。即ち、カルボシラン成分は、1種類以上の重合性ポリマー、好ましくはオリゴマーを含む。
【0022】
このようにして、「ポリマー」および「ポリマーの」は、本明細書では、1つより多くの繰り返し単位を有する任意の材料を指すのに使用され、そのため、オリゴマーを包含する。このようにして、別途明記されない限り、ポリマーは、概ね1モル当たり20,000グラム以下の分子量を有するオリゴマーを含む。更に、ポリマーの用語は、本明細書では、ホモポリマーとコポリマーの両方を包含するのに使用され、コポリマーの用語は、本明細書では、2つ以上の異なる繰り返し単位を有する材料(例えば、コポリマー、ターポリマー、テトラポリマー)を包含するのに使用される。
【0023】
ポリマー材料の分子量および粘度は、反応に使用される構成ブロックを単に変更するだけで容易に制御され得る。カルボシラン材料の数平均分子量は、広範囲にわたって様々であってよい。好ましくは、分子量は、1モル当たり20,000グラム(g/mol)以下であるが、材料がポリマーである場合、分子量はそれより高くてもよい。より好ましくは、カルボシラン材料の数平均分子量は、1モル当たり10,000グラム(g/mol)以下、更により好ましくは5000g/mol以下である。好ましくは、分子量は少なくとも500g/mol、より好ましくは少なくとも750g/molである。重合の出発材料は、室温で液体又は固体の最終生成物が得られるように選択され得る。
【0024】
好ましいカルボシラン成分は、硬化性(例えば、重合性および/又は架橋性)であり、好ましくはフリーラジカル機構により硬化性である。カルボシランポリマーは、結晶性であっても、又は結晶性でなくてもよい。
【0025】
カルボシランポリマー(即ち、カルボシラン含有ポリマー)は、好ましくは、次の構造的特徴:1つより多くの繰り返し単位;少なくとも2つのSi−アリーレン結合;少なくとも1つの(メタ)アクリレート部分、Si−H部分、もしくは両方;0個のSi−O結合;および、好ましくは少なくとも4つのSi原子を含み、ここで、各繰り返し単位において、2つのケイ素原子は1つのアリーレン基によって分離されている。好ましくは、カルボシランポリマーは、1つより多くの、より好ましくは少なくとも2つの官能基を有する。好ましくは、カルボシランポリマーは、少なくとも2つの(メタ)アクリレート部分を有する。
【0026】
好ましくは、カルボシラン成分は、次(式I)を有する:
【化3】

(式中、
各Arは独立してアリーレン基であり、
各Rは独立して、任意に1つ以上のO、Br、Cl若しくはSi原子又はこれらの組み合わせを含む、脂肪族基、脂環式基、又はこれらの組み合わせであり、二環式基を含んでもよく、
各Qは独立して、単結合、又は、任意に1つ以上のO、Br、Cl若しくはSi原子又はこれらの組み合わせを含む、脂肪族基、脂環式基、芳香族基、又はこれらの組み合わせであり、二環式基を含んでもよく、ここで、Qは任意に1つ以上の(メタ)アクリレート基を含み、
各R1〜R4基は独立して、任意に1つ以上の(メタ)アクリレート基で置換されている、脂肪族基、脂環式基、芳香族基、又はこれらの組み合わせであり、
各R5〜R6基は、独立して、水素、任意に1つ以上の(メタ)アクリレート基で置換されている、脂肪族基、脂環式基、芳香族基、又はこれらの組み合わせであり、そして
n(平均値である)は1より大きく、好ましくは2以上である。)。
【0027】
「アリーレン」の用語は、本明細書で使用される場合、炭素環(carbocyclic)芳香環又は環系を含み、ここで、芳香環は、任意に、酸素、窒素、イオウ、若しくはアルキレン基、又はこれらの組み合わせで橋架けされていてもよく、任意に、ハロゲン、アルキル若しくはアルコキシ基、又はこれらの組み合わせで置換されていてもよい。アリーレン基の例としては、任意にアルキルおよび/又はアルコキシ基で置換されているフェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、フルオレニレン、インデニレン、ジフェニレンエーテルが挙げられる。
【0028】
好ましくは、式Iにおいて、各アリーレン(Ar)基は、独立して、環系の炭素数が6〜14であり、任意に1つ以上のハロゲンおよび/又はアルキル基(ここで、アルキルは、好ましくは炭素数1〜10であり、より好ましくは炭素数1〜6である)で置換されている。環系で、芳香族基が任意に酸素および/又はアルキレン基によって橋架けされていてもよい。より好ましくは、アリーレンは、任意に1つ以上のハロゲンおよび/又は(C1〜C3)アルキル基で置換されているフェニレン又はジフェニレンエーテル(−C64−O−C64−)である。
【0029】
好ましくは、式Iにおいて各Rはエチレンである。
【0030】
式Iの特定の実施形態では、各Qは、独立して、および好ましくは−CH2−O−Ar’−O−CH2−であり、式中、Ar’は、炭素数6〜14で、任意に1つ以上のハロゲンおよび/又はアルキル基(ここで、アルキルは、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6である)で置換されているアリーレン基である。環系で、芳香族基が任意に酸素および/又はアルキレン基によって橋架けされていてもよい。
【0031】
式Iを有する特定の実施形態では、各Qは、独立して、および好ましくは、−CH2−O−アルキレン−O−CH2−であり、式中、アルキレン(好ましくは、C1〜C4アルキレン)は、(メタ)アクリレート基で置換されている。
【0032】
好ましくは、式Iでは、各R1〜R4基は、独立して、炭素数1〜6の脂肪族基、炭素数1〜6の脂環式基、炭素数6〜14の芳香族基、又はこれらの組み合わせである。より好ましくは、各R1〜R4基は、独立して、炭素数1〜6の(より好ましくは、炭素数1〜3の)脂肪族基である。
【0033】
好ましくは、式Iでは、各R5〜R6基は、独立して、水素、任意に1つ以上の(メタ)アクリレート基で置換されており、1つ以上のO、Br、Cl、若しくはSi原子、又はこれらの組み合わせを含む、炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数1〜10の脂環式基、炭素数6〜14の芳香族基、又はこれらの組み合わせであり、二環式基を含んでもよい。より好ましくは、各R5〜R6基は、独立して、水素、又は、1つ以上の(メタ)アクリレート基で置換されている、炭素数1〜10の(より好ましくは炭素数1〜3の)脂肪族基である。
【0034】
より好ましくは、カルボシラン成分は、次(式II)を有する:
【化4】

(式中、
各Arは独立してアリーレン基であり、
各Qは独立して、単結合、又は、任意に1つ以上のO、Br、Cl若しくはSi原子又はこれらの組み合わせを含む、脂肪族基、脂環式基、芳香族基、又はこれらの組み合わせであり、二環式基を含んでもよく、ここで、Qは任意に1つ以上の(メタ)アクリレート基で置換されており、
各R1〜R4基はメチルであり、
各R5〜R6基は独立して、水素、任意に1つ以上のO、Br、Cl若しくはSi原子又はこれらの組み合わせを含み、任意に1つ以上の(メタ)アクリレート基で置換されている、脂肪族基、脂環式基、芳香族基、又はこれらの組み合わせであり、そして
n(平均値である)は1より大きく、好ましくは2以上である。)。
【0035】
式IIでは、アリーレンは前記のように定義される。好ましくは、各アリーレン(Ar)基は、独立して、環系の炭素数が6〜14であり、任意に、1つ以上のハロゲンおよび/又はアルキル基(式中、アルキルは、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6である)で置換されている。環系で、芳香族基が任意に酸素および/又はアルキレン基によって橋架けされていてもよい。より好ましくは、アリーレンは、任意に1つ以上のハロゲンおよび/又は(C1〜C3)アルキル基で置換されている、フェニレン又はジフェニレンエーテル(−C64−O−C64−)である。
【0036】
式IIの特定の実施形態では、各Qは、独立して、および好ましくは、−CH2−O−Ar’−O−CH2−であり、式中、Ar’は、炭素数6〜14で、任意に1つ以上のハロゲンおよび/又はアルキル基(ここで、アルキルは、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6である)で置換されているアリーレン基である。環系で、芳香族基が任意に酸素および/又はアルキレン基によって橋架けされていてもよい。
【0037】
式IIを有する特定の実施形態では、各Qは、独立して、および好ましくは、−CH2−O−アルキレン−O−CH2−であり、式中、アルキレン(好ましくは、C1〜C4アルキレン)は、(メタ)アクリレート基で置換されている。
【0038】
好ましくは、式IIでは、各R5〜R6基は、独立して、水素、任意に1つ以上の(メタ)アクリレート基で置換されており、1つ以上のO、Br、Cl、若しくはSi原子、又はこれらの組み合わせを含む、炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数1〜10の脂環式基、炭素数6〜14の芳香族基、又はこれらの組み合わせであり、二環式基を含んでもよい。より好ましくは、各R5〜R6基は、独立して、水素、又は、1つ以上の(メタ)アクリレート基で置換されている、炭素数1〜10の(より好ましくは、炭素数1〜3の)脂肪族基である。
【0039】
カルボシラン成分を歯科用コンポジットに配合することができ、この歯科用コンポジットは、総体積の2.0%以下の重合収縮(典型的には、1.4〜2.0%の収縮)を示す(ここで、パーセンテージは、硬化前の組成物の体積を基準にする)と同時に、好ましくは、優れた物理的特性を維持する。
【0040】
好ましくは、歯科用組成物中のカルボシラン成分の総量は、組成物の総重量を基準にして少なくとも1重量%、より好ましくは少なくとも3重量%、最も好ましくは少なくとも5重量%である。好ましくは、カルボシラン成分の総量は、組成物の総重量を基準にして60重量%以下、より好ましくは50重量%以下、最も好ましくは40重量%以下である。
【0041】
スキーム1は、カルボシラン含有材料を調製するための好ましい概略的手順を概説する。このような材料は、重合性末端基、および任意にポリマーの主鎖のペンダント基となっている重合性基を有するように調製することができる。
【0042】
スキーム1は、ビス(ジメチル)−アリーレンを使用して示されているが、メチル以外の置換基をアリーレンジシラン反応物質中に使用することもできる。同様に、スキーム1はジオレフィンを使用して示されているが、(メタ)アクリレート化合物を含む他のエチレン性不飽和反応物質を使用することもできる。更に、スキーム1は、スキームのエンドキャップ段階でメタクリレート官能性オレフィン反応物質を示しているが、アクリレート並びに他のエチレン性不飽和を使用することもできる。好ましくは、反応物質の1つは、(メタ)アクリレート(即ち、アクリレート又はメタクリレート)部分を含む。
【化5】

【0043】
スキーム1において、Ar、Qおよびnは前記に定義されている。R’は、任意に1つ以上のO、Br、Cl、又はSi原子を含む脂肪族基、脂環式基、芳香族基、又はこれらの組み合わせを表し、好ましくは炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数1〜10の脂環式基、又は炭素数6〜14の芳香族基である。より好ましくは、R’は、炭素数1〜10の(より好ましくは炭素数1〜3の)脂肪族基である。
【0044】
スキーム1に示されるように、二官能性芳香族シランを二官能性エチレン性不飽和化合物とヒドロシリル化反応により反応させ、その結果、ポリマー(好ましくは、オリゴマー)生成物を得る。次いで、この中間体を(メタ)アクリレート官能性エチレン性不飽和化合物と反応させ、メタクリレート末端基を有する重合性ポリマー(好ましくは、オリゴマー)を得ることができる。初期反応の化学量論は、典型的には、ポリマーが、更に(メタ)アクリレート官能性エチレン性不飽和化合物で官能化され得るシリル(Si−H)末端基を有するように選択される。或いは、二官能性芳香族シランおよび/又はジオレフィン化合物はまた重合性基を含有してもよく、その結果、鎖の骨格のペンダント基となっている重合性基を有するポリマーが得られる。例えば、シラン又はビニル末端基を生成するように化学量論を選択することができる。
【0045】
典型的には、出発芳香族シランおよびエチレン性不飽和出発材料およびヒドロシリル化触媒を、溶媒中で、典型的には室温で一緒に反応させる。次いで、任意選択的エンドキャップ化合物を混合物に添加する。次いで、シリカゲルで濾過することにより触媒を除去して生成物を得ることができるか、又は、結晶化若しくは沈殿により生成物を得ることができる。
【0046】
反応に使用されるヒドロシリル化触媒は、例えば、ケイ素に結合した水素原子とオレフィン二重結合を含有する化合物との付加反応を触媒する任意の化合物とすることができる。本発明の組成物に好適なヒドロシリル化触媒の例としては、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、および白金などの後の方の遷移元素の多く、並びにそれらの有機金属錯体が挙げられる。好ましい触媒は、微粉砕された白金金属、微粉砕された担体(チャーコール又はアルミナなど)上の白金金属などの金属白金を含有するもの、並びに、ヘキサクロロ白金酸、白金オレフィン錯体((特許文献1)に記載されているものなど);白金アルキン錯体((特許文献2)に記載されているものなど);ヘキサクロロ白金酸と、アルコール、エーテル、アルデヒド、およびこれらの混合物からなる部類から選択される成分との反応生成物((特許文献3)に記載されているものなど);および、エタノール溶液中で重炭酸ナトリウムの存在下におけるヘキサクロロ白金酸とテトラビニルシクロテトラシロキサンとの反応生成物((特許文献4)に記載されているものなど)などの白金の化合物である。特に好ましい触媒は、ヘキサクロロ白金酸、および、特定の不飽和有機ケイ素化合物を用いて調製された錯体((特許文献5)、(特許文献6)、(特許文献7)、および(特許文献8)に記載されているものなど)である。これらの触媒の1つの具体例は、ヘキサクロロ白金酸と、sym−ジビニルテトラメチルジシロキサンとの反応生成物である。別の特に好ましい触媒は、水素化ケイ素又は水素化シロキサンと、白金(0)又は白金(II)錯体との反応により得られるコロイド状ヒドロシリル化触媒((特許文献9)に記載されているものなど)である。更に他の特に好ましい触媒は、化学線によって活性化されるもの((特許文献10)、(特許文献11)、および(特許文献12)に記載されている(η4−1,5−シクロオクタジエン)ジアリール白金錯体および(η5−シクロペンタジエニル)トリ脂肪族白金錯体など)である。
【0047】
触媒は、有効量、即ち、ヒドロシリル化反応を触媒するのに十分な量で存在しなければならない。触媒が、全組成物100万重量部当たり、金属(例えば、白金)1重量部という少ない量を提供するのに十分な量で存在するとき、満足な結果が得られ得る。他方、全組成物1000重量部当たり、金属(例えば、白金)1〜10重量部という多くの量を提供するのに十分な触媒量を使用してもよい。しかし、一般に、全組成物100万重量部当たり金属(例えば、白金)1〜200重量部を提供するのに十分な量で触媒を使用することが好ましい。
【0048】
芳香族シラン出発材料は、(非特許文献1)に開示されているように、典型的には、ハロゲン化芳香族化合物とクロロ−ジメチルシラン(又は他のクロロアルキルシラン)とのグリニャール反応で調製され得る。好ましい芳香族シラン出発材料としては、1,4−ビス−ジメチルシリルベンゼン、1,3−ビス−ジメチルシリルベンゼン、および、ビス−(p−ジメチルシリル)フェニルエーテルが挙げられる。
【0049】
好適な二官能性エチレン性不飽和前駆体としては、1,4−ビス(アリルオキシ)ベンゼン、1,3−ビス(アリルオキシ)ベンゼン、ビスフェノールAジアリルエーテル、又はテトラブロモビスフェノールAジアリルエーテルが挙げられ、これらは、市販されているか、又は当該技術分野で既知の方法で合成され得る。例えば、アリル−フェニル−エーテル又はブタ−2−エニル−(2−メトキシ−フェニル)−エーテルのようなアリールアルキルエーテル化合物は、(非特許文献2)に従って調製された;又は、(非特許文献3)によって記載されているようなアリル−(2−クロロ−フェニル)−エーテルのような化合物。
【0050】
二官能性エチレン性不飽和前駆体は、芳香族又は脂肪族とすることができる。好ましい芳香族化合物は、芳香環系のアリルオキシ置換を含有する。また、ビニル化合物は、メタクリレート官能性を含有することができる。
【0051】
必要に応じて、ポリマーの末端基(スキーム1の第1の段階で形成される)を、一官能性基又は多官能性基と(スキーム1の第2の段階で)更に反応させてもよい。モル過剰量のカルボシラン官能基を(スキーム1の第1の段階で)重合に使用する場合、ポリマーは、エチレン性不飽和基を含有する化合物と更に反応できるカルボシラン末端基を含有することになる。モル過剰量のエチレン性不飽和官能基を重合に使用する場合、ポリマーは、カルボシラン基を含有する化合物と更に反応できるエチレン性不飽和末端基を含有することになる。典型的には、重合はモル過剰量のカルボシラン基を有するように実施され、このカルボシラン基はエンドキャップ反応基(スキーム1の第2の段階)でエチレン性不飽和(メタ)アクリレート化合物と更に反応する。エチレン性不飽和置換(メタ)アクリレート成分は、典型的には、1つのオレフィン基と少なくとも1つの(メタ)アクリレート基を含有する。好ましいこのような化合物としては、アリルメタクリレート、2−(5/6−メタクリロイルオキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)−エテン、および(2−アリルオキシエチル)メタクリレートが挙げられる。
【0052】
スキーム2〜5は、概ねスキーム1に従い、カルボシランポリマーの好ましい実施例の調製スキームを概説し、式中、Arおよびnは前記の定義通りである。
【化6】


【化7】


【化8】


【化9】

【0053】
副次的重合性材料
本明細書に開示されているカルボシランポリマー以外の追加の重合性成分は、任意に、本発明の歯科用組成物に添加され得る。これらの重合性成分は、口腔環境で使用するのに好適にするのに十分な強度と加水分解安定性を有する硬化した材料を形成できる1種類以上の硬化性有機樹脂を含む。好ましくは、副次的重合性成分の少なくとも幾つかは、エチレン性不飽和を含み、付加重合を経ることができる。好適な副次的重合性成分は、好ましくは、少なくとも1種類のエチレン性不飽和モノマーを含む(即ち、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む)。
【0054】
本発明の副次的重合性成分は、硬化性樹脂の一部であってもよい。これらの樹脂は、一般に、硬化されてポリマー網目構造を形成できる熱硬化性材料であり、例えば、アクリレート官能性材料、メタクリレート官能性材料、ビニル官能性材料、およびこれらの混合物が挙げられる。典型的には、硬化性樹脂は、1種類以上のマトリックス形成オリゴマー、モノマー、ポリマー又はこれらのブレンドから製造される。
【0055】
硬化性樹脂の1部類は、フリーラジカル活性官能基を有する重合性成分を有する材料を含む。このような材料の例としては、1つ以上のエチレン性不飽和基を有するモノマー、1つ以上のエチレン性不飽和基を有するオリゴマー、1つ以上のエチレン性不飽和基を有するポリマー、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0056】
フリーラジカル活性官能基を有する硬化性樹脂の部類で、本発明に使用するのに好適な重合性成分は、少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を含有し、付加重合を経ることができる。このようなフリーラジカルエチレン性不飽和化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート、アリルアクリレート、グリセロールトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ビス[1−(2−アクリルオキシ)]−p−エトキシフェニルジメチルメタン、ビス[1−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシ)]−p−プロポキシフェニルジメチルメタン、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、およびトリスヒドロキシエチル−イソシアヌレートトリメタクリレートなどのモノ−、ジ−、又はポリ−(メタ)アクリレート(即ち、アクリレートおよびメタクリレート);(メタ)アクリルアミド、メチレンビス−(メタ)アクリルアミド、およびジアセトン(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド(即ち、アクリルアミドおよびメタクリルアミド);ウレタン(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールのビス−(メタ)アクリル酸エステル(好ましくは分子量200〜500のもの);(特許文献13)(ベッチャー(Boettcher)ら)中のものなどのアクリル化モノマーの共重合性混合物;(特許文献14)(ザドー(Zador)ら)のものなどのアクリル化オリゴマー;並びに、スチレン、ジアリルフタレート、ジビニルスクシネート、ジビニルアジペート、およびジビニルフタレートなどのビニル化合物が挙げられる。他の好適なフリーラジカル重合性化合物としては、例えば、(特許文献15)(グッゲンバーガー(Guggenberger)ら)、(特許文献16)(ワインマン(Weinmann)ら)、(特許文献17)(グッゲンバーガー(Guggenberger)ら)、(特許文献18)(グッゲンバーガー(Guggenberger)ら)に開示されているシロキサン官能性(メタ)アクリレート、および、例えば、(特許文献19)(フォック(Fock)ら)、(特許文献20)(グリフィス(Griffith)ら)、(特許文献21)(ヴァーゲンクネヒト(Wagenknecht)ら)、(特許文献22)(ライナーズ(Reiners)ら)、および、(特許文献23)(ライナーズ(Reiners)ら)に開示されているフルオロポリマー官能性(メタ)アクリレートが挙げられる。必要に応じて、2種類以上のフリーラジカル重合性化合物の混合物を使用することができる。
【0057】
副次的重合性成分は、また、単一の分子中にヒドロキシル基とフリーラジカル活性官能基を含有してもよい。このような材料の例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよび2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;グリセロールモノ−又はジ−(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンモノ−又はジ−(メタ)アクリレート;ペンタエリトリトールモノ−、ジ−、およびトリ−(メタ)アクリレート;ソルビトールモノ−、ジ−、トリ−、テトラ−、又はペンタ−(メタ)アクリレート;および、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン(bisGMA)が挙げられる。好適なエチレン性不飽和化合物は、また、ミズーリ州セントルイス、シグマ−アルドリッチ(Sigma−Aldrich, St.Louis, MO)などの様々な商業的供給元から入手可能である。必要に応じて、エチレン性不飽和化合物の混合物を使用することができる。
【0058】
前記に列挙した成分は、典型的には、非結晶性(即ち、非晶質)である。副次的重合性成分は、また、結晶性成分を含んでもよい。この結晶性成分は、重合(架橋も含む)できる反応基を有しても、又は有していなくてもよい。好ましくは、結晶性成分は重合性である。好ましくは結晶性成分はポリマー(オリゴマーを含む)である。より好ましくは、結晶性成分は重合性ポリマー材料である。歯科用組成物に使用するのに好適な副次的結晶性ポリマー(オリゴマーを含む)は、結晶性主鎖(即ち、直鎖)又はペンダント(即ち、側鎖)セグメントを有し得る。好ましい材料は、重合および/又は架橋できる反応基も含有する。とりわけ好ましいのは、少なくとも2つの反応性官能基を有する非カルボシラン結晶性オリゴマー又はプレポリマーである。
【0059】
結晶性主鎖又は骨格セグメントを有する好適な副次的結晶性材料の例としては、以下に限定されないが、ポリエステル(ポリカプロラクトンを含む)、ポリエーテル、ポリチオエーテル、ポリアリールアルキレン、ポリシラン、ポリアミド、ポリオレフィン(好ましくは、低級オレフィン、例えば、C2〜C3オレフィンから形成される)、および、ポリウレタンが挙げられる。
【0060】
好ましい副次的結晶性材料は、一級ヒドロキシル末端基を含有する飽和、直鎖、脂肪族ポリエステルポリオール(特にジオール)である。本発明の歯科用組成物中の非カルボシラン結晶性成分として有用な市販の材料の例としては、レキソレス(LEXOREZ)の商品名で、ペンシルバニア州フィラデルフィア、イノレックス・ケミカル社(Inolex Chemical Co., Philadelphia, PA)から入手可能な幾つかの樹脂が挙げられる。本発明の組成物に有用な他のポリエステルポリオールの例には、ルーコフレックス(RUCOFLEX)の商品名で、ニューヨーク州ヒックッスビル、ルーコ・ポリマー社(Ruco Polymer Corp., Hicksville, NY)から入手可能なものがある。本発明に有用なポリカプロラクトンの例としては、トーン(TONE)0230、トーン(TONE)0240、およびトーン(TONE)0260の商品名でミシガン州ミッドランド、ダウケミカル社(Dow Chemical Co., Midland, MI)から入手可能なものが挙げられる。とりわけ好ましい材料は、重合性不飽和官能基を導入するように、(例えば、一級ヒドロキシル末端基で)変性された飽和、直鎖、脂肪族ポリエステルポリオール、例えば、2−イソシアナトエチルメタクリレート、メタクリロイルクロライド、又は、無水メタクリル酸と反応したポリカプロラクトンジオールである。
【0061】
好ましくは、副次的重合性成分の総量は、組成物の総重量を基準にして、60重量%以下、より好ましくは50重量%以下、最も好ましくは40重量%以下である。
【0062】
開始剤系
本発明の組成物は、任意に、樹脂系(例えば、カルボシラン含有成分および任意選択的(メタ)アクリレート成分)を硬化(例えば、重合および/又は架橋)させるのに好適な開始剤系、即ち、1種類の開始剤又は2種類以上の開始剤の混合物を含んでもよい。開始剤系は、好ましくは、様々な方法(例えば、熱および/又は放射線)で活性化され得るフリーラジカル開始剤を含む。このようにして、例えば、開始剤系は、熱開始剤(例えば、アゾ化合物および過酸化物)又は光開始剤を含んでもよい。
【0063】
好ましくは、開始剤系は、1種類以上の光開始剤を含む。より好ましくは、開始剤系は、300ナノメートル(nm)〜1200nmのスペクトル範囲で活性であり、好適な波長と強度の光に露光するとエチレン性不飽和部分のフリーラジカル重合および/又は架橋を促進できる、少なくとも1種類の光開始剤を含む。様々なこのような光開始剤を使用することができる。光開始剤は、好ましくは、樹脂系に可溶性である。好ましくは、光開始剤は、典型的な歯科診察室および技巧室条件における貯蔵と使用が可能になるように、十分な貯蔵安定性があり、望ましくない着色が起こらないものである。可視光光開始剤が好ましい。
【0064】
好適な開始剤(即ち、開始剤系)の1種は、(特許文献24)(パラツォット(Palazzotto)ら)に記載されており、これは3成分又は三元光開始剤系を含む。この系は、ヨードニウム塩、例えば、ジアリールヨードニウム塩を含み、これは、単塩(例えば、Cl−、Br−、I−又はC25SO3−などのアニオンを含有する)、又は金属錯塩(SbF5OH又はAsF6−を含有する)とすることができる。必要に応じてヨードニウム塩の混合物を使用してもよい。この三元光開始剤系の第2の成分は、400ナノメートル(nm)〜1200nmの波長範囲内の光を吸収できる増感剤である。この三元光開始剤系の第3の成分は、電子供与体であり、アミン(アミノアルデヒドおよびアミノシラン又は第1の開始剤系について記載したような他のアミンを含む)、アミド(ホスホルアミドを含む)、エーテル(チオエーテルを含む)、尿素(チオ尿素を含む)、フェロセン、スルフィン酸およびその塩、フェロシアン化物の塩、アスコルビン酸およびその塩、ジチオカルバミン酸およびその塩、キサントゲン酸の塩、エチレンジアミン四酢酸の塩およびテトラフェニルホウ酸の塩が挙げられる。
【0065】
三元光開始剤系に使用するのに好適な増感剤の例としては、ケトン、クマリン染料(例えば、ケトクマリン)、キサンテン染料、アクリジン染料、チアゾール染料、チアジン染料、オキサジン染料、アジン染料、アミノケトン染料、ポルフィリン、芳香族多環式炭化水素、p−置換アミノスチリルケトン化合物、アミノトリアリールメタン、メロシアニン、スクアリリウム染料、およびピリジニウム染料が挙げられる。ケトン(例えば、モノケトン又はα−ジケトン)、ケトクマリン、アミノアリールケトン、およびp−置換アミノスチリルケトン化合物が好ましい増感剤である。特に好ましい可視光増感剤の例としては、カンファーキノン、グリオキサール、ビアセチル、3,3,6,6−テトラメチルシクロヘキサンジオン、3,3,7,7−テトラメチル−1.2−シクロヘプタンジオン、3,3,8,8−テトラメチル−1,2−シクロオクタンジオン、3,3,18,18−テトラメチル−1,2−シクロオクタデカンジオン、ジピバロイル、ベンジル、フリル、ヒドロキシベンジル、2,3−ブタンジオン、2,3−ペンタンジオン、2,3−ヘキサンジオン、3,4−ヘキサンジオン、2,3−ヘプタンジオン、3,4−ヘプタンジオン、2,3−オクタンジオン、4,5−オクタンジオン、および、1,2−シクロヘキサンジオンが挙げられる。これらのうち、カンファーキノンが最も好ましい増感剤である。
【0066】
更に別の種類の光開始剤としては、(特許文献25)(イン(Ying))に記載されているものなどのアシルホスフィンオキサイドが挙げられる。好適なアシルホスフィンオキサイドは、好ましくは、一般式、(R42−P(=O)−C(=O)−R5を有し、式中、各R4は、個々に炭化水素基、好ましくはアルキル基、脂環式基、アリール基、およびアラルキル基であり、そのいずれもハロゲン、アルキル、又はアルコキシ基で置換されていてもよく、又は2つのR4基が結合してリン原子と一緒に環を形成していてもよく、式中、R5は炭化水素基、好ましくはS−、O−、若しくはN−を含有する5員環若しくは6員環の複素環、又は、−Z−C(=O)−P(=O)−(R42基(式中、Zは炭素数2〜6のアルキレン又はフェニレンなどの2価炭化水素基を表す)である。好適なアシルホスフィンオキサイドの例としては、例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイドが挙げられる。任意に、三級アミン還元剤をアシルホスフィンオキサイドと組み合わせて使用してもよい。本発明に有用な例証の三級アミンとしては、前述のもの、並びに、エチル4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾエートおよびN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートが挙げられる。
【0067】
モノケトンおよび全ケトン(all−ketones)を光開始剤として使用することもできる。このような系の例は、(特許文献26)(ダート(Dart)ら)に記載されている。
【0068】
更に別の種類の光開始剤としては、ホウ酸アニオンおよび相補的カチオン染料を含むイオン染料−対イオン錯体開始剤が挙げられる。これらの光開始剤に有用なホウ酸アニオンは、一般に、式、B(R64−を有するものとすることができ、式中、各R6は、独立して、アルキル、アリール、アルカリール、アリル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、脂環式、および飽和又は不飽和複素環基である。カチオン対イオンは、カチオン染料、四級アンモニウム基、および遷移金属配位錯体等とすることができる。対イオンとして有用なカチオン染料は、カチオンメチン、ポリメチン、トリアリールメチン、インドリン、チアジン、キサンテン、オキサジン又はアクリジン染料とすることができる。対イオンとして有用な四級アンモニウム基は、トリメチルセチルアンモニウム、セチルピリジニウム、およびテトラメチルアンモニウムとすることができる。他の親有機性カチオンとしては、ピリジニウム、ホスホニウム、およびスルホニウムを挙げることができる。対イオンとして有用となり得るカチオン遷移金属配位錯体は、コバルト、ルテニウム、オスミウム、亜鉛、鉄、およびイリジウムと、ピリジン、2,2’−ビピリジン、4,4’−ジメチル−2,2’−ビピリジン、1,10−フェナントロリン、3,4,7,8−テトラメチルフェナントロリン、2,4,6−トリ(2−ピリジル−s−トリアジンなどの配位子および関連する配位子との錯体とすることができる。
【0069】
ホウ酸塩光開始剤は、例えば、(特許文献27)(ゴットシャルク(Gottschalkea)ら)、(特許文献28)(アデア(Adair)ら)、(特許文献29)(ゴットシャルク(Gottschalkea)ら)、(特許文献30)(シャンクリン(Shanklin)ら)および(特許文献31)(シャンクリン(Shanklin)ら)に記載されている。
【0070】
好ましい可視光誘導開始剤は、好適な水素供与体(例えば、第1の開始剤系について前述したものなどのアミン)、および、任意にジアリールヨードニウム単塩又は金属錯塩、発色団置換ハロメチル−s−トリアジン、又は、ハロメチルオキサジアゾールと組み合わせたカンファーキノンを含む。特に好ましい可視光誘導光開始剤は、α−ジケトン(例えば、カンファーキノン)と、追加の水素供与体、および、任意にジアリールヨードニウム塩(例えば、ジフェニルヨードニウムクロライド、ブロマイド、アイオダイド、又はヘキサフルオロホスフェート)との組み合わせを含む。好ましい紫外線誘導重合開始剤としては、ベンジルおよびベンゾイン、アシロイン、およびアシロインエーテルなどのケトンが挙げられる。好ましい紫外線誘導重合開始剤としては、イルガキュア(IRGACURE)651の商品名で入手可能な2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、およびベンゾインメチルエーテル(2−メトキシ−2−フェニルアセトフェノン)が挙げられ、これらは共に、ニューヨーク州タリータウン、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals Corp., Tarrytown, NJ)製である。
【0071】
開始剤系は、所望の硬化(例えば、重合および/又は架橋)速度を提供するのに十分な量で存在する。光開始剤では、この量は、一部には、光源、放射エネルギーに露光される層の厚さ、および光開始剤の吸光係数に依存する。好ましくは、開始剤系は、組成物の重量を基準にして、少なくとも0.01重量%、より好ましくは少なくとも0.03重量%、最も好ましくは少なくとも0.05重量%の総量で存在する。好ましくは、開始剤系は、組成物の重量を基準にして、10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、最も好ましくは2.5重量%以下の総量で存在する。
【0072】
フィラー系
本発明の組成物は、任意に、フィラー系(即ち、1種類以上のフィラー)を含んでもよい。フィラー系に使用されるフィラーは、樹脂系に組み込まれる様々な従来のフィラーから選択されてもよい。好ましくは、フィラー系は、例えば、現在、歯科用修復材組成物に使用されているフィラーなどの、医療用途に使用される組成物に組み込むのに好適な1種類以上の従来の材料を含む。このようにして、本発明の組成物に使用されるフィラー系を樹脂系に組み込む。
【0073】
フィラーは、本質的に粒子状であっても又は繊維状であってよい。粒子状フィラーは、一般に、長さ対幅の比、又はアスペクト比が20:1以下、より一般的には10:1以下であるものと定義され得る。繊維は、アスペクト比が20:1より大きく、より一般的には100:1より大きいものと定義され得る。粒子の形状は、球状〜エリプソイド、又は、より平面的(フレーク若しくはディスクなど)なものにわたって様々であってよい。巨視的特性は、フィラー粒子の形状、特に形状の均一性に大きく依存し得る。
【0074】
好ましい粒子状フィラーは、微粉砕されており、平均粒子サイズ(好ましくは、直径)が10マイクロメートル(即ち、ミクロン)未満である。
【0075】
好ましいミクロンサイズの粒子状フィラーは、平均粒子サイズが少なくとも0.2ミクロン〜1マイクロメートルである。ナノスコピック(nanoscopic)粒子は、平均一次粒子サイズが200nm(0.2ミクロン)未満である。フィラーは、単峰型又は多峰型(例えば、双峰型)の粒子サイズ分布を有してもよい。
【0076】
ミクロンサイズの粒子は、ポストキュア磨耗特性を改善するのに非常に有効である。対照的に、ナノスコピックフィラーは、一般に粘度およびチキソトロピー調整剤として使用される。これらの材料は、サイズが小さく、表面積が大きく、水素結合で会合するため、集合して凝集した網目構造になることが既知である。この種の材料(「ナノスコピック(nanoscopic)」材料)は、平均一次粒子サイズ(即ち、最大寸法、例えば、非凝集材料の直径)が1000ナノメートル(nm)以下である。好ましくは、ナノスコピック粒子状材料は、平均一次粒子サイズが少なくとも2ナノメートル(nm)、好ましくは少なくとも7nmである。好ましくは、ナノスコピック粒子状材料は、平均一次粒子サイズが50nm以下、より好ましくは20nm以下のサイズである。このようなフィラーの平均表面積は、好ましくは、1グラム当たり少なくとも20平方メートル(m2/g)、より好ましくは少なくとも50m2/g、最も好ましくは少なくとも100m2/gである。
【0077】
フィラー系は、無機材料を含んでもよい。これは、また、重合性樹脂に不溶性で、任意に無機フィラーで充填されている架橋有機材料を含んでもよい。フィラー系は、好ましくは、一般に非毒性であり、口内で使用するのに好適である。
【0078】
好適なフィラーは、放射線不透過性、放射線透過性、又は非放射線不透過性とすることができる。歯科用途に使用されるフィラーは、典型的には、本質的にセラミックである。好適な無機フィラーの例には、石英、窒化物(例えば、窒化ケイ素)、例えば、Ce、Sb、Sn、Zr、Sr、Ba、又はAlに由来するガラス、コロイダルシリカ、長石、ホウケイ酸ガラス、カオリン、タルク、チタニア、および亜鉛ガラス、ジルコニア−シリカフィラーなどの天然材料又は合成材料;並びに、(特許文献32)(ランドクレーフ(Randklev))に記載されているものなどの低モース硬度のフィラーがある。好適な有機フィラー粒子の例としては、充填又は無充填の微粉状ポリカーボネート、およびポリエポキシド等が挙げられる。好ましいフィラー粒子には、石英、サブミクロンシリカ、および、(特許文献33)(ランドクレーフ(Randklev))に記載されている種類の非ガラス質微粒子がある。また、これらのフィラーの混合物、並びに、有機および無機材料から製造されたコンビネーションフィラーを使用してもよい。
【0079】
フィラー系と樹脂系との結合を向上させるため、任意に、フィラー粒子の表面はシランカップリング剤などの表面処理剤で処理されてもよい。カップリング剤はアクリレート、およびメタクリレート等の反応性硬化基で官能化されてもよい。
【0080】
非共有結合構造を付与するのに使用されるフィラー粒子は、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、又はこれらの材料の混合物を互いに用いて、又はそれらを炭素と一緒に用いて構成されてもよい。合成された状態では、これらの材料は、表面にヒドロキシル基が存在するため、一般に親水性である。しかし、この特性を変えるため、アルキルシランなどの適切な試剤で処理することによって材料を変性させてもよい。例えば、所望の特性に応じて、フィラー粒子の表面を中性、疎水性、又は反応性にしてもよい。ヒュームドシリカは、低コスト、商業的入手性、および広範囲の使用可能な表面の特性のため、自己支持特性を付与するのに好ましい化合物である。
【0081】
他の好適なフィラーは、(特許文献34)(チャン(Zhang)ら)および(特許文献35)(ウー(Wu)ら)、並びに、(特許文献36)(チャン(Zhang)ら)、(特許文献37)(ウィンディッシュ(Windisch)ら)、(特許文献38)(チャン(Zhang)ら)および(特許文献39)(ウー(Wu)ら)に開示されている。これらの参考文献に記載のフィラー成分には、ナノサイズのシリカ粒子、ナノサイズの金属酸化物粒子、およびこれらの組み合わせが含まれる。ナノフィラーは、「ナノジルコニアフィラーを含有する歯科用組成物」(“Dental Compositions Containing Nanozirconia Fillers,”)と題された米国特許出願である(特許文献40);「ナノフィラーを含有する歯科用組成物および関連する方法」(“Dental Compositions Containing Nanofillers and Related Methods,”)と題された米国特許出願である(特許文献41);および、「歯科用組成物の屈折率を調整するためのナノ粒子の使用」(“Use of Nanoparticles to Adjust Refractive Index of Dental Compositions,”)と題された米国特許出願である(特許文献42)にも記載されており、これらは3つとも全て2004年5月17日に出願された。
【0082】
好ましくは、フィラー系の総量は、組成物の総重量を基準にして50重量%より多く、更に好ましくは60重量%より多く、最も好ましくは70重量%より多い。フィラー系が繊維を含む場合、繊維は、組成物の総重量を基準にして20重量%未満の量で存在する。好ましくは、フィラー系の総量は、組成物の総重量を基準にして95重量%以下、更に好ましくは80重量%以下である。
【0083】
他の添加剤
本発明の組成物は、界面活性剤系、即ち、1種類の界面活性剤、又は2種類以上の界面活性剤の混合物を含有してもよい。このような界面活性剤は、非イオン性、アニオン性、又はカチオン性とすることができる。界面活性剤は、共重合性又は非共重合性とすることができる。
【0084】
組成物は、更に、着色剤(例えば、シェード調整のために従来使用されている顔料又は染料)、香味剤、薬剤、安定剤(ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)など)、粘度調整剤、希釈剤、流れ調整添加剤、チキソトロープ剤、抗微生物剤、およびポリマー増粘剤等の任意選択的試剤を含んでもよい。必要に応じて、これらの任意選択的添加剤の様々な組み合わせを使用することができる。このような試剤は、それらが樹脂と共重合するように、任意に反応性官能基を含んでもよい。
【0085】
好ましくは、任意選択的成分の総量は、組成物の総重量を基準にして、5.0重量%以下、より好ましくは約2.5重量%以下、最も好ましくは1.5重量%以下である。
【0086】
使用方法
前述のカルボシラン含有ポリマーは、好ましくは不飽和基、とりわけ(メタ)アクリレート基のラジカル重合により硬化可能である歯科用組成物中の成分として使用することができる。本発明の歯科用組成物は、例えば、歯科用修復材又は予め製造される補綴デバイスとして使用することができる。修復材の例としては、歯科用コンポジットおよびアマルガムが挙げられる。予め製造される補綴デバイスの例としては、歯冠、ブリッジ、ベニア、インレー、アンレー、ポスト、およびピン等が挙げられる。
【0087】
本発明の組成物は、三次元形状、予備形成されたシート、アーチ形トレー、ロープ、ボタン、および、織物又は不織ウェブ等のような様々な形態に成形(例えば、成型)され得る。本組成物は、例えば、押出し、射出成形、圧縮成形、熱成形、真空成形、加圧加工、カレンダー加工、およびローラを使用したウェブ加工を含む様々な方法で、(第1の形状を形成するように)成形することができる。典型的には、ポジとネガの印象を有する金型を使用して、半仕上げの形状が形成される。造形品を、例えば、歯冠、歯科用印象トレー、および歯科矯正器具として使用することができる。歯科矯正器具の例としては、リンガルリテーナ、スペースリテーナ、フック、ボタン、スプリント、および歯科矯正用ブラケットのベースが挙げられる。
【実施例】
【0088】
以下の実施例で本発明の目的および利点を更に例証するが、これらの実施例に記載される特定の材料およびその量、並びに、他の条件および詳細は、本発明を不当に限定するものと解釈されるべきではない。別途明記しない限り、部およびパーセンテージは全て重量を基準にしており、水は全て脱イオン水であり、分子量は全て重量平均分子量である。
【0089】
圧縮強度(CS)試験方法
米国規格協会(ANSI/ASA)規定27番(1993年)に従って、試験サンプルの圧縮強度を測定した。サンプルを4ミリメートル(mm)(内径)のガラス管に充填し、(必要に応じて、サンプルを加熱して充填を達成し)、この管にシリコーンゴム栓で蓋をし、約0.28メガパスカル(Mpa)で5分間、軸方向に圧縮した。次いで、サンプルを、対向配置された2つのビジルクス(VISILUX)モデル2500青色光ガン(ミネソタ州セントポール、3M社(3M Co., St.Paul, MN))に90秒間露光し、続いてデンタカラーXS(Dentacolor XS)装置(ドイツ、クルツァー社(Kulzer, Inc., Germany))内で180秒間照射することにより光硬化させた。圧縮強度を測定するため、硬化したサンプルをダイヤモンドソーで切断し、長さ8mmの円筒状プラグを形成した。試験する前にプラグを37℃の蒸留水中に24時間貯蔵した。インストロン(Instron)試験機(インストロン(Instron)4505、マサチューセッツ州カントン、インストロン社(Instron Corp. Canton, MA))で10キロニュートン(kN)のロードセルを用いて1mm/分のクロスヘッド速度で測定を実施した。硬化したサンプルの5本の円筒を準備して測定し、その結果を5つの測定の平均としてMPaで報告した。
【0090】
直径引張強度(DTS)試験方法
ANSI/ASA規格27番(1993年)に従って、試験サンプルの直径引張強度を測定した。CS試験方法について記載したように、サンプルをガラス管に圧入し、硬化させた。次いで、DTSを測定するため、硬化したサンプルを厚さ2.2mmのディスクに切断した。ディスクを前述のように水中に貯蔵し、インストロン(Instron)試験機(インストロン(Instron)4505、インストロン社(Instron Corp.))で10キロニュートン(kN)のロードセルを用いて毎分1mm/分のクロスヘッド速度で測定した。硬化したサンプルの5つのディスクを準備して測定し、結果を5つの複製の平均としてMPaで報告した。
【0091】
重合収縮試験方法
ワッツ(Watts)の収縮試験手順((非特許文献4))を使用して、試験サンプルの重合収縮を測定した。3mmのガラススライドを使用して試験を実施した。
【0092】
AR2000レオメータ(デラウェア州ニューキャッスル、TAインスツルメンツ)(AR2000 Rheometer(TA Instruments, New Castle, DE))を使用して試験サンプルの粘度を測定した。サンプル約1.2グラム(g)をステージ(約25℃)と40mmアルミニウムプレートの間に配置した。ステップフロー手順(stepped flow procedure)に従い、1〜1000パスカル(Pa)の対数剪断応力傾斜でプレートを回転させた(合計10のデータ点)。粘度結果を10のデータ点の平均として25℃におけるセンチポアズ(cP)で報告した。
【0093】
【表1】

【0094】
実施例1
カルボシランオリゴマーの合成(スキーム4;Ar=1,4−二置換フェニル)
グリセロールジアリルエーテル(オレゴン州ポートランド、TCIアメリカ(TCI America, Portland, OR))(30.00g、0.17モル(mol))、無水メタクリル酸(シグマ−アルドリッチ(Sigma−Aldrich))(29.55g、0.19ミリモル(mmol))、トリエチルアミン(マサチューセッツ州、ウォードヒル、アルファ・イーサー(Alfa Aesar, Ward Hill, MA))(17.76g、0.17mol)、4−ジメチルアミノピリジン(シグマ−アルドリッチ(Sigma−Aldrich))(1.05g、8.6mmol)およびテトラヒドロフラン(70ml)の混合物を室温で4時間攪拌した。4−ジメチルアミノピリジン(1.05g、8.6mmol)の追加の投入量を添加し、混合物を室温で48時間攪拌した。反応混合物を真空下で濃縮し、酢酸エチル(400ml)で希釈した。混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液(200ml)で、および飽和塩化ナトリウム水溶液(100ml)で3回抽出した。有機相をMgSO4で乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物を減圧下で蒸留し、2つの留分を回収した(0.15mmHg、20パスカルで60〜80℃(7.48g)、および、0.15mmHg、20パスカルで80〜85℃(8.57g))。沸点が高い方の留分を、沸点が低い方の留分4.6gと合わせて、シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(30重量%酢酸エチル含有ヘキサン)で精製し、2−メチルアクリル酸2−アリルオキシ−1−アリルオキシメチル−エチルエステルを無色の油(8.90g)として得た。
【0095】
1,4−ビス−ジメチルシリルベンゼン(ペンシルバニア州タリータウン、ゲレスト社(Gelest,Inc., Tulleytown, PA))(1.52g、7.9mmol)、2−メチルアクリル酸2−アリルオキシ1−アリルオキシメチル−エチルエステル(2.88g、12mmol)、トルエン(10ml)、および、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(ゲレスト社(Gelest, Inc.))2滴の混合物を室温で90分間混合した。混合物をシリカゲルカラム上にロードし、酢酸エチル(40体積%)/ヘキサン(60体積%)の混液で溶離した。溶媒を蒸発させ、生成物を油(4.20g)として得た。油の粘度は812cPであった。
【0096】
1H核磁気共鳴分光法(NMR)および赤外分光法(IR)スペクトルによる油のキャラクタリゼーションは、スキーム4に示されている構造(Ar=1,4−二置換フェニル)と一致した。
【0097】
実施例2
カルボシランオリゴマーの合成(スキーム4;Ar=1,3−二置換フェニル)
無水テトラヒドロフラン(65ml)中に1,3−ジブロモベンゼン(シグマ−アルドリッチ(Sigma−Aldrich))(30.00g、0.13mol)を溶解させた溶液を、クロロジメチルシラン(シグマ−アルドリッチ(Sigma−Aldrich))(40.10g、0.42mol)、無水テトラヒドロフラン(100ml)、およびマグネシウム・削り状(24.31g、0.13mol)の混合物に1時間にわたって1滴ずつ添加した。完全に添加した後、混合物を2時間還流した。次いで、真空下で溶媒を除去し、残留物をヘキサン(200ml)で希釈した。固体をヘキサン(200ml)で2回洗浄し、濾過した。合わせたヘキサン溶液を真空下で濃縮し、減圧下で残留物を蒸留し(2mmHg、267パスカルで47〜49℃)、1,3−ビス−ジメチルシリルベンゼンを無色の油(17.41g)として得た。
【0098】
1,3−ビス−ジメチルシリルベンゼン(1.63g、8.4mmol)、2−メチルアクリル酸2−アリルオキシ−1−アリルオキシメチル−エチルエステル(2.52g、12mmol)、トルエン(10ml)および白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液2滴の混合物を室温で90分間混合した。混合物をシリカゲルカラム上にロードし、酢酸エチル(40体積%(vol%))/ヘキサン(60体積%)の混液で溶離した。溶媒を蒸発させ、生成物を油(3.47g)として得た。油の粘度は2277cPであった。1H NMRおよびIRスペクトルによる油のキャラクタリゼーションは、スキーム4に示されている構造(Ar=1,3−二置換フェニル)と一致した。
【0099】
実施例3
カルボシランオリゴマーの合成(スキーム3;モル比A)
ビスフェノールA(シグマ−アルドリッチ(Sigma−Aldrich))(16.78g、74mmol)、アリルブロマイド(シグマ−アルドリッチ(Sigma−Aldrich))(24.00g、200mmol)、炭酸カリウム(シグマ−アルドリッチ(Sigma−Aldrich))(30.00g、217mmol)、18−クラウン−6(シグマ−アルドリッチ(Sigma−Aldrich))(0.10g)およびアセトン(250ml)の混合物を50℃で17時間機械的に攪拌した。次いで、混合物を濾過し、真空下で濾液を濃縮した。残留物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(10重量%酢酸エチル含有ヘキサン)で精製し、ビスフェノールAジアリルエーテルを無色の油(20.00g)として得た。
【0100】
ビスフェノールAジアリルエーテル(2.00g、6.5mmol)、1,4−ビス−ジメチルシリルベンゼン(2.52g、13mmol)、トルエン(15ml)、および、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液1滴の混合物を室温で90分間混合した。アリルメタクリレート(シグマ−アルドリッチ(Sigma−Aldrich))(1.64g、13mmol)を添加し、混合物を3時間攪拌した。次いで、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液1滴を添加し、混合物を更に17時間攪拌した。混合物をシリカゲルカラム上にロードし、酢酸エチル(30体積%)/ヘキサン(70体積%)の混液で溶離した。溶媒を蒸発させ、生成物をワックス状の固体(4.47g)として得た。1H NMRおよびIRスペクトルによるワックス状の固体のキャラクタリゼーションは、スキーム3に示されている構造と一致した。
【0101】
実施例4
カルボシランオリゴマーの合成(スキーム3;モル比B)
ビスフェノールAジアリルエーテル(2.16g、7.0mmol)、1,4−ビス−ジメチルシリルベンゼン(2.52g、13mmol)、トルエン(15ml)、および、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液1滴の混合物を室温で90分間混合した。アリルメタクリレート(シグマ−アルドリッチ(Sigma−Aldrich))(1.50g、12mmol)を添加し、混合物を3時間攪拌した。次いで、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液1滴を添加し、混合物を更に17時間攪拌した。混合物をシリカゲルカラム上にロードし、酢酸エチル(30体積%)/ヘキサン(70体積%)の混液で溶離した。溶媒を蒸発させ、生成物をワックス状の固体(3.50g)として得た。1H NMRおよびIRスペクトルによるワックス状の固体のキャラクタリゼーションは、スキーム3に示されている構造と一致した。
【0102】
実施例5〜12
重合性組成物
以下の概略的手順に従って重合性組成物(実施例5〜12)を調製した。光開始剤/安定剤成分を最初にBisGMA中に溶解させ、得られた混合物を組成物の他のモノマー成分(BisEMA−6、UDMA、TEGDMA、TAC、およびカルボシランオリゴマー(実施例1〜4から選択される))と合わせた。使用した光開始剤/安定剤成分の濃度(BisGMA(即ち、樹脂)100部当たりの部、phrに換算)は、CPQ(0.176phr)、EDMAB(1.55phr)、DPIHFP(0.517phr)、BHT(0.155phr)、および、ベンゾトリアゾール(1.552phr)であった。ブレンドされたモノマー成分とフィラー成分STZの重量を測定して、スクリュキャップを有するMAX20プラスチックミキシングカップ(サウスカロライナ州ランドラム、フラクテック(Flakteck, Landrum, SC))に入れた後、密閉したカップを85℃のオーブンで30分間加熱した。このカップをDAC 150FV高速ミキサ(フラクテック(Flakteck))に入れ、回転混合を1分間3000rpmで実施した。次いで、カップを30分間、85℃で再加熱し、続いてもう1分、3000rpmで混合し、ブレンドされた最終組成物を得た。各実施例の成分の量を表1に記載する。BisGMAの重量は、光開始剤/安定剤成分の重量を含む。
【0103】
【表2】

【0104】
組成物特性の評価
組成物サンプル(実施例5〜12)の重合収縮、圧縮強度、および直径引張強度を本明細書に記載の試験方法に従って評価した。結果を表2に記載する。
【0105】
【表3】

【0106】
本明細書に引用される特許、特許文献、および出版物の完全な開示は、参照により、それぞれが個々に組み込まれるかのごとく、その内容全体が組み込まれる。当業者には、本発明の範囲および趣旨を逸脱することなく、本発明の様々な修正および変更が明らかである。本発明は、本明細書に記載される例証の実施形態および実施例によって不当に限定されるものではなく、このような実施例および実施形態は例示の目的で示されるに過ぎず、本発明の範囲は前述の特許請求の範囲によってのみ限定されることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つより多くの繰り返し単位、
少なくとも4つのSi−アリーレン結合、
少なくとも1つの(メタ)アクリレート部分、Si−H部分、もしくは両方、
0個のSi−O結合、および、
各繰り返し単位で1つのアリーレン基によって分離されている2つのケイ素原子、
を有する、カルボシラン含有ポリマー。
【請求項2】
少なくとも4つのケイ素原子を有する、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
少なくとも2つのエチレン性不飽和部分を有する、請求項1又は請求項2に記載のポリマー。
【請求項4】
数平均分子量が1モル当たり20,000グラム以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項5】
次式(I)
【化1】

(式中、
各Arは独立してアリーレン基であり、
各Rは独立して任意に1つ以上のO、Br、Cl若しくはSi原子又はこれらの組み合わせを含む、脂肪族基、脂環式基、又はこれらの組み合わせであり、二環式基を含んでもよく、
各Qは独立して単結合、又は、任意に1つ以上のO、Br、Cl若しくはSi原子又はこれらの組み合わせを含む、脂肪族基、脂環式基、芳香族基、又はこれらの組み合わせであり、二環式基を含んでもよく、ここで、Qは任意に1つ以上の(メタ)アクリレート基を含み、
各R1〜R4基は独立して、任意に1つ以上の(メタ)アクリレート基で置換されている、脂肪族基、脂環式基、芳香族基、又はこれらの組み合わせであり、
各R5〜R6基は独立して、水素、任意に1つ以上の(メタ)アクリレート基で置換されている、脂肪族基、脂環式基、芳香族基、又はこれらの組み合わせであり、そして
nは1より大きい。)
を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項6】
次式(II)
【化2】

(式中、
各Arは独立してアリーレン基であり、
各Qは独立して、単結合、又は、任意に1つ以上のO、Br、Cl若しくはSi原子又はこれらの組み合わせを含む、脂肪族基、脂環式基、芳香族基、又はこれらの組み合わせであり、二環式基を含んでもよく、ここで、Qは任意に1つ以上の(メタ)アクリレート基で置換されており、
各R1〜R4基はメチルであり、
各R5〜R6基は独立して、水素、任意に1つ以上のO、Br、Cl若しくはSi原子又はこれらの組み合わせを含み、任意に1つ以上の(メタ)アクリレート基で置換されている、脂肪族基、脂環式基、芳香族基、又はこれらの組み合わせであり、そして
nは1より大きい。)
を有する、請求項5に記載のポリマー。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のカルボシラン含有ポリマーおよび開始剤系を含む、歯科用組成物。
【請求項8】
前記カルボシラン含有ポリマーが結晶性である、請求項7に記載の歯科用組成物。
【請求項9】
フィラー系を更に含む、請求項7又は請求項8に記載の歯科用組成物。
【請求項10】
着色剤、香味剤、薬剤、安定剤、粘度調整剤、希釈剤、流れ調整添加剤、チキソトロープ剤、抗微生物剤、およびポリマー増粘剤、および、これらの組み合わせからなる群から選択される添加剤を更に含む、請求項7〜9のいずれか1項に記載の歯科用組成物。
【請求項11】
前記カルボシラン含有ポリマーとは異なる重合性成分を更に含む、請求項7〜10のいずれか1項に記載の歯科用組成物。
【請求項12】
前記カルボシラン含有ポリマーとは異なる前記重合性成分が、(メタ)アクリレート成分である、請求項11に記載の歯科用組成物。
【請求項13】
硬化前の前記組成物の体積を基準にして、2.0%以下の重合収縮を有する、請求項7〜12のいずれか1項に記載の歯科用組成物。
【請求項14】
前記組成物の総重量を基準にして、前記カルボシラン成分を1重量%〜60重量%含む、請求項7〜13のいずれか1項に記載の歯科用組成物。

【公表番号】特表2008−506816(P2008−506816A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−521600(P2007−521600)
【出願日】平成17年7月13日(2005.7.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/024821
【国際公開番号】WO2006/019796
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【出願人】(504169278)スリーエム イーエスピーイー アーゲー (43)
【Fターム(参考)】