説明

カンナビノイド受容体リガンドおよびその使用

【課題】カンナビノイド受容体の変調と関連した病気の治療に有用な医薬組成物の提供。
【解決手段】カンナビノイド受容体リガンドとして作用する式(III)(Aが窒素の場合Bは炭素、Aが炭素の場合Bは窒素、R0a、R0b、R1b、R1cはハロ、アルコキシ、アルキル、ハロアルキル、又はシアノで、n及びmは、0〜2で、Xは結合又は−C(R2a)(R2b)で、R2a、R2b、R3a及びR3bは水素、アルキル、ハロアルキルで、Rは無置換又は置換基)の化合物。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は、カンナビノイド受容体リガンド、特にCB1受容体アンタゴニストとしての2環式ピラゾイルおよびイミダゾリル化合物と、カンナビノイド受容体アンタゴニストにより変調される疾患、状態及び/又は障害を治療するためのその使用に関する。
【0002】
背景
肥満は、その増加する罹患率と関連する健康リスクのために、公衆衛生の重大な懸念である。一般に、肥満と過体重は、ボディ・マス指数(BMI)により定義され、これは、全体脂肪に相関して、疾患の相対リスクを評価する。BMI(kg/m)は、体重(キログラム)を身長(メートル)の2乗で割ることによって計算する。過体重は、典型的には、25〜29.9kg/mのBMIとして定義され、肥満は、典型的には、30kg/mのBMIとして定義される。例えば、国立心臓、肺、血液研究所(National Heart, Lung, and Blood Institute)の「成人の過体重及び肥満の同定、評価、及び治療に関する臨床ガイドライン(Clinical Guidelines on the Identification, Evaluation, and Treatment of Overweight and Obesity in Adults)」、エビデンスレポート、ワシントン、DC:米国保健社会福祉省、NIH公報番号98−4083(1998)を参照のこと。
【0003】
肥満の増加が懸念されるのは、冠動脈性心疾患、卒中、高血圧、2型糖尿病、脂質異常症、睡眠時無呼吸、骨関節炎、胆石疾患、うつ病、及びある種の癌(例、子宮内膜、乳房、前立腺、及び結腸の癌)が含まれる、肥満に関連した過度の健康リスクのためである。肥満がもたらす健康への負の結果により、肥満は、米国において予防可能な死の第二位の原因となっていて、重大な経済及び社会心理上の影響を社会に与えている。McGinnis M, Foege WH.,「米国における死の本当の理由(Actual Causes of Death in the United States)」JAMA, 270, 2207-12 (1993) を参照のこと。
【0004】
肥満は、その関連する健康リスクを低下させるために治療を必要とする慢性疾患として今日認識されている。減量も重要な治療アウトカムであるが、肥満管理の主要目標の1つは、心臓血管系及び代謝系の数値を改善して肥満関連の罹病率及び死亡率を低下させることである。5〜10%の減量が、血糖、血圧、及び脂質濃度のような代謝系の数値を実質的に改善し得ることが示されている。従って、体重を意図的に5〜10%低下させることで、罹病率及び死亡率を低下させることができると考えられている。
【0005】
肥満を管理するための現行で利用可能な処方薬は、一般に、満腹感を誘発すること、又は食事の脂肪吸収を減少させることによって体重を抑える。満腹感は、ノルエピネフリン、セロトニン、又はその両方のシナプスレベルを高めることによって達成される。例えば、セロトニン受容体サブタイプの1B、1D、及び2Cと1及び2−アトレナリン作動性受容体の刺激は、満腹感を調節することによって食物摂取を減少させる。Bray GA,「薬物治療の新時代。肥満の薬理治療:シンポジウム概説(The New Era of Drug Treatment. Pharmacologic Treatment of Obesity: Symposium Overview)」Obes Res., 3 (suppl 4), 415s-7s (1995) を参照のこと。アドレナリン作用薬(例、ジエチルプロピオン、ベンズフェタミン、フェンジメトラジン、マジンドール、及びフェンテルミン)は、カテコールアミン放出の促進を介して中枢ノルエピネフリン及びドパミン受容体を変調させることによって作用する。より旧式のアドレナリン作用性減量薬(例、アンフェタミン、メタアンフェタミン、及びフェンメトラジン)は、ドパミン経路に強力に作用するが、その乱用リスクのためにもはや推奨されていない。フェンフルラミンとデクスフェンフルラミンは、いずれも食欲を調節するために使用されるセロトニン作用薬であるが、もはや使用に供されていない。
【0006】
より最近、CB1カンナビノイド受容体アンタゴニスト/インバースアゴニストが潜在的な食欲抑制薬として示唆されている。例えば、Arnone, M., et al.「SR141716、中枢カンナビノイド(CB1)受容体のアンタゴニストによるショ糖及びエタノール摂取の選択阻害(Selective Inhibition of Sucrose and Ethanol Intake by SR141716, an Antagonist of Central Cannabinoid (CB1) Receptors)」Psychopharmacol, 132, 104-106 (1997); Colombo, G., et al.,「カンナビノイドアンタゴニスト、SR141716による食欲抑制及び減量(Appetite Suppression and Weight Loss after the Cannabinoid Antagonist SR141716)」Life Sci., 63, PL113-PL117 (1998);Simiand, J., et al.,「SR141716、CB1カンナビノイド受容体アンタゴニストは、マーモセットにおいて甘味食の摂取を選択的に抑制する(SR141716, a CB1 Cannabinoid Receptor Antagonist, Selectively Reduces Sweet Food Intake in Marmoset)」Behav. Pharmacol., 9, 179-181 (1998);及び Chaperon, F., et al.,「ラットの位置条件付けの確立における中枢カンナビノイド(CB1)受容体の関与(Involvement of Central Cannabinoid (CB1) Receptors in the Establishment of Place Conditioning in Rats)」Psychopharmacology, 135, 324-332 (1998) を参照のこと。カンナビノイドCB1及びCB2受容体変調剤の概説については、Pertwee, R. G.,「カンナビノイド受容体リガンド:将来の医薬発見及び開発に関連した、臨床及び神経薬理学上の考察(Cannabinoid Receptor Ligands: Clinical and Neuropharmacological Considerations, Relevant to Future Drug Discovery and Development)」Exp. Opin. Invest. Drugs, 9(7), 1553-1571 (2000) を参照のこと。
【0007】
種々の研究が進行中であるが、体重増加を抑制するか又は予防するためのより有効で安全な治療法へのニーズは依然として存在する。
肥満だけでなく、アルコール乱用の治療への未充足ニーズも存在する。アルコール中毒には、米国で約1,090万の男性と440万の女性が罹患している。1年あたり約100,000件の死亡がアルコール乱用又は依存症によるものとされている。アルコール中毒に関連した健康リスクには、運動制御及び意思決定の破綻、癌、肝疾患、先天性欠損、心臓病、薬物/薬物相互作用、膵炎、及び対人問題が含まれる。種々の研究は、内因性カンナビノイドの状態がエタノール摂取の制御に重要な役割を担うことを示唆している。内因性CB1受容体アンタゴニストのSR−141716Aは、ラット及びマウスにおいて、随意のエタノール摂取を阻止することが示された。Arnone, M., et al.「SR141716、中枢カンナビノイド(CB1)受容体のアンタゴニストによるショ糖及びエタノール摂取の選択阻害(Selective Inhibition of Sucrose and Ethanol Intake by SR141716, an Antagonist of Central Cannabinoid (CB1) Receptors)」Psychopharmacol, 132, 104-106 (1997) を参照のこと。概説については、Hungund, B. L. and B. S. Basavarajappa,「アナンダミド及びカンナビノイド受容体はエタノール耐性に関与しているのか? 証拠に関する概説(Are Anandamide and Cannabinoid Receptors involved in Ethanol Tolerance? A Review of the Evidence)」Alcohol & Alcoholism. 35(2) 126-133, 2000 を参照のこと。
【0008】
アルコール乱用又は依存症への現行の治療薬は、全般に、服薬不履行性や潜在的な肝毒性で不利を蒙っている。故に、アルコール乱用/依存症のより有効な治療薬への高い未充足ニーズが存在する。
概要
本発明は、カンナビノイド受容体リガンド(特にCB1受容体ンタゴニスト)として作用する式(I)または(II)の化合物
【0009】
【化1】

【0010】
[ここで、Aは窒素であり、Bは炭素であり、またはAは炭素であり、Bは窒素であり;
は1つ以上の置換基で置換されていてもよいアリール、または1つ以上の置換基で置換されていてもよいヘテロアリール(好ましくはRは置換フェニル、よりこの好ましくはハロ(好ましくはクロロまたはフロロ)、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキル、ハロ置換(C−C)アルキル(好ましくはフルオロ置換アルキル)、およびシアノからなる群から独立的に選択される1〜3つの置換基で置換されたフェニル、最も好ましくは、Rは、2−クロロフェニル、2−フルオロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、2−フルオロ−4−クロロ−フェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、または2,4−ジフルオロフェニルである)であり;
は、1つ以上の置換基で置換されていてもよいアリール、1つ以上の置換基で置換されていてもよいヘテロアリール、−CH=CH−R1a、または−CHCH−R1aであり、ここでR1aは水素または(C−C)アルキル、3〜8員部分または完全飽和炭素(複数)環、3〜6員部分または完全飽和ヘテロ環、アリール、ヘテロアリールから選択される化学基であり、ここで前記化学基は一つ以上の置換基で置換されていてもよい;
Xは結合であるか、または−C(R2a)(R2b)であり、ここでR2aおよびR2bはそれぞれ独立的に水素、(C−C)アルキル、またはハロ置換された(C−C)アルキル(好ましくは、R2aとR2bは共に水素)であり;
3aおよびR3bはそれぞれ独立的に水素、(C−C)アルキル、またはハロ置換された(C−C)アルキルであり;そして
は(C−C)アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール(C−C)アルキル、3〜8員部分または完全飽和炭素(複数)環、ヘテロアリール(C−C)アルキル、5−6員ラクトン、5−6員ラクタム、および3〜8員部分または完全飽和へテロ環からなる群から選択される化学基であり、ここで前記化学基は1つ以上の置換基で置換されていてもよい]、
その製剤的に許容される塩、前記化合物または前記塩のプロドラッグ、または前記化合物、前記塩または前記プロドラッグの溶媒和物または水和物を提供する。
【0011】
本発明の好ましい態様では、式(III)または(IV)の化合物
【0012】
【化2】

【0013】
[ここでA、B、X、R2a、R2b、R3a、R3bおよびRは上述に定義されたのと同じであり;
0a、R0b、R1bおよびR1cはそれぞれ独立的にハロ、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキル、ハロ置換(C−C)アルキル、またはシアノであり;
nおよびmはそれぞれ独立的に0、1または2である]、
それらの製剤的に許容される塩、前記化合物または前記塩のプロドラッグ、または前記化合物、前記塩または前記プロドラッグの溶媒和物または水和物が提供される。
【0014】
本発明のより好ましい態様では、Rは(C−C)アルキル、アリール(C−C)アルキル、および3〜8員部分または完全飽和炭素(複数)環からなる群から選択される化学基であり、ここで前記化学基は1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0015】
より好ましくは、Rは(C−C)アルキル、ハロ置換(C−C)アルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ピペリジン−1−イル、ピロリジン−1−イル、またはモルホリン−1−イルである。
【0016】
好ましくは、RおよびRはそれぞれ独立的にハロ、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキル、ハロ置換(C−C)アルキル、およびシアノからなる群から独立的に選択される1〜3つの置換基を有するフェニルであり;
より好ましくは、RおよびRはそれぞれ独立的にクロロ、フロロ、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキル、フルオロ置換(C−C)アルキル)、およびシアノからなる群から独立的に選択される1〜2の置換基で置換されたフェニルであり;
最も好ましくは、Rは、2−クロロフェニル、2−フルオロフェニル、2、4−ジクロロフェニル、2−フルオロ−4−クロロ−フェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、または2、4−ジフルオロフェニルであり;そしてRは4−クロロ−フェニル、4−シアノフェニルまたは4−フルオロフェニルである。
【0017】
Aが窒素でBが炭素でありXが結合である、式(I)の好ましい化合物には:
2−(2−クロロ−フェニル)−5−イソプロピル−3−(3,4,5−トリフルオロ−フェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピロール[3,4−c]ピラゾール−6−オン;2,3−ビス−(2−クロロ−フェニル)−5−イソプロピル−4,5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−c]ピラゾール−6−オン;2−(2−クロロ−フェニル)−5−イソプロピル−3−(4−メトキシメチル−フェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−c]ピラゾール−6−オン;2−(2−クロロ−フェニル)−3−(2−フルオロ−フェニル)−5−イソプロピル−4,5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−c]ピラゾール−6−オン;2−(2−クロロ−フェニル)−5−イソプロピル−3−(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−c]ピラゾール−6−オン;3−(3−クロロ−4−フルオロ−フェニル)−2−(2−クロロ−フェニル)−5−イソプロピル−4,5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−c]ピラゾール−6−オン;2−(2−クロロ−フェニル)−3−(4−フルオロ−3−メチル−フェニル)−5−イソプロピル−4,5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−c]ピラゾール−6−オン;3−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−クロロ−フェニル)−5−イソプロピル−4,5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−c]ピラゾール−6−オン;3−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−クロロ−フェニル)−5−イソプロピル−4−メチル−4,5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−c]ピラゾール−6−オン;4−ベンジル−3−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−クロロ−フェニル)−5−イソプロピル−4,5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−c]ピラゾール−6−オン;5−tert−ブチル−3−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−クロロ−フェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−c]ピラゾール−6−オン;3−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−クロロ−フェニル)−5−シクロブチル−4,5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−c]ピラゾール−6−オン;3−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−クロロ−フェニル)−5−シクロペンチル−4,5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−c]ピラゾール−6−オン;3−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−クロロ−フェニル)−5−シクロヘキシル−4,5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−c]ピラゾール−6−オン;3−(4−クロロ−フェニル)−2−(2,4−ジクロロ−フェニル)−5−イソプロピル−4,5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−c]ピラゾール−6−オン;5−tert−ブチル−3−(4−クロロ−フェニル)−2−(2,4−ジクロロ−フェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−c]ピラゾール−6−オン;3−(4−クロロ−フェニル)−5−シクロペンチル−2−(2,4−ジクロロ−フェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−c]ピラゾール−6−オン;3−(2−クロロ−フェニル)−2−(4−クロロ−フェニル)−5−イソプロピル−4,5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−c]ピラゾール−6−オン;3−(2−クロロ−フェニル)−2−(4−クロロ−フェニル)−5−シクロペンチル−4,5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−c]ピラゾール−6−オン;3−(2−クロロ−フェニル)−2−(4−クロロ−フェニル)−5−シクロヘキシル−4,5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−c]ピラゾール−6−オン;5−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−3−(2−クロロ−フェニル)−2−(4−クロロ−フェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−c]ピラゾール−6−オン;2−(4−クロロ−フェニル)−5−シクロペンチル−3−(2−フルオロ−フェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−c]ピラゾール−6−オン;および2−(4−クロロ−フェニル)−5−シクロヘキシル−3−(2−フルオロ−フェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−c]ピラゾール−6−オン;それらの製剤的に許容される塩、または前記化合物または前記塩の溶媒和物または水和物が含まれる。
【0018】
より好ましい化合物には:3−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−クロロ−フェニル)−5−イソプロピル−4,5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−c]ピラゾール−6−オン;3−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−クロロ−フェニル)−5−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−c]ピラゾール−6−オン;および4−[2−(2−クロロ−フェニル)−5−イソプロピル−6−オキソ−2,4,5,6−テトラヒドロ−ピロロ[3,4−c]−ピラゾール3−イル]−ベンゾニトリル;その製剤的に許容される塩、または前記化合物または前記塩の溶媒和物または水和物が含まれる。
【0019】
Aが窒素でBが炭素でありXが−C(R2a)(R2b)−である式(I)の好ましい化合物には:3−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−クロロ−フェニル)−6−イソプロピル−2,4,5,6−テトラヒドロ−ピラゾロ[3,4−c]ピリジン−7−オン;3−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−クロロ−フェニル)−6−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−2,4,5,6−テトラヒドロ−ピラゾール[3,4−c]ピリジン−7−オン;3−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−クロロ−フェニル)−6−(2,2−ジフルオロ−エチル)−2,4,5,6−テトラヒドロ−ピラゾロ [3,4−c]ピリジン−7−オン;および3−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−クロロ−フェニル)−6−(2−フルオロ−エチル)−2,4,5,6−テトラヒドロ−ピラゾロ[3,4−c]ピリジン−7−オン;その製剤的に許容される塩、または前記化合物または前記塩の溶媒和物または水和物が含まれる。
【0020】
Aが炭素でBが窒素でありXが結合である、式(I)の好ましい化合物には:2−(4−クロロ−フェニル)−5−シクロペンチル−1−(2−フルオロ−フェニル)−5,6−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,4−d]イミダゾール−4−オン;2−(4−クロロ−フェニル)−5−シクロペンチル−1−(2,4−ジクロロ−フェニル)−5,6−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,4−d]イミダゾール−4−オン;2−(4−クロロ−フェニル)−5−シクロヘキシル−1−(2,4−ジクロロ−フェニル)−5,6−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,4−d]イミダゾール−4−オン;2−(4−クロロ−フェニル)−1−(2,4−ジクロロ−フェニル)−5−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−5,6−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,4−d]イミダゾール−4−オン;2−(4−クロロ−フェニル)−1−(2−クロロ−フェニル)−5−イソプロピル−5,6−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,4−d]イミダゾール−4−オン;2−(4−クロロ−フェニル)−1−(2−クロロ−フェニル)−5−シクロペンチル−5,6−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,4−d]イミダゾール−4−オン;2−(4−クロロ−フェニル)−1−(2−クロロ−フェニル)−5−シクロヘキシル−5,6−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,4−d]イミダゾール−4−オン;2−(2−クロロ−フェニル)−1−(4−クロロ−フェニル)−5−シクロヘキシル−5,6−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,4−d]イミダゾール−4−オン;2−(4−クロロ−フェニル)−5−シクロヘキシルメチル−1−(2−フルオロ−フェニル)−5,6−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,4−d]イミダゾール−4−オン;5−シクロペンチル−2−(4−フルオロ−フェニル)−1−(2−フルオロ−フェニル)−5,6−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,4−d]イミダゾール−4−オン;1−(2−クロロ−フェニル)−5−シクロペンチル−2−(4−フルオロ−フェニル)−5,6−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,4−d]イミダゾール−4−オン;2−(2−クロロ−フェニル)−1−(4−クロロ−フェニル)−5−シクロペンチル−5,6−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,4−d]イミダゾール−4−オン;2−(2−クロロ−フェニル)−1−(4−クロロ−フェニル)−5−シクロヘキシル−5,6−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,4−d]イミダゾール−4−オン;および1−(4−クロロ−フェニル)−5−シクロヘキシル−2−(2,4−ジクロロ−フェニル)−5,6−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,4−d]イミダゾール−4−オン;その製剤的に許容される塩、または前記化合物または前記塩の溶媒和物または水和物が含まれる。
【0021】
より好ましい化合物は、2−(4−クロロ−フェニル)−5−シクロペンチル−1−(2−フルオロ−フェニル)−5,6−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,4−d]イミダゾール−4−オン;その製剤的に許容される塩、または前記化合物または前記塩の溶媒和物または水和物である。
【0022】
Aが炭素でBが窒素でありXが−C(R2a)(R2b)−である式(I)の好ましい化合物は、2−(4−クロロ−フェニル)−1−(2−クロロ−フェニル)−5−シクロペンチル−1,5,6,7−テトラヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−オン;その製剤的に許容される塩、または前記化合物または前記塩の溶媒和物または水和物である。
【0023】
が−CH=CH−R1aである式(I)の好ましい化合物には:2−(2−クロロ−フェニル)−3−[2−(4−クロロ−フェニル)−ビニル]−5−イソプロピル−4,5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−c]ピラゾール−6−オン;2−(2−クロロ−フェニル)−5−イソプロピル−3−ビニル−4,5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3, 4−c]ピラゾール−6−オン;2−(2−クロロ−フェニル)−3−[2−(4−クロロ−フェニル)−ビニル]−5−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−c]ピラゾール−6−オン;2−(2−クロロ−フェニル)−3−[2−(4−クロロ−フェニル)−ビニル]−5−(2,2−ジフルオロ−エチル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−c]ピラゾール−6−オン;および2−(2−クロロ−フェニル)−3−[2−(4−クロロ−フェニル)−ビニル]−5−(2−フルオロ−エチル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−c]ピラゾール−6−オン;その製剤的に許容される塩、または前記化合物または前記塩の溶媒和物または水和物が含まれる。
【0024】
式(II)の好ましい化合物には:2−(4−クロロ−フェニル)−5−シクロヘキシル−3−(2−フルオロ−フェニル)−2,4,5,6−テトラヒドロ−ピロロ[3,4−c]−ピラゾール;3−(4−クロロ−フェニル)−5−シクロペンチル−2−(2,4−ジクロロ−フェニル)−2,4,5,6−テトラヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピラゾール;および3−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−クロロ−フェニル)−5−イソプロピル−2,4,5,6−テトラヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピラゾール;その製剤的に許容される塩、または前記化合物または前記塩の溶媒和物または水和物が含まれる。
【0025】
本明細書に記載される化合物のいくつかは、少なくとも1つのキラル中心を含有し;それ故に、当業者は、本明細書において例示されて考察される化合物のすべての立体異性体(例、エナンチオマー及びジアステレオマー)が本発明の範囲内にあることを理解されたい。さらに、本化合物の互変異性型も本発明の範囲内にある。当業者は、α−アミノエーテル又はα−クロロアミンのような化学部分はあまりに不安定で単離することができない場合があり、故に、そのような部分は、本発明の一部を形成しないと認識されたい。
【0026】
本発明の化合物は、有用なカンナビノイド受容体リガンド(特に、CB1受容体アンタゴニスト)であることが示されている。従って、本発明の別の側面は、(1)本発明の化合物と(2)医薬的に許容される賦形剤、希釈剤、又は担体を含む医薬組成物である。好ましくは、医薬組成物は、本発明の化合物の治療有効量を含む。本組成物はまた、少なくとも1つの追加の医薬剤(本明細書に記載する)を含有してよい。好ましい薬剤には、ニコチン受容体部分アゴニスト、オピオイドアンタゴニスト(例、ナルトレキソン及びナルメフェン)、ドパミン作用剤(例、アポモルヒネ)、注意不足障害(注意不足活動亢進症(ADHD)が含まれるADD)剤(例、RitalinTM、StratteraTM、ConcertaTM、及びAdderallTM)、及び抗肥満剤(本明細書において以下に記載する)が含まれる。
【0027】
本発明のなお別の態様において、カンナビノイド受容体(好ましくは、CB1受容体)アンタゴニストにより仲介される疾患、状態又は障害を動物において治療する方法が提供され、本発明の化合物(又はその医薬組成物)の治療有効量をそのような治療の必要な動物へ投与する工程が含まれる。
【0028】
カンナビノイド受容体アンタゴニストにより仲介される疾患、状態、及び/又は障害には、摂食障害(例、過剰摂食障害、拒食症、及び過食症)、体重低下又は制御(例、カロリー又は食物摂取の低下、及び/又は食欲抑制)、肥満、うつ病、非定型うつ病、双極性異常、精神病、精神分裂病、行動嗜癖、報奨関連行動の抑圧(例、コカイン及びモルヒネ誘発性の条件づけられた場所選好の抑圧のような、条件づけられた場所回避)、物質乱用、嗜癖異常、直情性、アルコール中毒(例、アルコール乱用、嗜癖、及び/又は依存症。禁断、渇望低下の治療とアルコール摂取の再発予防が含まれる)、タバコ乱用(例、喫煙嗜癖、禁煙、及び/又は依存症。渇望低下の治療と喫煙の再発予防が含まれる)、痴呆(記憶喪失、アルツハイマー病、加齢性痴呆、血管性痴呆、軽度認知障害、加齢関連の認知低下、及び軽度の神経性認知障害が含まれる)、男性の性機能障害(例、勃起不全症)、発作異常症、てんかん、炎症、胃腸障害(例、胃腸運動又は腸進行の機能不全)、注意不足障害(ADD/ADHD)、パーキンソン病、及びII型糖尿病が含まれる。好ましい態様において、本方法は、体重低下、肥満、過食症、ADD/ADHD、パーキンソン病、痴呆、アルコール中毒、及び/又はタバコ乱用の治療に使用される。
【0029】
本発明の化合物は、他の医薬剤と組み合わせて投与してよい。好ましい医薬剤には、ニコチン受容体部分アゴニスト、オピオイドアンタゴニスト(例、ナルトレキソン(ナルトレキソンデポーが含まれる)、アンタビュース、及びナルメフェン)、ドパミン作用剤(例、アポモルヒネ)、ADD/ADHD剤(例、塩酸メチルフェニルデート(例、RitalinTM及びConcertaTM)、アトモキセチン(例、StratteraTM)、及びアンフェタミン(例、AdderallTM))、及び、アポB/MTP阻害剤、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ−1(11β−HSD1型)阻害剤、ペプチドYY3−36又はその類似体、MCR−4アゴニスト、CCK−Aアゴニスト、モノアミン再取込み阻害剤、交感神経様作用剤、βアドレナリン作用性受容体アゴニスト、ドパミン受容体アゴニスト、メラノサイト刺激ホルモン受容体類似体、5−HT2c受容体アゴニスト、メラニン濃縮ホルモン受容体アンタゴニスト、レプチン、レプチン類似体、レプチン受容体アゴニスト、ガラニン受容体アンタゴニスト、リパーゼ阻害剤、ボンベシン受容体アゴニスト、神経ペプチドY受容体アンタゴニスト(例、本明細書において以下に記載するもののようなNPY−5受容体アンタゴニスト)、甲状腺類似剤、デヒドロエピアンドロステロン又はその類似体、グルココルチコイド受容体アンタゴニスト、オレキシン受容体アンタゴニスト、グルカゴン様ペプチド−1受容体アゴニスト、毛様体神経栄養因子、ヒト・アグーティ関連タンパク質アンタゴニスト、グレリン受容体アンタゴニスト、ヒスタミン3受容体アンタゴニスト又はインバースアゴニスト、及びニューロメジンU受容体アゴニスト、等のような抗肥満剤が含まれる。
【0030】
組合せ療法は、(a)本発明の化合物、本明細書に記載される少なくとも1つの追加医薬剤、及び医薬的に許容される賦形剤、希釈剤、又は担体を含む単一の医薬組成物として投与しても、(b)(i)本発明の化合物と医薬的に許容される賦形剤、希釈剤、又は担体を含んでなる第一の組成物、及び(ii)本明細書に記載される少なくとも1つの追加医薬剤と医薬的に許容される賦形剤、希釈剤、又は担体を含んでなる第二の組成物を含んでなる2つの別々の医薬組成物として投与してもよい。医薬組成物は、同時に、又は連続して、どの順序で投与してもよい。
【0031】
本発明のなお別の側面において、カンナビノイド受容体アンタゴニストにより変調される疾患、状態又は障害を動物において治療するために、消費者による使用のための医薬キットが提供される。このキットは、a)本発明の化合物を含んでなる好適な剤形;及びb)カンナビノイド受容体(特に、CB1受容体)アンタゴニストにより変調される疾患、状態又は障害を治療するために上記剤形を使用する方法について記載する手引きを含む。
【0032】
本発明のなお別の態様において、医薬キットは、a)(i)本発明の化合物、及び(ii)医薬的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤を含んでなる第一の剤形;b)(i)本明細書に記載される追加医薬剤、及び(ii)医薬的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤含んでなる第二の剤形;及びc)容器を含んでなる。
【0033】
定義
本明細書に使用する用語「アルキル」は、一般式C2n+1の炭化水素基を意味する。アルカン基は、直鎖でも分岐鎖でもよい。例えば、用語「(C〜C)アルキル」は、1〜6の炭素原子を含有する、1価、直鎖又は分岐鎖の脂肪族基を意味する(例、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、ネオペンチル、3,3−ジメチルプロピル、ヘキシル、2−メチルペンチル、等)。同様に、アルコキシ、アシル(例、アルカノイル)、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、及びアルキルチオ基のアルキル部分(即ち、アルキル成分)は、上記と同じ定義を有する。「随意に置換される」と示されるとき、アルカン基又はアルキル部分は、未置換でも、「置換」の定義において以下に列挙される置換基の群より独立して選択される1以上の置換基(ペルクロロ又はペルフルオロアルキルのようなハロゲン置換基の場合を除けば、一般的には、1〜3の置換基)で置換されてもよい。「ハロ置換アルキル」は、1以上のハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する(例、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペルフルオロエチル、等)。置換されるとき、アルカン基又はアルキル部分は、好ましくは、1〜3のフルオロ置換基、又は(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルケニル、アリール、ヘテロアリール、3〜6員複素環、クロロ、シアノ、ヒドロキシ、(C〜C)アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、(C〜C)アルキルアミノ、ジ(C〜C)アルキルアミノ、アミノカルボキシレート(即ち、(C〜C)アルキル−O−C(O)−NH−)、ヒドロキシ(C〜C)アルキルアミノ、又はケト(オキソ)より独立して選択される1又は2の置換基で、より好ましくは、1〜3のフルオロ基、又は(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C)アリール、6員へテロアリール、3〜6員複素環、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキルアミノ、又はジ(C〜C)アルキルアミノより選択される1つの置換基で置換される。
【0034】
用語「部分又は完全飽和炭素環式環」(「部分又は完全飽和シクロアルキル」とも呼ばれる)は、部分的又は完全に水素化していて、単環、二環式環、又はスパイラル環として存在し得る、非芳香族の環を意味する。他に述べなければ、炭素環式環は、一般に、3〜8員環である。例えば、部分又は完全飽和炭素環式環(又はシクロアルキル)には、シクロプロピル、シクロプロペニル、シクロブチル、シクロブテニル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、ノルボニル(ビシクロ[2.2.1]ヘプチル)、ノルボルネニル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、等のような基が含まれる。「随意に置換される」と明記されるとき、部分飽和又は完全飽和のシクロアルキル基は、未置換でも、「置換」の定義において以下に列挙される置換基の群より独立して選択される1以上の置換基(典型的には、1〜3の置換基)で置換されてもよい。置換された炭素環式環には、炭素環式環がフェニル環へ縮合している基(例、インダニル)も含まれる。炭素環式環は、炭素環式環系内の炭素原子のどの1つによって化学実体又は部分へ付いてもよい。置換されるとき、炭素環式基は、好ましくは、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキリデニル、アリール、ヘテロアリール、3〜6員複素環、クロロ、フルオロ、シアノ、ヒドロキシ、(C〜C)アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、(C〜C)アルキルアミノ、ジ(C〜C)アルキルアミノ、アミノカルボキシレート(即ち、(C〜C)アルキル−O−C(O)−NH−)、ヒドロキシ(C〜C)アルキルアミノ、又はケト(オキソ)より独立して選択される1又は2の置換基で、そしてより好ましくは、(C〜C)アルキル、3〜6員複素環、フルオロ、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキルアミノ、又はジ(C〜C)アルキルアミノより独立して選択される1又は2の置換基で置換される。同様に、ある基(例、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアミノ、等)のどのシクロアルキル部分も、上記と同じ定義を有する。
【0035】
用語「部分飽和又は完全飽和複素環式環」(「部分飽和又は完全飽和複素環」とも呼ばれる)は、部分的又は完全に水素化している非芳香族の環を意味し、単環、二環式環、又はスパイラル環として存在してよい。他に特定しなければ、複素環式環は、一般に、イオウ、酸素、及び/又は窒素より独立して選択される1〜3のヘテロ原子(好ましくは、1又は2のヘテロ原子)を含有する3〜6員環である。部分飽和又は完全飽和複素環式環には、エポキシ、アジリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロピリジニル、ピロリジニル、N−メチルピロリジニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピラゾリジニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、2H−クロメニル、オキサジニル、モルホリノ、チオモルホリノ、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロチエニル1,1−ジオキシド、等が含まれる。「随意に置換される」と明示されるとき、部分飽和又は完全飽和の複素環基は、未置換でも、「置換」の定義において以下に列挙される置換基の群より独立して選択される1以上の置換基(典型的には、1〜3の置換基)で置換されてもよい。置換された複素環式環には、複素環式環がアリール又はヘテロアリール環へ縮合している基(例、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、2,3−ジヒドロインドリル、2,3−ジヒドロベンゾチオフェニル、2,3−ジヒドロベンゾチアゾリル、等)が含まれる。置換されるとき、複素環基は、好ましくは、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルケニル、アリール、ヘテロアリール、3〜6員複素環、クロロ、フルオロ、シアノ、ヒドロキシ、(C〜C)アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、(C〜C)アルキルアミノ、ジ(C〜C)アルキルアミノ、アミノカルボキシレート(即ち、(C〜C)アルキル−O−C(O)−NH−)、又はケト(オキソ)より独立して選択される1又は2の置換基で、そしてより好ましくは、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C)アリール、6員へテロアリール、3〜6員複素環、又はフルオロより独立して選択される1又は2の置換基で置換される。複素環式基は、複素環式環系内の環原子のどの1つによっても化学実体又は部分へ付いてよい。同様に、ある基(例、複素環置換アルキル、複素環カルボニル、等)のどの複素環部分も、上記と同じ定義を有する。
【0036】
用語「アリール」又は「芳香族炭素環式環」は、単一(例、フェニル)又は縮合環系(例、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、等)を有する芳香族部分を意味する。典型的なアリール基は、6〜10員芳香族炭素環式環である。「随意に置換される」と明示されるとき、アリール基は、未置換でも、「置換」の定義において以下に列挙される置換基の群より独立して選択される1以上の置換基(好ましくは、3以下の置換基)で置換されてもよい。置換されたアリール基には、芳香族部分(例、ビフェニル、テルフェニル、フェニルナフタリル、等)の鎖が含まれる。置換されるとき、芳香族部分は、好ましくは、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、アリール、ヘテロアリール、3〜6員複素環、ブロモ、クロロ、フルオロ、ヨード、シアノ、ヒドロキシ、(C〜C)アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、(C〜C)アルキルアミノ、ジ(C〜C)アルキルアミノ、又はアミノカルボキシレート(即ち、(C〜C)アルキル−O−C(O)−NH−)より独立して選択される1又は2の置換基で、そしてより好ましくは、(C〜C)アルキル、クロロ、フルオロ、シアノ、ヒドロキシ、又は(C〜C)アルコキシより独立して選択される1又は2の置換基で置換される。アリール基は、アリール環系内の炭素原子のどの1つによっても化学実体又は部分へ付いてよい。同様に、アロイル又はアロイルオキシ(即ち、(アリール)−C(O)−O−)のアリール部分(即ち、芳香族成分)も、上記と同じ定義を有する。
【0037】
用語「ヘテロアリール」又は「複素芳香族環」は、5〜10員芳香族環系(例、ピロリル、ピリジル、ピラゾリル、インドリル、インダゾリル、チエニル、フラニル、ベンゾフラニル、オキサゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、ピリミジル、ピラジニル、チアゾリル、プリニル、ベンゾイミダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、等)の内部に少なくとも1つのヘテロ原子(例、酸素、イオウ、窒素、又はこれらの組合せ)を含有する芳香族部分を意味する。複素芳香族部分は、単一又は縮合環系からなる場合がある。典型的な単一ヘテロアリール環は、酸素、イオウ、及び窒素より独立して選択される1〜3のヘテロ原子を含有する5〜6員環であり、典型的な縮合ヘテロアリール環系は、酸素、イオウ、及び窒素より独立して選択される1〜4のヘテロ原子を含有する9〜10員環系である。「随意に置換される」と明示されるとき、ヘテロアリール基は、未置換でも、「置換」の定義において以下に列挙される置換基の群より独立して選択される1以上の置換基(好ましくは、3以下の置換基)で置換されてもよい。置換されるとき、複素芳香族部分は、好ましくは、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、アリール、ヘテロアリール、3〜6員複素環、ブロモ、クロロ、フルオロ、ヨード、シアノ、ヒドロキシ、(C〜C)アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、(C〜C)アルキルアミノ、ジ(C〜C)アルキルアミノ、又はアミノカルボキシレート(即ち、(C〜C)アルキル−O−C(O)−NH−)より独立して選択される1又は2の置換基で、そしてより好ましくは、(C〜C)アルキル、クロロ、フルオロ、シアノ、ヒドロキシ、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキルアミノ、又はジ(C〜C)アルキルアミノより独立して選択される1又は2の置換基で置換される。ヘテロアリール基は、芳香族環系(例、イミダゾール−1−イル、イミダゾール−2−イル、イミダゾール−4−イル、イミダゾール−5−イル、ピリド−2−イル、ピリド−3−イル、ピリド−4−イル、ピリド−5−イル、又はピリド−6−イル)内の原子のどの1つによっても化学実体又は部分へ付いてよい。同様に、ヘテロアロイル又はヘテロアロイルオキシ(即ち、(ヘテロアリール)−C(O)−O−)のヘテロアリール部分(即ち、複素芳香族成分)も、上記と同じ定義を有する。
【0038】
用語「アシル」は、水素、アルキル、部分飽和又は完全飽和シクロアルキル、部分飽和又は完全飽和複素環、アリール、及びヘテロアリールで置換されたカルボニル基を意味する。例えば、アシルには、(C〜C)アルカノイル(例、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、バレリル、カプロイル、t−ブチルアセチル、等)、(C〜C)シクロアルキルカルボニル(例、シクロプロピルカルボニル、シクロブチルカルボニル、シクロペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル、等)、複素環式カルボニル(例、ピロリジニルカルボニル、ピロリド−2−オン−5−カルボニル、ピペリジニルカルボニル、ピペラジニルカルボニル、テトラヒドロフラニルカルボニル、等)、アロイル(例、ベンゾイル)、及びヘテロアロイル(例、チオフェニル−2−カルボニル、チオフェニル−3−カルボニル、フラニル−2−カルボニル、フラニル−3−カルボニル、1H−ピロリル−2−カルボニル、1H−ピロリル−3−カルボニル、ベンゾ[b]チオフェニル−2−カルボニル、等)のような基が含まれる。さらに、アシル基のアルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、及びヘテロアリール部分は、上記のそれぞれの定義に記載される基のどれでもよい。「随意に置換される」と明示されるとき、アシル基は、未置換でも、「置換」の定義において以下に列挙される置換基の群より独立して選択される1以上の置換基(典型的には、1〜3の置換基)で随意に置換されてよいか、又はアシル基のアルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、及びヘテロアリール部分が、それぞれ、置換基の好ましい、及びより好ましいリストにおいて上記に記載されるように置換されてよい。
【0039】
用語「置換」には、当該技術分野で一般的である1以上の置換基が具体的に想定されて、可能である。しかしながら、一般に、化合物の薬理学的特性に不利に影響を及ぼしたり、医薬品の使用と不利に干渉したりしないように置換基を選択すべきであると、当業者には理解されている。上記に定義される基のいずれにも適した置換基には、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキリデニル、アリール、ヘテロアリール、3〜6員複素環、ハロ(例、クロロ、ブロモ、ヨード、及びフルオロ)、シアノ、ヒドロキシ、(C〜C)アルコキシ、アリールオキシ、スルフヒドリル(メルカプト)、(C〜C)アルキルチオ、アリールチオ、アミノ、モノ若しくはジ(C〜C)アルキルアミノ、四級アンモニウム塩、アミノ(C〜C)アルコキシ、アミノカルボキシレート(即ち、(C〜C)アルキル−O−C(O)−NH−)、ヒドロキシ(C〜C)アルキルアミノ、アミノ(C〜C)アリキルチオ、シアノアミノ、ニトロ、(C〜C)カルバモイル、ケト(オキソ)、アシル、(C〜C)アルキル−CO−、グリコリル、グリシル、ヒドラジノ、グアニル、スルファミル、スルホニル、チオ(C〜C)アルキル−C(O)−、チオ(C〜C)アルキル−CO−、及びこれらの組合せが含まれる。「置換アリール(C〜C)アルキル」のような置換の組合せの場合、アリール又はアルキル基の一方が、1以上の置換基(典型的には、ペルハロ置換の場合を除けば、1〜3の置換基で置換されても、アリール及びアルキル基の両方がそれで置換されてもよい。アリール又はヘテロアリール置換された炭素環式又は複素環式基は、縮合環(例、インダニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロインドリル、等)であり得る。
【0040】
用語「溶媒和物」は、式(I)又は(II)により表される化合物(そのプロドラッグ及び医薬的に許容される塩が含まれる)の1以上の溶媒分子との分子複合体を意味する。そのような溶媒分子は、医薬技術分野において通常使用されているものであり、レシピエントに対して無害であることか知られている(例、水、エタノール、等)。用語「水和物」は、溶媒分子が水である複合体を意味する。
【0041】
用語「保護基」又は「Pg」は、化合物上の他の官能基を反応させる間、ある特定の官能基を遮断又は保護するために通常利用される置換基を意味する。例えば、「アミノ保護基」は、化合物中のアミノ官能基を遮断又は保護する、アミノ基へ付く置換基である。好適なアミノ保護基には、アセチル、トリフルオロアセチル、t−ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBz)及び9−フルオレニルメチレンオキシカルボニル(Fmoc)が含まれる。同様に、「ヒドロキシ保護基」は、ヒドロキシ官能基を遮断又は保護する、ヒドロキシ基の置換基を意味する。好適な保護基には、アセチル及びシリルが含まれる。「カルボキシ保護基」は、カルボキシ官能基を遮断又は保護する、カルボキシ基の置換基を意味する。一般的なカルボキシ保護基には、−CHCHSOPh、シアノエチル、2−(トリメチルシリル)エチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、2−(p−トルエンスルホニル)エチル、2−(p−ニトロフェニルスルフェニル)エチル、2−(ジフェニルホスフィノ)−エチル、ニトロエチル、等が含まれる。保護基とその使用についての一般的な記載には、T. W. Greene,「有機合成の保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」ジョン・ウィリー・アンド・サンズ、ニューヨーク(1991)を参照のこと。
【0042】
句「治療有効量」は、(i)特定の疾患、状態、又は障害を治療するか又は予防する、(ii)特定の疾患、状態、又は障害の1以上の症状を弱める、寛解する、又は消失させる、又は(iii)本明細書に記載する特定の疾患、状態、又は障害の1以上の症状の発症を予防するか又は遅らせる、本発明の化合物の量を意味する。
【0043】
用語「動物」は、ヒト(男性又は女性)、伴侶動物(例、イヌ、ネコ、及びウマ)、食料源の動物、動物園の動物、海洋動物、鳥や他の類似の動物種を意味する。「食用動物」は、ウシ、ブタ、ヒツジ、及び家禽のような食料源の動物を意味する。句「医薬的に許容される」は、その物質又は組成物が、製剤を含んでなる他の成分、及び/又はそれで治療される哺乳動物と化学的に、及び/又は毒性学的に適合可能でなければならないことを示す。
【0044】
用語「治療すること」、「治療する」、又は「治療」には、防止的(即ち、予防的)及び一時軽減的な治療がともに含まれる。
用語「カンナビノイド受容体により変調される」又は「カンナビノイド受容体の変調」は、カンナビノイド受容体の活性化又は不活性化を意味する。例えば、リガンドは、アゴニスト、部分アゴニスト、インバースアゴニスト、アンタゴニスト、又は部分アンタゴニストとして作用する場合がある。
【0045】
本明細書に使用される用語「アンタゴニスト」には、完全アンタゴニストと部分アンタゴニストの両方、並びにインバースアゴニストが含まれる。
用語「CB−1受容体」は、G−タンパク質結合タイプ1カンナビノイド受容体を意味する。
【0046】
用語「本発明の化合物」は、(他に具体的に確定しなければ)式(I)、(II)、(III)及び式(IV)の化合物、そのプロドラッグ、該化合物の医薬的に許容される塩、及び/又はプロドラッグ、及び該化合物、塩、及び/又はプロドラッグの水和物又は溶媒和物、並びに、すべての立体異性体(ジアステレオ異性体及びエナンチオマーが含まれる)、互変異性体、及び同位体標識化合物を意味する。
【0047】
本明細書で使用されるように、環内に円として示した構造は、芳香属性を意味する。例えば、以下の化学構造は、Aが窒素でBが炭素のときはピラゾール環を意味し;そしてAが炭素でBが窒素である場合はイミダゾールを意味する。
【0048】
【化3】

【0049】
発明の詳細な説明
本発明は、カンナビノイド受容体ンタゴニストによって変調される病気、状態、および/または疾患の処置に有効な化合物およびその医薬組成物を提供する。
【0050】
本発明の化合物は、特に本明細書に含まれる記載に照らして、化学技術分野でよく知られた方法に類似した方法が含まれる合成経路によって合成することができる。出発材料は、一般に、アルドリッチ・ケミカルズ(ワイオミング州ミルウォーキー)のような市販の供給業者より入手可能であるか、又は当業者によく知られた方法を使用して容易に製造される(例えば、Louis F. Fieser and Mary Fieser,「有機合成の試薬(Reagents for Organic Synthesis)」v. 1-19, ウィリー、ニューヨーク(1967-1999 ed.)又は Beilsteins Handbuch der organischen Chemie, 4, Aufl. Ed. Springer-Verlag, ベルリン(補遺が含まれる)(また、Beilstein オンライン・データベースより利用可能)に概ね記載される方法によって製造する)。
【0051】
例示の目的のために、以下に図示する反応スキームは、本発明の化合物、並びに主要な中間体を合成するための潜在的な経路を提供する。個別の反応工程のより詳しい記載については、以下の「実施例」セクションを参照のこと。当業者は、他の合成経路を使用して本発明の化合物を合成し得ることを理解されよう。以下のスキームでは、特定の出発材料及び試薬を図示して考察するが、他の出発材料及び試薬で容易に代用して、多様な誘導体及び/又は反応条件を提供することができる。さらに、以下に記載する方法により製造される化合物の多くは、当業者によく知られた慣用の化学を使用して、本開示に照らしてさらに修飾することができる。
【0052】
本発明の化合物の製造において、中間体の離れた官能基(例、一級又は二級アミン)の保護が必要となる場合がある。そのような保護の必要性は、離れた官能基の性質や製造法の条件に依存して変動するものである。好適なアミノ保護基(NH−Pg)には、アセチル、トリフルオロアセチル、t−ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBz)及び9−フルオレニルメチレンオキシカルボニル(Fmoc)が含まれる。そのような保護の必要性は、当業者により容易に決定される。保護基とその使用についての一般的な記載には、T. W. Greene,「有機合成の保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」ジョン・ウィリー・アンド・サンズ、ニューヨーク(1991)を参照のこと。
【0053】
スキームIは、Aが窒素、Bが炭素、Xは結合で、R3aとR3bが共に水素である本発明の化合物を提供するのに当業者が使用するであろう一般的な方法の概略を示している。
【0054】
【化4】

【0055】
ピラゾール中間体I−1aは、プロトン性溶媒(例えばエタノール)中環流条件下で、望ましいヒドラジンを弱い塩基(例えば、炭酸カリウムのようなアルカリ金属カルボネ−ト)の存在下でアセチレンジカルボキシレートと環化することにより調製することができる。中間体I−1bは、それからその−ピラゾール中間体I−1aを、非プロトン性溶媒(例えば、1,2−ジクロロエタン)中で加熱しながら、ジメチルホルムアミド(DMF)の存在下でオキシ臭化リンで処理することにより調製することができる。アミノ基(R−NH)は、それからトリアセトキシ−ボロハイドライドナトリウムと弱い酸(例えば酢酸)の存在下で、ホルミル化合物I−1bを望ましいアミン(R−NH)で処理することにより前記分子に導入することができる。様々なアミン化合物が市販されているか、または文献によく記載されている手順を使用してたやすく合成することができる。ラクタムは、ペンダントエステル基を加水分解し、前記ペンダントアミノ基をカルボン酸官能基で縮合しアミド結合を形成することによって調製される。ラクタム形成は当業者によく知られた手順を使用して実施される。例えば、前記カルボキシレートエステル中間体I−1cは、強い塩基(例えば、アルカリ金属水酸化物)を使用して極性溶媒(例えばエタノール)中で加熱して加水分解される。そのアミド結合は、得られたカルボン酸を、非反応性塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下1−プロパンリン酸環状無水物で処理することにより調製することができる。最後に、ブロモ基を望ましいR基で置換することによりR基がその分子に導入される。これは、望ましいホウ素酸(R−B(OH))またはスズ試薬(RSnR)で、極性溶媒中(1,2−ジメトキシエタン)フッ化セシウムおよびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)の存在下で高温(例えば100℃)にてブロモ中間体I−1dを処理することにより達成される。
【0056】
あるいは、Aが窒素でBが炭素でXが結合である本発明の化合物は、下のスキームIIに概略を示す手順を使用して調製することができる。スキームIIは、オレフィン機能性を還元することによりさらにモディファイすることができるビニル基のRへの導入をも示している。
【0057】
【化5】

【0058】
スキームIIでは、R基はその合成スキームの初期で導入される。中間体I−1dでのブロモ基の置換として上述したのと同様の手順を使用して、中間体I−1bは適当なホウ素酸またはスズ試薬で処理され、中間体I−2aが調製される。スキームIで述べたのと同じ一般的な手順を使用して、それからその望ましいアミン作用基が導入され、相当するカルボン酸に加水分解され、それからラクタムへ環化される。化合物I−AのRがビニル基の場合、その化合物は、そのビニル基を望ましいアリールハライド(例えば、ブロマイドまたはイオダイド)またはヘテロアリールハライド(例えば、ブロマイドまたはイオダイド)でパラジウムアセテートの存在下処理することによりさらにモディファイすることができる。化合物I−Bは、化合物I−Bのペンダント基(R1a−CH=CH−)の2重結合を、J. Amer. Chem Soc., 91,5769 (1969)に記載されているような標準的な還元手順を使用してさらにモディファイすることができる。化合物I−Bは、p−トルエンスルホニルヒドラジンの存在下で2−エトキシエタノール中で環流される。
【0059】
下のスキームIIIは、本発明の化合物でAが窒素でBが炭素でXが−(C(R2a)(R2b))−である化合物の調製を示している。
【0060】
【化6】

【0061】
中間体I−2aを水酸化ナトリウムの存在下で(2−(トリメチルシリル)エトキシメチル)トリフェニル−ホスホニウムクロライドと反応させ、シロキシ中間体I−3aを形成することにより、さらなるメチレンがその分子に導入される。それからそのシロキシ基は 、中間体I−3aを強い酸(例えば、濃フッ化水素酸)で処理することにより除去される。その望ましいアミン作用性は、上述の手順を使用して(例えば、1,2−ジクロロエタン中でトリアセトキシボロハイドライドナトリウムと酢酸での処置)、中間体I−3bを適当なアミン(RNH)で処理することにより導入される。ラクタムへの環化は、上述の方法と類似の手順を使用して、まずエステルをカルボン酸へ加水分解し、ラクタムへ環化することにより実施される(例えば、(1)KOH、エタノール、熱での処置の後、酸性化;および(2)ジクロロメタン中での1−プロパンリン酸環状無水物およびトリエチルアミンでの処置)。
【0062】
スキームIVは、Aが窒素でBが炭素、そしてXが結合である本発明の化合物の他の合成ルートを示している。
【0063】
【化7】

【0064】
出発物質I−4aは、Barthらによる欧州出願EP656354に記載されている方法を使用して調製することができる。そのハロ基(例えば、ブロモ)は、BarthらによるPCT出願W097/19063に記載の方法と類似の方法を使用して、ペンダントメチル基に導入することができる。例えば、出発物質I−4aは、高められた温度で、4塩化炭素中の2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)で処理することができる。I−4b中のブロモ基は、上述と同じ一般的な手順を使用して望ましいアミノ作用基と置換される。その化合物I−Aは、まずI−4cのエステル基を加水分解し、それから先に述べた一般的な手順を使用してアミド結合の形成により調製されうる。化合物I−Aは、Tet. Lett. (1998), 39,2319−2320で述べられている、ポタジウムヘキサメチルジシラジド (KHMDSi)の存在下での、望ましい試薬(R2a−Lおよび/またはR2a−L、ここでLはハロ基(例えば、ブロモ)のような脱離基)で化合物I−Aを処理することにより、ラクタム窒素に隣接する炭素上に一つ又は2つのペンダント基を結合させることよりさらに修飾することができる。
【0065】
スキ−ムVは、Aが炭素でBが窒素、そしてXが結合である本発明の化合物の調製のための合成ルート、ならびにR3aおよび/またはR3bの導入について示している。
【0066】
【化8】

【0067】
中間体I−5aは、不活性大気条件下で望ましいR基を有する適当なアミンをトリメチルアルミニウムで処理し、望ましいR基を有する適当なシアン化合物で縮合させることにより調製される。適当なアミン類には、置換されたフェニルアミン類(例えば、4−クロロ−フェニルアミン、4−フルオロフェニルアミン、4−ブロモフェニルアミン、4−ヨードフェニルアミン、4−シアノフェニルアミン等)ピリジン−2−イルアミン、ピリジン−3−イルアミン、ピリジン−4−イルアミン、置換されたピリジニルアミン類(例えば、2−ジメチルアミノピリジン−5−イルアミン、2−メトキシピリジン−5−イルアミン、5−クロロピリジン−2−イルアミン、5−メチルピリジン−2−イル、5−メトキシピリジン−2−イルアミン、3−クロロピリジン−4−イル;アミン、2−N−モルホリニルピリジン−5−イル、など)、および他の市販されているか容易に合成できる置換されたまたは置換されていないアリールおよびヘテロアリールアミン類が含まれる。適当なシアノ化合物には、置換−ベンゾニトリル類(例えば、2−クロロベンゾニトリル、2−フルオロベンゾニトリル、2−メトキシベンゾニトリル、2−メチルベンゾニトリル、2,4−ジクロロベンゾニトリル、2,4−ジフルオロベンゾニトリル、2−クロロ−4−フルオロベンゾニトリル、2−クロロ−4−メチルベンゾニトリル、2,4−ジメトキシベンゾニトリル、2−メチル−4−クロロベンゾニトリル、など)、シアノ−置換ピリジン類(例えば、4−シアノ−3−クロロピリジン)および市販されているか容易に合成される置換されたまたは置換されていないアリールまたはヘテロアリールニトリル類が含まれる。
【0068】
中間体I−5aは、Khanna, I. K. らによるJ. Med. Chem., 40,1634 (1997)に記載された方法と類似の方法を使用して、3−ブロモ−2−オキソ−プロピオン酸エステルと縮合させることにより、環化4−ヒドロキシ−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾールエステル I−5bが得られる。例えば、そのアミジン中間体I−5aは、マイルドな塩基(例えば、重炭酸ナトリウム)の存在下で極性溶媒(例えば、イソプロパノール)中で環流される。一般的に、その反応(すなわち、環化、その後の加水分解)は、直接的に望ましいイミダゾールエステル中間体I−5c を調製する。いくつかの例では、望ましいイミダゾールエステルI−5c を調製するには、最初のカルビノール縮合産物I−5bを酸触媒(例えば、環流トルエン中トルエンスルホン酸)で脱水する必要がある。
【0069】
そのイミダゾールエステルI−5cは、当業者によく知られた標準的な脱水方法を使用して4−ヒドロキシ−4,5−ジヒドロ中間体 I−5bから調製される。例えば、中間体I−5bは、環流トルエン中p-トルエンスルホン酸1水和物で処理される。あるいは、中間体I−5b は、メタン塩化スルホニルで塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下で処理される。そのブロモ基は、J. Het Chem, 34 (3), 765−771 (1997)記載の方法に従ってブロモで処理することにより中間体I−5cに導入される。I−5cのそのブロモ基は、まず中間体I−5cを強塩基(例えば、n−ブチルリチウム)で処理し、それからDMFで処理することにより、ホルミル基に転換され、中間体I−5dが調製される。前記アミノ作用基は、先のピラゾール化合物について述べた方法と類似の方法を使用して導入することができる。例えば、中間体I−5dを所望のアミン(R−NH)で、NaBH(OAc)の存在下で反応させて、中間体I−5eを調製する。そのアミノ中間体I−5eは、まずエステル基とその相当するカルボン酸に加水分解し、それからピラゾール誘導体について上述した方法と類似の方法を使用してアミド結合を形成させることによって環化させ、ラクタムを形成する。化合物I−Fは、上述の方法と類似の方法を使用して、ペンダントR3aおよび/またはR3b基をつけることにより、さらに修飾することができる。例えば、化合物I−fの望ましい試薬(R2a−Lおよび/またはR2a−L、ここでLはハロ基のような(例えば、ブロモ)脱離基)でのKHMDSiのような塩基の存在下での処理。
【0070】
スキームVIは、Aが炭素でBが窒素(イミダゾール)、そしてXが−C (R2a) (R2b)−である本発明の化合物の調製について示している。
【0071】
【化9】

【0072】
イミダゾール化合物I−Hは、上でピラゾール誘導体(I−D)の調製について述べたのと類似の方法を使用して調製される。余分のメチレンは、まずリチウムヘキサメチルジシラジドと(メトキシメチル) トリフェニルホスホニウムクロライドから形成されるイリドと中間体I−5eを反応させることによりその分子に導入され、ビニルエーテルI−6aが調製される。そのビニルエーテルは、酸性環境下でそのビニルエーテル中間体を加熱することにより、相当するアルデヒドに転換される。上述の方法と類似の方法を使用して、アミノ作用基(R−NH)が導入され、ラクタム環が形成される。上で述べたように、ラクタムはまずエステルを加水分解し、そしてアミド結合を形成することによって形成され、化合物I−Hを形成する。
【0073】
が置換されていてもよいピペリジニルまたはピロリジニル基である式Iの化合物は、スキームVII に示すように調製することができる。
【0074】
【化10】

【0075】
化合物I−Eの脱離基の除去は、当業者に知られたI−1のような2環式アミノ誘導体を与える方法により行うことができ、I−Iは引き続きDMFのような溶媒中で炭酸カルシウムのような適当な塩基の存在下でアルキルハライドと反応させ、またはジクロロメタンのような非極性溶媒中でトリエチルアミンのような塩基の存在下で酸塩化物あるいは塩化スルホニルと反応させることにより、I−Jのような化合物を調製することができる。化合物I−Eは、中間体I−Jの製造で述べたように、アルデヒドまたはケトン誘導体でNaBH(OAc)のような還元剤の存在下で処理することもできる。
【0076】
式II−AとII−Bの化合物は、スキームVIIIに示すように調製することができる。
【0077】
【化11】

【0078】
ピラゾール化合物I−Eは、水素化アルミニウムリチウムまたはボラン(BH)のような適当は還元剤にて、THFのような極性の非プロトン性溶媒中で、約0℃〜約100℃の温度で処置することにより、II−Aのような化合物が生成される。化合物II−Bは、同様の還元操作を使用して、I−Dから調製することができる。式IIのイミダゾール化合物(Aは炭素であり、そしては窒素であり)は、類似の手順を使用して調製することができる。
【0079】
当業者に知られた分離及び精製の慣用法及び/又は技術を使用して、本発明の化合物、並びにそれに関連する様々な中間体を単離することができる。そのような技術は当業者によく知られていて、例えば、あらゆる種類のクロマトグラフィー(高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、シリカゲルのような一般的な吸着体を使用するカラムクロマトグラフィー、及び薄層クロマトグラフィー)、再結晶、及び差異(即ち、液体−液体)抽出技術を含めてよい。
【0080】
本発明の化合物は、それ自体でも、医薬的に許容される塩、溶媒和物、及び/又は水和物の形態でも、単離して使用してよい。用語「塩」は、本発明の化合物の無機及び有機塩を意味する。これらの塩は、化合物の最終の単離及び精製の間に in situ で製造しても、又は化合物、又はプロドラッグを好適な有機又は無機の酸又は塩基と別々に反応させて、そのように生じた塩を単離することによって製造してもよい。代表的な塩には、臭化水素塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、シュウ酸塩、ベシレート、パルミチン酸塩、パモ酸塩、マロン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリル酸塩、リンゴ酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トシラート、ギ酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メシレート、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、及びラルリルスルホン酸塩、等が含まれる。これらには、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、等のようなアルカリ及びアルカリ土類金属に基づいたカチオン、並びに、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン、等が限定されずに含まれる無毒のアンモニウム、四級アンモニウム、及びアミンのカチオンが含まれる場合がある。例えば、Berge, et al., J. Pharm. Sci., 66, 1-19 (1977) を参照のこと。
【0081】
用語「プロドラッグ」は、in vivo で変換されて、式(I)の化合物又は該化合物の医薬的に許容される塩、水和物、又は溶媒和物を生じる化合物を意味する。この変換は、血液中の加水分解を介するような、様々な機序により起こり得る。プロドラッグの使用についての考察は、T. Higuchi and W. Etella,「新規送達系としてのプロドラッグ(Pro-drugs as Novel Delivery Systems)」A. C. S. シンポジウムシリーズ14巻と「ドラッグデザインにおける生物可逆性担体(Bioreversible Carriers in Drug Design)」Edward B. Roche(監修)、米国製薬協会・ペルガモンプレス(1987)により提供される。
【0082】
例えば、本発明の化合物がカルボン酸官能基を含有するならば、プロドラッグは、この酸基の水素原子を、(C〜C)アルキル、(C〜C12)アルカノイルオキシメチル、4〜9の炭素原子を有する1−(アルカノイルオキシ)エチル、5〜10の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルカノイルオキシ)−エチル、3〜6の炭素原子を有するアルコキシカルボニルオキシメチル、4〜7の炭素原子を有する1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、5〜8の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、3〜9の炭素原子を有するN−(アルコキシカルボニル)アミノメチル、4〜10の炭素原子を有する1−(N−(アルコキシカルボニル)アミノ)エチル、3−フタリジル、4−クロトノラクトニル、γ−ブチロラクトン−4−イル、ジ−N,N−(C〜C)アルキルアミノ(C〜C)アルキル(β−ジメチルアミノエチルのような)、カルバモイル−(C〜C)アルキル、N,N−ジ(C〜C)アルキルカルバモイル−(C〜C)アルキル、及びピペリジノ、ピロリジノ、又はモルホリノ−(C〜C)アルキルのような基で置換することによって形成されるエステルを含む場合がある。
【0083】
同様に、本発明の化合物がアルコール官能基を含有するならば、プロドラッグは、アルコール基の水素原子を、(C〜C)アルカノイルオキシメチル、1−((C〜C)アルカノイルオキシ)エチル、1−メチル−1−((C〜C)アルカノイルオキシ)エチル、(C〜C)アルカノイルカルボニルオキシメチル、N−(C〜C)アルカノイルカルボニルアミノメチル、スクシノイル、(C〜C)アルカノイル、α−アミノ(C〜C)アルカノイル、アリールアシル、及びα−アミノアシル、又はα−アミノアシル−α−アミノアシル(ここで、それぞれのα−アミノアシル基は、天然に存在するL−アミノ酸より独立して選択される)、P(O)(OH)、P(O)(O(C〜C)アルキル)又はグリコシル(炭水化物のヘミアセタール型のヒドロキシル基の除去より生じる残基)のような基で置換することによって形成することができる。
【0084】
本発明の化合物がアミン官能基を取り込むならば、プロドラッグは、アミン基中の水素原子を、R−カルボニル、RO−カルボニル、NRR’−カルボニルのような基で置換することによって形成することができる{ここで、RとR’は、それぞれ独立して、(C〜C10)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、ベンジルであるか、又はR−カルボニルは、天然のα−アミノアシル又は天然のα−アミノアシル−天然のα−アミノアシル、−C(OH)C(O)OY’(ここでY’は、H、(C〜C)アルキル、又はベンジルである)、−C(OY)Yである(ここでYは(C〜C)アルキルであり、Yは、(C〜C)アルキル、カルボキシ(C〜C)アルキル、アミノ(C〜C)アルキル、又はモノ−N−若しくはジ−N,N−(C〜C)アルキルアミノアルキル、−C(Y)Yであり、ここでYはH又はメチルであり、Yは、モノ−N−若しくはジ−N,N−(C〜C)アルキルアミノ、モルホリノ、ピペリジン−1−イル、又はピロリジン−1−イルである)}。
【0085】
本発明の化合物は、不斉又はキラル中心を含有する場合があり、それ故、様々な立体異性型で存在する。本発明の化合物のすべての立体異性型、並びに、ラセミ混合物が含まれるその混合物が本発明の一部を形成すると企図される。さらに、本発明には、すべての幾何及び位置異性体が含まれる。例えば、本発明の化合物が二重結合又は縮合環を取り込む場合、cis及びtrans型の両方、並びに混合物が本発明の範囲内に含まれる。
【0086】
ジアステレオマー混合物は、クロマトグラフィー及び/又は分画結晶化のような当業者によく知られた方法によって、その物理化学的な差異に基づいて、その個々のジアステレオ異性体へ分離することができる。エナンチオマーは、適切な光学活性化合物(例えば、キラルアルコールのようなキラル助剤、又はMosherの酸クロリド)との反応によってエナンチオマー混合物をジアステレオマー混合物へ変換すること、このジアステレオ異性体を分離すること、及び個々のジアステレオ異性体を対応する純粋なエナンチオマーへ変換すること(例えば、加水分解すること)によって分離することができる。また、本発明の化合物のいくつかは、アトロプ異性体(atropisomers)(例えば、置換ビアリール)であってよく、本発明の一部とみなされる。エナンチオマーは、キラルHPLCカラムの使用により分離してもよい。
【0087】
本発明の化合物は、非溶媒和物で存在しても、水、エタノール、等のような医薬的に許容される溶媒との溶媒和物で存在してもよく、本発明には、溶媒和型と非溶媒和型の両方が含まれると企図される。
【0088】
本発明の中間体および化合物は、異なる互変異性型で存在し得ることも可能であり、すべてのそのような形態が本発明の範囲内に含まれる。用語「互変異性体」又は「互変異性型」は、低いエネルギー障壁を介して相互交換可能である異なるエネルギーの構造異性体を意味する。例えば、プロトン互変異性体(プロトトロピック互変異性体としても知られる)には、ケト−エノール及びイミン−エナミン異性化のような、プロトンの移動を介した相互変換が含まれる。プロトン互変異性体の特定の例としては、イミダゾール部分で、2つの環窒素原子間でプロトンが移動するものである。結合価互変異性体には、結合電子のいくつかの再構成による相互変換が含まれる。
【0089】
本発明にはまた、天然に通常見出される原子量又は質量数とは異なる原子量又は質量数を有する原子により、1以上の原子が置き換えられていることを除けば、本明細書に列挙されるものと同一である、本発明の同位体標識化合物が含まれる。本発明の化合物へ取り込むことができる同位体の例には、それぞれH、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、123I、125I及び36Clといった、水素、炭素、窒素、酸素、リン、イオウ、フッ素、ヨウ素、及び塩素の同位体が含まれる。
【0090】
本発明のある種の同位体標識化合物(例えば、H及び14Cで標識したもの)は、化合物及び/又は基質の組織分布アッセイに有用である。トリチウム化(即ち、H)及び炭素−14(即ち、14C)同位体は、その調製の容易さと検出可能性のために特に好ましい。さらに、重水素(即ち、H)のようなより重い同位体での置換は、より大きな代謝安定性(例えば、in vivo 半減期の増加又は必要投与量の低下)より生じるある種の治療上の利点をもたらす可能性があり、それ故に、ある状況において好ましい場合がある。15O、13N、11C、及び18Fのような陽電子放射同位体は、基質受容体占有度を検査する陽電子放射断層撮影法(PET)試験に有用である。本発明の同位体標識化合物は、一般に、本明細書の以下の「スキーム」及び/又は「実施例」に開示されるものに類似の手順に従って、同位体標識試薬を非同位体標識試薬の代用とすることによって、製造することができる。
【0091】
本発明の化合物は、カンナビノイド受容体アンタゴニストにより変調される疾患、状態、及び/又は障害を治療するのに有用であり;それ故、本発明の別の態様は、本発明の化合物の治療有効量と医薬的に許容される賦形剤、希釈剤、又は担体を含んでなる医薬組成物である。
【0092】
典型的な製剤は、本発明の化合物と担体、希釈剤、又は賦形剤を混合することによって調製する。好適な担体、希釈剤、及び賦形剤は当業者によく知られていて、炭水化物、ワックス、水溶性及び/又は嚥下可能のポリマー、親水性又は疎水性の材料、ゼラチン、オイル、溶媒、水、等のような材料が含まれる。使用する特別な担体、希釈剤、又は賦形剤は、本発明の化合物が適用される手段及び目的に依存するものである。一般に、溶媒は、哺乳動物へ投与することが安全である(GRAS)として当業者に認識されている溶媒に基づいて選択される。一般に、安全な溶媒は、水のような無毒の水系溶媒と、水に溶けるか又は混和する他の無毒の溶媒である。好適な水系溶媒には、水、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(例、PEG400、PEG300)、等とこれらの混合物が含まれる。製剤には、1以上の緩衝剤、安定化剤、界面活性剤、湿潤剤、滑沢剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤、抗酸化剤、混濁剤、滑り剤、加工補助剤、着色剤、甘味剤、発香剤、芳香剤、及び、他の既知の添加剤を含めて、薬物の洗練された提示(即ち、本発明の化合物又はその医薬組成物)を提供するか、又は医薬生成物(即ち、医薬品)の製造に役立てることができる。
【0093】
本製剤は、慣用の溶解及び混合手順を使用して調製することができる。例えば、バルクの薬物(即ち、本発明の化合物又は該化合物の安定化型(例えば、シクロデキストリン誘導体や他の既知の複合剤との複合体))を、上記に記載の1以上の賦形剤の存在下に好適な溶媒に溶かす。典型的には、薬物の容易に制御可能な投与量を提供して、洗練されて容易に取り扱うことが可能な製品を患者へ与えるために、本発明の化合物を医薬剤形へ製剤化する。
【0094】
適用のための医薬組成物(又は製剤)は、薬物を投与するために使用する方法によって、多様なやり方で包装してよい。一般的には、流通用の製品には、医薬製剤を適正な形態で保管する容器が含まれる。好適な容器は当業者によく知られていて、ボトル(プラスチック及びガラス)、小袋(sachet)、アンプル、プラスチックバッグ、金属筒、等のような材料が含まれる。容器には、パッケージの中身への軽率なアクセスを防止する、不正操作が効かない(tamper-proof)組立ても含めてよい。さらに、この容器は、容器の中身について記載するラベルをその上に載せている。ラベルには、適切な警告を含めてよい。
【0095】
さらに本発明は、カンナビノイド受容体アンタゴニストにより変調される疾患、状態、及び/又は障害を動物において治療する方法が提供され、それには、本発明の化合物の治療有効量、又は本発明の化合物の有効量と医薬的に許容される賦形剤、希釈剤、又は担体を含んでなる医薬組成物をそのような治療の必要な動物へ投与することが含まれる。該方法は、カンナビノイド受容体(特に、CB1受容体)アンタゴニストにより変調される疾患、状態、及び/又は障害を治療するのに特に有用である。
【0096】
予備研究は、以下の疾患、状態、及び/又は障害がカンナビノイド受容体アンタゴニストにより変調されることを示した:摂食障害(例、過剰摂食障害、拒食症、及び過食症)、体重低下又は制御(例、カロリー又は食物摂取の低減、及び/又は食欲抑制)、肥満、うつ病、非定型うつ病、双極性異常、精神病、精神分裂病、行動嗜癖、報奨関連行動の抑圧(例、コカイン及びモルヒネ誘発性の条件づけられた場所選好の抑圧のような、条件づけられた場所回避)、物質乱用、嗜癖異常、直情性、アルコール中毒(例、アルコール乱用、嗜癖、及び/又は依存症。禁断、渇望低下への治療とアルコール摂取の再発予防が含まれる)、タバコ乱用(例、喫煙嗜癖、禁煙、及び/又は依存症。渇望低下への治療と喫煙の再発予防が含まれる)、痴呆(記憶喪失、アルツハイマー病、老人性痴呆、血管性痴呆、軽度認知障害、加齢関連の認知低下、及び軽度の神経性認知障害が含まれる)、男性の性機能障害(例、勃起不全症)、発作異常症、てんかん、炎症、胃腸障害(例、胃腸運動又は腸進行の機能不全)、注意不足障害(注意不足活動亢進症(ADHD)が含まれる、ADD)、パーキンソン病、及びII型糖尿病。
【0097】
故に、本明細書に記載する本発明の化合物は、カンナビノイド受容体アンタゴニストにより変調される疾患、状態、又は障害を治療するのに有用である。必然的に、本発明の化合物(そこで使用する組成物及び方法が含まれる)は、本明細書に記載する治療適用のための医薬品の製造に使用することができる。
【0098】
カンナビノイド受容体アンタゴニストが有効であり得る他の疾患、状態、及び/又は障害には、月経前症候群又は黄体後期症候群、偏頭痛、パニック障害、不安症、外傷後症候群、社会恐怖症、非痴呆者の認知障害、非健忘性の軽度認知障害、術後認知低下、衝撃行動に関連した障害(破壊行動障害(例、不安/うつ病、遂行機能改善、チック障害、行為障害、及び/又は対峙挑戦障害)、成人人格障害(例、境界人格障害、及び反社会人格障害)、衝撃行動に関連した障害(例、物質乱用、性倒錯症、及び自己毀損)、及び衝撃制御障害(例、間欠性爆発障害、窃盗癖、放火癖、病的賭博、及び抜毛癖)のような)、強迫異常症、慢性疲労症候群、男性の性機能不全(例、早漏)、女性の性機能不全、睡眠障害(例、睡眠時無呼吸)、自閉症、無言症、神経変性の運動障害、脊髄損傷、中枢神経系の傷害(例、外傷)、発作、神経変性疾患、又は毒性/感染性CNS疾患(例、脳炎、又は髄膜炎)、心臓血管系障害(例、血栓症)、及び糖尿病が含まれる。
【0099】
本発明の化合物は、1日につき約0.7mg〜約7,000mgの範囲の投与量レベルで患者へ投与することができる。約70kgの体重を有する正常な成人には、典型的には、体重1キログラムにつき約0.01mg〜約100mgの範囲の投与量で十分である。しかしながら、治療される被検者の年齢及び体重、企図される投与経路、投与する特定の化合物、等に依存して、この一般的な投与量範囲にいくらかの変動が必要とされる場合がある。特定の患者についての投与量範囲と至適投与量の決定は、本開示の利益を受ける当業者の能力内にある。また、本発明の化合物は、持続放出、制御放出、及び遅延放出製剤において使用してよく、これらの形態が当業者によく知られていることも留意される。
【0100】
本発明の化合物は、本明細書に記載する疾患、状態、及び/又は障害の治療用の他の薬剤とともに使用してもよい。故に、他の医薬剤と組み合わせて本発明の化合物を投与することが含まれる治療の方法も提供される。本発明の化合物と組み合わせて使用し得る好適な医薬剤には、アポリポタンパク質−B分泌/ミクロソームトリグリセリド転移タンパク質(アポB/MTP)阻害剤、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ−1(11β−HSD1型)阻害剤、ペプチドYY3−36又はその類似体、MCR−4アゴニスト、コレシストキニン−A(CCK−A)アゴニスト、モノアミン再取込み阻害剤(シブトラミンのような)、交感神経様作用剤、βアドレナリン作用性受容体アゴニスト、ドパミンアゴニスト(ブロモクリプチンのような)、メラノサイト刺激ホルモン受容体類似体、5HT2cアゴニスト、メラニン濃縮ホルモンアンタゴニスト、レプチン(OBタンパク質)、レプチン類似体、レプチン受容体アゴニスト、ガラニンアンタゴニスト、リパーゼ阻害剤(テトラヒドロリプスタチン、即ち、オルリスタトのような)、食欲減退剤(ボンベシンアゴニストのような)、神経ペプチドYアンタゴニスト(例、米国特許第6,566,367;6,649,624;6,638,942;6,605,720;6,495,559;6,462,053;6,388,077;6,335,345;及び6,326,375号;及び、米国特許公開公報番号2002/0151456及び2003/0366652;並びに、PCT特許公開公報番号WO03/010175、WO03/082190、及びWO02/048152に記載されるスピロ化合物のような、NPY Y5受容体アンタゴニスト)、甲状腺類似剤、デヒドロエピアンドロステロン又はその類似体、グルココルチコイド受容体アゴニスト又はアンタゴニスト、オレキシン受容体アンタゴニスト、グルカゴン様ペプチド−1受容体アゴニスト、毛様体神経栄養因子(Regeneron Pharmaceuticals社、ニューヨーク州タリータウン及びプロクター・アンド・ギャンブル社、オハイオ州シンシナチより入手可能なAxokineTMのような)、ヒト・アグーティ関連タンパク質(AGRP)、グレリン受容体アンタゴニスト、ヒスタミン3受容体アンタゴニスト又はインバースアゴニスト、ニューロメジンU受容体アゴニスト、等のような抗肥満剤が含まれる。下記に示す好ましい薬剤が含まれる他の抗肥満剤は、よく知られているか、又は本開示に照らせば、当業者にとってすぐに明らかであろう。
【0101】
特に好ましいのは、オルリスタト、シブトラミン、ブロモクリプチン、エフェドリン、レプチン、シュードエフェドリン;ペプチドYY3−36又はその類似体;及び2−オキソ−N−(5−フェニルピラジニル)スピロ−[イソベンゾフラン−1(3H),4’−ピペリジン]−1’−カルボキサミドからなる群より選択される抗肥満剤である。好ましくは、本発明の化合物と組合せ治療薬は、運動や分別のある食事(a sensible diet)とともに投与する。
【0102】
本発明の組合せ、医薬組成物、及び方法における使用に代表的な抗肥満剤は、当業者に知られた方法を使用して製造することができて、例えば、シブトラミンは、米国特許第4,929,629号に記載されるように製造することができて;ブロモクリプチンは、米国特許第3,752,814及び3,752,888号に記載されるように製造することができて;オルリスタトは、米国特許第5,274,143;5,420,305;5,540,917;及び5,643,874号に記載されるように製造することができて;PYY3−36(類似体が含まれる)は、米国特許公開広報番号2002/0141985及びWO03/027637に記載されるように製造することができて;そして、NPY Y5受容体アンタゴニスト、2−オキソ−N−(5−フェニルピラジニル)スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),4’−ピペリジン]−1’−カルボキサミドは、米国特許公開公報番号2002/0151456に記載されるように製造することができる。他の有用なNPY Y5受容体アンタゴニストには、3−オキソ−N−(5−フェニル−2−ピラジニル)−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),4’−ピペリジン]−1’−カルボキサミド;3−オキソ−N−(7−トリフルオロメチルピリド[3.2−b]ピリジン−2−イル)−スピロ−[イソベンゾフラン−1(3H),4’−ピペリジン]−1’−カルボキサミド;N−[5−(3−フルオロフェニル)−2−ピリミジニル]−3−オキソスピロ−[イソベンゾフラン−1(3H),4’−ピペリジン]−1’−カルボキサミド;trans−3’−オキソ−N−(5−フェニル−2−ピリミジニル)−スピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−カルボキサミド;trans−3’−オキソ−N−[1−(3−キノリル)−4−イミダゾリル]スピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−カルボキサミド;trans−3−オキソ−N−(5−フェニル−2−ピラジニル)スピロ[4−アザイソ−ベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−カルボキサミド;trans−N−[5−(3−フルオロフェニル)−2−ピリミジニル]−3−オキソスピロ[5−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−カルボキサミド;trans−N−[5−(2−フルオロフェニル)−2−ピリミジニル]−3−オキソスピロ[5−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−カルボキサミド;trans−N−[1−(3,5−ジフルオロフェニル)−4−イミダゾリル]−3−オキソスピロ[7−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−カルボキサミド;trans−3−オキソ−N−(1−フェニル−4−ピラゾリル)スピロ[4−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−カルボキサミド;trans−N−[1−(2−フルオロフェニル)−3−ピラゾリル]−3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−カルボキサミド;trans−3−オキソ−N−(1−フェニル−3−ピラゾリル)スピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−カルボキサミド;trans−3−オキソ−N−(2−フェニル−1,2,3−トリアゾール−4−イル)スピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−カルボキサミド;並びに、これらの医薬的に許容される塩及びエステルのような、PCT公開公報番号03/082190に記載されるものが含まれる。上記に引用する米国特許及び公開公報は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0103】
本発明の化合物と組み合わせて投与することができる他の好適な医薬剤には、タバコ乱用を治療するために設計された薬剤(例えば、ニコチン受容体部分アゴニスト、塩酸ブプロピオン(ZybanTMの商品名でも知られる)、及びニコチン置換療法)、勃起不全を治療する薬剤(例えば、アポモルヒネのような、ドパミン作用剤)、ADD/ADHD剤(例えば、RitalinTM、StratteraTM、ConcertaTM、及びAdderallTM)、並びに、オピオイドアンタゴニスト(例えば、ナルトレキソン(ReViaTMの商品名でも知られる)及びナルメフェン)、ジスルフィラム(AntabuseTMの商品名でも知られる)、及びアカンプロサート(CampralTMの商品名でも知られる)のようなアルコール中毒を治療する薬剤が含まれる。さらに、ベンゾジアゼピン、β−ブロッカー、クロニジン、カルバマゼピン、プレガバリン、及びガバペンチン(NeurontinTM)のような、アルコール禁断症状を抑える薬剤も同時投与してよい。アルコール中毒の治療薬は、好ましくは、動機増強療法、認知行動療法、及びAlcohol Anonymous(AA)が含まれる自己啓発グループへの紹介といった要素が含まれる行動療法と組み合わせて投与される。
【0104】
有用であり得る他の医薬剤には、降圧剤;抗炎症剤(例、COX−2阻害剤);抗うつ薬(例、塩酸フルオキセチン(ProzacTM));認知改善剤(例えば、塩酸ドネペジル(AriceptTM)と他のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤);神経保護剤(例、メマンチン);抗精神病薬(例、ジプラシドン(GeodonTM)、リスペリドン(RisperdalTM)、及びオランザピン(ZyprexaTM));インスリン及びインスリン類似体(例、LysProインスリン);GLP−1(7−37)(インスリノトロピン)及びGLP−1(7−36)−NH;スルホニル尿素とその類似体:クロルプロパミド、グリベンクラミド、トルブタミド、トラザミド、アセトへキサミド、Glypizide(登録商標)、グリメピリド、レパグリニド、メグリチニド;ビグアニジド:メトホルミン、フェンホルミン、ブホルミン;α2−アンタゴニスト及びイミダゾリン:ミダグリゾール、イサグリドール、デリグリドール、イダゾキサン、エファロキサン、フルパロキサン;他のインスリン分泌促進剤:リノグリリド、A−4166;グリタゾン:シグリタゾン、Actos(登録商標)(ピオグリタゾン)、エングリタゾン、トログリタゾン、ダルグリタゾン、Avandia(登録商標)(BRL49653);脂肪酸酸化阻害剤:クロモキシル、エトモキシル;α−グルコシダーゼ阻害剤:アカルボース、ミグリトール、エミグリテート、ボグリボース、MDL−25,637、カミグリボース、MDL−73,945;β−アゴニスト:BRL 35135、BRL 37344、RO 16−8714、ICI D7114、CL 316,243;ホスホジエステラーゼ阻害剤:L−386,398;脂質低下剤:ベンフルオレクス:フェンフルラミン;バナジン酸塩及びバナジウム錯体(例、Naglivan(登録商標))及びペルオキソバナジウム錯体;アミリンアンタゴニスト;グルカゴンアンタゴニスト;糖新生阻害剤;ソマトスタチン類似体;抗脂肪分解剤:ニコチン酸、アシピオモクス、WAG994、プラムリンチド(SymlinTM)、AC2993、ナテグリニド、アルドースレダクターゼ阻害剤(例、ゾポルレスタト)、グリコゲンホスホリラーゼ阻害剤、ソルビトールデヒドロゲナーゼ阻害剤、ナトリウム−水素エクスチェンジャー1型(NHE−1)阻害剤、及び/又はコレステロール生合成阻害剤又はコレステロール吸収阻害剤、特にHMG−CoAレダクターゼ阻害剤、又はHMG−CoAシンターゼ阻害剤、又はHMG−CoAレダクターゼ又はシンターゼ遺伝子発現阻害剤、CETP阻害剤、胆汁酸金属イオン封鎖剤、フィブラート、ACAT阻害剤、スクアレンシンテターゼ阻害剤、抗酸化剤又はニアシンが含まれる。本発明の化合物は、血漿コレステロールレベルを低下させるように作用する天然に存在する化合物と組み合わせて投与してもよい。そのような天然に存在する化合物は、一般に、ニュートラシューティカルと呼ばれ、例えば、ガーリック抽出物、Hoodia植物抽出物、及びニアシンが含まれる。
【0105】
追加の医薬剤の投与量は、一般に、治療される被検者の健康、望まれる治療の程度、もしあれば、併用療法の特質及び種類、そして治療の頻度と望まれる効果の特質が含まれるいくつかの要因に依存する。一般に、追加の医薬剤の投与量範囲は、個人の体重1キログラムにつき1日あたり約0.001mg〜約100mg、好ましくは、個人の体重1キログラムにつき1日あたり約0.1mg〜約10mgの範囲にある。しかしながら、治療される被検者の年齢及び体重、企図される投与経路、投与される特定の抗肥満剤、等に依存して、この一般的な投与量範囲においていくらかの変動が求められる場合もある。特定の患者の投与量範囲及び最適投与量の決定も、本開示の利益を受ける当業者の能力内に十分ある。
【0106】
本発明の方法によれば、本発明の化合物、又は本発明の化合物と少なくとも1つの追加医薬剤の組合せをそのような治療の必要な被検者へ、好ましくは医薬組成物の形態で投与する。本発明の組合せの側面において、本発明の化合物と少なくとも1つの他の医薬剤(例えば、抗肥満剤、ニコチン受容体部分アゴニスト、ドパミン作用剤、又はオピオイドアンタゴニスト)は、別々に投与しても、両者を含んでなる医薬組成物において投与してもよい。一般に、そのような投与は、経口であることが好ましい。しかしながら、治療される被検者が嚥下することができなければ、あるいは、他の点で経口投与がうまくいかないか又は望まれないならば、非経口又は経皮投与が適切であるかもしれない。
【0107】
本発明の方法によれば、本発明の化合物と少なくとも1つの他の医薬剤の組合せが一緒に投与されるとき、そのような投与は、時間において連続しても、同時でもよく、一般的には、同時の方法が好ましい。連続投与では、本発明の化合物と追加の医薬剤をどの順序で投与してもよい。一般には、そのような投与は、経口であることが好ましい。そのような投与は、経口で同時であることが特に好ましい。本発明の化合物と追加の医薬剤が連続的に投与されるとき、それぞれの投与は、同じ方法によっても、異なる方法によってもよい。
【0108】
本発明の方法によれば、本発明の化合物、又は本発明の化合物と少なくとも1つの追加医薬剤の組合せ(本明細書において、「組合せ」と呼ぶ)は、好ましくは、医薬組成物の形態で投与される。故に、本発明の化合物又は組合せは、あらゆる慣用の経口、直腸、経皮、非経口(例えば、静脈内、筋肉内、又は皮下)、槽内、膣内、腹腔内、膀胱内、局所(例えば、散剤、軟膏剤、又は滴剤)、又は頬内、又は経鼻の剤形において、別々に又は一緒に患者へ投与してよい。
【0109】
一般に、非経口注射に適した組成物には、医薬的に許容される無菌の水系又は非水系溶液剤、分散剤、懸濁液剤、又は乳剤と、無菌の注射可能な溶液剤又は分散剤への復元用の無菌散剤が含まれる。好適な水系及び非水系の担体又は希釈剤(溶媒及び運搬体が含まれる)には、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、等)、これらの好適な混合物、植物油(オリーブ油のような)、及びオレイン酸エチルのような注射可能な有機エステルが含まれる。例えば、レシチンのようなコーティング剤の使用、分散剤の場合は必要とされる粒径の維持、そして界面活性剤の使用によって、適切な流動性を維持することができる。
【0110】
上記の組成物はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤、及び分散剤のような賦形剤を含有してよい。本組成物の微生物汚染の防止は、様々な抗菌及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、等で達成することができる。また、等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウム、等を含めることが望ましい場合もある。注射可能な医薬組成物の延長された吸収は、吸収を遅らせることが可能な薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの使用によりもたらすことができる。
【0111】
経口投与用の固体剤形には、カプセル剤、錠剤、散剤、及び顆粒剤が含まれる。そのような固体剤形では、本発明の化合物又は組合せを少なくとも1つの不活性賦形剤、希釈剤、又は担体と混合する。好適な賦形剤、希釈剤、又は担体には、クエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウムのような材料、又は(a)充填剤又は増量剤(例、デンプン、乳糖、ショ糖、マンニトール、ケイ酸、等);(b)結合剤(例、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖、アカシア、等);(c)湿潤剤(例、グリセロール、等);(d)崩壊剤(例、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ又はタピオカデンプン、アルギン酸、特定の複合ケイ酸塩、炭酸ナトリウム、等);(e)溶解遅延剤(例、パラフィン、等);(f)吸収促進剤(例、四級アンモニウム化合物、等);(g)加湿剤(例、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセロール、等);(h)吸着剤(例、カオリン、ベントナイト、等);及び/又は(i)滑沢剤(例、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、等)が含まれる。カプセル剤及び錠剤の場合、剤形は、緩衝剤も含んでよい。同様の種類の固体組成物は、乳糖又はミルク糖のような賦形剤、並びに高分子量ポリエチレングリコール、等を使用する軟/硬充填ゼラチンカプセル剤における充填剤として使用してもよい。
【0112】
錠剤、糖剤、カプセル剤、及び顆粒剤のような固体剤形は、腸溶コーティング剤のようなコーティング剤及び外皮剤(shells)と当該技術分野でよく知られている他のものを用いて調製することができる。それらは、混濁剤を含有してもよく、本発明の化合物及び/又は追加の医薬剤を遅延されたやり方で放出するような組成物であってもよい。使用し得る埋め込み組成物の例は、高分子の物質及びワックスである。薬物は、上記の賦形剤の1以上と適宜一緒のミクロ被包化型であってもよい。
【0113】
経口投与用の液体剤形には、医薬的に許容される乳剤、溶液剤、懸濁液剤、シロップ剤、及びエリキシル剤が含まれる。本発明の化合物又は組合せに加えて、液体剤形は、水や他の溶媒のような、当該技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤、可溶化剤及び乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、オイル(例、綿実油、落花生油、とうもろこし胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ油、等)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、及びソルビタンの脂肪酸エステル、又はこれらの物質の混合物、等を含有してよい。
【0114】
そのような不活性希釈剤以外に、組成物は、加湿剤、乳化剤、及び懸濁剤のような賦形剤、甘味剤、芳香剤、及び発香剤も含めてよい。
懸濁液剤は、本発明の化合物又は組合せに加えて、懸濁剤のような担体、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天、及びトラガカント、又はこれら物質の混合物、等をさらに含んでよい。
【0115】
直腸又は膣投与用の組成物は、好ましくは坐剤を含み、これは、ココア脂、ポリエチレングリコール、又は坐剤ワックスのように、通常の室温では固体であるが、体温では液体になるので、直腸又は膣の内腔において溶けて、それにより有効成分を放出する、好適な非刺激性の賦形剤又は担体と本発明の化合物又は組合せを混合することによって調製することができる。
【0116】
本発明の化合物と、抗肥満剤と本発明の化合物の組合せの局所投与用の剤形は、軟膏剤、散剤、スプレー剤、及び吸入剤を含む場合がある。薬物は、無菌条件下に、必要とされ得る、医薬的に許容される賦形剤、希釈剤又は担体、及びあらゆる保存剤、緩衝剤、又は推進剤と混合する。眼科用製剤、眼軟膏剤、散剤、及び溶液剤も本発明の範囲内に含まれると企図される。
【0117】
以下のパラグラフは、非ヒト動物に有用な例示の製剤、投与量、等について記載する。本発明の化合物と、抗肥満剤と本発明の化合物の組合せの投与は、経口でも非経口(例、注射による)でも有効にすることができる。
【0118】
本発明の化合物と、抗肥満剤と本発明の化合物の組合せの量は、有効量が得られるように投与される。一般に、動物へ経口投与される1日用量は、体重1kgにつき約0.01と約1,000mgの間、好ましくは体重1kgにつき約0.01と約300mgの間である。
【0119】
簡便には、本発明の化合物(又は組合せ)は、化合物の治療投与量が毎日の水補給とともに摂取されるように、飲料水に持ち込んでよい。本化合物は、好ましくは、液体で水溶性の濃縮物(水溶性塩の水溶液のような)の形態で、飲料水へ直接計量することができる。
【0120】
簡便には、本発明の化合物(又は組合せ)は、そのまま、又はプレミクス又は濃縮物とも呼ばれる動物飼料サプリメントの形態で飼料へ直接加えてもよい。本化合物の賦形剤、希釈剤、又は担体中のプレミクス又は濃縮物は、より一般的には、該剤の飼料中の封入に利用される。好適な担体は、所望されるように、液体又は固体であり、例えば、水、アルファルファ食、ダイズ食、綿実油食、亜麻仁油食、コーンパイプ食及びコーンミール、糖蜜、尿素、骨粉、及びトリ餌に一般的に利用されるような混合ミネラルといった様々な食餌である。特に有効な担体は、それぞれの動物飼料そのものであり、即ち、そのような餌の小分量である。担体は、プレミクスが混和している最終飼料における化合物の一様分布を促進する。好ましくは、化合物は、プレミクス、引き続いて飼料へ徹底的に混和する。これに関し、化合物は、ダイズ油、とうもろこし油、綿実油、等のような好適な油系担体、又は揮発性の有機溶媒に分散又は溶解してから、担体と混和してよい。適正な比率のプレミクスを飼料と混和することによって最終飼料中の化合物の量を調整して望ましいレベルの化合物を得ることができるので、化合物の濃縮物中の比率は、広い変動が可能であると理解されたい。
【0121】
飼料製造業者は、上記のようなダイズ油食や他の食餌のようなタンパク製の担体と高力価濃縮物を混和して、動物への直接給餌に適している濃縮サプリメントを製造することが可能である。そのような場合、動物は、通常食を消費することが許容される。あるいは、そのような濃縮サプリメントを食餌へ直接加えて、本発明の化合物の治療有効量を含有する、栄養的に均衡した最終飼料を製造してよい。この混合物をツインシェルブレンダーにおけるような標準手順により徹底的に混和して、均質性を確実にする。
【0122】
サプリメントを飼料の表面ドレッシング剤として使用すれば、それはまた、被覆される飼料の表面全体の化合物の分布の一様性を確実にするのに役立つ。
一般に、赤肉沈着を高めて脂肪に対する赤肉の比を改善するのに有効な飲料水及び飼料は、本発明の化合物を十分量の動物飼料と混合することによって調製して、飼料又は飲料水中に約10−3〜約500ppmの化合物を提供する。
【0123】
一般に、好ましいブタ、ウシ、ヒツジ、及びヤギの医科用飼料は、1トンの飼料につき約1〜約400グラムの本発明の化合物(又は組合せ)を含有し、これらの動物に最適な量は、通常、1トンの飼料につき約50〜約300グラムである。好ましいトリ及び飼育ペット飼料は、通常、1トンの飼料につき約1〜約400グラム、好ましくは約10〜約400グラムの本発明の化合物(又は組合せ)を含有する。
【0124】
動物における非経口投与では、本発明の化合物(又は組合せ)は、ペースト剤又はペレット剤の形態で調製され、通常、動物の頭部又は耳の皮膚の下でインプラントとして投与してよく、ここでは赤肉沈着の増加と脂肪に対する赤肉の比の改善が求められる。
【0125】
一般に、非経口投与は、本発明の化合物(又は組合せ)の十分量の注射を伴い、約0.01〜約20mg/kg(体重)/日の薬物を提供する。トリ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、及び飼育ペットに好ましい投与量は、約0.05〜約10mg/kg(体重)/日の薬物の範囲にある。
【0126】
ペースト製剤は、落花生油、ゴマ油、とうもろこし油、等のような医薬的に許容されるオイルに薬物を分散させることによって調製することができる。
本発明の化合物、医薬組成物、又は組合せの有効量を含有するペレット剤は、本発明の化合物又は組合せをカーボワックス、カルナウバろう、等のような希釈剤と混合することによって調製することができて、ステアリン酸マグネシウム又はカルシウムのような滑沢剤を、ペレット化方法を改善するために加えてよい。
【0127】
当然ながら、赤肉沈着の増加と脂肪に対する赤肉の比の望ましい改善を提供するのに望まれる用量レベルを達成するために、1以上のペレット剤を動物へ投与してよいことが認められる。さらに、動物体内の適切な薬物レベルを維持するために、動物の治療期間の間、インプラントを定期的に施してもよい。
【0128】
本発明は、いくつかの有利な獣医学上の特徴を有する。無脂肪を高める、及び/又はペット動物から望ましくない脂肪を取り除くことを欲するペット所有者又は獣医にとって、本発明は、そのことが達成され得る手段を提供する。トリ、ウシ、及びブタのブリーダーにとって、本発明の方法の活用は、より高い売価で食肉業界より売れる、より脂肪分の少ない動物をもたらす。
【0129】
本発明の態様を以下の実施例によって例示する。しかしながら、本発明の態様は、本開示に照らせば、その他のバリエーションが当業者に知られるか又は明らかであるので、これら実施例の具体的な詳細に限定されないと理解されよう。
【0130】
実施例
他に特定しなければ、出発材料は、アルドリッチ・ケミカルズ社(ワイオミング州ミルウォーキー)、ランカスター・シンセシス社(ニューハンプシャー州ウィンダム)、アクロス・オルガニクス(ニュージャージー州フェアローン)、メイブリッジ・ケミカル・カンパニー社(コーンウォール、イギリス)、タイガー・サイエンティフィック(ニュージャージー州プリンストン)、及びアストラゼネカ・ファーマシューティカルズ(ロンドン、イギリス)のような市販の供給元より概ね入手可能である。
【0131】
以下に列挙する頭字語は、以下の対応する意味を有する:
LiN(TMS)− リチウムヘキサメチルジシラジド
PS−DIEA− ポリスチレン結合ジイソプロピルエチルアミン
AIBN− 2,2−アゾビスイソブチロニトリル
HOAt− 1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドヒドロクロライド
一般的な実験手順
NMRスペクトルは、Varian UnityTM400又は500(Varian社、カリフォルニア州パロアルトより入手可能)において、室温で、それぞれ400及び500MHz Hで記録した。化学シフトは、内部標準としての残留溶媒に対する百万分率(δ)で表す。ピークの形状を以下のように示す:s、一重項;d、二重項;t、三重項;q、四重項;m、多重項;br s、ブロード一重項;v br s、極ブロード一重項;br m、ブロード多重項;2s、2つの一重項。場合によっては、代表的なH NMRピークのみを示す。
【0132】
質量スペクトルは、陽/陰気圧化学イオン化(APcl)スキャン形式を使用するダイレクトフロー分析によって記録した。Gilson 215液体取扱いシステムが装備されたWaters APcl/MSモデルZMD質量分析計を使用して、実験を行なった。
【0133】
質量分析法の分析は、クロマトグラフィー分離のためのRP−HPLC勾配法によっても入手した。分子量の同定は、陽/陰エレクトロスプレーイオン化(ESI)スキャン形式によって記録した。Gilson 215液体取扱いシステム及びHP 1100DADが装備されたWaters/Micromass ESI/MSモデルZMD又はLCZ質量分析計を使用して、実験を行なった。
【0134】
塩素又は臭素含有イオンの強度について記載する場合、予測される強度比が観察され(35Cl/37Cl含有イオンでは、ほぼ3:1で、79Br/81Br含有イオンでは、1:1)、低質量イオンのみを示す。MSピークは、すべての実施例で報告する。
【0135】
旋光度は、PerkinElmerTM241偏光計(パーキンエルマー社、マサチューセッツ州ウェレスリーより入手可能)で、指定の温度でナトリウムD線(λ=589nm)を使用して決定し、以下のように、[α]温度、濃度(c=g/100ml)、溶媒として報告する。
【0136】
カラムクロマトグラフィーは、BakerTMシリカゲル(40μm;J.T.Baker,ニュージャージー州フィリップスバーグ)又はSilica Gel 50(EM ScienceTM,ニュージャージー州ギブスタウン)のいずれかで、低窒素圧下に、ガラスカラム又はBiotageTMカラム(ISC社、コネチカット州シェルトン)において実施した。放射状クロマトグラフィーは、ChromatotronTM(ハリソン・リサーチ)を使用して実施した。
【0137】
主要中間体の調製
中間体1−(2−クロロ−フェニル)−5−ヒドロキシ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル (I−1a)の調製:
【0138】
【化12】

【0139】
2−クロロフェニルヒドラジンハイドロクロライド (22.4g)と炭酸カリウム (34.5 g)のエタノール溶液(250 ml)にジエチルアセチレンジカルボキシレート(20 ml)を添加し、そして得られた混合液を環流で18時間加熱した。その反応混合液を冷却し、6 N塩酸(75 ml)と水(500 ml)を順に添加した。その反応混合物を酢酸エチルで抽出し、その有機層を水、ブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、そして真空下で濃縮した。得られたガムは、イソプロピルエーテル (250 ml)で攪拌し、ろ過および真空中での乾燥後、黄褐色の表題化合物(I−1a)(23 g)を得た。
【0140】
中間体5−ブロモ−1−(2−クロロ−フェニル)−4−ホルミル−1H−ピラゾール3−カルボン酸エチルエステル(I−1b)の調製:
【0141】
【化13】

【0142】
攪拌した1−(2−クロロ−フェニル)−5−ヒドロキシ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステルI−1a (18.2 g)とオキシ臭化リン (39 g)の1,2−ジクロロエタン(200 ml)溶液にジメチルホルムアミド(10.5 ml)を15分間にわたって添加した。その得られた混合液を3時間環流で加熱し、冷却し、そしてさらにオキシ臭化リン(98 g)を添加し、そして還流を20時間続けた。黒色反応混合物を冷却し、氷(150 g)上に注ぎ、30分間攪拌した。その混合物をジクロロメタン(2x)で抽出し、組み合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で濃縮して暗色オイルを得た。そのオイルを200gのシリカゲルプラグに通して、30%ヘキサン:ジクロロメタンで溶出し、表題化合物(I−1b)を黄色固体として8.3g得た。

中間体5−ブロモ−1−(2−クロロ−フェニル)−4−(イソプロピルアミノ−メチル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル(I−1c)の調製:
【0143】
【化14】

【0144】
攪拌した5−ブロモ−1−(2−クロロ−フェニル)−4−ホルミル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル (2 g)、イソプロピルアミン (0.95 ml)および酢酸(0.4 ml)の1,2−ジクロロエタン(16 ml)溶液にトリアセトキシボロハイドライドナトリウム(sodium triacetoxyborohydride )(1.8 g)を添加し、そして得られたスラリーを18時間攪拌した。その反応物を酢酸エチルで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、ブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、そして真空で濃縮して表題化合物(I−1 c)を金色のオイルとして2.5g得た。
【0145】
中間体3−ブロモ−2−(2−クロロ−フェニル)−5−イソプロピル−4, 5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3, 4−c]ピラゾール−6−オン(I−1d)の調製:
【0146】
【化15】

【0147】
5−ブロモ−1−(2−クロロ−フェニル)−4−(イソプロピルアミノ−メチル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル (2.2 g) と 1 N 水酸化ナトリウム(33 ml)のエタノール溶液(55ml)を50℃で2時間加熱した。その反応物を冷却し、濃塩酸でpH2まで酸性化し、そして真空で固体にまで濃縮した。その固体をエタノール(50ml)でスラリー化し、フィルターにかけ、その濾過物を真空にて濃縮し、白色固体2.1gを得た。
【0148】
上述の固体(2.0 g)、トリエチルアミン(3ml)のジクロロメタン(22 ml)の攪拌溶液に、 1−プロパンリン酸環化無水物(酢酸エチルの50%溶液5ml)を添加し、そして得られた溶液を20時間攪拌した。その反応液を酢酸エチルで希釈し、1N塩酸、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、ブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、表題化合物(I−1 d)を黄褐色固体として2.0g得た。
【0149】
中間体5−(4−クロロ−フェニル)−1−(2−クロロ−フェニル)−4−[2−(2−トリメチルシラニル−エトキシ)−ビニル]−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル (I−3a)の調製:
【0150】
【化16】

【0151】
ジメチルスルホキシド (2 ml) 中の水酸化ナトリウム(60%オイル中の45mg)のスラリーを75℃で45分間攪拌し、室温に冷却し、それから(2−(トリメチルシリル)−エトキシメチル) トリフェニルホスホニウムクロライド(480 mg)を一部の中に添加し、赤色溶液を得た。10分後、5−(4−クロロ−フェニル)−1−(2−クロロ−フェニル)−4−ホルミル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル (218 mg)のジメチルスルホキシド(1 ml)溶液を一滴毎加え、得られた溶液を1時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を添加し、その反応混合物をジエチルエーテルと水の間で分配した。その有機相を乾燥し(NaSO)、真空で濃縮して紫色のオイルを得た。シリカゲルクロマトグラフィー(30%酢酸エチル/ヘキサン)にて、表題化合物(I−3a)を金色オイルとして210mg得た。
【0152】
中間体5−(4−クロロ−フェニル)−1−(2−クロロ−フェニル)−4−(2−オキソ−エチル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル (I−3b)の調製:
【0153】
【化17】

【0154】
5−(4−クロロ−フェニル)−1−(2−クロロ−フェニル)−4−[2−(2−トリメチルシラニル−エトキシ)−ビニル]−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステルI−3a (210 mg)の95:5アセトニトリル:濃フッ化水素酸 (3 ml)溶液を2時間攪拌した。その反応液を飽和炭酸水素ナトリウム溶液と酢酸の間で分配した。その有機相をブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、そして真空で濃縮し、表題化合物(I−3b)を得、それを次の反応に直接使用した。

中間体1−(2−クロロ−フェニル)−5−(4−クロロ−フェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル(I−4a)の調製:
【0155】
【化18】

【0156】
4−クロロプロピオフェノン (16.9 g, 100 mmol)のジエチルエーテル (20 ml)溶液をLiN (TMS)2 (THF中の1 M溶液、100ml、100mmol)のジエチルエーテル (400 ml)の溶液に−78 °Cで添加した。その反応混合液を−78℃で0.75時間攪拌し、それからジエチルオキサレート(15ml、110 mmol)を一滴毎に添加した。その反応混合液をゆっくりと室温まで温まらせ、17時間攪拌した。ジエチルエーテルを真空下で除去し、そしてその残渣をジエチルエーテルで希釈した。溶液から明るい黄色固体が沈殿し、それをろ過で回収した(9.9 g, 36%)。この固体(更なる精製をすることなく使用した)をイソプロピルアルコール (200 ml)に溶解し、そして2−クロロフェニルヒドラジン(5.9 g, 36.1 mmol)および濃硫酸 (0.4 ml)を添加した。その反応混合物を環流下で17時間加熱した。室温まで冷却後、NaHCO(1 g) を添加した。その反応混合液を真空下で濃縮した。その残渣を酢酸エチルで希釈し、その有機溶液を飽和NaHCO水溶液(sat’d aqNaHCO)および飽和NaCl水溶液(sat'd aq NaCl)で洗浄し、乾燥し、フィルターにかけ、真空で濃縮した。その残渣をシクロヘキサンで粉砕して I−4aをオフホワイト固体(9.5 g, 25%)として得た:+APCI MS (M+1) 375. 0.

中間体4−ブロモメチル−1−(2−クロロ−フェニル)−5−(4−クロロ−フェニル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル (I−4b)の調製:
【0157】
【化19】

【0158】
4塩化炭素 (60 ml) 中の1−(2−クロロ−フェニル)−5−(4−クロロ−フェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステルI−4a(2.8g, 7.46 mmol)、N−ブロモスクシンイミド(1.6 g, 8.95 mmol)、AIBN (245 mg, 1.49 mmol) の混合物を環流下で17時間加熱した。その反応液を室温まで冷却し、固形物を除くためにフィルターにかけ、真空下で濃縮した。その粗残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(フラッシュ40)にて、10%酢酸エチル/ヘキサンから20%酢酸エチル/ヘキサンの溶媒グラジエントを使用して精製し、所望の産物(I−4b)をアモルファス固体として得た(2.2 g, 64%):+APCI MS (M+1) 455.0.

中間体1−(2−クロロ−フェニル)−5−(4−クロロ−フェニル)−4−(イソプロピルアミノ−メチル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル(I−4c)の調製:
【0159】
【化20】

【0160】
4−ブロモメチル−1−(2−クロロ−フェニル)−5−(4−クロロ−フェニル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル I−4b (200 mg, 0.44 mmol), イソプロピルアミン (26 mg, 0.44 mmol), K2CO3(182 mg, 1.32 mmol)のCH3CN(5 ml)中の混合物を室温で17時間攪拌した。その反応混合物を不溶性物質を除くためにフィルターにかけ、そして真空で濃縮した。
【0161】
その残渣を酢酸エチルで希釈し、その有機溶液を水および飽和NaCl水溶液(sat'd aq NaCl)で洗浄し、乾燥し、そして真空で濃縮した。その粗残渣をSi02−ゲルクロマトグラフィーにて20%酢酸エチル/ヘキサンから75%酢酸エチル/ヘキサンの溶媒グラジエントを使用して精製し、産物(I−4c)をアモルファス固体として得た(40 mg, 21%):+APCI MS (M+1) 432.2.

中間体1−(2−クロロ−フェニル)−5−(4−クロロ−フェニル)−4−(イソプロピルアミノ−メチル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(I−4d)の調製:
【0162】
【化21】

【0163】
1−(2−クロロ−フェニル)−5−(4−クロロ−フェニル)−4−(イソプロピルアミノ−メチル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステルI−4c (32 mg, 0.074 mmol)の1:4の1M KOH/エタノール(10 ml)溶液を6時間50℃で、そして72時間37度で攪拌した。その反応混合物を濃塩酸で溶液のpHがおよそ1になるまで処置して、そして真空で濃縮した。その残渣をエタノールで希釈し、フィルターにかけた。その濾過物を真空中で濃縮して、I−4aを白色固体として得た(40 mg, 100%):+APCI MS (M+1,) 404.1.

中間体2−クロロ−N−(4−クロロ−フェニル)−ベンズアミジン (I−5a)の調製:
【0164】
【化22】

【0165】
トリメチルアルミニウム (ヘキサン中2M、100 ml、200 mmol) を一滴毎、4−クロロ−フェニルアミン(18.2 g, 143 mmol) のトルエン溶液(550 ml)に0℃でN雰囲気下で加えた。その反応混合物を室温まで暖め、3.5時間攪拌した。2−クロロベンゾニトリル (23.6 g, 171 mmol)のトルエン溶液(140 ml)を添加し、その反応混合液を80℃で均一になるまでの間、17時間加熱した。その反応混合物を室温まで冷却し、トリクロロメタン/メタノール(2:1)中のシリカゲルのスラリー上に注いだ。
【0166】
濾過後、そのフィルターケーキをジクロロメタン/メタノール(2:1)の混合液で洗浄した。組み合わせた濾過物を真空で濃縮し、そして固体黄色残渣をヘキサン/エーテル(2:1)で粉砕した。その産物I−5a (25.1 g, 66%)を、更なる精製をすることなく、次のステップに使用した。
【0167】
中間体1−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−クロロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチルエステル (I−5b)の調製:
【0168】
【化23】

【0169】
2−プロパノール (473 ml) 中の2−クロロ−N−(4−クロロ−フェニル)−ベンズアミジン (I−5a), 25. 1 g, 95 mmol) とNaHCO (84 g, 189 mmol) の混合物を3−ブロモ−2−オキソ−プロピオン酸エチルエステル (14.3 ml, 22 g, 113 mmol)で処理した。その反応混合物を80℃で17時間加熱した。室温まで冷却した後、溶媒を真空下で除去した。その残渣をジクロロメタンで希釈し、その有機溶液を水で洗浄しMgSOで乾燥し、真空下で濃縮して、濃い赤の残渣として生成物1−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−クロロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチルエステルI−5b (36 g)を得た。

1−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−クロロ−フェニル)−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチルエステル(I−5c)の調製:
【0170】
【化24】

【0171】
前の工程で得た粗 1−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−クロロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチルエステル (I−5b 36 g, 94.7 mmol) とp−トルエン硫酸モノハイドレート(4.5 g, 24 mmol)のトルエン溶液(630ml)を環流下で17時間加熱した。
【0172】
その反応混合物を室温まで冷却し、真空にて濃縮した。その粗残渣をジクロロメタン中に溶解し、その有機溶液を水、飽和NaHCO水溶液(sat’d aqNaHCO)、および飽和NaCl水溶液(sat’d aq NaCl)で洗浄し、MgSO4にて乾燥し、真空で濃縮した。その粗残渣をシリカゲルの充填ろ過で、2%酢酸エチル/ジクロロメタンから10%酢酸エチル/ジクロロメタンへのグラジエントを使用して精製した。その産物を含むフラクションを濃縮し、油状残渣を1:3酢酸エチル/ヘキサン (200 ml)で希釈した。一時間後、溶液から固体が沈殿し、濾過で回収して1−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−クロロ−フェニル)−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチルエステル I−5c (18.63 g, 69.7%)を得た。
【0173】
5−ブロモ−1−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−クロロ−フェニル)−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチルエステル(I−5d)の調製:
【0174】
【化25】

【0175】
ブロム化合物(Bromine)(3.6 ml, 0.07 mol)を1−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−クロロ−フェニル)−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチルエステル(I−5c, 3.6 g, 0.01 mol) の氷酢酸溶液(50 ml)に、室温で加えた。その反応混合物を17時間攪拌し、氷―水に注ぎ、そしてオレンジ溶液が黄色になるまで25%水酸化ナトリウム水溶液で処理した。その水溶液をジクロロメタン(3x)で抽出し、そして組み合わせた抽出物を乾燥し、真空で濃縮して所望の化合物I−5dをオイルとして得た(4.7g):
【0176】
【化26】

【0177】
中間体1−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−クロロ−フェニル)−5−ホルミル−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチルエステル (I−5e)の調製:
【0178】
【化27】

【0179】
5−ブロモ−1−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−クロロ−フェニル)−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチルエステル (I−5d, 4.4 g, 0.01 mmol) の無水 THF (100 ml)溶液に、−78℃窒素雰囲気下でtert.−ブチルリチウム (1.7モルのペンタン溶液13ml、0.22モル)をゆっくり加えた。−78℃にて1時間後、DMF (7.7 ml, 0.1 mmol)を一滴毎加えた。その反応混合液を−78 °Cで2.5時間攪拌し、飽和NHCl水溶液(sat'd aq. NH4Cl)(10 ml)にてクエンチし、室温までゆっくり暖め、そして飽和NaCl水溶液(sat’d aq NaCl)に注いだ。その水溶液をジエチルエーテル(3x)で抽出し、そして組み合わせた有機抽出層を乾燥し(Na2SO4)、真空にて濃縮した。その粗残渣を充填クロマトグラフィーにて、1:3酢酸エチル/ヘキサン〜1:1酢酸エチル/ヘキサンの溶媒グラジエントを使用して精製し、所望の産物I−5eを淡黄色アモルファスガラスとして得た(2.0g):
【0180】
【化28】

【0181】
以下の2つの中間体を、1−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−クロロ−フェニル)−5−ホルミル−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチルエステル(I−5e)の合成についての上述の方法と類似の方法を使用して調製した:
2−(4−クロロ−フェニル)−1−(2−フルオロ−フェニル)−5−ホルミル−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチルエステル (I−5e−2);
2−(4−クロロ−フェニル)−1−(2−クロロ−フェニル)−5−ホルミル−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチルエステル (I−5e−3)。

中間体2−(4−クロロ−フェニル)−5−シクロペンチルアミノメチル−1−(2−フルオロ−フェニル)−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチルエステル (I−5f)の調製:
【0182】
【化29】

【0183】
2−(4−クロロ−フェニル)−1−(2−フルオロ−フェニル)−5−ホルミル−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチルエステル I−5e−2 (1000 mg, 2.68 mmol)、 シクロペンチルアミン (251 mg, 2.95 mmol)、NaBH (OAc)3(796 mg, 3.76 mmol)のジクロロエタン溶液を17時間室温で攪拌した。その反応液を真空で濃縮し、その残渣をトリクロロメタンで希釈した。その有機溶液を飽和NaHCO水溶液(sat’d aqNaHCO )と飽和NaCl水溶液(sat’d aq NaCl)にて洗浄し、乾燥し、真空にて濃縮した。その粗残渣をSi02−ゲル(Flash 40s) で30%酢酸エチル/ヘキサン〜80%酢酸エチル/ヘキサンの溶媒グラジエントにて精製し、所望の産物(I−5f)を黄色オイルとして得た(680 mg, 57%):+APCI MS (M+1) 442.2.

中間体2−(4−クロロ−フェニル)−1−(2−クロロ−フェニル)−5−(2−メトキシ−ビニル)−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチルエステル(I−5g)の調製:
【0184】
【化30】

【0185】
(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロライド (533 mg, 1.55 mmol) のTHF溶液(10ml)に、0℃でリチウムヘキサメチルジシラジド (1.55 ml, 1 M 溶液, 1.55 mmol)を添加した。その反応混合液を0.5時間攪拌し、−78℃まで冷却した。2−(4−クロロ−フェニル)−1−(2−クロロ−フェニル)−5−ホルミル−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチルエステル I−5e (408 mg, 1.05 mmol)のTHF溶液(5 ml)を挿管を通してゆっくり添加した。
【0186】
その反応混合液を5分間−78℃で攪拌し、それから室温まで温まらせ、3時間攪拌した。その反応混合液を水でクエンチし、酢酸エチルで希釈した。その有機溶液を分離し、水相を一度酢酸エチルで抽出した。その組み合わせた酢酸エチル抽出物を飽和NaCl水溶液(sat’d aq NaCl)で洗浄し、乾燥し、真空で濃縮した。その粗残渣を4 mmクロマトプレートで1:1酢酸エチル/ヘキサンを使用して精製し、生成物(I−5g) を2つの異性体化合物(148 mg, 34%および157 mg, 36%)を得た:+APCI MS (M+1) 417.2

中間体2−(4−クロロ−フェニル)−1−(2−クロロ−フェニル)−5−(2−オキソ−エチル)−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチルエステル (I−5h)の調製
【0187】
【化31】

【0188】
2−(4−クロロ−フェニル)−1−(2−クロロ−フェニル)−5−(2−メトキシ−ビニル)−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチルエステルI−5g(275 mg, 0. 659 mmol) と硫酸 (200μl) の5:1 THF/水 (18 ml)溶液を70℃で3時間加熱した。
【0189】
その反応混合液を室温まで冷却し、反応混合液のpHが6になるまで1M K2CO3で処理した。その水溶液をジクロロメタンで抽出し、組み合わせた有機抽出物を飽和NaCl水溶液(sat’d aq NaCl)で洗浄し、乾燥し、そして真空中で濃縮し、出発物質と生成物(I−5h)の混合物を得た: +APCI MS (M+1) 403. 3
中間体2−(4−クロロ−フェニル)−1−(2−クロロ−フェニル)−5−(2−シクロペンチルアミノ−エチル)−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチルエステル (I−5i) の調製:
【0190】
【化32】

【0191】
トリアセトキシボロハイドライドナトリウム(sodium triacetoxyborohydride ) (32 mg, 0.152 mmol)を、2−(4−クロロ−フェニル)−1−(2−クロロ−フェニル)−5−(2−オキソ−エチル)−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチルエステル I−5h (34 mg, 0.084 mmol)、シクロペンチルアミン (12μl, 0. 118 mmol)、および酢酸(5 μl, 0. 09 mmol)の1,2−ジクロロエタン(2 ml)溶液に室温で加えた。その反応混合物を1 N NaOHにてクエンチし、ジクロロメタン (3x)で抽出した。組み合わせたジクロロメタン抽出物を飽和NaCl水溶液(sat’d aq NaCl)で洗浄し、乾燥し、そして真空で濃縮した。その粗残渣を1 mm クロマトプレートで100%酢酸エチルにて精製し、 I−5iを色のないオイルをして得た(22 mg):+APCI MS (M+1) 472.2.

中間体2−(4−クロロ−フェニル)−1−(2−クロロ−フェニル)−5−(2−シクロペンチルアミノ−エチル)−1H−イミダゾール−4−カルボン酸 (I−5j)の調製:
【0192】
【化33】

【0193】
2−(4−クロロ−フェニル)−1−(2−クロロ−フェニル)−5−(2−シクロペンチルアミノ−エチル)−1H−イミダゾ−ル−4−カルボン酸エチルエステル 1−5i (22 mg, 0.46 mmol)の無水エタノール(2 ml)溶液に1 N KOH (500μl)を加えた。その反応混合液を4時間85℃に加熱し、最初の体積の4分の1のフラクションに濃縮した。溶液のpHをおよそ3.5に10%塩酸にて調整した。エタノール性水溶液を乾燥するまで濃縮し、I−5jを固体として得た(20 mg):
+APCI MS (M+1) 444.4.

中間体2−(4−クロロ−フェニル)−5−シクロペンチルアミノメチル−1−(2−フルオロ−フェニル)−1H−イミダゾール−4−カルボン酸 (I−5k)の調製:
【0194】
【化34】

【0195】
2−(4−クロロ−フェニル)−5−シクロペンチルアミノメチル−1−(2−フルオロ−フェニル)−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチルエステルI−5f (1.2 g, 2.68 mmol) の1:2の1 M KOH/THF溶液を55℃で17時間攪拌した。その反応混合物を真空下で濃縮し、そして濃塩酸でpH1へ酸性化した。その残渣をエタノールでスラリー化し、KClを除くためにフィルターにかけた。そのろ過物を真空中で濃縮し、I−5kをオフホワイトの固体を得た (1.26 g, 97%):
+APCI MS (M+1) 414.0.

実施例1は、Aが窒素、Bが炭素でXが結合である本発明の化合物の調製について示している。
実施例1
2−(2−クロロ−フェニル)−5−イソプロピル−3−(3,4,5−トリフルオロ−フェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−c]ピラゾール−6−オン (1A−1)の調製
【0196】
【化35】

【0197】
3−ブロモ−2−(2−クロロ−フェニル)−5−イソプロピル−4,5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−c]ピラゾール−6−オン I−1d (100 mg)、 フッ化セシウム (85 mg)、3,4, 5−トリフルオロフェニルボロン酸(74 mg)およびテトラキス (トリフェニルホスフィン) パラジウム(0) (32 mg)の1,2−ジメトキシエタン (1 ml)の窒素パージ溶液をシールしたバイアル中で80℃にて6時間攪拌した。その反応液を冷却し、酢酸エチル/水で分配し、有機層を乾燥し(Na2SO4)、真空中で濃縮してオイルを得た。逆相HPLC (40%〜100%アセトニトリル:0. 01 %水酸化アンモニウム水溶液のグラジエント)にて、表題化合物 (1A−1)をオフホワイトの泡沫として19 mg得た。
CDCl3中でのHNMR (ppm) :
【0198】
【化36】

【0199】
化合物1A−1の合成に関する上述の方法と類似の方法にて、市販されている適当な出発物質、当業者によく知られた方法で調製された適当な出発物質、または他の中間体についての上述のル−トと類似の様式で調製された適当な出発物質を使用して、表1にリストされた化合物を調製した。
【0200】
【表1】

【0201】
【表2】

【0202】
2−(2−クロロ−フェニル)−3−[2−(4−クロロ−フェニル)−ビニル]−5−イソプロピル−4,5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−c]ピラゾール−6−オン (1A−39)の調製:
【0203】
【化37】

【0204】
2−(2−クロロ−フェニル)−5−イソプロピル−3−ビニル−4,5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−c]ピラゾール−6−オン1A−8 (42 mg)、パラジウムアセテート(3 mg) および4−クロロヨ−ドベンゼン (300 mg)溶液を18時間攪拌した。その反応物を濃縮し、シリカゲルでのクロマトグラフにより(30%〜60%酢酸エチル/ヘキサングラジエント)、表題化合物(1A−39)を44 mg得た。
6−DMSO 中でのHNMR (ppm):
【0205】
【化38】

【0206】
実施例2は、Aが窒素、Bが炭素でXが−C (R2a) (R2b)−である本発明の化合物の調製について示している。
実施例2
3−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−クロロ−フェニル)−6−イソプロピル−2,4,5,6−テトラヒドロ−ピラゾロ [3,4−c]ピリジン−7−オン (2A−1)の調製:
【0207】
【化39】

【0208】
I−3b (157 mg), イソプロピルアミン (66μl)、酢酸 (27μl)の1,2−ジクロロエタン(0.5 ml)攪拌溶液に、トリアセトキシボロハイドライドナトリウム(sodium triacetoxyborohydride )(124 mg)を添加した。1.5時間後、その反応物を酢酸エチルに希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、ブラインで洗浄し、乾燥 (Na2SO4)し、そして真空下で濃縮して、金色の泡沫を得、それを更なる精製をすることなく次のステップに使用した。
【0209】
上述の産物と 1 N水酸化ナトリウム水溶液(2.5 ml)を50℃で2.5時間加熱した。その反応溶液を冷却して、濃塩酸で酸性化してpH2とし、それから真空中で濃縮した。得られた固体残渣をエタノール(10ml)でスラリー化し、フィルターにかけ、その固体をエタノールで洗浄し、そして組み合わせたろ過物を真空中で濃縮し、白色固体を得、それをさらなる精製を行うことなく次のステップに使用した。
【0210】
上述のステップで調製された上述の固体、トリエチルアミン (0.2 ml) のジクロロメタン (3 ml)攪拌溶液に、1−プロパン−リン酸環化無水物 (酢酸エチル中の50%溶液の0.34ml)を添加し、そしてその得られた溶液を2時間攪拌した。その反応混合物を酢酸エチルで希釈し、1 N塩酸(hydrochloride acid)、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、ブラインで洗浄し、そして乾燥(Na2SO4)し、金色のオイルを得た。シリカゲルクロマトグラフィーにて(60%酢酸エチル/ヘキサン)、表題化合物(2A−1)を白色固体として103 mgを得た。
CDCl3中でのHNMR(ppm):
【0211】
【化40】

【0212】
化合物2A−1の合成に関する上述の方法と類似の方法にて、市販されている適当な出発物質、当業者によく知られた方法で調製された適当な出発物質、または他の中間体についての上述のル−トと類似の様式で調製された適当な出発物質を使用して、表2にリストされた化合物を調製した。
【0213】
【表3】

【0214】
【表4】

【0215】
実施例3
3−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−クロロ−フェニル)−5−イソプロピル−4,5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−c]ピラゾール−6−オン (3A−1)の調製:
【0216】
【化41】

【0217】
ジクロロメタン (10 ml) 中の、1−(2−クロロ−フェニル)−5−(4−クロロ−フェニル)−4−(イソプロピルアミノ−メチル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸 I−4d (40 mg, 0.074 mmol)、EDC (28 mg, 0.148 mmol)、HOAt (20 mg, 0.148 mmol)、およびトリエチルアミン (0.02 ml, 0. 148 mmol)の混合物を室温で17時間攪拌した。その反応混合物を飽和NaHCO水溶液(sat’d aqNaHCO), 飽和NaCl水溶液(sat’d aq NaCl)で洗浄し、真空中で乾燥および濃縮した。その粗残渣をシクロヘキサンで希釈し、17時間攪拌した。溶液から沈殿してきた固体をろ過にて回収し、3A−1 (11 mg, 38%)を得た:
【0218】
【化42】

【0219】
化合物3A−1の合成に関する上述の方法と類似の方法にて、市販されている適当な出発物質、当業者によく知られた方法で調製された適当な出発物質、または他の中間体についての上述のル−トと類似の様式で調製された適当な出発物質を使用して、表3にリストされた化合物を調製した。
【0220】
【表5】

【0221】
【表6】

【0222】
実施例4は、Aが炭素、Bが窒素(イミダゾール誘導体)でXが結合である本発明の化合物の調製について示している。
実施例4
2−(4−クロロ−フェニル)−5−シクロペンチル−1−(2−フルオロ−フェニル)−5,6−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,4−d]イミダゾール−4−オン (4A−1)の調製:
【0223】
【化43】

【0224】
ジクロロメタン (200 ml) 中の2−(4−クロロ−フェニル)−5−シクロペンチルアミノメチル−1−(2−フルオロ−フェニル)−1H−イミダゾール−4−カルボン酸 I−5k (1.2 g, 2.59 mmol)、EDC (994 mg, 5.18 mmol)、HOAt (704 mg, 5.18 mmol)、およびトリエチルアミン (1.1 ml, 7.76 mmol) の混合物を室温で17時間攪拌した。
【0225】
その反応混合物を飽和NaHCO水溶液(sat’d aqNaHCO)および飽和NaCl水溶液(sat’d aq NaCl)で洗浄し、真空中で乾燥し濃縮した。その粗残渣をSiO2−ゲルで30%酢酸エチル/ヘキサンから60%酢酸エチル/ヘキサンへの溶媒グラジエントを使用して精製し、4A−1を白色固体(752 mg, 73%)として得た:
【0226】
【化44】

【0227】
化合物4A−1の合成に関する上述の方法と類似の方法にて、市販されている適当な出発物質、当業者によく知られた方法で調製された適当な出発物質、または他の中間体についての上述のル−トと類似の様式で調製された適当な出発物質を使用して、表4にリストされた化合物を調製した。下にリストされた化合物はまずは遊離塩基として単離されたが、(インビボ試験に供されたものは)インビボ試験の前にそれらの相当する塩酸塩に転換された。
【0228】
【表7】

【0229】
実施例5は、Aが炭素、Bが窒素でXが−C (R2a) (R2b)−である本発明の化合物の調製について示している。
実施例5
2−(4−クロロ−フェニル)−1−(2−クロロ−フェニル)−5−シクロペンチル−1, 5, 6, 7−テトラヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−オン (5A−1)の調製:
【0230】
【化45】

【0231】
1,2−ジクロロエタン (20 ml)中の2−(4−クロロ−フェニル)−1−(2−クロロ−フェニル)−5−(2−シクロペンチルアミノ−エチル)−1H−イミダゾール−4−カルボン酸 I−5j(20 mg, 0.046 mmol)、EDC (19 mg, 0.1 mmol)、HOAt (13 mg、0.1 mmol)、およびトリエチルアミン (14μl, 0.1 mmol) の混合物を室温で17時間攪拌した。その反応混合物を飽和NaHCO水溶液(sat’d aqNaHCO)で洗浄し、その重炭酸塩水溶液をジクロロメタンで一度逆抽出した。
【0232】
その組み合わせたジクロロメタン抽出物を真空下で乾燥および濃縮した。その残渣をジエチルエーテル (1 ml)に溶解し、ジオキサン中の4M 塩酸数滴を添加した。その有機溶液をデカントし、さらにエーテルを添加した。その混合物を数分間攪拌し、溶液を再びデカントした。その残渣を真空下で乾燥し。所望の産物5A−1を色のない固体として得た:
【0233】
【化46】

【0234】
実施例6は、Aが窒素、Bが炭素でXが結合で、そしてR3a、R3bが水素、アルキル、およびアリールアルキルである本発明の化合物の調製について示している。
実施例6
3−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−クロロ−フェニル)−5−イソプロピル−4−メチル−4 5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3, 4−c]ピラゾール−6−オン (6A−1)の調製
【0235】
【化47】

【0236】
3−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−クロロ−フェニル)−5−イソプロピル−4,5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−c]ピラゾール−6−オン3A−1 (19 mg, 0. 05 mmol) のTHF(0.5 ml)溶液に−78℃にてLiHMDSi (55μl, 0.055 mmol)を添加した。 深い青−黒色溶液を形成した。その反応混合物を0.17時間攪拌し、それからヨードメタン(4. 4μl, 0.07 mmol)をドロップワイズで添加した。その反応混合物を−78 °C で0.25時間(黄色いものが形成されるまで)そして室温で2時間攪拌し、飽和NH4CI水溶液にてクエンチし、そして酢酸エチルで抽出した。その有機溶液を飽和NaCl水溶液で洗浄し、乾燥し、そして真空下で濃縮した。その残渣を1 mm クロマトプレートにて1:1酢酸エチル/ヘキサン溶液を使用して精製し、6A−1を白色固体として得た(3.2 mg, 14%);
【0237】
【化48】

【0238】
化合物6A−1の合成に関する上述の方法と類似の方法にて、市販されている適当な出発物質、当業者によく知られた方法で調製された適当な出発物質、または他の中間体についての上述のル−トと類似の様式で調製された適当な出発物質を使用して、表6にリストされた化合物を調製した。
【0239】
【表8】

【0240】
実施例7は、Aが窒素、Bが炭素でXが結合、そしてRがピロリジン−3−イル、ピペリジン−3−イル、ピペリジン−4−イルである本発明の化合物の調製について示している。
【0241】
実施例7
3−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−クロロ−フェニル)−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イル)−4, 5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3, 4−c]ピラゾール−6−オン (7A−1)の調製 7A−1
【0242】
【化49】

【0243】
1:5濃塩酸/エタノール(6 ml)中の4−[3−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−クロロ−フェニル)−6−オキソ−2, 6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,4−c]−ピラゾール5−イル]−ピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル 3A−17 (80 mg, 0. 152 mmol) 溶液を室温で2時間攪拌した。反応混合物を真空下で濃縮し、白い固体を得た。
【0244】
DMF (2 ml) 中の、前のステップで得られた産物(30 mg, 0.065 mmol)、2−ブロモプロパン(24 mg, 0.194 mmol)、K2CO3 (45 mg, 0.323 mmol)の混合物を室温で17時間攪拌した。その反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水および飽和NaCl水溶液で洗浄し、乾燥し、真空下で濃縮した。その粗残渣をDMFを除くために一度ヘプタンと共沸させ、そして5%ジエチルアミン/酢酸エチルを使用したSi02−ゲルクロマトグラフィーで精製し、オイルを得た。
【0245】
【化50】

【0246】
上の反応の産物は、4M HCI/ジオキサン (1 mL)中で0.25 時間攪拌され、真空下で濃縮され、7A−1のアモルファス固体(2 mg, 6%)を生じた。
化合物7A−1の合成に関する上述の方法と類似の方法にて、市販されている適当な出発物質、当業者によく知られた方法で調製された適当な出発物質、または他の中間体についての上述のル−トと類似の様式で調製された適当な出発物質を使用して、表7にリストされた化合物を調製した。下にリストされた化合物は一般的には遊離塩基として単離されたが、(インビボ試験に供されたものは)インビボ試験の前にそれらの相当する塩酸塩に転換された。
【0247】
【表9】

【0248】
実施例8は、式(II)または(IV)の本発明の化合物の調製を示している。
実施例8
3−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−クロロ−フェニル)−5−イソプロピル−2, 4,5, 6−テトラヒドロ−ピロロ[3, 4−c]ピラゾール (8A−1)の調製
【0249】
【化51】

【0250】
3−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−クロロ−フェニル)−5−イソプロピル−4,5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3, 4−c]ピラゾール−6−オン3A−1 (7 mg, 0.018 mmol)とBH3THF (166 ml, 166 mmol) の溶液を室温で一時間、そして50℃で17時間攪拌した。その反応混合物を室温まで冷却した後、メタノール(5ml)を添加した。その反応混合物を環流下で2時間加熱し、室温まで冷却し、そして真空下で濃縮した。
【0251】
その残渣を4 M塩酸/ジオキサン (1 ml)で希釈し、真空下で濃縮した。その残渣をジクロロメタンおよび/ヘキサン中に溶解し、沈殿物 8A−1を色のない固体として得た(2 mg, 27%):
【0252】
【化52】

【0253】
化合物8A−1の合成に関する上述の方法と類似の方法にて、市販されている適当な出発物質、当業者によく知られた方法で調製された適当な出発物質、または他の中間体についての上述のル−トと類似の様式で調製された適当な出発物質を使用して、表8にリストされた化合物を調製した。下にリストされた化合物は一般的には遊離塩基として単離されたが、(インビボ試験に供されたものは)インビボ試験の前にそれらの相当する塩酸塩に転換された。
【0254】
【表10】

【0255】
薬理学的試験
本発明における本発明の化合物の有用性は、下記に記載するプロトコールの少なくとも1つでの活性によって裏付けることができる。以下の頭字語を以下に記載するプロトコールにおいて使用する。
【0256】
BSA−ウシ血清アルブミン
DMSO−ジメチルスルホキシド
EDTA−エチレンジアミン四酢酸
PBS−リン酸緩衝化生理食塩水
EGTA−エチレングリコール−ビス(β−アミノエチルエーテル)N,N,N’,N’−四酢酸
GDP−グアノシン二リン酸
sc−皮下
po−経口
ip−腹腔内
icv−脳室内
iv−静脈内
H]SR141716A−放射標識化N−(ピペリジン−1−イル)−5−(4−クロロ−フェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド塩酸塩、アマーシャム・バイオサイエンス(ニュージャージー州ピスカタウェイ)より入手可能。
【0257】
H]CP−55940−放射標識化5−(1,1−ジメチルヘプチル)−2−[5−ヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシプロピル)−シクロヘキシル]−フェノール、NEN Life Science Products(マサチューセッツ州ボストン)より入手可能。
【0258】
AM251−N−(ピペリジン−1−イル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(4−ヨードフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド、TocrisTM(ミズーリ州エリスヴィル)より入手可能。
【0259】
上記の「実施例」セクションに収載する化合物のすべてを以下のCB−1受容体結合アッセイで試験した。これらの化合物は、0.6nM〜2500nMの範囲の結合活性をもたらした。
【0260】
次いで、20nM未満の活性を有する化合物を以下の「生物学的結合アッセイ」セクションに記載するCB−1 GTPγ[35S]結合アッセイ及びCB−2結合アッセイで試験した。次いで、選択した化合物を以下の「生物学的機能アッセイ」セクションに記載する機能アッセイの1つ以上を使用して in vivo で試験した。
【0261】
in vitro 生物学的アッセイ
CB−1及びCB−2受容体結合特性とカンナビノイド受容体リガンドの薬理学的活性を決定するためのバイオアッセイ系は、Roger G. Pertwee「カンナビノイド受容体リガンドの薬理学(Pharmacology of Cannabinoid Receptor Ligands)」Current Medicinal Chemistry, 6, 635-664 (1990) 及びWO92/02640(米国特許出願番号07/564,075、1990年8月8日出願、参照により本明細書に組み込まれる)により記載されている。
【0262】
以下のアッセイを設計して、[H]−SR141716A(選択的な放射標識化CB−1リガンド)及び[H]−5−(1,1−ジメチルヘプチル)−2−[5−ヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシプロピル)−シクロヘキシル]−フェノール(放射標識化CB−1/CB−2受容体リガンド)のそれぞれの受容体への結合を阻害する化合物を検出した。
【0263】
ラットCB−1受容体結合プロトコール
PelFreeze脳(PelFreeze Biologicals,アーカンソー州ロジャースより入手可能)を切り刻み、組織調製緩衝液(5mM Tris HCl,pH=7.4及び2mM EDTA)に入れ、高速でポリトロン処理し、氷上で15分間保った。次いで、このホモジェネートを4℃で5分間、1,000xgでスピンした。上清を回収し、4℃で1時間、100,000XGで遠心分離した。次いで、ペレットを、使用する脳につき25mlのTME(25nM Tris,pH=7.4,5mM MgCl,及び1mM EDTA)に再懸濁させた。タンパク質アッセイを実施して、200μlの組織(全量20μg)をアッセイ液へ加えた。
【0264】
試験化合物を薬物緩衝液(0.5% BSA,10% DMSO及びTME)に希釈してから、深いウェルのポリプロピレンプレートへ25μlを加えた。[H]−SR141716Aをリガンド緩衝液(0.5% BSA+TME)に希釈し、25μlをプレートへ加えた。BCAタンパク質アッセイを使用して、適正な組織濃度を決定してから、200μlのラット脳を適正濃度でプレートへ加えた。プレートにカバーをして、20℃で60分間インキュベーターに入れた。インキュベーション時間の最後に、250μlの停止緩衝液(5% BSA+TME)を反応プレートへ加えた。次いで、BSA(5mg/ml)+TMEで予め浸したGF/Bフィルターマット上へSkatronによりプレートを採取した。各フィルターを2回洗浄した。このフィルターを一晩乾燥させた。翌朝、Wallac BetaplateTMカウンター(PerkinElmer Life ScienceTM,マサチューセッツ州ボストンより入手可能)でフィルターを計数した。
【0265】
ヒトCB−1受容体結合プロトコール
CB−1受容体cDNAでトランスフェクトしたヒト胚性腎293(HEK293)細胞(コネチカット大学の Debra Kendall 博士より入手)をホモジェナイゼーション緩衝液(10mM EDTA,10mM EGTA,10mM 重炭酸ナトリウム、プロテアーゼ阻害剤;pH=7.4)に採取し、Dounce Homogenizerでホモジェナイズした。次いで、このホモジェネートを4℃で5分間、1,000XGでスピンした。上清を回収し、4℃で20分間、25,000XGで遠心分離した。次いで、ペレットを10mlのホモジェナイゼーション緩衝液に再懸濁させて、4℃で20分間、25,000XGで再スピンした。最終ペレットを1mlのTME(5mM MgCl及び1mM EDTAを含有する25mM Tris緩衝液(pH=7.4))に再懸濁させた。タンパク質アッセイを実施して、200μlの組織(全量20μg)をアッセイ液へ加えた。
【0266】
試験化合物を薬物緩衝液(0.5% BSA,10% DMSO及びTME)に希釈してから、深いウェルのポリプロピレンプレートへ25μlを加えた。[H]−SR141716Aをリガンド緩衝液(0.5% BSA+TME)に希釈し、25μlをプレートへ加えた。プレートにカバーをして、30℃で60分間インキュベーターに入れた。インキュベーション時間の最後に、250μlの停止緩衝液(5% BSA+TME)を反応プレートへ加えた。次いで、BSA(5mg/ml)+TMEで予め浸したGF/Bフィルターマット上へSkatronによりプレートを採取した。各フィルターを2回洗浄した。このフィルターを一晩乾燥させた。翌朝、Wallac BetaplateTMカウンター(PerkinElmer Life ScienceTM,マサチューセッツ州ボストンより入手可能)でフィルターを計数した。
【0267】
CB−2受容体結合プロトコール
CB−2cDNAでトランスフェクトしたチャイニーズハムスター卵巣−K1(CHO−K1)細胞(コネチカット大学の Debra Kendall 博士より入手)を組織調製緩衝液(2mM EDTAを含有する5mM Tris−HCl(pH=7.4))に入れ、高速でポリトロン処理し、氷上に15分間保った。次いで、このホモジェネートを4℃で5分間、1,000XGでスピンした。上清を回収し、4℃で1時間、100,000XGで遠心分離した。次いで、ペレットを、使用する脳につき25mlのTME(5mM MgCl及び1mM EDTAを含有する25mM Tris緩衝液(pH=7.4))に再懸濁させた。タンパク質アッセイを実施して、200μlの組織(全量10μg)をアッセイ液へ加えた。
【0268】
試験化合物を薬物緩衝液(0.5% BSA,10% DMSO、及び80.5% TME)に希釈してから、深いウェルのポリプロピレンプレートへ25μlを加えた。[H]−5−(1,1−ジメチル−ヘプチル)−2−[5−ヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシプロピル)−シクロヘキシル]−フェノールをリガンド緩衝液(0.5% BSA及び99.5% TME)に希釈してから、25μlを各ウェルへ1nMの濃度で加えた。BCAタンパク質アッセイを使用して適正な組織濃度を決定し、200μlの組織を適正濃度でプレートへ加えた。プレートにカバーをして、30℃で60分間インキュベーターに入れた。インキュベーション時間の最後に、250μlの停止緩衝液(5% BSA+TME)を反応プレートへ加えた。次いで、BSA(5mg/ml)+TMEで予め浸したGF/Bフィルターマット上へSkatronフォーマットによりプレートを採取した。各フィルターを2回洗浄した。このフィルターを一晩乾燥させた。その後、Wallac BetaplateTMカウンターでフィルターを計数した。
【0269】
CB−1受容体GTPγ[35S]結合アッセイ
ヒトCB−1受容体cDNAで安定的にトランスフェクトしたCHO−K1細胞より膜を調製した。膜は、Bass et al.,「新規ソマトスタチンアンタゴニストの同定及び特性決定(Identification and characterization of novel somatostatin antagonists)」Molecular Pharmacology, 50, 709-715 (1996) により記載されるように、細胞より調製した。GTPγ[35S]結合アッセイは、50mM Tris HCl(pH7.4),3mM MgCl(pH7.4),10mM MgCl,20mM EGTA,100mM NaCl,30μM GDP,0.1%ウシ血清アルブミン、及び以下のプロテアーゼ阻害剤:100μg/ml バシトラシン、100μg/ml ベンズアミジン、5μg/ml アプロチニン、5μg/ml ロイペプチンより構成されるアッセイ緩衝液において、ウェルにつき100pM GTPγ[35S]及び10μgの膜を使用して、96ウェルFlashPlateTMフォーマット中に同一2検体で実施した。次いで、このアッセイ混合物を増加濃度のアンタゴニスト(10−10M〜10−5M)とともに10分間インキュベートして、カンナビノイドアゴニスト、5−(1,1−ジメチル−ヘプチル)−2−[5−ヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシ−プロピル)−シクロヘキシル]−フェノール(10μM)でチャレンジした。アッセイを30℃で1時間実施した。次いで、FlashPlateTMを2000XGで10分間遠心分離した。次いで、Wallac Microbetaを使用して、GTPγ[35S]結合の刺激を定量した。PrismTMを使用して、GraphpadによりEC50計算を行った。
【0270】
アゴニストの非存在下にインバースアゴニズムを測定した。
CB−1受容体FLIPRベースの機能アッセイプロトコール
このアッセイには、ヒトCB−1受容体cDNAで同時トランスフェクトしたCHO−K1細胞(コネチカット大学の Debra Kendall 博士より入手)と雑多なG−タンパク質、G−16を使用した。コラーゲンコートした384ウェルの黒色澄明アッセイプレートのウェルにつき12500個の細胞で、細胞を前もって48時間プレート培養した。細胞は、2.5mM プロベニシド及びプルロン酸(0.04%)を含有するDMEM(ギブコ)中4μM Fluo−4AM(Molecular Probes)とともに1時間インキュベートした。次いで、プレートをHEPES緩衝化生理食塩水(プロベニシド;2.5mMを含有する)で3回洗浄して、過剰な色素を除去した。20分後、このプレートをFLIPRへ個別に加えて、蛍光レベルを80秒の時間にわたり連続的にモニターした。20秒のベースラインの後で全384ウェルへ同時に化合物の添加を行った。アッセイを同一3検体で実施して、6点の濃度応答曲線を作成した。引き続きアンタゴニスト化合物を3μM WIN55,212−2(アゴニスト)でチャレンジした。Graph Pad Prismを使用して、データを解析した。
【0271】
インバースアゴニストの検出
インタクト細胞を使用する以下のサイクリックAMPアッセイプロトコールを使用して、インバースアゴニスト活性を定量した。
【0272】
100μl/ウェルの濃度、10,000〜14,000細胞/ウェルのプレート培養密度で96ウェルプレートにおいて細胞をプレート培養した。プレートを37℃のインキュベーターにおいて24時間インキュベートした。培地を除去し、血清を欠く培地(100μl)を加えた。次いで、プレートを37℃で18時間インキュベートした。
【0273】
各ウェルへ、1mM IBMXを含有する無血清培地に続き、0.1% BSA入りPBSで10倍希釈した(1:10 ストック溶液(DMSO中25mM化合物):50% DMSO/PBSへ)試験化合物の10μlを加えた。37℃で20分間インキュベートした後で、2μMのホルスコリンを加えてから、37℃でさらに20分間インキュベートした。培地を除去し、100μlの0.01N HClを加えてから、室温で20分間インキュベートした。細胞溶解液(75μl)を25μlのアッセイ緩衝液(NEN Life Science Products,マサチューセッツ州ボストンより入手可能なFlashPlateTM cAMPアッセイキットで供給される)とともにFlashplateへ入れた。キットのプロトコールに従って、cAMP標準品とcAMPトレーサーを加えた。次いで、フラッシュプレートを4℃で18時間インキュベートした。このウェルの中身を吸引して、シンチレーションカウンターで計数した。
【0274】
in vivo 生物学的アッセイ
Δ−テトラヒドロカンナビノール(Δ−THC)及び5−(1,1−ジメチル−ヘプチル)−2−[5−ヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシ−プロピル)−シクロヘキシル]−フェノールのようなカンナビノイドアゴニストは、集合的に四つ組(Tetrad)として知られる、マウスの4つの特徴的な行動に影響を及ぼすことが示されている。これらの行動の記載については、Smith, P. B., et al.「内因性カンナビノイドと推定されるアナンダミドのマウスにおける薬理学的活性(The pharmacological activity of anandamide, a putative endogenous cannabinoid, in mice)」J. Pharmacol. Exp. Ther., 270(1), 219-227 (1994) 及び Wiley, J. et al.「アナンダミドのラットにおける差別的な刺激効果(Discriminative stimulus effects of anandamide in rats)」Eur. J. Pharmacol., 276(1-2), 49-54 (1995) を参照のこと。以下に記載する運動活性、カタレプシー、低体温、及びホットプレートアッセイにおける上記活性の逆転は、CB−1受容体アンタゴニストの in vivo 活性のスクリーンを提供する。
【0275】
すべてのデータは、以下の式を使用して、アゴニスト単独からの逆転(%)として表す:(5−(1,1−ジメチル−ヘプチル)−2−[5−ヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシ−プロピル)−シクロヘキシル]−フェノール/アゴニスト−担体/アゴニスト)/(担体/担体−担体/アゴニスト)。マイナスの数字は、アゴニスト活性の増強又は非アンタゴニスト活性を示す。プラスの数字は、特別な試験での活性の逆転を示す。
【0276】
運動活性
雄性ICRマウス(n=6;17〜19g,チャールズ・リバー・ラボラトリーズ社、マサチューセッツ州ウィルミントン)を試験化合物で前処理した(sc,po,ip,又はicv)。15分後、マウスを5−(1,1−ジメチル−ヘプチル)−2−[5−ヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシ−プロピル)−シクロヘキシル]−フェノール(sc)でチャレンジした。このアゴニスト注射から25分後、清潔なおがくずを含有する清潔なアクリルケージ(431.8cmx20.9cmx20.3cm)にマウスを入れた。全部で約5分の間、この被検動物に周囲を探検させ、ケージの上に配置した赤外線運動検出器(Coulboum InstrumentsTM,ペンシルヴェニア州アレンタウンより入手可能)によってその活動を記録した。データをコンピュータ集計して、「運動単位」として表した。
【0277】
カタレプシー
雄性ICRマウス(n=6;到着時17〜19g)を試験化合物で前処理した(sc,po,ip,又はicv)。15分後、マウスを5−(1,1−ジメチル−ヘプチル)−2−[5−ヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシ−プロピル)−シクロヘキシル]−フェノール(sc)でチャレンジした。注射から90分後、約12インチの高さにあるリングスタンドへ付いた6.5cmの鋼鉄リング上にマウスを置いた。リングは水平配向で据え付け、前及び後の爪で外輪をつかんだ状態で、マウスをリングの隙間にぶら下げた。マウスが完全に動かなくなった(呼吸運動は除く)時間を3分の時間にわたり記録した。
【0278】
静止百分率のレーティングとしてデータを表した。レーティングは、マウスが動かないままでいる秒数を観察時間の全体時間により割った結果を100倍する。次いで、アゴニストからの逆転百分率を計算した。
【0279】
低体温
雄性ICRマウス(n=6;到着時17〜19g)を試験化合物で前処理した(sc,po,ip,又はicv)。15分後、マウスをカンナビノイドアゴニストの(5−(1,1−ジメチル−ヘプチル)−2−[5−ヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシ−プロピル)−シクロヘキシル]−フェノール(sc)でチャレンジした。アゴニスト注射から65分後、直腸温を測定した。これは、小さなサーモスタット探針を直腸中ほぼ2〜2.5cmのところへ挿入することによって行った。温度は、1/10℃まで記録した。
【0280】
ホットプレート
雄性ICRマウス(n=6;到着時17〜19g)を試験化合物で前処理する(sc,po,ip,又はicv)。15分後、マウスをカンナビノイドアゴニストの(5−(1,1−ジメチル−ヘプチル)−2−[5−ヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシ−プロピル)−シクロヘキシル]−フェノール(sc)でチャレンジした。45分後、標準ホットプレートメーター(Columbus Instruments)を使用して、痛覚消失の逆転を各マウスについて試験した。ホットプレートは、澄明なアクリル壁に囲まれて、10”x10”x0.75”であった。蹴る、後爪を舐めるか又は動かす、又は基盤から跳ぶことへの潜伏時間を1/10秒まで記録した。タイマーは実験者が起動させて、各試験には40秒の中断があった。アゴニスト誘導性の痛覚消失の逆転百分率としてデータを提示した。
【0281】
食餌摂取
以下のスクリーンを使用して、一晩絶食後のスプリーグ−ドーリーラットにおいて食餌摂取を阻害する試験化合物の効果を評価した。
【0282】
雄性スプリーグ−ドーリーラットをチャールズ・リバー・ラボラトリーズ社(マサチューセッツ州ウィルミントン)より入手した。このラットを個別に収容し、粉末食を給餌した。それらを12時間の明/暗周期に維持し、食餌と水を自由に摂取させた。試験を実施する前の1週間、動物を飼育器に馴らした。試験は、周期の明期の間に完了させた。
【0283】
食餌摂取効果のスクリーンを実施するために、試験前の午後に、食餌のない個別の試験ケージへ動物を移し、ラットを一晩絶食させた。一晩絶食の後で、翌朝、ラットに担体又は試験化合物を投与した。既知のアンタゴニスト(3mg/kg)を陽性対照として投薬し、対照群には担体単独(化合物なし)を与えた。試験化合物は、化合物によって、0.1及び100mg/kgの間の範囲で投薬した。標準担体は、水中0.5%(w/v)メチルセルロースであり、標準の投与経路は、経口であった。しかしながら、必要とされるときは、異なる担体及び投与経路を使用して、様々な化合物を提供した。投薬後30分でラットへ食餌を提供し、Oxymax自動化食餌摂取システム(Columbus Instruments,オハイオ州コロンバス)を開始した。個々のラットの食餌摂取を2時間の間にわたり10分間隔で連続的に記録した。必要とされるときは、電子スケールを使用して、食餌摂取を手動で記録し;食餌の提供後4時間まで、食餌提供後30分毎に食餌を秤量した。化合物の効力は、化合物処理ラットの食餌摂取パターンを担体及び標準陽性対照へ比較することによって決定した。
【0284】
アルコール摂取
以下のプロトコールは、飲用履歴が長いアルコール選好(P)雌性ラット(インディアナ大学で飼育)においてアルコール摂取の効果を評価する。以下の参考文献は、Pラットの詳しい記載を提供する:「薬理遺伝学ツールとしての動物モデルの開発(Development of Animal Models as Pharmacogenetic Tools)」(McClearn C. E., Deitrich R. A. 及び Erwin V. G. 監修)中 Li, T. -K., et al.,「アルコール関連行動に対するインディアナ選択試験(Indiana selection studies on alcohol related behaviors)」Research Monograph 6, 171-192 (1981) NIAAA, ADAMHA, メリーランド州ロックヴィル;Lumering, L, et al.,「アルコール選好性及び非選好性のあるラットの新系統(New strains of rats with alcohol preference and nonpreference)」Alcohol And Aldehyde Metabolizing Systems, 3, アカデミック・プレス、ニューヨーク、537-544 (1977); 及び Lumeng, L, et al.,「アルコール選好性及び非選好性ラットにおける異なるエタノール感受性(Different sensitivities to ethanol in alcohol-prefering and -nonprefering rats)」Pharmacol. Biochem Behav., 16, 125-130 (1982)。
【0285】
雌性ラットを暗期の開始時に毎日2時間アルコール(10%(v/v)及び水、2ボトル選択)へアクセスさせた。このラットは、逆の周期で維持して、実験者の関わりを容易にした。はじめに、アルコール摂取の等しい4つの群へ動物を割り当てた:1群−担体(n=8);2群−陽性対照(例、5.6mg/kg AM251;n=8);3群−低用量試験化合物(n=8);及び4群−高用量の試験化合物(n=8)。一般に、試験化合物は、蒸留水中30%(w/v)β−シクロデキストリンの担体へ1〜2ml/kgの容量で混合した。実験の最初の2日間に、全群へ担体注射を施した。これに2日間の薬物注射(適正な群への)と最終日の担体注射が続いた。薬物注射の日には、2時間のアルコールアクセス時間に先立つ30分前に薬物を投与した。試験期間中はすべての動物についてアルコール摂取を測定し、薬物−担体処理動物の間で比較を行って、アルコール飲用行動に対する化合物の効果を決定した。
【0286】
雌性C57BI/6マウス(チャールズ・リバー)を利用して、追加の飲用試験を行った。いくつかの試験は、この系統のマウスがほとんど、又はまったく操作を必要とせずにアルコールを容易に消費することを示している(Middaugh et al.,「C57BL/6マウスによるエタノール消費:ジェンダー及び手順変数の影響(Ethanol Consumption by C57BL/6 Mice: Influence of Gender and Procedural Variables)」Alcohol, 17(3), 175-183, 1999; Le et al.,「C57BL/6、BALA/c、及びDBA/2マウスによる制限アクセスパラダイムにおけるアルコール消費(Alcohol Consumption by C57BL/6, BALA/c, and DBA/2 Mice in a Limited Access Paradigm)」Pharmacology Biochemistry and Behavior, 47, 375-378, 1994)。
【0287】
我々の目的のために、到着してすぐのマウス(17〜19g)を個別に収容し、粉末ラット食、水、及び10%(w/v)アルコール溶液へ無制限にアクセスさせた。2〜3週の無制限アクセスの後で、1日につき水を20時間制限し、アルコールは2時間だけのアクセスへ制限した。これは、アクセス時間が日照周期の暗期の最終2時間であるやり方で行った。
【0288】
飲用行動が安定したらすぐに、試験を開始した。3日間の平均アルコール消費が全3日間の平均値の±20%であるときに、マウスを安定しているとみなした。試験の第1日目は、すべてのマウスに担体注射(sc又はip)を与えた。注射から30〜120分後に、アルコール及び水へアクセスさせた。その日のアルコール消費(g/kg)を計算し、全群が多様な(equivocal)アルコール摂取を有するように群を割り当てた(n=7〜10)。2及び3日目に、マウスへ担体又は薬物を注射し、前の日と同じプロトコールに従った。4日目はウォッシュアウトで、注射をしなかった。反復測定ANOVAを使用してデータを解析した。水又はアルコール消費の変化を試験の各日について担体と比較した。陽性結果は、水に対する影響を及ぼさない一方で、アルコール消費を有意に低下させることができる化合物と解釈した。
【0289】
酸素消費
方法:
雄性スプリーグ−ドーリーラット(別のラット系統又は雌性ラットを使用するならば、それを特定する)において、間接的な熱量計(Oxymax,Columbus Instruments,オハイオ州コロンバスより)を使用して、全身の酸素消費を測定する。ラット(300〜380gの体重)を熱量計チャンバに入れ、このチャンバを活動モニターに入れる。これらの試験は、明周期の間に行う。酸素消費の測定に先立って、ラットに標準食を自由摂食させる。酸素消費の測定の間、食餌は与えない。投薬前の基礎酸素消費量と歩行活動を2.5〜3時間の間10分ごとに測定する。投薬前基準期の最後に、チャンバを開けて、単回量の化合物(通常の投薬範囲は、0.001〜10mg/kgである)を経口ガバージュ(又は、特定される他の投与経路、即ち、sc、ip、iv)により投与する。薬物は、メチルセルロース、水、又は他の特定される担体(例には、PEG400、30% β−シクロデキストラン、及びプロピレングリコールが含まれる)において調製する。投薬後さらに1〜6時間の間、酸素消費量と歩行活動を10分ごとに測定する。
【0290】
Oxymax熱量計ソフトウェアは、チャンバを通る空気の流速と入口及び出口での酸素含量の差異に基づいて、酸素消費量(ml/kg/h)を計算する。活動モニターでは、15の赤外線ビームが各軸上に1インチ離れて空間配置され、2つの連続ビームが妨害されるときに歩行活動を記録し、その結果をカウント数として記録する。
【0291】
高い歩行活動(歩行活動カウント>100)の時期を除外し、そして前投薬期の最初の5つの数値と後投薬期の最初の数値を除外して、10分O消費値を平均化することによって、投薬の前及び後の間の安定酸素消費量を算出する。酸素消費の変化を百分率として報告し、(投薬後安定酸素消費量/投薬前安定酸素消費量)*100によって計算する。実験は、典型的には、n=4〜6のラットで行い、報告する結果は、平均+/−SEMである。
【0292】
解釈:
>10%の酸素消費の増加を陽性結果とみなした。これまでのところ、担体処理ラットでは、酸素消費は投薬前基準値から変化しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンナビノイド受容体アンタゴニストにより仲介される疾患、状態、又は障害を治療するための医薬組成物であって、
(1)式(III)
【化1】

[ここで、Aは窒素でBは炭素であるか、またはAは炭素でBは窒素であり;
0a、R0b、R1bおよびR1cはそれぞれ独立的にハロ、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキル、ハロ置換(C−C)アルキル、またはシアノであり;
nおよびmはそれぞれ独立的に0、1または2であり;
Xは結合であるか、または−C(R2a)(R2b)であり、ここでR2aおよびR2bはそれぞれ独立的に水素、(C−C)アルキル、またはハロ置換された(C−C)アルキルであり;
3aおよびR3bはそれぞれ独立的に水素、(C−C)アルキル、またはハロ置換された(C−C)アルキルであり;そして
は無置換若しくはハロ置換若しくはメトキシ置換の(C−C)アルキル、無置換の3〜8員完全飽和炭素環、又は無置換若しくはN−アルキル置換のピペラジン若しくはピロリジン環からなる群から選択される化学基である]の化合物、その製剤的に許容される塩、または前記化合物または前記塩の溶媒和物または水和物;および
(2)製剤的に許容される賦形剤、希釈剤、または担体、
を含む、前記医薬組成物。
【請求項2】
カンナビノイド受容体アンタゴニストにより仲介される疾患、状態、又は障害を治療するための医薬組成物であって、
(1)式(IV)
【化2】

[ここで、Aは窒素でBは炭素であるか、またはAは炭素でBは窒素であり;
0a、R0b、R1bおよびR1cはそれぞれ独立的にハロ、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキル、ハロ置換(C−C)アルキル、またはシアノであり;
nおよびmはそれぞれ独立的に0、1または2であり;
Xは結合であるか、または−C(R2a)(R2b)であり、ここでR2aおよびR2bはそれぞれ独立的に水素、(C−C)アルキル、またはハロ置換された(C−C)アルキルであり;
3aおよびR3bはそれぞれ独立的に水素、(C−C)アルキル、またはハロ置換された(C−C)アルキルであり;そして
は無置換若しくはハロ置換若しくはメトキシ置換の(C−C)アルキル、無置換の3〜8員完全飽和炭素環、又は無置換若しくはN−アルキル置換のピペリジン若しくはピロリジン環からなる群から選択される化学基である]の化合物、その製剤的に許容される塩、または前記化合物または前記塩の溶媒和物または水和物;および
(2)製剤的に許容される賦形剤、希釈剤、または担体、
を含む、前記医薬組成物。
【請求項3】
式(III)または式(IV)の化合物において、Rが(C−C)アルキル、ハロ置換(C−C)アルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ピペリジン−1−イル、またはピロリジン−1−イルである、請求項1または2の医薬組成物。
【請求項4】
式(III)または式(IV)の化合物において、Rがハロ置換(C−C)アルキルである、請求項3の医薬組成物。
【請求項5】
式(III)または式(IV)の化合物において、Aが窒素でありBが炭素である請求項4の医薬組成物。
【請求項6】
式(III)または式(IV)の化合物において、Aが炭素でありBが窒素である請求項4の医薬組成物。
【請求項7】
式(III)または式(IV)の化合物において、Xが結合である請求項1,2,3,4,5または6の医薬組成物。
【請求項8】
式(III)または式(IV)の化合物において、Xが−C(R2a)(R2b)−である請求項1,2,3,4,5または6の医薬組成物。
【請求項9】
式(III)または式(IV)の化合物が、3−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−クロロ−フェニル)−6−(2,2−ジフルオロ−プロピル)−2,4,5,6−テトラヒドロ−ピラゾロ[3,4−c]ピリジン−7−オン;
2−(2−クロロ−フェニル)−3−(4−エチル−フェニル)−5−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−c]ピラゾール−6−オン;および、
2−(2−クロロ−フェニル)−3−(4−イソプロピル−フェニル)−5−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−c]ピラゾール−6−オン、からなる群から選択される、請求項1または2の医薬組成物。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物であって、さらに以下から選択される少なくとも1つの製剤的薬剤を含む組成物:
ニコチン受容体部分アゴニスト、オピオイドアンタゴニスト、ドパミン作用剤、ADD/ADHD剤、またはアポB/MTP阻害剤、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ−1(11β−HSD1型)阻害剤、ペプチドYY3−36又はその類似体、MCR−4アゴニスト、CCK−Aアゴニスト、モノアミン再取込み阻害剤、交感神経様作用剤、βアドレナリン作用性受容体アゴニスト、ドパミン受容体アゴニスト、メラノサイト刺激ホルモン受容体類似体、5−HT2c受容体アゴニスト、メラニン濃縮ホルモン受容体アンタゴニスト、レプチン、レプチン類似体、レプチン受容体アゴニスト、ガラニン受容体アンタゴニスト、リパーゼ阻害剤、ボンベシン受容体アゴニスト、神経ペプチドY受容体アンタゴニスト、甲状腺類似剤、デヒドロエピアンドロステロン又はその類似体、グルココルチコイド受容体アンタゴニスト、オレキシン受容体アンタゴニスト、グルカゴン様ペプチド−1受容体アゴニスト、毛様体神経栄養因子、ヒト・アグーティ関連タンパク質アンタゴニスト、グレリン受容体アンタゴニスト、ヒスタミン3受容体アンタゴニスト又はインバースアゴニスト、及びニューロメジンU受容体アゴニストから選択される抗肥満剤。

【公開番号】特開2007−84553(P2007−84553A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−283916(P2006−283916)
【出願日】平成18年10月18日(2006.10.18)
【分割の表示】特願2006−506605(P2006−506605)の分割
【原出願日】平成16年4月20日(2004.4.20)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】