説明

カードエッジコネクタ、電気回路部品

【課題】カードエッジコネクタ内への異物の侵入を防止して、子基板と接続端子との接続を確実に行う。
【解決手段】接続端子13A、13Bにおいて、双方のワイプ部13cは、子基板30が挿入されていない状態において、互いに平行となる平坦部13sを有している。接続端子13A、13Bは、子基板30が挿入されていない状態において、その弾性により、平坦部13s、13sどうしが互いに突き当っているようにした。これにより、スロット11bの開口側から異物等が接続端子13A、13B間に侵入するのを防ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親基板上にカード状の子基板を実装するときに用いるのに適したカードエッジコネクタ、電気回路部品に関する。
【背景技術】
【0002】
親基板上にカード状の子基板を実装する場合、親基板上にカードエッジコネクタを設け、このカードエッジコネクタに対し、子基板の基板端部を挿入して電気的に接続することが行われている。
【0003】
図2は、本発明に関連するカードエッジコネクタを示す図であって、(a)は子基板を未挿入の状態を示す断面図、(b)は子基板を挿入した状態を示す断面図である。
図2(a)に示すように、カードエッジコネクタ1は、プリント基板5上に実装されている。カードエッジコネクタ1は、ハウジング2の内部に、対となる接続端子3A、3Bが設けられている。
【0004】
接続端子3A、3Bは、ハウジング2の底面を貫通し、プリント基板5に形成されたスルーホール6に挿入され、半田付け等によりプリント基板5の配線パターンに電気的に接続されている。
接続端子3A、3Bは、ハウジング2内において、互いに接近するよう湾曲形成された導通接点部4A、4Bが形成されている。
【0005】
一方、カードエッジコネクタ1に挿入されるカード状の子基板8は、その端部8aの両面に、導通パッド9a、9bを有している。このような子基板8をカードエッジコネクタ1に挿入すると、子基板8の端部8aによって接続端子3A、3Bが互いに離間する方向に押し広げられ、導通パッド9a、9bがプリント基板5側に変位していく。そして、図2(b)に示すように、ハウジング2内に設けられたストッパ7に突き当たるまで子基板8を挿入すると、導通接点部4A、4Bに導通パッド9a、9bが接触し、カードエッジコネクタ1の配線とプリント基板5の配線とが、カードエッジコネクタ1の接続端子3A、3Bを介して電気的に接続される。
【0006】
ところで、このようなカードエッジコネクタ1においては、導通パッド9a、9bに異物等が付着したり、ハウジング2内の接続端子3A、3B間に異物が入り込む等したりして、導通接点部4A、4Bと導通パッド9a、9bとの電気的な接続が確実に行われない可能性がある。
そこで、特許文献1、2、3に記載の構成のように、子基板8をカードエッジコネクタ1に挿入する際に、子基板8の導通パッド9a、9bに対し、接続端子3A、3Bが摺動し、双方の接触面をワイピングする技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−148009号公報
【特許文献2】特開2004−356096号公報
【特許文献3】特開2009−199859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、カードエッジコネクタ1のハウジング2内には、粉塵等の異物が入り込みやすい。この入り込んだ異物が導通パッド9a、9bと接続端子3A、3Bとに挟み込まれた状態において、子基板8の挿入作業を行うと、異物が導通接点部4A、4Bに噛み込み、導通接点部4A、4Bが機械的に損傷してしまうことがあった。
そこでなされた本発明の目的は、カードエッジコネクタ内への異物の侵入を防止して、子基板と接続端子との接続を確実に行うことのできるカードエッジコネクタ、電気回路部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明のカードエッジコネクタは、親基板上に設けられるハウジングと、ハウジングに形成されたスロット内に設けられ、基端部がハウジングを貫通して親基板に固定される一対以上の接続端子と、を備え、接続端子は、スロット内に挿入される子基板の端部の配線パターンに接触する導通接点部と、導通接点部よりもスロットの開口側に設けられ、対となる相手側の接続端子に向けて突出する突出部と、を備え、スロット内に子基板が未挿入の状態で、対となる二つの接続端子の突出部どうしが突き当たっていることを特徴とする。
【0010】
本発明は、上記のようなカードエッジを基板上に実装したことを特徴とする電気回路部品とすることもできる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、スロット内に子基板が未挿入の状態で、対となる二つの接続端子の突出部どうしが突き当たっているので、カードエッジコネクタ内への異物の侵入を防止して、子基板と接続端子との接続を確実に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るカードエッジコネクタを示す図であって、(a)は子基板を未挿入の状態を示す断面図、(b)は子基板を挿入した状態を示す断面図である。
【図2】本発明に関連するカードエッジコネクタを示す図であって、(a)は子基板を未挿入の状態を示す断面図、(b)は子基板を挿入した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。しかし、本発明は以下の実施形態のみに限定されるものではない。図1は本発明の実施形態に係るカードエッジコネクタを示す図であって、(a)は子基板を未挿入の状態を示す断面図、(b)は子基板を挿入した状態を示す断面図である。
【0014】
図1に示すように、カードエッジコネクタ10は、プリント基板20上に実装されることで、電気回路部品を構成している。カードエッジコネクタ10は、ハウジング11の内部に、対となる接続端子13A、13Bが一対以上設けられている。
【0015】
ハウジング11は、プリント基板20側が底部11aとされ、プリント基板20から離間する側に、子基板30の端部30aが挿入されるスロット11bが開口している。このスロット11bは、子基板30の長さ(幅)に合わせて形成されている。接続端子13A、13Bは、このようなスロット11b内に、スロット11bが連続する方向に間隔を隔てて複数対が設けられている。
【0016】
接続端子13A、13Bは、それぞれ、その基部13aがハウジング11の底部11aを貫通して、プリント基板20に形成されたスルーホール21に挿入され、半田付け等によりプリント基板20の配線パターンに電気的に接続されている。さらに、接続端子13A、13Bは、ハウジング11のスロット11b内で、基部13a側からスロット11bの開口側に向けて延びるよう設けられている。
【0017】
接続端子13A、13Bのそれぞれは、基部13aから、相手側の接続端子13B、13A側に突出するよう湾曲または屈曲形成された導通接点部13bと、導通接点部13bよりもスロット11bの開口側に位置し、相手側の接続端子13B、13A側に突出するよう湾曲または屈曲形成されたワイプ部(突出部)13cとを有する。そして、接続端子13A、13Bのそれぞれの先端部13dは、ワイプ部13cに対し、相手側の接続端子13B、13Aから離間する方向に傾斜して形成されている。
【0018】
スロット11b内において、上記のような接続端子13A、13Bは互いに対向して設けられており、導通接点部13b、ワイプ部13cの2か所において、接続端子13A、13Bは、互いに接触または近接している。
ここで、図1(a)に示すように、接続端子13A、13Bにおいて、双方のワイプ部13cは、子基板30が挿入されていない状態において、互いに平行となる平坦部13sを有している。接続端子13A、13Bは、子基板30が挿入されていない状態において、その弾性により、平坦部13s、13sどうしが互いに突き当っている(押し付け合っている)。
【0019】
このようなカードエッジコネクタ10においては、上述したように、図1(a)のように、子基板30が挿入されていない状態においては、双方のワイプ部13cの平坦部13sどうしが互いに突き当っている。これにより、スロット11bの開口側から異物等が接続端子13A、13B間に侵入するのを防ぐことができる。
そして、スロット11bの開口から子基板30の端部30aを接続端子13A、13B間に挿入していくときには、まず、双方の先端部13dが互いに離間する方向に傾斜しているため、接続端子13A、13B間に子基板30を容易に挿入できる。
さらに子基板30を挿入していくと、ワイプ部13c、13cにより、子基板30の両面に形成された導通パッド(配線パターン)31が擦られ、導通パッド31に付着した異物等が擦りとられる。
図1(b)に示すように、子基板30を、端部30aがハウジング11の底部11a上に設けられたストッパ16に突き当たるまで挿入すると、接続端子13A、13Bの導通接点部13b、13bに導通パッド31、31が接触し、子基板30の配線とプリント基板20の配線とが、カードエッジコネクタ10の接続端子13A、13Bを介して電気的に接続される。
【0020】
上述したように、カードエッジコネクタ10においては、子基板30が挿入されていない状態では双方のワイプ部13cの平坦部13sどうしが互いに突き当っており、これにより、スロット11bの開口側から異物等が接続端子13A、13B間に侵入するのを防ぐことができる。したがって、異物が導通パッド31、31や接続端子13A、13Bに挟み込まれるのを防ぐことができ、接続端子13A、13Bの損傷を防ぐとともに、子基板30との接続を確実に行うことが可能となる。
ワイプ部13cにおいては、平坦部13sどうしが互いに突き当っているため、子基板30が挿入されていない状態では、平坦部13sどうしの接触面積を大きく確保することができる。これにより、接続端子13A、13Bを確実にクローズした状態とすることができ、より確実に異物の侵入を防止することが可能となる。
【0021】
なお、本発明のカードエッジコネクタ10は、図面を参照して説明した上述の各実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、接続端子13A、13Bの形状は、本願発明の主旨を逸脱しない範囲内であればいかなる形状としてもよい。例えば、接続端子13A、13Bは、ワイプ部13cの平坦部13sどうしが対向する構成としたが、これに限らず、例えば接続端子13A、13Bの一方に凸部を形成し、他方に凹部を形成し、これら凸部と凹部とが噛み合うようにしてもよい。これ以外にも、接続端子13A、13B間に外部から異物が入り込むのを防止できるのであれば、ワイプ部13cの形状はいかなるものとしても良い。
【0022】
また、上述した実施の形態においては、接続端子13A、13Bのそれぞれの平坦部13sを互いに平行となるように形成して、平坦部13sどうしを面接触させる構成にしたが、平坦部13sを相互に交差するように形成して線接触させる構成にしてもよい。あるいは、接続端子13A、13Bの一方あるいは双方の平坦部13sを省略して線接触させる構成にしてもよい。
【0023】
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0024】
10 カードエッジコネクタ
11 ハウジング
11a 底部
11b スロット
13A、13B 接続端子
13a 基部
13b 導通接点部
13c ワイプ部(突出部)
13d 先端部
13s 平坦部
16 ストッパ
20 プリント基板
21 スルーホール
30 子基板
30a 端部
31 導通パッド(配線パターン)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親基板上に設けられるハウジングと、
前記ハウジングに形成されたスロット内に設けられ、基端部が前記ハウジングを貫通して前記親基板に固定される一対以上の接続端子と、を備え、
前記接続端子は、前記スロット内に挿入される子基板の端部の配線パターンに接触する導通接点部と、前記導通接点部よりも前記スロットの開口側に設けられ、対となる相手側の前記接続端子に向けて突出する突出部と、を備え、前記スロット内に前記子基板が未挿入の状態で、対となる二つの前記接続端子の前記突出部どうしが突き当たっていることを特徴とするカードエッジコネクタ。
【請求項2】
前記突出部には平坦部が形成され、前記スロット内に前記子基板が未挿入の状態で、対となる二つの前記接続端子の前記突出部の前記平坦部どうしが突き当たっていることを特徴とする請求項1に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のカードエッジを基板上に実装したことを特徴とする電気回路部品。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−119210(P2012−119210A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269113(P2010−269113)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】