説明

カードコネクタ

【課題】機器がカードの抜去を検出した時点からカードの接触パッドとコネクタのコンタクトとの接触が断たれるまでの時間内に、カードを安全にシャットダウンすることができるカードコネクタを提供する。
【解決手段】カードコネクタ10は、カード1の抜去を検出した時点からカード1の接触パッド2と基板間の接続が断たれるまでの時間を従来のコネクタに比べて長くするように、ハウジング12に装着されたときのカード1の接触パッド4よりもカード挿入口側において、カード1の挿抜に伴いカード1の接触パッド4と基板間を電気的に導通接続及び切断すると共に、接続した時点から切断するまでの間、接続を保持するコンタクト40を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリカードを、携帯電話機,ディジタル・カメラ,携帯音楽プレーヤ,PDA等の電子機器に接続するためのカードコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
カードコネクタの構造は、基本的にハウジングと複数のコンタクトからなる。ハウジングは、前面にカード挿入口を設け、カード挿入口から挿入されたカードを決められた位置に保持し、複数のコンタクトは、ハウジング内に横一列に並設され、装着されたカードの複数の接触パッドを押圧しながら接触し、カードの接触パッドと電子機器の基板間を電気的に接続する。これにより、機器側からカードへの電源投入及び機器とカード間での通信を可能とする。
【0003】
また、コネクタには、普通、カードの挿抜に応動する2つの金属片の接離に基づきカードの装着を検出するカード認識スイッチが備えられている。このスイッチにおいては、回路保護やデータ保護の観点から、カード挿入時、カードの全ての接触パッドにコネクタの各コンタクトが接触した後、スイッチをオンにしなくてはならないという規約がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−100440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、機器がカードの装着を検出した時点(カード認識スイッチがオンになった時点)からカードに電源を投入し、カードを正常に初期化するために必要な起動時間、及び、機器がカードの抜去を検出した時点(カード認識スイッチがオフになった時点)から電源を安全に切るまでのシャットダウン時間は、カードの大容量化に伴い長くなる傾向にある。またそれとは逆に、機器がカードの抜去を検出した時点からカードの接触パッドとコネクタのコンタクトとの接触が断たれるまでの時間は、カード及びコネクタの小型化に伴い短くなっている。このため、従来のカードコネクタ、特に小型のカード用のものにおいては、カードの抜去操作を正常に行っているにもかかわらず、機器がカードの抜去を検出した時点からカードの接触パッドとコネクタのコンタクトとの接触が断たれるまでの時間内に、カードを安全にシャットダウンすることができない、という新たな課題を生じることになる。
【0005】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたもので、その目的は、カード抜去時、カードを安全にシャットダウンすることができるカードコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、片主面に接触パッドを一列に並設したカードを挿抜自在に装着するハウジングと、カードの挿抜に応動する2つの金属片の接離に基づきカードの装着を検出するカード認識スイッチとを備えたカードコネクタであって、ハウジングに装着されたときのカードの接触パッドよりもカード挿入口側において、カードの挿抜に伴いカードの接触パッドと基板間を電気的に接続及び切断すると共に、接続した時点から切断するまでの間、接続を保持するコンタクトを備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、カード抜去時、ハウジングに装着されたときのカードの接触パッドよりもカード挿入口側においても、カードの接触パッドと基板間を電気的に接続するので、カードの抜去を検出した時点からカードの接触パッドと基板間の接続が断たれるまでの時間が、従来のコネクタに比べて長くなる。このため、カードの抜去を検出した時点からカードの接触パッドと基板間の接続が断たれるまでの時間内にカードを安全にシャットダウンすることができる。
【0008】
本発明においては、ハウジング内にカード挿入方向の手前側と奥側のニ列に配置し、カード挿入時、カードの接触パッドがハウジングに装着されたときのカードの接触パッドよりもカード挿入口側において手前側一列のコンタクトに接触し、カードの接触パッドが奥側一列のコンタクトに接触した後に手前側一列のコンタクトとの接触を断ち、ハウジングに装着されたときのカードの接触パッドに奥側一列のコンタクトの接点部のみが接触し、カード抜去時、カードの接触パッドが奥側一列のコンタクトとの接触を断つ前に手前側一列のコンタクトに接触し、カードの接触パッドがハウジングに装着されたときのカードの接触パッドよりカード挿入口側において手前側一列のコンタクトとの接触を断つことが好ましい。このような形態においては、一種類のコンタクトを用意するだけでよいので、製造コストを抑えると共に、接触信頼性を確保しながら、カードの安全なシャットダウンを実現することができる。
【0009】
さらに、本発明のカードコンタクトにおいては、ハウジング内の一側部に配置され、カードによって奥側に押し込むための操作部を設けたスライド部材と、スライド部材をカード挿入口側に常時付勢する付勢部材と、ハウジング及びスライド部材の何れか一方に設けるハート状のカム溝及び他方に一端を支持してカム溝内をスライド部材の動きに合わせて移動するカムピンとを有し、カード挿入時、カードによってスライド部材を奥側に押し込み操作した後に開放することにより、スライド部材をカード装着位置に保持した状態で、カードをハウジングに装着すると共に、カード抜去時、カードによってカード装着位置のスライド部材を奥側に再度押し込み操作した後に開放することにより、スライド部材を元の位置に復帰させてハウジングに装着されたカードを排出するカード排出機構を備え、カード排出機構によって排出されたカードにおいても、カードの接触パッドと基板間を電気的に接続することが好ましい。このような形態においては、ハウジングに装着されたカードを、カード挿入時に蓄積した付勢部材の付勢力によって排出するカード排出機構を備えたカードコネクタにおいて、カードの安全なシャットダウンを実現することができる。
【0010】
また、上記形態のカードコネクタでは、カード排出機構のスライド部材に、カード挿入時、カードによってスライド部材をハウジング内の奥側に押し込み操作する前に、カードの側面ノッチに係合する係合部を設けることが好ましい。このような形態においては、カード排出機構によって排出されたカードがハウジングから抜け出るのを防止することができるので、ハウジングに装着されたカードを、カード挿入時に蓄積した付勢部材の付勢力によって排出するカード排出機構を備えたカードコネクタにおいて、カードの安全なシャットダウンをより確実に実現することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように本発明のカードコネクタは、カード抜去時、カードを安全にシャットダウンすることができる顕著な効果を奏する。
【0012】
また、特に、小型のカードを電子機器に接続する場合、ハウジングに装着されたカードを、カード挿入時に蓄積した付勢部材の付勢力によって排出するカード排出機構を備える場合においても、カード抜去時、カードを安全にシャットダウンすることができる顕著な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて詳述する。本実施の形態では、本発明をメモリカードの中でも小型のマイクロSDカード用で、プッシュ/プッシュ型のカード排出機構付きのカードコネクタに適用した場合について説明する。
【0014】
図1(A)はマイクロSDカード1の表面図、図1(B)はマイクロSDカード1の側面図、図1(C)はマイクロSDカード1の裏面図である。マイクロSDカード1は、外形が縦長の略矩形平板状のものである。このカード1には、その一つの角部を落とす切り欠き部2が設けられ、この切り欠き部2によってコネクタに対するカード1の誤挿入を防止するようになっている。また、前記切り欠き部2の手前側にはノッチ3が設けられ、このノッチ3によってコネクタからのカード1の不用意な抜け出しを防止するようになっている。そして、前記切り欠き部2の横側の裏面(片主面)には、細幅の矩形金属板からなる複数の接触パッド4が、その片主面をカード1の裏面に略面ーに露出した状態で横一列に並設されている。接触パッド4は、図1(C)において、左から1番目と2番目と7番目と8番目の合計4本がデータ用、同じく左から3番目がコマンド用、4番目と6番目が電源用、5番目がクロック用で、8ピン構成である。これら接触パッド4それぞれをコネクタのコンタクトを介して電子機器のプリント配線基板に電気的に接続することによって、機器側からカードへの電源投入及び機器とカード1間での通信が可能となる。電源用の接触パッド4は、他の接触パッド4よりも先行してコネクタの電源用のコンタクトに接触するように、カード挿入方向の端部が他の接触パッド4のそれよりカード挿入方向に偏奇している。
【0015】
上記カード1を装着する本発明の一実施の形態に係るカードコネクタ10の構造を図2〜図5を用いて説明する。図2はカードコネクタ10の外観を示す斜視図、図3はカードコネクタ10の内部構造を示すカバー30を除去した状態の斜視図、図4はカードコネクタ10の内部構造を示すカバー30を除去した状態のカードコネクタ10の平面図、図5はカードコネクタ10に備えるコンタクト40の構造を示す斜視図である。このコネクタ10は、カード1を裏面を下にして切り欠き部2が設けられた端部から挿入するカード挿入口11を前側面の一側(左側)に片寄せて開口した箱状のハウジング12と、カード1の接触パッド4と機器の基板間を電気的に接続するためのコンタクト40と、機器側においてカード1の装着を電気的に検出するための一対の金属片50A,50Bで形成されるカード認識スイッチ50と、カード1による1回目の押し込み操作によってカード1をハウジング12内の決められた位置に保持して装着させると共に、カード1による2回目の押し込み操作によってハウジング12に装着されたカード1を排出するプッシュ/プッシュ型のカード排出機構60とから構成される。
【0016】
ハウジング12は、カード挿入口11の奥側(後側)の内部空間が、コンタクト40及びカード認識スイッチ50を配置するカード収容スペースになり、このカード収容スペースの一側(右側)の内部空間が、カード排出機構60の配置スペースになっている。このようなハウジング12は、コンタクト40及び一対の金属片50A,50B等の導体を取り付ける樹脂成形品の絶縁体であるボディ13と、ボディ13に上方から被着して静電破壊対策やノイズ対策を施す金属板を打ち抜き及び曲げ加工して形成したカバー30とから構成される。ボディ13は、ハウジング底板14と、ハウジング右側壁15と、ハウジング後側壁16と、カード挿入口11の右側のハウジング前側壁17とを一体的に形成し、カバー30は、ハウジング天板31と、ハウジング左側壁32と、ハウジング右側壁22の外面を覆う右側板33とを一体的に形成している。
【0017】
また、ボディ13は、ハウジング底板14の左側端面及びハウジング右側壁15の外面に、カバー30を結合するために位置決め用の嵌合部18と離脱防止の係合部19を設け、カード1の裏面に対向するカード収容スペースの底部側のハウジング底板14に、このハウジング底板14の前縁中央部を両端部より後退させる切り欠き部20を設け、この切り欠き部20の奥側のハウジング底板14に、コンタクト40を位置決めして固定するための複数の細幅の圧入溝21をカード挿入方向の手前側と奥側の前後二列に設け、カード排出機構60の配置スペースの前部及び後部に、カード排出機構60のスライド部材61を突き当てる前部ストッパー部22及び後部ストッパー部23を設け、この前部ストッパー部22にカード排出機構60のカムピン64を支持するための軸受け部24を設け、後部ストッパー部23に一対の金属片50A,50Bを位置決めして固定するための前後一対のスリット状の圧入溝25,26を設け、ハウジング前側壁17の端部に、カード排出機構60のカード1に対する係止部66を係止させる復帰側のストッパー部27を設けている。
【0018】
コンタクト40の圧入溝21は、各列にそれぞれ8つずつがカード横幅方向に並設されており、手前側一列の各圧入溝21の前部が切り欠き部20内に開放され、奥側一列の各圧入溝21の後部がハウジング後側壁16を貫通してボディ13の後側に開放されている。
【0019】
カバー30は、ハウジング左側壁32及び右側板33に、ボディ13側の位置決め用の嵌合部18に対する相手側嵌合部34及びボディ13側の離脱防止の係合部19に対する相手側係合部35を設け、ハウジング左側壁32の前後部及び右側板33の前後部に、コネクタ実装用の端子部36を設け、カード排出機構60の配置スペースの前部上側のハウジング天板31に、カード排出機構60のカムピン64を常時下方に押圧するための可撓性を持った片持ち梁状の板バネ片37を設けている。
【0020】
各コンタクト40は、金属薄板を打ち抜き及び曲げ加工して形成した図5に示すような細幅の金属の板バネで構成され、コネクタ実装用の端子部41と、圧入溝21内に固定するための固定部42と、可撓性を持ったバネ片部43と、バネ片部43に形成する山形の接点部44とを有している。このようなコンタクト40を、手前側一列の各圧入溝21内及び奥側一列の各圧入溝21内に、手前側一列の各圧入溝21に対してはボディ13の前側から、奥側一列の各圧入溝21に対してはボディ13の後側からそれぞれ圧入することにより、カード収容スペースの底部側のハウジング底板14に、カード挿入方向の手前側と奥側の前後ニ列に向かい合わせに配置している。コンタクト40は、カード1の接触パッド4に対応して、各列に8本ずつがカード横幅方向に並設されており、一列が8ピン構成である。
【0021】
手前側一列の複数(8本)のコンタクト40(以下、「第1コンタクト40A」という。)は、固定部42が手前側一列の各圧入溝21の前部内側に固定され、この固定部42から前側に向かって延出される端子部41が手前側一列の各圧入溝21の前部から切り欠き部20内に突出される。また、バネ片部43はこの先端側をハウジング底板14の上側前部(カード収容スペースの前部)に突出するように、固定部42から後斜め上方に向かって角度を持って延出され、この片持ち梁状のバネ片部43に形成された接点部44が、ハウジング12に装着されたときのカード1の接触パッド4(図10、図16参照)には接触しないよう、その接触パッド4よりもカード挿入口側(前側)で、その接触パッド4で、ハウジング底板14の上側前部(カード収容スペースの前部)に上下に弾性変位可能に突出して配置される。なお、図4において右から4番目と6番目の電源用の第1コンタクト40Aの接点部44は、カード挿入時、他の第1コンタクト40Aの接点部44よりも先行してカード1の電源用の接触パッド4に接触し、カード抜去時、他の第1コンタクト40Aの接点部44よりも遅れてカード1の電源用の接触パッド4との接触を断つように、他の第1コンタクト40Aの接点部44よりカード挿入口側(前側)に偏倚している。
【0022】
これに対して、奥側一列の複数(8本)のコンタクト40(以下、「第2コンタクト40B」という。)は、固定部42が奥側一列の各圧入溝21の後部内側に固定され、この固定部42から後側に向かって延出される端子部41が奥側一列の各圧入溝21の後部からボディ13の後側に突出される。また、バネ片部43はこの先端側を第1コンタクト40Aのバネ片部43より奥側のハウジング底板14の上側後部(カード収容スペースの後部)に突出するうように、固定部42から前斜め上方に角度を持って延出され、この片持ち梁状のバネ片部43に形成された接点部44が、ハウジング12に装着されたときのカード1の接触パッド4(図16参照)に接触するよう、第1コンタクト40Aの接点部44より奥側のハウジング底板14の上側後部(カード収容スペースの後部)で、ハウジング12に装着されたときのカード1の接触パッド4(図16参照)の長さWの範囲内に、上下に弾性変位可能に横一列に突出して配置される。なお、図4において右から4番目と6番目の電源用の第2コンタクト40Bの接点部44は、カード挿入時、他の第2コンタクト40Bの接点部44よりも先行してカード1の電源用の接触パッド4に接触し、カード抜去時、他の第2コンタクト40Bの接点部44よりも遅れてカード1の電源用の接触パッド4との接触を断つように、他の第2コンタクト40Bの接点部44よりカード挿入口側(前側)に偏倚している。
【0023】
上記のように、ハウジング12内のカード収容スペースにカード挿抜方向の手前側と奥側のニ列に配置した複数のコンタクト40は、カード挿入時、カード1の接触パッド4がハウジング12に装着されたときのカード1の接触パッド4(図10、図16参照)よりもカード挿入口側において第1コンタクト40Aの接点部44に接触し(図6、図12参照)、カード1の接触パッド4が第2コンタクト40Bの接点部44に接触した後に第1コンタクト40Aの接点部44との接触を断ち(図7〜図9、図13〜図15参照)、ハウジング12に装着されたときのカード1の接触パッド4に第2コンタクト40Bの接点部44のみが接触し(図10、図16参照)、カード抜去時、カード1の接触パッド4が第2コンタクト40Bの接点部44との接触を断つ前に第1コンタクト40Aの接点部44に接触し(図11〜図7、図17〜図13参照)、カード1の接触パッド4がハウジング12に装着されたときのカード1の接触パッド4(図10、図16参照)よりカード挿入口側において第1コンタクト40Aの接点部44との接触を断つようにする(図16、図12参照)。
【0024】
すなわち、各コンタクト40は、ハウジング12に装着されたときのカード1の接触パッド4よりもカード挿入口側において、カード1の挿抜に伴いカード1の接触パッド4と機器の基板間を電気的に導通接続及び切断すると共に、接続した時点から切断するまでの間、接続を保持するようになっている。
【0025】
カード認識スイッチ50を形成する一対の金属片50A,50Bそれぞれは、金属薄板を打ち抜き及び曲げ加工して形成した細幅の金属の板バネで構成され、コネクタ実装用の端子部51と、圧入溝24,25内に固定するための固定部52と、可撓性を持ったバネ片部53と、バネ片部53に形成する接点部54とを有している。このような一対の金属片50A,50Bそれぞれは、圧入溝24,25に上側から圧入することにより、固定部52が圧入溝24,25を介してカード排出機構60の配置スペースの後部にある後部ストッパー部23に固定され、固定部52の下縁から後側に向かって延出される端子部51がボディ13の後側に突出される。また、バネ片部53は第2コンタクト40Bの接点部44よりさらに奥側のカード収容スペースの後部に突出するように、固定部52から右斜め前方に角度を持って略平行に延出され、この片持ち梁状のバネ片部53に形成された接点部54がカード収容スペースの第2コンタクト40Bの接点部44よりさらに奥側のカード収容スペースの後部にカード挿抜方向に弾性変位可能に突出して対向配置され、この一対の金属片50A,50Bによりハウジング12内の最奥部にカード認識スイッチ50を形成し配置している。
【0026】
また、カード挿入方向の手前側のスイッチ接片50Aには、バネ片部53の接点部54の直ぐ手前側に、カード1の挿抜に伴いカード1の挿入側端部に接離するカード認識スイッチ50の操作部55を設けている。
【0027】
上記のように、一対の金属片50A,50Bによりハウジング12内の最奥部に形成し配置したカード認識スイッチ50においては、ハウジング12内にカード1が挿入されていないときには、カード挿入方向の手前側の金属片50Aの接点部54及び奥側の金属片50Bの接点部54は離間しており、カード認識スイッチ50はオフである(図3、図4参照)。カード挿入時、カード1の挿入側端部によって操作部55が奥側に押し込み操作され、カード挿入方向の手前側の金属片50Aのバネ片部53が奥側に撓み、カード挿入方向の手前側の金属片50Aの接点部54が奥側の金属片50Bの接点部54に接触した時点で、カード認識スイッチ50はオンになる(図8参照)。これ以降、操作部55は、ハウジング12に装着されるまでのカード1の挿入側端部及びハウジング12に装着されたときのカード1の挿入側端部によってさらに奥側に押し込み操作される。このように操作部55がカード1の挿入側端部によって奥側に押し込み操作されている間は、カード挿入方向の手前側の金属片50Aのバネ片部53及び奥側の金属片50Bのバネ接片53が共に奥側に撓み、カード挿入方向の手前側の金属片50Aの接点部54と奥側の金属片50Bの接点部54との接触を保持して、カード認識スイッチ50をオン状態に保つ(図8〜図11参照)。また、カード抜去時、カード1の挿入側端部による操作部55の押し込み力が除かれ、カード挿入方向の手前側の金属片50Aのバネ片部53及び奥側の金属片50Bのバネ片部53がカード認識スイッチ50がオンになる前の元の状態に復帰して、カード挿入方向の手前側の金属片50Aの接点部54が奥側の金属片50Bの接点部54から離間した時点で、カード認識スイッチ50はオフになる(図7参照)。
【0028】
すなわち、カード認識スイッチ50においては、カード1の挿抜に応じて一対の金属片50A,50Bが接離するので、これを電気的に検出することで、機器側においてカード1の装着の有無を検出することができる。
【0029】
また、カード認識スイッチ50においては、カード挿入時、カード1の接触パッド4が第2コンタクト40Bの接点部44に接触した後に、カード1の挿入側端部によって操作部55が奥側に押し込み操作され、カード認識スイッチ50がオンになるように、一対の金属片50A,50Bの接離タイミングを設定している(図7〜図8、図13〜図14参照)。これにより、カード挿入時、カード1の全ての接触パッド4にコネクタの各コンタクトが接触した後、スイッチ50をオンにしなくてはならないという、カード認識スイッチ50の規約を順守している。
【0030】
プッシュ/プッシュ型のカード排出機構60は、スライド部材61と、このスライド部材61の付勢部材であるコイルバネ62と、ハート状のカム溝63及びカムピン64から形成されるスライド部材61の位置保持機構65と、カード1をスライド部材62に係合させる係合部材66とから構成される。
【0031】
スライド部材61は、樹脂成形品の絶縁体であって、ハウジング12内のカード排出機構60の配置スペースに、前部ストッパー部22と後部ストッパー部23間でハウジング右側壁15に沿ってカード挿抜方向に往復移動自在に配置される。このようなスライド部材61には、カード収容スペース側の一側面(左側面)に張り出して、カード挿入時、カード1の切り欠き部2に嵌合する張り出し部61aと、カード1によってスライド部材61を奥側に押し込むために、カード1の挿入側端部に当接するよう張り出し部61aの後部からカード収容スペース側に突出した操作部61bと、位置決め機構65のハート状のカム溝63と、係合部材66を取り付けるためのスリット溝61cとを一体に形成している。
【0032】
コイルバネ62は、スライド部材61と後部ストッパー部23間に配置され、スライド部材61をカード挿入口側(前側)に常時付勢している。
【0033】
位置決め機構65のカムピン64は、コの字形に曲げた細い金属の丸棒からなり、一端をスライド部材61に設けたカム溝63に略直角に接するようにし、他端をボディ13に設けた軸受け部24に回転自在に支持して、カム溝63内をスライド部材61の動きに合わせて移動させる。また、カムピン64は、カバー30に設けた板バネ片37により常時下方に押圧され、一端がカム溝63に略直角に押し付けられ、他端が軸受け部24内に押し込まれている。
【0034】
係合部材66は、金属薄板を打ち抜き及び曲げ加工して形成した細幅の金属の板バネで構成され、スライド部材61に設けたスリット溝61cに固定するための固定部66aと、可撓性を持ったバネ片部66bと、バネ片部66bに形成する山形の係合部66cと、バネ片部66bを復帰側のストッパー部27に係止させてプリロードをかけるために、バネ片部66bの先端に形成する係止端部66dとを有している。このような係合部材66は、固定部66aをスライド部材61のスリット溝61cに上側から圧入することにより、固定部66aがスリット溝61cを介してスライド部材61に固定され、固定部66aから前側に向かって延出されるバネ片部66bがスライド部材61の前側にカード横幅方向に弾性変位可能に突出される。また、片持ち梁状のバネ片部66bに形成された係合部66cは、スライド部材61の張り出し部61aの手前側でカード横幅方向に弾性変位可能に突出して配置されている。
【0035】
上記のように構成された本発明の一実施の形態に係るカードコネクタ10は、例えば携帯電話機等の電子機器の筺体に内蔵されるプリント配線基板に、カバー30の各端子部36と各第1コンタクト40Aの端子部41及び各第2コンタクト40Bの端子部41とカード認識スイッチ50を形成する一対の金属片50A,50Bの端子部51をそれぞれ、半田付けにより機械的に固定、電気的に接続して実装することにより、使用することができる。なお、第1コンタクト40Aの及び第2コンタクト40Bは、カード1の接触パッド4それぞれを機器の基板に実装されるホスト(カードコントロールCPU)の対応するポートに電気的に接続するように、各第1コンタクト40Aの端子部41及び各第2コンタクト40Bの端子部41が基板電極に固定、接続される。
【0036】
次に、カード1の挿抜に伴う本発明の一実施の形態に係るカードコネクタ10のカード排出機構60の動作と、カード1の接触パッド4と第1コンタクト40Aの接点部44及び第2コンタクト40Bの接点部44との接離と、カード認識スイッチ50の動作との関係について、図3〜図4、図6〜図11、図12〜図17を用いて説明する。
【0037】
図3〜図4にカード1が挿入されていないときの状態を示す。各第1コンタクト40Aのバネ片部43及び各第2コンタクト40Bのバネ片部43は自由状態にあり、各第1コンタクト40Aの接点部44は、ハウジング12に装着されたときのカード1の接触パッド4(図16参照)よりもカード挿入口側(前側)で、ハウジング底板14の上側前部(カード収容スペースの前部)に横一列に突出され、各第2コンタクト40Bの接点部44は、ハウジング12に装着されたときのカード1の接触パッド4(図16参照)に接触するよう、第1コンタクト40Aの接点部44より奥側のハウジング底板14の上側後部(カード収容スペースの後部)で、ハウジング12に装着されたときのカード1の接触パッド4(図16参照)の長さWの範囲内に横一列に突出されている。また、カード認識スイッチ50を形成する一対の金属片50A,50Bそれぞれのバネ片部53も自由状態で、一対の金属片50A,50Bそれぞれの接点部54は離間しており、カード認識スイッチ50はオフになっている。さらに、カード排出機構60においては、コイルバネ62によってカード挿入口側(前側)に常時付勢されているスライド部材61が、前部ストッパー部22に突き当たる初期位置に移動し、カムピン64は、カム溝63の起点部63aに位置している。係合部材66は、バネ片部66bの先端に形成された係止端部66dがボディ13に設けたストッパー部27に当接して、バネ片部66bに形成された係合部66cがスライド部材61の張り出し部61aの手前側でカード収容スペースに突出されている。
【0038】
図6はカード1がカード排出機構60のスライド部材61を押し込む位置に挿入されたときの状態を示し、そのときのカード1の接触パッド4と第1コンタクト40Aの接点部44及び第2コンタクト40Bの接点部44との関係を図12に示す。カード1を、その裏面を下にして切り欠き部2が設けられた端部からカード挿入口11を通してハウジング12のカード収容スペースに正規挿入すると、カード1は、カード1の切り欠き部2にスライド部材61の張出し部61aを嵌合しながら、ハウジング左側壁32とスライド部材61間に嵌め込まれ、カード1の挿入側端部がスライド部材61の操作部61bに当接する。
【0039】
このようなカード1の挿入に伴い、カード1の切り欠き部2がスライド部材61に設けた係合部材66の係合部66cを通過する際、係合部66cは、切り欠き部2の側面に摺接してバネ片部66bの外側(右側)への撓みを伴ってカード1の切い欠き部2とノッチ3間の側面部に乗り上がった後、カード1の挿入側端部がスライド部材61の操作部61bに当接するのと略同時に、カード1のノッチ3と対向して、バネ片部66bの内側(左側)への弾性復帰を伴ってカード1のノッチ3に嵌り込む。これにより、カード1とスライド部材50がカード挿抜方向で係合連結され、図6に示す状態になる。
【0040】
また、カード1の接触パッド4は、カード1の挿入側端部がスライド部材61の操作部61bに当接する少し前の時点で、先ず電源用の接触パッド4が電源用の第1コンタクト40Aの接点部44に接触した後、カード1の挿入側端部がスライド部材61の操作部61bに当接するのと略同時に、電源用以外の他の接触パッド4が電源用以外の他の第1コンタクト40Aの接点部44に接触し、全ての接触パッド4が第1コンタクト40Aの接点部44のみに接触して、第1コンタクト40Aにより機器の基板と電気的に導通接続され、図12に示す状態になる。
【0041】
続いて、図7はカード認識スイッチ50がオンになる直前の状態を示し、そのときのカード1の接触パッド4と第1コンタクト40Aの接点部44及び第2コンタクト40Bの接点部44との関係を図13に示す。図6に示した状態からカード1をさらに挿入すると、カード1は、その挿入側端部によってスライド部材61の操作部61bを奥側へ押し、スライド部材61をコイルバネ62の付勢力に抗して奥側へと押し込みながら、カード1の挿入側端部がカード認識スイッチ50の操作部55の直前に挿入され、図7に示す状態になる。
【0042】
また、カード1の接触パッド4は、図12に示した状態からカード1の挿入に伴い、第1コンタクト40Aの接点部44の上で奥側へ摺動しながら、第1コンタクト40Aの接点部44との接触を断つ前に、先ず電源用の接触パッド4が電源用の第2コンタクト40Bの接点部44に接触した後、電源用以外の他の接触パッド4が電源用以外の他の第2コンタクト40Bの接点部44に接触し、全ての接触パッド4が第2コンタクト40Bの接点部44に接触して、第1コンタクト40Aの接点部44と第2コンタクト40Bの接点部44の間に架けられ、第1コンタクト40A及び第2コンタクト40Bにより機器の基板と電気的に導通接続され、図13に示す状態になる。
【0043】
続いて、図8はカード認識スイッチ50がオンになったときの状態を示し、そのときのカード1の接触パッド4と第1コンタクト40Aの接点部44及び第2コンタクト40Bの接点部44との関係を図14に示す。図7に示した状態からカード1をさらに挿入すると、カード1は、その挿入側端部によってスライド部材61をさらに奥側へと押し込みながら、カード認識スイッチ50の操作部55を奥側に押し込み操作し、カード挿入方向の手前側の金属片50Aのバネ片部53を奥側に撓ませ、カード挿入方向の手前側の金属片50Aの接点部54が奥側の金属片50Bの接点部54に接触した時点で、カード認識スイッチ50がオンになり、図8に示す状態になる。
【0044】
また、カード1の接触パッド4は、図13に示した状態からカード1の挿入に伴い、第1コンタクト40Aの接点部44及び第2コンタクト40Bの接点部44の上で奥側へ摺動しながら、先ず電源用の接触パッド4と電源用第1コンタクト40Aの接点部44との接触を断った後、電源用以外の他の接触パッド4と電源用以外の他の第1コンタクト40Aの接点部44との接触を断ち、全ての接触パッド4が第2コンタクト40Bの接点部44に移行して接触し、第2コンタクト40Bにより機器の基板と電気的に導通接続され、図14に示す状態になる。
【0045】
続いて、図9はカード1がカード排出機構60のスライド部材61を最押し込み位置に押し込んだときの状態を示し、そのときのカード1の接触パッド4と第1コンタクト40Aの接点部44及び第2コンタクト40Bの接点部44との関係を図15に示す。図8に示した状態からカード1をさらに挿入すると、カード1は、その挿入側端部によってカード認識スイッチ50をオン状態に保持したまま、スライド部材61をさらに奥側へと押し込み、後部ストッパー部23に突き当たる最押し込み位置に押し込んで止まり、図9に示す状態になる。
【0046】
また、カード1の接触パッド4は、図14に示した状態からカード1の挿入に伴い、第2コンタクト40Bの接点部44の上で奥側へ摺動し、図14に示した状態と同様に、全ての接触パッド4が第2コンタクト40Bの接点部44のみに接触し、第2コンタクト40Bにより機器の基板と電気的に導通接続され、図15に示す状態になる。
【0047】
続いて、図10はカード1が装着されたときの状態を示し、そのときのカード1の接触パッド4と第1コンタクト40Aの接点部44及び第2コンタクト40Bの接点部44との関係を図16に示す。図9に示した状態からカード1の挿入側端部によるスライド部材61の操作部61b及びカード認識スイッチ50の操作部55の押し込み力を除き、スライド部材61及びカード認識スイッチ50を開放すると、スライド部材60はコイルバネ62の付勢力により最押込み位置から前側へ押し戻され、これに伴ってカード1も最押し込み位置から前側へ押し戻される。
【0048】
そして、上記したスライド部材61の初期位置からの一連の動作により、カムピン64は、カム溝63の起点部63aから往路63bを通過して起点部63aと反対側にある係止部63cに導入係止され、カムピン64がカム溝63の係止部63cに係止した時点で、スライド部材61の前側への移動を規制する。これにより、スライド部材61は、最押込み位置より少し手前側のカード装着位置に保持され、このスライド部材61とカード挿抜方向で係合連結されているカード1をカード装着位置に保持して、ハウジング12に装着すると共に、そのカード1の挿入側端部によってカード認識スイッチ50をオン状態に保持し、図10に示す状態になる。
【0049】
また、カード1の接触パッド4は、図9に示した状態からカード装着位置への押し戻しに伴い、第2コンタクト40Bの接点部44の上で前側へ摺動し、図14、図15に示した状態と同様に、全ての接触パッド4が第2コンタクト40Bの接点部44のみに接触し、第2コンタクト40Bにより機器の基板と電気的に導通接続され、図16に示す状態になる。
【0050】
図10、図16に示したカード装着状態においては、カード認識スイッチ50はオン状態に保持され、カード1の接触パッド4と機器の基板間が第2コンタクト40Bにより電気的に導通接続されており、機器側からカード1への電源投入及び機器とカード1間での通信が可能になっている。
【0051】
続いて、図11はカード抜去時、カード1がカード排出機構60のスライド部材61を最押し込み位置に再度押し込んだときの状態を示し、そのときのカード1の接触パッド4と第1コンタクト40Aの接点部44及び第2コンタクト40Bの接点部44との関係を図17に示す。図10に示したカード装着状態からカード1を押し込み操作すると、カード1は、その挿入側端部によってカード認識スイッチ50をオン状態に保持したまま、スライド部材61をカード装着位置から奥側へと押し込み、後部ストッパー部23に突き当たる最押し込み位置に再度押し込んで止まる。スライド部材61のカード装着位置から最押し込み位置への動作により、カムピン64は、カム溝63の係止部63cから離脱して復路63dに導入されて、スライド部材61の位置保持を解除し、図11に示す状態になる。
【0052】
また、カード1の接触パッド4は、図16に示したカード装着状態からカード1の押し込みに伴い、第2コンタクト40Bの接点部44の上で奥側へ摺動し、全ての接触パッド4が第2コンタクト40Bの接点部44のみに接触し、図15と全く同じ状態の図17に示す状態になる。
【0053】
そして、図11、図17に示した状態からカード1の挿入側端部によるスライド部材61の操作部61b及びカード認識スイッチ50の操作部55の押し込み力を除き、スライド部材61及びカード認識スイッチ50を開放すると、スライド部材60は、カード挿入時に蓄積されたコイルバネ62の付勢力によって、スライド部材61の操作部61aでカード1の挿入側端部を前側へ押しながら、最押込み位置から前側へ押し戻され、図8から図7に示した状態を経て、初期位置に復帰し、図6に示した状態にカード1を排出する。ただし、カムピン64は、カム溝63の復路63dを通過して起点部63aに戻る。
【0054】
また、カード1の接触パッド4は、図17に示した状態からのカード1の排出に伴い、図14から図13に示した状態を経て、図12に示した状態になる。すなわち、第2コンタクト40Bの接点部44の上で前側へ摺動し、第2コンタクト40Bの接点部44との接触を断つ前に、第1コンタクト40Aの接点部44に接触し、その後、第1コンタクト40Aの接点部44に接触した状態で第2コンタクト40Bの接点部44との接触を断ち、第1コンタクト40Aの接点部44に移行して接触し、排出位置において、再度第1コンタクト40Aの接点部44のみに接触し、排出位置においても機器の基板と電気的に接続されている。ここで、排出位置に排出されたカード1の接触パッド4は、ハウジング12に装着されたときのカード1の接触パッド4よりもカード挿入口側に、最も長い電源用の接触パッド4の長さW(図1のC参照)以上に変位した位置にある。
【0055】
また、カード認識スイッチ50は、図11及び図17に示した状態からのカード1の排出に伴い、カード1の接触パッド4が第2コンタクト40Bの接点部44と接触した状態で第1コンタクト40Aの接点部44に接触するときに、カード1の挿入側端部による操作部55の押し込み力が除かれ、カード挿入方向の手前側の金属片50Aのバネ片部53及び奥側の金属片50Bのバネ片部53がカード認識スイッチ50がオンになる前の元の状態に復帰して、カード挿入方向の手前側の金属片50Aの接点部54が奥側の金属片50Bの接点部54から離間した時点で、カード認識スイッチ50はオフになる(図14及び図8、図13及び図7参照)。
【0056】
カード排出機構60によって排出されたカード1は、カード挿入口11からハウジング12の外側に突出しているカード1の前端部を指で摘んで引っ張ることにより、係合部材66の係合部66cがカード1のノッチ3の側面に摺接してバネ片部66bの外側(右側)への撓みを伴ってカード1の切い欠き部2とノッチ3間の側面部に乗り上がり、カード1とスライド部材61のカード挿抜方向での係合連結が解除され、カード1をハウジング12内からカード挿入口11を通して抜き去ることができる。そして、カード1の抜き去り後は、図3及び図4に示す状態になる。
【0057】
上記のように、本発明の一実施の形態に係るカードコネクタ10においては、カード排出機構60によって排出されたカード1においても、すなわち、ハウジング12に装着されたときのカード1の接触パッド4よりもカード挿入口側においても、カード1の接触パッド4と基板間を電気的に接続した状態にあり、さらにこの状態は、カード1がハウジング12から抜き去られるまで保持される。
【0058】
したがって、カード認識スイッチ50がオフになり、機器がカード1の抜去を検出した後、カード1がハウジング12から抜き去られるまでの時間内に、カード1を安全にシャットダウンすることができる。
【0059】
このことは、第1コンタクト40Aを備えていないこと以外は本発明の一実施の形態に係るカードコネクタ10と略同じ構造の比較例としてのカードコネクタと、本発明の一実施の形態に係るカードコネクタ10を比べると良く理解することができる。すなわち、カード認識スイッチ50がオフになり、機器がカード1の抜去を検出してからカード1の接触パッド4と基板間の導通接続が断たれるまでの時間は、比較例のカードコネクタでは、カード認識スイッチ50がオフになり、機器がカード1の抜去を検出した直後に、カード1の接触パッド4とコンタクト(第2コンタクト40B)の接点部44との接触が断たれるため、極めて短い、他方、本発明の一実施の形態に係るカードコネクタ10においては、カード認識スイッチ50がオフになり、機器がカード1の抜去を検出した直後に、カード1の接触パッド4と第2コネクタ40Bの接点部44との接触が断たれても、その接触が断たれる前に、カード1の接触パッド4が第1コンタクト40Aの接点部44と接触し、比較例のカードコネクタに比べて長くなり、カード認識スイッチ50がオフになり、機器がカード1の抜去を検出してからカード1を安全にシャットダウンすることができる時間を稼いでいる。
【0060】
なお、本発明の一実施の形態に係るカードコネクタ10においては、コンタクト40及びカード認識スイッチ50を形成する一対の金属片50A,50Bを圧入によりハウジング12のボディ13に取り付けたが、これらはインサート成型によりボディ13に一体的に取り付けることもできる。また、カード認識スイッチ50はカード1の挿入端部によって接離操作する一対の金属片50A,50Bにより形成したが、カード1の側部によって接離操作する一対の金属片により形成することもできる。さらに、プッシュ/プッシュ型のカード排出機構60の位置保持機構65はスライド部材61に一体に形成するハート状のカム溝63と一端をボディ13に支持するカムピン64により形成したが、ハート状のカム溝63をボディ13に一体に形成し、カムピン64の一端をスライド部材61に支持しても形成することもできる。また、カード排出機構60の係合部66cはスライド部材61に別部材の係合部材66を取り付けて設けたが、スライド部材61に一体に形成する樹脂製の板バネ片により形成することもできる。
【0061】
以上、本実施の形態は本発明の一実施の形態を示したが、本発明はそれに限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタに装着するマイクロSDカードを示す(A)表面図、(B)側面図、(C)裏面図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタの外観を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタの内部構造を示すカバーを除去した状態の斜視図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタの内部構造を示すカバーを除去した状態の平面図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタに備えるコンタクトの構造を示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタにおいて、カードがカード排出機構のスライド部材を押し込む位置に挿入されたときの状態を示す平面図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタにおいて、カード認識スイッチがオンになる直前の状態を示す平面図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタにおいて、カード認識スイッチがオンになったときの状態を示す平面図である。
【図9】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタにおいて、カードがカード排出機構のスライド部材を最押し込み位置に押し込んだときの状態を示す平面図である。
【図10】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタにおいて、カードが装着されたときの状態を示す平面図である。
【図11】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタにおいて、カード抜去時、カードがカード排出機構のスライド部材を最押し込み位置に再度押し込んだときの状態を示す平面図である。
【図12】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタにおいて、カードがカード排出機構のスライド部材を押し込む位置に挿入されたときのカードの接触パッドと第1コンタクトの接点部及び第2コンタクトの接点部との関係を示す底面図である。
【図13】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタにおいて、カード認識スイッチがオンになる直前のカードの接触パッドと第1コンタクトの接点部及び第2コンタクトの接点部との関係を示す底面図である。
【図14】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタにおいて、カード認識スイッチがオンになったときのカードの接触パッドと第1コンタクトの接点部及び第2コンタクトの接点部との関係を示す底面図である。
【図15】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタにおいて、カードがカード排出機構のスライド部材を最押し込み位置に押し込んだときのカードの接触パッドと第1コンタクトの接点部及び第2コンタクトの接点部との関係を示す底面図である。
【図16】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタにおいて、カードが装着されたときのカードの接触パッドと第1コンタクトの接点部及び第2コンタクトの接点部との関係を示す底面図である。
【図17】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタにおいて、カード抜去時、カードがカード排出機構のスライド部材を最押し込み位置に再度押し込んだときのカードの接触パッドと第1コンタクトの接点部及び第2コンタクトの接点部との関係を示す底面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 カード
3 ノッチ
4 接触パッド
10 カードコネクタ
11 カード挿入口
12 ハウジング
40 コンタクト
40A 第1コンタクト(手前側一列のコンタクト40)
40B 第2コンタクト(奥側一列のコンタクト40)
44 接点部
50 カード認識スイッチ
50A,50B 金属片
60 カード排出機構
61 スライド部材
61b 操作部
62 コイルバネ(付勢部材)
63 ハート状のカム溝
64 カムピン
66c 係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
片主面に接触パッドを一列に並設したカードを挿抜自在に装着するハウジングと、カードの挿抜に応動する2つの金属片の接離に基づきカードの装着を検出するカード認識スイッチとを備えたカードコネクタであって、
ハウジングに装着されたときのカードの接触パッドよりもカード挿入口側において、カードの挿抜に伴いカードの接触パッドと基板間を電気的に接続及び切断すると共に、接続した時点から切断するまでの間、接続を保持するコンタクトを備えたことを特徴とするカードコネクタ。
【請求項2】
コンタクトは、ハウジング内にカード挿入方向の手前側と奥側のニ列に配置し、カード挿入時、カードの接触パッドがハウジングに装着されたときのカードの接触パッドよりもカード挿入口側において手前側一列のコンタクトに接触し、カードの接触パッドが奥側一列のコンタクトに接触した後に手前側一列のコンタクトとの接触を断ち、ハウジングに装着されたときのカードの接触パッドに奥側一列のコンタクトの接点部のみが接触し、カード抜去時、カードの接触パッドが奥側一列のコンタクトとの接触を断つ前に手前側一列のコンタクトに接触し、カードの接触パッドがハウジングに装着されたときのカードの接触パッドよりカード挿入口側において手前側一列のコンタクトとの接触を断つ請求項1に記載のカードコネクタ。
【請求項3】
ハウジング内の一側部に配置され、カードによって奥側に押し込むための操作部を設けたスライド部材と、スライド部材をカード挿入口側に常時付勢する付勢部材と、ハウジング及びスライド部材の何れか一方に設けるハート状のカム溝及び他方に一端を支持してカム溝内をスライド部材の動きに合わせて移動するカムピンとを有し、カード挿入時、カードによってスライド部材を奥側に押し込み操作した後に開放することにより、スライド部材をカード装着位置に保持した状態で、カードをハウジングに装着すると共に、カード抜去時、カードによってカード装着位置のスライド部材を奥側に再度押し込み操作した後に開放することにより、スライド部材を元の位置に復帰させてハウジングに装着されたカードを排出するカード排出機構を備え、カード排出機構によって排出されたカードにおいても、カードの接触パッドと基板間を電気的に接続する請求項1又は2に記載のカードコネクタ。
【請求項4】
カード排出機構のスライド部材に、カード挿入時、カードによってスライド部材をハウジング内の奥側に押し込み操作する前に、カードの側面ノッチに係合する係合部を設ける請求項3に記載のカードコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−84623(P2008−84623A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−261632(P2006−261632)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(000194918)ホシデン株式会社 (527)
【Fターム(参考)】