説明

カードコネクタ

【課題】カードのイレギュラーな挿入動作によってもアースラグの座屈等の発生を抑えることのできるカードコネクタを提供すること。
【解決手段】アースラグ90は、被保持部91と、被保持部91から延びる接触片92を備えている。一方、カードの挿脱をガイドするガイド部30には、被保持部91を保持する保持部50と、保持部50と連続形成され且つ接触片92を収容する収容部60とが形成されている。収容部60は、ガイド部30の内部と収容部60との間を幅方向において貫通する窓部62と、カードの厚み方向(Z方向)において窓部62と隣接するようにして設けられた接触片保護部64を備えている。接触片保護部64は、幅方向において接触片92の内側に位置している。それによって、カードのイレギュラーな挿入動作による力が接触片92に加わったとしても、接触片保護部64により接触片92の過度な変形が防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PCカードやCFカードのようなカードを挿脱可能なカードコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のカードコネクタとしては、カードの挿入・抜去方向に長手を有し且つ同カードの幅方向において対向配置された一対のガイド部と、そのガイドにそれぞれ保持された一対のアースラグ(アース端子)とを備えるものが知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−075560号公報
【特許文献2】特開2000−058197号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のカードコネクタにおいては、カードを抉るようにして挿入してしまった場合などのようにイレギュラーな挿入動作が行われてしまった場合に、アースラグが座屈等してしまう恐れがある。
【0005】
そこで、本発明は、カードのイレギュラーな挿入動作によってもアースラグの座屈等の発生を抑えることのできるカードコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、第1のカードコネクタとして、カードの挿入・抜去方向に長手を有し且つ該カードの幅方向において対向配置されて前記カードの挿入に際して該カードのサイドエッジをガイドする一対のガイド部と、前記カードの挿入に際して前記サイドエッジに形成されたカード電極部と接触するように前記ガイド部にそれぞれ保持された一対のアースラグとを備えるカードコネクタにおいて、
前記アースラグは、それぞれ、対応する前記ガイド部に保持される被保持部と、前記被保持部から延びる接触片であって前記カードの挿入に際して前記幅方向において前記カード電極部に当接する当接部を有する接触片とを備えており、
前記接触片は、前記当接部が前記被保持部よりも前記幅方向において当該カードコネクタの内側に位置するように折り曲げられて形成されたものであり、
前記ガイド部には、前記被保持部を保持する保持部と、該保持部と連続形成され且つ前記接触片を収容する収容部とが形成されており、
該収容部は、前記カードの挿入に際して前記幅方向における前記カード電極部と前記当接部の少なくとも一部との接触を可能とするための窓部と、前記カードの厚み方向において前記窓部の少なくとも一部と隣接するようにして設けられた接触片保護部であって前記幅方向において前記接触片の少なくとも一部の内側に位置している接触片保護部とを備えている、カードコネクタが得られる。
【0007】
また、本発明によれば、第2のカードコネクタとして、第1のカードコネクタにおいて、前記接触片保護部は、前記当接部からみて、前記カードの挿入方向の奥側に位置する部位を有している、カードコネクタが得られる。
【0008】
また、本発明によれば、第3のカードコネクタとして、第1又は第2のカードコネクタにおいて、前記接触片は、前記被保持部から前記カードの抜去方向に向かうと共に前記幅方向の内側に向かって前記当接部まで延びる第1部位と、前記当接部から前記カードの抜去方向に向かうと共に前記幅方向の外側に向かって延びる第2部位とを備えており、
前記接触片保護部は、前記第1部位のうち前記厚み方向において前記窓部に隣接する部分の前記幅方向内側に少なくとも位置している
カードコネクタが得られる。
【0009】
また、本発明によれば、第4のカードコネクタとして、第3のカードコネクタにおいて、前記接触片保護部は、前記第2部位のうち前記厚み方向において前記窓部に隣接する部分の前記幅方向内側にも位置している、カードコネクタが得られる。
【0010】
また、本発明によれば、第5のカードコネクタとして、第1乃至第4のカードコネクタのいずれかにおいて、前記ガイド部は、主部と、該主部の前記厚み方向上端から前記幅方向内側に張り出した上壁部と、該主部の前記厚み方向下端から前記幅方向内側に張り出した底壁部とを備えており、
前記主部、前記上壁部及び前記底壁部は、前記サイドエッジの移動をガイドするガイド溝を構成しており、
前記接触片保護部は、前記上壁部及び前記底壁部の少なくともいずれか一方に形成されている
カードコネクタが得られる。
【0011】
更に、本発明によれば、第6のカードコネクタとして、第1乃至第5のカードコネクタのいずれかにおいて、前記被保持部には、斜め上方に向かって延びる係止舌片が設けられており、
前記保持部には、前記係止舌片の端部が係止する係止部が形成されている
カードコネクタが得られる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のカードコネクタによれば、カードのイレギュラーな挿入動作が行われた場合でも、カードの厚み方向において窓部と隣接する部分に接触片保護部がカードの幅方向において接触片の少なくとも一部の内側に位置していることにより、接触片の座屈等の変形が防止される。
【0013】
特に、接触片の当接部のカードの挿入方向の奥側に接触片保護部の一部が位置している場合、接触片保護部により当接部のカード挿入方向への移動が規制されることになり、接触片の座屈等の変形がより防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1に示されるように、本発明の実施の形態によるカードコネクタ100は、PCカードのようなカード200を収容し、カード200の端子(図示せず)を基板(図示せず)などに電気的に接続するためのものであり、インシュレータからなるフレーム10、複数のコンタクト70、ロケータ80及び一対のアースラグ90を備えている。
【0015】
図1及び図2に示されるように、フレーム10は、カード200の挿入方向(X方向)奥側に位置するベース部20と、カード200の幅方向(Y方向)におけるベース部20の両端からカードの抜去方向(−X方向)に延びるガイド部30と、ガイド部30の先端を連結する連結部40とを有している。
【0016】
図2に示されるように、ベース部20には、X方向に延びるようにしてベース部20を貫通する保持孔22が形成されている。
【0017】
図2に示されるように、ガイド部30は、X方向に延びる主部32と、カード200の厚み方向(Z方向)における主部32の上端からY方向内側に張り出した上壁部34と、主部32の下端からY方向内側に張り出した底壁部36とを備えている。これら主部32、上壁部34及び底壁部36は、カード200のサイドエッジ210の移動をガイドするガイド溝38を構成している。図2から予想されるように、ガイド溝38は、YZ平面と平行な面で切断した場合、略コの字形状を有している。このガイド溝38により、カード200の先端がベース部20の突き当て面24に突き当たるまで、カード200のカードコネクタ100に対する挿入がガイドされる。
【0018】
図2に示されるように、ガイド部30の先端近傍には、保持部50と、保持部50と連続するようにして設けられた収容部60とが形成されている。なお、保持部50及び収容部60の詳細についてはアースラグ90の形状等と関連付けて後に説明することとする。
【0019】
図2に示されるように、連結部40は、薄板状の部位であり、ガイド部30の先端近傍において底壁部36同士を連結している。
【0020】
図1及び図2に示されるように、各コンタクト70は、水平部72及び垂直部74からなる略L字形状を有しており、水平部72がベース部20の保持孔22に挿通されることにより、フレーム10に保持されている。なお、各コンタクト70がフレーム10に保持された状態においては、水平部72はフレーム10の内部に向かって延びており、垂直部74は下側(−Z方向)に向かって延びている。
【0021】
図1及び図2に示されるように、ロケータ80には複数の整列孔82が形成されており、コンタクト70の垂直部74は、この整列孔82に挿通され、それによって整列させられている。ロケータ80自体は、フレーム10の後端近傍に組み込まれ固定されている。
【0022】
図2に示されるように、アースラグ90は、略平板片状の被保持部91と、被保持部91から延びる接触片92とを備えている。詳しくは、被保持部91には、幅方向内側の斜め上方に向かって延びる係止舌片93と、下方向に向かって延びる二股係止片94が設けられている。接触片92は、略くの字形状を有するように折り曲げ形成されており、くの字の頂部がカード200のサイドエッジ210に設けられたカード電極部212と接触する当接部97として機能する。即ち、本実施の形態における接触片92は、当接部97が被保持部91よりも幅方向内側に向かうように、折り曲げられている。換言すると、接触片92は、被保持部91から抜去方向(−X方向)に向かうと共に幅方向内側に向かって当接部97まで延びる第1部位95と、当接部97から抜去方向に向かうと共に幅方向外側に向かって延びる第2部位96を備えている。
【0023】
図2乃至図6に示されるように、上述した本実施の形態による保持部50及び収容部60は、上記構成を有するアースラグ90を保持収容するための部位である。保持部50は、厚み方向に延びるスリットを有している。保持部50の幅方向内側の壁上には係止部52として機能する段差が形成されており、保持部50のスリットの底部50aにはフレーム10の下面まで貫通する孔54が形成されている。アースラグ90の二股係止片94を孔54から下方向に突出させつつ被保持部91の部位91bが保持部50のスリットの底部50aに当接するまで被保持部91を保持部50に挿入すると、被保持部91のX方向端部に形成された圧入部91aが保持部50のX方向で対向する壁に食い込み、それによってアースラグ90の被保持部91が保持部50に保持される。この保持部50に対する被保持部91の挿入の際、係止舌片93は、保持部50の内壁からY方向外側に向かう力を受けて一時的に変形するが係止舌片93の端部が保持部50の係止部52に達すると、再び元の形に戻ろうとする。それによって係止舌片93の端部は係止部52に係止することになり、圧入部90aの機能と相俟って保持部50による被保持部91の保持をより強固なものとする。
【0024】
収容部60は、特に図3乃至図6に示されるように、アースラグ90の接触片92を収容するためのものである。この収容部60には、収容部60の内壁からガイド溝38まで貫通する窓部62が形成されている。本実施の形態における窓部62の位置及び形状は、特に図5及び図6に示されるように、アースラグ90の被保持部91が保持部50に保持された状態において、アースラグ90の接触片92に設けられた当接部97の下部97aのみが窓部62を通じてガイド溝38内に突出するようにして、定められている。換言すると、本実施の形態による当接部97の上部97bは、被保持部91が保持部50に保持された状態において、窓部62の上側に位置しているためガイド溝38内には突出していない。
【0025】
詳しくは、本実施の形態における収容部60は、上方から見た場合に、接触片92と同様にくの字状に延びる内壁を有している。この収容部60のくの字状の内壁のうち、窓部62の上側の部分は、幅方向において、当接部97の上部97bの内側に位置しており、接触片保護部64として機能する。
【0026】
図4及び図5から理解されるように、本実施の形態による接触片保護部64は上壁部34に形成されている。また、本実施の形態による接触片保護部64のくの字状の頂部よりも挿入方向(X方向)奥側の部位64aは、当接部97からみて挿入方向奥側で且つ幅方向外側に位置している。そのため、カード200のイレギュラーな挿入動作が行われた場合であっても、アースラグ90の接触片92は接触片保護部64と接触するため、それ以上変位することがない。従って、アースラグ90の接触片92の座屈等の変形を確実に防止することができる。
【0027】
なお、本実施の形態における接触片保護部64は幅方向において当接部97の上部97bのすべてと重なるように構成されているが(図5参照)、例えば、接触片保護部64の挿入方向奥側の部位64aのみが当接部97の上部97bと幅方向において重なることとしてもよい。接触片92を座屈等させるような力は当接部97を挿入方向に移動させるようなものであるのに対して、接触片保護部64の部位64aは当接部97の挿入方向へ向かう移動を規制する役割を果たすからである。但し、接触片保護部64の強度の向上や接触片92の座屈防止をより確実なものとするためには、本実施の形態のように、接触片保護部64が幅方向において当接部97の上部97bのすべてと重なるように構成されていることが好ましい。
【0028】
加えて、本実施の形態においては、接触片保護部64が窓部62の上部に位置していたが、接触片保護部64及び窓部62の位置的関係はこれに限定されるものではなく、例えば、接触片保護部64が窓部62の下側に位置していてもよいし、窓部62の上下両方に設けられていても良い。換言すると、本実施の形態による接触片保護部64は、ガイド部30の上壁部34のみに形成されていたが、底壁部36のみに形成されていてもよく、また上壁部34及び底壁部36の双方に形成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態によるカードコネクタを示す斜視図である。
【図2】図1のカードコネクタを示す分解斜視図である。
【図3】図1のカードコネクタのIII−III線に沿った部分拡大断面図である。
【図4】図3のカードコネクタを示す上面図である。
【図5】図4のカードコネクタのV−V線に沿った断面図である。
【図6】図1のカードコネクタを示す図であって図5の断面を含む一部切欠き斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
10 フレーム
20 ベース部
22 保持孔
24 突き当て面
30 ガイド部
32 主部
34 上壁部
36 底壁部
38 ガイド溝
40 連結部
50 保持部
52 係止部
54 孔
60 収容部
62 窓部
64 接触片保護部
70 コンタクト
72 水平部
74 垂直部
80 ロケータ
82 整列孔
90 アースラグ
91 被保持部
92 接触片
93 係止舌片
94 二股係止片
95 第1部位
96 第2部位
97 当接部
100 カードソケット
200 カード
210 サイドエッジ
212 カード電極部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードの挿入・抜去方向に長手を有し且つ該カードの幅方向において対向配置されて前記カードの挿入に際して該カードのサイドエッジをガイドする一対のガイド部と、前記カードの挿入に際して前記サイドエッジに形成されたカード電極部と接触するように前記ガイド部にそれぞれ保持された一対のアースラグとを備えるカードコネクタにおいて、
前記アースラグは、それぞれ、対応する前記ガイド部に保持される被保持部と、前記被保持部から延びる接触片であって前記カードの挿入に際して前記幅方向において前記カード電極部に当接する当接部を有する接触片とを備えており、
前記接触片は、前記当接部が前記被保持部よりも前記幅方向において当該カードコネクタの内側に位置するように折り曲げられて形成されたものであり、
前記ガイド部には、前記被保持部を保持する保持部と、該保持部と連続形成され且つ前記接触片を収容する収容部とが形成されており、
該収容部は、前記カードの挿入に際して前記幅方向における前記カード電極部と前記当接部の少なくとも一部との接触を可能とするための窓部と、前記カードの厚み方向において前記窓部の少なくとも一部と隣接するようにして設けられた接触片保護部であって前記幅方向において前記接触片の少なくとも一部の内側に位置している接触片保護部とを備えている、カードコネクタ。
【請求項2】
前記接触片保護部は、前記当接部からみて、前記カードの挿入方向の奥側に位置する部位を有している、請求項1記載のカードコネクタ。
【請求項3】
前記接触片は、前記被保持部から前記カードの抜去方向に向かうと共に前記幅方向の内側に向かって前記当接部まで延びる第1部位と、前記当接部から前記カードの抜去方向に向かうと共に前記幅方向の外側に向かって延びる第2部位とを備えており、
前記接触片保護部は、前記第1部位のうち前記厚み方向において前記窓部に隣接する部分の前記幅方向内側に少なくとも位置している
請求項1又は請求項2記載のカードコネクタ。
【請求項4】
前記接触片保護部は、前記第2部位のうち前記厚み方向において前記窓部に隣接する部分の前記幅方向内側にも位置している、請求項3記載のカードコネクタ。
【請求項5】
前記ガイド部は、主部と、該主部の前記厚み方向上端から前記幅方向内側に張り出した上壁部と、該主部の前記厚み方向下端から前記幅方向内側に張り出した底壁部とを備えており、
前記主部、前記上壁部及び前記底壁部は、前記サイドエッジの移動をガイドするガイド溝を構成しており、
前記接触片保護部は、前記上壁部及び前記底壁部の少なくともいずれか一方に形成されている
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のカードコネクタ。
【請求項6】
前記被保持部には、斜め上方に向かって延びる係止舌片が設けられており、
前記保持部には、前記係止舌片の端部が係止する係止部が形成されている
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のカードコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−205994(P2009−205994A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−48854(P2008−48854)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】