説明

カード検出スイッチを有するカード用コネクタ

【課題】金属カバーが押圧され変形された場合であっても、カードの挿抜を検知するスイッチに誤作動を生じさせないカード用コネクタを提供する。
【解決手段】接触子と、接触子が配列されるハウジングと、接触子を内部に配したカード収容空間の少なくとも上部を形成する金属カバーと、カード収容空間にカードが挿入されたときにカードと接触して変位され得る第1端子と、第1端子と非接触で配置され、第1端子がカード挿入により変位したときに第1端子と接触することにより第1端子と導通され得る第2端子とを有する。第1端子と第2端子の導通の有無によりカード収容空間におけるカードの挿抜を検知する。金属カバーがカード収容空間の底部に向かって変位したときに、第1端子と第2端子のいずれか一方の端子は他方の端子よりも金属カバーに近接した部分を有するため金属カバーと接触し得るが、他方の端子は金属カバーと接触しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード用コネクタ、特に、カード検出スイッチを有したカード用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
カード無し状態で作動してしまうこと(誤作動)を防止するため、カード用コネクタにカードの挿抜を検知できるカード検出スイッチを設けることがある。特開2005−100836号公報に、カード検出スイッチを有するカード用コネクタの一例が示されている。このカード用コネクタは、カード挿抜口を通じてカード収容空間にカードが挿入されたときに、カードと接触してカード挿入方向に変位され得る第1検知端子と、この第1検知端子と非接触であるが近接して配置され、第1検知端子がカード挿入方向に変位したときに初めて第1検知端子と接触することによって第1検知端子と導通され得る第2接触部とを有し、これら第1検知端子と第2端子の導通の有無によりカード収容空間におけるカード11の挿抜を検知するものである。
【0003】
しかしながら、この種のカード検出スイッチでは、第1検知端子や第2端子と金属製カバーとの絶縁距離が近いと、カードを操作する際にカバー天面が押され、第1検知端子と第2端子がカバーを介して短絡し、この結果、スイッチがON状態となって、カードの挿抜を誤って検知してしまう危険がある。近年、携帯電話等、カード用コネクタを使用する機器の小型化が進んでいるが、これに伴い、カード用コネクタにも小型低背化が求められ、この結果、スイッチが誤作動する危険がますます高くなっている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−100836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明はこれら従来技術における問題点を解決するためになされたものであり、金属カバーが押圧され変形された場合であっても、カードの挿抜を検知するスイッチに誤作動(短絡)を生じさせない、カード検出スイッチを有するカード用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、接触子と、前記接触子が配列されるハウジングと、前記接触子を内部に配したカード収容空間の少なくとも上部を形成する金属カバーと、カード挿抜口を通じて前記カード収容空間にカードが挿入されたときに前記カードと接触してカード挿入により変位され得る第1端子と、前記第1端子と非接触で配置され、前記第1端子がカード挿入方向に変位したときに前記第1端子の接触部と接触することにより前記第1端子と導通され得る第2接触部を有する第2端子と、を有し、前記第1端子と前記第2端子の導通の有無により前記カード収容空間における前記カードの挿抜を検知するものであって、前記金属カバーが前記カード収容空間の底部に向かって変位したときに、前記第1端子と前記第2端子のいずれか一方の端子は他方の端子よりも前記金属カバーに近接した部分を有するため前記金属カバーと接触し得るが、他方の端子は前記金属カバーと接触しないカード検出スイッチを有するカード用コネクタを特徴としている。
【0007】
上記カード用コネクタにおいて、前記カード収容空間の底部は、前記ハウジング、又は、前記カード用コネクタ1が載置された基板によって形成されていてもよい。
【0008】
また、上記カード用コネクタにおいて、前記金属カバーと接触した前記第一方の端子が更に前記金属カバーによって前記カード収容空間の底部に向かって変位したときに、前記一方の端子が前記金属カバーと前記カード収容空間の底部との間で突っ張るように、前記ハウジング、又は、前記カード用コネクタを載置する基板の少なくとも一部部位に上方に突出した部分を設けてもよい。
【0009】
更にまた、上記カード用コネクタにおいて、前記金属カバーが前記カード収容空間の底部に向かって変位したときに、前記一方の端子が前記他方の端子よりも先に前記金属カバーと接触し得るように、前記金属カバーと接触し得る前記一方の端子の少なくとも一部部位に上方に突出した部分を設け、又は、前記金属カバーと接触した前記第一方の端子が更に前記金属カバーによって前記カード収容空間の底部に向かって変位したときに、前記一方の端子が前記金属カバーと前記カード収容空間の底部との間で突っ張るように、前記カード収容空間と接触し得る前記一方の端子の少なくとも一部部位に前記カード収容空間の底部に向かって突出した部分を設け、又は、それらの双方を設けてもよい。
【0010】
更に、上記カード用コネクタにおいて、前記金属カバーが前記カード収容空間の底部に向かって変位したときに、前記一方の端子が前記他方の端子よりも先に前記金属カバーと接触し得るように、前記一方の端子と接触し得る前記金属カバーの少なくとも一部部位に前記カード収容空間の底部に向かって突出した部分を設けてもよい。
【0011】
更に、上記カード用コネクタにおいて、前記一方の端子及び前記他方の端子は、それらの上部全体を前記金属カバーによって覆われていてもよいし、前記他方の端子の少なくとも一部が前記金属カバーによって覆われていなくてもよい。
【0012】
また、上記カード用コネクタにおいて、前記第1端子と前記第2端子は、前記カード挿入方向と交差する方向において左右の各側から片持ち梁状に延びる2本の板バネとして形成されていてもよい。
【0013】
また、上記カード用コネクタにおいて、前記第1端子の前記接触部は、前記片持ち梁部分の中間付近に設けられ、前記第2端子の前記第2接触部は、前記片持ち梁部分の先端付近に設けられていてもよい。
【0014】
また、上記カード用コネクタにおいて、前記一方の端子が前記カードと接触し得る部位が、前記カード挿入方向における前記接触子の変位方向と同方向に延長されていてもよい。
【0015】
また、上記カード用コネクタにおいて、前記一方の端子と前記金属カバーは電気的に接続されていてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態によるカード用コネクタについて説明する。
【0017】
図1乃至図4に、本発明の一つの実施形態によるカード用コネクタを示している。図1は、カード用コネクタ10の外観斜視図、図2、図3は、その分解斜視図、図4は、その背面図である。
【0018】
このカード用コネクタ10は、主に、ハウジング(絶縁座)20と、このハウジング20に配列された複数の接触子23と、これら複数の接触子23を内部に配したカード収容空間29をハウジング20とともに構成する金属カバー60と、更に、カード11(図6、図7に示されている)の挿抜を検知するための検知スイッチ(第1検知端子21、第2検知端子22)とから成る。カード11は、カード収容空間29の一つの側面に設けたカード挿抜口30を通じて、図示矢印「ア」方向(カード挿入方向)にてカード収容空間29内に自由に挿抜され、カードの挿入がカード収容空間29内の所定位置に達したときに検知スイッチ(第1検知端子21、第2検知端子22)によってカードの挿入が検知され得る。
【0019】
金属カバー60は、一枚の薄い金属板を打抜き折り曲げることによって形成できる。カード用コネクタ10の組み立て時には、ハウジング20の上部、左右の各側面、及び底部の一部を覆う。図1等に示す実施形態のように、検知スイッチ(第1検知端子21、第2検知端子22)を含めたカード収容空間29の上部全体を覆っている場合には、ゴミの汚染や外力の破壊から、カード用コネクタ10をより効果的に保護できるという利点がある。ハウジング20の上部は開放されているため、金属カバー60で覆うことにより、カード収容空間上部の少なくとも一部は金属カバー60によって形成されることになる。金属カバー60のカード挿抜口30側の上部は、カード11の挿抜を容易にするため、一部68が曲面形状を用いて切り欠かれている。この切り欠き68の一方の側部には、カード収容空間29に挿入されたカード11の抜け落ちを防止するカード押片63が、上面の一部をカード収容空間29の底部に向かって多少変位させることによって形成されている。また、上面の一部を下側に折り曲げることにより、金属カバー60をハウジング20に固定する際にハウジング20の対応部分(係止穴34)に圧入され得る圧入突起64も形成してある。更に、金属カバー60の両側面には、ハウジング20の対応部分(係止突部33)が係止され得る係止穴65が形成されている(但し、図面上は一方の側面に設けた係止穴65しか現れていない)。
【0020】
ハウジング20は、カード挿抜口30側に設けた端子配列部37と、この端子配列部37の左右各側において、カード挿入方向にカード挿抜口30からその対向側に延びる第1アーム35及び第2アーム36と、これら第1アーム35及び第2アーム36と交差する方向に延び且つこれら第1アーム35及び第2アーム36をカード挿抜口30の対向側において接続する繋ぎ部38から成る。カード収容空間29の底部は、ハウジング20によって形成されていてもよいし、或いは、図3によく示されているように、例えば、繋ぎ部38の一部69を第1検知端子の移動に沿って除去する等して、カード用コネクタ10が載置された基板(図示されていない)によって形成されていてもよい。
【0021】
端子配列部37には、接触子23が一体成形で組み込まれる。端子配列部37により、複数の接触子23がカード挿入方向に沿って並列に配列される。各接触子23は、カード用コネクタ10が載置された基板に固定される固定部25をその一端に有し、カード挿抜口30を通じて挿入されたカード11のパッド部(図示されていない)と接触され得る接触部24を他端に有する。接触子23はカード収容空間29内に、カード挿入方向において多少上方に変位させた状態で設けてある。この結果、カード挿抜口30を通じて挿入されたカードは、所定の接圧で接触部24と接触されることになる。
【0022】
第1アーム35及び第2アーム36の各側面には、金属カバー60の係止穴65と係合させて金属カバー60をハウジング20に固定する複数の係止突部33が設けてある。また、第1アーム35より幅広に形成された第2アーム36の上部には、金属カバー60の圧入突起64を圧入して金属カバー60をハウジング20に固定する係止穴34が設けてある。金属カバー60をハウジング20の上方から覆い被せることにより、これらの固定手段を通じて、金属カバー60とハウジング20を固定できる。
【0023】
検知スイッチは繋ぎ部38に配置される。検知スイッチは、主に、第1検知端子21、第2検知端子22から成る。第1検知端子21及び第2検知端子22共に、カード収容空間29において、カード挿抜口30の対向側に配置されており、また、接触子23と同様に、ハウジング20と一体成形されている。特に、第1検知端子21は、検知端子としての機能に加え、更に、金属カバー60と同一の回路、例えばグランド回路に接続して電気的に共通とすることもできる。第1検知端子21、第2検知端子22は、それぞれ、カード挿入方向と交差する方向において、左右の各側から片持ち梁状に弾性変位可能な状態で支持されて、カード挿入方向に板面を対面させる板バネとして形成されており、第1検知端子21の中間付近に設けた接触部26と、第2検知端子22の先端付近に設けた対応接触部27の接触を通じて、互いに導通され得る。これら接触部26、対応接触部27は、カード収容空間29へのカード挿入前は互いに非接触の状態で、カード挿入方向に対向して近接配置されている。尚、図示の例では、接触部26を対応接触部27よりもカード挿入方向においてカード挿抜口30から近い側に配置しているが、これとは逆に、遠い側に配置してもよい。第1検知端子21と第2検知端子22の接触が確実になされるように、例えば、第1検知端子21の対応接触部26を第2検知端子22側に打ち出しておくのが好ましい。
【0024】
第1検知端子21がカード11と最初に接触し得る部位、図示の例では、第1検知端子21の先端付近であるが、この先端付近には、カード挿入方向における接触子23の変位方向(上方向)と同方向に延長させることによって上方延長部28が設けてある。既述のように、接触子23はカード挿入方向において多少上方に変位された状態で設けられているが、この結果、カード挿抜口30を通じて挿入されたカードは接触子23の働きにより上方へと押し上げられながら接触子23と接触されることになる。接触子23によるカードの上方への位置ずれに対応して上方延長部28を設けることにより、第1検知端子21とカード11の接触を確実にすることができる。尚、この上方延長部28に対応して、金属カバー60の上面には衝突防止用の穴62が設けてある。
【0025】
図5、図6を参照して、第1検知端子21と第2検知端子22の働きを説明する。図5は、図3に対応する図であって、カード収容空間29にカード11が挿入される前のカード用コネクタ10の内部状態を上面図で示したもの、図6は、カード収容空間29にカード11が挿入されたときの内部状態を上面図で示したものである。
【0026】
カード11がカード挿抜口30を通じてカード収容空間29に挿入されると、カード11は第1検知端子21と接触し、第1検知端子21はカード挿入方向に変位される。この結果、第1検知端子21と第2検知端子22は、それらの接触部26及び対応接触部27を介して、互いに接触し導通される。図面上明らかではないが、第1検知端子21と第2検知端子22は、それぞれの一部である固定部41、42において、カード用コネクタ10が載置された基板を通じて互いに電気的に接続されている。従って、カード11がカード収容空間29に挿入される前も、第1検知端子21、第2検知端子22は、カード用コネクタ10が載置された基板を通じて互いに接続されているが、カード11がカード収容空間29に挿入されることにより、接触部26と対応接触部27が接触し、第1検知端子21と第2検知端子22が導通されることになる。この導通状態の有無により、カード収容空間29におけるカードの挿抜を検知できる。尚、グランド回路に接続可能な第1検知端子21は、同様にグランドとしても機能する金属カバー60と導通しても何ら問題はなく、故に、第1検知端子21と金属カバー60の接触は許される。別言すれば、第1検知端子21と金属カバー60は電気的に接続されていてもよい。一方、信号端子としてのみ機能する第2検知端子22は、金属カバー60と接触してしまうと、金属カバー60を通じて第1検知端子21と第2検知端子22とが短絡された状態となり、この場合は、カードの挿抜とは無関係に第1検知端子21と第2検知端子22が導通されることになる、つまり、カード収容空間29にカードが挿入されているとの誤った検知結果が出されてしまう。故に、いかなる場合も、第2検知端子22と金属カバー60との接触は避ける必要がある。
【0027】
ユーザの誤った操作等によって、金属カバー60が上方から力を受けることがある。所定以上の力を受けると、金属カバー60はカード収容空間29の底部に向かって変位し、この結果、第2検知端子22と金属カバー60は接触してしまう。特に、本願発明のような低背型の薄型コネクタでは、金属カバー60と第2検知端子22(第1検知端子21)の絶縁距離が短いため、このような危険が大きい。第2検知端子22と金属カバー60の接触を防止するため、本発明では第1検知端子21を利用する。即ち、金属カバー60がカード収容空間29の底部に向かう力を受けて変位した場合であっても、第1検知端子21を第2検知端子22よりも先に金属カバー60と接触させることによって、また、この接触後、更に、第1検知端子21が金属カバー60によってカード収容空間29の底部に向かって変位した場合であっても、ハウジング20や基板(図示されていない)等で形成されたカード収容空間29の底部と金属カバー60との間で第1検知端子21が突っ張るようにすることによって、第2検知端子22と金属カバー60を接触させないようにするものである。更に、金属カバー60を下方に向けて支える部材が近傍にない場合には、金属カバー60が塑性変形してしまう危険が生じるが、第1検知端子22が支えとなることで過度の変形による塑性変形等が防止される。第1検知端子は板バネの板幅方向で力を受けるので大きな力に耐えることができる。
【0028】
図4と図7を参照して、このような第2検知端子22と金属カバー60の接触防止構造を説明する。図7は、図4と同様に、カード用コネクタ10の背面図を示す図であるが、図4は、金属カバー60が上方からカード収容空間29の底部に向かう力を受けていない(通常の)状態を示すのに対して、図7は、金属カバー60が上方からカード収容空間29の底部に向かう力(図示矢印「イ」方向の力)を受けて変位したことによって第1検知端子21が金属カバー60と接触し、この接触後更に、第1検知端子21が金属カバー60によってカード収容空間29の底部に向かって変位した状態を示す。
【0029】
金属カバー60がカード収容空間29の底部に向かう力を受けて変位した場合であっても、第1検知端子21が第2検知端子22よりも先に金属カバー60と接触して、第2検知端子22との接触を防止することができるように、金属カバー60と接触し得る第1検知端子21の少なくとも一部部位に上方突出部46が設けてある。上方突出部46を設けることにより、第1検知端子21は第2検知端子22に比べて金属カバー60により近接した状態とされることから、金属カバー60の変形時には第1検知端子21が第2検知端子22よりも先に金属カバー60と接触する。更に、金属カバー60と第1検知端子21の接触後、更に、第1検知端子21が金属カバー60によってカード収容空間29の底部に向かって変位することもあるため、カード収容空間29と接触し得る第1検知端子21の少なくとも一部部位に、カード収容空間29の底部に向かって突出した下方突出部47が設けておくのが好ましい。下方突出部47を設けることにより、第1検知端子21が金属カバー60と接触して変形した場合であっても、カード収容空間29の底部と金属カバー60との間で第1検知端子21が突っ張ることになるため、金属カバー60が第2検知端子22に接触する前に、金属カバー60の所定以上の変形が阻止され、第2検知端子22と金属カバー60の短絡を効果的に防止できる。尚、上方突出部46、下方突出部47は、第1検知端子21の一部部位だけでなく、それらの全体に亘って設けても良い。
【0030】
別の態様として、図1、図2、図4に示されているように、上方突出部46、下方突出部47を設ける代わりに、或いは、上方突出部46、下方突出部47に加えて、第1検知端子21と接触し得る金属カバー60の少なくとも一部部位に、カード収容空間29の底部に向かって突出した部分(下方突出部)67を設けてもよい。この突出部は打ち出しによって簡単に作ることができる。下方突出部67を設けることにより、第1検知端子21は第2検知端子22に比べて金属カバー60により近接した状態とされるため、金属カバー60がカード収容空間29の底部に向かう力を受けて変位した場合であっても、第1検知端子21が第2検知端子22よりも先に金属カバー60と接触し、第2検知端子22との接触を防止することができる。
【0031】
更に、図4に示されているように、上方突出部46、下方突出部47、下方突出部67を設ける代わりに、或いは、これら上方突出部46、下方突出部47、下方突出部67に加えて、金属カバー60と第1検知端子21の接触後更に第1検知端子21が金属カバー60によってカード収容空間29の底部に向かって変位したときに、第1検知端子21と接触し得るように、ハウジング20、又は、カード用コネクタ10が載置された基板の少なくとも一部部位に、上方に突出した部分66を設けてもよい。これにより、第1検知端子21が金属カバー60と接触して変形した場合であっても、第1検知端子21がカード収容空間29の底部と金属カバー60との間で突っ張ることによって、金属カバー60が第2検知端子22に接触する前に、金属カバー60の所定以上の変形が阻止され、第2検知端子22と金属カバー60の短絡を効果的に防止できる。
【0032】
最後に、図8に本発明の変形例を示す。この図において、図1等に示した部材と同様の部材には同様の参照番号を付している。この変形例では、カード挿抜口30対向側のカード挿入方向における金属カバー60の一部を短くした部分70を設ける等して、金属カバー60によって覆われない部分を設けている。この場合、第2検知端子22が露出してしまうといった欠点はあるが、第2検知端子22と金属カバー60との間の絶縁距離を大きく(上下方向では無限大に)することが可能であるし、第1検知端子21において金属カバー60の塑性変形を防止することもできる。但し、70を設ける代わりに、金属カバー60の対応部分に穴(図示されていない)を設ける等してもよい。
【0033】
尚、金属カバー60と第1検知端子21(請求項中の一方の検知端子)はグランド回路に接続させることができるため、金属カバー60からバネ片を延出させることにより第1検知端子21を金属カバー60の一部として形成することもできる。また、第1検知端子21と第2検知端子は、必ずしもカード挿抜口30の対向側に設ける必要はなく、例えば、カード挿入口30の左右一方又は双方の側にカード挿入方向に沿って設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明によるカード用コネクタ10の外観斜視図である。
【図2】本発明によるカード用コネクタ10の分解斜視図である。
【図3】本発明によるカード用コネクタ10の分解斜視図である。
【図4】本発明によるカード用コネクタ10の背面図である。
【図5】カード収容空間29にカード11が挿入される前のカード用コネクタ10の内部状態を示す上面図である。
【図6】カード収容空間29にカード11が挿入されたときの内部状態を示す上面図である。
【図7】本発明による作用を示す図である。
【図8】本発明の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0035】
10 カード用コネクタ
11 カード
20 ハウジング(絶縁座)
21 第1検知端子(グランド端子)
22 第2検知端子
23 接触子
24 接触部
25 固定部
26 接触部
27 対応接触部
28 上方延長部
29 カード収容空間
30 カード挿抜口
33 係止突部
34 係止穴
35 第1アーム
36 第2アーム
37 端子配列部
38 繋ぎ部
41 固定部
42 固定部
46 上方突出部
47 下方突出部
60 金属カバー
62 衝突防止穴
63 カード押片
64 圧入突起
65 係止穴
66 上方突出部
67 下方突出部
68 切り欠き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード用コネクタにおいて、
接触子と、
前記接触子が配列されるハウジングと、
前記接触子を内部に配したカード収容空間の少なくとも上部を形成する金属カバーと、
カード挿抜口を通じて前記カード収容空間にカードが挿入されたときに前記カードと接触してカード挿入により変位され得る第1端子と、
前記第1端子と非接触で配置され、前記第1端子がカード挿入方向に変位したときに前記第1端子の接触部と接触することにより前記第1端子と導通され得る第2接触部を有する第2端子と、を有し、
前記第1端子と前記第2端子の導通の有無により前記カード収容空間における前記カードの挿抜を検知するものであって、
前記金属カバーが前記カード収容空間の底部に向かって変位したときに、前記第1端子と前記第2端子のいずれか一方の端子は他方の端子よりも前記金属カバーに近接した部分を有するため前記金属カバーと接触し得るが、前記他方の端子は前記金属カバーと接触しないことを特徴とするカード検出スイッチを有するカード用コネクタ。
【請求項2】
前記カード収容空間の底部は、前記ハウジング、又は、前記カード用コネクタが載置された基板によって形成されている請求項1に記載のカード用コネクタ。
【請求項3】
前記金属カバーと接触した前記第一方の端子が更に前記金属カバーによって前記カード収容空間の底部に向かって変位したときに、前記一方の端子が前記金属カバーと前記カード収容空間の底部との間で突っ張るように、前記ハウジング、又は、前記カード用コネクタを載置する基板の少なくとも一部部位に上方に突出した部分を設けている請求項2に記載のカード用コネクタ。
【請求項4】
前記金属カバーが前記カード収容空間の底部に向かって変位したときに、前記一方の端子が前記他方の端子よりも先に前記金属カバーと接触し得るように、前記金属カバーと接触し得る前記一方の端子の少なくとも一部部位に上方に突出した部分を設け、又は、前記金属カバーと接触した前記第一方の端子が更に前記金属カバーによって前記カード収容空間の底部に向かって変位したときに、前記一方の端子が前記金属カバーと前記カード収容空間の底部との間で突っ張るように、前記カード収容空間と接触し得る前記一方の端子の少なくとも一部部位に前記カード収容空間の底部に向かって突出した部分を設け、又は、それらの双方を設けている請求項1乃至3のいずれかに記載のカード用コネクタ。
【請求項5】
前記金属カバーが前記カード収容空間の底部に向かって変位したときに、前記一方の端子が前記他方の端子よりも先に前記金属カバーと接触し得るように、前記一方の端子と接触し得る前記金属カバーの少なくとも一部部位に前記カード収容空間の底部に向かって突出した部分を設けている請求項1乃至4のいずれかに記載のカード用コネクタ。
【請求項6】
前記一方の端子及び前記他方の端子は、それらの上部全体を前記金属カバーによって覆われている請求項1乃至5のいずれかに記載のカード用コネクタ。
【請求項7】
前記他方の端子の少なくとも一部が前記金属カバーによって覆われていない請求項1乃至5のいずれかに記載のカード用コネクタ。
【請求項8】
前記第1端子と前記第2端子は、前記カード挿入方向と交差する方向において左右の各側から片持ち梁状に延びる2本の板バネとして形成されている請求項1乃至7のいずれかに記載のカード用コネクタ。
【請求項9】
前記第1端子の前記接触部は、前記片持ち梁部分の中間付近に設けられ、前記第2端子の前記第2接触部は、前記片持ち梁部分の先端付近に設けられている請求項8に記載のカード用コネクタ。
【請求項10】
前記一方の端子が前記カードと接触し得る部位が、前記カード挿入方向における前記接触子の変位方向と同方向に延長されている請求項1乃至9のいずれかに記載のカード用コネクタ。
【請求項11】
前記一方の端子と前記金属カバーは電気的に接続されている請求項1乃至10のいずれかに記載のカード用コネクタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−21177(P2009−21177A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−184531(P2007−184531)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(390005049)ヒロセ電機株式会社 (383)
【Fターム(参考)】