説明

カーナビゲーション装置

【課題】分岐点の手前に存在する屈折点を自動検出して記憶しておき、次回以降の通過の際にその屈折点についての案内を行なうカーナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】屈折点検出手段は分岐点以外の場所を走行中に自車位置検出手段で検出した自車位置が地図データに記録されている走行中道路の幅員から所定距離以上継続して外れた後に分岐点に到達した場合に、外れが生じ始めた地点を屈折点としてその位置、屈折方向、次の分岐点でとった進路方向を走行した道路区間に対応付けて記憶する。次回、同じ道路区間を走行する場合に前記屈折点の次の分岐点における予定進路方向が該屈折点に対応付けて記憶された進路方向と一致している場合には、該屈折点の手前地点にて屈折点についての案内を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路案内を行なう際に現実の道路形状にあった最適位置にて左右折案内を行なうカーナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーション装置では、目的地までの最適経路を探索、決定した上で、GPS(Global Positioning System、全地球的測位システム)等を利用して車両位置を検出し、左右折案内等を行なって車両を目的地に案内する。
【0003】
従来、この左右折案内は分岐点の手前の一定距離地点、あるいはその時の車速も考慮に入れた一定距離地点にてされてきた(例えば、特許文献1参照)。そして、この場合における分岐点の基準位置は、道路中心線が交叉する点、あるいは分岐する点とされてきた。しかし、現実の分岐点の道路形状、分岐点手前の道路形状等を考えると、道路中心線の交差点や分岐点を基準にした距離で案内地点を決定するのが適当とはいえない場合が多くある。
【0004】
例えば、図6に示すように交差点の手前に左折車線20が設けられているような場合、交差点中心のA点を基準にした距離で案内地点を決めたのでは、左折車線20に入る折れ曲がり屈折点Bの直前やB点通過後に案内がなされて左折できない場合が生じ得る。また、図7は左折車が多い交差点などで交差点内に交通島22が設けられ、その交通島22周りに左折用屈折車線23が設けられている場合である。この場合も交差点中心のA点を基準に案内したのでは屈折点Cで左折できない場合が起こり得る。
【0005】
また、図8は、右折車が多い交差点などで右折車線24が道路中央付近に設けられている場合である。この場合は、直進車と左折車が右折車線24を避けて手前の屈折点Dで左側の直進/左折車線25に折れなければならない。この場合も交差点中心のA点を基準に案内したのでは屈折点Fで曲がらずに右折車線24に進入してしまい、直進や左折ができない場合が生じ得る。図9は、右折する前に屈折点Eで右に折れて右折車線26に入らなければならない場合である。この場合も交差点中心のA点を基準に案内したのでは右折できない場合が生じ得る。
【0006】
このような屈折点の存在による不具合事態を避けるには、各交差点や分岐点付近の実際の道路形状を詳しく調査して記憶しておき、交差点や分岐点における左右折案内以外にB〜E点のような屈折点があることを所定距離手前で案内することが考えられる(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、こうした屈折点の案内のために全ての交差点、分岐点付近の道路形状を詳しく調査するには多くの費用と時間がかかり、またその道路形状データ量も多くなるという問題がある。
【特許文献1】特開2003−262530号公報
【特許文献2】特開平7−160996号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような背景からなされたもので、その課題は、交差点や分岐点の手前等に存在する屈折点を詳しい現地調査をすることなく自動検出して記憶しておき、次回以降の通過の際にその屈折点についての案内を行なうカーナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、地図データと、自車位置を検出する自車位置検出手段と、屈折点検出手段とを備えたカーナビゲーション装置であって、前記屈折点検出手段は、分岐点以外の場所を走行中に前記自車位置検出手段で検出した自車位置が前記地図データに記録されている走行中道路の幅員から所定距離以上継続して外れた後に分岐点に到達した場合には、該外れが生じ始めた地点を屈折点としてその位置と屈折方向とを走行した道路区間に対応付けて記憶することを特徴とするカーナビゲーション装置である。
【0009】
このような構成のカーナビゲーション装置によれば、分岐点(交差点を含む。以下、本明細書において同じ。))手前に存在する屈折点を人手によることなく自動的に検出することができる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のカーナビゲーション装置において、前記分岐点に到達する前に前記地図データに車両が通常走行できない施設の敷地情報が記録されている場所を通過していた場合には、前記外れが生じ始めた地点を屈折点として記憶しないことを特徴とする。
このような構成のカーナビゲーション装置によれば、通常の走行経路として利用できない場所を通る屈折点を排除することができる。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のカーナビゲーション装置において、前記分岐点に到達する前の走行が異常走行と判断された場合には、前記外れが生じ始めた地点を屈折点として記憶しないことを特徴とする。
【0012】
ここで、異常走行とは異常な蛇行走行、走行規制に反する走行、地図データの道路から著しく離れた地点の走行、位置検出手段の検出異常と思われる異常地点の走行等を指す。このような異常走行により検出された屈折点を排除することで、正しい屈折点の情報のみを収集することが可能となる。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載のカーナビゲーション装置において、前記屈折点検出手段は前記屈折点通過後の最初の分岐点で車両がとった進路方向をその屈折点に対応付けて追加記憶することを特徴とする。
【0014】
屈折点が存在する道路区間を次回走行する場合、次の分岐点における予定進路方向がその屈折点に対応して記録された進路方向と異なっている場合にはその屈折点で折れるべきでない。本構成のように屈折点に対応付けて通過後の分岐点でとった進路方向を記憶しておけば、予定の経路の進路方向と異なる屈折点案内を除くことが可能となる。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載のカーナビゲーション装置において、前記屈折点検出手段は前記屈折点及び該屈折点に対応付けて追加記憶した情報を前記地図データに反映させる修正を行なうことを特徴とする。
このように地図データに反映させる修正を行なっておけば、次回以降の経路案内に屈折点を案内することが可能となる。
【0016】
また、請求項6に記載の発明は、請求項4に記載のカーナビゲーション装置において、指示された目的地までの経路を探索する経路探索手段と、該経路探索手段にて決定された経路に従って案内を行なう経路案内手段とを更に備え、該経路案内手段は、案内経路上の道路区間に前記屈折点がある場合において、該屈折点の次の分岐点における予定進路方向が該屈折点に対応付けて記憶された前記進路方向と一致している場合には、該屈折点の手前地点にて該屈折点についての案内を行なうことを特徴とする。
【0017】
このような構成によれば予定の進路方向に進むために必要な屈折点は案内され、予定の進路方向に進むことのできない屈折点は案内されないため間違いのない走行が可能となる。
【0018】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のカーナビゲーション装置において、前記屈折点についての案内は、該屈折点から一定距離手前の地点、又は一定距離にその時の車速に比例して増大する距離を加えた距離だけ手前の地点にて行なうことを特徴とする。
このような構成によれば、分岐点手前に存在する屈折点が最適地点で案内されるため、屈折点で余裕をもって折れ曲がることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施の形態を説明する。本発明は、「背景技術」で説明した図6〜図9中のB〜E点で示したような屈折点を一般的なカーナビゲーション装置の機能を利用して自動的に検出して記憶しておき、次回の経路案内の際にそれらの屈折点についても必要な案内を行なおうとするものである。
屈折点の自動検出は、基本的にはGPS受信機等を使用して検出した自車位置の座標が地図データに記録されている走行中の道路区間の有効幅員から所定距離以上継続して外れたか否かを判定することで行なう。
【0020】
以下、このような基本的な考えによって屈折点を自動検出する本発明のカーナビゲーション装置の構成とその制御フローについて図面を参照して詳しく説明する。
図1は、本実施形態に係るカーナビゲーション装置のハードウェア構成をブロック図で示したものである。本実施形態のカーナビゲーション装置1は、図に示すようにGPS受信機2、ジャイロスコープ3、車速センサ4、距離センサ5、操作スイッチ群6、表示装置7、音声出力装置8、HDD(ハードディスク駆動装置)9、制御回路10を備えて構成される。
【0021】
GPS受信機2はGPS用人工衛星からの信号を受信し、自車の現在位置の座標を算出して制御回路10に伝達する。ジャイロスコープ3は車両の進行方向を検出するためのものである。車速センサ4は車速を検出もので、例えばトランスミッションの回転を電気信号に変換して車速を検出する。距離センサ4は走行距離を検出するもので、例えばトランスミッションの回転数を計数して走行距離を検出する。
【0022】
操作スイッチ群6は、カラー液晶ディスプレイ上に形成されたタッチスイッチやリモコンスイッチ、音声入力装置等で構成され、制御回路10への各種情報入力に使用される。表示装置7は、地図、自車の現在位置、走行案内等の情報を表示するためのもので、例えばカラー液晶ディスプレイで構成される。音声出力装置8は、左右折案内等の制御回路10からの出力情報を音声で運転者に伝えるためのものである。
【0023】
HDD9内には地図データが予め記録されている。地図データは地図描画用データ、道路データ、分岐点データ、施設データ等を集めたものである。HDD9内にはこの他に本カーナビゲーション装置1を動作させるための各種プログラムが予め格納されている。
【0024】
本カーナビゲーション装置1を動作させるプログラムには、後述する本発明の機能を発揮させるためのプログラムの他に、一般的なカーナビゲーション機能を実行するためのプログラム、例えばGPS受信機2が検出した位置座標を補正して現在位置を算出する機能、算出した現在位置を地図の道路上に位置付けるマップマッチング処理機能、目的地や経由地の指定を受けて現在位置から目的地までの経路を探索する経路探索機能、その経路探索結果に応じた案内ルートを地図画面上に表示して案内する経路案内機能、VICS(Vehicle Information & Communication System)からの道路交通情報を受信して運転者に知らせる機能などを実行するためのプログラム等が含まれる。
【0025】
制御回路10は、カーナビゲーション装置1の動作全般を制御する機能を果たすもので、マイクロコンピュータを主体に構成されている。即ち、制御回路10は、CPU11、RAM12、ROM13及び図示しないI/Oインターフェースとこれらを接続するバス、電源装置などを備えて構成されている。
【0026】
以上のような装置の他にもカーナビゲーション装置1には、VICSを利用して道路交通情報を取得するための通信装置、車体の回転速度を検出するための角速度センサ、前後/左右/上下の加速度を検出する加速度センサ等が必要により取り付けられる。
【0027】
次に、以上のような構成の下でのカーナビゲーション装置1の制御動作について図2に示す制御フローを参照して説明する。この制御フローは屈折点の自動検出のために制御回路10が行なうフローである。
【0028】
最初のステップS1では自車位置を検出する。自車位置は、GPS受信機2で検出した座標位置をジャイロスコープ3、車速センサ4、距離センサ5等の検出値を参考にして補正して決定される。続くステップS2では、決定した自車位置をマップマッチング処理により地図の道路上に位置付ける。このマップマッチング処理は、GPS受信機2等により決定した自車の位置座標には誤差が含まれているため、車両が道路上を走行しているとの前提で補正を加え車両位置を最寄りの道路上に位置付ける処理である。この処理により車両の道路上の位置が決まる。
【0029】
HDD9内に予め記憶されている地図データには道路データが含まれている。この道路データは表示装置7上への道路の表示、目的地までの経路探索、経路案内等に用いられる。この道路データは、各道路の分岐点(交差点を含む)、曲がり点、行き止まり等をノード、それぞれのノード間の道路をリンク(道路区間に相当する。)と定義し、そのリンクを接続することにより道路地図を構成したものである。各リンクには前後のリンクとの接続情報、各リンクの座標、道路の中心線情報、車線数、幅員、道路種類、通行規制、前後のノード番号等の属性がリンク情報(道路区間情報)として記憶されている。
【0030】
ステップS2でのマップマッチング処理では、自車位置が最寄りのリンク(道路区間)に位置付けられるので走行中の道路区間が判明する。そこで続くステップS3では、判明した走行中の道路区間に対応する前述の道路区間情報(リンク情報)を道路データの中から読み出す。読み出した道路区間情報の内、本発明の屈折点の自動検出に重要な情報は、道路の中心線情報と、車両が実際に走行できる道路幅である幅員である。
【0031】
次のステップS4では、ステップS2で位置付けた自車位置から車両が分岐点に到達しているか否かをチェックする。分岐点の位置は道路データに記憶されているノードの座標から判明する。従って、そのノードの座標を中心とする所定範囲内に車両が存在するか否かで分岐点に到達したか否かを判定する。分岐点に到達していない場合はステップS5に移る。
【0032】
ステップS5では、検出された自車位置が走行中道路区間の幅員から所定距離以上離れているか否かを判定する。この場合の自車位置は、ステップS1にて検出された車両位置であり、ステップS2のマップマッチング処理による補正を施す前の車両位置である。この判定の意味を図3を参照して説明する。車両が図のような片側2車線の道路を走行しているとする。車両15が中央寄り車線16を走行している状態では、検出された車両位置は幅員の上にある。
【0033】
左側車線17を走行している車両18も、検出される車両位置は幅員の上にある。交差点Aには左折車のために左折車線19が設けられていたとする。そして、車両18が左折車であったとすると、車両18はF点で折れ曲がって左折車線19に進入する。左折車線19に入った車両20の検出位置は道路の中心線より遠くなる。道路データには道路の中心線情報と幅員の情報が含まれているので、その情報と検出位置とから車両20が幅員を外れているか否かを判定することができる。
【0034】
この場合、ステップS1で検出された車両位置には誤差が含まれているので、その誤差を考慮した所定距離以上に外れた場合に幅員を外れたと判定する。幅員を外れていないと判定された場合にはステップS6に移り、道路上に位置していることを記憶してステップS8に移る。幅員を外れていると判定された場合にはステップS7に移り、その場合の車両位置、幅員からの外れ距離、外れ方向(図3の場合は左方向)を記憶してステップS8に移る。
【0035】
ステップS8では微小時間Δtだけ待機する。続くステップS9では、ステップS1と同様に自車位置の検出を行ないステップS4に戻る。そして、再び分岐点に到達したか否かの判定を行なう。このようにしてステップS5からステップS9までのフローが分岐点に到達するまで繰り返され、その間にステップS6、S7にて道路上に位置していた旨、又は幅員を外れた旨がΔt時間毎の時系列で記憶されていく。
【0036】
ステップS4で車両が分岐点に到達したと判定されるとステップS10に移る。ステップS10と続くステップS11では、ステップS6、S7で記憶された時系列の位置情報から分岐点に到達する前に屈折点が存在したか否かの判定を行なう。最初のステップS10では、分岐点に到達する前に所定距離以上に渡り継続して幅員を外れた位置を走行したか否かの判定を行なう。この場合、ステップS1、S9で検出される車両位置の誤差には“ばらつき" があるため、瞬間的に幅員を外れたり、瞬間的に幅員内に戻ったりしたデータは除いて判定を下すようにする。
【0037】
所定距離以上に渡り継続して幅員を外れていないと判定された場合には、屈折点は存在していなかったことになるのでそのまま最初のステップS1に戻る。所定距離以上に渡り継続して幅員を外れて走行していた場合には、屈折点が存在していた可能性があるので次のステップS11に移る。
【0038】
ステップS11では、幅員を外れた走行が異常走行に起因するものを見つけ出して排除する判定を行なう。排除する場合としては、例えば図4に示すように車両が駐車場22を通過した場合がある。地図上に通常の走行ができない建物、施設等の敷地情報が記録されている場所を通過していた場合がこれに相当し、例え屈折走行が行なわれていたとしても屈折点が存在したとはみなさずにステップS1に戻る。この他、道路幅員から想定できる範囲を大幅に離れた場所を走行していた場合、一方通行、左右折規制等に反する走行をしていた場合、極端な蛇行走行をしていた場合等のように走行自体に異常があったと思われる場合、あるいは位置検出値に異常があったと思われる場合も屈折点が存在したとはみなさずステップS1に戻る。これらの何れにも該当しない場合は、正常な屈折点が存在したとみなしてステップS12に移る。
【0039】
ステップS12では、幅員を外れた走行を開始した地点を屈折点とし、その位置座標と屈折方向とを走行した道路区間に対応付けて記憶する。更に、直後の分岐点到達後の進路方向も記憶する。進路方向は分岐点到達時の方向指示器の信号、あるいは分岐点通過時のジャイロスコープ3の検出信号で把握することができる。ステップS12の後はステップS1に戻り、次の道路区間についての屈折点の検出を開始する。なお、屈折点の位置はマップマッチング処理を施した後の位置で記憶しておくとよい。
【0040】
このような制御フローを実行することにより、本実施形態のカーナビゲーション装置1によれば、「背景技術」で説明した左折する場合の図6中のB点、図7中のC点、直進又は左折する場合の図8中のD点、右折する場合の図9中のE点などの屈折点の存在をいずれも自動的に検出することができる。
【0041】
検出した屈折点の座標位置、屈折方向、屈折点通過後の分岐点における進路方向は、道路区間に対応付けて地図データに追加する修正を行い、次回以降に同じ道路区間を走行する際の経路案内、経路表示に反映させる。
【0042】
次に、このようにして検出した屈折点を次回の経路案内の際に案内する制御フローについて図5を参照して説明する。なお、この図5の制御フローは屈折点を案内するために従来の経路案内に追加して行なうフローを表わしたものであって、分岐点についての左右折案内は従来通りの方法で別途に行なう。
【0043】
最初のステップT1〜T3は、目的地までの走行経路を探索して決定するフローで、これは従来の経路案内を行なう前に行なわれる経路探索と同じでありその結果を利用することができる。ステップT1では目的地をユーザが入力する。ステップT2では、ダイクストラ法などの経路探索プログラムを使用して目的地までの最適経路を探索する。最適経路は条件を変えて数種類が表示されるので、ユーザがその中から好みの経路を選択することで走行経路が決定する(ステップT3)。
【0044】
ステップT4では、GPS受信機2等の検出値から自車位置を算出する。算出した位置は、ステップT5でマップマッチング処理を行い地図の道路上に位置づける。これにより自車位置が確定する。
自車位置が道路上に位置づけられると走行中の道路区間が判明するので、その道路区間の道路区間情報(リンク情報)を読み出す(ステップT6)。読み出した道路区間情報には、屈折点が存在する場合にはその位置、屈折方向、屈折点通過後の分岐点における進路方向の情報が含まれている。
【0045】
ステップT7では、読み出した道路区間情報に屈折点の情報を含まれているか否かをチェックする。含まれていない場合には、その道路区間については屈折点の案内は行なわないのでステップT12に移る。ステップT12、T13はその道路区間の走行を完了したか否かをチェックするフローである。
【0046】
読み出した道路区間情報に屈折点の情報が含まれていた場合にはステップT8に移る。ステップT8では、その屈折点通過後の分岐点における予定の進路方向が、その屈折点に対応付けて記憶されている進路方向と一致しているか否かを判定する。このような判定を行なうのは、例え屈折点が存在しても、次の分岐点における予定の進路方向がその屈折点に対応付けて記憶されている次の分岐点の進路方向と一致していなければ、その屈折点で折れ曲がってはいけないからである。例えば図3の場合には、次の交差点Aにおける予定の進路方向が左折であれば屈折点Fで折れる必要があるが、予定の進路方向が直進の場合には折れてはいけない。
【0047】
予定の進路方向がその屈折点に対応付けて記憶されている次の分岐点における進路方向と一致していない場合には、屈折点の案内を行なわないでステップT12に移る。一致していた場合には屈折点の案内を行なう必要があるのでステップT9に移る。
【0048】
ステップT9、T10は、屈折点を案内する地点に自車が到達したか否かを判定するフローである。ステップT9では自車位置を検出する。屈折点がマップマッチング処理を施した後の位置として記憶されている場合には、GPS受信機2等で特定した自車位置にマップマッチング処理を施して自車位置を求める。
ステップT10では、求めた自車位置が屈折点を案内する地点に到達しているか否かを判定する。屈折点を案内する地点は、屈折点から一定距離手前の地点、又は一定距離にその時の車速に比例して増大する距離を加えた距離だけ手前の地点とする。
【0049】
案内地点に到達するまでステップT9、T10を繰り返し、到達したならばステップT11に移り屈折点の案内を行なう。案内は、例えば「次の交差点で左折しますので前方100mの屈折点で左に折れて左折車線に入ってください。」、「次の交差点は直進しますが前方100mの屈折点で左に折れて左側の直進車線に入って下さい。」、「次の交差点で右折しますので前方100mの屈折点で右に折れて右折車線に入って下さい。」等のように行なう。こうした案内は表示装置7への表示、音声出力装置8による音声で行なう。
【0050】
案内を終えたならばステップT12に移る。ステップT12、T13で次の分岐点に到達したことを確認してステップT6に戻り、次の道路区間について同じような屈折点の案内を繰り返す。
【0051】
このようにして本実施形態のカーナビゲーション装置1によれば、分岐点手前に存在する屈折点を自動的に検出してその位置、屈折方向、屈折点通過後の分岐点における進路方向の情報を自動で収集することができる。従って、人手によるそうした情報の収集作業を必要としなくなる効果を奏する。また、次回以降に同じ道路区間を走行する際には、必要によりその屈折点の案内が適切な案内地点で行なわれる。従って、分岐点手前での左折車線、右折車線への進入遅れにより意図した進路変更ができないといった不具合が解消される効果を奏する。
【0052】
なお、特許請求の範囲に記載した次の手段は、上述した実施形態ではそれぞれ次のような構成要素により構成されている。自車位置検出手段はGPS受信機2、ジャイロスコープ3、車速センサ3、距離センサ4、制御回路10とそれらの検出値から自車の位置を算出するプログラムにより構成される。屈折点検出手段は制御回路10と地図データと図2の制御フローを実行するプログラムにより構成される。経路探索手段は操作スイッチ群6、表示装置7、制御回路10、地図データとダイクストラ法などの経路探索プログラムにより構成される。経路案内手段は制御回路10、地図データ、従来の経路案内プログラムと図5の制御フローを実行するプログラムにより構成される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係るカーナビゲーション装置1のハードウェア構成のブロック図の例である。
【図2】カーナビゲーション装置1が屈折点を検出する制御フローの例である。
【図3】屈折点の自動検出の考え方を説明する図である。
【図4】車両が通常走行できない場所を通過した例である。
【図5】カーナビゲーション装置1が屈折点を案内する制御フローの例である。
【図6】分岐点前の屈折点の例である。
【図7】分岐点前の屈折点の他の例である。
【図8】分岐点前の屈折点の他の例である。
【図9】分岐点前の屈折点の他の例である。
【符号の説明】
【0054】
図面中、1はカーナビゲーション装置、2はGPS受信機、3はジャイロスコープ、10は制御回路、9はHDDを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データと、自車位置を検出する自車位置検出手段と、屈折点検出手段とを備えたカーナビゲーション装置であって、
前記屈折点検出手段は、分岐点以外の場所を走行中に前記自車位置検出手段で検出した自車位置が前記地図データに記録されている走行中道路の幅員から所定距離以上継続して外れた後に分岐点に到達した場合には、該外れが生じ始めた地点を屈折点としてその位置と屈折方向とを走行した道路区間に対応付けて記憶することを特徴とするカーナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカーナビゲーション装置において、前記分岐点に到達する前に前記地図データに車両が通常走行できない施設の敷地情報が記録されている場所を通過していた場合には、前記外れが生じ始めた地点を屈折点として記憶しないことを特徴とするカーナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1に記載のカーナビゲーション装置において、前記分岐点に到達する前の走行が異常走行と判断された場合には、前記外れが生じ始めた地点を屈折点として記憶しないことを特徴とするカーナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載のカーナビゲーション装置において、前記屈折点検出手段は前記屈折点通過後の最初の分岐点で車両がとった進路方向をその屈折点に対応付けて追加記憶することを特徴とするカーナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載のカーナビゲーション装置において、前記屈折点検出手段は前記屈折点及び該屈折点に対応付けて追加記憶した情報を前記地図データに反映させる修正を行なうことを特徴とするカーナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項4に記載のカーナビゲーション装置において、指示された目的地までの経路を探索する経路探索手段と、該経路探索手段にて決定された経路に従って案内を行なう経路案内手段とを更に備え、
該経路案内手段は、案内経路上の道路区間に前記屈折点がある場合において、該屈折点の次の分岐点における予定進路方向が該屈折点に対応付けて記憶された前記進路方向と一致している場合には、該屈折点の手前地点にて該屈折点についての案内を行なうことを特徴とするカーナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項6に記載のカーナビゲーション装置において、前記屈折点についての案内は、該屈折点から一定距離手前の地点、又は一定距離にその時の車速に比例して増大する距離を加えた距離だけ手前の地点にて行なうことを特徴とするカーナビゲーション装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−153485(P2006−153485A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−340454(P2004−340454)
【出願日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】