説明

ガスタービン、高湿分利用ガスタービン及びガスタービンに用いられる燃焼器

【課題】本発明は種々の条件の変化に対して燃焼器の燃焼室に形成する火炎を安定に維持し、NOx発生量を低く抑制するガスタービンを提供する。
【解決手段】本発明のガスタービンは、燃焼器の燃料ノズルに供給する複数の燃料系統を配設し、燃料を燃焼室に噴出させる多数の燃料小ノズルを燃料ノズルに設け、燃料小ノズルに対応して空気を燃焼器に噴出させる空気孔を多数形成した空気孔プレートを燃焼器の燃焼室に面して設置し、空気孔プレートの少なくとも中心側に配置された複数の空気孔は噴出する空気に旋回流をかけるように形成し、この空気孔プレートにメタル温度の検出器を、圧縮機から燃焼器に空気を供給する流路に空気温度の検出器を夫々設置し、前記検出器で検出した温度差に基づいて燃焼器の燃料ノズルに供給する燃料流量値を演算し、この燃料流量値によって複数の燃料系統を通じて燃料ノズルに供給される各燃料流量を調節するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンに搭載する低NOx燃焼器を安定に運用するガスタービン、高湿分利用ガスタービン及びガスタービンに用いられる燃焼器に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンでは燃焼器によって燃料を燃焼してタービンの動作流体となる燃焼ガスを生じさせているが、燃焼器で燃料を燃焼させた際に窒素酸化物(NOx)が発生する。
【0003】
NOxとしては、燃料として天然ガスや灯油、軽油等の窒素含有量の少ない燃料を用いる場合に、空気中の窒素が酸化されて発生するサーマルNOxが大部分である。
【0004】
このサーマルNOxの生成は温度依存性が高いため、一般に上記した燃料を燃焼器で燃焼させるガスタービンでは燃焼器で燃焼する火炎温度を低減させることが低NOx燃焼法の基本思想である。
【0005】
火炎温度を低減する方策として、燃料と空気を予め混合した後に燃焼器で燃焼させる予混合燃焼が知られている。
【0006】
ところで、たとえばジメチルエーテルのように自発火温度が低い燃料を用いる場合には、燃料の自発火を防止しつつ、火炎温度を適度に制御して低NOx化を図るためには、特開2003−148734号公報に記載されているような燃料と空気を多数の小径の同軸噴流として燃焼室に噴出する技術が有効である。
【0007】
一方、ガスタービン作動流体(空気)に水分を添加して加湿し、この加湿空気によってガスタービン排ガスの持つ熱エネルギーを回収することで、出力及び効率の向上を図る高湿分ガスタービン発電プラントでは、特開2005−307861号公報に記載されているように水分添加開始後の負荷変動に対し空気中の湿分量を安定に制御する技術が開示されている。
【0008】
一般に、ガスタービン起動時の回転数上昇時には、圧縮機吸込み空気流量や回転体の振動特性が変化するため、定格回転数到達後に比べると外乱により系が不安定になりやすい傾向がある。高湿分ガスタービンプラントにおいて、回転数上昇途中に水分添加を開始すると、ガスタービンに対して外乱を与えることになるため、起動時の安定性を確保するためには、定格回転数到達後の部分負荷状態で水分添加を開始する方が望ましい。
【0009】
また、高湿分ガスタービンプラントは再生器により燃焼用空気が高温化されているため、天然ガス等の通常の燃料を用いる際にも、燃料の自発火を防止しつつ、火炎温度を適度に制御して低NOx化を図るためには、特開2003−148734公報に示されているような、燃料と空気を多数の小径の同軸噴流として燃焼室に噴出する方法が有効である。
【0010】
また、特開平10−317991号公報には、予混合バーナを有するガスタービン燃焼器を備えたガスタービンではあるが、ガスタービンの負荷変化時の燃焼安定化を実現するために、予混合燃焼する予混合バーナの失火状態を検出する温度検出器を予混合バーナに対応した位置の燃焼器ライナに設置し、この温度検出器で検出した失火状態の予混合バーナに対して燃料の供給量を増加させて該予混合バーナの燃焼を確保する技術が開示されている。
【0011】
【特許文献1】特開2003−148734号公報
【特許文献2】特開2005−307861号公報
【特許文献3】特開平10−317991号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特開2005−307861号公報に記載されているような高湿分ガスタービンプラントで水分添加が開始されると、燃焼器においては燃焼空気中の湿分が増加するため、燃料の燃焼熱が湿分に奪われる分、火炎温度が低下し、NOx発生量は減少する。
【0013】
また、水分の添加によってタービン作動流体が増加するため、発電用にガスタービンの回転数を一定に保持するために燃料が減少することによって燃焼器の火炎温度が低下し、NOx発生量は減少する。
【0014】
さらに火炎温度が低下したことにより再生器での回収熱量が減少するため、燃焼用に供給している空気温度が低下することによって燃焼器の火炎温度が低下し、NOx発生量は減少する。
【0015】
このように水分添加が開始されることよって、湿分増加、燃料減少、空気温度低下が同時に進行して火炎温度が低下するため、NOx発生量は減少するのであるが、逆にその分だけ燃焼器における火炎の安定性は悪くなる。
【0016】
燃焼器の空気配分の設定時には、火炎温度がある程度低下したような条件でも火炎の吹き消えが生じないように、燃焼器頭部の同軸噴流部に供給する空気流量を適切に設定することができるが、水分添加開始前には上記とは逆に火炎温度が高くなるため、火炎の安定性は確保されるもののNOx発生量は増加してしまう。
【0017】
すなわち、高湿分ガスタービンプラントにおいては、水分添加開始前後で、燃焼器のNOx生成および火炎安定性に対して大きな条件変化が生ずるため、このような条件変化に対しても燃焼器を低NOxで燃焼させ、且つ火炎を安定に制御する有効な手段が求められていた。
【0018】
同様に通常のガスタービンにおいても、年間を通しての気候の変化や、圧縮機等の機器特性の経年変化によって、燃焼用空気の流量や温度、湿度が変化し、燃焼器のNOx生成および火炎安定性に影響するため、このような長いスパンでの条件変化に対しても燃焼器を低NOx、且つ火炎を安定に制御する手段が求められていた。
【0019】
本発明の目的は、燃焼器のNOx生成および火炎安定性に影響する種々の条件変化に対しても、燃焼器の燃焼室にて火炎を安定に維持しつつ、NOx発生量を低レベルに抑制することを可能にしたガスタービン、高湿分空気利用ガスタービン及びガスタービンに用いられる燃焼器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明のガスタービンは、空気を圧縮する圧縮機と、圧縮機で圧縮された空気と燃料を燃焼させる燃焼器と、この燃焼器で燃焼した燃焼ガスによって駆動されるタービンとを備備ええンるるすの反応容器で生成した重質分の液位に大きな変動が生じた場合に、コーキングの発生を防止すると共に反応容器で生成えたガスタービンにおいて、燃焼器の燃料ノズルには燃料を供給する複数の燃料系統を配設し、燃焼器の燃料ノズルには供給された燃料を燃焼室に噴出させる多数の燃料小ノズルと、これらの燃料小ノズルに夫々対応して空気を燃焼器に噴出させる空気孔を多数形成した空気孔プレートとを前記燃料小ノズルに近接させて燃焼器の燃焼室に面するように夫々設置し、燃料ノズルに設けた空気孔プレートの少なくとも中心側に配置された複数の空気孔は噴出する空気に旋回流をかけるように形成し、この空気孔プレートにメタル温度を検出する第1の温度検出器を設置し、圧縮機から燃焼器に空気を供給する流路に空気温度を検出する第2の温度検出器を設置し、前記第1の温度検出器と第2の温度検出器で検出した温度差に基づいて燃焼器の燃料ノズルに供給する燃料流量値を演算する制御装置を備え、この制御装置で演算した燃料流量値によって前記複数の燃料系統を通じて燃料ノズルに供給される各燃料流量を調節するように構成したことを特徴とする。
【0021】
また、本発明のガスタービンは、空気を圧縮する圧縮機と、圧縮機で圧縮された空気と燃料を燃焼させる燃焼器と、この燃焼器で燃焼した燃焼ガスによって駆動されるタービンとを備備ええンるるすの反応容器で生成した重質分の液位に大きな変動が生じた場合に、コーキングの発生を防止すると共に反応容器で生成えたガスタービンにおいて、燃焼器の燃料ノズルには燃料を供給する複数の燃料系統を配設し、燃焼器の燃料ノズルには燃料系統から供給された燃料を燃焼室に噴出させると共に、燃焼室に供給する空気に旋回流を生じさせる旋回羽根を有する中央燃料ノズルと、この中央燃料ノズルの外周側に配置されて他の燃料系統から供給された燃料を空気と共に燃焼室に噴出させる周辺燃料ノズルとを備えさせ、燃料ノズルの中央燃料ノズルの位置にメタル温度を検出する第1の温度検出器を設置し、圧縮機から燃焼器に空気を供給する流路には空気温度を検出する第2の温度検出器を設置し、前記第1の温度検出器と第2の温度検出器で検出した温度差に基づいて燃焼器の燃料ノズルに供給する燃料流量値を演算する制御装置を備え、この制御装置で演算した燃料流量値によって前記複数の燃料系統を通じて燃料ノズルに供給される各燃料流量を調節するように構成したことを特徴とする。
【0022】
また本発明の高湿分空気利用ガスタービンは、空気を圧縮する圧縮機と、圧縮機で圧縮された空気を加湿する増湿装置と、この増湿装置で加湿された空気と燃料を燃焼させる燃焼器と、この燃焼器で燃焼した燃焼ガスによって駆動されるタービンとを備備ええンるるすの反応容器で生成した重質分の液位に大きな変動が生じた場合に、コーキングの発生を防止すると共に反応容器で生成えた高湿分空気利用ガスタービンにおいて、燃焼器の燃料ノズルには燃料を供給する複数の燃料系統を配設し、燃焼器の燃料ノズルには供給された燃料を燃焼室に噴出させる多数の燃料小ノズルと、これらの燃料小ノズルに夫々対応して空気を燃焼器に噴出させる空気孔を多数形成した空気孔プレートとを前記燃料小ノズルに近接させて燃焼器の燃焼室に面するように夫々設置し、燃料ノズルに設けた空気孔プレートの少なくとも中心側に配置された複数の空気孔は噴出する空気に旋回流をかけるように形成し、この空気孔プレートにメタル温度を検出する第1の温度検出器を設置し、圧縮機から燃焼器に空気を供給する流路に空気温度を検出する第2の温度検出器を設置し、前記第1の温度検出器と第2の温度検出器で検出した温度差に基づいて燃焼器の燃料ノズルに供給する燃料流量値を演算する制御装置を備え、この制御装置で演算した燃料流量値によって前記複数の燃料系統を通じて燃料ノズルに供給される各燃料流量を調節するように構成したことを特徴とする。
【0023】
また本発明のガスタービンに用いられる燃焼器は、燃焼器の燃料ノズルには燃料を供給する複数の燃料系統を配設し、燃焼器の燃料ノズルには供給された燃料を燃焼室に噴出させる多数の燃料小ノズルと、これらの燃料小ノズルに夫々対応して空気を燃焼器に噴出させる空気孔を多数形成した空気孔プレートとを前記燃料小ノズルに近接させて燃焼器の燃焼室に面するように夫々設置し、燃料ノズルに設けた空気孔プレートの少なくとも中心側に配置された複数の空気孔は噴出する空気に旋回流をかけるように形成し、この空気孔プレートにメタル温度を検出する第1の温度検出器を設置し、圧縮機から燃焼器に空気を供給する流路に空気温度を検出する第2の温度検出器を設置し、前記第1の温度検出器と第2の温度検出器で検出した温度差に基づいて演算した燃焼器の燃料ノズルに供給する燃料流量値によって前記複数の燃料系統を通じて燃料ノズルに供給される各燃料流量を調節するように構成したことを特徴とする。
【0024】
また本発明のガスタービンに用いられる燃焼器は、燃焼器の燃料ノズルには燃料を供給する複数の燃料系統を配設し、燃焼器の燃料ノズルには燃料系統から供給された燃料を燃焼室に噴出させると共に、燃焼室に供給する空気に旋回流を生じさせる旋回羽根を有する中央燃料ノズルと、この中央燃料ノズルの外周側に配置されて他の燃料系統から供給された燃料を空気と共に燃焼室に噴出させる周辺燃料ノズルとを備えさせ、燃料ノズルの中央燃料ノズルの位置にメタル温度を検出する第1の温度検出器を設置し、圧縮機から燃焼器に空気を供給する流路には空気温度を検出する第2の温度検出器を設置し、前記第1の温度検出器と第2の温度検出器で検出した温度差に基づいて演算した燃焼器の燃料ノズルに供給する燃料流量値によって前記複数の燃料系統を通じて燃料ノズルに供給される各燃料流量を調節するように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、燃焼器のNOx生成および火炎安定性に影響する種々の条件変化に対しても、高湿分空気利用ガスタービン火炎を安定に維持しつつ、NOx発生量を低レベルに抑制することを可能にしたガスタービン、高湿分空気利用ガスタービン及びガスタービンに用いられる燃焼器を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の実施例であるガスタービン、高湿分空気利用ガスタービン及びガスタービンに用いられる燃焼器について図面を参照して以下に説明する。
【実施例1】
【0027】
図面を用いて本発明を高湿分ガスタービンシステムに適用した実施例について説明する。図1は本発明の一実施例である高湿分ガスタービンシステムの全体構成を表すシステムフロー図である。
【0028】
図1において、発電用の高湿分ガスタービンを構成する主要機器として、空気を圧縮する圧縮機1と、圧縮機1から供給される圧縮空気と燃料とを燃焼して燃焼ガスを発生する燃焼器2と、燃焼器2で発生した燃焼ガスを動作流体として駆動されるタービン3と、燃焼器2に供給される圧縮空気を加湿する増湿器4と、タービン3から排出される燃焼ガス中の熱量を回収する再生器5とが備えられており、このタービン3を駆動した出力によりタービン3と連結された発電機20を回転させて電力を得ている。
【0029】
燃焼器2は、本体ケーシング6と、燃焼器ケーシング7と、燃焼器カバー8とで区画された内側に円筒状の燃焼器ライナ10を格納して構成している。
【0030】
燃焼器2の上流端となる燃焼器カバー8には燃料を供給する燃料ノズル9が設置されており、燃料ノズル9の下流側となる燃焼器ケーシング7の内部には、外周側の未燃の空気と内周側の燃焼室で燃料を燃焼させて発生した燃焼ガス106aとを隔てる概略円筒状の燃焼器ライナ10が配設されている。
【0031】
そしてこの燃焼器ライナ10の外周側には、圧縮機1から供給された圧縮空気の空気流路を形成し、燃焼器ライナ10の内側に導く空気の流れを制御するための外周壁(以下、フロースリーブ11と称する)が設置されている。このフロースリーブ11は燃焼器ライナ10よりも外形の直径が大きく、ほぼ同心円筒状に配置されている。
【0032】
燃焼器ライナ10の下流には、燃焼器ライナ10の内側で燃料と空気を燃焼させて発生した高温の燃料ガス106aをタービン3へ導くために接続された尾筒内筒12が設置されており、その外周側にはこの尾筒内筒12を覆う尾筒外筒13が設置されている。
【0033】
本実施例の高湿分ガスタービンでは、圧縮機1の入口のガスタービンの吸い込み空気100aに配管300を通じて導かれた水300aを噴霧する吸気噴霧装置27を備えている。
【0034】
この吸気噴霧装置27からガスタービンの吸い込み空気100aに水300aを噴霧した水噴霧後の空気101a(大気圧)は、圧縮機1によって圧縮されて高圧空気102aとなる。
【0035】
この高圧空気102aは、本体ケーシング6内に充満した後に尾筒内筒12と尾筒外筒13の間の空間の流路に流入して尾筒内筒12を外壁面から対流冷却する。
【0036】
尾筒内筒12を冷却した後の高圧空気102aは、尾筒外筒13によって形成された抽気流路14を通って抽気空気103aとして本体ケーシング6外へと抽気される。
【0037】
抽気流路14を流下した抽気空気103aは配管103を通じて増湿器4に流入するが、この増湿器4において抽気空気103aに散水ノズル104から水分を添加されて加湿空気104aとなる。
【0038】
空気の加湿方法としては、濡壁塔或いは増湿塔による加湿が知られているが、何れを採用しても良い。
【0039】
増湿器4の散水ノズル104によって水分を添加された加湿空気104aは配管104を通じて再生熱交換器5に導かれる。
【0040】
燃焼器2で発生した燃焼ガス106aはタービン3を駆動した後にガスタービン排気ガス107a(タービン出口低圧燃焼ガス)として該タービン3から排出され、排ガス流路107を通じて再生熱交換器5に導かれる。
【0041】
そしてこの再生熱交換器5において加湿空気104aはガスタービン排気ガス107aと熱交換することによりガスタービン排気ガス107aから熱回収を行って加熱され、高温空気105aとなって配管105を通じて燃焼器2の燃焼器ケーシング7の内部に供給される。
【0042】
高温空気105aを導く配管105に熱電対410を設置して流下する高温空気105aの温度を計測し、その測定温度信号を制御装置400に入力している。
【0043】
燃焼器ケーシング7内に供給された空気は、円筒形状のフロースリーブ11と円筒形状の燃焼器ライナ10との間に形成された環状の空間を通って燃焼器2の頭部へ向かって流れ、燃焼器ライナ10の対流冷却に使用される。
【0044】
また、この加熱された高温空気105aの一部は燃焼器ライナ10に設けられた多数の冷却孔から燃焼器ライナ10の内側へ流入して燃焼器ライナ10のフィルム冷却に使用される。
【0045】
また、残りの空気は、燃料ノズル9に設けられた空気孔から燃焼器ライナ10の内部に燃焼用の空気として流入し、燃料ノズル9から噴出される燃料201a〜204aの燃焼に使用され、燃焼器ライナ10の内部の燃焼室で燃焼して高温の燃焼ガス106aを発生させて尾筒内筒12を通ってタービン3に動作流体として送られる。
【0046】
タービン3を出た低圧のガスタービン排気ガス107aは、再生器5で熱回収された後に再生器5の下流側の排ガス流路107に順次配設された給水加熱器22、排ガス再過熱器23を夫々経た後に排気ガス109aとして排気塔25から大気に放出される。
【0047】
また、ガスタービン排気ガス107a中に含まれる水分は排ガス再過熱器23の下流側に設置された水回収装置24によって回収する。
【0048】
燃料ノズル9から燃焼器2の燃焼室に供給される燃料201a〜204aの燃料流量は後述する制御装置400によって制御されている。
【0049】
本実施例では、水回収の方式として水回収装置24の内部に水を噴霧して、ガスタービン排気ガス107a中の水分を凝集、落下させて回収する方式となっている。
【0050】
燃焼ガス106aの動作流体によって駆動されたタービン3で得られた駆動力はシャフト21を通じて圧縮機1及び発電機20に伝えられる。駆動力の一部は圧縮機1において空気の加圧に用いられる。また、発電機20で駆動力を電力に変換する。
【0051】
水回収装置24及び増湿器4の底部から夫々回収した水は、水回収装置24へ配管301を通じて供給される噴霧水301a、あるいは増湿塔4の散水ノズル104へ配管302を通じて供給される加湿水302aとして再利用する。その際、回収水は水処理装置26で不純物が取り除かれる。
【0052】
図2は図1に示した本実施例の発電用の高湿分ガスタービンに用いる燃焼器2に設置された燃料ノズル9の詳細構造を示す部分拡大図である。
【0053】
図2において、燃焼器カバー8に設置した燃料ノズル9には燃料を細かく配分して燃焼室に噴出させる多数の燃料小ノズル31が取り付けられている。そして、この燃料ノズル9に取り付けた多数の燃料小ノズル31の1本1本に対して、多数の空気孔32の1本1本が対応するように多数の空気孔32を備えた空気孔プレート33が、多数の燃料小ノズル31に近接して配置されるようにサポート34を介して燃料ノズル9の燃焼室側に取り付けられた構造となっている。
【0054】
燃料ノズル9に取り付けた燃料小ノズル31と、この燃料小ノズル31に対応して設置された空気孔プレート33に形成した一対の空気孔32とはほぼ同心状に配設されており、図2の右側に切り出した拡大図に示したように、多数設置した燃料小ノズル31の軸心中央に沿って燃料噴流35aを夫々形成し、これらの燃料噴流35aの周囲には空気孔プレート33の空気孔32に流入する該燃料噴流35aと同軸の空気の同軸噴流36aを形成した状況となっている。
【0055】
上記した燃料噴流35aと、この燃料噴流35aと同軸にした空気の同軸噴流36aとを形成した構造を燃料ノズル9に採用することにより、空気孔プレート33の空気孔32内では燃料−空気は未混合であるために本実施例の高湿分ガスタービンの様に燃焼器2に供給される燃焼用の空気が高温であっても、燃料の自発火は発生せずに空気孔プレート33を溶損するようなことなく、火炎を安定して形成する信頼性の高い燃焼器2を実現することができる。
【0056】
また、上記したようにこのような小さな燃料噴流35aと空気の同軸噴流36aとの噴流を多数形成する燃料ノズル9を設置することにより、燃料と空気との界面が増加して両者の混合が促進するため、NOxの発生量を抑制することができる。
【0057】
即ち、燃料ノズル9によって燃料噴流35aと空気の同軸噴流36aを多数形成することにより燃焼器の燃焼室内で燃料と空気との混合が均一になるので、燃焼室内で燃料が燃焼する燃焼温度を均一に出来る。
【0058】
よって、燃焼室内で局所的に高温となる部分の発生が抑制されるので、燃焼時に発生するNOx濃度を低減させることが可能となる。
【0059】
かくして、高湿分ガスタービンの燃焼器としてもと低NOxと安定燃焼を両立することが可能となる。
【0060】
図2に示した燃焼器に設置される燃料ノズル9は図1に示した高湿分空気利用ガスタービンの燃焼器だけで無く、後述する図6に示したシンプルサイクルのガスタービンの予混合燃焼器にも適用可能である。
【0061】
図3は図2に示した多数の空気孔32を形成した空気孔プレート33を燃焼器2の下流側から見た図である。本実施例においては、多数の空気孔32(および、図示されていないが空気孔と対を成す燃料ノズル)は同心状で中心から外周側に向かって空気孔32が環状に8列配置されている。
【0062】
また、これらの環状に配列された空気孔32は、空気孔プレート33の中心から4列(第1列〜第4列)が第1群のF1燃焼部、第5列が第2群のF2燃焼部、その外側の2列(第6、7列)が第3群のF3燃焼部、最外周(第8列)が第4群のF4燃焼部と、夫々各燃焼部F1〜F4に対応するように群分けされている。
【0063】
そして、図2に示した様に、F1〜F4の4群に群分けされた各燃焼部の群ごとに燃料ノズル9の燃料ノズルヘッダ30に設けたフランジ41〜44を介して燃料系統201〜204通じて導かれたF1〜F4燃料201a〜204aが多数の燃料小ノズル31に夫々供給される様に構成されている。
【0064】
即ち、第1列〜第4列のF1燃焼部の群にはF1燃料制御弁211を備えた燃料系統201及びフランジ41を通じて燃料200aから配分されたF1燃料201aが供給され、燃料ノズル9に形成された区分された燃料ヘッダ30を介して燃料ノズル9に設けた燃料ノズル30の先端からこのF1燃料201aを、空気孔プレート33の空気孔32を通じて燃焼器2の燃焼器ライナ10の内側の燃焼室に供給してF1燃焼部を形成させる。
【0065】
第5列のF2燃焼部の群にはF2燃料制御弁212を備えた燃料系統202及びフランジ42を通じて燃料200aから配分されたF2燃料202aが供給され、燃料ノズル9に形成された区分された燃料ヘッダ30を介して燃料ノズル9に設けた燃料ノズル30の先端からこのF1燃料202aを、空気孔プレート33の空気孔32を通じて燃焼器2の燃焼器ライナ10の内側の燃焼室に供給してF2燃焼部を形成させる。
【0066】
同様に、第6列〜第7列のF3燃焼部の群にはF3燃料制御弁213を備えた燃料系統203及びフランジ43(図2にフランジ43は図示されず)を通じて燃料200aから配分されたF3燃料203aが供給され、燃料ノズル9に形成された区分された燃料ヘッダ30を介して燃料ノズル9に設けた燃料ノズル30の先端からこのF3燃料203aを、空気孔プレート33の空気孔32を通じて燃焼器2の燃焼器ライナ10の内側の燃焼室に供給してF3燃焼部を形成させる。
【0067】
そして、最外周の第8列のF4燃焼部の群にはF4燃料制御弁214を備えた燃料系統204及びフランジ44を通じて燃料200aから配分されたF4燃料204aが供給され、燃料ノズル9に形成された区分された燃料ヘッダ30を介して燃料ノズル9に設けた燃料ノズル30の先端からこのF4燃料204aを、空気孔プレート33の空気孔32を通じて燃焼器2の燃焼器ライナ10の内側の燃焼室に供給してF4燃焼部を形成させる。
【0068】
尚、燃料200aを供給する燃料系統200には燃料遮断弁210が設置されている。
【0069】
上記したF1〜F4燃料201a〜204aを供給する燃料系統201〜204をF1〜F4燃焼部の群に対応させて群分けする構造により、ガスタービンの燃料流量変化に対して燃焼器2に燃料供給する燃料ノズル9に設けられた燃料小ノズル31の本数を段階的に変化させる燃料ステージングが可能となり、この結果、ガスタービン部分負荷運転時の燃焼安定性が高まるとともに低NOx化が可能となる。
【0070】
本実施例の高湿分ガスタービンの燃焼器2を構成している燃料ノズル9の燃料小ノズル31に対応して設けられた燃焼器カバー8に取り付けられた空気孔プレート33は、図3に示したように空気孔プレート33に形成した多数の空気孔32の形状を、中心から4列(第1列〜第4列)のF1燃焼部に対応した空気孔32がピッチ円接線方向に角度(図3の上部に示す部分図で角度α°、本実施例ではα=15°)を持った斜め穴に形成している。
【0071】
このように、空気孔32をピッチ円接線方向に角度α°を持つ斜め穴に形成することで、空気孔32を通じて燃料噴流35aと共に燃焼器2の内部に噴出する空気の同軸噴流36aの空気流全体に旋回をかけ、この旋回によって生じる循環流によって燃焼器2の内部のF1燃焼部で燃料が燃焼して生じた火炎を安定化させている。
【0072】
また、F1燃焼部の周囲にあるF2〜F4の各燃焼部では、燃焼器2の内部の軸心中央のF1燃焼部で生じた燃焼熱によって火炎が安定化される。
【0073】
次に、本実施例の高湿分ガスタービンの燃焼器2に設置した燃料ノズル9の空気孔プレート33におけるメタル温度の計測方法について説明する。
【0074】
燃焼器2の燃料ノズル9に設けた空気孔プレート33には、図3に示すように燃焼器2の燃焼室に形成されるF1〜F4の燃焼部に対応する空気孔プレート33の場所に熱電対411〜414が夫々取り付けられており、これらの各熱電対411〜414で検出されるメタル温度によって、燃焼器2の内部の燃焼室に形成されるF1〜F4の各燃焼部での燃焼状態を間接的に観測している。
【0075】
即ち、燃焼室のF1燃焼部に面した空気孔プレート33の中心には熱電対411が、このF1燃焼部の外周側となるF2燃焼部に面した空気孔プレート33には熱電対412が、このF2燃焼部の外周側となるF3燃焼部に面した空気孔プレート33には熱電対413が、このF3燃焼部の外周の最外周側となるF4燃焼部に面した空気孔プレート33には熱電対414が、夫々設置されている。
【0076】
前記した各熱電対411〜414を設置する空気孔プレート33には図3の右側に部分断面図を示したように、空気流上流側から直径1.2mmの熱電対挿入孔415が開けられており、空気流下流側すなわち燃焼室側は端面から2mmの位置にまで熱電対挿入孔415が達している。
【0077】
このような熱電対挿入孔415は、空気流上流側から空気孔プレート33をドリルで加工することもできるほか、貫通孔を加工した後に、空気流下流側を溶接によって閉止することによっても加工可能である。
【0078】
この熱電対挿入孔415に空気流上流側から直径1mmの熱電対411〜414を夫々挿入し、熱電対411〜414の先端が熱電対挿入孔415の最深部に達するようにした後に固定する。
【0079】
熱電対挿入孔415の内部に設置された熱電対411〜414の先端は燃焼室側の端面から2mmの位置まで達することになり、且つ、その先端が空気孔プレート33のメタルに接しているため、熱電対411〜414で検出される温度は燃焼室に面した空気孔プレート33の下流端面のメタル温度に近い温度を示す。
【0080】
また、熱電対411〜414は燃焼室内のF1〜F4各燃焼部に形成される高温の燃焼ガスに直面することは無いため、溶損等の恐れも無く、高い信頼性が確保できる。各熱電対411〜414には空気孔プレート33の上流面、サポート34、エンドカバー8等を伝って配線し、燃焼器2外へ検出した温度信号を取り出して制御装置400に入力出来るようにして温度を計測している。
【0081】
空気孔プレート33の中央中心では、F1燃焼部の火炎の燃焼ガスによる加熱と、空気孔プレート33に形成した空気孔32から供給される燃焼用空気36による冷却との温度バランスから決まるメタル温度となり、熱電対411によってそのメタル温度が測定される。
【0082】
したがって、熱電対411によってF1燃焼部の燃焼ガス温度を間接的に測定することが可能となる。同様にF2〜F4燃焼部の火炎の燃焼ガス温度は熱電対412〜414によって間接的に夫々測定することができる。
【0083】
また、F1〜F4燃焼部の火炎が不安定となって浮き上がった状態になった場合には、燃焼ガスによる加熱量が減少するので、燃焼ガス温度の低下以上に各熱電対412〜414で検出される温度が急激に低下することになるので、熱電対411〜414を検出することによって燃焼室内のF1〜F4各燃焼部における火炎の安定性を間接的に観測することができる。
【0084】
次に、本実施例の高湿分ガスタービンの燃焼器2の運転方法について説明する。
【0085】
まず、燃焼器2に供給する燃料流量が比較的少ない燃焼器2の着火時および昇速時は、燃焼室の中央のF1燃焼部のみで運転(すなわち燃料系統201のみにF1燃料201aを供給)して流量制御弁211により燃料流量を制御して、ガスタービンを定格回転数の無負荷条件付近まで昇速させる。
【0086】
このガスタービンの起動から定格回転速度まで昇速させるF1単独燃焼を今後の説明では1/4モードと呼ぶことにする。
【0087】
次にそれ以降の負荷上昇過程では、F1燃焼部の外周側のF2燃焼部に燃料を投入して、F1+F2燃焼で運転する低負荷運転を行う。
【0088】
即ち、燃料系統201にF1燃料201a及び燃料系統202にF2燃料202aを供給し、流量制御弁211及び212により各燃料流量を夫々制御して低負荷運転する。このF1+F2燃焼を2/4モードと呼ぶ。
【0089】
次に、さらにF2燃焼部の外周側のF3燃焼部に燃料を投入して、F1+F2+F3燃焼で運転する。
【0090】
即ち、燃料系統201にF1燃料201a、燃料系統202にF2燃料202a、燃料系統203にF3燃料203aを供給し、流量制御弁211、212及び213により各燃料流量を夫々制御して中高負荷運転を行う。このF1+F2+F3に着火した燃焼状態を3/4モードと呼ぶ。
【0091】
ここまでの過程では高湿分ガスタービンの増湿器4には水分が添加されていない(図4aの上段の発電量でAとして示した範囲)。
【0092】
またこの間の燃料流量の増加は、ガスタービンの起動計画に定められた負荷上昇率に従ってガスタービン発電量が増加する様に、流量制御弁211、212及び213を操作することによって燃料流量が制御される。
【0093】
また、燃料系統201、202、203の各系統に供給される燃料流量配分は、図5に示した制御装置400に設けられた燃料比率設定器403に基づいて、燃焼器2の燃焼室に形成されるF1〜F3の各燃焼部でF1燃料201a、F2燃料202a及びF3燃料203aの燃焼が安定し且つ生成するNOxが最小となる様に定められた比率で燃料が供給される。
【0094】
本実施例においては、この3/4モードで増湿器4への水分添加を開始する(図4aの上段の発電量でBとして示した範囲)。増湿器給水弁311を所定の速度で開き、弁開度に応じて給水流量が増加し、増湿器給水量301または給水弁311の開度が所定の量に達し、増湿器4の散水ノズル104から給水を抽気空気103aに散布して水分を添加した加湿空気104aを生成して高湿分ガスタービンの起動が完了する。
【0095】
例えばこの高湿分ガスタービンの起動終了後の増湿器4への給水量は、給水加熱器22を経た給水加熱器の出口でのガスタービン排気ガス107aの温度が所定の温度になる様に制御することができる。その後は、ガスタービンの負荷の増減に合わせて燃料流量が増減することで負荷追従する(図4aの上段の発電量Cとして示した範囲)。
【0096】
高湿分ガスタービンの高負荷運転時においては、さらにF3燃焼部の外周側のF4燃焼部に燃料を投入して、F1+F2+F3+F4燃焼で運転するが、主として最外周のF4燃焼部に燃料系統204を通じて燃料を投入してF4燃料204aの燃料流量を増減させてフルロードまで対応する。
【0097】
このF1+F2+F3+F4に着火した燃焼状態を4/4モードと呼ぶ。
【0098】
この場合、F4燃料204aと燃焼用の空気の混合気は、燃焼器2の燃焼室にてF1〜F3の燃焼部の燃焼ガスと混合して高温になるため、F4燃焼部にて燃料の酸化反応が進行して高い燃焼効率を得ることができる。
【0099】
またF4燃焼部で燃焼完結後の燃焼ガスの温度をNOx生成が顕著となる温度(おおよそ1600℃)以下になるようF4燃焼部に供給される空気配分が設定されているため、F4燃焼部からのNOx発生を殆ど零、または非常に少ないNOx濃度とする燃焼が可能となる。
【0100】
また投入したF4燃料204aがごくわずかでも燃焼反応が完結するため、連続的な燃料切り換えが可能となり、運用性が向上する。
【0101】
ところで、図4によって本発明の本実施例の高湿分ガスタービンの運転方法による各種の状態量の状況の変化を比較例も参照して説明する。
【0102】
本発明を適用した高湿分ガスタービンの実施例による運転方法によれば、図4cに示すように、燃焼器2の燃焼室に形成されるF1燃焼部に面した空気孔プレート33のメタル温度411と燃焼器に供給される燃焼用空気105aの燃焼用空気温度410との温度差が図4cの中点線で示すしきい値を下回った場合、本実施例の制御装置400に運転方法によって燃焼器2のF1燃焼部に供給されるの給さF1燃料201aの流量を増加させてF1燃焼部の火炎の浮き上がりを抑制し、F1燃焼部の燃焼安定性を確保する。
【0103】
F2燃焼部及びF3燃焼部の火炎はF1燃焼部の高温の燃焼ガスによって保炎されているため、燃焼器2の全体の燃焼安定性が確保できる。
【0104】
ところで図4aに示したように、高湿分ガスタービンでは中段の水分添加量は、増湿塔4への水分添加開始によって水分添加量を増加させると、添加した水分が蒸発してガス化した容量だけタービン3を駆動する動作流体が増えるので、上段の発電量のグラフに示したように、タービン出力が発電量Aから発電量Bへと増加する。
【0105】
発電機20によって発電する発電量増加率を所定の速度に維持するためには、下段の燃料流量のグラフに示したように、制御装置によって燃焼器2に供給される燃料の燃料流量が調節されて一時的に燃料流量を減少するので、この結果、比較例の図4bに示したように、燃焼器2の燃焼室で燃料を燃焼させて発生する燃焼ガス温度が低下して燃焼器2における燃焼安定性が低下する。
【0106】
詳細に説明すると、図4bは図4aの増湿塔4へ水分添加量を増加させた増湿過程(図4aの上段で発電量Aから発電量Bへと増加した範囲)における図4aの下段に示した一時的に燃料流量を減少させた燃料流量のグラフを拡大して示した部分拡大図と、この増湿過程における燃料流量に基づいて燃料比率を設定したF1燃料及びF2燃料の各燃料流量の減少状況を示した拡大図と、燃焼器2の燃焼室に形成されるF1燃焼部に面した燃料ノズル9の空気孔プレート33のメタル温度を示すF1メタル温度411aの温度変化図と、燃焼用空気温度計410によって検出した燃焼用空気温度410aの温度変化図を、図4cとの比較例として示したものである。
【0107】
図4bに示した比較例では増湿に伴う燃焼不安定性によって燃焼器2の燃焼室に形成されるF1燃焼部の火炎が空気孔プレート33の端面から浮き上がる現象が生じるため、空気孔プレート33の中心に設置した熱電対411で検出するF1燃焼部の燃焼温度を近似したF1メタル温度411aは、F1燃料流量の低下以上に急激に低下して燃焼用空気の温度410aに近い温度となってしまう。
【0108】
このようにF1燃焼部の火炎が空気孔プレート33の端面から浮き上がった状態で高湿分ガスタービンの燃焼器2の運転を継続すると、燃焼不安定性に起因して燃焼器全体が消炎に至る可能性もあり好ましくない。
【0109】
これに対して本発明を適用した高湿分ガスタービンの実施例の運転方法においては、図4cに示すように、F1燃焼部に対応した空気孔プレート33の中心に設置した熱電対411で検出するのF1メタル温度411aと、燃焼用空気温度計410によって検出した燃焼用空気温度410aとの温度差が、図4cの下段の温度に、破線で示した閾値を下回った場合には、本実施例の制御装置400に備えたF1燃料設定器421によって演算した燃料流量補正値のF1燃料流量に基づいてF1燃料制御弁211を操作してF1燃焼部に供給するF1燃料201aの流量を増加させ、この供給燃料の増加によってF1火炎の浮き上がりを抑制してF1燃焼部の燃焼安定性を確保する。
図4cの中段の群内燃料流量では、F1メタル温度411aが閾値まで低下した以降は丁度、F1燃料流量が増加に転じ、下段の温度でもF1メタル温度411aが閾値を上回る状態に転じた状況を示している。
【0110】
また、F2、F3の各燃焼部の火炎はF1燃焼部の高温の燃焼ガスによって保炎されているため、燃焼器全体の燃焼安定性が確保できる。
【0111】
図5は本実施例による高湿分ガスタービンにおける負荷に対する燃料の制御を行っている制御装置の制御ブロック400の詳細構成を示したものである。
【0112】
図5において、制御装置400には、予め定められた高湿分ガスタービンに対する発電量増加率に従うように与えられた負荷指令MWDと、発電機20の出力である実際の発電量MWとを入力して両者の発電量の差を演算する減算器401を備え、この減算器401で求めた発電量の差に基づいて前記の発電量の差を無くすために必要な燃料流量を演算する燃料流量演算器402を備えている。
【0113】
制御装置400には燃料比率設定器403が設けられており、燃料流量演算器402で演算された燃料流量の演算値に基づいてこの燃料比率設定器403によって燃焼器2の内部に形成させるF1〜F4の各燃焼部に供給する燃料となるF1燃料201a、F2燃料202a、F3燃料203a及びF4燃料204aの各燃料流量を配分する燃料比率を演算する。
【0114】
そして、この燃料比率設定器403によって演算された燃料比率の演算値に基づいて、例えばF1燃料201aの燃料流量はF1燃料設定器421によって燃料系統201に設置したF1燃料制御弁211に対して指令信号を出力してF1燃料制御弁211の開度を制御するように構成されている。
【0115】
更に、このF1燃料設定器421では、供給するF1燃料201aの燃料流量を温度変化に応じて正確に補正するために、燃焼器2に供給される燃焼用の空気温度を配管105に設置した燃焼用空気温度計410によって検出した燃焼用空気温度410aと、燃料ノズル9の空気孔プレート33のメタル温度をF1燃焼部に対応した燃焼部メタル温度を測定する熱電対411によって検出したメタル温度411aを入力させて、F1燃料設定器421によってこれらの検出温度の温度差に基づいた燃料流量補正値を演算するように構成されている。
【0116】
そして、このF1燃料設定器421からは演算した前記燃料流量補正値を加算した指令信号をF1燃料制御弁211に出力して燃料系統201を通じて燃焼器2の燃焼室に形成されるF1燃焼部に供給されるF1燃料201aの燃料流量を正確に制御するように構成している。
【0117】
メタル温度が燃焼用空気温度410aよりも高くなる場合には、上限温度の閾値を設定しておいてメタル温度の上限の閾値を超えた場合にマイナスの燃料流量補正値を出力して、F1燃料201aの燃料流量を減少させるようにすれば良い。
【0118】
以下同様に、F2燃料設定器422、F3燃料設定器423、及びF4燃料設定器424においても、F2燃料202a、F3燃料203a、及びF4燃料204aの各燃料流量を温度変化に応じて正確に補正するために、F2、F3,F4の各燃焼部に対応した燃焼部メタル温度を測定する熱電対412、413、414によって検出したメタル温度412a、413a、414aと、燃焼用空気温度410aとの温度差に基づいた燃料流量補正値を夫々演算し、これらの各燃料流量補正値を加算した指令信号をF2燃料制御弁212、F3燃料制御弁213、及びF4燃料制御弁214に夫々出力してF2燃焼部、F3燃焼部、及びF4燃焼部に供給されるF2燃料202a、F3燃料203a、及びF4燃料204aの各燃料流量を正確に制御するように構成している。
【0119】
本発明の実施例によれば、燃焼器のNOx生成および火炎安定性に影響する種々の条件変化に対しても、高湿分空気利用ガスタービン火炎を安定に維持しつつ、NOx発生量を低レベルに抑制することを可能にした高湿分空気利用ガスタービンが実現できる。
【実施例2】
【0120】
次に本発明を適用した他の実施例であるガスタービンについて説明する。図6は本発明の他の実施例であるシンプルサイクルのガスタービンの概略構成を示すものであり、図7は本実施例のガスタービンの運転方法を示すものである。
【0121】
本実施例の図6は先の実施例の高湿分ガスタービンの図1に対応し、図7は先の実施例の図4に対応するものであるが、本実施例のガスタービンが先の実施例の高湿分ガスタービンの構成と共通している部分の説明は省略し、相違している部分についてのみ説明を行う。
【0122】
図6に示した実施例のガスタービンが図1に示した先の実施例の高湿分ガスタービンと異なる大きな点は、ガスタービンがシンプルサイクルであることにある。
【0123】
本実施例のガスタービンでは、高湿分ガスタービンの先の実施例に比較して、加湿する増湿器4や再生熱交換器5が無いため、圧縮機1で圧縮されて燃焼器2に供給される燃焼用空気102aは実施例1の場合に比べると低温・低湿分である。
【0124】
そのため、高温条件による燃料の自発火や、高湿分雰囲気による火炎の不安定が生じにくいため、燃焼器として図6に示したような予混合燃焼器2aを用いて低NOx化を図ることができる。
【0125】
図6及び図7に示した本実施例の予混合燃焼器2aでは、燃焼器ライナ10の内部に形成される燃焼室に燃料ノズル9から供給される燃料流体は、二重旋回流となるように燃料ノズル9を中央の中心側に配置され、旋回羽根521を備えた中央燃料ノズル9aと、この中央燃料ノズル9aの外周側に配置され、旋回羽根522を備えた周辺燃料ノズル9bとから構成している。
【0126】
そして、この中央燃料ノズル9aに設けた旋回羽根521の旋回角度を周辺燃料ノズル9bの旋回羽根522の旋回角度より大きな角度となるように形成することによって、中央燃料ノズル9aから供給された大きな旋回流を生じた燃料が燃焼して燃焼室の軸心側に形成される火炎の保炎性を確保するようにしている。
【0127】
即ち、予混合燃焼器2aの燃焼室の軸心側に形成される中央燃焼部Fcに燃料制御弁511を備えた燃料系統501を通じて導かれ、中央燃料ノズル9aから燃焼室に噴出する燃料501aに大きな旋回角度を有する旋回羽根521によって強い旋回流をかけることによって、燃焼室の軸心側の中央燃焼部Fcに形成される火炎の安定性を図っている。
【0128】
上記したような燃料ノズル9の構成を採用することにより、大きな旋回流を生じさせる旋回羽根521を有する中央燃料ノズル9aから燃焼室に噴出された燃料は中央燃料ノズル9aの下流側で大きな旋回流によって大きなよどみを生じさせ、燃焼室内に形成される循環流が燃焼室の軸心側に形成される中央燃焼部Fcに戻って来るようになるので中央燃焼部Fcで火炎が十分に形成され、火炎の安定性が確保される。
【0129】
また、中央燃焼部Fcの外周側に形成される周囲燃焼部Fsには燃料制御弁512を備えた燃料系統502を通じて導かれ、周辺燃料ノズル9bから燃焼室に噴出す燃料502aに旋回羽根522によって弱い旋回流をかけるようにして、燃焼室の軸心側の中央燃焼部Fcで生じる火炎によって周囲燃焼部Fsの保炎をおこなっている。
【0130】
本実施例の予混合燃焼器2aにおいても、燃焼室の中央燃焼部Fcに面した予混合燃焼器2aの燃料ノズル9には、メタル温度を計測する熱電対411が中央燃焼部Fcの中心軸上の燃料ノズル9の中央燃料ノズル9aに取り付けられている。
【0131】
また、燃焼用空気102aの温度を計測する温度計410が圧縮機1から予混合燃焼器2aに燃焼用空気102aを導く空気流路に設けられている。
【0132】
そして熱電対411で検出した燃焼室の中央燃焼部Fcに対応した中央燃料ノズル9aのメタル温度411aと、温度計410で検出した燃焼用空気102aの空気温度410aの検出値は制御装置400の入力信号となり、制御装置400によってメタル温度411aと空気温度410aとの温度差に基づいて演算された最適な燃料流量の指令信号によって、燃料系統501に設けた燃料制御弁511を調節して燃料501aの供給量を制御している。
【0133】
同様に、制御装置400によってメタル温度411aと空気温度410aとの温度差に基づいて演算した最適な燃料流量の指令信号によって、燃料系統502に設けた燃料制御弁512を調節して燃料502aの供給量を制御している。
【0134】
本実施例のシンプルサイクルのガスタービンにおいては、予混合燃焼器2aの燃焼室で形成されるNOx生成および火炎安定性に影響する条件変化として、先の実施例である高湿分ガスタービンに備えられた増湿器4への増湿開始時のように大きな条件変化は生じないものの、年間を通しての気候の変化や、圧縮機等の機器特性の経年変化によって、燃焼用空気の流量や温度、湿度が変化して、予混合燃焼器2aの燃焼室で生じるNOx生成および火炎安定性に影響する。
【0135】
例えば、ガスタービンの負荷変動に追従して予混合燃焼器2aが運転されている際に、図7の上段に示したような発電量の減少があった場合、この発電量の減少に対応して燃料流量も減少するため、予混合燃焼器2aの燃焼室に形成される燃焼部の燃焼ガス温度が低下して燃焼安定性が低下する。
【0136】
通常はこのような負荷変化に対しても燃焼不安定が発生しない燃料条件となるように予混合燃焼器2aが調整されているが、前述の年間を通しての気候の変化や、圧縮機等の機器特性の経年変化に起因する条件変化によって、当初調整時に想定した以上に燃焼安定性が低下することが考えられる。
【0137】
そこで、本発明を適用したシンプルサイクルのガスタービンの実施例による運転方法によれば、図7に示すように、予混合燃焼器2の燃焼室に形成される中央燃焼部Fcに面した燃料ノズル9のメタル温度411aと予混合燃焼器に供給される燃焼用空気105aの燃焼用空気温度410aとの温度差が図7の中点線で示す閾値を下回った場合には、本実施例の制御装置400によって演算した燃料流量補正値によって燃料制御弁511を調節して燃焼器2の中央燃焼部Fcに供給されるの給さ燃料501aの流量を増加させ、中央燃焼部Fcの火炎の浮き上がりを抑制して、中央燃焼部Fcの燃焼安定性を確保する。
【0138】
中央燃焼部Fcの周辺の周辺燃焼部Fsの火炎は中央燃焼部Fcの高温の燃焼ガスによって保炎されているため、予混合燃焼器2の全体の燃焼安定性が確保できる。
図7の中段の群内燃料流量では、燃料ノズル9のメタル温度411aが閾値まで低下した以降は丁度、燃料501aの燃料流量が増加に転じ、下段の温度でも燃料ノズル9のメタル温度411aが閾値を上回る状態に転じた状況を示している。
【0139】
かくして、前述のような長いスパンでの負荷変化等の条件変化に対しても、本実施例のシンプルサイクルのガスタービンの実施例による運転方法によれば、予混合燃焼器2aを低NOxかつ安定に制御する手段が得られる。
【0140】
本実施例においては、シンプルサイクルガスタービンに本発明を適用する際の燃焼器として、予混合燃焼器を例に説明したが、燃料と空気を多数の小径の同軸噴流として燃焼室に噴出する構造の燃焼器を用いても、同様の効果が得られる。
【0141】
本発明の実施例によれば、燃焼器のNOx生成および火炎安定性に影響する種々の条件変化に対しても、高湿分空気利用ガスタービン火炎を安定に維持しつつ、NOx発生量を低レベルに抑制することを可能にしたガスタービンが実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本発明は高効率ガスタービンとして発電用として利用できるほか、熱と電力を併給可能なコジェネレーションシステム、ポンプ・圧縮機等の機械駆動用エンジンのガスタービン、並びにガスタービンに用いられる燃焼器に夫々適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】本発明の一実施例である高湿分空気利用ガスタービンを示すシステム構成図。
【図2】図1の実施例の高湿分空気利用ガスタービンに設置されている低NOx燃焼器の燃料ノズルの構成を示す詳細図。
【図3】図2の実施例の高湿分空気利用ガスタービンに設置されている低NOx燃焼器の燃料ノズルを燃焼室から見た燃料ノズルの詳細図。
【図4】図1の実施例の高湿分空気利用ガスタービンにおける運転方法を示す運転状況図。
【図5】図1の実施例の高湿分空気利用ガスタービンにおける制御装置の詳細構成を示す制御ブロック図。
【図6】本発明の他の実施例であるガスタービンを表す概略システム構成図。
【図7】図6の他の実施例のガスタービンにおける運転方法を示す運転状況図。
【符号の説明】
【0144】
1:圧縮機、2:燃焼器、2a:予混合燃焼器3:タービン、4:増湿器、5:再生器、6:本体ケーシング、7:燃焼器ケーシング、8:燃焼器カバー、9:燃料ノズル、9a:中央燃料ノズル、9b:周辺燃料ノズル、10:燃焼器ライナ、11:フロースリーブ、12:燃焼器尾筒内筒、13:尾筒外筒、14:尾筒外筒に設けた再生器への抽気流路、15:抽気配管、16:隔壁部材、17:圧縮機吸気ケーシング、20:発電機、21:シャフト、22:給水加熱器、23:排ガス再過熱器、24:水回収装置、25:排気塔、26:水処理装置、27:吸気噴霧装置、30:燃料ノズルヘッダ、31:燃料小ノズル、32:空気孔、33:空気孔プレート、34:サポート、35:燃料噴流、36:空気噴流、41:F1燃料フランジ、42:F2燃料フランジ、44:F4燃料フランジ、100a:吸い込み空気、103、105:配管、104:散水ノズル、101a:水噴霧後の空気、102a:高圧空気、103a:抽気空気、104a:加湿空気、105a:高温空気、106a:燃焼ガス、107:排ガス流路、107a:ガスタービン排気ガス、109a:排気ガス、200a:燃料、201a:F1燃料、202a:F2燃料、203a:F3燃料、204a:F4燃料、210:燃料遮断弁、201〜204:燃料系統、211:F1燃料制御弁、212:F2燃料制御弁、213:F3燃料制御弁、214:F4燃料制御弁、300:圧縮機吸気噴霧水、301:増湿装置給水、310:圧縮機吸気噴霧水量制御弁、311:増湿装置給水量制御弁、400:制御装置、401:減算器、402:燃料流量演算器、403:燃料比率設定器、410:燃焼用空気温度計、411〜414:熱電対、421:F1燃料設定器、422:F2燃料設定器、423:F3燃料設定器、424:F4燃料設定器、F1〜F4:燃焼部、Fc:中央燃焼部、Fs:周囲燃焼部、501〜503:燃料系統、501a〜503a:燃料、511〜513:燃料制御弁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を圧縮する圧縮機と、圧縮機で圧縮された空気と燃料を燃焼させる燃焼器と、この燃焼器で燃焼した燃焼ガスによって駆動されるタービンとを備備ええンるるすの反応容器で生成した重質分の液位に大きな変動が生じた場合に、コーキングの発生を防止すると共に反応容器で生成えたガスタービンにおいて、燃焼器の燃料ノズルには燃料を供給する複数の燃料系統を配設し、燃焼器の燃料ノズルには供給された燃料を燃焼室に噴出させる多数の燃料小ノズルと、これらの燃料小ノズルに夫々対応して空気を燃焼器に噴出させる空気孔を多数形成した空気孔プレートとを前記燃料小ノズルに近接させて燃焼器の燃焼室に面するように夫々設置し、燃料ノズルに設けた空気孔プレートの少なくとも中心側に配置された複数の空気孔は噴出する空気に旋回流をかけるように形成し、この空気孔プレートにメタル温度を検出する第1の温度検出器を設置し、圧縮機から燃焼器に空気を供給する流路に空気温度を検出する第2の温度検出器を設置し、前記第1の温度検出器と第2の温度検出器で検出した温度差に基づいて燃焼器の燃料ノズルに供給する燃料流量値を演算する制御装置を備え、この制御装置で演算した燃料流量値によって前記複数の燃料系統を通じて燃料ノズルに供給される各燃料流量を調節するように構成したことを特徴とするガスタービン。
【請求項2】
空気を圧縮する圧縮機と、圧縮機で圧縮された空気と燃料を燃焼させる燃焼器と、この燃焼器で燃焼した燃焼ガスによって駆動されるタービンとを備備ええンるるすの反応容器で生成した重質分の液位に大きな変動が生じた場合に、コーキングの発生を防止すると共に反応容器で生成えたガスタービンにおいて、燃焼器の燃料ノズルには燃料を供給する複数の燃料系統を配設し、燃焼器の燃料ノズルには燃料系統から供給された燃料を燃焼室に噴出させると共に、燃焼室に供給する空気に旋回流を生じさせる旋回羽根を有する中央燃料ノズルと、この中央燃料ノズルの外周側に配置されて他の燃料系統から供給された燃料を空気と共に燃焼室に噴出させる周辺燃料ノズルとを備えさせ、燃料ノズルの中央燃料ノズルの位置にメタル温度を検出する第1の温度検出器を設置し、圧縮機から燃焼器に空気を供給する流路には空気温度を検出する第2の温度検出器を設置し、前記第1の温度検出器と第2の温度検出器で検出した温度差に基づいて燃焼器の燃料ノズルに供給する燃料流量値を演算する制御装置を備え、この制御装置で演算した燃料流量値によって前記複数の燃料系統を通じて燃料ノズルに供給される各燃料流量を調節するように構成したことを特徴とするガスタービン。
【請求項3】
空気を圧縮する圧縮機と、圧縮機で圧縮された空気を加湿する増湿装置と、この増湿装置で加湿された空気と燃料を燃焼させる燃焼器と、この燃焼器で燃焼した燃焼ガスによって駆動されるタービンとを備備ええンるるすの反応容器で生成した重質分の液位に大きな変動が生じた場合に、コーキングの発生を防止すると共に反応容器で生成えた高湿分空気利用ガスタービンにおいて、燃焼器の燃料ノズルには燃料を供給する複数の燃料系統を配設し、燃焼器の燃料ノズルには供給された燃料を燃焼室に噴出させる多数の燃料小ノズルと、これらの燃料小ノズルに夫々対応して空気を燃焼器に噴出させる空気孔を多数形成した空気孔プレートとを前記燃料小ノズルに近接させて燃焼器の燃焼室に面するように夫々設置し、燃料ノズルに設けた空気孔プレートの少なくとも中心側に配置された複数の空気孔は噴出する空気に旋回流をかけるように形成し、この空気孔プレートにメタル温度を検出する第1の温度検出器を設置し、圧縮機から燃焼器に空気を供給する流路に空気温度を検出する第2の温度検出器を設置し、前記第1の温度検出器と第2の温度検出器で検出した温度差に基づいて燃焼器の燃料ノズルに供給する燃料流量値を演算する制御装置を備え、この制御装置で演算した燃料流量値によって前記複数の燃料系統を通じて燃料ノズルに供給される各燃料流量を調節するように構成したことを特徴とする高湿分空気利用ガスタービン。
【請求項4】
ガスタービンに用いられる燃焼器において、燃焼器の燃料ノズルには燃料を供給する複数の燃料系統を配設し、燃焼器の燃料ノズルには供給された燃料を燃焼室に噴出させる多数の燃料小ノズルと、これらの燃料小ノズルに夫々対応して空気を燃焼器に噴出させる空気孔を多数形成した空気孔プレートとを前記燃料小ノズルに近接させて燃焼器の燃焼室に面するように夫々設置し、燃料ノズルに設けた空気孔プレートの少なくとも中心側に配置された複数の空気孔は噴出する空気に旋回流をかけるように形成し、この空気孔プレートにメタル温度を検出する第1の温度検出器を設置し、圧縮機から燃焼器に空気を供給する流路に空気温度を検出する第2の温度検出器を設置し、前記第1の温度検出器と第2の温度検出器で検出した温度差に基づいて演算した燃焼器の燃料ノズルに供給する燃料流量値によって前記複数の燃料系統を通じて燃料ノズルに供給される各燃料流量を調節するように構成したことを特徴とするガスタービンに用いられる燃焼器。
【請求項5】
ガスタービンに用いられる燃焼器において、燃焼器の燃料ノズルには燃料を供給する複数の燃料系統を配設し、燃焼器の燃料ノズルには燃料系統から供給された燃料を燃焼室に噴出させると共に、燃焼室に供給する空気に旋回流を生じさせる旋回羽根を有する中央燃料ノズルと、この中央燃料ノズルの外周側に配置されて他の燃料系統から供給された燃料を空気と共に燃焼室に噴出させる周辺燃料ノズルとを備えさせ、燃料ノズルの中央燃料ノズルの位置にメタル温度を検出する第1の温度検出器を設置し、圧縮機から燃焼器に空気を供給する流路には空気温度を検出する第2の温度検出器を設置し、前記第1の温度検出器と第2の温度検出器で検出した温度差に基づいて演算した燃焼器の燃料ノズルに供給する燃料流量値によって前記複数の燃料系統を通じて燃料ノズルに供給される各燃料流量を調節するように構成したことを特徴とするガスタービンに用いられる燃焼器。
【請求項6】
請求項4に記載のガスタービンに用いられる燃焼器において、空気孔プレートに環状に配置された多数の空気孔のうち、空気孔プレートの中央の中心近傍の複数の空気孔は空気に旋回流を生じさせるように空気孔プレートに傾斜させて該空気孔を形成していることを特徴とするガスタービンに用いられる燃焼器。
【請求項7】
請求項4又は請求項6に記載のガスタービンに用いられる燃焼器において、空気孔プレートに環状に配置された多数の空気孔は対応する燃料小ノズルと同芯状に形成されると共に、燃焼室に面した空気プレートに複数列に亘って環状に配置されていることを特徴とするガスタービンに用いられる燃焼器。
【請求項8】
請求項1又は請求項2に記載のガスタービンにおいて、制御装置は第1の温度検出器と第2の温度検出器で検出した温度差が予め設定した閾値より大きな値となるように前記複数の燃料系統を通じて燃焼器に供給される各燃料流量を調節するように構成したことを特徴とするガスタービン。
【請求項9】
請求項1に記載のガスタービンにおいて、空気孔プレートに設けられた多数の空気孔は対応する燃料小ノズルと同芯状に形成されると共に、燃焼室に面した空気プレートに複数列に亘って環状に配置されていることを特徴とするガスタービン。
【請求項10】
請求項3に記載の高湿分空気利用ガスタービンにおいて、空気孔プレートに設けられた多数の空気孔は対応する燃料小ノズルと同芯状に形成されると共に、燃焼室に面した空気プレートに複数列に亘って環状に配置されていることを特徴とする高湿分空気利用ガスタービン。
【請求項11】
請求項3又は請求項10に記載の高湿分空気利用ガスタービンにおいて、空気孔プレートに環状に配置された多数の空気孔のうち、空気孔プレートの中央の中心近傍の複数の空気孔は空気に旋回流を生じさせるように空気孔プレートに傾斜させて該空気孔を形成していることを特徴とする高湿分空気利用ガスタービン。
【請求項12】
請求項3に記載の高湿分空気利用ガスタービンにおいて、制御装置は第1の温度検出器と第2の温度検出器で検出した温度差が予め設定した閾値より大きな値となるように前記複数の燃料系統を通じて燃焼器に供給される各燃料流量を調節するように構成したことを特徴とする高湿分空気利用ガスタービン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−144671(P2008−144671A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−333095(P2006−333095)
【出願日】平成18年12月11日(2006.12.11)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】