ガスバリアフィルムの製造方法及びガスバリアフィルム
【課題】ロールトゥロール方式にて、バリア性に優れたガスバリアフィルムを提供する。
【解決手段】基材フィルムの第一の面上に有機層と無機層を有するガスバリアフィルムをロールトゥロール(roll to roll)で製造する方法であって、基材フィルム11の第二の面側の最表面層として、前記有機層13より鉛筆硬度が2段階以上低い低硬度層12を設ける工程と、第一の面上に前記有機層13を設ける工程とを含む、ガスバリアフィルムの製造方法。
【解決手段】基材フィルムの第一の面上に有機層と無機層を有するガスバリアフィルムをロールトゥロール(roll to roll)で製造する方法であって、基材フィルム11の第二の面側の最表面層として、前記有機層13より鉛筆硬度が2段階以上低い低硬度層12を設ける工程と、第一の面上に前記有機層13を設ける工程とを含む、ガスバリアフィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明はガスバリアフィルムの製造方法およびガスバリアフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ガスバリアフィルムをロールトゥロール(roll to roll)にて製造することが検討されている。図5は、ガスバリアフィルムをロールトゥロールで製造する際の一般的な製造方法を示す概略図であって、ロール状に巻いたフィルム51から巻きだされたフィルムが、無機層製造装置等の層を形成する装置52を通過し、ロール53に巻き取られる工程が示されている。このようなロールトゥロールではフィルムが各層を形成する装置を流れるため、搬送に伴う手間や装置を大幅に省くことができる。
【0003】
しかしながら、高いガスバリア性を有する有機無機積層型ガスバリアフィルムは、基材フィルムの上に少なくとも有機層と無機層の2層が積層して設けられる。さらにこれらの層は緻密であることが求められる。そのため、ロールトゥロール方式にて、有機無機積層型ガスバリアフィルムを製造しようとすると、ロールへの巻き取り工程におけるダメージが懸念される。例えば、特許文献1には、ガスバリアフィルムを製造する場合において、アンカーコート層を設けた後、フィルムを巻取る際にアンカーコート層にダメージが生じたり、アンカーコート層(有機層)の上に、蒸着によって金属酸化物の薄膜(無機層)を製膜する際に巻きズレが起こることが開示されている。また、その解消方法についても記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−92727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のとおり、ガスバリアフィルムの生産効率を向上させるにはロールトゥロール方式を採用することが望まれる。特に、ロールトゥロール方式によって、有機層を塗布により設け、無機層を蒸着により設けることが望まれる。
ここで、本願発明者が検討を行ったところ、引用文献1に記載の方法で得られたガスバリアフィルムは、有機層や無機層のダメージ低減効果が十分ではないことが分かった。そこで、本願発明者が特許文献1についてさらに詳細に検討したところ、特許文献1では、巻締まりによってアンカーコート層(有機層)が剥がれてしまうことや金属酸化物の薄膜(無機層)を製膜する際に生ずるまきズレについては検討しているが、基材フィルムの第二の面側(有機層や無機層を設ける側とは反対側の面)から受けるダメージについては検討していないことが分かった。
本願発明はかかる問題点を解決することを目的としたものであって、ロールトゥロール方式でガスバリアフィルムを製造する方法において、ガスバリアフィルムへのダメージを抑制し、バリア性に優れたガスバリアフィルムを製造することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる状況のもと、本願発明者が鋭意検討を行った結果、ロールトゥロール方式でガスバリアフィルムを製造する場合において、基材フィルムの有機層を設ける側を第一の面とし、その反対側の面を第二の面としたとき、基材フィルムの第一の面上に、有機層を形成した状態ものをロールに巻き取ろうとすると、有機層が基材フィルムの第二の面側と接触して、押し傷や擦り傷等のダメージを受けることが分かった。すなわち、ガスバリアフィルムの製造過程において有機層がダメージを受けているため、その上に設けられる無機層も緻密な構成とならず、結果的に得られるガスバリアフィルムのガスバリア性が低下してしまうことが分かった。つまり、高いガスバリア性を確保するには、有機層と基材フィルムの第二の面との接触により起こる有機層のダメージを低減する必要がある。そこで、本願発明者は、基材フィルムの第二の面側に、有機層より鉛筆硬度が2段階以上低い低硬度層を設けることにより、基材フィルムの第二の面側と有機層の接触によるダメージを低減しうることを見出し、本願発明を完成するに至った。
【0007】
具体的には以下の手段により達成された。
(1)基材フィルムの第一の面上に有機層と無機層を有するガスバリアフィルムをロールトゥロール(roll to roll)で製造する方法であって、基材フィルムの第二の面側の最表面層として、前記有機層より鉛筆硬度が2段階以上低い低硬度層を設ける工程と、基材フィルムの第一の面上に前記有機層を設ける工程とを含む、ガスバリアフィルムの製造方法。
(2)前記低硬度層を設けた後に、前記有機層を設けることを特徴とする、(1)に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
(3)前記低硬度層と前記有機層とをロールから巻きだしてから巻き取るまでの間に一貫して連続で設けることを特徴とする、(1)または(2)に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
(4)前記有機層を設けた後に、前記低硬度層を除去する工程を含む、(1)〜(3)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
(5)前記低硬度層が剥離可能な層である、(4)に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
(6)前記無機層を真空蒸着により設ける、(1)〜(5)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
(7)前記低硬度層および/または前記有機層を塗布により設ける、(1)〜(6)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
(8)前記低硬度層の鉛筆硬度が、Fかそれより軟らかいことを特徴とする、(1)〜(7)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
(9)前記低硬度層の鉛筆硬度が、6Bかそれより軟らかいことを特徴とする、(1)〜(7)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
(10)ラテックスおよび/またはラテックス架橋物を含む組成物を基材フィルム上に適用して低硬度層を形成することを特徴とする、(1)〜(9)のいずれか1項に記載ガスバリアフィルムの製造方法。
(11)低硬度層が、ポリエチレンまたはポリプロピレンを含むことを特徴とする、(1)〜(10)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
(12)(メタ)アクリレート、ラテックスおよびラテックスの架橋物の少なくとも1種を含む組成物を基材フィルム上に適用して有機層を形成することを特徴とする、(1)〜(11)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
(13)無機層が酸化珪素、酸化アルミニウム、窒化珪素、窒化アルミニウム、酸窒化珪素および酸窒化アルミニウムの少なくとも1種を含むことを特徴とする、(1)〜(12)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム製造方法。
(14)基材フィルムの第一の面上に、有機層と無機層を有し、基材フィルムの第二の面側の最表面層として、前記有機層より鉛筆硬度が2段階以上低い低硬度層を有し、かつ、該低硬度層が、ガラス転移温度が20℃より高い樹脂を含み、かつ、粒子を実質的に含有しないことを特徴とする、ガスバリアフィルム。
(15)前記低硬度層鉛筆硬度が、Fかそれより軟らかいことを特徴とする、(14)に記載のガスバリアフィルム。
(16)前記低硬度層鉛筆硬度が、6Bかそれより軟らかいことを特徴とする、(14)に記載のガスバリアフィルム。
(17)(1)〜(13)のいずれか1項に記載の方法により製造されたことを特徴とする、(14)〜(16)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム。
(18)(14)〜(17)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムを有する電子デバイス。
(19)(14)〜(17)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムを有する太陽電池用バックシートまたは太陽電池素子。
【発明の効果】
【0008】
本願発明により、ロールトゥロール方式によって、高いガスバリア性能を有するガスバリアフィルムを提供可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本願発明の製造方法で製造されるガスバリアフィルムの層構成を示した概略図である。
【図2】図2は、本願発明の実施形態の一例を示す概略図である。
【図3】図3は、本願発明の製造方法で製造されるガスバリアフィルムの他の層構成を示した概略図である。
【図4】図4は、本願発明の製造方法の製造工程の途中で形成されるフィルムの層構成を示した概略図である。
【図5】図5は、ガスバリアフィルムをロールトゥロールで製造する場合の一般的な製造方法の概略である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下において、本願発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
また、本願発明における鉛筆硬度は、JIS K−5600−5−4に従って測定される方法であり、硬い方から順に、6H、5H、4H、3H、2H、H、F、HB、B、2B、3B、4B、5B、6Bとなる。尚、6Bよりも軟らかいものおよび6Hよりも硬いものについては、三菱鉛筆社製の9H〜7H、7B〜10Bの鉛筆を用いて、同様の方法にて測定したものとする。
【0011】
本願発明のガスバリアフィルムの製造方法は、基材フィルムの第一の面上に有機層と無機層を有するガスバリアフィルムをロールトゥロール(roll to roll)で製造する方法であって、基材フィルムの第二の面側の最表面層として、前記有機層より鉛筆硬度が2段階以上低い低硬度層を設ける工程と、基材フィルムの第一の面上に前記有機層を設ける工程とを含むことを特徴とする。有機層と低硬度層の間に、鉛筆硬度で2段階以上の硬度差を設けることにより、ロールトゥロールで製造しても、フィルムを巻き取った際に、有機層が基材フィルムの第二の面側によってダメージを受けることなく製造できる。
ここで、鉛筆硬度の硬度差は、3段階以上が好ましく、4段階以上がより好ましい。尚、2段階低いとは、例えば、有機層の鉛筆硬度がHのとき、低硬度層の鉛筆硬度がHBのことを意味する。
図1は、本願発明のガスバリアフィルムの最も簡易な層構成の一例を示した概略図であって、11は基材フィルムを、12は低硬度層を、13は有機層を、14は無機層をそれぞれ示している。そして、本実施形態のガスバリアフィルムの製造方法では、基材フィルム11の第二の面上に低硬度層12を設けた後に、基材フィルムの第一の面上に有機層13を設けることが好ましい。このような手段を採用することにより、より効果的に有機層が基材フィルムの第二の面によってダメージを受けることを抑制できる。そして、通常は、有機層13を設けた上に、好ましくは、表面に無機層14を設ける。
【0012】
本願発明では、低硬度層と有機層とをロールから巻きだしてから巻き取るまでの間に一貫して連続で設けることが好ましい。図2は低硬度層と有機層とをロールから巻きだしてから巻き取るまでの間に一貫して連続で設ける方法を示す概略図であって、21は第一のロールを、22は低硬度層形成装置を、23は有機層形成装置を、24は第二のロールをそれぞれ示している。本実施形態において、第一のロール21から巻きだした基材フィルムは、低硬度層形成装置22を通過する間に、第二の面側に低硬度層が設けられ、さらに、有機層形成装置23を通過する間に、第一の面側に有機層が設けられる。この後、フィルムは第二のロール24に巻き取られる。また、他の実施形態として、ロールに巻き取られずに、さらに、連続して無機層が設けられてもよい。
図2に記載するような実施形態でガスバリアフィルムを製造すると、低硬度層の形成に乾燥が必要な場合において、該低硬度層が完全に乾燥していなくても、第二のロールに巻き取られるまでに乾燥すればよいため、乾燥に時間がかかる材料も利用しやすい。また、有機層の形成と低硬度層の形成の両方に乾燥が必要な場合、両方の乾燥を同時に行うこともできる。この場合、乾燥コストを削減することができる。さらに、有機層には比較的乾燥に時間がかかる材料を用い、低硬度層には乾燥に比較的時間がかからない材料を用いる場合、有機層を形成した後に低硬度層を設けてもよい。すなわち、本実施形態では、低硬度層と有機層との両方が第一のロールから巻きだしてから第二のロール巻き取るまでの間に設けられていればよい。
また、本発明では、低硬度層はとして剥離可能な層を採用し、該剥離可能な層を除去する工程を含んでいても良い。この場合の剥離可能な層としては、低粘着性のポリマーからなる層などが挙げられる。剥離可能な層を除去する工程は、最終製品の完成までの適当な段階で行うことができる。特に、剥離可能な層を残したまま製品として出荷し、利用者が剥離可能な層を剥離して使用することが好ましい。例えば、本発明のガスバリアフィルムを太陽電池のバックシート用の部材として用いる場合、PVモジュールの背面に貼り付けた後に剥がすことができる。このような構成を採用することにより、ゴミの付着等も抑制できる。
【0013】
本願発明における低硬度層は、好ましくは、低硬度層に用いる材料と溶剤を含む組成物を基材フィルム上に適用した後、溶剤を乾燥させて形成する。さらに、必要に応じて、紫外線等の照射により硬化させてもよい。
低硬度層を形成する材料は、有機層より鉛筆硬度が2段階以上低い層を形成できる材料であれば特に定めるものではないが、好ましくは鉛筆硬度がFかそれよりより軟らかい場合であり、より好ましくは鉛筆硬度がHBかそれより軟らかい場合であり、さらに好ましくは鉛筆硬度が6Bかそれより軟らかい材料であり、さらに好ましくは、鉛筆硬度が6B〜10Bの範囲にある材料である。このような材料を採用することにより、バリア性が顕著に向上する傾向にある。また、本願発明の低硬度層に用いる材料としては、ガラス転移温度(Tg)が20℃より高い樹脂が好ましく、Tgが80℃以上の樹脂であることがより好ましい。Tgの上限としては特に定めるものではないが、通常は、120℃以下である。
本願発明における低硬度層は、ラテックスおよび/またはラテックス架橋物を含む組成物を基材フィルムの上に適用して形成することが好ましい。ラテックスとしては、ポリエステル系ラテックス、スチレン−ブタジエン系ラテックス、アクリロニトリル・ブタジエン系ラテックス、アクリレート系ラテックス、ソープフリーラテックス、フッ素樹脂ラテックス、ポリオレフィン系ラテックス、シロキサン系ラテックス、アクリル−シロキサン系ラテックスが例示される。
また、本願発明における低硬度層は、アクリレートの重合物、メタクリレートの重合物、エポキシ樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレンコポリマー(AS樹脂)、ポリアセタール、ポリイミド、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド樹脂およびフッ素樹脂のいずれか1種以上を含むことが好ましく、ポリエチレンまたはポリプロピレンを含むことが好ましい。
本願発明では、上記以外の成分を含んでいてもよいが、好ましくは、低硬度層の形成に用いる組成物の、溶剤を除く成分の95重量%および/または得られた低硬度層を構成する成分の95重量%以上が上記材料である場合である。特に、本願発明における低硬度層は、粒子を実質的に含有しないことが好ましい。実質的に含有しないとは、たまたま入ってしまう不純物等以外に粒子が含まれないことを意味し、好ましくは、低硬度層の1重量%以下であることをいう。このような粒子の例としては、マット剤が挙げられる。
低硬度層を基材フィルム上に適用する方法は公知の方法を採用できるが、一般的な塗布方法によって設けることが好ましい。例えば、バーコート法やリバースグラビアコート法である。塗布により設けることにより、製造効率をより高めることが可能になる。
低硬度層の厚さは特に定めるものではないが、1000〜5000nmであることが好ましい。
【0014】
本願発明における有機層は、好ましくは、有機層に用いる材料と溶剤を含む組成物を基材フィルム上に適用した後、溶剤を乾燥させて形成する。さらに、必要に応じて、紫外線等の照射により硬化させる。
有機層を形成する材料は、鉛筆硬度が低硬度層よりも2段階以上高い層を形成できる材料であれば特に定めるものではないが、鉛筆硬度が、好ましくはBより固い場合であり、より好ましくは、HB〜2Hの範囲である。
本願発明における有機層に用いる材料としては、具体的には、(メタ)アクリレートを含む組成物を基材フィルム上に適用し、必要により乾燥させた後、硬化して得られる層や、ラテックスおよびラテックスの架橋物の少なくとも1種を含む組成物を基材フィルム上に適用して乾燥させて得られる層が挙げられる。
有機層を基材フィルム上に適用する方法は公知の方法を採用できるが、一般的な塗布方法によって設けることが好ましい。例えば、バーコート法やリバースグラビアコート法である。塗布により設けることにより、製造効率をより高めることが可能になる。
有機層の厚さは、特に定めるものではないが、500nm〜1500nmであることが好ましい。
【0015】
無機層
本願発明における無機層は、好ましくは、有機層を設けた後に設けることが好ましく、有機層の表面に設けることがより好ましい。無機層は、好ましくは、真空蒸着により設ける。真空蒸着により設けることにより、製造効率をより高めることが可能になる。さらに好ましくは、無機層は、電子線過熱蒸着法により設ける。本願発明では、無機層も、ロールトゥロール方式の真空蒸着装置にセットして設けることがより好ましい。
無機層を構成する材料は、酸化珪素、酸化アルミニウム、窒化珪素、窒化アルミニウム、酸窒化珪素および酸窒化アルミニウムの少なくとも1種から選択されることが好ましく、酸化珪素、酸化アルミニウムおよび窒化珪素の少なくとも1種から選択されることがより好ましく、酸化珪素および/または酸化アルミニウムであることが好ましい。
無機層の厚さは、50〜150nmが好ましい。
【0016】
基材フィルム
本願発明で用いられる基材フィルムは、ロールトゥロールに適用でき、かつ、有機層、無機層、低硬度層等を支持しうる限り特に定めるものではない。通常は、ポリエチレンテレフタレート(PTE)やポリエチレンナフタレート(PEN)が好ましく用いられる。
基材フィルムの厚さは、50〜300μmが好ましい。
【0017】
本願発明のガスバリアフィルムの製造方法では、上述したように、基材フィルム11の上に、低硬度層12と、1層の有機層13と、1層の無機層14を設ける工程が開示されているが、さらに他の層を設ける工程を含んでいてもよい。図3は、基材フィルム11の上に、低硬度層12と、有機層13と、無機層14を設けた後、さらに、有機層13と、無機層14と、有機層13を該順に設けている。図3における符号の番号は、図1と共通である。ここで、それぞれの有機層およびそれぞれの無機層は、組成や厚さ等が同じであってもよいし異なっていてもよい。本願発明のガスバリアフィルムの製造方法で製造されるガスバリアフィルムは、有機層と無機層の積層が1層ずつでも高いバリア性を確保することができるが、さらに積層することにより、より高いバリア性を有するガスバリアフィルムを提供できる。
【0018】
また、本願発明のガスバリアフィルムの製造方法では、他の構成層を設ける工程を含んでいてもよい。例えば、基材フィルムの一方または両方の表面に他の機能性層を設けたり、有機層および無機層を積層した上の最表層として保護層を設ける工程を含んでいてもよい。他の機能性層の一例として、マット剤含有層が挙げられる。マット剤含有層は、低硬度層と基材フィルムの間に設けることが好ましい。このような構成を採用することにより、搬送性がより向上する傾向にある。
【0019】
本願発明のガスバリアフィルムの製造方法では、有機層を設けた後に、前記低硬度層を除去する工程を含んでいてもよい。低硬度層は、ガスバリアフィルムを製造する際の、有機層のダメージを抑制するために設けられる層であるため、最終製品としてのガスバリアフィルムには含まれていない方が好まれる場合もあるためである。低硬度層を除去する方法は特に定めるものではないが、例えば、基材フィルムと低硬度層の間に剥離可能な層を設け、剥離可能な層を剥離することにより低硬度層を除去することができる。
図4は、本願発明の製造方法の製造工程の途中で剥離可能な層を形成する場合の、該製造工程途中のフィルムの層構成を示した概略図である。図4中の符号は図1と共通である。本実施形態では、基材フィルム11、剥離可能な層41、低硬度層12、有機層13、無機層14の順に設けられ、剥離可能な層41を剥離することにより、低硬度層12を除去する。このような手段を採用することにより、余計な層を最終製品に残すことなく、バリア性の高いガスバリアフィルムを製造できる。
また、有機層を設けた後、剥離可能な層41を剥離して低硬度層12を除去した後、無機層14を設けてもよい。さらに、剥離可能な層を残したまま製品として出荷し、利用者が剥離可能な層を剥離して使用する態様とすることも可能である。
【0020】
本願発明では、さらに、本願発明の製造方法等によって製造されるガスバリアフィルムを開示する。例えば、基材フィルムの第一の面上に、有機層と無機層を有し、基材フィルムの第二の面側の最表面層として、前記有機層より鉛筆硬度が2段階以上低い低硬度層を有し、かつ、該低硬度層がガラス転移温度が20℃より高い樹脂を含み、かつ、粒子を実質的に含有しないことを特徴とする、ガスバリアフィルムである。基材フィルム、有機層、無機層および低硬度層の詳細は上記を参照することができる。
【0021】
(太陽電池)
本願発明のガスバリアフィルムは、太陽電池用バックシートや太陽電池用素子として好ましく用いることができる。
本願発明の太陽電池用バックシートは、太陽電池に用いる。太陽電池素子は通常、一対の基板の間に、太陽電池として働くアクテイブ部分が設けられた構成をしているが、この一対の基板のバックシート側に用いることができる。
本願発明の太陽電池用バックシートが好ましく用いられる太陽電池素子としては、特に制限はないが、例えば、単結晶シリコン系太陽電池素子、多結晶シリコン系太陽電池素子、シングル接合型、またはタンデム構造型等で構成されるアモルファスシリコン系太陽電池素子、ガリウムヒ素(GaAs)やインジウム燐(InP)等のIII−V族化合物半導体太陽電池素子、カドミウムテルル(CdTe)等のII−VI族化合物半導体太陽電池素子、銅/インジウム/セレン系(いわゆる、CIS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン系(いわゆる、CIGS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン/硫黄系(いわゆる、CIGSS系)等のI−III−VI族化合物半導体太陽電池素子、色素増感型太陽電池素子、有機太陽電池素子等が挙げられる。中でも、本願発明においては、上記太陽電池素子が、銅/インジウム/セレン系(いわゆる、CIS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン系(いわゆる、CIGS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン/硫黄系(いわゆる、CIGSS系)等のI−III−VI族化合物半導体太陽電池素子であることが好ましい。
その他本願発明の趣旨を逸脱しない範囲において、特開2009−38236号公報等の記載を参酌することができる。
【0022】
[電子デバイス]
本発明のガスバリアフィルムは、太陽電池以外に以下の電子デバイスにも好適に用いることができる。電子デバイスとしては、有機EL素子、液晶表示素子、薄膜トランジスタ、タッチパネル、電子ペーパー、等を挙げることができる。以下に応用例を記載する。
【0023】
(有機EL素子)
ガスバリアフィルムを用いた有機EL素子の例は、特開2007−30387号公報に詳しく記載されている。
【0024】
(液晶表示素子)
液晶表示素子としては、特開2009−172993号公報の段落番号0044の記載を参酌することができる。
【0025】
(その他)
その他の適用例としては、特表平10−512104号公報に記載の薄膜トランジスタ、特開平5-127822号公報、特開2002-48913号公報等に記載のタッチパネル、特開2000−98326号公報に記載の電子ペーパー等が挙げられる。
【実施例】
【0026】
以下に実施例を挙げて本願発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本願発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本願発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
【0027】
<ガスバリアフィルムの形成>
実施例1
ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、東レ社製、ルミラーS10、100μm厚)の片面に、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成社製、アロニックスM360)のメチルエチルケトン(MEK)溶液(7.5重量%)に紫外線重合開始剤(ランベルティ社製、商品名:KTO46)を添加(0.5重量%)した塗布液を塗布して、溶剤を乾燥除去した後に、紫外線光を照射して塗膜を硬化した。さらに、連続して、前記塗布面とは反対側の面に、トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成社製、アロニックスM309)のMEK溶液(7.5重量%)に紫外線重合開始剤(ランベルティ社製、商品名:KTO46)を添加(0.5重量%)した塗布液を塗布して、溶剤を乾燥除去した後に、紫外線光を照射して塗膜を硬化してフィルムを巻き取った。巻き取ったフィルムをロールトゥロール方式の真空蒸着装置にセットして、トリメチロールプロパントリアクリレート重合膜の表面に、高周波誘導加熱蒸着法により、SiO膜を連続的に製膜してフィルムを巻き取った。
【0028】
実施例2
PETフィルム(東レ社製、ルミラーS10、100μm厚)の片面にポリエステル系ラテックス(東洋紡社製、バイロナールMD1480)の水分散液(10重量%)を塗布して、加熱により乾燥・製膜した。更に前記塗布面とは反対側の面にトリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成社製、アロニックスM309)のMEK溶液(7.5重量%)に紫外線重合開始剤(ランベルティ社製、商品名:KTO46)を添加(0.5重量%)した塗布液をバー塗布法により塗布して、溶剤を乾燥除去した後に、紫外線光を照射して塗膜を硬化してフィルムを巻き取った。巻き取ったフィルムをロールトゥロール方式の真空蒸着装置にセットして、トリメチロールプロパントリアクリレート重合膜の表面に、高周波誘導加熱蒸着法により、SiO膜を連続的に製膜してフィルムを巻き取った。
【0029】
実施例3
片面に粘着性ポリプロピレンフィルム(日立化成工業社製、ヒタレックスDP1010、50μm厚)を貼り合せたPETフィルム(東レ社製、ルミラーS10、100μm厚)に、ポリプロピレンフィルムを貼り合せた面とは反対側の面にポリエステル系ラテックス(東洋紡社製、バイロナールMD1480)の水分散液(固形分濃度10重量%)を塗布して、加熱により乾燥・製膜してフィルムを巻き取った。巻き取ったフィルムをロールトゥロール方式の真空蒸着装置にセットして、ポリエステル系ラテックス膜の表面に、高周波誘導加熱蒸着法により、SiO膜を連続的に製膜してフィルムを巻き取った。
得られたポリプロピレンフィルムを剥がしてみたところ、特に問題なく剥がせることがわかった。
【0030】
比較例1
PETフィルム(東レ社製ルミラーS10、100μm厚)の片面にトリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成社製、アロニックスM309)のMEK溶液(7.5重量%)に紫外線重合開始剤(ランベルティ社製、商品名:KTO46)を添加(0.5重量%)した塗布液を塗布して、溶剤を乾燥除去した後に、紫外線光を照射して塗膜を硬化した。さらに、連続して、前記塗布面とは反対側の面に、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成社製、アロニックスM360)のメチルエチルケトン(MEK)溶液(7.5重量%)に紫外線重合開始剤(ランベルティ社製、商品名:KTO46)を添加(0.5重量%)した塗布液を塗布して、溶剤を乾燥除去した後に、紫外線光を照射して塗膜を硬化してフィルムを巻き取った。巻き取ったフィルムをロールトゥロール方式の真空蒸着装置にセットして、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート重合膜の表面に、高周波誘導加熱蒸着法により、SiO膜を連続的に製膜してフィルムを巻き取った。
【0031】
比較例2
PETフィルム(東レ社製ルミラーS10、100μm厚)の片面にポリエステル系ラテックス(東洋紡社製、バイロナールMD1480)の水分散液(10重量%)を塗布して、加熱により乾燥・製膜した。更に前記塗布面とは反対側の面にトリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成社製、アロニックスM309)のMEK溶液(7.5重量%)に紫外線重合開始剤(ランベルティ社製、商品名:KTO46)を添加(0.5重量%)した塗布液を塗布して、溶剤を乾燥除去した後に、紫外線光を照射して塗膜を硬化してフィルムを巻き取った。巻き取ったフィルムをロールトゥロール方式の真空蒸着装置にセットして、ポリエステル系ラテックス膜の表面に、高周波誘導加熱蒸着法により、SiO膜を連続的に製膜してフィルムを巻き取った。
【0032】
比較例3
PETフィルム(東レ社製ルミラーS10、100μm厚)の片面にポリエステル系ラテックス(東洋紡社製バイロナールMD1480)の水分散液(10重量%)を塗布して、加熱により乾燥・製膜した。更に前記塗布面とは反対側の面にエチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成社製、アロニックスM360)のMEK溶液(7.5重量%)に紫外線重合開始剤(ランベルティ社製、商品名:KTO46)を添加(0.5重量%)した塗布液を塗布して、溶剤を乾燥除去した後に、紫外線光を照射して塗膜を硬化してフィルムを巻き取った。巻き取ったフィルムをロールトゥロール方式の真空蒸着装置にセットして、ポリエステル系ラテックス膜の表面に、高周波誘導加熱蒸着法により、SiO膜を連続的に製膜してフィルムを巻き取った。
【0033】
比較例4
PETフィルム(東レ社製ルミラーS10、100μm厚)の片面にトリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成社製、アロニックスM309)のMEK溶液(7.5重量%)に紫外線重合開始剤(ランベルティ社製、商品名:KTO46)を添加(0.5重量%)した塗布液を塗布して、溶剤を乾燥除去した後に、紫外線光を照射して塗膜を硬化した。さらに、連続して、前記塗布面とは反対側の面に、トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成社製、アロニックスM309)のMEK溶液(7.5重量%)に紫外線重合開始剤(ランベルティ社製、商品名:KTO46)を添加(0.5重量%)した塗布液を塗布して、溶剤を乾燥除去した後に、紫外線光を照射して塗膜を硬化してフィルムを巻き取った。巻き取ったフィルムをロールトゥロール方式の真空蒸着装置にセットして、一方の面のトリメチロールプロパントリアクリレート重合膜の表面に、高周波誘導加熱蒸着法により、SiO膜を連続的に製膜してフィルムを巻き取った。
【0034】
比較例5
PETフィルム(東レ社製ルミラーS10、100μm厚)の片面にエチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成社製、アロニックスM360)のメチルエチルケトン(MEK)溶液(7.5重量%)に紫外線重合開始剤(ランベルティ社製、商品名:KTO46)を添加(0.5重量%)した塗布液を塗布して、溶剤を乾燥除去した後に、紫外線光を照射して塗膜を硬化した。さらに、連続して、前記塗布面とは反対側の面に、ポリエステル系ラテックス(東洋紡社製バイロナールMD1480)の水分散液(10重量%)を塗布して、加熱により乾燥・製膜してフィルムを巻き取った。巻き取ったフィルムをロールトゥロール方式の真空蒸着装置にセットして、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート重合膜の表面に、高周波誘導加熱蒸着法により、SiO膜を連続的に製膜してフィルムを巻き取った。
【0035】
実施例4
PETフィルム(東レ社製ルミラーS10、100μm厚)の片面にウレタンアクリレート(ダイセルサイテック社製、UV7600B)のメチルエチルケトン(MEK)溶液(7.5重量%)に紫外線重合開始剤(ランベルティ社製、商品名:KTO46)を添加(0.5重量%)した塗布液を塗布して、溶剤を乾燥除去した後に、紫外線光を照射して塗膜を硬化した。さらに、連続して、前記塗布面とは反対側の面に、トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成社製、アロニックスM309)のMEK溶液(7.5重量%)に紫外線重合開始剤(ランベルティ社製、商品名:KTO46)を添加(0.5重量%)した塗布液を塗布して、溶剤を乾燥除去した後に、紫外線光を照射して塗膜を硬化してフィルムを巻き取った。巻き取ったフィルムをロールトゥロール方式の真空蒸着装置にセットして、ウレタンアクリレート重合膜の表面に、高周波誘導加熱蒸着法により、SiO膜を連続的に製膜してフィルムを巻き取った。
【0036】
実施例5
実施例1において、巻き取ったフィルムをロールトゥロール方式の真空蒸着装置に代えて、ロールトゥロールの真空スパッタ装置にセットし、トリメチロールプロパントリアクリレートの塗膜表面に、反応性スパッタ方式で酸化アルミニウム膜を連続的に製膜したほかは、同様に行った。
【0037】
実施例6
実施例1において、巻き取ったフィルムをロールトゥロール方式の真空蒸着装置に代えて、ロールトゥロールの真空スパッタ装置にセットし、トリメチロールプロパントリアクリレートの塗膜表面に、反応性スパッタ方式でSiO2膜を連続的に製膜したほかは、同様に行った。
実施例7
実施例1において、巻き取ったフィルムをロールトゥロール方式の真空蒸着装置に代えて、ロールトゥロールの化学気相堆積(CVD)装置にセットし、トリメチロールプロパントリアクリレートの塗膜表面に、窒化珪素膜を連続的に製膜したほかは、同様に行った。
【0038】
実施例8
実施例1において、巻き取ったフィルムをロールトゥロール方式の真空蒸着装置に代えて、ロールトゥロールの化学気相堆積(CVD)装置にセットし、トリメチロールプロパントリアクリレートの塗膜表面に、酸窒化珪素膜を連続的に製膜したほかは、同様に行った。
【0039】
<評価>
得られたガスバリフィルムについて、硬度およびバリア性能(水蒸気透過度)を評価した。
【0040】
(硬度)
有機層および低硬度層の鉛筆硬度をJIS K−5600−5−4に記載の方法に従って測定した。
【0041】
(水蒸気透過度(WVTR))
ガスバリアフィルムの水蒸気バリア性能をカルシウム法(40℃、90%相対湿度)により測定した。結果は以下のとおり示した。
◎:WVTR≦0.005g/m2.Day
○:0.005g/m2.Day<WVTR≦0.05g/m2.Day
△:0.05g/m2.Day<WVTR≦0.1g/m2.Day
×:0.1g/m2.Day<WVTR
【0042】
結果を下記表に示す。
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
上記表から明らかなとおり、低硬度層の鉛筆硬度を有機層より2段階以上低くすることにより、バリア性に優れたガスバリアフィルムが得られた。これに対し、低硬度層の鉛筆硬度が有機層よりも高い場合、バリア性が著しく劣ることが確認された。特に、本願発明の製造方法では、高い生産効率で、0.1g/m2以下のバリア性を有するガスバリアフィルムが得られることが分かった。また、実施例5〜8の結果から明らかなように、本発明のバリアフィルムは無機層の種類にかかわらず、等しく優れた効果を奏することが分かった。
さらに、実施例3より、硬度が6B以下の低硬度層を採用することにより、顕著にバリア性能が向上することが分かった。
本発明の製造方法では、有機層を塗布により設け、無機層を蒸着により設け、ロールトゥロールで生産しても、0.1g/m2以下のバリア性を有するガスバリアフィルムが得られる点で、極めて有益である。
さらに、有機層および無機層を1層ずつ積層しただけで、0.1g/m2以下のバリア性を有するガスバリアフィルムが得られることが分かった。
【符号の説明】
【0045】
11 基材フィルム
12 低硬度層
13 有機層
14 無機層
21 第一のロール
22 低硬度層形成装置
23 有機層形成装置
24 第二のロール
41 剥離可能な層
51 ロール状に巻いたフィルム
52 装置
53 ロール
【技術分野】
【0001】
本願発明はガスバリアフィルムの製造方法およびガスバリアフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ガスバリアフィルムをロールトゥロール(roll to roll)にて製造することが検討されている。図5は、ガスバリアフィルムをロールトゥロールで製造する際の一般的な製造方法を示す概略図であって、ロール状に巻いたフィルム51から巻きだされたフィルムが、無機層製造装置等の層を形成する装置52を通過し、ロール53に巻き取られる工程が示されている。このようなロールトゥロールではフィルムが各層を形成する装置を流れるため、搬送に伴う手間や装置を大幅に省くことができる。
【0003】
しかしながら、高いガスバリア性を有する有機無機積層型ガスバリアフィルムは、基材フィルムの上に少なくとも有機層と無機層の2層が積層して設けられる。さらにこれらの層は緻密であることが求められる。そのため、ロールトゥロール方式にて、有機無機積層型ガスバリアフィルムを製造しようとすると、ロールへの巻き取り工程におけるダメージが懸念される。例えば、特許文献1には、ガスバリアフィルムを製造する場合において、アンカーコート層を設けた後、フィルムを巻取る際にアンカーコート層にダメージが生じたり、アンカーコート層(有機層)の上に、蒸着によって金属酸化物の薄膜(無機層)を製膜する際に巻きズレが起こることが開示されている。また、その解消方法についても記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−92727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のとおり、ガスバリアフィルムの生産効率を向上させるにはロールトゥロール方式を採用することが望まれる。特に、ロールトゥロール方式によって、有機層を塗布により設け、無機層を蒸着により設けることが望まれる。
ここで、本願発明者が検討を行ったところ、引用文献1に記載の方法で得られたガスバリアフィルムは、有機層や無機層のダメージ低減効果が十分ではないことが分かった。そこで、本願発明者が特許文献1についてさらに詳細に検討したところ、特許文献1では、巻締まりによってアンカーコート層(有機層)が剥がれてしまうことや金属酸化物の薄膜(無機層)を製膜する際に生ずるまきズレについては検討しているが、基材フィルムの第二の面側(有機層や無機層を設ける側とは反対側の面)から受けるダメージについては検討していないことが分かった。
本願発明はかかる問題点を解決することを目的としたものであって、ロールトゥロール方式でガスバリアフィルムを製造する方法において、ガスバリアフィルムへのダメージを抑制し、バリア性に優れたガスバリアフィルムを製造することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる状況のもと、本願発明者が鋭意検討を行った結果、ロールトゥロール方式でガスバリアフィルムを製造する場合において、基材フィルムの有機層を設ける側を第一の面とし、その反対側の面を第二の面としたとき、基材フィルムの第一の面上に、有機層を形成した状態ものをロールに巻き取ろうとすると、有機層が基材フィルムの第二の面側と接触して、押し傷や擦り傷等のダメージを受けることが分かった。すなわち、ガスバリアフィルムの製造過程において有機層がダメージを受けているため、その上に設けられる無機層も緻密な構成とならず、結果的に得られるガスバリアフィルムのガスバリア性が低下してしまうことが分かった。つまり、高いガスバリア性を確保するには、有機層と基材フィルムの第二の面との接触により起こる有機層のダメージを低減する必要がある。そこで、本願発明者は、基材フィルムの第二の面側に、有機層より鉛筆硬度が2段階以上低い低硬度層を設けることにより、基材フィルムの第二の面側と有機層の接触によるダメージを低減しうることを見出し、本願発明を完成するに至った。
【0007】
具体的には以下の手段により達成された。
(1)基材フィルムの第一の面上に有機層と無機層を有するガスバリアフィルムをロールトゥロール(roll to roll)で製造する方法であって、基材フィルムの第二の面側の最表面層として、前記有機層より鉛筆硬度が2段階以上低い低硬度層を設ける工程と、基材フィルムの第一の面上に前記有機層を設ける工程とを含む、ガスバリアフィルムの製造方法。
(2)前記低硬度層を設けた後に、前記有機層を設けることを特徴とする、(1)に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
(3)前記低硬度層と前記有機層とをロールから巻きだしてから巻き取るまでの間に一貫して連続で設けることを特徴とする、(1)または(2)に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
(4)前記有機層を設けた後に、前記低硬度層を除去する工程を含む、(1)〜(3)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
(5)前記低硬度層が剥離可能な層である、(4)に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
(6)前記無機層を真空蒸着により設ける、(1)〜(5)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
(7)前記低硬度層および/または前記有機層を塗布により設ける、(1)〜(6)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
(8)前記低硬度層の鉛筆硬度が、Fかそれより軟らかいことを特徴とする、(1)〜(7)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
(9)前記低硬度層の鉛筆硬度が、6Bかそれより軟らかいことを特徴とする、(1)〜(7)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
(10)ラテックスおよび/またはラテックス架橋物を含む組成物を基材フィルム上に適用して低硬度層を形成することを特徴とする、(1)〜(9)のいずれか1項に記載ガスバリアフィルムの製造方法。
(11)低硬度層が、ポリエチレンまたはポリプロピレンを含むことを特徴とする、(1)〜(10)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
(12)(メタ)アクリレート、ラテックスおよびラテックスの架橋物の少なくとも1種を含む組成物を基材フィルム上に適用して有機層を形成することを特徴とする、(1)〜(11)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
(13)無機層が酸化珪素、酸化アルミニウム、窒化珪素、窒化アルミニウム、酸窒化珪素および酸窒化アルミニウムの少なくとも1種を含むことを特徴とする、(1)〜(12)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム製造方法。
(14)基材フィルムの第一の面上に、有機層と無機層を有し、基材フィルムの第二の面側の最表面層として、前記有機層より鉛筆硬度が2段階以上低い低硬度層を有し、かつ、該低硬度層が、ガラス転移温度が20℃より高い樹脂を含み、かつ、粒子を実質的に含有しないことを特徴とする、ガスバリアフィルム。
(15)前記低硬度層鉛筆硬度が、Fかそれより軟らかいことを特徴とする、(14)に記載のガスバリアフィルム。
(16)前記低硬度層鉛筆硬度が、6Bかそれより軟らかいことを特徴とする、(14)に記載のガスバリアフィルム。
(17)(1)〜(13)のいずれか1項に記載の方法により製造されたことを特徴とする、(14)〜(16)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム。
(18)(14)〜(17)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムを有する電子デバイス。
(19)(14)〜(17)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムを有する太陽電池用バックシートまたは太陽電池素子。
【発明の効果】
【0008】
本願発明により、ロールトゥロール方式によって、高いガスバリア性能を有するガスバリアフィルムを提供可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本願発明の製造方法で製造されるガスバリアフィルムの層構成を示した概略図である。
【図2】図2は、本願発明の実施形態の一例を示す概略図である。
【図3】図3は、本願発明の製造方法で製造されるガスバリアフィルムの他の層構成を示した概略図である。
【図4】図4は、本願発明の製造方法の製造工程の途中で形成されるフィルムの層構成を示した概略図である。
【図5】図5は、ガスバリアフィルムをロールトゥロールで製造する場合の一般的な製造方法の概略である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下において、本願発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
また、本願発明における鉛筆硬度は、JIS K−5600−5−4に従って測定される方法であり、硬い方から順に、6H、5H、4H、3H、2H、H、F、HB、B、2B、3B、4B、5B、6Bとなる。尚、6Bよりも軟らかいものおよび6Hよりも硬いものについては、三菱鉛筆社製の9H〜7H、7B〜10Bの鉛筆を用いて、同様の方法にて測定したものとする。
【0011】
本願発明のガスバリアフィルムの製造方法は、基材フィルムの第一の面上に有機層と無機層を有するガスバリアフィルムをロールトゥロール(roll to roll)で製造する方法であって、基材フィルムの第二の面側の最表面層として、前記有機層より鉛筆硬度が2段階以上低い低硬度層を設ける工程と、基材フィルムの第一の面上に前記有機層を設ける工程とを含むことを特徴とする。有機層と低硬度層の間に、鉛筆硬度で2段階以上の硬度差を設けることにより、ロールトゥロールで製造しても、フィルムを巻き取った際に、有機層が基材フィルムの第二の面側によってダメージを受けることなく製造できる。
ここで、鉛筆硬度の硬度差は、3段階以上が好ましく、4段階以上がより好ましい。尚、2段階低いとは、例えば、有機層の鉛筆硬度がHのとき、低硬度層の鉛筆硬度がHBのことを意味する。
図1は、本願発明のガスバリアフィルムの最も簡易な層構成の一例を示した概略図であって、11は基材フィルムを、12は低硬度層を、13は有機層を、14は無機層をそれぞれ示している。そして、本実施形態のガスバリアフィルムの製造方法では、基材フィルム11の第二の面上に低硬度層12を設けた後に、基材フィルムの第一の面上に有機層13を設けることが好ましい。このような手段を採用することにより、より効果的に有機層が基材フィルムの第二の面によってダメージを受けることを抑制できる。そして、通常は、有機層13を設けた上に、好ましくは、表面に無機層14を設ける。
【0012】
本願発明では、低硬度層と有機層とをロールから巻きだしてから巻き取るまでの間に一貫して連続で設けることが好ましい。図2は低硬度層と有機層とをロールから巻きだしてから巻き取るまでの間に一貫して連続で設ける方法を示す概略図であって、21は第一のロールを、22は低硬度層形成装置を、23は有機層形成装置を、24は第二のロールをそれぞれ示している。本実施形態において、第一のロール21から巻きだした基材フィルムは、低硬度層形成装置22を通過する間に、第二の面側に低硬度層が設けられ、さらに、有機層形成装置23を通過する間に、第一の面側に有機層が設けられる。この後、フィルムは第二のロール24に巻き取られる。また、他の実施形態として、ロールに巻き取られずに、さらに、連続して無機層が設けられてもよい。
図2に記載するような実施形態でガスバリアフィルムを製造すると、低硬度層の形成に乾燥が必要な場合において、該低硬度層が完全に乾燥していなくても、第二のロールに巻き取られるまでに乾燥すればよいため、乾燥に時間がかかる材料も利用しやすい。また、有機層の形成と低硬度層の形成の両方に乾燥が必要な場合、両方の乾燥を同時に行うこともできる。この場合、乾燥コストを削減することができる。さらに、有機層には比較的乾燥に時間がかかる材料を用い、低硬度層には乾燥に比較的時間がかからない材料を用いる場合、有機層を形成した後に低硬度層を設けてもよい。すなわち、本実施形態では、低硬度層と有機層との両方が第一のロールから巻きだしてから第二のロール巻き取るまでの間に設けられていればよい。
また、本発明では、低硬度層はとして剥離可能な層を採用し、該剥離可能な層を除去する工程を含んでいても良い。この場合の剥離可能な層としては、低粘着性のポリマーからなる層などが挙げられる。剥離可能な層を除去する工程は、最終製品の完成までの適当な段階で行うことができる。特に、剥離可能な層を残したまま製品として出荷し、利用者が剥離可能な層を剥離して使用することが好ましい。例えば、本発明のガスバリアフィルムを太陽電池のバックシート用の部材として用いる場合、PVモジュールの背面に貼り付けた後に剥がすことができる。このような構成を採用することにより、ゴミの付着等も抑制できる。
【0013】
本願発明における低硬度層は、好ましくは、低硬度層に用いる材料と溶剤を含む組成物を基材フィルム上に適用した後、溶剤を乾燥させて形成する。さらに、必要に応じて、紫外線等の照射により硬化させてもよい。
低硬度層を形成する材料は、有機層より鉛筆硬度が2段階以上低い層を形成できる材料であれば特に定めるものではないが、好ましくは鉛筆硬度がFかそれよりより軟らかい場合であり、より好ましくは鉛筆硬度がHBかそれより軟らかい場合であり、さらに好ましくは鉛筆硬度が6Bかそれより軟らかい材料であり、さらに好ましくは、鉛筆硬度が6B〜10Bの範囲にある材料である。このような材料を採用することにより、バリア性が顕著に向上する傾向にある。また、本願発明の低硬度層に用いる材料としては、ガラス転移温度(Tg)が20℃より高い樹脂が好ましく、Tgが80℃以上の樹脂であることがより好ましい。Tgの上限としては特に定めるものではないが、通常は、120℃以下である。
本願発明における低硬度層は、ラテックスおよび/またはラテックス架橋物を含む組成物を基材フィルムの上に適用して形成することが好ましい。ラテックスとしては、ポリエステル系ラテックス、スチレン−ブタジエン系ラテックス、アクリロニトリル・ブタジエン系ラテックス、アクリレート系ラテックス、ソープフリーラテックス、フッ素樹脂ラテックス、ポリオレフィン系ラテックス、シロキサン系ラテックス、アクリル−シロキサン系ラテックスが例示される。
また、本願発明における低硬度層は、アクリレートの重合物、メタクリレートの重合物、エポキシ樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレンコポリマー(AS樹脂)、ポリアセタール、ポリイミド、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド樹脂およびフッ素樹脂のいずれか1種以上を含むことが好ましく、ポリエチレンまたはポリプロピレンを含むことが好ましい。
本願発明では、上記以外の成分を含んでいてもよいが、好ましくは、低硬度層の形成に用いる組成物の、溶剤を除く成分の95重量%および/または得られた低硬度層を構成する成分の95重量%以上が上記材料である場合である。特に、本願発明における低硬度層は、粒子を実質的に含有しないことが好ましい。実質的に含有しないとは、たまたま入ってしまう不純物等以外に粒子が含まれないことを意味し、好ましくは、低硬度層の1重量%以下であることをいう。このような粒子の例としては、マット剤が挙げられる。
低硬度層を基材フィルム上に適用する方法は公知の方法を採用できるが、一般的な塗布方法によって設けることが好ましい。例えば、バーコート法やリバースグラビアコート法である。塗布により設けることにより、製造効率をより高めることが可能になる。
低硬度層の厚さは特に定めるものではないが、1000〜5000nmであることが好ましい。
【0014】
本願発明における有機層は、好ましくは、有機層に用いる材料と溶剤を含む組成物を基材フィルム上に適用した後、溶剤を乾燥させて形成する。さらに、必要に応じて、紫外線等の照射により硬化させる。
有機層を形成する材料は、鉛筆硬度が低硬度層よりも2段階以上高い層を形成できる材料であれば特に定めるものではないが、鉛筆硬度が、好ましくはBより固い場合であり、より好ましくは、HB〜2Hの範囲である。
本願発明における有機層に用いる材料としては、具体的には、(メタ)アクリレートを含む組成物を基材フィルム上に適用し、必要により乾燥させた後、硬化して得られる層や、ラテックスおよびラテックスの架橋物の少なくとも1種を含む組成物を基材フィルム上に適用して乾燥させて得られる層が挙げられる。
有機層を基材フィルム上に適用する方法は公知の方法を採用できるが、一般的な塗布方法によって設けることが好ましい。例えば、バーコート法やリバースグラビアコート法である。塗布により設けることにより、製造効率をより高めることが可能になる。
有機層の厚さは、特に定めるものではないが、500nm〜1500nmであることが好ましい。
【0015】
無機層
本願発明における無機層は、好ましくは、有機層を設けた後に設けることが好ましく、有機層の表面に設けることがより好ましい。無機層は、好ましくは、真空蒸着により設ける。真空蒸着により設けることにより、製造効率をより高めることが可能になる。さらに好ましくは、無機層は、電子線過熱蒸着法により設ける。本願発明では、無機層も、ロールトゥロール方式の真空蒸着装置にセットして設けることがより好ましい。
無機層を構成する材料は、酸化珪素、酸化アルミニウム、窒化珪素、窒化アルミニウム、酸窒化珪素および酸窒化アルミニウムの少なくとも1種から選択されることが好ましく、酸化珪素、酸化アルミニウムおよび窒化珪素の少なくとも1種から選択されることがより好ましく、酸化珪素および/または酸化アルミニウムであることが好ましい。
無機層の厚さは、50〜150nmが好ましい。
【0016】
基材フィルム
本願発明で用いられる基材フィルムは、ロールトゥロールに適用でき、かつ、有機層、無機層、低硬度層等を支持しうる限り特に定めるものではない。通常は、ポリエチレンテレフタレート(PTE)やポリエチレンナフタレート(PEN)が好ましく用いられる。
基材フィルムの厚さは、50〜300μmが好ましい。
【0017】
本願発明のガスバリアフィルムの製造方法では、上述したように、基材フィルム11の上に、低硬度層12と、1層の有機層13と、1層の無機層14を設ける工程が開示されているが、さらに他の層を設ける工程を含んでいてもよい。図3は、基材フィルム11の上に、低硬度層12と、有機層13と、無機層14を設けた後、さらに、有機層13と、無機層14と、有機層13を該順に設けている。図3における符号の番号は、図1と共通である。ここで、それぞれの有機層およびそれぞれの無機層は、組成や厚さ等が同じであってもよいし異なっていてもよい。本願発明のガスバリアフィルムの製造方法で製造されるガスバリアフィルムは、有機層と無機層の積層が1層ずつでも高いバリア性を確保することができるが、さらに積層することにより、より高いバリア性を有するガスバリアフィルムを提供できる。
【0018】
また、本願発明のガスバリアフィルムの製造方法では、他の構成層を設ける工程を含んでいてもよい。例えば、基材フィルムの一方または両方の表面に他の機能性層を設けたり、有機層および無機層を積層した上の最表層として保護層を設ける工程を含んでいてもよい。他の機能性層の一例として、マット剤含有層が挙げられる。マット剤含有層は、低硬度層と基材フィルムの間に設けることが好ましい。このような構成を採用することにより、搬送性がより向上する傾向にある。
【0019】
本願発明のガスバリアフィルムの製造方法では、有機層を設けた後に、前記低硬度層を除去する工程を含んでいてもよい。低硬度層は、ガスバリアフィルムを製造する際の、有機層のダメージを抑制するために設けられる層であるため、最終製品としてのガスバリアフィルムには含まれていない方が好まれる場合もあるためである。低硬度層を除去する方法は特に定めるものではないが、例えば、基材フィルムと低硬度層の間に剥離可能な層を設け、剥離可能な層を剥離することにより低硬度層を除去することができる。
図4は、本願発明の製造方法の製造工程の途中で剥離可能な層を形成する場合の、該製造工程途中のフィルムの層構成を示した概略図である。図4中の符号は図1と共通である。本実施形態では、基材フィルム11、剥離可能な層41、低硬度層12、有機層13、無機層14の順に設けられ、剥離可能な層41を剥離することにより、低硬度層12を除去する。このような手段を採用することにより、余計な層を最終製品に残すことなく、バリア性の高いガスバリアフィルムを製造できる。
また、有機層を設けた後、剥離可能な層41を剥離して低硬度層12を除去した後、無機層14を設けてもよい。さらに、剥離可能な層を残したまま製品として出荷し、利用者が剥離可能な層を剥離して使用する態様とすることも可能である。
【0020】
本願発明では、さらに、本願発明の製造方法等によって製造されるガスバリアフィルムを開示する。例えば、基材フィルムの第一の面上に、有機層と無機層を有し、基材フィルムの第二の面側の最表面層として、前記有機層より鉛筆硬度が2段階以上低い低硬度層を有し、かつ、該低硬度層がガラス転移温度が20℃より高い樹脂を含み、かつ、粒子を実質的に含有しないことを特徴とする、ガスバリアフィルムである。基材フィルム、有機層、無機層および低硬度層の詳細は上記を参照することができる。
【0021】
(太陽電池)
本願発明のガスバリアフィルムは、太陽電池用バックシートや太陽電池用素子として好ましく用いることができる。
本願発明の太陽電池用バックシートは、太陽電池に用いる。太陽電池素子は通常、一対の基板の間に、太陽電池として働くアクテイブ部分が設けられた構成をしているが、この一対の基板のバックシート側に用いることができる。
本願発明の太陽電池用バックシートが好ましく用いられる太陽電池素子としては、特に制限はないが、例えば、単結晶シリコン系太陽電池素子、多結晶シリコン系太陽電池素子、シングル接合型、またはタンデム構造型等で構成されるアモルファスシリコン系太陽電池素子、ガリウムヒ素(GaAs)やインジウム燐(InP)等のIII−V族化合物半導体太陽電池素子、カドミウムテルル(CdTe)等のII−VI族化合物半導体太陽電池素子、銅/インジウム/セレン系(いわゆる、CIS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン系(いわゆる、CIGS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン/硫黄系(いわゆる、CIGSS系)等のI−III−VI族化合物半導体太陽電池素子、色素増感型太陽電池素子、有機太陽電池素子等が挙げられる。中でも、本願発明においては、上記太陽電池素子が、銅/インジウム/セレン系(いわゆる、CIS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン系(いわゆる、CIGS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン/硫黄系(いわゆる、CIGSS系)等のI−III−VI族化合物半導体太陽電池素子であることが好ましい。
その他本願発明の趣旨を逸脱しない範囲において、特開2009−38236号公報等の記載を参酌することができる。
【0022】
[電子デバイス]
本発明のガスバリアフィルムは、太陽電池以外に以下の電子デバイスにも好適に用いることができる。電子デバイスとしては、有機EL素子、液晶表示素子、薄膜トランジスタ、タッチパネル、電子ペーパー、等を挙げることができる。以下に応用例を記載する。
【0023】
(有機EL素子)
ガスバリアフィルムを用いた有機EL素子の例は、特開2007−30387号公報に詳しく記載されている。
【0024】
(液晶表示素子)
液晶表示素子としては、特開2009−172993号公報の段落番号0044の記載を参酌することができる。
【0025】
(その他)
その他の適用例としては、特表平10−512104号公報に記載の薄膜トランジスタ、特開平5-127822号公報、特開2002-48913号公報等に記載のタッチパネル、特開2000−98326号公報に記載の電子ペーパー等が挙げられる。
【実施例】
【0026】
以下に実施例を挙げて本願発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本願発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本願発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
【0027】
<ガスバリアフィルムの形成>
実施例1
ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、東レ社製、ルミラーS10、100μm厚)の片面に、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成社製、アロニックスM360)のメチルエチルケトン(MEK)溶液(7.5重量%)に紫外線重合開始剤(ランベルティ社製、商品名:KTO46)を添加(0.5重量%)した塗布液を塗布して、溶剤を乾燥除去した後に、紫外線光を照射して塗膜を硬化した。さらに、連続して、前記塗布面とは反対側の面に、トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成社製、アロニックスM309)のMEK溶液(7.5重量%)に紫外線重合開始剤(ランベルティ社製、商品名:KTO46)を添加(0.5重量%)した塗布液を塗布して、溶剤を乾燥除去した後に、紫外線光を照射して塗膜を硬化してフィルムを巻き取った。巻き取ったフィルムをロールトゥロール方式の真空蒸着装置にセットして、トリメチロールプロパントリアクリレート重合膜の表面に、高周波誘導加熱蒸着法により、SiO膜を連続的に製膜してフィルムを巻き取った。
【0028】
実施例2
PETフィルム(東レ社製、ルミラーS10、100μm厚)の片面にポリエステル系ラテックス(東洋紡社製、バイロナールMD1480)の水分散液(10重量%)を塗布して、加熱により乾燥・製膜した。更に前記塗布面とは反対側の面にトリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成社製、アロニックスM309)のMEK溶液(7.5重量%)に紫外線重合開始剤(ランベルティ社製、商品名:KTO46)を添加(0.5重量%)した塗布液をバー塗布法により塗布して、溶剤を乾燥除去した後に、紫外線光を照射して塗膜を硬化してフィルムを巻き取った。巻き取ったフィルムをロールトゥロール方式の真空蒸着装置にセットして、トリメチロールプロパントリアクリレート重合膜の表面に、高周波誘導加熱蒸着法により、SiO膜を連続的に製膜してフィルムを巻き取った。
【0029】
実施例3
片面に粘着性ポリプロピレンフィルム(日立化成工業社製、ヒタレックスDP1010、50μm厚)を貼り合せたPETフィルム(東レ社製、ルミラーS10、100μm厚)に、ポリプロピレンフィルムを貼り合せた面とは反対側の面にポリエステル系ラテックス(東洋紡社製、バイロナールMD1480)の水分散液(固形分濃度10重量%)を塗布して、加熱により乾燥・製膜してフィルムを巻き取った。巻き取ったフィルムをロールトゥロール方式の真空蒸着装置にセットして、ポリエステル系ラテックス膜の表面に、高周波誘導加熱蒸着法により、SiO膜を連続的に製膜してフィルムを巻き取った。
得られたポリプロピレンフィルムを剥がしてみたところ、特に問題なく剥がせることがわかった。
【0030】
比較例1
PETフィルム(東レ社製ルミラーS10、100μm厚)の片面にトリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成社製、アロニックスM309)のMEK溶液(7.5重量%)に紫外線重合開始剤(ランベルティ社製、商品名:KTO46)を添加(0.5重量%)した塗布液を塗布して、溶剤を乾燥除去した後に、紫外線光を照射して塗膜を硬化した。さらに、連続して、前記塗布面とは反対側の面に、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成社製、アロニックスM360)のメチルエチルケトン(MEK)溶液(7.5重量%)に紫外線重合開始剤(ランベルティ社製、商品名:KTO46)を添加(0.5重量%)した塗布液を塗布して、溶剤を乾燥除去した後に、紫外線光を照射して塗膜を硬化してフィルムを巻き取った。巻き取ったフィルムをロールトゥロール方式の真空蒸着装置にセットして、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート重合膜の表面に、高周波誘導加熱蒸着法により、SiO膜を連続的に製膜してフィルムを巻き取った。
【0031】
比較例2
PETフィルム(東レ社製ルミラーS10、100μm厚)の片面にポリエステル系ラテックス(東洋紡社製、バイロナールMD1480)の水分散液(10重量%)を塗布して、加熱により乾燥・製膜した。更に前記塗布面とは反対側の面にトリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成社製、アロニックスM309)のMEK溶液(7.5重量%)に紫外線重合開始剤(ランベルティ社製、商品名:KTO46)を添加(0.5重量%)した塗布液を塗布して、溶剤を乾燥除去した後に、紫外線光を照射して塗膜を硬化してフィルムを巻き取った。巻き取ったフィルムをロールトゥロール方式の真空蒸着装置にセットして、ポリエステル系ラテックス膜の表面に、高周波誘導加熱蒸着法により、SiO膜を連続的に製膜してフィルムを巻き取った。
【0032】
比較例3
PETフィルム(東レ社製ルミラーS10、100μm厚)の片面にポリエステル系ラテックス(東洋紡社製バイロナールMD1480)の水分散液(10重量%)を塗布して、加熱により乾燥・製膜した。更に前記塗布面とは反対側の面にエチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成社製、アロニックスM360)のMEK溶液(7.5重量%)に紫外線重合開始剤(ランベルティ社製、商品名:KTO46)を添加(0.5重量%)した塗布液を塗布して、溶剤を乾燥除去した後に、紫外線光を照射して塗膜を硬化してフィルムを巻き取った。巻き取ったフィルムをロールトゥロール方式の真空蒸着装置にセットして、ポリエステル系ラテックス膜の表面に、高周波誘導加熱蒸着法により、SiO膜を連続的に製膜してフィルムを巻き取った。
【0033】
比較例4
PETフィルム(東レ社製ルミラーS10、100μm厚)の片面にトリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成社製、アロニックスM309)のMEK溶液(7.5重量%)に紫外線重合開始剤(ランベルティ社製、商品名:KTO46)を添加(0.5重量%)した塗布液を塗布して、溶剤を乾燥除去した後に、紫外線光を照射して塗膜を硬化した。さらに、連続して、前記塗布面とは反対側の面に、トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成社製、アロニックスM309)のMEK溶液(7.5重量%)に紫外線重合開始剤(ランベルティ社製、商品名:KTO46)を添加(0.5重量%)した塗布液を塗布して、溶剤を乾燥除去した後に、紫外線光を照射して塗膜を硬化してフィルムを巻き取った。巻き取ったフィルムをロールトゥロール方式の真空蒸着装置にセットして、一方の面のトリメチロールプロパントリアクリレート重合膜の表面に、高周波誘導加熱蒸着法により、SiO膜を連続的に製膜してフィルムを巻き取った。
【0034】
比較例5
PETフィルム(東レ社製ルミラーS10、100μm厚)の片面にエチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成社製、アロニックスM360)のメチルエチルケトン(MEK)溶液(7.5重量%)に紫外線重合開始剤(ランベルティ社製、商品名:KTO46)を添加(0.5重量%)した塗布液を塗布して、溶剤を乾燥除去した後に、紫外線光を照射して塗膜を硬化した。さらに、連続して、前記塗布面とは反対側の面に、ポリエステル系ラテックス(東洋紡社製バイロナールMD1480)の水分散液(10重量%)を塗布して、加熱により乾燥・製膜してフィルムを巻き取った。巻き取ったフィルムをロールトゥロール方式の真空蒸着装置にセットして、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート重合膜の表面に、高周波誘導加熱蒸着法により、SiO膜を連続的に製膜してフィルムを巻き取った。
【0035】
実施例4
PETフィルム(東レ社製ルミラーS10、100μm厚)の片面にウレタンアクリレート(ダイセルサイテック社製、UV7600B)のメチルエチルケトン(MEK)溶液(7.5重量%)に紫外線重合開始剤(ランベルティ社製、商品名:KTO46)を添加(0.5重量%)した塗布液を塗布して、溶剤を乾燥除去した後に、紫外線光を照射して塗膜を硬化した。さらに、連続して、前記塗布面とは反対側の面に、トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成社製、アロニックスM309)のMEK溶液(7.5重量%)に紫外線重合開始剤(ランベルティ社製、商品名:KTO46)を添加(0.5重量%)した塗布液を塗布して、溶剤を乾燥除去した後に、紫外線光を照射して塗膜を硬化してフィルムを巻き取った。巻き取ったフィルムをロールトゥロール方式の真空蒸着装置にセットして、ウレタンアクリレート重合膜の表面に、高周波誘導加熱蒸着法により、SiO膜を連続的に製膜してフィルムを巻き取った。
【0036】
実施例5
実施例1において、巻き取ったフィルムをロールトゥロール方式の真空蒸着装置に代えて、ロールトゥロールの真空スパッタ装置にセットし、トリメチロールプロパントリアクリレートの塗膜表面に、反応性スパッタ方式で酸化アルミニウム膜を連続的に製膜したほかは、同様に行った。
【0037】
実施例6
実施例1において、巻き取ったフィルムをロールトゥロール方式の真空蒸着装置に代えて、ロールトゥロールの真空スパッタ装置にセットし、トリメチロールプロパントリアクリレートの塗膜表面に、反応性スパッタ方式でSiO2膜を連続的に製膜したほかは、同様に行った。
実施例7
実施例1において、巻き取ったフィルムをロールトゥロール方式の真空蒸着装置に代えて、ロールトゥロールの化学気相堆積(CVD)装置にセットし、トリメチロールプロパントリアクリレートの塗膜表面に、窒化珪素膜を連続的に製膜したほかは、同様に行った。
【0038】
実施例8
実施例1において、巻き取ったフィルムをロールトゥロール方式の真空蒸着装置に代えて、ロールトゥロールの化学気相堆積(CVD)装置にセットし、トリメチロールプロパントリアクリレートの塗膜表面に、酸窒化珪素膜を連続的に製膜したほかは、同様に行った。
【0039】
<評価>
得られたガスバリフィルムについて、硬度およびバリア性能(水蒸気透過度)を評価した。
【0040】
(硬度)
有機層および低硬度層の鉛筆硬度をJIS K−5600−5−4に記載の方法に従って測定した。
【0041】
(水蒸気透過度(WVTR))
ガスバリアフィルムの水蒸気バリア性能をカルシウム法(40℃、90%相対湿度)により測定した。結果は以下のとおり示した。
◎:WVTR≦0.005g/m2.Day
○:0.005g/m2.Day<WVTR≦0.05g/m2.Day
△:0.05g/m2.Day<WVTR≦0.1g/m2.Day
×:0.1g/m2.Day<WVTR
【0042】
結果を下記表に示す。
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
上記表から明らかなとおり、低硬度層の鉛筆硬度を有機層より2段階以上低くすることにより、バリア性に優れたガスバリアフィルムが得られた。これに対し、低硬度層の鉛筆硬度が有機層よりも高い場合、バリア性が著しく劣ることが確認された。特に、本願発明の製造方法では、高い生産効率で、0.1g/m2以下のバリア性を有するガスバリアフィルムが得られることが分かった。また、実施例5〜8の結果から明らかなように、本発明のバリアフィルムは無機層の種類にかかわらず、等しく優れた効果を奏することが分かった。
さらに、実施例3より、硬度が6B以下の低硬度層を採用することにより、顕著にバリア性能が向上することが分かった。
本発明の製造方法では、有機層を塗布により設け、無機層を蒸着により設け、ロールトゥロールで生産しても、0.1g/m2以下のバリア性を有するガスバリアフィルムが得られる点で、極めて有益である。
さらに、有機層および無機層を1層ずつ積層しただけで、0.1g/m2以下のバリア性を有するガスバリアフィルムが得られることが分かった。
【符号の説明】
【0045】
11 基材フィルム
12 低硬度層
13 有機層
14 無機層
21 第一のロール
22 低硬度層形成装置
23 有機層形成装置
24 第二のロール
41 剥離可能な層
51 ロール状に巻いたフィルム
52 装置
53 ロール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルムの第一の面上に有機層と無機層を有するガスバリアフィルムをロールトゥロール(roll to roll)で製造する方法であって、基材フィルムの第二の面側の最表面層として、前記有機層より鉛筆硬度が2段階以上低い低硬度層を設ける工程と、基材フィルムの第一の面上に前記有機層を設ける工程とを含む、ガスバリアフィルムの製造方法。
【請求項2】
前記低硬度層を設けた後に、前記有機層を設けることを特徴とする、請求項1に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
【請求項3】
前記低硬度層と前記有機層とをロールから巻きだしてから巻き取るまでの間に一貫して連続で設けることを特徴とする、請求項1または2に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
【請求項4】
前記有機層を設けた後に、前記低硬度層を除去する工程を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
【請求項5】
前記低硬度層が剥離可能な層である、請求項4に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
【請求項6】
前記無機層を真空蒸着により設ける、請求項1〜5のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
【請求項7】
前記低硬度層および/または前記有機層を塗布により設ける、請求項1〜6のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
【請求項8】
前記低硬度層の鉛筆硬度が、Fかそれより軟らかいことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
【請求項9】
前記低硬度層の鉛筆硬度が、6Bかそれより軟らかいことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
【請求項10】
ラテックスおよび/またはラテックス架橋物を含む組成物を基材フィルム上に適用して低硬度層を形成することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載ガスバリアフィルムの製造方法。
【請求項11】
低硬度層が、ポリエチレンまたはポリプロピレンを含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
【請求項12】
(メタ)アクリレート、ラテックスおよびラテックスの架橋物の少なくとも1種を含む組成物を基材フィルム上に適用して有機層を形成することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
【請求項13】
無機層が酸化珪素、酸化アルミニウム、窒化珪素、窒化アルミニウム、酸窒化珪素および酸窒化アルミニウムの少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム製造方法。
【請求項14】
基材フィルムの第一の面上に、有機層と無機層を有し、基材フィルムの第二の面側の最表面層として、前記有機層より鉛筆硬度が2段階以上低い低硬度層を有し、かつ、該低硬度層が、ガラス転移温度が20℃より高い樹脂を含み、かつ、粒子を実質的に含有しないことを特徴とする、ガスバリアフィルム。
【請求項15】
前記低硬度層鉛筆硬度が、Fかそれより軟らかいことを特徴とする、請求項14に記載のガスバリアフィルム。
【請求項16】
前記低硬度層鉛筆硬度が、6Bかそれより軟らかいことを特徴とする、請求項14に記載のガスバリアフィルム。
【請求項17】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法により製造されたことを特徴とする、請求項14〜16のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム。
【請求項18】
請求項14〜17のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムを有する電子デバイス。
【請求項19】
請求項14〜17のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムを有する太陽電池用バックシートまたは太陽電池素子。
【請求項1】
基材フィルムの第一の面上に有機層と無機層を有するガスバリアフィルムをロールトゥロール(roll to roll)で製造する方法であって、基材フィルムの第二の面側の最表面層として、前記有機層より鉛筆硬度が2段階以上低い低硬度層を設ける工程と、基材フィルムの第一の面上に前記有機層を設ける工程とを含む、ガスバリアフィルムの製造方法。
【請求項2】
前記低硬度層を設けた後に、前記有機層を設けることを特徴とする、請求項1に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
【請求項3】
前記低硬度層と前記有機層とをロールから巻きだしてから巻き取るまでの間に一貫して連続で設けることを特徴とする、請求項1または2に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
【請求項4】
前記有機層を設けた後に、前記低硬度層を除去する工程を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
【請求項5】
前記低硬度層が剥離可能な層である、請求項4に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
【請求項6】
前記無機層を真空蒸着により設ける、請求項1〜5のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
【請求項7】
前記低硬度層および/または前記有機層を塗布により設ける、請求項1〜6のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
【請求項8】
前記低硬度層の鉛筆硬度が、Fかそれより軟らかいことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
【請求項9】
前記低硬度層の鉛筆硬度が、6Bかそれより軟らかいことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
【請求項10】
ラテックスおよび/またはラテックス架橋物を含む組成物を基材フィルム上に適用して低硬度層を形成することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載ガスバリアフィルムの製造方法。
【請求項11】
低硬度層が、ポリエチレンまたはポリプロピレンを含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
【請求項12】
(メタ)アクリレート、ラテックスおよびラテックスの架橋物の少なくとも1種を含む組成物を基材フィルム上に適用して有機層を形成することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
【請求項13】
無機層が酸化珪素、酸化アルミニウム、窒化珪素、窒化アルミニウム、酸窒化珪素および酸窒化アルミニウムの少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム製造方法。
【請求項14】
基材フィルムの第一の面上に、有機層と無機層を有し、基材フィルムの第二の面側の最表面層として、前記有機層より鉛筆硬度が2段階以上低い低硬度層を有し、かつ、該低硬度層が、ガラス転移温度が20℃より高い樹脂を含み、かつ、粒子を実質的に含有しないことを特徴とする、ガスバリアフィルム。
【請求項15】
前記低硬度層鉛筆硬度が、Fかそれより軟らかいことを特徴とする、請求項14に記載のガスバリアフィルム。
【請求項16】
前記低硬度層鉛筆硬度が、6Bかそれより軟らかいことを特徴とする、請求項14に記載のガスバリアフィルム。
【請求項17】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法により製造されたことを特徴とする、請求項14〜16のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム。
【請求項18】
請求項14〜17のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムを有する電子デバイス。
【請求項19】
請求項14〜17のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムを有する太陽電池用バックシートまたは太陽電池素子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2011−213112(P2011−213112A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61260(P2011−61260)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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