説明

ガス処理装置

【課題】隣接するガス処理ユニット間の空間でもプラズマを発生させ、全体のガス処理能力を更に高める。
【解決手段】ガス処理ユニットGU1の第1の電極8−1と第2の電極9−1との間に、電極8−1をグランド電極、電極9−1を高圧電極として、高電圧電源5からの高電圧を印加する。また、ガス処理ユニットGU2の第1の電極8−2と第2の電極9−2との間に、電極8−2を高圧電極、電極9−2をグランド電極として、高電圧電源5からの高電圧を印加する。これにより、対向する電極間に電位差が生じ、隣接するガス処理ユニット間の空間でもプラズマが発生して(エリアAR1,AR2でもプラズマが発生する)、ガス処理が行われるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、処理対象ガスに含まれる有害ガスを浄化するガス処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、排気ガス中で高電圧放電を行ってプラズマ状態を作ることで、排気ガスに含まれる有害ガスの浄化を行う技術が知られている。近年、この技術は、脱臭を目的として、工場の排気を浄化する浄化装置や室内の空気を浄化する空気清浄機に応用されつつある。
【0003】
熱的に非平衡な状態、つまり気体の温度やイオン温度に比べ、電子温度が非常に高い状態のプラズマ(非平衡プラズマ(以下、単にプラズマと言う))は、電子衝突でつくられるイオンやラジカルが常温では起こらない化学反応を促進させるので、有害ガスを効率的に除去あるいは分解することが可能な媒体として有害ガス処理において有用であると考えられている。実用化で肝心なことは、処理時のエネルギーの効率の向上と、プラズマで処理した後に完全に安全な生成物質へと変換されることである。
【0004】
一般に、大気圧でのプラズマは気体放電や電子ビームなどによって生成される。現在において、適用が考えられているものに、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)、フロン、CO2 ,揮発性有機溶剤(VOC)などがある。中でもNOxは車の排ガスなどに含まれているので早急な実用化が必要となっている。
【0005】
NOx除去における放電プラズマ(気体放電によって生成されたプラズマ)内の現象は、電子衝突によって1次的に生成されたイオンやラジカルが最初の反応を起こし、その後の反応を通してN2 ,H2 O,NH4 NO3 などの各粒子に変換されて行くものと考えられている。
【0006】
また、有害ガスを例えばアセトアルデヒドやホルムアルデヒドとした場合、この有害ガスをプラズマを通すことによって、CO2 とH2 Oに変換される。この場合、副生成物として、オゾン(O3 )が発生する。
【0007】
図3に放電プラズマを利用した従来のガス処理装置の要部を例示する(例えば、特許文献1参照)。同図において、1は処理対象ガス(有害ガスを含む空気)GSが流れるダクト(通風路)であり、ダクト1内には、処理対象ガスGSの通過方向に沿って放電電極2とグランド電極3とが交互に配置され、これら電極2,3間にセルと呼ばれる多数の貫通孔4aを有するハニカム構造体4が配設されている。5は高電圧電源である。なお、ハニカム構造体4はセラミックス等の絶縁体で形成されており、特許文献2にもその使用例がある。
【0008】
放電電極2は、金属製メッシュ、極細ワイヤ、または針状体等で形成されている。各放電電極2は、導線6によって高電圧電源5の+極に接続されている。グランド電極3は、金属性メッシュ等で形成されている。各グランド電極3は、導線7によって高電圧電源5の−極に接続されている。
【0009】
このガス処理装置では、処理対象ガスGSをダクト1に流し、放電電極2とグランド電極3との間に高電圧電源5からの高電圧(数kV〜数10kV)を印加する。これにより、各ハニカム構造体4の貫通孔4a内にプラズマが発生し、このプラズマ中に生成されるイオンやラジカルによって、処理対象ガスGSに含まれる有害ガスが無害な物質に分解される。
【0010】
しかしながら、このような構成のガス処理装置では、次のような問題点を有する。
(1)多数のハニカム構造体4を有するが、ばらつきなく均一なプラズマを発生させる技術が確立されておらず、ハニカム構造体4の性能にばらつきが出てしまう。例えば、同じハニカム構造体4同士でもインピータンス値が異なることがあり、また1つのハニカム構造体4内でも例えばその上下でインピーダンス値が異なるというようなこともあり、全体として均一なプラズマが発生せず、ガス処理能力が不安定となる。また、貫通孔4aだけでのプラズマ発生なので、プラズマの発生量が少なく、ガス処理能力が低い。
【0011】
(2)ハニカム構造体4は吸湿すると低インピーダンスに、乾燥すると高インピーダンスになる特性を持っており、ハニカム構造体4が低インピーダンスになると、流れる電流が増大し放電電極2とグランド電極3との間に印加される高電圧値が低下し、ハニカム構造体4が高インピーダンスになると、流れる電流が減少し放電電極2とグランド電極3との間に印加される高電圧値が上昇する。このような高電圧値の変化に対し、所望のプラズマの発生量を確保し得る高電圧値を得ることのできる高電圧電源5は、その設計に要する工数も含めて非常に高価となる。
【0012】
(3)ハニカム構造体4のそれぞれに対して放電電極2とグランド電極3を設けているため、部品点数が多く、構造も複雑となり、高価となる。
(4)処理対象ガスGSの通過方向(ダクト1の入口から出口への方向)に沿ってハニカム構造体4がダクト1内に配置されているため、ハニカム構造体4のガス流と直交する方向の寸法が長く、これに対してガス流と平行な方向の寸法が短くなっている。このため、ガス流の流速が速いと、処理対象ガスGSがハニカム構造体4の内部でプラズマに晒される時間が短く、ガス処理能力が落ちる。
【0013】
そこで、本出願人は、上述した従来のガス処理装置の問題点を解決するものとして、図4に示すようなタイプ1のガス処理装置を提案した(特許文献3参照)。このガス処理装置では、ダクト1の入口から出口への処理対象ガスGSの通過方向に対し直交する方向に沿って間隔G(G1〜G3)を設けて、多数の貫通孔(丸孔)4aを有する複数のハニカム構造体4(4−1〜4−4)を配置している。
【0014】
なお、8はハニカム構造体4−1〜4−4のうち処理対象ガスGSの通過方向に対し直交する方向の一端に位置するハニカム構造体4−1の外側に配置された第1の電極、9はハニカム構造体4−1〜4−4のうち処理対象ガスGSの通過方向に対し直交する方向の他端に位置するハニカム構造体4−4の外側に配置された第2の電極であり、処理対象ガスGSが通過するように金属製メッシュとされている。
【0015】
この第1の電極8と第2の電極9との間に、電極8を高圧電極、電極9をグランド電極として、高電圧電源(高電圧源)5からの高電圧を印加することにより、ハニカム構造体4の貫通孔4aおよびハニカム構造体4間の空間11(11−1〜11−3)にプラズマを発生させる。これにより、プラズマ中に生成されるイオンやラジカルによって、処理対象ガスGSに含まれる有害ガスが無害な物質に分解される。
【0016】
また、本出願人は、図5に示すようなタイプ2のガス処理装置を提案した(特許文献4参照)。このガス処理装置では、ハニカム構造体4−1と4−2とで第1のハニカム構造体群4Aを構成し、この第1のハニカム構造体群4Aの両端に位置するハニカム構造体4−1および4−2の外側に、第1の電極として電極8を配置し、第2の電極として電極9を配置している。また、ハニカム構造体4−3と4−4とで第2のハニカム構造体群4Bを構成し、この第2のハニカム構造体群4Bの両端に位置するハニカム構造体4−3および4−4の外側に、第1の電極として電極9を配置し、第2の電極として電極10を配置している。
【0017】
そして、第1のハニカム構造体群4Aにおいて、第1の電極8と第2の電極9との間に、電極8を高圧電極、電極9をグランド電極として、高電圧電源5からの高電圧を印加することにより、また、第2のハニカム構造体群4Bにおいて、第1の電極9と第2の電極10との間に、電極9をグランド電極、電極10を高圧電極として、高電圧電源5からの高電圧を印加することにより、ハニカム構造体4の貫通孔4aおよびハニカム構造体4間の空間11(11−1,11−2)にプラズマを発生させる。これにより、プラズマ中に生成されるイオンやラジカルによって、処理対象ガスGSに含まれる有害ガスが無害な物質に分解される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2000−140562号公報
【特許文献2】特開2001−276561号公報
【特許文献3】特開2008−194669号公報
【特許文献4】特開2008−194670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
上述したタイプ1やタイプ2のガス処理装置では、図3に示されたガス処理装置よりもガス処理能力が向上しているが、更にガス処理能力を向上させるためにはタイプ1やタイプ2のガス処理装置を1つのガス処理ユニットして、処理対象ガスGSの通過方向に複数設置することが考えられる。図6にタイプ1のガス処理ユニットを処理対象ガスGSの通過方向に2つ設置した例を示す。図7にタイプ2のガス処理ユニットを処理対象ガスGSの通過方向に2つ設置した例を示す。
【0020】
この場合、図6に示した例では、隣接するガス処理ユニットGU1,GU2の高圧電極8−1と8−2とが対向し、またグランド電極9−1と9−2とが対向し、この対向する電極間では電位差がつかないため、ガス処理ユニットGU1,GU2間の空間ではプラズマが生じにくく(エリアAR1,AR2でのプラズマの発生がない)、この場合の全体のガス処理能力は個々のガス処理ユニットGU1,GU2の和に留まる。
【0021】
また、図7に示した例では、隣接するガス処理ユニットGU1,GU2の高圧電極8−1と8−2とが対向し、またグランド電極9−1と9−2とが対向し、また高圧電極10−1と10−2とが対向し、この対向する電極では電位差がつかないため、ガス処理ユニットGU1,GU2間の空間ではプラズマが生じにくく(エリアAR1,AR2,AR3でのプラズマの発生がない)、この場合の全体のガス処理能力は個々のガス処理ユニットGU1,GU2の和に留まる。
【0022】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、隣接するガス処理ユニット間の空間でもプラズマを発生させ、全体のガス処理能力を更に高めることが可能なガス処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
このような目的を達成するために本発明は、通風路の入口から出口への処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向に沿って間隔を設けて配置され処理対象ガスが通過する多数の貫通孔を有する複数のハニカム構造体と、複数のハニカム構造体のうち処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向の一端に配置されるハニカム構造体の外側に配置される第1の電極と、複数のハニカム構造体のうち処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向の他端に配置されるハニカム構造体の外側に配置される第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に高電圧を印加しハニカム構造体の貫通孔およびハニカム構造体間の空間にプラズマを発生させる高電圧源とを備えたガス処理ユニットを処理対象ガスの通過方向に沿って複数設置したガス処理装置において、隣接するガス処理ユニット同士の第1の電極および第2の電極を対向させ、かつこの対向する各電極の高電圧の印加極性を互いに異なるものとしたものである。
【0024】
また、通風路の入口から出口への処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向に沿って間隔を設けて配置され処理対象ガスが通過する多数の貫通孔を有する複数のハニカム構造体と、複数のハニカム構造体のうち隣り合う複数のハニカム構造体を1群のハニカム構造体群とし、これらハニカム構造体群毎にその両端に位置するハニカム構造体の外側に配置された第1および第2の電極と、各ハニカム構造体群の第1の電極と第2の電極との間に個別に高電圧を印加しハニカム構造体の貫通孔およびハニカム構造体間の空間にプラズマを発生させる高電圧源とを備えたガス処理ユニットを処理対象ガスの通過方向に沿って複数設置したガス処理装置において、隣接するガス処理ユニットの各ハニカム構造体群同士の第1の電極および第2の電極を対向させ、かつその対向する各電極の高電圧の印加極性を互いに異なるものとしたものである。
【0025】
この発明によれば、タイプ1のガス処理ユニットを処理対象ガスの通過方向に沿って複数設置するものとした場合、隣接するタイプ1のガス処理ユニット同士の第1の電極および第2の電極が対向し、かつこの対向する各電極の高電圧の印加極性が互いに異なるものとなる。例えば、隣接する一方のガス処理ユニットの第1の電極を高圧電極とし、第2の電極をグランド電極とした場合、隣接する他方のガス処理ユニットの第1の電極がグランド電極とされ、第2の電極が高圧電極とされる。これにより、対向する電極間に電位差が生じ、隣接するガス処理ユニット間の空間でもプラズマが発生して、ガス処理が行われるようになる。
【0026】
また、タイプ2のガス処理ユニットを処理対象ガスの通過方向に沿って複数設置するものとした場合、隣接するタイプ2のガス処理ユニットの各ハニカム構造体群同士の第1の電極および第2の電極が対向し、かつこの対向する各電極の高電圧の印加極性が互いに異なるものとなる。例えば、隣接する一方のガス処理ユニットのハニカム構造体群の第1の電極を高圧電極とし、第2の電極をグランド電極とした場合、隣接する他方のガス処理ユニットのハニカム構造体群の第1の電極がグランド電極とされ、第2の電極が高圧電極とされる。これにより、対向する電極間に電位差が生じ、隣接するガス処理ユニット間の空間でもプラズマが発生して、ガス処理が行われるようになる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、隣接するガス処理ユニット同士の第1の電極および第2の電極を対向させ、かつこの対向する各電極の高電圧の印加極性を互いに異なるものとしたので、また、隣接するガス処理ユニットの各ハニカム構造体群同士の第1の電極および第2の電極を対向させ、かつその対向する各電極の高電圧の印加極性を互いに異なるものとしたので、対向する電極間に電位差が生じ、隣接するガス処理ユニット間の空間でもプラズマが発生してガス処理が行われるようになり、ガス処理ユニット個々のガス処理能力の和にガス処理ユニット間で発生するプラズマによるガス処理能力分が加わり、全体のガス処理能力が更に高まるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係るガス処理装置の一実施の形態(実施の形態1)の要部を示す図である。
【図2】本発明に係るガス処理装置の他の実施の形態(実施の形態2)の要部を示す図である。
【図3】放電プラズマを利用した従来のガス処理装置の要部を例示する図である。
【図4】特許文献3に示されたガス処理装置(タイプ1のガス処理ユニット)の要部を示す図である。
【図5】特許文献4に示されたガス処理装置(タイプ2のガス処理ユニット)の要部を示す図である。
【図6】従来のタイプ1のガス処理ユニットを処理対象ガスの通過方向に2つ設置した例を示す図である。
【図7】従来のタイプ2のガス処理ユニットを処理対象ガスの通過方向に2つ設置した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0030】
〔実施の形態1(タイプ1)〕
図1はこの発明に係るガス処理装置の一実施の形態(実施の形態1)の要部を示す図である。同図において、図6と同一符号は図6を参照して説明した構成要素と同一或いは同等構成要素を示し、その説明は省略する。
【0031】
このガス処理装置でも、図6に示したガス処理装置と同様に、処理対象ガスGSの通過方向(ダクト1の入口から出口への方向)に沿って、タイプ1のガス処理ユニットGU1とGU2とをダクト1内に配置している
【0032】
但し、この実施の形態では、ガス処理ユニットGU1の第1の電極8−1と第2の電極9−1との間に、電極8−1をグランド電極、電極9−1を高圧電極として、高電圧電源5からの高電圧を印加するようにしている。また、ガス処理ユニットGU2の第1の電極8−2と第2の電極9−2との間に、電極8−2を高圧電極、電極9−2をグランド電極として、高電圧電源5からの高電圧を印加するようにしている。
【0033】
すなわち、この実施の形態では、隣接するガス処理ユニットGU1,GU2のグランド電極8−1と高圧電極8−2とを対向させ、また高圧電極9−1とグランド電極9−2とを対向させている。これにより、対向する電極間に電位差が生じ、隣接するガス処理ユニット間の空間でもプラズマが発生して(エリアAR1,AR2でもプラズマが発生する)、ガス処理が行われるようになる。
【0034】
このようにして、この実施の形態1では、ガス処理ユニットGU1,GU2の個々のガス処理能力の和にガス処理ユニット間で発生するプラズマによるガス処理能力分が加わり、全体のガス処理能力が更に高まるものとなる。
【0035】
〔実施の形態2(タイプ2)〕
図2はこの発明に係るガス処理装置の他の実施の形態(実施の形態2)の要部を示す図である。同図において、図7と同一符号は図7を参照して説明した構成要素と同一或いは同等構成要素を示し、その説明は省略する。
【0036】
このガス処理装置でも、図7に示したガス処理装置と同様に、処理対象ガスGSの通過方向(ダクト1の入口から出口への方向)に沿って、タイプ2のガス処理ユニットGU1とGU2とをダクト1内に配置している
【0037】
但し、この実施の形態では、ガス処理ユニットGU1の第1のハニカム構造体群4Aの第1の電極8−1と第2の電極9−1との間に、電極8−1をグランド電極、電極9−1を高圧電極として、高電圧電源5からの高電圧を印加するようにし、第2のハニカム構造体群4Bの第1の電極9−1と第2の電極10−1との間に、電極9−1を高圧電極、電極10−1をグランド電極として、高電圧電源5からの高電圧を印加するようにしている。
【0038】
また、ガス処理ユニットGU2の第1のハニカム構造体群4Cの第1の電極8−2と第2の電極9−2との間に、電極8−2を高圧電極、電極9−2をグランド電極として、高電圧電源5からの高電圧を印加するようにし、第2のハニカム構造体群4Dの第1の電極9−2と第2の電極10−2との間に、電極9−2をグランド電極、電極10−2を高圧電極として、高電圧電源5からの高電圧を印加するようにしている。
【0039】
すなわち、この実施の形態では、隣接するガス処理ユニットGU1,GU2のグランド電極8−1と高圧電極8−2とを対向させ、また高圧電極9−1とグランド電極9−2とを対向させ、グランド電極10−1と高圧電極10−2とを対向させている。これにより、対向する電極間に電位差が生じ、隣接するガス処理ユニット間の空間でもプラズマが発生して(エリアAR1,AR2,AR3でもプラズマが発生する)、ガス処理が行われるようになる。
【0040】
このようにして、この実施の形態2でも、ガス処理ユニットGU1,GU2の個々のガス処理能力の和にガス処理ユニット間で発生するプラズマによるガス処理能力分が加わり、全体のガス処理能力が更に高まるものとなる。
【0041】
実施の形態2のガス処理装置は、実施の形態1のガス処理装置よりも、隣接するガス処理ユニットGU1,GU2間で対向する電極の対が多いので、ガス処理ユニット間でのプラズマが発生する空間領域が広く、ガス処理能力のアップ分が大きい。
【0042】
なお、上述した実施の形態1,2において、ハニカム構造体4はオゾンを分解する触媒機能を備えたものとしてもよく、処理対象ガスGSの通過方向の下流位置にオゾンを分解する触媒を設けるようにしてもよい。
【0043】
また、上述した実施の形態1,2では、ガス処理ユニットの数を2つとしたが、さらにその数を増やすようにしてもよい。また、実施の形態1において、ガス処理ユニット内のハニカム構造体の数は4つに限られるものではなく、2つ以上であればよく、さらにその数を増やしてもよい。また、実施の形態2において、ガス処理ユニット内のハニカム構造体群の数は2つに限られるものではなく、さらにその数を増やしてもよい。また、ハニカム構造体群内のハニカム構造体の数も2つに限られるものでもない。
【0044】
また、上述した実施の形態1,2において、副生成物としてオゾンを大量に発生させ、オゾン発生器として転用するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明のガス処理装置は、燃料電池等に用いられる水素を効率的に生成する目的で、炭化水素類等から水素含有ガスを生成する、いわゆる改質にも適用することができる。例えばオクタン(ガソリンの平均分子量に比較的近い物質)C818の場合は、本ガス処理装置に供給すると下記(1)式で示される化学反応が促進され、その結果水素ガスを効率よく生成することができる。
818+8H2O+4(O2+4N2)→8CO2+17H2+16N2・・・・(1)
【符号の説明】
【0046】
1…ダクト(通風路)、4(4−11〜4−14、4−21〜4−24)…ハニカム構造体、4a…貫通孔(セル)、4A〜4D…ハニカム構造体群、5…高電圧電源、8−1,8−2,9−1,9−2,10−1,10−2…電極、11…空間、G(G1〜G6)…間隔、GS…処理対象ガス、GU(GU1,GU2)…ガス処理ユニット、AR1,AR2,AR3…エリア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通風路の入口から出口への処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向に沿って間隔を設けて配置され前記処理対象ガスが通過する多数の貫通孔を有する複数のハニカム構造体と、
前記複数のハニカム構造体のうち前記処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向の一端に配置されるハニカム構造体の外側に配置される第1の電極と、
前記複数のハニカム構造体のうち前記処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向の他端に配置されるハニカム構造体の外側に配置される第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に高電圧を印加し前記ハニカム構造体の貫通孔および前記ハニカム構造体間の空間にプラズマを発生させる高電圧源とを備えたガス処理ユニットを前記処理対象ガスの通過方向に沿って複数設置したガス処理装置において、
前記各ガス処理ユニットの第1の電極および第2の電極は、隣接するガス処理ユニット同士の第1の電極および第2の電極が対向し、かつ対向する各電極の高電圧の印加極性が互いに異なる
ことを特徴とするガス処理装置。
【請求項2】
通風路の入口から出口への処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向に沿って間隔を設けて配置され前記処理対象ガスが通過する多数の貫通孔を有する複数のハニカム構造体と、
前記複数のハニカム構造体のうち隣り合う複数のハニカム構造体を1群のハニカム構造体群とし、これらハニカム構造体群毎にその両端に位置するハニカム構造体の外側に配置された第1および第2の電極と、
前記各ハニカム構造体群の第1の電極と第2の電極との間に個別に高電圧を印加し前記ハニカム構造体の貫通孔および前記ハニカム構造体間の空間にプラズマを発生させる高電圧源とを備えたガス処理ユニットを前記処理対象ガスの通過方向に沿って複数設置したガス処理装置において、
前記各ガス処理ユニットの各ハニカム構造体群の第1の電極および第2の電極は、隣接するガス処理ユニットの各ハニカム構造体群同士の第1の電極および第2の電極が対向し、かつその対向する各電極の高電圧の印加極性が互いに異なる
ことを特徴とするガス処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−206704(P2011−206704A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77604(P2010−77604)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】