説明

ガス化溶融システムの溶融設備及び溶融方法

【課題】水砕槽より発生した水蒸気によるスラグ出滓口の冷却、補助バーナ等の機器への不具合を防止でき、溶融設備の円滑な運転を可能とした。
【解決手段】熱分解ガスバーナ3と、スラグ出滓口6と、スラグ出滓口6から水砕槽20まで延設されたスラグ抜出シュート7とを備えた旋回溶融炉2と、該旋回溶融炉の上方に配設された二次燃焼室15とからなる熱分解ガス化システムの溶融設備1において、スラグ抜出シュート7の下端が水砕槽20へ浸漬されて水封を形成し、該スラグ抜出シュート下端7aが水砕槽20への溶融スラグの落下により変位する水面位置より下方まで延設され、スラグ抜出シュート7から二次燃焼室15へ連通するバイパス通路10を設け、水砕槽20から蒸発した水蒸気を含む水蒸気含有ガス13の少なくとも一部をスラグ抜出シュート7から二次燃焼室15へ導く構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物を熱分解して熱分解ガスを発生させ、該熱分解ガスの燃焼熱で灰分を溶融するガス化溶融システムにおける溶融技術に関し、特に、溶融スラグを水砕する水砕槽から蒸発した水蒸気により溶融設備に不具合が発生することを防止し、円滑な運転を行うことを可能としたガス化溶融システムの溶融設備及び溶融方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、都市ごみを始めとして不燃ごみ、焼却残渣、汚泥、埋立ごみ等の廃棄物まで幅広く処理できる技術としてガス化溶融システムが知られている。
ガス化溶融システムの概略を図3に示す。ガス化溶融システムは、廃棄物を熱分解してガス化するガス化炉33と、該ガス化炉33の下流側に設けられ、ガス化炉33にて生成された熱分解ガス53を高温燃焼し、ガス中の灰分を溶融スラグ化する溶融設備1とを備えており、廃棄物の資源化、減容化及び無害化を図るために、溶融設備1からスラグを取り出して路盤材等の土木資材として再利用したり、溶融設備1から排出される排ガスから廃熱を回収して発電を行うなどしている(特許文献1等参考)。
【0003】
溶融設備1の一つとして、竪型旋回溶融炉2を備えた装置がある。竪型旋回溶融炉2は、熱分解ガス53を溶融炉内に吹き込む熱分解ガスバーナと、燃焼空気54を導入する燃焼空気供給ノズルとが配設されており、熱分解ガスバーナから噴出された熱分解ガス53は炉内で旋回流を形成させながら可燃分を燃焼させ、無機成分を溶融する。旋回流によって生じた遠心力によって溶融スラグは炉の内壁に付着し、壁面を伝って流下してスラグ出滓口より排出され、抜出シュート6を通って水砕槽20へ落下する。水砕槽20には冷却水が貯留されており、該冷却水内に落下した溶融スラグは急冷されることにより水砕し、水砕スラグとして回収される。一方、燃焼により発生した排ガスは、絞り構造の連結部5を介して二次燃焼室15に送られ、該二次燃焼室15にて未燃分を燃焼させた後にボイラ17を経て排ガス処理設備へ送られる。
【0004】
このような溶融設備では、炉内で発生した排ガスが上方の二次燃焼室へ導かれるため、下方に位置するスラグ出滓口に排ガスの顕熱が利用されず、スラグ出滓口が十分に加温されないため溶融スラグが炉壁に付着して閉塞する場合がある。従って、これを防ぐために種々の技術が提案されている。例えば、特許文献2(特開2000−205546号公報)では、スラグ排出管と二次燃焼室を直接接続するバイパス配管を設け、炉内の高温燃焼排ガスがスラグ排出管を経由して二次燃焼室に送られる構成とし、スラグ排出管が高温に維持されるようにしている。また、特許文献3(特開平11−63437号公報)でも同様に、溶融炉内の乾留ガスを、スラグ出滓口下流側から排ガス流路を介して二次燃焼室に導き、スラグ出滓口の冷却を防止する構成としている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−144402号公報
【特許文献2】特開2000−205546号公報
【特許文献3】特開平11−63437号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スラグ出滓口の冷却防止方法として、特許文献2乃至3に記載されるように、炉内の高温燃焼排ガスを出滓口側から抜き出してバイパスさせ、二次燃焼室に導く方法が提案されている。
しかし、スラグ出滓口が冷却される原因として、上記した高温燃焼排ガスの顕熱が利用できないという点の他に、水砕槽から蒸発する水蒸気によって冷却されることが考えられる。即ち、水砕スラグを回収する場合、スラグ抜出シュート下方に冷却水を貯留した水砕槽を設置するが、水砕槽内に高温の溶融スラグが落下する際に冷却水が蒸発して多量の水蒸気が発生する。特に、熱分解ガス化システムにおける溶融設備では、一般に炉内が負圧状態に維持されているため水蒸気が発生し易く、且つスラグ出滓口は密閉系であるため水蒸気が放散されずにスラグ出滓口や溶融炉内に残留し、この水蒸気がスラグ出滓口やスラグ抜出シュートを冷却し、溶融スラグが固化して閉塞してしまうことがある。
【0007】
また、スラグ出滓口を加温するために設置された補助バーナが、この水蒸気によって結露して故障してしまうことがあり、スラグ抜出シュートに設置された機器に不具合が発生することも考えられる。
しかしながら、特許文献2及び3に記載される装置では、水蒸気により生じるスラグ抜出シュートの冷却や機器の不具合についての対策は講じられておらず、特に特許文献3についてはガス化溶融システムに適用した装置ではないため、ガス化溶融システムのように溶融設備を負圧状態にすることにより水蒸気が多く発生することを考慮していないものと考えられる。
従って、本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、水砕槽より発生した水蒸気によるスラグ出滓口の冷却、補助バーナ等の機器への不具合を防止でき、溶融設備の円滑な運転を可能としたガス化溶融システムにおける溶融設備及び溶融方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明はかかる課題を解決するために、
廃棄物を熱分解して発生させた熱分解ガスを導入する熱分解ガスバーナと、該熱分解ガスの燃焼熱により灰分を溶融させて生じた溶融スラグを排出するスラグ出滓口と、該スラグ出滓口から水砕槽まで延設されたスラグ抜出シュートとを備えた旋回溶融炉と、該旋回溶融炉の上方に連結部を介して配設された二次燃焼室と、からなる熱分解ガス化システムの溶融設備において、
前記スラグ抜出シュートの下端が前記水砕槽に浸漬されて水封を形成し、該スラグ抜出シュート下端が、前記水砕槽への溶融スラグの落下により変位する水面位置より下方まで延設され、
前記スラグ抜出シュートから前記二次燃焼室へ連通するバイパス通路を設け、前記水砕槽から蒸発した水蒸気を含む水蒸気含有ガスの少なくとも一部を前記スラグ抜出シュートから前記二次燃焼室へ導くことを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、溶融スラグの落下により水砕槽から発生した水蒸気を、旋回溶融炉上方の二次燃焼室に逃がすことができるため、スラグ出滓口、スラグ抜出シュートや補助バーナが多量の水蒸気に晒されることがなく、スラグ出滓口及びスラグ抜出シュートの冷却による閉塞や、補助バーナの結露による故障等の機器の不具合を防止できる。また、水蒸気がスラグ抜出シュートを通ってその上方の旋回溶融炉に侵入することを防ぎ、旋回流の形成を妨げることなく円滑な運転が可能となる。
また、抜出シュート下端を従来よりも長く延設するようにしたため、溶融スラグの落下により水面が波立った場合であっても、確実に水封を維持することができる。
【0010】
また、前記スラグ抜出シュートに前記スラグ出滓口を加熱する補助バーナを設けたことを特徴とする。
このように、補助バーナにてスラグ出滓口を加熱することによりスラグ出滓口の冷却を防止し、且つ本発明によればバイパス通路を設けて水蒸気を逃がす構成としているため、補助バーナが水蒸気に晒されることがなく、補助バーナの結露による故障を防止できる。
【0011】
さらに、前記スラグ抜出シュートを含む旋回溶融炉内が負圧状態に維持されることを特徴とする。
このように、炉内を負圧状態に維持することにより、旋回溶融炉にて旋回流の形成を促進し、燃焼状態を良好に保つことができる。また、炉内を負圧状態とすることにより水砕槽からの水蒸気の発生が増大するが、本発明のようにバイパス通路を設けることにより水蒸気による冷却、不具合を防止できる。
また本発明では、旋回溶融炉の上方に開放された連結部を介して二次燃焼室が設けられた構成であるため、スラグ抜出シュートよりも二次燃焼室の方が負圧が大きくなる。従って、水蒸気含有ガスがバイパス通路を通ってスラグ抜出シュートから二次燃焼室側へ搬送されやすくなり、水蒸気の除去効率を高くすることができる。
【0012】
さらにまた、前記バイパス通路が、前記スラグ抜出シュートの下方で且つ前記水砕槽の水面近傍に設けられることを特徴とする。
これにより、水蒸気の大部分を二次燃焼室側へ導くことができ、水蒸気による冷却、不具合をより一層防止することができる。
【0013】
また、廃棄物を熱分解して発生させた熱分解ガスの燃焼熱により旋回溶融炉にて灰分を溶融し、該溶融により生じた溶融スラグをスラグ出滓口よりスラグ抜出シュートを経て水砕槽に排出するとともに、前記旋回溶融炉にて発生した燃焼排ガスを該溶融炉上方の二次燃焼室に導くようにした熱分解ガス化システムの溶融方法において、
前記スラグ抜出シュートの下端が前記水砕槽へ浸漬されて水封を形成し、前記水砕槽から蒸発した水蒸気を含む水蒸気含有ガスの少なくとも一部を、バイパス通路を介して前記スラグ抜出シュートから前記二次燃焼室へ導くことを特徴とする。
さらに、前記スラグ抜出シュートを含む旋回溶融炉内が負圧状態に維持されるように、該旋回溶融炉の後段側に設置された誘引ファンを制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上記載のごとく本発明によれば、溶融スラグの落下により水砕槽から発生した水蒸気を、旋回溶融炉上方の二次燃焼室に逃がすことができるため、スラグ出滓口、抜出シュートや補助バーナが多量の水蒸気に晒されることがなく、スラグ出滓口、抜出シュートの冷却による閉塞や、補助バーナの結露による故障等の機器の不具合を防止できる。従って、ガス化溶融システムの円滑な運転が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1は本発明の実施例に係る溶融設備の側断面を示す構成図、図2は図1の水砕槽を示す拡大側面図、図3は本発明の実施例に係るガス化溶融システムの全体構成を示す概略図である。
【0016】
まず、図3を参照して、本実施例に係るガス化溶融システムの概略構成を説明する。
廃棄物投入ホッパ31から投入された廃棄物50は、必要に応じて破砕、乾燥された後に給じん機32を介して流動床式ガス化炉33へ定量供給される。流動床ガス化炉33では、温度約120〜230℃、空気比0.2〜0.7程度の燃焼空気51が炉下部から風箱34を介して炉内に吹き込まれ、流動層温度が550〜650℃程度に維持されている。
廃棄物50は流動床ガス化炉33で熱分解ガス化され、ガス、タール、チャー(炭化物)に分解される。タールは、常温では液体となる成分であるが、ガス化炉内ではガス状で存在する。ガス化炉33の不燃物52は不燃物排出口35より逐次排出される。
チャーは流動層内で徐々に微粉化され、ガス及びタールに同伴して溶融設備1の縦型旋回溶融炉2へ導入される。以下、旋回溶融炉1へ導入されるこれらの成分を総称して熱分解ガス53と呼ぶ。尚、溶融設備1は、旋回溶融炉2と、該旋回溶融炉2の上方に配設された二次燃焼室15と、該二次燃焼室15の下流側に配設されたボイラ部17と、からなる。
【0017】
前記流動床ガス化炉33の炉頂部より排出された熱分解ガス53は、ライニングダクトを経て旋回溶融炉2の熱分解ガスバーナへ導入される。該熱分解ガスバーナで、熱分解ガス53は燃焼空気54と混合されて炉内に導入され、旋回流を形成する。このとき、燃焼空気は空気比0.9〜1.1、好ましくは1.0程度であると良い。
前記旋回溶融炉2では、熱分解ガス53と燃焼空気54の混合ガスが燃焼することにより炉内温度が1300〜1500℃に維持され、熱分解ガス53中の灰分が溶融、スラグ化される。溶融したスラグは、旋回溶融炉2の内壁面に付着、流下し、炉底部のスラグ出滓口6からスラグ抜出シュート7を経て排出される。旋回溶融炉2から排出されたスラグは、水砕槽20で急冷され、スラグコンベア21により搬出されて水砕スラグとして回収される。回収された水砕スラグは、路盤材等に有効利用することが可能である。
【0018】
一方、旋回溶融炉2から排出された燃焼排ガスは連結部5を介して二次燃焼室15へ導入される。二次燃焼室15では、燃焼空気55が空気比1.2〜1.5となるように供給され、前記燃焼排ガス中の未燃分はここで完全燃焼される。
燃焼排ガスは、ボイラ部17で熱回収されて、250℃程度まで冷却される。ボイラ部17から排出された燃焼排ガスは、減温塔36へ導入され、直接水噴霧により150℃程度まで冷却される。減温塔36から排出された燃焼排ガスは、必要に応じて煙道で消石灰、活性炭が噴霧され、反応集塵装置37に導入される。反応集塵装置37では、燃焼排ガス中の煤塵、酸性ガス、DXN類等が除去される。反応集塵装置37から排出された集塵灰は薬剤処理して埋立処分され、燃焼排ガスは蒸気式加熱器38で再加熱され、触媒反応装置39でNOが除去された後、誘引ファン40を介して煙突41より大気放出される。
【0019】
次に、図1を参照して本実施例における溶融設備1につき具体的に説明する。
同図に示されるように、溶融設備1は断面円形状の旋回溶融炉2を有しており、該旋回溶融炉2の側壁には、熱分解ガス53を吹き込む一又は複数の熱分解ガスバーナ3が配設され、該熱分解ガスバーナ3には燃焼空気(一次空気)54を導入する燃焼空気供給ノズル4が付設されている。また、熱分解ガスバーナ3の近傍には、助燃バーナ(図示略)が配設されている。さらに、炉本体2の上部は絞り構造の連結部5を介して二次燃焼室15に連通しており、旋回溶融炉2で発生した燃焼排ガスは二次燃焼室15に送られるようになっている。旋回溶融炉2の底部にはスラグ出滓口6が設けおり、該スラグ出滓口6から下方に延設されたスラグ抜出シュート7を通って溶融スラグが排出されるようになっている。スラグ抜出シュート7にはスラグ出滓口6へ向けて補助バーナ8が取り付けられており、スラグ出滓口6から排出される溶融スラグが固化して閉塞しないように保温する機能を有している。補助バーナ8に供給される補助燃料57としては、灯油、LPG、都市ガス等が挙げられ、燃焼空気の代わりに純度90%以上の酸素を使用することが望ましい。
【0020】
また、図2に示されるように、スラグ抜出シュート7の下方には水砕槽20が設置され、該水砕槽20内には冷却水24が貯留されている。該スラグ抜出シュート7の下端7aは冷却水24内に浸漬されており、スラグ抜出シュート7を水封している。また、水砕槽20内には、スラグコンベア21が浸漬配置され、スラグ抜出シュート7から落下してきた溶融スラグを受け止め、搬送する。溶融スラグは搬送される間に冷却水24により冷却、水砕された後に水砕スラグ排出口22より排出され、水砕スラグ56として回収される。水砕スラグ56はスラグ貯留部23に貯留される。
【0021】
本実施例の特徴的構成として、スラグ抜出シュート下端7aが水砕槽20に浸漬されて水封を形成するとともに、該下端7aが、水砕槽20への溶融スラグの落下により変位する水面位置より下方まで延設されるようにしている。さらに、スラグ抜出シュート7を含む溶融設備1内が負圧状態に維持されるように後段の誘引ファン40を制御するようにしている。尚、溶融設備1内は負圧状態であるため、スラグ抜出シュート7内の水面は周囲の水面より高い位置にあるが、この水面の高低差を含めた水面の変位よりも低い位置に到達するまでスラグ抜出シュート下端7aが延設されるようにする。このようにスラグ抜出シュート下端7aを従来よりも長くすることにより、溶融スラグの落下により水砕槽20の水面が波立った場合であっても、確実に水封を維持することができ、負圧状態を保つことができる。
【0022】
さらに本実施例では、スラグ抜出シュート7から二次燃焼室15に連通するバイパス通路10を設けた構成としている。バイパス通路の入口11は、水砕槽20から蒸発する水蒸気が抜き出される位置とし、該水蒸気を含む水蒸気含有ガス13の少なくとも一部を二次燃焼室15に導くようになっている。好適には、バイパス通路入口11は水砕槽20の水面近傍に位置させる。また、バイパス通路出口12は、絞り構造の連結部5より上部であって、二次燃焼室15の下部とする。
【0023】
本構成によれば、溶融スラグの落下により水砕槽から発生した水蒸気を、旋回溶融炉1上方の二次燃焼室15に逃がすことができるため、スラグ出滓口6、抜出シュート7や補助バーナ8が多量の水蒸気に晒されることがなく、スラグ出滓口6、抜出シュート7の冷却による閉塞や、補助バーナ8の結露による故障等の機器の不具合を防止できる。従って、ガス化溶融システムの円滑な運転が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例に係る溶融設備の側断面を示す構成図である。
【図2】図1の水砕槽を示す拡大側面図である。
【図3】ガス化溶融システムの全体構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0025】
1 溶融設備
2 竪型旋回溶融炉
3 熱分解ガスバーナ
5 連結部
6 スラグ出滓口
7 スラグ抜出シュート
7a スラグ抜出シュート下端
8 補助バーナ
10 バイパス通路
13 水蒸気含有ガス
15 二次燃焼室
20 水砕槽
21 スラグコンベア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を熱分解して発生させた熱分解ガスを導入する熱分解ガスバーナと、該熱分解ガスの燃焼熱により灰分を溶融させて生じた溶融スラグを排出するスラグ出滓口と、該スラグ出滓口から水砕槽まで延設されたスラグ抜出シュートとを備えた旋回溶融炉と、該旋回溶融炉の上方に連結部を介して配設された二次燃焼室と、からなる熱分解ガス化システムの溶融設備において、
前記スラグ抜出シュートの下端が前記水砕槽に浸漬されて水封を形成し、該スラグ抜出シュート下端が、前記水砕槽への溶融スラグの落下により変位する水面位置より下方まで延設され、
前記スラグ抜出シュートから前記二次燃焼室へ連通するバイパス通路を設け、前記水砕槽から蒸発した水蒸気を含む水蒸気含有ガスの少なくとも一部を前記スラグ抜出シュートから前記二次燃焼室へ導くことを特徴とするガス化溶融システムの溶融設備。
【請求項2】
前記スラグ抜出シュートに前記スラグ出滓口を加熱する補助バーナを設けたことを特徴とする請求項1記載のガス化溶融システムの溶融設備。
【請求項3】
前記スラグ抜出シュートを含む旋回溶融炉内が負圧状態に維持されることを特徴とする請求項1記載のガス化溶融システムの溶融設備。
【請求項4】
前記バイパス通路が、前記スラグ抜出シュートの下方で且つ前記水砕槽の水面近傍に設けられることを特徴とする請求項1記載のガス化溶融システムの溶融設備。
【請求項5】
廃棄物を熱分解して発生させた熱分解ガスの燃焼熱により旋回溶融炉にて灰分を溶融し、該溶融により生じた溶融スラグをスラグ出滓口よりスラグ抜出シュートを経て水砕槽に排出するとともに、前記旋回溶融炉にて発生した燃焼排ガスを該溶融炉上方の二次燃焼室に導くようにした熱分解ガス化システムの溶融方法において、
前記スラグ抜出シュートの下端が前記水砕槽へ浸漬されて水封を形成し、前記水砕槽から蒸発した水蒸気を含む水蒸気含有ガスの少なくとも一部を、バイパス通路を介して前記スラグ抜出シュートから前記二次燃焼室へ導くことを特徴とするガス化溶融システムの溶融方法。
【請求項6】
前記スラグ抜出シュートを含む旋回溶融炉内が負圧状態に維持されるように、該旋回溶融炉の後段側に設置された誘引ファンを制御することを特徴とする請求項5記載の熱分解ガス化システムの溶融方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−255844(P2007−255844A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−83640(P2006−83640)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】