説明

ガラスビード作製装置およびガラスビード作製方法ならびに前記装置または方法によって作製されたガラスビードを分析する蛍光X線分析装置および蛍光X線分析方法

【課題】金属試料であっても、溶融るつぼである白金るつぼを損傷させないでガラスビードを作製する方法および装置を提供するとともに、金属試料の組織、熱履歴、偏析、粒度などの影響を受けずに蛍光X線分析を正確かつ精度良く行うことができる蛍光X線分析方法および装置を提供する。
【解決手段】耐熱耐酸性の非金属製である溶解容器に金属粉末試料と鉱酸または鉱酸および溶解用酸化剤を入れ、金属粉末試料を溶解後、蒸発乾固し試料を金属酸化物にし、この乾固試料を白金るつぼに所定量採取し、所定量の融剤と溶融用酸化剤を加え加熱溶融しガラスビードを作製する。このガラスビードを用いて蛍光X線分析を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属試料からガラスビードを作製する装置および作製方法ならびに前記装置または方法によって作製されたガラスビードを分析する蛍光X線分析装置および蛍光X線分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属元素が金属単体または合金として存在する金属試料を蛍光X線分析法により定量分析を行うと、同一の成分量を含有する試料であっても、その試料である金属の組織、例えばフェライト系とオーステナイト系の違いや熱履歴、例えば試料である金属が生成過程で急冷されたか、徐冷されたか、の違いなどにより分析定量値が僅かに異なることがある。また、偏析や粉末試料の場合には粒度の違いによって分析定量値が異なることがある。これらの金属試料の組織、熱履歴、偏析、粒度などの影響を受けずに蛍光X線分析を行う方法としてガラスビードを作製して分析する方法が考えられるが、金属成分を主成分として含有する鉄鉱石、フェライト、スラグ、スケールなどの試料の場合、一般的ガラスビード作製方法では、ガラスビードが上手く作製できないという問題があり、そのため、種々の方法が考えられている。
【0003】
鉄鉱石、フェライト、スラグ、スケールなどの粉末試料を蛍光X線分析する場合、粉末試料に融剤と溶融用酸化剤を混合し、これを白金るつぼに入れ電気炉や高周波加熱炉で加熱溶融しガラスビードを作製する一般的ガラスビード作製方法では、試料中に含まれる金属成分や硫化物などが加熱溶融過程で白金るつぼの白金またはその他の貴金属成分と合金を生成し、白金るつぼを損傷させ、ガラスビードが作製できない。
【0004】
そのため、予備溶融する工程を有するガラスビード作製方法がある(特許文献1参照)。この方法では、白金からなる試料皿に金属、硫化物などの還元性成分を含む試料を入れ、これを加熱装置で予備溶融する工程と、冷却したガラスビード試料を粉砕し粉末化する工程と、粉砕された粉末試料を再び試料皿に入れ、加熱装置で加熱溶融する工程とによりガラスビードを作製している。また、スラグやスケールなどの金属鉄を含む粉末試料を融剤および溶融用酸化剤とともに加熱して溶融湯とするための白金るつぼと、溶融湯を鋳込んでガラスビードとするための白金るつぼを用いている方法がある(特許文献2参照)。特許文献1および2に記載の鉄鉱石、フェライト、スラグ、スケールなどの試料は金属元素が主成分の場合には、酸化物などの化合物(金属間化合物は除く)の状態で試料中に存在し、金属鉄、金属クロムなどの金属状態での含有率は数%以下であり、特許文献1または2の方法や装置を用いてガラスビードを作製すれば白金るつぼが損傷しないと考えられる。
【特許文献1】特開平7−20020号公報
【特許文献2】特開2004−85410号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、本発明の金属試料は主成分である金属元素が金属単体または合金として存在し、本発明の金属試料を特許文献1または2の方法や装置を用いてガラスビードを作製すると、加熱溶融過程で試料中の主成分である金属が白金るつぼの白金またはその他の貴金属成分との間で合金を生成し、白金るつぼが損傷しガラスビードが作製できなかった。
【0006】
また、ガラスビードを作製する加熱溶融過程で白金るつぼが損傷しないように、金属試料を少量採取する一方で溶融用酸化剤を多量に供給し、試料量と溶融用酸化剤量の比率である試料量/溶融用酸化剤量を通常の1/80以下にして金属粉末試料を溶融用酸化剤で包み込み加熱溶融する方法が考えられるが、この方法では、試料量が少なくなるため、試料の秤量誤差が分析結果に大きく影響し、試料の秤量誤差により分析定量値は大きく左右され、信頼性の乏しいものとなる。
【0007】
そこで本発明は、主成分である金属元素が金属単体または合金として存在する試料であっても、試料中の主成分である金属が白金るつぼの白金またはその他の貴金属成分との間で合金を生成せず、白金るつぼが損傷しないガラスビード作製方法および作製装置ならびに前記ガラスビード作製方法または装置によって作製されたガラスビードを分析する蛍光X線分析方法ならびに蛍光X線分析装置を提供し、金属試料の組織、熱履歴、偏析、粒度などの影響を受けずに蛍光X線分析を正確かつ精度良く行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の第1構成にかかる蛍光X線分析用のガラスビード作製方法は、耐熱耐酸性の非金属製である溶解容器に金属粉末試料と鉱酸または鉱酸および溶解用酸化剤を入れ、前記溶解容器を加熱し前記溶解容器内に存在する金属粉末試料を溶解し溶液試料にする第1ステップと、前記溶解容器内に存在する溶液試料を、さらに加熱し前記溶液試料を蒸発乾固し乾固試料とする第2ステップと、前記乾固試料の所定量を前記溶解容器より白金るつぼに採取する第3ステップと、前記白金るつぼに所定量の融剤と溶融用酸化剤を加え加熱溶融しガラスビードを作製する第4ステップとを有し蛍光X線分析用のガラスビードを作製する。
【0009】
本発明の第1構成の方法によれば、主成分である金属元素が金属単体または合金として存在する試料であっても、試料中の主成分である金属が鉱酸や溶解用酸化剤と反応し酸化物になり、白金るつぼの白金またはその他の貴金属成分との間で合金を生成せず、白金るつぼを損傷させずにガラスビードを作製することができる。前記金属粉末試料がフェロクロムからなる粉末試料である場合には、前記鉱酸として王水および硫酸を用いることができる。
【0010】
本発明の第2構成にかかる蛍光X線分析方法は、第1構成の方法で作製されたガラスビードを用いて蛍光X線分析を行う。
【0011】
本発明の第2構成にかかる蛍光X線分析方法によれば、金属試料の組織、熱履歴、偏析、粒度などの影響を受けずに蛍光X線分析を正確かつ精度良く行うことができる。
【0012】
本発明の第3構成にかかる蛍光X線分析用のガラスビード作製装置は、金属粉末試料を鉱酸または鉱酸および溶解用酸化剤とともに加熱溶解し、溶液になった溶液試料を蒸発乾固して乾固試料にするための溶解容器であって、耐熱耐酸性の非金属製である溶解容器と、前記乾固試料に融剤と溶融用酸化剤を加え加熱溶融する白金るつぼと、前記溶解容器および前記白金るつぼ格納手段と、前記金属粉末試料を供給する試料供給手段と、前記鉱酸また鉱酸および溶解用酸化剤を供給する酸供給手段と、前記溶解容器を加熱する第1加熱手段と、前記溶解容器中の前記乾固試料の所定量を採取する採取手段と、前記融剤を供給する融剤供給手段と、前記溶融用酸化剤を供給する溶融用酸化剤供給手段と、前記白金るつぼを加熱する第2加熱手段と、前記白金るつぼを計量する計量手段と、前記溶解容器と前記白金るつぼを搬送する容器搬送手段とを備え蛍光X線分析用のガラスビードを作製する。
【0013】
本発明の第3構成にかかる蛍光X線分析用のガラスビード作製装置によれば、白金るつぼを損傷させずにガラスビードを作製することができる。
【0014】
本発明の第4構成にかかる蛍光X線分析装置は、第3構成のガラスビード作製装置で作製されたガラスビードを搬送手段により分析位置に搬送して蛍光X線分析する。
【0015】
本発明の第4構成にかかる蛍光X線分析装置によれば、金属試料の組織、熱履歴、偏析、粒度などの影響を受けずに蛍光X線分析を正確かつ精度良く行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の第1実施形態の蛍光X線分析用のガラスビード作製方法を図1にしたがって説明する。まず、本方法の概要について説明する。金属試料であるフェロクロムの粉末試料を採取したビーカに王水と硫酸を加え加熱溶解し、試料が完全に溶液状態になったのを確認後、加熱温度を上昇させ溶液試料を蒸発乾固させ、放冷後、乾固試料の所定量を白金るつぼに秤量採取し、融剤、溶融用酸化剤、剥離剤を加え加熱溶融し、溶融試料を冷却しガラスビードを作製する。
【0017】
以下、本方法について、詳細に説明する。第1ステップでは、金属粉末試料であるフェロクロムを天秤で1グラム(g)を秤取り、秤量した粉末試料を耐熱耐酸性の溶解容器であるガラスビーカに入れ、鉱酸である王水30ミリリットル(ml)と濃硫酸を精製水で1:3に希釈した硫酸20ミリリットル(ml)を加え、攪拌後、ビーカを電熱ヒータに載せ、20℃〜110℃に電熱ヒータを設定し加熱を行い、適時、ビーカを攪拌し試料の溶解を促進させ、粉末試料を完全に溶解させ溶液試料にする。なお、試料の加熱溶解中に酸の蒸気や硝酸の白煙が発生するので、排気ダクトでこれらのガスを排気しながら行う。金属試料が粉末でない場合には、例えばタングステン・カーバイトベッセルを使用して湿式粉砕し粉末にして、金属粉末試料とすればよい。加熱溶解に使用する電熱ヒータはサンドバスを用いてもよい。
【0018】
第2ステップでは、第1ステップで生成した溶液試料の加熱温度を電熱ヒータで約110℃に設定し、加熱を続け溶液試料の水分を蒸発させ続け溶液の残量が僅かになると、溶液中の金属が酸化物になり、残渣となってガラスビーカの底に残る。この状態になると電熱ヒータの温度を110℃から1000℃に徐々に上昇させ、溶液試料の水分を蒸発させつづけると、白煙が発生し始めるが、さらに加熱をつづけ、試料溶液を蒸発乾固し放冷後、乾固試料とする。
【0019】
溶解容器にテフロン(登録商標)ビーカを用いた場合には、溶解容器の加熱温度を110℃から1000℃に徐々に上昇させ段階に入る前にセラミックス製や石英製の蒸発皿に試料を移し替え、その後の試料処理を行うのが好ましい。
【0020】
第3ステップでは、ガラスビーカから乾固試料をスパチュラで採取し、天秤で正確に0.2グラム(g)秤量し、その0.2gの乾固試料を白金るつぼに入れる。
【0021】
第4ステップでは、乾固試料を入れた白金るつぼに融剤である四ホウ酸リチウム(LiB)4.0gと溶融用酸化剤である硝酸リチウム(LiNO)2.0gを加えて混合した後、白金るつぼを加熱溶融炉である高周波炉内の白金るつぼ受けに載置し、高周波炉を1200℃に設定し加熱溶融を開始する。均一なガラスビードの作製と溶融を促進させるために、適時、白金るつぼを揺動させ加熱溶融を継続する。溶融に適切な時間例えば10分が経過すると、揺動を停止し、白金るつぼを白金るつぼ受けより取り出し、剥離剤であるヨウ化リチウムの50%溶液を0.1ミリリットル(ml)加える。剥離剤が加えられた白金るつぼを白金るつぼ受けに再度戻し加熱揺動し、剥離剤を溶融試料によく溶け込ませる。再度の揺動停止後、加熱を停止し白金るつぼを放冷し、作製されたガラスビードを白金るつぼより取り出す。
【0022】
本発明の第1実施形態にかかるガラスビード作製方法によれば、クロム(50〜70%)と鉄(20〜30%)の合金であるフェロクロムからなる粉末試料の主成分であるクロムや鉄が王水や硫酸と反応し酸化物になり、白金るつぼの白金またはその他の貴金属成分との間で合金を生成せず、白金るつぼを損傷させないでガラスビードを作製することができる。
【0023】
第2実施形態の金属粉末試料がフェロニオブであるガラスビード作製方法について説明する。第1ステップでは、金属粉末試料であるフェロニオブを天秤で1グラム(g)を秤取り、秤量した粉末試料を溶解容器であるビーカに入れ、鉱酸である王水15ミリリットル(ml)と濃硫酸:燐酸:精製水が2:1:7の割合で混合された混酸を25ミリリットル(ml)加え、攪拌後、フェロクロムの場合と同様に金属粉末試料のフェロニオブを加熱溶解し溶液試料にする。フェロクロムの場合と同様に、乾固試料とする第2ステップおよび乾固試料を白金るつぼに採取する第3ステップと順次進め、第4ステップでガラスビードを作製する。
【0024】
本発明の第2実施形態にかかるガラスビード作製方法によれば、ニオブと鉄の合金であるフェロニオブからなる粉末試料の主成分であるニオブや鉄が王水、燐酸および硫酸と反応し酸化物になり、白金るつぼの白金またはその他の貴金属成分との間で合金を生成せず、白金るつぼを損傷させないでガラスビードを作製することができる。
【0025】
第3実施形態の金属粉末試料がフェロマンガンであるガラスビード作製方法について説明する。第1ステップでは、金属粉末試料であるフェロマンガンを天秤で1グラム(g)を秤取り、秤量した粉末試料を溶解容器であるビーカに入れ、硫酸:燐酸:精製水が3:10:17の割合で混合された混合酸を30ミリリットル(ml)と精製水で1:1に希釈した硝酸を10ミリリットル(ml)加え、攪拌後、フェロクロムの場合と同様に金属粉末試料のフェロマンガンを加熱溶解し溶液試料にする。フェロクロムの場合と同様に、乾固試料とする第2ステップおよび乾固試料を白金るつぼに採取する第3ステップと順次進め、第4ステップでガラスビードを作製する。
【0026】
本発明の第3実施形態にかかるガラスビード作製方法によれば、マンガンと鉄の合金であるフェロマンガンからなる粉末試料の主成分であるマンガンや鉄が硫酸、燐酸および硝酸と反応し酸化物になり、白金るつぼの白金またはその他の貴金属成分との間で合金を生成せず、白金るつぼを損傷しないでガラスビードを作製することができる。
【0027】
前記でフェロクロム、フェロニオブ、フェロマンガンの3種の金属試料について説明したが、本発明でいう金属試料はこれらの試料に限られるものではなく、ステンレスなどの他の金属試料にも適用できる。また、金属試料を酸化物にするための鉱酸は前記した鉱酸や鉱酸を一定の割合で混合した混酸に限られるものではなく、金属試料の種類によってガラスビード作製のために最適な鉱酸であればよく、硫酸、塩酸、硝酸、燐酸、過塩素酸およびこれらの酸を一定の割合で混合した混酸であってもよい。前記した鉱酸や混酸だけでは金属試料を酸化物にすることができない場合には、鉱酸と溶解用酸化剤である過酸化水素溶液を用いて行うことができる。また、金属試料の秤取量や鉱酸および溶解用酸化剤の投入量は、前記の実施形態に限られるものではなく、金属試料の種類や試料の粉末状態、例えば、粘度などにより適切な量にすればよい。加熱溶融炉は電気炉を用いてもよい。
【0028】
第1から第3実施形態の方法で作製されたガラスビードを用いて分析する第4実施形態の蛍光X線分析方法について説明する。所望の分析条件に設定された蛍光X線分析装置の試料台に前記の実施形態で作製された試料であるガラスビードを載置し、測定を開始するとX線管から1次X線がガラスビードに照射され、ガラスビードから発生する2次X線である蛍光X線をゴニオメータで検出し、検出された蛍光X線の強度やエネルギに基づき解析し金属試料に含有される元素の同定や含有量を分析する。定量分析時には、ガラスビード作製時の乾固試料量、融剤量および溶融用酸化剤量を用いて希釈率や飛散補正を行う。ガラスビードの測定はゴニオメータを用いないエネルギ分散蛍光X線分析方法であってもよい。
【0029】
第4実施形態の蛍光X線分析方法によれば、金属粉末試料を鉱酸や溶解用酸化剤により酸化物に変化させてからガラスビードに作製しているので、金属試料が金るつぼの白金またはその他の貴金属成分との間で合金を生成せず、白金るつぼを損傷させないでガラスビードを作製することができ、金属試料の組織、熱履歴、偏析、粒度などの影響を受けずに蛍光X線分析を正確かつ精度良く行うことができる。
【0030】
以下、本発明の第5実施形態の蛍光X線分析用のガラスビード作製装置を図2にしたがって説明する。まず、この装置の構成について説明する。この装置では、図2に示すように、金属粉末試料を鉱酸または鉱酸および溶解用酸化剤とともに加熱溶解し、溶液になった溶液試料をさらに加熱し蒸発乾固して乾固試料にするための溶解容器であり、耐熱耐酸性の非金属製である溶解容器1と、前記乾固試料に融剤と溶融用酸化剤を加え加熱溶融するための白金るつぼ2とを用いるガラスビード作製装置であって、以下の格納手段10、試料供給手段20、酸供給手段205、第1加熱手段90、採取手段210、融剤供給手段120、溶融用酸化剤供給手段110、第2加熱手段80、計量手段30、容器搬送手段60および搬出手段100と、を備えている。
【0031】
溶解容器1は、耐熱耐酸性の非金属製であり、例えばガラス製の200ミリリットル容のビーカである。白金るつぼ2は、試料に融剤と溶融用酸化剤を加え加熱溶融し蛍光X線分析用のガラスビードを作製するために用いられる白金製のるつぼである。
【0032】
前記ガラスビーカ1および前記白金るつぼ2を格納する格納手段10は、例えば板金を折り曲げて形成した台で、上部に、ガラスビーカ1、白金るつぼ2がそれぞれ嵌入して格納される孔11、12が設けられている。また、各孔11、12の下方には、ガラスビーカ1、白金るつぼ2を冷却するための図示しない空気噴出口が設けられている。
【0033】
試料供給手段20は、金属粉末試料、例えばフェロクロムやフェロニオブを供給するもので、人手によって例えば1.0gに計量された粉末試料が入った複数のスプーン22を放射状に有して水平面内で周方向R1に回転する円板状のターレット21で構成され、金属粉末試料が入ったスプーン22を所定の供給位置Aに移動させ、図示しない反転機構で、スプーン22の軸心(ターレット21の径方向)回りであるR2方向にスプーン22を反転させることにより、金属粉末試料を、後述する容器搬送手段60によりスプーンの直下(金属粉末試料を受ける位置)に搬送されたガラスビーカ1に投入する。供給位置Aのスプーンが反転して空になると、ターレット21が回転し、次の金属粉末試料が入ったスプーン22を供給位置Aに移動させ、以降この繰り返しによって、スプーン22に入った金属粉末試料が順にガラスビーカ1に供給される。このような試料供給手段は、特許第3122401号に開示されている。
【0034】
なお、試料供給手段20は、回転するターレット21と反転するスプーン22による構成に限定されず、例えば、後述する容器搬送手段60と同様の試料投入ロボットで構成してもよく、その場合には、粉末試料が入った複数の試料容器を試料容器置き台に整列させておき、試料投入ロボットにより、試料容器を順に供給位置Aに搬送し、反転させて金属粉末試料を直下のガラスビーカ1に投入し、空になった試料容器を試料容器置き台のもとの位置に戻すことで、試料供給を実現できる。
【0035】
酸供給手段200は、鉱酸が収容された、例えば王水容器201、硫酸容器202および燐酸容器203とこれらの鉱酸容器から鉱酸の所定量を採取しガラスビーカ1に供給する手段、例えばペリスタルポンプ205からなっている。試料供給手段20によって金属粉末試料が投入されたガラスビーカ1は容器搬送手段60によって後述する第1加熱手段90に載置され、酸供給手段200によって鉱酸が供給される。鉱酸の所定量や供給時期の制御は後述する制御手段5によって制御される。例えば、王水容器201と硫酸容器202にそれぞれ接続されたチューブにより王水30ミリリットルと1:3の硫酸20ミリリットルがペリスタルポンプ205により吸い上げられ第1加熱手段90に載置されたガラスビーカ1に供給される。
【0036】
鉱酸容器は前記の他に塩酸容器、硝酸容器、過塩素酸容器を備えていてもよいし、さらに溶解用酸化剤である、例えば過酸化水素を収容した過酸化水素容器を備えていてもよい。鉱酸や溶解用酸化剤の所定量をガラスビーカ1に供給する手段には公知の自動ピペット機構を用いてもよい。鉱酸は常温であっても酸蒸気が発生するので、ガラスビーカへの鉱酸の供給が開始されると図示しない排気ダクトが作動し、これらの酸蒸気を排気する。
【0037】
第1加熱手段90は、電熱ヒータであり、金属粉末試料を溶解し溶液試料にする第1ステップや溶液試料を蒸発乾固し乾固試料とする第2ステップに応じた加熱温度と加熱時間に制御手段5によって制御される。
【0038】
乾固試料を採取する採取手段210は、乾固試料が収容されたガラスビーカ1を載置する乾固試料台211、図3に示す乾固試料をガラスビーカ1の底からすくい取るさじ状の採取先端部212、採取先端部212を載置されたガラスビーカ1の位置や後述する計量手段30に移動させるロボットアーム部213、214および採取先端部212が計量手段30に移動したときに採取先端部212を振動させる振動機構を内蔵するタワー部215からなる。採取先端部212は、さじ部216とさじ部216をアーム部214と垂直な軸を中心として回転させるさじ回転部217を有している。すなわち、公知のパワーシャベルのシャベルと同様の動作をする。
【0039】
図2の融剤供給手段40は、粉末の融剤を供給するもので、融剤を収納する収納部41、収納部41に連通し、計量手段30の計量台31の上方まで水平に延出した円筒状の供給筒42、供給筒42の内部手前から収納部41の内部奥まで直線状に設けられたスクリュー軸43、および、スクリュー軸43を回転させるモーターなどの駆動部44で構成される。スクリュー軸43を回転させることにより、収納部41内の融剤を連続的に搬送して供給筒42の先端から落とし、下方にある白金るつぼ2に投入できる。
【0040】
溶融用酸化剤供給手段110は、粉体の溶融用酸化剤、例えば硝酸リチウム2.0gを供給するもので、供給時に、後述する白金るつぼ受け85に載置された白金るつぼ2の上方に移動し、前記の融剤供給手段40と同様の機構を用いて供給することができる。液体の溶融用酸化剤を供給する場合には、自動ピペッタやペリスタルポンプなどの公知の機構を用いて供給するのが好ましい。
【0041】
第2加熱手段50は、乾固試料と融剤を溶融するために白金るつぼ2を1100〜1250℃に加熱する高周波コイルおよびそれを適切に冷却するための水冷用配管である。第2加熱手段50は、電気ヒータを備えた電気炉であってもよい。
【0042】
計量手段30は、白金るつぼ2および白金るつぼ2に内容物があるときは、それも含めた全体の重量を計量する電子天秤であり、白金るつぼ2が載置される計量台31を有している。
【0043】
剥離剤供給手段120は、液体の剥離剤、この実施形態ではヨウ化リチウム50%溶液0.1ミリリットルを供給するもので、供給時に、後述する白金るつぼ受け85に載置された白金るつぼ2の上方に移動し、図示しない公知の自動ピペッタやペリスタルポンプなどにより所定量の液体剥離剤を白金るつぼ2に投入する。なお、融剤、溶融用酸化剤、剥離剤には、分析すべき元素を含んでいない物質を選択する。剥離剤供給手段は、剥離剤が粉体の場合には、公知の機構で構成された(実用新案登録第2538051号など)機構を用いて供給することができる。
【0044】
容器搬送手段60は、ビーカ1や白金るつぼ2を搬送するロボットであり、鉛直軸Bを中心に回転する回転部61、回転部61に対して長手方向(水平方向)に移動するアーム62、および、アーム62の先端部に取り付けられ、アーム62に対して鉛直軸Cに沿って上下動できるとともに鉛直軸Cを中心に回転することもできるハンド部63で構成される。ハンド部63は、先端部において水平方向に開閉自在な一対の爪を有し、これにより、ビーカ1、白金るつぼ2を把持したり、離したりすることができる。
【0045】
ガラスビード作製時の白金るつぼの反転手段70や揺動手段80については、特許文献2に開示されている。
【0046】
ガラスビード搬出手段100は、特許文献2に開示されているようにガラスビード作製装置で作製されたガラスビードを蛍光X線分析装置まで搬送する。
【0047】
制御手段5は、例えばガラスビード作製装置3とは別体として備えられたパーソナルコンピュータなどであり、金属粉末試料供給時期、鉱酸供給量、溶解用酸化剤量、溶液試料の攪拌時間、ビーカ1の加熱温度と時間、ビーカ1の冷却時間、蒸発乾固試料の採取量、融剤量、溶融用酸化剤量、剥離剤量、白金るつぼの加熱温度と時間、白金るつぼの冷却時間などを制御するために試料供給手段20、酸供給手段205、第1加熱手段90、採取手段210、融剤供給手段120、溶融用酸化剤供給手段110、第2加熱手段80、計量手段30および容器搬送手段60を制御する。また、蒸発乾固試料の採取量、融剤量、溶融用酸化剤量を図示しない表示部に表示するとともに、それぞれの量をガラスビードの分析装置である蛍光X線分析装置に伝送する。さらに、制御手段5は、以上の動作に限らず、このガラスビード作製装置3の全体の動作を制御する。
【0048】
制御手段5は、フェロクロム、フェロニオブ、フェロマンガンなどの試料毎にガラスビード作製プログラムが記憶されている。また、新たな金属試料も含め試料毎にガラスビード作製プログラムの変更および設定が可能になっている。
【0049】
次に、金属粉末試料であるフェロクロムの1グラム(g)をガラスビードにする場合のガラスビード作製装置の動作について説明する。ガラスビード作製装置3を作動させる前に人手によって金属粉末試料であるフェロクロムの1.0gが計量され、試料供給手段20の複数のスプーン22に投入されている。図示しない入力手段から、ガラスビード作製の指令が入力されると、制御手段5により以下のように動作が制御される。まず、格納手段10に格納されているガラスビーカ1を容器搬送手段60により試料供給手段20の供給位置Aに搬送し、スプーン22を反転させることにより、フェロクロムをスプーンの直下(金属粉末試料を受ける位置)に搬送されたガラスビーカ1に投入する。フェロクロムがビーカ1に投入されると、容器搬送手段60によってビーカ1が第1加熱手段である電熱ヒータ90に載置される。
【0050】
ビーカ1が載置されると、酸供給手段であるペリスタルポンプ205により王水容器201から王水30ミリリットルと硫酸容器202から1:3の硫酸20ミリリットルがビーカ1に供給され、容器搬送手段60のハンド部63がビーカ1を把持し、アーム62の水平移動とハンド部63の回転の合成運動によりビーカ1の溶液を30秒間攪拌する。最初の攪拌後、第1加熱手段90である電熱ヒータで常温から110℃まで加熱温度を1分間で上昇させ、110℃で10分間加熱を続け、2分間毎にビーカ1を容器搬送手段60により攪拌し試料の溶解を促進させ、粉末試料を完全に溶解させ溶液試料にする。第1加熱手段である電熱ヒータ90の加熱温度、加熱時間および攪拌時間の制御も制御手段5によって制御されている。なお、試料の加熱溶解中に酸の蒸気や硝酸の白煙が発生するので、酸がビーカに供給され始めると電熱ヒータ90の上部に設けられた図示しない排気ダクトの排気を開始し排気を継続する。
【0051】
さらに、加熱温度110℃で20分間加熱を続けると、溶液中の金属が酸化物になり残渣となってガラスビーカの底に残る。次に、電熱ヒータの加熱温度を5分間で110℃から1000℃に上昇させ、さらに1000℃で2分間加熱を続けた後、電熱ヒータ90での加熱を停止し、蒸発乾固された試料を放冷し乾固試料とする。前記したように常温から110℃まで、また110℃から1000℃までの加熱温度、加熱時間および攪拌時間などの制御は制御手段5により制御される。前もって溶解する金属試料の種類、試料量、溶解に使用する鉱酸が分かっているので、何度で何分加熱すれば溶解し溶解試料となり、何度で何分加熱すれば溶液試料中の水分が蒸発し乾固試料となるかが実験で分かっているので、加熱温度、加熱時間および攪拌時間などの温度プログラムを制御手段に記憶させることによって金属粉末試料の溶解、蒸発乾固を精度よく行なうことができる。
【0052】
次に、容器搬送手段60が乾固試料の入ったガラスビーカ1を電熱ヒータ90から採取手段210の乾固試料台211に載置する。ハンド部63はガラスビーカ1を乾固試料台211に載置しガラスビーカ1を把持した状態で待機する。ガラスビーカ1が乾固試料台211に載置されると採取手段210のロボットアーム部213が下降し、さじ部216がビーカ1の底の手間の位置、例えばビーカ1の底から2ミリメートルの位置で下降を停止する。採取先端部212が停止すると採取先端部212のさじ部216がさじ回転部217により回転され、ビーカの底に強く接触しさじ部216の回転動作により乾固試料を採取し、試料を採取するとロボットアーム部213が上昇し、その状態で待機する。
【0053】
採取手段210の乾固試料採取の動作と平行して、白金るつぼ2への融剤などの計量投入が以下のようになされる。容器搬送手段60が、白金るつぼ2を計量手段30の計量台31まで搬送して載置する。計量手段30は、まず、空の白金るつぼ2を計量する。そして、所定量の前記融剤、例えば4.0gの粉末の四ホウ酸リチウムが白金るつぼ2に入るまで、つまり白金るつぼ2全体の重量(白金るつぼ2および内容物の重量)が4.0g増すまで、計量手段30で白金るつぼ2全体の重量を計量しながら、融剤供給手段40が白金るつぼ2に融剤を供給する。4.0gの融剤が入ると、スクリュー軸43を逆方向に少し回転させてから停止し、融剤が供給筒42からこぼれ落ちて余分に白金るつぼ2に入るのを防止する。
【0054】
次に、前記したように乾固試料を採取して待機している採取手段210がタワー部215の中心軸を中心にして計量台31に載置されている白金るつぼ2の位置に回転し、さじ部216に採取されている乾固試料をタワー部215の振動機構により採取先端部212を振動させ白金るつぼ2に供給する。この動作を1回または数回繰り返し乾固試料が0.2g入るまで、つまり白金るつぼ2全体の重量(白金るつぼ2および内容物の重量)が0.2g増すまで、計量手段30で白金るつぼ2全体の重量を計量しながら、採取手段210が白金るつぼ2に乾固試料を供給する。
【0055】
乾固試料を白金るつぼ2に採取後、容器搬送手段60は、白金るつぼ2を白金るつぼ受け85まで搬送して載置する。そして、溶融用酸化剤供給手段110が、白金るつぼ2の上方に移動して、溶融用酸化剤として例えば硝酸リチウムを2.0g白金るつぼ2に供給する。溶融用酸化剤として50%の希硝酸を例えば2ミリリットルを白金るつぼ2に供給するようにしてもよい。
【0056】
硝酸リチウムの供給後、容器搬送手段60は、白金るつぼ2に蓋6を被せる。白金るつぼ2は、揺動手段80により、第2加熱手段50で例えば1200℃に加熱されながら揺動され、かつ揺動ごとに急停止される。つまり、金属粉末試料であるフェロクロムが酸化物になっており、試料中の金属が白金るつぼ2と反応することがないので白金るつぼ2が損傷することなく、ガラスビードを作製できる。また、白金るつぼ2が加熱されながら揺動され、かつ揺動ごとに急停止されることにより、溶融中の試料と融剤が効率よく攪拌され、作製されるガラスビードが均質なものになる。溶融に適切な時間例えば10分が経過すると、揺動手段80は揺動をいったん停止する。
【0057】
揺動の停止後、容器搬送手段60は、白金るつぼ2から蓋6を外してもとの第2加熱手段80の上部の位置に戻す。そして、剥離剤供給手段120が、白金るつぼ2の上方に移動して、50%のヨウ化リチウム溶液を0.1ミリリットル(ml)供給し、もとの待機していた位置に戻る。粉末剥離剤としてヨウ化リチウムを例えば30mg白金るつぼに供給してもよい。
【0058】
剥離剤の供給後、容器搬送手段60は、白金るつぼ2に蓋6を被せ、白金るつぼ2は、例えば30秒間、再度揺動手段80により、第2加熱手段50で加熱されながら揺動され、かつ揺動ごとに急停止される。
【0059】
溶融終了後、容器搬送手段60は、白金るつぼ2をるつぼ格納手段10まで搬送して載置する。白金るつぼ2は、るつぼ格納手段10の空気噴出口からの空気により冷却される。冷却後、容器搬送手段60は、白金るつぼ2をガラスビード搬出手段100の真空パッド104の下方まで搬送して載置する。ガラスビード搬出手段100は、真空パッド104の進退により白金るつぼ2内のガラスビードを吸着して取り出し、真空シリンダ103を右方へ回転し、軸を進出させてガラスビードを押し当て板106に押し当てつつ真空引きを解き、軸をシリンダ103本体に引き込むことにより、ガラスビードをベルトコンベア105の左端部に落とし、ベルトコンベア105でガラスビード作製装置3の右方にある蛍光X線分析装置まで搬送する。
【0060】
ガラスビードの取り出し後、白金るつぼ2内に残留物がないことを確認するために、容器搬送手段60は、白金るつぼ2を計量手段30の計量台31まで搬送して載置する。計量手段30により計量された白金るつぼ2の重量は、既知である空の白金るつぼ2の重量と比較され、残留物がないことが確認される。計量値が空の白金るつぼ2の重量と比較して所定値以上大きい場合には、ガラスビードを正常に取り出せなかったおそれがあるので、その旨の警告を発する。残留物がないことの確認後、容器搬送手段60は、白金るつぼ2をるつぼ格納手段10まで搬送して載置する。
【0061】
第5実施形態のガラスビード作製装置3によれば、金属粉末試料を鉱酸や酸化物により酸化物に変化させてからガラスビードに作製しているので、金属試料が金るつぼの白金またはその他の貴金属成分との間で合金を生成せず、白金るつぼを損傷しないでガラスビードを作製することができる。
【0062】
本発明の第6実施形態の蛍光X線分析装置を図4にしたがって説明する。まず、本装置の概要について説明する。第5実施形態のガラスビード作製装置3と、前記ガラスビード作製装置で作製されたガラスビードを分析位置に搬送するガラスビード搬送手段305とを備える。ガラスビード作製装置3で作製されたガラスビードが搬出手段100によってガラスビード作製装置3から搬出され蛍光X線分析装置本体301に搬入される。
【0063】
蛍光X線分析装置本体部301に作製されたガラスビードが搬入されると図示しない第1試料感知センサがガラスビードを感知し、蛍光X線分析装置300の図示しない制御手段によってガラスビード搬送手段305が制御されガラスビードを搬送し分析位置に載置する。ガラスビードが分析位置に載置されると第2試料感知センサがガラスビードを感知し、所定の分析条件にしたがって蛍光X線分析装置300が作動を開始し、分析位置に載置されたガラスビードにX線管302からの1次X線が照射され、試料であるガラスビードSから発生する蛍光X線を分光素子303が分光し、分光された蛍光X線をX線検出器304が検出して分析を行う。定量分析時には、制御手段5より伝送された蒸発乾固試料の採取量、融剤量、溶融用酸化剤量を用いて希釈率や飛散補正が自動演算され試料中の分析元素の含有量が図示しない表示部に表示される。蛍光X線分析装置本体部は、波長分散型、エネルギ分散型のどちらであってもよい。
【0064】
第6実施形態の蛍光X線分析装置によれば、金属粉末試料を鉱酸や酸化物により酸化物に変化させてからガラスビードに作製しているので、金属試料が金るつぼの白金またはその他の貴金属成分との間で合金を生成せず、白金るつぼを損傷しないでガラスビードを作製することができ、金属試料の組織、熱履歴、偏析、粒度などの影響を受けずに蛍光X線分析を正確かつ精度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1実施形態のガラスビード作製方法の作業フローを示すフロー図である。
【図2】本発明の第5実施形態のガラスビード作製装置を示す平面図である。
【図3】本発明の第5実施形態のガラスビード作製装置の採取手段の部分を示す側面図である。
【図4】本発明の第6実施形態の蛍光X線分析装置の概要を示す正面図である。
【符号の説明】
【0066】
1 ガラスビーカ(溶解容器)
2 白金るつぼ
3 ガラスビード作製装置
10 格納手段
20 試料供給手段
30 計量手段
40 融剤供給手段
60 容器搬送手段
80 第2加熱手段
90 第1加熱手段
110 溶融用酸化剤供給手段
120 剥離剤供給手段
205 酸供給手段
210 採取手段
305 ガラスビード搬送手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐熱耐酸性の非金属製である溶解容器に金属粉末試料と鉱酸または鉱酸および溶解用酸化剤を入れ、前記溶解容器を加熱し前記溶解容器内に存在する金属粉末試料を溶解し溶液試料にする第1ステップと、
前記溶解容器内に存在する溶液試料を、さらに加熱し前記溶液試料を蒸発乾固し乾固試料とする第2ステップと、
前記乾固試料の所定量を前記溶解容器より白金るつぼに採取する第3ステップと、
前記白金るつぼに所定量の融剤と溶融用酸化剤を加え加熱溶融しガラスビードを作製する第4ステップと、
を備える蛍光X線分析用のガラスビード作製方法。
【請求項2】
請求項1において、前記金属粉末試料がフェロクロムからなる粉末試料であり、前記鉱酸が王水および硫酸である蛍光X線分析用のガラスビード作製方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法で作製されたガラスビードを用いて分析する蛍光X線分析方法。
【請求項4】
金属粉末試料を鉱酸または鉱酸および溶解用酸化剤とともに加熱溶解し、溶液になった溶液試料をさらに加熱し蒸発乾固して乾固試料にするための溶解容器であり、耐熱耐酸性の非金属製である溶解容器と、
前記乾固試料に融剤と溶融用酸化剤を加え加熱溶融するための白金るつぼと、
前記溶解容器および前記白金るつぼを格納する格納手段と、
前記金属粉末試料を供給する試料供給手段と、
前記鉱酸または鉱酸および溶解用酸化剤を供給する酸供給手段と、
前記溶解容器を加熱する第1加熱手段と
前記溶解容器中の前記乾固試料の所定量を採取する採取手段と、
前記融剤を供給する融剤供給手段と、
前記溶融用酸化剤を供給する溶融用酸化剤供給手段と、
前記白金るつぼを加熱する第2加熱手段と、
前記白金るつぼを計量する計量手段と、
前記溶解容器と前記白金るつぼを搬送する容器搬送手段と、
を備える蛍光X線分析用のガラスビード作製装置。
【請求項5】
請求項4に記載されたガラスビード作製装置と、
前記ガラスビード作製装置で作製されたガラスビードを分析位置に搬送するガラスビード搬送手段と、
を備える蛍光X線分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−121129(P2007−121129A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−314171(P2005−314171)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【出願人】(000250351)理学電機工業株式会社 (44)
【Fターム(参考)】