説明

ガラスフィルムの巻きズレ修正装置およびその巻きズレ修正方法

【課題】ガラスフィルムの巻きズレの多少に関わらず、ガラスフィルムに破断を生じさせることなく、精度よく巻きズレを修正する。
【解決手段】制御部9が、ガラスフィルムGに割れが生じない範囲で、ガラスフィルムGの所定の単位長さ当りの巻出機構2の最大修正量を設定するとともに、ガラスフィルムGの単位長さ毎にズレ量と最大修正量とを比較し、ズレ量が最大修正量以下である場合には、その単位長さ区間でズレ量まで巻出機構2の幅方向位置を修正移動させ、ズレ量が最大修正量を越える場合には、その単位長さ区間で最大修正量まで巻出機構2の幅方向位置を修正移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスフィルムの巻きズレを修正する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、近年における映像表示装置は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイなどに代表されるフラットパネルディスプレイ(FPD)が主流となっている。これらのFPDは、軽量化が推進されていることから、当該FPDに使用されるガラス基板は、薄板化の一途を辿っているのが現状である。
【0003】
また、有機ELは、ディスプレイのように微細な三原色をTFTにより明滅させずに、単色(例えば白色)のみで発光させて屋内照明の光源などの平面光源として利用されつつある。そして、有機ELの照明装置は、ガラス基板が可撓性を有すれば、自由に発光面を変形させることが可能であるから、この照明装置に使用されるガラス基板も十分な可撓性確保の観点から大幅な薄板化が推進されている。
【0004】
そして、このような薄板化の要請を受けて、フィルム状(例えば、厚みが300μm以下)まで薄板化が図られたガラスフィルムが開発されるに至っている。このガラスフィルムは、適度な可撓性を有することから、巻芯の回りにロール状に巻き取ったガラスロールの状態で収容される場合がある(例えば、特許文献1参照)。このようにすれば、ロール・トゥー・ロール(Roll to Roll)装置で、上流側のガラスロールから巻き出したガラスフィルムに対して、切断や成膜などの各種処理を連続的に施すことが可能となり、生産効率の大幅な向上を図ることができる。
【0005】
しかしながら、ガラスフィルムをガラスロールの状態とすると、ガラスフィルムに巻きズレが生じる場合がある。特に、成形されるガラスフィルムを直接巻き取ってガラスロールを製作した場合には、この巻きズレが顕著になる。これは次の理由による。すなわち、ガラスフィルムは、オーバーフローダウンドロー法やスロットダウンドロー法などのダウンドロー法によって薄板状に成形される。そのため、ガラスフィルムを巻き取る際に張力をかけすぎると(例えば、幅1mのガラスフィルムに対して100N程度)、成形体付近の軟化状態のガラスフィルムに対して過度な引張り力(張力)が作用し、ガラスフィルムが所望の厚みよりも薄くなったり、場合によっては成形体の下方部で断裂するという致命的な問題が生じる。したがって、成形されるガラスフィルムを直接巻き取ってガラスロールを製作する場合には、ガラスフィルムに十分な張力を掛けて巻き取ることが実用上難しく、巻き取られたガラスフィルムに巻きズレが生じる要因となる。
【0006】
このようにガラスフィルムに巻きズレが生じた状態のまま、ロール・トゥー・ロール装置などで、ガラスロールからガラスフィルムを巻き出して所定の処理を施すと、種々の不具合が生じる。具体的には、例えば、巻き出したガラスフィルムを所定の幅寸法に切断する場合には、巻き出されたガラスフィルムが巻きズレに起因して幅方向に蛇行するため、直線上に切断できなかったり、蛇行に伴う切断部のガラスフィルムが捻れて割れが発生するなどの切断不良が生じ得る。また、ガラスフィルムの表面に成膜する場合にも、巻き出されたガラスフィルムの表面に蛇行に起因する皺が生じていれば、均質な膜を形成することができずに成膜不良が生じ得る。
【0007】
そのため、このような不具合を解消するためには、ガラスフィルムをロール・トゥー・ロール装置などで連続的に処理する前に、ガラスフィルムの巻きズレを修正することが必要不可欠となる。しかしながら、ガラスフィルムの分野においては、この種の巻きズレに対する対策が十分に講じられていないのが実情である。そこで、ガラスフィルムの巻きズレを修正するために、樹脂フィルムなどのウエブの巻きズレ修正装置を適用することが考えられる。
【0008】
従来のウエブの巻きズレ修正装置としては、巻出手段によって巻き出されたウエブの側縁位置を検出し、検出された側縁位置と基準位置との間の幅方向のズレ量に基づいて巻出手段の幅方向位置を修正するように構成されたものが一般的である。そして、この種の巻きズレ修正装置においては、ウエブの巻きズレの修正精度を向上させるために種々の取り組みがなされている。
【0009】
例えば、特許文献2には、ウエブの搬送速度を検出し、この検出した搬送速度が速くなるに連れて、ウエブの蛇行修正の修正速度を速めることで、ウエブの搬送速度が変化しても一定精度のウエブの蛇行修正を行うことが開示されている。
【0010】
また、例えば、特許文献3には、ウエブの蛇行状態を検出するセンサ、アクチュエータおよび可動フレームからなる蛇行修正ユニットを2組配置して、ウエブの蛇行状態を2段階に亘って修正し、蛇行修正の精度を高めることが開示されている。
【0011】
更に、例えば、特許文献4には、ウエブの巻きズレを修正するための巻出装置の移動量を、ウエブ側縁位置検出センサで検出されるウエブのズレ量よりも小さくし(好ましくは、ズレ量の30〜90%)、ウエブに過大な修正が与えられるのを防止することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2010−132350号公報
【特許文献2】特公平6−57580号公報
【特許文献3】特開平5−43095号公報
【特許文献4】特開2002−284415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献2〜4に開示の方法をガラスフィルムに適用した場合には、以下のような問題が生じ得る。
【0014】
すなわち、特許文献2及び3に開示の方法の場合、ガラスフィルムの巻きズレ量が大きくなるに連れて、所定の単位長さ当りのガラスフィルムの修正量が必然的に大きくなることから、修正動作によってガラスフィルムに局所的に大きな捻じれが生じ、ガラスフィルムが破断を来たすおそれがある。
【0015】
一方、特許文献4に開示の方法の場合、修正量に常に制限がかかるので、所定の単位長さ当りの修正量が過大になり難い。しかしながら、この方法であっても、ガラスフィルムの巻きズレが特に大きい場合には、修正量の制限が不十分になり、依然として特許文献2及び3と同様に、捻れに耐え切れずにガラスフィルムが破断する事態が生じ得る。更に、同文献に開示の方法の場合には、常に、ガラスフィルムの実際のズレ量よりもガラスフィルムの修正量が小さくなるので、ガラスフィルムの巻きズレが大きい場合には、ガラスフィルムの巻きズレの修正が不十分になる可能性がある。また、ガラスフィルムの巻きズレが小さい場合にも、修正量に制限が課せられるので、高精度な巻きズレの修正を行うことができないという問題がある。
【0016】
本発明は、以上の実情に鑑み、ガラスフィルムの巻きズレの多少に関わらず、ガラスフィルムに破断を生じさせることなく、精度よく巻きズレを修正することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために創案された本発明に係るガラスフィルムの巻きズレ修正装置は、ガラスロールからガラスフィルムを巻き出す巻出手段と、巻き出された前記ガラスフィルムの側縁位置を検出する側縁位置検出手段と、前記検出された側縁位置と基準位置との間の幅方向のズレ量に基づいて前記巻出手段の幅方向位置を修正する制御手段とを備えたガラスフィルムの巻きズレ修正装置であって、前記制御手段は、前記ガラスフィルムに割れが生じない範囲で、前記ガラスフィルムの所定の単位長さ当りの前記巻出手段の最大修正量を設定するとともに、前記ガラスフィルムの前記単位長さ毎に前記ズレ量と前記最大修正量とを比較し、前記ズレ量が前記最大修正量以下である場合には、その単位長さ区間で前記ズレ量まで前記巻出手段の幅方向位置を修正移動させ、前記ズレ量が前記最大修正量を越える場合には、その単位長さ区間で前記最大修正量まで前記巻出手段の幅方向位置を修正移動させるように構成されていることに特徴づけられる。
【0018】
このような構成によれば、ガラスフィルムの所定の単位長さ当りの巻出手段の最大修正量が、ガラスフィルムに割れが生じない範囲に予め決められる。このガラスフィルムに割れが生じない範囲は、例えばガラスフィルムの厚み、幅、材質等を考慮して決定される。そして、巻き出されたガラスフィルムの単位長さ毎にズレ量と最大修正量とを比較し、ズレ量が最大修正量以下である場合には、その単位長さ区間でズレ量まで巻出手段の幅方向位置が修正移動されるので、ガラスフィルムの修正量が実際のズレ量と等しくなり、ガラスフィルムの巻きズレが精度よく修正される。一方、ズレ量が最大修正量を越える場合には、その単位長さ区間で最大修正量まで巻出手段の幅方向位置が修正移動されるので、ガラスフィルムの割れが生じない範囲で、ガラスフィルムの巻きズレが最大限修正される。
【0019】
この場合、前記最大修正量は、前記ガラスフィルムの巻き出し長さ1m当たり0.01mm以上20mm以下の範囲内で設定されることが好ましい。ここで、巻き出し長さ1m当たりとは、所定の単位長さ当たりを意味するものではなく、所定の単位長さ当たりの修正量を、巻き出し長さ1m当たりに換算した場合を意味する。ただし、所定の単位長さが1mであっても勿論よい。
【0020】
最大修正量が、ガラスフィルムの巻き出し長さ1m当たり0.01mm未満の場合、ガラスフィルムの巻きズレ修正効率が悪くなるおそれがある。一方、最大修正量が、ガラスフィルムの巻き出し長さ1m当たり20mmを越える場合、修正動作によってガラスフィルムに生じる応力が大きくなり、ガラスフィルムが破断するおそれがある。したがって、最大修正量は、上記数値範囲であることが好ましく、ガラスフィルムに破断を生じさせることなく、ガラスフィルムの巻きズレを効率よく修正することが可能となる。
【0021】
上記の方法において、前記ガラスフィルムの側縁を含む側縁部の欠陥情報を検出する欠陥情報検出手段が配置され、前記制御手段が、前記欠陥情報に基づいて欠陥が検出された場合に、前記最大修正量をこれよりも小さい補助最大修正量に変更するように構成されていることが好ましい。なお、補助最大修正量は、単一の値であってもよいが、検出された欠陥サイズなどに応じて値が可変となるようにしてもよい。例えば、欠陥サイズが大きくなるに連れて、ガラスフィルムの破損強度が低下する場合が多いことから、欠陥サイズが大きくなるに連れて、補助最大修正量の値が連続的又は段階的に小さくなるようにしてもよい。
【0022】
ガラスフィルムの側縁を含む側縁部に欠陥(傷や欠けなど)が存在すれば、ガラスフィルムの破損強度が低下する。そのため、上記の構成のように、ガラスフィルムの側縁部の欠陥情報を検出し、この欠陥情報に基づいて欠陥が検出された場合に、巻出手段の最大修正量をこれよりも小さい補助最大修正量に変更するようにしている。このようにすれば、ガラスフィルムの側縁部に予期せぬ欠陥が存在する場合であっても、巻きズレ修正時にガラスフィルムに破断が生じるのを確実に防止しつつ、ガラスフィルムの巻きズレの修正を実行することができる。
【0023】
この場合、前記補助最大修正量は、前記ガラスフィルムの巻き出し長さ1m当たり0.001mm以上20mm未満の範囲内で設定されることが好ましい。ここで、巻き出し長さ1m当たりとは、所定の単位長さ当たりを意味するものではなく、所定の単位長さ当たりの修正量を、巻き出し長さ1m当たりに換算した場合を意味するものとする。ただし、所定の単位長さが1mであっても勿論よい。なお、補助最大修正量を、検出された欠陥サイズなどに応じて可変とする場合には、全ての可変値がこの範囲にあることが好ましい(以下、同様)。
【0024】
上記課題を解決するために創案された本発明に係るガラスフィルムの巻きズレ修正方法は、巻出手段によってガラスロールからガラスフィルムを巻き出しながら前記ガラスフィルムの側縁位置を検出し、前記検出された側縁位置と基準位置との間の幅方向のズレ量に基づいて前記巻出手段の幅方向位置を修正するガラスフィルムの巻きズレ修正方法であって、前記ガラスフィルムに割れが生じない範囲で、前記ガラスフィルムの所定の単位長さ当りの最大修正量を設定するとともに、前記ガラスフィルムの前記単位長さ毎に前記ズレ量と前記最大修正量とを比較して、前記ズレ量が前記最大修正量以下である場合には、その単位長さ区間で前記ズレ量まで前記巻出手段の幅方向位置を修正移動させ、前記ズレ量が前記最大修正量を越える場合には、その単位長さ区間で前記最大修正量まで前記巻出手段の幅方向位置を修正移動させることに特徴づけられる。
【0025】
このような方法によれば、既に述べた対応する構成と同様の作用効果を享受することができる。
【0026】
上記の方法において、前記ガラスフィルムの側縁を含む側縁部の欠陥情報を検出するとともに、前記欠陥情報に基づいて欠陥が検出された場合に、前記最大修正量をこれよりも小さい補助最大修正量に変更することが好ましい。
【0027】
このようにすれば、既に述べた対応する構成と同様の作用効果を享受することができる。
【0028】
上記の方法において、前記ガラスロールから巻き出した前記ガラスフィルムを巻きズレを修正した後に、再度ガラスロールの状態に巻き戻すという工程を繰り返すことで、同一のガラスフィルムに対して複数回に亘って巻きズレ修正工程を実行するようにしてもよい。
【0029】
このようにすれば、既述の方法で巻出手段から巻き出されるガラスフィルムの単位長さ当りのズレ量が最大修正量を超える場合でも、最終的にガラスフィルムの全長に亘って精度よく巻きズレ修正されたガラスロールを得ることができる。
【発明の効果】
【0030】
以上のように本発明によれば、ガラスフィルムの巻きズレの多少に関わらず、ガラスフィルムに破断を生じさせることなく、精度よく巻きズレを修正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態に係るガラスフィルムの巻きズレ修正装置の要部を示す平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るガラスフィルムの巻きズレ修正装置の要部を示す側面図である。
【図3】図1に示す制御部の詳細を表したブロック図である。
【図4】図3に示す最大修正量調整部において、ガラスフィルムの巻きズレ修正時に実行されるフローチャートである。
【図5】図4に示す巻きズレ修正部において、ガラスフィルムの巻きズレ修正時に実行されるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
【0033】
図1及び図2は、本発明の一実施形態に係るガラスフィルムの巻きズレ修正装置を示す図である。これら各図に示すように、この巻きズレ修正装置は、ガラスロール1から順次ガラスフィルムGを巻き出す巻出機構2を備えている。図2に示すように、巻出機構2は、可動ステージ3の上に搭載されている。可動ステージ3は、固定ベース4上に設けられたスライドガイド5に沿ってガラスフィルムGの幅方向(図1中の矢印A方向)に移動可能な状態とされている。これにより、可動ステージ3の移動によって、巻出機構2がガラスフィルムGの幅方向に移動し、これに伴って、ガラスロール1から巻き出されるガラスフィルムGの側縁(幅方向の端縁)の位置が調整されるようになっている。
【0034】
巻出機構2によって巻き出されたガラスフィルムGは、ガイドローラ群6(ガイドローラ6a,6b,及び図外の複数のガイドローラ)に案内された状態で、張力を付与されながら搬送方向下流側(図1中の矢印B方向)へと搬送され、図外の搬送経路の下流端で再びガラスロールの状態に巻き取られるようになっている。このガイドローラ群6のうち、図中の第1ガイドローラ6aは、巻出機構2と一体的に可動ステージ3側に搭載されており、第1ガイドローラ6aの下流側の第2ガイドローラ6bは、固定ベース4側に搭載されている。
【0035】
なお、ガイドローラ群6は、この実施形態では、動力を有さず、ガラスフィルムGに対して従動回転するように構成されているが、ガラスフィルムGの移動速度に応じて駆動回転するように構成されていてもよい。また、ガラスフィルムGの保護のために、ガラスロール1の状態で、ガラスフィルムGに重ねて保護シートが巻き取られていてもよい。この場合、巻出機構2によってガラスフィルムGを巻き出す際に、ガラスフィルムGから保護シートを剥離する。
【0036】
また、ガラスフィルムGは、例えば、厚みが10〜200μmで、幅が100〜2000mmの長尺体であり、液晶ディスプレイ・プラズマディスプレイ・有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ、太陽電池、リチウムイオン電池、デジタルサイネージ、タッチパネル、電子ペーパー等のデバイスのガラス基板や、有機EL照明等のカバーガラス、医療品のガラス容器、窓板ガラス、積層軽量窓ガラスなどに利用される。
【0037】
そして、巻出機構2によって巻き出されたガラスフィルムGの搬送経路上には、この実施形態では、ガラスフィルムGの側縁位置を検出する側縁位置検出センサ7と、ガラスフィルムGの側縁を含む側縁部の欠陥情報を検出する欠陥情報検出センサ8とが配置されている。そして、制御部9が、これらセンサ7,8の検出結果に基づいて可動ステージ3の移動量、換言すれば、可動ステージ3に搭載された巻出機構2の移動量を制御するようになっている。
【0038】
側縁位置検出センサ7は、図1では、ガラスフィルムGの搬送経路上の定位置で、ガラスフィルムGの幅方向の一端側にのみ配置されており、ガラスフィルムGが検査エリアを通過することで、ガラスフィルムGの側縁位置を順に検出するようになっている。側縁位置検出センサ7は、図1ではガラスフィルムGの幅方向の一端側に配置されているが、両端側にそれぞれ配置されていてもよい。
【0039】
詳細には、この実施形態では、側縁位置検出センサ7は、第2ガイドローラ6bよりも下流側に配置されている。これは、次の理由による。すなわち、可動ステージ3をガラスフィルムGの幅方向に移動させると、ガラスフィルムGは、第1ガイドローラ6aと第2ガイドローラ6bとの間で主に捻れる。そのため、第2ガイドローラ6bよりも上流側に側縁位置検出センサ7を配置すると、その下流側でガラスフィルムGの側縁位置が更に変化する可能性があり、ガラスフィルムGの巻きズレ修正精度が低下するおそれがある。これに対し、第2ガイドローラ6bよりも下流側では、ガラスフィルムGは、第2ガイドローラ6bの回転軸と直交する方向(図1の矢印B方向)に沿って直進するように矯正されるため、第2ガイドローラ6bの下流側におけるガラスフィルムGの側縁位置は、図外の搬送経路の下流端で再びガラスロールの状態に巻き取られるガラスフィルムGの側縁位置と実質的に同一とみなすことができる。したがって、第2ガイドローラ6bの下流側に側縁位置検出センサ7を配置することが好ましく、この場合には、ガラスフィルムGの巻きズレ修正精度の向上に寄与し得る。
【0040】
ここで、上記の第1ガイドローラ6aと第2ガイドローラ6bとの軸芯間距離Lは、ガラスフィルムGの幅方向寸法Wの0.25倍以上であることが好ましく、0.4倍以上であることが更に好ましい。すなわち、この軸芯間距離Lが、ガラスフィルムGの幅方向寸法Wの0.25倍未満となると、ガラスフィルムGの側縁位置修正エリアの距離が短くなりすぎて、僅かな修正動作であってもガラスフィルムGに過度な捻れが生じるおそれがある。したがって、軸芯間距離Lは、上記の数値範囲であることが好ましく、この範囲であれば、修正動作時にガラスフィルムGに過度な捻れが生じるという事態を防止することができる。なお、軸芯間距離Lは長くなりすぎると、巻出機構2の移動結果が側縁位置検出センサ7の設置位置で反映されるまでに時間がかかりすぎ、修正精度が低下するおそれがあるため、軸芯間距離Lは、上記の数値範囲内でできるだけ小さく設定することが好ましい。
【0041】
側縁位置検出センサ7としては、光学式、超音波式、風量式等などの種々の方式のセンサを使用することができる。光学式センサを使用する場合には、図2に示すように、ガラスフィルムGの表裏面の一方側に投光部が配置され、他方側に受光部が配置される。
【0042】
欠陥情報検出センサ8は、ガラスフィルムGの搬送経路上の定位置で、ガラスフィルムGの幅方向の両端側にそれぞれ配置されており、ガラスフィルムGが検査エリアを通過することで、ガラスフィルムGの両側縁部の欠陥情報を順に検出するようになっている。ここで、欠陥情報には、欠陥の有無や、欠陥がある場合にはその大きさなどの情報が含まれる。
【0043】
詳細には、この実施形態では、欠陥情報検出センサ8は、第1ガイドローラ6aの下流側(図示例では、第1ガイドローラ6aの下流側であって且つ第2ガイドローラ6bの上流側)に配置されている。これは、次の理由による。すなわち、ガラスフィルムGを巻き出すに連れて、ガラスロール1の巻き径が小さくなるため、巻出機構2から第1ガイドローラ6aに至るまでのガラスフィルムGの通過経路の位置が上下方向で変化する。そのため、第1ガイドローラ6aの上流側に欠陥情報検出センサ8を配置すると、センサ8からガラスフィルムGの側縁部までの距離が変化するので、センサ8の合焦が不十分になり欠陥情報の検出精度が低下するおそれがある。これに対し、第1ガイドローラ6aの下流側では、ガイドローラ群6によってガラスフィルムGの上下方向位置がある程度一定となるため、欠陥情報の検出精度を良好に維持することができる。
【0044】
欠陥情報検出センサ8としては、CCDカメラなどの各種撮像機器を使用することができる。また、欠陥情報検出センサ8は、図示しない画像処理部を有しており、撮像されたガラスフィルムGの側縁部の画像を画像処理して側縁部の状態(欠陥(クラック)の有無や、欠陥の大きさ)を判定する。さらに、欠陥情報検出センサ8は、ガラスフィルムGの表面の上方側(又は裏面の下方側)に配置してもよいし、ガラスフィルムGの側縁の側方側に配置してもよい。ただし、側方側に配置した場合には、巻きズレによってガラスフィルムGが幅方向に蛇行したときに、欠陥情報検出センサ8の合焦精度が悪化して、欠陥情報の検出精度が低下するおそれがある。そのため、この検出精度低下を防止する観点からは、欠陥情報検出センサ8は、ガラスフィルムGの上方側又は下方側に配置することが好ましい。勿論、ガラスフィルムGの上方又は下方に欠陥情報検出センサ8を配置する場合には、センサ8の検査エリアをガラスフィルムGの蛇行範囲よりも広く設定しておくことが肝要である。
【0045】
制御部9は、図3に示すように、巻出機構2の修正量(移動量)の上限値を決める最大修正量調整部9aと、巻出機構2の幅方向位置を修正するために、最大修正量調整部9aで決定された最大修正量に基づいて可動ステージ3を移動させる巻きズレ修正部9bとから構成されている。
【0046】
最大修正量調整部9aは、ガラスフィルムGに割れが生じない範囲で、ガラスフィルムGの所定の単位長さ当りの巻出機構2の修正量の上限値として第1最大修正量を設定する。具体的には、この第1最大修正量は、ガラスフィルムGの厚み、幅方向寸法、材質等を考慮して、例えば、ガラスフィルムGの巻き出し長さ1m当たり0.01mm以上20mm以下の修正量になるように設定される。ここで、巻き出し長さ1m当たりとは、制御区間を示す所定の単位長さ当たりを意味するものではなく、所定の単位長さ当たりの修正量を、巻き出し長さ1m当たりに換算した場合を意味する。すなわち、ガラスフィルムGの巻き出し長さ1m当たりの第1最大修正量を2mmに設定する場合の管理方法としては、例えば、ガラスフィルムGの巻き出し長さ1m(所定の単位長さ)毎に2mmの修正量の制限がかかるようにしてもよいし、例えば、より制御区間を細分化して、ガラスフィルムGの巻き出し長さ0.1m(所定の単位長さ)毎に0.2mm(制御回数10回分の修正量を合計すると、ガラスフィルムGの巻き出し長さ1m毎に2mm)の修正量の制限がかかるようにしてもよい。なお、この2つの制御方法では、後者の制御方法の方が好ましい。これは、ガラスフィルムGの巻き出し長さに対して小刻みな制御がかけられる結果、巻出機構2が全体として小刻みに移動し、ガラスフィルムGに作用する応力をより小さく抑えられるためである。換言すれば、ガラスフィルムGに大きな応力が作用するのを未然に防止することができるためである。
【0047】
巻きズレ修正部9bは、側縁位置検出センサ7で検出されたガラスフィルムGの側縁位置と基準位置(ガラスフィルムGに巻きズレがないときの側縁の位置)との間の幅方向のズレ量に基づいて可動ステージ3を移動させ、巻出機構2の幅方向位置を修正する。
【0048】
詳細には、巻きズレ修正部9bは、ガラスフィルムGの単位長さ毎にズレ量と第1最大修正量とを比較する。そして、ズレ量が第1最大修正量以下である場合には、その単位長さ区間でズレ修正方向にズレ量まで可動ステージ3を移動させ、巻出機構2の幅方向位置を修正する。一方、ズレ量が第1最大修正量を越える場合には、その単位長さ区間でズレ修正方向に第1最大修正量まで可動ステージ3を移動させ、巻出機構2の幅方向位置を修正する。
【0049】
更に、この実施形態では、最大修正量調整部9aは、欠陥情報検出センサ8で検出された欠陥情報からガラスフィルムGの側縁部に欠陥が検出された場合に、ガラスフィルムGの所定の単位長さ当りの巻出機構2の修正量の上限値を、第1最大修正量に代えてこれよりも小さい第2最大修正量(補助最大修正量)に一時的に設定変更するようになっている。これは、ガラスフィルムGの側縁部に欠陥が存在していると、ガラスフィルムGの破損強度が低下するため、欠陥が存在しない場合と同じ修正量の上限値を用いると、ガラスフィルムGに破損が生じるおそれがあるためである。具体的には、第2最大修正量は、ガラスフィルムGの厚み、幅方向寸法、材質等を考慮して、例えばガラスフィルムGの巻き出し長さ1m当たり0.001mm以上20mm未満の修正量になるように設定される。ここで、巻き出し長さ1m当たりとは、制御区間を示す所定の単位長さ当たりを意味するものではなく、所定の単位長さ当たりの修正量を、巻き出し長さ1m当たりに換算した場合を意味する。
【0050】
次に、以上のように構成されたガラスフィルム巻きズレ修正装置の動作について説明する。
【0051】
まず、巻出機構2によって、ガラスフィルムGを所定の巻出速度で巻き出す。巻き出されたガラスフィルムGは、第1ガイドローラ6aと第2ガイドローラ6bの間に配置された欠陥情報検出センサ8によって側縁を含む側縁部の欠陥情報が検出された後、第2ガイドローラ6bの下流側に配置された側縁位置検出センサ7によって側縁の基準位置からのズレ量が検出される。
【0052】
欠陥情報検出センサ8によってガラスフィルムGの側縁部に欠陥が検出されなかった場合には、制御部9は、その単位長さ区間における巻出機構2の修正量の上限値として、第1最大修正量を設定する。そして、第1最大修正量とズレ量とを比較し、ズレ量が第1最大修正量よりも小さい場合には、その単位長さ区間においてズレ量分に相当する値だけ可動ステージ3を移動させ、巻出機構2の幅方向位置を修正する。これに対し、第1最大修正量とズレ量とを比較し、ズレ量が第1最大修正量よりも大きい場合には、その単位長さ区間において、ズレ量分に相当する値まで可動ステージ3をズレ修正方向に移動させずに、第1最大修正量に相当する値だけ可動ステージ3をズレ修正方向に移動させる。すなわち、単位長さ区間での巻出機構2の修正量を第1最大修正量に相当する値までとする。
【0053】
そして、後続の単位長さ区間においても、欠陥情報検出センサ8によってガラスフィルムGの側縁部に欠陥が検出されなかった場合には、上述の手順で、巻出機構2の幅方向位置の修正動作を繰り返し、ガラスフィルムGの巻きズレを順次修正する。
【0054】
これに対し、欠陥情報検出センサ8によってガラスフィルムGの側縁部に欠陥が検出された場合には、制御部9は、その単位長さ区間における巻出機構2の修正量の上限値として、第1最大修正量に代えてこれよりも小さい第2最大修正量に一時的に設定変更する。そして、第2最大修正量とズレ量とを比較し、ズレ量が第2最大修正量よりも小さい場合には、その単位長さ区間においてズレ量分に相当する値だけ可動ステージ3をズレ修正方向に移動させ、巻出機構2の幅方向位置を修正する。一方、第2最大修正量とズレ量とを比較し、ズレ量が第2最大修正量よりも大きい場合には、その単位長さ区間において、第2最大修正量に相当する値だけ可動ステージ3をズレ修正方向に移動させる。すなわち、単位長さ区間での巻出機構2の修正量を第2最大修正量に相当する値までとする。
【0055】
さらに、この制御部9での制御手順を、図4及び図5に示すフローチャートに基づいて詳述する。なお、図4は、制御部9の最大修正量調整部9aで実行されるフローチャートであって、図5は、制御部9の巻きズレ修正部9bで実行されるフローチャートである。
【0056】
図4に示すように、制御部9の最大修正量調整部9aでは、まず、ステップS1で、単位長さ区間において欠陥情報検出センサ8によって欠陥が検出されたか否かが判断される。このステップS1で欠陥が検出されなかったと判断された場合には、ステップS2で、それ以前の単位長さ区間において、既に検出された欠陥が存在するか否かが判断される。そして、既に検出された欠陥が存在する場合には、ステップS3でその既に検出された欠陥が側縁位置検出センサ7を通過したか否かが判断される。ここで、既に検出された欠陥が側縁位置検出センサ7を通過したか否かは、欠陥情報検出センサ8で検出された欠陥が側縁位置検出センサ7に到達するまでの時間が経過したか否かにより判断するものとする。なお、この到達時間は、最大修正量調整部9aの図示しないタイマによって計測される。その結果、既に検出された欠陥が側縁位置検出センサ7を通過している場合には、ステップS4に移行し、巻出機構2の修正量の上限値を第1最大修正量に設定する。また同様に、ステップS2で、検出された欠陥が未だ存在しないと判断された場合にも、ステップS4に移行し、巻出機構2の修正量の上限値を第1最大修正量に設定する。そして、ステップS5に移行して、ステップS4で設定された第1最大修正量を巻きズレ修正部9bに出力する。
【0057】
一方、ステップS1で、単位長さ区間において欠陥情報検出センサ8によって欠陥が検出されたと判断された場合には、ステップS6に移行して、巻出機構2の修正量の上限値を第2最大修正量に設定する。また同様に、ステップS3で、既に検出された欠陥が側縁位置検出センサ7を未だ通過していないと判断された場合、換言すれば、欠陥情報検出センサ8と側縁位置検出センサ7との間に欠陥が存在している場合にも、ステップS6に移行して、巻出機構2の修正量の上限値を第2最大修正量に設定する。そして、ステップS5に移行して、ステップS6で設定された第2最大修正量を巻きズレ修正部9bに出力する。
【0058】
ここで、図4に示すフローチャートは、巻出機構2の最大修正量を一旦第2最大修正量に設定変更してから最大修正量を再び第1最大修正量に戻すまでの時間を、欠陥情報検出センサ8で最後に検出された欠陥が側縁位置検出センサ7を通過するまでの時間とする場合を例示している。
【0059】
図5に示すように、制御部9の巻きズレ修正部9bでは、まず、ステップS7で、最大修正量調整部9aから上述の手順で決定された最大修正量(第1最大修正量又は第2最大修正量)が入力される。そして、ステップS8で、側縁位置検出センサ7の検出結果に基づいて、ガラスフィルムGの側縁位置が基準位置からズレているか否かが判断される。その結果、ガラスフィルムGの側縁位置にズレがあると判断された場合には、ステップS9に移行し、ガラスフィルムGの側縁位置のズレ量の修正に必要な巻出機構の修正量が、最大修正量以下であるか否かが判断される。その結果、最大修正量以下であると判断された場合には、ステップS10に移行し、巻出機構2(この実施形態では可動ステージ3)をズレが修正される方向に対してズレ量まで移動させる。一方、最大修正量を超えると判断された場合には、ステップS11に移行し、巻出機構2をズレが修正される方向に対して最大修正量まで移動させる。
【0060】
以上のような本実施形態に係るガラスフィルムの巻きズレ修正装置によれば、ロール・トゥー・ロール装置で、ガラスロールから巻き出したガラスフィルムを再びガラスロールの状態に巻き戻すことにより、巻きズレの大きなガラスロールであっても、巻きズレ修正時に生じる応力を最小限に抑えつつ、最終的に巻きズレが実質的にないガラスロールに修正することが可能となる。
【0061】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の形態で実施することができる。例えば、上記の実施形態では、巻出機構2の最大修正量を、第1最大修正量と、欠陥が存在する場合の補助的な第2最大修正量との中から1つを選択する場合を説明したが、欠陥の大きさに応じて、補助的な最大修正量を予め複数設定しておいてもよい。
【0062】
また、巻出機構2から巻き出されたガラスフィルムGの巻きズレを修正した後、その巻きズレを修正したガラスフィルムGを図外の巻取機構で再度ガラスロールの状態に巻取る場合を説明したが、巻取機構から取り出したガラスロールを再び巻出機構2に設置し、同一のガラスフィルムGに対して2回以上の巻きズレ修正工程を実行するようにしてもよい。
【実施例1】
【0063】
本発明の有用性を実証するために、対比試験を行った。この対比試験の条件は次の通りである。
【0064】
<実施例>
使用するガラスフィルムは、幅方向寸法が800mm,厚みが70μm,全長が200mである。そして、このガラスフィルムをロール状に巻き取ったガラスロールは、巻きズレ修正前の状態で、1m当たりの最大巻きズレ量が3mmであって、全体での巻きズレ量が15mmである。第1ガイドローラと第2ガイドローラとの間の軸芯間距離は、500mmである。ガラスフィルムの搬送速度(巻き出し速度)は、5m/分である。側縁位置検出センサには光学式センサを使用し、その位置検出範囲は基準位置を中心に幅方向に±25mmとする。欠陥情報検出センサにはCCDカメラを使用し、その観察範囲は基準位置を中心に幅方向に±15mmとする。そして、第1最大修正量をガラスフィルムの送り長さ1m当たり2mmに設定し、第2最大修正量をガラスフィルムの送り長さ1m当たり0.005mmに設定する。
【0065】
以上の条件で、ガラスロールの巻きズレ修正を行った結果、ガラスフィルムの送り長さ1m当たりの最大巻きズレ量が1.5mm、ガラスロール全体での巻きズレ量が3mmのガラスロールを得た。更に、このガラスロールを再度同一条件で巻き直した結果、ガラスフィルム1m当たりの最大巻きズレ量と、ガラスロール全体での巻きズレ量とが、それぞれ0.2mm未満となり、実質的に巻きズレのないガラスロールを得た。
【0066】
なお、巻き取られたガラスロールの巻きズレ量は、側縁位置検出センサ7と同じセンサをガラスフィルムの巻取機構の直前に設置し、その位置における蛇行状態を検出することで測定した。
【0067】
<比較例>
比較例では、実施例で用いたガラスロールと同一の巻きズレ量を有するガラスロールに対して、修正量の上限値(第1最大修正量及び第2最大修正量)を設定せずに巻きズレ修正を行った。それ以外の条件は、実施例と共通とする。その結果、巻きズレ修正途中に、第2ガイドローラ付近でガラスフィルムが破断するという事態が生じるに至った。
【符号の説明】
【0068】
1 ガラスロール
2 巻出機構
3 可動ステージ
4 固定ベース
5 スライドガイド
6 ガイドローラ群
6a,6b ガイドローラ
7 側縁位置検出センサ
8 欠陥情報検出センサ
9 制御部
9a 最大修正量調整部
9b ズレ修正部
G ガラスフィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスロールからガラスフィルムを巻き出す巻出手段と、巻き出された前記ガラスフィルムの側縁位置を検出する側縁位置検出手段と、前記検出された側縁位置と基準位置との間の幅方向のズレ量に基づいて前記巻出手段の幅方向位置を修正する制御手段とを備えたガラスフィルムの巻きズレ修正装置であって、
前記制御手段は、前記ガラスフィルムに割れが生じない範囲で、前記ガラスフィルムの所定の単位長さ当りの前記巻出手段の最大修正量を設定するとともに、
前記ガラスフィルムの前記単位長さ毎に前記ズレ量と前記最大修正量とを比較し、前記ズレ量が前記最大修正量以下である場合には、その単位長さ区間で前記ズレ量まで前記巻出手段の幅方向位置を修正移動させ、前記ズレ量が前記最大修正量を越える場合には、その単位長さ区間で前記最大修正量まで前記巻出手段の幅方向位置を修正移動させるように構成されていることを特徴とするガラスフィルムの巻きズレ修正装置。
【請求項2】
前記最大修正量が、前記ガラスフィルムの巻き出し長さ1m当たり0.01mm以上20mm以下の範囲に設定されることを特徴とする請求項1に記載のガラスフィルムの巻きズレ修正装置。
【請求項3】
前記ガラスフィルムの側縁を含む側縁部の欠陥情報を検出する欠陥情報検出手段が配置され、
前記制御手段が、前記欠陥情報に基づいて欠陥が検出された場合に、前記最大修正量をこれよりも小さい補助最大修正量に変更するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のガラスフィルムの巻きズレ修正装置。
【請求項4】
前記補助最大修正量が、前記ガラスフィルムの巻き出し長さ1m当たり0.001mm以上2mm未満の範囲に設定されることを特徴とする請求項3に記載のガラスフィルムの巻きズレ修正装置。
【請求項5】
巻出手段によってガラスロールからガラスフィルムを巻き出しながら前記ガラスフィルムの側縁位置を検出し、前記検出された側縁位置と基準位置との間の幅方向のズレ量に基づいて前記巻出手段の幅方向位置を修正するガラスフィルムの巻きズレ修正方法であって、
前記ガラスフィルムに割れが生じない範囲で、前記ガラスフィルムの所定の単位長さ当りの最大修正量を設定するとともに、
前記ガラスフィルムの前記単位長さ毎に前記ズレ量と前記最大修正量とを比較して、前記ズレ量が前記最大修正量以下である場合には、その単位長さ区間で前記ズレ量まで前記巻出手段の幅方向位置を修正移動させ、前記ズレ量が前記最大修正量を越える場合には、その単位長さ区間で前記最大修正量まで前記巻出手段の幅方向位置を修正移動させることを特徴とするガラスフィルムの巻きズレ修正方法。
【請求項6】
前記ガラスフィルムの側縁を含む側縁部の欠陥情報を検出するとともに、前記欠陥情報に基づいて欠陥が検出された場合に、前記最大修正量をこれよりも小さい補助最大修正量に変更することを特徴とする請求項5に記載のガラスフィルムの巻きズレ修正方法。
【請求項7】
前記ガラスロールから巻き出した前記ガラスフィルムを巻きズレを修正した後に、再度ガラスロールの状態に巻き戻すという工程を繰り返すことで、同一のガラスフィルムに対して複数回に亘って巻きズレ修正工程を実行することを特徴とする請求項5又は6に記載のガラスフィルムの巻きズレ修正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−236675(P2012−236675A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106351(P2011−106351)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000232243)日本電気硝子株式会社 (1,447)
【Fターム(参考)】