説明

ガラスブロックパネル、ガラスブロック壁及びガラスブロック壁の施工方法

【課題】受注から完成までの時間を短縮でき、止水性に優れ、効率良く施工現場に搬送し、揚重機等を使用せずに一人でも施工することができ、ガラスブロックパネル間の目地幅も小さい安価なガラスブロックパネル、これを用いたガラスブロック壁及びその施工方法を提供する。
【解決手段】本発明のガラスブロックパネル10は、一方向に整列配置された複数個のガラスブロック11と、その外周を囲繞するフレーム12と、躯体へ固定するためにフレーム12の対向する短辺12aに埋設された取付部12cと、ガラスブロック11間及びその外周とフレーム12との間に配置されてガラスブロック11を固定する目地部材13とを具備し、フレーム12の長辺12bがガラスブロック11の意匠面11cよりも後退しており、かつ長辺12bの厚さがガラスブロック11間距離の1/2未満であり、全体の質量が30kg未満である。本発明のガラスブロック壁及び施工方法は、ガラスブロックパネル10と、緩衝材とを使用して躯体に固定し、曲面を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱性、遮音性、透光性に優れ外壁用や内壁用として広く利用される建築用ガラスブロックを用いたガラスブロックパネル、ガラスブロック壁及びガラスブロック壁の施工方法に関し、特に、アーチ形状等の曲面を形成するための軽量ガラスブロックパネル、このガラスブロックパネルを使用して曲面を形成したガラスブロック壁及びガラスブロック壁の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建築用のガラスブロックは、有底無蓋の箱型形状を有して底部が透光面となる一対のガラス成形体が、互いの開放端縁で封着一体化されてなるものである。このような複数個のガラスブロックを縦横方向に整列配置して一体化してなるガラスブロックパネルは、透光性、断熱性、遮音性に優れるため、採光、装飾等を目的として建築物の採光屋根、壁材、仕切り材等に使用される。これらの中でもアーチ形状を有する採光屋根に使用されるガラスブロックパネルは、次のような方法により作製されている。
【0003】
即ち、第1の方法は、特許文献1に示すように、施工現場に組み立てた所定のアーチ形状を有する定盤上に一つ一つガラスブロックを整列配置して積みモルタルを用いてガラスブロックパネルを作製した後、ガラスブロックパネルを躯体に取り付ける方法。第2の方法は、施工現場の躯体に鋳鉄製格子枠を取り付けた上に一つ一つガラスブロックを整列配置して積みモルタルを用いてガラスブロックパネルを作製する方法。第3の方法は、特許文献2に開示されているように、複数個整列配置されガラスブロックパネルの高さに応じた長さを有するガラスブロックと、該ガラスブロックを囲繞したフレームと、各ガラスブロック間の目地部に充填されたモルタルとからなる複数のガラスブロックユニットが、壁面の曲面形状に応じた形状を有する二枚の連結板によって連結され、ガラスブロックユニットの間にバックアップ材、シール材が充填されているガラスブロックパネルを、予め工場にて作製する方法である。
【特許文献1】特開平9−60285号公報
【特許文献2】特開2004−197482号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、第1の方法では、施工現場においてアーチ形状の定盤の製作から解体までを行うため、ガラスブロックパネルの作製に時間がかかり、建築全体の工期を長引かせる問題がある。
【0005】
第2の方法は、施工現場において躯体に既製の鋳鉄枠を取り付け、ガラスブロックを積み上げるために熟練技能を必要とし、ガラスブロックパネルの作製に時間がかかる。また、鋳鉄製の格子枠は、既定の曲率半径を有したものを製作した在庫を必要とし、既定外の曲率半径を有するものを製作するには更に時間とコストがかかる。さらに、デザイン面においても屋内側には鋳鉄製等の格子枠が露出するため外観上好ましくない。
【0006】
第3の方法は、上記第1及び第2の方法の問題点を解決することができるが、次のような問題を有する。即ち、特許文献2によるアーチ形状等の曲面を有するガラスブロックパネルは、物件ごとに大きさ、形状、曲率半径の少なくともいずれかが異なるため、ガラスブロックパネルの種類が多くなり、在庫生産方式は困難であり、受注生産方式がとられた場合、第1の方法と比べても受注から完成までの時間を短縮することが困難である。
【0007】
また、第3の方法は、ガラスブロックパネルをアーチ形状の曲率半径に対応するように定盤やガラスブロックを囲繞する型枠、鉄筋を物件ごとに作製しなければならないため、ガラスブロックパネルの作製に時間がかかり、コストも高くなる。また、ガラスブロックパネルは、対応する曲率半径を有する定盤の上で作製されるため、目地部材やシール材として充填が容易で、空隙が生じにくい流動性の高いモルタルやシーリング材を使用すると、ガラスブロック間に均一な厚さの目地を形成できないという問題がある。
【0008】
さらに、曲率半径が小さい場合、モルタルやシーリング材が型枠の縁から流れ出すため、目地部材やシール材としては流動性の低いモルタルやシーリング材をヘラや刷毛等を用いて充填しなければならない。よってガラスブロックパネルの作製に時間がかかるとともに、目地部に空隙やピンホールが生じやすく、止水性も悪くなる傾向にあるという問題がある。
【0009】
また、ガラスブロックパネルが大きくなると、工場から施工現場への搬送や積み下ろしが困難となることや、荷台やコンテナに生じる隙間が広くなるため効率よく搬送することができない。二枚の連結板によって複数のガラスブロックユニットを連結してアーチ形状等の曲面を有するガラスブロックパネルを形成すると、パネルが重くなり一人での作業が困難となり揚重機を使用する必要が生じる。また揚重機が使用できない場所では施工が困難である。層間変位の吸収機構においては、ガラスブロックパネルと躯体間に変位量に対応する隙間が必要となり、ガラスブロックパネル間のジョイント目地幅を大きく取らなければならないため、意匠的に好ましくない。
【0010】
また、上記の第1から第3の方法では、施工現場における施工作業には揚重機や二人以上の作業員を要し、施工費が高くなる問題がある。
【0011】
本発明は、生産コストを削減できるとともに受注から完成までの時間を短縮でき、止水性に優れ、効率良く施工現場に搬送及び搬入が可能で、揚重機等を使用せずに一人でも施工することができ、ガラスブロックパネル間のジョイント目地幅も小さくすることができるガラスブロックパネル、これを用いたガラスブロック壁及びガラスブロック壁の施工方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るガラスブロックパネルは、一方向に整列配置された複数個のガラスブロックと、該複数個のガラスブロックの外周を囲繞するフレームと、躯体へ固定するために該フレームの対向する短辺に埋設された取付部と、ガラスブロック間及びガラスブロックの外周とフレームとの間に配置されてガラスブロックを該フレームに固定する目地部材とを具備し、前記フレームの長辺がガラスブロックの意匠面よりも後退しており、かつ長辺の厚さが前記ガラスブロック間距離の1/2未満であり、全体の質量が30kg未満であることを特徴とする。
【0013】
本発明に係るガラスブロックパネルは、その複数を整列固定して所望の滑らかなアーチ形状等の曲面を有する壁面を構成する上で、長さが2m以下、好ましくは両手を開いてパネルの両端に手が届き易い1.3m以下の寸法で、一方向に整列配置された複数個のガラスブロックの外周をフレームで囲繞する細長い形状であることが有利である。ガラスブロックの数としては、その寸法・形状、比重にもよるが、ガラスブロックパネル全体の質量が30kg未満であればいくつ整列させてもよい。また、本発明のガラスブロックパネルは、幅がガラスブロック約一個分であるので、搬送や施工する際に扱いやすく、一人の人力での取り扱いも容易となる重さであり、揚重機等が使用できないような施工現場での作業性も向上するため好ましい。
【0014】
また、このような細長い形状のガラスブロックパネルを躯体へ固定するためにフレームに設けられる取付部としては、その対向する短辺に設けられていることが躯体の開口面を大きくする上で重要となる。この取付部は、搬送時や取り扱い時に邪魔にならず、かつ、取付形態の自由度を確保する上で、フレームの対向する短辺に埋設されているものが有利である。このような取付部の態様としては、埋め込みナット、勘合孔、キー孔、達磨形孔などが使用可能である。
【0015】
また、ガラスブロック間及びガラスブロックの外周とフレームとの間に配置される目地部材としては、モルタルや成形されたゴム目地部材等でガラスブロックを該フレームに固定して、建築物の壁面を構成可能な所望の剛性、気密性、防水性等の特性を達成することができるものであれば使用可能である。ガラスブロックパネル全体の質量が30kg未満の範囲で、できるだけ大きい面積を実現する上で、軽量な目地部材であることが好ましい。
【0016】
さらに、フレームの長辺がガラスブロックの意匠面と同じか、または意匠面から突出していると、ガラスブロック間の目地部と外観が異なるので、縦方向と横方法とで均質な外観にならない。また、長辺の厚さが前記ガラスブロック間距離の1/2を超えると、整列されたガラスブロックパネル相互のフレームの長辺と目地部材(即ち、フレームの長辺が2つと目地部材が2つ)とを介するガラスブロックの間隔を、フレーム内のガラスブロック間の目地部幅に近づけることが困難になる。縦横の目地幅をほぼ等しくして均質な外観の曲面を有する壁面を構成する上で、フレームの長辺がガラスブロックの意匠面よりも後退しており、かつ長辺の厚さが前記ガラスブロック間距離の1/2未満であることが重要となる。
【0017】
また、ガラスブロックパネル全体の質量が30kgを超えると、作業効率よく安全に取り扱うためには、補助的なリフトアップ機器や二人以上の作業員を要し、施工コストが上昇する。揚重機の入らない環境にある施工現場において所望の曲面を有する壁面の施工作業を可能にする上で、ガラスブロックパネル全体の質量が30kg未満であることが、一人の作業員でも安全にガラスブロックパネルを取り扱って施工する上で重要である。
【0018】
また、本発明のガラスブロックパネルは、目地部材が軽量モルタルであり、取付部が目地部空間に凸設するアンカー部を有し、フレームがその長辺の対向する内面から目地部空間に凸設するアンカー部を有し、ガラスブロック間に配筋されフレームの対向する長辺間をつなぐ補強筋(別称:力骨)が設けられていることを特徴とする。
【0019】
ガラスブロックパネルが建築物の壁面を構成可能な所望の剛性、気密性、防水性等の特性を達成し、ガラスブロックパネル全体の質量が30kg未満の範囲内で、できるだけ大きい面積を実現する上で、目地部材が軽量モルタルであることが好ましい。目地部材が、流動性の高い軽量モルタルを硬化させたモルタルであると、充填が容易であり、均一な厚さの目地を形成でき、目地部に空隙が生じにくいため止水性が向上しやすい。流動性の高い軽量モルタルとしては、普通ポルトランドセメント、軽量骨材(珪砂、パーライト)、フライアッシュおよび水を必須成分とし、必要に応じて収縮防止剤が添加されたモルタルが使用可能である。このような軽量モルタルは安価に入手可能であり、適当な色調の化粧目地部材と組み合わせて使用することで外観を整えることができる。ガラスブロックパネル内のガラスブロック間に化粧目地が施されていると、外観品位を高められるため好ましい。化粧目地としては、シリコーンゴム等のシール材や普通ポルトランドセメントと粒径が0.6mm以下の骨材と水とを混練したモルタルが使用可能である。
【0020】
このような軽量モルタルの上にシーリング層が設けられ、シーリング層が流動性の高いシーリング材を硬化させたものであると、シーリング材の充填が容易であり、シーリング層中にピンホールが生じにくくなり、シーリング層とガラスブロックとの界面や、シーリング層とフレームとの界面の接着が良好となるため、止水性をさらに向上させることができる。シーリング層がガラスブロックパネルの室外側に形成されていると、ガラスブロックパネル内部に水が侵入しにくいため好ましい。また、流動性の高いシーリング材としては、シラノール基を両末端に有するポリジオルガノシロキサン、分子中に平均2個以上のオルガノアミノキシル基を有する有機ケイ素化合物、および、有機基を両末端に有するポリジオルガノシロキサンを必須構成成分とするポリオルガノシロキサン組成物からなるシーリング材が使用可能である。
【0021】
また、取付部が目地部空間に凸設するアンカー部を有していることで、軽量モルタルによりアンカー部が固定されるので、ガラスブロックパネルを躯体に取り付ける際に、取付部にねじりや曲げ等の荷重が負荷された場合でも、取付部のフレームに変形を起こすことがなく、取付部自体の損傷を防止することができ、躯体にガラスブロックパネルを安定して取り付けることが可能となる。
【0022】
本発明のガラスブロックパネルは、ガラスブロックを囲繞したフレームによってガラスブロックが安定して強固に固定されているため、長辺方向に補強筋を使用する必要がなく、さらに、フレームが、ガラスブロック間の目地内部に配設された補強筋によってフレームの対向する長辺間を連結されているので、フレームに対してガラスブロック間の軽量モルタルが強固に固定され、ガラスブロックパネル全体の剛性が高くなる。また、フレームの長辺に目地部材と一体化を図るアンカー材(補強材)を設けると、フレームにねじれや反りが発生しにくくなるため、強度が向上し、ガラスブロックパネルの軽量化が行いやすい。フレームの材質としては、アルミニウム、ステンレス、FRP等の材料が使用可能であり、特に、フレームがステンレス製やアルミニウム製であると、錆びにくく、フレームに貫通孔を設けたり、溶接等の加工を施したりしやすいため好ましい。
【0023】
また、本発明のガラスブロックパネルでは、ガラスブロックは、底面が透光面である有底無蓋の箱型形状を有する一対のガラス成形体が、互いの開放端縁で熔着一体化されてなる中空体であることが好ましい。
【0024】
底面が透光面である有底無蓋の箱型形状を有する一対のガラス成形体が、互いの開放端縁で熔着一体化されてなる中空体であるガラスブロックとしては、内部が減圧であり、表裏が同じ意匠面であるガラスブロックや、一面が意匠面であるガラスブロック等が使用可能であり、ガラスブロックが中空体で、軽量であることにより、断熱性、遮音性、透光性に優れ、できるだけ大きい面積のガラスブロックパネルを実現することが可能となる。
【0025】
本発明に係るガラスブロック壁は、一方向に整列配置された複数個のガラスブロックと、該複数個のガラスブロックの外周を囲繞するフレームと、躯体へ固定するために該フレームの対向する短辺に埋設された取付部と、ガラスブロック間及びガラスブロックの外周とフレームとの間に配置されてガラスブロックを該フレームに固定する目地部材とを具備し、前記フレームの長辺がガラスブロックの意匠面よりも後退しており、かつ長辺の厚さが前記ガラスブロック間距離の1/2未満であり、全体の質量が30kg未満であるガラスブロックパネルと、該ガラスブロックパネルの取付部に係止されて躯体に固定するファスナーと、該ガラスブロックパネル相互の長辺の間に挟み込まれた緩衝材とを具備し、前記複数のガラスブロックパネルが整列固定されて曲面を形成していることを特徴とする。
【0026】
本発明のガラスブロック壁を構成するガラスブロックパネルとしては、先記したような特徴を有するものである。このようなガラスブロックパネルの取付部に係止されて躯体に固定するファスナーとしては、取付部及び躯体の形態により、L字形、S字形等の形状でボルトが通る孔が開いたもの、フレームの取付部または躯体に設けられた勘合孔、キー孔、達磨形孔等に勘合する突起部を備えたもの等が使用可能である。特に、長孔を備えたL字形のファスナーを用いると、躯体とガラスブロックパネルとをボルトとナットからなる係合材を用いて自由度の高い固定が可能となるため好ましい。
【0027】
また、ガラスブロックパネル相互の長辺の間に挟み込まれる緩衝材としては、緩衝ゴム、ガスケット(パッキン)、バックアップ材、シール材等が使用可能であり、止水性を向上させることができるとともに、ガラスブロックパネルに加わる負荷を吸収できるため好ましい。バックアップ材が、シール材の受け皿として働き、シール材と接着しにくい材質であると、シール材の一部に負荷が集中せず、シール材に破損が生じず、止水性が損なわれにくくなる。バックアップ材としては、弾力性を有する発泡ポリエチレン等が使用可能である。シール材が、シリコーンゴム、ポリサルファイドゴムであると、ガラスブロックパネルと高い接着性を有し、耐候性に優れるため好ましい。特にシリコーンゴムは、弾力性を有し撥水性に優れるため好ましい。
【0028】
また、本発明のガラスブロック壁は、複数のガラスブロックパネルが上下方向に積層されていることを特徴とする。
【0029】
複数のガラスブロックパネルが上下方向に積層されているとは、ガラスブロックパネル上方のフレーム長辺に緩衝材を載せて次のガラスブロックパネルが積み上げてあるものであり、高さ方向に曲率を有するアーチ状、波状、トンネル状等の種々の曲面を有するガラスブロック壁が実現可能となる。
【0030】
また、本発明のガラスブロック壁は、層間変位角を1/100としたとき、ガラスブロックパネル相互の層間変位量が2mm未満であることを特徴とする。
【0031】
層間変形角とは、ガラスブロック壁を垂直に構築した場合に、そのガラスブロック壁の高さをHとし、その上端に水平方向から10kN加圧した時に、ガラスブロック壁の上端の壁面に沿う水平方向の変位寸法をΔとして、Δ/Hで表わされる値をいう。また、層間変位量とは、ガラスブロック壁の層間変位角にガラスブロックパネルの高さhを乗じたものである。層間変位角を1/100としたとき、例えば、145mm角のガラスブロックを使用すると1.5mm未満、190mm角のガラスブロックを使用すると2mm未満となる。このように、層間変位を1段毎のガラスブロックパネルで吸収するため、ガラスブロックパネルと他部材(支柱、化粧カバー)が取り合う目地部分の幅を小さくすることができる。即ち、ガラスブロックパネル内の目地幅と同じようにでき、意匠的に好ましい。さらに層間変位量が小さいため、ファスナー部分での層間変位の吸収機構を最小にすることが可能であり、ファスナーの形状、寸法をコンパクトにすることができる。
【0032】
本発明に係るガラスブロック壁の施工方法は、一方向に整列配置された複数個のガラスブロックと、該複数個のガラスブロックの外周を囲繞するフレームと、躯体へ固定するために該フレームの対向する短辺に埋設された取付部と、ガラスブロック間及びガラスブロックの外周とフレームとの間に配置されてガラスブロックを該フレームに固定する目地部材とを具備し、前記フレームの長辺がガラスブロックの意匠面よりも後退しており、かつ長辺の厚さが前記ガラスブロック間距離の1/2未満であり、全体の質量が30kg未満であるガラスブロックパネルを複数使用し、該ガラスブロックパネル相互のフレーム長辺の間に緩衝材を挟み込んで複数のガラスブロックパネルを整列させる工程と、前記フレームの取付部に係止させたファスナーを介して該ガラスブロックパネルを躯体に固定する工程とを有することを特徴とする。
【0033】
本発明のガラスブロック壁を構成するガラスブロックパネルとしては、先記したような特徴を有するものである。このようなガラスブロックパネル相互のフレーム長辺の間に緩衝材を挟み込んで複数のガラスブロックパネルを整列させる工程としては、予めガラスブロックパネルの一方のフレーム長辺に緩衝ゴム、ガスケット(パッキン)、バックアップ材、シール材等を貼り付けておき、ガラスブロックパネルの長辺を隣接させて整列させる工程、ファスナーを介して躯体にガラスブロックパネルを仮止めし、緩衝材を両面テープや接着材でフレーム長辺に固着させ、次のガラスブロックパネルの長辺を隣接させて緩衝材を挟み込んで整列させる工程等が可能である。また、フレームの取付部に係止させたファスナーを介してガラスブロックパネルを躯体に固定する工程としては、予めガラスブロックパネルの取付部にボルトが通る孔が開いたL形等のファスナーを取り付けておき、そのファスナーをボルト等で躯体に固定する工程、逆に、予め躯体にファスナーを取り付けておき、そのファスナーとガラスブロックパネルの取付部とを固定する工程等が可能である。
【0034】
また、本発明のガラスブロック壁の施工方法は、躯体が連続する係止部を有しており、該躯体の係止部と摺動可能に係合するファスナーをガラスブロックパネルの取付部に固定し、躯体の係合部にファスナーを係合させてガラスブロックパネルを摺動させ、複数のガラスブロックパネルを逐次整列させることを特徴とする。
【0035】
本発明の施工方法で、躯体が連続する係止部を有しているとは、断面がH形等のレール状、チャンネル状、アングル状など、ファスナーの係合部を摺動可能に係合する、即ち案内することができればよい。また、躯体の連続する係止部に摺動可能に係合するファスナーとしては、L形、S形、チャンネル形等の連続する係止部に摺動可能に係合する形状を有するもの等が使用可能である。
【発明の効果】
【0036】
本発明のガラスブロックパネルは、一方向に整列配置された複数個のガラスブロックと、該複数個のガラスブロックの外周を囲繞するフレームと、躯体へ固定するために該フレームの対向する短辺に埋設された取付部と、ガラスブロック間及びガラスブロックの外周とフレームとの間に配置されてガラスブロックを該フレームに固定する目地部材とを具備し、前記フレームの長辺がガラスブロックの意匠面よりも後退しており、かつ長辺の厚さが前記ガラスブロック間距離の1/2未満であり、全体の質量が30kg未満であるので、揚重機等が使用できない施工現場でも、一人の作業員で施工することができる。また、細長い形状を有するガラスブロックパネルの互いの薄いフレーム長辺を隣接させて整列固定することで、ガラスブロックパネル間の目地幅も小さくなり、モンローカーブ、放物線等、曲率半径が異なる躯体形状にも柔軟に対応し、所望の曲面を有する均質な外観の壁面を構築することができる。また、本発明のガラスブロックパネルは、曲面を有していないため、ガラスブロックパネルの作製に曲面を有する定盤や曲げ加工された鉄筋や連結板を必要とせず、製造コストを削減できるとともにガラスブロックパネルの作製にかかる時間を短縮できる。また、同形状の細長いガラスブロックパネルを一般に流通する鉄製パレットに隙間無く詰め込み施工現場まで搬送できるため、工場から施工現場への搬送や積み下ろしが容易であり、またトラックの荷台やコンテナに隙間が生じにくく、効率良く搬送することが可能である。
【0037】
また、本発明のガラスブロックパネルは、目地部材が軽量モルタルであり、取付部が目地部空間に凸設するアンカー部を有し、フレームがその長辺の対向する内面から目地部空間に凸設するアンカー部を有し、ガラスブロック間に配筋されフレームの対向する長辺間をつなぐ補強筋が設けられているので、ガラスブロックパネル全体の質量が30kg未満の範囲で、所望の剛性、気密性、止水性等の特性を達成し、かつ、できるだけ大きい面積の壁面を安価に実現することができる。また、本発明のガラスブロックパネルは、目地部材として流動性の高い軽量モルタルを使用することで、モルタルの充填に時間がかからず、均一な厚さの目地を形成でき、目地部に空隙やピンホールが生じにくくなり、止水性に優れ、製造コストをさらに削減できるとともに、受注から完成までの時間を短縮することができる。
【0038】
また、本発明のガラスブロックパネルでは、ガラスブロックは、底面が透光面である有底無蓋の箱型形状を有する一対のガラス成形体が、互いの開放端縁で熔着一体化されてなる中空体であるので、揚重機等が使用できない施工現場でも、大きい寸法の躯体開口部に効率的に施工することが可能であり、断熱性、遮音性、透光性に優れ、曲面を形成する軽量なガラスブロック壁を実現することができる。
【0039】
本発明に係るガラスブロック壁は、一方向に整列配置された複数個のガラスブロックと、該複数個のガラスブロックの外周を囲繞するフレームと、躯体へ固定するために該フレームの対向する短辺に埋設された取付部と、ガラスブロック間及びガラスブロックの外周とフレームとの間に配置されてガラスブロックを該フレームに固定する目地部材とを具備し、前記フレームの長辺がガラスブロックの意匠面よりも後退しており、かつ長辺の厚さが前記ガラスブロック間距離の1/2未満であり、全体の質量が30kg未満であるガラスブロックパネルと、該ガラスブロックパネルの取付部に係止されて躯体に固定するファスナーと、該ガラスブロックパネル相互の長辺の間に挟み込まれた緩衝材とを具備し、前記複数のガラスブロックパネルが整列固定されて曲面を形成しているので、揚重機等が使用できない施工現場でも、所望の曲面を有する均質な外観の壁面を一人で施工することができる。
【0040】
また、本発明のガラスブロック壁は、複数のガラスブロックパネルが積層されているので、揚重機の入らない環境にある施工現場でも、高さ方向に曲率を有するアーチ状、波状、トンネル状等のガラスブロック壁が実現可能となる。
【0041】
また、本発明のガラスブロック壁は、層間変位角を1/100としたとき、ガラスブロックパネル相互の層間変位量が2mm未満であるので、層間変位量が小さいため、積層されるガラスブロックパネル間の寸法をガラスブロックパネル内の縦方向の目地幅と同じような寸法にでき、さらにファスナー部分での層間変位の吸収機構を最小にすることが可能であり、ファスナーの形状、寸法をコンパクトにすることができ、意匠的に好ましいガラスブロック壁を実現可能となる。
【0042】
本発明に係るガラスブロック壁の施工方法は、一方向に整列配置された複数個のガラスブロックと、該複数個のガラスブロックの外周を囲繞するフレームと、躯体へ固定するために該フレームの対向する短辺埋設された取付部と、ガラスブロック間及びガラスブロックの外周とフレームとの間に配置されてガラスブロックを該フレームに固定する目地部材とを具備し、前記フレームの長辺がガラスブロックの意匠面よりも後退しており、かつ長辺の厚さが前記ガラスブロック間距離の1/2未満であり、全体の質量が30kg未満であるガラスブロックパネルを複数使用し、該ガラスブロックパネル相互のフレーム長辺の間に緩衝材を挟み込んで複数のガラスブロックパネルを整列させる工程と、前記フレームの取付部に係止させたファスナーを介して該ガラスブロックパネルを躯体に固定する工程とを有するので、揚重機等が使用できない施工現場でも所望の曲面を有する均質な外観を有する上記ガラスブロック壁を効率よく、かつ安全に施工することが可能となる。
【0043】
また、本発明のガラスブロック壁の施工方法は、躯体が連続する係止部を有しており、該躯体の係止部と摺動可能に係合するファスナーをガラスブロックパネルの取付部に固定し、躯体の係合部にファスナーを係合させてガラスブロックパネルを摺動させ、複数のガラスブロックパネルを逐次整列させるので、施工中にガラスブロックパネルが作業員側に落下しないように案内することができ、揚重機等が使用できない施工現場でも、高さ方向に曲率を有するアーチ状、波状、トンネル状等所望の曲面を有し、かつ均質な外観を有する上記ガラスブロック壁を、一人の作業員でも安全に施工することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下に、施工例をあげて発明の実施形態について説明する。
【実施例1】
【0045】
本実施例のガラスブロックパネル10は、図1(A)に示すように、建築用のガラスブロック11が8個用いられており、このガラスブロック11は、図1(B)に示すように、一対の有底無蓋の箱型形状を有し、底部が透光面となるガラス成形体11a、11aを、互いの開放端縁で熔着一体化させることによって作製され、表裏面の双方に額縁11b、11bに囲まれた透光面11c、11cを有する145×145×95mmの中空体である。8個のガラスブロック11は、図1(B)、(C)に示すように、目地部空間に凸設するアンカーバー12dが溶接固定された埋込ナット12cが溶接固定された短辺12aと、図2(A)、(B)に示すように、目地部空間に凸設するアンカーバー12eがポイント溶接で固定された長辺12bと、対向する長辺12b間を繋ぐ補強筋12fとを有するステンレス製のフレーム12によって囲繞されている。このガラスブロック11の相互間およびガラスブロック11とフレーム12との間には軽量モルタルが充填されて目地部13が形成されている。目地部13の上には、シーリング層14が形成されている。なお、目地部13は、流動性の高い軽量モルタルを硬化させて形成し、シーリング層14は、流動性の高いシーリング材を硬化させて形成したものである。ガラスブロックパネル10の長さは1264mmであり、フレーム12の長辺12bの厚さはアンカーバー12eを含めて4mmで、ガラスブロック11間の距離10mmに対して、1/2未満であり、質量が23kgである。
【0046】
流動性の高い軽量モルタルには、普通ポルトランドセメント350質量部と、珪砂550質量部と、フライアッシュ100質量部と、水210質量部とを均一に混練して調整されたモルタルを使用する。また、流動性の高いシーリング材には、25℃における粘度が3500cStのシラノール基を両末端に有するポリジメチルシロキサン100質量部と、平均粒子径が5μmの重炭酸カルシウム100質量部と、25℃における粘度が250cStのメチル基とビニル基とを末端に有するポリジメチルシロキサン50質量部と、テトラキスジメチルアミノキシシラン10質量部とを均一に混合して調整されたポリオルガノシロキサン組成物を使用する。
【0047】
次に、上記ガラスブロックパネル10を複数個積層した図3に示すような曲面のガラスブロック壁20について説明する。
【0048】
ガラスブロック壁20は、図4(A)に示すように、複数個のガラスブロックパネル10を積層して曲面を形成したものである。これらのガラスブロックパネル10、10のフレーム12の長辺12b間には、図4(B)に示す棒状の発泡ポリエチレン製の1次バックアップ材21が挿置されており、1次バックアップ材21の上にはシリコーンゴムからなる1次シール材22が配設されている。また、断面中央部には、クロロプレン製ゴムからなる断面形状が略くさび形のセッティングブロック45およびガスケットが配置されている。
【0049】
ガラスブロック壁20の凸面側のガラスブロック11、11間には、シーリング層14および1次シール材22の上には、テープ状の発泡ポリエチレン製の2次バックアップ材23が配設され、さらに2次バックアップ材23の上にシリコーンゴムからなる2次シール材24が充填されている。
【0050】
また、ガラスブロックパネル10の室内側のガラスブロック11、11間には、棒状の発泡ポリエチレン製のバックアップ材23aが配設され、その上には未硬化のシリコーンゴムからなるシール材24aが充填されている。
【0051】
ガラスブロック壁20の層間変位量は、図5に示すように、層間変位角を1/100としたとき、145mm角のガラスブロック11を使用したガラスブロックパネル10では、1.5mm未満の約1.0mmとなる。このように、層間変位を1段毎のガラスブロックパネルで吸収するため、ガラスブロックパネル10と他部材(支柱、化粧カバー)が取り合う目地部分の幅、即ち、ガラスブロックパネル10内の目地幅と同じようにすることができ、先の図3に示すように、ガラスブロック壁20の区画内は、均質感のある意匠になっている。
【0052】
次に、ガラスブロックパネル10の作製方法について説明する。
【0053】
ガラスブロックパネル10の作製方法Aとして、まず、図6に示すように、水平平面な定盤Jの上に、凸型断面を有する格子状の目地型Kを配置し、目地型Kの個々の格子部Mに設けられた段部Nの上に、寸法が145×145×95mmの8個のガラスブロック11を、その端部を載せて配置し、ガラスブロック11を囲繞するように両端部にナット2個が埋設されたステンレス製のフレーム12を設置する。次いで、ガラスブロック11間やフレーム12とガラスブロック11との間に流動性の高い軽量モルタルを充填し、硬化させて目地部13を形成する。更に、目地部13の上に流動性の高いシーリング材を充填し、硬化させてシーリング層14を形成した後、脱型してガラスブロックパネル10を作製する。
【0054】
ガラスブロックパネルの作製方法Bとして、作製方法Aのガラスブロックパネル10にシーリング層14を設けないこと以外は作製方法Aと同様にしてガラスブロックパネルを作製する。
【0055】
ガラスブロックパネル10の梱包、搬送は、図7に示すように、一般に流通する例えば、幅1100mm、奥行き1100mmの鉄製パレット30に、支柱31を立てて、背もたれ32を設け、多くのガラスブロックパネル10を、互いの間に緩衝材(図示省略)を介して立てかけて、結束バンド33で梱包し、トラックに積み込み施工現場へ搬送を行う。
【0056】
次に、多数のガラスブロックパネル10を積層した図3に示す曲面のガラスブロック壁20の施工方法について説明する。
【0057】
図3に示すガラスブロック壁20の裏面は図8(A)に示すようになっている。まず、図8(B)に示すように、L字型のファスナー41をガラスブロックパネル10の短辺12aに設けられた埋込ナット12cとボルト42で係止する。L字型のファスナー41は、図8(C)に示すように、ステンレス製であり、ボルト42がとおる長孔41cが平行に2箇所設けられた縦板部41aと、ボルト42がとおる凹部41dが設けられた水平板部41bとからなっている。次いで、予め所定の曲率半径に曲げ加工が施されたH形の鉄骨躯体40(支柱材)へ取り付けられた図3に示すC形若しくはH形の無目材(水平材)44上へ、図8(D)に示すような、片面に両面テープを貼り付けた幅30×奥行30mmのくさび形断面のクロロプレン製ゴムからなるセッティングブロック45を、ガラスブロックパネル10のフレーム12の長辺12b両端部位を支持する位置に、ガラスブロック壁20の凹面側に尖った方を向けて敷設する。次いで、このセッティングブロック45の上に1段目ガラスブロックパネル10を設置し、H形の鉄骨躯体40(支柱材)とガラスブロックパネル10に係合したL字型のファスナー41をボルト42とナット43にて固定する。次に、1段目ガラスブロックパネル10上へセッティングブロック45を敷設する。2段目のガラスブロックパネル10を設置、以後と同様。順次積層作業を繰り返しガラスブロックパネル10を取り付ける。先出の図4(B)に示すように、ガラスブロックパネル10のジョイント目地部のセッティングブロック45間へクロロプレンゴム製等のガスケット(パッキン)を挿入し、次に、一次バックアップ材21を充填する。次いで、未硬化のシリコーンゴムを充填し、硬化させて1次シール材22を形成する。最後に、室外側のガラスブロックパネル10間にテープ状の2次バックアップ材23を配設し、その上からコーキングガン並びにヘラを用いて未硬化のシリコーンゴムを充填し、硬化させて2次シール材24を形成し、室内側のガラスブロックパネル10間には、板状の発泡ポリエチレン製のバックアップ材23aを配設し、その上には未硬化のシリコーンゴムからなるシール材24aを充填してシーリング層を形成し、ガラスブロック壁20を作製する。
【0058】
最後に、鉄骨躯体40とガラスブロックパネル10との係合部分を、ステンレス製のC形のカバー46で覆い、ガラスブロックパネル10との隙間を未硬化のシリコーンゴムからなるシール材47を充填すると、図3に示すような、曲面のガラスブロック壁20が完成する。
【実施例2】
【0059】
他の施工例として、図9に示すように、躯体40の係合部40aに係合して摺動可能な凸設部48aが設けられた摺動ファスナー48をガラスブロックパネル10の短辺12aに設けられた埋込ナット12cとボルト42で係止する。H形鋼からなる躯体40の係合部40aに、摺動ファスナー48の凸設部48aを係合させてガラスブロックパネル10を摺動させ、複数のガラスブロックパネル10をクロロプレンゴム製のセッティングブロック45を挟みながら上記と同様に逐次積層させ、躯体40の係合部40aにクロロプレンゴム製ライナー、発泡ゴム製のスペーサーを介して保持し、固定ボルトで固定することで、図3に示すような、曲面のガラスブロック壁20を施工した。上記の摺動ファスナー48を使用したことにより、質量が23kgであるガラスブロックパネル10の摺動ファスナー48の凸設部48aを、躯体40の高い位置の係合部40aに係合して摺動させることで、落下を防止した状態を保って安全にガラスブロック壁20を施工することができた。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、ガラスブロック以外の陶器、セラミックスその他の脆性材からなる中空部が減圧されたブロック及びこのような中空ブロックを用いた壁にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明のガラスブロックパネルの説明図であって、(A)は斜視図、(B)は部分破断側面図。
【図2】ガラスブロックパネルのフレームを示す説明図。
【図3】本発明のガラスブロック壁の外観の説明図。
【図4】本発明のガラスブロック壁の断面図であって、(A)は図3の要部縦断面図、(B)は(A)のガラスブロックパネル間の接続部の拡大断面図。
【図5】本発明のガラスブロック壁の層間変位量を説明する図であって、(A)は加圧前、(B)は加圧中の説明図。
【図6】ガラスブロックパネルの作製方法の説明図。
【図7】ガラスブロックパネルの輸送梱包の形態の説明図。
【図8】本発明のガラスブロック壁の施工例の説明図であって、(A)はガラスブロックパネルを躯体に固定した説明図、(B)はガラスブロックパネル固定部分の水平断面図、(C)はファスナーの斜視図、(D)はセッティングブロックの説明図。
【図9】他のガラスブロック壁の施工例の説明図であって、(A)はガラスブロックパネル固定部分の水平断面図、(B)は摺動ファスナーの斜視図。
【符号の説明】
【0062】
10 ガラスブロックパネル
11 ガラスブロック
12 フレーム
12a 短辺
12b 長辺
12c 埋込ナット
12d アンカーバー
12e 長辺アンカーバー
12f 補強筋(力骨)
13 目地部(軽量モルタル)
14 シーリング層
20 ガラスブロック壁
21 1次バックアップ材
22 1次シール材
23 2次バックアップ材
24 2次シール材
25 化粧目地
30 パレット
31 支柱
32 背もたれ
33 結束バンド
40 躯体
41 ファスナー
42 ボルト
43 ナット
44 無目材
45 セッティングブロック
46 カバー
47 シーリング材(シール材)
48 摺動ファスナー
48a 凸設部
Δ ガラスブロック壁の変位寸法
δ 層間変位量
H ガラスブロック壁の高さ
h ガラスブロックパネルの高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に整列配置された複数個のガラスブロックと、該複数個のガラスブロックの外周を囲繞するフレームと、躯体へ固定するために該フレームの対向する短辺に埋設された取付部と、ガラスブロック間及びガラスブロックの外周とフレームとの間に配置されてガラスブロックを該フレームに固定する目地部材とを具備し、前記フレームの長辺がガラスブロックの意匠面よりも後退しており、かつ長辺の厚さが前記ガラスブロック間距離の1/2未満であり、全体の質量が30kg未満であることを特徴とするガラスブロックパネル。
【請求項2】
目地部材が軽量モルタルであり、取付部が目地部空間に凸設するアンカー部を有し、フレームがその長辺の対向する内面から目地部空間に凸設するアンカー部を有し、ガラスブロック間に配筋されフレームの対向する長辺間をつなぐ補強筋が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のガラスブロックパネル。
【請求項3】
ガラスブロックは、底面が透光面である有底無蓋の箱型形状を有する一対のガラス成形体が、互いの開放端縁で熔着一体化されてなる中空体であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガラスブロックパネル。
【請求項4】
一方向に整列配置された複数個のガラスブロックと、該複数個のガラスブロックの外周を囲繞するフレームと、躯体へ固定するために該フレームの対向する短辺に埋設された取付部と、ガラスブロック間及びガラスブロックの外周とフレームとの間に配置されてガラスブロックを該フレームに固定する目地部材とを具備し、前記フレームの長辺がガラスブロックの意匠面よりも後退しており、かつ長辺の厚さが前記ガラスブロック間距離の1/2未満であり、全体の質量が30kg未満であるガラスブロックパネルと、該ガラスブロックパネルの取付部に係止されて躯体に固定するファスナーと、該ガラスブロックパネル相互の長辺の間に挟み込まれた緩衝材とを具備し、前記複数のガラスブロックパネルが整列固定されて曲面を形成していることを特徴とするガラスブロック壁。
【請求項5】
複数のガラスブロックパネルが上下方向に積層されていることを特徴とする請求項4に記載のガラスブロック壁。
【請求項6】
層間変位角を1/100としたとき、ガラスブロックパネル相互の層間変位量が2mm未満であることを特徴とする請求項5に記載のガラスブロック壁。
【請求項7】
一方向に整列配置された複数個のガラスブロックと、該複数個のガラスブロックの外周を囲繞するフレームと、躯体へ固定するために該フレームの対向する短辺に埋設された取付部と、ガラスブロック間及びガラスブロックの外周とフレームとの間に配置されてガラスブロックを該フレームに固定する目地部材とを具備し、前記フレームの長辺がガラスブロックの意匠面よりも後退しており、かつ長辺の厚さが前記ガラスブロック間距離の1/2未満であり、全体の質量が30kg未満であるガラスブロックパネルを複数使用し、ガラスブロックパネル相互のフレーム長辺の間に緩衝材を挟み込んで複数のガラスブロックパネルを整列させる工程と、前記フレームの取付部に係止させたファスナーを介して該ガラスブロックパネルを躯体に固定する工程とを有することを特徴とするガラスブロック壁の施工方法。
【請求項8】
躯体が連続する係止部を有しており、該躯体の係止部と摺動可能に係合するファスナーをガラスブロックパネルの取付部に固定し、躯体の係合部にファスナーを係合させてガラスブロックパネルを摺動させ、複数のガラスブロックパネルを逐次整列させることを特徴とする請求項7に記載のガラスブロック壁の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−70544(P2006−70544A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−254592(P2004−254592)
【出願日】平成16年9月1日(2004.9.1)
【出願人】(000232243)日本電気硝子株式会社 (1,447)
【Fターム(参考)】